(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079491
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】配線ダクト及び配線システム
(51)【国際特許分類】
H01R 25/14 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
H01R25/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192468
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 紳一郎
(72)【発明者】
【氏名】草川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】山本 純輝
(72)【発明者】
【氏名】石田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】宮本 賢吾
(57)【要約】
【課題】本開示は、導体への粉塵の堆積による不具合が抑制されうる配線ダクトを提供する。
【解決手段】配線ダクト100は、ハウジング110と導体120とを備える。導体120は伝送用導体121を含む。ハウジング110の外面は設置面114と接続面115とを含む。ハウジング110は、接続面115で開口しハウジング110の内部空間111に通じる開口部116を有する。ハウジング110は、伝送用導体121を全て保持する保持部112を備える。保持部112と内部空間111とは、ハウジング110の長さ方向と設置面114と直交する方向とのいずれとも直交する方向に沿って並ぶ。保持部112は、保持部112が保持する導体120を内部空間111に通じさせる連通口118を備える。連通口118は、内部空間111に向けて、ハウジング110の長さ方向と設置面114と直交する方向とのいずれとも直交する方向に開口する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺であり、かつ内側に内部空間を有するハウジングと、前記ハウジング内に保持されている複数の導体とを備え、
前記複数の導体は、複数の伝送用導体を含み、
前記ハウジングの外面は、前記ハウジングの長さ方向に平行な設置面と、前記設置面とは前記内部空間を挟んで反対側にある接続面とを含み、
前記ハウジングは、前記接続面で開口し、前記内部空間に通じ、かつ前記ハウジングの長手方向に沿って長い開口部を有し、
前記ハウジングは、前記伝送用導体を全て保持する保持部を備え、前記保持部と前記内部空間とは、前記ハウジングの長さ方向と前記設置面と直交する方向とのいずれとも直交する方向に沿って並び、
前記保持部は、前記保持部が保持する前記導体を前記内部空間に通じさせる連通口を備え、前記連通口は、前記内部空間に向けて、前記ハウジングの長さ方向と前記設置面と直交する方向とのいずれとも直交する方向に開口する、
配線ダクト。
【請求項2】
複数の前記導体は、アース用導体を更に含む、
請求項1に記載の配線ダクト。
【請求項3】
前記アース用導体は、前記ハウジングにおける前記内部空間に面する内面における、前記設置面側の、前記開口部と対向する位置に保持されている、
請求項2に記載の配線ダクト。
【請求項4】
前記内部空間の内面における、前記開口部と対向する位置に、前記内部空間と前記配線ダクトの外部とを通じさせる取付孔が開口し、
前記取付孔の、前記保持部と前記内部空間とが並ぶ方向の位置は、前記保持部に保持されている前記導体と、前記アース用導体との間にある、
請求項3に記載の配線ダクト。
【請求項5】
前記アース用導体は、前記ハウジングにおける前記内部空間に面する内面における、前記接続面側の位置に配置されている、
請求項2に記載の配線ダクト。
【請求項6】
前記保持部は、前記アース用導体を保持し、
前記保持部は、前記保持部が保持する前記アース用導体を前記内部空間に通じさせる連通口を備え、前記連通口は、前記内部空間に向けて、前記ハウジングの長さ方向と前記設置面と直交する方向とのいずれとも直交する方向に開口する、
請求項2に記載の配線ダクト。
【請求項7】
前記保持部に保持されている前記導体の各々は、前記ハウジングの外部から前記開口部を通じて視認できない位置に配置されている、
請求項1又は2に記載の配線ダクト。
【請求項8】
前記保持部に保持されている前記導体の各々は、前記設置面と直交する方向に対向し合う二つの板バネを備える、
請求項1又は2に記載の配線ダクト。
【請求項9】
前記保持部に保持されている前記導体の各々は、前記設置面と直交する方向に厚みを有する一つの導体板である、
請求項1又は2に記載の配線ダクト。
【請求項10】
前記内部空間の内面における、前記開口部と対向する位置に、前記内部空間と前記配線ダクトの外部とを通じさせる取付孔が開口し、
前記取付孔の、前記保持部と前記内部空間とが並ぶ方向の位置は、前記開口部の、前記保持部と前記内部空間とが並ぶ方向の中心位置よりも、前記保持部側に寄っている、
請求項1又は2に記載の配線ダクト。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の配線ダクトと、
前記配線ダクトに接続されるプラグ装置とを備える、
配線システム。
【請求項12】
前記プラグ装置は、
前記配線ダクトに前記プラグ装置が接続された接続状態で前記配線ダクトの外側に配置される本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに連結し、かつ前記接続状態で前記開口部に配置される連結部と、
前記連結部に連結し、かつ前記接続状態で前記配線ダクト内に配置される端子部を備え、
前記端子部は、前記連結部に連結し、前記接続状態で前記内部空間に配置される基部と、前記基部から突出し、前記接続状態で前記保持部に保持されている前記導体と電気的に接続される接続端子とを備える、
請求項11に記載の配線システム。
【請求項13】
前記保持部と前記内部空間とが並ぶ方向での前記開口部の寸法と比較して、前記接続状態での前記端子部の、前記保持部と前記内部空間とが並ぶ方向での寸法は大きく、かつ前記設置面と直交する少なくとも一つの方向での寸法は小さく、
前記端子部が前記開口部を通して前記内部空間に入れられてから、前記端子部が前記設置面と直交する方向に沿った仮想軸を中心に回転されることで、前記接続状態が実現する、
請求項12に記載の配線システム。
【請求項14】
前記保持部と前記内部空間とが並ぶ方向での前記開口部の寸法と比較して、前記接続状態での前記端子部の、前記保持部と前記内部空間とが並ぶ方向での寸法は小さく、
前記端子部が前記開口部を通して前記内部空間に入れられてから、前記端子部が前記保持部に向けて移動されることで、前記接続状態が実現する、
請求項12に記載の配線システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に配線ダクト及び配線システムに関し、詳細には電力又は電気信号等の供給経路を構成する配線ダクト、並びに配線ダクトとこれに接続されるプラグ装置とを備える配線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長手方向に沿った開口を前面に有した配線ダクト本体と、前記配線ダクト本体の一対の内側面に沿って延在する一対の導体と、前記配線ダクト本体の前記開口に対向する底面に当接し前記導体を覆う導体カバーと、を備え、前記開口側から前記底面側へ押圧された前記導体カバーの弾性変形によって前記導体への取付部品の接触を可能とする配線ダクトに、電源用コンセントプラグを接続することが、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、導体への粉塵の堆積による不具合が抑制されうる配線ダクト、並びにこの配線ダクトとこれに接続されるプラグ装置とを備える配線システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る配線ダクトは、長尺であり、かつ内側に内部空間を有するハウジングと、前記ハウジング内に保持されている複数の導体とを備える。前記複数の導体は、複数の伝送用導体を含む。前記ハウジングの外面は、前記ハウジングの長さ方向に平行な設置面と、前記設置面とは前記内部空間を挟んで反対側にある接続面とを含む。前記ハウジングは、前記接続面で開口し、前記内部空間に通じ、かつ前記ハウジングの長手方向に沿って長い開口部を有する。前記ハウジングは、前記伝送用導体を全て保持する保持部を備え、前記保持部と前記内部空間とは、前記ハウジングの長さ方向と前記設置面と直交する方向とのいずれとも直交する方向に沿って並ぶ。前記保持部は、前記保持部が保持する前記導体を前記内部空間に通じさせる連通口を備え、前記連通口は、前記内部空間に向けて、前記ハウジングの長さ方向と前記設置面と直交する方向とのいずれとも直交する方向に開口する。
【0006】
本開示の一態様に係る配線システムは、前記配線ダクトと、前記配線ダクトに接続されるプラグ装置とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、導体への粉塵の堆積による不具合が抑制されうる配線ダクト、並びにこの配線ダクトとこれに接続されるプラグ装置とを備える配線システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る配線ダクトの正面図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態に係るプラグ装置の正面側斜視図である。
【
図5】
図5は、第一実施形態に係るプラグ装置における接続端子の平面図である。
【
図6】
図6は、第一実施形態に係るプラグ装置の、ロック状態での断面図である。
【
図7】
図7は、同上の、解除状態での断面図である。
【
図8】
図8は、第一実施形態に係るプラグ装置及び配線システムの、接続前の状態の断面図である。
【
図9】
図9は、第一実施形態に係るプラグ装置及び配線システムの、接続途中の状態の断面図である。
【
図11】
図11は、第一実施形態に係るプラグ装置及び配線システムの、接続状態の断面図である。
【
図13】
図13は、第二実施形態に係るプラグ装置の正面側斜視図である。
【
図14】
図14は、同上の、ロック状態での背面側斜視図である。
【
図15】
図15は、同上の、解除状態での背面側斜視図である。
【
図16】
図16は、第二実施形態に係るプラグ装置及び配線システムの、接続前の状態の断面図である。
【
図19】
図19は、第三実施形態に係るプラグ装置の正面側斜視図である。
【
図20】
図20は、同上の、ロック状態での背面側斜視図である。
【
図21】
図21は、同上の、解除状態での背面側斜視図である。
【
図22】
図22は、第三実施形態に係るプラグ装置における本体ハウジングの背面図である。
【
図23】
図23は、第三実施形態に係るプラグ装置におけるコネクタ部の側面図である。
