(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079483
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/30 20060101AFI20240604BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20240604BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H02J3/30
H02J15/00 A
H02J3/38 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192457
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】522468375
【氏名又は名称】株式会社フライホイール・ユナイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】福田 勉
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB08
5G066JA05
5G066JB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発電しない時間帯等がある発電装置を主電源として、二次電池を使用せずに、大量の電力を消費する地域に昼夜連続して安定的に電力を供給する。
【解決手段】電力供給システム1は、太陽光発電装置2と、多数の電力負荷e1~enに必要な電力を供給する第1電力供給網と、フライホイール蓄電装置群9と、太陽光発電装置2が発電した電力の余剰電力を分けてフライホイール蓄電装置群9の中の蓄電していないフライホイール蓄電装置及び/又は蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電する分電装置8と、フライホイール蓄電装置群9のフライホイール蓄電装置が放電する多数の電力負荷e1~enに供給する第2電力供給網と、太陽光発電装置2が発電しない間又は太陽光発電装置2の発電量が大幅に低下した間、フライホイール蓄電装置群9のフライホイール蓄電装置が放電し、第2電力供給網に供給するように制御する配電制御装置10と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電しない時間帯又は発電量が大幅に低下する時間帯がある発電装置と、
前記発電装置が発電した電力のうち多数の電力負荷が必要とする電力を該多数の電力負荷に供給する第1電力供給網と、
供給される電力を運動エネルギーに変換して蓄えるフライホイール蓄電装置が多数集合したフライホイール蓄電装置群と、
前記発電装置が発電した電力から前記第1電力供給網に供給する電力を減じた余剰電力を出力する余剰電力出力手段と、
前記余剰電力出力手段から出力される電気を分けて前記フライホイール蓄電装置群の中の蓄電していないフライホイール蓄電装置及び/又は蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電する分電装置と、
前記フライホイール蓄電装置群のフライホイール蓄電装置が放電する電力を前記多数の電力負荷に供給する第2電力供給網と、
前記発電装置が発電しない間又は前記発電装置の発電量が大幅に低下した間、前記フライホイール蓄電装置群のフライホイール蓄電装置が放電し、前記多数の電力負荷が必要とする電力を前記第2電力供給網に供給するように制御する配電制御装置と
を備えたことを特徴とする電力供給スステム。
【請求項2】
前記フライホイール蓄電装置は、
前記分電装置からの給電により回転するモータと、
前記モータにより回転するフライホイールと、
前記フライホイールの回転により発電する発電機と、
前記モータの回転を前記フライホイールに伝達し遮断する第1クラッチと、
前記フライホイールの回転を前記発電機に伝達し遮断する第2クラッチと、
前記フライホイール蓄電装置の動作を制御する蓄電制御手段と
を備え、
前記蓄電制御手段は、前記フライホールが設定された蓄電回転数に到達するまで前記モータが回転するように制御することを特徴とする請求項1記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記蓄電制御手段は、前記フライホールが設定された放電可能回転数に低下するまで前記発電機が発電するように制御することを特徴とする請求項2記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記配電制御装置は、前記フライホールが前記蓄電回転数に到達したときからの経過時間が長い順に前記フライホイール蓄電装置を放電させるように制御することを特徴とする請求項2記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記電力負荷が消費する電力量を一定時間毎に計測して前記配電制御装置に送信する電力量計が前記多数の電力負荷の各々に取り付けられ、前記配電制御装置は、前記電力量計が計測する消費電力量に基づいてフライホイール蓄電装置を放電させるように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載した電力供給システム。
【請求項6】
発電しない時間帯又は発電量が大幅に低下する時間帯がある発電装置と、
前記発電装置が発電した電力のうち多数の電力負荷が必要とする電力を該多数の電力負荷に供給する第1電力供給網と、
供給される電力を運動エネルギーに変換して蓄えるフライホイール蓄電装置が多数集合したフライホイール蓄電装置群と、
前記発電装置が発電した電力から前記第1電力供給網に供給する電力を減じた余剰電力を出力する余剰電力出力手段と、
前記余剰電力出力手段から出力される電気を分けて前記フライホイール蓄電装置群の中の蓄電していないフライホイール蓄電装置及び/又は蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電する分電装置と、
前記フライホイール蓄電装置群のフライホイール蓄電装置が放電する電力を前記多数の電力負荷に供給する第2電力供給網と、
前記発電装置が発電しない間又は前記発電装置の発電量が大幅に低下した間、放電可能なフライホイール蓄電装置の一部を放電させて前記第2電力供給網へ電力供給すると共に、前記第2電力供給網へ電力供給するために放電しない放電可能なフライホイール蓄電装置の一部を放電させて得られた電力を蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電して該蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置の蓄電量を回復させ、前記フライホイール蓄電装置群が蓄積する総電力量を前記多数の電力負荷が必要とする電力量以上に維持して前記第2電力供給網に必要な電力を継続して供給するように制御する配電継続制御装置と
を備えたことを特徴とする電力供給システム。
【請求項7】
前記フライホイール蓄電装置群は、一のフライホイール蓄電装置が放電した電気が、他のフライホイール蓄電装置に送られて該他のフライホイール蓄電装置が蓄電されるようにする接続切換装置を備えていることを特徴とする請求項6記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記フライホイール蓄電装置は、
前記分電装置又は前記一のフライホイール蓄電装置からの給電により回転するモータと、
前記モータにより回転するフライホイールと、
前記フライホイールの回転により発電する発電機と、
前記モータの回転を前記フライホイールに伝達し遮断する第1クラッチと、
前記フライホイールの回転を前記発電機に伝達し遮断する第2クラッチと、
前記フライホイール蓄電装置の動作を制御する蓄電制御手段と
を備え、
