(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079514
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】舗装方法および舗装装置
(51)【国際特許分類】
E01C 19/34 20060101AFI20240604BHJP
E01C 19/48 20060101ALI20240604BHJP
E01C 7/30 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
E01C19/34 A
E01C19/48 A
E01C7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192497
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507194017
【氏名又は名称】株式会社高速道路総合技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】菅野 勝一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】人見 信男
(72)【発明者】
【氏名】安藤 政浩
【テーマコード(参考)】
2D051
2D052
【Fターム(参考)】
2D051AF01
2D051AG11
2D051EA06
2D052AA04
2D052AA08
2D052BC06
2D052BD03
(57)【要約】
【課題】骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を良好に締め固めることができる舗装方法および舗装装置を提供する。
【解決手段】骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を施工する舗装方法であって、樹脂舗装材を施工個所に供給する舗装材供給工程と、舗装材供給工程で供給された樹脂舗装材を敷き均しする敷均し工程と、敷均し工程で敷き均しされた樹脂舗装材を締め固める転圧工程とを備え、転圧工程に振動転圧装置(500)を用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を施工する舗装方法であって、
前記樹脂舗装材を施工個所に供給する舗装材供給工程と、
前記舗装材供給工程で供給された前記樹脂舗装材を敷き均しする敷均し工程と、
前記敷均し工程で敷き均しされた前記樹脂舗装材を締め固める転圧工程とを備え、
前記転圧工程に振動転圧装置を用いることを特徴とする舗装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の舗装方法であって、
前記振動転圧装置は、前記敷均し工程で前記樹脂舗装材の敷均しに用いられる敷均し装置に牽引されることを特徴とする舗装方法。
【請求項3】
請求項2に記載の舗装方法であって、
前記振動転圧装置は、前記敷均し装置との相対的位置関係が固定されていることを特徴とする舗装方法。
【請求項4】
請求項2に記載の舗装方法であって、
前記振動転圧装置は前記敷均し装置の後方に複数並列して設けられていることを特徴とする舗装方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一つに記載の舗装方法であって、
前記振動転圧装置は、前記敷均し工程で敷き均しされた前記樹脂舗装材の幅よりも大きな幅の板状部材に搭載されていることを特徴とする舗装方法。
【請求項6】
請求項5に記載の舗装方法であって、
前記板状部材は複数の部分板に分割されており、前記部分板の各々に前記振動転圧装置が搭載されていることを特徴とする舗装方法。
【請求項7】
骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を施工する舗装装置であって、
前記樹脂舗装材を施工個所に供給する舗装材供給部と、
前記舗装材供給部から供給された前記樹脂舗装材を敷き均しする敷均し部と、
前記敷均し部で敷き均しされた前記樹脂舗装材を締め固める振動転圧部とを備えることを特徴とする舗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装方法および舗装装置に関し、特に骨材と樹脂を混合した樹脂舗装材の舗装方法および舗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から道路等のアスファルト舗装において、下層路盤の上にアスファルト安定処理路盤材を供給して上層路盤を施工することが提案されている。このようなアスファルト舗装では、アスファルト安定処理路盤材はアスファルトプラントにおいて骨材とアスファルトを混合して製造され、ダンプトラックにより作業現場へ搬送され、下層路盤上に供給される(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
