(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079339
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】包装袋及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192224
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】矢島 佐保
(72)【発明者】
【氏名】古田 薫
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BB12
3E013BB13
3E013BC04
3E013BC06
3E013BC14
3E013BD11
3E013BD12
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF26
3E013BF36
3E013BF62
(57)【要約】
【課題】電子レンジで加熱したときに通蒸口を高い精度で想定どおりに形成することが可能な包装袋を提供する。
【解決手段】シーラント層と一つ又は複数の接着剤層と基材層とを含む積層体10a,10bで構成され、電子レンジで加熱される包装袋100であって、対向配置されたシーラント層同士がヒートシールされて形成されるシール部30と、積層体10a,10bに取り囲まれ、収容物を収容可能に構成される収容部22と、を備え、シール部30は、収容部22の圧力が上昇したときに通蒸口を形成する蒸気抜き部50を含み、少なくとも一つの接着剤層のナノインデンテーション硬さの平均値が0.95MPa以上である、包装袋100を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント層と一つ又は複数の接着剤層と基材層とを含む積層体で構成され、電子レンジで加熱される包装袋であって、
対向配置された前記シーラント層同士がヒートシールされて形成されるシール部と、
前記積層体に取り囲まれ、収容物を収容可能に構成される収容部と、を備え、
前記シール部は、前記収容部の圧力が上昇したときに通蒸口を形成する蒸気抜き部を含み、
少なくとも一つの前記接着剤層のナノインデンテーション硬さの平均値が0.95MPa以上である、包装袋。
【請求項2】
ナノインデンテーション法によって測定される、少なくとも一つの前記接着剤層の応力緩和度の平均値が0.54以上0.80以下である、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記接着剤層はウレタン接着剤の硬化物を含む、請求項1に記載の包装袋。
【請求項4】
前記積層体は、前記シーラント層と前記基材層との間にナイロンフィルムを含み、
前記シーラント層と前記ナイロンフィルムとを接着する前記接着剤層のナノインデンテーション硬さの平均値が0.95MPa以上である、請求項1に記載の包装袋。
【請求項5】
前記基材層は、最外層となる樹脂層と前記樹脂層よりも前記接着剤層寄りにバリア層とを有する、請求項1に記載の包装袋。
【請求項6】
前記バリア層が、アルミナ蒸着層及びシリカ蒸着層からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項5に記載の包装袋。
【請求項7】
レトルト処理後の前記ナノインデンテーション硬さの平均値が0.95MPa以上である、請求項1に記載の包装袋。
【請求項8】
電子レンジで加熱される包装体であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載の包装袋と、当該包装袋の前記収容部に収容される収容物と、を備える、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装袋及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食料品等を収容して密封保存し、開封前に電子レンジで加熱する包装袋が知られている。特許文献1に記載の電子レンジ用パウチは、内容物を加熱した際に生じる蒸気を逃がすための構造を有する。具体的には、電子レンジ用パウチにおける側部シール部が収容空間側に張り出した張出部分を有する。内容物が加熱され蒸気が発生すると、張出部分のシールが剥離される。これにより、内容物を収容している収容部と外部とが繋がり、蒸気が収容部から外部に排出される。
【0003】
このような電子レンジ用パウチを構成するフィルムとして、基材層及びシーラント層を含む積層体を用いることが知られている。特許文献1には、基材層の材料としてポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子レンジによる加熱に伴う包装体の収容部の圧力及び温度の上昇具合は、加熱の条件及び収容物の種類等、種々の要因によって変化する。このため、蒸気抜き部の構造を調整しても、想定どおりに通蒸口が形成されない場合がある。そこで、本開示は、電子レンジで加熱したときに通蒸口を高い精度で想定どおりに形成することが可能な包装袋、及びそのような包装袋を備える包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面は、シーラント層と一つ又は複数の接着剤層と基材層とを含む積層体で構成され、電子レンジで加熱される包装袋であって、対向配置された前記シーラント層同士がヒートシールされて形成されるシール部と、前記積層体に取り囲まれ、収容物を収容可能に構成される収容部と、を備え、前記シール部は、前記収容部の圧力が上昇したときに通蒸口を形成する蒸気抜き部を含み、少なくとも一つの前記接着剤層のナノインデンテーション硬さの平均値が0.95MPa以上である、包装袋を提供する。
【0007】
電子レンジで加熱される包装袋を構成する積層体とシール部には、収容部の圧力の上昇に伴って引張応力が生じる。ここで、接着剤層が柔らかいと、接着剤層によって接着される層同士が十分に固定されず、引張応力が想定した位置に十分にかからずに他の位置に分散したり、引張応力が想定していた箇所とは異なる位置に生じたりする。これに対し、上記包装袋を構成する積層体に含まれる接着剤層のナノインデンテーション硬さの平均値は0.95MPa以上になっている。このように接着剤層のナノインデンテーション硬さが大きいため、収容部の圧力が上昇しても、接着剤層によって接着される層同士を強固に固定することができる。したがって、包装袋の内圧が上昇したときに引張応力がかかる位置が想定からずれにくくなり、電子レンジで加熱したときに通蒸口を高い精度で想定どおりに形成することができる。
【0008】
本開示の一側面は、電子レンジで加熱される包装体であって、上述の包装袋と、当該包装袋の収容部に収容される収容物と、を備える、包装体を提供する。
【0009】
上記包装体は、上述の包装袋を備えることから、包装袋の内圧が上昇したときに引張応力がかかる位置が想定からずれにくくなり、電子レンジで加熱したときに通蒸口を高い精度で想定どおりに形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
電子レンジで加熱したときに、通蒸口を高い精度で想定どおりに形成することが可能な包装袋、及びそのような包装袋を備える包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1の包装袋及び包装体の作製に用いられる包装袋の図である。