【
図25】
図25は、第三実施形態に係るプラグ装置及び配線システムの、接続前の状態の断面図である。
【
図28】
図28は、第一変形例に係る配線ダクトの断面図である。
【
図29】
図29は、第二変形例に係る配線システムの断面図である。
【
図30】
図30は、第三変形例に係る配線システムの断面図である。
【
図31】
図31は、第四変形例に係るプラグ装置の側面図である。
【
図32】
図32は、第五変形例に係る配線システムの接続前の状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明者は、配線ダクトの開発にあたり、特に配線ダクトを壁面に設置する際、配線ダクト内に粉塵等が侵入して配線ダクト内の導体に堆積し、これにより導体間の短絡などの不具合が生じうるという問題に着目した。
【0010】
そこで、本開示は、導体への粉塵の堆積による不具合が抑制されうる配線ダクト、並びにこの配線ダクトとこれに接続されるプラグ装置とを備える配線システムを提供する。
【0011】
本開示の実施形態及び変形例について、
図1から
図33を参照して説明する。なお、下記の実施形態及び変形例は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。また、下記の実施形態及び変形例は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、変形例の構成を適宜組み合わせることも可能である。以下において参照する図は、いずれも模式的な図であり、図中の構成要素の寸法比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
実施形態に係る配線ダクト100は、長尺であり、かつ内側に内部空間111を有するハウジング110と、ハウジング110内に保持されている複数の導体120とを備える。複数の導体120は、複数の伝送用導体121を含む。ハウジング110の外面は、ハウジング110の長さ方向に平行な設置面114と、設置面114とは内部空間111を挟んで反対側にある接続面115とを含む。ハウジング110は、接続面115で開口し、内部空間111に通じ、かつハウジング110の長手方向に沿って長い開口部116を有する。ハウジング110は、伝送用導体121を全て保持する保持部112を備え、保持部112と内部空間111とは、ハウジング110の長さ方向と設置面114と直交する方向とのいずれとも直交する方向に沿って並ぶ。保持部112は、保持部112が保持する導体120を内部空間111に通じさせる連通口118を備える。連通口118は、内部空間111に向けて、ハウジング110の長さ方向と設置面114と直交する方向とのいずれとも直交する方向に開口する。
【0013】
このため、特に配線ダクト100を壁面に設置する際、配線ダクト100内に粉塵等が侵入しても、粉塵等が配線ダクト100内の伝送用導体121に堆積しにくい。そのため、粉塵等による導体120間の短絡などの不具合が生じにくい。
【0014】
配線ダクト100とプラグ装置200とを備える配線システム300は、例えば電気機器等に電力又は電気信号等を供給するために用いられる。
【0015】
配線ダクト100は例えば建物等の施設内に設置され、電力又は電気信号等の供給経路を構成する。配線ダクト100における適宜の位置に、プラグ装置200を接続することで、配線ダクト100からプラグ装置200へ電力又は電気信号等を供給でき、プラグ装置200に適宜の電気機器等を接続することで電気機器等へ電力又は電気信号等を供給できる。
【0016】
配線ダクト100は、壁401の表面(壁面)に設置されうる。この配線ダクト100にプラグ装置200が接続されうる。配線ダクト100が壁面に設置される場合は、例えば配線ダクト100の設置面114が壁面に重ねられ、保持部112と内部空間111とが上下方向に並び、かつ内部空間111に対して保持部112が上下方向の上向き側に配置されるように、設置される。この場合、連通口118は内部空間111へ下向きに開口する。以下、主として配線ダクト100が壁面に設置され、この配線ダクト100にプラグ装置200が接続される場合の、本実施形態の構成を説明する。ただし、配線ダクト100は必ずしも壁面に設置されなくてもよく、例えば天井面に設置されることもありうる。
【0017】
以下の説明では、配線ダクト100が壁面に設置され、かつこの配線ダクト100にプラグ装置200が接続された状態での、水平面に対して垂直な方向を「上下方向」、「上下方向」と直交しかつ壁面と平行な方向を「左右方向」、「上下方向」と「左右方向」とのいずれとも直交する方向を「前後方向」と規定する。「上下方向」における上方側の向きを「上向き」、下方側の向きを「下向き」と規定する。「前後方向」における壁面に対する配線ダクト100側の向きを「前向き」、「前向き」とは反対側の向きを「後向き」と規定する。観測者にとっての上及び前が前記の「上向き」及び「前向き」によって定まった場合の、観測者にとっての「左右方向」における左側の向きを「左向き」、右側の向きを「右向き」と、規定する。図面中の「上下方向」、「前後方向」、及び「左右方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。これらの方向の規定は、配線システム300の設置状態を限定する趣旨ではない。
【0018】
なお、壁面に設置されている配線ダクト100におけるハウジング110の長手方向は、「左右方向」と一致する。
【0019】
壁面に設置されている配線ダクト100における設置面114と直交する方向、及びこの配線ダクト100に接続されたプラグ装置200における連結部220と基部240とが並ぶ方向は、「前後方向」と一致する。設置面114と直交する方向における設置面114の向く向きは「後向き」と一致し、この向きとは反対向きは「前向き」と一致する。連結部220と基部240とが並ぶ方向における連結部220に対する基部240側の向きは「後向き」と一致し、基部240に対する連結部220側の向きは「前向き」と一致する。
【0020】
壁面に設置されている配線ダクト100における保持部112と内部空間111とが並ぶ方向、及びこの配線ダクト100に接続されたプラグ装置200における接続端子251の突出する方向は、「上下方向」と一致する。保持部112と内部空間111とが並ぶ方向における内部空間111に対する保持部112側の向きは「上向き」と一致し、保持部112に対する内部空間111側の向きは「下向き」と一致する。接続状態において接続端子251の突出する方向における接続端子251の突出する向きは「上向き」と一致し、この向きとは反対側の向きは「下向き」と一致する。
【0021】
配線ダクトの実施形態について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の配線ダクト100は、ハウジング110と、複数の導体120とを備える。複数の導体120は、複数の伝送用導体121と、アース用導体122とを含む。
【0023】
なお、伝送用導体121とは、配線ダクト100が伝送すべき電力又は電気信号等を伝送するための導体である。例えば配線ダクト100が電力を伝送する場合において、送電方式が単相2線式である場合は伝送用導体121の数は2つであり、送電方式が単相3線式又は三相3線式である場合には伝送用導体121の数は3つであり、送電方式が三相4線式である場合は伝送用導体121の数は4つである。本実施形態では伝送用導体121の数は2つである。
【0024】
ハウジング110は、左右方向に長尺であり、内側に内部空間111を有する。
【0025】
ハウジング110は、保持部112と外殻部113とを備える。外殻部113は左右方向に長尺な筒状である。外殻部113の外面(すなわちハウジング110の外面)は、後方を向く設置面114と、設置面114とは反対側にあり前方を向く接続面115とを有する。本実施形態では外殻部113の外面(ハウジング110の外面)の、左右方向と直交する断面の形状は、前後方向寸法より上下方向寸法が長い矩形状である。保持部112は左右方向に長尺であり、外殻部113の内部における上部に保持されている。外殻部113の内部における、保持部112より下方の空間が内部空間111である。すなわち、保持部112と内部空間111とが上下方向に並んでいる。なお、外殻部113と保持部112とは、別部材であってもよく、破壊を伴わずに分離できない一つの部材であってもよい。
【0026】
ハウジング110は例えばプラスチックなどの電気絶縁性の材料から作製されるが、これに制限されない。例えば、導体120間の短絡が防止されるならば、ハウジング110の一部が金属などの電気伝導性の材料から作製されていてもよい。
【0027】
ハウジング110には、接続面115で開口し、内部空間111に通じ、かつ左右方向に沿って長い開口部116を有する。開口部116は、接続面115で前方に開口し、すなわち配線ダクト100の外部と内部空間111とを前後方向に通じさせる。開口部116は、保持部112よりも上下方向の下方の位置で開口している。また、開口部116は、ハウジング110における上下方向の下方側寄りの位置で開口している。このため、ハウジング110において、保持部112、内部空間111及び開口部116がコンパクトにまとまり良く配置され、ハウジング110全体の小型化が可能である。
【0028】
保持部112は、伝送用導体121を保持する。伝送用導体121は左右方向に長尺である。保持部112は、複数の伝送用導体121の各々に対応する保持空間117及び連通口118を有する。保持空間117は連通口118に通じており、連通口118は内部空間111に向けて上下方向に開口している。すなわち、連通口118は保持空間117と内部空間111とを上下方向に通じさせる。各保持空間117内に、伝送用導体121が配置される。このため、伝送用導体121が、連通口118を介して内部空間111に通じている。各保持空間117は、左右方向に長尺な空間であり、連通口118は左右方向に長い開口である。保持部112において複数の保持空間117は前後方向に並び、そのため複数の連通口118も前後方向に並ぶ。このため、複数の保持空間117にそれぞれ保持されている伝送用導体121も前後方向に並んでいる。
【0029】
伝送用導体121の各々は、前後方向に対向し合う二つの板バネ123を備える。二つの板バネ123の、上下方向の上方側の端部同士は、連結している。二つの板バネ123は、一つの板材で構成されていてもよく、すなわち屈曲した形状の板材の一方の端部側の部分と他方の端部側の部分との各々が、板バネ123であってもよい。後述するとおり、二つの板バネ123の間にプラグ装置200の接続端子251が挟まれることで、伝送用導体121と接続端子251との間の安定した電気的接続が実現されうる。
【0030】
アース用導体122は、左右方向に長い帯状の形状を有する。アース用導体122は、ハウジング110における内部空間111に面する内面における、設置面114側の、開口部116と前後方向に対向する位置に保持されている。アース用導体122の上下方向の位置は、開口部116の上下方向の中心の位置と一致する。