前記蓄電制御手段は、前記フライホールが設定された蓄電回転数に到達するまで前記モータが回転するように制御することを特徴とする請求項7記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記配電継続制御装置は、放電可能な多数の前記フライホイール蓄電装置の1部を放電させ、該放電した電気を使用して、前記フライホイールの回転数が減少した前記フライホイール蓄電装置に給電し、前記フライホイールの回転数を蓄電回転数まで回復させて前記フライホイール蓄電装置の蓄電量を回復させるように制御する蓄電継続部を備えたことを特徴とする請求項8記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光や風力等を利用した電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源となっており、再生可能エネルギーを利用した電力供給が推し進められている。
この再生可能エネルギーの中でも太陽光を利用した太陽光発電は、設置する地域に制限がないこと等から送電設備のない遠隔地などの電源としても利用され、風力を利用した風力発電は、大容量の電力が得られることから風の強い地域の電源として利用されている。
太陽光発電を主電源として電力供給する場合、発電するのは主に太陽光が得られる昼間だけであることから、昼間発電した電力を蓄電して、蓄電した電力を夜間に供給する必要がある。
また、風力発電を主電源として電力供給する場合、発電するのは風が吹いている時間帯だけであることから、風が吹いている時間帯に発電した電力を蓄電して、蓄電した電力を風が吹いていない時間帯に供給する必要がある。
この場合、太陽光発電の電力を蓄電して供給することに関しては、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2019-170059号公報)には、充放電装置10の充放電制御部12は、夜間の所定の第1時刻(0時)から次の夕方の所定の第2時刻(17時)までは、太陽光発電装置2の発電電力から電力負荷部20の負荷電力を減算した残りの電力である余剰電力に相当する電力を充放電装置10で充電する充電モードで動作し、第2時刻から次の第1時刻までは、電力負荷部20の負荷電力から太陽光発電装置2の発電電力を減算した残りの電力である不足電力に相当する電力を充放電装置10から放電する放電モードで動作し、放電モードで動作している場合、現在時刻での充放電部11の残容量を所定の下限容量まで定格放電電力で放電するのに要する放電所要時間が、現在時刻から第1時刻までの残り時間に等しくなると、それ以後は充放電装置10からの放電電力を定格放電電力に調節する太陽光発電システムが提案されている。
この特許文献1の太陽光発電システムでは、既存の電力供給に併せて使用する場合に太陽光発電装置の発電電力を有効に利用するために、第1時刻(0時)と第2時刻(17時)が設定されているが、太陽光発電装置2が発電を開始する時刻を第1時刻(例えば6時)とし、発電を終了する時刻を第2時刻(例えば18時)とすると、太陽光発電だけで電力供給が可能となる。
しかしながら、特許文献1の太陽光発電システムにおいては、充放電装置10の蓄電池としてリチウムイオン電池等の二次電池(化学電池)が使用されており、二次電池の寿命は10年程度であり、10経過すると蓄電池を交換しなければならないという問題がある。
また、二次電池は環境温度の影響を受け、高温下や低温下で使用するとその性能を十分発揮できず、劣化が早まるのみならず、リチウムイオン電池等では、発火するおそれがあり、マイナス20度以下では機能しなくなるという問題がある。
【0004】
この点、特許文献2(特表2021-532710号公報)には、太陽エネルギーで発電した電力を、太陽エネルギーが利用可能な日中に、積み上げられたブロックに位置エネルギーとして蓄え、太陽エネルギーが利用可能でない夜間に、積み上げられたブロックの位置エネルギーを電力に変換し、変換した電力を電力網に供給できるエネルギー貯蔵システムが提案されている。
しかしながら、特許文献2のエネルギー貯蔵システムでは、重量物であるブロックを大量に使用して高く積み上げることから、そのためのクレーン等の大型の設備機器が必要となり、装置が大がかりとなるのみならず、積み上げられたブロックの位置エネルギーから得られる電力はそれほど大きくなく、エネルギー貯蔵システムが電力網に供給できる電力は、毎時1MW~6MWであり、選択的に1日に約1000の家庭に電力を供給できるにすぎず(特許文献2の段落[0084])、一般家庭の他に工場や各種施設があり大量の電力消費を行う地域には適用できない。
【0005】
ところで、二次電池(化学電池)を使用しないで蓄電する方法としてフライホイールを使用した蓄電方法があり、蓄電手段にフライホイールを使用した再生可能エネルギー発電システムの提案もなされている。
例えば、特許文献3(特開平8-107637号公報)には、太陽電池1や風車5の自然エネルギーを利用した発電装置の発電出力回路3(配電線3)に双方向性インバータ12を介してフライホイール14を設けた誘導機13を接続し、自然エネルギー量が所定値以下になると双方向性インバータ12の誘導機13に供給する周波数を基準値よりも低下させることによって発電機として機能させ、自然エネルギー量が所定値以上になると双方向性インバータ12の誘導機13に供給する周波数を基準値に等しくし、または基準値よりも高めることによって電動機として機能させ、さらには、配電線3に原動機駆動の補助発電機20を接続し、自然エネルギー量に変動があっても電力負荷8に対して常に安定した電力が供給できるようにした自然エネルギーを使用した発電装置の安定方法とその装置が開示されている。
しかしながら、特許文献3では、電気エネルギーに変換する自然エネルギーが低下した時は、回転エネルギーを蓄勢したフライホイールが自然エネルギーに代わって不足する電気エネルギーを供給するのであって、自然エネルギーがまったく得られない場合に、フライホイールに蓄電した電力を供給するものではなく、特許文献3の装置は、太陽光発電のみで電力供給する場合には適用できない。
また、フライホイールを利用した蓄電システムでは、フライホイールの回転による損失が生じ、長時間蓄電する場合、二次電池(化学電池)に比べて損失が大きくなり、長時間の蓄電に適さないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-170059号公報
【特許文献2】特表2021-532710号公報
【特許文献3】特開平8-107637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、太陽光発電や風力発電等の発電しない時間帯又は発電量が大幅に低下する時間帯がある発電装置を主電源として電力供給を行う場合において、蓄電手段として二次電池(化学電池)を使用せずに、設備が大がかりとなることなく、大量の電力を消費する地域に昼夜連続して安定的に電力を供給できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、発電しない時間帯又は発電量が大幅に低下する時間帯がある発電装置と、前記発電装置が発電した電力のうち多数の電力負荷が必要とする電力を該多数の電力負荷に供給する第1電力供給網と、供給される電力を運動エネルギーに変換して蓄えるフライホイール蓄電装置が多数集合したフライホイール蓄電装置群と、前記発電装置が発電した電力から前記第1電力供給網に供給する電力を減じた余剰電力を出力する余剰電力出力手段と、前記余剰電力出力手段から出力される電気を分けて前記フライホイール蓄電装置群の中の蓄電していないフライホイール蓄電装置及び/又は蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電する分電装置と、前記フライホイール蓄電装置群のフライホイール蓄電装置が放電する電力を前記多数の電力負荷に供給する第2電力供給網と、前記発電装置が発電しない間又は前記発電装置の発電量が大幅に低下した間、前記フライホイール蓄電装置群のフライホイール蓄電装置が放電し、前記多数の電力負荷が必要とする電力を前記第2電力供給網に供給するように制御する配電制御装置とを備えた電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記フライホイール蓄電装置は、前記分電装置からの給電により回転するモータと、前記モータにより回転するフライホイールと、前記フライホイールの回転により発電する発電機と、前記モータの回転を前記フライホイールに伝達し遮断する第1クラッチと、前記フライホイールの回転を前記発電機に伝達し遮断する第2クラッチと、前記フライホイール蓄電装置の動作を制御する蓄電制御手段とを備え、前記蓄電制御手段は、前記フライホールが設定された蓄電回転数に到達するまで前記モータが回