【
図3】包装袋に備えられる積層体の積層方向(厚さ方向)に沿う断面図である。
【
図4】ナノインデンテーション硬さを測定する際に測定試料の作製方法を説明するための断面図である。
【
図5】包装袋に備えられる積層体の積層方向(厚さ方向)に沿う断面図である。
【
図6】実施例で用いた斜め切削装置による切削深さと荷重の推移を示すグラフである。
【
図7】実施例で測定したナノインデンテーション法による測定カーブである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す符号の向きを基準とする位置関係に基づくものとする。各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0013】
一実施形態に係る包装袋は、一つ又は複数の積層体で構成され、収容部を有する電子レンジによる加熱用の包装袋である。一実施形態に係る包装体は、包装袋と、当該包装袋の収容部に収容される収容物と、を備える。包装袋及び包装体の例は以下のとおりである。
【0014】
図1の包装体200は、包装袋100と包装袋100の収容部22に収容された収容物20とを備える。包装袋100は、側面をなす2つの積層体10a,10bと、底面をなす積層体10c(ガゼットシート)とで構成される。包装袋100は、上端部に上端シール部31(シール部30)と、両方の側端部に側端シール部33,34(シール部30)と、下端部に下端シール部35,36(シール部30)とを有する。上端シール部31及び側端シール部33,34は、積層体10a,10bの端部のシーラント層15同士を重ね合わせてヒートシールして形成される。
【0015】
下端シール部35(ガゼットシール部)は、積層体10a,積層体10cの端部のシーラント層15同士を重ね合わせてヒートシールして形成される。下端シール部36(ガゼットシール部)は、積層体10b,10cの端部のシーラント層15同士を重ね合わせてヒートシールして形成される。積層体10a,10b,10cの構造は、
図3に示すとおりであってよい。
【0016】
積層体10a,10b,10cのシーラント層15同士は、上端シール部31、側端シール部33,34及び下端シール部35,36においてヒートシールされている。すなわち、
図1にドットで示している部分はヒートシールによって形成されたシール部を示している。これらのシール部以外の部分においては、積層体10a,10b,10cは、ヒートシールされていない(非シール部)。包装袋100を構成する積層体10a,10b,10cは、各シール部がシールされることによって、収容物20を収容する内部空間(収容部22)を形成する。このように収容部22は、積層体10a,10b,10cに取り囲まれている。
【0017】
包装体200は、
図2に示す包装袋101を用いて製造してもよい。包装袋101は、積層体10a(10b)の上端部31aがヒートシールされていない。上端部31aをヒートシールする前に、上端部31aで形成される開口部から収容物20を入れて、その後、積層体10a(10b)の上端部31aをヒートシールする。このようにして、上端シール部31を形成すれば、
図1に示す、包装袋100、及び収容物20が包装袋100の収容部22に密封された包装体200を得ることができる。
【0018】
包装袋100の側端シール部33,34には、一対のノッチ41,41が設けられている。一対のノッチ41,41を結ぶように図示しない切り取り予定線が設けられていてもよい。エンドユーザーは、包装体200を電子レンジで加熱した後、一方のノッチ41から切り取り予定線に沿って包装体200を開封し、温められた収容物20を取り出すことができる。
【0019】
収容物20は特に限定されず、水分のみならず油脂を含んでいてもよい。油脂を含む場合、局所的に高温になる場合がある。包装体200は、電子レンジで加熱されたときに高温になっても、通蒸口を高い精度で想定どおりに形成することができる。このため、積層体10a,10b,10cの層間はく離及び破袋による漏れの発生を十分に抑制することができる。収容物20の一例は、カレー、シチュー、スープ、煮物、焼物等の食品が挙げられる。ただし、収容物20はこれらに限定されない。
【0020】
側端シール部34は、包装袋100の収容部22の圧力が上昇したときに、収容部22と包装袋100の外部とを連通する通蒸口を形成可能に構成される蒸気抜き部50を含む。蒸気抜き部50は、包装袋100の中心Cに向かって突出している。収容部22の収容物20が電子レンジによって加熱されて蒸気が発生すると、収容部22が膨らむ。膨張に伴って、上端シール部31、側端シール部33,34及び下端シール部35,36に加わる力は、中心Cとの距離が短いほど大きくなる。このため、中心Cに向かって突出している蒸気抜き部50には、収容物20の加熱に伴って大きな引張応力がかかる。したがって、収容部22の圧力が所定値以上になると、蒸気抜き部50において側端シール部34が内縁からはく離して、収容部22と包装袋100(包装体200)の外部とが連通する。このようにして蒸気抜き部50に形成された通蒸口(蒸気抜き口)から蒸気が外部に抜ける。このように蒸気抜き部50は、収容部22の圧力が上昇したときに通蒸口を形成して、包装袋100(包装体200)が破袋することを防止する機能を有する。
【0021】
蒸気抜き部50では、側端シール部34の外側に非シール部53が設けられている。これによって、蒸気抜き部50における側端シール部34のシール幅は、蒸気抜き部50以外の側端シール部34のシール幅よりも小さくなっている。このため、収容部22内の圧力が上昇したときに、収容部22と外部とを連通する通蒸口(蒸気抜き口)が蒸気抜き部50に円滑に形成される。収容部22から外部への蒸気抜き(排気)を十分円滑にするために、非シール部53には、積層体10a,10bの積層方向に貫通する貫通孔が設けられていてもよい。
【0022】
蒸気抜き部50における側端シール部34のシール幅の最小値は1~5mmであってよく、2~4mmであってもよい。これによって、良好な密封性を維持しつつ、電子レンジによる加熱時の蒸気抜きを円滑に行うことができる。蒸気抜き部50の形状及び位置は特に限定されない。変形例では、上端シール部31又は側端シール部33に蒸気抜き部50を設けてもよい。いずれの形状及び位置であっても、蒸気抜き部50におけるシール幅の最小値は上述の数値範囲であってよい。蒸気抜き部50は複数設けられてもよい。
【0023】
包装袋100(包装体200)は、100℃を超える熱水スプレー中で10分間以上加熱するレトルト処理が施されていてもよい。
【0024】
積層体10a,10b,10cは、例えば、
図3に示すような断面構造を有してよい。
図3の積層体は、包装袋100の外側から、基材層11、インク層13、接着剤層14、及びシーラント層15をこの順に有する。
図3の積層体の表面10Bが収容部22を形成し、表面10Aが外部に露出する。
【0025】
基材層11は、例えば、アルミニウム箔等の金属箔、及び、樹脂フィルムの一方又は双方を備えていてよい。樹脂フィルムとしては、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン等の配向ポリアミド(OPA)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、直鎖低密度ポリエチエレン(LLDPE)、及び低密度ポリエチレン(LDPE)のフィルムが挙げられる。
