(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079486
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/00 20200101AFI20240604BHJP
【FI】
H05B47/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192463
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 将之
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA24
3K273RA13
3K273RA16
3K273TA03
3K273TA09
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA34
3K273TA39
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA78
3K273UA17
3K273UA19
3K273UA22
3K273UA27
3K273VA06
(57)【要約】
【課題】第1制御部及び第2制御部の各々の処理負荷を低減すること。
【解決手段】制御システム1は、ロータリーエンコーダ42と、第1制御部40と、第2制御部20と、を備える。ロータリーエンコーダ42は、ユーザによる回転操作が可能な回転操作部の回転角度に応じたパルス信号を出力する。第1制御部40は、ロータリーエンコーダ42のパルス信号に基づいて回転操作部の回転方向、回転速度及び回転量を算出し、回転操作部の回転方向、回転速度及び回転量に基づく出力信号を出力する。第2制御部20は、第1制御部40との間で信号の入出力が可能である。第2制御部20は、第1制御部40からの出力信号に基づいて、負荷7への電力供給量を制御する。第1制御部40が第2制御部20に出力信号を送信する時間間隔に比べて、第1制御部40がロータリーエンコーダ42からパルス信号を取得する時間間隔が短い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる回転操作が可能な回転操作部と、
前記回転操作部の回転角度に応じたパルス信号を出力するロータリーエンコーダと、
前記ロータリーエンコーダの前記パルス信号に基づいて前記回転操作部の回転方向、回転速度及び回転量を算出し、前記回転操作部の回転方向、回転速度及び回転量に基づく出力信号を出力する第1制御部と、
前記第1制御部との間で信号の入出力が可能であり、前記第1制御部からの前記出力信号に基づいて、負荷への電力供給量を制御する第2制御部と、を備え、
前記第1制御部が前記第2制御部に前記出力信号を送信する時間間隔に比べて、前記第1制御部が前記ロータリーエンコーダから前記パルス信号を取得する時間間隔が短い、
制御システム。
【請求項2】
第1部材と、第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記回転操作部と、前記ロータリーエンコーダと、前記第1制御部と、第1コネクタと、を備え、
前記第2部材は、前記第2制御部と、前記第2制御部からの制御信号に応じて前記負荷への電力供給量を調整する電力制御回路と、前記第1コネクタが着脱可能な第2コネクタと、を備え、
前記第1コネクタが前記第2コネクタに接続された状態で、前記第1制御部と前記第2制御部との間で、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタを介して信号の入出力が可能となる、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記第1部材は、ユーザの操作を受け付ける操作部を更に備え、
前記第1制御部は、前記操作部が前記操作を受け付けると、反転指令を前記第2制御部に出力し、
前記第2制御部は、前記負荷に電力を供給している給電状態で前記反転指令が入力されると、前記負荷への電力供給を遮断し、前記負荷への電力供給を遮断している遮断状態で前記反転指令が入力されると、前記負荷への電力供給を開始する、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記ロータリーエンコーダの前記パルス信号は、前記回転操作部の角変位に応じて信号レベルが変化する矩形波状の2相のパルス列を含み、
前記2相のパルス列は、前記回転操作部の角変位に応じて、互いに1/4周期の位相差を有しており、
前記第1制御部は、前記2相のパルス列の信号レベルに基づいて、前記回転操作部の回転方向、回転速度及び回転量を算出する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記2相のパルス列の信号レベルの組合わせに基づいて、前記回転操作部の回転位置を特定し、前記回転位置の時間的な変化に基づいて、前記回転方向及び前記回転量を算出する、
請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記2相のパルス列の信号レベルの組合わせに基づいて、前記回転操作部の回転位置が第1位置から第2位置に変化したことを検出すると、前記第1位置から前記第2位置に変化するまでに要した時間に基づいて、前記回転速度を算出する、
請求項4に記載の制御システム。
【請求項7】
前記負荷は照明負荷であり、
前記第1制御部の前記出力信号は、前記照明負荷の調光レベルを表す調光情報を含む、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記調光情報は、前記照明負荷の調光レベルを変化させる変化量を表す相対調光情報を含み、
前記第2制御部は、前記照明負荷の変更前の調光レベルに、前記相対調光情報に基づく変化量を加えた調光レベルで前記照明負荷を点灯させるように、前記照明負荷への電力供給量を制御する、
請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記第1制御部は前記出力信号を前記第2制御部に定期的に出力する、
