(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079496
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240604BHJP
B24B 23/00 20060101ALI20240604BHJP
B24B 55/00 20060101ALI20240604BHJP
B24B 55/10 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/00 B
B24B23/00 Z
B24B55/00
B24B55/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192474
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】奥村 駿介
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 健
【テーマコード(参考)】
3C047
3C064
3C158
【Fターム(参考)】
3C047FF07
3C047FF15
3C047JJ11
3C064AA08
3C064AB02
3C064AC03
3C064BA03
3C064BA06
3C064BA11
3C064BB02
3C064BB42
3C064BB43
3C064BB45
3C064BB52
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA25
3C064CB06
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB33
3C064CB36
3C064CB37
3C064CB39
3C064CB64
3C064CB74
3C064CB82
3C064CB91
3C158AA03
3C158CB06
(57)【要約】
【課題】スイッチを好適に冷却する。
【解決手段】グラインダ10では、ヒートシンク65がスイッチ62の外郭の一部を構成されており、スイッチ62の内部に設けられたスイッチング素子により生じる熱をヒートシンク65によってスイッチ62の外部へ放熱する。また、スイッチ62は、モータハウジング24におけるスイッチ収容部34に収容されており、ヒートシンク65がスイッチ収容部34の露出孔34Aからスイッチ収容部34の外部へ露出されている。したがって、スイッチ62を好適に冷却することができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの駆動と停止を切替るスイッチと、
前記スイッチに設けられたヒートシンクと、
前記モータを収容するモータ収容部と、前記スイッチを保持すると共に前記ヒートシンクを外部へ露出させる露出孔を有するスイッチ保持部と、を含んで構成されたハウジングと、
を備えた作業機。
【請求項2】
前記スイッチは前記モータに対して第1方向の一方側に設けられ、
前記スイッチ保持部は、前記スイッチを収容するスイッチ収容部を有しており、
前記スイッチ収容部は、前記第1方向に直交する第2方向の一方側へ開放された凹状に形成され、前記露出孔が前記スイッチ収容部の底壁に形成されている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記ヒートシンクが前記露出孔から前記第2方向の他方側へ突出している請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンを備え、
前記ハウジングは、前記空気流を前記ハウジングの内部へ流入させる吸気口と、前記空気流を前記ハウジングの外部へ流出させる排気口と、を有しており、
前記空気流によって前記ヒートシンクが冷却される請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記吸気口が、前記スイッチの前記第1方向の一方側に配置され、前記排気口が前記モータの前記第1方向の他方側に配置されており、
前記ヒートシンクは、
前記第2方向を厚み方向とする板状のベース部と、
前記ベース部から前記第2方向の他方側へ突出し且つ前記第1方向に延在する複数のフィンと、を含んで構成されており、
複数の前記フィンが、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に並んで配置されている請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記ベース部が、前記第3方向を長手方向とする矩形板状に形成されている請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記スイッチの内部には、スイッチング素子が設けられており、
前記ヒートシンクは、前記スイッチング素子によって生じる熱を前記スイッチの外部へ放熱する請求項1に記載の作業機。
【請求項8】
前記ハウジングは、
前記モータ収容部及び前記スイッチ保持部を有するモータハウジングと、
前記モータ収容部の前記第1方向の一方側に設けられ、前記スイッチ保持部を覆うカバーハウジングと、
を含んで構成されており、
前記モータハウジングが分割不能な単一部材で構成されている請求項2に記載の作業機。
【請求項9】
前記スイッチ収容部の開口部が、スイッチカバーによって閉塞されている請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のグラインダ(作業機)では、操作部をスライド操作することで、ハウジング内のスイッチがオフ状態からオン状態に切替わり、モータが駆動する。これにより、グラインダの先端部に取付けられた砥石が回転して、グラインダによって加工材に対する研磨加工等を施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、グラインダのような作業機では、制御回路が内蔵されたスイッチを用いる場合がある。この場合には、制御回路に搭載される電子部品による熱でスイッチが温度上昇する。