(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079522
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】浮遊物回収装置
(51)【国際特許分類】
B63B 35/32 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B63B35/32 C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211371
(22)【出願日】2022-12-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】202211520754.0
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520272961
【氏名又は名称】ウェンジョウ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Wenzhou University
【住所又は居所原語表記】Chashan Academic Town, Ouhai, Wenzhou, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】井芹 寧
(72)【発明者】
【氏名】李 仁輝
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 愛民
(72)【発明者】
【氏名】小林 草平
(72)【発明者】
【氏名】原口 智和
(72)【発明者】
【氏名】矢野 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】鄭 向勇
(72)【発明者】
【氏名】陳 剣鷹
(72)【発明者】
【氏名】趙 敏
(57)【要約】
【課題】浮遊物の効率的な回収を達成する。
【解決手段】本開示の一側面に係る浮遊物回収装置は、装置本体に昇降可能に取り付けられ、浮遊物を回収する回収水槽であって、回収チャンバーと回収チャンバーの装置本体の前後方向の前方に配置され、回収チャンバーに接続された吸込み通路を備え、浮遊物を含む水が該吸込み通路を介して回収チャンバーに吸い込まれる回収水槽と、吸引管により回収水槽に接続され、回収水槽に回収された浮遊物を含む水を吸引する吸引ポンプと、浮遊物回収装置の航行速度と、吸引通路の先端口である吸込み口の底面の幅及び水深位置とに基づいて、吸込み口での吸込み流速が航行速度と一致するように、吸引ポンプの吸引量を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面を航行し、水面に浮遊する浮遊物を回収する浮遊物回収装置であって、
装置本体に昇降可能に取り付けられ、前記浮遊物を回収する回収水槽であって、回収チャンバーと前記回収チャンバーの前記装置本体の前後方向の前方に配置され、前記回収チャンバーに接続された吸込み通路とを備え、前記浮遊物を含む水が該吸込み通路を介して前記回収チャンバーに吸い込まれる回収水槽と、
吸引管により前記回収水槽に接続され、前記回収水槽に回収された前記浮遊物を含む水を吸引する吸引ポンプと、
前記浮遊物回収装置の航行速度と、前記吸引通路の先端口である吸込み口の底面の幅及び水深位置とに基づいて、前記吸込み口での吸込み流速が前記航行速度と一致するように、前記吸引ポンプの吸引量を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする浮遊物回収装置。
【請求項2】
前記吸込み口の前記前後方向の前方に配置され、水面から所定の深さまでの水深範囲における複数の水深層の水温と浮遊物の濃密度を計測する水質水温測定箱をさらに備え、
制御装置は、前記水質水温測定箱により測定された前記複数の水深層の前記水温と前記浮遊物の濃密度とに基づいて前記吸込み口の底面の深さ設定値を決定し、前記回収水槽の昇降を制御して前記吸込み口の底面を前記深さ設定値に設置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記複数の水深層の前記浮遊物の濃密度に基づいて前記浮遊物が上下方向に均一に分布しているか否かを判断し、前記複数の水深層の前記水温に基づいて水温成層が発生したがどうかを判断し、
前記浮遊物の分布が均一であると判断した場合、前記水深範囲内の最底層の深さを前記深さ設定値とし、