【0026】
基材層11(基材フィルム)は、例えば、PETフィルム等の樹脂層の上にバリア層(蒸着層)が形成された蒸着フィルム(透明蒸着フィルム)であってよい。バリア層としては、金属箔、金属(例えばアルミニウム)又は金属酸化物(例えば、シリカ又はアルミナ)の蒸着層等が挙げられる。基材層11の厚みは7~150μmであってよく、10~100μmであってよく、12~80μmであってもよい。透明蒸着フィルムの具体例としては、透明蒸着層がPETフィルム上に形成された透明蒸着PETフィルムが挙げられる。透明蒸着層としては、アルミナ蒸着層及びシリカ蒸着層が挙げられる。基材層11は、バリアナイロンフィルムであってもよい。
【0027】
インク層13は、グラビア印刷等によって印刷されたものであってよく、例えば、バインダーと顔料を含んでいてもよい。また、インク層13は静電インク層であってもよい。この場合、基材層11とインク層13の間に樹脂を含むプライマー層を設けてもよい。プライマー層に含まれる樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル、ポリアミン、ポリエチレンイミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルポリマーヒドロキシル含有樹脂、カルボキシル基含有樹脂、及びアミン系ポリマー等が挙げられる。プライマー層を有することによって、デジタル印刷機を用いた静電インク組成物の印刷を円滑に行うことができる。
【0028】
接着剤層14は、接着剤組成物を硬化して得られる硬化物を含んでいてよい。接着剤組成物としてはウレタン接着剤が挙げられる。ウレタン接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートを含有する。接着剤層14は、これらが硬化して得られるポリウレタンを含んでいてよい。また、接着剤組成物の未硬化物を含んでいてもよい。
【0029】
ポリオールは、例えば、数平均分子量400以上であり、一分子中に2つ以上の水酸基を有する。ポリイソシアネートは、一分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する。ポリオール及びポリイソシアネートは、それぞれ、主剤及び硬化剤として反応してポリウレタンを生成してよい。ポリオールは、数平均分子量は、例えば、10000以下であってよい。
【0030】
ポリオールは、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一つを含有してよい。このうち、高温環境下における接着剤層14の接着強さを十分に高くする観点から、ポリオールは、ポリエステルポリオールを含んでよく、脂肪族ポリエステルポリオールを含んでもよい。
【0031】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと、多塩基酸、そのアルキルエステル、その酸無水物、又は、その酸ハライドとの縮合反応、或いはエステル交換反応により得られる。多価アルコールとしては、低分子量ジオール、低分子量トリオール、水酸基を4つ以上有する低分子量ポリオール等が挙げられる。
【0032】
低分子量ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0033】
低分子量トリオールとしては、例えば、グリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ペンタン、及び、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-3-ブタノール等が挙げられる。
【0034】
水酸基を4つ以上有する低分子量ポリオールとしては、例えば、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、D-ソルビトール、キシリトール、D-マンニトール、及びD-マンニット等が挙げられる。
【0035】
多塩基酸のアルキルエステルとしては、多塩基酸のメチルエステル、エチルエステルなどが挙げられる。酸無水物としては、多塩基酸から誘導される酸無水物が挙げられる。例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2-アルキル(炭素数12~18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、及び無水トリメリット酸等が挙げられる。
【0036】
酸ハライドとしては、上記した多塩基酸から誘導される酸ハライドが挙げられる。例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0037】
ポリエーテルポリオールは、ポリアルキレンオキサイドであってよい。例えば、低分子量ポリオールを開始剤として、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加反応させることによって得られるものであってよい。具体例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダム又はブロック共重合体)が挙げられる。また、例えば、テトラヒドロフランの開環重合などによって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
【0038】
ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体、及びイソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。接着剤組成物は、互いに異なる複数種類のポリイソシアネートを含んでいてもよい。ポリオールの水酸基に対する、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.5~10であってよく、0.8~8.4であってもよい。このような接着剤組成物は、高い接着強さを有しつつ柔軟性に優れる硬化物を形成することができる。
【0039】
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0040】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート)、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び、2,6-ジイソシアネートメチルカプエート等が挙げられる。
【0041】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート誘導体が挙げられる。キシリレンジイソシアネート誘導体としては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3-キシリレンジイソシアネート、又は、1,4-キシリレンジイソシアネート)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、又は、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート)(TMXDI)、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、及び、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応により得られるキシリレンジイソシアネートのポリオール変性体等が挙げられる。
