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特開2024-79422情報処理装置、予測モデル、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079422
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、予測モデル、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20240604BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240604BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240604BHJP
【FI】
E02D17/20 106
G06Q50/26
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192362
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390034463
【氏名又は名称】株式会社オリエンタルコンサルタンツ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】十文字 奈々
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝和
(72)【発明者】
【氏名】平田 寛道
(72)【発明者】
【氏名】大野 翔平
(72)【発明者】
【氏名】出本 剛史
(72)【発明者】
【氏名】秋山 怜子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勢
【テーマコード(参考)】
2D044
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2D044EA07
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】地表面の状態変化を適切に予測することが可能な情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本開示にかかる情報処理装置100は、地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得部101と、地表情報に基づいて、地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測部103と、予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力部105と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得部と、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測部と、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記予測モデルは、前記過去の標高変化に対応する土砂移動量を前記変化量履歴情報として用いて生成されており、
前記予測部は、前記予測モデルを用いて、将来の土砂移動を前記状態変化として予測する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測部は、所定の期間における土砂移動量及び所定の土砂移動量に達する時期の少なくとも一方を前記状態変化として予測する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記地表情報は、前記地表面の状態を変化させ得る環境に関する環境情報を含み、
前記予測モデルは、前記過去の標高変化に対応する環境に関する環境履歴情報をさらに用いて生成されている
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記環境情報は、地表面周辺の自然環境に関する情報を含む
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記予測部は、予測対象領域が有する複数の区間のそれぞれで前記状態変化を予測し、前記複数の区間のそれぞれで予測された状態変化に基づいて、前記予測対象領域における状態変化を予測する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報の入力を少なくとも受け付ける入力層と、
前記過去の標高変化に少なくとも対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報を予測して出力する出力層と、を備え、
取得された地表の標高変化を含む地表情報を前記入力層に入力し、前記地表情報に基づいて予測された将来の地表面の状態変化を前記出力層から出力するように、コンピュータを機能させるための
予測モデル。
【請求項8】
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得ステップと、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測ステップと、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力ステップと、を備える
情報処理方法。
【請求項9】
前記予測モデルは、前記過去の標高変化に対応する土砂移動量を前記変化量履歴情報として用いて生成されており、
前記予測ステップでは、前記予測モデルを用いて、将来の土砂移動を前記状態変化として予測する
