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特開2024-79367画像記録装置、画像記録方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079367
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像記録装置、画像記録方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 125
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192272
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】西本 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 慶和
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB13
2C056EB36
2C056EC12
2C056EC14
2C056EC29
2C056EC34
2C056HA29
2C056HA30
2C056HA33
2C056HA34
2C056HA46
(57)【要約】
【課題】シートの湾曲が小さくなるので、シートが記録ヘッドに接触し難い画像記録装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ10は、搬送部23と、記録ヘッド24と、記録ヘッド24より搬送方向P1下流に位置し、シートSを加熱するヒータ26と、ヒータ26より搬送方向P1下流に位置しており、シートSを切断するカッタ28と、コントローラ130と、を備えている。コントローラ130は、画像記録処理と、ヒータ26を駆動して画像記録後のシートSを搬送する第1搬送処理と、第1搬送処理されたシートSをカッタ28により切断する切断処理と、切断処理後に、ヒータ26を駆動した状態で搬送部23により搬送方向P1へシートSを搬送する第2搬送処理と、第2搬送処理の後、シートSの先端が記録ヘッド24より搬送方向P1の上流に位置するまで逆搬送向きにシートSを搬送する逆搬送処理とを実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送方向へ搬送する搬送部と、
ノズルから液体を吐出する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドより上記搬送方向の下流に位置しており、シートを加熱する加熱部と、
上記加熱部より上記搬送方向の下流に位置しており、シートを切断するカッタと、
コントローラと、を備えており、
上記コントローラは、
上記記録ヘッドから液体を吐出してシートに画像記録を行う画像記録処理と、
上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へ画像記録後のシートを搬送する第1搬送処理と、
上記第1搬送処理されたシートを上記カッタにより切断する切断処理と、
上記切断処理後に、上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へシートを搬送する第2搬送処理と、
上記第2搬送処理の後、上記搬送部により、シートの先端が上記記録ヘッドより上記搬送方向の上流に位置するまで上記搬送方向と逆向きにシートを搬送する逆搬送処理と、を実行する画像記録装置。
【請求項2】
上記搬送部は、上記加熱部より上記搬送方向の下流に位置する第1排出ローラと、上記第1排出ローラの回転に従動する第1従動部と、を有しており、
上記コントローラは、上記第2搬送処理において、上記切断処理において上記加熱部より上記搬送方向の上流に位置するシートの箇所が、上記第1排出ローラと上記第1従動部とに挟持されるまで、シートを上記搬送方向へ搬送する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1従動部は、拍車であって、シートの画像記録される面に当接する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記コントローラは、
第1モードにおいて、上記画像記録処理、上記第1搬送処理、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行し、
第2モードにおいて、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行せずに、上記画像記録処理および上記第1搬送処理を実行し、
上記第1モードにおいて、上記加熱部の温度を第1温度に設定し、
上記第2モードにおいて、上記加熱部の温度を上記第1温度よりも高い第2温度に設定する請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記液体は、樹脂成分と、色材と、有機溶剤と、水と、を含む請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記第1排出ローラよりも上記搬送方向の下流に位置しており、シートの画像を読み取る読取部を更に備えている請求項2または3に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記コントローラは、
第1モードにおいて、上記画像記録処理、上記第1搬送処理、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行し、
第2モードにおいて、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行せずに、上記画像記録処理および上記第1搬送処理を実行し、
上記第1モードにおいて、上記加熱部の温度を第1温度に設定し、
上記第2モードにおいて、上記加熱部の温度を上記第1温度よりも高い第2温度に設定する請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記搬送部は、上記読取部の上記搬送方向の下流に位置する第2排出ローラと、上記第2排出ローラの回転に従動する第2従動部と、を更に有しており、
上記コントローラは、上記第2搬送処理において、上記切断処理において上記加熱部より上記搬送方向の上流に位置するシートの箇所が、上記第2排出ローラと上記第2従動部とに挟持されるまで、シートを上記搬送方向へ搬送する請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記第2従動部は、拍車であって、シートの画像記録される面に当接する請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記コントローラは、上記第2搬送処理において、上記第1排出ローラおよび上記第1従動部によってシートが挟持される挟持位置と上記加熱部の上記搬送方向の上流端との間の距離である第1距離以上であって、上記挟持位置と上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流端との間の距離である第2距離以下だけシートを搬送する請求項2または3に記載の画像記録装置。
【請求項11】
記録ヘッドから液体を吐出してシートに画像記録を行う画像記録処理と、
加熱部を駆動した状態で、搬送部により搬送方向へ画像記録後のシートを搬送する第1搬送処理と、
上記第1搬送処理されたシートをカッタにより切断する切断処理と、
上記切断処理後に、上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へシートを搬送する第2搬送処理と、
上記第2搬送処理の後、上記搬送部により、シートの先端が上記記録ヘッドより上記搬送方向の上流に位置するまで上記搬送方向と逆向きにシートを搬送する逆搬送処理と、を含む画像記録方法。
【請求項12】
上記搬送部は、上記加熱部より上記搬送方向の下流に位置する第1排出ローラと、上記第1排出ローラの回転に従動する第1従動部と、を有しており、
上記第1従動部は、シートの画像記録される面に当接し、
上記第2搬送処理において、上記切断処理において上記加熱部より上記搬送方向の上流に位置するシートの箇所を、上記第1排出ローラと上記第1従動部とが挟持するまでシートを搬送する請求項11に記載の画像記録方法。
【請求項13】
上記第2搬送処理において、上記第1排出ローラおよび上記第1従動部によってシートが挟持される挟持位置と上記加熱部の上記搬送方向の上流端との間の距離である第1距離以上であって、上記挟持位置と上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流端との間の距離である第2距離以下だけシートを搬送する請求項12に記載の画像記録方法。
【請求項14】
第1モードにおいて、上記画像記録処理、上記第1搬送処理、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行し、
第2モードにおいて、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行せずに、上記画像記録処理および上記第1搬送処理を実行し、
上記第1モードにおいて、上記加熱部の温度を第1温度に設定し、
上記第2モードにおいて、上記加熱部の温度を上記第1温度よりも高い第2温度に設定する請求項11から13のいずれかに記載の画像記録方法。
【請求項15】
シートを搬送方向へ搬送する搬送部と、
ノズルから液体を吐出する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドより上記搬送方向の下流に位置しており、シートを加熱する加熱部と、
上記加熱部より上記搬送方向の下流に位置しており、シートを切断するカッタと、
コントローラと、を備えた画像記録装置の当該コントローラに実行されるプログラムであって、
上記プログラムは、
上記記録ヘッドから液体を吐出してシートに画像記録を行う画像記録処理と、
上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へ画像記録後のシートを搬送する第1搬送処理と、
上記第1搬送処理されたシートを上記カッタにより切断する切断処理と、
上記切断処理後に、上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へシートを搬送する第2搬送処理と、
上記第2搬送処理の後、上記搬送部により、シートの先端が上記記録ヘッドより上記搬送方向の上流に位置するまで上記搬送方向と逆向きにシートを搬送する逆搬送処理と、を上記コントローラに実行させるプログラム。
【請求項16】
