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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079425
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/76 20230101AFI20240604BHJP
   H04N 25/617 20230101ALI20240604BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H04N25/76
H04N25/617
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192368
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】319006047
【氏名又は名称】シャープセミコンダクターイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 裕太
(72)【発明者】
【氏名】森川 佳直
(72)【発明者】
【氏名】小西 武文
(72)【発明者】
【氏名】牛永 健雄
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA06
4M118FA33
4M118GA02
4M118HA33
5C024CX03
5C024GY31
(57)【要約】
【課題】互いに最近接する画素出力線の間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる固体撮像素子を提供する。
【解決手段】固体撮像素子は、複数の第1の画素にそれぞれ接続される複数の第1の画素出力線と、複数の第2の画素にそれぞれ接続される複数の第2の画素出力線と、を備え、前記複数の第1の画素出力線は、前記複数の第2の画素出力線に最も近接する第1の最近接画素出力線を含み、前記複数の第2の画素出力線は、前記複数の第1の画素出力線に最も近接する第2の最近接画素出力線を含み、前記第1の最近接画素出力線は、前記複数の第1の画素に含まれる第1の画素に接続され、前記第2の最近接画素出力線は、前記複数の第2の画素に含まれ前記第1の画素を備える画素行と同じ画素行に備えられる第2の画素に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配列され、複数の第1の画素を備える第1の画素列と、複数の第2の画素を備え前記第1の画素列に隣接する第2の画素列と、を備える複数の画素と、
前記複数の第1の画素にそれぞれ接続され行方向に配列される複数の第1の画素出力線と、
前記複数の第2の画素にそれぞれ接続され前記行方向に配列される複数の第2の画素出力線と、
を備え、
前記複数の第1の画素出力線は、前記複数の第2の画素出力線に最も近接する第1の最近接画素出力線を含み、
前記複数の第2の画素出力線は、前記複数の第1の画素出力線に最も近接する第2の最近接画素出力線を含み、
前記第1の最近接画素出力線は、前記複数の第1の画素に含まれる第1の画素に接続され、
前記第2の最近接画素出力線は、前記複数の第2の画素に含まれ前記第1の画素を備える画素行と同じ画素行に備えられる第2の画素に接続される
固体撮像素子。
【請求項2】
前記複数の第1の画素出力線に含まれ互いに隣接するふたつの画素出力線は、前記複数の第1の画素に含まれ互いに最近接するふたつの画素にそれぞれ接続される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記複数の第1の画素出力線は、同一の配線層に配置される
請求項1又は2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記複数の画素にそれぞれ接続され前記同一の配線層に配置される複数の画素出力線と、
前記複数の画素出力線以外の配線と、
を備え、
前記配線は、前記同一の配線層と異なる配線層に配置される
請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記複数の第1の画素出力線にそれぞれ接続される複数の第1の配線と、
前記複数の第2の画素出力線にそれぞれ接続される複数の第2の配線と、
を備え、
前記複数の第1の配線及び前記複数の第2の配線は、前記同一の配線層と異なる配線層に配置され、平面視において線対称状に配置される
請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記複数の第1の画素出力線は、一定の隣接画素出力線間距離を有する
請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記第1の最近接画素出力線及び前記第2の最近接画素出力線は、前記複数の第1の画素出力線の隣接画素出力線間距離と同じ隣接画素出力線間距離を有する
請求項6に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
互いに反対の側にある第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面に前記複数の画素を備える半導体基板を備え、
前記複数の第1の画素出力線及び前記複数の第2の画素出力線は、前記第1の主面より前記第2の主面寄りに配置され、
前記固体撮像素子は、裏面照射型の固体撮像素子である
請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
列方向について前記複数の第1の画素出力線の一方の側に配置される第1の回路と、
前記列方向について前記複数の第1の画素出力線の他方の側に配置される第2の回路と、
を備え、
前記複数の第1の画素出力線は、前記第1の回路に接続される画素出力線及び前記第2の回路に接続される画素出力線を含む
請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記複数の第1の画素は、共用のフローティングディフュージョンを備え発生した電荷を前記共用のフローティングディフュージョンに蓄積するふたつ以上の画素を含む
請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記複数の第1の画素出力線は、互いに異なる複数の配線層に分けて配置される
請求項1又は2に記載の固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、固体撮像素子を開示する。
【0003】
当該固体撮像素子においては、各列の画素に対して複数の画素出力線が設けられる。また、各行の画素が、複数の画素出力線のいずれかに接続される。また、画素信号が、画素出力線を介して出力される。これにより、当該固体撮像素子は、画素信号を読み出す速度を高速化する(段落0028-0031)。
【0004】
