IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社Dshiftの特許一覧

特開2024-7949無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム
<>
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図1
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図2
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図3
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図4
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図5
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図6
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図7
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図8
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図9
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図10
  • 特開-無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007949
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A01M7/00 Q
A01M7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109401
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】521166283
【氏名又は名称】株式会社Dshift
(74)【代理人】
【識別番号】100160185
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 茂晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167807
【弁理士】
【氏名又は名称】笠松 信夫
(72)【発明者】
【氏名】角田 恵
(72)【発明者】
【氏名】松本 大輔
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121CB06
2B121CB23
2B121CB35
2B121CC05
(57)【要約】
【課題】設備の維持運営を自動化することが可能な無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システムを提供する。
【解決手段】UGV10は、所定の走行ルートを無人状態で走行することが可能な無人走行車両であって、点検対象物を撮影する撮像部11と、撮像部11によって撮影された映像をサーバ装置20に送信する無線通信部12と、設備に対して所定の動作をする器具部14と、器具部14の動作を制御する制御部13とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の走行ルートを無人状態で走行することが可能な無人走行車両であって、
点検対象物を撮影する撮像部と、
前記撮像部によって撮影された映像をサーバ装置に送信する無線通信部と、
設備に対して所定の動作をする器具部と、
前記器具部の動作を制御する制御部と
を備える無人走行車両。
【請求項2】
前記器具部は、粒剤散布機、ロボットアーム、草刈機、散水機のうちの少なくとも1つを有する請求項1に記載の無人走行車両。
【請求項3】
前記粒剤散布機は、前記走行ルートおよび前記走行ルート沿いに配置された施設下部に除草剤を散布する請求項2に記載の無人走行車両。
【請求項4】
更に、人間の五感のうちの少なくとも1つに相当する情報を検出する五感センサを備える請求項1に記載の無人走行車両。
【請求項5】
当該無人走行車両が複数段の通路を走行する場合、どの通路を走行するときでも同一方向を向いている請求項1に記載の無人走行車両。
【請求項6】
当該無人走行車両の側面部にローラーを備え、そのローラーを設備に押し当てながら走行する請求項1から5のいずれか1項に記載の無人走行車両。
【請求項7】
請求項1に記載の無人走行車両と、
前記無人走行車両と通信可能に接続されたサーバ装置とを備え、
