(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079512
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
E01C 19/10 20060101AFI20240604BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240604BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240604BHJP
B01F 27/054 20220101ALI20240604BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20240604BHJP
B01F 27/118 20220101ALI20240604BHJP
B01F 27/171 20220101ALI20240604BHJP
B01F 27/192 20220101ALI20240604BHJP
B01F 27/80 20220101ALI20240604BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20240604BHJP
【FI】
E01C19/10 Z
B01F23/53
B01F35/71
B01F27/054
B01F27/112
B01F27/118
B01F27/171
B01F27/192
B01F27/80
B01F27/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192495
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507194017
【氏名又は名称】株式会社高速道路総合技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】菅野 勝一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】人見 信男
(72)【発明者】
【氏名】安藤 政浩
【テーマコード(参考)】
2D052
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
2D052AA04
2D052AA08
2D052AB01
2D052BA11
2D052BA15
2D052DA06
2D052DA07
4G035AB46
4G035AE13
4G037AA02
4G037EA04
4G078AA02
4G078AB01
4G078BA05
4G078CA05
4G078DA03
4G078DA28
4G078DA30
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】骨材と樹脂材料を均一に攪拌および混合することが可能な混合装置を提供する。
【解決手段】骨材と樹脂材料とを混合する混合装置(100)であって、骨材が投入される混合容器部(10)と、樹脂材料を供給する樹脂供給部と、混合容器部(10)内において骨材と樹脂材料を撹拌して混合する撹拌混合部を有し、撹拌混合部は所定軸方向を中心に回動される回転部と回転部の周囲に設けられた攪拌翼(30)を有し、攪拌翼(30)は可撓性を有するワイヤまたはチェーンで構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材と樹脂材料とを混合する混合装置であって、
前記骨材および前記樹脂材料が投入される混合容器部と、
前記樹脂材料を供給する樹脂供給部と、
前記混合容器部内において前記骨材と前記樹脂材料を撹拌して混合する撹拌混合部を有し、
前記撹拌混合部は、所定軸方向を中心に回動される回転部と、前記回転部の周囲に設けられた攪拌翼を有し、
前記攪拌翼は、可撓性を有することを特徴とする混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の混合装置であって、
前記攪拌翼の両端が、前記所定軸方向における異なる位置で前記回転部に接続されていることを特徴とする混合装置。
【請求項3】
請求項1に記載の混合装置であって、
前記攪拌翼の両端が、回転方向における異なる位置で前記回転部に接続されていることを特徴とする混合装置。
【請求項4】
請求項1に記載の混合装置であって、
前記回転部は、前記混合容器部の内壁まで延長されたアーム部を備えることを特徴とする混合装置。
【請求項5】
請求項4に記載の混合装置であって、
前記アーム部の先端には、前記内壁に沿った方向に延びるハンマー部が設けられていることを特徴とする混合装置。
【請求項6】
請求項1に記載の混合装置であって、
前記樹脂供給部は、前記回転部と共に回転する樹脂貯留部を備えることを特徴とする混合装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載の混合装置であって、
前記攪拌翼は、前記回転部が回転動作された状態において、少なくとも一部が前記混合容器部の内壁に接触することを特徴とする混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合装置に関し、特に骨材と樹脂を混合する混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から道路等のアスファルト舗装において、下層路盤の上にアスファルト安定処理路盤材を供給して上層路盤を施工することが提案されている。このようなアスファルト舗装では、アスファルト安定処理路盤材はアスファルトプラントにおいて骨材とアスファルトを混合して製造され、ダンプトラックにより作業現場へ搬送され、下層路盤上に供給される(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
