(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079498
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240604BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240604BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240604BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240604BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20240604BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240604BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G03G21/00 370
B41J29/00 H
B41J29/38 206
B41J11/70
B41J11/42
B65H7/14
B65H35/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192477
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】篠矢 翔太
(72)【発明者】
【氏名】水野 智之
(72)【発明者】
【氏名】古山 達也
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】脇阪 政晶
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C058AC08
2C058AE02
2C058AE08
2C058AE13
2C058AF51
2C058GB04
2C058GB05
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2C058GB31
2C058GB49
2C058LA03
2C058LB10
2C058LB19
2C058LB36
2C058LC16
2C058LC24
2C061AQ06
2C061AS02
2C061AS13
2C061CK01
2C061HJ10
2C061HK06
2C061HK07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HK23
2C061HN04
2C061HN05
2C061HN15
2C061HV09
2C061HV10
2C061HV32
2H270KA57
2H270LA54
2H270LA70
2H270LC07
2H270LC14
2H270LC17
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2H270MC60
2H270MC61
2H270MD02
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2H270MD17
2H270PA83
2H270QB08
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BB02
3F048CA09
3F048CC03
3F048DA05
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3F048DA09
3F048DC05
3F048DC13
3F048DC14
3F048EB17
3F048EB29
3F048EB37
(57)【要約】
【課題】カッター周辺においてシートを精度よく検知することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】プリンタ1は、シートSの搬送経路201を有する装置本体2と、加熱ローラ61と、シートSに形成された画像をシートSに定着させる定着器6と、定着器6よりも下流側に位置し、シートSを搬送する第1排出ローラ85と、第1排出ローラ85よりも搬送方向における下流側に位置し、第1排出ローラ85により搬送されたシートSを装置本体2の外部に排出する第2排出ローラ86と、搬送方向における第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間の位置であるカッター位置Bに位置し、搬送方向と交差する切断方向にシートSを切断可能なカッター10と、搬送方向における第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間の第1検出位置にシートSが存在するか否かを検出するシート検知センサSE4と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送経路を有する装置本体と、
加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体と、を有し、前記シートに形成された画像を前記シートに定着させる定着器と、
前記搬送経路に沿った前記シートの搬送方向において、前記定着器よりも下流側に位置し、前記シートを搬送する第1排出ローラと、
前記第1排出ローラよりも前記搬送方向における下流側に位置し、前記第1排出ローラにより搬送された前記シートを前記装置本体の外部に排出する第2排出ローラと、
前記搬送方向における前記第1排出ローラと前記第2排出ローラとの間の位置であるカッター位置に位置し、前記搬送方向と交差する切断方向に前記シートを切断可能なカッターと、
前記搬送方向における前記第1排出ローラと前記第2排出ローラとの間の第1検出位置に前記シートが存在するか否かを検出する第1センサと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
制御部、をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1センサの出力に基づいて、前記第1検出位置に前記シートの前端が到達してから前記シートの切断位置が前記カッター位置に到達するまで前記シートを搬送させるのに要する駆動量で前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを駆動させた後、前記シートの搬送を停止させる搬送処理と、
前記搬送処理の後、前記カッターを用いて前記シートを前記切断方向に切断する切断処理と、
を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記シートのシートサイズを含む印刷データを受け取り、受け取った前記印刷データに含まれる前記シートサイズに基づいて前記駆動量を取得する駆動量取得処理、を実行し、
前記搬送処理では、前記駆動量取得処理により取得した前記駆動量で前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを駆動させた後、前記シートの搬送を停止させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1センサよりも前記搬送方向における上流側である第2検出位置に、前記シートが存在するか否かを検出する第2センサ、をさらに備え、
前記制御部は、
前記第2センサの出力に基づいて、前記第2検出位置に前記シートの前端が到達してから前記シートの後端が到達したことを検知し、検知した前記シートの前記前端及び前記後端に基づいて、前記シートの前記搬送方向におけるシート長を取得するシート長取得処理と、
前記シート長取得処理により取得した前記シート長に基づいて前記駆動量を取得する駆動量取得処理と、を実行し、
前記搬送処理では、前記駆動量取得処理により取得した前記駆動量で前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを駆動させた後、前記シートの搬送を停止させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記シート長取得処理では、前記第2センサの出力に基づいて、前記シートの前端を
検知してから前記シートの後端を検知するまでの前記シートの搬送量に基づいて、前記シートの前記搬送方向におけるシート長を取得する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを駆動させる排出モータ、をさらに備え、
前記制御部は、
前記搬送処理中に、前記排出モータの駆動を開始させてから所定時間経過しても、前記第1センサが前記シートを検出しない場合、前記排出モータの駆動を停止させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加熱回転体及び前記加圧回転体のうちのいずれか一方を回転駆動させるメインモータ、をさらに備え、
前記制御部は、
前記搬送処理中に、前記排出モータの駆動を開始させてから前記所定時間経過しても、前記第1センサが前記シートを検出しない場合、前記メインモータの駆動も停止させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記装置本体は、表示パネルをさらに有し、
前記制御部は、
前記搬送処理中に、前記排出モータの駆動を開始させてから前記所定時間経過しても、前記第1センサが前記シートを検出しない場合、前記表示パネルに、ジャムが発生したことを報知する報知画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを駆動させる排出モータ、をさらに備え、
前記制御部は、
前記切断処理の後、前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラを駆動させて、切断後の前記シートを前記装置本体の外部に排出する排出処理、を実行し、
前記排出処理中に、前記排出モータの駆動を開始させてから所定時間経過しても、前記第1センサが前記シートを検出している場合、前記排出モータの駆動を停止させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記装置本体は、
表示パネル、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記排出処理中に、前記排出モータの駆動を開始させてから前記所定時間経過しても、前記第1センサが前記シートを検出しない場合、前記表示パネルに、ジャムが発生したことを報知する報知画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記カッターは、
前記シートを切断するための刃と、前記刃を前記切断方向に移動させる切断モータと、
を有し、
前記制御部は、
前記切断処理において、前記切断モータが駆動中、かつ前記排出モータが非駆動中であるときに、前記第1センサが前記シートを検出した状態から検出しない状態に変動した場合、前記切断モータの駆動を停止させる、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1センサは、
前記カッターと前記第2排出ローラとの間の検出位置に前記シートが存在するか否かを検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第1排出ローラと前記第2排出ローラとの間の前記搬送経路を開閉自在に覆うカバー、
をさらに備え、
前記第1センサは、
前記カバーが開状態であるときと、前記カバーが閉状態であって、前記シートを検出しているときに第1信号を出力し、前記カバーが閉状態であって、前記シートを検出していないときに第2信号を出力し、
前記制御部は、
