(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079497
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20240604BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240604BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240604BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240604BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240604BHJP
B41J 11/68 20060101ALI20240604BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J11/42
G03G15/00 107
G03G21/00 502
B41J29/00 H
B41J29/38 206
B41J11/68
B65H35/04
G03G15/00 413
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192475
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】森本 亘哉
(72)【発明者】
【氏名】脇阪 政晶
(72)【発明者】
【氏名】朱宮 和司
(72)【発明者】
【氏名】石川 亮輔
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
2H072
2H076
2H270
【Fターム(参考)】
2C058AB03
2C058AC08
2C058AD04
2C058AE02
2C058AF51
2C058GE03
2C058GE04
2C058LA03
2C058LB10
2C058LB19
2C058LB36
2C058LC14
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061AS13
2C061CK01
2C061HJ10
2C061HK06
2C061HK07
2C061HK19
2H072AB18
2H072GA00
2H076AA04
2H076AA06
2H076BA15
2H076BA46
2H076BA56
2H076BA95
2H076EA15
2H270KA54
2H270KA55
2H270KA57
2H270MC04
2H270MC10
2H270MC11
2H270MC67
2H270MD12
2H270MF02
2H270MF22
2H270MF25
2H270PA83
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】シートの切断に用いるモータの駆動制御を簡単化することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】複合機1は、CISユニット112と、CISユニット112と原稿との間を副走査方向に相対的に移動させるFBモータ110と、FBモータ110の駆動を制御するステッピングモータドライバMD5と、CISユニット112が読み取った画像をシートSに定着させる定着器6と、定着器6よりも下流側に位置し、シートSを切断可能なカッター10と、シートSを切断するための駆動力をカッター10に伝達する切断モータ106と、切断モータ106の駆動を制御するDCモータドライバMD4と、モータドライバMD4,MD5を制御するASIC105と、を備え、ASIC105がDCモータドライバMD4を制御するために使用する制御信号の数は、ASIC105がステッピングモータドライバMD5を制御するために使用する制御信号の数より少ない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に原稿上の画像を読み取るための読取センサと、
前記読取センサと前記原稿とのいずれか一方を、前記主走査方向と直交する副走査方向に移動させるための駆動力を出力する第1モータと、
前記第1モータの駆動を制御する第1モータドライバと、
加熱回転体と、前記加熱回転体を加熱するヒータと、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体と、を有し、シートに形成された、前記読取センサが読み取った画像を前記シートに定着させる定着器と、
前記定着器よりも前記シートの搬送方向における下流側に位置するカッター位置に位置し、前記搬送方向と交差する切断方向に前記シートを切断可能なカッターと、
前記第1モータと異なる種類のモータであって、前記カッターが前記シートを切断するための駆動力を前記カッターに伝達する第2モータと、
前記第2モータの駆動を制御する第2モータドライバと、
前記第1モータドライバと前記第2モータドライバとを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部が前記第2モータドライバを制御するために使用する制御信号の数は、前記制御部が前記第1モータドライバを制御するために使用する制御信号の数より少ない、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カッターは、
初期位置から前記切断方向に移動することにより前記シートを切断する刃、
を有し、
前記制御部は、
前記シートを切断する指令を受信した場合、前記第2モータの駆動力により前記刃を前記初期位置から前記切断方向に移動させて前記シートを切断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部が前記第1モータドライバを制御するために使用する制御信号の少なくとも一部と、前記制御部が前記第2モータドライバを制御するために使用する制御信号の少なくとも一部と、を共通化する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1モータは、ステッピングモータであり、
前記制御部の第1端子と第2端子は、前記ステッピングモータの回転方向と励磁相とを指示するための前記第1モータドライバの2つの端子に接続されるとともに、前記第2モータの回転方向を指示するための前記第2モータドライバの2つの端子に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部の第3端子は、前記第1モータの駆動制御の有効化/無効化を切り替える前記第1モータドライバの端子に接続され、
前記制御部の第4端子は、前記第2モータの駆動制御の有効化/無効化を切り替える前記第2モータドライバの端子に接続され、
前記制御部は、
前記第3端子の制御信号と前記第4端子の制御信号とを用いて、前記第1モータと前記第2モータとを排他制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2モータは、DCモータであり、
前記第2モータドライバは、3つの前記端子に入力される前記制御信号により前記第2モータの駆動を制御し、
前記第1モータドライバは、3つの前記端子を含む3つ以上の端子に入力される前記制御信号により前記第1モータの駆動を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2モータは、前記第2モータの回転情報を検出するためのエンコーダを有し、
前記制御部の第5端子は、前記第1モータドライバの電流値を入力する入力端子に接続されるとともに、前記エンコーダの出力端子に接続され、
前記制御部は、前記読取センサを駆動する際は、前記入力端子に出力する前記第5端子の機能を有効にし、前記シートを切断する際は、前記出力端子からの前記エンコーダ出力を受け付ける前記第5端子の機能を有効にする、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1モータは、FBモータであり、
前記制御部は、
前記第1モータドライバを制御することにより前記FBモータを駆動させて前記読取センサを移動させることで、プラテンガラスに載置された前記原稿上の画像を読み取るFB読取を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1モータは、ADFモータであり、
前記制御部は、