上記搬送部は、上記加熱部より上記搬送方向の下流に位置する第1排出ローラと、上記第1排出ローラの回転に従動する第1従動部と、を有しており、
上記第1従動部は、シートの画像記録される面に当接し、
上記第2搬送処理において、上記切断処理において上記加熱部より上記搬送方向の上流に位置するシートの箇所を、上記第1排出ローラと上記第1従動部とが挟持するまでシートを搬送する請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
上記第2搬送処理において、上記第1排出ローラおよび上記第1従動部によってシートが挟持される挟持位置と上記加熱部の上記搬送方向の上流端との間の距離である第1距離以上であって、上記挟持位置と上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流端との間の距離である第2距離以下だけシートを搬送する請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
第1モードにおいて、上記画像記録処理、上記第1搬送処理、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行し、
第2モードにおいて、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行せずに、上記画像記録処理および上記第1搬送処理を実行し、
上記第1モードにおいて、上記加熱部の温度を第1温度に設定し、
上記第2モードにおいて、上記加熱部の温度を上記第1温度よりも高い第2温度に設定する請求項15から17のいずれかに記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置、画像記録方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された記録装置は、ロール紙を逆搬送可能なローラ対と、インクを吐出する印刷ヘッドと、印刷ヘッドより搬送方向の下流に位置するヒータと、プラテンとを具備している。複数のローラ対は、ロール紙を搬送する。ヒータは、ロール紙を加熱する。ロール紙の加熱により、ロール紙に付着したインクが乾燥する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-138407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒータの加熱により、未だ画像記録が行われていないロール紙の一部分に湾曲が生じることがある。特に、画像記録された領域をカッタで切断するときにロール紙の搬送が停止すると、ロール紙に湾曲が生じやすい。湾曲したロール紙の一部分に画像記録が行われるときに、ロール紙が印刷ヘッドのノズル面に接触して汚れるという問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱により湾曲したシートが記録ヘッドに接触しない手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、シートを搬送方向へ搬送する搬送部と、ノズルから液体を吐出する記録ヘッドと、上記記録ヘッドより上記搬送方向の下流に位置しており、シートを加熱する加熱部と、上記加熱部より上記搬送方向の下流に位置しており、シートを切断するカッタと、コントローラと、を備えている。上記コントローラは、上記記録ヘッドから液体を吐出してシートに画像記録を行う画像記録処理と、上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へ画像記録後のシートを搬送する第1搬送処理と、上記第1搬送処理されたシートを上記カッタにより切断する切断処理と、上記切断処理後に、上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へシートを搬送する第2搬送処理と、上記第2搬送処理の後、上記搬送部により、シートの先端が上記記録ヘッドより上記搬送方向の上流に位置するまで上記搬送方向と逆向きにシートを搬送する逆搬送処理と、を実行する。
【0007】
上記構成によれば、画像記録処理によってシートに画像が記録される。第1搬送処理によって画像記録後のシートが搬送方向へ搬送されるときに、加熱部によりシートが加熱されて液体がシートに定着する。切断処理によってシートにおいて画像記録された領域の下流側が、カッタにより切断される。シートは、カッタにより切断されるときに停止する。停止中において加熱部によりシートの一部分が加熱されると、シートにおいて加熱された領域より搬送方向の上流側が湾曲する。第2搬送処理によって切断後のシートが加熱されつつ搬送方向へ搬送されるので、湾曲した上流側の領域が加熱されて湾曲が小さくなる。逆搬送処理によってシートが記録ヘッドより搬送方向の上流まで搬送方向と逆向きに搬送される。シートの湾曲が小さくなるので、その後に画像記録が行われるときに、シートがノズル面に接触することを抑制できる
【0008】
(2) 好ましくは、上記搬送部は、上記加熱部より上記搬送方向の下流に位置する第1排出ローラと、上記第1排出ローラの回転に従動する第1従動部と、を有しており、上記コントローラは、上記第2搬送処理において、上記切断処理において上記加熱部より上記搬送方向の上流に位置するシートの箇所が、上記第1排出ローラと上記第1従動部とに挟持されるまで、シートを上記搬送方向へ搬送する。
【0009】
上記構成によれば、湾曲したシートの上流側の領域が、第1排出ローラと第1従動部とに狭持されることにより、シートの湾曲が更に小さくなる。
【0010】
(3) 好ましくは、上記第1従動部は、拍車であって、シートの画像記録される面に当接する。
【0011】
上記構成によれば、第1従動部が拍車であるため、第1従動部に液体が付着し難い。その結果、第1従動部からシートへ液体が転写されることが抑制される。
【0012】
(4) 好ましくは、 上記コントローラは、第1モードにおいて、上記画像記録処理、上記第1搬送処理、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行し、
第2モードにおいて、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行せずに、上記画像記録処理および上記第1搬送処理を実行し、上記第1モードにおいて、上記加熱部の温度を第1温度に設定し、上記第2モードにおいて、上記加熱部の温度を上記第1温度よりも高い第2温度に設定する。
【0013】
上記構成によれば、第1モードでは、画像記録が1回行われる毎にシートが切断されて逆搬送される。第2モードでは、シートの切断や逆搬送が行われることなく、画像記録とシートの搬送とが実行される。切断処理の間にシートが加熱されて湾曲し易くなるので、第1モードでは、第2温度より低い第1温度に加熱部を設定することにより、シートの湾曲が抑制される。
【0014】
(5) 好ましくは、上記液体は、樹脂成分と、色材と、有機溶剤と、水と、を含む。
【0015】
(6) 好ましくは、上記第1排出ローラよりも上記搬送方向の下流に位置しており、シートの画像を読み取る読取部を更に備えている。
【0016】
上記構成によれば、シートの湾曲が抑制されることによって、読取部によって精度よく画像読み取りができる。
【0017】
(7) 好ましくは、上記コントローラは、第1モードにおいて、上記画像記録処理、上記第1搬送処理、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行し、
第2モードにおいて、上記切断処理、上記第2搬送処理、および上記逆搬送処理を実行せずに、上記画像記録処理および上記第1搬送処理を実行し、上記第1モードにおいて、上記加熱部の温度を第1温度に設定し、上記第2モードにおいて、上記加熱部の温度を上記第1温度よりも高い第2温度に設定する。
【0018】
上記構成によれば、切断処理の間にシートが加熱されて湾曲し易くなるので、第1モードでは、第2温度より低い第1温度に加熱部を設定することにより、シートの湾曲が抑制される。シートの湾曲が抑制されることによって、読取部によって精度よく画像読み取りができる。
【0019】
(8) 好ましくは、上記搬送部は、上記読取部の上記搬送方向の下流に位置する第2排出ローラと、上記第2排出ローラの回転に従動する第2従動部と、を更に有しており、上記コントローラは、上記第2搬送処理において、上記切断処理において上記加熱部より上記搬送方向の上流に位置するシートの箇所が、上記第2排出ローラと上記第2従動部とに挟持されるまで、シートを上記搬送方向へ搬送する。
【0020】
上記構成によれば、湾曲したシートの上流側の領域が、第2排出ローラと第2従動部とに狭持されることにより、シートの湾曲が更に小さくなる。
【0021】
(9) 好ましくは、上記第2従動部は、拍車であって、シートの画像記録される面に当接する。
【0022】
上記構成によれば、第2従動部が拍車であるため、第2従動部に液体が付着し難い。その結果、第2従動部からシートへ液体が転写されることが抑制される。
【0023】
(10) 好ましくは、上記コントローラは、上記第2搬送処理において、上記第1排出ローラおよび上記第1従動部によってシートが挟持される挟持位置と上記加熱部の上記搬送方向の上流端との間の距離である第1距離以上であって、上記挟持位置と上記記録ヘッドの上記搬送方向の下流端との間の距離である第2距離以下だけシートを搬送する。
【0024】
上記構成によれば、第2搬送処理において、挟持位置から第1距離以上であって第2距離以下のシートの領域が加熱されるので、シートにおいて湾曲が生じる領域が確実に加熱される。
【0025】
(11) 本発明に係る画像記録方法は、記録ヘッドから液体を吐出してシートに画像記録を行う画像記録処理と、加熱部を駆動した状態で、搬送部により搬送方向へ画像記録後のシートを搬送する第1搬送処理と、上記第1搬送処理されたシートをカッタにより切断する切断処理と、上記切断処理後に、上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へシートを搬送する第2搬送処理と、上記第2搬送処理の後、上記搬送部により、シートの先端が上記記録ヘッドより上記搬送方向の上流に位置するまで上記搬送方向と逆向きにシートを搬送する逆搬送処理と、を含む
【0026】