前記第1排出ローラ及び前記第2排出ローラにより前記シートを搬送していないときに、前記第1センサから前記第1信号が出力された場合、前記カバーが開状態であると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記定着器と前記第1排出ローラとの間の前記搬送経路から分岐した排出経路に位置する第3排出ローラであって、前記定着器から前記第2排出ローラまでの前記搬送経路における長さよりも短い位置に位置し、前記シートを前記装置本体の外部に排出する第3排出ローラ、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記シートを切断するか否かを示す切断有無情報を含む印刷データを受け取り、受け取った前記印刷データに含まれる前記切断有無情報が切断しないを示す場合、前記シートを前記第3排出ローラにより搬送させて、前記シートを切断せずに前記装置本体から外部に排出させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記シートを前記第1排出ローラへ向けて案内する第1位置と、前記シートを前記第3排出ローラへ向けて案内する第2位置と、に切替え可能なフラッパ、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記切断有無情報が切断するを示す場合、前記シートの前端が前記定着器を抜けた後、前記フラッパに到達する前に、前記フラッパを前記第1位置に切替え、
前記切断有無情報が切断しないを示す場合、前記シートの前端が前記定着器を抜けた後、前記フラッパに到達する前に、前記フラッパを前記第2位置に切替える、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記定着器から前記カッターまでの前記搬送経路における長さは、切断可能なシートの前記搬送方向におけるシート長の半分より長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記第1排出ローラを駆動する排出モータと、
前記第1排出ローラと前記定着器との間に位置するローラと、
前記ローラと前記定着器とを駆動するメインモータと、
をさらに備え、
前記ローラから前記カッターまでの前記搬送経路における長さは、切断可能なシートの前記搬送方向におけるシート長の半分より長く、
前記制御部は、
前記切断処理中に前記メインモータを駆動したままである、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記定着器よりも前記搬送方向における上流側に位置し、前記シートに画像を形成する画像形成部であって、感光体ドラムと、前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラと、前記感光体ドラムに形成されたトナー像を前記シートに転写する転写ローラと、を有する画像形成部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成されたシートをカッターで切断する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成部から送り出されるシートをカッターの位置に搬送し、シートの搬送方向の中央部で、搬送方向に直交する方向にシートを裁断するようにした画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、シート検知部を備え、シート検知部がシートを検知したことに応じて分岐ガイドを制御し、裁断されたシートを第一排出トレイと第二排出トレイとに分けて排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置では、カッター周辺においてシートを精度よく検知することは考慮されていない。
【0005】
本願は、カッター周辺においてシートを精度よく検知することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、シートの搬送経路を有する装置本体と、加熱回転体と、加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体と、を有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着器と、搬送経路に沿ったシートの搬送方向において、定着器よりも下流側に位置し、シートを搬送する第1排出ローラと、第1排出ローラよりも搬送方向における下流側に位置し、第1排出ローラにより搬送されたシートを装置本体の外部に排出する第2排出ローラと、搬送方向における第1排出ローラと第2排出ローラとの間の位置であるカッター位置に位置し、搬送方向と交差する切断方向にシートを切断可能なカッターと、搬送方向における第1排出ローラと第2排出ローラとの間の第1検出位置にシートが存在するか否かを検出する第1センサと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本願の画像形成装置によれば、搬送方向における第1排出ローラと第2排出ローラとの間にカッターを配置するとともに、これと同様の第1排出ローラと第2排出ローラと間の検出位置にシートが存在するか否かを検出するようにしたので、カッター周辺においてシートを精度よく検知することが可能となる。
【0008】
また、制御部、をさらに備え、制御部は、第1センサの出力に基づいて、第1検出位置にシートの前端が到達してからシートの切断位置がカッター位置に到達するまでシートを搬送させるのに要する駆動量で第1排出ローラ及び第2排出ローラを駆動させた後、シートの搬送を停止させる搬送処理と、搬送処理の後、カッターを用いてシートを切断方向に切断する切断処理と、を実行する、ことを特徴とする。
【0009】
このように、カッター位置の近くに位置する第1センサの出力に基づいてシートの切断
位置がカッター位置に到達するまでシートを搬送し、その搬送位置でシートを切断するようにしたので、シートの切断位置で正確にシートを切断することが可能となる。
【0010】
また、制御部は、シートのシートサイズを含む印刷データを受け取り、受け取った印刷データに含まれるシートサイズに基づいて駆動量を取得する駆動量取得処理、を実行し、搬送処理では、駆動量取得処理により取得した駆動量で第1排出ローラ及び第2排出ローラを駆動させた後、シートの搬送を停止させる、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、受け取った印刷データに含まれる単純な情報であるシートサイズに基づいて、駆動量を取得できるので、駆動量を取得する処理を簡単化することが可能となる。
【0012】
また、第1センサよりも搬送方向における上流側である第2検出位置に、シートが存在するか否かを検出する第2センサ、をさらに備え、制御部は、第2センサの出力に基づいて、第2検出位置にシートの前端が到達してからシートの後端が到達したことを検知し、検知したシートの前端及び後端に基づいて、シートの搬送方向におけるシート長を取得するシート長取得処理と、シート長取得処理により取得したシート長に基づいて駆動量を取得する駆動量取得処理と、を実行し、搬送処理では、駆動量取得処理により取得した駆動量で第1排出ローラ及び第2排出ローラを駆動させた後、シートの搬送を停止させる、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、シートの実測したシート長に基づいて、駆動量を取得できるので、シートが縮んでシート長が元のシート長より短くなったとしても、シートを意図通りの切断位置で正確に切断することが可能となる。
【0014】
また、制御部は、シート長取得処理では、第2センサの出力に基づいて、シートの前端を検知してからシートの後端を検知するまでのシートの搬送量に基づいて、シートの搬送方向におけるシート長を取得する、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、シートのシート長を画像形成装置に既に設置されている第2センサの出力に基づいて取得できるので、画像形成装置全体の製造コストを抑制することが可能となる。
【0016】
また、第1排出ローラ及び第2排出ローラを駆動させる排出モータ、をさらに備え、制御部は、搬送処理中に、排出モータの駆動を開始させてから所定時間経過しても、第1センサがシートを検出しない場合、排出モータの駆動を停止させる、ことを特徴とする。
【0017】
これにより、搬送処理中のシートのジャム発生を的確に判断して、ジャム発生に応じたエラー処理を的確に行うことが可能となる。
【0018】
また、加熱回転体及び加圧回転体のうちのいずれか一方を回転駆動させるメインモータ、をさらに備え、制御部は、搬送処理中に、排出モータの駆動を開始させてから所定時間経過しても、第1センサがシートを検出しない場合、メインモータの駆動も停止させる、ことを特徴とする。
【0019】
これにより、ジャム発生に応じたエラー処理をさらに的確に行うことが可能となる。
【0020】
また、装置本体は、表示パネルをさらに有し、制御部は、搬送処理中に、排出モータの駆動を開始させてから所定時間経過しても、第1センサがシートを検出しない場合、表示パネルに、ジャムが発生したことを報知する報知画面を表示させる、ことを特徴とする。
【0021】
これにより、搬送処理中のシートのジャム発生を的確にユーザに報知することが可能となる。
【0022】
また、第1排出ローラ及び第2排出ローラを駆動させる排出モータ、をさらに備え、制御部は、切断処理の後、第1排出ローラ及び第2排出ローラを駆動させて、切断後のシートを装置本体の外部に排出する排出処理、を実行し、排出処理中に、排出モータの駆動を開始させてから所定時間経過しても、第1センサがシートを検出している場合、排出モータの駆動を停止させる、ことを特徴とする。
【0023】
これにより、切断後の排出処理中のシートのジャム発生を的確に判断して、ジャム発生に応じたエラー処理を的確に行うことが可能となる。
【0024】
また、装置本体は、表示パネル、をさらに有し、制御部は、排出処理中に、排出モータの駆動を開始させてから所定時間経過しても、第1センサがシートを検出しない場合、表示パネルに、ジャムが発生したことを報知する報知画面を表示させる、ことを特徴とする。
【0025】
これにより、切断後の排出処理中のシートのジャム発生を的確にユーザに報知することが可能となる。
【0026】
また、カッターは、シートを切断するための刃と、刃を切断方向に移動させる切断モータと、を有し、制御部は、切断処理において、切断モータが駆動中、かつ排出モータが非駆動中であるときに、第1センサがシートを検出した状態から検出しない状態に変動した場合、切断モータの駆動を停止させる、ことを特徴とする。
【0027】
これにより、切断処理中にシートが引き抜かれたことを的確に判断して、それに応じたエラー処理を的確に行うことが可能となる。
【0028】
また、第1センサは、カッターと第2排出ローラとの間の検出位置にシートが存在するか否かを検出する、ことを特徴とする。
【0029】
これにより、カッター周辺においてシートを精度よく検知することが可能となる。
【0030】
また、第1排出ローラと第2排出ローラとの間の搬送経路を開閉自在に覆うカバー、をさらに備え、第1センサは、カバーが開状態であるときと、カバーが閉状態であって、シートを検出しているときに第1信号を出力し、カバーが閉状態であって、シートを検出していないときに第2信号を出力し、制御部は、第1排出ローラ及び第2排出ローラによりシートを搬送していないときに、第1センサから第1信号が出力された場合、カバーが開状態であると判定する、ことを特徴とする。
【0031】
これにより、シートの検出とカバーの開状態の検出の双方の検出を1つの第1センサで兼用させることができ、画像形成装置全体の製造コストを削減することが可能となる。
【0032】