【0031】
ハウジング110の外殻部113は、取付孔119を有する。取付孔119は、内部空間111の内面における、開口部116と対向する位置に開口し、内部空間111と配線ダクト100の外部とを通じさせる。取付孔119は、配線ダクト100の外部側では、設置面114で開口する。この取付孔119にビスなどの固定具101を挿入することで配線ダクト100を壁面などの構造材の表面に設置できる。また、固定具101を壁401などの構造材に打ち込む際、開口部116から工具を配線ダクト100内に入れて作業を行うことが容易である。
【0032】
本実施形態では、取付孔119の、上下方向の位置は、保持部112に保持されている伝送用導体121と、アース用導体122との間にある。このため、配線ダクト100を、伝送用導体121と、アース用導体122との間の箇所で、壁面等に固定できる。配線ダクト100にプラグ装置200が接続された場合、プラグ装置200に不用意な力が加えられると、プラグ装置200から伝送用導体121とアース用導体122とに荷重がかかりやすいが、配線ダクト100における伝送用導体121とアース用導体122との間の箇所が固定具402で固定されると、伝送用導体121とアース用導体122とに過度な荷重がかかりにくくなり、配線ダクト100とプラグ装置200の破損が抑制されうる。
【0033】
また、取付孔119の、上下方向の位置は、開口部116の上下方向の中心位置よりも、上方側に寄っている。配線ダクト100は上部に伝送用導体121を備えるので配線ダクト100の重心は上方側に寄りやすいが、取付孔119の位置も開口部116が開口する範囲内で上方側に寄っていれば、配線ダクト100が安定して固定されうる。
【0034】
本実施形態では、配線ダクト100が上記の構成を備えることで、保持部112は、保持部112が保持する導体120である伝送用導体121を内部空間111に通じさせる連通口118を備え、連通口118は、内部空間11に向けて、ハウジング110の長さ方向と設置面114と直交する方向とのいずれとも直交する方向に開口する。このため、特に配線ダクト100を上記のように壁面に設置した場合、連通口118は下方を向く。そのため、配線ダクト100内に開口部116から粉塵等が侵入しても、粉塵等は保持部112に保持されている導体120までは到達しにくい。そのため、粉塵等に起因する導体120間の短絡、プラグ装置200との接触不良などの不具合の発生が抑制される。また、本実施形態では、配線ダクト100を壁401などの構造材に設置する際、構造材に埋め込んでも、開口部116を構造材から露出させることができる。
【0035】
また、本実施形態では、保持部112に保持されている導体120である伝送用導体121の各々は、ハウジング110の外部から開口部116を通じて視認できない位置に配置されている。言い換えると、配線ダクト100の左右方向と直交する断面において、接続面115における開口部116が開口する開口面における任意の点と、保持部112に保持されている導体120の表面上の任意の点とを結ぶ線分は、必ずハウジング110と交差する。なお、上述のとおり、ハウジング110には保持部112が含まれている。このことを実現されるように、開口部116、連通口118及び導体120の位置関係が調整される。例えば開口部116に対する導体120の位置を十分に上方に配置する、導体120の下方側の先端を、連通口118よりも十分に上方に配置するなどの方法で、導体120を外部から開口部116を通じて視認できなくしうる。この場合、開口部116を通じて工具又は金属針等の異物が配線ダクト100内に挿入されても、異物が保持部112に保持されている導体120に到達しにくくなるため、異物による導体120の破損、短絡等の不具合が起こりにくい。
【0036】
プラグ装置200及び配線システム300の実施形態について、
図3から
図27を参照して説明する。この実施形態は、下記の第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態を含む。
【0037】
本実施形態のプラグ装置200は、本体ハウジング210と連結部220と端子部230とを備え、端子部230は、基部240と複数の端子250とを備える。複数の端子250は、複数の接続端子251とアース端子252とを含む。
【0038】
プラグ装置200は、配線ダクト100にプラグ装置200が接続された状態(以下、接続状態という)で、配線ダクト100の外側に配置される。連結部220は、本体ハウジング210に連結し、かつ接続状態で配線ダクト100の開口部116に配置される。端子部230は、連結部220に連結し、接続状態で配線ダクト100内に配置される。基部240は、連結部220に連結する。すなわち、端子部230は、基部240において連結部220に連結する。基部240は、接続状態で内部空間111に配置される。接続端子251は、基部240から突出し、接続状態で、保持部112に保持されている伝送用導体121と電気的に接続される。
【0039】
第一実施形態の詳細について、
図3から
図12を参照して説明する。
【0040】
第一実施形態に係るプラグ装置200を、
図3から
図7に示す。第一実施形態では、本体ハウジング210は直方体状であり、本体ハウジング210における6つの面は、接続状態においてそれぞれ上下左右前後を向く。
【0041】
プラグ装置200は、配線システム300が伝送する電力又は電気信号等を出力するコネクタ261を備える。第一実施形態において、コネクタ261は、本体ハウジング210に対して固定され、本体ハウジング210における前後方向の前方側を向く面に、コネクタ261の差込口262が開口している。コネクタ261は、このコネクタ261に接続された外部のプラグを通じて、配線システム300が伝送する電力又は電気信号等を配線システム300の外部へ出力しうる。第一実施形態におけるコネクタ261は、給電用の外部のプラグが接続されるように構成されているが、コネクタ261は、USBポートなどの、電気信号の伝送のためのポートであってもよい。
【0042】
本体ハウジング210の、前後方向の後方側を向く面に、連結部220が連結されている。
【0043】
連結部220は、本体ハウジング210の上下方向の中心位置に対して、上下方向の下方寄りの位置に配置されている。すなわち、本体ハウジング210の上下方向の中心位置よりも、連結部220の上下方向の中心位置が、下方にある。すなわち、本体ハウジング210の、接続端子251が突出する向きに沿った方向の中心位置に対して、連結部220の、接続端子121が突出する向きに沿った方向の位置が、接続端子121が突出する向きとは反対向き側に偏っている。連結部220の上下方向の寸法及び左右方向の寸法は、いずれも配線ダクト100の開口部116の上下方向の寸法以下であり、かつ連結部220は開口部116に配置された状態で連結部220を通る前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転可能な形状を有する。
【0044】
連結部220には、その後方側に、端子部230の基部240が連結され、これにより連結部220に端子部230が連結している。なお、本体ハウジング210の端子部230が連結部220を介して連結している、ということもできる。
【0045】
開口部116の上下方向の寸法と比較して、接続状態での端子部230の上下方向寸法は大きく、かつ前後方向と直交する少なくとも一つの方向、例えば左右方向での寸法は小さい。
【0046】
基部240の、接続状態での上下方向の寸法は、連結部220の上下方向寸法よりも大きく、かつ基部240は、連結部220よりも、上下方向に沿った上方と下方とのそれぞれに向けて突出している。すなわち、接続状態において、基部240の上向き側の端部の位置は連結部220の上向き側の端部の位置よりも上方にあり、かつ基部240の下向き側の端部の位置は連結部220の下向き側の端部の位置よりも下方にある。このため、接続状態において、連結部220が開口部116に配置され、かつ基部240が内部空間111に配置されると、基部240の上方側の端部と下方側の端部とが開口部116の上方側の縁と下方側の縁とに引っ掛かることになり、配線ダクト100からプラグ装置200が脱落しにくくなる(
図11参照)。
【0047】
第一実施形態では、端子部230は二つの接続端子251を備える。接続状態において、接続端子251は、いずれも基部240から上方に突出している。接続端子251は、前後方向に並んでいる。接続端子251の各々は、前後方向に厚みを有する一つの導体板である。また、接続端子251の各々は、
図5に示すように、接続端子251の厚み方向と接続端子251の突出する方向とのいずれとも直交する方向の各端部における、接続端子251の厚み方向の両側の各縁部に、面取り状の傾斜面253を有する、傾斜面253は平面であるが、曲面であってもよい。
【0048】
接続端子251と伝送用導体121とは一対一で対応しており、接続状態において、各接続端子251は、対応する連通口118から対応する保持空間117内に挿入され、対応する伝送用導体121と電気的に接続されている。接続端子251は伝送用導体121における2つの板バネ123の間に挟まれることで、伝送用導体121に安定して接続されている(
図11参照)。
【0049】
プラグ装置200は、嵌合凸部271、付勢機構275、操作部280及び変換機構285も備える。
【0050】
嵌合凸部271は、本体ハウジング210の後向き側を向く面から、前後方向の後向きに突出する。接続状態において、嵌合凸部271と連結部220とは、左右方向に並んでいる。接続状態において、嵌合凸部271をプラグ装置200の後向き側から前向きに見ると、嵌合凸部271は四角形状であり、嵌合凸部271の上下方向寸法は、開口部116の上下方向寸法以下である。嵌合凸部271は、本体ハウジング210に対して、前後方向に沿って移動可能である。
【0051】
図6及び
図7等に示されるように、プラグ装置200は、嵌合部270を備え、この嵌合部270の後向き側の端部が嵌合凸部271である。嵌合部270は本体ハウジング210に保持されている。本体ハウジング210は、後向き側を向く面で開口する凹所211を備える。この凹所211に嵌合部270が挿入され、凹所211の開口から嵌合凸部271が突出している。嵌合部270は凹所211に挿入された状態で前後方向に移動可能であり、そのために嵌合凸部271も前後方向に移動可能である。凹所211の内周面には、凹所211の開口の縁から内側に突出するリブ212が形成されている。嵌合部270の外周面の、嵌合凸部271よりも前向き側の位置には、外側に向かうリブ272が形成されている。凹所211のリブ212にその前向き側から嵌合部270のリブ272が突き当たることが、嵌合部270及び嵌合凸部271の、本体ハウジング210に対する後向き側への移動限界位置を規定する。嵌合凸部271が移動限界位置にあるとき、嵌合凸部271が本体ハウジング210から後向き側に向けて突出する。