近年になって、アスファルト安定処理路盤材の代わりに骨材と樹脂材料(一例としてはMMA(メチルメタクリレート)樹脂等)の混合物を用いて上層路盤や基層を構築することも検討されている。樹脂材料は、伸縮性と耐久性に優れているため上層路盤や基層に用いることで、舗装の長寿命化を図ることができる。また、アスファルト舗装は厚層で施工すると施工後の温度低下に時間がかかるため交通開放時間が遅くなってしまうが、樹脂は硬化時間が施工厚さに影響されず比較的短いため、アスファルト舗装と比べて早期に交通開放することが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、樹脂材料は粘性や硬化速度がアスファルトと異なるため、アスファルト安定処理路盤材の混合装置を用いて樹脂路盤を施工することは困難であった。特に、大量に投入される骨材に樹脂材料を均一に散布して混合し、樹脂舗装材における骨材と樹脂材料の混合比率を安定化させて上層路盤の品質を向上させるためには、樹脂舗装材に適した混合装置を用いることが不可欠である。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、骨材と樹脂材料を均一に攪拌および混合することが可能な混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の混合装置は、骨材と樹脂材料とを混合する混合装置であって、前記骨材および前記樹脂材料が投入される混合容器部と、前記樹脂材料を供給する樹脂供給部と、前記混合容器部内において前記骨材と前記樹脂材料を撹拌して混合する撹拌混合部を有し、前記撹拌混合部は、所定軸方向を中心に回動される回転部と、前記回転部の周囲に設けられた攪拌翼を有し、前記攪拌翼は、可撓性を有することを特徴とする。
【0008】
このような本発明の混合装置では、攪拌翼が可撓性を有することにより、骨材や樹脂材料が攪拌翼に固着することを抑制し、骨材と樹脂材料を均一に攪拌および混合することが可能となる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記攪拌翼の両端が、前記所定軸方向における異なる位置で前記回転部に接続されている。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記攪拌翼の両端が、回転方向における異なる位置で前記回転部に接続されている。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記回転部は、前記混合容器部の内壁まで延長されたアーム部を備える。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記アーム部の先端には、前記内壁に沿った方向に延びるハンマー部が設けられている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記樹脂供給部は、前記回転部と共に回転する樹脂貯留部を備える。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記攪拌翼は、前記回転部が回転動作された状態において、少なくとも一部が前記混合容器部の内壁に接触する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、骨材と樹脂材料を均一に攪拌および混合することが可能な混合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る混合装置100の概要を示す模式図である。
【
図2】混合装置100を用いた樹脂路盤の施工方法を示す模式図である。
【
図3】混合装置100に対して樹脂材料を供給する樹脂供給装置600の構成例を示す模式図である。
【
図4】回転停止時における混合装置100の内部構造例の正面断面視を示す模式図である。
【
図5】回転動作時における混合装置100の内部構造例の正面断面視を示す模式図である。
【
図6】回転動作時における混合装置100の内部構造例の側面断面視を示す模式図である。
【
図7】回転動作時における混合装置100の内部構造例の上面視を示す模式図である。
【
図8】変形例に係る混合装置100の回転動作時における内部構造例の正面断面視を示す模式図である。
【
図9】変形例に係る混合装置100の回転動作時における内部構造例の側面断面視を示す模式図である。
【
図10】変形例に係る混合装置100の回転動作時における内部構造例の上面視を示す模式図である。
【
図11】樹脂供給部における樹脂貯留部20の構造例を模式的に示す図であり、
図11(a)は上面視を示し、
図11(b)は側面断面視を示している。
【
図12】第2実施形態における混合装置100を用いた樹脂路盤の施工方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る混合装置100の概要を示す模式図である。
図1に示すように混合装置100は骨材と樹脂材料とを混合する装置であり、混合容器部10と、樹脂貯留部20と、攪拌翼30と、樹脂供給管部40を備えている。
【0018】