前記読取センサを固定した状態で、前記第1モータドライバを制御することにより前記ADFモータを駆動させ、前記原稿を前記読取センサに搬送して前記原稿上の画像を読み取るADF読取を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成されたシートをカッターで切断する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成部から送り出されるシートをカッターの位置に搬送し、シートの搬送方向の中央部で、搬送方向に直交する方向にシートを裁断するようにした画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、シート検知部を備え、シート検知部がシートを検知したことに応じて分岐ガイドを制御し、裁断されたシートを第一排出トレイと第二排出トレイとに分けて排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、原稿上の画像の読み取りを行うために読取センサを移動させる必要があるが、その移動は通常、ステッピングモータにより行われる。一方、カッターによるシートの切断もモータを用いて行われる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置には、どのような種類のモータを用いてシートを切断するかについては記載されていない。
【0006】
本願は、シートの切断に用いるモータの駆動制御を簡単化することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、主走査方向に原稿上の画像を読み取るための読取センサと、読取センサと原稿とのいずれか一方を、主走査方向と直交する副走査方向に移動させるための駆動力を出力する第1モータと、第1モータの駆動を制御する第1モータドライバと、加熱回転体と、加熱回転体を加熱するヒータと、加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体と、を有し、シートに形成された、読取センサが読み取った画像をシートに定着させる定着器と、定着器よりもシートの搬送方向における下流側に位置するカッター位置に位置し、搬送方向と交差する切断方向にシートを切断可能なカッターと、第1モータと異なる種類のモータであって、カッターがシートを切断するための駆動力をカッターに伝達する第2モータと、第2モータの駆動を制御する第2モータドライバと、第1モータドライバと第2モータドライバとを制御する制御部と、を備え、制御部が第2モータドライバを制御するために使用する制御信号の数は、制御部が第1モータドライバを制御するために使用する制御信号の数より少ない、ことを特徴とする。
【0008】
このように、本願の画像形成装置では、原稿の画像を読取センサを用いて読み取る場合、制御部は、読取センサと原稿との間を相対的に移動させる第1モータに対して、第1モータドライバを介して細かな搬送制御を行う必要性がある。他方、定着器を通過して搬送されるシートをカッターを用いて切断する場合、制御部は、第2モータドライバを介してカッターを駆動するため、第1モータで行う搬送制御より簡単な制御で済む。これにより、制御部は、第2モータの駆動制御を、第2モータドライバを介して簡単に行うことが可能となる。
【0009】
また、カッターは、初期位置から切断方向に移動することによりシートを切断する刃、を有し、制御部は、シートを切断する指令を受信した場合、第2モータの駆動力により刃を初期位置から切断方向に移動させてシートを切断する、ことを特徴とする。
【0010】
カッターは、刃を有し、刃を第2モータの駆動力によって初期位置から直交方向に移動させる単純な制御であるため、制御部から複雑な制御を必要とせず、第1モータドライバを制御するために使用する制御信号の数より少なくて済むことができる。
【0011】
また、制御部が第1モータドライバを制御するために使用する制御信号の少なくとも一部と、制御部が第2モータドライバを制御するために使用する制御信号の少なくとも一部と、を共通化する、ことを特徴とする。
【0012】
これにより、第1モータドライバの制御信号の少なくとも一部と、第2モータドライバの制御信号の少なくとも一部とが共通化されるので、制御部のポート不足を解消することが可能となる。これにより、1つの制御部で、原稿上の画像の読み取りと、シートへの画像形成と、カッターによるシートの切断とを行うことが可能となり、製造コストを抑制することが可能となる。
【0013】
また、第1モータは、ステッピングモータであり、制御部の第1端子と第2端子は、ステッピングモータの回転方向と励磁相とを指示するための第1モータドライバの2つの端子に接続されるとともに、第2モータの回転方向を指示するための第2モータドライバの2つの端子に接続される、ことを特徴とする。
【0014】
これにより、制御部のポート不足を解消することが可能となる。
【0015】
また、制御部の第3端子は、第1モータの駆動制御の有効化/無効化を切り替える第1モータドライバの端子に接続され、制御部の第4端子は、第2モータの駆動制御の有効化/無効化を切り替える第2モータドライバの端子に接続され、制御部は、第3端子の制御信号と第4端子の制御信号とを用いて、第1モータと第2モータとを排他制御する、ことを特徴とする。
【0016】
これにより、第1モータドライバの制御信号の少なくとも一部と、第2モータドライバの制御信号の少なくとも一部とを共通化したとしても、第1モータと第2モータとを切り替えて適正に駆動することができる。
【0017】
また、第2モータは、DCモータであり、第2モータドライバは、3つの端子に入力される制御信号により第2モータの駆動を制御し、第1モータドライバは、3つの端子を含む3つ以上の端子に入力される制御信号により第1モータの駆動を制御する、ことを特徴とする。
【0018】
このように、第2モータは、第2モータドライバを介して、第1モータより少ない制御信号により簡単に制御することができる。
【0019】
また、第2モータは、第2モータの回転情報を検出するためのエンコーダを有し、制御部の第5端子は、第1モータドライバの電流値を入力する入力端子に接続されるとともに、エンコーダの出力端子に接続され、制御部は、読取センサを駆動する際は、入力端子に出力する第5端子の機能を有効にし、シートを切断する際は、出力端子からのエンコーダ出力を受け付ける第5端子の機能を有効にする、ことを特徴とする。
【0020】
このように、1つの第5端子の機能切替を行うことで、入力端子としても出力端子としても使用することができるので、端子の共通化を実現し易くなる。
【0021】
また、第1モータは、FBモータであり、制御部は、第1モータドライバを制御することによりFBモータを駆動させて読取センサを移動させることで、プラテンガラスに載置された原稿上の画像を読み取るFB読取を実行する、ことを特徴とする。
【0022】
これにより、同時に駆動する可能性が低いFBモータと第2モータとを排他的に駆動することができる。
【0023】
また、第1モータは、ADFモータであり、制御部は、読取センサを固定した状態で、第1モータドライバを制御することによりADFモータを駆動させ、原稿を読取センサに搬送して原稿上の画像を読み取るADF読取を実行する、ことを特徴とする。
【0024】
これにより、同時に駆動する可能性が低いADFモータと第2モータとを排他的に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願の第1実施形態に係る複合機の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1の複合機に含まれるカッターの概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1の複合機の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3の制御構成に含まれる上部制御構成の詳細を示すブロック図である。
【
図5】
図4のASICの各端子の入出力信号と各モータの各動作とを対応付けた一例を示す図である。
【
図6】シートの切断位置((a))とその切断位置で切断したシート((b))を示す図である。
【
図7】
図1の複合機のASIC、特にCPUが実行する印刷・コピー処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図7の印刷・コピー処理に含まれる読取処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図8の読取処理に含まれるFBモータ正転駆動処理((a))及びFBモータ反転駆動処理((b))の各詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図7の印刷・コピー処理に含まれるシート印刷切断処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図10のシート印刷切断処理に含まれる切断モータ正転駆動処理((a))及び切断モータ停止処理((b))の各詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図10のシート印刷切断処理に含まれる切断モータ反転駆動処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図13】本願の第2実施形態に係る複合機の制御構成に含まれる上部制御構成の詳細を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本願の第1実施形態に係る複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)1の概略構成を示す断面図である。複合機1は、画像形成装置の一例であり、プリント機能、コピー機能及びスキャン機能等を有する。なお、複合機としては、これらの機能にファックス機能を加えたものであってもよい。以下、説明の便宜上、
