(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079429
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】電動カート
(51)【国際特許分類】
B60G 9/04 20060101AFI20240604BHJP
B60G 3/20 20060101ALI20240604BHJP
A63B 55/60 20150101ALI20240604BHJP
【FI】
B60G9/04
B60G3/20
A63B55/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192383
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】391015144
【氏名又は名称】エナジーシステムサービスジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 光雅
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 達矢
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301BA11
3D301BA20
3D301CA11
3D301CA24
3D301CA47
3D301DA08
3D301DA33
(57)【要約】
【課題】バネ下重量を軽量化することにより乗り心地を向上させ、かつ走行距離を向上させることができる電動カートを得る。
【解決手段】電動カートは、左右の前側車輪と、左右の後側車輪と、左右の後側車輪を車体に連結するリンク方式懸架装置40と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の前側車輪と、
左右の後側車輪と、
前記左右の後側車輪を車体に連結するリンク方式懸架装置と、
を備える電動カート。
【請求項2】
前記リンク方式懸架装置は、
後端が前記左右の後側車輪を連結する車軸に連結され、前端が前記車体に連結されて、車体前後方向に延在される左右のリンクアーム部と、
下端が前記車軸に連結され、上端が前記車体に連結されて、車体上下方向に延在される左右のショックアブソーバと、
を備える請求項1に記載の電動カート。
【請求項3】
前記リンクアーム部は、車体上下方向及び車体幅方向に離間して配設されるアッパリンク及びロアリンクを備えている請求項2に記載の電動カート。
【請求項4】
前記アッパリンクは、前記車軸において前記ショックアブソーバの下端部よりも車体前側に並んで配設され、
前記ロアリンクは、前記アッパリンクよりも車体上下方向の下側で、かつ車体幅方向外側に離間して配設される請求項3に記載の電動カート。
【請求項5】
カート平面視で、前記ショックアブソーバは前記車軸上において、前記アッパリンクの後端と前記ロアリンクの後端の範囲に配設されている請求項4に記載の電動カート。
【請求項6】
前記左右の前輪を前記車体に連結するダブルウィッシュボーン方式懸架装置を備える請求項1に記載の電動カート。
【請求項7】
ゴルフカートである請求項1に記載の電動カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動カートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ゴルフカート等の走行車両において、左右の前側車輪が、ダブルウィッシュボーン方式の懸架装置を使用して車体に連結された態様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゴルフカート等の走行車両においては、左右の後側車輪が、センタスイング方式の懸架装置を使用して車体に連結された態様が知られている。しかしながら、センタスイング方式の懸架装置を使用する場合、トランスミッションが載置されたサブフレームとメインフレーム(車体)とが1点でスイングするため、1点のリング部に負荷が集中してしまう。そのため、負荷を軽減するために、サブフレーム本体をより高剛性化する必要があるが、高剛性化のためにサブフレームを大型化してしまうと、バネ下重量が重量化してしまい、乗り心地が低減してしまう虞がある。特許文献1に記載の車両においては、後側車輪の懸架装置については言及されておらず、バネ下重量の軽量化については改善の余地がある。
【0005】
本開示は上記事実を考慮し、バネ下重量を軽量化することにより乗り心地を向上させ、かつ走行距離を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本開示に係る電動カートは、左右の前側車輪と、左右の後側車輪と、前記左右の後側車輪を車体に連結するリンク方式懸架装置と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の本開示に係る電動カートは、左右の前側車輪と、左右の後側車輪と、左右の後側車輪を車体に連結するリンク方式懸架装置と、を備えている。後側車輪側にリンク方式懸架装置を備えていることにより車体とのリンク部が複数となり、リンク部への負荷が分散される。そのため、センタスイング方式懸架装置と比較してサブフレーム本体の高剛性化が不要となり、サブフレームを小型化することができる。これにより、請求項1に記載の本開示に係る電動カートは、バネ下重量を軽量化することができるので、乗り心地を向上させ、かつ走行距離を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の本開示に係る電動カートは、請求項1に記載の構成において、前記リンク方式懸架装置は、後端が前記左右の後側車輪を連結する車軸に連結され、前端が前記車体に連結されて、車体前後方向に延在される左右のリンクアーム部と、下端が前記車軸に連結され、上端が前記車体に連結されて、車体上下方向に延在される左右のショックアブソーバと、を備える。