前記無人走行車両と前記サーバ装置とが連携することで設備の維持運営を自動化するように構成されている維持運営自動化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システムに関し、主として、発電所・変電所などの電力インフラを対象とする技術である。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電、変電設備などの社会インフラについては、売電による収益の安定化や電力の安定供給を図るため、定期巡視・点検や発電量低下要因となる雑草の除去など継続的なメンテナンスが必要となる。一方で大規模な太陽光発電施設(以下、メガソーラー)や変電施設は、敷地が広大かつ太陽光パネルの数が膨大などであることからメンテナンスに手間やコストがかかる。特に雑草は、ホットスポットの原因となるだけでなく、小動物の住処となり2次被害を招くおそれがあることなど、メンテナンスに支障をきたす大きな要因となっている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「ソーラー発電施設における雑草対策」、砂押アグリン株式会社、令和4年6月26日検索、インターネット<URL: https://www.agrin.co.jp/herbicide.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10は、人力による除草、巡視・点検状況の一例を示し、図11は、人力による除草剤散布状況の一例を示している。図中の符号Pは太陽光パネル(以下、パネル)、符号2はパネルP間の通路、符号3は除草剤、符号Gは雑草を表している。これらの図に示すように、定期巡視・点検や雑草処理に当たっては人海戦術による対応が取られているが、メガソーラー設置地点の特性上、パネルP間の幅が狭隘・パネル設置高さが低い等、作業環境が劣悪であり労力を要する。また、雑草処理では、除草剤3の散布により周辺樹木・近隣住民等へ支承を来たす可能性から、除草剤3の散布(図11参照)を行うことができず、除草(図10参照)のみにより対応している箇所も存在する。
【0005】
したがって個別の作業環境・ニーズ等に応じて対応できるよう、定期巡視・点検および雑草処理の自動化など、効率的な対策が求められる。このような対策は、メガソーラーに限らず、変電設備など様々なインフラ(施設)においても同様に必要である。
【0006】
本発明は、設備の維持運営を自動化することが可能な無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、所定の走行ルートを無人状態で走行することが可能な無人走行車両であって、点検対象物を撮影する撮像部と、前記撮像部によって撮影された映像をサーバ装置に送信する無線通信部と、設備に対して所定の動作をする器具部と、前記器具部の動作を制御する制御部とを備える。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、維持運営自動化システムであって、前記無人走行車両と、前記無人走行車両と通信可能に接続されたサーバ装置とを備え、前記無人走行車両と前記サーバ装置とが連携することで設備の維持運営を自動化するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設備の維持運営を自動化することが可能な無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態における維持運営自動化システムの全体構成図である。
図2】本発明の実施の形態における維持運営自動化システムの機能ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態におけるUGVの外観を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態におけるUGVのルート設定を説明するための斜視図である。
図5】本発明の実施の形態におけるUGVのルート設定を説明するための平面図である。
図6】本発明の実施の形態におけるUGVが除草剤散布およびカメラ撮影を行っている様子を示す模式図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。
図7】本発明の実施の形態におけるサーバ装置が設備異常を検出した場合に通知される画面の説明図である。
図8】本発明の実施の形態におけるUGVの変形例を示す模式図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。
図9】本発明の実施の形態におけるUGVのアタッチメント・オプションを示す模式図であり、(A)はサーモカメラで取得した映像、(B)はロボットアーム、(C)は草刈機、(D)は散水機である。
図10】人力による除草、巡視・点検状況の一例を示す模式図である。
図11】人力による除草剤散布状況の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施の形態はあくまでも例示である。すなわち、以下に説明する実施の形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、図面において同一符号を付した部分は、特に断らない限り同一若しくは同様の部分を表す。
【0012】
[概要]
本発明は、無人走行車両およびそれを備えた維持運営自動化システムに関し、主として、発電所・変電所などの電力インフラを対象とする技術である。以下では、太陽光発電施設(メガソーラー)のメンテナンスを例示して説明するが、本発明は、設備の維持運営を自動化することが必要な様々なインフラ(施設)に適用できる。
【0013】
[全体構成例]
図1は、本発明の実施の形態における維持運営自動化システム1の全体構成図である。ここでは、太陽光発電施設(メガソーラー)他において、UGV(Unmanned Ground Vehicle)10を用いて除草剤散布・除草および定期巡視・点検を自動化する場合を例示している。
【0014】