図1の矢印で示されるように、複合機1の上下方向、及び前後方向を定義する。また、紙面のこちら側を左と、紙面の向こう側を右と定義する。
【0028】
複合機1は、画像形成部2と、画像読取部9とを備えている。画像形成部2は、シートSに画像を形成するプリント機能を有する。画像読取部9は、原稿の画像を読み取って、読み取った画像である読取画像の画像データを生成する機能であるスキャン機能を有する。
【0029】
画像形成部2の印刷方式は、例えば、電子写真方式である。また、画像形成部2は、モノクロ画像のみを印刷可能であるが、これに限らず、カラー画像及びモノクロ画像を印刷可能であってもよい。画像読取部9は、カラー画像及びモノクロ画像の読み取りが可能であってもよいし、モノクロ画像のみの読み取りが可能であってもよい。
【0030】
複合機1は、前側に操作パネルPAを備えている。操作パネルPAは、例えば、タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルと、キーボタン部とを有している。操作パネルPAは、ユーザの操作を受け付け、受け付けた情報をASIC105へ出力する(
図3参照)。ユーザは、例えば、操作パネルPAを操作することにより、複合機1に対して切断印刷及び切断コピーを指示することが可能である。ここで、「切断印刷」とは、画像形成部2によりシートSに画像を印刷した後、そのシートSを切断するジョブである。「切断コピー」とは、画像読取部9により原稿の画像を読取り、読み取った画像を画像形成部2によりシートSに印刷した後、そのシートSを切断するジョブである。なお、切断を含まない、通常の印刷やコピーも、操作パネルPAを操作することにより、複合機1に対して指示することができる。しかし、本実施形態では説明の都合上、通常の印刷は、複合機1の外部から受け付けた印刷ジョブにより指示され、操作パネルPAから受け付けた場合を考慮していない(
図7参照)。
【0031】
図6は、シートSの切断位置((a))とその切断位置で切断したシート((b))を示している。ユーザが切断印刷あるいは切断コピーを選択し、シートSの切断を指示すると、複合機1は、シートSを搬送中に、その搬送方向におけるシート長Lの中央の切断位置CPでシートSを切断する。これにより、2等分されたシートSが複合機1から排出される。
【0032】
画像形成部2は、本体20と、搬送部3と、プロセス部4と、定着器6と、カッター10とを備えている。
【0033】
本体20は、略直方体状に形成され、フロントカバー21と、供給トレイ31と、排出トレイ22と、搬送経路201と、再搬送経路202とを有している。フロントカバー21は、本体20の前面に開閉可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31は、本体20の下部に着脱可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31には、シートSが載置される。シートSは、A4サイズ等の定型シートである。シートSは、例えば、普通紙、厚紙等の紙媒体であるが、これに限らず、OHPフィルムであってもよい。排出トレイ22は、本体20の上部に設けられ、排出トレイ22には、画像が形成されたシートSが載置される。
【0034】
搬送経路201は、供給トレイ31に載置されたシートSを、プロセス部4を経由して排出トレイ22へ向けて搬送するための経路である。搬送経路201は、第1分岐位置D1から第1排出経路201Aと第2排出経路201Bに分岐する。したがって、プロセス部4を経由して搬送されたシートSは、第1排出経路201Aを経由して排出トレイ22へ排出されるものと、第2排出経路201Bを経由して排出トレイ22へ排出されるものとがある。
【0035】
再搬送経路202は、一方の面に画像が形成されたシートSを、搬送方向とは逆方向に搬送して、再びプロセス部4に向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、第2分岐位置D2において搬送経路201から分岐し、レジ前センサSE1の搬送方向上流側の合流位置Jで搬送経路201に合流している。
【0036】
搬送部3は、ピックアップローラ33、分離ローラ34、レジストレーションローラ35、搬送ローラ36、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、第3排出ローラ87、フラッパ88、再搬送ローラ38,39、メインモータ108(
図3参照)及び排出モータ109(
図4参照)を有している。
【0037】
ピックアップローラ33は、シート押圧板32により上方に押し上げられた供給トレイ31内のシートSをピックアップして、搬送経路201に向けて搬送する。分離ローラ34は、ピックアップローラ33がピックアップしたシートSを1枚ずつ分離する。
【0038】
レジストレーションローラ35は、搬送経路201においてプロセス部4よりも上流側に配置されている。レジストレーションローラ35は、シートSの前端の方向を揃えた後、シートSをプロセス部4へ向けて搬送する。搬送ローラ36は、定着器6を通過後のシートSを、第1排出ローラ85又は第3排出ローラ87へ向けて搬送する。
【0039】
第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、第1排出経路201Aに配置されている。第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対である。そして、第1排出ローラ85は、カッター10が配置されたカッター位置Bよりも上流の位置に配置され、第2排出ローラ86は、カッター位置Bよりも下流の位置に配置されている。
【0040】
第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、正転することで、シートSを排出トレイ22に排出する。正転は、シートSを搬送方向に搬送する回転であり、本体20の左右方向を軸として反時計方向の回転に相当する。
【0041】
一方、第3排出ローラ87は、第2排出経路201Bに配置されている。第3排出ローラ87も、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対である。第3排出ローラ87は、正転することで、シートSを排出トレイ22に排出する。また、第3排出ローラ87は、正転とは逆方向の回転である反転することで、シートSを再搬送経路202へ搬送する。反転は、シートSを搬送方向とは逆方向に搬送する回転であり、本体20の左右方向を軸として時計方向の回転に相当する。
【0042】
再搬送経路202には、再搬送ローラ38,39が配置されている。再搬送ローラ38,39は、再搬送経路202に搬送されたシートSを、プロセス部4に向けて搬送する。再搬送ローラ38,39によって、一方の面に画像形成が行われたシートSを、再搬送経路202を経由してプロセス部4へ向けて再搬送することで、シートSの両面に画像形成を行うことが可能となっている。
【0043】
プロセス部4は、シートSに画像を形成するものであり、本体20内に収容されている。プロセス部4は、ドラムカートリッジ5及びレーザユニット7を有している。ドラムカートリッジ5は、感光体ドラム51と、トナー収容部57と、供給ローラ56と、現像ローラ55と、帯電器52と、転写ローラ53と、ピンチローラ54とを有している。ドラムカートリッジ5は、フロントカバー21を開けることにより、本体20から取り外すことが可能となっている。ドラムカートリッジ5のピンチローラ54は、レジストレーションローラ35と対向している。ピンチローラ54は、レジストレーションローラ35の回転に従動して回転し、レジストレーションローラ35とともにシートSを搬送する。
【0044】
感光体ドラム51は、メインモータ108(
図3参照)から出力される駆動力により、時計方向に回転することで、シートSを搬送方向に搬送する。感光体ドラム51では、シートSを搬送方向に搬送する回転である正転は、時計方向である。トナー収容部57には、トナーが収容されている。供給ローラ56は、トナー収容部57内のトナーを現像ローラ55に供給する。帯電器52は、スコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させる。なお、帯電器52は、帯電ローラであってもよい。
【0045】
感光体ドラム51に対向する位置には、転写ローラ53が配置されている。転写ローラ53は、搬送経路201における感光体ドラム51との間に転写ニップTNを形成する。なお、転写ローラ53の代わりに、転写ベルトを用いてもよい。
【0046】
本体20は、その内部における上部に、レーザユニット7を有している。レーザユニット7は、ポリゴンミラー131(
図3参照)、レーザ発光部132(