請求項1に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システムに関する。より詳細には、本開示は、負荷への供給電力を制御する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、照明器具の明るさを調整するための調光装置を開示する。調光装置は、本体の前面に配置された操作部を有するロータリーエンコーダと、制御部と、を備えている。制御部は、ロータリーエンコーダの出力信号に含まれるロータリーエンコーダの回転方向、及び回転速度に基づき、照明器具の最小の明るさと最大の明るさの間を複数等分した調光段階を変更することにより照明器具の調光段階を制御する。制御部は、ロータリーエンコーダの回転方向が第1方向である場合で、回転速度が第1速度である場合、調光段階を第1段階アップさせ、ロータリーエンコーダの回転方向が第1方向と逆の第2方向である場合で、回転速度が第1速度である場合、調光段階を第1段階ダウンさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の調光装置では、制御部が、ロータリーエンコーダの回転方向及び回転速度を検出する処理と、ロータリーエンコーダの回転方向及び回転速度に基づいて照明負荷の調光段階を制御する処理とを行っている。そのため、調光装置が備える制御部の処理負荷が増大するという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、第1制御部及び第2制御部の各々の処理負荷を低減可能な制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の制御システムは、回転操作部と、ロータリーエンコーダと、第1制御部と、第2制御部と、を備える。前記回転操作部は、ユーザによる回転操作が可能である。前記ロータリーエンコーダは、前記回転操作部の回転角度に応じたパルス信号を出力する。前記第1制御部は、前記ロータリーエンコーダの前記パルス信号に基づいて前記回転操作部の回転方向、回転速度及び回転量を算出し、前記回転操作部の回転方向、回転速度及び回転量に基づく出力信号を出力する。前記第2制御部は、前記第1制御部との間で信号の入出力が可能であり、前記第1制御部からの前記出力信号に基づいて、負荷への電力供給量を制御する。前記第1制御部が前記第2制御部に前記出力信号を送信する時間間隔に比べて、前記第1制御部が前記ロータリーエンコーダから前記パルス信号を取得する時間間隔が短い。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1制御部及び第2制御部の各々の処理負荷を低減可能な制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る制御システムの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の制御システムの概略的なブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の制御システムの外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の制御システムが備える第1部材の背面図である。
【
図5】
図5は、同上の制御システムが備える第2部材が取付枠に取り付けられた状態の正面図である。
【
図6】
図6は、同上の制御システムが備えるロータリーエンコーダから出力される2相のパルス列の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態の制御システム1の分解斜視図であり、
図2は、制御システム1の概略的な機能ブロック図である。
【0011】
本実施形態の制御システム1は、回転操作部46と、ロータリーエンコーダ42と、第1制御部40と、第2制御部20と、を備える。
【0012】
回転操作部46は、ユーザによる回転操作が可能である。
【0013】
ロータリーエンコーダ42は、回転操作部46の回転角度に応じたパルス信号を出力する。
【0014】
第1制御部40は、ロータリーエンコーダ42のパルス信号に基づいて回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量を算出し、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量に基づく出力信号を出力する。
【0015】
第2制御部20は、第1制御部40との間で信号の入出力が可能である。第2制御部20は、第1制御部40からの出力信号に基づいて、負荷7への電力供給量を制御する。
【0016】
第1制御部40が第2制御部20に出力信号を送信する時間間隔(以下、送信間隔とも言う。)に比べて、第1制御部40がロータリーエンコーダ42からパルス信号を取得する時間間隔(以下、取得間隔とも言う。)が短い。
【0017】
本実施形態の制御システム1は、第1制御部40と、第2制御部20との2つの制御部を備えている。そして、第1制御部40が、ロータリーエンコーダ42のパルス信号に基づいて、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量に基づく出力信号を出力する第1処理を行い、第2制御部20が第1制御部40からの出力信号に基づいて負荷7への電力供給量を制御する第2処理を行っている。これにより、1つの制御部で第1処理と第2処理の両方の処理を行う場合に比べて、第1制御部40及び第2制御部20の各々の処理負荷を低減することができる。したがって、1つの制御部で第1処理と第2処理の両方の処理を行う場合に比べて、第1制御部40及び第2制御部20に処理能力が低いプロセッサを用いることができ、第1制御部40及び第2制御部20のコストダウン及び小型化を図ることができる、という利点がある。
【0018】
また、ユーザが回転操作部46を回転させる操作を行った場合に、ロータリーエンコーダ42から出力されるパルス信号が変化する速度が送信間隔に比べて短い場合、第1制御部40は、パルス信号の変化を確実に検出できず、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量を正確に算出できない可能性がある。それに対して、本実施形態では、第1制御部40が第2制御部20に出力信号を送信する送信間隔に比べて、第1制御部40がロータリーエンコーダ42からパルス信号を取得する取得間隔を短くしているので、第1制御部40は、パルス信号の変化を検出しやすくなる。よって、第1制御部40が、ロータリーエンコーダ42から取得したパルス信号に基づいて、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量をより正確に算出できる、という利点がある。
【0019】
(2)構成
本実施形態に係る制御システム1の構成について
図1~
図5を参照して説明する。
【0020】
制御システム1は、第1部材である回転操作モジュール4と、第2部材である制御装置2と、を備えている。制御システム1は、回転操作モジュール4と、制御装置2と、を組合わせることによって、実現されている。なお、以下の説明では、
図1等におけるX軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向(奥行き方向)、Z軸方向を上下方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Y軸方向の正の向きを前側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、制御システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0021】