混合容器部10は、骨材および樹脂材料が投入される容器である。混合容器部10は上方および下方に開口部を有する容器であり、上方の開口部には一部に骨材投入部11が設けられ、下方の開口部には混合物排出部12が設けられている。また、混合容器部10内には樹脂貯留部20と、回転支柱部21と、アーム部22と、攪拌翼30が配置されている。混合容器部10の構造および形状は限定されないが、上部が略円筒形状であり下部が円錐台形状の漏斗形状であることが好ましい。樹脂貯留部20、アーム部22および攪拌翼30は、混合容器部10内において骨材と樹脂材料を撹拌して混合する機能を実現するものであり、本発明における撹拌混合部に含まれる。
【0019】
骨材投入部11は、混合容器部10の上方の開口部に設けられ、混合装置100の外部から投入される骨材を混合容器部10の所定の位置に集めて供給するための部材である。ここでは骨材投入部11を混合容器部10とは別体に設けた例を示しているが、混合容器部10の一部を加工して一体で形成するとしてもよい。骨材投入部11の構造および形状は限定されないが、上部が筒状または矩形状の側壁を有して下部が傾斜面を有する漏斗形状であることが好ましい。
【0020】
混合物排出部12は、混合容器部10の下方の開口部に設けられ、混合装置100の外部に骨材と樹脂材料の混合物を樹脂舗装材として排出するための部材である。ここでは混合物排出部12を混合容器部10とは別体に設けた例を示しているが、混合容器部10の一部を加工して一体で形成するとしてもよい。
【0021】
樹脂貯留部20は、樹脂供給管部40から供給される樹脂材料を一時的に貯留するとともに、混合容器部10内に樹脂材料を散布するための部材である。樹脂貯留部20の下方には回転支柱部21が設けられ、樹脂貯留部20の外周には外側に向かってアーム部22が延伸して設けられている。また、樹脂貯留部20には複数の樹脂排出口23が設けられている。また、2種類以上の樹脂材料を用いる場合には、樹脂貯留部20内は異なる樹脂材料を撹拌して混合する機能も備えている。樹脂貯留部20は回転支柱部21とともに回転軸を中心に回動され、樹脂貯留部20内に一時的に貯留された樹脂材料は、樹脂排出口23から遠心力によって混合容器部10内に散布される。
【0022】
回転支柱部21は、樹脂貯留部20の下方に設けられて、周囲に攪拌翼30が設けられ、所定の軸方向(回転軸)を中心に回動される部材である。回転支柱部21の形状は限定されないが、
図1に示した例では棒状または筒状に形成されて、樹脂貯留部20から下方に延伸して設けられている。また、回転支柱部21の回転軸は、混合容器部10の中心軸と一致していることが好ましく、
図1に示した例では鉛直方向が回転軸とされている。回転支柱部21、樹脂貯留部20、およびアーム部22は、共に回転軸を回動中心として回転駆動されるため、それぞれ本願発明における回転部に含まれる。
【0023】
アーム部22は、樹脂貯留部20の外周から外側方向に延伸して設けられた部材である。アーム部22の先端は、混合容器部10の内壁と数mm~数十mm程度の間隔まで延長されていることが好ましい。アーム部22は樹脂貯留部20および回転支柱部21と共に回転軸を中心に回動され、骨材投入部11から投入された骨材の一部は回転するアーム部22と衝突して分散および撹拌される。
図1ではアーム部22を水平方向に延伸した例を示しているが、アーム部22の形状および延伸方向は限定されず、斜め下方に向かって混合容器部10の内壁まで延伸されるとしてもよい。後述するように、樹脂貯留部20の樹脂排出口23からは樹脂材料が散布されるため、樹脂材料がアーム部22に大量に付着することを抑制するためには、アーム部22を樹脂排出口23よりも上方に設けることが好ましい。
【0024】
樹脂排出口23は、樹脂貯留部20に設けられた開口部であり、樹脂貯留部20に貯留された樹脂材料を混合容器部10内に散布する部分である。樹脂排出口23の形状や個数は限定されないが、樹脂貯留部20の底面から所定高さの位置に、同じ口径で複数の樹脂排出口23が等間隔で設けられていることが好ましい。樹脂貯留部20が回転支柱部21と共に回転軸を中心に回動されることで、樹脂貯留部20内に一時的に貯留された樹脂材料は、
図1中に矢印で模式的に示したように、遠心力によって樹脂排出口23から混合容器部10内に散布される。
【0025】
攪拌翼30は、回転支柱部21の周囲に設けられた可撓性を有する部材である。
図1に示した例では攪拌翼30としてチェーンを用い、両端が回転支柱部21の周囲に取り付けられている。攪拌翼30は、回転支柱部21が回動した際には攪拌翼30が遠心力によって外周方向に膨らみ、混合容器部10内の骨材と樹脂材料に衝突することで両者を撹拌して混合する。攪拌翼30は、回転支柱部21が回転動作された状態において、少なくとも一部が混合容器部10の内壁に接触するように設けられることが好ましい。これにより、混合容器部10の内壁に接触している骨材と樹脂材料に対して攪拌翼30を良好に衝突させ、骨材と樹脂材料を効率的に撹拌および混合することができる。
【0026】
また、攪拌翼30が可撓性を有していることで、骨材や樹脂材料が付着したとしても、回動や衝突に伴って攪拌翼30が撓むことで混合物を剥落し、攪拌翼30への骨材や樹脂材料の固着を抑制できる。よって、攪拌翼30が可撓性を有して骨材や樹脂材料を剥落させることで、骨材や樹脂材料の偏在を抑制して均一に両者を撹拌および混合することができる。
【0027】
ここで攪拌翼30が可撓性を有するとは、攪拌翼30が全域にわたって可撓性を有する材料で構成されているとしてもよく、部分的に変形可能な構造を有することで全体として撓み変形が許容されるとしてもよい。