また、当該固体撮像素子においては、複数の画素出力線が配置される配線層を分けること、画素出力線が配置される配線層にシールド用配線を配置すること等により、画素出力線間の寄生容量が減らされる。これにより、当該固体撮像素子は、画素出力線間の距離が近くなることにより生じる横筋等の画質低下を回避する(段落0032,0072及び0087)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-185823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された固体撮像素子においては、全部の画素列において、複数の行の画素の複数の画素出力線への接続が、同様に行われる。このため、各列の画素に対して設けられる複数の画素出力線の数が増加した場合に、最隣接する画素出力線を介して出力される画素信号が互いに大きく離れた画素の画素信号となる。例えば、第1の列及び第2の列が互いに隣接しており、第1の列に対して複数の第1の画素出力線が設けられ、第2の列に対して複数の第2の画素出力線が設けられる場合を考える。この場合は、複数の第1の画素出力線に含まれる、複数の第2の画素出力線に最隣接する第1の画素出力線、及び複数の第2の画素出力線に含まれる、複数の第1の画素出力線に最隣接する第2の画素出力線を介して出力される画素信号が、行方向に互いに大きく離れた画素の画素信号となる。このため、当該固体撮像素子においては、互いに最隣接する画素出力線の間の容量カップリング及びクロストークによる画質の劣化が生じる可能性がある。
【0007】
本開示は、この問題に鑑みてなされた。本開示の一態様は、例えば、互いに最近接する画素出力線の間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の固体撮像素子は、行列状に配列され、複数の第1の画素を備える第1の画素列と、複数の第2の画素を備え前記第1の画素列に隣接する第2の画素列と、を備える複数の画素と、前記複数の第1の画素にそれぞれ接続され行方向に配列される複数の第1の画素出力線と、前記複数の第2の画素にそれぞれ接続され前記行方向に配列される複数の第2の画素出力線と、を備え、前記複数の第1の画素出力線は、前記複数の第2の画素出力線に最も近接する第1の最近接画素出力線を含み、前記複数の第2の画素出力線は、前記複数の第1の画素出力線に最も近接する第2の最近接画素出力線を含み、前記第1の最近接画素出力線は、前記複数の第1の画素に含まれる第1の画素に接続され、前記第2の最近接画素出力線は、前記複数の第2の画素に含まれ前記第1の画素を備える画素行と同じ画素行に備えられる第2の画素に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の固体撮像素子を模式的に図示する平面図である。
図2】第1実施形態の固体撮像素子に備えられる第1の画素列及び第2の画素列に備えられる画素の配列を模式的に図示する平面図である。
図3】第1参考例の固体撮像素子を模式的に図示する平面図である。
図4】第1参考例の固体撮像素子に備えられる第1の画素列及び第2の画素列に備えられる画素の配列を模式的に図示する平面図である。
図5】第1実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の画素出力線及び当該複数の画素出力線以外の複数の配線を模式的に図示する断面図である。
図6】第2参考例の固体撮像素子に備えられる複数の画素出力線及び複数のシールド線を模式的に図示する断面図である。
図7】画素出力線の両側にシールド線が配置された場合、及び画素出力線の両側に当該画素出力線により出力される信号と同じ信号を出力する別の画素出力線が配置された場合における、リセットトランジスタのオン/オフ状態、転送トランジスタのオン/オフ状態及び画素出力線の出力の電圧の時間変化を示すタイミングチャートである。
図8】第1実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の第1の配線、複数の第2の配線、複数の第1のビア、複数の第2のビア、複数の第3のビア及び複数の第4のビアを模式的に図示する平面図である。
図9】第3参考例の固体撮像素子に備えられる複数の第1の配線、複数の第2の配線、複数の第1のビア、複数の第2のビア、複数の第3のビア及び複数の第4のビアを模式的に図示する平面図である。
図10】第1実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の第1の画素出力線及び複数の第2の画素出力線を模式的に図示する平面図である。
図11】第1実施形態の固体撮像素子が表面照射型の固体撮像素子である場合における、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる半導体基板、複数の第1の画素出力線、複数の第2の画素出力線及び複数の第3の画素出力線を模式的に図示する断面図である。
図12】第1実施形態の固体撮像素子が裏面照射型の固体撮像素子である場合における、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる半導体基板、複数の第1の画素出力線、複数の第2の画素出力線及び複数の第3の画素出力線を模式的に図示する断面図である。
図13】第1実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の第1の画素、複数の第1の画素出力線、第1の回路及び第2の回路を模式的に図示する平面図である。
図14】第2実施形態の固体撮像素子を模式的に図示する平面図である。
図15】第2実施形態の固体撮像素子に備えられる第1の画素列及び第2の画素列に備えられる画素の配列を模式的に図示する平面図である。
図16】第4参考例の固体撮像素子を模式的に図示する平面図である。
図17】第4参考例の固体撮像素子に備えられる第1の画素列及び第2の画素列に備えられる画素の配列を模式的に図示する平面図である。
図18】第3実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の画素出力線を模式的に図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
1 第1実施形態
1.1 固体撮像素子
図1は、第1実施形態の固体撮像素子を模式的に図示する平面図である。図2は、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる第1の画素列及び第2の画素列に備えられる画素の配列を模式的に図示する平面図である。
【0012】
図1に図示される第1実施形態の固体撮像素子1は、被写体像を撮像し、撮像した被写体像に応じた画像信号を出力する。固体撮像素子1は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサ等である。
【0013】
図1及び図2に図示されるように、固体撮像素子1は、複数の画素11を備える。
【0014】
複数の画素11は、被写体像が形成される受光面に配置される。複数の画素11に含まれる各画素11は、撮像される被写体像を形成する光を受光し、受光した光に対して光電変換を行って受光した光に応じた電荷を発生し、発生した電荷に応じた画素信号を生成する。これにより、複数の画素11は、出力される画像信号を構成する複数の画素信号をそれぞれ生成する。
