(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079357
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240604BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240604BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
B29C33/42
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192256
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】兼子 潔人
(72)【発明者】
【氏名】宮永 真
【テーマコード(参考)】
2C088
4F202
【Fターム(参考)】
2C088DA13
2C088DA23
2C088EA02
4F202AF01
4F202AG28
4F202AH59
4F202AR07
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK42
(57)【要約】
【課題】前面に意匠面を有する遊技機構成部品の側面に突出する装飾を設ける場合の成形型のコストを抑えることが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】本実施形態の遊技機10では、ベース部51の射出成形時に、ベース部51の厚み方向で互いに接近及び離間する第1型81A及び第2型81Bのパーティングラインを、第1及び第2の装飾部57A,57Bの頂点を結ぶ線上に配置することにより、第1型81Aと第2型81Bとの協働により第1及び第2の装飾部57A,57Bを形成するようになっている。これにより、ベース部51の側面から突出する第1及び第2の装飾部57A,57Bを形成するための成形型の型抜き方向を、ベース部51の前面から突出する意匠面53を形成するための成形型の型抜き方向と同じにしている。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂の射出成形品であって、前面が前方を向く本体部の後面の外縁から後方に張り出す側壁を有する遊技機構成部品を備え、
前記側壁は、
外面に装飾部が突出形成される第1側壁と、
外面に前記装飾部が形成されない第2側壁と、を有し、
前記装飾部の頂部が、前記遊技機構成部品の成形時に形成されるパーティングライン上に配置されると共に、
前記第2側壁の端面が前記パーティングラインと同一面に位置している遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機として、樹脂の射出成形品からなり、前面に意匠面を有する遊技機構成部品を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-087419号公報(段落[0010]、[0011]及び
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の遊技機において、遊技機構成部品の側面に突出する装飾を設けた場合、前面に意匠面を形成するための成形型の型抜き方向と、側面に装飾を形成するための成形型の型抜き方向とが異なるため、成形型のコストが高くなるという問題があり、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の遊技機は、樹脂の射出成形品であって、前面が前方を向く本体部の後面の外縁から後方に張り出す側壁を有する遊技機構成部品を備え、前記側壁は、外面に装飾部が突出形成される第1側壁と、外面に前記装飾部が形成されない第2側壁と、を有し、前記装飾部の頂部が、前記遊技機構成部品の成形時に形成されるパーティングライン上に配置されると共に、前記第2側壁の端面が前記パーティングラインと同一面に位置している遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る遊技機によれば、遊技機構成部品の前面に意匠面を形成するための成形型の型抜き方向と、遊技機構成部品の側面となる第1側壁に装飾部を形成するための成形型の型抜き方向とが同じになるので、成形型のコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】遊技板及び遊技演出部材及び裏側筐体の分解斜視図
【
図8】遊技板及びベース部及び裏側筐体の(A)拡大正断面図、(B)拡大側断面図
【
図12】
図7のA-A断面のベース部と成形金型の断面図
【
図13】他の実施形態に係るベース部と成形金型の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図12を参照して、本実施形態の遊技機10について説明する。本実施形態の遊技機10は、パチンコ遊技機であって、