【0009】
請求項2に記載の本開示に係る電動カートは、リンク方式懸架装置が、後端が車軸に連結され、前端が車体に連結された前後方向に延在される左右のリンクアーム部を備えている。左右各々にリンクアーム部を備えていることにより、左右各々において、リンク部への負荷を分散させることができる。また、請求項2に記載の本開示に係る電動カートは、下端が車軸に連結され、上端が車体に連結されて、車体上下方向に延在される左右のショックアブソーバを備えている。そのため、車体の左右に各々設けられ後側車輪の上下動による衝撃を吸収するコイルスプリングの振動を、左右のショックアブソーバにより抑えることができる。
【0010】
請求項3に記載の本開示に係る電動カートは、請求項2に記載の構成において、前記リンクアーム部が、車体上下方向及び車体幅方向に離間して配設されるアッパリンク及びロアリンクを備えている。
【0011】
請求項3に記載の本開示に係る電動カートでは、リンクアーム部が、車体上下方向及び車体幅方向に離間して配設されるアッパリンク及びロアリンクを備えているので、アッパリンク及びロアリンクが動いたときに干渉するのを防止しすることができる。
【0012】
請求項4に記載の本開示に係る電動カートは、請求項3に記載の構成において、前記アッパリンクは、前記車軸において前記ショックアブソーバの下端部よりも車体前側に並んで配設され、前記ロアリンクは、前記アッパリンクよりも車体上下方向の下側で、かつ車体幅方向外側に離間して配設される。
【0013】
請求項4に記載の本開示に係る電動カートは、アッパリンクが、車軸においてショックアブソーバの下端部よりも車体前側に並んで配設されているので、アッパリンクの取付部がショックアブソーバの下端部の取付位置近傍に位置することにより、アッパリンクの剛性を向上させることができる。また、請求項4に記載の本開示に係る電動カートは、ロアリンクが、アッパリンクよりも車体上下方向の下側で、かつ車体幅方向外側に離間して配設されているので、ロアリンク及びアッパリンクが動いたときに、ロアリンクとアッパリンクが干渉するのを防止することができる。すなわち、請求項4に記載の本開示に係る電動カートでは、アッパリンクの剛性を向上させ、かつロアリンクとアッパリンクとが干渉するのを防止することができる。
【0014】
請求項5に記載の本開示に係る電動カートは、請求項4に記載の構成において、カート平面視で、前記ショックアブソーバ部は前記車軸上において、前記アッパリンクの後端と前記ロアリンクの後端の範囲に配設されている。
【0015】
請求項5に記載の本開示に係る電動カートは、カート平面視で、ショックアブソーバは車軸上において、アッパリンクの後端とロアリンクの後端の範囲に配設されているので、ショックアブソーバ、アッパリンク、及びロアリンクをより省スペース内に配置することができ、他の部品における設計の自由度を向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の本開示に係る電動カートは、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の構成において、前記左右の前輪を前記車体に連結するダブルウィッシュボーン方式懸架装置を備える。
【0017】
請求項6に記載の本開示に係る電動カートは、左右の前輪を前記車体に連結するダブルウィッシュボーン方式懸架装置を備えている。前側車輪側にダブルウィッシュボーン方式懸架装置を備えていることにより、キャンバ角の変化量を最小限に抑えることができるため、車輪の接地面が維持され、車輪と路面との間のグリップ力を向上させることができる。また、ダブルウィッシュボーン方式懸架装置は、キングピンレスであるため、キングピンに必要とされる交換及びメンテナンスが不要となり、キングピンを必要とするスイングアスクル方式懸架装置と比較してメンテナンス性を向上させることができる。
【0018】
請求項7に記載の本開示に係る電動カートは、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の構成において、ゴルフカートである。
【0019】