【0015】
複数の画素11は、行方向D1及び列方向D2に行列状に配列される。このため、図1及び図2に図示されるように、複数の画素11は、複数の画素列21を備える。複数の画素列21に含まれる各画素列21は、列方向D2に伸びる。複数の画素列21は、行方向D1に配列され、互いに平行をなす。複数の画素列21は、第1の画素列31及び第2の画素列32を含む。第1の画素列31は、M列目にある。第2の画素列32は、M+1列目にあり、第1の画素列31に隣接する。
【0016】
各画素列21は、複数の画素11を備える。各画素列21に備えられる複数の画素11は、列方向D2に配列される。このため、図1及び図2に図示されるように、第1の画素列31は、複数の第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nを備える。第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nは、列方向D2に配列される。第2の画素列32は、複数の第2の画素42-1,42-2,42-3,・・・,42-Nを備える。第2の画素42-1,42-2,42-3,・・・,42-Nは、列方向D2に配列される。
【0017】
図1及び図2に図示されるように、固体撮像素子1は、複数の画素出力線群51を備える。
【0018】
複数の画素出力線群51は、行方向D1に配列され、互いに平行をなす。複数の画素出力線群51は、複数の画素列21に沿ってそれぞれ配置される。複数の画素出力線群51は、複数の画素列21にそれぞれ接続される。複数の画素出力線群51は、複数の画素列21により生成された画素信号をそれぞれ読み出す。複数の画素出力線群51は、第1の画素出力線群61及び第2の画素出力線群62を含む。第1の画素出力線群61は、M列目にある。第2の画素出力線群62は、M+1列目にあり、第1の画素出力線群61に隣接する。
【0019】
図1及び図2に図示されるように、第1の画素出力線群61は、複数の第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nを備える。第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nの各々は、列方向D2に延びる。第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nは、行方向D1に配列され、互いに平行をなす。第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nは、第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nにそれぞれ接続される。このため、第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nにより生成された画素信号は、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nにそれぞれ転送される。第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nは、第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nにより生成され、転送されてきた画素信号をそれぞれ読み出す。
【0020】
第2の画素出力線群62は、複数の第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nを備える。第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nの各々は、列方向D2に延びる。第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nは、行方向D1に配列され、互いに平行をなす。第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nは、第2の画素42-N,・・・,42-3,42-2,42-1にそれぞれ接続される。このため、第2の画素42-N,・・・,42-3,42-2,42-1により生成された画素信号は、第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nにそれぞれ転送される。また、第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nは、第2の画素42-N,・・・,42-3,42-2,42-1により生成され、転送されてきた画素信号をそれぞれ読み出す。
【0021】
第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-N及び第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nは、第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-N及び第2の画素42-N,・・・,42-3,42-2,42-1により生成された画素信号を同時に読み出す。
【0022】
1.2 最近接画素出力線に接続される画素
第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nは、第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nに最も近接する第1の最近接画素出力線71-1を含む。第1の最近接画素出力線71-1は、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nにおいて、行方向D1の一端にある。第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nは、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nに最も近接する第2の最近接画素出力線72-Nを含む。第2の最近接画素出力線72-Nは、第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nにおいて、行方向D1の他端にある。
【0023】
第1の最近接画素出力線71-1は、複数の第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nに含まれる第1の画素41-1に接続される。第2の最近接画素出力線72-Nは、複数の第2の画素42-1,42-2,42-3,・・・,42-Nに含まれる第2の画素42-1に接続される。第1の画素41-1及び第2の画素42-1は、同じ画素行80に備えられる。このため、第1の画素41-1及び第2の画素42-1は、互いに近接する。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nは、それぞれ、互いに近接する第1の画素41-1及び第2の画素42-1により生成された画素信号を同時に読み出す。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nの間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。