転するように制御する電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記蓄電制御手段は、前記フライホールが設定された放電可能回転数に低下するまで前記発電機が発電するように制御する電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記配電制御装置は、前記フライホールが前記蓄電回転数に到達したときからの経過時間が長い順に前記フライホイール蓄電装置を放電させるように制御する電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項5の発明は、前記電力負荷が消費する電力量を一定時間毎に計測して前記配電制御装置に送信する電力量計が前記多数の電力負荷の各々に取り付けられ、前記配電制御装置は、前記電力量計が計測する消費電力量に基づいてフライホイール蓄電装置を放電させるように制御する電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項6の発明は、発電しない時間帯又は発電量が大幅に低下する時間帯がある発電装置と、前記発電装置が発電した電力のうち多数の電力負荷が必要とする電力を該多数の電力負荷に供給する第1電力供給網と、
供給される電力を運動エネルギーに変換して蓄えるフライホイール蓄電装置が多数集合したフライホイール蓄電装置群と、前記発電装置が発電した電力から前記第1電力供給網に供給する電力を減じた余剰電力を出力する余剰電力出力手段と、前記余剰電力出力手段から出力される電気を分けて前記フライホイール蓄電装置群の中の蓄電していないフライホイール蓄電装置及び/又は蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電する分電装置と、前記フライホイール蓄電装置群のフライホイール蓄電装置が放電する電力を前記多数の電力負荷に供給する第2電力供給網と、前記発電装置が発電しない間又は前記発電装置の発電量が大幅に低下した間、放電可能なフライホイール蓄電装置の一部を放電させて前記第2電力供給網へ電力供給すると共に、前記第2電力供給網へ電力供給するために放電しない放電可能なフライホイール蓄電装置の一部を放電させて得られた電力を蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電して該蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置の蓄電量を回復させ、前記フライホイール蓄電装置群が蓄積する総電力量を前記多数の電力負荷が必要とする電力量以上に維持して前記第2電力供給網に必要な電力を継続して供給するように制御する配電継続制御装置とを備えた電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【0014】
請求項7の発明は、前記フライホイール蓄電装置群は、一のフライホイール蓄電装置が放電した電気が、他のフライホイール蓄電装置に送られて該他のフライホイール蓄電装置が蓄電されるようにする接続切換装置を備えている電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【0015】
請求項8の発明は、前記フライホイール蓄電装置は、前記分電装置又は前記一のフライホイール蓄電装置からの給電により回転するモータと、前記モータにより回転するフライホイールと、前記フライホイールの回転により発電する発電機と、前記モータの回転を前記フライホイールに伝達し遮断する第1クラッチと、前記フライホイールの回転を前記発電機に伝達し遮断する第2クラッチと、前記フライホイール蓄電装置の動作を制御する蓄電制御手段とを備え、前記蓄電制御手段は、前記フライホールが設定された蓄電回転数に到達するまで前記モータが回転するように制御する電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【0016】
請求項9の発明は、前記配電継続制御装置は、放電可能な多数の前記フライホイール蓄電装置の1部を放電させ、該放電した電気を使用して、前記フライホイールの回転数が減少した前記フライホイール蓄電装置に給電し、前記フライホイールの回転数を蓄電回転数まで回復させて前記フライホイール蓄電装置の蓄電量を回復させるように制御する蓄電継続部を備えた電力供給システムを提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明の電力供給システムにおいては、発電装置が発電している時間帯では、発電装置が発電した電力のうち多数の電力負荷が必要としている電力が第1電力供給網に供給されると共に、余剰電力が分電装置によりフライホイール蓄電装置群の中から蓄電していないフライホイール蓄電装置及び/又は蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電されることから、フライホイール蓄電装置群が効率よく蓄電され、また、発電装置が発電していない間又は記発電装置の発電量が大幅に低下した間は、フライホイール蓄電装置群9において、配電制御装置の制御によりフライホイール蓄電装置群が蓄電する電気が効率よく放電されて多数の電力負荷に必要な電力が無駄なく供給にされることから、蓄電手段として二次電池(化学電池)を使用せずに、設備が大がかりとなることなく、大量の電力を消費する地域に昼夜連続して安定的に電力を供給できるという効果を奏する。
【0018】
請求項2に記載の発明の電力供給システムにおいては、さらに、フライホールが設定された蓄電回転数に到達するまでモータが回転することから、フライホイール蓄電装置の蓄電を効率よく行うことができるという効果を奏する。
【0019】
請求項3に記載の発明の電力供給システムにおいては、さらに、フライホールが設定された放電可能回転数に低下するまで発電機が発電することから、フライホイール蓄電装置の放電を効率よく行うことができるという効果を奏する。
【0020】
請求項4に記載の発明の電力供給システムにおいては、さらに、フライホールが蓄電回転数に到達したときからの経過時間が長い順にフライホイール蓄電装置群の中のフライホイール蓄電装置が放電することから、前記フライホイール蓄電装置群におけるフライホイールのフリーラン時間を短くしてフリーランによるエネルギー損失を低減するという効果を奏する。
【0021】
請求項5に記載の発明の電力供給システムにおいては、さらに、多数の電力負荷の各々に取り付けられた電力量計が一定時間毎に計測する消費電力量に基づいて、前記フライホイール蓄電装置群の中から電力を蓄えているフライホイール蓄電装置を放電させることから、前記多数の電力負荷が必要とする電力がより的確に供給されるという効果を奏する。
【0022】
請求項6に記載の発明の電力供給システムにおいては、発電装置が発電している時間帯では、発電装置で発電された電力により、多数の電力負荷に必要な電力が供給されると共に、余剰電力によりフライホイール蓄電装置群のフライホイール蓄電装置が効率よく蓄電され、また、発電装置が発電していない間又は発電装置の発電量が大幅に低下した間は、フライホイール蓄電装置群から、多数の電力負荷に必要な電力が供給されると共に、フライホイール蓄電装置群において、放電可能な多数のフライホイール蓄電装置の1部が放電され、放電された電気を使用して、蓄電量が低下したフライホイール蓄電装置に給電されて蓄電量が回復され、フライホイール蓄電装置の蓄電量が、長時間多数の電力負荷が必要とする電力量以上に維持されることから、蓄電手段として二次電池(化学電池)を使用せずに、設備が大がかりとなることなく、大量の電力を消費する地域に昼夜連続して安定的に電力を供給できるという効果を奏する。
【0023】
請求項7に記載の発明の電力供給システムにおいては、さらに、接続切換装置により一のフライホイール蓄電装置が放電した電気が、他のフライホイール蓄電装置に送られて該他のフライホイール蓄電装置が蓄電されることから、給電しないと一定時間で消失するフライホイール蓄電装置の蓄電量を長時間維持できるという効果を奏する。
【0024】
請求項8に記載の発明の電力供給システムにおいては、さらに、フライホールが設定された蓄電回転数に到達するまでモータが回転することから、フライホイール蓄電装置の蓄電を効率よく行うことができるという効果を奏する。
【0025】