このため、作業機では、スイッチを好適に冷却できる構造にすることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、スイッチを好適に冷却できる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータと、前記モータの駆動と停止を切替るスイッチと、前記スイッチに設けられたヒートシンクと、前記モータを収容するモータ収容部と、前記スイッチを保持すると共に前記ヒートシンクを外部へ露出させる露出孔を有するスイッチ保持部と、を含んで構成されたハウジングと、を備えた作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記スイッチは前記モータに対して第1方向の一方側に設けられ、前記スイッチ保持部は、前記スイッチを収容するスイッチ収容部を有しており、前記スイッチ収容部は、前記第1方向に直交する第2方向の一方側へ開放された凹状に形成され、前記露出孔が前記スイッチ収容部の底壁に形成されている作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ヒートシンクが前記露出孔から前記第2方向の他方側へ突出している作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンを備え、前記ハウジングは、前記空気流を前記ハウジングの内部へ流入させる吸気口と、前記空気流を前記ハウジングの外部へ流出させる排気口と、を有しており、前記空気流によって前記ヒートシンクが冷却される作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記吸気口が、前記スイッチの前記第1方向の一方側に配置され、前記排気口が前記モータの前記第1方向の他方側に配置されており、前記ヒートシンクは、前記第2方向を厚み方向とする板状のベース部と、前記ベース部から前記第2方向の他方側へ突出し且つ前記第1方向に延在する複数のフィンと、を含んで構成されており、複数の前記フィンが、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に並んで配置されている作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ベース部が、前記第3方向を長手方向とする矩形板状に形成されている作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記スイッチの内部には、スイッチング素子が設けられており、前記ヒートシンクは、前記スイッチング素子によって生じる熱を前記スイッチの外部へ放熱する作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングは、前記モータ収容部及び前記スイッチ保持部を有するモータハウジングと、前記モータ収容部の前記第1方向の一方側に設けられ、前記スイッチ保持部を覆うカバーハウジングと、を含んで構成されており、前記モータハウジングが分割不能な単一部材で構成されている作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記スイッチ収容部の開口部が、スイッチカバーによって閉塞されている作業機である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、スイッチを好適に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態に係るディスクグラインダを示す左側から見た側面図である。
【
図2】
図1に示されるディスクグラインダの内部を示す左側から見た断面図である。
【
図3】
図1に示されるテールカバーを取外した状態のスイッチ機構の周辺を示す後斜め後方側から見た斜視図である。
【
図4】
図3に示されるスイッチ機構の左側及び右側から見た2面図である。
【
図5】
図3に示されるスイッチ機構の下側から見た下面図である。
【
図6】
図3に示されるスイッチ機構の分解斜視図である。
【
図7】
図5に示されるスイッチ機構の内部を示す後側から見た断面図(
図5の7-7線断面図)である。
【
図8】
図5に示されるスイッチ機構の内部を示す左側から見た断面図(
図5の8-8線断面図)である。
【
図9】
図5に示されるスイッチとインダクタ及び回転速度調整装置との接続状態を示す斜視図である。
【
図10】
図6に示されるスイッチカバーの上側、右側、及び下側から見た3面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る作業機としてのディスクグラインダ10(以下、単にグラインダ10という)について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印LHは、それぞれグラインダ10の上側、前側、及び左側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、グラインダ10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。また、前後方向が本発明の第1方向に対応し、上下方向が本発明の第2方向に対応し、左右方向が本発明の第3方向に対応する。
【0018】
グラインダ10は、加工材に対して研磨加工等を施す電動工具として構成されている。
図1及び
図2に示されるように、グラインダ10は、ハウジング20と、モータ50と、スイッチ機構60と、を含んで構成されている。以下、グラインダ10の各構成について説明する。
【0019】
(ハウジング20について)
ハウジング20は、グラインダ10の外郭を構成している。ハウジング20は、全体として前後方向に延在された中空柱状に形成されている。ハウジング20は、グラインダ10の後端側外周部を構成するカバーハウジングとしてのテールカバー22と、前後方向に延在されたモータハウジング24と、モータハウジング24の前側に配置されたギヤハウジング40と、を含んで構成されている。
【0020】
(テールカバー22について)
テールカバー22は、前側へ開放された略有底円筒状に形成されている。テールカバー22の後端部には、電源コード90が設けられており、電源コード90がテールカバー22から後側へ延出している。電源コード90は、外部からの商用電力を、後述するモータ50及びスイッチ62に供給する。テールカバー22の後端部には、複数の吸気口22Aが貫通形成されている。テールカバー22は、後述するモータハウジング24におけるモータ収容部26の後端部及びスイッチホルダ部30を収容すると共に、スイッチホルダ部30に締結固定されている。
【0021】
(モータハウジング24について)
モータハウジング24は、モータ50を収容するためのモータ収容部26と、スイッチ62を保持するスイッチ保持部としてのスイッチホルダ部30と、を含んで構成されている。モータハウジング24は、分割不能な単一部材で構成されている。
【0022】