図1に示すように、前面が前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能になっている。以下の説明において、遊技機10のうち遊技者に近い側を「前側」、その反対側を「後側」といい、遊技機10のうち、その前側から対峙した遊技者にとっての「右側」及び「左側」を単に「右側」及び「左側」ということとする。
【0009】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には操作ハンドル28が設けられている。操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0010】
図2に示すように、遊技領域R1は全体をガイドレール12により囲まれ、内側に遊技板11を貫通する演出窓11Hを備える。そして、演出窓11Hを通して表示装置13の表示画面13Gが前方に臨んでいる。また、演出窓11Hの開口縁には、進入規制枠23が取り付けられて、遊技領域R1を流下する遊技球が演出窓11H内に進することを規制している。
【0011】
遊技領域R1には、始動入賞口14A,14Bと大入賞口15,16が備えられ、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球すると当否判定が行われる。当否判定の結果は、表示画面13Gにて、その結果に基づいた演出と共に表示される。大入賞口15,16は、通常は、図示しない可動扉により閉塞されて遊技球が入球困難な状態になっていて、上記当否判定の結果が当りとなったときに開放されて遊技球が入球可能な状態となる。各種入賞口に遊技球が入球すると、賞球が上皿26に払い出される。また、遊技領域R1の下端部にはアウト口17が設けられている。そして、遊技領域R1を流下する遊技球は、何れかの入賞口かアウト口17を通して遊技板11の後側に取り込まれる。
【0012】
図3に示すように、遊技板11の後面には、裏側筐体30が固定されている。裏側筐体30は、
図4に示すように、前面開放の箱型構造をなし、遊技板11の後面と対向する枠状の主板壁31と、その外縁部から前方に突出する包囲壁32とを有する。そして、包囲壁32の前端縁を遊技板11の後面の外縁部に突き当てた状態で遊技板11と裏側筐体30とがネジ止めされている。
【0013】
具体的には、
図5に示すように、包囲壁32の両側辺部の前端には(
図5には、左側辺部のみ示している)、外方へ張り出す前端壁33が形成されていて、この前端壁33の上下両端部には突当突部33Tが形成されている。そして、
図8(A)に示すように、遊技板11の後面のうち両側辺には、その突当突部33Tを受容するための受容凹部11Uが形成されていて、これら突当突部33Tと受容凹部11Uとにより裏側筐体30が遊技板11に対して位置決めされる。また、
図5に示すように、包囲壁32の両側辺部には、前端壁33寄り位置に、段付き状に後方の幅を狭める段差面34が設けられている。段差面34には、その上下方向のうち1対の突当突部33よりも中央寄り位置に、1対の取付突部34Tが突出形成されている。
【0014】
主板壁31の後側には、上述した表示装置13が重ねて固定され、主板壁31に設けられた開口35と遊技板11の演出窓11Hとを通して表示装置13の表示画面13Gが遊技者から視認可能となっている。
【0015】
さて、裏側筐体30の内部には、
図4に示すように、遊技演出部材40が収容固定されている。遊技演出部材40は、裏側筐体30に固定される枠状の取付部材41に複数の装飾用の部材が取り付けられてなる。これら複数の装飾用の部材は、遊技板11のうち演出窓11Hの開口縁及び演出窓11Hより外側部分と対向する位置に配置される。ここで、本実施形態では、遊技板11は、少なくとも一部が透過性を有する樹脂によって形成されており、複数の装飾用の部材は、演出窓11Hを通して又は遊技板11の透明な領域を通して遊技機10の前方から視認可能となっている。
【0016】
これら複数の装飾用の部材には、
図6に示すように、取付部材41の右上半分と左下半分を前方から覆う位置に配置される上部装飾部材50A、下部装飾部材50Bが含まれる。上部装飾部材50A及び下部装飾部材50Bは略同じ構成を有しており、以下、下部装飾部材50Bについて説明する。なお、上部装飾部材50A及び下部装飾部材50Bに含まれる後述するベース部51が、特許請求の範囲の「遊技機構成部品」に相当する。
【0017】
下部装飾部材50Bは、
図7に示すように、ベース部51と、ベース部51の前面に重ねられるカバー部60と、ベース部51の後面に重ねられる基板部70とを有する。これらベース部51、カバー部60及び基板部70は、ベース部51及び基板部70に貫通形成された貫通孔51N,70Nにカバー部60の後面に設けられた図示しない突部が通されてネジ止めされることにより一体となっている。