(12) 本発明に係るプログラムは、シートを搬送方向へ搬送する搬送部と、ノズルから液体を吐出する記録ヘッドと、上記記録ヘッドより上記搬送方向の下流に位置しており、シートを加熱する加熱部と、上記加熱部より上記搬送方向の下流に位置しており、シートを切断するカッタと、コントローラと、を備えた画像記録装置の当該コントローラに実行されるプログラムであって、上記プログラムは、上記記録ヘッドから液体を吐出してシートに画像記録を行う画像記録処理と、上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へ画像記録後のシートを搬送する第1搬送処理と、上記第1搬送処理されたシートを上記カッタにより切断する切断処理と、上記切断処理後に、上記加熱部を駆動した状態で、上記搬送部により上記搬送方向へシートを搬送する第2搬送処理と、上記第2搬送処理の後、上記搬送部により、シートの先端が上記記録ヘッドより上記搬送方向の上流に位置するまで上記搬送方向と逆向きにシートを搬送する逆搬送処理と、を上記コントローラに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、シートの湾曲が小さくなるので、シートが記録ヘッドに接触し難い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1(A)は、プリンタ10の外観を模式的に示す斜視図、図1(B)は、筐体カバー13が開位置にあるプリンタ10を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1の線II-IIに沿うプリンタ10の縦断面を示す模式図である。
図3図3は、シートSを示す模式図である。
図4図4は、図2のCISユニット30の底面を示す斜視図であって、拍車ホルダユニット31が装着された状態を示す図である。
図5図5は、プリンタ10の機能ブロック図である。
図6図6は、プリンタ10のユーザによる操作について説明するためのフローチャートである。
図7図7は、コントローラ130によるプリンタ10の制御について説明するためのフローチャートである。
図8図8は、コントローラ130によるプリンタ10の制御について説明するためのフローチャートである。
図9図9は、1の記録データにおいて1枚のラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
図10図10は、第1モードでラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
図11図11は、第1モードでラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
図12図12は、第1モードでラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
図13図13は、第1モードでラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
図14図14は、第2モードでラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
図15図15は、第2モードでラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
図16図16は、第2モードでラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
図17図17は、第2モードでラベルLを搬送および切断するプリンタ10の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ10について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0030】
実施形態では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。プリンタ10が使用可能に設置された状態(図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義される。プリンタ10において排出口16が設けられている側を前側として、前後方向8が定義される。プリンタ10を前方から見て左右方向9が定義される。
【0031】
[プリンタ10の筐体1]
図1図2に示されるように、プリンタ10(画像記録装置の一例)は、外部情報機器に接続されており、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する。
【0032】
プリンタ10において、筐体1は、略直方体形状であり、プリンタ10の内部空間11を外部から区画する。筐体1は、筐体ケース12および筐体カバー13からなる。
【0033】
筐体ケース12の前壁15においては、排出口16を有する。排出口16は、左右方向9に沿って細長い長方形の貫通孔である。筐体カバー13には、操作部34が設けられている。操作部34は、画像記録の指示や各種設定のために操作されるボタンや、各種情報が表示される液晶ディスプレイなどによって構成されている。筐体カバー13は、筐体ケース12の後壁17に、軸受およびシャフト(不図示)により取り付けられる。
【0034】
筐体カバー13は、シャフトの回転軸18(図1(B)参照)の周方向に閉位置(図1(A)に示される位置)および開位置(図1(B)に示される位置)の間で回動する。回転軸18は、左右方向9と平行である。閉位置の筐体カバー13は、筐体ケース12における上端の開口19を閉塞する。開位置の筐体カバー13は、開口19を開放する。なお、図1(B)には、筐体1内の構成は示されていない。また、以下では、特に断り書きが無い場合、用語「筐体カバー13」は、「閉位置の筐体カバー13」を意味する。
【0035】
[プリンタ10の内部構成]
図2に示されるように、プリンタ10は、内部空間11に、ロールホルダ21、搬送路33、テンショナ22、搬送部23、センサ35、記録ヘッド24、支持機構25、ヒータ(加熱部の一例)26、ヒーターカバー27、基準板29、CISユニット(読取部の一例)30、カッタ28を備える。なお、プリンタ10は、さらにその他の装置を有するものであってもよい。
【0036】
[ロールホルダ21]
内部空間11内で後方寄り且つ下方寄りには、隔壁36により収容空間37が区画される。ロールホルダ21は、収容空間37内に位置している。ロールホルダ21は、内部空間11内で左右両端付近に位置するフレーム(不図示)により支持される。ロールホルダ21には、ロール体38が装着され、シートSが芯管に巻回される。ロール体38は、芯管を有さないロール状に巻回されたシートSでもよい。図3に示されるように、シートSは、上面に複数のラベルLが一定の間隔を隔てて配置されている。シートSに画像記録される際には、1つのラベルLに対して1頁分の画像が記録される。つまり、2頁分の画像が記録される場合には、2つのラベルLに対してそれぞれ1頁分の画像が記録される。シートSは、画像記録された後、前後する2つのラベルL間の位置で切断される。シートSの下面には各ラベルLに対応してマークMが記されている。
【0037】
また、収容空間37には、シートSとして、長尺のファンフォールド紙、またはカット紙が収容可能であってもよい。隔壁36の後端と、後壁17との間には、シートSが通過する隙間39が形成されている。シートSは、ロール体38から引き出されて隙間39を通ってテンショナ22に向かって延びる。
【0038】
[テンショナ22]
テンショナ22は、ロールホルダ21の上方且つ搬送ローラ対41の後方に位置し、フレームに支持されている。テンショナ22は、ロールホルダ21と搬送ローラ対41の間において、搬送路33を搬送されるシートにテンションを付与する。テンショナ22は、ベース61と、ベース61に揺動可能に支持される円弧部材63と、円弧部材63をベース61に対して後方に付勢する付勢部材62と、を有している。テンショナ22においては、シートSが、ロールホルダ21の上方から搬送ローラ対41に向かって湾曲するように円弧部材63によって支持される。
【0039】
[搬送部23]
搬送部23は、ロール体38から引き出されたシートSを搬送路33に沿って排出口16へと搬送する。搬送部23は、搬送ローラ対41と、第1排出ローラ対51と、第2排出ローラ対52と、を有している。搬送部23は、コントローラ130によって回転方向を切り替え可能である。搬送部23は、搬送路33に沿ってロールホルダ21から排出口16へ向かう搬送方向P1にシートSを搬送可能であり、排出口16からロールホルダ21へ向かう逆搬送方向P2にも搬送可能である。
【0040】
搬送路33は、図2において2点鎖線で示されるように、ロールホルダ21を基点として、下方から上方に延びつつテンショナ22に沿って湾曲してから前方へと概ね直線状に延び、排出口16に至る通路である。
【0041】
搬送ローラ対41は、テンショナ22の前方に位置し、フレームに回転可能に支持されている。搬送ローラ対41は、搬送ローラ42と、従動ローラ43と、を有している。搬送ローラ42および従動ローラ43は、それぞれ左右方向9に沿って延びている。搬送ローラ42は、シートSのマークMが記されている下面に当接する。従動ローラ43は、シートSの画像が記録される上面に当接する。従動ローラ43は、例えば、拍車であり、搬送ローラ42の上端に上方から当接する。搬送ローラ42は、ローラ駆動モータ101(図5参照)から駆動伝達されて回転し、シートSを従動ローラ43との間にニップしつつ前方または後方に搬送する。
【0042】
第1排出ローラ対51は、ヒータ26の前方且つCISユニット30の後方に位置する。第1排出ローラ対51は、第1排出ローラ53と、従動ローラ(第1従動部の一例)55と、を有している。第1排出ローラ53は、左右方向9に沿って延びており、フレームに回転可能に支持されている。第1排出ローラ53は、シートSのマークMが記されている下面に当接する。従動ローラ55は、後述する拍車ホルダ313Aに回転可能に支持されている。従動ローラ55は、シートSの画像が記録される上面に当接する。従動ローラ55は、拍車であり、第1排出ローラ53の上端に上方から当接する。第1排出ローラ53は、ローラ駆動モータ101から駆動伝達されて回転し、シートSを従動ローラ55との間にニップしつつ前方または後方に搬送する。
【0043】
第2排出ローラ対52は、CISユニット30の前方且つカッタ28の後方に位置する。第2排出ローラ対52は、第2排出ローラ54と、従動ローラ(第2従動部の一例)56と、を有している。第2排出ローラ54は、左右方向9に沿って延びており、フレームに回転可能に支持されている。第2排出ローラ54は、シートSのマークMが記されている下面に当接する。従動ローラ56は、後述する拍車ホルダ313Aに回転可能に支持されている。従動ローラ56は、シートSの画像記録される上面に当接する。従動ローラ56は、拍車であり、第2排出ローラ54の上端に上方から当接する。第2排出ローラ54は、ローラ駆動モータ101から駆動伝達されて回転し、シートSを従動ローラ56との間にニップしつつ前方または後方に搬送する。
【0044】
[ロータリエンコーダ75]
