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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079475
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240604BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240604BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240604BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240604BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G03G21/00 370
B41J29/38 206
B65H7/02
B65H5/06 M
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192447
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】脇阪 政晶
(72)【発明者】
【氏名】朱宮 和司
(72)【発明者】
【氏名】森本 亘哉
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H270
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061HJ04
2C061HJ10
2C061HK06
2C061HN08
2C061HN15
2C061HN22
2H072AA07
2H072AA16
2H072AA17
2H072AA22
2H072GA00
2H072JA02
2H270KA35
2H270KA57
2H270LC07
2H270LC14
2H270LC17
2H270LD03
2H270MC67
2H270MC78
2H270MD02
2H270MD13
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB02
3F048CA03
3F048CC03
3F048CC04
3F048CC11
3F048DA06
3F048DB04
3F048DC05
3F048DC12
3F048EA15
3F048EB29
3F048EB39
3F048EB40
3F049AA05
3F049DA12
3F049EA10
3F049EA12
3F049EA22
3F049EA27
3F049LA01
3F049LB01
(57)【要約】
【課題】定着器がシートに加える熱によってシートが縮んだとしても、所望の切断位置でシートを切断することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】CPU101は、複数の搬送ローラ35,36,85~87を用いてシートSを搬送経路201に沿って搬送する搬送処理において、搬送経路201の一部を通過する理想的なシートSの切断位置CPがカッター位置Bに到達するための第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86の回転量を、シート検知センサSE4及び排出センサSE3の各検出結果に基づいて補正し、補正した回転量分、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を回転させた後、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を停止させる搬送処理(S218,S220)と、搬送処理の後、カッター10を用いてシートSを切断方向に切断する切断処理(S222)と、を実行する。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送経路を有する装置本体と、
加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体と、を有し、前記シートに形成された画像を前記シートに定着させる定着器と、
前記搬送経路に沿った前記シートの搬送方向において、前記定着器よりも下流側に位置し、前記シートを搬送する第1排出ローラと、前記第1排出ローラよりも前記搬送方向における下流側に位置し、前記第1排出ローラにより搬送された前記シートを前記装置本体の外部に排出する第2排出ローラと、を有する複数の搬送ローラと、
前記搬送方向における前記第1排出ローラと前記第2排出ローラとの間の位置であるカッター位置に位置し、前記搬送方向と交差する切断方向に前記シートを切断可能なカッターと、
前記搬送方向における前記第1排出ローラと前記第2排出ローラとの間の第1検出位置に前記シートが存在するか否かを検出する第1センサと、
前記搬送方向における前記第1排出ローラと前記定着器との間の第2検出位置に前記シートが存在するか否かを検出する第2センサと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の搬送ローラを用いて前記シートを前記搬送経路に沿って搬送する搬送処理において、前記搬送経路の一部を通過する理想的なシートの切断位置が前記カッター位置に到達するための前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラの回転量を、前記第1センサ及び前記第2センサの各検出結果に基づいて補正し、補正した回転量分、前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを回転させた後、前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを停止させる搬送処理と、
前記搬送処理の後、前記カッターを用いて前記シートを前記切断方向に切断する切断処理と、
を実行する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記搬送処理において、前記第1センサによる検出結果に基づいて、前記第1検出位置に前記シートの前端が到達した第1タイミングを取得するとともに、前記第2センサの検出結果に基づいて、前記第2検出位置に前記シートの後端が到達した第2タイミングを取得し、取得した前記第1タイミング及び前記第2タイミングに基づいて、前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラの前記回転量を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着器に含まれる前記加熱回転体及び加圧回転体のうちのいずれか一方を回転駆動するメインモータと、
前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを回転駆動する排出モータと、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記排出モータの回転速度を前記メインモータの回転速度より速くなるように前記メインモータ及び前記排出モータを制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
メモリ、
をさらに備え、
前記メモリには、前記第2センサの前記第2検出位置から前記第1センサの前記第1検
出位置まで前記シートを搬送するために必要な前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラの回転量が第1回転量として予め記憶され、
前記制御部は、
前記搬送処理において、
前記第1タイミングから前記第2タイミングまでに要した前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラの回転量を第2回転量として取得し、
前記第1回転量と前記第2回転量とに基づいて、前記定着器を通過後の前記シートの前記搬送方向におけるシート長を取得し、
取得した前記シート長から前記シート上の切断位置を決定し、前記排出モータの回転駆動を停止させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第2タイミングの取得後、前記決定された前記シート上の切断位置が前記カッター位置に到達するまで前記排出モータを回転駆動させるように制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記排出モータは、ステッピングモータであり、
前記制御部は、
前記ステッピングモータのステップ数で、前記排出モータの停止タイミングを制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1センサは、前記カッター位置よりも前記搬送方向における上流側に位置し、
前記第1回転量は、前記ステッピングモータのステップ数で示され、
前記メモリには、前記第1センサの前記第1検出位置から前記カッター位置まで前記シートを搬送するために必要な前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラの回転量であって、前記ステッピングモータのステップ数で示された回転量が、第3回転量として予め記憶され、
前記制御部は、
前記搬送処理において、
前記第2回転量を前記ステッピングモータのステップ数で取得し、
前記第2タイミングの取得後、
{ 第1回転量 -(第1回転量+第2回転量)/2 + 第3回転量 }分、前記排出モータを回転駆動させるように制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1センサは、前記カッター位置よりも前記搬送方向における下流側に位置し、