モータ収容部26は、モータハウジング24の前部を構成すると共に、前側へ開放された略段付き有底円筒状に形成されている。モータ収容部26の前端部には、径方向外側へ張出されたファン収容部26Aが形成されており、ファン収容部26Aは、正面視で略矩形状に形成されている。モータ収容部26は、その後端部において軸受固定部26Bを有しており、軸受固定部26Bは、前側へ開放された略有底円筒状に形成されている。そして、軸受固定部26Bの上端部及び下端部が連結片26C(
図3及び
図6参照)によってモータ収容部26の後部の外周部に接続されている。なお、軸受固定部26Bには、後述するスイッチホルダ部30の前端部が接続されており、軸受固定部26Bの内部が、スイッチホルダ部30の前端部に食い込むように、前側へ開放された段付き凹状に形成されている。
【0023】
モータ収容部26の左側部には、スイッチレバー12(
図1参照)が設けられている。スイッチレバー12は、前後方向にスライド可能にモータ収容部26に連結されている。具体的には、スイッチレバー12は、
図1に示されるオフ位置に配置されており、作業者の操作によってオフ位置から前側へスライドするようになっている。また、スイッチレバー12には、スライドバー14(
図6参照)が連結されており、スライドバー14によって、後述するスイッチ62をオフ状態からオン状態へ切替えるようになっている。スライドバー14は、モータハウジング24の内部に収容されると共に、前後方向に延在された略長尺板状に形成されており、スライドバー14の前端部がスイッチレバー12に連結されている。そして、スライドバー14が、スイッチレバー12のスライドに連動して前後方向にスライドするようになっている。なお、
図6には、スライドバー14の後部のみが図示されている。
【0024】
図2~
図8に示されるように、スイッチホルダ部30は、全体として上側へ開放された凹状に形成されて、軸受固定部26Bから後側へ延出されている。スイッチホルダ部30は、後述するスイッチ機構60の骨格を構成している。スイッチホルダ部30の前端部は、フロントホルダ部32として構成され、フロントホルダ部32は、前後方向を厚み方向とする略矩形板状に形成されている。フロントホルダ部32の上面には、左右方向中間部において、第2部品保持部としてのインダクタ収容保持部32A(
図2及び
図6参照)が形成されている。インダクタ収容保持部32Aは、上側へ開放された凹状に形成されると共に、平面視で左右方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。フロントホルダ部32の上面の右端部には、上側へ開放された連通溝部32B(
図4及び
図6参照)が形成されており、連通溝部32Bは左右方向に貫通している。これにより、インダクタ収容保持部32Aが連通溝部32Bによってスイッチホルダ部30の外部と連通している。なお、連通溝部32Bの溝幅(前後方向の寸法)が、インダクタ収容保持部32Aの前後方向の寸法よりも小さく設定されている。フロントホルダ部32の上面の左端部には、上側へ開放された凹状のネジ部32C(
図6参照)が形成されており、ネジ部32Cの内周面には、雌ネジが形成されている。
【0025】
スイッチホルダ部30の前後方向中間部はスイッチ収容部34として構成されている。スイッチ収容部34は、全体として上側へ開放され且つ左右方向を長手方向とする略矩形凹状に形成されている。スイッチホルダ部30には、インダクタ収容保持部32Aの開口部とスイッチ収容部34の開口部とを区画するための区画壁30A(
図2、
図4、
図6、及び
図8参照)が形成されている。区画壁30Aは、前後方向を板厚方向とし且つ左右方向に延在された略長尺板状に形成されて、フロントホルダ部32の上面から上側へ延出されている。すなわち、区画壁30Aが、インダクタ収容保持部32A及びスイッチ収容部34よりも上側へ突出している。また、区画壁30Aは、スイッチホルダ部30の左右方向の全体に亘って延在されている。
【0026】
図5~
図7に示されるように、スイッチ収容部34の底壁には、後述するスイッチ62のヒートシンク65を下側へ露出させるための露出孔34Aが貫通形成されている。露出孔34Aは、左右方向を長手方向とする略矩形状に形成されており、露出孔34Aは、スイッチ収容部34の底壁の略全体に亘って形成されている。すなわち、スイッチ収容部34の底壁が、略矩形枠状に形成されている。スイッチ収容部34の左壁及び後壁の上端は、フロントホルダ部32の上面よりも下側に位置しており、スイッチ収容部34の右壁の上端部は、フロントホルダ部32の上面と略面一となる位置に配置されている。スイッチ収容部34の上側開口部における左側縁部の外周部(すなわち、スイッチ収容部34の左壁における上端部の外周部)には、右側へ一段下がった段差凹部34Bが形成されており、段差凹部34Bは、スイッチ収容部34の左壁の前後方向の全体に亘って形成されている。
【0027】
スイッチ収容部34の後壁の左部には、第1切欠部34C(
図6参照)が形成されており、第1切欠部34Cは、後側から見て、上側へ開放された凹状に形成されている。また、スイッチ収容部34の右壁の前部には、第2切欠部34D(
図4及び
図6参照)が形成されており、第2切欠部34Dは、右側から見て、上側へ開放された凹状に形成されている。
【0028】
スイッチホルダ部30の後部は、リヤホルダ部36として構成されている。リヤホルダ部36は、上下方向を厚み方向とする略矩形ブロック状に形成されて、スイッチ収容部34の後壁の下部から後側へ延出している。リヤホルダ部36の左部の前部には、後述するスイッチ62のプランジャ64を配置するための配置凹部36Aが形成されている。配置凹部36Aは、上側及び左側へ開放された凹状に形成されており、第1切欠部34Cによって配置凹部36Aの内部とスイッチ収容部34の内部とが連通している。
【0029】
リヤホルダ部36の後部の左右方向中間部には、配置凹部36Aの後側において、支持ボス36Bが形成されており、支持ボス36Bは、下側へ開放された略有底筒状に形成されてリヤホルダ部36から上側へ突出している。また、リヤホルダ部36の上端部には、支持ボス36Bの右側において、固定ボス36Cが形成されている。固定ボス36Cは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、スイッチ収容部34の後壁から後側へ延出されている。そして、固定ボス36Cに螺合された固定ネジ(図示省略)によって、前述したテールカバー22の後壁がスイッチホルダ部30に締結固定されている。
【0030】
リヤホルダ部36の右端部には、固定柱36Dが形成されており、固定柱36Dは、上下方向に延在する矩形柱状に形成されて、リヤホルダ部36から上側へ突出している。固定柱36Dの上面には、上側へ開放された凹状のネジ部36Eが形成されており、ネジ部36Eの内周面には、雌ネジが形成されている。また、前述したスイッチ収容部34と固定柱36Dとの間には、配線用溝部36F(
