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  • 特開-灌流回路キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079315
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】灌流回路キット
(51)【国際特許分類】
   A01N 1/02 20060101AFI20240604BHJP
   A61L 2/26 20060101ALI20240604BHJP
   B65D 81/28 20060101ALI20240604BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A01N1/02
A61L2/26
B65D81/28 C
B65D77/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192187
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】大原 正行
(72)【発明者】
【氏名】吉本 周平
(72)【発明者】
【氏名】虎井 真司
(72)【発明者】
【氏名】石川 潤
(72)【発明者】
【氏名】笠松 寛央
【テーマコード(参考)】
3E067
4C058
4H011
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB83
3E067AC05
3E067BA12A
3E067BA12B
3E067BA12C
3E067BB14A
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067CA11
3E067CA17
3E067EA09
3E067EB01
3E067FA01
3E067FA04
3E067FB07
3E067FC01
3E067GC01
4C058AA12
4C058BB05
4H011CA01
4H011CB05
4H011CC01
4H011CD02
4H011CD12
(57)【要約】
【課題】包装袋に収容された、灌流回路のパーツが汚染されることを低減しつつ、灌流回路を適切に組み立てることができる技術を提供する。
【解決手段】灌流回路キット1は、包装袋11と、パーツ12~14と、手順書15とを備える。パーツ12~14は、包装袋11に収容されている。パーツ12~14は、肝臓9に処理液を灌流させる灌流回路100に使用される。手順書15は、包装袋11に収容されている。包装袋11には、灌流回路100のイラストが印刷されている。手順書15は、滅菌可能である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灌流回路キットであって、
包装袋と、
前記包装袋内に収容されており、臓器に処理液を灌流させる灌流回路に使用される少なくとも1つのパーツと、
前記包装袋内に収容されており、前記灌流回路を示す灌流回路図が印刷された手順書と、
を備え、
前記手順書は、滅菌可能である、灌流回路キット。
【請求項2】
請求項1に記載の灌流回路キットであって、
前記手順書は、前記灌流回路図が印刷された印刷物と、前記印刷物を挟み込むプラスチックフィルムとを有する、灌流回路キット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の灌流回路キットであって、
前記手順書は、前記灌流回路における前記パーツの位置を示す表示を有する、灌流回路キット。
【請求項4】
請求項3に記載の灌流回路キットであって、
前記手順書に印刷された前記灌流回路図において、前記パーツに対応する要素は、前記パーツに対応しない要素とは、互いに異なる色、線幅または線種で表示されている、灌流回路キット。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の灌流回路キットであって、
前記パーツは、液体の流路を構成する配管を含む、灌流回路キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、灌流回路キットに関する。
【背景技術】
【0002】