図3参照)、ポリゴンモータ133(
図3参照)、図示しないレンズ及び反射鏡等を有している。レーザユニット7は、レーザ発光部132から出射される画像データに基づくレーザ光(
図1の二点鎖線参照)が、感光体ドラム51の表面で高速走査されることで、感光体ドラム51の表面を露光する。
【0047】
感光体ドラム51の表面は、レーザユニット7により露光されることで、画像データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ55は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像にトナーを供給することで、感光体ドラム51の表面にトナー像を形成する。
【0048】
転写ローラ53には、図示しない電圧印加部により転写電圧が印加される。転写ローラ53は、感光体ドラム51との間でシートSを搬送することで、感光体ドラム51の表面に形成されたトナー像を、転写ニップTNを通過するシートSに転写する。このようにして、シートSへの画像形成が行われる。
【0049】
搬送経路201においてプロセス部4よりも下流側には、定着器6が配置されている。定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63(
図3参照)と、温度センサ64(
図3参照)とを有している。加熱ローラ61は、加熱回転体の一例であり、シートSを加熱する。加圧ローラ62は、加圧回転体の一例であり、加熱ローラ61との間でニップNを形成し、シートSを加圧する。加圧ローラ62は、メインモータ108の駆動力により、反時計方向に回転する。加圧ローラ62では、シートSを搬送方向に搬送する回転である正転は、反時計方向である。
【0050】
ヒータ63は、例えばハロゲンヒータであり、加熱ローラ61を加熱する。温度センサ64は、加熱ローラ61の近傍に設けられ、加熱ローラ61の温度を検出する。温度センサ64は、検出した温度に応じた信号を、ASIC105(
図3参照)へ出力する。
【0051】
定着器6は、加熱ローラ61によりシートSを加熱して、加圧ローラ62を回転させることにより、加熱ローラ61及び加圧ローラ62によりシートSを加圧しながら搬送することで、プロセス部4によりシートSに形成された画像をシートSに定着させる。
【0052】
なお、定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、定着器6は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であってもよい。
【0053】
また、定着器6は、発熱パターンが形成された基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であってもよい。また、定着器6は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であってもよい。
【0054】
第1排出経路201Aにおいて第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間のカッター位置Bには、カッター10が配置されている。複合機1は、シートS上の切断位置がカッター位置Bに到達するように第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止する。第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転が停止した状態で、複合機1は、カッター10を用いて、カッター位置BでシートSを切断する。
【0055】
図2は、カッター10の概略構成を示している。
図2に示すように、カッター10は、カッターフレーム11と、スライドレール12と、固定刃13と、シート通過部14と、移動刃15と、スライドホルダ16と、切断モータ106と、を有している。カッターフレーム11は、軸方向に延びている。スライドレール12は、カッターフレーム11に形成された軸方向に延びるレールである。固定刃13は、カッターフレーム11に固定された軸方向に延びる平板状の刃である。シート通過部14は、カッターフレーム11に形成されたシートSが通過する空間である。本実施形態では、シート通過部14は、スライドレール12と固定刃13との間に形成されている。移動刃15は、円板状の刃であり、スライドホルダ16に回転可能に固定されている。
【0056】
スライドホルダ16は、スライドレール12と係合し、スライドレール12に沿って、スライド移動可能にカッターフレーム11に取り付けられている。切断モータ106を正転させると、スライドホルダ16が軸方向の一方側から他方側に向けてスライド移動し、切断モータ106を反転させると、スライドホルダ16が軸方向の他方側から一方側に向けてスライド移動するようになっている。スライドホルダ16は、
図2に実線で示す初期位置から破線で示す切断完了位置まで移動可能である。シートSがカッター位置Bにあるときに、スライドホルダ16がスライドレール12に沿って切断完了位置まで移動すると、1枚のシートSが固定刃13と移動刃15と挟まれて2枚に切断される。スライドホルダ16は、切断後のシートSを排出トレイ22に排出した後、次のシートSの切断を開始する前までに、切断完了位置から初期位置に戻される。しかし、これに限らず、スライドホルダ16は、シートSの切断後、シートSを排出トレイ22に向けて搬送開始前に切断完了位置から初期位置に戻すようにしてもよい。シートSの切断後、複合機1は、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86を所定時間、回転することで、2枚に切断されたシートSを排出トレイ22に排出する。
【0057】
なお、第2排出経路201Bの長さは、第1排出経路201Aの長さより短くなるように設計されている。これは、画像形成後のシートSを切断しないときには、そのシートSを本体20の外部に速く排出するためである。
【0058】
次に、複合機1の制御構成について、
図3及び
図4を参照して説明する。なお、
図4は、便宜上、複合機1の上部に位置する制御対象を抜き出して1図としたものである。
【0059】
図3及び
図4に示すように、複合機1は、ASIC105、ROM102と、RAM103と、NVRAM104と、レジ後センサSE2と、排出センサSE3と、シート検知センサSE4と、通信インターフェース(I/F)130と、モータドライバMD1~MD6とをさらに備えている。そして、メイン基板100に、ASIC105、ROM102、RAM103、NVRAM104、及びモータドライバMD1~MD6が搭載されている。
【0060】
ASIC105には、CPU101が搭載されている。CPU101は、複合機1の各部に対する全般的な制御を行う。ASIC105は、制御部の一例であり、ROM102、RAM103、NVRAM104、モータドライバMD1~MD6、電磁クラッチ107、レジ前センサSE1、レジ後センサSE2、排出センサSE3、操作パネルPA、通信I/F130、ドラムカートリッジ5、定着器6、レーザユニット7、シート検知センサSE4、及びフラッパソレノイド89と電気的に接続されている。
【0061】
ROM102には、複合機1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。なお、
図7を用いて後述する印刷・コピー処理は、制御プログラムに含まれる。
【0062】
RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及びジョブに含まれる画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムや、各種センサから出力される信号に従って、その処理結果をRAM103またはNVRAM104に記憶させながら、複合機1の各部を制御する。
【0063】
モータドライバMD1は、レーザユニット7のポリゴンミラー131を回転駆動させるポリゴンモータ133と接続され、ASIC105からの制御信号に応じてポリゴンモータ133の駆動を制御する。
【0064】
モータドライバMD2は、メインモータ108と接続され、ASIC105からの制御信号に応じてメインモータ108の駆動を制御する。メインモータ108は、ピックアップローラ33、レジストレーションローラ35、搬送ローラ36、再搬送ローラ38,39、加圧ローラ62、及びドラムカートリッジ5に駆動力を出力する。ASIC105が、モータドライバMD2を介して、メインモータ108を正転駆動させると、メインモータ108の出力により、搬送ローラ36、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35に駆動力が伝達される。そして、搬送ローラ36、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35は、シートSを搬送方向に搬送する向きに回転する。
【0065】