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得ステップと、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測ステップと、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、予測モデル、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
河川に設置されるダムの一つとして、砂防堰堤(砂防ダム)が知られている。砂防堰堤は、河川における土砂の流れを調節することができるので、土砂災害発生時における被害の軽減や、河床の過度な洗堀の防止などの効果を得ることができる。砂防堰堤の機能を十分に発揮させるため、適切な維持管理計画の下、砂防堰堤や関連する砂防施設を管理することが望まれる。
【0003】
関連する技術として、特許文献1は、山間地の傾斜面等に発生する土石流の移動を解析することが可能な解析方法を開示する。特許文献1が開示する解析方法は、河床における土石流の移動量及び侵食堆積速度を算出し、算出結果に基づいて、平面視での土石流の移動状態及び土石堆積深を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-113567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
砂防堰堤や関連施設の効果的な維持管理を実現するためには、河川や砂防施設における土砂移動量等の地表面の状態変化を事前に予測しておき、当該予測に基づいて維持管理計画を立案することが望ましい。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、地表面の状態変化を適切に予測することが可能な情報処理装置、予測モデル、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる情報処理装置は、
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得部と、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測部と、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力部と、を備える。
【0008】
本開示にかかる予測モデルは、
地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報の入力を少なくとも受け付ける入力層と、
前記過去の標高変化に少なくとも対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報を予測して出力する出力層と、を備え、
取得された地表の標高変化を含む地表情報を前記入力層に入力し、前記地表情報に基づいて予測された将来の地表面の状態変化を前記出力層から出力するように、コンピュータを機能させる。
【0009】
本開示にかかる情報処理方法は、
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得ステップと、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測ステップと、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力ステップと、を備える。
【0010】
本開示にかかるプログラムは、
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得ステップと、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測ステップと、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示にかかる情報処理装置、予測モデル、情報処理方法、及びプログラムは、地表面の状態変化を適切に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1にかかる情報処理装置が行う処理を示すフローチャートである。
図3】実施形態2にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態2にかかる環境情報の一例を示す図である。
図5】実施形態2にかかる所定区間における土砂移動前後の河川の横断面図である。
図6】実施形態2にかかる情報処理装置が行う予測モデル生成処理を示すフローチャートである。
図7】実施形態2にかかる情報処理装置が行う予測処理を示すフローチャートである。
図8】実施形態2にかかる情報処理装置を実現するコンピュータのハードウエア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されている。説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
<実施形態1>
まず、図1を参照して、実施形態1について説明する。図1は、本実施形態にかかる情報処理装置100の構成を示すブロック図である。情報処理装置100は、取得部101、予測部103、及び出力部105を備えている。
【0015】
取得部101は、地表の標高変化を含む地表情報を取得する。予測部103は、地表情報に基づいて、予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する。予測モデルは、地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成されている。出力部105は、予測された状態変化を示す予測情報を出力する。
【0016】
情報処理装置100は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備えている。当該記憶装置には、本実施形態にかかる処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムをメモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行することができる。これにより、プロセッサは、取得部101、予測部103、及び出力部105の機能を実現する。
