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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079334
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240604BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 658A
H01L29/78 658E
H01L29/78 657D
H01L29/78 652C
H01L29/78 652D
H01L29/78 652T
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192214
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 智
(72)【発明者】
【氏名】小林 純
(72)【発明者】
【氏名】牧 和慶
(57)【要約】
【課題】新規な構成の半導体装置を提供する。
【解決手段】素子構造(41)が、半導体層(22)の第1面(33)に形成された第2導電型のボディ領域(24)と、ボディ領域(24)の表面部に形成された第1導電型の第1領域(25)とを含み、スーパージャンクション構造(42)が、半導体層内に一方向に等間隔を空けて形成され、半導体層(22)の厚さ方向に延びる複数の第2導電型のコラム層(23)を含み、ボディ領域(24)の一方向の配置間隔であるボディ領域間ピッチ(P2)と、コラム層(23)の一方向の配置間隔であるコラム層間ピッチ(P1)とが異なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面およびその反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の前記第1面に一方向に等間隔を空けて形成された複数の素子構造と、
前記半導体層内に形成されたスーパージャンクション構造とを含み、
前記素子構造が、前記半導体層の前記第1面に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表面部に形成された第1導電型の第1領域とを含み、
前記スーパージャンクション構造が、前記半導体層内に前記一方向に等間隔を空けて形成され、前記半導体層の厚さ方向に延びる複数の第2導電型のコラム層を含み、
前記ボディ領域の前記一方向の配置間隔であるボディ領域間ピッチと、前記コラム層の前記一方向の配置間隔であるコラム層間ピッチとが異なる、半導体装置。
【請求項2】
前記ボディ領域間ピッチが、前記コラム層間ピッチよりも短い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ボディ領域間ピッチが、前記コラム層間ピッチよりも長い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のコラム層は、前記ボディ領域の下方に当該ボディ領域と接するように配置されているコラム層を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記コラム層の前記一方向の長さであるコラム層幅と、前記ボディ領域の前記一方向の長さであるボディ領域幅が異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記コラム層幅が、前記ボディ領域幅よりも小さい、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記コラム層幅が、前記ボディ領域幅よりも大きい、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層の前記第1面上に配置され、前記第1領域および前記ボディ領域に電気的に接続された第1電極を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体層の前記第1面に形成され、前記一方向に隣接する2つの前記ボディ領域に跨るように配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ゲート電極は、平面視において、前記一方向に延びる第1部分と、前記一方向に直交する方向に延びる第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とが交差する交差部とを含む、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体層の前記第1面に形成され、前記一方向に隣接する2つの前記ボディ領域に跨るように配置された絶縁膜を含み、
前記絶縁膜は、前記一方向に前記ボディ領域を挟んで交互に形成された第1絶縁膜と第2絶縁膜とを含み、
前記第1絶縁膜上にゲート電極が形成されており、
前記第2絶縁膜上に前記第1電極に電気的に接続されたダミーゲート電極が形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ゲート電極は、平面視において、前記一方向に直交する方向に延びる帯状であり、
ダミーゲート電極は、平面視において、前記一方向に直交する方向に延びる帯状である、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記コラム層は、前記半導体層の厚さ方向において凸部および凹部を複数回繰り返すことによって形成された凹凸側面を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記素子構造は、プレーナゲート構造を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、MOSFETを開示している。当該MOSFETでは、n型の不純物が含有された半導体基板と、p型の不純物が含有されたベース層との間にスーパージャンクション構造が設けられている。