【0024】
1.3 第1参考例と第1実施形態との対比
図3は、第1参考例の固体撮像素子を模式的に図示する平面図である。図4は、第1参考例の固体撮像素子に備えられる第1の画素列及び第2の画素列に備えられる画素の配列を模式的に図示する平面図である。
【0025】
図3及び図4に図示されるように、第1参考例の固体撮像素子901は、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-Nが、互いに異なる第1の画素行81及び第2の画素行82にそれぞれ備えられる点で、第1実施形態の固体撮像素子1と相違する。
【0026】
このため、第1参考例の固体撮像素子901においては、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-1は、互いに大きく離れている。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nは、それぞれ、互いに大きく離れた第1の画素41-1及び第2の画素42-1により生成された画素信号を同時に読み出す。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nの間のクロストークによる画質の劣化が生じる場合がある。
【0027】
これに対して、第1実施形態の固体撮像素子1においては、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-1は、互いに近接する。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nは、それぞれ、互いに近接する第1の画素41-1及び第2の画素42-1により生成された画素信号を同時に読み出す。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nの間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。
【0028】
1.4 複数の第1の画素出力線に接続される画素
図1及び図2に図示されるように、第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nは、記載された順で列方向D2に配列される。また、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nは、記載された順で行方向D1に配列される。このため、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nが第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nにそれぞれ接続された場合は、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nに含まれ互いに隣接するふたつの画素出力線が、第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nに含まれ互いに最近接するふたつの画素にそれぞれ接続される。例えば、互いに隣接するふたつの画素出力線71-1及び71-2が、互いに最近接するふたつの画素41-1及び41-2にそれぞれ接続される。これにより、互いに隣接するふたつの画素出力線にそれぞれ接続されるふたつの画素は、互いに最近接する。これにより、互いに隣接するふたつの画素出力線は、それぞれ、互いに最近接するふたつの画素により生成された画素信号を同時に読み出す。これにより、互いに隣接するふたつの画素出力線の間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。第1の画素列31以外の画素列に備えられる複数の画素及び第1の画素出力線群61以外の画素出力線に備えられる複数の画素出力線についても、同様である。
【0029】
1.5 画素出力線及び当該画素出力線以外の配線が配置される配線層
図5は、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の画素出力線及び当該複数の画素出力線以外の複数の配線を模式的に図示する断面図である。
【0030】
図5に図示されるように、固体撮像素子1は、複数の画素出力線91及び複数の画素出力線91以外の複数の配線92を備える。
【0031】
複数の画素出力線91は、複数の画素11にそれぞれ接続される。このため、複数の画素11により生成された画素信号は、複数の画素出力線91にそれぞれ転送される。また、複数の画素出力線91は、複数の画素11により生成され、転送されてきた画素信号をそれぞれ読み出す。
【0032】
複数の画素出力線91は、複数の画素出力線群51に含まれる各画素出力線群51に備えられる複数の画素出力線を含む。このため、複数の画素出力線91は、第1の画素出力線群61に備えられる複数の第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-N及び第2の画素出力線群62に備えられる複数の第2の画素出力線72-1,・・・,72-N-2,72-N-1,72-Nを含む。
【0033】
複数の画素出力線91は、同一の配線層101に配置される。これにより、複数の画素出力線91の特性のばらつきを抑制することができる。これにより、互いに隣接するふたつの画素出力線91の間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。
【0034】
複数の配線92は、同一の配線層101と異なる配線層102に配置される。これにより、複数の画素出力線91が配置される同一の配線層101に複数の配線92が配置されず、当該同一の配線層101に複数の画素出力線91のみが配置される。
【0035】
同一の配線層101に複数の画素出力線91のみを配置することができる、すなわち、同一の配線層101にシールド線を配置しなくてよいのは、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-1を互いに近接させることにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nの間のクロストークによる画質の劣化を抑制しているためである。
【0036】
また、同一の配線層101に複数の画素出力線91のみを配置することにより、同一の配線層101に複数の配線92を配置することによる、同一の配線層101に配置される配線の配線密度の上昇を抑制することができる。これにより、レイアウトルールによる同一の配線層101に配置することができる配線の配線密度の制限下において、同一の配線層101に配置することができる複数の画素出力線91の数を増やすことができる。
【0037】
1.6 第2参考例と第1実施形態との対比
図6は、第2参考例の固体撮像素子に備えられる複数の画素出力線及び複数のシールド線を模式的に図示する断面図である。
【0038】