【0052】
付勢機構275は、嵌合凸部271に後向きの力をかける。第一実施形態では、付勢機構275はコイルバネ276で構成される。コイルバネ276は凹所211の底面に形成された保持凹所213と、嵌合部270の前向き側の端面に形成された保持凹所274との間に、前後方向に伸びようとするように保持される。これにより、コイルバネ276が、嵌合部270及び嵌合凸部271に後向き側に向けて力をかける。
【0053】
操作部280及び変換機構285は、操作部280を押す力が変換機構285によって嵌合凸部271を前向き側に向けて移動させる力に変換するように、構成される。第一実施形態において、操作部280は本体ハウジング210に保持されており、本体ハウジング210の外面から外部に露出している。操作部280は本体ハウジング210に対して前後方向と直交する方向に移動可能であり、かつ本体ハウジング210に向けて押される。第一実施形態では、操作部280が本体ハウジング210の下向き側を向く面に形成された開口214で露出し、かつ本体ハウジング210に対して上下方向に移動可能である。すなわち、操作部280の移動方向は「上下方向」に一致し、操作部280が押される向きは「上向き」に一致する。開口214の内周面には開口214の内側へ向けて突出するリブ215が形成され、操作部280の外周面には操作部280の外側に向けて突出するリブ281が形成されている。開口214のリブ215にその上向き側から操作部280のリブ281が突き当たることが、操作部280の、本体ハウジング210に対する下向き側への移動限界位置を規定する。
【0054】
操作部280は、その上向き側の端面が、本体ハウジング210内で嵌合部270の外周面に、操作部280の移動する方向に突き当たるように、配置されている。操作部280における嵌合部270と突き当たる面(以下、当接面282という)と、嵌合部270における操作部280の当接面282と突き当たる面(以下、当接面273という)とは、いずれも、操作部280の移動方向と直交する仮想面に対して、嵌合凸部271が突出する側の位置ほど操作部280とは反対側に位置するように、傾斜している。
【0055】
操作部280がプラグ装置200の外部から本体ハウジング210の内側に向けて押されると、それに応じて、
図7に示すように、操作部280が上下方向の上向き側に移動し、操作部280の当接面282が嵌合部270の当接面273を押圧する。当接面273及び当接面282が上述のとおり傾斜し、かつ嵌合部270及び嵌合凸部271の移動可能な方向が凹所211によって規制されているため、嵌合部270及び嵌合凸部271には、その移動方向の、嵌合凸部271が突出する向きとは反対向きの力が加えられる。このため、嵌合部270及び嵌合凸部271、付勢機構275がかける力に抗して、嵌合凸部271が突出する向きとは反対向き側に移動する。これにより、嵌合凸部271が本体ハウジング210内に押し込まれる。また操作部280が押されなくても、プラグ装置200の外部から嵌合凸部271に嵌合凸部271が突出する向きとは反対向きの力がかけられたら、嵌合部270及び嵌合凸部271は、付勢機構275がかける力に抗して、嵌合凸部271が突出する向きとは反対向き側に移動し、嵌合凸部271が本体ハウジング210内に押し込まれる。
【0056】
第一実施形態では、アース端子252は、基部240における、前後方向の後向き側の面に保持されている。接続状態において、アース端子252は、配線ダクト100のアース用導体122に突き当てられて接触している。これにより、接続状態でアース端子252がアース用導体122と電気的に接続している。アース端子252の上下方向の位置は、連結部220の上下方向の中心と一致し、アース端子252の左右方向の位置は、連結部220の左右方向の中心と一致する。これは、配線ダクト100にプラグ装置200を接続する際にプラグ装置200を配線ダクト100に対して回転させても、アース端子252の位置が移動しにくくするためである。
【0057】
第一実施形態における、配線ダクト100にプラグ装置200を接続して接続状態を実現する方法、及び接続状態において配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す方法について、
図8から
図12を参照して説明する。
【0058】
配線ダクト100にプラグ装置200を接続する場合、端子部230が開口部116を通してハウジング110内に入れられ、かつ連結部220が開口部116に配置された状態で、端子部230が、前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転されることで、接続状態が実現する。
【0059】
具体的には、まず
図8に示すように、プラグ装置200を配線ダクト100に対して前向き側の位置に配置し、かつ配線ダクト100に対するプラグ装置200の全体の姿勢を、接続状態を基準として前後方向の軸を中心に回転して、接続端子251の突出する方向を配線ダクト100の長手方向と一致させる。
【0060】
次に、
図9及び
図10に示すように、プラグ装置200の端子部230を開口部116から内部空間111内に入れ、かつ連結部220を開口部116に配置する。開口部116の上下方向の寸法と比較して、接続状態での端子部230の左右方向での寸法は小さいため、前記のようにプラグ装置200の全体の姿勢を接続状態を基準に回転させれば、端子部230は開口部116を通って内部空間111内に入りうる。また、この状態で、プラグ装置200のアース端子252が配線ダクト100のアース用導体122に突き当たって接触し、アース端子252とアース用導体122とが電気的に接続される。また、嵌合凸部271は、配線ダクト100のハウジング110の接続面115に押し当てられることで、付勢機構275からかけられる力に抗して前後方向の前向き側に移動し、本体ハウジング210内に押し込められる。
【0061】
次に、
図11及び
図12に示すように、プラグ装置200の全体を、連結部220を中心に、回転させる。このとき、接続端子251が上方に向けて円弧を描くように移動し、接続端子251が上向き側に突出することとなるまで、プラグ装置200を回転させる。プラグ装置200が回転する過程で、接続端子251の各々は、対応する保持空間117の連通口118から保持空間117内に挿入され、更に対応する伝送用導体121の板バネ123の間に進入する。これにより、接続端子251が伝送用導体121の板バネ123の間に挟まれて、接続端子251が伝送用導体121と電気的に接続される。このとき、接続端子251は板バネ123の長手方向に対して傾斜した状態で板バネ123の間に進入するが、接続端子251は上述のとおり傾斜面253を有することから、接続端子251は板バネ123の間に円滑に進入しうる。
【0062】
また、プラグ装置200が回転している間、上述のとおりアース端子252の位置が移動しにくくいため、アース端子252とアース用導体122との間の電気的接続が継続的に維持されうる。そのため、まずアース端子252とアース用導体122とが電気的に接続され、続いてその状態が維持されたまま接続端子251と伝送用導体121とが電気的に接続されうる。
【0063】
接続端子251が上方に突出した状態となると、接続状態が実現される。このとき、嵌合凸部271が開口部116に対向する位置に配置されることで、嵌合凸部271には付勢機構275に抗する力がかからなくなる。嵌合凸部271は付勢機構275からかけられる力によって開口部116に向けて移動して、開口部116に嵌まり込む。すなわち、接続状態では、連結部220が開口部116に配置され、嵌合凸部271が開口部116に嵌まり込み、かつ連結部220と嵌合凸部271とが開口部116の長手方向に並んでいる。このため、嵌合凸部271によって、プラグ装置200の、配線ダクト100に対する前後方向に沿った仮想軸Axを中心とした回転が、禁止される。また、上述のとおり、接続状態においては、基部240の上方側の端部と下方側の端部とが開口部116の上方側の縁と下方側の縁とにそれぞれ引っ掛かる。そのため、接続状態が安定して維持され、配線ダクト100からプラグ装置200が不用意に脱落しにくくなる。
【0064】
配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す場合には、まず人がプラグ装置200の操作部280を押すことで、嵌合凸部271を前後方向の前向き側に移動させ、嵌合凸部271と開口部116との嵌め合いを解除する。この状態を維持したまま、プラグ装置200の全体を配線ダクト100に対して、連結部220を中心に回転させる。これにより、端子部230が前後方向に沿った軸を中心に回転し、接続端子251が伝送用導体121から離れて、開口部116の長手方向に沿って突出する状態となる。この状態で配線ダクト100に対してプラグ装置200を前後方向の前向き側へ移動させると、端子部230が開口部116から配線ダクト100の外部へ移動する。これにより、プラグ装置200が取り外される。
【0065】
図11及び
図12に示すように、第一実施形態では、本体ハウジング210の上下方向の寸法は、ハウジング110の上下方向の寸法以下である。また、接続状態において、本体ハウジング210の上向き側の端部は、ハウジング110の上向き側の端部よりも上向き側の位置へは配置されず、本体ハウジング210の下向き側の端部は、ハウジング110の下向き側の端部よりも下向き側の位置へは配置されない。このため、接続状態において、プラグ装置200は配線ダクト100に対して収まりよく配置される。
【0066】
第二実施形態の詳細について、
図13から
図18を参照して説明する。
【0067】
第二実施形態に係るプラグ装置200を、
図13から
図15に示す。第二実施形態では、本体ハウジング210は直方体状であり、本体ハウジング210における6つの面は、接続状態においてそれぞれ上下左右前後を向く。
【0068】
プラグ装置200は、配線システム300が伝送する電力又は信号等を出力するコネクタ261を備える。第一実施形態において、コネクタ261は、本体ハウジング210に対して固定され、本体ハウジング210における前後方向の前方側を向く面に、コネクタ261の差込口262が開口している。
【0069】
本体ハウジング210に、連結部220が連結されている。連結部220は、本体ハウジング210に対して後向き側の位置に配置されている。第二実施形態では、プラグ装置200は本体ハウジング210に保持された回転部225を備え、回転部225は、本体ハウジング210に対して連結部220側に配置されている。連結部220は、回転部225に直接連結されていることで、本体ハウジング210に回転部225を介して連結されている。回転部225は、本体ハウジング210に対して前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転可能である。そのため、連結部220及びこの連結部220に連結されている端子部230も、前記の仮想軸Axを中心に回転可能である。