スーパージャンクション構造は、n型の不純物が含有された第1半導体層と、p型の不純物が含有された第2半導体層とが、半導体基板とベース層とが対向する方向と交差する方向に交互に繰り返し配置されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-261562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態の目的は、新規な構成の半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、第1面およびその反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層と、前記半導体層の前記第1面に一方向に等間隔を空けて形成された複数の素子構造と、前記半導体層内に形成されたスーパージャンクション構造とを含み、前記素子構造が、前記半導体層の前記第1面に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ層の表面部に形成された第1導電型の第1領域とを含み、前記スーパージャンクション構造が、前記半導体層内に前記一方向に等間隔を空けて形成され、前記半導体層の厚さ方向に延びる複数の第2導電型のコラム層を含み、前記ボディ領域の前記一方向の配置間隔であるボディ領域間ピッチと、前記コラム層の前記一方向の配置間隔であるコラム層間ピッチとが異なる、半導体装置を提供する。
【0006】
この構成では、新規な構成の半導体装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
図2図2は、図1の二点鎖線IIで囲まれた領域の拡大図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4A図4Aは、図3の半導体装置の製造工程の一部を示す断面図である。
図4B図4Bは、図4Aの次の工程を示す図である。
図4C図4Cは、図4Bの次の工程を示す図である。
図4D図4Dは、図4Cの次の工程を示す図である。
図4E図4Eは、図4Dの次の工程を示す図である。
図4F図4Fは、図4Eの次の工程を示す図である。
図4G図4Gは、図4Fの次の工程を示す図である。
図5図5は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図であり、図3に対応する断面図である。
図6図6は、比較例に係る半導体装置の模式的な断面図であって、図3の断面図に対応する断面図である。
図7図7は、オン抵抗RonAのシミュレーション結果を示すグラフである。
図8図8は、ブレークダウン電圧BVDSSのシミュレーション結果を示すグラフである。
図9図9は、本開示の第3実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図であり、図3に対応する断面図である。
図10図10は、本開示の第4実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図であり、図3に対応する断面図である。
図11図11は、本開示の第5実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図であり、図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
[第1実施形態]
≪半導体装置A1の全体構造≫
図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置A1の模式的な平面図である。
【0010】
半導体装置A1は、平面視において四角形状を有している。半導体装置A1には、たとえばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成されている。
【0011】
半導体装置A1の表面には、電極膜1が形成されている。電極膜1は、半導体装置A1の表面のほぼ全体を覆っている。電極膜1は、この実施形態では、ソース電極膜2と、ゲート電極膜3とを含む。この実施形態では、ソース電極膜2が、特許請求の範囲に記載の「第1電極」の一例である。
【0012】
ソース電極膜2は、半導体装置A1のアクティブ領域4を覆うように形成されている。アクティブ領域4は、たとえば、後述する素子構造(MOS構造)41およびスーパージャンクション構造42が形成された領域である。
【0013】
ソース電極膜2は、アクティブ領域4のほぼ全体に形成されている。ソース電極膜2には、平面視において選択的に凹部5が形成されている。この実施形態では、半導体装置A1の1つの角部に凹部5が形成されている。
【0014】
ゲート電極膜3は、アクティブ領域4を取り囲む半導体装置A1の外周領域6に形成されている。ゲート電極膜3は、平面視においてソース電極膜2の凹部5内に形成されたパッド部7と、このパッド部7から半導体装置A1の辺に沿って延びるフィンガー部8とを一体的に含む。
【0015】
フィンガー部8は、この実施形態では、ソース電極膜2を取り囲む閉環状に形成されている。むろん、フィンガー部8は、閉環状である必要はない。たとえば、フィンガー部8は、半導体装置A1の互いに対向する2辺(たとえば、図1における上下の辺)に沿って平行に延び、半導体装置A1の角部に終端を有していてもよい。
【0016】
電極膜1の一部は、半導体装置A1の表面に形成されたパッシベーション膜9によって覆われている。パッシベーション膜9は、ソース電極膜2およびゲート電極膜3を一括して覆っており、これらの電極膜1の一部を露出させる複数の開口10,11を有している。図1では、ソース電極膜2の一部、ゲート電極膜3のパッド部7の一部およびフィンガー部8が破線で示されており、この破線部がパッシベーション膜9で覆われた部分である。
【0017】
ソース電極膜2の一部は、第1パッド開口10からソースパッド12として露出しており、ゲート電極膜3の一部(パッド部7)は、第2パッド開口11からゲートパッド13として露出している。各パッド12,13には、半導体装置A1をパッケージングする際に、ボンディングワイヤなどの接合材が接合されてもよい。
【0018】
図2は、図1の二点鎖線IIで囲まれた領域の拡大図である。図2では、理解の便宜上、ゲート電極28の一部にハッチングを付している(ただし、明瞭化のため、ボディ領域24に対向するゲート電極28の部分にはハッチングを付していない)。
【0019】
