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  • 特開-車両構造 図1
  • 特開-車両構造 図2
  • 特開-車両構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079435
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192400
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 公隆
(72)【発明者】
【氏名】内川 瀬那
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA16
3D022BA20
3D022BB03
3D022BB04
3D022BC09
3D022BC10
(57)【要約】
【課題】所定の強度を維持しつつ荷室の容量を増加させることができる車両構造を提供する。
【解決手段】荷室の底面を構成するリヤフロアと、前記リヤフロア上に載置されたラゲッジトレイとを備え、前記リヤフロアは、車両下方に凹んだ凹部と、前記凹部以外のベース部とを有し、前記ラゲッジトレイは、車両前方側に位置する前壁と、二つの側壁とからな
り、前記前壁の下部の少なくとも一部が、前記凹部内に配置され、前記側壁の下部の少なくとも一部が、前記ベース部に載置されている、車両構造。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室の底面を構成するリヤフロアと、
前記リヤフロア上に載置されたラゲッジトレイとを備え、
前記リヤフロアは、車両下方に凹んだ凹部と、前記凹部以外のベース部とを有し、
前記ラゲッジトレイは、車両前方側に位置する前壁と、二つの側壁とからなり、
前記前壁の下部の少なくとも一部が、前記凹部内に配置され、
前記側壁の下部の少なくとも一部が、前記ベース部に載置されている、
車両構造。
【請求項2】
前記荷室の内側壁を構成するデッキサイドトリムを有し、
前記側壁における前面部、後面部、および側面部は、前記デッキサイドトリムによって囲まれている、請求項1に記載の車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は荷室を有する車両構造を開示する。この車両構造では、荷室フロアと、荷室フロアに配置されたラゲッジボックスとを備える。ラゲッジボックスは、複数のボックス部を有するラゲッジトレイである。複数のボックス部によって、小物を分類して整頓することができる。
【0003】
ラゲッジトレイは、前壁と後壁と左右の側壁と底壁とを備え、上端が開口した箱型形状を備える。ラゲッジトレイの上にはデッキボードが配置されている。ラゲッジトレイには、デッキボードとデッキボード上の荷物の荷重が作用するため、所定の強度が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-88318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラゲッジトレイは、荷室内における小物を整頓し易くする効果があるものの、荷室の容量を減少させる。特にコンパクトカーまたは軽自動車において、ラゲッジトレイの利便性を維持しつつ荷室の容量を大きくしたいというニーズがある。
【0006】
本発明の目的の一つは、所定の強度を維持しつつ荷室の容量を増加させることができる車両構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1>本発明の一態様に係る車両構造は、
荷室の底面を構成するリヤフロアと、
前記リヤフロア上に載置されたラゲッジトレイとを備え、
前記リヤフロアは、車両下方に凹んだ凹部と、前記凹部以外のベース部とを有し、
前記ラゲッジトレイは、車両前方側に位置する前壁と、二つの側壁とからなり、
前記前壁の下部の少なくとも一部が、前記凹部内に配置され、
前記側壁の下部の少なくとも一部が、前記ベース部に載置されている。
【0008】
<2>上記<1>に記載される車両構造において、
前記荷室の内側壁を構成するデッキサイドトリムを有し、
前記側壁における前面部、後面部、および側面部は、前記デッキサイドトリムによって囲まれていても良い。
【発明の効果】
【0009】
上記<1>の車両構造に備わるラゲッジトレイは、前壁と二つの側壁とで構成され、底壁と後壁を有さない。つまり、ラゲッジトレイは、上方から見てU字状に前壁と二つの側壁とからなる。このラゲッジトレイの体積は従来のラゲッジトレイよりも小さい。従って、上記<1>の車両構造は、小物を整頓し易くするというラゲッジトレイの効果を得つつ、荷室の容量を増加させることができる。また、ラゲッジトレイの側壁の下部の少なくとも一部が凹部以外の部分に載置されていることで、凹部を広く使うことができる。
【0010】