また、定着器と第1排出ローラとの間の搬送経路から分岐した排出経路に位置する第3排出ローラであって、定着器から第2排出ローラまでの搬送経路における長さよりも短い位置に位置し、シートを装置本体の外部に排出する第3排出ローラ、をさらに備え、制御部は、シートを切断するか否かを示す切断有無情報を含む印刷データを受け取り、受け取った印刷データに含まれる切断有無情報が切断しないを示す場合、シートを第3排出ローラにより搬送させて、シートを切断せずに装置本体から外部に排出させる、ことを特徴とする。
【0033】
これにより、シートを切断しない場合、搬送経路の短い経路を通ってシートを装置本体の外部に排出するようにしたので、切断しないシートを装置本体の外部に速く排出することが可能となる。
【0034】
また、シートを第1排出ローラへ向けて案内する第1位置と、シートを第3排出ローラへ向けて案内する第2位置と、に切替え可能なフラッパ、をさらに備え、制御部は、切断有無情報が切断するを示す場合、シートの前端が定着器を抜けた後、フラッパに到達する前に、フラッパを第1位置に切替え、切断有無情報が切断しないを示す場合、シートの前端が定着器を抜けた後、フラッパに到達する前に、フラッパを第2位置に切替える、ことを特徴とする。
【0035】
これにより、印刷データに含まれる切断有無情報に基づいて、シートは第1排出ローラ及び第3排出ローラのうちのいずれかに向けて自動的に案内されるので、便利である。
【0036】
また、定着器からカッターまでの搬送経路における長さは、切断可能なシートの搬送方向におけるシート長の半分より長い、ことを特徴とする。
【0037】
これにより、シートをカッター位置で切断する際に、定着器のニップでシートを挟んだ状態が解消されるので、加圧回転体の回転が停止した状態で、加熱回転体からシートに熱が加えられることを抑制することが可能となる。
【0038】
また、第1排出ローラを駆動する排出モータと、第1排出ローラと定着器との間に位置するローラと、ローラと定着器とを駆動するメインモータと、をさらに備え、ローラからカッターまでの搬送経路における長さは、切断可能なシートの搬送方向におけるシート長の半分より長く、制御部は、切断処理中にメインモータを駆動したままである、ことを特徴とする。
【0039】
これにより、シートをカッター位置で切断する際に、メインモータによるローラや定着器の駆動を停止させることなく、排出モータのみを停止することで、カッター位置にシートを停止させておくことが可能となる。
【0040】
また、定着器よりも搬送方向における上流側に位置し、シートに画像を形成する画像形成部であって、感光体ドラムと、感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラと、感光体ドラムに形成されたトナー像をシートに転写する転写ローラと、を有する画像形成部、をさらに備えることを特徴とする。
【0041】
これにより、電子写真式の画像形成装置でも、カッター周辺においてシートを精度よく検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本願の第1実施形態に係るモノクロレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1のモノクロレーザプリンタに含まれるカッターの概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1のモノクロレーザプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【
図4】シートの切断位置((a))とその切断位置で切断したシートを示す図である。
【
図5】カバー開状態((a))、カバー閉状態かつシート非検知状態((b))及びカバー閉状態かつシート検知状態((c))におけるシート検知センサの動作を示す図である。
【
図6】
図1のモノクロレーザプリンタにおける印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図6の印刷処理に含まれるシート印刷切断処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図7のシート印刷切断処理に含まれる設定シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図7のシート印刷切断処理に含まれるカッター位置へのシート搬送処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図7のシート印刷切断処理に含まれるシート切断処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図10のシート切断処理に含まれるシート引抜検知によるエラー停止処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図7のシート印刷切断処理に含まれるJAMによるエラー停止処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図1のモノクロレーザプリンタにおけるカバー状態判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】本願の第2実施形態に係るモノクロレーザプリンタにおけるシート印刷切断処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図15】
図14のシート印刷切断処理に含まれる計測シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【
図16】
図15の計測シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0044】
(第1実施形態)
図1は、本願の第1実施形態に係るモノクロレーザプリンタ1の概略構成を示す断面図である。モノクロレーザプリンタ1は、画像形成装置の一例である。以下、モノクロレーザプリンタ1をプリンタ1と略して言う。プリンタ1は、装置本体2と、搬送部3と、画像形成部4と、定着器6と、カッター10と、操作パネルPAとを備えている。以下、説明の便宜上、
図1の矢印で示されるように、プリンタ1の上下方向、及び前後方向を定義する。また、紙面のこちら側を左と、紙面の向こう側を右と定義する。
【0045】
装置本体2は、フロントカバー21と、供給トレイ31と、排出トレイ22と、搬送経路201と、再搬送経路202とを有している。フロントカバー21は、装置本体2の前面に開閉可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31は、装置本体2の下部に着脱可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31には、シートSが載置される。シートSは、A4サイズ等の定型シートである。シートSは、例えば、普通紙、厚紙等の紙媒体であるが、これに限らず、OHPフィルムであってもよい。排出トレイ22は、装置本体2の上部に設けられ、排出トレイ22には、画像が形成されたシートSが載置される。
【0046】
搬送経路201は、供給トレイ31に載置されたシートSを、画像形成部4を経由して排出トレイ22へ向けて搬送方向に沿って搬送するための経路である。搬送経路201は、第1分岐位置D1から第1排出経路201Aと第2排出経路201Bに分岐する。したがって、画像形成部4を経由して搬送されたシートSは、第1排出経路201Aを経由して排出トレイ22へ排出されるものと、第2排出経路201Bを経由して排出トレイ22へ排出されるものとがある。
【0047】
再搬送経路202は、一方の面に画像が形成されたシートSを、反転させて、再び画像形成部4に向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、第2分岐位置D2において搬送経路201から分岐し、レジ前センサSE1の搬送方向上流側の合流位置Jで搬送経路201に合流している。
【0048】
搬送部3は、ピックアップローラ33、分離ローラ34、レジストレーションローラ35、ローラ36、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、第3排出ローラ87、フラッパ88、再搬送ローラ38,39、メインモータ108(
図3参照)及び排出モータ109(
図3参照)を有している。
【0049】
ピックアップローラ33は、シート押圧板32により上方に押し上げられた供給トレイ31内のシートSをピックアップして、搬送経路201に向けて搬送する。分離ローラ34は、ピックアップローラ33がピックアップしたシートSを1枚ずつ分離する。
【0050】
レジストレーションローラ35は、搬送経路201において画像形成部4よりも上流側に配置されている。レジストレーションローラ35は、シートSの前端の方向を揃えた後、シートSを画像形成部4へ向けて搬送する。このレジストレーションローラ35がシートを搬送する搬送方向は、前方から後方に向かう方向である。ローラ36は、定着器6を通過後のシートSを、第1排出ローラ85又は第3排出ローラ87へ向けて搬送する。定着器6とローラ36とがシートを搬送する搬送方向は、前方から後方に向かい、かつ斜め上方に向かう方向である。
【0051】
第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、第1排出経路201Aに配置されている。第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対である。そして、第1排出ローラ85は、カッター10が配置されたカッター位置Bよりも上流の位置に配置され、第2排出ローラ86は、カッター位置Bよりも下流の位置に配置されている。
【0052】
第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86は、正転することで、シートSを排出トレイ22に排出する。正転は、シートSを搬送方向に搬送する回転であり、装置本体2の左右方向を軸として反時計方向の回転に相当する。第1排出ローラ85がシートを搬送する搬送方向は、後方から前方に向かい、かつ、上方に向かう方向である。また、第2排出ロ
ーラ86がシートを搬送する搬送方向は、後方から前方に向かう方向である。
【0053】
一方、第3排出ローラ87は、第2排出経路201Bに配置されている。第3排出ローラ87も、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対である。第3排出ローラ87は、正転することで、シートSを排出トレイ22に排出する。また、第3排出ローラ87は、正転とは逆方向の回転である逆転することで、シートSを再搬送経路202へ搬送する。逆転は、シートSを搬送方向とは逆方向に搬送する回転であり、装置本体2の左右方向を軸として時計方向の回転に相当する。すなわち、第3排出ローラ87が正転することでシートを搬送する搬送方向は、後方から前方に向かう方向であり、第3排出ローラが逆転することでシートを搬送する方向は、前方から後方に向かう方向である。
【0054】
再搬送経路202には、再搬送ローラ38,39が配置されている。再搬送ローラ38,39は、再搬送経路202に搬送されたシートSを、画像形成部4に向けて搬送する。再搬送ローラ38,39によって、一方の面に画像形成が行われたシートSを、再搬送経路202を経由して画像形成部4へ向けて再搬送することで、シートSの両面に画像形成を行うことが可能となっている。すなわち、再搬送ローラ38,39がシートを搬送する搬送方向は、後方から前方に向かう方向である。
【0055】