図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。説明の便宜上、互いに直交する3つの方向を、X方向、Y方向、Z方向と定義する。Z方向は、半導体装置A1の厚さ方向である。X方向は、半導体装置A1の平面図(図2参照)における左右方向である。Y方向は、半導体装置A1の平面図(図2参照)における上下方向である。
【0020】
半導体装置A1は、半導体基板21と、エピタキシャル層22と、コラム層23と、ボディ領域24と、ソース領域25と、ボディコンタクト領域26と、ゲート絶縁膜27と、ゲート電極28と、層間絶縁膜29とを含んでいてもよい。この実施形態では、エピタキシャル層22およびソース領域25が、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「半導体層」および「第1領域」の一例である。
【0021】
半導体基板21は、この実施形態では、n型の半導体基板(たとえばシリコン基板)からなっていてもよい。その他、SiC基板、GaN基板など、一般的にトランジスタに採用される基板であってもよい。n型の半導体基板21は、n型不純物をドープしながら結晶成長させた半導体基板であってもよい。
【0022】
n型不純物としては、P(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)などを適用できる。また、n型の半導体基板21の不純物濃度は、たとえば、1.0×1018cm-3~5.0×1020cm-3程度であってもよい。半導体基板21は、第1面30およびその反対側の第2面31を有している。
【0023】
エピタキシャル層22は、たとえば、n型の半導体基板21上に、n型不純物を注入しながらエピタキシャル成長されたn型の層であってもよい。n型不純物の例は、前述のとおりである。また、n型のエピタキシャル層22の不純物濃度は、n型の半導体基板21よりも低く、たとえば、1.0×1015cm-3~1.0×1017cm-3程度であってもよい。また、エピタキシャル層22におけるn型の領域は、n型のドリフト領域32と称してもよい。
【0024】
エピタキシャル層22(ドリフト領域32)は、第1面33およびその反対側の第2面34を有している。第1面33は、後述する素子構造41が形成される面であり、素子主面と称してもよい。第2面34は、半導体基板21の第1面30に接する面である。
【0025】
コラム層23は、エピタキシャル層22に対してp型不純物をイオン注入することによって形成されたp型の半導体層であってもよい。p型不純物としては、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)などを適用できる。また、コラム層23の不純物濃度は、たとえば、1.0×1015cm-3~1.0×1018cm-3程度であってもよい。
【0026】
コラム層23は、図2および図3に示すように、エピタキシャル層22内に複数形成されている。各コラム層23は、図3に示すように、Z方向に延びており、たとえば、エピタキシャル層22の上部からZ方向におけるエピタキシャル層22の中央部を越えて延びている。
【0027】
各コラム層23は、図2に示すように、平面視においてY方向に延びた帯状を有している。また、各コラム層23のZ方向に沿う側面35は、Z方向に沿って凸部36および凹部37が複数回繰り返され、周期的に起伏した凹凸面となっている。この凹凸36,37の数は、通常、後述するn型半導体層63(図4Aおよび図4B)の段数とほぼ一致する。コラム層23のX方向幅(凸部36のX方向長さ)は、2μm~3μm程度であってもよい。
【0028】
複数のコラム層23は、図2および図3に示すように、X方向に等間隔を空けて配列されている。言い換えれば、複数のコラム層23は、平面視において、ストライプ状に形成されている。
【0029】
コラム層23のX方向の配置間隔をコラム層間ピッチP1ということにする。コラム層間ピッチP1は、X方向に隣接する2つのコラム層23の幅中心間距離である。具体的には、コラム層間ピッチP1は、X方向に隣接する2つのコラム層23のうちの一方のコラム層23の幅中心(X方向の長さ中心)から、他方のコラム層23の幅中心(X方向の長さ中心)までの距離である。コラム層間ピッチP1は、この実施形態では、7μmである。
【0030】
エピタキシャル層22内に複数のコラム層23が形成されることによって、エピタキシャル層22内にスーパージャンクション構造42が形成されている。つまり、スーパージャンクション構造42は、p型のコラム層23とn型のエピタキシャル層22とが、エピタキシャル層22の厚さ方向(Z方向)に直交する方向(本実施形態ではX方向)に交互に繰り返し配置されることによって構成されている。
【0031】
ボディ領域24は、エピタキシャル層22の表面部に複数形成されている。この実施形態では、ボディ領域24は、平面視でY方向に長い四角形状である。この実施形態では、ボディ領域24は、平面視において、X方向およびY方向に間隔を空けて行列状に配置されている。ボディ領域24のX方向の配置間隔をボディ領域間ピッチP2ということにする。
【0032】
ボディ領域間ピッチP2は、X方向に隣接する2つのボディ領域24の幅中心間距離である。具体的には、ボディ領域間ピッチP2は、X方向に隣接する2つのボディ領域24のうちの一方のボディ領域24の幅中心(X方向の長さ中心)から、他方のボディ領域24の幅中心(X方向の長さ中心)までの距離である。
【0033】
ボディ領域間ピッチP2は、コラム層間ピッチP1と異なる。第1実施形態では、ボディ領域間ピッチP2は、コラム層間ピッチP1よりも短い。第1実施形態では、ボディ領域間ピッチP2は、コラム層間ピッチP1の1/2の長さである。言い換えれば、コラム層間ピッチP1に対するボディ領域間ピッチP2の比P2/P1は、1/2である。
【0034】
より具体的には、第1実施形態では、コラム層間ピッチP1が7μmであるのに対し、ボディ領域間ピッチP2は、3.5μmである。なお、ボディ領域間ピッチP2がコラム層間ピッチP1よりも短い場合、コラム層間ピッチP1に対するボディ領域間ピッチP2の比P2/P1は、1/2以外の値であってもよい。
【0035】