請求項7に記載の本開示に係る電動カートはゴルフカートであるため、ゴルフカートにおいて、上記効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本開示に係る電動カートは、バネ下重量を軽量化することにより乗り心地を向上させ、かつ走行距離を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一実施形態に係るゴルフカートを示す正面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るゴルフカートを示す側面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係るゴルフカートの後輪周辺部を示す部分斜視図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るゴルフカートの後輪周辺部を示す部分側面図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係るゴルフカートの後輪周辺部を示す部分平面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係るゴルフカートの前輪周辺部を示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の一実施形態に係る電動カートについて説明する。本実施形態においては、一例として、電動カートはゴルフカート10である。以下に、ゴルフカート10について、図面を参照して説明する。なお、各図に記載された矢印UPはゴルフカート10の上下方向の上方側を示し、矢印FRはゴルフカート10の前後方向の前方側を示す。また、矢印LHはゴルフカート10の車幅方向の左側を示す。以下の説明中の上下方向及び前後方向はそれぞれ、ゴルフカート10の上下方向の上下及びゴルフカート10の前後方向の前後を、左右方向はゴルフカート10の車幅方向の左右方向をそれぞれ意味する。
【0023】
(ゴルフカートの構成)
本実施形態に係るゴルフカート10は、
図1及び
図2に示されるように、前側座席12及び後側座席14を有する複数人乗りのカートであり、本実施形態では一例として前側座席12に2人、後側座席14に3人の合計5人乗りとされている。ゴルフカート10は、骨格を形成し下部を支持するフレーム20Aを含む車体20を備えている。また、前側座席12及び後側座席14の足元には、フレーム20A上に固定された床プレート20Bが配設されている。
【0024】
ゴルフカート10は、床プレート20Bの上方に、床プレート20Bに対向するルーフ部22が設けられている。ゴルフカート10は、前方に車体前端部20Cが設けられており、ルーフ部22の前端部と車体前端部20Cとの間には、左右両側においてルーフ部22の前端部から下方前側に向かって延在されたフロントフレーム24が設けられている。なお、本実施形態においては、左右両側のフロントフレーム24の間には、フロントガラス(図示省略)が配設されている。また、ゴルフカート10は、左側の前側座席12の前方に、操舵装置の一部であるハンドル16が配設されている。ゴルフカート10は、左側の前側座席12の前方の足元に、ブレーキペダル及びアクセルペダルを含むペダル部18が配設されている。
【0025】
ゴルフカート10は、後方に車体後端部20Dが設けられており、ルーフ部22の後端部と車体後端部20Dとの間には、左右両端において下方に向かって延在されたリアフレーム26が設けられている。また、ゴルフカート10は、車体後端部20Dの後方に、ゴルフバッグ(図示省略)を載せるキャリア部28が斜め上方に向かって延在されている。
【0026】
ゴルフカート10は、左右の前側車輪31と、左右の後側車輪41と、左右の後側車輪41を車体20に連結するリンク方式懸架装置40とを備える。ゴルフカート10は、左右の前側車輪31を車体20に連結するダブルウィッシュボーン方式懸架装置30を備える。
【0027】
(リンク方式懸架装置の構成)
図3~
図5に示されるように、リンク方式懸架装置40は、後端(後端48A、後端49A)が左右の後側車輪41(
図2参照)を連結する車軸42に連結され、前端(前端48B、前端49B)が車体20(
図2参照)に連結されて、車体前後方向に延在される左右のリンクアーム部43と、下端が車軸42に連結され、上端が車体20に連結されて、車体上下方向に延在されるショックアブソーバ44Aと、を備える。本実施形態においては、左側のリンクアーム部43を左リンクアーム部43A、右側のリンクアーム部43を右リンクアーム部43Bとする。
【0028】
車軸42は、中空状のチューブで構成されており、後述するサブフレーム70の上にブラケットを介して固定されている。車軸42の内側には、回転軸45が回転可能に挿通されている。回転軸45の左端部及び右端部には、各々、ホイールハブ46が配設されており、ホイールハブ46は、左右の後側車輪41のホイール(図示省略)にハブボルト47を使用して固定される。
【0029】
サブフレーム70は矩形状に形成されており、前方側において左右方向に延在する第1フレーム72と、左右両側において各々前後方向に延在する第2フレーム74、第3フレーム76と、後方において左右方向に延在する第4フレーム(図示省略)とを備えている。第2フレーム74及び第3フレーム76の後端部の上面、並びに第4フレームの上面には、左側にトランスミッション50、右側に駆動モータ60が各々載置されている。
【0030】