【0018】
ベース部51は、樹脂の射出成形品であって、板状をなして前面が前方を向いて配置される本体部52と、本体部52の後面の外縁から後方に張り出す第1と第2の側壁56A,56Bを有する(
図7,8参照)。
【0019】
本体部52の前面は、遊技板11のうち演出窓11Hの開口縁側に対向配置されて立体模様54が施されている意匠面53と、演出窓11Hより外側部分に対向配置される非意匠面52Bとを有する。意匠面53は、
図2に示すように、その一部が演出窓11Hを通して視認可能な位置に配置され、他の一部は遊技板11の後面と対向する位置に配置される。本実施形態では、遊技板11のうち少なくとも意匠面53と対向する領域が前述したように透明に構成されており、意匠面53全体が前方から視認可能となっている。
【0020】
図7に示すように、意匠面53は、帯状をなして円弧状に延びていて、非意匠面52Bとの間を段付き状に連絡する段差面53Dにより前方に突出している(
図9参照)。また、その幅は、下方に向かうほど狭くなっている。また、意匠面53の下端部には、演出窓11Hの開口縁に沿う方向から分かれて下方に延びる分岐部53Sが形成されている。分岐部53Sには、貫通孔53Kが設けられている。なお、意匠面53が演出窓11Hの外縁に沿って延びる方向のうち、下方に向かう方向を「第1方向H1」ということとする。
【0021】
また、
図9に示すように、意匠面53は、その外縁と中間部分との間を段付き状に連絡する段差面53Eにより中間部分が前方に突出していて、その中間部分に立体模様54が施されている。立体模様54は、意匠面53から前方に膨出し、本実施形態では、複数の星形やハート形や羽をモチーフにした模様で構成され、第1方向H1に沿って1つずつ配置されている。立体模様54の大きさは、意匠面53の幅に合わせて形成され、第1方向H1に向かうにつれて徐々に小さくなっている。
【0022】
また、本体部52のうち、左側縁の両端寄り位置には、取付突片55A,55Bが形成されている。取付突片55A,55Bは前方に突出する支持部55Sと、支持部55Sの前端から外方へ張り出す取付壁55Hとを有する。
図8(A)に示すように、取付壁55Hの後面には受容凹部55Uが形成されていて、裏側筐体30の包囲壁32の段差面34に設けられた取付突部34Tを受容することによりベース部51が裏側筐体30に対して位置決めされる。ここで、取付突片55Bの前方への張出量は、取付突片55Aの張出量よりも大きくなっており(
図9参照)、これにより、ベース部51の本体部52は、下側部分が上側部分よりも遊技板11の後面から離れた状態で配置される(
図8(B)参照)。つまり、第1方向H1に向かうにつれて意匠面53は、遊技板11の後面から離れるように配置される。
【0023】
なお、本体部52の後面には、複数の円筒突部52Hが突出形成されている(
図10参照)。これら円筒突部52Hには、取付部材41及び取付部材41に取り付けられている他の装飾用の部材に設けられた図示しない受容部に受容されてネジ止めされる。なお、左上端と右下端に設けられた円筒突部52Hは、本体部52の前面が段付き状に陥没した陥没面52Jの後面から突出しており(
図7参照)、意匠面53に沿って配置された円筒突部52Hは、カバー部60の後面に設けられた図示しない突部を受容してカバー部60と共にネジ止めされる。
【0024】
第1側壁56Aは、
図10に示すように、本体部52のうち意匠面53が配置される演出窓11Hの開口縁側の外縁から後方に張り出している。そして、第1側壁56A全体が、演出窓11Hを通して又は遊技板11の透明な領域から視認可能となっている。また、第1側壁56Aの張出長さは、第1方向H1に向かうに従って徐々に小さくなっている。
【0025】
また、第1側壁56Aの外面のうち張出方向の中間部分には、第1方向H1に沿って複数の第1と第2の装飾部57A、57Bが交互に突出形成されている。
図11に示すように、第1の装飾部57Aは六角錐状をなし、第2の装飾部57Bは球の一部を切り取った形状をなしていて、それぞれの大きさは、第1方向H1に向かうにつれて徐々に小さくなっている。また、複数の第1と第2の装飾部57A、57Bの各頂点を結ぶ直線上には突条80が形成されている。突条80は、後述するベース部51の成形金型81のパーティングラインに配置される。突条80は、第1方向H1に向かうに従って徐々に本体部52に近づくように傾斜している。
【0026】
