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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007947
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20240112BHJP
   F16L 1/028 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F16L27/12 A
F16L27/12 J
F16L27/12 E
F16L1/028 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109394
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】511089583
【氏名又は名称】日本ニューロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金丸 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】西 勇也
(72)【発明者】
【氏名】西川 尚志
(72)【発明者】
【氏名】岩本 泰一
(72)【発明者】
【氏名】小池 武
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勝義
【テーマコード(参考)】
3H104
【Fターム(参考)】
3H104JA07
3H104JA08
3H104JA12
3H104JA16
3H104JB01
3H104JC09
3H104JD01
3H104KA01
3H104LA02
3H104LA06
3H104LA13
3H104LB04
3H104LG08
3H104LG23
3H104LG30
(57)【要約】
【課題】不同沈下による変形を吸収した状態でも、地震時に発生する軸方向変位を十分に吸収することができる伸縮可撓継手ユニットを提供する。
【解決手段】伸縮可撓継手ユニットは、沈下抑制対策構造を施した領域上に延びる第1管路と、沈下抑制対策構造を施していない地中に埋設される第2管路とを接続するものであって、第1管路に接続される第1伸縮継手と、第1伸縮継手に接続される中継管と、中継管に接続される第2伸縮継手と、一端が第2伸縮継手に接続され、他端が第2管路に接続される第3伸縮継手とを備える。第1伸縮継手および第2伸縮継手は、第3伸縮継手よりも、軸曲げ方向変位抵抗が小さく、第3伸縮継手は、第1伸縮継手および第2伸縮継手よりも、軸方向変形抵抗が小さい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈下抑制対策構造を施した領域上に延びる第1管路と、沈下抑制対策構造を施していない地中に埋設される第2管路とを接続する伸縮可撓継手ユニットであって、
前記第1管路に接続される第1伸縮継手と、
前記第1伸縮継手に接続される中継管と、
前記中継管に接続される第2伸縮継手と、
一端が前記第2伸縮継手に接続され、他端が前記第2管路に接続される第3伸縮継手とを備え、
前記第1伸縮継手および前記第2伸縮継手は、前記第3伸縮継手よりも、軸曲げ方向変形抵抗が小さく、
前記第3伸縮継手は、前記第1伸縮継手および前記第2伸縮継手よりも、軸方向変形抵抗が小さい、不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット。
【請求項2】
前記第1伸縮継手、第2伸縮継手および第3伸縮継手は、それぞれ、蛇腹状に成形したベローズ管を有し、
前記第1伸縮継手および第2伸縮継手のベローズ管の板厚は、前記第3伸縮継手のベローズ管の板厚よりも大きい、請求項1に記載の不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット。
【請求項3】
前記第1伸縮継手及び第2伸縮継手のベローズ管の波形状突起の数は、前記第3伸縮継手のベローズ管の波形状突起の数よりも少ない、請求項2に記載の不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット。
【請求項4】
第1および第2伸縮継手は、蛇腹状に成形したベローズ管を有し、
前記第3伸縮継手は、軸方向への相対変位を可能にした状態で嵌め合わされた内筒と外筒とを有する、請求項1に記載の不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット。