画像形成部4は、シートSに画像を形成するものであり、装置本体2内に収容されている。画像形成部4は、ドラムカートリッジ5及びレーザユニット7を有している。ドラムカートリッジ5は、感光体ドラム51と、トナー収容部57と、供給ローラ56と、現像ローラ55と、帯電器52と、転写ローラ53と、ピンチローラ54とを有している。ドラムカートリッジ5は、フロントカバー21を開けることにより、装置本体2から取り外すことが可能となっている。ドラムカートリッジ5のピンチローラ54は、レジストレーションローラ35と対向している。ピンチローラ54は、レジストレーションローラ35の回転に従動して回転し、レジストレーションローラ35とともにシートSを搬送する。
【0056】
感光体ドラム51は、メインモータ108(
図3参照)から伝達される駆動力により、時計方向に回転することで、シートSを搬送方向に搬送する。感光体ドラム51では、シートSを搬送方向に搬送する回転である正転は、時計方向である。トナー収容部57には、トナーが収容されている。供給ローラ56は、トナー収容部57内のトナーを現像ローラ55に供給する。帯電器52は、スコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させる。なお、帯電器52は、帯電ローラであってもよい。
【0057】
感光体ドラム51に対向する位置には、転写ローラ53が配置されている。転写ローラ53は、搬送経路201における感光体ドラム51との間に転写ニップTNを形成する。なお、転写ローラ53の代わりに、転写ベルトを用いてもよい。
【0058】
装置本体2は、その内部における上部に、レーザユニット7を有している。レーザユニット7は、ポリゴンミラー131(
図3参照)、レーザ発光部132(
図3参照)、図示しないレンズ及び反射鏡等を有している。レーザユニット7は、レーザ発光部132から出射される画像データに基づくレーザ光(
図1の二点鎖線参照)が、感光体ドラム51の表面で高速走査されることで、感光体ドラム51の表面を露光する。
【0059】
感光体ドラム51の表面は、レーザユニット7により露光されることで、画像データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ55は、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像にトナーを供給することで、感光体ドラム51の表面にトナー像を形成する。
【0060】
転写ローラ53には、図示しない電圧印加部により転写電圧が印加される。転写ローラ53は、感光体ドラム51との間でシートSを搬送することで、感光体ドラム51の表面に形成されたトナー像を、転写ニップTNを通過するシートSに転写する。このようにして、シートSへの画像形成が行われる。
【0061】
搬送経路201において画像形成部4よりも下流側には、定着器6が配置されている。定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63(
図3参照)と、温度センサ64(
図3参照)とを有している。加熱ローラ61は、加熱回転体の一例であり、シートSを加熱する。加圧ローラ62は、加圧回転体の一例であり、加熱ローラ61との間でニップNを形成し、シートSを加圧する。加圧ローラ62は、メインモータ108の駆動力により、反時計方向に回転する。加圧ローラ62では、シートSを搬送方向に搬送する回転である正転は、反時計方向である。このように、加圧ローラ62が駆動ローラであり、加熱ローラ61は従動ローラであるが、これとは逆に、加熱ローラ61が、メインモータ108の駆動力により、時計方向に回転する駆動ローラであり、加圧ローラ62は従動ローラであってもよい。
【0062】
ヒータ63は、例えばハロゲンヒータであり、加熱ローラ61を加熱する。温度センサ64は、加熱ローラ61の近傍に設けられ、加熱ローラ61の温度を検出する。温度センサ64は、検出した温度に応じた信号を、CPU101(
図3参照)へ出力する。
【0063】
定着器6は、加熱ローラ61によりシートSを加熱して、加圧ローラ62を回転させることにより、加熱ローラ61及び加圧ローラ62によりシートSを加圧しながら搬送することで、画像形成部4によりシートSに形成された画像をシートSに定着させる。
【0064】
なお、定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、定着器6は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であってもよい。また、定着器6は、発熱パターンが形成された基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であってもよい。また、定着器6は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であってもよい。
【0065】
第1排出経路201Aにおいて第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間のカッター位置Bには、カッター10が配置されている。後述するように、プリンタ1は、シートS上の切断位置がカッター位置Bに到達するように第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止する。第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転が停止した状態で、プリンタ1は、カッター10を用いて、カッター位置BでシートSを切断する。
【0066】
図2は、カッター10の概略構成を示している。
図2に示すように、カッター10は、カッターフレーム11と、スライドレール12と、固定刃13と、シート通過部14と、移動刃15と、スライドホルダ16と、切断モータ106と、を有している。カッターフレーム11は、軸方向に延びている。スライドレール12は、カッターフレーム11に形成された軸方向に延びるレールである。固定刃13は、カッターフレーム11に固定された軸方向に延びる平板状の刃である。シート通過部14は、カッターフレーム11に形成されたシートSが通過する空間である。本実施形態では、シート通過部14は、スライドレール12と固定刃13との間に形成されている。移動刃15は、円板状の刃であり、スライドホルダ16に回転可能に固定されている。
【0067】
スライドホルダ16は、スライドレール12と係合し、スライドレール12に沿って、スライド移動可能にカッターフレーム11に取り付けられている。切断モータ106を正転させると、スライドホルダ16が軸方向の一方側から他方側に向けてスライド移動し、切断モータ106を反転させると、スライドホルダ16が軸方向の他方側から一方側に向けてスライド移動するようになっている。スライドホルダ16は、
図2に実線で示す初期位置から破線で示す切断完了位置まで移動可能である。シートSがカッター位置Bにあるときに、スライドホルダ16がスライドレール12に沿って切断完了位置まで移動すると、1枚のシートSが固定刃13と移動刃15と挟まれて2枚に切断される。スライドホルダ16は、シートSの切断後、シートSを排出トレイ22に向けて搬送開始前に切断完了位置から初期位置に戻される。しかし、これに限らず、スライドホルダ16は、切断後のシートSを排出トレイ22に排出した後、次のシートSの切断を開始する前までに、切断完了位置から初期位置に戻すようにしてもよい。
【0068】
なお、プリンタ1は、カッター10により、A4とレターサイズのシートSを搬送方向におけるシート中央で切断可能に構成されている。つまり、
図1におけるニップNからカッター位置Bまでの搬送経路201の長さが、A4サイズのシートSの搬送方向における寸法(297mm)の半分(148.5mm)より長くなるように設計されている。この構成により、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させた状態で、A4サイズやレターサイズのシートSをカッター位置Bで切断する際に、シートSの後端が定着器6のニップNを通過していることとなる。定着器6のニップNでシートSを挟んだ状態で、シートSをカッター位置Bで切断するために第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させると、加圧ローラ62の回転を停止させる必要がある。しかしなが
ら、定着器6のニップNでシートSを挟んだ状態で加圧ローラ62の回転が停止すると、加熱ローラ61から局所的にシートSの同じ場所に熱が加えられてしまう。そのため、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させた状態でシートSをカッター位置Bで切断する際には、シートSの後端が定着器6のニップNを通過している必要がある。
【0069】
さらに、
図1におけるローラ36のニップからカッター位置Bまでの搬送経路201の長さは、A4サイズのシートSの搬送方向における寸法(297mm)の半分(148.5mm)より長くなるように設計されている。この構成により、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させた状態で、シートSをカッター位置Bで切断する際に、シートSの後端は、ローラ36のニップを通過していることとなる。第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させた状態でシートSをカッター位置Bで切断する際に、ローラ36や加圧ローラ62のニップがシートを挟んで回転していると、第1排出ローラ85とローラ36との間で、シートSが蛇腹状に曲がってしまうおそれがある。そこで、上記構成とすることで、ローラ36や定着器6の回転を停止させることなく、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86の回転を停止させることのみで、シートが蛇腹状に曲がってしまうことなく、切断位置にシートを停止させておくことが可能となる。
【0070】
また、第2排出経路201Bの長さは、第1排出経路201Aの長さより短くなるように設計されている。すなわち、第2排出ローラ86は、第3排出ローラ87よりも、前方側にある。これは、画像形成後のシートSを切断しないときには、そのシートSを装置本体2の外部に速く排出するためである。
【0071】
次に、プリンタ1の制御構成について、
図3を参照して説明する。
図3に示すように、プリンタ1は、ASIC105、ROM102と、RAM103と、NVRAM104と、レジ後センサSE2と、排出センサSE3と、シート検知センサSE4と、通信インターフェース(I/F)130とをさらに備えている。
【0072】
ASIC105には、CPU101が搭載されている。CPU101は、制御部の一例であり、プリンタ1の各部に対する全般的な制御を行う。ASIC105は、ROM102、RAM103、NVRAM104、切断モータ106、フラッパ88、電磁クラッチ107、メインモータ108、排出モータ109、レジ前センサSE1、レジ後センサSE2、排出センサSE3、シート検知センサSE4、操作パネルPA、通信I/F130、ドラムカートリッジ5、定着器6、及びレーザユニット7と電気的に接続されている。
【0073】
ROM102には、プリンタ1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。なお、
図6を用いて後述する印刷処理は、制御プログラムに含まれる。
【0074】
RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及びジョブに含まれる画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムや、各種センサから出力される信号に従って、その処理結果をRAM103またはNVRAM104に記憶させながら、プリンタ1の各部を制御する。
【0075】