前壁と二つの側壁とがU字状につながったラゲッジトレイは所定の強度を有する。また、ラゲッジトレイの前壁の下部の少なくとも一部が、凹部内に配置されて凹部に支持されることで、ラゲッジトレイの上からの荷重にラゲッジトレイが耐え易い。
【0011】
上記<2>の車両構造では、デッキサイドトリムによって、ラゲッジトレイの側壁が3方から囲まれ、固定される。3方とは、前方、後方、および側方である。3方から囲まれたラゲッジトレイは、デッキボードからの荷重を安定して受け止めることができ、所定位置からずれ難い。また、ラゲッジトレイのずれによってラゲッジトレイにおける側壁と前壁とのつなぎ目に過大な応力が作用することが抑制されるため、ラゲッジトレイが破損し難い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に記載される車両構造の概略図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3図3は、図1の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の車両構造の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図中の『FR』は車両前方を、『RR』は車両後方を、『RH』は車両右方を、『LH』は車両左方を示す。図中の同一符号は同一又は相当部分を示す。各図面が示す部材の大きさは、説明を明確にする目的で表現されており、必ずしも実際の寸法を表すものではない。なお、本発明は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0014】
<実施形態1>
図1は、車両の後部における荷室の一部を車内から見た概略図である。車両構造1は、荷室の底面を構成するリヤフロア2を備える。リヤフロア2の右方にはデッキサイドトリム4が配置され、リヤフロア2の後方にはロアバックトリム5が配置されている。図1には示されていないが、リヤフロア2の左方にもデッキサイドトリムが配置されている。デッキサイドトリム4とロアバックトリム5も荷室の一部を構成する。本例の車両構造1はさらに、リヤフロア2上に載置されたラゲッジトレイ3を備える。
【0015】
≪リヤフロア≫
リヤフロア2は、車幅の中央が局所的に凹んだ凹部20と、凹部20以外のベース部21とを有する。本例では、ベース部21は、凹部20の右方と前方と左方とを取り囲む。上方から見てベース部21は概略C字状である。図1では、ベース部21のうち、凹部20の右方に配置される部分のみが見えている。図2の断面図には、ベース部21のうち、凹部20の前方に配置される部分が図示されている。図2に示されるように、凹部20にはカーペットなどの保護シート25が配置されていても良い。
【0016】
≪ラゲッジトレイ≫
ラゲッジトレイ3は、図1に示されるように、上方から見てU字状につながった前壁30と二つの側壁31,32とからなる。ラゲッジトレイ3は、底壁と後壁を備えておらず、従来のラゲッジトレイよりも体積が小さい。従って、本例のラゲッジトレイ3が配置された荷室の容量は、従来のラゲッジトレイが配置された荷室の容量よりも大きい。しかも、図2の断面図に示されるように、ラゲッジトレイ3が底壁と後壁とを備えないことで、凹部20が広く使える。
【0017】
図2に仮想線で示されるように、ラゲッジトレイ3の上にはデッキボード6が載置される。デッキボード6の前部は、ラゲッジトレイ3の前壁30の上面によって下方から支持されている。デッキボード6の側部は、側壁31,32の上面によって下方から支持されている。デッキボード6の後部は、ロアバックトリム5によって下方から支持されている。
【0018】
図1に示されるように、前壁30は複数のボックス部35を備える。ボックス部35の数は特に限定されない。ボックス部35によって小物を整頓し易い。図2に示されるように、前壁30の下部の少なくとも一部が、リヤフロア2の凹部20に載置されている。凹部20の前方部分は、車両後方に向かうに従って下がる傾斜面になっている。本例の前壁30の外周面は、その傾斜面に沿う形状となっている。前壁30が凹部20にはまり込んで凹部20に載置されることで、前壁30が凹部20に支持される。従って、ラゲッジトレイ3の上に配置されるデッキボード6に荷重が作用しても、前壁30に作用する荷重が凹部20に分散し易い。本例の前壁30は、保護シート25を挟んで凹部20の底部上に載置されているが、凹部20の底部から浮いていても良い。
【0019】
図1に示されるように、側壁31,32の上面には、上面から上方に突出する複数の突出部37が設けられている。突出部37の数は特に限定されない。本例では、側壁31と側壁32とにそれぞれ前後に2つずつ突出部37が設けられている。後方の突出部37は、デッキボード6(図2参照)の下面に形成される凹部に嵌まり込み、デッキボード6のガタつきを抑制する。後方の突出部37は平坦な上面を有する。後方の突出部37の上面には、不織布などで構成されるクッション層が配置されていても良い。前方の突出部37の後部にデッキボード6の前部が接するようにデッキボード6が配置されて、前方の突出部37はデッキボード6のガタつきを抑制する。