ボディ領域24は、n型のエピタキシャル層22に対してp型不純物をイオン注入することによって形成されたp型の半導体層であってもよい。p型不純物の例は、前述のとおりである。また、ボディ領域24の不純物濃度は、たとえば、1.0×1015cm-3~1.0×1019cm-3程度であり、コラム層23の不純物濃度と同じであってもよい。
【0036】
第1実施形態では、ボディ領域24のX方向幅(ボディ領域幅)W2は、コラム層23のX方向幅(コラム層幅)W1よりも若干大きい。言い換えれば、コラム層23のX方向幅W1は、ボディ領域24のX方向幅W2よりも若干小さい。
【0037】
なお、ボディ領域24のX方向幅W2は、コラム層23のX方向幅W1よりも小さくてもよく、コラム層23のX方向幅W1と等しくてもよい。
【0038】
各ボディ領域24は、図3に示すように、ドリフト領域32との界面(pn接合面)に寄生ダイオード38(ボディダイオード)を形成している。
【0039】
ソース領域25は、各ボディ領域24の内方領域に形成されている。ソース領域25は、当該内方領域において、ボディ領域24の表面部に選択的に形成されている。ソース領域25は、ボディ領域24にn型不純物を選択的にイオン注入することによって形成されていてもよい。n型不純物の例は、前述のとおりである。また、ソース領域25の不純物濃度は、ドリフト領域32よりも高く、たとえば、1.0×1018cm-3~5.0×1020cm-3程度であってもよい。
【0040】
ソース領域25は、平面視で四角環状であり、ボディ領域24の周縁(ボディ領域24とドリフト領域32との境界)から所定距離だけ内側に離れている。これにより、ドリフト領域32およびボディ領域24などを含むエピタキシャル層22の表面部において、ソース領域25とドリフト領域32との間には、ボディ領域24の表面部が介在している。この介在している表面部が、ゲート電極28に適切な電圧が印加されたときにチャネルが形成されるチャネル領域39である。
【0041】
ボディコンタクト領域26は、平面視がY方向に長い四角形状であり、ボディ領域24の表面部に選択的に形成されている。ボディコンタクト領域26は、ソース領域25を通過してボディ領域24に達するようにエピタキシャル層22の第2面34に向かって延びている。ボディコンタクト領域26は、ボディ領域24にp型不純物を選択的にイオン注入することによって形成されていてもよい。p型不純物の例は、前述のとおりである。また、ボディコンタクト領域26の不純物濃度は、ボディ領域24よりも高く、たとえば、5.0×1017cm-3~1.0×1019cm-3程度であってもよい。
【0042】
そして、ボディ領域24、ソース領域25およびボディコンタクト領域26によって、MISFETの素子構造41(単位セル)が構成されている。
【0043】
この実施形態では、平面視において、X方向に並んで配置された複数のボディ領域列に対して、1列おきにコラム層23が配置されている。コラム層23が配置されているボディ領域列においては、当該ボディ領域24に含まれる複数のボディ領域24の下部は、コラム層23の上部に接続されている。つまり、コラム層23は、ボディ領域24の下方に当該ボディ領域24と接するように配置されているコラム層23を含む。
【0044】
ゲート絶縁膜27は、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、ハフニウム酸化膜、アルミナ膜、タンタル酸化膜などからなっていてもよい。また、ゲート電極28は、不純物を注入して形成されたポリシリコンからなっていてもよい。ゲート絶縁膜27がシリコン酸化膜からなる場合、MISFETは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と称してもよい。
【0045】
ゲート絶縁膜27は、少なくともボディ領域24の表面を覆っている。この実施形態では、ゲート絶縁膜27は、ソース領域25の表面の一部、チャネル領域39およびドリフト領域32の表面を覆っている。より端的には、ゲート絶縁膜27は、各素子構造41のボディコンタクト領域26およびボディコンタクト領域26に連なるソース領域25の一部に開口を有するパターンで形成されている。
【0046】
ゲート絶縁膜27は、ゲート電極28とエピタキシャル層22との間に介在されている。これにより、ゲート電極28は、ゲート絶縁膜27を介してチャネル領域39に対向している。ゲート電極28は、ゲート絶縁膜27とほぼ同じパターンに形成されており、これにより、プレーナゲート構造が構成されている。また、ゲート絶縁膜27は、たとえば、300Å~700Åの厚さを有していてもよい。
【0047】
また、この実施形態では、ゲート電極28は、図2および図3に示すように、格子パターンで形成されている。より具体的には、ゲート電極28は、X方向に延びる第1部分51と、X方向に直交するY方向に延びる第2部分52と、第1部分51と第2部分52とが交差する交差部53とを含んでいる。
【0048】
層間絶縁膜29は、エピタキシャル層22上に形成されている。層間絶縁膜29は、ゲート電極28を覆っている。層間絶縁膜29は、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、TEOS(テトラエトキシシラン)などの絶縁材料からなっていてもよい。
【0049】
層間絶縁膜29には、MISFETのボディコンタクト領域26およびソース領域25を露出させるコンタクト孔54が形成されている。コンタクト孔54は、層間絶縁膜29およびゲート絶縁膜27を貫通している。
【0050】
層間絶縁膜29上には、前述の電極膜1が形成されている。電極膜1は、アルミニウムその他の金属からなっていてもよい。図3にはソース電極膜2が示されている。なお、ソース電極膜2は、単にソース電極と称してもよい。
【0051】
ソース電極膜2は、図2に示すように、コンタクト孔54内でボディコンタクト領域26およびソース領域25に接続されている。なお、ゲート電極膜3は、図示しない位置において、ゲート電極28に接続されている。
【0052】
半導体基板21の第2面31には、ドレイン電極55が形成されている。ドレイン電極55は、アルミニウムその他の金属からなっていてもよい。ドレイン電極55は、半導体基板21を介してドリフト領域32に電気的に接続されている。
【0053】