(2.1)制御装置
制御装置2は、上述のように第2制御部20を備える。また、制御装置2は、有線通信部21と、電力制御回路22と、設定操作部23と、無線通信部24と、負荷接続部27と、第2コネクタCN1と、筐体200と、を更に備える。つまり、第2部材である制御装置2は、第2制御部20と、第2制御部20からの制御信号に応じて負荷7への電力供給量を調整する電力制御回路22と、第1コネクタCN2が着脱可能な第2コネクタCN1と、を備える。
【0022】
負荷接続部27には、負荷7が接続可能である。負荷接続部27は、例えば、一対の端子t1,t2を有している。一対の端子t1,t2の間には、商用交流電源のような交流電源6と、負荷7とが直列に接続されている。制御装置2は、交流電源6及び負荷7が2本の電線W1で接続される2線式の配線器具であるが、交流電源6及び負荷7の接続形態は適宜変更が可能であり、3線式又は4線式の配線器具でもよい。負荷接続部27に接続される負荷7は、例えば照明負荷である。より詳細には、負荷7は、光源として発光ダイオードを備える、調光点灯が可能な照明負荷である。
【0023】
第2制御部20は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、第2制御部20の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0024】
第2制御部20は、例えば電力制御部25及び設定処理部26の機能を有している。なお、電力制御部25及び設定処理部26は、第2制御部20によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0025】
電力制御部25は、第2コネクタCN1に接続された回転操作モジュール4から入力される出力信号に基づいて、負荷接続部27に接続される負荷7への供給電力を制御する。例えば、電力制御部25は、出力信号に含まれる調光情報に基づく制御信号を電力制御回路22に出力し、電力制御回路22によって負荷7への供給電力を制御させる。本実施形態では、負荷7は照明負荷であり、電力制御部25は、調光情報に基づく調光レベルで照明負荷を点灯させるように、照明負荷への供給電力を制御する。より詳細には、電力制御部25は、照明負荷の調光範囲を複数等分した調光段階を変更することにより、照明負荷の調光レベルを制御する。さらに言えば、本実施形態では、回転操作モジュール4から、調光情報として、照明負荷の調光レベルの変化量及び変化方向を表す相対調光情報(つまり現在の調光レベルに対する相対的な調光レベルを指示する情報)が入力される。電力制御部25は、回転操作モジュール4からの相対調光情報に基づいて、現在の調光レベルを、操作情報が表す変化方向に、操作情報が表す変化量だけ変化させるように、照明負荷への供給電力を制御する。
【0026】
設定処理部26は、設定操作部23から入力される設定情報に基づいて、制御装置2の動作に関する所定の設定作業を行う。
【0027】
電力制御回路22は、例えば端子t1,t2間に接続されるトライアックなどの半導体スイッチを有している。電力制御回路22は、電力制御部25から入力される制御信号に応じて、半導体スイッチの導通位相角を制御することによって、交流電源6から負荷7に供給される電力を制御する。言い換えると、電力制御回路22は、電力制御部25から入力される制御信号に応じて、照明負荷である負荷7が調光情報(より詳細には相対調光情報)に対応した調光レベルで点灯するように、負荷7に供給する電力を制御する。
【0028】
有線通信部21は、第2コネクタCN1に接続される回転操作モジュール4との間で通信を行う。有線通信部21は、例えば、回転操作モジュール4との間でI2C(Inter-Integrated Circuit)の通信方式で通信を行う。本実施形態では、例えば、制御装置2がマスタ、制御装置2に接続される回転操作モジュール4がスレーブとなり、制御装置2と回転操作モジュール4との間でシリアル通信が行われる。なお、有線通信部21と回転操作モジュール4との間で行われる通信の通信方式はI2Cに限定されず、他の通信方式でもよい。
【0029】
無線通信部24は、外部の通信装置8との間で無線通信を行う。外部の通信装置8は、例えば、他の制御装置2、複数の負荷7を一括操作(例えば一括点灯又は一括消灯)するための一括操作スイッチ、通信ネットワークに接続するためのゲートウェイ等である。無線通信部24と外部の通信装置8との間の通信方式は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信方式である。
【0030】
設定操作部23は、所定の設定作業に関する設定情報を入力するために用いられる。設定操作部23は、例えば、無線通信部24との無線通信を許可する通信装置8を登録するために操作される設定ボタン231~232と、負荷7に供給する電力の下限を設定するために操作される設定ボタン233~234と、を含む(
図5参照)。ユーザは、これらの設定ボタン231~234を操作することによって、制御装置2に対して所定の設定作業を行うことができる。
【0031】
設定ボタン231~234は、制御装置2の筐体200に設けられているので、制御装置2に接続される回転操作モジュール4に、制御装置2に対する設定作業を行うための設定操作部を設ける必要がないという利点がある。また、負荷接続部27、第2コネクタCN1、電力制御部25、及び設定操作部23を収容する筐体200において、第2コネクタCN1が設けられた表面(前面201)に、設定操作部23が設けられている。したがって、回転操作モジュール4が制御装置2に接続されていない状態では、設定操作部23が露出し、設定操作部23を操作可能な状態となるので、筐体200が壁等に取り付けられた状態でも制御装置2に対する所定の設定作業を行うことができ、設定作業を容易に行うことができる。
【0032】
ここにおいて、本実施形態では、所定の設定作業が、無線通信部24との無線通信を許可する通信装置8を登録する登録作業を含む。設定ボタン231,232は、登録作業を行うために操作される。設定ボタン231は、例えば、第2制御部20を登録モードで動作させるために操作される操作ボタンである。登録モードは、無線通信部24との無線通信を許可する通信装置8を登録する動作モードである。設定ボタン231が操作されると、第2制御部20は登録モードで動作を開始し、筐体200の前面201に配置されている表示灯235を点滅させる。そして、登録モードで動作中に通信装置8からの登録要求を無線通信部24が受信すると、設定処理部26が、登録要求と共に受信した通信装置8の識別情報(例えばネットワークアドレス、IPアドレス、又はMACアドレス等)を、無線通信を許可する通信装置の識別番号としてメモリに記憶する。つまり、設定処理部26は、この通信装置8を無線通信部24との通信を許可する通信装置に設定する。第2制御部20は、登録モードの動作を開始してから所定時間が経過すると、登録モードを終了し、表示灯235を消灯させる。また、設定ボタン232は、例えば、メモリに記憶してある通信装置8の識別情報を消去するための操作ボタンである。設定ボタン232が操作されると、設定処理部26は、メモリに記憶してある通信装置8の識別情報を消去する。