【請求項5】
第3伸縮継手は、前記内筒を内径側から支持する内筒フランジと、前記外筒を内径側から支持する外筒フランジと、前記内筒フランジと前記外筒フランジとの間に配置された蛇腹形状のベローズ管とを有する、請求項4に記載の不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット。
【請求項6】
前記第1伸縮継手及び第2伸縮継手は、球面状の凸面と球面状の凹面とを嵌め合わせた球面継手構造を有する、請求項1に記載の不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット。
【請求項7】
前記第3伸縮継手は、内筒と外筒とを軸方向に相対変位可能に嵌め合わせたスリーブ型伸縮継手である、請求項1に記載の不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伸縮可撓継手ユニットに関し、特に不同沈下発生下における地震対策用の伸縮可撓継手ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震や不同沈下による変位を受けた管路を地震から保護する目的で設置される継手として、ベローズ型伸縮管継手が知られている。例えば、特開昭58-61390号公報(特許文献1)や特開2000-18437号公報(特許文献2)等がベローズ型伸縮管継手を開示している。
【0003】
ベローズ管はステンレス等のパイプを蛇腹状に成形したものであり、気密性または液密性を保ったまま変形することで、管路に生じた変位を吸収する役割を担う。具体的には、ベローズ管は、軸方向変位、軸直角方向変位および軸曲げ方向変位の3つの変位を複合的に吸収することができる。
【0004】
管路を管理する事業体は、地震や不同沈下が発生した際、地中埋設管路の破断とそれに伴う流体の漏洩を避けることが最重要課題となる。地中埋設管路は、標準寸法の管体(単管)を直列に連結して構成されているが、管路途中には曲がり部、分岐部、バルブ室、ポンプ室、立杭部あるいは配水池など様々な設備が設置されている。これらの施設は、沈下を抑制するために、一般的には杭支持されている。
【0005】
他方、杭支持などによって沈下抑制対策が施された領域の管路に接続される地中埋設管路は、沈下抑制対策が施されていない領域に設置される。そのため、上記接続部分から地中に延びる地中埋設管路には、不可避的に不同沈下の影響が及ぶことになり、局所的な変形が生じる。この局所的な相対変位を回避する目的で、管路の該当箇所に伸縮可撓継手が設置される。
【0006】
日本水道鋼管協会発行の技術資料である「水道用鋼管路における伸縮可撓管-WSP 024-2013」(平成25年7月2日改正)(非特許文献1)の第3ページに、独立水管橋の構造が図示されている。この非特許文献1に示された構造を図1に示す。
【0007】
図1において、第1管路101を支持する橋台100には沈下抑制対策が施されている。他方、第1管路101に接続されて地中に延びる第2管路102は、沈下抑制対策が施されていない領域にある。不同沈下による管路の変形を吸収するために、第1管路101と第2管路102とを接続する継手103として、2つのベローズ管103aおよび103bを有する伸縮可撓継手ユニット103が用いられている。
【0008】
不同沈下は、管路埋設時の施工に伴う地盤ゆるみが回復する過程で発生するものであり、管路設置直後から始まる。道路下にある領域では自動車荷重の衝撃を受けてある程度の追加的な沈下が進行する可能性はあるが、一定の時間経過後に沈下は収束するものと推定される。かかる観点から、地震が発生する以前に、既に地中埋設管路には、管軸直角方向にある程度の不同沈下が発生していることが予測される。
【0009】
地震発生時には、表層地盤内を伝搬する実体波や表面波により管路の管軸に沿って粗密波や剪断波が伝搬することになり、管路は相対的に管軸方向に大きく伸縮し、管軸直角方向には小さな変形が生じることになる。その結果、伸縮可撓継手ユニット103には、不同沈下による軸直角方向変位を保持した状態で管軸方向の変位を受けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭58-61390号公報
【特許文献2】特開2000-18437号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】日本水道鋼管協会発行の技術資料「水道用鋼管路における伸縮可撓管-WSP 024-2013」(平成25年7月2日改正)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