すなわち、この維持運営自動化システム1は、メガソーラー他の維持運営を自動化するためのシステムであって、図1に示すように、UGV10とサーバ装置20とがネットワークを介して通信可能に接続されている。UGV10は、所定の走行ルートを無人状態で走行することが可能な無人走行車両である。狭隘かつ不陸のある巡視・点検ルートに対応可能なUGV10を用い、走行ルートを設定し自走させる。GNSS(Global Navigation Satellite Systems)の衛星101を用いた測位と、地上(基準点)に設置された固定局102からの補正データとを用いて、UGV10の現在位置を求める。図1では、パネルP間の通路2を2台のUGV10が走行している場合を例示しているが、UGV10は少なくとも1台あればよい。またUGV10は、設定した走行ルートに対しVisual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を用いて自己位置を推定し自走させてもよい。
【0015】
UGV10にはカメラと粒剤散布機を搭載している。UGV10が自走している間、粒剤散布機を用いて走行ルートおよびパネル下部等に除草剤3を自動散布しながら、点検対象物をカメラで撮影し、撮影された映像をサーバ装置20側のAI(Artificial Intelligence)で自動判定する。AIにより異常(ケーブル落下、パネル変位、基礎沈下、自動判読したメーター値の許容値から外れ、自動判読した油面が下限を下回った等)を検出した場合はその旨を管理者端末24A等に通知する。図示していないが、人間の五感に相当する情報を検出する五感センサ(赤外線・集音・匂いなど)をUGV10に搭載すれば、サーバ装置20側で映像だけでなく音や匂い等に基づいて異常を検出することもできる。もちろん、このような解析結果を示す画面24B,24Cを管理者端末24A等に表示することも可能である。
【0016】
以上のように、本発明の実施の形態における維持運営自動化システム1が提供するサービスは、「UGV10を用いた除草・点検サービス」であり、「除草・点検対応の走行式ドローンサービス」と言うこともできる。ここでは除草剤散布を例示したが、五感センサや様々な器具を組み合わせることで、適用場面に応じた様々なサービスを提供することが可能である。
【0017】
[システム構成例]
図2は、本発明の実施の形態における維持運営自動化システム1の機能ブロック図である。この図では位置制御の説明のため衛星101も描いている。以下、図2を用いて維持運営自動化システム1の構成を更に詳しく説明する。
【0018】
図2に示すように、UGV10は、所定の走行ルートを無人状態で走行することが可能な無人走行車両であって、機能的には、撮像部11と、無線通信部12と、制御部13と、器具部14と、機構部15と、位置移動局部16とを備える。撮像部11は、点検対象物を撮影するカメラ11である。点検対象物は主に設備であるが、何を点検するかは特に限定されるものではない。無線通信部12は、外部装置と無線通信するための機能部であり、衛星101等との間で信号を送受信する測位用アンテナや、サーバ装置20等との間で信号を送受信する無線通信用アンテナを含む。制御部13は、UGV10の各種制御を司るコントローラ等であり、コントローラには予め走行ルートが設定される。器具部14は、設備に対して所定の動作をする機能部であり、制御部13からの制御信号に基づいて駆動される粒剤散布機等である。位置移動局部16は、測位用アンテナで測定した衛星測位情報と固定局102からの補正データとを用いて移動局(UGV10)の現在位置を求める機能部である。機構部15は、車両として走行するために必要な機構(タイヤ、各種アクチュエータ等)である。その他、五感センサなどを備えてもよいことは上記した通りである。
【0019】
一方、サーバ装置20は、UGV10と通信可能に接続されたコンピュータであって、機能的には、通信部21と、解析・算出部22と、記憶部23と、表示部24とを備える。通信部21は、外部装置と通信するための機能部であり、UGV10等との間で信号を送受信する通信インターフェイス等である。解析・算出部22は、通信部21によって受信された信号を解析し、各種演算を行うプロセッサ等であり、解析等にはAIを用いてもよい。記憶部23は、各種データを記憶する不揮発性メモリ等であり、解析・算出部22の解析結果や算出結果を記憶する。表示部24は、各種データを表示するモニター等であり、記憶部23に記憶された解析結果や算出結果を表示する。もちろん、このようなサーバ装置20の各機能部は、複数台のコンピュータに分散されていてもよい。例えば、表示部24は、サーバ装置20と通信可能に接続された管理者端末24Aと考えることもできる。
【0020】
[UGV]
図3は、本発明の実施の形態におけるUGV10の外観を示す斜視図である。以下、図3を用いてUGV10の構成を更に詳しく説明する。なお、以下の説明では、UGV10について前後左右をいう場合は、図中に示す矢印を基準に考えるものとする。
【0021】
図3に示すように、後輪15bの上部に粒剤散布機14が設けられ、その上部に除草剤3の容器14cが設けられている。容器14cから粒剤散布機14に除草剤3が投入され、粒剤散布機14内部の羽が回転すると、羽の遠心力により除草剤3が均一に散布口14aから散布される。散布口14aには、除草剤3の散布方向を制限するガード14bが設けられている。除草剤3の散布方向は適宜変更することが可能であるが、ここではUGV本体の後方および左側に除草剤3が散布される場合を例示している。UGV本体の略中央からポール11aを立ち上げ、その上端にカメラ11が取り付けられている。カメラ11の撮影方向も適宜変更することが可能であるが、ここではUGV本体の左側が撮影される場合を例示している。もちろん、ポール11aの位置や高さも変更可能となっている。前輪15a付近に設けられたボックス17にはバッテリーや通信機器(無線通信部12に対応)などが収納されている。粒剤散布機14の下方に設けられた仕切り板18の下の空間には制御機器(制御部13に対応)などを収納することができる。図示していないが、UGV本体の前端10aおよび/または後端10b付近に五感センサを設けてもよい。その他、UGV10は車両として走行するために必要な機構を備えるが、これらは本発明の主眼とするところではないため、詳しい説明を省略する。