臓器移植治療では、摘出されたドナー臓器は、一般的に、UW(University of Wisconsin)液等の臓器保存液に浸漬して低温(例えば、4℃)で保存され、レシピエントの手術現場へ搬送された後、レシピエントに移植される。近年では、体外にてドナー臓器内の血管に生理食塩水等の液体を灌流させる灌流保存が行われる。灌流保存を行うことによって、移植の生着率および手術時の状態改善が見られることが報告されている。このような灌流保存では、灌流液を送るための配管、リザーバおよびセンサ部品などを含む灌流回路が用いられる。
【0003】
灌流回路を構成する各パーツは、一般的に、1個または複数個の滅菌袋に収納された状態で保管されており、生体外灌流を実施する直前に開封され、装置へ取り付けられる。
【0004】
例えば、引用文献1には、医療用機器用包装袋において、バーコードまたは内部に収納されている機器がイラストにより描かれているアイコンを印刷することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-217975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、灌流回路を組み立てる場合、滅菌状態を維持して配管するため、所定の手順通りに滅菌バッグを開封し、装置に取り付ける必要がある。従来技術のように、滅菌パックに灌流回路図を印刷することも考えられる。この場合、ユーザは、包装袋に印刷された灌流回路図によって各パーツの配置を確認できる。しかしながら、包装袋の外側は比較的汚染されやすいため、ユーザが灌流回路図を確認するために包装袋を触った後、パーツを触ることによって、パーツが汚染される可能性がある。このため、包装袋に灌流回路が印刷されていたとしても、灌流回路を適切に組み立てることは必ずしも容易でない。
【0007】
本発明の目的は、包装袋に収容された、灌流回路のパーツが汚染されることを低減しつつ、灌流回路を適切に組み立てることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1態様は、灌流回路キットであって、包装袋と、前記包装袋内に収容されており、臓器に処理液を灌流させる灌流回路に使用される少なくとも1つのパーツと、前記包装袋内に収容されており、前記灌流回路を示す灌流回路図が印刷された手順書と、を備え、前記手順書は、滅菌可能である。
【0009】
第2態様は、第1態様の灌流回路キットであって、前記手順書は、前記灌流回路図が印刷された印刷物と、前記印刷物を挟み込むプラスチックフィルムとを有する。
【0010】
第3態様は、第1態様または第2態様の灌流回路キットであって、前記手順書は、前記灌流回路における前記パーツの位置を示す表示を有する。
【0011】
第4態様は、第3態様の灌流回路キットであって、前記手順書に印刷された前記灌流回路図において、前記パーツに対応する要素は、前記パーツに対応しない要素とは、互いに異なる色、線幅または線種で表示されている。
【0012】
第5態様は、第1態様または第2態様の灌流回路キットであって、前記パーツは、液体の流路を構成する配管を含む。
【発明の効果】
【0013】
第1態様から第5態様の灌流回路キットによれば、パーツとともに手順書を滅菌しておくことで、ユーザが手順書に触れたとしても、パーツが汚染されることを低減できる。これにより、パーツを使って灌流回路を適切に組み立てることができる。
【0014】
第2態様の灌流回路キットによれば、印刷物を保護できる。
【0015】
第3態様の灌流回路キットによれば、ユーザが灌流回路図におけるパーツの位置を把握できるため、灌流回路の組み立てが容易となる。
【0016】
第4態様の灌流回路キットによれば、ユーザが灌流回路図におけるパーツの位置を適切に把握できるため、灌流回路の組み立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る灌流回路キットを示す図である。
図2図1に示される手順書に印刷された灌流回路図を示す図である。
図3】複数の包装袋を有する灌流回路キットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0019】
本願において「ドナー」および「レシピエント」は、ヒトであってもよいし、非ヒト動物であってもよい。すなわち、本願において、「臓器」は、ヒトの臓器であってもよいし、非ヒト動物の臓器であってもよい。また、非ヒト動物は、マウスおよびラットを含む齧歯類、ブタ、ヤギ、およびヒツジを含む有蹄類、チンパンジーを含む非ヒト霊長類、その他の非ヒトほ乳動物であってもよいし、ほ乳動物以外の動物であってもよい。「臓器」は、例えば、肝臓、腎臓、心臓、膵臓または肺臓である。