【0042】
ポリイソシアネート全体に対するキシリレンジイソシアネート誘導体の含有量は、主剤(例えば、ポリオール)との反応性向上の観点から、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってよく、30質量%以上であってよく、40質量%以上であってもよい。30質量%以上とすることで、反応性を一層高くすることができる。
【0043】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート)、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)(IPDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート)、及び、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等が挙げられる。
【0044】
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の多量体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、単量体とアルコール類との反応より生成するポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
【0045】
イソシアネート基末端プレポリマーは、少なくとも2つのイソシアネート基を分子末端に有するウレタンプレポリマーである。ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体及びイソシアネート基末端プレポリマーからなる群より選ばれる少なくとも一種と、ポリオールとを、ウレタン化反応させて得ることができる。このとき、ポリオールの水酸基に対する、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.5以上、0.6以上、0.8以上、1以上又は1.5以上であってよい。上記モル比(NCO/OH)は、10以下、5以下、4以下、又は、3以下であってもよい。モル比(NCO/OH)の数値範囲の例として、0.5~10、0.5~5、0.8~4、及び0.6~3が挙げられる。
【0046】
接着剤組成物において、ポリオール100質量部に対するポリイソシアネートの含有量は、接着剤層におけるはく離接着強さを十分に高く維持する観点から、10~50質量部であってよく、15~35質量部であってよく、20~30質量部であってもよい。
【0047】
接着剤層14は、上述の成分の他に、添加剤等の任意成分を含有してよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、触媒、塗工性改良剤、レベリング剤、核剤、滑剤、離型剤、消泡剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、染料、有機微粒子、無機微粒子、防黴剤、及び難燃剤等が挙げられる。
【0048】
接着剤層14の厚みは、1~12μmであってよく、1.5~8μmであってもよい。接着剤層14の厚みが上記下限値以上であることによって、収容部22の圧力が上昇して高温の水蒸気に接しても、積層体10a,10b,10cの層間はく離を十分に抑制することができる。接着剤層14の厚みが上記上限値以下であることによって、包装袋100の製造コストを低減するとともに、包装袋100の生産性を高くすることができる。
【0049】
シーラント層15としては、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPEフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム等が挙げられる。ポリブチレンテレフタレートを用いることによって耐熱性を一層向上することができる。シーラント層15の厚みは10~150μmであってよく、20~100μmであってよく、30~80μmであってもよい。
【0050】
接着剤層14のナノインデンテーション硬さの平均値は、0.95MPa以上である。当該ナノインデンテーション硬さの平均値は、好ましくは1.2MPa以上であり、より好ましくは1.5MPa以上であり、さらに好ましくは1.9MPa以上である。ナノインデンテーション硬さが十分に大きければ、接着剤層14で接着されるインク層13とシーラント層15とが一層強固に固定されることとなり、電子レンジによる加熱条件が過酷になっても、蒸気抜き部50に想定どおりの通蒸口を形成することができる。これによって、積層体10a,10b,10cの層間はく離の発生、蒸気抜き部50以外のシール部(側端シール部33,34、上端シール部31、下端シール部35,36)におけるシール後退の発生、及び、包装体200の破袋を十分に抑制することができる。
【0051】
接着剤層14のナノインデンテーション硬さの平均値は、4.0MPa以下であってよく、3.0MPa以下であってよく、2.5MPa以下であってもよい。これによって、常温における剛性が大きくなることを抑制し、包装袋100及び包装体200の落下強度を十分に高く維持することができる。
【0052】
接着剤層14のナノインデンテーション硬さは、シーラント層15を切削することによって接着剤層14を露出して測定することができる。接着層の露出面を得る手順は実施例に記載したとおりであってよい。シーラント層15を切削して得られる露出面が接着剤層14であるかどうかは、接着剤層14は、シーラント層15及び他の樹脂フィルム層等の隣接層よりも、ナノインデンテーション硬さが一桁以上小さいため、容易に確認することができる。
【0053】
ナノインデンテーション法によって測定される接着剤層14の応力緩和度の平均値は、0.54以上0.80以下であってよい。応力緩和度は、一定の歪に対して、応力が変化する度合いを示したパラメータである。応力緩和度が小さくなり過ぎると通蒸する際にシーラント層15の変形に接着剤層14が追従できず、三角剥離(接着剤層14とシーラント層15とは反対側の層との間での剥離)及び閉塞が生じやすくなる傾向にある。このため接着剤層14の応力緩和度の平均値は、0.60以上であってよく、0.65以上であってもよい。応力緩和度は、実施例に記載した手順で求めることができる。
【0054】
ナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度は、ナノインデンテーション法によって測定される。ナノインデンテーション法は、測定試料に対して準静的な押し込み試験を行い、測定試料の機械特性を取得する測定法である。測定装置としては、ブルカージャパン株式会社製のHysitron TI-Premier(商品名)を用いることができる。圧子は、ブルカージャパン株式会社製のバーコビッチ型ダイヤモンド圧子を用いることができる。測定条件及び測定位置の詳細は、実施例に記載のとおりである。
【0055】
ナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度の平均値は、次のようにして求められる。接着剤層14であることが確定された露出面62(
図4)において任意に選択した30箇所以上の測定位置においてナノインデンテーション硬さを測定する。最大値と最小値を除く測定値の算術平均を求める。このようにしてナノインデンテーション硬さの平均値が求められる。ナノインデンテーション硬さを測定する際に得られたナノインデンテーション法による測定カーブに基づいて30箇所以上の応力緩和度が得られる。これらの算術平均値が応力緩和度の平均値である。
【0056】
接着剤層14のナノインデンテーション硬さは、主剤と硬化剤の比率を変えて調製してもよい。また、主剤としてポリオールを用いる場合、ポリオールの数平均分子量が大きくなると末端OH基の数が増加する。そこで、モル比(NCO/OH)が一定になるように硬化剤の量を増やすと、ナノインデンテーション硬さを高くすることができる。接着剤層14のナノインデンテーション硬さは、硬化剤の種類を変えることで調整してもよい。例えば、IPDIとXDIとを比べると、IPDIを用いた方がナノインデンテーション硬さを高くすることができる。その理由としては不飽和及び飽和に関わらず、イソシアネート基が環状構造に部分的に直接結合しているイソシアネートの方が、環状構造に直接結合していないイソシアネートよりも立体構造上動きにくく、より強固な構造を形成するためである。硬化剤に多官能モノマー又はポリマーを添加すると、ナノインデンテーション硬さを高くすることができる。包装体200のレトルト処理の条件(温度、時間等)を変えて接着剤層14のナノインデンテーション硬さを調整してもよい。なお、接着剤層14の応力緩和度は、主剤の数平均分子量を小さくすることで、応力緩和度を大きくすることができる。
【0057】
包装袋100に用いられる積層体は
図3のものに限定されず、
図5に示すように、積層体10a,10b,10cは複数の接着剤層を有していてよい。
図5の積層体は、包装袋100の外側から、基材層11、インク層13、第1接着剤層14a、樹脂層16、第2接着剤層14b、及びシーラント層15をこの順に有する。すなわち、2つの接着剤層を有するとともに、その間に樹脂層16を有する点で、
図3の積層体と異なっている。
図5の積層体における基材層11、インク層13及びシーラント層15の構成は
図3の積層体と同じであってよい。
【0058】
第1接着剤層14a及び第2接着剤層14bは、
図3の接着剤層14と同様の成分を含有し、同等の厚みを有していてよい。ただし、第1接着剤層14aと第2接着剤層14bは、組成及び/又は厚みの点で、互いに同じであってもよいし互いに異なっていてもよい。第2接着剤層14bは、第1接着剤層14aよりも、収容部22寄りに配置される。このように最も収容部22寄りに配置される第2接着剤層14bが、
図3の接着剤層14と同等のナノインデンテーション硬さの平均値及び応力緩和度の平均値を有することが好ましい。これは、電子レンジで加熱する際に第1接着剤層14aよりも収容部22寄りに配置される第2接着剤層14bの方が、温度が高く且つ蒸気に曝されやすいためである。
【0059】
第2接着剤層14bのナノインデンテーション硬さの平均値は、0.95MPa以上であり、好ましくは1.2MPa以上であり、より好ましくは1.5MPa以上であり、さらに好ましくは1.9MPa以上である。これによって、電子レンジによる加熱条件が過酷になっても、蒸気抜き部50に想定どおりの通蒸口を形成することができる。また、第2接着剤層14bのナノインデンテーション硬さの平均値は、4.0MPa以下であってよく、3.0MPa以下であってよく、2.5MPa以下であってもよい。ナノインデンテーション法によって測定される第2接着剤層14bの応力緩和度の平均値は、0.54以上0.80以下であってよい。これによって、通蒸する際にシーラント層15の変形に接着剤層14が十分に追従して円滑に通蒸することができる。
【0060】
第1接着剤層14aのナノインデンテーション硬さの平均値及び応力緩和度の平均値の範囲は、第2接着剤層14bと同じであってよい。これによって、例えば、電子レンジ庫内の温度が高くなっても、一層高い確実性で蒸気抜き部50に想定どおりの通蒸口を形成することができる。
【0061】
第2接着剤層14b及び第1接着剤層14aのナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度は、接着剤層14と同様にして測定することができる。すなわち、第2接着剤層14bのナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度を測定する際は、斜め切削装置の切刃60でシーラント層15を切削して第2接着剤層14bを露出させる。その後、隣接層との硬さの差から第2接着剤層14bであることが確定された露出面においてナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度を測定する。第1接着剤層14aのナノインデンテーション硬さは、斜め切削装置の切刃60でシーラント層15、第2接着剤層14b、及び樹脂層16を切削して第1接着剤層14aを露出させる。その後、隣接層との硬さの差から第1接着剤層14aであることが確定された露出面においてナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度を測定する。ナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度の平均値も、接着剤層14の場合と同様にして求められる。ナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度の測定の手順は、接着剤層14の場合と同様である。
【0062】
樹脂層16としては、例えば、ナイロンフィルム等のポリアミドフィルム、及びPETフィルム等のポリエステルフィルムが挙げられる。包装袋100を構成する積層体は、
図3及び
図5の積層構造に限定されず、任意の樹脂層及び接着剤層を有していてよい。この場合、最も収容部22寄りに設けられる接着剤層のナノインデンテーション硬さの平均値が上述の範囲にあればよい。
【0063】
図3のように、接着剤層が一つの積層体の例としては以下のものが挙げられる。
【0064】
例1)PETフィルム/インク層/接着剤層/LLDPEフィルム(直鎖状低密度ポリエチレンフィルム)
例2)ナイロンフィルム/インク層/接着剤層/LLDPEフィルム
例3)透明蒸着PETフィルム/インク層/接着剤層/CPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム)
例4)バリアナイロンフィルム/インク層/接着剤層/CPPフィルム
【0065】
図5のように、接着剤層が2つの積層体の例としては以下のものが挙げられる。以下の例5の積層体はナイロンフィルムを有することから落下強度に優れる。例6の積層体は引き裂き性に優れる。また、例5のように中間層としてナイロンフィルムを有するものに比べて耐熱性に優れる。
【0066】
例5)透明蒸着PETフィルム/インク層/第1接着剤層/ナイロンフィルム/第2接着剤層/CPPフィルム
例6)透明蒸着PETフィルム/インク層/第1接着剤層/PETフィルム/第2接着剤層/CPPフィルム