【0022】
[ルート設定]
図4は、本発明の実施の形態におけるUGV10のルート設定を説明するための斜視図である。ここでは、UGV10が手前から奥へ自走し、折り返して手前まで戻り、更に折り返して奥へ自走する様子を矢印で示している。図4に示すように、パネルP間の幅は狭隘であり、パネルPの設置高さは低い。このようなパネルP間の通路2を自走させるには、UGV10の現在位置を精度よく求めることが必要である。本実施の形態では、基準点と観測点という2つのポイントを同時に観測する測位方法(RTK-GNSS)を用いているため、数センチメートル程度の誤差でUGV10を自走させることが可能である。
【0023】
図5は、本発明の実施の形態におけるUGV10のルート設定を説明するための平面図である。例えば、図5に示すように、UGV10は、通路2aを走行するときには、後端10bを進行方向に向けてバック走行し、パネル列P12~P22の下部に除草剤3を散布しながら、パネル列P12~P22をカメラ11で撮影する。通路2aを走行し終えると、横に移動して通路2bを走行する。通路2bを走行するときには、前端10aを進行方向に向けて前進走行し、パネル列P33~P23の下部に除草剤3を散布しながら、パネル列P33~P23をカメラ11で撮影する。通路2bを走行し終えると、図中の星印の地点で除草剤3の補充とバッテリー交換を行う。以降の通路2c,通路2dについても同様、通路2ごとに前進走行とバック走行とを切り替える。このようにすれば、UGV10が複数段の通路2を走行する場合、どの通路2を走行するときでも同一方向を向くことになる。そのため、カメラ11の撮影方向および除草剤3の散布方向を固定したまま、全ての通路2について定期巡視・点検および雑草処理の自動化を図ることが可能である。
【0024】
なお、このルート設定はあくまで例示である。例えば、図4図5に示されていないエリアにも雑草が生える場合はそのエリアを走行ルートに設定してもよい。また、図中の星印の地点で除草剤3の補充とバッテリー交換を行うこととしているが、これらの作業は、エリア全体の除草剤散布・状況監視を行うことができれば、どの地点で行ってもよい。
【0025】
[除草剤散布・カメラ撮影]
図6は、本発明の実施の形態におけるUGV10が除草剤散布およびカメラ撮影を行っている様子を示す模式図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。効率よく日差しを受ける角度で多数のパネルPを配列するため、図6に示すように、パネルPを支える架台31と、この架台31を支える基礎部分32とで支持構造体30を構成している。基礎部分32は低い位置にあるため、傾斜したパネルPの低い側から除草剤散布・カメラ撮影を行うと、除草剤3がパネルPにかかる恐れがあり、またパネル下部を広範囲に撮影できない。そこで、図6に示すように、傾斜したパネルPの高い側から除草剤散布・カメラ撮影を行う。これにより、除草剤3がパネルPにかからず、またパネル下部を広範囲に撮影することができる。
【0026】
[AI設備異常検出・通知]
図7は、本発明の実施の形態におけるサーバ装置20が設備異常を検出した場合に通知される画面24Cの説明図である。ここでは、パネル変位を検出した場合の画面24Cを例示している。図7に示すように、パネル変位を検出した場合はその箇所を示す枠Wを画面24C中に表示してもよい。これにより、管理者端末24Aの管理者は迅速に対処することが可能である。他の設備異常(ケーブル落下、基礎沈下、自動判読したメーター値の許容値から外れ、自動判読した油面が下限を下回った等)を検出した場合も同様である。このような設備異常の検出にはAIを用いるが、その手法は公知の手法でよく、特に限定されるものではない。
【0027】
[変形例]
図8は、本発明の実施の形態におけるUGV10の変形例を示す模式図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。実際の作業環境では走行ルート上に段差や障害物が存在する可能性があるため、衝突する前に停止させるための衝突センサなどをUGV10に設けるのが望ましい。更に、図8に示すように、UGV10の側面部にローラーRを備え、そのローラーRを設備に押し当てながら走行してもよい。ここでは、UGV10の右側面部(撮影方向と反対の側面部)において、パネルPの低い側の端部の高さ位置に複数のローラーRを備えた場合を例示している。これにより、UGV10をパネルPに沿って自走させることができるので、より安定走行を実現することが可能となる。
【0028】
[アタッチメント・オプション]
図9は、本発明の実施の形態におけるUGV10のアタッチメント・オプションを示す模式図であり、(A)はサーモカメラで取得した映像51、(B)はロボットアーム52、(C)は草刈機53、(D)は散水機54を示している。これらアタッチメントをUGV10に取り付ける位置は特に限定されるものではないが、それぞれの用途および機能に応じて適切な位置に取り付ける。
【0029】