【0033】
また、本実施形態では、所定の設定作業が、負荷7に供給する電力の上限及び下限のうち少なくとも一方を設定する作業を含む。本実施形態では負荷7が照明負荷であるから、所定の設定作業は、照明負荷の調光範囲の上限と下限との少なくとも一方を設定する作業を含む。なお、本実施形態では、所定の設定作業は、負荷7に供給する電力の下限、つまり照明負荷の調光範囲の下限を設定する設定作業を含む。具体的には、設定ボタン233,234が調光範囲の下限を設定する設定作業に用いられる。設定ボタン233が1回操作されると、設定処理部26は、調光範囲の下限を所定レベルだけ明るくする。また、設定ボタン234が1回操作されると、設定処理部26は、調光範囲の下限を所定レベルだけ暗くする。なお、本実施形態では、所定の設定作業が、負荷7に供給する電力の下限(つまり調光範囲の下限)を設定する作業であるが、負荷7に供給する電力の上限(つまり調光範囲の上限)を設定する作業でもよく、上限及び下限の両方を設定する作業でもよい。
【0034】
筐体200は、例えば、それぞれ合成樹脂の成形品である後側のボディ210と前側のカバー220とを結合することによって、全体として直方体状に形成されている(
図1参照)。
【0035】
筐体200は、負荷接続部27と、第2コネクタCN1と、第2制御部20と、有線通信部21と、電力制御回路22と、設定操作部23と、無線通信部24と、を収容している。なお、第2コネクタCN1及び設定操作部23は筐体200の前面201に配置されている。つまり、本実施形態において、ある部材が別の部材を収容するとは、ある部材の内部に別の部材が収納されている状態のみに限定されず、ある部材が、別の部材の一部又は全体が表面に露出している状態で別の部材を保持している状態も含み得る。
【0036】
制御装置2の筐体200は、壁等の取付面に設けられた埋込孔に一部を埋設した状態で取付面に取り付けられる。筐体200は、例えば、埋込孔に埋設されたスイッチボックス等の取付部材を用いて、壁等の取付面に固定される。
【0037】
筐体200は、例えば、取付枠60を介してスイッチボックス等の取付部材に固定される。取付枠60は、例えば、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠である。取付枠60は、正面視において矩形枠状に形成されている。取付枠60の中央には、筐体200の前面201のほぼ全体を露出させる開口66が設けられている。取付枠60の左右の長辺部分64には、筐体200の側面に設けられた突起204(
図3参照)が嵌合する複数の孔65が設けられている。筐体200は、取付枠60の後側から取付枠60の枠内に挿入され、筐体200の前面201を開口66から露出させた状態で、筐体200の側面の突起204を取付枠60の孔65に嵌合させることによって、取付枠60に保持される。
【0038】
取付枠60は、一例として金属製である。取付枠60の上下の短辺部分61には、取付孔62と、プレート固定用のねじ孔63と、がそれぞれ設けられている。一対の取付孔62に通した一対の取付ねじをスイッチボックス等の取付部材に設けられたねじ孔にネジ込むことで、取付枠60が、壁等の取付面に取り付けられる。また、合成樹脂製の固定プレートに設けられた一対の貫通孔に一対の固定ねじを通し、一対の固定ねじを一対のねじ孔63にネジ込むことによって、取付枠60の前側に固定プレートが取り付けられる。また、固定プレートの前側には、合成樹脂製の化粧プレートが凹凸嵌合により取り付けられる。取付枠60の前側に固定プレート及び化粧プレートが取り付けられた状態では、固定プレート及び化粧プレートにそれぞれ設けられた開口を通して、筐体200の前面201が前方に露出する。
【0039】
筐体200の前面201には、上述した第2コネクタCN1、設定ボタン231~234、及び表示灯235等が配置されている。
【0040】
また、筐体200の左右の側面の前側部分には、回転操作モジュール4に設けられた一対の係止フック301(
図1及び
図4参照)が結合する溝202(
図5参照)が設けられている。また、筐体200の前面201の四隅には、回転操作モジュール4の後面の四隅に設けられた位置決め用の4つの突起302(
図4参照)がそれぞれ嵌まる4つの凹部203(
図5参照)が設けられている。
【0041】
なお、筐体200の後面には、負荷7及び交流電源6と制御装置2との間を接続する電線W1(
図2参照)が挿入される電線挿入孔が設けられている。筐体200の内部には、電線挿入孔から挿入される電線W1が接続される端子装置が収容されている。この端子装置は、例えば、工具なしで電線の接続が可能な速結端子である。
【0042】
(2.2)回転操作モジュール
回転操作モジュール4は、制御装置2に取り付けられ、制御装置2のユーザインタフェースとして機能する。
【0043】
回転操作モジュール4は、回転可能に配置される回転操作部46と、回転操作部46の回転を検出するロータリーエンコーダ42と、ロータリーエンコーダ42の検出結果に基づく出力信号を制御装置2に出力する第1制御部40と、を備える。また、回転操作モジュール4は、通信部41と、押釦スイッチ43と、ハンドル(操作部)47と、筐体300と、を更に備える。つまり、第1部材である回転操作モジュール4は、回転操作部46と、ロータリーエンコーダ42と、第1制御部40と、第1コネクタCN2と、を備える。ここにおいて、回転操作モジュール4は、ユーザの操作を受け付けるユーザインタフェースとして、回転操作部46及びロータリーエンコーダ42等を有している。
【0044】
筐体300は、第1制御部40、通信部41、ロータリーエンコーダ42、押釦スイッチ43、回転操作部46、及びハンドル47を収容する。なお、回転操作部46及びハンドル47は、筐体300の前面に露出した状態で筐体300に保持されている。つまり、本実施形態の回転操作モジュール4は、ユーザの操作を受け付けるユーザインタフェースとして、押釦スイッチ43及びハンドル47等を更に有している。つまり、第1部材である回転操作モジュール4は、ユーザの操作を受け付ける操作部としてハンドル47を更に備えている。
【0045】
筐体300は、
図1に示すように、前面視の形状が縦長の矩形状に形成されている。
【0046】
筐体300の後面には、