近年になって、アスファルト安定処理路盤材の代わりに骨材と樹脂材料(一例としてはMMA(メチルメタクリレート)樹脂等)の混合物を用いて上層路盤や基層を構築することも検討されている。樹脂材料は、伸縮性と耐久性に優れているため上層路盤や基層に用いることで、舗装の長寿命化を図ることができる。また、アスファルト舗装は厚層で施工すると施工後の温度低下に時間がかかるため交通開放時間が遅くなってしまうが、樹脂は硬化時間が施工厚さに影響されず比較的短いため、アスファルト舗装と比べて早期に交通開放することが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材は、粘度や硬化速度がアスファルトと異なるため、締め固めに転圧ローラを用いると、転圧ローラに樹脂舗装材が付着して剥がれて表面状態が劣化するという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を良好に締め固めることができる舗装方法および舗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の舗装方法は、骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を施工する舗装方法であって、前記樹脂舗装材を施工個所に供給する舗装材供給工程と、前記舗装材供給工程で供給された前記樹脂舗装材を敷き均しする敷均し工程と、前記敷均し工程で敷き均しされた前記樹脂舗装材を締め固める転圧工程とを備え、前記転圧工程に振動転圧装置を用いることを特徴とする。
【0008】
このような本発明の舗装方法では、転圧工程に振動転圧装置を用いることで、樹脂舗装材が転圧装置のローラ部分に付着することを抑制し、骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を良好に締め固めることができる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記振動転圧装置は、前記敷均し工程で前記樹脂舗装材の敷均しに用いられる敷均し装置に牽引される。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記振動転圧装置は、前記敷均し装置との相対的位置関係が固定されている。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記振動転圧装置は前記敷均し装置の後方に複数並列して設けられている。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記振動転圧装置は、前記敷均し工程で敷き均しされた前記樹脂舗装材の幅よりも大きな幅の板状部材に搭載されている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記板状部材は複数の部分板に分割されており、前記部分板の各々に前記振動転圧装置が搭載されている。
【0014】
また上記課題を解決するために、本発明の舗装装置は、骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を施工する舗装装置であって、前記樹脂舗装材を施工個所に供給する舗装材供給部と、前記舗装材供給部から供給された前記樹脂舗装材を敷き均しする敷均し部と、前記敷均し部で敷き均しされた前記樹脂舗装材を締め固める振動転圧部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を良好に締め固めることができる舗装方法および舗装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る樹脂舗装材の舗装方法を示す模式図である。
【
図2】混合装置100に対して樹脂材料を供給する樹脂供給装置600の構成例を示す模式図である。
【
図3】第1実施形態に係る舗装装置の概要を示す模式上面図である。
【
図4】前後進プレート500の概要を示す模式側面図である。
【
図5】板状部材520の構造例を示す模式斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る舗装装置の概要を示す模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る樹脂舗装材の舗装方法を示す模式図である。
図2は、混合装置100に対して樹脂材料を供給する樹脂供給装置600の構成例を示す模式図である。
図2に示された樹脂供給装置600の配管41,42は、
図1に示された混合装置100まで延長されている。
【0018】
図1および
図2に示したように本実施形態の舗装方法では、混合装置100と、骨材運搬車両200と、スタッカー300と、フィニッシャー400と、前後進プレート500と、樹脂供給装置600を用いる。ここで、前後進プレート500は本発明における振動転圧装置に相当し、フィニッシャー400と前後進プレート500の組み合わせが本発明における舗装装置に相当している。この施工機械編成では、施工現場において骨材と樹脂材料を撹拌および混合しながら、施工個所に混合物を樹脂舗装材として供給し、樹脂舗装材の敷均し工程と転圧工程までを一貫して実施する。
【0019】
混合装置100は、投入された骨材と樹脂材料を混合して、混合物である樹脂舗装材をフィニッシャー400に供給する装置である。骨材運搬車両200は、骨材を積載した車両であり、従来公知のトラック等の運搬車両を用いることができる。スタッカー300は、従来公知のベルトコンベヤー等を搭載しており、骨材運搬車両200に積載された骨材を混合装置100に投入するための材料供給機である。フィニッシャー400は、ホッパー上に混合装置100を搭載し、樹脂舗装材の供給と敷均しを行う装置である。フィニッシャー400は施工個所に樹脂舗装材を供給するため、本発明における樹脂供給部に相当している。