また、第1側壁56Aの外面には、第2の装飾部57Bを円弧状に結んでなる半円を連ねたようなスカラップ状の曲線部分58Dから先端側を段付き状に陥没させた陥没面58が形成されている。そして、第1側壁56Aの端面は、その曲線部分58Dと略平行なスカラップ状に切り欠かれている。また、陥没面58には、張出方向に延びる複数の溝からなるローレット加工58Rが施されている。なお、ローレット加工58Rは、連なる半円に対して一つおきに施されている。
【0027】
第2側壁56Bは、
図9に示すように、本体部52のうち非意匠面52Bが配置される演出窓11Hの外側部分の外縁から後方に張り出している。
【0028】
基板部70は、
図7に示すように、意匠面53と対応する板状をなし、意匠面53のうち立体模様54が施された中間部分と対向する位置に配置されている。基板部70の前面には、複数の発光素子71が備えられ、本体部52の意匠面53に向けて光が射出される。なお、複数の発光素子71の一つは、意匠面53のうち分岐部53Sの貫通孔53Kと対向する位置に配置されている。
【0029】
なお、本体部52のうち意匠面53の中間部分は少なくとも光を透過可能な透明領域になっており、その後面には全体に亘って凹凸が形成されている(
図12参照)。そして、複数の発光素子71から光が射出されると、凹凸によって散乱した光が意匠面53から前方へ出射して、意匠面53が全体的に光って見えるようになっている。
【0030】
カバー部60は、
図7に示すように、意匠面53を象った形状をなして、本体部52の前方から意匠面53を覆うように配置される。具体的には、意匠面53のうち第1方向H1に延びる外縁に重なる枠状部61と、立体模様54のうち各ハート形と上端に設けられた星形の外形を縁取る縁取り部62と、分岐部53S全体を覆う分岐カバー部63と、第1側壁56Aに重ねられる側縁部64とを有する。
図11に示すように、側縁部64の張出長さは第1側壁56Aの張出長さよりも短く、側縁部64の端面は、第1側壁56Aの端面と同様にスカラップ状に切り欠かれている。また側縁部64全体にローレット加工64Rが施されている。なお、連なる半円同士の間は六角形状の突部により連絡された形状となっている。また、縁取り部62のうち上端の星形を縁取る部分には、星形の側壁部分を覆う側壁部62Hが形成され、側壁部62H全体にローレット加工62Rが施されている。また、
図7に示すように、分岐カバー部63の下端は、星形状の膨出部が形成されており、その星形状の中心に貫通孔53Kと対向配置された発光素子71が配置される。
【0031】
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。
図12には、ベース部51の断面と、その断面に対応した成形金型81の断面とが示されている。成形金型81は、ベース部51の本体部52の厚み方向で互いに接近及び離間する第1型81A及び第2型81Bを有している。そして、第1型81A及び第2型81Bにより意匠面53の立体模様54だけではなく、第1側壁56A上の第1と第2の装飾部57A,57Bも成形する。具体的には、第1型81Aと第2型81Bのパーティングラインを、第1側壁56Aの第1及び第2の装飾部57A,57Bの頂点を結ぶ線上とすることで、第1型81Aと第2型81Bとの協働により第1及び第2の装飾部57A,57Bが形成されるようになっている。そして、第1型81Aと第2型81Bのパーティングラインを、第1側壁56Aの第1及び第2の装飾部57A,57Bの頂点を結ぶ線上としたことにより、第1及び第2の装飾部57A,57Bの頂点を結ぶ線上にパーティングラインとして突条80が形成される。
【0032】
次に、この遊技機10の作用効果について説明する。本実施形態の遊技機10は、少なくとも一部が透明領域を有する遊技板11を備えて、遊技板11の後方に装飾部材50A,50Bを配置している。そして、これら装飾部材50A,50Bのうちベース部51の前面に意匠面53を備えて、意匠面53を遊技板11の透明領域又は演出窓11Hを介して視認させることで遊技機10の装飾性を向上させている。本実施形態では、ベース部51の前面に意匠面53を備えるだけではなく、ベース部51の側面である第1側壁56Aの外面に第1と第2の装飾部57A,57Bを突出形成して前方から視認させる構成となっており、装飾性を一層向上させている。
【0033】
本実施形態では、ベース部51を射出成形により成形しており、本体部52の厚み方向で互いに接近及び離間する第1型81A及び第2型81Bを用いて意匠面53に立体模様53を施している。そして、本実施形態では、さらに、この第1型81A及び第2型81Bのパーティングラインを第1及び第2の装飾部57A,57Bの頂点を結ぶ線上に配置することにより、第1型81Aと第2型81Bとの協働により第1及び第2の装飾部57A,57Bを形成するようになっている。つまり、第1型81A及び第2型81Bのパーティングライン上に第1及び第2の装飾部57A,57Bの頂点を配置することで、ベース部51の側面から突出する第1及び第2の装飾部57A,57Bを形成するための成形型の型抜き方向を、ベース部51の前面から突出する意匠面53を形成するための成形型の型抜き方向と同じにしている。これにより、スライド金型を用いなくともベース部51の前面と側面とに、容易に立体模様54と第1及び第2の装飾部57A,57Bの両方を成形することができ、また、成形型のコストを抑えることができる。