前記第1回転量は、前記ステッピングモータのステップ数で示され、
前記メモリには、前記カッター位置から前記第1センサの前記第1検出位置まで前記シートを搬送するために必要な前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラの回転量であって、前記ステッピングモータのステップ数で示された回転量が、第3回転量として予め記憶され、
前記制御部は、
前記搬送処理において、
前記第2回転量を前記ステッピングモータのステップ数で取得し、
前記第2タイミングの取得後、
{ 第1回転量 -(第1回転量+第2回転量)/2 - 第3回転量 }分、前記排出モータを回転駆動させるように制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記装置本体は、
前記搬送経路の一部であって、前記カッター位置を経由して前記装置本体の外部に前記シートを排出するための第1排出経路と、
前記搬送経路の一部であって、前記第1排出経路とは異なる経路であり、前記装置本体の外部に前記シートを排出するための第2排出経路と、
前記第1排出経路及び前記第2排出経路のうちのいずれか一方に前記シートを案内するフラッパと、
を有し、
前記制御部は、
前記カッターによるシートの切断が必要か否かに関する情報を含む印刷ジョブを受け付け、
前記印刷ジョブに基づいてシートの切断が必要と判断した場合は、前記シートを前記第1排出経路へ案内するように前記フラッパの位置を移動させ、
前記印刷ジョブに基づいてシートの切断が不要と判断した場合は、前記シートを前記第2排出経路へ案内するように前記フラッパの位置を移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成されたシートをカッターで切断する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成部から送り出されるシートをカッターの位置に搬送し、シートの搬送方向の中央部で、搬送方向に直交する方向にシートを裁断するようにした画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、シート検知部を備え、シート検知部がシートを検知したことに応じて分岐ガイドを制御し、裁断されたシートを第一排出トレイと第二排出トレイとに分けて排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-186448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成部により画像が形成されたシートを、定着器を通過させてシート上の画像をシートに定着させるようにした画像形成装置では、定着器がシートに加える熱によってシートが縮むことがある。特許文献1に記載の画像形成装置では、定着器がシートに加える熱によってシートが縮むことは考慮されていないので、シートの搬送方向の中央部で正確に切断できない虞がある。
【0005】
本願は、定着器がシートに加える熱によってシートが縮んだとしても、所望の切断位置でシートを切断することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、シートの搬送経路を有する装置本体と、加熱回転体と、加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体と、を有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着器と、搬送経路に沿ったシートの搬送方向において、定着器よりも下流側に位置し、シートを搬送する第1排出ローラと、第1排出ローラよりも搬送方向における下流側に位置し、第1排出ローラにより搬送されたシートを装置本体の外部に排出する第2排出ローラと、を有する複数の搬送ローラと、搬送方向における第1排出ローラと第2排出ローラとの間の位置であるカッター位置に位置し、搬送方向と交差する切断方向にシートを切断可能なカッターと、搬送方向における第1排出ローラと第2排出ローラとの間の第1検出位置にシートが存在するか否かを検出する第1センサと、搬送方向における第1排出ローラと定着器との間の第2検出位置にシートが存在するか否かを検出する第2センサと、制御部と、を備え、制御部は、複数の搬送ローラを用いてシートを搬送経路に沿って搬送する搬送処理において、搬送経路の一部を通過する理想的なシートの切断位置がカッター位置に到達するための第1排出ローラ及び第2排出ローラの回転量を、第1センサ及び第2センサの各検出結果に基づいて補正し、補正した回転量分、第1排出ローラ及び第2排出ローラを回転させた後、第1排出ローラ及び第2排出ローラを停止させる搬送処理と、搬送処理の後、カッターを用いてシートを切断方向に切断する切断処理と、を実行する、ことを特徴とする。
【0007】
本願の画像形成装置によれば、理想的なシートの切断位置がカッター位置に到達するための第1排出ローラ及び第2排出ローラの回転量が、第1センサ及び第2センサの各検出
結果に基づいて補正され、補正した回転量分、第1排出ローラ及び第2排出ローラが回転した後停止し、その停止位置でシートが切断されるので、定着器がシートに加える熱によってシートが縮んだとしても、所望の切断位置でシートを切断することが可能となる。
【0008】
また、制御部は、搬送処理において、第1センサによる検出結果に基づいて、第1検出位置にシートの前端が到達した第1タイミングを取得するとともに、第2センサの検出結果に基づいて、第2検出位置にシートの後端が到達した第2タイミングを取得し、取得した第1タイミング及び第2タイミングに基づいて、第1排出ローラ及び第2排出ローラの回転量を補正する、ことを特徴とする。
【0009】
これにより、シートのシート長が実測されるので、定着器がシートに加える熱によってシートが縮んだとしても、所望の切断位置でシートを切断することが可能となる。
【0010】
また、本願の画像形成装置は、定着器に含まれる加熱回転体及び加圧回転体のうちのいずれか一方を回転駆動するメインモータと、第1排出ローラ及び第2排出ローラを回転駆動する排出モータと、をさらに備え、制御部は、排出モータの回転速度をメインモータの回転速度より速くなるようにメインモータ及び排出モータを制御する、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、定着器を通過中のシートに撓みが生じていても、第1排出ローラ及び第2排出ローラによってシートの搬送速度が速められるので、シートの撓みを解消させることが可能となる。
【0012】
また、本願の画像形成装置は、メモリ、をさらに備え、メモリには、第2センサの第2検出位置から第1センサの第1検出位置までシートを搬送するために必要な第1排出ローラ及び第2排出ローラの回転量が第1回転量として予め記憶され、制御部は、搬送処理において、第1タイミングから第2タイミングまでに要した第1排出ローラ及び第2排出ローラの回転量を第2回転量として取得し、第1回転量と第2回転量とに基づいて、定着器を通過後のシートの搬送方向におけるシート長を取得し、取得したシート長からシート上の切断位置を決定し、排出モータの回転駆動を停止させる、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、既定の固定値を実測する必要が無くなるので、シートの搬送方向におけるシート長をより正確に取得することが可能となる。
【0014】
また、制御部は、第2タイミングの取得後、決定されたシート上の切断位置がカッター位置に到達するまで排出モータを回転駆動させるように制御する、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、決定されたシート上の切断位置がカッター位置に到達した状態で、シートの搬送を停止することができる。
【0016】
また、排出モータは、ステッピングモータであり、制御部は、ステッピングモータのステップ数で、排出モータの停止タイミングを制御する、ことを特徴とする。
【0017】
これにより、ステッピングモータのステップ数をカウントするという簡単な方法で、排出モータの停止タイミングを制御することが可能となる。
【0018】
また、第1センサは、カッター位置よりも搬送方向における上流側に位置し、第1回転量は、ステッピングモータのステップ数で示され、メモリには、第1センサの第1検出位置からカッター位置までシートを搬送するために必要な第1排出ローラ及び第2排出ローラの回転量であって、ステッピングモータのステップ数で示された回転量が、第3回転量
として予め記憶され、制御部は、搬送処理において、第2回転量をステッピングモータのステップ数で取得し、第2タイミングの取得後、
{ 第1回転量 -(第1回転量+第2回転量)/2 + 第3回転量 }分、排出モータを回転駆動させるように制御する、ことを特徴とする。
【0019】
これにより、定着器がシートに加える熱によってシートが縮んだとしても、ステッピングモータのステップ数をカウントするという簡単な方法で、シートの搬送方向の中央で正確に切断することが可能となる。
【0020】
また、第1センサは、カッター位置よりも搬送方向における下流側に位置し、第1回転量は、ステッピングモータのステップ数で示され、メモリには、カッター位置から第1センサの第1検出位置までシートを搬送するために必要な第1排出ローラ及び第2排出ローラの回転量であって、ステッピングモータのステップ数で示された回転量が、第3回転量として予め記憶され、制御部は、搬送処理において、第2回転量をステッピングモータのステップ数で取得し、第2タイミングの取得後、