CPU101は、切断モータ106を駆動させて、スライドホルダ16を移動させることにより、移動刃15をシートSの幅方向に移動させて、シートSを切断する。
【0076】
メインモータ108は、ピックアップローラ33、レジストレーションローラ35、ローラ36、再搬送ローラ38,39、加圧ローラ62、及びドラムカートリッジ5に駆動力を伝達する。CPU101がメインモータ108を正転駆動させると、ローラ36、加
圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35に駆動力が伝達される。そして、ローラ36、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35は、シートSを搬送方向に搬送する向きに回転する。
【0077】
具体的には、ローラ36及び加圧ローラ62は、反時計方向に回転する。感光体ドラム51は、時計方向に回転する。現像ローラ55は、反時計方向に回転する。ピックアップローラ33は、反時計方向に回転する。レジストレーションローラ35は、反時計方向に回転する。
【0078】
一方、CPU101が、メインモータ108を反転駆動させても、ローラ36、加圧ローラ62、ドラムカートリッジ5、ピックアップローラ33及びレジストレーションローラ35には、駆動力が伝達されない構成となっている。
【0079】
また、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39に駆動力を伝達し、時計方向に回転させる。一方、CPU101は、メインモータ108を反転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39に駆動力が伝達し、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39を時計方向に回転させる。
【0080】
排出モータ109は、例えば、ステッピングモータであり、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87に駆動力を伝達する。CPU101が排出モータ109を正転駆動させると、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87を反時計方向に回転させる。これにより、シートSは、第1排出経路201A又は第2排出経路201Bを経由して排出トレイ22に排出される。一方、CPU101は、排出モータ109を反転駆動させることで、第1排出ローラ85、第2排出ローラ86、及び第3排出ローラ87を時計方向に回転させる。これにより、第2排出経路201Bを搬送中のシートSは、搬送方向と逆方向に搬送される。
【0081】
CPU101は、電磁クラッチ107を制御する。CPU101は、電磁クラッチ107をオンすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達される状態にする一方、電磁クラッチ107をオフすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達されない状態にする。
【0082】
CPU101は、フラッパ88を制御する。CPU101は、例えばフラッパソレノイド(図示せず)をオン/オフすることにより、フラッパ88の位置を第1位置(
図1において、破線で示す位置88A)と第2位置(
図1において、実線で示す位置88B)とに切り替えることができる。第1位置88Aにあるフラッパ88は、ローラ36により搬送されたシートSを第1排出経路201Aに案内する。第2位置88Bにあるフラッパ88は、ローラ36により搬送されたシートSを第2排出経路201Bに案内する。また、第2位置88Bにあるフラッパ88は、第2排出経路201BにあるシートSを再搬送経路202に案内する。
【0083】
レジ前センサSE1は、搬送経路201においてレジストレーションローラ35よりも上流側に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ前センサSE1は、シートSが当接することで揺動するアクチュエータと、アクチュエータの位置を検知するフォトセンサと、を有する。レジ前センサSE1は、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。レジ前センサSE1による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0084】
レジ後センサSE2は、搬送経路201において定着器6よりも上流側、具体的には、
レジストレーションローラ35と転写ローラ53との間に配置され、シートSが通過することを検知するセンサである。レジ後センサSE2は、レジ前センサSE1と同様の構成である。レジ後センサSE2による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0085】
排出センサSE3は、搬送経路201において定着器6とローラ36との間に配置され、シートSが通過することを検知する。排出センサSE3は、レジ前センサSE1と同様の構成である。排出センサSE3による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0086】
シート検知センサSE4は、カッター位置Bと第2排出ローラ86との間に配置され、シートSが通過することを検知するとともに、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間の第1排出経路201Aを開閉自在に覆うカバー23の開閉状態を検知する。シート検知センサSE4は、カバー23が開状態のときと、カバー23が閉状態かつシートSが通過している状態のときにオン信号を出力し、カバー23が閉状態かつシートSが通過していない状態のときにオフ信号を出力する。
【0087】
図5は、シート検知センサSE4の動作を示し、
図5(a)は、カバー23が開状態であるときを示し、
図5(b)は、カバー23が閉状態かつシートSが通過していないときを示し、
図5(c)は、カバー23が閉状態かつシートSが通過しているときを示している。
図5に示すように、シート検知センサSE4は、アクチュエータ型フォトセンサであり、アクチュエータ120と透過型フォトセンサ121とを有する。透過型フォトセンサ121は、発光部121Aと受光部(図示せず)とを有し、発光部121Aから受光部へ照射される光路がアクチュエータ120により遮られるとオフ信号(第2信号の一例)を出力し、光路が遮られないとオン信号(第1信号の一例)を出力する。
【0088】
アクチュエータ120は、第1アーム部120Aと第2アーム部120Bとを有する。第1アーム部120Aと第2アーム部120Bとは、側面視、つまり左右方向に見てV字状に形成され、左右方向の回動軸(図示せず)の周りに時計方向及び反時計方向に回動可能となっている。
図5(a)に示すカバー23が開状態であるとき、アクチュエータ120の第1アーム部120Aがカバー23と離間しているので、アクチュエータ120は、例えばバネ等の付勢力により反時計方向に最大限回動する。このとき、透過型フォトセンサ121の光路は、アクチュエータ120により遮られないので、シート検知センサSE4は、オン信号を出力する。また、
図5(b)に示すカバー23が閉状態かつシートSが通過していないとき、カバー23とアクチュエータ120の第1アーム部120Aの上端とが当接するので、カバー23が開状態であるときよりもアクチュエータ120は時計方向に回動する。このとき、透過型フォトセンサ121の光路は、アクチュエータ120の第2アーム部120Bにより遮られるので、シート検知センサSE4は、オフ信号を出力する。また、
図5(c)に示すカバー23が閉状態かつシートSが通過しているとき、アクチュエータ120の第1アーム部120AとシートSとが当接するので、アクチュエータ120は時計方向にさらに回動する。このとき、透過型フォトセンサ121の光路は、アクチュエータ120の第2アーム部120Bにより遮られなくなるので、シート検知センサSE4は、オン信号を出力する。シート検知センサは、例えばアクチュエータがなく、搬送経路に向けて光を発して反射光を受光する光センサであって、搬送経路にシートがあるときと無いときとで受光量が変化することにより、異なる信号を出すことで、シートがその位置にあるか否かを判断する、光センサであってもよい。
【0089】
図3に戻り、操作パネルPAは、装置本体2の上面に配置されている。操作パネルPAは、例えば、タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルと、キーボタン部とを有している。操作パネルPAは、ユーザの操作を受け付け、受け付けた情報をCPU101へ出力する。ユーザは、例えば、操作パネルPAを操作することにより、シートSを切断するか否かを設定することが可能である。
【0090】
通信I/F130は、LAN等のネットワークに接続され、プリンタ1用のドライバが組み込まれたPC等の外部装置との接続を可能にしている。CPU101は、通信I/F130を介して、印刷ジョブを受信可能である。印刷ジョブには、画像形成するための画像データ、画像形成に用いるシートSのサイズ及び種類等、シートSに画像を形成するために必要な各種情報や、シートSを切断するか否かの情報が含まれている。
【0091】
以下、以上のように構成されたプリンタ1が実行する制御処理を、
図6~
図13を参照して詳細に説明する。
【0092】
図6は、ASIC105、特にCPU101が実行する印刷処理の手順を示している。この印刷処理は、プリンタ1が印刷ジョブや印刷命令を受信可能なとき、例えば、プリンタ1の電源がオンされたときやプリンタ1がスタンバイ状態のときなどに実行される。以降、各処理の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0093】
図6において、まずCPU101は、通信I/F130を介して印刷ジョブを受信するまであるいは操作パネルPAを介して印刷命令を受け付けるまで待機し(S10及びS12のいずれも:NO)、印刷ジョブを受信するかあるいは印刷命令を受け付けると(S10及びS12のいずれか一方:YES)、CPU101は、処理をS14に進める。
【0094】
S14では、CPU101は、印刷対象のシートSの切断が必要か否かを判断する。この判断は、本実施形態では、印刷ジョブあるいは印刷命令に含まれるシートSを切断するか否かの情報に基づいてなされる。つまり、ユーザが、印刷ジョブの設定時に、シートSの切断を指定したモードを設定しているか、操作パネルPAを介した印刷命令設定時にシートSの切断を指定したモードを設定していると、印刷ジョブや印刷命令に、シートSを切断するという情報が入る。この判断において、シートSの切断が必要である場合(S14:YES)、CPU101は、処理をS16に進める。一方、シートSの切断が必要でない場合(S14:NO)、CPU101は、処理をS20に進める。
【0095】
S16では、CPU101は、フラッパ88を第1位置88Aに移動させる。第1位置88Aは、上述のように、ローラ36により搬送されたシートSを第1排出経路201Aに案内する位置である。次にCPU101は、シート印刷切断処理を実行した(S18)後、印刷処理を終了する。
【0096】
一方、S20では、CPU101は、フラッパ88を第2位置88Bに移動させる。第2位置88Bは、上述のように、ローラ36により搬送されたシートSを第2排出経路201Bに案内する位置である。次にCPU101は、通常印刷を行った(S22)後、印刷処理を終了する。通常印刷は、本実施形態では、印刷ジョブあるいは印刷命令に基づいてシートSへ画像を印刷した後、シートSの切断を行わずに排出トレイ22へ排出することを意味する。
【0097】
図7は、S18のシート印刷切断処理の詳細な手順を示している。