駆動モータ60は回転軸45を介して左右の後側車輪41を駆動させるための動力を発生する装置である。トランスミッション50は、歯車、軸等を有し、駆動モータ60の動力をトルク、回転数、回転方向等を変えて回転軸45へと伝達する装置である。駆動モータ60のモータ軸はトランスミッション50に接続されている。トランスミッション50の歯車又は軸は回転軸45に接続されている。これにより、駆動モータ60が駆動されると、トランスミッション50を介して回転軸45が回転される。
【0031】
本実施形態においては、リンク方式懸架装置40は、ショックアブソーバ部44を備えており、ショックアブソーバ部44は、ショックアブソーバ44Aとコイルスプリング44Bとを有している。ショックアブソーバ44Aの周囲には、コイルスプリング44Bが配置されている。コイルスプリング44Bは、左右の後側車輪41から伝達される、例えば路面の凸凹からくる衝撃を縮むことにより吸収する。ショックアブソーバ44Aは、コイルスプリング44Bの揺れを抑制する。本実施形態においては、ショックアブソーバ44Aの下端は、車軸42の上端面に設けられたブラケット42Aを介して車軸42に固定されている。なお、ショックアブソーバ44Aは公知の技術を使用することができる。
【0032】
リンクアーム部43は、車体上下方向及び車体幅方向に離間して配設されるアッパリンク48及びロアリンク49を備えている。すなわち、左リンクアーム部43A及び右リンクアーム部43Bの各々が、アッパリンク48及びロアリンク49を備えている。本実施形態においては、
図3及び
図4に示されるように、一例として、アッパリンク48は、ロアリンク49よりも短く形成されており、車体20と接続されるアッパリンク48の前端48Bは、車体20と接続されるロアリンク49の前端49Bよりも後方側に位置して配置される。
【0033】
アッパリンク48の後端48Aと、ロアリンク49の後端49Aとは、車軸42に連結される。具体的には、アッパリンク48の後端48Aは、車軸42の前端面に設けられたブラケット42Bにゴムブッシュを介して上下に回動可能に連結される。また、ロアリンク49の後端49Aは、車軸42の下方面に設けられたブラケット42Cにゴムブッシュを介して上下に回動可能に連結される。
【0034】
アッパリンク48の前端48Bと、ロアリンク49の前端49Bとは、車体20に連結される。具体的には、アッパリンク48の前端48Bは、車体20のフロントフレーム(図示省略)の後端面に設けられたブラケット(図示省略)にゴムブッシュを介して上下に回動可能に連結される。また、ロアリンク49の前端49Bは、車体20のフロントフレーム(図示省略)の下方面に設けられたブラケット(図示省略)にゴムブッシュを介して上下に回動可能に連結される。
【0035】
図4に示されるように、アッパリンク48とロアリンク49とは、具体的には、一例として高さHの間隙を有している。また、
図5に示されるように、アッパリンク48とロアリンク49とは、具体的には、一例として距離Dの間隙を有している。本実施形態においては、一例として、ロアリンク49は、アッパリンク48よりも車体上下方向の下側で、かつ車体幅方向外側に離間して配設される。
【0036】
また、
図3~
図5に示されるように、アッパリンク48は、車軸42においてショックアブソーバ44Aの下端部よりも車体前側に並んで配設されている。すなわち、アッパリンク48の後端48Aは、ショックアブソーバ44Aの下端部の近傍に配設される。
【0037】
また、
図5に示されるように、カート平面視で、ショックアブソーバ44Aは車軸42上において、アッパリンク48の後端48Aとロアリンク49の後端49Aの範囲Aに配設されている。すなわち、アッパリンク48、ロアリンク49、及びショックアブソーバ部44は、車軸42の車体幅方向において、範囲A内に収まるように配置されている。
【0038】
(ダブルウィッシュボーン方式懸架装置の構成)
図6に示されるように、ダブルウィッシュボーン方式懸架装置30は、左右の前側車輪31を連結する装置であり、左右のロアアーム32と、左右のアッパアーム33と、左右のショックアブソーバ36とを備えている。ロアアーム32及びアッパアーム33は、一端が一例としてボールジョイント(図示省略)を介してホイールハブ(図示省略)に連結されており、他端は分岐した2本のアームを有している。2本のアームの先端は各々、車体20に回動可能に支持されている。ロアアーム32及びアッパアーム33の2本のアームの間には、ショックアブソーバ部が下方から上方に向かって車体幅方向の内側に延在するように配置されている。ショックアブソーバ部の構成は上述したリンク方式懸架装置40のショックアブソーバ部44と同様である。ショックアブソーバ部は、下端がロアアーム32に連結され、上端が車体20のフロントフレームに連結される。
【0039】
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0040】
本実施形態のゴルフカート10は、左右の前側車輪31と、左右の後側車輪41と、左右の後側車輪41を車体20に連結するリンク方式懸架装置40と、を備えている。後側車輪41側にリンク方式懸架装置40を備えていることにより車体20とのリンク部が複数となり、リンク部への負荷が分散される。そのため、センタスイング方式懸架装置と比較してサブフレーム70本体の高剛性化が不要となり、サブフレーム70を小型化することができる。これにより、本実施形態に係るゴルフカート10は、バネ下重量を軽量化することができるので、乗り心地を向上させ、かつ走行距離を向上させることができる。また、バネ下重量を軽量化できることにより、ゴルフカート10の重量も軽量化できるので、消費電力を低減することができる。