{ 第1回転量 -(第1回転量+第2回転量)/2 - 第3回転量 }分、排出モータを回転駆動させるように制御する、ことを特徴とする。
【0021】
これにより、定着器がシートに加える熱によってシートが縮んだとしても、ステッピングモータのステップ数をカウントするという簡単な方法で、シートの搬送方向の中央で正確に切断することが可能となる。
【0022】
また、装置本体は、搬送経路の一部であって、カッター位置を経由して装置本体の外部にシートを排出するための第1排出経路と、搬送経路の一部であって、第1排出経路とは異なる経路であり、装置本体の外部にシートを排出するための第2排出経路と、第1排出経路及び第2排出経路のうちのいずれか一方にシートを案内するフラッパと、を有し、制御部は、カッターによるシートの切断が必要か否かに関する情報を含む印刷ジョブを受け付け、印刷ジョブに基づいてシートの切断が必要と判断した場合は、シートを第1排出経路へ案内するようにフラッパの位置を移動させ、印刷ジョブに基づいてシートの切断が不要と判断した場合は、シートを第2排出経路へ案内するようにフラッパの位置を移動させる、ことを特徴とする。
【0023】
これにより、シートの切断が必要な場合には、フラッパによりシートを第1排出経路に案内し、シートの切断が不要な場合には、フラッパによりシートを第2排出経路に案内するので、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本願の第1実施形態に係るモノクロレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
図2図1のモノクロレーザプリンタに含まれるカッターの概略構成を示す斜視図である。
図3図1のモノクロレーザプリンタの制御構成を示すブロック図である。
図4】縮んだシートを切断するときに生ずる問題点とその対処法を説明するための図である。
図5図1のモノクロレーザプリンタにおける印刷処理の手順を示すフローチャートである。
図6図5の印刷処理に含まれるシート印刷切断処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図7図5の印刷処理に含まれるカッター位置へのシート搬送処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図8図5の印刷処理に含まれるシート切断処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
図9図7のカッター位置へのシート搬送処理を説明するための図である。
図10図7のカッター位置へのシート搬送処理を説明するための図9に続く図である。
図11】本願の第2実施形態に係るモノクロレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
図12図11のモノクロレーザプリンタにおけるカッター位置へのシート搬送処理の手順を示すフローチャートである。
図13図12のカッター位置へのシート搬送処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本願の第1実施形態にかかるモノクロレーザプリンタ1の概略構成を示す断面図である。モノクロレーザプリンタ1は、画像形成装置の一例である。以下、モノクロレーザプリンタ1をプリンタ1と略して言う。プリンタ1は、装置本体2と、搬送部3と、画像形成部4と、定着器6と、カッター10と、操作パネルPAとを備えている。以下、説明の便宜上、図1の矢印で示されるように、プリンタ1の上下方向、及び前後方向を定義する。また、紙面のこちら側を左と、紙面の向こう側を右と定義する。
【0027】
装置本体2は、フロントカバー21と、供給トレイ31と、排出トレイ22と、搬送経路201と、再搬送経路202とを有している。フロントカバー21は、装置本体2の前面に開閉可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31は、装置本体2の下部に着脱可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31には、シートSが載置される。シートSは、A4サイズ等の定型シートである。シートSは、例えば、普通紙、厚紙等の紙媒体であるが、これに限らず、OHPフィルムであってもよい。排出トレイ22は、装置本体2の上部に設けられ、排出トレイ22には、画像が形成されたシートSが載置される。
【0028】
搬送経路201は、供給トレイ31に載置されたシートSを、画像形成部4を経由して排出トレイ22へ向けて搬送方向に沿って搬送するための経路である。搬送経路201は、第1分岐位置D1から第1排出経路201Aと第2排出経路201Bに分岐する。つまり、画像形成部4を経由して搬送されたシートSは、第1排出経路201Aを経由して排出トレイ22へ排出されるものと、第2排出経路201Bを経由して排出トレイ22へ排出されるものとがある。
【0029】
再搬送経路202は、一方の面に画像が形成されたシートSを、反転させて、再び画像形成部4に向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、第2分岐位置D2において搬送経路201から分岐し、レジ前センサSE1の搬送方向上流側の合流位置Jで搬送経路201に合流している。
【0030】
搬送部3は、ピックアップローラ33、分離ローラ34、レジストレーションローラ35、ローラ36、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、第3排出ローラ87、フラッパ88、再搬送ローラ38,39、メインモータ108(図3参照)及び排出モータ109(図3参照)を有している。複数の搬送ローラは、ピックアップローラ33、分離ローラ34、レジストレーションローラ35,ローラ36、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、第3排出ローラ87を有している。プリンタ1は、これらの複数の搬送ローラを用いて、シートSを搬送経路201に沿って搬送する。
【0031】
ピックアップローラ33は、シート押圧板32により上方に押し上げられた供給トレイ31内のシートSをピックアップして、搬送経路201に向けて搬送する。分離ローラ34は、ピックアップローラ33がピックアップしたシートSを1枚ずつ分離する。
【0032】
レジストレーションローラ35は、搬送経路201において画像形成部4よりも上流側に配置されている。レジストレーションローラ35は、シートSの前端の方向を揃えた後、シートSを画像形成部4へ向けて搬送する。このレジストレーションローラ35がシートを搬送する搬送方向は、前方から後方に向かう方向である。ローラ36は、定着器6を通過後のシートSを、第1排出ローラ85又は第3排出ローラ87へ向けて搬送する。定着器6とローラ36とがシートを搬送する搬送方向は、前方から後方に向かい、かつ斜め上方に向かう方向である。
【0033】
第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、第1排出経路201Aに配置されている。第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対である。そして、第1排出ローラ85は、カッター10が配置されたカッター位置Bよりも上流の位置に配置され、第2排出ローラ86は、カッター位置Bよりも下流の位置に配置されている。
【0034】
第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、正転することで、シートSを排出トレイ22に排出する。正転は、シートSを搬送方向に搬送する回転であり、装置本体2の左右方向を軸として反時計方向の回転に相当する。第1排出ローラ85がシートSを搬送する搬送方向は、後方から前方に向かい、かつ、上方に向かう方向である。また、第2排出ローラ86がシートSを搬送する搬送方向は、後方から前方に向かう方向である。
【0035】
一方、第3排出ローラ87は、第2排出経路201Bに配置されている。第3排出ローラ87も、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対である。第3排出ローラ87は、正転することで、シートSを排出トレイ22に排出する。また、第3排出ローラ87は、正転とは逆方向の回転である逆転することで、シートSを再搬送経路202へ搬送する。反転は、シートSを搬送方向とは逆方向に搬送する回転であり、装置本体2の左右方向を軸として時計方向の回転に相当する。すなわち、第3排出ローラ87が正転することでシートSを搬送する搬送方向は、後方から前方に向かう方向であり、第3排出ローラ87が逆転することでシートSを搬送する方向は、前方から後方に向かう方向である。
【0036】
再搬送経路202には、再搬送ローラ38,39が配置されている。再搬送ローラ38,39は、再搬送経路202に搬送されたシートSを、画像形成部4に向けて搬送する。再搬送ローラ38,39によって、一方の面に画像形成が行われたシートSを、再搬送経路202を経由して画像形成部4へ向けて再搬送することで、シートSの両面に画像形成を行うことが可能となっている。すなわち、再搬送ローラ38,39がシートを搬送する搬送方向は、後方から前方に向かう方向である。
【0037】