前記浮遊物の分布が不均一であり、かつ水温成層が発生したと判断した場合、前記水温成層が発生した位置から所定層数下の深さと前記最下層の深さのうちのより浅い深さを前記深さ設定値とし、
前記浮遊物の分布が不均一であり、かつ水温成層が発生していないと判断した場合、濃密度の分布を分析し、前記濃密度の分布に基づいて前記深さ設定値を設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊物回収装置。
【請求項4】
前記した濃密度の分布を分析し、前記濃密度の分布に基づいて前記深さ設定値を設定することにおいて、
前記濃密度が上方ほど高くなる場合、前記濃密度差が最大の隣接層を特定し、前記濃密度差が最大の隣接層の境界から前記所定層数下の深さと前記最下層の深さのうちのより浅い深さを前記深さ設定値とし、
前記濃密度が下方ほど高くなる場合、前記最下層の深さを前記深さ設定値とし、
前記濃密度が前記水深範囲における中間層が最大となる山形状の分布になる場合、前記中間層から前記所定層数下の深さと前記最下層の深さのうちのより浅い深さを前記深さの設定値とする、
ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊物回収装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の水深層の前記濃密度における最大濃密度と最小濃密度との差を濃密度差閾値と比較し、前記最大濃密度と最小濃密度との差が前記濃密度差閾値以上である場合、前記浮遊物の上下方向の分布が不均一であると判断する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の浮遊物回収装置。
【請求項6】
前記制御装置は、各隣接層の間の水温差を算出し、前記水温差が水温差閾値以上の隣接層が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記水温差が水温差閾値以上の隣接層の境界に水温成層が発生したと判断する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の浮遊物回収装置。
【請求項7】
前記装置主体は先端側に切り欠きが形成され、前記回収水槽は前記切り欠き内に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項8】
前記水質水温計測箱は、
前記回収水槽の前記吸込み通路の先端に昇降可能に取り付けられた支持フレームと、
前記支持フレームに前記上下方向に並んで設置され、前後に開口し、前記水温を計測する水温センサと前記浮遊物の濃密度を計測する水質センサとを内蔵する複数の計測室と、
を備え、
前記水質水温計測箱は、各前記水深層の前記水温と前記浮遊物の濃密度として、各前記計測室における前記水温センサと前記水質センサにより計測された前記水温と前記浮遊物の濃密度を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊物回収装置。
【請求項9】
前記水質水温計測箱は、さらに、少なくとも前記各計測室の前開口の前方及び左右両側に水平に延在するように、前記各計測室の上面及び底面に設けられた鉛直層分離板を備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の浮遊物回収装置。
【請求項10】
前記吸込み口の左右両側に取り付けられ、前記吸込み口の前方の前記浮遊物の前記吸込み口への流入を導流する導流板構造であって、
水平方向に回転可能に前記吸込み口の一側に配置された第1導流板部と、
前記第1導流板部に伸縮可能に接続された第2導流板部と、
前記第1導流板部に駆動接続され、前記第1導流板部を水平方向に回転するように駆動する回転駆動機構と、
前記第2導流板部に駆動接続され、前記第2導流板部が前記第1導流板部に対して伸縮するように駆動する伸縮駆動機構と、
をそれぞれ備える左右の導流板を備える導流板構造をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項11】
通常の回収作業を行う場合、前記制御装置は、
前記浮遊物回収装置の航行速度と旋回情報を取得し、前記航行速度と前記旋回情報に基づいて前記浮遊物回収装置の航行状態を判断し、かつ
前記航行状態が高速での直進と判断した場合、前記左右の導流板が完全収縮するとともに、前記前後方向に対して外側に第1角度を回転するように制御し、
前記航行状態が低速での直進であると判断した場合、前記左右の導流板が完全延伸するとともに、前記外側に前記第1角度より大きい第2角度を回転するように制御し、