【0020】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係る灌流回路キット1を示す図である。灌流回路キット1は、包装袋11と、複数のパーツ12,13,14と、手順書15とを備える。
【0021】
包装袋11は、例えば、樹脂フィルムなどを袋状に形成した部材である。包装袋11は、滅菌処理が可能な材料で構成されている。滅菌処理は、例えば、オートクレーブ滅菌、ガス滅菌、または放射線滅菌である。「滅菌処理が可能」とは、少なくとも1種類の滅菌処理に対して耐性を有することをいう。包装袋11は、透明性を有する前面111を有する。
【0022】
複数のパーツ12~14は、灌流回路100の一部を構成する部品である。灌流回路100は、臓器に灌流液を供給して灌流する装置(灌流装置)である。灌流回路100は、ドナーから摘出された臓器を、レシピエントへ移植するまでの間、体外で一時的に保存するための装置である。パーツ12~14は、具体的には、灌流液または血液などの各種液体の流路を構成するチューブ(配管)である。なお、包装袋11に収容されるパーツは、チューブに限定されず、チューブ継手、クランプまたはバルブ等のチューブ以外の部品であってもよい。また、パーツは、これらの部品が組み合わされたものであってもよい。
【0023】
手順書15は、ユーザが灌流回路100を組み立てる手順を示す情報がプリンターによって印刷された書面である。手順書15には、灌流回路100のイラストが印刷されている。以下、灌流回路100のイラストを、単に「灌流回路図」と称する。
【0024】
手順書15は、滅菌処理可能な材料で構成されている。具体的には、手順書15は、灌流回路図が印刷された紙などの印刷物を、プラスチックフィルムで挟み込んで圧着する、ラミネート加工(パウチ加工)によって製造される。
【0025】
灌流回路キット1を製造する場合、未滅菌のパーツ12~14および未滅菌の手順書15が、包装袋11に収容される。なお、図1に示されるように、手順書15は、好ましくは、包装袋11内において、最前面に配置されてもよい。すなわち、手順書15は、パーツ12~14よりも、前面111の近くに配置されてもよい。
【0026】
包装袋11にパーツ12~14および手順書15が収容された後、包装袋11の開口部がヒートシールまたは接着剤などによって封止される。そして、封止された包装袋11に対してオートクレーブ処理などの所定の滅菌処理を施すことによって、パーツ12~14および手順書15が滅菌される。
【0027】
図2は、図1に示される手順書15に印刷された灌流回路図を示す図である。灌流回路100において、肝臓9は、リアクタ90内に収容されている。リアクタ90は、臓器保存液と、灌流回路100に接続された肝臓9とを収容する。リアクタ90は、例えば、底を有する筒状の容器を有する。図2に示されるように、灌流回路100は、リザーバ20、第1灌流液供給部30、第2灌流液供給部40、灌流液回収部50を含む。
【0028】
リザーバ20は、灌流液を貯留する液体貯留部である。リザーバ20は、点滴バッグのようなフレキシブルな容器によって形成されるソフトバッグである。リザーバ20に貯留される灌流液は、例えば、UW液またはETK(ET-Kyoto)液である。また、リザーバ20の周囲には、リザーバ20内に貯留される灌流液の温度を調整する温度調整機構が備えられていてもよい。また、第1灌流液供給部30、第2灌流液供給部40、灌流液回収部50は、温度調整機構を備えていてもよい。
【0029】
第1灌流液供給部30は、リザーバ20からリアクタ90内に収容された肝臓9の肝動脈へと灌流液を供給する。第1灌流液供給部30は、供給配管311,312と、エアチャンバ32と、送液ポンプ33と、クランプ34と、温度センサ35と、流量センサ36とを有する。
【0030】
供給配管311は、肝臓9の肝動脈とエアチャンバ32を接続するチューブである。供給配管312は、エアチャンバ32とリザーバ20とを接続するチューブである。
エアチャンバ32は、内部に灌流液を一時的に貯留しつつ、灌流液に含まれる気泡を、灌流液から分離する。
【0031】
送液ポンプ33は、供給配管312に取り付けられ、供給配管312に液体の流れを生じさせる。送液ポンプ33は、供給配管312を回転しながらしごくローラを備えた、いわゆるローラチューブポンプである。
【0032】