図6に図示されるように、第2参考例の固体撮像素子は、複数の画素出力線91及び複数のシールド線93が同一の配線層101に配置される点で、第1実施形態の固体撮像素子1と相違する。
【0039】
第2参考例の固体撮像素子においては、互いに隣接するふたつの画素出力線91の間にひとつのシールド線93が配置される。このため、複数の画素出力線91に含まれる各画素出力線91は、シールド線93に隣接する。複数のシールド線93は、複数の画素出力線91により読み出される画素信号が異なることに起因して、互いに隣接するふたつの画素出力線91の間のクロストークが不均一になることを抑制する。
【0040】
しかし、互いに隣接するふたつの画素出力線91の間にシールド線93が配置された場合は、レイアウトルールによる同一の配線層101に配置することができる配線の配線密度の制限下において、同一の配線層101に配置することができる複数の画素出力線91の数が減る。
【0041】
また、各画素出力線91がシールド線93に隣接する場合は、各画素出力線91の電位と隣接する配線の電位との電位差が大きくなる。このため、各画素出力線91が画素信号を読み出す際のRC遅延が大きくなる。このため、第2参考例の固体撮像素子は、画素信号の高速読み出しに適さない。
【0042】
これに対して、第1実施形態の固体撮像素子1においては、レイアウトルールによる同一の配線層101に配置することができる配線の配線密度の制限下において、同一の配線層101に配置することができる複数の画素出力線91の数を増やすことができる。
【0043】
また、第1実施形態の固体撮像素子1においては、各画素出力線91が他の画素出力線91に隣接する。そして、各画素出力線91が他の画素出力線91に隣接する場合は、各画素出力線91の電位と隣接する配線の電位との電位差が小さくなる。このため、各画素出力線91が画素信号を読み出す際のRC遅延が小さくなる。このため、第1実施形態の固体撮像素子1は、画素信号の高速読み出しに適する。
【0044】
図7は、画素出力線の両側にシールド線が配置された場合、及び画素出力線の両側に当該画素出力線により出力される信号と同じ信号を出力する別の画素出力線が配置された場合における、リセットトランジスタのオン/オフ状態、転送トランジスタのオン/オフ状態及び画素出力線の出力の電圧の時間変化を示すタイミングチャートである。
【0045】
図7に示されるように、画素出力線の両側にシールド線が配置された場合、及び画素出力線の両側に別の画素出力線が配置された場合のいずれにおいても、リセットトランジスタの状態は、タイミングT1からタイミングT2までの期間にオン状態にされる。画素出力線の出力の電圧は、リセットトランジスタの状態がオン状態にされるのに応答して、参照レベルまで下げられる。
【0046】
また、転送トランジスタの状態は、画素出力線の出力の電圧が参照レベルにされた後の、タイミングT3からタイミングT4までの期間にオン状態にされる。画素出力線の出力の電圧は、転送トランジスタの状態がオン状態にされるのに応答して、蓄積信号レベルまで下げられる。
【0047】
参照レベルと蓄積信号レベルとの差は、出力される信号になる。
【0048】
画素信号の高速読み出しにとって問題であるのは、リセットトランジスタの状態がオン状態にされた際の画素出力線の出力の電圧の挙動よりも、転送トランジスタの状態がオン状態にされた際の画素出力線の出力の電圧の挙動であり、特に、転送トランジスタの状態がオフ状態からオン状態に切り替えられたタイミングT3から画素出力線の出力の電圧が蓄積信号レベルまで下げられるまでのセトリング時間である。
【0049】
画素出力線の両側にシールド線が配置された場合のセトリング時間は、図7に示されるタイミングT4からタイミングT6までの期間の長さである。一方、画素出力線の両側に別の画素出力線が配置された場合のセトリング時間は、図7に示されるタイミングT4からタイミングT5までの期間の長さである。図7からは、後者のセトリング時間が前者のセトリング時間より短いことを理解することができる。このことは、画素出力線の両側に別の画素出力線が配置された場合は、画素出力線の両側にシールド線が配置された場合と比較して、画素信号の高速読み出しに適した固体撮像素子が得られることを意味する。
【0050】
1.7 画素出力線以外の配線の対称性
図8は、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の第1の配線、複数の第2の配線、複数の第1のビア、複数の第2のビア、複数の第3のビア及び複数の第4のビアを模式的に図示する平面図である。
【0051】
図8に図示されるように、固体撮像素子1は、複数の第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-N、複数の第2の配線112-1,・・・,112-p,112-p+1,・・・,112-N、複数の第1のビア121-1,・・・,121-p,121-p+1,・・・,121-N、複数の第2のビア122-1,・・・,122-p,122-p+1,・・・,122-N、複数の第3のビア123-1,・・・,123-p,123-p+1,・・・,123-N及び複数の第4のビア124-1,・・・,124-p,124-p+1,・・・,124-Nを備える。
【0052】
第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nは、第1のビア121-1,・・・,121-p,121-p+1,・・・,121-Nを介して、第1の画素出力線71-1,・・・,71-p,71-p+1,・・・,71-Nにそれぞれ接続される。第2の配線112-1,・・・,112-p,112-p+1,・・・,112-Nは、第2のビア122-1,・・・,122-p,122-p+1,・・・,122-Nを介して、第2の画素出力線72-1,・・・,72-p,72-p+1,・・・,72-Nにそれぞれ接続される。
【0053】
また、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nは、第3のビア123-1,・・・,123-p,123-p+1,・・・,123-Nを介して、他の配線にそれぞれ接続される。第2の配線112-1,・・・,112-p,112-p+1,・・・,112-Nは、第4のビア124-1,・・・,124-p,124-p+1,・・・,124-Nを介して、他の配線にそれぞれ接続される。
【0054】