【0034】
しかも、第1型81Aと第2型81Bのパーティングライン上に第1及び第2の装飾部57A,57Bの頂点が配置されるので第1及び第2の装飾部57A,57Bの頂点を結ぶ直線上に突条80が形成される。これにより、パーティングラインにより生じる突条80も意匠に取り込むことができ、装飾性を一層向上させることができる。また、第1側壁56Aは、端面がスカラップ状に切り欠かれ、ローレット加工58Rも施されているため、第1側壁56Aがより華やかになり装飾性を一層向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態では、ベース部51の前面にカバー部60が重ねられており、第1側壁56Aには、カバー部60の側縁部64が重ねられている。側縁部64は、全体にローレット加工64Rが施され、端面がスカラップ状に切り欠かれているので、第1側壁56Aが立体的になり、より一層装飾性を向上させることができる。
【0036】
また、ベース部51は、意匠面53が延びる第1方向H1に向かうに従って幅狭になり、それに合わせて第1側壁56Aも幅狭となり、また、意匠面53に施された立体模様53や、第1側壁56Aに形成された第1と第2の装飾部57A,57Bも小さくなっているので、遠近感を持たせて装飾性を向上させることができる。さらに、第1方向H1に向かうに従って、ベース部51は遊技板11の後面から離れるように配置されている。これにより、一層遠近感を持たせることができ装飾性を向上させることができる。
【0037】
[他の実施形態]
(1)ベース部51の第2側壁56Bの端面は、対向する第1側壁56Aの突条80と同一面に位置するように形成されていてもよい(
図13参照)。この場合、第1型81A及び第2型81Bの各型合わせ面が同一平面上に配置されることとなり、成形型のコストをより一層抑えることができる。
【0038】
(2)前記実施形態では、遊技板11の後方に配置される装飾部材50A,50Bのベース部51に対して、その側面から突出する突部の頂点をパーティングライン上に配置し、前面から突出する突部を形成するための成形型の型抜き方向と側面から突出する突部を形成するための成形型の型抜き方向を同じにして成形する構成であったが、ベース部51に限らず、例えば、遊技領域R1上に配置される各種入賞口や役物の前面と側面に突部を設ける際に、この方法で成形してもよい。
【0039】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0040】
<付記>
以下、前述した実施の形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0041】
以下の特徴群は、遊技機に関し、「樹脂の射出成形品からなり、前面に意匠面を有する遊技機構成部品を備えたものが知られている。」という背景技術について、「特許文献1(特開2014-087419号(段落[0010]、[0011]及び
図2))の遊技機では、遊技機構成部品の側面に突出する装飾を設けた場合、前面に意匠面を形成するための成形型の型抜き方向と、側面に装飾を形成するための成形型の型抜き方向とが異なるため、成形型のコストが高くなるという問題がある。」という課題をもってなされたものである。
【0042】
[特徴1]
樹脂の射出成形品であって、前面が前方を向く本体部(本体部52)の後面の外縁から後方に張り出す側壁(第1と第2の側壁56A,56B)を有する遊技機構成部品(ベース部51)を備え、
前記側壁は、
外面に装飾部(第1と第2の装飾部57A,57B)が突出形成される第1側壁(第1側壁56A)と、
外面に前記装飾部が形成されない第2側壁(第2側壁56B)と、を有し、
前記装飾部の頂部が、前記遊技機構成部品の成形時に形成されるパーティングライン上に配置されると共に、
前記第2側壁の端面が前記パーティングラインと同一面に位置している遊技機(遊技機10)。
【0043】
特徴1によれば、遊技機構成部品の前面を形成するための成形型の型抜き方向と、遊技機構成部品の側面となる第1側壁に装飾部を形成するための成形型の型抜き方向とが同じになるので、成形型のコストを抑えることができる。
【0044】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0045】
10 遊技機
51 ベース部(遊技機構成部品)
52 本体部
56A 第1側壁
56B 第2側壁
57A,57B 第1と第2の装飾部