【0020】
側壁31,32の下部の少なくとも一部は、ベース部21に載置されている。本例では、車両の右側の側壁31についてのみ説明する。左側の側壁32も右側の側壁31と同様の構成を備えていても良い。本例では、側壁31の下部全体が、凹部20の右方のベース部21に載置されている。つまり、側壁31が凹部20にはまり込んでいない。側壁31が凹部20にはまり込んでいないことで、凹部20を広く使うことができる。
【0021】
本例の側壁31はさらに、デッキサイドトリム4に囲まれるように構成されている。本例のデッキサイドトリム4の後部は、ロアバックトリム5に向かって湾曲し、側壁31の後方に回り込んでいる。この構成について、図3の部分拡大図を参照して説明する。図3は、荷室における側壁31の近傍の拡大図である。図3に示されるように、側壁31における前面部31F、側面部31S、および後面部31Bは、デッキサイドトリム4によって囲まれている。
【0022】
前面部31Fは、ラゲッジトレイ3の側壁31のうち、車両の前方を向く面を備える部分である。本例の前面部31Fは、車両の前方に張り出す第一張出部38に形成されている。本例では、第一張出部38の上部が突出部37を構成する。本例の前面部31Fは、側壁31のうちで最も前方にある面を有する部分であるが、必ずしも最も前方にある面を有する部分でなくても良い。
【0023】
前面部31Fの前方には、デッキサイドトリム4の前棚40Fが配置されている。前棚40Fは、デッキサイドトリム4の内周面40から左方に突出する。前棚40Fは、前面部31Fに接触または近接しており、ラゲッジトレイ3の前方への移動が規制されている。前棚40Fの後端面と前面部31Fとの間には、不織布などで構成されるクッション材が配置されていても良い。クッション材は、前棚40Fおよび前面部31Fの少なくとも一方に貼り付けられていれば良い。
【0024】
側面部31Sは、ラゲッジトレイ3の側壁31のうち、車両の右方を向く面を備える部分である。本例の側面部31Sは、側壁31の外周面から局所的に右方に突出する部分によって構成されている。本例の側面部31Sは、側壁31のうちで最も右方にある面を有する部分であるが、必ずしも最も右方にある面を有する部分でなくても良い。
【0025】
側面部31Sは、デッキサイドトリム4の内周面40に接触または近接しており、ラゲッジトレイ3の右方への移動が規制されている。側面部31Sと内周面40との間にはクッション材が配置されていても良い。クッション材は、内周面40および側面部31Sの少なくとも一方に貼り付けられていれば良い。
【0026】
後面部31Bは、ラゲッジトレイ3の側壁31のうち、車両の後方を向く面を備える部分である。本例の後面部31Bは、後述する第二張出部39を除く側壁31の後端部によって構成される。本例の後面部31Bは、側壁31のうちで最も後方にある面ではない。
【0027】
後面部31Bの後方には、デッキサイドトリム4の後棚40Bが配置されている。後棚40Bは、デッキサイドトリム4の内周面40から前方に突出する。後棚40Bは、後面部31Bに接触または近接しており、ラゲッジトレイ3の後方への移動が規制されている。後棚40Bの前端面と後面部31Bとの間には、クッション材が配置されていても良い。クッション材、後棚40Bおよび後面部31Bの少なくとも一方に貼り付けられていれば良い。
【0028】
本例の側壁31の後端には、局所的に後方に張り出す第二張出部39が形成されている。第二張出部39の上面は、第二張出部39以外の部分の上面と面一になっている。第二張出部39の下面は、後棚40Bの上端面に載置されている。第二張出部39によって、側壁31の下方への移動が規制される。後棚40Bに支持された第二張出部39によって、デッキボード6(図2)からの荷重が受け止められる。上記後面部31Bに加えて、第二張出部39の後端面も、ラゲッジトレイ3の後方への移動を規制する後面部として機能しても良い。その場合、デッキサイドトリム4の内周面40のうち、前方を向く面が、第二張出部39を当て止めする。
【0029】
図3を参照して説明した構成では、ラゲッジトレイ3の側壁31が3方から囲まれ、固定される。そのため、ラゲッジトレイ3は、デッキボード6からの荷重を安定して受けとめることができ、リヤフロア2における所定位置からずれ難い。また、ラゲッジトレイ3の上に載置されたデッキボード6が前方に移動しようとしても、側壁31と前壁30のつなぎ目に過剰な応力が作用し難い。従って、ラゲッジトレイ3が破損し難い。
【符号の説明】
【0030】
1 車両構造
2 リヤフロア
20 凹部、21 ベース部、25 保護シート
3 ラゲッジトレイ
30 前壁
31,32 側壁
31B 後面部、31F 前面部、31S 側面部
35 ボックス部、37 突出部、38 第一張出部、39 第二張出部
4 デッキサイドトリム
40 内壁面
40B 後棚、40F 前棚
5 ロアバックトリム
6 デッキボード
図1
図2
図3