地中に埋設された伸縮可撓継手ユニットとしては、不同沈下による変形を吸収した状態で、地震時に破断や流体の漏洩を発生させない耐震性能を有することが重要な要件となる。
【0013】
図1に示した伸縮可撓継手ユニットにおける課題を以下に記載する。
【0014】
図2は、図1に示した構造を模式的に示した図であり、不同沈下が発生していない状態を示している。不同沈下が全く発生していない場合には、第1管路101と第2管路102とはほぼ同じ高さに位置し、伸縮可撓継手ユニット103は変形せずに直線性を保っている。
【0015】
図3は、初期不同沈下状態を示している。初期不同沈下段階では、伸縮可撓継手ユニット103の下部に空洞104ができる形で不同沈下による変形を吸収する。図において、一方のベローズ管103aは時計回りに変形し、他方のベローズ管103bは反時計回りに変形して、管路に作用する軸曲げ変位を吸収する。
【0016】
ここで伸縮可撓継手ユニット103のベローズ管103a,103bに作用する全上載荷重は、次の式で表される。
【0017】
全上載荷重W=土荷重+鋼管荷重+水重量
【0018】
したがって、各ベローズ管に作用する荷重はW/2となる。軸直角方向の変位量はδである。
【0019】
図4は、図3の状態から一定期間経過後の状態を示す。自動車等の地上の通過物による荷重(衝撃圧)の影響で、次第に空洞104が減少する方向に沈下が進行する。
【0020】
この段階で、伸縮可撓継手ユニット103のベローズ管103a,103bに作用する全上載荷重は、次の式で表される。
【0021】
全上載荷重(W+ΔW)=土荷重+鋼管荷重+水重量+自動車等の荷重
【0022】
この段階では、伸縮可撓継手ユニット103の一方のベローズ管103a(沈下抑制対策が施された領域の第1管路101に接続されているベローズ管)に大きな剪断荷重が掛かる。伸縮可撓継手ユニット103の剪断剛性が低い場合、継手断面は降伏状態となる懸念がある。
【0023】
従来の伸縮可撓継手ユニット103では、同一の変形素子(例えばベローズ管)が軸方向変位および軸直角方向変位の両者を吸収する構造であるため、軸直角方向変位の進行に伴って軸方向変位の限界性能が低下してゆく。伸縮可撓継手ユニットの安全性を評価するためには、軸方向変位と軸直角方向変位が同時に作用したときの限界性能を明らかにする必要があるが、各方向変位成分の組合せが無数に存在し一義的に限界性能を規定することが困難である。
【0024】
本発明は、上記の従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、不同沈下による変形を吸収した状態でも、地震時に発生する軸方向変位を十分に吸収することができる不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係る不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニットは、沈下抑制対策構造を施した領域上に延びる第1管路と、沈下抑制対策構造を施していない地中に埋設される第2管路とを接続するものであって、第1管路に接続される第1伸縮継手と、第1伸縮継手に接続される中継管と、中継管に接続される第2伸縮継手と、一端が第2伸縮継手に接続され、他端が第2管路に接続される第3伸縮継手とを備える。
【0026】
本発明の特徴は、次の点にある。すなわち、第1伸縮継手および第2伸縮継手は、第3伸縮継手よりも軸曲げ方向変形抵抗が小さく、第3伸縮継手は、第1伸縮継手および第2伸縮継手よりも軸方向変形抵抗が小さい。
【0027】
好ましい実施形態では、第1伸縮継手、第2伸縮継手および第3伸縮継手は、それぞれ、蛇腹状に成形したベローズ管を有し、第1伸縮継手および第2伸縮継手のベローズ管の板厚は、第3伸縮継手のベローズ管の板厚よりも大きい。
【0028】
また、好ましい実施形態では、第1および第2伸縮継手のベローズ管の波形状突起の数は、第3伸縮継手の波形状突起の数よりも少ない。
【0029】
また、好ましい実施形態では、第1および第2伸縮継手は、蛇腹状に成形したベローズ管を有し、第3伸縮継手は、軸方向への相対変位を可能にした状態で嵌め合わされた内筒と外筒とを有する。これを具体化した構造の一例として、第3伸縮継手は、内筒を内径側から支持する内筒フランジと、外筒を内径側から支持する外筒フランジと、内筒フランジと外筒フランジとの間に配置された蛇腹形状のベローズ管とを有する。