クランプ34は、供給配管312に取り付けられており、供給配管312の流路を開閉する部材である。
【0033】
温度センサ35は、供給配管311内を流れる液体の温度を検出し、検出結果を不図示の制御部へ送信する。流量センサ36は、供給配管311内を流れる液体の流量を検出し、検出結果を制御部へ送信する。制御部は、温度センサ35、流量センサ36から送信される各種情報に基づいて、送液ポンプ33、回収ポンプ52および恒温循環器55等の動作を制御する。制御部は、例えば、CPUなどのプロセッサ、および、RAMなどの記憶部を備えたコンピュータを含む。
【0034】
第2灌流液供給部40は、リザーバ20から肝臓9の門脈へ灌流液を供給する。第2灌流液供給部40は、供給配管411,412と、エアチャンバ42と、クランプ43と、三方活栓44と、温度センサ45と、流量センサ46とを有する。
【0035】
供給配管411は、エアチャンバ42と肝臓9の門脈とを接続するチューブである。供給配管411は、供給配管411の端部を肝臓9の門脈に挿入および固定するためのカテーテルを有していてもよい。供給配管412は、リザーバ20とエアチャンバ42とを接続するチューブである。
【0036】
エアチャンバ42は、内部に灌流液を一時的に貯留しつつ、灌流液に含まれる気泡を灌流液から分離する。
【0037】
クランプ43は、供給配管412に取り付けられており、供給配管412の流路を開閉する。
【0038】
三方活栓44は、供給配管412の途中に設けられている。三方活栓44は、流路を制御する装置であり、リザーバ20からエアチャンバ42へ向かう灌流液中に、灌流液とは別の液体を混入させたりする場合に使用される。
【0039】
温度センサ45は、供給配管411内を流れる液体の温度を検出し、検出結果を制御部へ送信する。流量センサ46は、供給配管411内を流れる液体の流量を検出し、検出結果を制御部へ送信する。
【0040】
灌流液回収部50は、肝臓9から排出された灌流液であって、リアクタ90内に溜まった灌流液を回収し、リザーバ20へ灌流する。灌流液回収部50は、回収配管511,512,513,514と、回収ポンプ52と、フィルタ53と、ガス交換機構54と、恒温循環器55と、クランプ56とを有する。
【0041】
回収配管511は、リアクタ90と回収ポンプ52とを接続するチューブである。回収配管511の一端は、リアクタ90の下部に溜まった灌流液中に配置される。回収配管512は、回収ポンプ52とフィルタ53と接続するチューブである。回収配管513は、フィルタ53とガス交換機構54とを接続するチューブである。回収配管514は、ガス交換機構54とリザーバ20とを接続するチューブである。
【0042】
回収ポンプ52は、リアクタ90とフィルタ53との間に位置する。回収ポンプ52は、リアクタ90からリザーバ20へと向かう灌流液の流れを発生させる。回収ポンプ52は、例えば、羽根車を有する遠心ポンプである。
【0043】
フィルタ53は、回収ポンプ52とガス交換機構54との間に位置する。フィルタ53は、灌流液を濾過する。
【0044】
ガス交換機構54は、回収ポンプ52とリザーバ20との間に位置する。ガス交換機構54は、灌流液に酸素等の気体を添加する。なお、ガス交換機構54は、リザーバ20内に貯留されている灌流液に酸素などの気体を添加するように構成されていてもよい。
【0045】
恒温循環器55は、ガス交換機構54に温水を供給することによって、ガス交換機構54を通過する灌流液の温度を所定の温度に維持する。
【0046】
クランプ56は、回収配管514に取り付けられており、回収配管514の流路を開閉する。
【0047】
灌流回路100においては、肝臓9に供給された灌流液は、肝臓9内を循環した後、肝上部下大静脈(SH-IVC)や肝下部下大静脈(IH-IVC)等の肝臓9から血液を排出する血管からリアクタ90内へと流出する。肝臓9から排出され、リアクタ90内に溜まった灌流液は、回収ポンプ52の吸引力により、回収配管511へと吸引され、ガス交換機構54において酸素等が添加された後、リザーバ20へ回収される。
【0048】