【0041】
また、本実施形態のゴルフカート10のリンク方式懸架装置40は、後端48A及び後端49Aが車軸42に連結され、前端48B及び前端49Bが車体20に連結された前後方向に延在される左右のリンクアーム部43を備えている。左右各々にリンクアーム部43を備えていることにより、左右各々において、リンク部への負荷を分散させることができる。また、本実施形態のゴルフカート10は、下端が車軸42に連結され、上端が車体20に連結されて、車体上下方向に延在される左右のショックアブソーバ44Aを備えている。そのため、ゴルフカート10が例えば凹凸面を走行する際に、後側車輪41の上下動による衝撃を、車体20の左右に各々設けられたコイルスプリング44Bが吸収し、コイルスプリング44Bの振動を、左右のショックアブソーバ44Aにより抑えることができる。
【0042】
また、本実施形態のゴルフカート10では、リンクアーム部43が、車体上下方向及び車体幅方向に離間して配設されるアッパリンク48及びロアリンク49を備えているので、アッパリンク48及びロアリンク49が動いたときに干渉するのを防止することができる。
【0043】
また、本実施形態のゴルフカート10は、アッパリンク48が、車軸42においてショックアブソーバ44Aの下端部よりも車体前側に並んで配設されているので、アッパリンク48の取付部である後端48Aがショックアブソーバ44Aの下端部の取付位置近傍に位置することにより、アッパリンク48の剛性を向上させることができる。また本実施形態のゴルフカート10は、ロアリンク49が、アッパリンク48よりも車体上下方向の下側で、かつ車体幅方向外側に離間して配設されているので、ロアリンク49及びアッパリンク48が動いたときに、ロアリンク49とアッパリンク48が干渉するのを防止することができる。すなわち、本実施形態のゴルフカート10では、アッパリンク48の剛性を向上させ、かつロアリンク49とアッパリンク48とが干渉するのを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態のゴルフカート10は、カート平面視で、ショックアブソーバ44Aは車軸42上において、アッパリンク48の後端48Aとロアリンク49の後端49Aの範囲に配設されているので、ショックアブソーバ部44、アッパリンク48、及びロアリンク49をより省スペース内に配置することができ、他の部品における設計の自由度を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態のゴルフカート10は、左右の前側車輪31を車体20に連結するダブルウィッシュボーン方式懸架装置30を備えている。そのため、ゴルフカート10が例えば凹凸面を走行する際に、左右の前側車輪31はアッパアーム33とロアアーム32とにより車体20に回動可能に支持されているので、アッパアーム33とロアアーム32は車体20との連結部を中心にして上下方向にスイングすることにより、衝撃を吸収する。
【0046】
また、本実施形態のゴルフカート10は、前側車輪31側にダブルウィッシュボーン方式懸架装置30を備えていることにより、キャンバ角の変化量を最小限に抑えることができるため、前側車輪31の接地面が維持され、前側車輪31と路面との間のグリップ力を向上させることができる。また、ダブルウィッシュボーン方式懸架装置30は、キングピンレスであるため、キングピンに必要とされる交換及びメンテナンスが不要となり、キングピンが必要とされるスイングアスクル懸架装置と比較してメンテナンス性を向上させることができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、電動カートをゴルフカート10としたが、本開示はこれに限られない。例えば電動カートは、街中を走行するエリアカート及び荷物を搬送する台車であってもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、左右の前側車輪31を車体20に連結する懸架装置はダブルウィッシュボーン方式懸架装置30としたが、本開示はこれに限られない。例えば、スイングアクスル方式懸架装置であってもよいし、公知の懸架装置であってもよい。
【0049】
また、本実施形態においては、リンク方式懸架装置40は、左右のアッパリンク48及びロアリンク49の4本のリンクを有するが、本開示はこれに限られない。例えば、6本のリンクを有するリンク方式懸架装置であってもよいし、公知のマルチリンク方式懸架装置であってもよい。
【0050】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
10 ゴルフカート(電動カート)
20 車体
30 ダブルウィッシュボーン方式懸架装置
31 前側車輪
40 リンク方式懸架装置
41 後側車輪
42 車軸
43 リンクアーム部
44A ショックアブソーバ
48 アッパリンク
48A 後端
48B 前端
49 ロアリンク
49A 後端
49B 前端
A 範囲