図4に示すように、制御装置2の第2コネクタCN1に結合可能な第1コネクタCN2が設けられている。筐体300の後面の左右には、制御装置2に設けられた一対の溝202にそれぞれ結合可能な一対の係止フック301が設けられている。また、筐体300の後面の四隅には、制御装置2の前面201の四隅に設けられた4つの凹部203に嵌まる4つの突起302が設けられている。
【0047】
筐体300の前面の操作面400には、下側にハンドル47が配置され、上側に回転操作部46が配置されている(
図1及び
図3参照)。回転操作部46は、直径に比べて高さが低い円筒状に形成されており、双方向の回転操作が可能な状態で操作面400に配置されている。ハンドル47は、正面から見た形状が横長の長方形状に形成されている。ハンドル47は、例えば、左右方向の一端側(例えば左側)で、操作面400に対して回転可能な状態で支持されており、左右方向の他端側(例えば右側)を押操作可能な状態で操作面400に配置されている。
【0048】
通信部41は、制御装置2の有線通信部21との間で、例えばI2Cの通信方式で通信を行う。
【0049】
ロータリーエンコーダ42は、回転操作部46の回転角に応じたパルス信号を出力する。ロータリーエンコーダ42が出力するパルス信号は、例えば、回転操作部46の角変位に応じて信号レベルが変化する矩形波状の2相のパルス列P1,P2を含む。2相のパルス列P1,P2は、回転操作部46の角変位に応じて、互いに1/4周期の位相差を有している。
図6は、ロータリーエンコーダ42が出力する2相のパルス列P1,P2の一例を示す。ロータリーエンコーダ42は、例えば、1回転で3パルス、つまり120度で1パルスのパルス列P1,P2を出力するように構成されており、2相のパルス列P1,P2の各々は、信号レベルがハイとなる角度範囲、及び、信号レベルがローとなる角度範囲が、それぞれ、約60度に設定されている。
【0050】
したがって、回転操作部46の回転角度に応じて、ロータリーエンコーダ42が出力する2相のパルス列P1,P2の組合わせは、第1~第4状態T1~T4のいずれかとなる。パルス列P1の1周期を2πとした場合、回転操作部46の回転角度が0からπ/2までの範囲では、2相のパルス列P1,P2の組合わせは、パルス列P1の信号レベルがLレベル、パルス列P2の信号レベルがHレベルの第1状態T1となる。回転操作部46の回転角度がπ/2からπまでの範囲では、2相のパルス列P1,P2の組合わせは、パルス列P1,P2の信号レベルが共にLレベルの第2状態T2となる。回転操作部46の回転角度がπから(3/2)πまでの範囲では、2相のパルス列P1,P2の組合わせは、パルス列P1の信号レベルがHレベル、パルス列P2の信号レベルがLレベルの第3状態T3となる。回転操作部46の回転角度が(3/2)πから2πまでの範囲では、2相のパルス列P1,P2の組合わせは、パルス列P1,P2の信号レベルが共にHレベルの第4状態T4となる。
【0051】
本実施形態では、第1制御部40が、2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組み合わせに基づいて、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量を算出する。
【0052】
具体的には、第1制御部40は、2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組み合わせに基づいて、回転操作部46の回転位置を特定することができ、回転位置の時間的な変化に基づいて回転方向を算出する。例えば、回転操作部46が角度0から右回りに回転した場合、パルス列P1,P2の組合わせ(信号相)は、第1状態T1→第2状態T2→第3状態T3→第4状態T4→第1状態T1…の第1順序で周期的に変化する。一方、回転操作部46が角度0から左回りに回転した場合、パルス列P1,P2の組合わせは、第1状態T1→第4状態T4→第3状態T3→第2状態T2→第1状態T1…の第2順序で周期的に変化する。したがって、第1制御部40は、2相のパルス列P1,P2の組み合わせが第1順序で変化すれば、回転方向が右回りであると判断し、2相のパルス列P1,P2の組み合わせが第2順序で変化すれば、回転方向が左回りであると判断する。
【0053】
また、第1制御部40は、回転操作部46の回転位置を特定すると、回転操作部46の回転位置の時間的な変化を累積することで、回転操作部46の回転量を算出することができる。例えば、第1制御部40は、ロータリーエンコーダ42からパルス出力を取得するごとに、回転操作部46の回転位置を演算により求めており、送信間隔が経過する間の回転位置の時間的な変化を累積することによって、単位時間あたり(つまり送信間隔が経過する間)の回転量を算出する。
【0054】
また、第1制御部40は、ロータリーエンコーダ42からパルス出力を取得するごとに、2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組み合わせに基づいて、回転操作部46の回転位置を特定している。そして、第1制御部40は、回転位置が第1位置から第2位置に変化したことを検知すると、第1位置から第2位置に変化するまでに要した時間に基づいて、回転速度を算出する。例えば、第1制御部40は、2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組み合わせが第1状態T1から第2状態T2に変化したことを検知すると、第4状態T4又は第2状態T2から第1状態T1に変化した第1時点から、第1状態T1から第2状態T2に変化した第2時点までの経過時間をもとに回転速度を算出する。
【0055】
押釦スイッチ43は、モーメンタリ動作を行うスイッチである。押釦スイッチ43は、ユーザがハンドル47を後ろ向きに押した際にハンドル47によって押釦が押されて、接点のオン/オフが反転する。押釦スイッチ43は、例えばハンドル47が押されていない状態ではオフであり、ハンドル47が押されるとオンになる。
【0056】
第1制御部40は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、第1制御部40の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0057】