第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-N及び第2の配線112-1,・・・,112-p,112-p+1,・・・,112-Nは、第1の画素出力線71-1,・・・,71-p,71-p+1,・・・,71-N及び第2の画素出力線72-1,・・・,72-p,72-p+1,・・・,72-Nが配置される同一の配線層101と異なる配線層に配置される。第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-N及び第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1は、平面視において、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-N及び第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1の中間点を通る仮想線131に関して、線対称状に配置される。これにより、第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1の長さを、対応する第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nの長さにそれぞれ近づけることができる。これにより、第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1により形成される寄生容量を、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nにより形成される寄生容量に近づけることができる。これにより、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nの特性及び第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1の特性のばらつきを抑制することができる。
【0055】
1.8 第3参考例と第1実施形態との対比
図9は、第3参考例の固体撮像素子に備えられる複数の第1の配線、複数の第2の配線、複数の第1のビア、複数の第2のビア、複数の第3のビア及び複数の第4のビアを模式的に図示する平面図である。
【0056】
図9に図示されるように、第3参考例の固体撮像素子は、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-N及び第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1が平面視において線対称状に配置されない点で、第1実施形態の固体撮像素子1と相違する。
【0057】
第3参考例の固体撮像素子においては、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-N及び第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1が平面視において線対称に配置されないために、第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1の長さが、それぞれ、対応する第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nの長さと大きく異なる。このため、第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1により形成される寄生容量が、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nにより形成される寄生容量と大きく異なる。これにより、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nの特性及び第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1の特性のばらつきが大きくなる。
【0058】
これに対して、第1実施形態の固体撮像素子1においては、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-N及び第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1が平面視において線対称に配置されるために、第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1の長さが、それぞれ、対応する第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nの長さと大きく異ならない。このため、第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1により形成される寄生容量が、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nにより形成される寄生容量と大きく異ならない。これにより、第1の配線111-1,・・・,111-p,111-p+1,・・・,111-Nの特性及び第2の配線112-N,・・・,112-p+1,112-p,・・・,112-1の特性のばらつきが小さくなる。
【0059】
1.9 隣接画素出力線間距離
図10は、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の第1の画素出力線及び複数の第2の画素出力線を模式的に図示する平面図である。
【0060】
図10に図示されるように、複数の第1の画素出力線71-1,71-2,・・・,71-N-2,71-N-1,71-Nは、一定の隣接画素出力線間距離aを有する。これにより、第1の画素出力線71-1,71-2,・・・,71-N-2,71-N-1,71-Nにより形成される寄生容量のばらつきを抑制することができる。これにより、第1の画素出力線71-1,71-2,・・・,71-N-2,71-N-1,71-Nの特性のばらつきを抑制することができる。これにより、第1の画素出力線71-1,71-2,・・・,71-N-2,71-N-1,71-Nに含まれる互いに隣接するふたつの画素出力線の間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。第1の画素出力線群61以外の画素出力線群に備えられる複数の画素出力線についても同様である。
【0061】
第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nは、隣接画素出力線間距離aと異なる隣接画素出力線間距離bを有してもよいが、望ましくは、隣接画素出力線間距離aと同じ隣接画素出力線間距離bを有する。複数の画素出力線91により形成される寄生容量のばらつきを抑制することができる。これにより、複数の画素出力線91の特性のばらつきを抑制することができる。これにより、複数の画素出力線91に含まれる互いに隣接するふたつの画素出力線91の間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。
【0062】
1.10 表面照射型及び裏面照射型
図11は、第1実施形態の固体撮像素子が表面照射型の固体撮像素子である場合における、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる半導体基板、複数の第1の画素出力線、複数の第2の画素出力線及び複数の第3の画素出力線を模式的に図示する断面図である。図12は、第1実施形態の固体撮像素子が裏面照射型の固体撮像素子である場合における、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる半導体基板、複数の第1の画素出力線、複数の第2の画素出力線及び複数の第3の画素出力線を模式的に図示する断面図である。