画像形成部4は、シートSに画像を形成するものであり、装置本体2内に収容されている。画像形成部4は、ドラムカートリッジ5及びレーザユニット7を有している。ドラムカートリッジ5は、感光体ドラム51と、トナー収容部57と、供給ローラ56と、現像ローラ55と、帯電器52と、転写ローラ53と、ピンチローラ54とを有している。ドラムカートリッジ5は、フロントカバー21を開けることにより、装置本体2から取り外すことが可能となっている。ドラムカートリッジ5のピンチローラ54は、レジストレーションローラ35と対向している。ピンチローラ54は、レジストレーションローラ35の回転に従動して回転し、レジストレーションローラ35とともにシートSを搬送する。
【0038】
感光体ドラム51は、メインモータ108(図3参照)から伝達される駆動力により、
時計方向に回転することで、シートSを搬送方向に搬送する。感光体ドラム51では、シートSを搬送方向に搬送する回転である正転は、時計方向である。トナー収容部57には、トナーが収容されている。供給ローラ56は、トナー収容部57内のトナーを現像ローラ55に供給する。帯電器52は、スコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させる。なお、帯電器52は、帯電ローラであってもよい。
【0039】
感光体ドラム51に対向する位置には、転写ローラ53が配置されている。転写ローラ53は、搬送経路201における感光体ドラム51との間に転写ニップTNを形成する。なお、転写ローラ53の代わりに、転写ベルトを用いてもよい。
【0040】
装置本体2は、その内部における上部に、レーザユニット7を有している。レーザユニット7は、ポリゴンミラー131(図3参照)、レーザ発光部132(図3参照)、図示しないレンズ及び反射鏡等を有している。レーザユニット7は、レーザ発光部132から出射される画像データに基づくレーザ光(図1の二点鎖線参照)が、感光体ドラム51の表面で高速走査されることで、感光体ドラム51の表面を露光する。
【0041】
感光体ドラム51の表面は、レーザユニット7により露光されることで、画像データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ55は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像にトナーを供給することで、感光体ドラム51の表面にトナー像を形成する。
【0042】
転写ローラ53には、図示しない電圧印加部により転写電圧が印加される。転写ローラ53は、感光体ドラム51との間でシートSを搬送することで、感光体ドラム51の表面に形成されたトナー像を、転写ニップTNを通過するシートSに転写する。このようにして、シートSへの画像形成が行われる。
【0043】
搬送経路201において画像形成部4よりも下流側には、定着器6が配置されている。定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63(図3参照)と、温度センサ64(図3参照)とを有している。加熱ローラ61は、加熱回転体の一例であり、シートSを加熱する。加圧ローラ62は、加圧回転体の一例であり、加熱ローラ61との間でニップNを形成し、シートSを加圧する。加圧ローラ62は、メインモータ108の駆動力により、反時計方向に回転する。加圧ローラ62では、シートSを搬送方向に搬送する回転である正転は、反時計方向である。このように、加圧ローラ62が駆動ローラであり、加熱ローラ61は従動ローラであるが、これとは逆に、加熱ローラ61が、メインモータ108の駆動力により、時計方向に回転する駆動ローラであり、加圧ローラ62は従動ローラであってもよい。
【0044】
ヒータ63は、例えばハロゲンヒータであり、加熱ローラ61を加熱する。温度センサ64は、加熱ローラ61の近傍に設けられ、加熱ローラ61の温度を検出する。温度センサ64は、検出した温度に応じた信号を、CPU101へ出力する。
【0045】
定着器6は、加熱ローラ61によりシートSを加熱して、加圧ローラ62を回転させることにより、加熱ローラ61及び加圧ローラ62によりシートSを加圧しながら搬送することで、画像形成部4によりシートSに形成された画像をシートSに定着させる。
【0046】
なお、定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、定着器6は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であってもよい。また、定着器6は、発熱パターンが形成された基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であってもよい。また、定着器6は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であってもよい
【0047】
第1排出経路201Aにおいて第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間のカッター位置Bには、カッター10が配置されている。後述するように、プリンタ1は、シートS上の切断位置がカッター位置Bに到達するように第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止する。第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転が停止した状態で、プリンタ1は、カッター10を用いて、カッター位置BでシートSを切断する。
【0048】
図2は、カッター10の概略構成を示している。図2に示すように、カッター10は、カッターフレーム11と、スライドレール12と、固定刃13と、シート通過部14と、移動刃15と、スライドホルダ16と、切断モータ106と、を有している。カッターフレーム11は、軸方向に延びている。スライドレール12は、カッターフレーム11に形成された軸方向に延びるレールである。固定刃13は、カッターフレーム11に固定された軸方向に延びる平板状の刃である。シート通過部14は、カッターフレーム11に形成されたシートSが通過する空間である。本実施形態では、シート通過部14は、スライドレール12と固定刃13との間に形成されている。移動刃15は、円板状の刃であり、スライドホルダ16に回転可能に固定されている。切断モータ106は、例えば、エンコーダ付きDCモータであり、エンコーダ(図示せず)は、DCモータの回転に係る信号をCPU101に出力する。
【0049】
スライドホルダ16は、スライドレール12と係合し、スライドレール12に沿って、スライド移動可能にカッターフレーム11に取り付けられている。切断モータ106を正転させると、スライドホルダ16が軸方向の一方側から他方側に向けてスライド移動し、切断モータ106を逆転させると、スライドホルダ16が軸方向の他方側から一方側に向けてスライド移動するようになっている。スライドホルダ16は、図2に実線で示す初期位置から破線で示す切断完了位置まで移動可能である。シートSがカッター位置Bにあるときに、スライドホルダ16がスライドレール12に沿って切断完了位置まで移動すると、1枚のシートSが固定刃13と移動刃15と挟まれて2枚に切断される。スライドホルダ16は、切断完了位置から初期位置に戻される。後述するように、シートSの切断後、プリンタ1は、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86を所定時間、回転することで、2枚に切断されたシートSを排出トレイ22に排出する。
【0050】
なお、プリンタ1は、カッター10により、A4とレターサイズのシートSを搬送方向におけるシート中央で切断可能に構成されている。つまり、図1におけるニップNからカッター位置Bまでの搬送経路201の長さが、A4サイズのシートSの搬送方向における寸法(297mm)の半分(148.5mm)より長くなるように設計されている。この構成により、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させた状態で、A4サイズやレターサイズのシートSをカッター位置Bで切断する際に、シートSの後端が定着器6のニップNを通過していることとなる。定着器6のニップNでシートSを挟んだ状態で、シートSをカッター位置Bで切断するために第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させると、加圧ローラ62の回転を停止させる必要がある。しかしながら、定着器6のニップNでシートSを挟んだ状態で加圧ローラ62の回転が停止すると、加熱ローラ61から局所的にシートSの同じ場所に熱が加えられてしまう。そのため、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させた状態でシートSをカッター位置Bで切断する際には、シートSの後端が定着器6のニップNを通過している必要がある。
【0051】
さらに、図1におけるローラ36のニップからカッター位置Bまでの搬送経路201の長さは、A4サイズのシートSの搬送方向における寸法(297mm)の半分(148.5mm)より長くなるように設計されている。この構成により、第1排出ローラ85と第
2排出ローラ86の回転を停止させた状態で、シートSをカッター位置Bで切断する際に、シートSの後端は、ローラ36のニップを通過していることとなる。第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させた状態でシートSをカッター位置Bで切断する際に、ローラ36や加圧ローラ62のニップがシートを挟んで回転していると、第1排出ローラ85とローラ36との間で、シートSが蛇腹状に曲がってしまうおそれがある。そこで、上記構成とすることで、ローラ36や定着器6の回転を停止させることなく、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させることのみで、シートが蛇腹状に曲がってしまうことなく、切断位置にシートを停止させておくことが可能となる。