請求項9に記載の発明の電力供給システムにおいては、さらに、蓄電継続部により、放電可能な多数のフライホイール蓄電装置の1部が放電され、放電した電気を使用して、フライホイールの回転数が減少したフライホイール蓄電装置に給電され、フライホイールの回転数が蓄電回転数まで回復されて蓄電量が回復されることから、これを繰り返すことにより、給電しないと一定時間で消失するフライホイール蓄電装置の蓄電量を、長時間多数の電力負荷が必要とする電力量以上に維持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1発明となる電力供給システムの構成を表した構成図である。
【
図2】フライホイール蓄電装置の構成を表わした構成図であって、フライホイール蓄電装置の概略正面図に制御部分のブロック図を組み合わせた図である。
【
図3】
図1に示す配電制御装置に係る制御部分のブロック図である。
【
図4】分電装置6が送電線PL1により送られた電気を分けてフライホイール蓄電装置群9に給電し、フライホイール蓄電装置f1、f2~fmが蓄電する動作を示したフローチャートである。
【
図5】蓄電されたフライホイール蓄電装置が放電する動作を示したフローチャートである。
【
図6】本発明の第2発明となる電力供給システムの構成を表した構成図である。
【
図7】フライホイール蓄電装置群31の構成を示した構成である。
【
図8】
図6に示す配電継続制御装置に係る制御部分のブロック図である。
【
図9】電力供給システム30において、フライホイール蓄電装置群31の蓄積する総エネルギー(蓄電量)を電力負荷群12が必要とする電力量以上に維持する動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1発明の電力供給システムの構成]
図1は、本発明の第1発明となる電力供給システムの構成を表した構成図である。
図中、1は電力供給システム、2は太陽光発電装置2はソーラーパネル群、4は集電部、5は第1インバータ、6は第2インバータ、7は変圧器、8は分電装置、8aは分電部、8bは制御部、9はフライホイール蓄電装置群、10は配電制御装置、11は変圧器群、12は電力負荷群、f1、f2、fmはフライホイール蓄電装置(フライホイールバッテリー:FWB)、t1、t2、tnは変圧器(トランス)、e1、e2、enは電力負荷、spはソーラーパネル、PL1、PL2は送電線、PL3は配電線であり、
図1において、送電線・配電線を太線で表し、制御線を一点鎖線で表す。
図1に示すように、電力供給システム1は、太陽光発電装置2、変圧器7、分電装置8、フライホイール蓄電装置群9、配電制御装置10、変圧器群11、電力負荷群12、送電線PL1、PL2、配電線PL3等を備え、フライホイール蓄電装置群9は、多数のフライホイール蓄電装置f1、f2~fmからなり、変圧器群11は、多数の変圧器t1、t2~tnからなり、電力負荷群12は、多数の電力負荷e1、e2~enからなる。
【0028】
[太陽光発電装置、送電線、分電装置]
太陽光発電装置2は、発電しない時間帯がある発電装置であり、ソーラーパネル群3、集電部4、第1インバータ5及び第2インバータ6を備えて、電力供給システム1の主電源となる。
ソーラーパネル群3は、ソーラーパネルspが多数集合して形成され、大規模太陽光発電を行うものであり、1MW(メガワット)~500GW(ギガワット)の発電容量を持つ。
集電部4は、集電箱とも呼ばれ、各ソーラーパネルspで発生して接続箱(図示せず)から送られてくる電気(直流)をまとめる装置であり、まとめた電気のうち電力負荷群12が必要とする電気(電力)を第1インバータ5に送り、残りの電気(余剰電力)を第2インバータ6に送る。
この場合、集電部4は、各電力量計EM1、EM2~EMnから一定時間おきに送られてくる各電力負荷e1、e2~enの電力消費量に基づいて、ソーラーパネル群3からの電力のうち電力負荷群12が必要とする電力(大容量の電力)を第1インバータ5に送る。
この集電部4には電力量計(図示せず)が設置されており、集電部4がまとめた電力量、すなわちソーラーパネル群3が発電した総発電量、第1インバータ5に送った電力量、第2インバータ6に送った電力量(余剰電力量)が計測され、計測された電力量のうち余剰電力量は分電装置8の制御部8aに送られる。
第1インバータ5と第2インバータ6は、共に集電部4から送られてくる直流の電気を交流の電気に変換する装置であり、第1インバータ5は交流に変換した電気(電力)を送電線PL1に出力し、第2インバータ6は交流に変換した電気(電力)を送電線PL2に出力する。
この場合、集電部4から第1インバータ5に送られる電力量の方が、集電部4から第2インバータ6に送られる電力量の方が大きく、第1インバータ5からは高電圧(例えば、22000V)の電気が出力され、第2インバータ6からは低電圧(例えば、6600V)の電気が出力される。
そして、集電部4は、ソーラーパネル群3の発電容量に応じた数の装置からなり、第1インバータ5と第2インバータ6は集電部4から送られてくる電力量に応じた数の装置からなる。
なお、発明の発電しない時間帯又は発電量が大幅に低下する時間帯がある発電装置は、太陽光発電装置に限定されず、風が吹いていない時間帯は発電せず、風が弱まった時間帯は発電量が大幅に低下する風力発電装置であってもよい。
【0029】
送電線PL1は、高電圧用の送電線であり、第1インバータ5から出力される高電圧の電気を配電用変電所(図示せず)の変圧器7に送る。
送電線PL1の本数は、第1インバータ5から出力される電力量に応じて設定される。
変圧器7は、送電線PL1で送電された高電圧の電気を低電圧(例えば、6600V)に下げる機器であり、降圧した低電圧の電気を配電線PL3に送る。
送電線PL2は、低電圧用の送電線であり、第2インバータ6から出力される低電圧の電気を分電装置8に送る。
分電装置8は、分電部8aと制御部8bを備えた装置であり、制御部8bの制御下で送電線PL2で送られてきた電気を分電部8aで分けてフライホイール蓄電装置群9の各フライホイール蓄電装置f1、f2~fmに給電する。
具体的には、制御部8bが多数のフライホイール蓄電装置f1、f2~fmのうち、蓄電していない(フライホイールが回転していない)フライホイール蓄電装置あるいは蓄電量(フライホイールの回転数)が低下した(例えば、設定された蓄電回転数の70%以下となった)フライホイール蓄電装置を選択し、分電部8aが制御部8bで選択されたフライホイール蓄電装置に送電線PL2からの電気を分けて給電する。
この場合、分電部8aは、送電線PL2で送られてきた電力量に応じた数の装置からなる。
【0030】
[フライホイール蓄電装置]
図2は、フライホイール蓄電装置の構成を表わした構成図であって、フライホイール蓄電装置の概略正面図に制御部分のブロック図を組み合わせた図であり、図中、20はフライホイール、20aはフライホイール回転軸、21はモータ、21aはモータ回転軸、22は第1クラッチ、23は第2クラッチ、24は発電機、24aは発電機回転軸、25は蓄電制御装置、25aはモータ制御部、25bはクラッチ制御部、25cは発電機制御部、25dはフライホイール回転数検出部である。
フライホイール蓄電装置群9を構成する多数のフライホイール蓄電装置f1~fmは、同一構造の装置であり、それぞれ
図2に示すようにフライホイール20、モータ21、第1クラッチ22、第2クラッチ23、発電機24、蓄電制御装置25を備えている。
フライホイール20は、直径500~1000mm、厚さ50~500mmの円板であり、鉄等の金属からなり、1000~30000rpmで出力10~1000kwの能力を有する。
このフライホイール20は、
図2に示すように回転軸20aが水平となるように配置された横型であり、回転軸20aが装置フレームにラジアルベアリング(いずれも図示せず)を介して回転自在に保持される。
このような横型のフライホイールは、フライホイールの自重がスラスト荷重となる縦型(フライホイールの回転軸が鉛直となるもの)に比べて、スラスト荷重による軸受けの摩耗が低減でき、軸受けの寿命を長くすることができる。
モータ21は、出力が100~1000kwの大型三相誘導モータであり、モータ回転軸21aが回転してフライホイール20を回転させる。
発電機24は、出力が100~1000kVAの大型三相交流発電機であり、フライホイール20の回転によって発電機回転軸24aが回転し発電する。