【0030】
第1伸縮継手および第2伸縮継手の他の実施形態は、球面状の凸面と球面状の凹面とを嵌め合わせた球面継手構造を有する。
【0031】
第3伸縮継手の他の実施形態は、内筒と外筒とを軸方向に相対変位可能に嵌め合わせたスリーブ型伸縮継手である。
【発明の効果】
【0032】
上記構成の本発明によれば、第1伸縮継手および第2伸縮継手が、不同沈下によって生じる軸曲げ変位を専ら吸収し、第3伸縮継手が地震によって生じる軸方向変位を専ら吸収するので、不同沈下および地震の両者に対して良好な変位吸収性能を発揮する伸縮可撓継手ユニットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来の独立水管橋の構造を示す図である。
図2図1の構造を模式的に示す図である。
図3】初期不同沈下が発生している状態の模式図である。
図4図3に示す状態から一定時間経過後の状態を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニットを示す図である。
図6】本発明の一実施形態の具体的構造を示す図である。
図7】第1および第2伸縮継手の他の例を示す図である。
図8】第3伸縮継手の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図5は、本発明の一実施形態に係る不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニットを模式的に示している。図5には、沈下対策構造を施した領域を代表して橋台の一部100aおよび杭100bを図示した。
【0035】
不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット50は、沈下対策構造を施した領域上に延びる第1管路101と、沈下抑制対策構造を施していない地中に埋設される第2管路102とを接続するものであり、第1管路101に接続される第1伸縮継手10と、第1伸縮継手10に接続される中継管40と、中継管40に接続される第2伸縮継手20と、一端が第2伸縮継手20に接続され、他端が第2管路102に接続される第3伸縮継手とを備える。
【0036】
特徴的な構成は、以下の点にある。すなわち、第1伸縮継手10および第2伸縮継手20は、第3伸縮継手30よりも軸曲げ方向変形抵抗が小さく、第3伸縮継手30は、第1伸縮継手10および第2伸縮継手20よりも軸方向変形抵抗が小さい。
【0037】
図5において、記号δは不同沈下変位量を示し、θおよびθは角度変位量を示し、δは軸方向変位量を示す。第1伸縮継手10および第2伸縮継手20は、不同沈下によって生じる軸曲げ変位を専ら吸収する役割を果たし、第3伸縮継手30は、例えば地震によって生じる軸方向変位を専ら吸収する役割を果たす。
【0038】
図6は、本発明の一実施形態に係る不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット50を具体化した構造の一例を示している。
【0039】
図6に示すように、第1伸縮継手10、第2伸縮継手20および第3伸縮継手30は、それぞれ蛇腹状に成形したベローズ管を有している。
【0040】
一般に不同沈下は供用期間中に生じる1回のみの永久変形であり、低サイクル疲労を考慮する必要がない。従来のベローズ管では繰返し変位に対する疲労強度を満たすために、変位に応じた柔軟性が求められるが、不同沈下による変形のみを吸収する軸曲げ変位専用継手である第1伸縮継手10および第2伸縮継手20は、そのような柔軟性を必ずしも必要としない。
【0041】
上記の観点から、図6に示した第1伸縮継手10および第2伸縮継手20は、1個の波形状突起を有するだけであり、その波形状突起の板厚は水道本管とほぼ同じ寸法にして、剪断方向に対する剛性を高めている。他方では、板厚の大きい1個の波形状突起のみを有する第1伸縮継手10および第2伸縮継手20は、板厚が小さい複数の波形状突起を持つベローズ管に比べて、軸方向変位吸収性能が劣っている。
【0042】
第3伸縮継手30は、第1伸縮継手10および第2伸縮継手20のベローズ管よりも板厚の小さい複数の波形状突起を持つベローズ管35を有している。このようなベローズ管35は、柔軟性があるので大きな軸方向変位を吸収する。第3伸縮継手30は、専ら軸方向変位を吸収する役割を果たすものであり、軸曲げ変位を吸収する必要はない。
【0043】