【0017】
続いて、図2を参照して情報処理装置100が行う処理を説明する。図2は、情報処理装置100が行う処理を示すフローチャートである。
【0018】
まず、取得部101は、地表の標高変化を含む地表情報を取得する(S101)。次に、予測部103は、地表情報に基づいて、予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する(S102)。そして、出力部105は、予測された状態変化を示す予測情報を出力する(S103)。
【0019】
以上説明したように、本実施形態にかかる情報処理装置100は、地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、当該過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて予測を行う。このようにすることで、情報処理装置100は、地表面の状態変化を適切に予測することができる。
【0020】
<実施形態2>
続いて、実施形態2について説明する。実施形態2は、上述した実施形態1の具体例である。
【0021】
(情報処理装置10の構成)
まず、図3を参照して、本実施形態にかかる情報処理装置10の構成を説明する。図3は、情報処理装置10の構成を示すブロック図である。情報処理装置10は、上述した情報処理装置100の一例である。情報処理装置10は、取得部11、生成部12、予測部13、入力部14、出力部15、及び記憶部19を備えている。
【0022】
情報処理装置10は、地表の標高変化を含む地表情報に基づいて、予測モデルを用いて、予測対象領域における将来の地表面の状態変化を予測することが可能な情報処理装置である。地表面の状態変化は、例えば、地表における土砂の移動である。情報処理装置10は、将来の土砂移動を状態変化として予測し、予測結果を出力する。
【0023】
ユーザは、情報処理装置10を用いることで、地表面の状態変化を適切に予測し、予測結果を維持管理計画の立案のために活用することができる。ユーザは、例えば、砂防施設の管理者や河川の管理者などであってよい。
【0024】
取得部11は、上述した取得部101の一例である。取得部11は、地表の標高変化を含む地表情報を取得する。地表情報は、例えば、地表面の標高の変化を示す情報である。
【0025】
取得部11は、例えば、衛星に搭載された合成開口レーダ(SAR)で撮影された複数の画像に基づいて、標高の変化を示す情報を取得する。例えば、取得部11は、SARで撮影された2枚の干渉画像に基づいて、画像のペアの各画素における位相差を求め、位相差に基づいて地表の標高を算出する。取得部11は、観測日時と標高とを対応付けて、標高解析履歴として記憶部19に記憶してもよい。これにより、異なる観測時期における標高解析履歴が蓄積される。取得部11は、観測された標高を示す標高マップを作成して情報処理装置10に記憶してもよい。
【0026】
取得部11は、異なる観測時期の標高解析履歴を用いて、標高の変化を算出する。例えば、取得部11は、2つの観測時期に対応する標高マップを比較し、差分を抽出することで、2つの観測時期間に生じた標高の変化を算出する。
【0027】
取得部11は、衛星SARの画像に限らず、航空レーザ測量の技術などを用いて標高の変化を示す情報を取得してもよい。航空レーザ測量は、例えば、航空機にLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)を搭載し、レーザ光を用いて航空機と地面との距離を測定する方法である。
【0028】
または、取得部11は、図示しないネットワークを介して、標高の変化を取得してもよい。ネットワークは、例えば、有線又は無線の通信回線である。ネットワークは、例えば、インターネット、専用線、電話回線、移動体通信網、又はその他の通信回線などであってよい。またネットワークは、これらの組み合わせであってもよい。これにより、取得部11は、情報処理装置10以外の装置で算出された標高の変化を地表情報として取得することができる。
【0029】
また、地表情報は、地表面の状態を変化させ得る環境に関する環境情報を含み得る。環境情報は、例えば、地表において土砂の移動に影響し得る種々の情報を含み得る。環境情報は、例えば、地表面周辺の自然環境に関する情報である。環境情報は、自然環境以外の情報を含んでもよい。自然環境以外の情報は、例えば、地表面の状態を変化させ得る作業や工事などに関する情報である。
【0030】
ここで、図4を参照して、環境情報について説明する。図4は、環境情報の一例を示す図である。図の「分類」の欄に示されるように、ここでは、自然環境に関する情報の一例として、地形、気象、地質、河川流量、土砂粒径、及び植生に関する情報を示している。また、自然環境以外の情報の一例として、工事履歴に関する情報又は工事計画に関する情報を示している。取得部11は、これらのうち複数の環境情報を取得してもよい。
【0031】
図の「項目」の欄に示されるように、環境情報は、それぞれの分類において、様々な情報を含み得る。例えば、気象に関する環境情報は、予測対象領域における降雨量、積雪量、又は気温に関する情報を含み得る。各項目に示される環境情報は、それぞれが土砂移動量に関連し得る。例えば、降雨量が大きくなるにつれ、土砂移動量が増加するなどの関連が想定される。
【0032】
また、環境情報は、後述する生成部12において予測モデル195の生成に用いられ得る。複数の環境情報のそれぞれは、土砂移動量に対する寄与の大きさが異なり得る。
【0033】