【0067】
積層体の積層構造は上述の例に限定されない。例えば、3つ以上の接着剤層を有していてもよい。そのような積層構造の例としては以下のものが挙げられる。
【0068】
例7)透明蒸着PETフィルム/インク層/第1接着剤層/PETフィルム/第2接着剤層/ナイロンフィルム/第3接着剤層/CPPフィルム
例8)透明蒸着PETフィルム/インク層/第1接着剤層/ナイロンフィルム/第2接着剤層/PETフィルム/第3接着剤層/CPPフィルム
例9)透明蒸着PETフィルム/インク層/第1接着剤層/PETフィルム/第2接着剤層/PETフィルム/第3接着剤層/CPPフィルム
例10)透明蒸着PETフィルム/インク層/第1接着剤層/PETフィルム/第2接着剤層/ナイロンフィルム/第3接着剤層/CPPフィルム
【0069】
例9のように、シーラント層以外の樹脂層の全てがPETフィルムであれば、さらに耐熱性を向上することができる。一方、例7,8のようにナイロンフィルムを有する場合には落下強度を高くすることができる。特に例7のように、第3接着剤層を介してシーラント層(CPPフィルム)と接着される樹脂層がナイロンフィルムであれば、包装袋及び包装体を構成したときの落下強度をさらに向上することができる。すなわち、包装袋(包装体)を落下したときに破損し難くすることができる。なお、ナイロンフィルムの有無に関わらず、樹脂層の数が多い方が落下強度を高くすることができる。
【0070】
上述の例1~例10の各例示において、左端が基材層、右端がシーラント層であり、左から右に向かって順番に各層が積層されている。シーラント層寄りの接着剤層(第2接着剤層、第3接着剤層)のナノインデンテーション硬さの範囲が上述の範囲にあることによって、蒸気抜き部50に想定どおりの通蒸口を形成することができる。なお、その他の接着剤層のナノインデンテーション硬さの範囲も上述の範囲にあることが好ましい。第1接着剤層、第2接着剤層及び第3接着剤層の成分及び/又は厚みは、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。いずれの例においても、インク層はなくてもよい。また、インク層が静電インク層である場合、基材層とインク層との間にプライマー層を有していてよい。
【0071】
包装袋100の形状も特に限定されず、蒸気抜き部を有する電子レンジ加熱用であればよい。包装袋は、スタンディングパウチに限定されず、例えば、二方袋、三方袋又は合掌袋であってよい。例えば、
図3、
図5又は上記各例の積層体をシーラント層15(表面10B)同士が向かい合うように半分に折り、側端部と上端部とをヒートシールして包装袋を製造してもよいし、対向配置された2枚の積層体の端部同士をヒートシールして包装袋を製造してもよい。また、3枚以上の積層体を用い、シーラント層15同士をヒートシールして包装袋を構成してもよい。
【0072】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0073】
本開示は、以下の[1]~[8]の内容を含む。
[1]シーラント層と一つ又は複数の接着剤層と基材層とを含む積層体で構成され、電子レンジで加熱される包装袋であって、
対向配置された前記シーラント層同士がヒートシールされて形成されるシール部と、
前記積層体に取り囲まれ、収容物を収容可能に構成される収容部と、を備え、
前記シール部は、前記収容部の圧力が上昇したときに通蒸口を形成する蒸気抜き部を含み、
少なくとも一つの前記接着剤層のナノインデンテーション硬さの平均値が0.95MPa以上である、包装袋。
[2]ナノインデンテーション法によって測定される、少なくとも一つの前記接着剤層の応力緩和度の平均値が0.54以上0.80以下である、[1]に記載の包装袋。
[3]前記接着剤層はウレタン接着剤の硬化物を含む、[1]又は[2]に記載の包装袋。
[4]前記積層体は、前記シーラント層と前記基材層との間にナイロンフィルムを含み、
前記シーラント層と前記ナイロンフィルムとを接着する前記接着剤層のナノインデンテーション硬さの平均値が0.95MPa以上である、[1]~[3]に記載の包装袋。
[5]前記基材層は、最外層となる樹脂層と前記樹脂層よりも前記接着剤層寄りにバリア層とを有する、[1]~[4]のいずれか一つに記載の包装袋。
[6]前記バリア層が、アルミナ蒸着層及びシリカ蒸着層からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、[5]に記載の包装袋。
[7]レトルト処理後の前記ナノインデンテーション硬さの平均値が0.95MPa以上である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の包装袋。
[8]電子レンジで加熱される包装体であって、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載の包装袋と、当該包装袋の前記収容部に収容される収容物と、を備える、包装体。
【実施例0074】
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
【0075】
[積層体の作製]
(実施例1)
基材層としてアルミナ蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GLARHF、厚さ:12μm)を、樹脂層としてナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:エンブレムONMB、厚み:15μm)を、シーラント層として無延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製、商品名:ZK-207、厚み:60μm)を準備した。
【0076】
主剤として脂肪族ポリエステルポリオール(三井化学株式会社製、商品名:タケラックA505、以下「(A)」と称する場合もある。)、硬化剤としてポリイソシアネート(三井化学株式会社製、商品名:タケネートA20、以下「(B)」と称する場合もある。)、及び、溶媒として酢酸エチルを配合して、固形分濃度が36.5質量%の接着剤組成物(二液硬化型のウレタン接着剤)を調製した。各成分の質量基準の配合比(質量基準)は、(A):(B)=9:1とした。
【0077】
アルミナ蒸着PETフィルムのアルミナ蒸着面に対して、ドライラミネート装置を用いて、上述のとおりに調製した接着剤組成物を塗布して、所定の厚みを有する第1接着剤層を形成した。
【0078】
ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、商品名:エンブレムONMB、厚み:15μm)と、無延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製、商品名:ZK-207、厚み:60μm)とを、上述の接着剤組成物を用いて貼り合わせて積層フィルムを作製した。上記ドライラミネート装置を用い、基材層上の接着剤層と積層フィルムのナイロンフィルムとが向かい合うようにして、ナイロンフィルムと接着剤層とを貼り合わせた。その後、40℃で120時間、エージングを行って、アルミナ蒸着PETフィルム/第1接着剤層/ナイロンフィルム/第2接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルムの積層構造を有する無地の積層体を得た。