この実施形態では、コンタクト孔54のX方向の長さ(コンタクト孔幅)W3は0.7μmであり、X方向に隣接する2つのコンタクト孔54の隙間間隔(コンタクト孔隙間間隔)W4は、2.8μmである。また、この実施形態では、ゲート電極28の第2部分52のX方向の長さ(ゲート電極幅)W5は1.8μmであり、X方向に隣接する2つの第2部分52の隙間間隔(ゲート電極隙間間隔)W6は、1.7μmである。
≪半導体装置A1の製造方法≫
図4A図4Gは、半導体装置A1の製造工程を工程順に示す図である。
【0054】
半導体装置A1を製造するには、まず、図4Aを参照して、半導体基板16上に、エピタキシャル成長によって初期ベース層61が形成される。次に、初期ベース層61の表面において、コラム層23を形成すべき位置にp型不純物62が選択的に注入される。
【0055】
次に、図4Bを参照して、初期ベース層61の上に、コラム層23を形成すべき位置にp型不純物62を選択的に注入しながらn型半導体層63を形成する工程を繰り返すマルチエピタキシャル成長によって、複数層のn型半導体層63を積層させる。
【0056】
さらに、図4Cを参照して、p型不純物を注入しないで、最上層のn型半導体層64を積層させる。これにより、複数枚のn型半導体層63,64と初期ベース層61とが一体化されて、エピタキシャル層22(ドリフト領域32)が形成される。
【0057】
次に、図4Dを参照して、アニール処理(1000℃~1200℃)を行うことによって、初期ベース層61および複数枚のn型半導体層63,64のp型不純物をドライブ拡散させる。これにより、エピタキシャル層22内に、コラム層23が形成される。
【0058】
次に、図4Eを参照して、エピタキシャル層22の表面部に選択的にp型不純物が注入されることによって、ボディ領域24が形成される。複数のボディ領域24のうち、コラム層23の真上に配置されるボディ領域24がコラム層23に接続される。
【0059】
次に、ボディ領域24の表面部に選択的にn型不純物が注入されることによって、ソース領域25が形成される。次に、ボディ領域24の表面部に選択的にp型不純物が注入されることによって、ボディコンタクト領域26が形成される。
【0060】
次に、図4Fを参照して、エピタキシャル層22上に、ゲート絶縁膜27が形成される。ゲート絶縁膜27は、半導体結晶表面の熱酸化によって酸化膜を成長させた後、当該酸化膜をパターニングすることによって形成されてもよい。
【0061】
次に、ゲート絶縁膜27上にゲート電極28が形成される。ゲート電極28の形成は、たとえば、不純物を添加したポリシリコン膜を全表面に形成し、その後、そのポリシリコン膜をフォトリソグラフィによって選択的にエッチングすることによって行ってもよい。次に、ゲート電極28を覆うように、層間絶縁膜29が形成される。次に、層間絶縁膜29に、フォトリソグラフィによって、コンタクト孔54が形成される。
【0062】
次に、図4Gを参照して、半導体基板21が、第2面31側から研削されて平坦化される。研削量は、特に制限されないが、たとえば、研削後の半導体基板21が90μm~310μmの厚さとなるようにすることが好ましい。次に、層間絶縁膜29上に、ソース電極膜2およびゲート電極膜3(図示せず)が形成される。次に、ソース電極膜2およびゲート電極膜3を覆うように、パッシベーション膜9(図示せず)が形成される。次に、パッシベーション膜9に、フォトリソグラフィによって、パッド開口10,11(図示せず)が形成される。
【0063】
この後、半導体基板16の第2面30にドレイン電極55が形成されることによって、前述の半導体装置A1を得ることができる。
≪半導体装置A1の作用効果≫
まず、半導体装置A1のMISFETの動作について説明する。ドレイン電極55をソース電極膜2よりも高い電位に接続し、ゲート電極28に閾値電圧以上の制御電圧を印加するとボディ領域24(チャネル領域39)に反転層(チャネル)が形成される。これにより、ソース領域25とドリフト領域32との間に電流経路が形成される。ゲート電極28に制御電圧を印加しなければ、反転層が生じないから、ソース-ドレイン間の電流経路が遮断される。
【0064】
本実施形態では、コラム層間ピッチP1とボディ領域間ピッチP2とが異なっている。コラム層間ピッチP1は、MISFETの耐圧特性への影響が大きい。一方、ボディ領域間ピッチP2は、MISFETのオン抵抗特性およびスイッチング特性(ゲート層電荷量Qg)への影響が大きい。
【0065】
なお、ボディ領域間ピッチP2が、スイッチング特性への影響が大きい理由は次の通りである。ボディ領域間ピッチP2によってゲート-ドレイン間容量が変化する。ゲート-ドレイン間容量が変化すると、ミラー容量Qgdが変化し、スイッチング速度が変化する。具体的には、ゲート-ドレイン間容量が小さいほどミラー容量Qgdが小さくなるため、ゲート層電荷量Qgが小さくなり、スイッチング速度が速くなる。
【0066】
本実施形態によれば、コラム層間ピッチP1を調整することにより、主として耐圧特性を調整し、ボディ領域間ピッチP2を調整することによってオン抵抗特性およびスイッチング特性を調整することができる。
[第2実施形態]
図5は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置A2の模式的な断面図であり、図3に対応する断面図である。図5において、図3の各部に対応する部分には図3と同じ符号を付して示す。
【0067】
第2実施形態に係る半導体装置A2において、コラム層間ピッチP1およびボディ領域間ピッチP2は、それぞれ第1実施形態に係る半導体装置A1におけるコラム層間ピッチP1およびボディ領域間ピッチP2と同じである。
【0068】
第2実施形態に係る半導体装置A2では、第1実施形態に係る半導体装置A1のゲート電極28の一部がダミーゲート電極71に置き換えられている。このため、第2実施形態に係る半導体装置A2では、複数のゲート電極28と複数のダミーゲート電極71とを含んでいる。ダミーゲート電極71は、不純物を注入して形成されたポリシリコンからなっていてもよい。
【0069】
各ゲート電極28および各ダミーゲート電極71は、平面視でY方向に長い帯状を有している。この実施形態では、ゲート電極28のX方向の長さ(ゲート電極幅)W7と、ダミーゲート電極71のX方向の長さ(ダミー電極幅)W8は同じである。ゲート電極幅W7およびダミー電極幅W8は、第1実施形態に係る半導体装置Aのゲート電極28の第2部分52の幅W5と同じである。