【0070】
第二実施形態では、本体ハウジング210の、後向き側の面には、前向き側に向けて凹んだ凹所216が形成されている。凹所216は、後向き側、左向き側、右向き側及び下向き側に、開放されている。回転部225は、凹所216に収まる形状及び寸法を有し、接続状態において、凹所216に配置されている。
【0071】
接続状態における回転部225の左右方向の一方の端部に連結部220が直接連結されている。連結部220は回転部225から後向き側に向けて突出している。このため、連結部220は、本体ハウジング210に対して、上下方向の下方寄りの位置に配置されている。すなわち、本体ハウジング210の上下方向の中心位置よりも、連結部220の上下方向の中心位置が、下方にある。連結部220の上下方向の寸法及び左右方向の寸法は、いずれも配線ダクト100の開口部116の上下方向の寸法以下であり、かつ連結部220は開口部116に配置された状態で連結部220を通る前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転可能な形状を有する。
【0072】
図14及び
図15に示すように、回転部225は、連結部220を通る前後方向に沿った仮想軸Axを中心に、本体ハウジング210に対して回転可能である。このため、連結部220及び端子部230も、この仮想軸Axを中心に回転可能である。回転部225は、この回転部225が凹所216内に配置された状態と、回転部225の連結部220側とは反対側の端部が連結部220により下向き側に配置された状態との間で、回転可能である。なお、接続状態では、回転部225が凹所216内に配置される。以下、
図13及び
図14に示される回転部225が凹所216内に配置された状態をロック状態、
図15に示される回転部225の連結部220側とは反対側の端部が連結部220により下向き側に配置された状態を解除状態ともいう。
【0073】
連結部220には、その後方側に、端子部230の基部240が連結され、これにより連結部220に端子部230が連結している。なお、本体ハウジング210に端子部230が回転部225及び連結部220を介して連結している、ということもできる。
【0074】
開口部116の上下方向の寸法と比較して、接続状態での端子部230の上下方向寸法は大きく、かつ前後方向と直交する少なくとも一つの方向、例えば左右方向での寸法は小さい。
【0075】
基部240の、接続状態(ロック状態)での上下方向の寸法は、連結部220の上下方向寸法よりも大きく、かつ基部240は、連結部220よりも、上下方向に沿った上方に向けて突出している。すなわち、接続状態(ロック状態)において、基部240の上向き側の端部の位置は連結部220の上向き側の端部の位置よりも上方にある。このため、接続状態(ロック状態)において、連結部220が開口部116に配置され、かつ基部240が内部空間111に配置されると、基部240の上方側の端部が開口部116の上方側の縁に引っ掛かり、配線ダクト100からプラグ装置200が脱落しにくくなる。
【0076】
第二実施形態では、端子部230は二つの接続端子251を備える。接続状態(ロック状態)において、接続端子251は、いずれも基部240から上方に突出している。接続端子251は、前後方向に並んでいる。接続端子251の各々は、前後方向に厚みを有する導体板である。また、接続端子251の各々は、第一実施形態と同様、
図5に示すように、接続端子251の厚み方向と接続端子251の突出する方向とのいずれとも直交する方向の各端部における、接続端子251の厚み方向の両側の各縁部に、面取り状の傾斜面253を有する、傾斜面253は平面であるが、曲面であってもよい。
【0077】
接続端子251と伝送用導体121とは一対一で対応しており、接続状態において、各接続端子251は、対応する連通口118から対応する保持空間117内に挿入され、対応する伝送用導体121と電気的に接続されている。接続端子251は伝送用導体121における2つの板バネ123の間に挟まれることで、伝送用導体121に安定して接続されている(
図18参照)。
【0078】
第二実施形態では、プラグ装置200は、中継端子254を備える。中継端子254は、回転部225から突出している。中継端子254は、端子部230における接続端子251と電気的に接続されている。中継端子254は、ロック状態において、本体ハウジング210に保持されているコネクタ261に電気的に接続することで、接続端子251とコネクタ261とを電気的に接続する。
【0079】
中継端子254は、ロック状態では、回転部225の上下方向の上向き側を向く面から、上下方向の上向き側へ突出している。中継端子254の数は、接続端子251と同数であり、すなわち第二実施形態では2つである。中継端子254の各々は、前後方向に厚みを有する導体板である。中継端子254は、左右方向に沿って並んでいる。中継端子254は、回転部225内、連結部220内及び基部240内を通じて、それぞれ接続端子251に電気的に接続している。
【0080】
本体ハウジング210は、凹所216の内面における、ロック状態での回転部225の上方において回転部225に上下方向に対抗する面に、スリット状の開口217を有する。ロック状態において、中継端子254は開口217内に挿入されている。
【0081】
また、解除状態では、接続端子251は、基部240から左右方向に突出する。また、中継端子254は、開口217には挿入されずに外部に露出して、回転部225から左右方向に突出している。
【0082】
第二実施形態では、アース端子252は、基部240における、前後方向の前向き側の端面に設けられている。アース端子252は、回転部225が仮想軸Axを中心に回転する際の、仮想軸Axが通る位置に配置されている。接続状態において、アース端子252は、配線ダクト100のアース用導体122に突き当てられて接触している。これにより、接続状態でアース端子252がアース用導体122と電気的に接続している。
【0083】
第二実施形態における、配線ダクト100にプラグ装置200を接続して接続状態を実現する方法、及び接続状態において配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す方法について、
図16から
図18を参照して説明する。
【0084】
配線ダクト100にプラグ装置200を接続する場合、端子部230が開口部116を通してハウジング110内に入れられ、かつ連結部220が開口部116に配置された状態で、端子部230が、前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転されることで、接続状態が実現する。
【0085】
具体的には、まず
図16に示すように、プラグ装置200を配線ダクト100に対して前向き側の位置に配置し、かつ配線ダクト100に対する本体ハウジング210の姿勢は接続状態と同じにする。回転部225は、接続状態を基準にして本体ハウジング210に対して回転させて、上述の解除状態とする。これにより、接続端子251の突出する方向を配線ダクト100の長手方向と一致させる。
【0086】
次に、
図17に示すように、プラグ装置200の端子部230を開口部116から内部空間111内に入れ、かつ連結部220を開口部116に配置する。開口部116の上下方向の寸法と比較して、接続状態での端子部230の左右方向での寸法は小さいため、前記のように回転部225を解除状態とすれば、端子部230は開口部116を通って内部空間111内に入りうる。また、この状態で、プラグ装置200のアース端子252が配線ダクト100のアース用導体122に突き当たって接触し、アース端子252とアース用導体122とが電気的に接続される。
【0087】
次に、
図18に示すように、本体ハウジング210に対して、回転部225を、連結部220を通る前後方向の仮想軸Axを中心に、回転させる。このとき、接続端子251と、中継端子254とが、上方に向けて円弧を描くように移動し、接続端子251と、中継端子254とが、上向き側に突出することとなるまで、回転部225を回転させる。回転部225が回転する過程で、接続端子251の各々は、対応する保持空間117の連通口118から保持空間117内に挿入され、更に対応する伝送用導体121の板バネ123の間に進入する。これにより、接続端子251が伝送用導体121の板バネ123の間に挟まれて、接続端子251が伝送用導体121と電気的に接続される。このとき、接続端子251は板バネ123の長手方向に対して傾斜した状態で板バネ123の間に進入するが、接続端子251は上述のとおり傾斜面253を有することから、接続端子251は板バネ123の間に円滑に進入しうる。また、中継端子254は、開口217内に挿入されて、コネクタ261と電気的に接続される。これにより、回転部225がロック状態となる。
【0088】
また、アース端子252には仮想軸Axが通るため、回転部225が回転している間、アース端子252の位置が移動しにくい。そのため、アース端子252とアース用導体122との間の電気的接続が継続的に維持されうる。そのため、まずアース端子252とアース用導体122とが電気的に接続され、続いてその状態が維持されたまま接続端子251と伝送用導体121とが電気的に接続されうる。
【0089】
回転部225がロック状態となり、接続端子251が上方に突出した状態となると、接続状態が実現される。上述のとおり、接続状態においては、基部240の上方側の端部が開口部116の上方側の縁に引っ掛かる。そのため、接続状態が安定して維持され、配線ダクト100からプラグ装置200が不用意に脱落しにくくなる。
【0090】
配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す場合には、回転部225を回転させて解除状態とする。これにより、端子部230が前後方向に沿った軸を中心に回転し、接続端子251が伝送用導体121から離れて、開口部116の長手方向に沿って突出する状態となる。この状態で配線ダクト100に対してプラグ装置200を前後方向の前向き側へ移動させると、端子部230が開口部116から配線ダクト100の外部へ移動する。これにより、プラグ装置200が取り外される。
【0091】
第二実施形態では、配線ダクト100にプラグ装置200を接続する場合に、本体ハウジング210を配線ダクト100に対して回転させることなく、回転部225を回転させることで、接続の操作を行うことができる。また配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す場合も、本体ハウジング210を配線ダクト100に対して回転させることなく、回転部225を回転させることで、取り外しの操作を行うことができる。このため、例えば配線ダクト100に二つのプラグ装置200を接続する場合、二つのプラグ装置200を隙間なく隣接させていても、プラグ装置200の接続及び取り外しが容易となる。
【0092】