具体的には、搬送ローラ36及び加圧ローラ62は、反時計方向に回転する。感光体ドラム51は、時計方向に回転する。現像ローラ55は、反時計方向に回転する。ピックアップローラ33は、反時計方向に回転する。レジストレーションローラ35は、反時計方向に回転する。
【0066】
一方、ASIC105が、モータドライバMD2を介して、メインモータ108を反転駆動させても、搬送ローラ36、加圧ローラ62、ドラムカートリッジ5、ピックアップローラ33及びレジストレーションローラ35には、駆動力が伝達されない構成となっている。
【0067】
また、ASIC105は、メインモータ108を正転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39に駆動力を伝達し、時計方向に回転させる。一方、ASIC105は、メインモータ108を反転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39に駆動力が伝達し、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39を時計方向に回転させる。
【0068】
モータドライバMD3は、ASIC105からの制御信号に応じて排出モータ109の駆動を制御する。排出モータ109は、例えば、ステッピングモータであり、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87に駆動力を伝達する。ASIC105が、モータドライバMD3を介して、排出モータ109を正転駆動させると、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87を反時計方向に回転させる。これにより、シートSは、第1排出経路201A又は第2排出経路201Bを経由して排出トレイ22に排出される。一方、ASIC105は、排出モータ109を反転駆動させることで、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87を時計方向に回転させる。これにより、第2排出経路201Bを搬送中のシートSは、搬送方向と逆方向に搬送される。
【0069】
モータドライバMD4は、ASIC105からの制御信号に応じて切断モータ106の駆動を制御する。切断モータ106は、例えば、エンコーダ113付きDCモータである。ASIC105は、モータドライバMD4を介して、切断モータ106を正転駆動させると、スライドホルダ16が移動刃15をシートSの幅方向に移動させて、シートSを切断する。エンコーダ113は、切断モータ106の回転軸に取り付けられ、切断モータ106の回転に応じた信号を出力する。ASIC105は、エンコーダ113から出力された信号を受信し、受信した信号に基づいて、切断モータ106の回転方向、回転位置及び回転速度を取得する。これにより、ASIC105は、スライドホルダ16がスライドレール12上のどの位置にあるか、つまり、移動刃15が軸方向のどの位置にあるかを知ることができる。
【0070】
モータドライバMD5は、画像読取部9に含まれるFB(flatbed)モータ110と接続されている。モータドライバMD6は、画像読取部9に含まれるADF(automatic document feeder)モータ111と接続されている。画像読取部9は、FBモータ110により駆動プーリ(図示せず)を駆動させて、CIS(contact image sensor)ユニット112を副走査方向に移動させることにより、プラテンガラス91(
図1参照)に載置された原稿上の画像を読み取るFB読取と、CISユニット112を固定した状態でADFモータ111により搬送ローラ(図示せず)を駆動させ、原稿をCISユニット112に搬送して原稿上の画像を読み取るADF読取とのいずれかに切り替えて、原稿上の画像を読み取ることができるように構成されている。FB読取が選択された場合、モータドライバMD5は、ASIC105からの制御信号に応じてFBモータ110の駆動を制御し、ADF読取が選択された場合、モータドライバMD6は、ASIC105からの制御信号に応じてADFモータ111の駆動を制御する。
【0071】
排出モータ109、FBモータ110及びADFモータ111は、上述のようにステッピングモータであるので、それぞれを制御するモータドライバMD3,MD5,MD6は、ステッピングモータドライバである。モータドライバMD3,MD5,MD6はそれぞれ、7つの制御信号により制御されるので、ASIC105の7つの端子と接続されている。ただし、端子SLEEPは、1つの端子をモータドライバMD3,MD5,MD6で共通にしている。以下、端子SLEEPを除く、ASIC105の6つの端子について説明するが、モータドライバMD3,MD5,MD6のそれぞれと接続される端子の作用は同じであるので、モータドライバMD5と接続するASIC105の6つの端子を代表させて説明する。
【0072】
端子DIRは、H/Lのいずれかの制御信号を出力し、モータドライバMD5に対してステッピングモータの回転方向を指示する。
図5に示すように、端子DIRからHが出力されると、モータドライバMD5は、ステッピングモータを正転させる。一方、端子DIRからLが出力されると、モータドライバMD5は、ステッピングモータを反転させる。
【0073】
端子USM0,USM1もそれぞれ、H/Lのいずれかの制御信号を出力し、モータドライバMD5に対してステッピングモータの励磁相を指示する。励磁相としては、典型的に1相励磁、2相励磁及び1-2相励磁があるが、本実施形態では、2相励磁(フルステップモード)と2W1-2相励磁(1/8ステップモード)を使用する。
図5に示すように、端子USM0,USM1からそれぞれLが出力されると、モータドライバMD5は、ステッピングモータを2相励磁で駆動する。一方、端子USM0,USM1からそれぞれHが出力されると、モータドライバMD5は、ステッピングモータを2W1-2相励磁で駆動する。
【0074】
端子VREF1/ENC1は、1つの端子で出力端子VREF1と入力端子ENC1とを切替可能な端子である。出力端子VREF1は、モータドライバMD5に対して基準電圧を出力する。
【0075】
端子ENB1は、H/Lのいずれかの制御信号を出力し、モータドライバMD5に対してステッピングモータの有効/無効を指示する。
図5に示すように、端子ENB1からHが出力されると、モータドライバMD5は、ステッピングモータを有効にする。
【0076】
端子STEPは、運転パルスを出力する。モータドライバMD5は、この運転パルスに従ってステッピングモータの駆動を制御する。
【0077】
切断モータ106は、エンコーダ113付きDCモータであるので、そのモータドライバMD4は、DCモータドライバである。DCモータドライバは、3つの制御信号により制御される。具体的には、入力端子IN1,IN2にそれぞれ入力されるH/Lのいずれかの制御信号により、DCモータドライバは、DCモータの回転方向、具体的には、正転/反転/停止を制御する。また、ASIC105の端子VREF2からの基準電圧を示す制御信号により、DCモータドライバは、DCモータを有効/無効にする。具体的には、基準電圧が0Vを示すとき、DCモータドライバは、DCモータを無効にし、それ以外は、DCモータドライバは、DCモータを有効にする。
【0078】
図5に示すように、入力端子IN1,IN2にH,Hが入力されると、DCモータドライバは、DCモータを正転駆動させる。また、入力端子IN1,IN2にH,Lが入力されると、DCモータドライバは、DCモータを反転駆動させる。さらに、入力端子IN1,IN2にL,Lが入力されると、DCモータドライバは、DCモータを停止させる。この入力端子IN1を上記端子USM0に接続し、入力端子IN2を上記端子DIRに接続するようにしている。つまり、端子DIRと端子USM0を、ステッピングモータドライバMD5とDCモータドライバMD4とで共通にしている。これに対して、端子VREF2は、DCモータドライバMD4のためだけに独立にしている。
【0079】
エンコーダ113は、2つの信号を出力する。ASIC105は、この2つの出力信号に基づいて、DCモータ、つまり切断モータ106の回転方向、回転位置及び回転速度を取得する。この2つの出力信号のうち、1つの出力信号が上記端子VREF1/ENC1に供給され、残りの1つの出力信号が、ASIC105の端子ENC2に供給される。つまり、端子VREF1/ENC1を、ステッピングモータドライバMD5とDCモータドライバMD4とで共通にしている。これに対して、端子ENC2は、DCモータドライバMD4のためだけに独立にしている。したがって、切断モータ106を駆動している場合、端子VREF1/ENC1は、入力端子ENC1として機能させる必要があるので、ASIC105は、端子VREF1/ENC1を入力端子ENC1に切り替える(
図10のS102参照)。
【0080】