第1制御部40は、ロータリーエンコーダ42から出力される2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組合わせに基づいて、回転操作部46の回転位置(回転角度)の変化を検出する。第1制御部40は、回転操作部46の回転位置(回転角度)の変化に基づいて、回転操作部46の回転方向、回転速度、及び単位時間当たりの回転量を算出する。第1制御部40は、回転操作部46の回転方向に基づいて、照明負荷の調光レベルを明るくする操作であるか暗くする操作であるか、つまり照明負荷の調光レベルを変化させる変化方向を判定する。また、第1制御部40は、回転操作部46の回転速度及び単位時間当たりの回転量に基づいて、照明負荷の調光レベルを現在の調光レベルから変化させる変化量を判定する。そして、第1制御部40は、調光レベルの変化方向及び変化量を示す調光情報を含む出力信号を通信部41から制御装置2に送信させる。第1制御部40は、少なくとも回転操作部46が操作されている期間には、通信部41を介して第2制御部20に出力信号を定期的に出力する。ここにおいて、第1制御部40の出力信号は、照明負荷の調光レベルを表わす調光情報を含んでいる。第1制御部40は、ロータリーエンコーダ42の検出結果に基づいて、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量を算出し、回転方向、回転速度及び回転量の算出結果に基づく出力信号を電力制御部25に出力する。これにより、ユーザが回転操作部46を回転させる回転方向、回転速度、及び回転量に応じて、電力制御部25が負荷7に供給する電力を制御することで、負荷7である照明器具の明るさを調整することができる。また、回転操作モジュール4の第1制御部40が、ロータリーエンコーダ42の検出結果に基づいて、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量を算出しているので、制御装置2側での演算処理の負荷を軽減することができる。
【0058】
また、第1制御部40は、ハンドル47が押されて、押釦スイッチ43がオフからオンに切り替わると、負荷7の点灯/消灯の状態を反転させる反転指令を含む操作信号を通信部41から制御装置2に送信させる。つまり、第1制御部40は、操作部であるハンドル47が操作を受け付けると、反転指令を第2制御部20に出力する。負荷7が点灯している状態でハンドル47が押されると、回転操作モジュール4から制御装置2に反転指令を含む操作信号が送信される。第2制御部20は、負荷7に電力を供給している給電状態で反転指令が入力されると、負荷7への電力供給を遮断する。一方、負荷7が消灯している状態でハンドル47が押されると、回転操作モジュール4から制御装置2に反転指令を含む操作信号が送信される。第2制御部20は、負荷7への電力供給を遮断している遮断状態で反転指令が入力されると、負荷7への電力供給を開始する。なお、第2制御部20のメモリには、消灯前の調光レベルが記憶されているものとする。
【0059】
(3)動作説明
制御装置2は、回転操作モジュール4が接続された状態で使用される。
【0060】
以下では、制御装置2が、回転操作モジュール4と組合わされた状態での動作について説明する。
【0061】
制御装置2が、取付枠60を用いて壁等に固定され、制御装置2の負荷接続部27に電線W1を介して負荷7及び交流電源6の直列回路が接続されているものとする。
【0062】
ユーザが回転操作モジュール4を手に持って、回転操作モジュール4を制御装置2の前面201に接近させ、回転操作モジュール4の第1コネクタCN2を制御装置2の第2コネクタCN1に接続させる。このとき、回転操作モジュール4の後面の四隅にある突起302が、制御装置2の前面201の四隅にある凹部203に嵌まることで、回転操作モジュール4の位置決めが行われる。また、回転操作モジュール4の係止フック301が制御装置2の溝202と嵌合することで、回転操作モジュール4の抜け止めが行われる。
【0063】
回転操作モジュール4の第1コネクタCN2が制御装置2の第2コネクタCN1に接続されると、制御装置2から回転操作モジュール4に電力が供給されて、回転操作モジュール4が動作を開始する。また制御装置2の有線通信部21と回転操作モジュール4の通信部41との間でI2C通信が行われる。つまり、第1コネクタCN2が第2コネクタCN1に接続された状態で、第1制御部40と第2制御部20との間で、第1コネクタCN2及び第2コネクタCN1を介して信号の入出力が可能となる。ここにおいて、制御装置2には、回転操作モジュール4を含む複数種類の操作モジュールが接続可能であり、制御装置2には、制御装置2に接続可能な複数種類の操作モジュールの種類を表す種別情報が登録されている。制御装置2の有線通信部21と回転操作モジュール4の通信部41との間でI2C通信が行われると、有線通信部21は、回転操作モジュール4から通信部41を介して種別情報を取得する。制御装置2の第2制御部20は、有線通信部21が回転操作モジュール4から取得した種別情報に基づいて、現在接続されている操作モジュールが回転操作モジュール4であると判別できる。これにより、例えば複数種類の操作モジュール3で出力信号のフォーマット等が異なる場合でも、電力制御部25は、操作モジュール3の種類に応じた出力信号に基づいて、供給電力を制御することができる。
【0064】
回転操作モジュール4が制御装置2に接続された状態で、ユーザが回転操作部46を回転させる操作を行うと、第1制御部40が、ロータリーエンコーダ42から出力されるパルス信号に基づいて回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量を算出する。
【0065】
第1制御部40は、ロータリーエンコーダ42から出力される2相のパルス列P1,P2を定期的に取得している。ここで、第1制御部40がロータリーエンコーダ42からパルス信号を取得する時間間隔(取得間隔)は、第1制御部40が第2制御部20に出力信号を送信する時間間隔(送信間隔)よりも短い時間に設定されている。第1制御部40は、送信間隔よりも短い取得間隔でロータリーエンコーダ42からパルス信号を取得しているので、回転操作部46の回転位置の変化をより正確に検出でき、回転方向、回転速度及び回転量をより正確に算出することができる。本実施形態では、例えば、取得間隔は10mSecであり、送信間隔は85mSecである。
【0066】
第1制御部40は、2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組合わせが第1~第4状態T1~T4のいずれであるかを判断することによって、回転操作部46の回転位置を演算により求めている。
【0067】
また、第1制御部40は、回転操作部46の回転位置の時間的な変化、具体的には2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組合わせの時間的な変化を検出することで、回転操作部46の回転方向を特定する。例えば、第1制御部40は、2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組合わせが上述した第1順序で変化する場合、回転操作部46の回転方向が正面から見て右回りだと判断する。また、第1制御部40は、2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組合わせが上述した第2順序で変化する場合、回転操作部46の回転方向が正面から見て左回りだと判断する。
【0068】