第二実施形態では、第一実施形態と同様、
図18に示すように、本体ハウジング210の上下方向の寸法は、ハウジング110の上下方向の寸法以下である。また、接続状態において、本体ハウジング210の上向き側の端部は、ハウジング110の上向き側の端部よりも上向き側の位置へは配置されず、本体ハウジング210の下向き側の端部は、ハウジング110の下向き側の端部よりも下向き側の位置へは配置されない。このため、接続状態において、プラグ装置200は配線ダクト100に対して収まりよく配置される。
【0093】
第三実施形態の詳細について、
図19から
図27を参照して説明する。
【0094】
第三実施形態に係るプラグ装置200を、
図19から
図21に示し、このプラグ装置200における本体ハウジング210を
図22に示し、このプラグ装置200におけるコネクタ部260を
図23及び
図24に示す。第三実施形態では、本体ハウジング210は直方体状であり、本体ハウジング210における6つの面は、接続状態においてそれぞれ上下左右前後を向く。
【0095】
プラグ装置200は、本体ハウジング210内に保持されたコネクタ部260を備える。コネクタ部260は、配線システム300が伝送する電力又は信号等を出力するコネクタ261を有する。連結部220は、コネクタ部260に直接連結していることで、本体ハウジング210にコネクタ部260を介して連結している。コネクタ部260が本体ハウジング210に対して、前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転可能であることで、端子部230が仮想軸Axを中心に回転可能である。
【0096】
本体ハウジング210は、前後方向に貫通する中空部218と、中空部218に通じる凹所219とを有する。
図22に示すように本体ハウジング210を後向き側から前向きに見ると、中空部218は、前後方向に沿った仮想軸Axを中心とする円形状である。凹所219は、本体ハウジング210の後向き側を向く面で開口する。凹所219は、中空部218に対して下向き側の位置に、中空部218の外周に接するように形成されている。本体ハウジング210を後向き側から前向きに見ると、凹所219は、中空部218と同じく前後方向に沿った仮想軸Axを中心としかつ中空部218よりも大きな半径を有する扇型から、中空部218と重なる部分を除いた形状を有する。このため、凹所219は、中空部218と接する箇所で中空部218に通じている。中空部218の、周方向の両端は、それぞれストッパ265を構成している。
【0097】
本体ハウジング210は、接続状態において配線ダクト100の開口部116に嵌まり込む係合部235を備える。本体ハウジング210は、二つの係合部235を備える。各係合部235は、本体ハウジング210の後向き側を向く面から、後向き側に向けて突出する。本体ハウジング210を後向き側から前向きに見ると、二つの係合部235は凹所219を挟んで左右方向に並ぶように配置されている。本体ハウジング210を後向き側から前向きに見ると、各係合部235は、凹所219に接し、各係合部235の、凹所219と接する面は、凹所219の形状に沿った円弧状である。係合部235の上下方向の寸法は、配線ダクト100の開口部116の上下方向寸法以下である。
【0098】
コネクタ部260は、配線システム300が伝送する電力又は信号等を出力するコネクタ261を有する。コネクタ部260は、本体ハウジング210の中空部218内に保持され、かつ前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転可能な本体部263と、凹所219内に配置され、本体部263の回転に伴って凹所219内を周方向に移動可能な移動部264とを備える。本体部263がコネクタ261を備え、本体部263における前向き側を向く面で、コネクタ261の差込口262が開口している。移動部264は、本体部263の外周面の一部から突出している。移動部264の、本体部263の外周に沿った寸法は、凹所219の、本体部263の外周に沿った寸法よりも小さい。そのため、移動部264は凹所219内を移動可能である。移動部264は、凹所219の二つのストッパ265の間で移動可能である。すなわち、コネクタ部260は本体部263の中心を通る前後方向に沿った仮想軸Axを中心に本体ハウジング210に対して回転可能であり、かつストッパ265は、コネクタ部260の回転移動範囲を規定する。
【0099】
コネクタ部260に連結部220が直接連結されていることで、本体ハウジング210に、コネクタ部260を介して連結部220が連結されている。連結部220は、コネクタ部260に対して後向き側の位置に配置され、かつコネクタ部260から後向き側に向けて突出している。連結部220は、プラグ装置200を後向き側から前向きに見ると、コネクタ部260の本体部263の中心を通る前後方向に沿った仮想軸Axから、移動部264側に寄った位置に、移動部264と重なるように配置されている。コネクタ部260は、仮想軸Axを中心に回転可能であるため、連結部220及び連結部220に連結されている端子部230は、仮想軸Axを中心に回転可能である。なお、連結部220及び連結部220に連結されている端子部230は、仮想軸Axを中心に円弧状に移動可能である、ということもできる。連結部220及び端子部230の回転移動範囲も、ストッパ265によって規定される。
【0100】
以下、コネクタ部260、連結部220及び端子部230の移動が二つのストッパ265のうち一方で規制されている状態をロック状態(
図20参照)、他方のストッパで規制されている状態を解除状態(
図21参照)という。接続状態においてはコネクタ部260等はロック状態にある。
図22には、本体ハウジング210に対する、解除状態での連結部220の位置が符号220Aで示され、ロック状態での連結部220の位置が符号220Bで示されている。連結部220は、ロック状態、解除状態、及びその間の状態のいずれにおいても、プラグ装置200を後向き側から前向きに見ると、上下方向における係合部235の上向き側の端部の位置と下向き側の端部の位置との間に収まるように、配置される。このため、連結部220が開口部116に配置されている状態で、連結部220がロック状態と解除状態のとの間で移動可能である。
【0101】
連結部220及び係合部235は、本体ハウジング210に対して、上下方向の下方寄りの位置に配置されている。すなわち、本体ハウジング210の上下方向の中心位置よりも、連結部220の上下方向の中心位置及び係合部235の上下方向の中心位置が、下方にある。
【0102】
連結部220には、その後向き側に、端子部230の基部240が連結され、これにより連結部220に端子部230が連結している。なお、本体ハウジング210に端子部230がコネクタ部260及び連結部220を介して連結している、ということもできる。
【0103】
開口部116の上下方向の寸法と比較して、接続状態での端子部230の上下方向寸法は大きく、かつ前後方向と直交する少なくとも一つの方向、例えば左右方向での寸法は小さい。
【0104】
図20に示すように、接続状態(ロック状態)では、基部240は、連結部220よりも、上下方向に沿った上方に向けて突出している。すなわち、接続状態(ロック状態)において、基部240の上向き側の端部の位置は、連結部220の上向き側の端部の位置及び係合部235の上向き側の端部の位置よりも、上方にある。このため、接続状態(ロック状態)において、連結部220が開口部116に配置され、かつ基部240が内部空間111に配置されると、基部240の上方側の端部が開口部116の上方側の縁に引っ掛かり、配線ダクト100からプラグ装置200が脱落しにくくなる(
図27参照)。
【0105】
第三実施形態では、端子部230は二つの接続端子251を備える。接続状態(ロック状態)において、接続端子251は、いずれも基部240から上方に突出している(
図20参照)。接続端子251は、前後方向に並んでいる。接続端子251の各々は、前後方向に厚みを有する導体板である。また、第一実施形態と同様、
図5に示すように、接続端子251の各々は、接続端子251の厚み方向と接続端子251の突出する方向とのいずれとも直交する方向の各端部における、接続端子251の厚み方向の両側の各縁部に、面取り状の傾斜面253を有する、傾斜面253は平面であるが、曲面であってもよい。
【0106】
接続端子251と伝送用導体121とは一対一で対応しており、接続状態において、各接続端子251は、対応する連通口118から対応する保持空間117内に挿入され、対応する伝送用導体121と電気的に接続されている。接続端子251は伝送用導体121における2つの板バネ123の間に挟まれることで、伝送用導体121に安定して接続されている(
図27参照)。
【0107】
端子部230は、コネクタ部260及び連結部220が前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転することに伴い、この仮想軸Axを中心に回転可能であり、かつ端子部230の移動範囲がストッパ265によって規制されている。なお、端子部230は、この仮想軸Axを中心に円弧状に移動可能である、ということもできる。
【0108】
解除状態では、接続端子251は、基部240から左右方向に突出する(
図21参照)。また、解除状態では、プラグ装置200を後向き側から前向きに見ると、接続端子251は、上下方向における係合部235の上向き側の端部の位置と下向き側の端部の位置との間に収まる。
【0109】
第三実施形態における、配線ダクト100にプラグ装置200を接続して接続状態を実現する方法、及び接続状態において配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す方法について、
図25から
図27を参照して説明する。
【0110】
配線ダクト100にプラグ装置200を接続する場合、端子部230が開口部116を通してハウジング110内に入れられ、かつ連結部220が開口部116に配置された状態で、端子部230が、前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転されることで、接続状態が実現する。
【0111】
具体的には、まず
図25に示すように、プラグ装置200を配線ダクト100に対して前向き側の位置に配置し、かつ配線ダクト100に対する本体ハウジング210の姿勢は接続状態と同じにする。コネクタ部260等は上述の解除状態とする。これにより、接続端子251の突出する方向を配線ダクト100の長手方向と一致させる。
【0112】
次に、
図26に示すように、プラグ装置200の端子部230及び係合部235を、開口部116から内部空間111内に入れ、かつ連結部220を開口部116に配置する。係合部235の上下方向の寸法は開口部116の上下方向寸法以下であり、かつ解除状態では連結部220及び端子部230は上下方向において係合部235の上向き側の端部と下向き側の端部との間に収まるため、解除状態では、係合部235及び端子部230は開口部116を通って内部空間111内に入りうる。