前記航行状態が前記低速より大きく前記高速より小さい中速度での直進であると判断した場合、前記左右の導流板が完全延伸するとともに、前記外側に前記第1角度より大きく、前記第2角度より小さい第3角度を回転するように制御し、
前記航行状態が前記高速での旋回であると判断した場合、前記左右の導流板のうちの旋回方向側の導流板である旋回側導流板が完全収縮するとともに、前記外側に前記第1角度を回転するように制御し、同時に、前記旋回側導流板の反対側の導流板である非旋回側導流板が完全延伸するとともに、前記前後方向に対して内側に前記第1角度の所定倍数の角度を回転するように制御し、
前記航行状態が前記低速での旋回であると判断した場合、前記旋回側導流板が完全収縮するとともに、前記外側に前記第2角度を回転するように制御し、同時に、前記非旋回側導流板が完全延伸するとともに、前記内側に前記第2角度の前記所定倍数の角度を回転するように制御し、
前記航行状態が前記中速度での旋回であると判断した場合、前記旋回側導流板が完全収縮するとともに、前記外側に前記第3角度を回転するように制御し、同時に、前記非旋回側導流板が完全延伸するとともに、前記内側に前記第3角度の前記所定倍数の角度を回転するように制御する、
ことを特徴とする請求項10の浮遊物回収装置。
【請求項12】
前記導流板構造は、それぞれ前記左右の導流板の前記第2導流板部の先端に取り付けられ、前方障害物との間の距離を測定する距離センサをさらに備え、
岸に沿って回収作業を行う場合、前記制御装置は、
前記左右の導流板のうちのより岸辺に近接する導流板である岸辺側導流板上の前記距離センサにより測定された離岸距離を取得し、前記離岸距離と所定の基準離岸距離との差に基づいて前記岸辺側導流板の前記第2導流板部の伸縮を制御する、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の浮遊物回収装置。
【請求項13】
前記導流板構造は、回収作業が行われない場合、前記左右の導流板が完全収縮しているとともに、先端同士が閉じ合って吸込み口を塞ぐ初期形態にある、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の浮遊物回収装置。
【請求項14】
前記初期形態において、前記左右の導流板の先端は前方に突出している、ことを特徴とする請求項13に記載の浮遊物回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水面処理分野に関し、特に浮遊物回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、湖沼、河川、海域の浮遊物は、世界的な経済発展に伴い、急激に増加している。特に、プラスチックは分解せず、生物体絡まり、誤食、底質被覆等で水域の生物生態系に対しても大きな影響を及ぼしている。また、油類の浮遊液体も事故、不法廃棄による水汚染が頻繁に発生している。さらに、水面に浮遊する生物及びそれらの遺骸、例えば、浮き草、陸上草木の切断物、枯れ草、枯れ木、特に微生物(アオコ、赤潮)は毒性を含有し、それらが存在する水域を飲用源とする人や家畜の健康にも影響を及ぼしている。このような浮遊障害物質を効率的に回収する技術が求められている。
【0003】
従来の回収技術として、水中ポンプを用いて直接吸入し回収する装置、ポンプの末端に管路を取り付けて直接吸入し回収する装置、双胴船の間に網かごを設置しかつ船舶を介して前にドラッグすることにより回収する施設、及び船舶に取り付けられて水面を航行しながら回収する施設を含む。
【0004】
水面上に薄く分布する回収物に対して、吸水口での水面の水平安定性を維持することは水面上の回収物濃密層を効率的に吸引するために重要である。しかしながら、例えば回収装置が船舶に取り付けられる場合、波の影響を受けるため、船舶が浮動して水平に安定しにくく、それにより水面上の回収物の収集に影響を与える。
【0005】
浮遊物の種類、水面近くの水温の階層化条件の差異、浮遊物の浮力、鉛直流動性、及び水流の水平集積作用などに基づいて、水面に近い浮遊物の高密度層厚さと鉛直分布が異なり、かつ時間の経過とともに変化する。これに対して、従来は浮遊物の高濃密度層厚さと鉛直分布を目視で確認するか又は事前に計測機等を利用し計測後人為的に判断し、かつ機械的操作により回収装置の吸込み口の鉛直位置を調整するため、最適な条件で効果的な回収を実現することが困難である。
【0006】