そのような役割を実現するために、第3伸縮継手30は、変位可能な方向を軸方向のみに制限する拘束部品を取り付けている。
【0044】
具体的には、第3伸縮継手30は、軸方向変位を可能にした状態で嵌め合わされた内筒31と外筒33とを有する。内筒31は、管外周面上に例えば溶接によって固定された内筒フランジ32によって一方の端部が片持ち支持されている。外筒33も同様に、管外周面上に例えば溶接によって固定された外筒フランジ34によって片持ち支持されている。ベローズ管35は、内筒フランジ32と外筒フランジ34との間に配置される。
【0045】
内筒31と外筒33とが軸方向に摺動可能に嵌め合わされているので、ベローズ35に軸直角方向や軸曲げ方向の力が加わるのを抑制する。したがって、ベローズ管35は、専ら軸方向変位を効果的に吸収するように伸縮する。地震等の影響によって配管路に軸方向に大きな変位が加わった時でも、複数の波形状突起を持つベローズ管35であれば脱管のおそれは生じない。
【0046】
図6に示した構造は、例示的に示した本発明の一実施形態にすぎない。したがって、本発明の範囲内において他の実施形態もあり得る。
【0047】
図7は、専ら軸曲げ変位を吸収することを意図した第1伸縮継手および第2伸縮継手の他の実施形態を示している。中継管40の一方端に第1伸縮継手60が接続され、他方端に第2伸縮継手70が接続されている。
【0048】
第1伸縮継手60は、球面状の凸面を有する内管61と、球面状の凹面を有する外管62とを備える。内管61と外管62とによって球面継手を構成し、軸曲げ変位を吸収する。同様に、第2伸縮継手70は、球面状の凸面を有する内管71と、球面状の凹面を有する外管72とを備える。内管71と外管72とによって球面継手を構成し、軸曲げ変位を吸収する。第1伸縮継手60および第2伸縮継手70は、軸方向変位を吸収するものではなく、軸曲げ変位のみを吸収する。
【0049】
図8は、専ら軸方向変位を吸収することを意図した第3伸縮継手の他の実施形態を示している。第3伸縮継手80は、軸方向に摺動可能に嵌め合わされた内筒81と外筒82とを備えたスリーブ型伸縮継手である。内筒81と外筒82との間には、気密性または液密性を保つためのシール部材83が装入されている。この第3伸縮継手80は、軸方向変位のみを吸収し、軸曲げ変位を吸収しない。
【0050】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、図示した実施形態は例示的なものであり、本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【0051】
本発明に係る不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニットによれば、下記に記載の作用効果を奏することができる。
【0052】
a)管路埋設直後から始まる不同沈下に対しては、第3伸縮継手よりも軸曲げ方向変形抵抗が小さい第1伸縮継手および第2伸縮継手が軸曲げ変形をし、軸直角方向の変位を吸収する。
【0053】
b)第1伸縮継手および第2伸縮継手よりも軸方向変形抵抗が小さい第3伸縮継手は、不同沈下発生時には、軸曲げ変形をしないので、軸方向変位性能を消耗せずに初期状態のまま維持する。
【0054】
c)地震時に発生する軸方向力に対しては、第1伸縮継手および第2伸縮継手よりも軸方向変形抵抗が小さい第3伸縮継手が軸方向変位を効果的に吸収する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、不同沈下発生時には軸直角方向の変位を効果的に吸収し、その後の地震発生時には軸方向の変位を効果的に吸収する不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニットとして、有利に利用され得る。
【符号の説明】
【0056】
10 第1伸縮継手、20 第2伸縮継手、30 第3伸縮継手、31 内筒、32 内筒フランジ、33 外筒、34 外筒フランジ、35 ベローズ管、40 中継管、50 不同沈下対策用伸縮可撓継手ユニット、60 第1伸縮継手、61 内管、
62 外管、70 第2伸縮継手、71 内管、72 外管、80 第3伸縮継手、81 内筒、82 外筒、83 シール部材、100 橋台、100a 橋台の一部、100b 杭、101 第1管路、102 第2管路、103 伸縮可撓継手ユニット、103a,103b ベローズ管、104 空洞。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8