図4及び
図6参照)が形成されており、配線用溝部36Fは、左右方向に延在され且つ上側へ開放された溝状に形成されている。配線用溝部36Fの左端部は、スイッチ収容部34の右端部内に連通しており、配線用溝部36Fの右端部が右側へ開放されている。
【0031】
(ギヤハウジング40について)
図1及び
図2に示されるように、ギヤハウジング40は、左右方向から見て、略三角形を成す中空状に形成されると共に、下側へ開放されている。ギヤハウジング40の後端部には、被連結部40Aが形成されており、被連結部40Aは、モータ収容部26のファン収容部26Aに対応する略矩形筒状に形成されている。そして、ファン収容部26Aと被連結部40Aとが前後方向に突き合わされて、被連結部40Aが、ファン収容部26Aに締結固定されている。ギヤハウジング40の下側には、パッキングランド41が設けられている。パッキングランド41は、上下方向を軸方向とする段付き円筒状に形成されて、ギヤハウジング40に固定されている。
【0032】
ギヤハウジング40内には、スピンドル42が設けられており、スピンドル42は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。スピンドル42の上端部は、ギヤハウジング40に固定された軸受43によって回転可能に支持され、スピンドル42の上下方向中間部が、パッキングランド41に固定された軸受44によって回転可能に支持されている。スピンドル42の下端部(軸方向一方側端部)には、砥石45が取付けられており、後述するモータ50の駆動力によって、砥石45がスピンドル42と共に回転することで、加工材に対して研磨加工等を施すようになっている。また、パッキングランド41の下端部には、ホイルガード46が着脱可能に固定されており、ホイルガード46によって、砥石45の一部が覆われている。
【0033】
(モータ50について)
図2に示されるように、モータ50は、モータハウジング24のモータ収容部26内に収容されている。モータ50は、前後方向を軸方向とする回転軸50Aを有している。回転軸50Aの後端部が、モータ収容部26の軸受固定部26Bに固定された第1モータ軸受51によって回転可能に支持されており、回転軸50Aの前端側部分が、ギヤハウジング40に固定された第2モータ軸受52によって回転可能に支持されている。回転軸50Aの前端部は、ギヤハウジング40内に配置されており、回転軸50Aの前端部には、ピニオンギヤ53が固定されている。ピニオンギヤ53は、スピンドル42の上端側部分に設けられたベベルギヤ54に噛合されており、モータ50の駆動力が、ベベルギヤ54によってスピンドル42に伝達される構成になっている。モータ50は、後述するスイッチ62に電気的に接続されている。
【0034】
回転軸50Aの前端側部分には、ファン55が一体回転可能に設けられている。ファン55は、前後方向を厚み方向とする遠心ファンとして構成されている。具体的には、ファン55は、ファン55の中心部に後側から流入された空気を、径方向外側へ流し、モータ収容部26に組付けられたファンガイド56によって、前側へ流すようになっている。これにより、モータ50の駆動時には、テールカバー22の吸気口22Aからハウジング20内に流入される空気流ARが発生し、空気流ARがハウジング20内を前側へ流れて、ギヤハウジング40に形成された排気口40B(
図1参照)から流出される構成になっている。
【0035】
(スイッチ機構60について)
図2~
図8に示されるように、スイッチ機構60は、スイッチ62と、スイッチカバー70と、第1電子部品としてのコンデンサ80と、第2電子部品としてのインダクタ82と、回転速度調整装置84と、を含んで構成されている。また、前述したモータハウジング24のスイッチホルダ部30がスイッチ機構60の骨格を構成しており、スイッチ62及びスイッチカバー70がスイッチホルダ部30に組付けられている。
【0036】
(スイッチ62について)
図2、及び
図4~
図9に示されるように、スイッチ62には、モータ50が電気的に接続されており、スイッチ62は、モータ50を停止状態又は駆動状態に切替えるためのスイッチとして構成されている。スイッチ62は、スイッチ本体63及びプランジャ64を含んで構成されている。スイッチ本体63は、スイッチホルダ部30のスイッチ収容部34の形状に対応して、左右方向を長手方向とし且つ前後方向を厚み方向とする略直方体状に形成されている。そして、スイッチ本体63が、スイッチ収容部34内に上側から収容されて、スイッチ62が、テールカバー22の吸気口22Aの前側に位置している。スイッチ本体63のスイッチ収容部34への収容状態では、スイッチ本体63の上端部が、スイッチ収容部34の左壁及び後壁よりも上側へ突出している。スイッチ62は、制御回路内蔵のスイッチとして構成されており、スイッチ本体63内には制御回路を構成するスイッチング素子等が設けられている。このため、スイッチ本体63は、スイッチング素子によって生じる熱を放熱するためのヒートシンク65を有しており、ヒートシンク65が、スイッチ本体63の外郭の一部(下端部)を構成している。
【0037】
ヒートシンク65は、熱伝導性のよい金属(本実施の形態では、アルミニウム)によって構成されている。ヒートシンク65は、ヒートシンク65の上部を構成するベース部65Aと、ヒートシンク65の下部を構成する複数のフィン65Bと、を含んで構成されている。ベース部65Aは、上下方向を厚み方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形板状に形成されており、スイッチ本体63内のスイッチング素子によって生じる熱がベース部65Aに伝達されるようになっている。フィン65Bは、前後方向に延在されたリブ状に形成されて、ベース部65Aから下側へ突出しており、複数のフィン65Bが左右方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。ヒートシンク65は、スイッチ収容部34の露出孔34A内に配置されて、露出孔34Aによってスイッチ収容部34から下側へ露出している。より詳しくは、フィン65Bの下端部が、スイッチ収容部34の下面よりも下側へ突出するように、フィン65Bのベース部65Aからの突出高さが設定されている。これにより、吸気口22Aから前側へ流れる空気流ARによって、ヒートシンク65が冷却されるようになっている(
図2参照)。
【0038】