クラッチ22は、本発明の第1クラッチとなるもので摩擦クラッチ、電磁クラッチ等からなり、フライホイール20の回転軸20aとモータ21の回転軸21aの連結・切断を行う。
クラッチ23は、本発明の第2クラッチとなるもので摩擦クラッチ、電磁クラッチ等からなり、フライホイール20の回転軸20aと発電機23の回転軸23aの連結・切断を行う。
なお、本発明のフライホイール蓄発電装置のフライホイールは、横型に限定されず縦型であってもよい。
【0031】
蓄電制御装置25は、モータ制御部25a、クラッチ制御部25b、フライホイール回転数取得部25c、統括制御部等(図示せず)を備えている。
モータ制御部25aは、モータ21の回転、停止等の動作を制御し、クラッチ制御部25bは、クラッチ22、23の連結・切断の動作を制御する。
フライホイール回転数取得部25cは、回転軸20aに取り付けられた回転センサ(ロータリーエンコーダ等)が計測するフライホイール20の回転数を取得する。
統括制御部は、フライホイール回転数取得部25cが取得するフライホイール20の回転数を分電装置6の制御部7と配電制御装置10に送る指令等を行うと共に蓄電制御装置25を統括的に制御する。
その他蓄電制御装置25は、発電機23の出力電圧等を制御する発電機制御部(図示せず)を備えている。
そして、蓄電制御装置25は、フライホイール20が設定された蓄電回転数(例えば、2000rpm)に到達するまで、分電部8から給電が継続してモータ21の回転が継続するように制御する。
【0032】
[配電制御装置]
図3は、
図1に示す配電制御装置に係る制御部分のブロック図であり、図中、10aはフライホイール回転数取得管理部、10bはフライホイール放電順序決定部、10cは電力消費量取得部、10dは配電電力調整部、25f1、25f2、25fmは蓄電制御装置、EM1、EM2、EMnは電力量計である。
図3に示すようにフライホイール蓄電装置群9の各フライホイール蓄電装置f1、f2~fmは、蓄電制御装置25として蓄電制御装置25f1、25f2~25fmを備え、電力負荷群12の各電力負荷e1、e2~enは、電力量計EM1、EM2~EMnを備えている。
配電制御装置10は、フライホイール回転数取得管理部10a、フライホイール放電順序決定部10b、電力消費量取得管理部10c、配電電力調整部10d、統括制御部等(図示せず)を備えている。
フライホイール回転数取得管理部10aは、各蓄電制御装置20f1、20f2~20fmから送られてくる各フライホイール蓄電装置f1、f2~fmのフライホイール20の回転数を取得し、その回転数と設定された蓄電回転数に到達したときからの経過時間(以下「蓄電時間」という)を管理する。
フライホイール放電順序決定部10bは、フライホイール回転数取得管理部10aが管理する各フライホイール蓄電装置f1、f2~fmのフライホイール20の回転数と蓄電時間に基づいて、フライホイール蓄電装置の放電順序を決定する。
具体的には、蓄電してから未だ放電していないフライホイール20であって蓄電時間が長いものから放電するようにする放電順序を決定する。
電力消費量取得管理部10cは、各電力量計EM1、EM2~EMnから一定時間おきに送られてくる各電力負荷e1、e2~enの電力消費量を取得し、各電力負荷e1、e2~enの電力消費量を管理する。
配電電力調整部10dは、フライホイール放電順序決定部10bが決定する放電するフライホイール蓄電装置の順序と、電力消費量取得管理部10cが管理する各電力負荷e1、e2~enの電力消費量に基づいて、各フライホイール蓄電装置f1、f2~fmから蓄電した電気を放電し、電力負荷e1、e2~enが必要とする電力を配電線PL3に供給ように制御する。
【0033】
[配電線、変圧器、電力負荷]
配電線PL3は、低電圧用(例えば、6600V)の配電線であり、太陽光発電装置2(ソーラーパネル群3)が発電している時間帯(昼間)は、配電変電所(変圧器7)から送られてくる低電圧の電気(を変圧器群11の各変圧器t1、t2~tnに送る。
また、配電線PL3は、太陽光発電装置2(ソーラーパネル群3)が発電を停止している時間帯(夜間)は、フライホイール蓄電装置群9が送電線を介して供給する低電圧の電気(フライホイール蓄電装置f1、f2~fmが放電する電気)を変圧器群11の各変圧器t1、t2~tnに送る。
配電線PL3の本数は、配電変電所(変圧器7)から送られてくる電力量と電力負荷e1、e2~enの電力消費量等に応じて設定される。
変圧器t1、t2~tnは、配電線PL3から送られてくる低電圧(例えば、6600V)の電気を、各電力負荷e1、e2~enが使用する電圧(例えば、100Vまたは200V)に引き下げる装置である。
電力負荷e1、e2~enは、一般住宅、工場、商業施設、公共施設等の電力消費体であり、各電力負荷e1、e2~enには、
図3に示すように電力量計EM1、EM2~EMnが設置されている。
電力量計EM1、EM2~EMnは、一定時間(例えば、30分)おきに各電力負荷e1、e2~enの電力消費量を計測し、通信回線等を介して、昼間は計測した電力消費量を集電部4に送り、夜間は計測した電力消費量を配電制御装置10に送る。
そして、送電線PL1、配電変電所(変圧器7)、配電線PL3により本発明の第1電力供給網が形成され、フライホイール蓄電装置群9から送電線、配電線PL3により本発明の第2電力供給網が形成される。
【0034】
[第1発明の電力供給システムの動作]
次に、電力供給システム1において、電力を多数の電力負荷e1、e2~enに供給する動作を、太陽光発電装置2(ソーラーパネル群3)が発電している時間帯(昼間)と発電していない時間帯(夜間)に分けて説明する。
太陽光発電装置2が発電している時間帯(昼間)では、集電部4が各ソーラーパネルspで発生して接続箱(図示せず)から送られてくる電気(直流)をまとめ、まとめた電気のうち電力負荷群12が必要とする電気(電力)を第1インバータ5に送り、残りの電気(余剰電力)を第2インバータ6に送る。
具体的には、集電部4において、各電力量計EM1、EM2~EMnから一定時間おきに送られてくる各電力負荷e1、e2~enの電力消費量の情報を取得し、この情報に基づいて各電力負荷e1、e2~enが消費する電力を予測し、ソーラーパネル群3からの電力のうち予測した電力量(例えば直近の電力消費量)の電気を第1インバータ5に送り、残りの電気を余剰電力として第2インバータ6に送る。
そして、第1インバータ5では、集電部4から送られてくる直流の電気が交流の電気に変換され、高電圧の交流の電気が出力され、出力された高電圧の電気は送電線PL1により配電用変電所(変圧器7)に送られて降圧され、配電用変電所(変圧器7)から低電圧の電気が配電線PL3に送られ、変圧器群11を介して、各電力負荷e1、e2~enに必要な電力が供給にされる。
【0035】
一方、第2インバータ6では、余剰電力として集電部4から送られてくる直流の電気が交流の電気に変換され、変換された交流の電気が送電線PL2により分電装置8に送られる。
この場合、太陽光発電装置2(ソーラーパネル群3)の設置場所から距離のない場所に分電装置8とフライホイール蓄電装置群9を設置して、送電線PL2の長さを短くすれば、第2インバータ6からの余剰電力が大容量であっても、送電損失を最小限にして低電圧用の送電線で送電することができる。
図4は、分電装置8が送電線PL2により送られた電気を分けてフライホイール蓄電装置群9に給電し、フライホイール蓄電装置f1、f2~fmが蓄電する動作を示したフローチャートであり、以下、送電線PL2で送られる電気でフライホイール蓄電装置f1、f2~fmが蓄電する動作を説明する。
まず、分電装置8の制御部8bが、集電部4の電力量計から送られてくる余剰電力量と、蓄電制御装置25から送られてくるフライホイール蓄電装置f1、f2~fmのフライホイール20の回転数を取得する(S1)。
次いで、制御部8bが、フライホイール蓄電装置群9の中から、フライホイールが回転していないフライホイール蓄電装置、あるいは、フライホイールの回転数が低下した(例えば、設定された蓄電回転数の70%以下となった)フライホイール蓄電装置を選択し、選択したフライホイール蓄電装置に給電するように分電部8aに給電指令を出す(S2)。
この場合、制御部8bは、フライホイール蓄電装置に給電する電力の総合計が、余剰電力量を超えない範囲で給電指令を出す。
次いで、分電部8aが、送電線PL2で送電された電気を分けて、制御部8bが給電指令を出したフライホイール蓄電装置に給電する(S3)。
【0036】