また、回収装置を載せた回収船で回収する場合、船速度、吸引速度などはいずれも吸引効率に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、上記課題を解決し、浮遊物の効率的な回収を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面に係る水面浮遊物回収装置は、水面を航行し、水面に浮遊する浮遊物を回収するものであって、装置本体に昇降可能に取り付けられ、浮遊物を回収する回収水槽であって、回収チャンバーと回収チャンバーの装置本体の前後方向の前方に配置され、回収チャンバーに接続された吸込み通路とを備え、浮遊物を含む水が該吸込み通路を介して回収チャンバーに吸い込まれる回収水槽と、吸引管により回収水槽に接続され、回収水槽に回収された浮遊物を含む水を吸引する吸引ポンプと、浮遊物回収装置の航行速度と、吸引通路の先端口である吸込み口の底面の幅及び水深位置とに基づいて、吸込み口での吸込み流速が航行速度と一致するように、吸引ポンプの吸引量を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、航行速度、回収水槽の吸込み口の水深に基づいて吸込み口の吸込み流速と航行速度を一致させるように制御するため、浮遊物の効率的な回収を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る浮遊物回収装置の構成を模式的に示す斜視模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る浮遊物回収装置の構成を示す平面概略図である。
【
図3A】本発明の実施形態に係る水質水温計測箱6を前方から観察した場合の構成を示す正面模式図である。
【
図3B】上記水質水温計測箱6を側面から観察した場合の構成を示す側面模式図である。
【
図3C】上記水質水温計測箱6を上方から観察した場合の構成を示す上面模式図である。
【
図3D】水質水温計測箱6の変形例とする水質水温計測箱6’の構成を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る浮遊物の濃密度と水温に基づく吸込み口底面の水深設定方法を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る導流板構造を示す概略図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る導流板構造の各動作モードでの変形様子を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る導流板構造の通常動作モードでの制御方法を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態に係る導流板構造の沿岸動作モードでの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
本発明の実施形態に係る浮遊物回収装置は、水面に浮遊する浮遊物を回収対象とし、例えば、水面に浮遊する油分、生物及びその遺骸、例えば、浮き草、陸上草木の切断物、枯れ草、枯れ木、特に藍藻類や赤潮藻類のような微生物などを回収するのに用いられる。以下、説明を容易にするために、藍藻及び植物プランクトンを主な回収対象として説明する。しかし、回収対象はこれに限定されず、他の浮遊物に対しても同様に適用される。
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る浮遊物回収装置の構成を模式的に示す斜視図であり、
図2は本発明の実施形態に係る浮遊物回収装置の構成を模式的に示す平面図である。
【0013】
本発明の実施形態に係る浮遊物回収装置は船型構造であり(以下、回収船と称する)、船体部1と、船体部1に取り付けられた回収水槽2とを備えている。
【0014】
浮遊物回収装置は、船体部1の対向する両側にそれぞれ浮子用ブラケット11が取り付けられ、左右の2つの浮子用ブラケット11にそれぞれ浮体12及び推進用スクリュー13が取り付けられ、両側の推進用スクリュー13の回転駆動により船体部1を水面に航行させ、また、両側の推進用スクリュー13が同一速度で回転することにより、船体部1の直進を推進し、一側の推進用スクリュー13の回転速度が他側の推進用スクリュー13の回転速度より大きい運行により船体部1の旋回動作を制御する。さらに、両スクリュー逆回転による後進も可能である。
【0015】