また、第1制御部40は、制御装置2に出力信号を前回送信した時点から、次回送信する時点までの間(送信時間)、2相のパルス列P1,P2の信号レベルの組合わせから求めた回転位置の変化を累積することで、単位時間当たりの回転量を算出する。第1制御部40は、単位時間当たりの回転量の大きさを例えば3段階に区分して求めている。本実施形態では、第1制御部40は、回転操作部46の回転方向と回転量の大きさとに基づいて、回転量を7つの段階に区分して求めている。
【0069】
なお、第1制御部40は、単位時間当たりの回転量がゼロである場合、回転操作部46の回転量をP0と決定する。また、第1制御部40は、回転操作部46の回転方向を右回りと判定した場合、回転操作部46の回転量を、3段階の回転量PR1,PR2,PR3のいずれかに決定する。3段階の回転量PR1,PR2,PR3は、PR1が回転量の大きさが最も小さく、PR3が回転量の大きさが最も大きくなっている。また、第1制御部40は、回転操作部46の回転方向を左回りと判定した場合、回転操作部46の回転量を、3段階の回転量PL1,PL2,PL3のいずれかに決定する。3段階の回転量PL1,PL2,PL3は、PL1が回転量の大きさが最も小さく、PL3が回転量の大きさが最も大きくなっている。
【0070】
また、第1制御部40は、回転操作部46の回転位置が第1位置から第2位置に変化したことを検出すると、第1位置から第2位置に変化するまでに要した時間に基づいて、回転速度を算出する。ここで、第2位置は、第1制御部40が今回特定した回転操作部46の回転位置であり、第1位置は、回転操作部46が第2位置に移動する前に存在した回転位置である。第1制御部40は、回転操作部46の回転位置が第1位置に変位したことを検知した第1時点から、回転操作部46の回転位置が第1位置から第2位置に変位したことを検知した第2時点までに経過した時間と、第1位置と第2位置との間の移動量とに基づいて、回転操作部46の回転速度の大きさを算出する。第1制御部40は、例えば、回転操作部46の回転速度の大きさ(絶対値)を、3段階の回転速度V1,V2,V3のいずれかに決定する。3段階の回転速度V1,V2,V3は、V1が最も低速、V3が最も高速である。
【0071】
第1制御部40は、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量を算出すると、回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量に基づく出力信号を生成する。本実施形態では、負荷7は照明負荷であり、第1制御部40の出力信号は、照明負荷の調光レベルを表す調光情報を含んでいる。
【0072】
第1制御部40は、回転操作部46の回転量をPR1~PR3、P0、PL1~PL3のいずれかに決定し、回転速度をV1,V2,V3のいずれかに決定し、回転量及び回転速度に基づいて、制御装置2に出力する調光情報を決定する。本実施形態では、第1制御部40に、回転量がPR1~PR3、P0、PL1~PL3、回転速度がV1,V2,V3であるときの調光情報のデータが予め設定されている。下記の表1は、回転量がPR1~PR3、P0、PL1~PL3、回転速度がV1,V2,V3であるときの調光情報を表わしている。調光情報は、例えば、照明負荷の調光レベルを変化させる変化量を表す相対調光情報である。相対調光情報は、例えば、照明負荷の調光範囲を複数等分した調光段階の整数倍の値となる。第1制御部40は、回転速度及び回転量を算出すると、表1に基づいて、回転速度及び回転量の算出結果に対応する調光情報を読み出し、読み出した調光情報を含む出力信号を第2制御部20に出力する。なお、表1に示す調光情報の設定は一例であり、適宜変更が可能である。
【0073】
【0074】
以上の動作をまとめると、ユーザが回転操作部46を例えば正面から見て右回りに回転させると、第1制御部40は、照明負荷の調光レベルを回転操作部46の回転速度及び回転量に応じた変化量だけ明るくする調光情報を生成し、この調光情報を含む出力信号を通信部41から制御装置2に送信させる。例えば、回転操作部46の回転速度がV1、回転量がPR3であれば、第1制御部40は、照明器具の調光段階を4段階明るくする相対調光値を含む調光情報を生成し、この調光情報を含む出力信号を制御装置2に送信する。制御装置2の有線通信部21が回転操作モジュール4から出力信号を受信すると、第2制御部20は、照明負荷の変更前の調光レベルに、相対調光情報に基づく変化量を加えた調光レベルで照明負荷を点灯させるように、照明負荷への電力供給を制御する。すなわち、電力制御部25は、出力信号に含まれる調光情報(相対調光情報)に基づいて、現在の調光レベルよりも調光情報が表す変化量だけ明るい調光レベルで点灯するように、負荷7への供給電力を変化させる制御指令を電力制御回路22に出力する。電力制御回路22は、制御指令に応じて負荷7への供給電力を変化させ、現在の調光レベルよりも調光情報が表す変化量だけ明るい調光レベルで負荷7を点灯させる。
【0075】
また、ユーザが回転操作部46を例えば正面から見て左回りに回転させると、第1制御部40は、照明負荷の調光レベルを回転操作部46の回転速度及び回転量に応じた変化量だけ暗くする調光情報を生成し、この調光情報を含む出力信号を通信部41から制御装置2に送信させる。例えば、回転操作部46の回転速度がV3、回転量がPL2であれば、第1制御部40は、照明器具の調光レベルを30段階暗くする調光情報を生成し、この調光情報を含む出力信号を制御装置2に送信する。制御装置2の有線通信部21が回転操作モジュール4から出力信号を受信すると、電力制御部25は、出力信号に含まれる調光情報に基づいて、現在の調光レベルよりも調光情報が表す変化量だけ暗い調光レベルで点灯するように、負荷7への供給電力を変化させる制御指令を電力制御回路22に出力する。電力制御回路22は、制御指令に応じて負荷7への供給電力を変化させ、現在の調光レベルよりも調光情報が表す変化量だけ暗い調光レベルで負荷7を点灯させる。
【0076】
また、ユーザがハンドル47を押し操作すると、第1制御部40は、照明負荷の点灯/消灯を反転させる反転指令を生成し、この反転指令を含む操作信号を通信部41から制御装置2に送信させる。制御装置2の有線通信部21が回転操作モジュール4から操作信号を受信すると、電力制御部25は、操作信号に含まれる反転指令に基づいて、現在点灯中であれば負荷7への電力供給を停止させることによって負荷7を消灯させ、現在消灯中であれば負荷7への電力供給を開始させることによって負荷7を点灯させる。
【0077】
(4)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0078】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組合わせて適用可能である。
【0079】