【0079】
(実施例2、比較例1,2)
接着剤組成物の主剤及び硬化剤の種類、主剤と硬化剤の配合比(質量基準)、及びエージング条件を表1のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、アルミナ蒸着PETフィルム/第1接着剤層/ナイロンフィルム/第2接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルムの積層構造を有する無地の積層体を得た。第1接着剤層及び第2接着剤層の両方に、表1に示す接着剤組成物(二液硬化型のウレタン接着剤)を用いた。
【0080】
(実施例3)
実施例2で用いた主剤よりも数平均分子量が小さい脂肪族ポリエステルポリオールを準備した。この主剤を用いたことと、実施例2の硬化剤に多官能モノマーを添加したものを硬化剤として用いたこと以外は、実施例2と同様にして実施例2と同様の積層体を得た。エージング条件は、実施例2と同じ条件とした。
【0081】
【0082】
表1の「主剤(A)」及び「硬化剤(B)」の欄には、製品名(いずれも、三井化学株式会社製)を示した。各エージングは、空気中において行った。
【0083】
[包装袋(包装体)の作製]
(実施例1A)
実施例1の積層体を3枚用いて、
図2に示すようにサイドシール部に蒸気抜き部を有するパウチ(包装袋)を作製した。具体的には、蒸気抜き部以外の側端シール部と下端シール部をインパルス方式(温度:190℃)でヒートシールした後、金型を用いてヒートシールを行って蒸気抜き部を形成した。蒸気抜き部を形成する際のヒートシール条件を、表2の条件1~4のそれぞれで行って、ヒートシール条件が互いに異なる4つの包装袋を作製した。その後、収容部に水100gを収容し、上端部をインパルス方式(温度:190℃)でヒートシールして上端シール部を形成した。このようにして、
図1に示すような、収容部に水が密封された4つのスタンディングパウチ(包装袋及び包装体)を得た。
【0084】
(実施例2A)
実施例1の積層体に変えて、実施例2の積層体を用いたこと以外は、実施例1Aと同様にして、収容部に水が密封されたスタンディングパウチ(包装袋及び包装体)を得た。実施例2Aでも、実施例1と同様に、蒸気抜き部を形成する際のヒートシール条件を表2の条件1~4のそれぞれで行って、ヒートシール条件が互いに異なる4つのスタンディングパウチを作製した。
【0085】
(実施例3A)
実施例1の積層体に変えて、実施例3の積層体を用いたこと以外は、実施例1Aと同様にして、収容部に水が密封されたスタンディングパウチ(包装袋及び包装体)を得た。実施例2Aでも、実施例1と同様に、蒸気抜き部を形成する際のヒートシール条件を表2の条件1~4のそれぞれで行って、ヒートシール条件が互いに異なる4つのスタンディングパウチを作製した。
【0086】
(比較例1A)
実施例1の積層体に変えて、比較例1の積層体を用いたこと以外は、実施例1Aと同様にして、収容部に水が密封されたスタンディングパウチ(包装袋及び包装体)を得た。比較例1Aでも、実施例1と同様に、蒸気抜き部を形成する際のヒートシール条件を表2の条件1~4のそれぞれで行って、ヒートシール条件が互いに異なる4つのスタンディングパウチを作製した。
【0087】
(比較例2A)
実施例1の積層体に変えて、比較例2の積層体を用いたこと以外は、実施例1Aと同様にして、収容部に水が密封されたスタンディングパウチ(包装体)を得た。比較例2Aでも、実施例1と同様に、蒸気抜き部を形成する際のヒートシール条件を表2の条件1~4のそれぞれで行って、ヒートシール条件が互いに異なる4つのスタンディングパウチを作製した。
【0088】
【0089】
[蒸気抜き試験]
実施例1,2及び比較例2のスタンディングパウチのレトルト処理を行った。レトルト処理は、121℃の熱水スプレー中で30分間加熱することによって行った。レトルト処理後、室温下に24時間放置して各包装体を冷却した後、電子レンジ(出力:500W)の庫内で2分間加熱する蒸気抜き試験を行った。蒸気抜き試験の結果を以下の基準で評価した。評価結果は表3に示すとおりであった。
【0090】
A:蒸気抜き部に想定どおりに通蒸口が形成され、水沸騰後、水蒸気が速やかに通蒸口から放出された。
B:蒸気抜き部に想定どおりに通蒸口が形成されたものの、通蒸口の形成が上記評価「A」よりも遅く、収容部の圧力がAよりも高くなった後に水蒸気が通蒸口から一気に放出された。
C:蒸気抜き部に想定どおりに通蒸口が形成されず、層間(接着剤層)において剥離して水蒸気が一気に放出された。
【0091】
【0092】
表3に示すとおり、実施例1A,3Aの蒸気抜き試験の評価は、いずれのヒートシール条件であっても、「A」であった。一方、比較例2Aでは、条件2の場合に、貼り合わされたシーラント層同士の間からではなく、接着剤層において剥離して水蒸気が噴出した。このため、水蒸気の噴出の勢いで包装体が電子レンジの庫内で回転した。
【0093】
[積層体の作製]
(実施例1B)
アルミナ蒸着PETフィルムのアルミナ蒸着面にグラビア印刷でインキ層を設けた。このインク層を設けたこと以外は、実施例1と同じ手順で積層体を作製した。すなわち、アルミナ蒸着PETフィルム/第1接着剤層/ナイロンフィルム/第2接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルムの積層構造を有する積層体を得た。これを実施例1Bの積層体とした。実施例1Bの第1接着剤層及び第2接着剤層の組成は、実施例1の第1接着剤層及び第2接着剤層の組成と同じである。
【0094】
(実施例2B、実施例3B、比較例1B、比較例2B)
実施例1Bと同じインク層を設けたこと以外は、実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2と同じ手順でそれぞれ積層体を作製した。これらの積層体を、それぞれ、実施例2A、比較例1A及び比較例2Aの積層体とした。これらの積層体は、いずれも、アルミナ蒸着PETフィルム/インク層/第1接着剤層/ナイロンフィルム/第2接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム/の積層構造を有していた。実施例2B,3B、比較例1B,2Bの第1接着剤層及び第2接着剤層の組成は、それぞれ、実施例2,3、比較例1,2の第1接着剤層及び第2接着剤層の組成と同じである。
【0095】
[レトルト処理]
実施例1B,2B,3B、比較例1B,2Bの積層体のレトルト処理を行った。レトルト処理の条件は、実施例1,2,3及び比較例1,2のスタンディングパウチ(包装体)のレトルト処理の条件と同じにした。
【0096】
[接着剤層のナノインデンテーション硬さの評価]
斜め切削装置(ダイプラ・ウィンテス社製、SAICAS(登録商標))を用いて、実施例1B,2B,3B、比較例1B,2Bの各積層体の無延伸ポリプロピレンフィルムを切削して第2接着剤層を露出させた。具体的には、積層体の無延伸ポリプロピレンフィルム(シーラント層)の反対側となる面にエポキシ系接着剤を塗布し、ガラス板と貼り合わせて平滑に固定した。エポキシ系接着剤が硬化した後、