図の「データ入手方法の例」に示されるように、取得部11は、情報処理装置10以外から環境情報を取得し得る。例えば、取得部11は、上述したネットワークを介して環境情報を取得することができる。取得部11は、例えば、降雨量、積雪量、又は気温などの気象に関する情報を、気象庁が提供するアメダスから取得し得る。情報処理装置10は、環境情報を取得するためのセンサを備え、当該センサから環境情報を取得するように構成されてもよい。
【0034】
また、取得部11は、入力部14を介してユーザから環境情報の入力を受け付けてもよい。例えば、取得部11は、ユーザの入力を受け付けて、地表面の状態変化の管理に関する情報を環境情報として取得する。図に示されるように、取得部11は、工事履歴や工事計画を、管理者等の入力を受け付けることで取得し得る。なお、図に示される環境情報は一例であるので、土砂移動量に関連する種々の情報が環境情報として用いられてよい。例えば、水域、植生域、又は砂州等の被覆分類が環境情報として用いられてもよい。
【0035】
図3に戻り説明を続ける。生成部12は、将来の地表面の状態変化を予測するための予測モデルを生成する。具体的には、生成部12は、地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報191と、過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報192と、を用いて予測モデル195を生成する。ここでは、生成部12は、過去の標高変化に対応する土砂移動量を、変化量履歴情報として用いて予測モデルを生成する。
【0036】
変化履歴情報191は、異なる観測時期に観測された標高に基づいて、予測対象領域における標高の変化を算出した情報である。変化量履歴情報192は、当該標高の変化に対応する土砂移動量を算出した情報である。生成部12は、変化履歴情報191に対応する環境情報である環境履歴情報193をさらに用いて予測モデル195を生成してもよい。生成部12は、予測モデル195の生成にあたり、変化履歴情報191、変化量履歴情報192、環境履歴情報193を予め蓄積しておく。生成部12は、これらの情報を観測日時の情報と対応付けて管理する。
【0037】
例えば、生成部12は、上述したSAR画像や航空レーザ測量の技術などを用いて変化履歴情報191を取得し、変化履歴情報191として記憶する。生成部12は、変化履歴情報191に対応する土砂移動量を算出し、変化量履歴情報192として記憶する。
【0038】
ここで、図5を参照して、土砂移動量の算出方法について説明する。図5は、所定区間における土砂移動前後の河川の横断面図である。V1は観測時期T1における河川の横断面を示し、V2は観測時期T2における河川の横断面を示している。また、V3は、横断面V1とV2との差分を明示したものである。
【0039】
所定区間は、例えば、予測対象領域の河川を所定の距離間隔(例えば、200mピッチ)で区切った領域である。または、所定区間は、河川を周辺の施設ごとに区切った領域であってもよい。なお、以下では、所定区間を単に「区間」と称する場合がある。
【0040】
観測時期T1は土砂移動前のタイミングであり、観測時期T2は土砂移動後のタイミングである。例えば、観測時期T1及びT2の間には、土砂の移動に関するイベントが発生している。土砂の移動に関するイベントは、例えば、大雨などである。図に示されるように、イベント発生後は、河床Rの標高に変化が生じる。土砂が堆積した箇所は河床Rの標高が高くなり、土砂が侵食した箇所は河床Rの標高が低くなる。
【0041】
所定区間において、観測時期T1からT2の間に移動した土砂移動量S1は、以下の数式で求めることができる。
[数1]
土砂移動量S1=堆積量A-侵食量B ・・・(1)
【0042】
堆積量A及び侵食量Bは、観測時期T1及びT2におけるそれぞれの河川の標高マップの差分を抽出することで算出され得る。生成部12は、式(1)を用いて土砂移動量S1を算出し、標高の変化を示す変化履歴情報191と対応付けて、変化量履歴情報192として記憶部19に記憶する。
【0043】
生成部12は、変化履歴情報191及び変化量履歴情報192を蓄積し、蓄積した情報に基づいて予測モデル195を生成する。生成部12は、所定区間を識別する情報、又は所定の施設を識別する情報と対応付けて変化量履歴情報192を管理し得る。これにより、生成部12は、区間ごと又は施設ごとに情報を蓄積する。よって、生成部12は、予測モデル195の生成に用いるためのパラメータを当該区間又は当該施設に応じて求めることができる。
【0044】
生成部12は、変化履歴情報191と変化量履歴情報192とを含む最適化問題の解として、予測モデル195を生成し得る。例えば生成部12は、所定の理論式で求められる曲線を用いて予測モデル195を生成する。
【0045】
または、生成部12は、所定の機械学習又は人工知能を用いて予測モデル195を生成してもよい。予測モデル195は、例えば、変化履歴情報191を入力とし、変化量履歴情報192を出力とするニューラルネットワークである。ニューラルネットワークは、例えばCNN(Convolution Neural Network)などであってよい。
【0046】
例えば、予測モデル195は、変化履歴情報191の入力を少なくとも受け付ける入力層と、変化量履歴情報192を予測して出力する出力層と、を備えるように構成される。生成部12は、変化履歴情報191及び変化量履歴情報192を教師データとして、予測モデル195を学習させる。予測モデル195は、教師データに基づいて、変化履歴情報191から特徴量を抽出する演算処理に用いるパラメータを機械学習する。機械学習には、周知のアルゴリズムが用いられてよい。
【0047】
生成部12は、取得部11で取得された地表の標高変化を含む地表情報を入力層に入力し、地表情報に基づいて予測された地表面の状態変化量を出力層から出力するように、コンピュータを機能させるように予測モデル195を生成する。
【0048】