プランジャ64は、スイッチ本体63の左部から後側へ突出して、前側へ押圧操作可能に構成されている。プランジャ64は、スイッチ収容部34の第1切欠部34C内を挿通すると共に、リヤホルダ部36の配置凹部36A内に配置されている。また、前述したスライドバー14の後端部が、配置凹部36A内においてプランジャ64の後側に配置されている。これにより、スイッチレバー12が前側へスライドされることで、スライドバー14によってプランジャ64が前側へ押圧されて、スイッチ62がオフ状態からオン状態に遷移して、モータ50が停止状態から駆動状態に切替わるようになっている。
【0039】
また、スイッチ本体63の左側部の前端部には、電源コード90における一対の配線92の一端部に設けられた端子94が接続されており、配線92によってスイッチ62に電力が供給される。一対の端子94は、上下方向に所定の間隔を空けて並んで配置されており、配線92が、端子94から後側へ延出されている。後側へ延出された配線92は、上側へ屈曲され、スイッチ本体63の上面における後端部に形成された前後一対の配線用リブ63Cの間に配策されて、スイッチ収容部34から右側へ延出されている。スイッチ本体63の左側面には、上下一対の端子94の間を仕切るための上下一対の仕切壁63A(
図6~
図8参照)が形成されている。仕切壁63Aは、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在されたリブ状に形成されており、スイッチ本体63の後端部を除く部分において左右方向に延在されている。そして、下側の端子94から延出される配線92が仕切壁63Aの後側に配策されている。上下一対の仕切壁63Aは、スイッチ収容部34の左壁の上端部よりも下側に位置すると共に、当該左壁の右側に隣接配置されている。これにより、スイッチ本体63の左側部における端子94を配置する空間が、仕切壁63A及びスイッチ収容部34によって隔離されている。また、スイッチ本体63の右側部の前端部には、右側へ突出した突出部63Bが形成されており、突出部63Bは、スイッチ収容部34の第2切欠部34D内に配置されて、スイッチ収容部34から露出している。
【0040】
(スイッチカバー70について)
図2~
図4、
図6~
図8、及び
図10に示されるように、スイッチカバー70は、スイッチホルダ部30を上側から覆うカバー部材として構成され、左右方向から見て、略クランク形板状に形成されている。具体的には、スイッチカバー70は、スイッチカバー70の前部を構成する第1カバー部としてのフロントカバー部72と、スイッチカバー70の後部を構成する第2カバー部としてのリヤカバー部74と、を含んで構成されており、フロントカバー部72がリヤカバー部74に対して上側へ一段上がった位置に配置されている。
【0041】
フロントカバー部72は、上下方向を厚み方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。そして、フロントカバー部72が、スイッチホルダ部30のフロントホルダ部32及びスイッチ収容部34の上側に配置されて、インダクタ収容保持部32A及びスイッチ収容部34のそれぞれの上側開口部を上側から塞いでいる。
【0042】
フロントカバー部72の前端部における左端部には、フロントホルダ部32のネジ部32Cに対応する位置において、固定孔72Aが貫通形成されている。そして、固定孔72Aを挿通した固定ネジSC1がネジ部32Cに螺合されて、フロントカバー部72(スイッチカバー70)がスイッチホルダ部30に締結固定されている。なお、フロントカバー部72の上面には、固定孔72Aに対応する位置において、上側へ開放された凹状のザグリ部72Bが形成されており、固定ネジSC1の頭部がザグリ部72B内に配置されている。
【0043】
フロントカバー部72の下面には、スイッチホルダ部30の区画壁30Aに対応する位置において、嵌合溝部72Cが形成されており、嵌合溝部72Cは、下側へ開放された溝状に形成されると共に、左右方向に延在されている。そして、区画壁30Aが嵌合溝部72C内に嵌入されて、スイッチホルダ部30とスイッチカバー70とが嵌合している(
図2及び
図8参照)。
【0044】
フロントカバー部72の下面には、インダクタ収容保持部32Aに対応する位置において、カバー側収容凹部72Dが形成されている。カバー側収容凹部72Dは、下側へ開放された凹状に形成されており、下側から見て、左右方向を長手方向とする略矩形状に形成されている(
図10参照)。また、下側から見たカバー側収容凹部72Dの大きさが、インダクタ収容保持部32Aの大きさと略同じに設定されている。
【0045】
フロントカバー部72は、フロントカバー部72の左側外周部から下側へ延出されたサイド縦壁72Eと、フロントカバー部72の後側外周部から下側へ延出された中間縦壁72Fと、を有しており、サイド縦壁72Eの後端部と中間縦壁72Fの左端部が接続されている。サイド縦壁72E及び中間縦壁72Fの下端部が、スイッチ収容部34の左壁及び後壁の上端面に上側から突き当てられている。これにより、フロントカバー部72によって、スイッチ収容部34に収容されたスイッチ62(スイッチ本体63)の上端部を左側及び後側から覆っている。
【0046】
サイド縦壁72Eの下端面には、差込片72Gが一体に形成されている。差込片72Gは、サイド縦壁72Eの下端面の外周部から下側へ延出されており、スイッチ収容部34の段差凹部34B内に配置されている(
図7参照)。すなわち、スイッチ収容部34の左壁とフロントカバー部72のサイド縦壁72Eとの合わせ部が、所謂インロー嵌合されて、左右方向(壁部の板厚方向)に重なるように係合している。
【0047】
中間縦壁72Fの右端部には、固定片72Hが設けられており、固定片72Hは、上下方向を厚み方向とする板状に形成されて、中間縦壁72Fから後側へ延出されると共に、スイッチホルダ部30の固定柱36Dの上側に隣接配置されている。固定片72Hには、ネジ部36Eに対応する位置において、固定孔72Jが貫通形成されている。そして、固定孔72Jを挿通した固定ネジSC2が、ネジ部36Eに螺合されて、フロントカバー部72の後端部が、スイッチホルダ部30に締結固定されている。
【0048】
フロントカバー部72の下面には、後端部において、カバー側配線溝72Kが形成されている。カバー側配線溝72Kは、下側へ開放され且つ左右方向に延在された溝状に形成されており、カバー側配線溝72Kの右端部が右側へ開放されている。そして、スイッチ62の配線用リブ63C及び配線92がカバー側配線溝72K内に配置されている。なお、フロントカバー部72のスイッチホルダ部30への固定状態では、スイッチ本体63がフロントカバー部72とスイッチ収容部34の底壁とによって上下方向に挟み込まれて、スイッチ62が固定されている。