図2に示されるロータリエンコーダ75は、ローラ駆動モータ101(図4参照)の軸に設けられてローラ駆動モータ101と共に回転するエンコーダディスクと光学センサとからなる。エンコーダディスクには、光が透過される透過部と光が透過されない非透過部とが円周方向に等ピッチで交互に配置されたパターンが形成されている。エンコーダディスクが回転すると、光学センサによって透過部と非透過部とが検出される毎にパルス信号が生成される。生成されたパルス信号は、コントローラ130に出力される。
【0045】
[センサ35]
センサ35は、シートSの下面においてラベルL間に記されているマークMを読み取る。各マークMは、各ラベルLに対応して記されている。図2に示されるように、センサ35は、搬送ローラ対41よりも前方、且つ、記録ヘッド24より後方の待機位置に位置する。待機位置には、画像記録される前のシートSの前端が位置する。センサ35は、フレームに支持されている。センサ35は、搬送路33の下方に位置しており、搬送路33の上方に位置する支持面(不図示)に対向している。センサ35は光学センサである。センサ35は、プリンタ10の電源がオンであるとき、発光素子から所定光量の光を受光素子に向けて上方に出射する。センサ35において、受光素子は、受光光量に応じてレベルが変化する信号をコントローラ130(図5参照)に出力する。本実施形態では、センサ35の出射光がシートSのマークM以外の領域に入光した場合、シートSでの反射光の一部が受光素子に入光する。しかし、センサ35の出射光がシートSのマークMに入光した場合、その入射光はマークMに吸収される。そのため、信号は、搬送路33上において各ラベルLの印刷位置を示す。
【0046】
[記録ヘッド24]
記録ヘッド24は、センサ35の前方であってヒータ26より後方に位置しフレームに支持されている。記録ヘッド24は、支持機構25の上方に位置する。記録ヘッド24は、記録ヘッド24の下面に形成された複数のノズル57が開口する面であるノズル面58と、圧電素子(不図示)とを有している。記録ヘッド24は、ノズル57から支持機構25によって支持されたシートSへ向かってインク(液体の一例)を吐出する。圧電素子は、コントローラ130により駆動される。記録ヘッド24は、インクタンク(不図示)からチューブ(不図示)を介してインクの供給を受ける。インクは、樹脂成分と、色材と、有機溶剤と、水とを含む。シートS上のインクは、ヒータ26によって加熱されることによって、水分や溶剤分の蒸発が起こりシートSに定着する。インクは、熱可塑性樹脂微粒子を含む。シートS上のインクは、ヒータ26によって加熱されて、熱可塑性樹脂微粒子が溶融し、その後の冷却によって溶融した樹脂が硬化する。インクは、当該インクに含まれる顔料が膜状の樹脂によって覆われてシートSに定着する。
【0047】
[インクの組成]
以下、インクの詳細が説明される。インクは、樹脂成分、色材、有機溶剤、及び水を有する。インクは、樹脂成分、色材、及び有機溶剤が水に溶けた水性インクである。
【0048】
樹脂成分としては、例えば、市販品を用いることができる。樹脂成分は、例えば、モノマーとして、スチレン、塩化ビニル等を含んでもよい。樹脂成分は、インク中で溶解した状態であっても、樹脂粒子として分散したエマルジョンの状態であってもよい。また、これらの樹脂成分は1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。樹脂成分としては、例えば、アクリル酸系樹脂、マレイン酸系エステル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、カーボネート型樹脂、ポリカーボネート型樹脂、スチレン系樹脂、エチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びこれらの共重合体樹脂等が挙げられる。
【0049】
樹脂成分としては、例えば、-30℃以上200℃以下の範囲内においてガラス転移温度(Tg)を有する樹脂が用いられる。より好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は、-30℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは、-30℃以上150℃以下である。
【0050】
エマルジョンとしては、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス(登録商標)870」(Tg:71℃)、「スーパーフレックス(登録商標)150」(Tg:40℃)、ジャパンコーティングレジン(株)製の「モビニール(登録商標)6760」(Tg:-28℃)、「モビニール(登録商標)DM774」(Tg:33℃)、昭和電工(株)製の「ポリゾール(登録商標)AP-3270N」(Tg:27℃)、星光PMC(株)製の「ハイロース-X(登録商標)KE-1062」(Tg:112℃)、「ハイロース-X(登録商標)QE-1042」(Tg:69℃)等が挙げられる。
【0051】
樹脂成分の平均粒子径は、例えば、30nm以上200nm以下の範囲内である。平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB-550」を用いて、算術平均径として測定可能である。
【0052】
インク全量における樹脂成分の含有量(R)は、例えば、0.1wt%以上30wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは0.5wt%以上20wt%以下の範囲内であり、特に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。樹脂成分は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0053】
色材は、例えば、顔料分散用樹脂(樹脂分散剤)によって、水に分散可能な顔料である。色材としては、例えば、カーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料及びカーボンブラック系無機顔料等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック昼光蛍光顔料;等が挙げられる。
【0054】
インク全量における色材の固形分含有量は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度又は彩度等により、適宜決定できる。色材の固形分含有量は、例えば、0.1wt%以上20.0wt%以下の範囲内が好ましく、更に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。色材の固形分含有量は、顔料のみの重量であり、樹脂成分の重量は含まない。色材は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0055】
有機溶剤は、溶剤と水とを1:1で混合した際に、均一に混ざり合う溶剤である。有機溶剤としては、特に限定はなく、任意のものが使用できる。有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、プロピレングリコール又は1,2-ブタンジオールが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0056】
インク全量における有機溶剤の含有量は、例えば、1wt%以上70wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは3wt%以上50wt%以下の範囲内である。
【0057】
水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。インク全量における水の含有量は、例えば、15wt%以上95wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは25wt%以上85wt%以下の範囲内である。水の含有量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0058】
インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防腐剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、ノズル乾燥防止剤、エマルジョンなどのポリマー成分、染料等が挙げられる。界面活性剤は、さらに、ノニオン性界面活性剤を含んでもよい。ノニオン性界面活性剤は、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日信化学工業(株)製の「オルフィン(登録商標)E1010」、「オルフィン(登録商標)E1006」及び「オルフィン(登録商標)E1004」等が挙げられる。インク全量におけるノニオン性界面活性剤の含有量は、例えば、5重量%以下、3重量%以下、0.1重量%~2重量%である。粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等が挙げられる。
【0059】
インクは、例えば、樹脂成分と、色材と、有機溶剤と、水と、必要に応じて他の添加剤とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
【0060】
[支持機構25]
支持機構25は、搬送ローラ対41より前方、且つ記録ヘッド24の直下に位置し、フレームにより支持される。支持機構25は、搬送ベルト70と、支持ローラ71と、サブローラ72と、シート支持部材73とを有する。
【0061】
搬送ベルト70は、無端ベルトであり、図2に示されるように、前後方向8に離間する支持ローラ71およびサブローラ72に張架される。支持ローラ71は、ローラ駆動モータで生成された動力によって回転し、搬送ベルト70およびサブローラ72を回転させる。
【0062】
搬送ベルト70は、搬送路33を挟んで記録ヘッド24のノズル面58と対向する搬送面(不図示)を有している。搬送面は、搬送ローラ対41とヒータ26の間を搬送されるシートSを下方から支持し、シートSに搬送力を付与する。
【0063】
シート支持部材73は、搬送面の左右に位置して搬送路33を搬送されるシートSを吸着する。シート支持部材73は、搬送面に支持されるシートSを搬送面の左右両隣で支持する。シート支持部材73には、吸引ファン80が接続されておりシート支持部材73の上面に形成された開口(不図示)からシートSの下面を吸着可能に支持する。シートSは、シート支持部材73に吸着されつつ、搬送ローラ対41および搬送ベルト70から付与される搬送力によって搬送される。
【0064】
[ヒータ26]