【0113】
次に、
図27に示すように、本体ハウジング210に対して、コネクタ部260を、前後方向の仮想軸Axを中心に、回転させ、ロック状態とする。このとき、コネクタ部260の回転に伴って、接続端子251が円弧を描くように移動し、接続端子251が上向き側に突出する。コネクタ部260が回転する過程で、接続端子251の各々は、対応する保持空間117の連通口118から保持空間117内に挿入され、更に対応する伝送用導体121の板バネ123の間に進入する。これにより、接続端子251が伝送用導体121の板バネ123の間に挟まれて、接続端子251が伝送用導体121と電気的に接続される。このとき、接続端子251は板バネ123の長手方向に対して傾斜した状態で板バネ123の間に進入するが、接続端子251は上述のとおり傾斜面253を有することから、接続端子251は板バネ123の間に円滑に進入しうる。
【0114】
また、アース端子252がアース用導体122と接する位置に移動し、アース端子252とアース用導体122とが電気的に接続される。
【0115】
回転部225がロック状態となり、接続端子251が上方に突出した状態となると、接続状態が実現される。上述のとおり、接続状態においては、基部240の上方側の端部が開口部116の上方側の縁に引っ掛かる。そのため、接続状態が安定して維持され、配線ダクト100からプラグ装置200が不用意に脱落しにくくなる。
【0116】
配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す場合には、コネクタ部260を回転させて解除状態とする。これにより、端子部230が前後方向に沿った仮想軸Axを中心に回転し、接続端子251が伝送用導体121から離れて、開口部116の長手方向に沿って突出する状態となる。この状態で配線ダクト100に対してプラグ装置200を前後方向の前向き側へ移動させると、係合部235及び端子部230が開口部116から配線ダクト100の外部へ移動する。これにより、プラグ装置200が取り外される。
【0117】
第三実施形態では、配線ダクト100にプラグ装置200を接続する場合に、本体ハウジング210を配線ダクト100に対して回転させることなく、コネクタ部260を回転されることで、接続の操作を行うことができる。また配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す場合も、本体ハウジング210を配線ダクト100に対して回転させることなく、コネクタ部260を回転されることで、取り外しの操作を行うことができる。このため、例えば配線ダクト100に二つのプラグ装置200を接続する場合、二つのプラグ装置200を隙間なく隣接させていても、プラグ装置200の接続及び取り外しが容易となる。
【0118】
第三実施形態では、第一実施形態と同様、
図27に示すように、本体ハウジング210の上下方向の寸法は、ハウジング110の上下方向の寸法以下である。また、接続状態において、本体ハウジング210の上向き側の端部は、ハウジング110の上向き側の端部よりも上向き側の位置へは配置されず、本体ハウジング210の下向き側の端部は、ハウジング110の下向き側の端部よりも下向き側の位置へは配置されない。このため、接続状態において、プラグ装置200は配線ダクト100に対して収まりよく配置される。
【0119】
本開示の変形例について説明する。変形例において、上記実施形態と同じ構成については、図に実施形態と同じ符号を付する。また、上記実施形態と同じ構成については、適宜説明を省略する。
【0120】
配線ダクト100におけるアース用導体122の位置、及びプラグ装置200におけるアース端子252の位置は、上記の説明に制限されない。
【0121】
第一変形例では、
図28に示すように、保持部112がアース用導体122を、伝送用導体121と同様に保持してもよい。この場合、保持部112は、保持部112が保持するアース用導体122を内部空間11に通じさせる連通口118を備え、連通口118は、内部空間111に向けて、上下方向に開口する。
【0122】
保持部112が伝送用導体121とアース用導体122を保持する場合、配線ダクト100の備える全ての導体120が、保持部112によって保持されうる。その場合、配線ダクト100内に開口部116から粉塵等が侵入したしても、いずれの導体120においても、粉塵等に起因する導体120間の短絡、プラグ装置200との接触不良などの不具合の発生が抑制される。
【0123】
第二変形例では、
図29に示すように、アース用導体122は、ハウジング110における内部空間111に面する内面における、接続面115側の位置に配置されている。
図29では、アース用導体122は、外殻部113における、開口部116よりも上向き側の位置にある。この場合、アース用導体122は前後方向における後向き側を向く。
【0124】
これに伴い、プラグ装置200におけるアース端子252は、基部240における、前後方向の後向き側を向く面に保持されていてもよい。この場合、アース端子252は、接続状態においてアース用導体122と接する位置に配置される。
【0125】
アース用導体122及びアース端子252が上記の位置にあると、配線ダクト100の外部からは、開口部116を通してアース用導体122が視認されにくい。その結果、配線ダクト100が備える導体120は、いずれも開口部116を通して視認されにくくなる。そのため、導体120が露出していることによる無用な不安感を、配線ダクト100を観察する人に与えにくくできる。
【0126】
上記以外に、配線ダクト100の有する導体120の数、種類及び位置は適宜設定されうる。それに応じて、プラグ装置200の有する端子250の数、種類及び位置も、適宜設定されうる。
【0127】
配線ダクト100が備える導体120の形状、及びプラグ装置200が備える端子250の形状は、上記説明に制限されない。
【0128】
第三変形例では、
図30に示すように、配線ダクト100における、保持部112に保持されている導体120(伝送用導体121)の各々は、前後方向に厚みを有する一つの導体板である。この場合、プラグ装置200における、保持部112に保持されている導体120に電気的に接続される端子250(接続端子251)の各々は、前後方向に対向し合う二つの板バネ255を備えてもよい。この場合、接続状態では、二つの板バネ255の間に配線ダクト100の導体120が挟まれることで、導体120と端子250との間の安定した電気的接続が実現されうる。二つの板バネ255は、一つの板材で構成されていてもよく、すなわち屈曲した形状の板材の一方の端部側の部分と他方の端部側の部分との各々が、板バネ255であってもよい。
【0129】
プラグ装置200におけるコネクタ261及び差込口262の位置も、上記説明に制限されない。
【0130】
第四変形例では、
図31に示すように、本体ハウジング210が、前後方向と交差する一方向に沿った向きを向くコネクタ261を有する。具体的には、
図31では、本体ハウジング210における左右方向の一方の向き(左向き)を向く面に、コネクタ261を有し、この面で、コネクタ261の差込口262が開口している。この場合、コネクタ261に外部のプラグを接続するにあたり、外部のプラグ及びこのプラグに接続されたコード類が、壁面の向く向きに突き出にくくなり、そのため、プラグ及びコード類の収まりが良くなりうる。
【0131】
上記実施形態では、端子部230を配線ダクト100内に入れてから端子部230を配線ダクト100に対して回転させることで接続状態を実現するが、これとは異なる態様によって接続状態が実現されてもよい。
【0132】
第五変形例では、
図32及び
図33に示すように、上下方向での開口部116の寸法と比較して、接続状態での端子部230の、上下方向での寸法が小さい。このため、端子部230が開口部116を通して内部空間111に入れられてから、端子部230が保持部に向けて上向きに移動されることで、接続状態が実現する。
【0133】
また、第五変形例では、プラグ装置200が嵌合凸部271を備え、配線ダクト100は接続状態で嵌合凸部271が嵌まり込む嵌合凹部130を備える。接続状態では、嵌合凸部271は、嵌合凹部130に嵌まり込むことで、プラグ装置200が配線ダクト100に対して下方に移動することを禁止する。接続状態が安定して維持されうる。
【0134】
嵌合凸部271は、本体ハウジング210の、後向き側を向く面から、後向きに側に突出している。嵌合凸部271の上下方向の位置は、端子部230の上向き側の端部よりも、上向き側にある。嵌合凸部271は、前後方向に沿って移動可能である。プラグ装置200は第一実施形態の場合と同様の付勢機構275を備え、この付勢機構275によって嵌合凸部271に後向き側に向かう力がかけられている。プラグ装置200は第一実施形態の場合と同様の操作部280及び変換機構285も備え、操作部280に押す力が加えられると、その力が変換機構285によって、嵌合凸部271を前向き側に向けて移動させる力に変換される。
【0135】
配線ダクト100にプラグ装置200を接続する場合、まず
図32に示すように、プラグ装置200を配線ダクト100に対して前向き側の位置に配置し、かつ配線ダクト100に対する本体ハウジング210の姿勢は接続状態と同じにする。プラグ装置200の端子部230は、配線ダクト100の開口部116と対向させる。
【0136】
次に、
図33に示すように、プラグ装置200の端子部230を、回転させることなくそのまま、開口部116から内部空間111内に入れ、かつ連結部220を開口部116に配置する。開口部116の上下方向の寸法と比較して、接続状態での端子部230の上下方向での寸法は小さいため、端子部230は開口部116を通って内部空間111内に入りうる。嵌合凸部271は配線ダクト100の接続面115に押し当てられることで、付勢機構275からかけられる力に抗して本体ハウジング210内に向けて前向き側へ移動する。
【0137】
次に、配線ダクト100に対して、プラグ装置200を上向きに移動させる。これにより、端子部230が上向きに移動する。端子部230が移動する過程で、接続端子251の各々は、対応する保持空間117の連通口118から保持空間117内に挿入され、更に対応する伝送用導体121の板バネ123の間に進入する。これにより、接続端子251が伝送用導体121の板バネ123の間に挟まれて、接続端子251が伝送用導体121と電気的に接続される。これにより、接続状態が実現される。嵌合凸部271は嵌合凹部130と対向する位置に配置されることで、付勢機構275からかけられる力によって後向き側に向けて移動し、嵌合凹部130に嵌まり込む。これにより、配線ダクト100に対してプラグ装置200が下向き側に向けて移動することが禁止され、接続状態が安定して維持されうる。
【0138】