【0052】
また、第2排出経路201Bの長さは、第1排出経路201Aの長さより短くなるように設計されている。すなわち、第2排出ローラ86は、第3排出ローラ87よりも、前方側にある。これは、画像形成後のシートSを切断しないときには、そのシートSを装置本体2の外部に速く排出するためである。
【0053】
次に、プリンタ1の制御構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、プリンタ1は、ASIC105と、ROM102と、RAM103と、NVRAM104と、レジ後センサSE2と、排出センサSE3と、シート検知センサSE4と、通信インターフェース(I/F)130とをさらに備えている。
【0054】
ASIC105には、CPU101が搭載されている。CPU101は、制御部の一例であり、プリンタ1の各部に対する全般的な制御を行う。ASIC105は、ROM102、RAM103、NVRAM104、切断モータ106、フラッパ88、電磁クラッチ107、メインモータ108、排出モータ109、レジ前センサSE1、レジ後センサSE2、排出センサSE3、シート検知センサSE4、操作パネルPA、通信I/F130、ドラムカートリッジ5、定着器6、及びレーザユニット7と電気的に接続されている。
【0055】
ROM102には、プリンタ1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。なお、図5を用いて後述する印刷処理は、制御プログラムに含まれる。
【0056】
RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及びジョブに含まれる画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムや、各種センサから出力される信号に従って、その処理結果をRAM103またはNVRAM104に記憶させながら、プリンタ1の各部を制御する。
【0057】
CPU101は、切断モータ106を駆動させて、スライドホルダ16を移動させることにより、移動刃15をシートSの幅方向に移動させて、シートSを切断する。
【0058】
メインモータ108は、ピックアップローラ33、レジストレーションローラ35、ローラ36、再搬送ローラ38、39、加圧ローラ62、及びドラムカートリッジ5に駆動力を伝達する。CPU101がメインモータ108を正転駆動させると、ローラ36、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35に駆動力が伝達される。そして、ローラ36、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35は、シートSを搬送方向に搬送する向きに回転する。
【0059】
具体的には、ローラ36及び加圧ローラ62は、反時計方向に回転する。感光体ドラム51は、時計方向に回転する。現像ローラ55は、反時計方向に回転する。ピックアップローラ33は、反時計方向に回転する。レジストレーションローラ35は、反時計方向に回転する。
【0060】
一方、CPU101が、メインモータ108を逆転駆動させても、ローラ36、加圧ローラ62、ドラムカートリッジ5、ピックアップローラ33及びレジストレーションローラ35には、駆動力が伝達されない構成となっている。
【0061】
排出モータ109は、例えば、ステッピングモータであり、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87に駆動力を伝達する。CPU101が排出モータ109を正転駆動させると、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87を反時計方向に回転させる。これにより、シートSは、第1排出経路201A又は第2排出経路201Bを経由して排出トレイ22に排出される。一方、CPU101は、排出モータ109を逆転駆動させることで、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87を時計方向に回転させる。これにより、第2排出経路201Bを搬送中のシートSは、搬送方向と逆方向に搬送される。
【0062】
また、CPU101は、排出モータ109を正転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39を時計方向に回転させる。一方、CPU101は、排出モータ109を逆転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39を時計方向に回転させる。これにより、第2排出経路201Bを逆方向に搬送されたシートSは、再搬送経路202を経由して画像形成部4へ向けて搬送される。
【0063】
CPU101は、電磁クラッチ107を、制御する。CPU101は、電磁クラッチ107をオンすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達される状態にする一方、電磁クラッチ107をオフすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達されない状態にする。
【0064】
CPU101は、フラッパ88を、制御する。CPU101は、例えばフラッパソレノイド(図示せず)をオン/オフすることにより、フラッパ88の位置を第1位置(図1において、破線で示す位置88A)と第2位置(図1において、実線で示す位置88B)とに切り替えることができる。第1位置88Aにあるフラッパ88は、ローラ36により搬送されたシートSを第1排出経路201Aに案内する。第2位置88Bにあるフラッパ88は、ローラ36により搬送されたシートSを第2排出経路201Bに案内する。また、第2位置88Bにあるフラッパ88は、第2排出経路201BにあるシートSを再搬送経路202に案内する。
【0065】
レジ前センサSE1は、搬送経路201においてレジストレーションローラ35よりも上流側に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ前センサSE1としては、シートSが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。レジ前センサSE1は、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。レジ前センサSE1による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0066】
レジ後センサSE2は、搬送経路201において定着器6よりも上流側、具体的には、レジストレーションローラ35と転写ローラ53との間に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ後センサSE2は、レジ前センサSE1と同様の構成である。レジ後センサSE2による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0067】
排出センサSE3は、搬送経路201において定着器6とローラ36との間に配置され、シートSが通過することを検知する。排出センサSE3は、レジ前センサSE1と同様の構成である。排出センサSE3による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0068】
シート検知センサSE4は、第1排出ローラ85とカッター位置Bとの間に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。シート検知センサSE4は、レジ前センサSE1と同様の構成である。シート検知センサSE4による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0069】
操作パネルPAは、装置本体2の上面に配置されている。操作パネルPAは、例えば、タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルと、キーボタン部とを有している。操作パネルPAは、ユーザの操作を受け付け、受け付けた情報をCPU101へ出力する。ユーザは、例えば、操作パネルPAを操作することにより、シートSを切断するか否かを設定することが可能である。
【0070】
通信I/F130は、LAN等のネットワークに接続され、プリンタ1用のドライバが組み込まれたPC等の外部装置との接続を可能にしている。CPU101は、通信I/F130を介して、印刷ジョブを受信可能である。印刷ジョブには、画像形成するための画像データ、画像形成に用いるシートSのサイズ及び種類等、シートSに画像を形成するために必要な各種情報や、シートSを切断するか否かの情報が含まれている。
【0071】
以下、以上のように構成されたプリンタ1が実行する制御処理を、図4図10を参照して詳細に説明する。
【0072】
図4は、シートSが縮んだシートSaを切断するときに生ずる問題点とその対処法を説明するための図である。図4(a)は、縮む前のシートSを示し、図中の破線は、シートSを長手方向、つまり搬送方向中央で切断するための切断位置CPを示している。これに対して、図4(b)は、長手方向の長さLのシートSが長さΔだけ縮んで長さLaのシートSaになった状態を示している。このシートSaをシートSについての切断位置CPで切断すると、切断後の2枚のシートは、搬送方向下流側、つまり図4では左側のシートの長さの方が右側のシートの長さより長くなるので、正確に半分になるように切断できない。そこで、切断位置CPを搬送方向下流側に長さΔ/2だけずらした切断位置CPaで切断するようにする。この切断位置CPaで切断すれば、図4(c)に示すように、シートSaを長さLa/2の2枚のシートに切断することができる。以下、縮んだシートSaを正確に半分になるように切断するための制御処理について説明する。