【0020】
前後進プレート500は、フィニッシャー400が敷均した樹脂舗装材を転圧して締固める装置であり、本発明における振動転圧装置に相当している。前後進プレート500の詳細については後述する。
図1では振動転圧装置として前後進プレート500を示したが、施工面に敷き均しされた樹脂舗装材に対して振動を加えながら転圧処理を実施できるものであれば、他の構造を用いてもよい。
図1では、混合装置100をフィニッシャー400上に搭載した例を示しているが、フィニッシャー400とは分離して配置しておき、混合された樹脂舗装材をバケット等で運搬してフィニッシャー400に供給するとしてもよい。
【0021】
樹脂供給装置600は、液体の圧送装置と容器を備えており、樹脂材料を継続的に混合装置100に対して供給する装置である。樹脂供給装置600の構成は限定されないが、
図2に示した例では配管41,42は、それぞれ流量計43a,44aと、開閉バルブ43b,44bと、流量調整バルブ43c,44cを備えている。また、複数の樹脂用コンテナ441,442と、コンプレッサー443と、樹脂用受槽444a,444b,445a,445bと、樹脂撹拌機446a,446bと、切替バルブ447,448と、ダイヤフラムポンプ449,451と、コンプレッサー450,452を備えている。
図2中の矢印は各部を接続する配管41,42における樹脂材料の流れを示している。また、樹脂供給装置600の各部は、図示しない制御部によって駆動制御されている。
【0022】
樹脂用コンテナ441,442は、樹脂材料を種類別に供給する容器であり、複数の容器が連結されている。コンプレッサー443は、樹脂用コンテナ441,442の後端に対して圧力を印加する装置である。樹脂用コンテナ441,442は、それぞれの容器の下部に設けられた排出部が、次の段の容器上部に接続されている。コンプレッサー443が後端の容器を加圧すると、保管されている樹脂が容器間を連続して圧送される。樹脂用コンテナ441,442から供給される樹脂材料は限定されず、用途に応じた材料を保管して供給することができる。一例としては、MMA(Methyl MethAcrylate)樹脂を用いるとしてもよく、樹脂用コンテナ441から主剤を供給し、樹脂用コンテナ442から硬化剤を供給するとしてもよい。
【0023】
樹脂用コンテナ441,442内の樹脂材料は、それぞれ流量計43a,44a、開閉バルブ43b,44b、および流量調整バルブ43c,44cを用いて供給量と供給の開始/停止が制御され、樹脂用受槽444a,444b,445a,445bに供給される。樹脂用受槽444a,444bは開閉バルブ43bから供給される同じ樹脂材料を一時的に貯留する容器であり、切替バルブ447を介した樹脂材料の排出を交互に行うことができる。また、樹脂用受槽445a,445bは開閉バルブ44bから供給される同じ樹脂材料を一時的に貯留する容器であり、切替バルブ448を介した樹脂材料の排出を交互に行うことができる。
【0024】
樹脂撹拌機446a,446bは、樹脂用受槽445a,445bの槽内に貯留された樹脂材料を撹拌して均一化するための装置である。樹脂用受槽445a,445bに一定量の樹脂材料が貯留された後に、樹脂用受槽445a,445b内に硬化剤等を添加し、樹脂撹拌機446a,446bで攪拌することで、樹脂材料中に硬化剤を均一に分散させることができる。
図2では樹脂用受槽445a,445bにのみ樹脂撹拌機446a,446bを設けた例を示したが、必要に応じて樹脂用受槽444a,444bにも樹脂撹拌機446a,446bを設けるとしてもよい。また、樹脂材料の種類によっては樹脂撹拌機446a,446bを設けない構成としてもよい。
【0025】
切替バルブ447,448は、樹脂用受槽444a,444b,445a,445bの何れかから排出される樹脂材料を混合装置100に供給するかを選択するバルブである。樹脂材料を複数の樹脂用受槽444a,444b,445a,445bに貯留して、一方に対して樹脂の貯留を行っている間に他方から樹脂の排出をして、切替バルブ447,448を用いて交互に樹脂材料の貯留と排出を行うことで、均一で安定した樹脂材料の供給を継続することができる。
【0026】
ダイヤフラムポンプ449,451およびコンプレッサー450、452は、配管41,42内の樹脂材料を長距離まで圧送するための装置である。ダイヤフラムポンプ449,451およびコンプレッサー450、452の組み合わせを用いることで、配管41,42を100m程度まで延長しても、樹脂材料を毎分50~100kg程度まで圧送することができる。このような樹脂供給装置600を用いて長距離まで樹脂材料を圧送することで、施工現場の広い範囲にわたって樹脂材料の供給を行うことができ、樹脂路盤の施工性を向上させることができる。
【0027】
図1および
図2に示した舗装方法では、骨材運搬車両200に積載された骨材がスタッカー300によって混合装置100に継続的に供給され、同時に樹脂材料が樹脂供給装置600から混合装置100に継続的に供給される。混合装置100では、骨材と樹脂材料が撹拌および混合されて、混合物である樹脂舗装材がフィニッシャー400のホッパーに継続的に排出される。フィニッシャー400は前進しながら樹脂舗装材を敷均し、前後進プレート500は舗設された樹脂舗装材を転圧して締固める。これにより、施工現場において樹脂舗装材を用いた上層路盤や基層を継続的に施工することができる。