ヒータ26は、支持機構25より前方でフレームに支持される。ヒータ26は、前後方向8および左右方向9に延びる。ヒータ26は、伝熱プレート46と、フィルムヒータ47と、を有している。伝熱プレート46は、金属製であり、搬送ベルト70の搬送面と概ね同じ上下位置に、前後左右に拡がる支持面を有する。支持機構25から送り出されたシートSは、伝熱プレート46の支持面上で前方へと搬送される。フィルムヒータ47は、伝熱プレート46の下面に固定されており、コントローラ130の制御下で発熱する。この熱は、伝熱プレート46を介して、伝熱プレート46上のシートSに伝わる。伝熱プレート46の熱は、シートS、シートSに吐出されたインク、或いはシートSに吐出されてシートSに含浸したインクを加熱して水分を蒸発させる。
【0065】
[ヒーターカバー27]
ヒーターカバー27は、ヒータ26から上方に若干離れて位置する。ヒーターカバー27は、筐体カバー13の左壁14および右壁20(図1(B)参照)の間で前後左右に拡がる。ヒーターカバー27は、伝熱プレート46の支持面全域を覆っている。
【0066】
[CISユニット30]
CISユニット30は、シートSに記録された画像を読み取る。CISユニット30は、ヒータ26よりも前方に位置している。より具体的には、CISユニット30は、前後方向8において第1排出ローラ53と、第2排出ローラ54の間に位置する。CISユニット30は、左右方向9に延びる略直方体のホルダ77を有している。
【0067】
[拍車ホルダユニット31]
図4に示されるように、筐体カバー13の内部空間11においてCISユニット30のホルダ77の直前および直後には、収容空間101A,101Bがそれぞれ形成される。収容空間101Aは、ヒーターカバー27より前方に区画される。収容空間101A,101Bの各々は、下向きに開放されている。収容空間101A,101Bには、二個一対の支持部材311A、311Bが筐体カバー13にそれぞれ取り付けられている。二個の支持部材311Aの間、および二個の支持部材311Bの間には、円柱形状のシャフト312A,312Bが左右方向9に平行に架け渡されている。
【0068】
シャフト312A,312Bには、拍車ホルダユニット31が着脱可能に取り付けられている。拍車ホルダユニット31は、シャフト312A,312Bに装着されるとき、収容空間101A,101Bに収容され、第1排出ローラ53および第2排出ローラ54の上方に位置する。拍車ホルダユニット31は、拍車ホルダ313A,313Bと、連結部材314A,314Bと、嵌合部315A,315Bと、を有する。
【0069】
[拍車ホルダ313A,313B]
拍車ホルダ313A,313Bの各々は、左右方向9に細長く拍車ホルダユニット31がシャフト312A,312Bに装着された時に、収容空間101A,101Bに収容され位置決めされる。拍車ホルダ313A,313Bには、第1拍車ローラ317A、第2拍車ローラ317Bが左右にそれぞれ並んでいる。第1拍車ローラ317Aおよび第2拍車ローラ317Bの各々は、左右方向9に平行な回転軸周りに回転可能に拍車ホルダ313A,313Bに支持される。第1拍車ローラ317Aおよび第2拍車ローラ317Bの各下端は、拍車ホルダ313A,313Bに形成されたスリットから若干突出し、第1排出ローラ53および第2排出ローラ54(図2参照)の上端に当接する。
【0070】
連結部材314Aは、ホルダ77よりも左方の位置で前後に延びる平板であり、拍車ホルダ313A,313Bの左端同士を互いに連結する。連結部材314Bは、ホルダ77よりも右方の位置で前後に延びる平板であり、拍車ホルダ313A,313Bの右端同士を互いに連結する。
【0071】
嵌合部315Aは、拍車ホルダ313Aから後方に延びている。嵌合部315Bは、拍車ホルダ313Bから前方に突出している。嵌合部315A,315Bは、シャフト312A,312Bに嵌合する。嵌合部315A,315Bがシャフト312A,312Bに嵌合することで第1拍車ローラ317A、第2拍車ローラ317Bが、CISユニット30の前後に位置する。
【0072】
[基準板29]
図2に示されるように、基準板29は、前後方向8において第1排出ローラ53と、第2排出ローラ54の間の位置であって、CISユニット30の直下に位置する。基準板29は、フレームに支持される。基準板29は、第1排出ローラ53および第2排出ローラ54の各上端と概ね同じ上下位置で前後左右に拡がる支持面を有する。支持面は、上方を向いており、白色に着色されている。
【0073】
[カッタ28]
カッタ28は、第2排出ローラ54の前方に位置する。カッタ28は、カッタキャリッジ48にカッタ刃49が搭載されたものである。カッタキャリッジ48は、不図示のベルト駆動機構などによって、左右方向9に移動する。カッタキャリッジ48の移動に伴って、カッタ刃49も左右方向9に移動する。カッタ刃49の移動によって、第2排出ローラ54と排出口16との間に位置するシートSが左右方向9に沿って切断される。
【0074】
[コントローラ130とデバイスの構成]
図5は、プリンタ10のコントローラ130及びその周辺デバイスの構成を示している。コントローラ130は、プリンタ10の全体動作を統括して制御するものである。コントローラ130は、CPU(Central Processing Unit)131、ROM(Read Only Memory)132、RAM(Random Access Memory)133、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)134を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、内部バス136を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)135に接続されている。
【0075】
ROM132には、プリンタ10の各種動作を制御するためのOS98およびプログラム99(図5参照)等が格納されている。EEPROM134には、上記プログラム99に従った処理に用いられる各種データが格納されている。
【0076】
CPU131は、コントローラ130を構成する周辺デバイス、或いはコントローラ130により制御される被制御機器を統括的に制御するものである。CPU131によって、ROM132に格納されたプログラム99や、RAM133またはEEPROM134に格納されたデータが読み出され、プログラム99に従った演算が行われる。
【0077】
ASIC135には、シートSの画像の読取りを行うCISユニット30が接続されている。ASIC135は、CPU131の指令に基づいて、光源から光を照射するための電気信号や光電変換素子から画像データを出力するためのタイミング信号をCISユニット30に付与する。CISユニット30は、これら信号を受けて、所定のタイミングでシートSに光を照射し、光電変換素子により変換された画像データを出力する。
【0078】
ASIC135には、プリンタに所望の指令を入力する操作部34が接続されている。操作部34は、所定のコード信号を出力する。CPU131は、操作部34から所定のキーコードを受信すると、所定のキー処理テーブルに従って、実行すべき制御処理を行う。キー処理テーブルは、キーコードと制御処理とを対応させてテーブル化したものであり、例えば、ROM132に記憶されている。
【0079】
ASIC35には、温度センサ107が接続されている。温度センサ107は、例えば、5秒毎にヒータ26の温度を測定する。コントローラ130は、ヒータ26への電力供給をオンオフすることでフィルムヒータ47を加熱し、ヒータ26の温度を設定温度に維持する。ここでの設定温度は、プリンタ10が1枚のラベルLに画像記録を行いつつ1枚のラベルL毎に切断して排出を行う場合(以下、第1モードとも称する。)、第1温度である100℃に設定される。また、設定温度は、プリンタ10が複数のラベルLを切断することなく連続して画像記録を行った後に当該連続して画像記録した最終頁のラベルLの後端で切断する場合(以下、第2モードとも称する。)、第2温度である150℃に設定される。後述する画像記録処理、第1搬送処理、切断処理、第2搬送処理、および逆搬送処理の各処理は、第1モードにおいては、ヒータ26の温度を概ね100℃に維持して実行し、第2モードにおいては、概ね150℃に維持して実行される。
【0080】
ASIC135には、センサ35が接続されている。センサ35は、搬送路33においてシートSの下面に記録されたマークMを検知したことに応じた検知信号を出力する。コントローラ130は、センサ35からハイレベルの信号を取得した場合、センサ35の配置位置にマークMが位置することを検知する。コントローラ130は、センサ35からローレベルの信号を取得した場合、センサ35の配置位置にシートSのマークMが位置しないことを検知する。
【0081】
ASIC135には、ロータリエンコーダ75が接続されている。コントローラ130は、ロータリエンコーダ75の光学センサから受け取った電気信号に基づいて、搬送用モータの回転量を算出する。
【0082】
ASIC135には、ホルダ駆動モータ100、ローラ駆動モータ101、カッタ駆動モータ102、キャリッジモータ103、および吸引モータ104が接続されている。ASIC135には、各モータ100,101,102,103,104を制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131は、各モータ100,101,102,103,104を回転させるための駆動信号を各モータ100,101,102,103,104に対応する駆動回路に出力する。駆動回路は、CPU131から取得した駆動信号に応じた駆動電流を対応するモータへ出力する。これにより、対応するモータが回転する。つまり、コントローラ130は、ホルダ駆動モータ100を制御して、ロールホルダ21を駆動する。また、コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を制御して、搬送ローラ42、支持ローラ71、第1排出ローラ53、第2排出ローラ54を駆動し、搬送路33においてシートSを搬送する。コントローラ130は、カッタ駆動モータ102を制御して、カッタ刃49を移動する。コントローラ130は、キャリッジモータ103を制御して、記録ヘッド24を移動する。コントローラ130は、吸引モータ104を制御して、吸引ファン80を駆動する。
【0083】
[コントローラ130による処理]
コントローラ130は、画像記録処理と、第1搬送処理と、切断処理と、第2搬送処理と、逆搬送処理とを行う。本実施形態においては、コントローラ130は、各処理を画像記録処理、第1搬送処理、切断処理、第2搬送処理、逆搬送処理の順で行う。以下、図6から図8において示す各処理のフローチャートについて、図9から図16とともに説明される。
【0084】