【0063】
図11及び図12に図示されるように、固体撮像素子1が表面照射型の固体撮像素子及び裏面照射型の固体撮像素子のいずれであっても、固体撮像素子1は、半導体基板131、第1の画素出力線群61、第2の画素出力線群62及び第3の画素出力線群63を備える。
【0064】
半導体基板131は、第1の主面131a及び第2の主面131bを有する。第1の主面131a及び第2の主面131bは、互いに反対の側にある。半導体基板131は、第1の主面131aに複数の画素11を備える。複数の画素11に含まれる各画素11は、光電変換を行うフォトダイオード141を備える。第3の画素出力線群63は、M+2列目にあり、第2の画素出力線群62に隣接する。
【0065】
図11に図示されるように、固体撮像素子1が表面照射型の固体撮像素子である場合は、第1の画素出力線群61、第2の画素出力線群62及び第3の画素出力線群63は、第1の主面131aの上に配置される。
【0066】
これに対して、図12に図示されるように、固体撮像素子1が裏面照射型の固体撮像素子である場合は、第1の画素出力線群61、第2の画素出力線群62及び第3の画素出力線群63は、第1の主面131aの下に配置される。このため、第1の画素出力線群61に備えられる複数の第1の画素出力線、第2の画素出力線群62に備えられる複数の第2の画素出力線及び第3の画素出力線群63に備えられる複数の第3の画素出力線は、第1の主面131aより第2の主面131b寄りに配置される。このため、固体撮像素子1が裏面照射型の固体撮像素子である場合は、固体撮像素子1は、半導体基板131を厚さ方向に貫通する貫通電極を備える。貫通電極は、固体撮像素子1が非積層型の固体撮像素子である場合は、第2の主面131bの側の電気信号を第1の主面131aの側に配置されたパッドに引き上げるために用いられる。また、貫通電極は、固体撮像素子1がセンサーチップ及びロジックチップを備える積層型の固体撮像素子である場合は、センサーチップ及びロジックチップを互いに電気的に接続するために用いられる。
【0067】
固体撮像素子1が裏面照射型の固体撮像素子である場合は、ひとつの画素出力線群に備えられる複数の画素出力線の数が、固体撮像素子1が表面照射型の固体撮像素子である場合と比較して、多くなる傾向がある。このため、固体撮像素子1が裏面照射型の固体撮像素子である場合は、互いに隣接するふたつの画素出力線群間の距離が、固体撮像素子1が表面照射型の固体撮像素子である場合と比較して、短くなる傾向がある。このため、固体撮像素子1が裏面照射型の固体撮像素子である場合は、互いに隣接するふたつの画素出力線の間のクロストークによる画質の劣化を抑制する効果が、固体撮像素子1が表面照射型の固体撮像素子である場合と比較して、顕著に現れる。
【0068】
1.11 回路との接続
図13は、第1実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の第1の画素、複数の第1の画素出力線、第1の回路及び第2の回路を模式的に図示する平面図である。
【0069】
図13に図示されるように、固体撮像素子1は、複数の第1の回路151-1,151-3,・・・及び複数の第2の回路151-2,151-4,・・・を備える。
【0070】
第1の回路151-1,151-3,・・・は、列方向D2について第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,71-4,・・・,71-Nの一方の側に配置される。第2の回路151-2,151-4,・・・は、列方向D2について第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,71-4,・・・,71-Nの他方の側に配置される。
【0071】
第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,71-4,・・・,71-Nの接続先は、第1の回路151-1,151-3,・・・及び第2の回路151-2,151-4,・・・に分割される。したがって、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,71-4,・・・,71-Nは、第1の回路151-1,151-3,・・・にそれぞれ接続されるが第2の回路151-2,151-4,・・・に接続されない画素出力線71-1,71-3,・・・及び第2の回路151-2,151-4,・・・に接続されるが第1の回路151-1,151-3,・・・に接続されない画素出力線71-2,71-4,・・・を含む。
【0072】
回路151-1,151-2,151-3,151-4,・・・が第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nの一方の側に配置される第1の回路151-1,151-3,・・・及び第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nの他方の側に配置される第2の回路151-2,151-4,・・・からなる場合は、当該複数の回路151-1,151-2,151-3,151-4,・・・が一方の側又は他方の側のみに配置される回路からなる場合と比較して、隣接するふたつの回路の間の距離を長くすることができる。このため、レイアウトルールによる隣接するふたつの回路の間の距離の制限下において、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nの数を増やすことができる。
【0073】
互いに隣接するふたつの画素出力線の間のクロストークによる画質の劣化を抑制する効果は、ひとつの画素出力線群51に備えられる複数の画素出力線の数が多い場合に顕著に現れる。このため、固体撮像装置1においては、第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,・・・,71-Nの数が増やされた場合に、互いに隣接する画素出力線の間のクロストークによる画質の劣化を抑制する効果が顕著に現れる。第1の画素出力線群61以外の画素出力線群51に備えられる複数の画素出力線についても、同様である。
【0074】
複数の回路151-1,151-2,151-3,151-4,・・・に含まれる各回路は、各回路に接続された画素出力線により読み出された画素信号を処理する。各回路は、アナログ/デジタル(A/D)変換回路、相関二重サンプリング(CDS)回路等である。
【0075】
2 第2実施形態
2.1 固体撮像素子
以下では、第2実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第2実施形態においても採用される。
【0076】
図14は、第2実施形態の固体撮像素子を模式的に図示する平面図である。図15は、第2実施形態の固体撮像素子に備えられる第1の画素列及び第2の画素列に備えられる画素の配列を模式的に図示する平面図である。
【0077】