図7において、まずCPU101は、設定シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理を実行する(S30)。
図8は、この設定シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理の詳細な手順を示している。
【0098】
図8において、CPU101は、印刷ジョブあるいは印刷命令に含まれているシートサイズ情報を取得する(S70)。シートサイズ情報とは、具体的には、「A4サイズ」や「レターサイズ」等の情報である。そして、CPU101は、取得したシートサイズ情報に対応する「シート検知センサがオフからオンした時点でのシートの切断位置」が「カッ
ター位置」に到達するまでに必要な排出モータのステップ数を取得した(S72)後、設定シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理を終了する。より詳細には、ROM102もしくはNVRAM104などに、シートサイズごとに、対応する「シート検知センサがオフからオンした時点でのシートの切断位置」が「カッター位置」に到達するまでに必要な排出モータのステップ数を記憶しており、例えば、シートサイズ情報がA4であるならば、記憶しているA4に対応したステップ数をCPU101はROM102もしくはNVRAM104から取得する。
【0099】
図4(a)において、シートSの切断位置CPは、搬送方向におけるシート長Lの中央位置である。したがって、S72の処理では、CPU101は、シート検知センサSE4がオフからオンした時点、つまりシートSの前端を検出した時点でのシートSの切断位置CP、つまり中央位置がカッター位置Bに到達するまでに必要な排出モータ109のステップ数を取得する。なお、このステップ数は、シートSのシートサイズに応じた固定値であるので、シートサイズ情報に対応付けたステップ数を、例えばNVRAM104に工場設定等で予め記憶させておけばよい。この場合、S72では、CPU101は、S70で取得したシートサイズ情報に対応するステップ数をNVRAM104から読み出して取得する。
【0100】
図7に戻り、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させる(S32)。このとき、CPU101は、ヒータ63もオンする。
【0101】
次にCPU101は、ピックアップ命令を実行する(S34)。これにより、CPU101は、電磁クラッチ107をオンにする。電磁クラッチ107がオンされると、上述のように、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達されるので、供給トレイ31内のシートSがピックアップされて、搬送経路201に向けて搬送される。
【0102】
次にCPU101は、レジ後センサSE2がオフからオンに切り替わるまで待機する(S36:NO)。レジ後センサSE2は、上述のように、搬送経路201においてレジストレーションローラ35と転写ローラ53との間に配置され、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。したがって、S36では、CPU101は、レジ後センサSE2がシートSの前端を検出するまで待機する。そして、レジ後センサSE2がシートSの前端を検出すると(S36:YES)、CPU101は、シートSへの画像形成を開始させる(S38)。なお、画像形成は、レジ後センサSE2がシートSの前端を検出すること以外を契機として開始してもよい。感光体ドラム51によって形成されるトナー像が、シートSの画像形成位置に正しく転写されるように、画像形成が行われればよい。
【0103】
次にCPU101は、排出センサSE3がオフからオンに切り替わるまで待機する(S40:NO)。排出センサSE3は、上述のように、搬送経路201において定着器6とローラ36との間に配置され、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。したがって、S40では、CPU101は、排出センサSE3がシートSの前端を検出するまで待機する。そして、排出センサSE3がシートSの前端を検出すると(S40:YES)、CPU101は、排出モータ109を正転駆動させる(S42)。これにより、第1~第3排出ローラ85~87が回転を開始する。
【0104】
次にCPU101は、シート検知センサSE4がオフからオンに切り替わったか否かを判断する(S44)。シート検知センサSE4は、上述のように、搬送経路201においてカッター位置Bと第2排出ローラ86との間に配置され、シートSが通過している状態でオン信号を出力し、シートSが通過していない状態でオフ信号を出力する。なお、シー
ト検知センサSE4は、上述のようにカバー23が開状態でもオン信号を出力するが、ここでは、この場合を考慮しない。したがって、S44では、CPU101は、シート検知センサSE4がシートSの前端を検出したか否かを判断している。そして、シート検知センサSE4がシートSの前端を検出しない場合(S44:NO)、CPU101は、所定時間経過したか否かを判断し(S46)、所定時間経過しなければ(S46:NO)、CPU101は、処理をS44に戻す。一方、所定時間経過すると(S46:YES)、CPU101は、JAM(ジャム)によるエラー停止処理を実行した(S48)後、シート印刷切断処理を終了する。ここで、「所定時間」は、排出モータ109を正転駆動させてからシート検知センサSE4がシートSの前端を検出するまでにかかる通常の時間に所定時間の余裕を持たせた時間である。つまり、この時間が経過してもシート検知センサSE4がシートSの前端を検出しない場合には、シートSが搬送経路201上でJAM状態であると判断できる時間である。
【0105】
図12は、JAMによるエラー停止処理の詳細な手順を示している。
図12において、CPU101は、排出モータ109を停止させる(S120)とともに、メインモータ108を停止させ(S122)、さらにその他デバイスも停止させる(S124)。その他デバイスとしては、画像形成部4や定着器6などを挙げることができる。そして、CPU101は、JAMが発生したことを報知する報知画面(図示せず)を操作パネルPAに表示した(S126)後、JAMによるエラー停止処理を終了する。なお、報知画面には、JAMが発生したことに加え、そのJAMがどこで発生したかを示す情報も表示することが好ましい。
【0106】
図7に戻り、S44の判断において、シート検知センサSE4がシートSの前端を検出した場合(S44:YES)、CPU101は、カッター位置へのシート搬送処理を実行する(S50)。
図9は、カッター位置へのシート搬送処理の詳細な手順を示している。
【0107】
図9において、CPU101は、排出モータ109のステップ数の計測を開始する(S80)。排出モータ109は、上述のようにステッピングモータであるので、CPU101は、排出モータ109のモータドライバ(図示せず)に入力するパルスをカウントするだけで簡単に排出モータ109のステップ数を計測することができる。ステップ数の計測は、例えば、RAM103に確保したステップ数計測領域(図示せず)をカウントアップすることで行えばよい。
【0108】
次にCPU101は、S72(
図8)で取得したステップ数をカウントするまで待機し(S82:NO)、そのステップ数のカウントが終了すると(S82:YES)、CPU101は、排出モータ109を停止させる(S84)。これにより、シートSは、その切断位置CPがカッター位置Bに到達した状態で停止する。なお、CPU101は、S72で取得したステップ数を初期値として、排出モータ109のモータドライバに入力するパルスごとにカウントダウンして、残りステップ数がゼロになったら排出モータ109を停止させる構成でもよい。
【0109】
図7に戻り、CPU101は、シート切断処理を実行する(S52)。
図10は、シート切断処理の詳細な手順を示している。
図10において、CPU101は、切断モータ106を正転駆動させる(S90)。これにより、移動刃15がシートSと接触する方向に移動し、シートSの切断が開始される。次にCPU101は、移動刃15が切断完了位置に到達したか否かを判断する(S92)。つまり、シートSの切断が完了したか否かを判断する。切断モータ106として、例えば、エンコーダ付きDCモータを採用した場合、エンコーダから切断モータ106の回転に応じた回転方向、回転位置及び回転速度を示す信号が出力されるので、CPU101は、その信号に基づいて、移動刃15が切断完了位置に到達したか否かを判断することができる。S92の判断において、移動刃15が切断
完了位置に到達していない場合(S92:NO)、CPU101は、シート検知センサSE4がオンからオフに切り替わったか否かを判断する(S100)。この判断において、シート検知センサSE4がオンのままである場合(S100:NO)、CPU101は、処理をS92に戻す。一方、シート検知センサSE4がオンからオフに切り替わった場合(S100:YES)、CPU101は、切断途中のシートSが第1排出経路201Aから引き抜かれたと判断し、シート引抜検知によるエラー停止処理を実行した(S102)後、シート切断処理を終了する。
【0110】
図11は、シート引抜検知によるエラー停止処理の詳細な手順を示している。
図11において、CPU101は、S110~S114で、S120~S124と同様の処理、つまり、排出モータ109、メインモータ108及びその他デバイスを停止させる処理を実行する。そして、CPU101は、シートの引抜を報知する報知画面(図示せず)を操作パネルPAに表示した(S126)後、シート引抜検知によるエラー停止処理を終了する。
【0111】
図10に戻り、S92の判断において、移動刃15が切断完了位置に到達した場合(S92:YES)、CPU101は、切断モータ106を停止させた(S94)後、反転駆動させる(S96)。これにより、移動刃15は、
図2に破線で示した切断完了位置から実線で示す初期位置に向かって移動を開始する。そして、CPU101は、移動刃15が初期位置に到達したか否かを判断し(S98)、初期位置に到達していなければ(S98:NO)、S104及びS106で、S100及びS102と同様の処理を行う。つまり、CPU101は、移動刃15が初期位置に戻る途中で、シートSが第1排出経路201Aから引き抜かれたか否かを判断し、引き抜かれた場合(S104:YES)、シート引抜検知によるエラー停止処理を実行する。
【0112】
一方、S98の判断において、移動刃15が初期位置に到達した場合(S98:YES)、CPU101は、シート切断処理を終了する。
【0113】
図7に戻り、CPU101は、排出モータ109を正転駆動させる(S54)。これにより、切断位置CPで切断されたシートSは、排出トレイ22に向けて搬送を開始する。次にCPU101は、シート検知センサSE4がオンからオフに切り替わったか否かを判断する(S56)。つまり、シートSの排出トレイ22への排出が完了したか否かを判断する。そして、所定時間経過しても、シート検知センサSE4がオンからオフに切り替わらない場合(S58:YES)、つまり、シートSが第1排出経路201Aに留まっている場合、CPU101は、シートSがJAM状態にあると判断し、S48と同様のJAMによるエラー停止処理を実行した(S60)後、シート印刷切断処理を終了する。
【0114】
一方、S56の判断において、シート検知センサSE4がオンからオフに切り替わった場合(S56:YES)、所定時間経過後に、排出モータ109を停止させる(S62)。これにより、2等分されたシートSが排出トレイ22に排出される。したがって、「所定時間」は、2等分されたシートSのうち、搬送方向上流側のシートが第1排出経路201Aから排出トレイ22に排出されるまでの時間である。
【0115】