図1では攪拌翼30としてチェーン状のものを示しているが、ワイヤ状のものを用いるとしてもよい。また、攪拌翼30は線形状に限定されず、板状またはシート状であってもよく、ワイヤやチェーンを編み込んだ構造を用いるとしてもよい。また、
図1では攪拌翼30の両端を回転支柱部21に取り付けた例を示しているが、一端のみを回転支柱部21に取り付けて他端が回転支柱部21から離れるとしてもよい。
【0028】
図1では攪拌翼30を回転支柱部21に設けた例を示したが、樹脂貯留部20とアーム部22を回転支柱部21の一部であると見做して、樹脂貯留部20、アーム部22および回転支柱部21の何れかまたは複数に攪拌翼30を設けるとしてもよい。また、攪拌翼30の両端を樹脂貯留部20、アーム部22および回転支柱部21の何れかの間に取り付けるとしてもよい。また、攪拌翼30の両端は、回転軸に沿った方向における異なる位置(異なる高さ)に取り付けることが好ましい。また後述するように、攪拌翼30の両端は、回転支柱部21の回転方向における異なった位置(異なる角度、位相)に取り付けることが好ましい。
【0029】
樹脂供給管部40は、樹脂貯留部20に樹脂材料を供給するための配管である。樹脂貯留部20と樹脂供給管部40の組み合わせは、混合容器部10内に樹脂材料を供給するため、本発明における樹脂供給部に含まれる。
図1では、2種類の樹脂材料を供給するために樹脂供給管部40が配管41,42を備えた例を示しているが、樹脂材料の種類に応じた配管数を設けることができる。また、配管41,42は、それぞれ流量計43a,44aと、開閉バルブ43b,44bと、流量調整バルブ43c,44cを備えており、各配管41,42から供給される樹脂の流量を調整可能とされている。
【0030】
図1に示したように混合装置100では混合容器部10内に対して、骨材投入部11から骨材が投入され、樹脂供給管部40および樹脂貯留部20から樹脂材料が投入される。また、回転支柱部21が回転駆動されることで、回転支柱部21の周囲に設けられたアーム部22と攪拌翼30によって骨材と樹脂材料が攪拌および混合され、混合物排出部12から骨材と樹脂材料の混合物が樹脂舗装材として排出される。
【0031】
図1では回転支柱部21が鉛直方向に延伸され、混合容器部10の中心軸と回転支柱部21の回転軸が鉛直方向である例を示しているが、当該中心軸および回転軸を鉛直方向から所定角度だけ傾斜させるとしてもよい。一例としては、混合容器部10と回転支柱部21を骨材投入部11が設けられた方向に傾斜させることで、外部から骨材投入部11への骨材の投入が容易となる。
【0032】
図2は、混合装置100を用いた樹脂路盤の施工方法を示す模式図である。
図3は、混合装置100に対して樹脂材料を供給する樹脂供給装置600の構成例を示す模式図である。
図3に示された樹脂供給装置600の配管41,42は、
図2に示された混合装置100まで延長されている。
図2および
図3に示したように本実施形態の施工方法では、混合装置100と、骨材運搬車両200と、スタッカー300と、フィニッシャー400と、前後進プレート500と、樹脂供給装置600を用いる。この施工機械編成では、施工現場において骨材と樹脂材料を撹拌および混合しながら、施工個所に混合物を樹脂舗装材として供給し、樹脂舗装材の敷均し工程と転圧工程までを一貫して実施する。
【0033】
骨材運搬車両200は、骨材を積載した車両であり、従来公知のトラック等の運搬車両を用いることができる。スタッカー300は、従来公知のベルトコンベヤー等を搭載しており、骨材運搬車両200に積載された骨材を混合装置100に投入するための材料供給機である。フィニッシャー400は、ホッパー上に混合装置100を搭載し、樹脂舗装材の供給と敷均しを行う装置である。前後進プレート500は、フィニッシャー400が敷均した樹脂舗装材を転圧して締固める装置である。樹脂供給装置600は、液体の圧送装置と容器を備えており、樹脂材料を継続的に混合装置100に対して供給する装置である。
【0034】
樹脂供給装置600の構成は限定されないが、
図3に示した例では配管41,42は、それぞれ流量計43a,44aと、開閉バルブ43b,44bと、流量調整バルブ43c,44cを備えている。また、複数の樹脂用コンテナ441,442と、コンプレッサー443と、樹脂用受槽444a,444b,445a,445bと、樹脂撹拌機446a,446bと、切替バルブ447,448と、ダイヤフラムポンプ449,451と、コンプレッサー450,452を備えている。
図3中の矢印は各部を接続する配管41,42における樹脂材料の流れを示している。また、樹脂供給装置600の各部は、図示しない制御部によって駆動制御されている。
【0035】
樹脂用コンテナ441,442は、樹脂材料を種類別に供給する容器であり、複数の容器が連結されている。コンプレッサー443は、樹脂用コンテナ441,442の後端に対して圧力を印加する装置である。樹脂用コンテナ441,442は、それぞれの容器の下部に設けられた排出部が、次の段の容器上部に接続されている。コンプレッサー443が後端の容器を加圧すると、保管されている樹脂が容器間を連続して圧送される。樹脂用コンテナ441,442から供給される樹脂材料は限定されず、用途に応じた材料を保管して供給することができる。一例としては、MMA(Methyl MethAcrylate)樹脂を用いるとしてもよく、樹脂用コンテナ441から主剤を供給し、樹脂用コンテナ442から硬化剤を供給するとしてもよい。