【0049】
フロントカバー部72の上面には、後述するコンデンサ80を収容保持する第1部品保持部としてのコンデンサ収容保持部72Lが形成されている。コンデンサ収容保持部72Lは、上側へ開放された凹状に形成されており、上側から見て、後述するコンデンサ80の外形に対応して、左右方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。コンデンサ収容保持部72Lには、前後一対の保持爪72Mが設けられている。一方の保持爪72Mは、コンデンサ収容保持部72Lにおける前側開口縁部の左側部から上側へ延出されて、上端部が後側へ屈曲されている。他方の保持爪72Mは、コンデンサ収容保持部72Lにおける後側開口縁部の右側部から上側へ延出されて、上端部が前側へ屈曲されている。保持爪72Mは、前後方向に弾性変形可能に構成されている。フロントカバー部72の後端には、配線87をガイドするガイド部72Nが設けられている。ガイド部72Nによって配線87は左右方向の移動が規制されている。
【0050】
リヤカバー部74は、後述する回転速度調整装置84を保持する部分として構成されている。リヤカバー部74は、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されて、フロントカバー部72における中間縦壁72Fの下端部から後側へ延出している。リヤカバー部74の左側端部には、上側へ屈曲された左側壁74Aが形成されており、左側壁74Aは、左側から見て略逆T字形状に形成されている。また、リヤカバー部74の右端部における後端部には、上側へ屈曲された右側壁74Bが形成されている。リヤカバー部74は、複数(本実施の形態では、3箇所)の保持爪部74Cを有している。2箇所の保持爪部74Cは、左側壁74A及び右側壁74Bの上端部に設けられており、左側壁74A及び右側壁74Bから左右方向内側へ突出している。他の保持爪部74Cは、中間縦壁72Fの上端部から後側へ突出している。また、リヤカバー部74の後端部には、前後方向に延在された保持爪74Dが形成されており、保持爪74Dの後端部が上側へ屈曲されている。保持爪74Dは、上下方向に弾性変形可能に構成されている。
【0051】
リヤカバー部74は、配置凹部36Aを上側から覆うと共に、支持ボス36Bの上側に隣接配置されており、支持ボス36Bによって、リヤカバー部74の下側への変位が規制されている。すわち、リヤカバー部74は、スイッチ62のプランジャ64を上側から覆っている。
【0052】
(コンデンサ80について)
図2~
図4、及び
図6~
図8に示されるように、コンデンサ80は、上下方向を厚み方向とする略直方体状に形成されている。コンデンサ80は、スイッチカバー70のコンデンサ収容保持部72L内に収容されており、保持爪72Mの上端部が、コンデンサ80の外周部に係合されている。これにより、コンデンサ80がスイッチカバー70の上側の外周部に保持されている。コンデンサ80は、スイッチ本体63の制御回路に電気的に接続されている。具体的には、コンデンサ80から延出された配線81が、スイッチ本体63の突出部63Bに接続されている。
【0053】
(インダクタ82について)
図2、
図4、
図6、及び
図9に示されるように、インダクタ82は、左右方向に延在された略矩形柱状に形成されている。インダクタ82の下部は、スイッチホルダ部30のインダクタ収容保持部32A内に収容され、インダクタ82の上部が、スイッチカバー70のカバー側収容凹部72D内に収容されており、インダクタ82がスイッチホルダ部30及びスイッチカバー70によって上下方向両側から挟み込まれて保持されている。インダクタ82は、スイッチ本体63の制御回路に電気的に接続されている。具体的には、インダクタ82の右端部から右側へ延出された配線83が、スイッチホルダ部30の連通溝部32B内に配策され、連通溝部32Bからスイッチホルダ部30の外部へ引出されている。スイッチホルダ部30の外部へ引出された配線83は、スイッチホルダ部30の配線用溝部36F内に配策されて、スイッチ本体63に接続されている。
【0054】
(回転速度調整装置84について)
図2~
図4、
図6、
図8、及び
図9に示されるように、回転速度調整装置84は、モータ50の回転速度を設定するための装置として構成されている。回転速度調整装置84は、ベースハウジング85を有しており、ベースハウジング85は、上側へ開放された略矩形凹状に形成されている。ベースハウジング85は、スイッチカバー70のリヤカバー部74に組付けられている。具体的には、ベースハウジング85が保持爪部74Cとリヤカバー部74との間に後側から差し込まれて、保持爪部74Cが、ベースハウジング85の上側外周部に係合している。また、保持爪74Dの後端部がベースハウジング85の後端部に係合して、ベースハウジング85の後側への移動が制限されている。これにより、回転速度調整装置84が、スイッチカバー70に保持されている。
【0055】
回転速度調整装置84は、操作ダイヤル86と、操作ダイヤル86が搭載された回路基板84Aを有している(
図8参照)。操作ダイヤル86は、上下方向を厚み方向とする円板状に形成されて、ベースハウジング85の上側に配置されると共に、ベースハウジング85内の基板に支持されている。そして、操作ダイヤル86の後端側の外周部が、テールカバー22の上部に形成されたダイヤル孔22Bから操作可能に露出されている。
【0056】
ベースハウジング85内の基板には、図示しないロータリボリュームが設けられており、ロータリボリュームは、回転式の可変抵抗器として構成されて、スイッチ62の制御回路に電気的に接続されている。具体的には、ベースハウジング85の基板から延出された配線87が、コンデンサ80の上側に引き回されると共に、配線用溝部36Fに配策されて、スイッチ本体63に接続されている。ロータリボリュームは、操作ダイヤル86に連結されており、操作ダイヤル86の回転位置に応じた出力信号を制御回路に出力し、モータ50の回転速度が設定される構成になっている。
【0057】
(作用効果)
次に、本実施の形態のグラインダ10の作用及び効果について説明する。
【0058】
上記のように構成されたグラインダ10による加工時には、作業者が、スイッチレバー12をオフ位置から前側へスライドすることで、スライドバー14によって、スイッチ62のプランジャ64が押圧される。これにより、スイッチ62がオフ状態からオン状態に切り替わり、モータ50が駆動状態になる。よって、スピンドル42及び砥石45が回転して、グラインダ10によって加工材に対する研磨加工等を施すことができる。また、モータ50の駆動時には、ファン55が回転して、吸気口22Aからハウジング20内に流入される空気流ARが発生する。吸気口22Aから流入された空気流ARは、ハウジング20内を前側へ流れて、排気口40Bから流出される。