【0073】
図5は、ASIC105、特にCPU101が実行する印刷処理の手順を示している。この印刷処理は、プリンタ1が印刷ジョブや印刷命令を受信可能なとき、例えば、プリンタ1の電源がオンされたときやプリンタ1がスタンバイ状態のときなどに起動される。以降、各処理の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0074】
図5において、まずCPU101は、通信I/F130を介して印刷ジョブを受信するまであるいは操作パネルPAを介して印刷命令を受け付けるまで待機し(S10及びS12のいずれも:NO)、印刷ジョブを受信するか、あるいは印刷命令を受け付けると(S10及びS12のいずれか一方:YES)、CPU101は、処理をS14に進める。
【0075】
S14では、CPU101は、印刷対象のシートSの切断が必要か否かを判断する。この判断は、本実施形態では、印刷ジョブあるいは印刷命令に含まれるシートSを切断するか否かの情報に基づいてなされる。つまり、ユーザが、印刷ジョブの設定時に、シートSの切断を指定したモードを設定しているか、操作パネルPAを介した印刷命令設定時にシートSの切断を指定したモードを設定していると、印刷ジョブや印刷命令に、シートSを切断するという情報が入る。この判断において、シートSの切断が必要である場合(S14:YES)、CPU101は、処理をS16に進める。一方、シートSの切断が必要でない場合(S14:NO)、CPU101は、処理をS20に進める。
【0076】
S16では、CPU101は、フラッパ88を第1位置88Aに移動させる。第1位置
88Aは、上述のように、ローラ36により搬送されたシートSを第1排出経路201A
に案内する位置である。次にCPU101は、シート印刷切断処理を実行した(S18)後、印刷処理を終了する。
【0077】
一方、S20では、CPU101は、フラッパ88を第2位置88Bに移動させる。第2位置88Bは、上述のように、ローラ36により搬送されたシートSを第2排出経路201Bに案内する位置である。次にCPU101は、通常印刷を行った(S22)後、印刷処理を終了する。通常印刷は、本実施形態では、印刷ジョブあるいは印刷命令に基づいてシートSへ画像を印刷した後、シートSの切断を行わずに排出トレイ22へ排出することを意味する。
【0078】
図6は、S18のシート印刷切断処理の詳細な手順を示している。図6において、まずCPU101は、メインモータ108を正転駆動させる(S200)。このとき、CPU101は、ヒータ63もオンする。
【0079】
次にCPU101は、ピックアップ命令を実行する(S202)。これにより、CPU101は、電磁クラッチ107をオンにする。電磁クラッチ107がオンされると、上述のように、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達されるので、供給トレイ31内のシートSがピックアップされて、搬送経路201に向けて搬送される。
【0080】
次にCPU101は、レジ後センサSE2がオフからオンに切り替わるまで待機する(S204:NO)。レジ後センサSE2は、上述のように、搬送経路201においてレジストレーションローラ35と転写ローラ53との間に配置され、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。したがって、S204では、CPU101は、レジ後センサSE2がシートSの前端を検出するまで待機する。そして、レジ後センサSE2がシートSの前端を検出すると(S204:YES)、CPU101は、画像形成部4によるシートSへの画像形成を開始する(S206)。
【0081】
次にCPU101は、排出センサSE3がオフからオンに切り替わるまで待機する(S208:NO)。排出センサSE3は、上述のように、搬送経路201において定着器6とローラ36との間に配置され、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。したがって、S208では、CPU101は、排出センサSE3がシートSの前端を検出するまで待機する。そして、排出センサSE3がシートSの前端を検出すると(S208:YES)、CPU101は、排出モータ109を正転駆動させる(S210)。これにより、第1~第3排出ローラ85~87が回転を開始する。なお、CPU101は、排出モータ109の回転速度をメインモータ108の回転速度より速くなるように排出モータ109及びメインモータ108を制御する。これは、ローラ36と第1排出ローラ85又は第3排出ローラ87との間でシートSが撓んだ状態で搬送されているときに、その撓みを解消させるためである。つまり、ローラ36の搬送速度より第1排出ローラ85及び第3排出ローラ87の搬送速度の方が速ければ、シートSが第1排出ローラ85又は第3排出ローラ87により搬送されるようになると、シートSのローラ36を抜けた部分の搬送速度が速くなるので、その撓んだ状態が徐々に解消に向かうからである。
【0082】
次にCPU101は、シート検知センサSE4がオフからオンに切り替わるまで待機する(S212:NO)。シート検知センサSE4は、上述のように、搬送経路201において第1排出ローラ85とカッター位置Bとの間に配置され、シートSが通過している状
態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。したがって、S210では、CPU101は、シート検知センサSE4がシートSの前端を検出するまで待機する。そして、シート検知センサSE4がシートSの前端を検出すると(S210:YES)、CPU101は、排出モータ109のSTEP数計測を開始する(S214)。排出モータ109は、上述のようにステッピングモータであるので、CPU101は、排出モータ109を作動させているときにはSTEP数を計測、つまりカウントすることができる。なお、計測結果(カウント数)は、例えば、RAM103の所定領域に確保したSTEP数カウント領域(図示せず)に保存しておけばよい。図9(a)は、シートSaの前端がシート検知センサSE4の検出位置に到達した状態を示している。
【0083】
次にCPU101は、排出センサSE3がオンからオフに切り替わるまで待機する(S216:NO)。つまりS216では、CPU101は、排出センサSE3がシートSの後端を検出するまで待機する。そして、排出センサSE3がシートSの後端を検出すると(S216:YES)、CPU101は、カッター位置へのシート搬送処理を実行する(S218)。図9(b)は、シートSaの後端が排出センサSE3の検出位置に到達した状態を示している。
【0084】
図7は、S218のカッター位置へのシート搬送処理の詳細な手順を示している。図7において、まずCPU101は、実測STEP数を決定する(S230)。実測STEP数(第2回転量の一例)は、シート検知センサSE4がシートSaの前端を検出してから排出センサSE3がシートSaの後端を検出するまでのSTEP数である。実測STEP数の決定は、このときにSTEP数カウント領域に保存されているカウント値を読み出すことにより行えばよい。
【0085】
次にCPU101は、既定値(長さX:STEP数で表現)と実測STEP数とを加算することにより、シートSのシート長STEP数を算出する(S232)。そして、CPU101は、次式(1)により、第1排出経路201Aを含む搬送経路201におけるシートSの切断位置CPからカッター位置BまでのSTEP数を算出する(S234)。
シート長STEP数/2 - 実測STEP数 + シート検知センサSE4からカッター位置BまでのSTEP数 ‥‥(1)
【0086】
図10(a)は、S232,S234の処理を説明するための図であり、シートSaの後端が排出センサSE3の検出位置に到達した状態を示している。このとき、S230で決定した実測STEP数は、140STEPである。そして、排出センサSE3からシート検知センサSE4までの長さXは、固定の既定値である200STEPであるので、シートSaの搬送方向におけるシート長STEP数は、200+140=340STEPと算出できる。長さXの200STEPという固定の既定値(第1回転量の一例)は、NVRAM104に予め記憶されている。CPU101は、NVRAM104から長さXの200STEPを読み出して用いればよい。このようにシート長STEP数が算出されると、その切断位置CPaは、シート長STEP数/2で算出される。具体的には、切断位置CPa=170STEPとなる。そして、長さX=200STEPであるので、切断位置CPaは、シート検知センサSE4の検出位置から上流側30STEP(=200-170)の位置にある。さらに、シート検知センサSE4の検出位置からカッター位置Bまでの長さYは、固定の既定値である40STEPである。長さY
の40STEPという固定の既定値(第3回転量の一例)は、NVRAM104に予め記憶されている。したがって、切断位置CPaが排出センサSE3がオフになった状態である現在の位置から70STEP(=30+40)、下流側にシートSaを搬送すれば、切断位置CPaはカッター位置Bに到達する。つまり、式(1)は、シートSの後端が排出センサSE3の検出位置に到達してからシートSの切断位置CPがカッター位置Bに到達するまでのSTEP数を表している。
【0087】