生成部12は、上述した式(1)を用いて、複数の区間を含む領域における土砂移動量の合計を算出するように予測モデル195を生成してもよい。生成部12は、予測対象領域が有する複数の区間のそれぞれで状態変化を予測し、複数の区間のそれぞれで予測された状態変化に基づいて、予測対象領域全体における状態変化を予測するように予測モデル195を生成し得る。
【0049】
例えば、生成部12は、山間部からの崩壊生産土砂量を入力することで、下流への流出土砂量を予測するように予測モデル195を生成してもよい。崩壊生産土砂量は、雨量を用いた推定値、又は衛星SARを用いることで求められ得る。
【0050】
下流への流出土砂量S2は、以下の式(2)を用いて求められる。
[数2]
下流への流出土砂量S2=上流からの流入量+侵食土砂量-堆積土砂量 ・・・(2)
【0051】
生成部12は、所定区間(例えば、200mピッチ)ごとの土砂堆積(侵食)量を推定することで、河川全体における連続的な挙動を予測するように予測モデル195を生成することができる。このようにすることで、ユーザは、様々な時間軸における土砂移動の傾向を把握することができる。ユーザは、例えば、短期、中期、又は長期のそれぞれにおける傾向を把握する。短期では、ユーザは変動の大きい区間又は小さい区間を把握することができる。また、中長期では、ユーザは、出水の影響期間又は変動のタイミングなどを把握することができる。
【0052】
生成部12は、過去の標高変化に対応する環境に関する環境履歴情報193をさらに用いて予測モデル195を生成してもよい。環境履歴情報193は、図4に一例を示した環境情報を変化履歴情報191と対応付けた情報である。
【0053】
例えば、ニューラルネットワークなどを用いて予測モデル195を生成するとする。入力層は、変化履歴情報191に加え、環境履歴情報193の入力をさらに受け付ける。出力層は、過去の標高変化及び過去の標高変化に対応する環境に対応する地表面の状態変化量を変化量履歴情報192として予測して出力するように学習を行う。これにより、予測モデル195は、取得部11で取得された、環境情報を含む地表情報を入力層に入力し、地表情報に基づいて予測された将来の地表面の状態変化を出力層から出力するように、コンピュータを機能させることができる。
【0054】
生成部12は、環境情報を示すパラメータが、土砂移動量に対してどのように寄与するか、を変化履歴情報191に基づいて求める。例えば、生成部12は、各パラメータと、各パラメータの寄与の大きさに応じた係数と、を用いて土砂移動量を予測する。生成部12は、変化履歴情報191に基づいて係数をフィッティングする。生成部12は、人工知能を用いて当該係数をフィッティングし得る。
【0055】
例えば、環境情報として、降水量、地質、流速、土砂粒径、及び河床勾配を用いるとする。生成部12は、各パラメータの土砂移動量に対する寄与の大きさに応じて、各パラメータに対応する係数をフィッティングすることで予測モデル195を生成する。
【0056】
このようにすることで、予測対象領域において変化履歴情報191又は変化量履歴情報192が十分に収集されていない場合であっても、予測モデル195を用いて精度よく土砂移動量を予測することができる。例えば、予測モデル195は、降水量(予測値)、地質、流速、土砂粒径、及び河床勾配のデータを入力することで、これらのデータに基づいて土砂移動量を予測することができる。なお、入力されるデータはこれらの一部であってもよい。
【0057】
なお、生成部12は、上述した将来の土砂移動以外の情報を予測して出力するように予測モデル195を生成してもよい。例えば、生成部12は、水域、植生域、又は砂州等の被覆分類を出力するように予測モデル195を生成してもよい。さらに、生成部12は、その他の流砂系監視に必要な情報を出力するように予測モデル195を生成してもよい。
【0058】
図3に戻り説明を続ける。予測部13は、上述した予測部103の一例である。予測部13は、地表情報に基づいて、予測モデル195を用いて、将来の地表面の状態変化を予測する。上述したように、予測モデル195は、履歴情報191と変化量履歴情報192とを用いて生成されている。予測部13は、予測モデル195を用いて、将来の土砂移動を状態変化として予測する。
【0059】
予測部13は、状態変化として、所定の期間における土砂移動量を予測し得る。所定の期間は、固定されてもよいし、適宜変更されてもよい。所定の期間は、例えば、予測を実施する現在時点を始期とし、現在時点から所定時間が経過した時点を終期として設定され得る。始期及び終期は、適宜変更されてよい。また、所定の期間は、ユーザから指定された期間であってもよい。予測部13は、入力部14を介して、ユーザから指定期間の入力を受け付けることで所定の期間を設定し得る。
【0060】
また、予測部13は、予測対象領域の土砂移動量が、所定の土砂移動量に達する時期を状態変化として予測してもよい。所定の土砂移動量は、固定されてもよいし、適宜変更されてもよい。所定の土砂移動量は、ユーザから指定された量であってもよい。予測部13は、入力部14を介して、ユーザから指定移動量の入力を受け付けることで所定の土砂移動量を設定し得る。
【0061】
予測部13は、予測対象領域全体で状態変化を予測してもよいし、予測対象領域が有する複数の所定区間のそれぞれで状態変化を予測してもよい。予測部13は、複数の所定区間のそれぞれで予測された状態変化に基づいて、予測対象領域全体における状態変化を予測し得る。
【0062】
入力部14は、ユーザからの入力を受け付ける入力装置である。入力部14は、例えばキーボードなどである。入力部14は、土砂移動量を予測する対象となる指定期間の入力をユーザから受け付ける。また入力部14は、土砂移動量の到達時期を予測するための指定移動量の入力をユーザから受け付ける。なお、入力部14は、ネットワークを介して、ユーザが使用するPCなどの端末から入力を受け付けてもよい。
【0063】