次にCPU101は、実行中のジョブに次シートの印刷があるか否かを判断する(S64)。この判断において、次シートの印刷がある場合(S64:YES)、CPU101は、処理をS34に戻し、S34以降の処理を継続する。一方、次シートの印刷がない場合(S64:NO)、CPU101は、メインモータ108を停止させた(S66)後、シート印刷切断処理を終了する。
【0116】
次に、カバー開状態検知処理について説明する。シート検知センサSE4は、上述のよ
うに、カバー23が開状態のときと、カバー23が閉状態かつシートSが通過している状態のときにオン信号を出力し、カバー23が閉状態かつシートSが通過していない状態のときにオフ信号を出力する。カバー開状態検知処理は、シート検知センサSE4の出力結果に基づいて、カバー23の開状態を検知する処理である。
【0117】
図13は、CPU101が実行するカバー開状態検知処理の手順を示している。カバー開状態検知処理は、印刷処理(
図6)を並行して、例えば、プリンタ1の電源がオンされたときやプリンタ1がスタンバイ状態のときなどに起動される。
【0118】
図13において、CPU101は、第1排出経路201Aに処理中のシートSが無い状態で、シート検知センサSE4がオフからオンに切り替わったか否かを判断する(S130,S132)。この判断において、第1排出経路201Aに処理中のシートSが無い状態で、シート検知センサSE4がオフからオンに切り替わった場合(S130及びS132:YES)、CPU101は、カバー23が開状態と判定し(S134)、カバー23が開状態であることを報知する報知画面(図示せず)を操作パネルPAに表示した(S136)後、カバー開状態検知処理を終了する。
【0119】
シート検知センサSE4は、カバー23が開状態のときと、カバー23が閉状態かつシートSが通過している状態のときにオン信号を出力するので、カバー23が開状態と判定するには、カバー23が閉状態かつシートSが通過している状態のときを除外する必要がある。つまり、S130では、第1排出経路201Aに処理中のシートSが無ければ、シートSの通過によりシート検知センサSE4がオンされることは無いので、シートSの通過によりシート検知センサSE4がオンされたのでは無いことを判断している。そして、S132では、シートSの通過によりシート検知センサSE4がオンされたのでは無く、カバー23が開状態になったことによりシート検知センサSE4がオンされたことを判断している。
【0120】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、シートSの搬送経路201を有する装置本体2と、加熱ローラ61と、加熱ローラ61との間でニップNを形成する加圧ローラ62と、を有し、シートSに形成された画像をシートSに定着させる定着器6と、搬送経路201に沿ったシートSの搬送方向において、定着器6よりも下流側に位置し、シートSを搬送する第1排出ローラ85と、第1排出ローラ85よりも搬送方向における下流側に位置し、第1排出ローラ85により搬送されたシートSを装置本体2の外部に排出する第2排出ローラ86と、搬送方向における第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間の位置であるカッター位置Bに位置し、搬送方向と交差する切断方向にシートSを切断可能なカッター10と、搬送方向における第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間の第1検出位置にシートSが存在するか否かを検出するシート検知センサSE4と、を備えることを特徴とする。
【0121】
このように、本実施形態のプリンタ1では、搬送方向における第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間にカッター10を配置するとともに、これと同様の第1排出ローラ85と第2排出ローラ86と間の検出位置にシートSが存在するか否かを検出するようにしたので、カッター10周辺においてシートSを精度よく検知することが可能となる。
【0122】
ちなみに、本実施形態において、加熱ローラ61は、「加熱回転体」の一例である。加圧ローラ62は、「加圧回転体」の一例である。シート検知センサSE4は、「第1センサ」の一例である。
【0123】
また、プリンタ1は、CPU101、をさらに備えている。そして、CPU101は、シート検知センサSE4の出力に基づいて、第1検出位置にシートSの前端が到達してか
らシートSの切断位置がカッター位置Bに到達するまでシートSを搬送させるのに要するステップ数で第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を駆動させた後、シートSの搬送を停止させる搬送処理と、搬送処理の後、カッター10を用いてシートSを切断方向に切断する切断処理と、を実行する、ことを特徴とする。ちなみに、CPU101は、「制御部」の一例である。ステップ数は、「駆動量」の一例である。
【0124】
このように、カッター位置Bの近くに位置するシート検知センサSE4の出力に基づいてシートSの切断位置CPがカッター位置Bに到達するまでシートSを搬送し、その搬送位置でシートSを切断するようにしたので、シートSの切断位置CPで正確にシートSを切断することが可能となる。
【0125】
また、CPU101は、シートSのシートサイズを含む印刷ジョブを受け取り、受け取った印刷ジョブに含まれるシートサイズに基づいてステップ数を取得する駆動量取得処理、を実行し、搬送処理では、ステップ数取得処理により取得したステップ数で第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を駆動させた後、シートSの搬送を停止させる、ことを特徴とする。
【0126】
これにより、受け取った印刷ジョブに含まれる単純な情報であるシートサイズに基づいて、排出モータ109のステップ数を取得できるので、ステップ数を取得する処理を簡単化することが可能となる。
【0127】
また、プリンタ1は、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を駆動させる排出モータ、をさらに備えている。そして、CPU101は、搬送処理中に、排出モータ109の駆動を開始させてから所定時間経過しても、シート検知センサSE4がシートSを検出しない場合、排出モータ109の駆動を停止させる、ことを特徴とする。
【0128】
これにより、搬送処理中のシートSのジャム発生を的確に判断して、ジャム発生に応じたエラー処理を的確に行うことが可能となる。
【0129】
また、プリンタ1は、加熱ローラ61及び加圧ローラ62のうちのいずれか一方を回転駆動させるメインモータ108、をさらに備えている。そして、CPU101は、搬送処理中に、排出モータ109の駆動を開始させてから所定時間経過しても、シート検知センサSE4がシートSを検出しない場合、メインモータ108の駆動も停止させる、ことを特徴とする。
【0130】
これにより、ジャム発生に応じたエラー処理をさらに的確に行うことが可能となる。
【0131】
装置本体2は、表示パネルをさらに有し、CPU101は、搬送処理中に、排出モータ109の駆動を開始させてから所定時間経過しても、シート検知センサSE4がシートSを検出しない場合、操作パネルPAに、ジャムが発生したことを報知する報知画面を表示させる、ことを特徴とする。
【0132】
これにより、搬送処理中のシートSのジャム発生を的確にユーザに報知することが可能となる。
【0133】
また、プリンタ1は、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を駆動させる排出モータ109、をさらに備えている。そして、CPU101は、切断処理の後、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を駆動させて、切断後のシートSを装置本体2の外部に排出する排出処理、を実行し、排出処理中に、排出モータ109の駆動を開始させてから所定時間経過しても、シート検知センサSE4がシートSを検出している場合、排出モー
タ109の駆動を停止させる、ことを特徴とする。
【0134】
これにより、切断後の排出処理中のシートSのジャム発生を的確に判断して、ジャム発生に応じたエラー処理を的確に行うことが可能となる。
【0135】
また、装置本体2は、操作パネルPA、をさらに有し、CPU101は、排出処理中に、排出モータ109の駆動を開始させてから所定時間経過しても、シート検知センサSE4がシートSを検出しない場合、操作パネルPAに、ジャムが発生したことを報知する報知画面を表示させる、ことを特徴とする。ちなみに、操作パネルPAは、「表示パネル」の一例である。
【0136】
これにより、切断後の排出処理中のシートSのジャム発生を的確にユーザに報知することが可能となる。
【0137】
また、カッター10は、シートSを切断するための移動刃15と、移動刃15を切断方向に移動させる切断モータ106と、を有し、CPU101は、切断処理において、切断モータ106が駆動中、かつ排出モータ109が非駆動中であるときに、シート検知センサSE4がシートSを検出した状態から検出しない状態に変動した場合、切断モータ106の駆動を停止させる、ことを特徴とする。ちなみに、移動刃15は、「刃」の一例である。
【0138】
これにより、切断処理中にシートSが引き抜かれたことを的確に判断して、それに応じたエラー処理を的確に行うことが可能となる。
【0139】
また、シート検知センサSE4は、カッター10と第2排出ローラ86との間の検出位置にシートSが存在するか否かを検出する、ことを特徴とする。
【0140】
これにより、カッター10周辺においてシートSを精度よく検知することが可能となる。
【0141】
また、プリンタ1は、第1排出ローラ85と第2排出ローラ86との間の搬送経路201を開閉自在に覆うカバー23、をさらに備えている。そして、シート検知センサSE4は、カバー23が開状態であるときと、カバー23が閉状態であって、シートSを検出しているときにオン信号を出力し、カバー23が閉状態であって、シートSを検出していないときにオフ信号を出力し、CPU101は、第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86によりシートSを搬送していないときに、シート検知センサSE4からオン信号が出力された場合、カバー23が開状態であると判定する、ことを特徴とする。オン信号は、「第1信号」の一例である。オフ信号は、「第2信号」の一例である。
【0142】
これにより、シートSの検出とカバー23の開状態の検出の双方の検出を1つのシート検知センサSE4で兼用させることができ、プリンタ1全体の製造コストを削減することが可能となる。
【0143】
また、プリンタ1は、定着器6と第1排出ローラ85との間の搬送経路201から分岐した第2排出経路201Bに位置する第3排出ローラ87であって、定着器6から第2排出ローラ86までの搬送経路201における長さよりも短い位置に位置し、シートSを装置本体2の外部に排出する第3排出ローラ87、をさらに備えている。そして、CPU101は、シートSを切断するか否かを示す切断有無情報を含む印刷ジョブを受け取り、受け取った印刷ジョブに含まれる切断有無情報が切断しないを示す場合、シートSを第3排出ローラ87により搬送させて、シートSを切断せずに装置本体2から外部に排出させる
、ことを特徴とする。ちなみに、印刷ジョブは、「印刷データ」の一例である。第2排出経路201Bは、「排出経路」の一例である。
【0144】
これにより、シートSを切断しない場合、搬送経路201の短い経路を通ってシートSを装置本体2の外部に排出するようにしたので、切断しないシートSを装置本体2の外部に速く排出することが可能となる。
【0145】