このように、ステッピングモータドライバMD5とDCモータドライバMD4とで、一部の端子を共通に使用した場合、ステッピングモータドライバMD5とDCモータドライバMD4とを同時に動作させることはできないので、FBモータ110と切断モータ106とを排他的に駆動させる必要がある。FBモータ110を駆動しているときは、上述のようにFB読取を行っているときである。一方、切断モータ106を駆動しているときは、上述のようにシートSの切断を行っているときである。したがって、FBモータ110と切断モータ106を同時に駆動させる可能性は低いので、ステッピングモータドライバMD5とDCモータドライバMD4とで、一部の端子を共通に使用することができる。これにより、ASIC105の端子不足を解消させることができる。
【0081】
フラッパ88は、フラッパソレノイド89を介して、ASIC105により制御される。ASIC105は、フラッパソレノイド89をオン/オフすることにより、フラッパ88の位置を第1位置(
図1において、破線で示す位置88A)と第2位置(
図1において、実線で示す位置88B)とに切り替えることができる。第1位置88Aは、搬送ローラ36により搬送されたシートSを第1排出経路201Aに案内する位置であり、第2位置88Bは、搬送ローラ36により搬送されたシートSを第2排出経路201Bに案内する位置である。また、第2位置88Bは、第2排出経路201BにあるシートSを再搬送経路202に案内する位置でもある。
【0082】
電磁クラッチ107は、
図3に示すように、ASIC105により制御される。ASIC105は、電磁クラッチ107をオンすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達される状態にする一方、電磁クラッチ107をオフすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達されない状態にする。
【0083】
レジ前センサSE1は、搬送経路201においてレジストレーションローラ35よりも上流側に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ前センサSE1としては、シートSが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。レジ前センサSE1は、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。レジ前センサSE1による検知信号は、ASIC105へ出力される。
【0084】
レジ後センサSE2は、搬送経路201において定着器6よりも上流側、具体的には、レジストレーションローラ35と転写ローラ53との間に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ後センサSE2は、レジ前センサSE1と同様の構成である。レジ後センサSE2による検知信号は、ASIC105へ出力される。
【0085】
排出センサSE3は、搬送経路201において定着器6と搬送ローラ36との間に配置され、シートSが通過することを検知する。排出センサSE3は、レジ前センサSE1と同様の構成である。排出センサSE3による検知信号は、ASIC105及びマイコン115へ出力される。
【0086】
シート検知センサSE4は、カッター位置Bと第2排出ローラ86との間に配置され、シートSが通過することを検知する。シート検知センサSE4は、レジ前センサSE1と同様の構成である。シート検知センサSE4による検知信号は、ASIC105及びマイコン115へ出力される。
【0087】
通信I/F130は、LAN等のネットワークに接続され、複合機1用のドライバが組み込まれたPC等の外部装置との接続を可能にしている。CPU101は、通信I/F130を介して、印刷ジョブを受信可能である。印刷ジョブには、画像形成するための画像データ、画像形成に用いるシートSのサイズ及び種類等、シートSに画像を形成するために必要な各種情報や、シートSを切断するか否かの情報が含まれている。
【0088】
以下、以上のように構成された複合機1が実行する制御処理を、
図7~
図12を参照して詳細に説明する。
【0089】
図7は、ASIC105、特にCPU101が実行する印刷・コピー処理の手順を示している。この印刷・コピー処理は、複合機1が印刷ジョブや印刷命令を受信可能なとき、例えば、複合機1の電源がオンされたときや複合機1がスタンバイ状態のときなどに起動される。以降、各処理の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0090】
図7において、まずCPU101は、上記通信I/F130を介して印刷ジョブを受信するまであるいは上記操作パネルPAを介して上記切断印刷命令又は上記切断コピー命令を受け付けるまで待機し(S10、S12及びS14のいずれも:NO)、印刷ジョブを受信すると(S10:YES)、CPU101は、処理をS16に進め、切断印刷命令を受け付けると(S12:YES)、CPU101は、処理をS30に進め、切断コピー命令を受け付けると、CPU101は、処理をS20に進める。
【0091】
S20では、CPU101は、CPU101は、フラッパ88を第1位置88Aに移動させる。第1位置88Aは、上述のように、搬送ローラ36により搬送されたシートSを第1排出経路201Aに案内する位置である。次にCPU101は、読取処理を実行する(S22)。
【0092】
図8は、読取処理の詳細な手順を示している。
図8において、CPU101は、切断コピー命令でFB読取が指示されているか否かを判断する(S50)。この判断において、ADF読取が指示されている場合(S50:NO)、CPU101は、モータドライバMD6に対してADFモータ111を駆動する制御信号を出力して、ADF読取を実行させた(S70)後、読取処理を終了する。一方、S50の判断において、FB読取が指示されている場合(S50:YES)、CPU101は、FBモータ正転駆動処理を実行する(S52)。
【0093】
図9(a)は、FBモータ正転駆動処理の詳細な手順を示している。
図9(a)において、CPU101は、(共通)端子SLEEP=LOW;(共通)端子DIR=HIGH;(共通)端子USM0=HIGH;(独立)端子USM1=HIGH;(独立)端子VREF1=出力;(独立)端子STEP=出力;(独立)端子ENB1=HIGH;(独立)端子VREF2=未出力;(独立)端子ENC2=未入力;の各制御信号をモータドライバMD5に出力した(S80)後、FBモータ正転駆動処理を終了する。これにより、FBモータ110は、
図5に示すように2W1-2相励磁で正転駆動を開始するので、CISユニット112が、副走査方向に移動を開始し、原稿上の画像を、例えば600dpiで読み取ることができる。
【0094】
図8に戻り、CPU101は、原稿上の画像の読取を開始し(S54)、CISユニット112が所定距離移動するまで待機する(S56:NO)。そして、CISユニット112が所定距離移動すると(S56:YES)、CPU101は、FBモータ110を停止させる制御信号をモータドライバMD5に出力した(S58)後、FBモータ反転駆動処理を実行する(S60)。
【0095】
図9(b)は、FBモータ反転駆動処理の詳細な手順を示している。
図9(b)において、CPU101は、(共通)端子SLEEP=LOW;(共通)端子DIR=LOW;(共通)端子USM0=LOW;(独立)端子USM1=LOW;(独立)端子VREF1=出力;(独立)端子STEP=出力;(独立)端子ENB1=HIGH;(独立)端子VREF2=未出力;(独立)端子ENC2=未入力;の各制御信号をモータドライバMD5に出力した(S90)後、FBモータ正転駆動処理を終了する。これにより、FBモータ110は、
図5に示すように反転駆動を開始するので、副走査方向を所定距離移動したCISユニット112が、副走査方向の逆方向に移動を開始し、初期位置へ戻り始める。
【0096】
図8に戻り、CPU101は、CISユニット112が所定距離移動するまで、つまり、初期位置への移動が完了するまで待機し(S62:NO)、CISユニット112が所定距離移動すると(S62:YES)、CPU101は、FBモータ110を停止させる制御信号をモータドライバMD5に出力した(S64)後、読取処理を終了する。
【0097】
図7に戻り、次にCPU101は、シート印刷切断処理を実行した(S24)後、印刷・コピー処理を終了する。
図10は、シート印刷切断処理の詳細な手順を示している。
図10において、まずCPU101は、上記メインモータ108を正転駆動させる制御信号を上記モータドライバMD2に出力する(S100)。このとき、CPU101は、上記ヒータ63もオンする。そして、CPU101は、上記端子VREF1を上記端子ENC1に機能を切り替える(S102)。
【0098】
次にCPU101は、ピックアップ命令を実行する(S104)。これにより、CPU101は、上記電磁クラッチ107をオンにする。電磁クラッチ107がオンされると、上述のように、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達されるので、供給トレイ31内のシートSがピックアップされて、搬送経路201に向けて搬送される。
【0099】