出力部15は、上述した出力部105の一例である。出力部15は、予測された状態変化を示す予測情報を出力する。出力部15は、例えば、液晶パネルなどの表示装置である。出力部15は、入力部14の機能を備えるように構成されてもよい。例えば、出力部15は、ユーザが指などでタッチすることで入力操作を行うことが可能なタッチパネル付きディスプレイであってもよい。
【0064】
また、出力部15は、図示しない他の表示装置に予測情報を出力させるように構成されてもよい。例えば、出力部15は、ネットワークを介して情報処理装置10以外の装置に予測情報を出力させるように構成され得る。例えば、出力部15は、ユーザが使用する端末に対して予測情報を送信する。これにより、出力部15は当該端末に予測情報を出力させる。
【0065】
出力部15は、例えば、予測対象領域に対応する地図情報と対応付けて、予測情報を出力する。これにより、ユーザは予測情報を容易に視認することができる。
【0066】
以上、情報処理装置10の構成について説明した。なお、上述した情報処理装置10の構成は一例に過ぎず、適宜変更され得る。例えば、情報処理装置10の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、情報処理装置10の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0067】
例えば、上述の説明では、情報処理装置10が生成部12を備え、予測モデル195を生成する例を用いて説明したが、これに限られない。情報処理装置10以外の装置が生成部12を備え、予測モデル195を生成してもよい。また、予測モデル195は、情報処理装置10以外の装置に格納されてもよい。
【0068】
(情報処理装置10が行う処理)
続いて、図6及び図7を参照して、情報処理装置10が行う処理を説明する。図6は、情報処理装置10が行う予測モデル生成処理を示すフローチャートである。また図7は、情報処理装置10が行う予測処理を示すフローチャートである。
【0069】
まず、図6を参照して、予測モデル生成処理を説明する。初めに、生成部12は、変化履歴情報191と、変化量履歴情報192と、を取得する(S11)。変化履歴情報191は、地表における過去の標高変化を示す情報である。変化量履歴情報192は、当該過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す情報である。
【0070】
生成部12は、SAR画像や航空レーザ測量の技術などを用いて変化履歴情報191及び変化量履歴情報192を取得し得る。生成部12は、所定の時間間隔で変化履歴情報191及び変化量履歴情報192を取得し、蓄積し得る。これにより、生成部12は、大雨などのイベントが発生していない平時の情報を定期的に収集することができる。また、生成部12は、イベントの前であるか、後であるか、の情報を変化履歴情報191及び変化量履歴情報192に含めてもよい。これにより、生成部12は、イベントごとにこれらの情報を管理することができる。
【0071】
また、生成部12は、環境履歴情報193を取得し、変化履歴情報191及び変化量履歴情報192と対応付けて蓄積してもよい。これにより、生成部12は、環境履歴情報193を加味して予測モデル195を生成することができる。
【0072】
続いて、生成部12は、変化履歴情報191及び変化量履歴情報192を用いて、予測モデルを生成する(S12)。生成部12は、変化履歴情報191と変化量履歴情報192とを含む最適化問題の解として、予測モデルを生成し得る。または、生成部12は、予測モデルの生成に、所定の機械学習又は人工知能を用いてもよい。予測モデル195は、所定の理論式で求められる曲線を用いて示されてもよいし、周知のアルゴリズムを用いた学習済みモデルで実現されてもよい。生成部12は、生成した予測モデルを予測モデル195として記憶部19に記憶する。
【0073】
続いて、図7を参照して、情報処理装置10が行う予測処理について説明する。まず、予測部13は、入力部14を介して、指定期間又は指定移動量の入力を受け付ける(S21)。指定期間は、土砂移動量を予測する対象となる所定の期間である。例えば予測部13は、現在から所定時間経過後(例えば、1年後)を指定期間として設定する。指定移動量は、予測対象領域の土砂移動量が所定の量に達する時期を予測するための所定の量である。
【0074】
次に、取得部11は、標高解析履歴を取得する(S22)。標高解析履歴は、地表の標高変化を含む地表情報を示す情報である。取得部11は、SAR画像や航空レーザ測量などを用いて、標高解析履歴を取得し得る。取得部11は、蓄積された標高解析履歴から、直近のデータを取得して用いてもよい。
【0075】
続いて、予測部13は、必要に応じて他の入力データを取得する(S23)。他のデータは、例えば、地表面の状態を変化させ得る環境に関する環境情報である。環境情報は、例えば、地表面周辺の自然環境に関する情報を含み得る。自然環境に関する情報の一例としては、図4に示されるような地形、気象、地質、河川流量、土砂粒径、又は植生などが挙げられる。環境情報は、水域、植生域、又は砂州等の被覆分類であってもよい。
【0076】
予測部13は、ネットワークを介して環境情報を取得し得る。予測部13は、これらのうち複数を取得してもよい。また、予測部13は、工事履歴に関する情報又は工事計画などに関する情報のような、自然環境以外の情報を環境情報として取得してもよい。また、予測部13は、維持管理計画に関する情報又は維持管理実績に関する情報を取得してもよい。
【0077】
さらに、予測部13は、大雨などのイベントの発生に関する情報を受け付けてもよい。例えば、予測部13は、指定期間中におけるイベントの発生有無を設定する。このようにすることで、予測部13は、指定期間中にイベントが発生しなかった場合と、イベントが発生した場合と、のそれぞれの土砂移動量を予測することができる。例えば、指定期間中に大雨が発生するとの予報がなされている場合、予測部13は、指定期間中にイベントが発生したと仮定して予測を行う。これにより、イベントが与える土砂移動への影響を加味して予測を行うことができる。