図14及び図15に図示されるように、第2実施形態の固体撮像素子2においては、複数の第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-Nが、フローティングディフュージョン(FD)共有画素161を含む。FD共有画素161は、共用のFDを備え、発生した電荷を共用のFDに蓄積するふたつ以上の画素である。FD共有画素161に含まれるふたつ以上の画素には、ひとつの画素出力線が接続される。
【0078】
第2実施形態の固体撮像素子2においても、第1実施形態の固体撮像素子1と同様に、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-1は、同じ画素行80に備えられる。このため、第1の画素41-1及び第2の画素42-1は、互いに近接する。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nは、それぞれ、互いに近接する第1の画素41-1及び第2の画素42-1により生成された画素信号をそれぞれ読み出す。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nの間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。
【0079】
2.2 第4参考例と第2実施形態との対比
図16は、第4参考例の固体撮像素子を模式的に図示する平面図である。図17は、第4参考例の固体撮像素子に備えられる第1の画素列及び第2の画素列に備えられる画素の配列を模式的に図示する平面図である。
【0080】
図16及び図17に図示されるように、第4参考例の固体撮像素子904は、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-Nが、互いに異なる第1の画素行81及び第2の画素行82にそれぞれ備えられる点で、第2実施形態の固体撮像素子2と相違する。
【0081】
このため、第4参考例の固体撮像素子904においては、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-Nは、互いに大きく離れている。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nは、それぞれ、互いに大きく離れた第1の画素41-1及び第2の画素42-Nにより生成された画素信号を同時に読み出す。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nの間のクロストークによる画質の劣化が生じる場合がある。
【0082】
第4参考例の固体撮像素子904においては、第1参考例の固体撮像素子901と比較して、第1の画素41-1及び第2の画素42-Nが互いに大きく離れる。これは、FD共有画素161に含まれるふたつ以上の画素にひとつの画素出力線が接続されるためである。このため、第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-NがFD共有画素161を含む場合は、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-Nを互いに近接させることがより強く求められる。
【0083】
これに対して、第2実施形態の固体撮像素子2においては、複数の第1の画素41-1,41-2,41-3,・・・,41-NがFD共有画素161を含むにもかかわらず、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-Nは、互いに近接する。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nは、それぞれ、互いに近接する第1の画素41-1及び第2の画素42-Nにより生成された画素信号を同時に読み出す。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nの間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。
【0084】
3 第3実施形態
以下では、第3実施形態が第1実施形態と相違する点が説明される。説明されない点については、第1実施形態において採用される構成と同様の構成が第3実施形態においても採用される。
【0085】
図18は、第3実施形態の固体撮像素子に備えられる複数の画素出力線を模式的に図示する断面図である。
【0086】
図18に示されるように、第3実施形態の固体撮像素子においては、複数の画素出力線91が、互いに異なる複数の配線層171に分けて配置される。このため、複数の第1の画素出力線71-1,71-2,71-3,71-4,71-Nも、互いに異なる複数の配線層171に分けて配置される。また、複数の第2の画素出力線72-1,72-N-2,72-N-1,72-Nも、互いに異なる複数の配線層171に分けて配置される。図17には、複数の配線層171がふたつの配線層である場合が図示されている。しかし、複数の配線層171がみっつ以上の配線層であってもよい。
【0087】
第3実施形態の固体撮像素子においても、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nにそれぞれ接続される第1の画素41-1及び第2の画素42-1は、互いに近接する。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nは、それぞれ、互いに近接する第1の画素41-1及び第2の画素42-1により生成された画素信号を同時に読み出す。これにより、第1の最近接画素出力線71-1及び第2の最近接画素出力線72-Nの間のクロストークによる画質の劣化を抑制することができる。
【0088】
本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 固体撮像素子、11 画素、21 画素列、31 第1の画素列、32 第2の画素列、41-1,41-2,41-3,41-N 第1の画素、42-1,42-2,42-3,42-N 第2の画素、51 画素出力線群、61 第1の画素出力線群、62 第2の画素出力線群、63 第3の画素出力線群、71-1,71-2,71-3,71-4,71-N 第1の画素出力線、72-1,72-N-2,72-N-1,72-N 第2の画素出力線、80 画素行、91 画素出力線、92 配線、93 シールド線、101 配線層、102 配線層、111-1,111-p,111-p+1,111-N 第1の配線、112-1,112-p,112-p+1,112-N 第2の配線、121-1,121-p,121-p+1,121-N 第1のビア、122-1,122-p,122-p+1,122-N 第2のビア、123-1,123-p,123-p+1,123-N 第3のビア、124-1,124-p,124-p+1,124-N 第4のビア、131 半導体基板、131a 第1の主面、131b 第2の主面、141 フォトダイオード、151-1,151-2,151-3,151-4 回路、161 フローティングディフュージョン(FD)共有画素、171 配線層、901 固体撮像素子。
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