次にCPU101は、シートSへの画像形成を実行し(S106)、上記排出モータ109を正転駆動させる制御信号を上記モータドライバMD3に出力する(S108)。そして、CPU101が、例えば、シート検知センサSE4の検出結果に基づいてシートSの前端を検出したことを契機として、シートSの切断位置がカッター位置Bに到達するまで待機する(S110:NO)。
【0100】
図6(a)に示すように、シートSの切断位置CPがシートSの搬送方向における中央位置であるとすると、シートSの搬送方向におけるシート長Lが分かれば、シート検知センサSE4がシートSの先端を検出してから、シートSの切断位置CPがカッター位置Bに到達するまでのシートSの搬送量が分かる。これは、シート検知センサSE4の検出位置とカッター位置Bとの搬送経路201上の長さは、既知の固定値であるからである。排出モータ109は、上述のように、ステッピングモータであるので、シートSの搬送量が分かれば、排出モータ109がその搬送量分、シートSを搬送するのに必要なステップ数が確定する。したがって、上記S110では、CPU101は、シート検知センサSE4がシートSの前端を検出したことを契機として、排出モータ109のステップ数をカウントし、そのカウント値が確定したステップ数に到達するまで待機すればよい。
【0101】
そして、シートSの切断位置がカッター位置Bに到達すると(S110:YES)、CPU101は、排出モータ109を停止させる制御信号をモータドライバMD3に出力する(S112)。
【0102】
次にCPU101は、切断モータ正転駆動処理を実行する(S114)。
図11(a)は、切断モータ正転駆動処理の詳細な手順を示している。
図11(a)において、CPU101は、(共通)端子SLEEP=未入力;(共通)端子DIR=HIGH;(共通)端子USM0=HIGH;(独立)端子USM1=未入力;(独立)端子ENC1=入力;(独立)端子STEP=未入力;(独立)端子ENB1=未入力;(独立)端子VREF2=出力;(独立)端子ENC2=入力;の各制御信号をモータドライバMD3に出力した(S140)後、切断モータ正転駆動処理を終了する。これにより、切断モータ106は、
図5に示すように正転駆動を開始するので、移動刃15は、上記初期位置から上記切断完了位置に向けて移動を開始する。
【0103】
そして、CPU101は、エンコーダ113からの出力信号に基づいて移動刃15が上記切断完了位置に到達するまで待機し(S112:NO)、移動刃15が切断完了位置に到達すると(S112:YES)、CPU101は、切断モータ駆動停止処理を実行する(S114)。
図11(b)は、切断モータ駆動停止処理の詳細な手順を示している。
図11(b)において、CPU101は、(共通)端子SLEEP=未入力;(共通)端子DIR=LOW;(共通)端子USM0=LOW;(独立)端子USM1=未入力;(独立)端子ENC1=入力;(独立)端子STEP=未入力;(独立)端子ENB1=未入力;(独立)端子VREF2=出力;(独立)端子ENC2=入力;の各制御信号をモータドライバMD3に出力した(S150)後、切断モータ正転駆動処理を終了する。これにより、切断モータ106は、
図5に示すように停止するので、移動刃15も、切断完了位置で停止する。
【0104】
図10に戻り、次にCPU101は、切断モータ反転駆動処理を実行する(S116)。
図12は、切断モータ反転駆動処理の詳細な手順を示している。
図12において、CPU101は、(共通)端子SLEEP=未入力;(共通)端子DIR=LOW;(共通)端子USM0=HIGH;(独立)端子USM1=未入力;(独立)端子ENC1=入力;(独立)端子STEP=未入力;(独立)端子ENB1=未入力;(独立)端子VREF2=出力;(独立)端子ENC2=入力;の各制御信号をモータドライバMD3に出力した(S140)後、切断モータ正転駆動処理を終了する。これにより、切断モータ106は、
図5に示すように反転駆動を開始するので、移動刃15は、切断位置から初期位置に向けて移動を開始する。
【0105】
そして、CPU101は、エンコーダ113からの出力信号に基づいて移動刃15が初期位置に到達するまで待機し(S118:NO)、移動刃15が初期位置に到達すると(S118:YES)、CPU101は、上記S114と同様の切断モータ駆動停止処理を実行する(S120)。切断モータ駆動停止処理は、
図11(b)を用いて詳述したので、ここでは繰り返さない。
【0106】
なお、S114とS116との間、あるいはS120の後に、CPU101は、排出モータ109を正転駆動させる制御信号をモータドライバMD3に出力する。これにより、
図6(b)に示すように切断位置CPで2等分されたシートSが、第1排出経路201Aから排出トレイ22へ向けて搬送を開始する。そして、2等分されたシートSのうち、搬送方向上流側のシートが第1排出経路201Aから排出トレイ22に排出されるまでの時間だけ経過後、CPU101は、排出モータ109を停止させる制御信号をモータドライバMD3に出力する。
【0107】
次にCPU101は、実行中のジョブに次シートの印刷があるか否かを判断する(S124)。この判断において、次シートの印刷がある場合(S124:YES)、CPU101は、処理を上記S104に戻し、S104以降の処理を継続する。一方、次シートの印刷がない場合(S124:NO)、CPU101は、メインモータ108を停止させる制御信号をモータドライバMD2に出力した(S128)後、シート印刷切断処理を終了する。
【0108】
図7に戻り、上記S16では、CPU101は、印刷対象のシートSの切断が必要か否かを判断する。この判断は、本実施形態では、印刷ジョブに含まれるシートSを切断するか否かの情報に基づいてなされる。つまり、ユーザが、印刷ジョブの設定時に、シートSの切断を指定したモードを設定していると、印刷ジョブにシートSを切断するという情報が入る。この判断において、シートSの切断が必要である場合(S16:YES)、CPU101は、処理をS30に進める。一方、シートSの切断が必要でない場合(S16:NO)、CPU101は、処理をS40に進める。
【0109】
S30では、CPU101は、上記S20と同様にして、フラッパ88を第1位置88Aに移動させる。続くS32では、CPU101は、上記S24と同様にして、シート印刷切断処理を実行した後、印刷・コピー処理を終了する。
【0110】
一方、S40では、CPU101は、フラッパ88を第2位置88Bに移動させる。第2位置88Bは、上述のように、搬送ローラ36により搬送されたシートSを第2排出経路201Bに案内する位置である。次にCPU101は、通常印刷を行った(S42)後、印刷・コピー処理を終了する。通常印刷は、本実施形態では、印刷ジョブに基づいてシートSへ画像を印刷した後、シートSの切断を行わずに排出トレイ22へ排出することを意味する。
【0111】
以上説明したように、本実施形態の複合機1は、主走査方向に原稿上の画像を読み取るためのCISユニット112と、CISユニット112と原稿との間を主走査方向と直交する副走査方向に相対的に移動させるFBモータ110と、FBモータ110の駆動を制御するステッピングモータドライバMD5と、加熱ローラ61と、加熱ローラ61を加熱するヒータと、加熱ローラ61との間でニップNを形成する加圧ローラ62と、を有し、シートSに形成された、CISユニット112が読み取った画像をシートSに定着させる定着器6と、定着器6よりもシートSの搬送方向における下流側に位置するカッター位置Bに位置し、搬送方向と交差する切断方向にシートSを切断可能なカッター10と、FBモータ110と異なる種類のモータであって、カッター10がシートSを切断するための駆動力をカッター10に伝達する切断モータ106と、切断モータ106の駆動を制御するDCモータドライバMD4と、ステッピングモータドライバMD5とDCモータドライバMD4とを制御するASIC105と、を備え、ASIC105がDCモータドライバMD4を制御するために使用する制御信号の数は、ASIC105がステッピングモータドライバMD5を制御するために使用する制御信号の数より少ない、ことを特徴とする。
【0112】
このように、本実施形態の複合機1では、原稿の画像をCISユニット112を用いて読み取る場合、ASIC105は、CISユニット112と原稿との間を相対的に移動させるFBモータ110に対して、ステッピングモータドライバMD5を介して細かな搬送制御を行う必要性がある。他方、定着器6を通過して搬送されるシートSをカッター10を用いて切断する場合、ASIC105は、DCモータドライバMD4を介してカッター10を駆動するため、FBモータ110で行う搬送制御より簡単な制御で済む。これにより、ASIC105は、切断モータ106の駆動制御を、DCモータドライバMD4を介して簡単に行うことが可能となる。
【0113】
ちなみに、本実施形態において、複合機1は、「画像形成装置」の一例である。CISユニット112は、「読取センサ」の一例である。FBモータ110は、「第1モータ」の一例である。ステッピングモータドライバMD5は、「第1モータドライバ」の一例である。加熱ローラ61は、「加熱回転体」の一例である。加圧ローラ62は、「加圧回転体」の一例である。切断モータ106は、「第2モータ」の一例である。DCモータドライバMD4は、「第2モータドライバ」の一例である。ASIC105は、「制御部」の一例である。