【0078】
続いて、予測部13は、ステップS22及びS23で取得したデータを予測モデル195に入力する(S24)。予測部13は、予測モデル195を用いて、土砂移動量の予測を行う(S25)。具体的には、予測部13は、指定期間における土砂移動量を予測する。または、予測部13は、土砂が指定移動量に到達する時期を予測する。予測部13は、所定区間ごとに予測を行い得る。所定区間は、河川を所定の距離間隔で区切った領域であってもよいし、河川を周辺の施設ごとに区切った領域であってもよい。
【0079】
なお、除石管理や堰堤の新設、堰堤かさ上げ等の維持管理計画が行われている箇所などについては、予測部13は、指定された時期及び工法で実施されたことを前提に予測を行ってもよい。
【0080】
そして、出力部15は、予測結果として、予測情報を地図上に表示させる(S26)。これにより、出力部15は予測情報をユーザに提示することができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態にかかる情報処理装置10では、地表の標高変化を含む地表情報を取得し、予測モデルを用いて土砂移動量を予測する。予測モデルは、地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて予測モデルが生成されている。また、情報処理装置10は、標高変化に加え、地表面の状態を変化に影響する環境情報を用いて土砂移動量を予測することができる。
【0082】
このようにすることで、本実施形態にかかる情報処理装置10によれば、地表面の状態変化を適切に予測することができる。これにより、ユーザは、予測結果を用いて維持管理計画を適切に立案することができる。
【0083】
<ハードウエアの構成例>
情報処理装置10の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、情報処理装置10の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について説明する。
【0084】
図8は、情報処理装置10を実現するコンピュータ900のハードウエア構成を例示するブロック図である。コンピュータ900は、情報処理装置10を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。コンピュータ900は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型のコンピュータであってもよい。
【0085】
例えば、コンピュータ900に対して所定のアプリケーションをインストールすることにより、コンピュータ900で、情報処理装置10の各機能が実現される。上記アプリケーションは、情報処理装置10の機能構成部を実現するためのプログラムで構成される。
【0086】
コンピュータ900は、バス902、プロセッサ904、メモリ906、ストレージデバイス908、入出力インタフェース910、及びネットワークインタフェース912を有する。バス902は、プロセッサ904、メモリ906、ストレージデバイス908、入出力インタフェース910、及びネットワークインタフェース912が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ904などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0087】
プロセッサ904は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)などの種々のプロセッサである。メモリ906は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス908は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0088】
入出力インタフェース910は、コンピュータ900と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース910には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0089】
ネットワークインタフェース912は、コンピュータ900をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、LAN(Local Area Network)であってもよいし、WAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0090】
ストレージデバイス908は、情報処理装置10の各機能構成部を実現するプログラム(前述したアプリケーションを実現するプログラム)を記憶している。プロセッサ904は、このプログラムをメモリ906に読み出して実行することで、情報処理装置10の各機能構成部を実現する。
【0091】
プロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又はそれ以上のプログラムを実行する。このプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)又は実体のある記憶媒体(tangible storage medium)に格納されてもよい。限定ではなく例として、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0092】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0093】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得部と、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測部と、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力部と、を備える