船体部1には、回収水槽2が上下に昇降可能に取り付けられている。具体的には、船体部1の船首に切り欠き17が設けられ、該船首の上面に作業台15が固定され、該作業台15に昇降装置16が取り付けられ、回収水槽2は切り欠き17内に配置され、かつ昇降装置16に取り付けられて、昇降装置16により上昇するか又は下降する。昇降装置16は例えば鉛直昇降型電気シリンダを採用することができる。鉛直昇降型電気シリンダは4台採用可能で、それぞれ作業台15の前、後側両端に固定され、回収水槽2はボルト又は溶接により該4台の鉛直昇降型電気シリンダの伸縮ロッドに固定することができる。もちろん、昇降装置16は油圧シリンダや滑車昇降装置など、他の任意の昇降装置を利用してもよい。
【0016】
回収水槽2は回収チャンバー21を備え、回収チャンバー21の上方に開口22が形成される。回収水槽2は、回収チャンバー21の開口22の縁部において前方に延びる延出板23と、延出板23の左右両側に位置する左右2つの遮断側板24とをさらに備える。延出板23と左右2つの遮断側板24は吸込み通路を囲み、延出板23は吸込み通路の底面となり、延出板23の先端は吸込み通路の先端口である吸込み口の底面となる。吸込み通路は開口22に接続され、藍藻、浮遊植物などの浮遊物及び水は吸込み口から吸込み通路及び開口22を介して回収チャンバー21内に吸い込まれる。左右2つの遮断側板24の一端部は、開口22の左右両側壁板に接続されている。左右2つの遮断側板24は、両者からなる外側の開口が内側の開口よりも大きくなるように八字状に配置され、よって、回収船の航行中に大量の浮遊物を回収チャンバー21内に案内し、浮遊物の回収効率を向上させる。
【0017】
延出板23は、回収チャンバー21の開口22の縁部から外側に向けて平行もしくは下方に傾斜して配置されてよい。これにより、浮遊物が回収チャンバー21内に迅速に入り、回収効率をさらに向上させることができる。
【0018】
船体部1には、さらに、吸引ポンプ(図示せず)と吸引ポンプの出口端に接続された処理装置5とが設けられ、吸引ポンプは回収水槽2内に挿入された吸引管により回収水槽2内の浮遊物と水を吸引して処理装置5に抽出する。処理装置5は、吸引された浮遊物を脱水して圧縮する脱水圧縮装置であってもよく、吸引された浮遊物を粉砕して河川に排出する粉砕装置であってもよく、微生物を不活性化する装置であってもよい。本開示は処理装置5に関係がないため、ここで処理装置5の詳細な説明は省略する。
【0019】
水面上に薄く分布する回収物に対して、水面の濃密層を効果的に吸収するためには、水面の吸込み口の水平安定性が重要である。回収施設を船体部1に取り付ける場合、船上の作業者の動き、風や波等の影響で船が遊動し、吸い込み口等の回収設備を水平に保ちにくい。本発明の実施形態によれば、水を内部に大量に含む形で、吸込み口付き回収水槽を船体部1の切り欠き17に配置し、かつそれを水中に沈めることにより、回収水槽内の水の重量と慣性力を利用して吸込み口の位置を、周辺水面の変化に対応させ、かつ安定させる。
【0020】
[水質水温計測箱]
図2及び
図3A~
図3Dに示すように、回収船は、さらに、浮遊物の濃密度と水温を計測する水質水温計測箱を備える。水質水温計測箱は、それぞれ回収水槽2の左右2つの遮断側板24の先端側に取り付けられ、回収船の回収作業の際に水に沈められ、所定の水深範囲における浮遊物の濃密度と水温を計測する。ここで、所定の水深範囲は、浮遊物が通常分布する水深範囲であって、回収水槽の吸い込み口が昇降可能な範囲に設定することが好ましい。
【0021】
本実施形態では、回収水槽2の左右2つの遮断側板24の先端側にそれぞれ一つの水質水温計測箱が設置されるが、水質水温計測箱の設置位置及び個数はこれに限定されず、必要に応じて複数又は一つを設置することができる。例えば、回収水槽2の延出板23の先端部の中央位置に一つ設けてもよい。
【0022】
水質水温計測箱の一例として、上下方向、つまり水深方向に複数の計測室を有する水質水温計測箱6であってもよい。
図3A~
図3Cに示すように、水質水温計測箱6は支持フレーム61と、複数の計測室62と、液面計63と、送信ユニット(図示せず)とを備える。
【0023】
支持フレーム61には、複数の計測室62が上下方向に並んで設けられている。計測室62は前後に開口し、内部にセンサ64が設けられている。センサ64は、少なくとも浮遊物の濃密度を計測する水質センサと水温を計測する水温センサとを備える。水質水温計測箱6は、計測室62の前開口が船首に向き、後開口が船尾に向かう向きで取り付けられている。回収船が回収作業を行う場合、浮遊物を含む水流は計測室62の内部を通過し、各計測室62内の水質センサと水温センサはそれぞれ該計測室62内の浮遊物濃密度と水温を計測する。