画像記録に先立って、ユーザは、プリンタ10の電源をオンにして、収容空間37にロール体38を装着しシートSをセットする。具体的には、ユーザは、シートSをロール体38から引き出して搬送ローラ対41にニップさせる。なお、ユーザは、シートSの充填において、操作部34を通じて、左右方向9の幅やラベルLのサイズ等が異なるシートSの種類の入力を行う。シートSの種類などの入力された情報は、ROM132に格納される。電源がオンにされると、ヒータ26が第1モードで加熱される。
【0085】
次いで、操作部34へユーザがセットの入力を行うと、図6に示されるようにコントローラ130は、ホルダ駆動モータ100を駆動しつつ(S10)、ローラ駆動モータ101を駆動する(S11)。これにより、シートSが搬送方向P1に搬送される。次に、コントローラ130は、シートSの前端が待機位置に位置するか否かを判断する(S12)。
【0086】
コントローラ130は、シートSの前端が待機位置に位置しないと判断したとき(S12:No)、シートSの前端が待機位置に位置するまでホルダ駆動モータ100を駆動しつつ(S10)ローラ駆動モータ101を駆動する(S11)。コントローラ130は、シートSの前端が待機位置に位置すると判断したとき(S12:Yes)、ホルダ駆動モータ100の駆動を停止するとともに(S13)ローラ駆動モータの駆動を停止する(S14)。図9に示されるように、シートSの前端が待機位置に位置するとき、シートSの前端はセンサ35の上方に位置する。コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を正回転している間、ロータリエンコーダ75から出力されるパルス信号に基づいて、搬送ローラ42の回転量を監視する。そして、待機位置までの目標回転量と搬送ローラ42の回転量との差分に応じて、シートSの先端が待機位置であるかを判定する。これにより、シートSのセッティングが終了する。
【0087】
プリンタ10は、少なくとも第1モードおよび第2モードによる画像記録を実行できる。第1モードは、シートSの各ラベルLnへの画像記録と、1ラベル分の切断とを交互に実行するモードである。第2モードはシートSの各ラベルLnへの画像記録を、シートSを切断することなく連続で行い、最後のラベルLnへの画像記録を行った後に1回の切断を実行するモードである。
【0088】
以下、第1モードでラベル1枚分の記録データを受信したときのプリンタ10の制御が、図7のフローチャートとともに図9から図13を参照しつつ説明される。
【0089】
図7に示されるように、コントローラ130は、記録データが入力されたか否かを判断する(S20)。コントローラ130は、待機位置に位置するときにおいて、記録データが入力されるまで待機する(S20:No)。コントローラ130は、例えば外部の情報機器などから記録データを受信することにより、記録データが入力されたと判断すると(S20:Yes)、吸引モータ104を駆動する(S21)。これにより、吸引ファン80が駆動して支持機構25において空気が吸引される。コントローラ130は、記録データに基づいて、第1モード(図7参照)または第2モード(図8参照)を選択して画像記録を行う。
【0090】
コントローラ130は、吸引モータ104を駆動した後、入力された記録データが第1モードで行われる画像記録か、第2モードで行われる画像記録かを判断する(S22)。コントローラ130は、入力された記録データが第1モードを示すと判断したとき(S22:Yes)、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を駆動する(S23)。入力された記録データが第1モードでなく、第2モードを示す場合については後述する(S22:No)。第1モードにおいては、温度センサ107の設定温度が100℃であるため、次に記録データが第1モードで行われるか或いは第2モードで行われるかの判断が行われるまで、ヒータ26への電力供給をオンオフしてヒータ26の温度を概ね100℃に維持する。具体的には、コントローラ130は、温度センサ107の検知信号に基づいて、ヒータ26の温度が95℃以下であるときヒータ26への電力供給を行い、ヒータ26の温度が105℃以上になったときヒータ26への電力供給を停止する。
【0091】
コントローラ130は、1枚目のラベルL1の前端がノズル面58の下方に位置する画像記録位置に到達したか否かを判断する(S24)。コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を正回転している間、ロータリエンコーダ75から出力されるパルス信号によるエンコーダ量に基づいて、搬送ローラ42の回転量を監視する。コントローラ130は、画像記録位置までの目標回転量と搬送ローラ42の回転量との差分(目標エンコーダ量と現在のエンコーダ量との差分)に応じて、1枚目のラベルL1の前端が画像記録位置であるかを判定する。ローラ駆動モータ101の正回転とは、シートSが搬送方向P1に搬送されるときのローラ駆動モータ101の回転方向である。
【0092】
コントローラ130は、ラベルL1の前端が画像記録位置に到達していないと判断したとき(S24:No)、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101の駆動を継続する(S23)。コントローラ130は、ラベルL1の前端が画像記録位置に到達したと判断したとき(S24:Yes)、ラベルL1への画像記録処理を開始する(S25)。画像記録処理において、コントローラ130は、記録データに基づいて、記録ヘッド24によってラベルLに画像を記録するためのデータを生成して記録ヘッド24に送信する。記録ヘッド24は、データに基づいてノズル57から選択的にインクを吐出する。このように、画像記録処理は、ユーザによって操作部34または外部情報機器から入力された記録データに基づいて記録ヘッド24がラベルLに画像を記録する処理である。
【0093】
コントローラ130は、ローラ駆動モータ101の正回転を継続して、画像記録が行われたラベルL1が搬送路33に沿って搬送されつつCISユニット30の下方を通過するときに、CISユニット30によりラベルL1に記録された画像が読み取られる。コントローラ130は、読み取った画像データに基づいてラベルL1に記録された画像が不良でないかを判定するが、ここでは判定の詳細な説明は省略する。
【0094】
コントローラ130は、ローラ駆動モータ101の正回転を継続して、シートSにおける1枚目のラベルL1と2枚目のラベルL2との間の位置が、カッタ刃49の直下の切断位置に位置するか否かを判断する(S26)。コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を正回転している間、ロータリエンコーダ75から出力されるパルス信号に基づいて、搬送ローラ42の回転量を監視する。そして、切断位置までの目標回転量と搬送ローラ42の回転量との差分に応じて、ラベルL1とラベルL2との間が切断位置であるかを判定する。
【0095】
コントローラ130は、1枚目のラベルL1と2枚目のラベルL2との間の位置が、切断位置でないと判断したとき(S26:No)、1枚目のラベルL1と2枚目のラベルL2との間の位置が切断位置に位置するまでローラ駆動モータ101の駆動を継続する。このように、ラベルL1に画像が記録された後においては、ヒータ26を駆動した状態で、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101を駆動して、シートSを搬送方向P1へ搬送する第1搬送処理が行われる。
【0096】
コントローラ130は、1枚目のラベルL1と2枚目のラベルL2との間の位置が切断位置であると判断したとき(S26:Yes)、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101を停止する(S27)。コントローラ130は、カッタ駆動モータ102を駆動して切断位置において1枚目のラベルL1をシートSから切断する(S28)。つまり、第1搬送処理が行われたシートSは、1枚目のラベルL1がシートSからカッタ28によって切断される切断処理が行われる。
【0097】
カッタ駆動モータ102が駆動されてカッタ28がシートSを切断しているとき、図10に示されるように、シートSが停止しており、シートSのヒータ26に位置する部分はヒータ26により加熱される。加熱されることにより、シートSに含まれる水分が蒸発する。水分の蒸発によりシートSは若干収縮する。ヒータ26によりシートSの一部分が加熱されて一部分が収縮する一方で、一部分の上流および下流はヒータ26により加熱されないか加熱が少ないので、一部分の上流および下流においてシートSは収縮しない。このような収縮の有無によって、シートSの加熱された一部分の上流および下流においてシートSが湾曲する。
【0098】
本実施形態においては、シートSにおける2枚目のラベルL2と3枚目のラベルL3との間がヒータ26に位置する。この場合、シートSにおける2枚目のラベルL2と3枚目のラベルL3との間の部分がヒータ26の加熱によって収縮する。そして、2枚目のラベルL2の後端部分および3枚目のラベルL3の前端部分が大きく湾曲する。特に、ラベルL2の後端部分は一度ヒータ26を通過して加熱されているため、ある程度水分が蒸発しているがラベルL3の前端部分は、ヒータ26へ到達していないため加熱されずに水分が蒸発していない。このため、ラベルL3の前端部分は、ラベルL2の後端部分よりも大きく湾曲する。
【0099】
コントローラ130は、1枚目のラベルL1がシートSから切断された後、所定時間が経過した後に、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を再び正回転させる(S29)。所定時間は、ROM132に記憶されている予め設定された時間であり、カッタ刃49がシートSを切断するのに要する時間以上に設定されている。
【0100】
コントローラ130は、所定距離DだけシートSが搬送されたか否かを判断する(S30)。このときのシートSの前端は、1枚目のラベルL1と2枚目のラベルL2との間になる。コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を正回転している間、ロータリエンコーダ75から出力されるパルス信号に基づいて、搬送ローラ42の回転量を監視する。そして、所定距離Dの目標回転量と搬送ローラ42の回転量との差分に応じて、切断処理されたシートSの前端が所定距離Dだけ搬送されたかを判定する。
【0101】
コントローラ130は、切断処理後において、シートSが所定距離Dだけ搬送されていないと判断したとき(S30:No)、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を正回転させてシートSの搬送を継続する(S29)。このように、切断処理後において、ヒータ26を駆動した状態で、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101を駆動して、シートSを搬送方向P1へ搬送する第2搬送処理が行われる。