図7に戻り、次にCPU101は、S234で算出したSTEP数分、排出モータ109が回転駆動するまで待機し(S236:NO)、そのSTEP数分、排出モータ109が回転駆動すると(S236:YES)、CPU101は、カッター位置へのシート搬送処理を終了する。その後、CPU101は、処理を図6のS220に進める。
【0088】
S220では、CPU101は、排出モータ109を停止させる。そして、CPU101は、シート切断処理を実行する(S222)。
【0089】
図8は、シート切断処理の詳細な手順を示している。図8において、まずCPU101は、切断モータ106を正転駆動させる(S240)。切断モータ106の正転駆動によって、移動刃15が初期位置から切断完了位置(図2に破線で示す位置)に向かって移動を開始する。そして、CPU101は、カッター10の移動刃15が切断完了位置(図2に破線で示す位置)に到達するまで待機し(S242:NO)、移動刃15が切断完了位置に到達すると(S242:YES)、CPU101は、処理をS244に進める。なお、移動刃15が初期位置(図2に実線で示す位置)から切断完了位置に到達したことは、CPU101は、切断モータ106に付随して設けられているエンコーダからの出力信号に基づいて切断モータ106の回転数をカウントし、そのカウント値に基づいて判断すればよい。
【0090】
S244では、CPU101は、切断モータ106を停止させる。その後、CPU101は、切断モータ106を反転駆動させる(S246)。そして、CPU101は、移動刃15が初期位置に到達するまで待機し(S248:NO)、移動刃15が初期位置に到達すると(S248:YES)、CPU101は、シート切断処理を終了する。その後、CPU101は、処理を図6のS224に進める。
【0091】
CPU101がシート切断処理を実行するときには、シートSはその切断位置CPがカッター位置Bに到達した状態で停止している。したがって、シートSがこの状態で停止しているときにシート切断処理が実行されると、図10(b)に示すように、シートSが縮んでシートSaになっていたとしても、シートSaは、搬送方向中央(切断位置CPa)で2枚に切断される。
【0092】
図6のS224では、CPU101は、排出モータ109を正転駆動させ、所定時間経過後に、排出モータ109を停止する。これにより、2等分されたシートSが排出トレイ22に排出される。したがって、「所定時間」は、2等分されたシートSのうち、搬送方向上流側のシートが第1排出経路201Aから排出トレイ22に排出されるまでの時間である。
【0093】
次にCPU101は、実行中のジョブに次シートの印刷があるか否かを判断する(S226)。この判断において、次シートの印刷がある場合(S226:YES)、CPU101は、処理をS202に戻し、S202以降の処理を継続する。一方、次シートの印刷がない場合(S226:NO)、CPU101は、メインモータ108を停止させた(S228)後、シート印刷切断処理を終了する。
【0094】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、シートSの搬送経路201を有する装置本体2と、加熱ローラ61と、加熱ローラ61との間でニップNを形成する加圧ローラ62と、を有し、シートSに形成された画像をシートSに定着させる定着器6と、搬送経路201に沿ったシートSの搬送方向において、定着器6よりも下流側に位置し、シートSを搬送する第1排出ローラ85と、第1排出ローラ85よりも搬送方向における下流側に位置し、第1排出ローラ85により搬送されたシートSを装置本体2の外部に排出す
る第2排出ローラ86と、を有する搬送ローラ35,36,85~87と、搬送方向における第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間の位置であるカッター位置Bに位置し、搬送方向と交差する切断方向にシートSを切断可能なカッター10と、搬送方向における第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間の第1検出位置にシートSが存在するか否かを検出するシート検知センサSE4と、搬送方向における第1排出ローラ85と定着器6との間の第2検出位置にシートSが存在するか否かを検出する排出センサSE3と、CPU101と、を備えている。
【0095】
そして、CPU101は、搬送ローラ35,36,85~87を用いてシートSを搬送経路201に沿って搬送する搬送処理において、搬送経路201の一部を通過する理想的なシートSの切断位置CPがカッター位置Bに到達するための第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86の回転量を、シート検知センサSE4及び排出センサSE3の各検出結果に基づいて補正し、補正した回転量分、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を回転させた後、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を停止させる搬送処理(S218,S220)と、搬送処理の後、カッター10を用いてシートSを切断方向に切断する切断処理(S222)と、を実行する、ことを特徴とする。
【0096】
このように、本実施形態のプリンタ1では、理想的なシートSの切断位置CPがカッター位置Bに到達するための第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86の回転量が、シート検知センサSE4及び排出センサSE3の各検出結果に基づいて補正され、補正した回転量分、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86が回転した後停止し、その停止位置でシートSaが切断されるので、定着器6がシートSに加える熱によってシートSが縮んだとしても、所望の切断位置でシートSaを切断することが可能となる。
【0097】
ちなみに、本実施形態において、加熱ローラ61は、「加熱回転体」の一例である。加圧ローラ62は、「加圧回転体」の一例である。CPU101は、「制御部」の一例である。シート検知センサSE4は、「第1センサ」の一例である。排出センサSE3は、「第2センサ」の一例である。
【0098】
また、CPU101は、搬送処理において、シート検知センサSE4による検出結果に基づいて、第1検出位置にシートSの前端が到達した第1タイミングを取得する(S212)とともに、排出センサSE3の検出結果に基づいて、第2検出位置にシートSの後端が到達した第2タイミングを取得し(S216)、取得した第1タイミング及び第2タイミングに基づいて、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86の回転量を補正する、ことを特徴とする。
【0099】
これにより、シートSのシート長が実測されるので、定着器6がシートSに加える熱によってシートSが縮んだとしても、所望の切断位置でシートSaを切断することが可能となる。
【0100】
また、プリンタ1は、定着器6に含まれる加熱ローラ61及び加圧ローラ62のうちのいずれか一方を回転駆動するメインモータ108と、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を回転駆動する排出モータ109と、をさらに備えている。そして、CPU101は、排出モータ109の回転速度をメインモータ108の回転速度より速くなるようにメインモータ108及び排出モータ109を制御する、ことを特徴とする。
【0101】
これにより、定着器6を通過中のシートSに撓みが生じていても、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86によってシートSの搬送速度が速められるので、シートSの撓みを解消させることが可能となる。
【0102】
また、プリンタ1は、NVRAM104、をさらに備えている。そして、NVRAM104には、シート検知センサSE4の第1検出位置から排出センサSE3の第2検出位置までシートSを搬送するために必要な第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86の回転量が第1回転量として予め記憶され、CPU101は、搬送処理において、第1タイミングから第2タイミングまでに要した第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86の回転量を第2回転量として取得し、第1回転量と第2回転量とに基づいて、定着器6を通過後のシートSaの搬送方向におけるシート長を取得し、取得したシート長からシートS上の切断位置を決定し、排出モータ109の回転駆動を停止させる、ことを特徴とする。ちなみに、NVRAM104は、「メモリ」の一例である。
【0103】
これにより、既定の固定値を実測する必要が無くなるので、シートSaの搬送方向におけるシート長をより正確に取得することが可能となる。
【0104】
また、CPU101は、第2タイミングの取得後、決定されたシートSa上の切断位置CPaがカッター位置Bに到達するまで排出モータ109を回転駆動させるように制御する、ことを特徴とする。
【0105】
これにより、決定されたシートSa上の切断位置CPaがカッター位置Bに到達した状態で、シートSaの搬送を停止することができる。
【0106】
また、排出モータ109は、ステッピングモータであり、CPU101は、ステッピングモータのステップ数で、排出モータ109の停止タイミングを制御する、ことを特徴とする。
【0107】
これにより、ステッピングモータのステップ数をカウントするという簡単な方法で、排出モータ109の停止タイミングを制御することが可能となる。