【0028】
一例としては、スタッカー300からの骨材の供給量は毎分2.0~3.0トン程度であり、樹脂供給装置600からの樹脂材料の供給量は毎分100~200kg程度とすることができる。また、混合装置100では、継続的に供給される骨材と樹脂材料を良好に撹拌および混合することが可能である。また、フィニッシャー400は混合装置100から供給される樹脂舗装材を逐次処理することができ、厚さ10~20cm程度で毎時100m程度以上の施工能力を有している。
【0029】
図3は、本実施形態に係る舗装装置の概要を示す模式上面図である。
図4は、前後進プレート500の概要を示す模式側面図である。
図3に示すように、舗装装置はフィニッシャー400と前後進プレート500の組み合わせで構成されている。フィニッシャー400はホッパー410と、コンベヤー420と、スクリュー430と、スクリード440を備えている。前後進プレート500は、牽引部材510と、板状部材520と、振動転圧部530とを備えている。
図4では牽引部材510の図示を省略している。
【0030】
本実施形態の舗装方法では、舗装材供給工程において樹脂舗装材がホッパー410に投入されると、コンベヤー420が樹脂舗装材を施工個所に一定量ずつ供給する。次に、敷均し工程においてスクリュー430で樹脂舗装材が横方向に拡げられ、スクリード440で樹脂舗装材が敷き均しされる。次に、転圧工程において、施工個所に敷き均しされた樹脂舗装材を前後進プレート500で締め固める。
【0031】
ホッパー410は、混合装置100で混合された樹脂舗装材が投入される区画であり、下方には開口部が設けられてコンベヤー420が配置されている。コンベヤー420は、ホッパー410に投入された樹脂舗装材を後方の施工面に搬送する部分である。スクリュー430は、コンベヤー420から施工面上に搬送された樹脂舗装材を横方向に拡げる部分である。スクリード440は、施工面上に配置された樹脂舗装材を敷き均しする部分である。スクリード440は、本発明における敷均し装置に相当している。
【0032】
牽引部材510は、前後進プレート500をフィニッシャー400に連結して、フィニッシャー400の移動に伴って前後進プレート500を牽引する部材である。牽引部材510の前端はフィニッシャー400に接続され、後端は板状部材520または振動転圧部530に接続されている。牽引部材510と前後進プレート500およびフィニッシャー400の接続方法としては、螺子やボルトを用いた締結などを用いることができる。
【0033】
牽引部材510の構造や形状は限定されないが、スクリード440と前後進プレート500の相対的位置関係を固定できるような剛性を持った材料で構成されて両者を固定することが好ましい。牽引部材510でスクリード440と前後進プレート500の相対的位置関係を固定することで、施工面の横断勾配によって前後進プレート500が横方向に変動することを防止して転圧工程を継続できる。
【0034】
板状部材520は、スクリード440の後方において施工面に敷き均しされた樹脂舗装材と接触し、振動転圧部530が搭載される板状の部材である。
図4に示した例では、図中左方向が進行方向であり、板状部材520の前端は部分的に上方に沿った形状とされている。板状部材520の大部分は平坦部分で構成されており、当該平坦部分の上に振動転圧部530が搭載されている。板状部材520の構造や材料は限定されないが、一例としては数mm~数十mmの厚さ範囲の鉄板を用いることができる。
【0035】
振動転圧部530は、内燃機関や電気モータ等によって重力方向への振動を発生させる装置である。本発明の転圧工程では、振動転圧部530の振動が板状部材520に伝わることで、板状部材520の下面に接触した樹脂舗装材に圧力が加わり、樹脂舗装材が締め固められる。振動転圧部530で生じた振動によって、樹脂舗装材を効果的に転圧するためには、振動転圧部530は板状部材520に機械的に固定されることが好ましい。また、多様な樹脂舗装材の施工面幅に対応するためには、施工面幅に応じた板状部材520を用いる必要があり、板状部材520に対する振動転圧部530の固定は、ネジやボルト等を用いて交換可能な構造を採用することが好ましい。
【0036】
振動転圧部530の重量は限定されないが、施工面幅よりも幅広な板状部材を介して樹脂舗装材を締め固めるためには、200~500kg重程度の重量を有していることが好ましい。また、振動転圧部530の転圧工程における振動数は限定されないが、3000~5000回/分程度の振動数を用いることができる。
【0037】
また、
図3に示したように、板状部材520を複数の部分板に分割して幅方向に並列し、各部分板に振動転圧部530を搭載することが好ましい。また、板状部材520の全幅はスクリード440で敷き均しされた樹脂舗装材の幅よりも大きいことが好ましい。各部分板に振動転圧部530を搭載することで、複数の振動転圧部530による振動で効果的に転圧を行うことができる。
図3では複数の部分板にそれぞれ振動転圧部530を搭載した例を示したが、一つの板状部材520上に複数の振動転圧部530を搭載するとしてもよい。また、部分板と振動転圧部530の個数は2個に限定されず、3個以上を組み合わせるとしてもよい。また、複数の振動転圧部530を進行方向に縦列に配置するとしてもよい。