図4に示すように斜め切削装置を用いて接着剤層を露出させた。斜め切削装置としては、ダイプラ・ウィンテス株式会社製のSAICAS DN-GS(商品名)を用いた。先端がV字形状であるダイヤモンド切り刃60を斜め切削装置に装着後、測定試料(積層体)の無延伸ポリプロピレンフィルム(シーラント層)の表面に1mm幅間隔でサイドカットラインを施した。その後、刃幅:1mm、すくい角:20度、逃げ角:10度のダイヤモンドナイフを、0.05Nの荷重で無延伸ポリプロピレンフィルム(シーラント層)の表面に接触させた後、水平速度50μm/s、垂直速度1μm/sの条件で斜め切削した。
【0097】
切り込み深さが55μmに到達した後、水平方向に10mm切削した。水平速度50μm/s、垂直速度1μm/s、切り込み深さ1μmの条件で仕上げ切削を行った。切削後の露出面を観察し、接着層の露出面が得られたことを確認した。接着層が十分に露出していない場合には仕上げ切削を追加して行った。
図6には、斜め切削装置による切削深さと水平荷重及び垂直荷重の推移の一例を示した。
【0098】
切削して露出した接着剤層の表面をナノインデンテーション法による測定が可能な測定装置に付属の光学顕微鏡にて観察して測定位置を設定した。当該測定位置において、ナノインデンテーション法による測定を行い、無延伸ポリプロピレンフィルムが残存している部分と、第2接着剤層が露出している部分と、ナイロンフィルムが露出している部分を確定した。
【0099】
測定装置として、ブルカージャパン株式会社製のHysitron TI-Premier(商品名)を用いた。圧子はブルカージャパン株式会社製のバーコビッチ型ダイヤモンド圧子を用いた。ナノインデンテーション法による硬さの測定は、以下の手順で行った。まず、常温(25℃)において変位制御モードにて、押し込み速度を100nm/秒、試験深さを125nmに設定して押し込みを行った。最大変位にて2秒間保持後、50nm/秒の速度で除荷した。表面検出荷重を1μNとし、荷重が0を示すところを表面とみなして、TriboScanのソフトウェアで表面補正を行った。
【0100】
接着剤層の露出面において30μm以上の間隔で30箇所(n=30)指定してナノインデンテーション法による硬さ測定を行った。ここで、測定位置は、シーラント層と基材層の間の距離を基準として、4等分したときに、シーラント層側から1/4の距離離れた箇所とした。1箇所目の測定結果は
図7に示すとおりであった。
【0101】
ナノインデンテーション硬さ及び応力緩和度の算出方法は、以下のとおりとした。まず、標準試料となる溶融石英を予め試験し、圧子と試料の接触深さと接触投影面積の関係を校正した。そして、除荷時の最大荷重に対して20~95%領域の除荷曲線をOliver-Pharr法で解析して接触深さhcを求めた。具体的には、接触深さhcは、以下の式(1)によって求めた。
【0102】
【0103】
式(1)中、εは、圧子形状に関する定数である。バーコビッチ圧子では、この定数は0.75である。除荷曲線の最大荷重Pmax及び最大変位hmaxは、
図7に示すグラフに基づいて求めた。Sは、接触剛性である。接触剛性Sは、
図7における除荷曲線のうち、最大荷重に対して20%から95%の範囲を下記式(2)の関数でフィッティングした際の近似曲線の、引き抜き直後の傾きである。式(2)におけるA、hf、mは、フィッティングの際のフィッティングパラメーターを表す。
【0104】
【0105】
次に、接触投影面積Acを、圧子の形状及び接触深さhcに基づいて求めた。接触投影面積Acは、下記式(3)に示すように、接触深さhcの関数で表すことができる。この式(3)は、補正項C1~C5を用いて圧子先端の丸みの影響を補正している。C1~C5は、溶融石英を試験片として、最大荷重20μN~10mNで測定を行い、各最大荷重条件における複合弾性率の測定結果が、溶融石英の複合弾性率Er:69.6GPaと一致するように算出した。
【0106】
【0107】
次に、接触投影面積Acと下記式(4)によって、ナノインデンテーション硬さHを算出した。
【数4】
【0108】
応力緩和度は、ナノインデンテーション法によって得られた
図7の測定カーブにおいて、負荷時の最大荷重(Fmax)、除荷時の最大荷重(Pmax)を求め、これらを用いて下記式(5)で導出した。
応力緩和度=(Fmax-Pmax)/Fmax (5)
【0109】
ナノインデンテーション硬さの測定は、30箇所(n=30)で行った。ナノインデンテーション硬さは、最大値及び最小値を除く28個の測定値の平均値、標準偏差及び変動係数を求めた。応力緩和度の平均値は、ナノインデンテーション硬さを測定する際に得られたナノインデンテーション法による30個の測定カーブに基づいて得られた測定値を平均することによって求めた。結果は、表4に示すとおりであった。
【0110】
【0111】
表4に示すとおり、実施例1B,2B,3Bの第2接着剤層の方が、比較例2Bの第2接着剤層よりも大きい硬さを有していた。このように第2接着剤層のナノインデンテーション硬さが大きい実施例1B,2B,3Bでは、包装体を電子レンジで加熱しても第2接着剤層で接着される無延伸ポリプロピレンフィルムとナイロンフィルムとが強固に固定される。このため、想定どおりに蒸気抜き部に引張応力がかかり、通蒸口を想定どおりに形成することができるものと考えられる。一方、第2接着剤層のナノインデンテーション硬さが小さい比較例2Bでは、電子レンジで加熱したときに引張応力によって第2接着剤層で接着される無延伸ポリプロピレンフィルムとナイロンフィルムとが微妙に動いて、蒸気抜き部に想定どおりに引張応力がかからないようになるものと考えられる。このため、第2接着剤層に剥離が発生して蒸気が放出される。
【0112】
レトルト処理による影響を調べるため、レトルト処理前の実施例1B,2B,3B、比較例2Bの各積層体についても、レトルト処理後の積層体と同様にして斜め切削装置で第2接着剤層を露出させ、第2接着剤層のナノインデンテーション硬さを測定した。測定条件はレトルト処理後の場合と同一とした。ナノインデンテーション硬さの測定は、30箇所(n=30)で行い、最大値及び最小値を除く28個の測定値の平均値(AVE0)を求めた。そして、AVE1とAVE0の差(AVE1-AVE0)を求め、レトルト処理の伴うナノインデンテーション硬さの低下率を以下の式で求めた。結果は、表5に示すとおりであった。
ナノインデンテーション硬さの低下率=
[(AVE1-AVE0)/AVE1]×100
【0113】
【0114】
表5に示すとおり、レトルト処理によって、第2接着剤層のナノインデンテーション硬さが変化する場合があることが確認された。レトルト処理に伴うナノインデンテーション硬さの低下率が小さい(マイナスの場合は、絶対値が大きい)ほど、レトルト処理後の第2接着剤層の硬さが小さくなる。レトルト処理に伴う第2接着剤層のナノインデンテーション硬さの低下率が大きい場合、レトルト処理前の第2接着剤層のナノインデンテーション硬さを十分に大きくしておくことによって、レトルト処理後にも通蒸口を想定どおりに形成することができる。
10a,10b,10c…積層体、10A,10B…表面、11…基材層、13…インク層、14…接着剤層、14a…第1接着剤層、14b…第2接着剤層、15…シーラント層、16…樹脂層、20…収容物、22…収容部、30…シール部、31…上端シール部、31a…上端部、33…側端シール部、33,34…側端シール部、34…側端シール部、35,36…下端シール部、41…ノッチ、53…非シール部、60…切刃、62…露出面、100,101…包装袋、200…包装体。