分電部8aから給電を受けたフライホイール蓄電装置では、蓄電制御装置25のモータ制御部25aが給電によりモータ21が回転するようし、クラッチ制御部25bが、フライホイール20の回転軸20aとモータ21の回転軸21aが連結するようにクラッチ22を動作させ、これによりフライホイール20が回転する(S4)。
蓄電制御装置25では、統括制御部等が、フライホイール20の回転数が設定された蓄電回転数(例えば、2000rpm)に到達したか否を判断する(S5)。
そして、蓄電回転数に到達していないと判断した場合は、分電部8aからの給電が継続してモータ21の回転が継続し、フライホイール20の回転数が増加する(S6)。
また、蓄電回転数に到達したと判断した場合は、クラッチ制御部25bが、フライホイール20の回転軸20aとモータ21の回転軸21aを遮断するようにクラッチ22を動作させ、統括制御部等が、制御部8bに給電停止信号を送り、これにより制御部8bが給電停止指令を分電部8aに送って分電部8aからの給電が停止し、モータ21の回転が停止する(S7)。
これにより、フライホイール蓄電装置での蓄電処理が終了し、フライホイール20が蓄電回転数で無負荷回転(フリーラン)するようになる。
このようにして、分電部8aから給電される電気により、フライホイール蓄電装置群9のフライホイール蓄電装置f1、f2~fmの各フライホイール20が蓄電回転数で回転し、フライホイール蓄電装置f1、f2~fmに運動エネルギーが蓄積され、所定の電力が蓄電(充電)される。
【0037】
次に、太陽光発電装置2が発電を停止している時間帯(夜間)では、フライホイール蓄電装置群9のフライホイール蓄電装置f1、f2~fmが順次放電し、放電した電力が配電線PL3に送られ、変圧器群11を介して、各電力負荷e1、e2~enに必要な電力が供給にされる。
図5は、蓄電されたフライホイール蓄電装置が放電する動作を示したフローチャートであり、以下、フライホイール蓄電装置が発電して放電する動作を説明する。
まず、配電制御装置10において、フライホイール放電順序決定部10bが、フライホイール回転数取得管理部10aが管理する各フライホイール蓄電装置f1、f2~fmのフライホイール20の回転数と蓄電時間をみて、未放電(回転数が蓄電回転数に近いもの)であって蓄電時間の長いものから放電(発電)するように、フライホイール蓄電装置の放電順序を決定する(S11)。
次いで、配電電力調整部10dが、電力消費量取得管理部10cが管理する各電力負荷e1、e2~enの電力消費量に基づいて、各電力負荷e1、e2~enが消費すると予測される電力量(例えば直近の電力消費量)を満たすように、フライホイール放電順序決定部10bが決定した放電順序にしたがって、フライホイール蓄電装置に放電指令を出す(S12)。
具体的には、各電力負荷e1、e2~enが消費すると予測される電力量が1GWであり、1台のフライホイール蓄電装置が放電する電力が500kwであるとすると、配電電力調整部10dが、フライホイール放電順序決定部10bが決定した放電順序にしたがって、2千台のフライホイール蓄電装置に放電指令を出す。
【0038】
配電電力調整部10dから放電指令を受けたフライホイール蓄電装置では、クラッチ制御部25bが、フライホイール20の回転軸20aと発電機24の回転軸24aが連結するようにクラッチ23を動作させ、フライホイール20の回転が回転軸24aに伝達し発電機24が発電してフライホイール蓄電装置が放電する(S13)。
蓄電制御装置25では、統括制御部等が、フライホイール20の回転数が設定された放電可能回転数(例えば、蓄電回転数の30%)まで低下したか否を判断する(S14)。
そして、設定された放電可能回転数まで低下していないと判断した場合は、回転軸24aの回転が継続して発電機24が発電してフライホイール蓄電装置が放電を継続する(S15)。
また、設定された放電可回転数まで低下していないと判断した場合は、クラッチ制御部25bが、フライホイール20の回転軸20aと発電機24の回転軸24aを遮断するようにクラッチ23を動作させ、回転軸24aの回転が停止し発電機24の発電が停止してフライホイール蓄電装置が放電を停止する(S16)。
これにより、フライホイール蓄電装置での発電による放電処理が終了し、フライホイール20は、が放電可回転数以下の回転数で無負荷回転(フリーラン)する。
このようにして、配電制御装置10の制御の下に、フライホイール蓄電装置群9のフライホイール蓄電装置f1、f2~fmの各フライホイール20により発電機24が発電し、フライホイール蓄電装置f1、f2~fmが放電して、配電線PL2と変圧器群11を介して、各電力負荷e1、e2~enに必要な電力が供給にされる。
【0039】
以上のように、電力供給システム1は、太陽光発電装置2、高電圧用の送電線PL1、配電用変電所(変圧器7)、低電圧用の送電線PL2、分電装置8、多数のフライホイール蓄電装置f1、f2~fmからなるフライホイール蓄電装置群9、配電制御装置10、低電圧用の配電線PL3、多数の変圧器t1、t2~tnからなる変圧器群11、多数の電力負荷e1、e2~enからなる電力負荷群12等から構成され、分電装置8は、分電部8aと制御部8bを備え、フライホイール蓄電装置は、フライホイール20、モータ21、第1クラッチ22、第2クラッチ23、発電機24及び蓄電制御装置25を備え、配電制御装置10は、フライホイール回転数取得管理部10a、フライホイール放電順序決定部10b、電力消費量取得管理部10c及び配電電力調整部10dを備えている。
この電力供給システム1においては、太陽光発電装置2が発電している時間帯(昼間)では、太陽光発電装置2が発電した電力のうち電力負荷群12が必要としている電力が第1電力供給網(送電線PL1、配電変電所(変圧器7)、配電線PL3)に供給され、余剰電力が送電線PL2により分電装置8に送られ、分電装置8の制御部8bが、フライホイール蓄電装置群9の中から、フライホイールが回転していない(蓄電していない)フライホイール蓄電装置、あるいは、フライホイールの回転数が一定以下の(蓄電量が低下した)フライホイール蓄電装置を選択し、分電部8aが、送電線PL2で送電された電気を分けて、制御部7が選択したフライホイール蓄電装置に給電し、これによりフライホイール蓄電装置f1、f2~fmの各フライホイール20が蓄電回転数で回転し、フライホイール蓄電装置f1、f2~fmに運動エネルギーが蓄積され、所定の電力が蓄電(充電)されることから、太陽光発電装置2で発電された電力により、電力負荷群12に必要な電力が供給されると共に、余剰電力が低電圧用の送電線PL2を使用して送電されてフライホイール蓄電装置群9に効率よく蓄電される。
また、太陽陽光発電装置3(ソーラーパネル群3)が発電していない時間帯(夜間)では、フライホイール蓄電装置群9において、配電制御装置10のフライホイール放電順序決定部10bが、各フライホイール蓄電装置のフライホイール20の回転数と蓄電時間からフライホイール蓄電装置の放電順序を決定し、配電電力調整部10dが、計測された各電力負荷e1、e2~enの電力消費量に基づいて、フライホイール放電順序決定部10bが決定した放電順序にしたがって、フライホイール蓄電装置が放電するように制御することから、フライホイール蓄電装置群9が蓄電する電気が効率よく放電されて、低電圧用の配電線PL3と変圧器群11を介して、各電力負荷e1、e2~enに必要な電力が無駄なく供給にされる。
【0040】
[第2発明の電力供給システムの構成]
図6は、本発明の第2発明となる電力供給システムの構成を表した構成図であり、図中、30は電力供給システム、31はフライホイール蓄電装置群、32は接続切換装置、40は配電継続制御装置であり、
図1に示す電力供給システム1と同一のものには、同一の符号を付す。
図6に示すように、電力供給システム30は、太陽光発電装置2、変圧器7、分電装置8、フライホイール蓄電装置群31、配電継続制御装置40、変圧器群11、電力負荷群12、送電線PL1、PL2、配電線PL3等を備えている。
すなわち、電力供給システム30は、電力供給システム1において、フライホイール蓄電装置群9がフライホイール蓄電装置群31に置き換わり、配電制御装置10が配電継続制御装置40に置き換わった構成となっている。
【0041】
[フライホイール蓄電装置群31]