配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す場合は、まず人がプラグ装置200の操作部280を押すことで、嵌合凸部271を前後方向の前向き側に移動させ、嵌合凸部271と嵌合凹部130との嵌め合いを解除する。この状態を維持したまま、プラグ装置200の全体を配線ダクト100に対して、下向き側に向けて移動させる。これにより、接続端子251が伝送用導体121から離れる。この状態で配線ダクト100に対してプラグ装置200を前後方向の前向き側へ移動させると、端子部230が開口部116から配線ダクト100の外部へ移動する。これにより、プラグ装置200が取り外される。
【0139】
この変形例によれば、配線ダクト100にプラグ装置200を接続する場合に、プラグ装置200の一部及び全部を配線ダクト100に対して回転させることなく、接続の操作を行うことができる。また配線ダクト100からプラグ装置200を取り外す場合も、プラグ装置200の一部及び全部を配線ダクト100に対して回転させることなく、取り外しの操作を行うことができる。このため、例えば配線ダクト100に二つのプラグ装置200を接続する場合、二つのプラグ装置200を隙間なく隣接させていても、プラグ装置200の接続及び取り外しが容易となる。
【0140】
(まとめ)
第一の態様に係る配線ダクト(100)は、長尺であり、かつ内側に内部空間(111)を有するハウジング(110)と、ハウジング(110)内に保持されている複数の導体(120)とを備える。複数の導体(120)は、複数の伝送用導体(121)を含む。ハウジング(110)の外面は、ハウジング(110)の長さ方向に平行な設置面(114)と、設置面(114)とは内部空間(111)を挟んで反対側にある接続面(115)とを含む。ハウジング(110)は、接続面(115)で開口し、内部空間(111)に通じ、かつハウジング(110)の長手方向に沿って長い開口部(116)を有する。ハウジング(110)は、伝送用導体(121)を全て保持する保持部(112)を備え、保持部(112)と内部空間(111)とは、ハウジング(110)の長さ方向と設置面(114)と直交する方向とのいずれとも直交する方向に沿って並ぶ。保持部(112)は、保持部(112)が保持する導体(120)を内部空間(111)に通じさせる連通口(118)を備える。連通口(118)は、内部空間(111)に向けて、ハウジング(110)の長さ方向と設置面(114)と直交する方向とのいずれとも直交する方向に開口する。
【0141】
この態様によると、特に配線ダクト(100)を壁面に設置する場合に、開口部(116)から内部空間(111)へ粉塵等が入り込んでも、粉塵等が伝送用導体(121)の間に堆積しにくく、そのため粉塵等による短絡等の不具合が抑制されうる。
【0142】
第二の態様では、第一の態様において、複数の導体(120)は、アース用導体(122)を更に含む。
【0143】
この態様によると、アース用導体(122)により、配線ダクト(100)に接続されるプラグ装置(200)を、アースに接続することができる。
【0144】
第三の態様では、第二の態様において、アース用導体(122)は、ハウジング(110)における内部空間(111)に面する内面における、設置面(114)側の、開口部(116)と対向する位置に保持されている。
【0145】
この態様によると、配線ダクト(100)にプラグ装置(200)を接続するにあたり、プラグ装置(200)のアース端子(252)をアース用導体(122)に突き当てることでるプラグ装置(200)を容易にアースに接続できる。また、保持部(112)でアース用導体(122)を保持する必要がないため、アース用導体(122)による保持部(112)のサイズの増大がなく、そのため配線ダクト(100)の全体の厚みの増大を生じなくできる。
【0146】
第四の態様では、第三の態様において、内部空間(111)の内面における、開口部(116)と対向する位置に、内部空間(111)と配線ダクト(100)の外部とを通じさせる取付孔(119)が開口する。取付孔(119)の、保持部(112)と内部空間(111)とが並ぶ方向の位置は、保持部(112)に保持されている導体(120)と、アース用導体(122)との間にある。
【0147】
この態様によると、取付孔(119)にビスなどの固定具(402)を通すことで配線ダクト(100)を固定でき、この場合、配線ダクト(100)に接続されたプラグ装置(200)に力が加えられることで保持部(112)に保持されている導体(120)とアース用導体(122)とに荷重がかかっても、導体(120)とアース用導体(122)との間の箇所が固定具(402)で固定されることで、導体(120)とアース用導体(122)とに過度な荷重がかかりにくくなる。
【0148】
第五の態様では、第二の態様において、アース用導体(122)は、ハウジング(110)における内部空間(111)に面する内面における、接続面(115)側の位置に配置されている。
【0149】
この態様によると、アース用導体(122)が配線ダクト(100)の外部から視認されにくくなるため、導体が露出していることによる無用な不安感を、配線ダクト(100)を観察する人に与えにくくできる。
【0150】
第六の態様では、第二の態様において、保持部(112)は、アース用導体(122)を保持する。保持部(112)は、保持部(112)が保持するアース用導体(122)を内部空間(111)に通じさせる連通口(118)を備える。連通口(118)は、内部空間(111)に向けて、ハウジング(110)の長さ方向と設置面(114)と直交する方向とのいずれとも直交する方向に開口する。
【0151】
この態様によると、特に配線ダクト(100)を壁面に設置する場合に、開口部(116)から内部空間(111)へ粉塵等が入り込んでも、粉塵等がアース用導体(122)にも堆積しにくく、そのため粉塵等による短絡等の不具合が抑制されうる。
【0152】
第七の態様では、第一から第六のいずれか一の態様において、保持部(112)に保持されている導体(120)の各々は、ハウジング(110)の外部から開口部(116)を通じて視認できない位置に配置されている。
【0153】
この態様によると、開口部(116)を通じて異物が配線ダクト(100)内に挿入されても、異物が保持部(112)に保持されている導体(120)に到達しにくくなるため、異物による導体(120)の破損、短絡等の不具合が起こりにくい。
【0154】
第八の態様では、第一から第七のいずれか一の態様において、保持部(112)に保持されている導体(120)の各々は、設置面(124)と直交する方向に対向し合う二つの板バネ(123)を備える。
【0155】
この態様によると、プラグ装置(200)の端子(250)を板バネ(123)で挟むことでプラグ装置(200)と配線ダクト(100)との電気的接続が安定して実現され、かつプラグ装置(200)の端子(250)に弾性構造が不要となって、プラグ装置(200)における端子(250)のためのスペースを削減できる。
【0156】
第九の態様では、第一から第七のいずれか一の態様において、保持部(112)に保持されている導体(120)の各々は、設置面(114)と直交する方向に厚みを有する一つの導体板である。
【0157】
第十の態様では、第一から第九のいずれか一の態様において、内部空間(111)の内面における、開口部(116)と対向する位置に、内部空間(111)と配線ダクト(100)の外部とを通じさせる取付孔(119)が開口する。取付孔(119)の、保持部(112)と内部空間(111)とが並ぶ方向の位置は、開口部(116)の、保持部(112)と内部空間(111)とが並ぶ方向の中心位置よりも、保持部(112)側に寄っている。
【0158】
この態様によると、取付孔(119)にビスなどの固定具(402)を通すことで配線ダクト(100)を固定でき、かつ配線ダクト(100)の重心は導体(120)を保持する保持部(112)側に寄りやすいが、取付孔(119)の位置も保持部(112)側に寄っていれば、配線ダクト(100)が安定して固定されうる。
【0159】
第十一の態様に係る配線システム(300)は、第一から第十のいずれか一の態様に係る配線ダクト(100)と、配線ダクト(100)に接続されるプラグ装置(200)とを備える。
【0160】
第十二の態様では、第十一の態様において、プラグ装置(200)は、配線ダクト(100)にプラグ装置(200)が接続された接続状態で配線ダクト(100)の外側に配置される本体ハウジング(210)と、本体ハウジング(210)に連結し、かつ接続状態で開口部(116)に配置される連結部(220)と、連結部(220)に連結し、かつ接続状態で配線ダクト(100)内に配置される端子部(230)を備える。端子部(230)は、連結部(220)に連結し、接続状態で内部空間(111)に配置される基部(240)と、基部(240)から突出し、接続状態で保持部(112)に保持されている導体(120)と電気的に接続される接続端子(251)とを備える。
【0161】
第十三の態様では、第十二の態様において、保持部(112)と内部空間(111)とが並ぶ方向での開口部(116)の寸法と比較して、接続状態での端子部(230)の、保持部(112)と内部空間(111)とが並ぶ方向での寸法は大きく、かつ設置面(114)と直交する少なくとも一つの方向での寸法は小さい。端子部(230)が開口部(116)を通して内部空間(111)に入れられてから、端子部(230)が設置面(114)と直交する方向に沿った仮想軸(Ax)を中心に回転されることで、接続状態が実現する。
【0162】
この態様によると、配線ダクト(100)の、保持部(112)と内部空間(111)とが並ぶ方向での寸法を、小さくしうる。
【0163】
第十四の態様では、第十二の態様において、保持部(112)と内部空間(111)とが並ぶ方向での開口部(116)の寸法と比較して、接続状態での端子部(230)の、保持部(112)と内部空間(111)とが並ぶ方向での寸法は小さい。端子部(230)が開口部(116)を通して内部空間(111)に入れられてから、端子部(230)が保持部(112)に向けて移動されることで、接続状態が実現する。
【0164】
この態様によると、プラグ装置(200)の一部及び全部を配線ダクト(100)に対して回転させることなく、配線ダクト(100)へのプラグ装置(200)の接続及び配線ダクト(100)からのプラグ装置(200)の取り外しを行うことができる。このため、配線ダクト(100)に二つのプラグ装置(200)を接続する場合、二つのプラグ装置(200)を隙間なく隣接させていても、プラグ装置(200)の接続及び取り外しが容易となる。
【符号の説明】
【0165】
100 配線ダクト
110 ハウジング
111 内部空間
112 保持部
114 設置面
115 接続面
116 開口部
118 連通口
119 取付孔
120 導体
121 伝送用導体
122 アース用導体
123 板バネ
200 プラグ装置
210 本体ハウジング
220 連結部
225 回転部
230 端子部
240 基部
251 接続端子
252 アース端子
300 配線システム
Ax 仮想軸