また、プリンタ1は、シートSを第1排出ローラ85へ向けて案内する第1位置88Aと、シートSを第3排出ローラ87へ向けて案内する第2位置88Bと、に切替え可能なフラッパ88、をさらに備えている。そして、CPU101は、切断有無情報が切断するを示す場合、シートSの前端が定着器6を抜けた後、フラッパ88に到達する前に、フラッパ88を第1位置88Aに切替え、切断有無情報が切断しないを示す場合、シートSの前端が定着器6を抜けた後、フラッパ88に到達する前に、フラッパ88を第2位置88Bに切替える、ことを特徴とする。
【0146】
これにより、印刷ジョブに含まれる切断有無情報に基づいて、シートSは第1排出ローラ85及び第3排出ローラ87のうちのいずれかに向けて自動的に案内されるので、便利である。
【0147】
また、定着器6からカッター10までの搬送経路201における長さは、切断可能なシートの搬送方向におけるシート長の半分より長い、ことを特徴とする。
【0148】
これにより、シートSをカッター位置Bで切断する際に、定着器6のニップNでシートSを挟んだ状態が解消されるので、加圧ローラ62の回転が停止した状態で、加熱ローラ61からシートSに熱が加えられることを抑制することが可能となる。なお、本実施形態における長さは、定着器6のニップNの搬送方向下流端からカッター10の固定刃13までの搬送方向における長さであるが、例えば、定着器6の加圧ローラ62又は加熱ローラ61の外周の搬送方向下流端からカッター10の固定刃13までの搬送方向における長さであってもよい。
【0149】
また、プリンタ1は、第1排出ローラ85を駆動する排出モータ109と、第1排出ローラ85と定着器6との間に位置するローラ36と、ローラ36と定着器6とを駆動するメインモータ108と、をさらに備え、ローラ36からカッター10までの搬送経路201における長さは、切断可能なシートSの搬送方向におけるシート長の半分より長く、CPU101は、切断処理中にメインモータ108を駆動したままである、ことを特徴とする。
【0150】
これにより、シートSをカッター位置Bで切断する際に、メインモータ108によるローラ36や定着器6の駆動を停止させることなく、排出モータ109のみを停止することで、カッター位置BにシートSを停止させておくことが可能となる。
【0151】
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態で説明したシート印刷切断処理(
図7参照)の一部を変更して構成しているので、変更する部分を中心に説明し、それ以外の部分の説明は適宜省略する。また、本実施形態のハードウェアは、
図1~
図3に記載のハードウェアをそのまま用いるものとする。
【0152】
図14は、本実施形態のプリンタ1のASIC105、特にCPU101が実行するシート印刷切断処理の手順を示している。
図7のシート印刷切断処理では、設定シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理(S30)により、シートSの切断位置CPをカッ
ター位置Bに到達させる排出モータ109のステップ数を決定するのに対して、
図14のシート印刷切断処理では、計測シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理(S146)により、シートSの切断位置CPをカッター位置Bに到達させる排出モータ109のステップ数を決定する点が異なっている。したがって、
図14中、
図7と同様の処理には同一符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0153】
レジ後センサSE2がシートSの前端を検出すると(S36:YES)、CPU101は、シートSのシート長の計測を開始する(S140)。シート長の計測は、時間の計測により行うため、CPU101は、例えば、RAM103に確保したタイマ領域(図示せず)を所定の時間毎(例えば、0.01秒毎)にカウントアップすることで行えばよい。
この場合、S140では、CPU101は、タイマ領域のカウントアップを開始する。
【0154】
次にCPU101は、S38~S42の処理を実行後、レジ後センサSE2がシートSの後端を検出するまで待機する(S142:NO)。そして、レジ後センサSE2がシートSの後端を検出すると(S142:YES)、CPU101は、シートSのシート長の計測を終了する(S144)。つまり、CPU101は、タイマ領域のカウントアップを終了する。
【0155】
次にCPU101は、計測シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理を実行する(S146)。
図15は、計測シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理の詳細な手順を示している。
図15において、CPU101は、計測シート長情報を取得する(S150)。本実施形態では、計測シート長情報は、タイマ領域のカウント値であるので、CPU101は、タイマ領域からカウント値を読み出して取得する。
【0156】
次にCPU101は、取得した計測シート長情報に基づいて「シート検知センサがオフからオンした時点でのシートの切断位置」が「カッター位置」に到達するまでに必要な排出モータのステップ数を算出した(S152)後、計測シート長に基づくシート搬送ステップ数決定処理を終了する。
【0157】
図16は、
図15の計測シート長に基づくシート切断位置決定処理を説明するための図である。
図16に示すように、CPU101は、次式(1)により、シートSのシート長Lを排出モータ109のステップ数で算出する。
L(STEP)=T(s)×V(mm/s)/D(mm/STEP) ‥‥(1)
ただし、
T:レジ後センサSE2がシートSの前端を検出してからシートSの後端を検出するまでに経過した時間=タイマ領域のカウント値×1カウント当たりの時間;
V:メインモータ108がシートSを搬送する搬送速度;
D:排出モータ109の1ステップ当たりの搬送距離;
である。
【0158】
そして、シートSの切断位置CPが、シート長の中央であるとすると、シート検知センサSE4から切断位置CPまでのステップ数は、L/2となる。さらに、カッター位置Bが、シート検知センサSE4の検出位置から20STEP上流側に位置するので、S152で算出されるステップ数=L/2-20(STEP)となる。
【0159】
したがって、CPU101は、カッター位置へのシート搬送処理(
図14のS50)を実行すると、シートSは、切断位置CPがカッター位置Bに到達した状態で停止する。
【0160】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、シート検知センサSE4よりも搬送方向における上流側である第2検出位置に、シートSが存在するか否かを検出するレジ後
センサSE2、をさらに備えている。そして、CPU101は、レジ後センサSE2の出力に基づいて、第2検出位置にシートSの前端が到達してからシートSの後端が到達したことを検知し、検知したシートSの前端及び後端に基づいて、シートSの搬送方向におけるシート長を取得するシート長取得処理と、シート長取得処理により取得したシート長に基づいてステップ数を取得する駆動量取得処理と、を実行し、搬送処理では、ステップ数取得処理により取得したステップ数で第1排出ローラ85及び第2排出ローラ86を駆動させた後、シートSの搬送を停止させる、ことを特徴とする。ちなみに、レジ後センサSE2は、「第2センサ」の一例である。
【0161】
これにより、シートSの実測したシート長に基づいて、ステップ数を取得できるので、シートSが縮んでシート長が元のシート長より短くなったとしても、シートSを意図通りの切断位置で正確に切断することが可能となる。
【0162】
また、CPU101は、シート長取得処理では、レジ後センサSE2の出力に基づいて、シートSの前端を検知してからシートSの後端を検知するまでのシートSの搬送量に基づいて、シートSの搬送方向におけるシート長を取得する、ことを特徴とする。
【0163】
これにより、シートSのシート長をプリンタ1に既に設置されているレジ後センサSE2の出力に基づいて取得できるので、プリンタ1全体の製造コストを抑制することが可能となる。
【0164】
なお、本発明は各実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0165】
(1)各実施形態では、レジ前センサSE1、レジ後センサSE2、排出センサSE3、及びシート検知センサSE4がシートSの通過を検出する各検出位置は、各センサの設置位置とほぼ一致しているが、これに限らず、センサの設置位置とシートSの検出位置とが離れているようなセンサを用いてもよい。
【0166】
(2)各実施形態では、シート検知センサSE4をカッター位置Bと第2排出ローラ86との間に配置したが、これに限らず、第1排出ローラ85とカッター位置Bとの間に配置するようにしてもよい。
【0167】
(3)各実施形態では、画像形成装置の一例として、モノクロレーザプリンタ1を挙げて説明したが、これに限らず、カラーレーザプリンタであってもよい。
【0168】
(4)各実施形態では、シートPを2等分に切断する場合について説明したが、これに限らず、シートPを、例えば3等分に切断してもよい。
【0169】
(5)各実施形態では、印刷ジョブをプリンタ1の外部から受信する場合、通信I/F130を介して受信することとしたが、これに限らず、例えば、USBインターフェースを介して印刷ジョブを受信するようにしてもよい。
【0170】
(6)各実施形態では、カバー23の開閉検知とシート検知とをシート検知センサSE4で兼用させていたが、別々の検知センサを用いてもよい。
【0171】
(7)各実施形態では、排出モータ109の駆動を開始させてから所定時間経過しても、シート検知センサSE4が、シートを検出しない場合に、ジャムと判断していたが、そのような判断をしない構成としてもよい。例えば、シートSの切断位置CPがカッター位置Bに到達するまでシートSを搬送するためにのみ、シート検知センサSE4の出力を利
用する構成としてもよい。また、逆に、シートSの切断位置CPがカッター位置Bに到達するまでシートSを搬送するためにシート検知センサSE4の出力を利用せず、排出モータ109の駆動を開始させてから所定時間経過してもシート検知センサSE4がシートを検知しない場合に、ジャムと判断することにのみシート検知センサSE4を利用する構成としてもよい。
【0172】
(8)各実施形態では、プリンタ1は、A4サイズとレターサイズのシートSを、シート中央で切断可能に構成していたが、例えば、A4サイズは切断不可とし、レターサイズのシートSのみ切断可能としてもよい。その場合、
図1におけるニップNからカッター位置Bまでの搬送経路201の長さと、ローラ36のニップからカッター位置Bまでの搬送経路201の長さが、レターサイズの搬送方向における寸法(279.4mm)の半分(
139.7mm)より長くなるように設計されていればよい。さらに、A4サイズより大
きいサイズのシートを切断可能としてもよい。
【0173】
(9)各実施形態では、カッター10は、移動刃15と固定刃13とによって構成されていたが、シートSを切断することができれば形状・種類を問わない。例えば、切断方向に長い刃をシートSに落とすことによってシートを切断する構成や、ハサミであってもよい。
【符号の説明】
【0174】
1…プリンタ、2…装置本体、6…定着器、10…カッター、61…加熱ローラ、62…加圧ローラ、85…第1排出ローラ、86…第2排出ローラ、87…第3排出ローラ、88…フラッパ、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…NVRAM、105…ASIC、108…メインモータ、109…排出モータ、201…搬送経路、201A…第1排出経路、201B…第2排出経路、B…カッター位置、SE3…排出センサ、SE4…シート検知センサ。