【0036】
樹脂用コンテナ441,442内の樹脂材料は、それぞれ流量計43a,44a、開閉バルブ43b,44b、および流量調整バルブ43c,44cを用いて供給量と供給の開始/停止が制御され、樹脂用受槽444a,444b,445a,445bに供給される。樹脂用受槽444a,444bは開閉バルブ43bから供給される同じ樹脂材料を一時的に貯留する容器であり、切替バルブ447を介した樹脂材料の排出を交互に行うことができる。また、樹脂用受槽445a,445bは開閉バルブ44bから供給される同じ樹脂材料を一時的に貯留する容器であり、切替バルブ448を介した樹脂材料の排出を交互に行うことができる。
【0037】
樹脂撹拌機446a,446bは、樹脂用受槽445a,445bの槽内に貯留された樹脂材料を撹拌して均一化するための装置である。樹脂用受槽445a,445bに一定量の樹脂材料が貯留された後に、樹脂用受槽445a,445b内に硬化剤等を添加し、樹脂撹拌機446a,446bで攪拌することで、樹脂材料中に硬化剤を均一に分散させることができる。
図3では樹脂用受槽445a,445bにのみ樹脂撹拌機446a,446bを設けた例を示したが、必要に応じて樹脂用受槽444a,444bにも樹脂撹拌機446a,446bを設けるとしてもよい。また、樹脂材料の種類によっては樹脂撹拌機446a,446bを設けない構成としてもよい。
【0038】
切替バルブ447,448は、樹脂用受槽444a,444b,445a,445bの何れから排出される樹脂材料を混合装置100に供給するかを選択するバルブである。樹脂材料を複数の樹脂用受槽444a,444b,445a,445bに貯留して、一方に対して樹脂の貯留を行っている間に他方から樹脂の排出をして、切替バルブ447,448を用いて交互に樹脂材料の貯留と排出を行うことで、均一で安定した樹脂材料の供給を継続することができる。
【0039】
ダイヤフラムポンプ449,451およびコンプレッサー450、452は、配管41,42内の樹脂材料を長距離まで圧送するための装置である。ダイヤフラムポンプ449,451およびコンプレッサー450、452の組み合わせを用いることで、配管41,42を100m程度まで延長しても、樹脂材料を毎分50~100kg程度まで圧送することができる。このような樹脂供給装置600を用いて長距離まで樹脂材料を圧送することで、施工現場の広い範囲にわたって樹脂材料の供給を行うことができ、樹脂路盤の施工性を向上させることができる。
【0040】
図2および
図3に示した施工機械編成では、骨材運搬車両200に積載された骨材がスタッカー300によって混合装置100に継続的に供給され、同時に樹脂材料が樹脂供給装置600から混合装置100に継続的に供給される。混合装置100では、骨材と樹脂材料が撹拌および混合されて、混合物である樹脂舗装材がフィニッシャー400のホッパーに継続的に排出される。フィニッシャー400は前進しながら樹脂舗装材を敷均し、前後進プレート500は舗設された樹脂舗装材を転圧して締固める。これにより、施工現場において樹脂舗装材を用いた上層路盤や基層を継続的に施工することができる。
【0041】
一例としては、スタッカー300からの骨材の供給量は毎分2.0~3.0トン程度であり、樹脂供給装置600からの樹脂材料の供給量は毎分100~200kg程度とすることができる。また、混合装置100では、継続的に供給される骨材と樹脂材料を良好に撹拌および混合することが可能である。また、フィニッシャー400は混合装置100から供給される樹脂舗装材を逐次処理することができ、厚さ10~20cm程度で毎時100m程度以上の施工能力を有している。
【0042】
一般的に骨材と樹脂を混合した樹脂舗装材は硬化時間が短いため、混合から舗設までの待機時間を長くすることが困難である。しかし、本実施形態の混合装置100を用いることで、大量の樹脂舗装材を施工現場で適宜混合して供給することができ、樹脂舗装材の保管や管理が不要になり、舗設工程の時間短縮を図ることも可能になる。
【0043】
次に、
図4から
図7を用いて、混合装置100の一例について詳細に説明する。
図4は、回転停止時における混合装置100の内部構造例の正面断面視を示す模式図である。
図5は、回転動作時における混合装置100の内部構造例の正面断面視を示す模式図である。
図6は、回転動作時における混合装置100の内部構造例の側面断面視を示す模式図である。
図7は、回転動作時における混合装置100の内部構造例の上面視を示す模式図である。
図4から
図7では、樹脂供給管部40の図示を省略している。
【0044】
図4から
図7に示すように混合装置100は、回転駆動部50を備えており、回転駆動部50が駆動されることで樹脂貯留部20、回転支柱部21、アーム部22および攪拌翼30a,30bが回転される。混合容器部10は傾斜部10aと筒状部10bを備えており、混合物排出部12と一体に形成されている。樹脂貯留部20および回転支柱部21には、複数の係止部24,25が設けられている。アーム部22は、先端にハンマー部22aが設けられており、ハンマー部22aの先端は係止部としても機能している。また、樹脂貯留部20内の底面には樹脂撹拌部26が設けられている。また、攪拌翼30aは回転支柱部21に設けられた係止部25に取り付けられている。攪拌翼30bは樹脂貯留部20に設けられた係止部24とハンマー部22aに取り付けられている。
【0045】