情報処理装置。
(付記2)
前記予測モデルは、前記過去の標高変化に対応する土砂移動量を前記変化量履歴情報として用いて生成されており、
前記予測部は、前記予測モデルを用いて、将来の土砂移動を前記状態変化として予測する
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記予測部は、所定の期間における土砂移動量及び所定の土砂移動量に達する時期の少なくとも一方を前記状態変化として予測する
付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記地表情報は、前記地表面の状態を変化させ得る環境に関する環境情報を含み、
前記予測モデルは、前記過去の標高変化に対応する環境に関する環境履歴情報をさらに用いて生成されている
付記1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記環境情報は、地表面周辺の自然環境に関する情報を含む
付記4に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記予測部は、予測対象領域が有する複数の区間のそれぞれで前記状態変化を予測し、前記複数の区間のそれぞれで予測された状態変化に基づいて、前記予測対象領域における状態変化を予測する
付記1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記取得部は、合成開口レーダ(SAR)で撮影された複数の画像に基づいて前記地表情報を取得する
付記1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(付記8)
地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報の入力を少なくとも受け付ける入力層と、
前記過去の標高変化に少なくとも対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報を予測して出力する出力層と、を備え、
取得された地表の標高変化を含む地表情報を前記入力層に入力し、前記地表情報に基づいて予測された将来の地表面の状態変化を前記出力層から出力するように、コンピュータを機能させるための
予測モデル。
(付記9)
前記変化量履歴情報は、前記過去の標高変化に対応する土砂移動量であり、
取得された前記地表情報を前記入力層に入力し、予測された土砂移動量を前記出力層から出力するように、コンピュータを機能させるための
付記8に記載の予測モデル。
(付記10)
所定の期間における土砂移動量及び所定の土砂移動量に達する時期の少なくとも一方を前記状態変化として予測して前記出力層から出力するように、コンピュータを機能させるための
付記8又は9に記載の予測モデル。
(付記11)
前記入力層は、前記過去の標高変化に対応する環境に関する環境履歴情報の入力をさらに受け付け、
前記出力層は、前記過去の標高変化及び前記過去の標高変化に対応する環境に対応する地表面の状態変化量を前記変化量履歴情報として予測して出力し、
前記地表面の状態を変化させ得る環境に関する環境情報をさらに含む、取得された前記地表情報を前記入力層に入力し、前記地表情報に基づいて予測された将来の地表面の状態変化を前記出力層から出力するように、コンピュータを機能させるための
付記8~10のいずれか1項に記載の予測モデル。
(付記12)
前記環境情報は、地表面周辺の自然環境に関する情報を含む
付記11に記載の予測モデル。
(付記13)
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得ステップと、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測ステップと、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力ステップと、を備える
情報処理方法。
(付記14)
前記予測モデルは、前記過去の標高変化に対応する土砂移動量を前記変化量履歴情報として用いて生成されており、
前記予測ステップでは、前記予測モデルを用いて、将来の土砂移動を前記状態変化として予測する
付記13に記載の情報処理方法。
(付記15)
地表の標高変化を含む地表情報を取得する取得ステップと、
前記地表情報に基づいて、前記地表における過去の標高変化を示す変化履歴情報と、前記過去の標高変化に対応する地表面の状態変化量を示す変化量履歴情報と、を用いて生成された予測モデルを用いて、将来の地表面の状態変化を予測する予測ステップと、
予測された状態変化を示す予測情報を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる
プログラム。
(付記16)
前記予測モデルは、前記過去の標高変化に対応する土砂移動量を前記変化量履歴情報として用いて生成されており、
前記予測ステップでは、前記予測モデルを用いて、将来の土砂移動を前記状態変化として予測する
付記15に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0094】
10 情報処理装置
11 取得部
12 生成部
13 予測部
14 入力部
15 出力部
19 記憶部
100 情報処理装置
101 取得部
103 予測部
105 出力部
191 変化履歴情報
192 変化量履歴情報
193 環境履歴情報
195 予測モデル
900 コンピュータ
902 バス
904 プロセッサ
906 メモリ
908 ストレージデバイス
910 入出力インタフェース
912 ネットワークインタフェース
A 堆積量
B 侵食量
R 河床
V1~V3 横断面図
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8