図7は、フライホイール蓄電装置群31の構成を示した構成図であり、図中、20f1、20f2、20fmはフライホイール、21f1、21f2、21fmはモータ、24f1、24f2、24fmは発電機、32aは入力端子部、32bは出力端子部、32cは接続部、32dは制御部である。
フライホイール蓄電装置群31は、多数のフライホイール蓄電装置f1、f2~fmと接続切換装置32を備えている。
接続切換装置32は、入力端子部32a、出力端子部32b、接続部32c及び制御部32dを備えている。
接続切換装置32においては、入力端子部32aがフライホイール蓄電装置f1、f2~fmの発電機24f1、24f2~24fmに接続され、出力端子部31bがフライホイール蓄電装置f1、f2~fmのモータ21f1、21f2~21fmに接続され、入力端子部32aと出力端子部32bが接続部32cに接続されている。
そして、配電継続制御装置40により放電するフライホイール蓄電装置と給電するフライホイール蓄電装置との組み合わせが選定され、接続切換装置32において、制御部32dが放電するフライホイール蓄電装置からの電気が給電するフライホイール蓄電装置に送られるように接続部32cで入力端子部32aと出力端子部32bの接続を行う。
これにより、あるフライホイール蓄電装置が放電(発電機24が発電)した電気が、入力端子部32aに送られて接続部32cで接続された出力端子部32bから出力され、給電する他フライホイール蓄電装置に送られ、モータ21が回転してフライホイール20が蓄電回転数まで回転し、蓄電される。
【0042】
[配電継続制御装置]
図8は、
図6に示す配電継続制御装置に係る制御部分のブロック図であり、図中、40aはフライホイール回転数取得管理部、40bはフライホイール放電順序決定部、40cは電力消費量取得部、40dは配電電力調整部、40eは蓄電継続部であり、
図3に示すフライホイール蓄電装置群9、電力負荷群12と同一のものには同一の符号を付す。
配電継続制御装置40は、フライホイール回転数取得管理部40a、フライホイール放電順序決定部40b、電力消費量取得管理部40c、配電電力調整部40d、蓄電継続部40e、統括制御部等(図示せず)を備えているが、フライホイール回転数取得管理部40a、フライホイール放電順序決定部40b、電力消費量取得管理部40c、配電電力調整部40dは、それぞれ
図3に示すフライホイール回転数取得管理部10a、フライホイール放電順序決定部10b、電力消費量取得管理部10c、配電電力調整部10dと同一のものである。
すなわち、配電継続制御装置40は、
図3に示す配電制御装置10に蓄電継続部40eを追加した構成となっている。
蓄電継続部40eは、放電可能な多数のフライホイール蓄電装置の1部を放電させ、放電した電気を使用して、フライホイールの回転数が減少した(例えば、蓄電回転数の70%以下となった)フライホイール蓄電装置に給電し、フライホイールの回転数を蓄電回転数まで回復させて蓄電量を回復させ、これを繰り返すことにより、給電しないと一定時間(例えば、6時間)で消失するフライホイール蓄電装置のエネルギー(蓄電量)を長時間(例えば、夜間の12時間)、電力負荷群12が必要とする電力量以上に維持するように制御する。
【0043】
具体的には、例えば、フライホイールの回転数が蓄電回転数の70%に減少しエネルギーが50%減少したフライホイール蓄電装置2台のうちの一方を放電させ、放電させた電気を他方のフライホイール蓄電装置に給電すると、他方のフライホイール蓄電装置において、フライホイールの回転数が蓄電回転数まで回復し、エネルギーが100%に回復する。
次に、エネルギーが100%に回復したフライホイール蓄電装置のフライホイールの回転数が蓄電回転数の70%に減少しエネルギーが50%減少すると、エネルギーが50%減少したフライホイール蓄電装置2台のうちの一方を放電させ、放電させた電気を他方のフライホイール蓄電装置に給電すると、他方のフライホイール蓄電装置において、フライホイールの回転数が蓄電回転数まで回復し、エネルギーが100%に回復する。
これを繰り返すことにより、太陽光発電装置2が発電していない夜間において、フライホイールが蓄電回転数で回転して100%のエネギーを蓄えているフライホイール蓄電装置の台数は減少するが、フライホイール蓄電装置群31全体が蓄積するエネルギー(蓄電量)を電力負荷群12が必要とする電力量以上に維持することができる。
また、例えば、フライホイールの回転数が蓄電回転数の70%に減少しエネルギーが50%減少したフライホイール蓄電装置2台を放電させ、放電させた電気をフライホイールの回転が停止したフライホイール蓄電装置に給電すると、フライホイールの回転が停止したフライホイール蓄電装置において、フライホイールの回転数が蓄電回転数まで回復し、エネルギーが100%に回復する。
これを繰り返すことにより、フライホイール蓄電装置群31全体が蓄積するエネルギー(蓄電量)を電力負荷群12が必要とする電力量以上に維持することもできる。
【0044】
[第2発明の電力供給システムの動作]
太陽光発電装置2(ソーラーパネル群3)が発電している時間帯(昼間)では、電力供給システム30は、電力供給システム1と同様の動作で、電力を多数の電力負荷e1、e2~enに供給する。
太陽光発電装置2(ソーラーパネル群3)が発電していない時間帯(夜間)では、電力供給システム30は、電力供給システム1と同様の動作で電力を多数の電力負荷e1、e2~enに供給すると共に、フライホイール蓄電装置群31の蓄積する総エネルギー(蓄電量)が、フライホイールの機械損失により消失しないようにして、電力負荷群12が必要とする電力量以上に維持する。
図9は、電力供給システム30において、フライホイール蓄電装置群31の蓄積する総エネルギー(蓄電量)を電力負荷群12が必要とする電力量以上に維持する動作を示したフローチャートであり、以下、電力供給システム30における総エネルギー(蓄電量)の維持動作を説明する。
【0045】
まず、配電継続制御装置40において、蓄電継続部40eが、フライホイール回転数取得管理部40aから、電力負荷群12に電力供給していないフライホイール蓄電装置のフライホイールの回転数を一定時間毎に(例えば、1分毎に)取得する(S21)。
次いで、蓄電継続部40eが、取得した回転数が設定された回転数(例えば、蓄電回転数の70%)まで低下したかを判断し(S22)、低下してないと判断した場合は、回転数の取得を継続し(S21)、設定された回転数まで低下したと判断すると、電力負荷群12に電力供給していないフライホイール蓄電装置について、放電して他のフライホイール蓄電装置に給電するフライホイール蓄電装置と、給電されるフライホイール蓄電装置に振り分ける(S23)。
次いで、放電する方に振り分けられたフライホイール蓄電装置が放電して、給電される方に振り分けられたフライホイール蓄電装置に給電する(S24)。
蓄電継続部40eは、フライホイール回転数取得管理部40aから、給電されたフライホイール蓄電装置のフライホイール回転数を取得し、取得した回転数が蓄電回転数まで回復したかを判断し(S25)、回復していないと判断した場合は、フライホイール蓄電装置の給電が継続し(S24)、回復したと判断した場合は、給電を停止する(S26)。
次いで、蓄電継続部40eは、太陽光発電装置2から電力負荷群12に電力供給が開始したか否かを判断し(S27)、開始していないと判断した場合は、ステップS21~S26までの処理を行い、開始した場合は処理を終了する。
【0046】
ここで、配電継続制御装置40の制御に下に、フライホイール蓄電装置群31から電力負荷群12に電力供給される動作と、フライホイール蓄電装置群31において蓄積する総エネルギー(蓄電量)を電力負荷群12が必要とする電力量以上に維持する動作との関係について説明する。
今、フライホイール蓄電装置群31において、夜間が開始した時点で、フライホイール(以下「FW」という。)が蓄電回転数で回転している100%蓄電のフライホイール蓄電装置(以下「FWB」という。)の台数をS、100%蓄電のFWBのFWを無負荷で回転して回転数が70%に減少(エネルギーは50%減少)するまでの時間をt、時間tの間に電力負荷群12が必要とする電力量を放電するのに必要なFWBの台数をpとする。
この場合、FWの回転数が70%に減少(エネルギーは50%減少)したFWBを放電して得られる電力を他のFWの回転数が70%に減少したFWBに給電すると、放電と給電でエネルギーの損失がなく、放電したFWBのエネルギーがすべて給電されるFWBに与えられるとして、給電されたFWBでは、FWの回転数は蓄電回転数に回復し100%蓄電の状態となる(放電・給電の時間uは時間tに比べて短い、例えば、時間tの1/5以下とする)。