傾斜部10aは、混合容器部10の筒状部10bから混合物排出部12まで、直径が漸減して設けられた傾斜面である。本実施形態では傾斜部10aとして、傾斜角度が一定の円錐台形状を用いた例を示しているが、傾斜角度が変化する曲面形状や複数の傾斜角度に変化する構成としてもよい。筒状部10bは、混合容器部10の上部の開口から傾斜部10aまで設けられた円筒形状の部分である。骨材投入部11から投入された骨材は、筒状部10b内では重力に従って降下し、傾斜部10aの傾斜面に衝突して傾斜部10a内を滑落していく。筒状部10bの高さは限定されないが、樹脂貯留部20の高さ方向よりも大きく設定することで、傾斜部10aとの衝突で跳ねた骨材が樹脂貯留部20の外面に付着することを抑制することができる。
【0046】
ハンマー部22aは、アーム部22の先端に設けられて、混合容器部10の内壁に沿った方向に延びる部分である。ハンマー部22aには攪拌翼30a,30bの端部を取り付けることが可能なように、貫通孔や螺子穴などの係止部を設けていることが好ましい。ハンマー部22aは、混合容器部10の内壁に沿って延びているため、アーム部22が回転駆動部50で回転された際には、骨材投入部11から投入された骨材にアーム部22とハンマー部22aが衝突して、骨材の一部を混合容器内に弾いて分散することができる。また、大きな塊状の骨材は粉砕することで粒径を小さくして、より均一に骨材を混合することもできる。本実施形態ではハンマー部22aをアーム部22の一部として一体に構成した例を示したが、アーム部22の先端に別部材であるハンマー部22aを交換可能に取り付ける構造としてもよい。
【0047】
係止部24,25は、攪拌翼30a,30bの端部を取り付けるための部分である。
図4から
図7では、係止部24,25として板状の金具に貫通孔が形成された例を示しているが、形状や構造は限定されない。
図7に示したように、攪拌翼30a,30bは回転方向において異なる位置(異なる角度)に複数設けることが好ましい。
図7では、回転方向において90度間隔で係止部24,25を設けた例を示しているが、間隔は限定されず、45度間隔、60度間隔、120度間隔で設けるとしてもよい。また、係止部24,25は回転軸に沿った方向において異なる位置(異なる高さ)に複数設けられることが好ましい。また、係止部24,25を設ける位置は、回転駆動部50によって回転される樹脂貯留部20、回転支柱部21およびアーム部22の何れかであれば、
図4から
図7に示したものに限定されない。
【0048】
樹脂撹拌部26は、樹脂貯留部20の底面から立設して設けられた板状の部分である。樹脂撹拌部26は、樹脂貯留部20と共に回転して、樹脂貯留部20内に一時的に貯留された樹脂材料を撹拌する。樹脂撹拌部26の構造と樹脂材料の攪拌についての詳細は後述する。
【0049】
図4から
図7に示した例では、攪拌翼30aの両端は高さの異なる係止部25に接続され、攪拌翼30bの両端はハンマー部22aと係止部24に接続されている。攪拌翼30a,30bを接続する位置は
図4から
図7に示したものに限定されず、ハンマー部22aと係止部25の組み合わせや、係止部24と係止部25の組み合わせであってもよい。また、
図4から
図7では攪拌翼30aと攪拌翼30bの2組を用いる例を示したが、どちらか1組であってもよく、さらに多数の組み合わせであってもよい。
【0050】
回転駆動部50は、本発明における回転部(樹脂貯留部20、回転支柱部21、アーム部22)を回動させる動力源である。
図5中に楕円矢印で示したように、回転駆動部50は、樹脂貯留部20、回転支柱部21およびアーム部22を正転方向および逆転方向に切り替えて回転させることができる。回転駆動部50の構成は限定されず、電気モータや、内燃機関等を用いることができる。回転駆動部50を用いた樹脂貯留部20、回転支柱部21およびアーム部22の回転数としては、50~500rpmの範囲が好ましく、より好ましくは120~260rpmである。回転数が小さすぎると、攪拌翼30a,30bを遠心力で拡げて骨材と樹脂材料を効率的に混合することが困難になる。回転数が大きすぎると、骨材が混合容器部10の外部に飛散する可能性が高くなり好ましくない。
【0051】
図4に示したように、回転駆動部50が停止状態で、樹脂貯留部20、回転支柱部21およびアーム部22が回動していない場合には、遠心力が働かず重力によって攪拌翼30a,30bは垂れ下がった状態となる。この状態では、攪拌翼30a,30bに外力を加えて揺動することで、攪拌翼30a,30bに付着した骨材や樹脂材料を容易に振るい落とすことができる。したがって、混合装置100を用いて骨材と樹脂材料の混合を実施した後に、樹脂材料が硬化する前に攪拌翼30a,30bから骨材と樹脂材料を振るい落として、攪拌翼30a,30bへの樹脂舗装材の固着を抑制することができる。
【0052】
図5から
図7に示したように、回転駆動部50が駆動状態で、樹脂貯留部20、回転支柱部21およびアーム部22が回動している場合には、遠心力が働いて攪拌翼30a,30bは外側に膨らんだ状態となる。また、樹脂貯留部20内に供給されて一時的に貯留された樹脂材料は、遠心力によって樹脂貯留部20の内壁を這い上がり、樹脂排出口23から混合容器部10内に散布される。これにより、骨材投入部11から投入された骨材と、樹脂排出口23から散布された樹脂材料が混合される。
【0053】
回転駆動部50の駆動時には、攪拌翼30a,30bは外側に膨らむため、攪拌翼30a,30bの一部は混合容器部10の内壁に接触して摺動する。これにより、混合容器部10の内壁を滑り落ちていく骨材と樹脂材料の混合物を攪拌翼30a,30bで効果的に撹拌して混合することができる。特に、攪拌翼30a,30bを傾斜部10aに接触させることで、混合容器部10内の大きな面積を利用して樹脂舗装材を均一に攪拌および混合することができる。