【0070】
ゲート電極28とダミーゲート電極71とは、X方向に等間隔を空けて交互に並んで配置されている。つまり、Y方向に沿ってゲート電極28が形成された第1列56と、Y方向に沿ってダミーゲート電極71が形成された第2列57とがX方向に等間隔を空けて交互に配置されている。言い換えれば、ゲート電極28およびダミーゲート電極71は、それぞれ、平面視において、X方向に間隔を空けてY方向に延びるストライプ状に形成されている。
【0071】
第1列56は、X方向において1つ置きに、隣接する2つのボディ領域24の間を通っている。第2列57は、X方向に隣り合う2つの第1列56の間領域において、隣接する2つのボディ領域24の間を通っている。したがって、ゲート電極28とダミーゲート電極71とを総称して内部電極28,71ということにし、内部電極28,71のX方向の配置間隔を内部電極間ピッチP3とすると、内部電極間ピッチP3はボディ領域間ピッチP2と等しい。
【0072】
内部電極間ピッチP3は、X方向に隣接する2つの内部電極28,71の幅中心間距離である。具体的には、内部電極間ピッチP3は、X方向に隣接する2つの内部電極28,71のうちの一方の内部電極28の幅中心(X方向の長さ中心)から、他方の内部電極71の幅中心(X方向の長さ中心)までの距離である。内部電極間ピッチP3は、ボディ領域間ピッチP2と等しい。なお、X方向に隣接する2つの内部電極28,71の隙間間隔W9は、第1実施形態に係る半導体装置A1のゲート電極隙間間隔W6と等しい。
【0073】
ゲート電極28とエピタキシャル層22との間には、ゲート絶縁膜27が介在している。ダミーゲート電極71とエピタキシャル層22との間には、絶縁膜72が介在している。絶縁膜72は、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、ハフニウム酸化膜、アルミナ膜、タンタル酸化膜などからなっていてもよい。絶縁膜72は、ゲート絶縁膜27と同じ材料で作成されてもよい。
【0074】
ゲート電極28は、図示しない位置において、ゲート電極膜3に電気的に接続されている。ダミーゲート電極71は、図示しない位置において、ソース電極膜2に電気的に接続されている。
【0075】
第2実施形態において、ゲート絶縁膜27は特許請求の範囲に記載の「第1絶縁膜」の一例であり、絶縁膜72は特許請求の範囲に記載の「第2絶縁膜」の一例である。
【0076】
第2実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、次のような効果を有する。寄生ダイオード38に順方向電圧がかかっているときにはオン状態となり、逆方向電圧がかかっているときはオフ状態となる。寄生ダイオードがターンオフするとき、逆回復現象が生じる。これによって流れる電流が逆回復電流である。キャリヤの移動によって、pn接合から空乏層が延び、寄生ダイオードはオフ状態となる。逆回復電流の変化が大きいときは、逆回復電流が零に収束するまでに振動(リンギング)が生じる場合がある。
【0077】
第2実施形態によれば、ダミーゲート電極71にソース電極膜2が接続されているため、寄生ダイオード38のターンオフ時に、エピタキシャル層22の第1面33のn型のドリフト領域32の正孔の密度が局所的に減少する。これにより、エピタキシャル層22の第1面33において空乏層が延びやすくなり、空乏層の延びのタイミングを早くすることができる。そのため、空乏層をエピタキシャル層22の第1面33から徐々に延ばすことができる。その結果、寄生ダイオード38のターンオフ時には、寄生ダイオード38に流れる逆方向電流の零への戻りを緩やかにすることができるので、寄生ダイオード38の逆回復特性をソフトリカバリ特性に近づけることができる。
【0078】
[第1実施形態および第2実施形態と比較例との比較]
図6は、比較例に係る半導体装置101の断面図であって、図3の断面図に対応する断面図である。図6において、図3の各部に対応する部分には、図3と同じ符号を付して示す。
【0079】
以下において、第1実施形態に係る半導体装置A1を単に第1実施形態といい、第2実施形態に係る半導体装置A2を単に第2実施形態といい、比較例に係る半導体装置101を単に比較例ということにする。
【0080】
比較例は、第1実施形態とほぼ同様な構成を有している。比較例では、ボディ領域間ピッチP2とコラム層間ピッチP1とが等しい点と、ボディ領域幅W2が第1実施形態のボディ領域幅W2よりも大きい点が、第1実施形態と異なっている。
【0081】
比較例では、ボディ領域間ピッチP2とコラム層間ピッチP1とが等しいので、コラム層間ピッチP1に対するボディ領域間ピッチP2の比P2/P1は1である。比較例におけるコラム層間ピッチP1は、第1実施形態のコラム層間ピッチP1と等しい。したがって、比較例のコラム層間ピッチP1およびボディ領域間ピッチP2は、ともに7μmである。なお、前述したように、第1実施形態(第2実施形態)では、ボディ領域間ピッチP2は3.5μmである。
【0082】
比較例のボディ領域幅W2は、第1実施形態のボディ領域幅W2の1.8倍程度である。比較例のコラム層幅W1は、第1実施形態のコラム層幅W1と等しい。
【0083】
この比較例では、コンタクト孔54のX方向の長さ(コンタクト孔幅)W3は1.7μmであり、X方向に隣接する2つのコンタクト孔54の隙間間隔(コンタクト孔隙間間隔)W4は、5.3μmである。
【0084】
第1実施形態、第2実施形態および比較例それぞれについて、コラム層23のp型不純物濃度を変化させた場合の、オン抵抗RonA[Ωmm]およびブレークダウン電圧BVDSS[V]をシミュレーションによって算出した。
【0085】
図7は、オン抵抗RonAのシミュレーション結果を示すグラフである。図7の横軸は、予め設定されたコラム層23のp型不純物濃度の基準値(以下、「不純物濃度基準値」という。)[cm-3]を相対値1とした場合の、不純物濃度相対値を表している。言い換えれば、図7の横軸は、実際の不純物濃度を不純物濃度基準値で除算した値を表している。
【0086】