【0059】
グラインダ10の研磨加工時には、研磨加工による粉塵が発生する。仮に、金属の粉塵が、ハウジング20内に侵入して、スイッチ62に接続された一対の端子94が粉塵によって短絡すると、モータ50の動作に支障を来たしたり、モータ50が停止したりする虞がある。
【0060】
ここで、グラインダ10では、スイッチ62を保持するスイッチホルダ部30が、ハウジング20におけるモータハウジング24に設けられている。スイッチホルダ部30には、スイッチカバー70が組付けられて、スイッチホルダ部30及びスイッチカバー70によってスイッチ62が覆われる。具体的には、スイッチホルダ部30は、上側へ開放された略矩形凹状のスイッチ収容部34を有しており、スイッチ62がスイッチ収容部34内に収容されている。そして、スイッチカバー70がスイッチホルダ部30に上側から組付けられて、スイッチホルダ部30及びスイッチカバー70によってスイッチ62が覆われる。これにより、スイッチ62に対する防塵性を高くすることができる。しかも、スイッチカバー70は、コンデンサ収容保持部72L(電子部品保持部)を有しており、スイッチ62に電気的に接続されるコンデンサ80がコンデンサ収容保持部72Lに収容且つ保持される。これにより、スイッチ62に対する防塵性を高くするためのスイッチカバー70を活用して、スイッチ62に接続されるコンデンサ80(モータ50の駆動制御に寄与する電子部品)を保持することができる。このため、コンデンサ80(電子部品)を保持する部材を別途設ける必要がなく、スイッチ62の周囲にコンデンサ80を集約して配置することができる。すなわち、スイッチ62に対する防塵性を高めつつ、部品点数の増加の抑制及びグラインダ10の小型化に寄与することができる。以上により、スイッチ62に対する効率のよい防塵構造を実現することができる。特に、本実施の形態では保持爪72Mによってコンデンサ80を保持するため、保持爪72Mの係合を外さないとコンデンサ80が取り外せない構成となっており、コンデンサ80を強固に保持できるため振動などによってコンデンサ80の位置がずれてしまうことを抑制できる。なお、スイッチカバー70が保持するものはコンデンサ80に限られず他の電子素子でもよい。本実施の形態では、後述するインダクタ82と回転速度調整装置84(回路基板82A、操作ダイヤル86)がスイッチカバー70に保持されているが、例えばマイクロコントローラを搭載した制御基板や、作業機(ディスクグラインダ10)の状態を表示するパネル装置などを保持するようにしてもよい。
【0061】
また、コンデンサ収容保持部72Lは、スイッチカバー70におけるフロントカバー部72の上面に形成されている。すなわち、コンデンサ80がスイッチカバー70の上側外周部に設けられている。これにより、上述のように、スイッチ62及びコンデンサ80を集約して配置することができる。特に、コンデンサ80は、スイッチ62の上側にスイッチカバー70を介して配置されるため、左右方向及び前後方向におけるグラインダ10の大型化を抑制できる。
【0062】
また、スイッチホルダ部30におけるフロントホルダ部32の上面には、インダクタ82を収容し且つ保持するためのインダクタ収容保持部32Aが設けられており、インダクタ82がスイッチカバー70のフロントカバー部72によって上側から覆われて、スイッチホルダ部30に保持されている(上方へ移動しないように規制されている)。これにより、スイッチ62及びインダクタ82をスイッチホルダ部30に集約して配置することができる。しかも、スイッチカバー70によってインダクタ82がスイッチホルダ部30に固定されるため、例えば、グラインダ10に衝撃力や振動等が入力されても、インダクタ82がハウジング20に対して相対移動することを抑制できる。その結果、モータ50の回転数を良好に検出することができる。したがって、グラインダ10の動作を効果的に安定化させることができる。
【0063】
また、スイッチホルダ部30には、インダクタ収容保持部32Aの開口部と、スイッチ収容部34の開口部と、を前後に区画する区画壁30Aが設けられている。区画壁30Aは、スイッチホルダ部30から上側へ突出すると共に、左右方向に延在されている。また、スイッチカバー70のフロントカバー部72の下面には、嵌合溝部72Cが形成されており、区画壁30Aが嵌合溝部72C内に嵌入されている。これにより、インダクタ収容保持部32Aの開口部とスイッチ収容部34の開口部との間に所謂インロー嵌合構造が設けられている。このため、仮に、粉塵がインダクタ収容保持部32A内に侵入した場合でも、当該粉塵のスイッチ収容部34内への侵入を区画壁30A及び嵌合溝部72Cによって抑制することができる。したがって、インダクタ82をスイッチホルダ部30及びスイッチカバー70によって保持する構造にしても、スイッチ62への防塵性を確保することができる。
【0064】
また、スイッチホルダ部30では、段差凹部34Bが、スイッチ収容部34の開口部における左側縁部の外周部に形成されており、スイッチカバー70のサイド縦壁72Eの下端部には、段差凹部34Bに差し込まれる差込片72Gが設けられている。これにより、スイッチ収容部34とスイッチカバー70との合わせ部においても、所謂インロー嵌合構造が設けられている。したがって、この点において、粉塵のスイッチ収容部34内への侵入を抑制できる。よって、スイッチ62に対する防振性を一層高くすることができる。
【0065】
また、スイッチ62のスイッチ収容部34への収容状態では、スイッチ収容部34の底壁及びスイッチカバー70のフロントカバー部72によって、スイッチ62(スイッチホルダ部30)が上下方向両側から挟み込まれている。このため、スイッチカバー70を活用して、スイッチ62の上側への移動を規制することができる。すなわち、例えば、スイッチ62の上側への移動を規制するためのフック等をスイッチホルダ部30に設けることなく、スイッチ62の上側への移動を規制することができる。これにより、スイッチ収容部34の小型化に寄与することができると共に、スイッチ収容部34の構造が複雑化することを抑制できる。
【0066】
また、スイッチ62の左側部には、スイッチ62に電力を供給するための一対の配線92の端子94が接続されており、一対の端子94が上下に並んで配置されている。そして、下側の端子94がスイッチ収容部34の左壁によって覆われており、上側の端子94がスイッチカバー70におけるサイド縦壁72Eよって覆われている。すなわち、スイッチ収容部34の左壁とサイド縦壁72Eとの合わせ部が、上下一対の端子94の間に位置している。これにより、上側へ開放された凹状のスイッチ収容部34の剛性を確保しつつ、端子94をスイッチ収容部34及びスイッチカバー70によって覆うことができる。