【0024】
各計測室62で計測された浮遊物濃密度データ及び水温データは、送信ユニットにより有線又は無線で制御装置(図示せず)に送信される。
【0025】
ここで、回収対象の浮遊物としては、クロロフィル、油分、藍藻及び赤潮藻類などであってもよく、水質センサは例えば濁度、クロロフィル濃度、油分濃度、藍藻及び赤潮藻類の密度などを計測する任意のセンサ又はこれらのセンサの組み合わせであってもよく、主な回収対象によって適当なセンサを選択して使用することができる。濁度を計測するためのセンサは光学式濁度計、例えば積分球濁度計を採用することができる。クロロフィル、油分、藍藻、緑藻及び赤潮藻類を計測するためのセンサは多波長蛍光計などを採用することができる。
【0026】
水温センサは、サーミスタ温度計等のような水温を計測可能な任意の温度センサを採用することができる。
【0027】
水質水温計測箱6には、さらに、計測箱6の上面が水面に合っているかどうかを監視するための液面計63が設けられている。液面計63として超音波液面計を利用することができる。超音波液面計を利用する場合、超音波液面計を頂部計測室の上面から所定の距離離れた上方に取り付ける。液面計として、導電率センサを利用してもよい。導電率センサは水に接触すると、信号を出力し、接触しない場合は信号を出力しない。例えば、液面計として2つの導電率センサを利用する場合、そのうちの一つを頂部計測室の上面に設置し、もう一つを計測室上面の導電率センサから所定の距離離れた上方に設置することができる。計測室上面の導電率センサから信号出力があるが、その上方の導電率センサからは信号出力がない場合、計測箱6の上面が水面と同一平面にあり、計測箱6が適切な水深に位置すると確認することができる。
【0028】
液面計63から出力された信号も、送信ユニットにより制御装置に送信される。
【0029】
制御装置は、液面計63の検出信号をリアルタイムに受信し、かつ検出信号に基づいて水質水温計測箱6を所定の水深に位置させるようにその昇降を制御する。
【0030】
水質水温計測箱6は、各計測室62の前開口の前面及び左右両側に水平に延在するように、各計測室の上面及び底面に設けられた鉛直層分離板65をさらに備える。鉛直層分離板65は計測室の前開口の上面及び底面より外向きに突出して延在するため、上下方向において計測室62の前開口における水を分離することができ、計測室62手前の水の上下乱れを回避して、異なる層の水をそれぞれ各層計測室62内に安定的に流せることにより、各層の計測室の計測正確度を向上させる。
【0031】
藍藻と植物プランクトンは水面に数mmから1cm単位で濃密な密度層を形成することが多い。そのため、水質水温計測箱6は、鉛直方向における1cm~2cmの間隔で水を収集できる構成に形成されるのが好ましい。具体的には、船体部1の前後方向を長さ方向とし、船体部1の左右方向を幅方向とし、船体部1の上下方向を高さ方向とした場合、水質水温計測箱6は、例えば、長さ20cm、幅10cm、高さ20cmのサイズに形成し、上下方向において10層の計測室に水平板で均一に区分されてよい。この場合、水質水温計測箱6は、水面から水深20cmの範囲内で上下方向に沿って均一に区分された10層の水深層のそれぞれの浮遊物濃密度と水温を計測する。また、各計測室の前開口付近に上下に20cm角の水平区分板、すなわち鉛直層分離板が設けられて、計測室の前方に2cm単位で区分された鉛直層の水が各層計測室内に安定して流入することができる。
【0032】
水質水温計測箱の別の例として、
図3Dに示す水質水温計測箱6’を採用してもよい。水質水温計測箱6’は、
図3A~
図3Cに示す水質水温計測箱6に比べて、主に、箱体内に層分離が行われず、鉛直レール66’等のような移動機構が設けられ、水質センサ及び水温センサ等のセンサ64’は該鉛直レール66’等の移動機構に沿って箱体62’内を上下に移動しながら、複数の所定の水深位置での浮遊物の濃密度及び水温を計測して出力する点で異なる。
【0033】
これに対して、
図3A~
図3Cに示す水質水温計測箱6は、上下方向に複数の計測室を区分し、計測室内のセンサにより各層の計測室内の水温と浮遊物濃密度を計測するため、計測正確度を向上させ、より正確な回収制御に役立つ。
【0034】
[浮遊物分布と水温分布に基づく回収制御]
本実施形態では、回収船の制御装置は回収対象水域の浮遊物の分布及び水温等の水域状況及び船速度等の航行状況に基づいて回収作業を制御することにより、回収効率を向上させる。
【0035】