図7の縦軸は、比較例における不純物濃度基準値に対するオン抵抗[Ωmm](以下、「オン抵抗基準値」という。)を相対値1とした場合のオン抵抗相対値を表している。言い換えれば、図7の縦軸は、実際のオン抵抗をオン抵抗基準値で除算した値を表している。
【0087】
図7の折れ線L1、L2およびL3は、それぞれ第1実施形態、第2実施形態および比較例に対するオン抵抗RonAのシミュレーション結果である。
【0088】
図7から第1実施形態および第2実施形態では、比較例よりもオン抵抗RonAが小さくなっていることがわかる。また、第1実施形態では、第2実施形態よりもオン抵抗RonAが小さくなっていることがわかる。
【0089】
第1実施形態が比較例よりもオン抵抗RonAが小さくなっている理由は、次のように考えることができる。第1実施形態のコラム層間ピッチP1は比較例のコラム層間ピッチP1と同じてあるが、第1実施形態のボディ領域間ピッチP2は比較例のボディ領域間ピッチP2よりも短い。これにより、第1実施形態のチャネル領域39の総面積が比較例のチャネル領域39の総面積よりも大きくなったため、第1実施形態のオン抵抗RonAが比較例のオン抵抗RonAよりも小さくなったと考えられる。より具体的には、第1実施形態では、ボディ領域間ピッチP2がコラム層間ピッチP1の1/2となっているため、チャネル領域39の総面積が比較例の約2倍になったため、オン抵抗RonAが比較例よりも小さくなったと考えられる。
【0090】
第2実施形態においても、ボディ領域間ピッチP2がコラム層間ピッチP1の1/2であるため、見掛け上、チャネル領域39の総面積は、第1実施形態と等しい。しかし、第2実施形態では、第1実施形態におけるゲート電極28の一部がダミーゲート電極71に置き換えられているため、第1実施形態のチャネル領域39の総面積よりも、実質的なチャネル領域の総面積が小さくなるため、オン抵抗RonAが第1実施形態よりも小さくなったと考えられる。
【0091】
なお、第1実施形態では、比較例に比べてゲート-ドレイン間容量が大きくなるので、比較例に比べてスイッチング速度が遅くなる。一方、第2実施形態では、第1実施形態におけるゲート電極28の一部がダミーゲート電極71に置き換えられているともに、平面視においてゲート電極28が格子状ではなくストライプ状に形成されているため、ゲート-ドレイン間容量が第1実施形態および比較例よりも小さくなるので、第1実施形態および比較例に比べてスイッチングが速くなる。
【0092】
図8は、ブレークダウン電圧BVDSSのシミュレーション結果を示すグラフである。図8の横軸は、予め設定されたコラム層23のp型不純物濃度の基準値(不純物濃度基準値)[cm-3]を相対値1とした場合の、不純物濃度相対値を表している。図8の縦軸は、ブレークダウン電圧BVDSS[V]を表している。
【0093】
図8において、曲線R1は、第1実施形態および第2実施形態に対するオブレークダウン電圧BVDSSのシミュレーション結果を示すグラフである。曲線R2は、比較例に対するオブレークダウン電圧BVDSSのシミュレーション結果を示すグラフである。
【0094】
図8から、第1実施形態および第2実施形態に対するオブレークダウン電圧BVDSSは、比較例とさほど変わらないことがわかる。つまり、ボディ領域間ピッチP2をコラム層間ピッチP1よりも小さくしても、耐圧特性への影響度は小さいことがわかる。
【0095】
[第3実施形態]
図9は、本開示の第3実施形態に係る半導体装置A3の模式的な断面図であり、図3に対応する断面図である。図8において、図3の各部に対応する部分には図3と同じ符号を付して示す。
【0096】
第3実施形態に係る半導体装置A3は、第1実施形態とほぼ同様な構成を有している。
【0097】
第3実施形態に係る半導体装置A3では、コラム層23のX方向幅(凸部36のX方向長さ)W1が、ボディ領域24のX方向幅W2よりも大きい点が、第1実施形態と異なっている。第3実施形態に係る半導体装置A3では、コラム層23のX方向幅W1は、例えば、2μm~2.5μm程度である。
【0098】
なお、図9のP1、P2、W3、W4、W5およびW6の長さは、それぞれ、図3のP1、P2、W3、W4、W5およびW6の長さと等しい。
【0099】
[第4実施形態]
図10は、本開示の第4実施形態に係る半導体装置A4の模式的な断面図であり、図3に対応する断面図である。図10において、図3の各部に対応する部分には図3と同じ符号を付して示す。
【0100】
第4実施形態に係る半導体装置A4は、第1実施形態とほぼ同様な構成を有している。
【0101】
第4実施形態に係る半導体装置A4では、ボディ領域間ピッチP2のコラム層間ピッチP1に対する比P2/P1が、第1実施形態に係る半導体装置A1と異なっている。
【0102】
図10の例では、コラム層間ピッチP1に対するボディ領域間ピッチP2の比P2/P1が、2/3である。図10の例では、コラム層間ピッチP1が5.25μmであり、ボディ領域間ピッチP2が3.5μmである。
【0103】
なお、図10のW1、W2、W3、W4、W5およびW6の長さは、それぞれ、図3のW1、W2、W3、W4、W5およびW6の長さと等しい。
【0104】
[第5実施形態]
図11は、本開示の第5実施形態に係る半導体装置A5の模式的な断面図であり、図3に対応する断面図である。図11において、図3の各部に対応する部分には図3と同じ符号を付して示す。
【0105】
第5実施形態に係る半導体装置A5は、第1実施形態とほぼ同様な構成を有している。
【0106】
第5実施形態に係る半導体装置A5では、ボディ領域間ピッチP2がコラム層間ピッチP1よりも大きい点が、第1実施形態に係る半導体装置A1と異なっている。図11の例では、コラム層間ピッチP1が4.2μmであり、ボディ領域間ピッチP2が7μmである。
【0107】
なお、第5実施形態に係る半導体装置A5では、ボディ領域幅W2はコラム層幅W1よりも大きいが、ボディ領域幅W2はコラム層幅W1よりも小さくてもよいし、ボディ領域幅W2はコラム層幅W1と等しくてもよい。
【0108】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は他の形態で実施することもできる。
【0109】