【0114】
また、カッター10は、初期位置から切断方向に移動することによりシートSを切断する移動刃15、を有し、ASIC105は、シートSを切断する指令を受信した場合、切断モータ106の駆動力により移動刃15を初期位置から切断方向に移動させてシートSを切断する、ことを特徴とする。ちなみに、移動刃15は、「刃」の一例である。
【0115】
カッター10は、移動刃15を有し、移動刃15を切断モータ106の駆動力によって初期位置から直交方向に移動させる単純な制御であるため、ASIC105から複雑な制御を必要とせず、ステッピングモータドライバMD5を制御するために使用する制御信号の数より少なくて済むことができる。
【0116】
また、ASIC105がステッピングモータドライバMD5を制御するために使用する制御信号の少なくとも一部と、ASIC105がDCモータドライバMD4を制御するために使用する制御信号の少なくとも一部と、を共通化する、ことを特徴とする。
【0117】
これにより、ステッピングモータドライバMD5の制御信号の少なくとも一部と、DCモータドライバMD4の制御信号の少なくとも一部とが共通化されるので、ASIC105のポート不足を解消することが可能となる。これにより、1つのASIC105で、原稿上の画像の読み取りと、シートSへの画像形成と、カッター10によるシートSの切断とを行うことが可能となり、製造コストを抑制することが可能となる。
【0118】
また、FBモータ110は、ステッピングモータであり、ASIC105の端子DIRと端子USM0は、ステッピングモータの回転方向と励磁相とを指示するためのステッピングモータドライバMD5の2つの端子に接続されるとともに、切断モータ106の回転方向を指示するためのDCモータドライバMD4の2つの端子に接続される、ことを特徴とする。ちなみに、端子DIRは、「第1端子」の一例である。端子USM0は、「第2端子」の一例である。
【0119】
これにより、ASIC105のポート不足を解消することが可能となる。
【0120】
また、ASIC105の端子ENB1は、FBモータ110の駆動制御の有効化/無効化を切り替えるステッピングモータドライバMD5の端子に接続され、ASIC105の端子VREF2は、切断モータ106の駆動制御の有効化/無効化を切り替えるDCモータドライバMD4の端子に接続され、ASIC105は、端子ENB1の制御信号と端子VREF2の制御信号とを用いて、FBモータ110と切断モータ106とを排他制御する、ことを特徴とする。ちなみに、端子ENB1は、「第3端子」の一例である。端子VREF2は、「第4端子」の一例である。
【0121】
これにより、ステッピングモータドライバMD5の制御信号の少なくとも一部と、DCモータドライバMD4の制御信号の少なくとも一部とを共通化したとしても、FBモータ110と切断モータ106とを切り替えて適正に駆動することができる。
【0122】
また、切断モータ106は、DCモータであり、DCモータドライバMD4は、3つの端子に入力される制御信号により切断モータ106の駆動を制御し、ステッピングモータドライバMD5は、3つの端子を含む3つ以上の端子に入力される制御信号によりFBモータ110の駆動を制御する、ことを特徴とする。
【0123】
このように、切断モータ106は、DCモータドライバMD4を介して、FBモータ110より少ない制御信号により簡単に制御することができる。
【0124】
また、切断モータ106は、切断モータ106の回転情報を検出するためのエンコーダ113を有し、ASIC105の端子VREF1/ENC1は、ステッピングモータドライバMD5の電流値を入力する入力端子に接続されるとともに、エンコーダ113の出力端子に接続され、ASIC105は、CISユニット112を駆動する際は、入力端子に出力する端子VREF1/ENC1の機能を有効にし、シートSを切断する際は、出力端子からのエンコーダ113出力を受け付ける端子VREF1/ENC1の機能を有効にする、ことを特徴とする。ちなみに、端子VREF1/ENC1は、「第5端子」の一例である。
【0125】
このように、1つの端子VREF1/ENC1の機能切替を行うことで、入力端子としても出力端子としても使用することができるので、端子の共通化を実現し易くなる。
【0126】
また、ASIC105は、ステッピングモータドライバMD5を制御することによりFBモータ110を駆動させてCISユニット112を移動させることで、プラテンガラス91に載置された原稿上の画像を読み取るFB読取を実行する、ことを特徴とする。
【0127】
これにより、同時に駆動する可能性が低いFBモータ110と切断モータ106とを排他的に駆動することができる。
【0128】
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態で説明した複合機1の上部に位置する制御対象の制御構成(
図4参照)の一部を変更して構成しているので、変更する部分を中心に説明し、それ以外の部分の説明は適宜省略する。
【0129】
図13は、本願の第2実施形態に係る複合機1の上部に位置する制御対象を抜き出して1図としたものであり、上記第1実施形態における
図4に対応するものである。
図13と
図4とを見比べれば分かるように、
図4では、FBモータ110を制御するステッピングモータドライバMD5の制御信号の一部とDCモータドライバMD4の制御信号の一部とを共通にしていたのに対して、
図13では、ADFモータ111を制御するステッピングモータドライバMD6の制御信号の一部とDCモータドライバMD4の制御信号の一部とを共通にしている点が異なっている。
【0130】
なお、共通端子は、
図13でも
図4でも同じである。このため、本実施形態の複合機1は、上記第1実施形態で説明した制御手法を適用して簡単に実現することができるので、これ以上の説明は省略する。
【0131】
このように、本実施形態の複合機1のASIC105は、CISユニット112を固定した状態で、ステッピングモータドライバMD6を制御することによりADFモータ111を駆動させ、原稿をCISユニット112に搬送して原稿上の画像を読み取るADF読取を実行する、ことを特徴とする。
【0132】
これにより、同時に駆動する可能性が低いADFモータ111と切断モータ106とを排他的に駆動することができる。
【0133】
また、ASIC105がステッピングモータドライバMD6を制御するために使用する制御信号の少なくとも一部と、ASIC105がDCモータドライバMD4を制御するために使用する制御信号の少なくとも一部と、を共通化する、ことを特徴とする。
【0134】
これにより、ASIC105の端子不足を解消させることができる。
【0135】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0136】
(1)上記各実施形態では、レジ前センサSE1、レジ後センサSE2、排出センサSE3、及びシート検知センサSE4がシートSの通過を検出する各検出位置は、各センサの設置位置とほぼ一致しているが、これに限らず、センサの設置位置とシートSの検出位置とが離れているようなセンサを用いてもよい。
【0137】
(2)上記各実施形態では、シート検知センサSE4をカッター位置Bと第2排出ローラ86との間に配置したが、これに限らず、第1排出ローラ85とカッター位置Bとの間に配置するようにしてもよい。
【0138】
(3)上記各実施形態では、シートPを2等分に切断する場合について説明したが、これに限らず、シートPを、例えば3等分に切断してもよい。
【0139】
(4)上記各実施形態では、印刷ジョブを複合機1の外部から受信する場合、通信I/F130を介して受信することとしたが、これに限らず、例えば、USBインターフェースを介して印刷ジョブを受信するようにしてもよい。
【0140】
(5)上記各実施形態では、カッター10は、移動刃15と固定刃13とによって構成されていたが、シートSを切断することができれば形状・種類を問わない。例えば、切断方向に長い刃をシートSに落とすことによってシートを切断する構成や、ハサミであってもよい。
【符号の説明】
【0141】
1…複合機、2…画像形成部、3…搬送部、4…プロセス部、6…定着器、9…画像読取部、10…カッター、15…移動刃、20…本体、61…加熱ローラ、62…加圧ローラ、85…第1排出ローラ、86…第2排出ローラ、87…第3排出ローラ、88…フラッパ、89…フラッパソレノイド、91…プラテンガラス、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…NVRAM、105…ASIC、108…メインモータ、109…排出モータ、110…FBモータ、111…ADFモータ、112…CISユニット、201…搬送経路、201A…第1排出経路、201B…第2排出経路、B…カッター位置、MD1~MD6…モータドライバ、SE1…レジ前センサ、SE2…レジ後センサ、SE3…排出センサ、SE4…シート検知センサ。