【0038】
図5は、板状部材520の構造例を示す模式斜視図である。
図5に示したように、板状部材520は、平板状部521と、トップ部522と、補強枠部523と、搭載部524を備えている。
図5では板状部材520に含まれる平板状部521を一つで示しているが、
図3に示したように複数の部分板を並列に配置した構成としてもよい。
【0039】
平板状部521は、板状部材520のうち大部分の面積を占めている平坦な板状の部分である。平板状部521の上面には補強枠部523および搭載部524が設けられている。平板状部521の厚みとしては数mm~数十mm程度が挙げられる。また、振動転圧部530を搭載可能な程度の面積を有していれば、平板状部521の長さおよび幅は限定されない。平板状部521の一辺には上方に反ったトップ部522が設けられている。
【0040】
トップ部522は、板状部材520の一辺に沿って設けられた上方に向かう反り部分である。トップ部522が設けられた側が、前後進プレート500の進行方向とされる。
図5ではトップ部522を板状部材520の一辺にのみ設けた例を示しているが、対向する2辺に設けるとしてもよく、全周にわたって設けるとしてもよい。また、
図5ではトップ部522の形状として、曲率が一定の断面円弧状のものを示しているが、曲率が変化する曲面形状としてもよく、傾斜角度が異なるテーパー形状としてもよい。板状部材520にトップ部522が設けられていることで、転圧工程において前後進プレート500を振動させて板状部材520で樹脂舗装材を締め固める際に、締固めの前後における樹脂舗装材の厚さ変化による段差の影響を軽減することができる。
【0041】
補強枠部523は、平板状部521上に固定された矩形状の部分であり、搭載部524を囲んで設けられている。補強枠部523を平板状部521に固定することで、平板状部521の剛性を高めて転圧工程における振動による変形を抑制することができる。補強枠部523を構成する材料や構造は限定されないが、I字鋼やH字鋼を矩形状に組み合わせたものを用いることができる。また、補強枠部523と平板状部521の固定方法は限定されないが、補強枠部523の延長方向に沿って溶接することや、ボルトを用いた締結を用いることができる。
【0042】
搭載部524は、板状部材520のうち振動転圧部530を搭載する領域である。搭載部524を設ける位置は限定されないが、振動転圧部530での振動を均等に施工面に伝達させるためには、平板状部521の略中央に設けることが好ましい。搭載部524には振動転圧部530が搭載されて固定される。振動転圧部530の固定方法は限定されないが、施工面の幅に応じて板状部材520を交換するためには、平板状部521表面にボルト等を用いて締結することが好ましい。
図5では搭載部524の外側に補強枠部523を設け、平板状部521に振動転圧部530を固定する例を示したが、補強枠部523を搭載部524内に含めて、補強枠部523に振動転圧部530を固定するとしてもよい。
【0043】
上述したように本実施形態の舗装方法および舗装装置では、転圧工程において振動転圧部530を用いることで、樹脂舗装材が転圧装置に付着して剥離することを抑制し、骨材と樹脂材料を混合した樹脂舗装材を良好に締め固めることができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図6を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る舗装装置の概要を示す模式上面図である。本実施形態では、板状部材520を構成する部分板の幅を大きくして、板状部材520の全幅をスクリード440の幅と同程度としている。このような形態とすることにより、スクリード440で敷き均しされた樹脂舗装材を均一に締め固めることができる。また、振動転圧部530はそれぞれの部分板における略中央に搭載されている。
図6では板状部材520の全幅をスクリード440の幅と同程度とした例を示したが、板状部材520の全幅をスクリード440の幅よりも大きくするとしてもよい。
【0045】
図6に示した例においては、振動転圧部530側の端部は、フィニッシャー400側の端部よりも幅方向における外側に位置し、牽引部材510は進行方向に対して斜めになる。しかし、牽引部材510でスクリード440と前後進プレート500の相対的位置関係を固定することで、適切に前後進プレート500を牽引して転圧工程を継続できる。
【0046】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
100…混合装置
200…骨材運搬車両
300…スタッカー
400…フィニッシャー
500…前後進プレート
600…樹脂供給装置
410…ホッパー
420…コンベヤー
430…スクリュー
440…スクリード
41,42…配管
43a、44a…流量計
43b,44b…開閉バルブ
43c,44c…流量調整バルブ
441,442…樹脂用コンテナ
443,450,452…コンプレッサー
444a,444b,445a,445b…樹脂用受槽
446a,446b…樹脂撹拌機
447,448…切替バルブ
449,451…ダイヤフラムポンプ
510…牽引部材
520…板状部材
521…平板状部
522…トップ部
523…補強枠部
524…搭載部
530…振動転圧部