たとえば、半導体装置A1~A5の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置A1~A5において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
【0110】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本開示の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本開示はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本開示の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【0111】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0112】
[付記1-1]
第1面(33)およびその反対側の第2面(34)を有する第1導電型の半導体層(22)と、
前記半導体層(22)の前記第1面(33)に一方向に等間隔を空けて形成された複数の素子構造(41)と、
前記半導体層内に形成されたスーパージャンクション構造(42)とを含み、
前記素子構造(41)が、前記半導体層(22)の前記第1面(33)に形成された第2導電型のボディ領域(24)と、前記ボディ領域(24)の表面部に形成された第1導電型の第1領域(25)とを含み、
前記スーパージャンクション構造(42)が、前記半導体層内に前記一方向に等間隔を空けて形成され、前記半導体層(22)の厚さ方向に延びる複数の第2導電型のコラム層(23)を含み、
前記ボディ領域(24)の前記一方向の配置間隔であるボディ領域間ピッチ(P2)と、前記コラム層(23)の前記一方向の配置間隔であるコラム層間ピッチ(P1)とが異なる、半導体装置。
【0113】
[付記1-2]
前記ボディ領域間ピッチ(P2)が、前記コラム層間ピッチ(P1)よりも短い、[付記1-1]に記載の半導体装置。
【0114】
[付記1-3]
前記ボディ領域間ピッチ(P2)が、前記コラム層間ピッチ(P1)よりも長い、[付記1-1]に記載の半導体装置。
【0115】
[付記1-4]
前記複数のコラム層(23)は、前記ボディ領域(24)の下方に当該ボディ領域(24)と接するように配置されているコラム層(23)を含む、[付記1-1]~[付記1-3]のいずれかに記載の半導体装置。
【0116】
[付記1-5]
前記コラム層(23)の前記一方向の長さであるコラム層幅(W1)と、前記ボディ領域(24)の前記一方向の長さであるボディ領域幅(W2)が異なる、[付記1-1]~[付記1-4]のいずれかに記載の半導体装置。
【0117】
[付記1-6]
前記コラム層幅(W1)が、前記ボディ領域幅(W2)よりも小さい、[付記1-5]に記載の半導体装置。
【0118】
[付記1-7]
前記コラム層幅(W1)が、前記ボディ領域幅(W2)よりも大きい、[付記1-5]に記載の半導体装置。
【0119】
[付記1-8]
前記半導体層(22)の前記第1面(33)上に配置され、前記第1領域(25)および前記ボディ領域(24)に電気的に接続された第1電極(2)を含む、[付記1-1]~[付記1-7]のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0120】
[付記1-9]
前記半導体層(22)の前記第1面(33)に形成され、前記一方向に隣接する2つの前記ボディ領域(24)に跨るように配置されたゲート絶縁膜(27)と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極(28)とを含む、[付記1-1]~[付記1-8]のいずれかに記載の半導体装置。
【0121】
[付記1-10]
前記ゲート電極(28)は、平面視において、前記一方向に延びる第1部分(51)と、前記一方向に直交する方向に延びる第2部分(52)と、前記第1部分と前記第2部分とが交差する交差部(53)とを含む、[付記1-9]に記載の半導体装置。
【0122】
[付記1-11]
前記半導体層(22)の前記第1面(33)に形成され、前記一方向に隣接する2つの前記ボディ領域(24)に跨るように配置された絶縁膜(27,72)を含み、
前記絶縁膜(27,72)は、前記一方向に前記ボディ領域(24)を挟んで交互に形成された第1絶縁膜(27)と第2絶縁膜(72)とを含み、
前記第1絶縁膜上にゲート電極(28)が形成されており、
前記第2絶縁膜上に前記第1電極(2)に電気的に接続されたダミーゲート電極(71)が形成されている、[付記1-1]~[付記1-8]のいずれかに記載の半導体装置。
【0123】
[付記1-12]
前記ゲート電極(28)は、平面視において、前記一方向に直交する方向に延びる帯状であり、
ダミーゲート電極(71)は、平面視において、前記一方向に直交する方向に延びる帯状である、[付記1-11]に記載の半導体装置。
【0124】
[付記1-13]
前記コラム層(23)は、前記半導体層(22)の厚さ方向において凸部(36)および凹部(37)を複数回繰り返すことによって形成された凹凸側面(35)を有する、[付記1-1]~[付記1-12]のいずれかに記載の半導体装置。
【0125】
[付記1-14]
前記素子構造(41)は、プレーナゲート構造を含む、[付記1-1]~[付記1-13]のいずれかに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0126】
A1~A5 半導体装置
1 電極膜
2 ソース電極膜
3 ゲート電極膜
4 アクティブ領域
5 凹部
6 外周領域
7 パッド部
8 フィンガー部
9 パッシベーション膜
10 第1パッド開口
11 第2パッド開口
12 ソースパッド
13 ゲートパッド
21 半導体基板
22 エピタキシャル層
23 コラム層
24 ボディ領域
25 ソース領域
26 ボディコンタクト領域
27 ゲート絶縁膜
28 ゲート電極
29 層間絶縁膜
30 第1面
31 第2面
32 ドリフト領域
33 第1面
34 第2面
35 コラム層の側面
36 凸部
37 凹部
38 寄生ダイオード
39 チャネル領域
41 素子構造
42 スーパージャンクション構造
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11