【0054】
また、
図5から
図7に示したように、攪拌翼30a,30bの両端を高さ方向および回転方向において異なる位置に接続しているため、それぞれの攪拌翼30a,30bは螺旋状に捻じれて回転軸を中心に回動される。したがって、
図7における時計回り方向の回転では、高い位置に接続された攪拌翼30a,30bの端部が先行するような回転となる。また、
図7における反時計回り方向の回転では、低い位置に接続された攪拌翼30a,30bの端部が先行するような回転となる。
【0055】
攪拌翼30a,30bの高い位置に接続された端部が先行する回転方向を排出方向回転とする。また、攪拌翼30a,30bの低い位置に接続された端部が先行する回転方向を掻き揚げ方向回転とする。排出方向回転では、骨材と樹脂材料の混合物(樹脂舗装材)は、混合容器部10の内壁に沿って滑り落ちる方向に力が働き、中心方向である混合物排出部12に向けて掻き出される。掻き揚げ方向回転では、骨材と樹脂材料の混合物(樹脂舗装材)は、混合容器部10の内壁に沿って外側方向に力が働き、外側方向および上側方向に向けて掻き揚げられる。したがって、回転駆動部50の駆動において、排出方向回転と掻き揚げ方向回転を切り替えることにより、樹脂舗装材の排出を促進するか、攪拌と混合を継続するかを選択することができる。
【0056】
(第1実施形態の変形例)
混合装置100の変形例について
図8から
図10を用いて説明する。
図8は、本変形例に係る混合装置100の回転動作時における内部構造例の正面断面視を示す模式図である。
図9は、本変形例に係る混合装置100の回転動作時における内部構造例の側面断面視を示す模式図である。
図10は、本変形例に係る混合装置100の回転動作時における内部構造例の上面視を示す模式図である。
【0057】
図8から
図10に示すように、本変形例の混合装置100では、一対のアーム部22は混合容器部10の半径と同程度の長さで設けられており、筒状部10bの近傍まで延長されている。もう一対のアーム部22は、混合容器部10の半径よりも短く設けられており、回転支柱部21と筒状部10bの中間にまで延長されている。また、それぞれのアーム部22の先端に設けられたハンマー部22aは、混合容器部10内の下方に向けて傾斜部10aの近傍まで延伸されている。
【0058】
攪拌翼30aの上端は係止部24に取り付けられ、下端は係止部25に取り付けられている。ここで攪拌翼30aの上端が取り付けられる係止部24と、下端が取り付けられる係止部25とは、
図10に示すように上面視で90度異なる位置とされている。また、攪拌翼30bの一端は筒状部10b近傍まで延伸されたアーム部22のハンマー部22a下端に取り付けられ、他端は傾斜部10aの中間まで延伸されたアーム部22のハンマー部22a下端に取り付けられている。ここで、攪拌翼30bが取り付けられるアーム部22は、
図10に示すように上面視で90度異なる位置とされている。
【0059】
図8から
図10に示したように本変形例の混合装置100では、回転動作時に攪拌翼30a,30bが遠心力によって傾斜部10aに沿って拡がって摺動する。また、攪拌翼30aは傾斜部10aのうち混合容器部10の中心に近い領域を摺動し、攪拌翼30bは混合容器部10の外周に近い領域を摺動する。したがって、傾斜部10aの略下側半分に相当する領域を攪拌翼30aで攪拌し、略上側半分に相当する領域を攪拌翼30bで攪拌することができる。これにより、大面積の傾斜部10aの全域を攪拌翼30a,30bで効率的に撹拌することができる。
【0060】
図8から
図10では、混合容器部10の半径と同程度のアーム部22と、半径より短いアーム部22を一対ずつ合計4本用いた例を示したが、アーム部22の数は限定されない。また、各アーム部22を90度異なる方向に配置した例を示したが、アーム部22間の角度は本数に応じて均等に配置すればよい。一例としては、3対で6本のアーム部22を用いる場合には、隣り合うアーム部22の配置角度は60度となる。また、混合容器部10の半径よりも短いアーム部22が延伸される位置も限定されず、例えば半径の1/3や2/3等に設定するとしてもよい。また、ハンマー部22aの下端が傾斜部10aの近傍まで延伸された例を示したが、攪拌翼30a,30bが適切に傾斜部10a上を摺動できれば、ハンマー部22aの下端と傾斜部10aの間を所定距離だけ離間させるとしてもよい。
【0061】
図11は、樹脂供給部における樹脂貯留部20の構造例を模式的に示す図であり、
図11(a)は上面視を示し、
図11(b)は側面断面視を示している。
図11(a)(b)に示したように、樹脂貯留部20は、底面20aと、傾斜部20bと、側壁20cと、樹脂排出口23と、樹脂撹拌部26を備えている。また、樹脂貯留部20の上方には配管41,42とその先端に設けられた樹脂供給口41a,42aが配置されている。
【0062】
底面20aは、樹脂貯留部20の底を形成する面である。底面20aの内側には樹脂撹拌部26が立設されている。底面20aの形状は限定されず、平面であっても曲面であってもよい。傾斜部20bは、底面20aから側壁20cまで設けられた傾斜面である。傾斜部20bには底面20aから所定の高さに複数の樹脂排出口23が形成されている。傾斜部20bは一定の傾斜角度で形成されていてもよく、傾斜角度が変化する曲面として構成されてもよい。側壁20cは、樹脂貯留部20の外周を構成する壁面部である。