【0108】
また、シート検知センサSE4は、カッター位置Bよりも搬送方向における上流側に位置し、第1回転量は、ステッピングモータのステップ数で示され、NVRAM104には、シート検知センサSE4の第1検出位置からカッター位置BまでシートSを搬送するために必要な第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86の回転量であって、ステッピングモータのステップ数で示された回転量が、第3回転量として予め記憶され、CPU101は、搬送処理において、第2回転量をステッピングモータのステップ数で取得し、第2タイミングの取得後、
{ 第1回転量 -(第1回転量+第2回転量)/2 + 第3回転量 }分、排出モータ109を回転駆動させるように制御する、ことを特徴とする。
【0109】
これにより、定着器6がシートSに加える熱によってシートSが縮んだとしても、ステッピングモータのステップ数をカウントするという簡単な方法で、シートSaの搬送方向の中央で正確に切断することが可能となる。
【0110】
また、装置本体2は、搬送経路201の一部であって、カッター位置Bを経由して装置本体2の外部にシートSを排出するための第1排出経路201Aと、搬送経路201の一部であって、第1排出経路201Aとは異なる経路であり、装置本体2の外部にシートSを排出するための第2排出経路201Bと、第1排出経路201A及び第2排出経路201Bのうちのいずれか一方にシートSを案内するフラッパ88と、を有している。そして、CPU101は、カッター10によるシートの切断が必要か否かに関する情報を含む印刷ジョブを受け付け、印刷ジョブに基づいてシートの切断が必要と判断した場合は、シートSを第1排出経路201Aへ案内するようにフラッパ88の位置を移動させ、印刷ジョブに基づいてシートの切断が不要と判断した場合は、シートSを第2排出経路201Bへ
案内するようにフラッパ88の位置を移動させる、ことを特徴とする。
【0111】
これにより、シートSの切断が必要な場合には、フラッパ88によりシートSを第1排出経路201Aに案内し、シートSの切断が不要な場合には、フラッパ88によりシートSを第2排出経路201Bに案内するので、便利である。
【0112】
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態で説明したシート検知センサSE4の設置位置を変更して構成しているので、変更する部分を中心に説明し、それ以外の部分の説明は適宜省略する。なお、本実施形態のハードウェアは、図1図3に記載のハードウェアをほぼそのまま用いるものとするが、本実施形態におけるシート検知センサSE4aの設置位置を明確化するために、図1に代えて図11の断面図を用いる。ただし、図11中、図1と同様の部材については同一符号を付している。
【0113】
図1のシート検知センサSE4が第1排出ローラ85とカッター位置Bとの間に設置されていたのに対して、図11のシート検知センサSE4aは、カッター位置Bと第2排出ローラ86との間に設置されている。この設置位置の違いにより、図7のカッター位置へのシート搬送処理の一部を変更する必要がある。
【0114】
図12は、本実施形態のCPU101が実行するカッター位置へのシート搬送処理の詳細な手順を示している。図12中、図7と同様の処理には同一ステップ番号を付し、その処理についての説明は適宜省略する。
【0115】
図12において、CPU101は、次式(2)により、搬送経路201及び第1排出経路201AにおけるシートSの切断位置CPからカッター位置BまでのSTEP数を算出する(S240)。
シート長STEP数/2 - 実測STEP数 - カッター位置Bからシート検知センサSE4までのSTEP数 ‥‥(2)
【0116】
図13は、このS240の処理を説明するための図であり、シートSaの後端が排出センサSE3の検出位置に到達した状態を示している。このとき、S232で決定した実測STEP数は、80STEPである。つまり、シート検知センサSE4がシートSaの前端を検出してから排出センサSE3がシートSaの後端を検出するまでのSTEP数が、80STEPである。そして、排出センサSE3からシート検知センサSE4までの長さX1は、固定の既定値である260STEPであるので、シートSaの搬送方向におけるシート長STEP数は、260+80=340STEPと算出できる。なお、長さX1は、例えば、NVRAM104に予め記憶されている場合には、それを読み出して用いればよい。このようにシート長STEP数が算出されると、その切断位置CPaは、シート長STEP数/2で算出される。具体的には、切断位置CPa=170STEPとなる。そして、長さX1=260STEPであるので、切断位置CPaは、シート検知センサSE4の検出位置から上流側90STEP(=260-170)の位置にある。さらに、カッター位置Bからシート検知センサSE4の検出位置までの長さY1は、固定の既定値である20STEPである。したがって、切断位置CPaが現在の位置(=170STEP)から70STEP(=90-20)下流側に移動するようにシートSaを搬送すれば、切断位置CPaはカッター位置Bに到達する。つまり、式(2)は、シートSaの後端が排出センサSE3の検出位置に到達してからシートSaの切断位置CPaがカッター位置Bに到達するまでのSTEP数を表している。
【0117】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1では、シート検知センサSE4aは、カッター位置Bよりも搬送方向における下流側に位置し、第1回転量は、ステッピングモー
タのステップ数で示され、NVRAM104には、カッター位置Bからシート検知センサSE4aの第1検出位置までシートSを搬送するために必要な第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86の回転量であって、ステッピングモータのステップ数で示された回転量が、第3回転量として予め記憶されている。そして、CPU101は、搬送処理において、第2回転量をステッピングモータのステップ数で取得し、第2タイミングの取得後、
{ 第1回転量 -(第1回転量+第2回転量)/2 - 第3回転量 }分、排出モータ109を回転駆動させるように制御する、ことを特徴とする。ちなみに、シート検知センサSE4aは、「第1センサ」の一例である。
【0118】
これにより、定着器6がシートSに加える熱によってシートSが縮んだとしても、ステッピングモータのステップ数をカウントするという簡単な方法で、シートSaの搬送方向の中央で正確に切断することが可能となる。
【0119】
なお、本発明は各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0120】
(1)各実施形態では、レジ前センサSE1、レジ後センサSE2、排出センサSE3、及びシート検知センサSE4がシートSの通過を検出する各検出位置は、各センサの設置位置とほぼ一致しているが、これに限らず、センサの設置位置とシートSの検出位置とが離れているようなセンサを用いてもよい。
【0121】
(2)各実施形態では、シートSが縮んでシートSaになったときに、そのシートSaを正確に半分に切断することを例に挙げて本願の制御処理を説明したが、シートSが縮んでいないときでも、本願の制御処理を適用すれば、シートSを正確に半分に切断することができる。
【0122】
(3)各実施形態では、画像形成装置の一例として、モノクロレーザプリンタ1を挙げて説明したが、これに限らず、カラーレーザプリンタであってもよい。
【0123】
(4)各実施形態では、シートPを2等分に切断する場合について説明したが、これに限らず、シートPを、例えば3等分に切断してもよい。
【0124】
(5)各実施形態では、印刷ジョブをプリンタ1の外部から受信する場合、通信I/F130を介して受信することとしたが、これに限らず、例えば、USBインターフェースを介して印刷ジョブを受信するようにしてもよい。
【0125】
(6)各実施形態では、プリンタ1は、A4サイズとレターサイズのシートSを、シート中央で切断可能に構成していたが、例えば、A4サイズは切断不可とし、レターサイズのシートSのみ切断可能としてもよい。その場合、図1におけるニップNからカッター位置Bまでの搬送経路201の長さと、ローラ36のニップからカッター位置Bまでの搬送経路201の長さが、レターサイズの搬送方向における寸法(279.4mm)の半分(
139.7mm)より長くなるように設計されていればよい。さらに、A4サイズより大
きいサイズのシートを切断可能としてもよい。
【0126】
(7)各実施形態では、カッター10は、移動刃15と固定刃13とによって構成されていたが、シートSを切断することができれば形状・種類を問わない。例えば、切断方向に長い刃をシートSに落とすことによってシートを切断する構成や、ハサミであってもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…プリンタ、2…装置本体、6…定着器、10…カッター、61…加熱ローラ、62…加圧ローラ、85…第1排出ローラ、86…第2排出ローラ、88…フラッパ、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…NVRAM、105…ASIC、108…メインモータ、109…排出モータ、201…搬送経路、201A…第1排出経路、201B…第2排出経路、B…カッター位置、SE3…排出センサ、SE4,SE4a…シート検知センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13