【0047】
まず、夜間が開始して、最初の時間t(T1)においては、100%蓄電のS台のFWBうちp台のFWBが、
図5に示すフローチャートに従って放電して電力負荷群12に電力供給する。
一方、時間T1で残りの(S-p)台のFWBのFWの回転数は70%に減少するが、時間T1が終了する前の時間uの間に、
図9に示すフローチャートに従って(S-p)台の半数のFWBを放電させ、放電した電力を残り半数のFWBに給電すると、給電された((S-p)/2)台のFWBは100%蓄電の状態となる。
2番目の時間t(T2)においては、100%蓄電の((S-p)/2)台のFWBうちp台のFWBが、
図5に示すフローチャートに従って放電して電力負荷群12に電力供給する。
一方、時間T2で残りの((S-p)/2-p=(S-3p)/2))台のFWBのFWの回転数は70%に減少するが、時間T2が終了する前の時間uの間に、
図9に示すフローチャートに従って((S-3p)/2)台の半数のFWBを放電させ、放電した電力を残り半数のFWBに給電すると、給電された((S-3p)/4)台のFWBは100%蓄電の状態となる。
3番目の時間t(T3)においては、100%蓄電の((S-3p)/4)台のFWBうちp台のFWBが、
図5に示すフローチャートに従って放電して電力負荷群12に電力供給する。
一方、時間T3で残りの((S-3p)/4-p=(S-7p)/4))台のFWBのFWの回転数は70%に減少するが、時間T3が終了する前の時間uの間に、
図9に示すフローチャートに従って((S-7p)/4)台の半数のFWBを放電させ、放電した電力を残り半数のFWBに給電すると、給電された((S-7p)/8)台のFWBは100%蓄電の状態となる。
【0048】
4番目の時間t(T4)においては、100%蓄電の((S-7p)/8)台のFWBうちp台のFWBが、
図5に示すフローチャートに従って放電して電力負荷群12に電力供給する。
一方、時間T4で残りの((S-7p)/8-p=(S-15p)/8))台のFWBのFWの回転数は70%に減少するが、時間T4が終了する前の時間uの間に、
図9に示すフローチャートに従って((S-15p)/8)台の半数のFWBを放電させ、放電した電力を残り半数のFWBに給電すると、給電された((S-15p)/16)台のFWBは100%蓄電の状態となる。
5番目の時間t(T5)においては、100%蓄電の((S-15p)/16)台のFWBうちp台のFWBが、
図5に示すフローチャートに従って放電して電力負荷群12に電力供給する。
一方、時間T4で残りの((S-15p)/16-p=(S-31p)/16))台のFWBのFWの回転数は70%に減少するが、時間T5が終了する前の時間uの間に、
図9に示すフローチャートに従って((S-31p)/16)台の半数のFWBを放電させ、放電した電力を残り半数のFWBに給電すると、給電された((S-31p)/32)台のFWBは100%蓄電の状態となる。
【0049】
このように夜間の開始時に100%蓄電のFWBをS台用意しておき、時間T1~T5(合計5t)の間、電力負荷群12に電力供給しても、100%蓄電のFWBを((S-31p)/32)台残しておくことができる。
例えば、100%蓄電のFWBのFWを無負荷で回転して回転数が70%に減少するまでの時間を2時間(t=2)とし、回転数が30%まで減少し放電(発電)できなくなるまでの時間を4時間とすると、夜間が開始して4時間経過した時点でFWBが放電しなくなるところ、電力供給システム30においては、夜間電力負荷群12に電力供給を継続しつつ、夜間が開始して10時間経過した時点で、100%蓄電のFWBを((S-31p)/32)台残しておくことができ、((S-31p)/32)=p(S=63p)を満たすようにすると、夜間の12時間に、フライホイール蓄電装置群31から電力負荷群12に必要な電力を供給することができる。
これより、電力供給システム30において、夜間の2時間に電力負荷群12が必要とする電力を供給するのに、70%以上蓄電したFWBが1000台必要(p=1000)であるとすると、夜間が開始した時点でフライホイール蓄電装置群31に100%蓄電のFWBが63000台(S=63p=63000)あれば、夜間の12時間にフライホイール蓄電装置群31から電力負荷群12に必要な電力を供給することができる。
【0050】
以上のように、電力供給システム30は、太陽光発電装置2、高電圧用の送電線PL1、配電用変電所(変圧器7)、低電圧用の送電線PL2、分電装置8、多数のフライホイール蓄電装置f1、f2~fmからなるフライホイール蓄電装置群31、配電継続制御装置40、低電圧用の配電線PL3、多数の変圧器t1、t2~tnからなる変圧器群11、多数の電力負荷e1、e2~enからなる電力負荷群12等から構成され、分電装置8は、分電部8aと制御部8bを備え、フライホイール蓄電装置は、フライホイール20、モータ21、第1クラッチ22、第2クラッチ23、発電機24及び蓄電制御装置25を備え、配電継続制御装置40は、フライホイール回転数取得管理部40a、フライホイール放電順序決定部40b、電力消費量取得管理部40c、配電電力調整部40d、蓄電継続部40eを備えている。
この電力供給システム30においては、太陽光発電装置2が発電している時間帯(昼間)では、電力供給システム1と同様にして、太陽光発電装置2で発電された電力により、電力負荷群12に必要な電力が供給されると共に、余剰電力が低電圧用の送電線PL2を使用して送電されてフライホイール蓄電装置群9に効率よく蓄電される。
また、太陽陽光発電装置3(ソーラーパネル群3)が発電していない時間帯(夜間)では、電力供給システム1と同様にしてフライホイール蓄電装置群31から電力負荷群12に必要な電力が供給されると共に、フライホイール蓄電装置群31において、配電継続制御装置40の蓄電継続部40eの制御の下に、放電可能な多数のフライホイール蓄電装置の1部が放電され、放電された電気を使用して、フライホイールの回転数が減少したフライホイール蓄電装置に給電され、フライホイールの回転数が蓄電回転数まで回復されて蓄電量が回復され、これが繰り返されて、フライホイール蓄電装置のエネルギー(蓄電量)を長時間、電力負荷群12が必要とする電力量以上に維持されることから、電力負荷群12への必要な電力の安定的供給が継続して行われる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の電力供給システムは、蓄電手段として二次電池(化学電池)を使用せずに、設備が大がかりとなることなく、大量の電力を消費する地域に昼夜連続して安定的に電力を供給でき、太陽光発電や風力発電等の発電しない時間帯又は発電量が大幅に低下する時間帯がある発電装置による電力供給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 電力供給システム
2 太陽光発電装置
3 ソーラーパネル群
4 集電部
5 第1インバータ
6 第2インバータ
7 変圧器
8 分電装置
8a 分電部
8b 制御部
9 フライホイール蓄電装置群
10 配電制御装置
10a フライホイール回転数取得管理部
10b フライホイール放電順序決定部
10c 電力消費量取得部
10d 配電電力調整部、
11 変圧器群
12 電力負荷群
20、20f1、20f2、20fm フライホイール
20a フライホイール回転軸
21、21f1、21f2、21fm モータ
21a モータ回転軸
22 第1クラッチ
23 第2クラッチ
24、24f1、24f2、24fm 発電機
24a 発電機回転軸
25 蓄電制御装置
25a モータ制御部
25b クラッチ制御部
25c 発電機制御部
25d フライホイール回転数検出部
30 電力供給システム
31 フライホイール蓄電装置群
32 接続切換装置
32a 入力端子部
32b 出力端子部
32c 接続部
32d 制御部
40 配電継続制御装置
40a フライホイール回転数取得管理部
40b フライホイール放電順序決定部
40c 電力消費量取得部
40d 配電電力調整部
40e 蓄電継続部
EM1、EM2、EMn 電力量計
PL1、PL2 送電線
PL3 配電線
f1、f2、fm フライホイール蓄電装置
t1、t2、tn 変圧器
e1、e2、en 電力負荷
sp ソーラーパネル