本開示における制御装置2及び回転操作モジュール4は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御装置2及び回転操作モジュール4としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0080】
上記実施形態で説明した制御装置2及び回転操作モジュール4の形状等は一例であり、適宜変更が可能である。
【0081】
ロータリーエンコーダ42は、回転操作部46の回転に応じて、3相以上のパルス列を出力するものでもよく、第1制御部40は、3相以上のパルス列に基づいて回転操作部46の回転方向、回転速度及び回転量を算出すればよい。
【0082】
本実施形態の制御装置2の制御対象である負荷7は例えば照明器具であるが、照明器具以外の換気扇、送風装置等でもよい。
【0083】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0084】
第1の態様の制御システム(1)は、回転操作部(46)と、ロータリーエンコーダ(42)と、第1制御部(40)と、第2制御部(20)と、を備える。回転操作部(46)は、ユーザによる回転操作が可能である。ロータリーエンコーダ(42)は、回転操作部(46)の回転角度に応じたパルス信号を出力する。第1制御部(40)は、ロータリーエンコーダ(42)のパルス信号に基づいて回転操作部(46)の回転方向、回転速度及び回転量を算出し、回転操作部(46)の回転方向、回転速度及び回転量に基づく出力信号を出力する。第2制御部(20)は、第1制御部(40)との間で信号の入出力が可能であり、第1制御部(40)からの出力信号に基づいて、負荷(7)への電力供給量を制御する。第1制御部(40)が第2制御部(20)に出力信号を送信する時間間隔に比べて、第1制御部(40)がロータリーエンコーダ(42)からパルス信号を取得する時間間隔が短い。
【0085】
この態様によれば、第1制御部(40)及び第2制御部(20)の各々の処理負荷を低減可能な制御システム(1)を提供することができる。
【0086】
第2の態様の制御システム(1)は、第1の態様において、第1部材(4)と、第2部材(2)と、を備える。第1部材(4)は、回転操作部(46)と、ロータリーエンコーダ(42)と、第1制御部(40)と、第1コネクタ(CN2)と、を備える。第2部材(2)は、第2制御部(20)と、第2制御部(20)からの制御信号に応じて負荷(7)への電力供給量を調整する電力制御回路(22)と、第1コネクタ(CN2)が着脱可能な第2コネクタ(CN1)と、を備える。第1コネクタ(CN2)が第2コネクタ(CN1)に接続された状態で、第1制御部(40)と第2制御部(20)との間で、第1コネクタ(CN2)及び第2コネクタ(CN1)を介して信号の入出力が可能となる。
【0087】
この態様によれば、第1部材(4)の交換が可能になる。
【0088】
第3の態様の制御システム(1)では、第2の態様において、第1部材(4)は、ユーザの操作を受け付ける操作部(47)を更に備える。第1制御部(40)は、操作部(47)が操作を受け付けると、反転指令を第2制御部(20)に出力する。第2制御部(20)は、負荷(7)に電力を供給している給電状態で反転指令が入力されると、負荷(7)への電力供給を遮断する。第2制御部(20)は、負荷(7)への電力供給を遮断している遮断状態で反転指令が入力されると、負荷(7)への電力供給を開始する。
【0089】
この態様によれば、操作部(47)を操作することで、給電状態と遮断状態とを切り替えることができる。
【0090】
第4の態様の制御システム(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、ロータリーエンコーダ(42)のパルス信号は、回転操作部(46)の角変位に応じて信号レベルが変化する矩形波状の2相のパルス列(P1,P2)を含む。2相のパルス列(P1,P2)は、回転操作部(46)の角変位に応じて、互いに1/4周期の位相差を有している。第1制御部(40)は、2相のパルス列(P1,P2)の信号レベルに基づいて、回転操作部(46)の回転方向、回転速度及び回転量を算出する。
【0091】
この態様によれば、第1制御部(40)で、2相のパルス列(P1,P2)の信号レベルに基づいて、回転操作部(46)の回転方向、回転速度及び回転量を算出する処理を実行することができる。
【0092】
第5の態様の制御システム(1)では、第4の態様において、第1制御部(40)は、2相のパルス列(P1,P2)の信号レベルの組合わせに基づいて、回転操作部(46)の回転位置を特定する。第1制御部(40)は、回転位置の時間的な変化に基づいて、回転方向及び回転量を算出する。
【0093】
この態様によれば、第1制御部(40)は、回転位置の時間的な変化に基づいて、回転方向及び回転量を算出することができる。
【0094】
第6の態様の制御システム(1)では、第4又は第5の態様において、第1制御部(40)は、2相のパルス列(P1,P2)の信号レベルの組合わせに基づいて、回転操作部(46)の回転位置が第1位置から第2位置に変化したことを検出すると、第1位置から第2位置に変化するまでに要した時間に基づいて、回転速度を算出する。
【0095】
この態様によれば、第1制御部(40)は、回転位置が第1位置から第2位置に変化するまでに要した時間に基づいて、回転速度を算出することができる。
【0096】
第7の態様の制御システム(1)では、第1~第6のいずれかの態様において、負荷(7)は照明負荷である。第1制御部(40)の出力信号は、照明負荷の調光レベルを表す調光情報を含む。
【0097】
この態様によれば、回転操作部(46)を操作することで照明負荷の調光レベルを変化させることができる。
【0098】
第8の態様の制御システム(1)では、第7の態様において、調光情報は、照明負荷の調光レベルを変化させる変化量を表す相対調光情報を含む。第2制御部(20)は、照明負荷の変更前の調光レベルに、相対調光情報に基づく変化量を加えた調光レベルで照明負荷を点灯させるように、照明負荷への電力供給量を制御する。
【0099】
この態様によれば、第1制御部(40)が、照明負荷の変更前の調光レベルの値を保持する必要がないという利点がある。
【0100】
第9の態様の制御システム(1)では、第1~第8のいずれかの態様において、第1制御部(40)は出力信号を第2制御部(20)に定期的に出力する。
【0101】
この態様によれば、回転操作部(46)の回転操作に対して、負荷の制御が遅れる可能性を低減できる。
【0102】
第2~第9の態様に係る構成については、制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 制御システム
2 制御装置(第2部材)
4 回転操作モジュール(第1部材)
7 負荷
20 第2制御部
22 電力制御回路
40 第1制御部
42 ロータリーエンコーダ
46 回転操作部
47 ハンドル(操作部)
CN1 第2コネクタ
CN2 第1コネクタ
P1,P2 パルス列