【0102】
所定距離Dは、図11に示されるように、第1排出ローラ53と従動ローラ55とによってシートSが挟持される挟持位置Wとヒータ26における搬送方向P1の上流端Uとの間の距離である第1距離D1以上であって、挟持位置Wと記録ヘッド24における搬送方向P1の下流端Tとの間の距離である第2距離D2以下の範囲で予め定められてROM132に格納されている。所定距離Dだけ第2搬送処理が行われると、ラベルL3の一部がヒータ26によって加熱される。これにより、シートSの切断処理のときに加熱された一部分よりも搬送方向P1における上流側の一部分が加熱される。これにより、シートSの最も大きく湾曲した部分、すなわちラベルL3の前端部分の湾曲が小さくなって、次の画像記録時においてラベルL3の前端部分が加熱された際に湾曲することが極力抑制される。また、所定距離Dだけ第2搬送処理が行われることで、図12に示されるように、シートSの切断処理の際に加熱された部分よりも搬送方向P1における上流側付近、すなわちラベルL3の前端部分が第1排出ローラ対51、第2排出ローラ対52によってニップされる。湾曲したラベルL3の前端部分は加熱された状態でニップされることによって湾曲が矯正され小さくなる。ラベルL3の湾曲が小さくなると、CISユニット30とシートSの上面との距離が適切になるため、ラベルL3に記録された画像がCISユニット30に正確に読み取られる。
【0103】
コントローラ130は、切断処理後において、シートSが所定距離DだけシートSが搬送されたと判断したとき(S30:Yes)、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101を逆回転させてシートSを逆搬送方向P2に搬送する(S31)。つまり、第2搬送処理によって、図12に示すシートSが所定距離Dだけ搬送された状態から、図13に示すシートSの前端が記録ヘッド24の搬送方向P1における上流に位置するまで、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を逆回転させる逆搬送処理が行われる。記録ヘッド24の搬送方向P1における上流の位置は、待機位置である。
【0104】
コントローラ130は、シートSの前端が記録ヘッド24の搬送方向P1における上流に位置するか否かを判断する(S32)。より具体的には、コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を正回転および逆回転している間、ロータリエンコーダ75から出力されるパルス信号に基づいて、搬送ローラ42の回転量を監視する。そして、待機位置までの目標回転量と搬送ローラ42の回転量との差分に応じて、切断処理後のシートSの前端が待機位置であるかを判定する。コントローラ130は、シートSの前端が記録ヘッド24の搬送方向P1における上流に位置しないと判断したとき(S32:No)、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101の逆回転の駆動を継続してシートSを逆搬送方向P2に搬送する(S31)。このとき、第2搬送処理によってシートSの最も大きく湾曲した部分の湾曲が抑制されているため、ラベルLがノズル面58に擦れて汚れるのが回避される。コントローラ130は、シートSの前端が記録ヘッド24の搬送方向P1における上流に位置すると判断したとき(S32:Yes)、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101の逆回転を停止する(S33)。
【0105】
コントローラ130は、切断処理後のシートSの前端が待機位置に位置する状態において、次の記録データが入力されているか否かを判断する(S34)。コントローラ130は、次の記録データが入力されていると判断したとき(S34:Yes)、入力された記録データが第1モードで行われる画像記録か、第2モードで行われる画像記録かを判断する(S22)。コントローラ130は、次の記録データが入力されていないと判断したとき(S34:No)、吸引モータ104を停止し(S35)、記録データが入力されるまで待機する(S20:No)。そして、コントローラ130が、記録データが入力されたと判断したとき(S20:Yes)、次の記録データに基づいて前述と同様の処理を行う(S22~S35)。
【0106】
以下、第2モードでラベル複数枚分の記録データを受信したときのプリンタ10の制御が、図7図8のフローチャートとともに図14から図16を参照しつつ説明される。
【0107】
図7に示されるように、コントローラ130は、入力された記録データが第2モードを示すと判断したとき(S22:No)、温度センサ107の設定温度を150℃に設定する(S50)。第2モードにおいては、温度センサ107の設定温度が150℃であるため、次に記録データが第1モードで行われるか或いは第2モードで行われるかの判断が行われるまで、ヒータ26への電力供給をオンオフしてヒータ26の温度を概ね150℃に維持する。具体的には、コントローラ130は、温度センサ107の検知信号に基づいて、ヒータ26の温度が145℃以下であるときヒータ26への電力供給を行い、ヒータ26の温度が155℃以上になったときヒータ26への電力供給を停止する。
【0108】
コントローラ130は、設定温度を150℃に設定した後、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を正回転させてシートSを搬送方向P1に搬送する(S51)。
【0109】
次に、コントローラ130は、1枚目のラベルL1の前端が画像記録位置に到達したか否かを判断する(S52)。コントローラ130は、ラベルL1の前端が画像記録位置に到達していないと判断したとき(S52:No)、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101の駆動を継続する(S51)。コントローラ130は、ラベルL1の前端が画像記録位置に到達したと判断したとき(S52:Yes)、全ラベル分の画像記録を行う(S53)。つまり、画像記録処理が複数のラベルLに対して連続で行われる。このとき、コントローラ130は、各ラベルの画像記録の間に切断処理、第2搬送処理、および逆搬送処理を行わない。画像記録された各ラベルLは、CISユニット30の下方を通過するときに、CISユニット30により各ラベルLに記録された画像が読み取られる。
【0110】
コントローラ130は、全ラベル分の画像が画像記録された後において、シートSにおける画像記録された全ラベルのうちの最終ラベルLLの後端の位置が、切断位置に位置するか否かを判断する(S54)。コントローラ130は、最終ラベルLLの後端の位置が、切断位置でないと判断したとき(S54:No)、最終ラベルLLの後端の位置が切断位置に位置するまでホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101の駆動を継続する。このとき、画像記録処理が行われた後において、ヒータ26を駆動した状態でシートSを搬送方向P1へ搬送する第1搬送処理が行われる。
【0111】
コントローラ130は、シートSにおける最終ラベルLLの後端の位置が切断位置であると判断したとき(S54:Yes)、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を停止する(S55)。このとき、図14に示されるように、シートSが搬送路33で停止した状態となり、シートSのヒータ26に位置する部分には熱が加えられる。例えば、シートSにおける最終ラベルLLの1つ後のラベルLL1と2つ後のラベルLL2との間の部分がヒータ26の熱によって若干収縮することでラベルLL1の後端部分とラベルL4の前端部分が大きく湾曲する。特に、ラベルLL1の後端部分は一度ヒータ26を通過して加熱されているため、ある程度水分が蒸発しているがラベルLL2の前端部分は、ヒータ26へ到達していないため加熱されずに水分が蒸発していない。このため、ラベルLL2の前端部分は、ラベルLL1の後端部分よりも大きく湾曲する。
【0112】
コントローラ130は、最終ラベルLLがシートSから切断された後、カッタ刃49でシートSを切断するのに必要な所定時間が経過した後に、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を再び正回転させる(S57)。つまり、図14および図15に示されるように、画像記録処理が行われた全ラベルLがシートSによって繋がった状態で、最終ラベルLLの後端においてシートSから切断される切断処理が行われる。
【0113】
最終ラベルLLの後端においてシートSが切断された後、コントローラ130は、所定時間が経過した後に、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を再び正回転させる(S57)。
【0114】
コントローラ130は、所定距離DだけシートSが搬送されたか否かを判断する(S58)。このときのシートSの前端は、シートSにおける最終ラベルLLと最終ラベルLLの1つ後のラベルLL1の間になる。コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を正回転している間、ロータリエンコーダ75から出力されるパルス信号に基づいて、搬送ローラ42の回転量を監視する。そして、所定距離Dの目標回転量と搬送ローラ42の回転量との差分に応じて、切断処理されたシートSの前端が所定距離Dだけ搬送されたかを判定する。
【0115】
コントローラ130は、切断処理後において、シートSが所定距離Dだけ搬送されていないと判断したとき(S58:No)、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を正回転させてシートSの搬送を継続する(S57)。つまり、図16に示されるように、最終ラベルLLの切断処理後において、ヒータ26を稼働した状態で、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101を駆動して、切断位置から所定距離DだけラベルLL1を先頭とするシートSを搬送する第2搬送処理が行われる。
【0116】