図11に示した例では側壁20cが底面20aに垂直な例を示したが、所定角度で傾斜しているとしてもよい。また、底面20a、傾斜部20bおよび側壁20cに明確な境界を有している必要は無い。
【0063】
樹脂撹拌部26は、底面20aから立設して設けられた板状の部材である。樹脂撹拌部26は、樹脂貯留部20の回転に伴って回転され、樹脂貯留部20内に一時的に貯留された樹脂材料を撹拌する。
図11では樹脂撹拌部26を樹脂貯留部20とは別体で形成して底面20aに取り付けた例を示したが、底面20aを加工して一体に形成するとしてもよい。また、
図11(a)に示した例では樹脂撹拌部26を上面視で十字形状としているが、回転軸を中心に回転して樹脂材料の攪拌をすることができれば形状は限定されない。一例としては、中心から離間した位置に複数の樹脂撹拌部26を立設するとしてもよい。また、樹脂撹拌部26を樹脂貯留部20とは分離して配置して、別の動力源により樹脂材料を撹拌するとしてもよい。
【0064】
樹脂供給口41a,42aは、それぞれ配管41,42の先端に設けられた樹脂材料の吐出口である。樹脂供給装置600から配管41,42を介して圧送された樹脂材料は、樹脂供給口41a,42aから樹脂貯留部20内に供給される。樹脂供給口41a,42aから供給された樹脂材料は、それぞれ樹脂貯留部20内に一時的に貯留され、樹脂撹拌部26の回転によって、樹脂材料が均一となるように攪拌される。また、樹脂撹拌部26および樹脂貯留部20の回転に伴って、一時的に貯留された樹脂材料には外側方向に遠心力が働く。この遠心力によって、樹脂貯留部20内の樹脂材料は、傾斜部20bを這い上がって樹脂排出口23まで到達し、樹脂排出口23から混合容器部10内に散布される。
【0065】
図11に示した例では、配管41,42および樹脂供給口41a,42aは、上面視において樹脂撹拌部26の回転範囲の上方に設けられている。また、配管41,42および樹脂供給口41a,42aは、回転軸を中心とした対象位置に配置されている。これにより、樹脂供給口41a,42aから供給された樹脂材料は、樹脂貯留部20内に一時的に貯留されてから樹脂撹拌部26によって攪拌され、より均一な攪拌が可能になる。
【0066】
また、樹脂排出口23の開口面積の合計は、樹脂供給口41a,42aの開口面積の合計よりも大きいことが好ましい。これにより、樹脂排出口23から散布できる樹脂材料の量を樹脂供給口41a,42aからの樹脂材料の供給量よりも多くして、樹脂貯留部20の上部から樹脂材料が溢れることを抑制できる。
【0067】
また、樹脂排出口23からは樹脂材料が混合容器部10内に散布されるため、樹脂排出口23よりも上方にアーム部22を設けることが好ましい。樹脂排出口23から散布された樹脂材料は重力により下方に落下するため、樹脂材料がアーム部22に大量に付着することを抑制することができる。樹脂材料のアーム部22への付着を抑制することで、混合容器部10内において骨材と混合される樹脂材料の量を安定化させ、樹脂舗装材を均一に混合することができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図12を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図12は、本実施形態における混合装置100を用いた樹脂路盤の施工方法を示す模式図である。
図12に示したように本実施形態の施工方法では、混合装置100と、骨材運搬車両200と、スタッカー300と、フィニッシャー400と、前後進プレート500と、樹脂供給車両600a,600bを用いる。
【0069】
樹脂供給車両600a,600bは、それぞれ樹脂材料を貯留するタンクと圧送ポンプを備えており、それぞれ配管41,42を用いて混合装置100に対して樹脂材料を供給する。
図12では樹脂供給車両600a,600bは前後進プレート500に後続させた例を示しているが、骨材運搬車両200よりも先行させることや、他の編成車両に並走させるとしてもよい。
【0070】
本実施形態では、樹脂材料の供給に樹脂供給車両600a,600bを用いることで、施工現場までの樹脂材料の運搬を容易に行うことができ、樹脂供給装置を施工現場付近に設置する工程を省略することができる。また、樹脂舗装材の施工中に他の編成車両と同じ速度で樹脂供給車両600a,600bを移動させて、広い範囲での施工を継続することも可能となる。
【0071】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
100…混合装置
10…混合容器部
10a…傾斜部
10b…筒状部
11…骨材投入部
12…混合物排出部
20…樹脂貯留部
20a…底面
20b…傾斜部
20c…側壁
21…回転支柱部
22…アーム部
22a…ハンマー部
23…樹脂排出口
24,25…係止部
26…樹脂撹拌部
30,30a,30b…攪拌翼
40…樹脂供給管部
41,42…配管
41a,42a…樹脂供給口
43a、44a…流量計
43b,44b…開閉バルブ
43c,44c…流量調整バルブ
441,442…樹脂用コンテナ
443,450,452…コンプレッサー
444a,444b,445a,445b…樹脂用受槽
446a,446b…樹脂撹拌機
447,448…切替バルブ
449,451…ダイヤフラムポンプ
50…回転駆動部
200…骨材運搬車両
300…スタッカー
400…フィニッシャー
500…前後進プレート
600…樹脂供給装置
600a,600b…樹脂供給車両