サーモカメラは、被写体から放射される赤外線エネルギーを検知して温度に変換して温度分布を表示するカメラであり、撮像部11の一例である。UGV10にサーモカメラを搭載すれば、温度差がある状況では光の有無に関係なく撮影が可能となる。ロボットアーム52は、人間の腕に似た働きをするメカニカルアームであり、器具部14の一例である。UGV10にロボットアーム52を搭載すれば、対象物をつかむ、放す、運ぶ等の作業を行うことが可能となる。草刈機53は、雑草等を刈払うための装置であり、器具部14の一例である。UGV10に草刈機53を搭載すれば、除草(物理的に雑草を刈り払うこと)が可能となる。散水機54は、水を散布する装置であり、器具部14の一例である。UGV10に散水機54を搭載すれば、広範囲に水やりを行うことが可能となる。
【0030】
このような粒剤散布機14以外のアタッチメントを使用すれば、様々な適用場面(道路のトンネル、下水道のトンネル、変電所、果樹園、ダム等)において、設備の維持運営を自動化することが可能となる。例えば、メガソーラー他を点検する場面で除草剤3を散布できない場合は、草刈機53を使用して雑草処理を行ってもよい。また、トンネル内を点検する場面では、サーモカメラを用いてトンネル内壁のひび割れ等を検出してもよい。また、変電所内やダム内のメーターや配管を点検する場面では、ロボットアーム52で必要な作業を行ってもよい。更に、果樹園を点検する場面では、下から上に栄養となる成分を含んだ水を散水機54で散布してもよい。どの場面でどのアタッチメントを使用するかは適宜選択し、組み合わせることが可能である。
【0031】
[特徴的な構成とその効果]
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるUGV10は、所定の走行ルートを無人状態で走行することが可能な無人走行車両であって、点検対象物を撮影する撮像部11と、撮像部11によって撮影された映像をサーバ装置20に送信する無線通信部12と、設備に対して所定の動作をする器具部14と、器具部14の動作を制御する制御部13とを備える。これにより、UGV10を自走させて設備を点検しながら器具部14で必要な作業を行うことができるため、設備の維持運営を自動化することが可能となる。
【0032】
例えば、器具部14は、粒剤散布機14、ロボットアーム52、草刈機53、散水機54のうちの少なくとも1つを有するのが望ましい。これにより、適用場面に応じた様々な作業を行うことが可能となる。
【0033】
また、粒剤散布機14は、走行ルートおよび走行ルート沿いに配置された太陽光パネル下部など施設下部に除草剤3を散布するのが望ましい。これにより、太陽光発電施設他において、UGV10を用いて除草剤散布・除草および定期巡視・点検を自動化することが可能である。
【0034】
更に、人間の五感のうちの少なくとも1つに相当する情報を検出する五感センサを備えるのが望ましい。これにより、サーバ装置20側で映像だけでなく音や匂い等に基づいて異常を検出することもできる。
【0035】
また、UGV10が複数段の通路2を走行する場合、どの通路2を走行するときでも同一方向を向いているのが望ましい。これにより、カメラ11の撮影方向および器具部14の動作方向を固定したまま、全ての通路2について定期巡視・点検および必要な作業の自動化を図ることが可能である。
【0036】
また、UGV10の側面部にローラーRを備え、そのローラーRを設備に押し当てながら走行するのが望ましい。これにより、UGV10を設備に沿って自走させることができるので、より安定走行を実現することが可能となる。
【0037】
また、本発明の実施の形態における維持運営自動化システム1は、上述したUGV10と、UGV10と通信可能に接続されたサーバ装置20とを備え、UGV10とサーバ装置20とが連携することで設備の維持運営を自動化するように構成されている。これにより、UGV10側で撮影された映像をサーバ装置20側でAIを使って解析することも可能である。
【0038】
なお、本発明は、このような維持運営自動化システム1として実現することができるだけでなく、このような維持運営自動化システム1が備える特徴的な機能部をステップとする維持運営自動化方法として実現したり、それらの各ステップをコンピュータに実行させる維持運営自動化プログラムとして実現したりすることもできる。もちろん、このようなプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体を介して、あるいはインターネットなどのネットワークを介してコンピュータにインストールすることが可能である。
【0039】
また、上記の説明では特に言及しなかったが、本明細書でいう「設備」の用語は広い意味に解するものとし、維持運営を自動化することが必要な様々なものを含む。すなわち、太陽光パネルなどの設備そのものはもちろん、設備用の通路(走行ルート)や、設備を用いて栽培される植物なども、本明細書でいう「設備」の用語に含まれる。
【0040】
[その他の実施の形態]
以上のように、本発明の実施の形態について記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0041】
1 維持運営自動化システム
2 通路
3 除草剤
10 無人走行車両(UGV)
11 撮像部(カメラ)
12 無線通信部
13 制御部
14 器具部(粒剤散布機)
15 機構部
16 位置移動局部
20 サーバ装置
21 通信部
22 解析・算出部
23 記憶部
24 表示部
P 太陽光パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11