灌流回路100において、3個のパーツ12~14は、供給配管412、回収配管511、回収配管512にそれぞれ対応する。図2に示されるように、灌流回路図においては、パーツ12~14に対応する配管(供給配管412、回収配管511,512)は、パーツ12~14に対応しない他の配管(供給配管311,312,411または回収配管513,514)とは異なる色(例えば、赤色)で表示されていてもよい。また、パーツ12~14に対応する配管は、パーツ12~14に対応しない他の配管よりも太い線幅で表示されてもよい。パーツ12~14に対応する要素を示す特定の色の図形、または、特定の線幅の図形は、パーツ12~14の位置を示す位置表示の一例である。なお、パーツ12~14対応する要素が、他の要素とは異なる特定の線種(実線、点線、一点鎖線または二点鎖線など)で表示されていてもよい。また、パーツ12~14の位置表示は、パーツ12~14に対応する要素を指し示す矢印、または、要素を囲む囲み線などの図形であってもよい。
【0049】
図3は、複数個の包装袋11を有する灌流回路キット1を示す図である。図3に示されるように、灌流回路キット1は、複数個の包装袋11を有していてもよい。各包装袋11は、灌流回路100に使用される1つ以上のパーツと、手順書15とを収容している。各手順書15には、灌流回路図が印刷されている。また、各手順書15には、同封されているパーツの位置を示す表示も印刷されている。複数個の包装袋11において、収容されているパーツが互いに異なる場合、手順書15に印刷されたパーツの位置を示す表示も異なる。
【0050】
図3に示されるように、灌流回路キット1は、複数個の包装袋11を収容する1個の包装袋16を備えていてもよい。袋16は、例えば、樹脂フィルムで形成される。袋16は、好ましくは滅菌処理可能である。
【0051】
<効果>
上記実施形態に係る灌流回路キット1によれば、包装袋11内に、灌流回路100に使用されるパーツ12~14と、灌流回路図が印刷された手順書15とが同封されている。これにより、ユーザが手順書15で確認しながらパーツ12~14を使用して灌流回路100を組み立てることができる。また、手順書15は、滅菌処理可能である。このため、包装袋11に手順書15とパーツ12~14とを同梱した状態で、滅菌処理できるため、灌流回路キット1を容易に製造できる。また、手順書15を滅菌しておくことによって、灌流回路100の組み立て中にユーザが手順書15に触れても、パーツ12~14が汚染されることを低減できる。
【0052】
灌流回路キット1によれば、手順書15を包装袋11から抜き取ることができる。このため、手順書15の有無を確認することにより、包装袋11が開封済みか否かを容易に判断することができる。例えば、ユーザが包装袋11を開封した際に、手順書15を包装袋11から抜き取ることで、包装袋11が開封済みであることを明示できる。したがって、開封によってパーツ12~14が汚染されている可能性があることを、ユーザまたは他のユーザが容易に把握できる。
【0053】
手順書15が、印刷物をプラスチックフィルムで挟み込まれたものである場合、滅菌処理による印刷物または印刷物上のインクの劣化を低減できる。例えば、印刷物が紙である場合、オートクレーブ処理によって、紙が湿気にさらされることを抑制できるため、印刷物を適切に保護できる。
【0054】
手順書15は、灌流回路100におけるパーツ12~14の位置を示す位置表示を有する。これにより、ユーザが灌流回路100上におけるパーツ12~14の配置を容易に把握できるため、ユーザが灌流回路100を適切に組み立てることできる。
【0055】
手順書15に印刷された灌流回路図において、パーツ12~14に対応する要素が、パーツ12~14に対応しない要素とは異なる色、異なる線幅または異なる線種で表示される場合、ユーザがパーツ12~14の位置を容易に把握できる。
【0056】
また、包装袋11の前面111が透明性を有することにより、包装袋11が封止された状態であっても、包装袋11に収容された物(パーツ12~14および手順書15)を外部から視認できる。また、手順書15が包装袋11内で最前面に配置されることにより、これにより、手順書15に印刷された灌流回路図を外部から確認できる。
【0057】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0058】
例えば、手順書15は、包装袋11に同封されているパーツ12~14のうち、全ての位置表示を有することは必須ではなく、一部のパーツのみの位置表示を有していてもよい。
【0059】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 灌流回路キット
9 肝臓
11 包装袋
12~14 パーツ
15 手順書
100 灌流回路
図1
図2
図3