第2搬送処理が所定距離Dだけ行われると、ラベルLL2の一部がヒータ26によって加熱される。これにより、シートSにおける最終ラベルLLの後端の切断のときに加熱された一部分よりも搬送方向P1における上流側の一部分が加熱される。これにより、シートSの最も大きく湾曲したラベルLL2の前端部分の湾曲が小さくなって、次の画像記録時においてラベルLL2の前端部分が加熱された際に湾曲することが極力抑制される。また、所定距離Dだけ第2搬送処理が行われることで、シートSの切断処理の際に加熱された部分よりも搬送方向P1における上流側付近、すなわちラベルLL2の前端部分が第1排出ローラ対51、第2排出ローラ対52によってニップされる。湾曲したラベルLL2の前端部分は加熱された状態でニップされることによって湾曲が矯正され小さくなる。ラベルLL2の湾曲が小さくなると、ラベルLL2に記録された画像がCISユニット30に正確に読み取られる。
【0117】
コントローラ130は、切断処理後において、シートSが所定距離DだけシートSが搬送されたと判断したとき(S58:Yes)、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101を逆回転させてシートSを逆搬送方向P2に搬送する(S59)。つまり、第2搬送処理によって、図16に示すシートSが所定距離Dだけ搬送された状態から、図17に示すシートSの前端が待機位置に位置するまで、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101を逆回転させる逆搬送処理が行われる。
【0118】
コントローラ130は、シートSの前端が記録ヘッド24の搬送方向P1における上流に位置するか否かを判断する(S60)。より具体的には、コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を正回転および逆回転している間、ロータリエンコーダ75から出力されるパルス信号に基づいて、搬送ローラ42の回転量を監視する。そして、待機位置までの目標回転量と搬送ローラ42の回転量との差分に応じて、シートSの前端が待機位置であるかを判定する。コントローラ130は、シートSの前端が記録ヘッド24の搬送方向P1における上流に位置しないと判断したとき(S60:No)、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101の逆回転の駆動を継続してシートSを逆搬送方向P2に搬送する(S59)。このとき、第2搬送処理によってシートSの最も大きく湾曲した部分の湾曲が抑制されているため、ラベルLL2がノズル面58に擦れて汚れるのが回避される。コントローラ130は、シートSの前端が記録ヘッド24の搬送方向P1における上流に位置すると判断したとき(S60:Yes)、ホルダ駆動モータ100とともにローラ駆動モータ101の逆回転を停止し(S61)、吸引モータ104を停止する(S62)。また、コントローラ130は、第2モードにおける画像記録を終了する際において第2温度に設定した設定温度を、第1温度に設定する(S63)。
【0119】
図7に示されるように、コントローラ130は、ローラ駆動モータ101を停止した後、記録データが入力されるまで待機する(S20:No)。そして、コントローラ130が、記録データが入力されたと判断したとき(S20:Yes)、吸引モータ104を駆動し(S21)、入力された記録データが第1モードで行われる画像記録か、第2モードで行われる画像記録かを判断する(S22)。コントローラ130は、入力された記録データが第2モードを示すと判断したとき(S22)、前述と同様に処理を行う(S50~S63)。
【0120】
[プリンタ10の作用効果]
本実施形態におけるプリンタ10では、画像記録処理によってシートSに画像が記録される。第1搬送処理によって画像記録後のシートSが搬送方向P1へ搬送されるときに、ヒータ26によりシートSが加熱されてインクがシートSに定着する。切断処理によってシートSにおいて画像記録された領域である、シートSの下流側がカッタ28により切断される。シートSは、カッタ28により切断されるときに停止する。停止中においてヒータ26によりシートSの一部分が加熱されると、シートSにおいて加熱された領域より搬送方向P1の上流側が湾曲する。第2搬送処理によって切断後のシートSが加熱されつつ搬送方向へ搬送されるので、湾曲した上流側の領域が加熱されて湾曲が小さくなる。逆搬送処理によってシートSが記録ヘッド24より搬送方向P1の上流まで搬送方向P1と逆向きに搬送される。シートSの湾曲が小さくなることで、その後に画像記録が行われるときに、シートSがノズル面58に接触して汚れるのを抑制できる。
【0121】
ヒータ26の加熱によって湾曲したシートSの上流側の領域が、第1排出ローラ53と従動ローラ55とに狭持されることにより、シートSの湾曲を矯正して更に小さくできる。
【0122】
従動ローラ55が拍車であるため、従動ローラ55にシートSに画像記録されたインクが付着し難い。その結果、従動ローラ55からシートSへインクが転写されたりして汚れるのを抑制できる。
【0123】
第1モードでは、1枚分のラベルLの画像記録が1回行われる毎にシートが切断されて逆搬送される。第2モードでは、ラベル1枚毎にシートの切断や逆搬送が行われるのではなく、複数枚のラベルLの画像記録に対して連続して画像記録とシートSの搬送とが実行される。このため、切断処理の間にシートSが加熱されて湾曲し易くなるので、第1モードでは、第2温度より低い第1温度にヒータ26の温度を設定することにより、シートSの湾曲が抑制される。
【0124】
シートSの湾曲が抑制される結果、CISユニット30によって精度よく画像読み取りができる。
【0125】
第1モードでは切断処理の間にシートSがヒータ26によって加熱されて湾曲し易くなるので、ヒータ26の温度を第2温度より低い第1温度にすることにより、シートSの加熱による湾曲が抑制される。シートSの湾曲が抑制されることによって、CISユニット30によって精度よく画像読み取りができる。
【0126】
ヒータ26の加熱によって湾曲したシートSの上流側の領域が、第2排出ローラ54と従動ローラ56とに狭持されることにより、シートSの湾曲を矯正して更に小さくできる。
【0127】
従動ローラ56が拍車であるため、従動ローラ56にインクが付着し難い。その結果、従動ローラ56からシートSへインクが転写されたりして汚れるのを抑制できる。
【0128】
第2搬送処理において、挟持位置Wから第1距離D1以上であって第2距離D2以下のシートSの領域が加熱されるので、シートSにおいて湾曲が生じる領域が確実に加熱される。
【0129】
[変形例]
プリンタ10では、コントローラ130がラベル1枚分の記録データを受信して1枚のラベルLに画像記録を行う場合と、2枚分の記録データを受信して2枚のラベルLに画像記録を行う場合を例にあげて説明したが、この場合に限らない。プリンタ10は、2枚以上の複数の記録データを受信して、当該複数枚のラベルLに画像記録してもよい。
【0130】
プリンタ10では、コントローラ130に温度センサ107およびヒータ26が接続されており、温度センサ107の設定温度に基づいてヒータ26への給電をオンオフし、ヒータ26の温度を第1モードまたは第2モードの温度に維持可能である。しかしながら、ヒータ26の温度を維持するための構成はこれに限らない。例えば、ヒータ26の温度の維持は、温度センサ107を必要としないものであって、一定の温度で発熱する2つのヒータによって行われてもよい。より具体的には、コントローラ130は、第1モードにおける所定温度で発熱する一方のヒータと、第2モードにおける所定温度で発熱する他方のヒータとに接続されて、一方のヒータまたは他方のヒータへの電源のオンオフを切り替えることができる。
【0131】
また、例えば、ヒータ26の温度の維持は、温度センサ107を必要としないものであって、1つのヒータ26へ給電する電圧の切り替えによって行われてもよい。より具体的には、コントローラ130は、ヒータ26と接続されて、第1モードまたは第2モードの温度で選択的に発熱できるようにヒータ26に供給する電圧を切り替えることができる。
【0132】
プリンタ10では、ヒータ26の第1温度を概ね100℃に維持するために、コントローラ130が、ヒータ26の温度が95℃以下であるときヒータ26への電力供給を行い、105℃以上になったとき電力供給を停止することとした。しかしながら、電力供給をオンオフする温度は、この温度に限定されない。電力供給をオンオフする温度は、例えば90℃以下になったとき、および110℃以上になった時でもよく、ヒータ26の温度を概ね設定温度に維持できるものであればよい趣旨である。第2温度についても同様である。
【0133】
プリンタ10では、インクが樹脂成分を含む場合を例にあげて説明したが、樹脂成分を含まないものであってもよい。インクは、例えば、顔料或いは染料を含むものであってもよい。
【0134】
プリンタ10では、搬送路33上においてシートSの画像を読み取るCISユニット30を備える場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。プリンタ10は、CISユニット30を備えなくてもよい。
【0135】
プリンタ10では、搬送ローラ対41の従動ローラ43が拍車である場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。従動ローラ43は、拍車でなくてもよい。従動ローラ43は、中心軸が左右方向9に沿って延びる円筒形状の外周面を有するローラであってもよい。
【0136】
プリンタ10では、カッタ28が、カッタキャリッジ48の移動に伴ってカッタ刃49も左右方向9に移動し、切断位置のシートSが左右方向9に沿って切断される場合を例にあげて説明した。しかしながら、カッタ28は、この構成に限定されない。カッタ28は、例えば、切断位置の上方に位置する固定刃と、固定刃に対して上下方向7に移動してシートSを切断する移動刃とを有してもよい。固定刃は、上下方向7および左右方向9に沿って延びる。移動刃は、上下方向7および左右方向9に沿って延びる平板状に形成されており、上端が刃先となっている。
【0137】
プリンタ10では、ASIC135が、ホルダ駆動モータ100、ローラ駆動モータ101、カッタ駆動モータ102、キャリッジモータ103、および吸引モータ104にそれぞれ接続されている場合を例にあげて説明した。しかしながら、上述の各モータは上述の構成に限らない。例えば、ホルダ駆動モータ100およびローラ駆動モータ101は、1つのモータであってもよい。つまり、ロールホルダ21、搬送ローラ42、第1排出ローラ53、第2排出ローラ54、および支持ローラ71が1つのモータで駆動されてもよい。
【符号の説明】
【0138】
10・・・プリンタ(画像記録装置)
23・・・搬送部
24・・・記録ヘッド
26・・・ヒータ(加熱部)
28・・・カッタ
30・・・CISユニット(読取部)
57・・・ノズル
53・・・第1排出ローラ
54・・・第2排出ローラ
55・・・従動ローラ(第1従動部)
56・・・従動ローラ(第2従動部)
130・・・コントローラ
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