【0067】
また、スイッチ本体63の左側部には、一対の端子94を上下方向に仕切る上下一対の仕切壁63Aが設けられており、仕切壁63Aは、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在されたリブ状に形成されている。これにより、スイッチ本体63において、端子94を配置するための空間を仕切壁63Aによって仕切ることができる。このため、仮に、上側の端子94を配置する空間に粉塵等が侵入した場合でも、当該粉塵が下側の端子94を配置する空間内に侵入することを仕切壁63Aによって抑制できる。しかも、仕切壁63Aの左端は、スイッチ収容部34の左壁に隣接配置されている。このため、仕切壁63Aとスイッチ収容部34及びスイッチカバー70とによって、端子94を配置するための空間を効果的に仕切ることができる。
【0068】
また、モータ50の回転速度を設定する回転速度調整装置84(電子部品の一例)が、スイッチカバー70のリヤカバー部74に保持されており、回転速度調整装置84の操作ダイヤル86が、テールカバー22のダイヤル孔22Bから操作可能に露出されている。これにより、スイッチ62の防塵性を高めるスイッチカバー70を活用して、回転速度調整装置84を(テールカバー22の内部に)保持することができる。すなわち、回転速度調整装置84を保持するための部材を別途設けることなく、回転速度調整装置84をテールカバー22の内部に保持することができる。したがって、グラインダ10における部品点数の増加の抑制に寄与することができると共に、グラインダ10の体格の大型化を抑制することができる。
【0069】
また、スイッチカバー70では、回転速度調整装置84を保持するリヤカバー部74が、スイッチ62のプランジャ64を上側から覆っている。これにより、プランジャ64の上側空間を活用して、回転速度調整装置84を配置することができると共に、ハウジング20内に侵入する粉塵が上側からプランジャ64に直接付着することを抑制できる。したがって、スイッチカバー70によって回転速度調整装置84を効率よく配置しつつ、スイッチ収容部34から露出されるプランジャ64に対する防塵性も高めることができる。
【0070】
また、スイッチカバー70が、固定ネジSC1及び固定ネジSC2によって、スイッチホルダ部30に締結固定されている。これにより、スイッチカバー70のスイッチホルダ部30への組付状態を良好に維持することができると共に、スイッチ62及びインダクタ82に対する固定状態を良好に維持することができる。
【0071】
また、グラインダ10では、ヒートシンク65がスイッチ62の外郭の一部を構成されており、スイッチ62の内部に設けられたスイッチング素子により生じる熱をヒートシンク65によってスイッチ62の外部へ放熱する。また、スイッチ62は、上述のように、モータハウジング24におけるスイッチ収容部34に収容されており、ヒートシンク65がスイッチ収容部34の露出孔34Aからスイッチ収容部34の外部へ露出されている。したがって、スイッチ62を好適に冷却することができる。
【0072】
また、モータハウジング24のスイッチ収容部34は、上側へ開放された矩形凹状に形成されており、ヒートシンク65を露出させる露出孔34Aが、スイッチ収容部34の底壁に形成されている。これにより、スイッチ収容部34の剛性を確保しつつ、スイッチ62をスイッチ収容部34の上側開口部からスイッチ収容部34内に収容させることができると共に、ヒートシンク65をスイッチ収容部34の外部へ露出させることができる。
【0073】
また、ヒートシンク65のフィン65Bが、スイッチ収容部34の露出孔34Aから下側へ突出している。これにより、ハウジング20内を前側へ流れる空気流ARをフィン65Bに直接的に当てて、空気流ARによってヒートシンク65を冷却することができる。したがって、ヒートシンク65に対する冷却効果を高くすることができると共に、スイッチ62をより好適に冷却することができる。
【0074】
また、上述のように、テールカバー22の吸気口22Aからハウジング20内に流入される空気流ARは、ハウジング20内を前側へ流れて、ギヤハウジング40の排気口40Bからハウジング20の外部へ流出される。そして、ヒートシンク65では、複数のフィン65Bが前後方向に延在されたリブ状に形成されている。これにより、ハウジング20内を前側へ流れる空気流ARの流れをフィン65Bによって塞き止めることなく、空気流ARをフィン65Bに沿って前側へ流すことができる。したがって、空気流ARによってヒートシンク65を効果的に冷却することができる。
【0075】
また、ヒートシンク65では、左右方向を長手方向とするベース部65Aと、ベース部65Aから下側へ突出する複数のフィン65Bと、を含んで構成されており、複数のフィン65Bが左右方向に並んで配置されている。すなわち、フィン65Bが、ベース部65Aの長手方向に並んで配置されている。このため、ヒートシンク65におけるフィン65Bの本数を極力多く設定することができる。したがって、空気流ARによってヒートシンク65を一層効果的に冷却することができる。
【0076】
また、モータ収容部26及びスイッチホルダ部30を有するモータハウジング24は、分割不能な単一部材で構成されている。このため、例えば、露出孔34Aに分割面が形成されることを抑制しつつ、スイッチ収容部34を一体に形成することができる。したがって、スイッチ収容部34のスイッチ62に対する防塵性を高くすることができると共に、スイッチ収容部34の剛性を高くすることができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、スイッチホルダ部30におけるスイッチ収容部34の左壁とスイッチカバー70のサイド縦壁72Eとの合わせ部が、上下一対の端子94の間に位置しているが、当該合わせ部の上下位置は任意に設定可能である。例えば、スイッチ収容部34の左壁とのサイド縦壁72Eとの合わせ部を、上下一対の端子94よりも上側に設定してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 ディスクグラインダ(作業機)
20 ハウジング
22 テールカバー(カバーハウジング)
22A 吸気口
24 モータハウジング
26 モータ収容部
30 スイッチホルダ部(スイッチ保持部)
34 スイッチ収容部
34A 露出孔
40B 排気口
50 モータ
55 ファン
62 スイッチ
65 ヒートシンク
65A ベース部
65B フィン