効率的に回収するために、好ましくは吸込み口の吸込み流速を制御してそれを船速度の大きさと等しくし、吸込み口の吸込み流速の制御は吸引ポンプの吸引量を制御することにより実現することができる。吸引ポンプの吸引量はリニアに制御してよい。吸引ポンプの単位時間当たりの吸引量は、下記公式で表すことができる。
Qp=V1×L23×H23
ここで、Qpは吸引ポンプの単位時間、例えば1秒当たりの吸引量であり、V1は船速度であり、L23は吸込み口の幅、すなわち吸込み口の底面を構成する延出板23の先端縁部の幅であり、H23は延出板23の先端縁部の位置する水深である。
【0036】
船速度については、制御装置は、例えば、回収船の既存のGIS、船速計などにより取得することができる。船速計は、例えば、ソナーや電磁船速計であってもよい。例えば、回収船が河川で回収作業を行う場合、船が停止状態にあっても、水の流れに伴って移動する場合があり、この時、電磁船速計により船速度を測定することができる。
【0037】
また、制御装置は回収水域の浮遊物の濃密度分布及び水温分布に基づいて吸込み口の底面の水深位置を決定し、かつ昇降装置16の昇降を制御して、回収水槽2の延出板23を決定された水深位置に設置する。
【0038】
次に、制御装置は、船速度と吸込み口の底面の幅及び水深に基づいて、上記公式により吸引ポンプの吸引量を算出し、吸引ポンプを算出された吸引量になるように制御する。
【0039】
本実施形態において、上記吸込み口の底面の水深位置の決定は
図4の方法により行うことができる。以下、
図4に基づいて、浮遊物濃密度と水温に基づく回収水槽2の吸込み口底面の水深制御を具体的に説明する。
図4は浮遊物濃密度と水温に基づく吸込み口底面の水深設定方法を示すフローチャートである。
【0040】
本実施形態では、船体部1の先端部に設けられた水質水温計測箱6により水中の浮遊物濃密度と水温を計測する。
【0041】
回収船の回収作業が開始された後、制御装置は、水質水温計測箱6の各層の検出室により計測された浮遊物濃密度データと水温データをリアルタイムに又は定期的に受信し、各水深層の浮遊物の濃密度と水温とする(ステップSX1)。
【0042】
制御装置は、受信した浮遊物濃密度における最大濃密度と最小濃密度との差を求め、最大濃密度と最小濃密度との濃密度差が濃密度差閾値以上であるか否かを判断する(ステップSX2)。ここで、濃密度差閾値は必要に応じて設定することができ、例えば最大濃密度の20%に設定することができる。
【0043】
濃密度差が濃密度差閾値より小さい場合(ステップSX2で「NO」)、浮遊物が所定の水深範囲内に均一に分布していると判断し、処理はステップSX3に移行して、所定の水深範囲内の最下層深さを吸込み口底面の深さ設定値dとする。
【0044】
濃密度差が濃密度差閾値以上である場合(ステップSX2で「YES」)、浮遊物が集積していると判断し、処理はステップSX4に移行する。
【0045】
ステップSX4において、制御装置は、各隣接する層の間の水温差を求め、ステップSX5において水温差が水温差閾値以上の隣接層が存在するか否かを判断する。水温差が水温差閾値以上の隣接層が存在する場合(ステップSX5で「YES」)、該隣接層に水温成層が発生したと判断し、処理はステップSX6に移行する。ここで、水温差閾値は水域環境等に応じて設定することができ、例えば0.5℃に設定することができる。
【0046】
ステップSX6において、制御装置は、水温成層の隣接層境界から所定層数下の深さを吸込み口の底面の深さ設定値dとする。ここで、水温成層の隣接層境界から所定層数下の深さが所定の水深範囲を超え、即ち所定の水深範囲の最下層の深さより大きい場合、最下層の深さを深さ設定値dとする(ステップSX7及びステップSX3)。ここで、所定層数は、水質水温計測箱の計測層数、水域環境等に応じて設定することができ、例えば2層、1層、又は0層に設定することができる。本実施形態では、吸込み口の乱流を考慮して、2層に設定し、以下も同様である。
【0047】
ステップSX5で「NO」と判断した場合、水温が均一であと考えられ、次に、濃密度の分布を分析し、分析結果により深さ設定値dを設定する。
【0048】
本実施形態では、処理はステップSX8に移行し、濃密度が最大の層が最上層であるか否かを判断する。「YES」と判断した場合、濃密度が上方ほど高くなり、浮遊物が水面に近い範囲に集まると考えられ、処理はステップSX9に移行する。
【0049】
ステップSX9において、各隣接層の濃密度差を算出し、濃密度差が最も大きい隣接層を特定し、次にステップSX10において、濃密度差が最も大きい隣接層の境界から所定層数下の深さを深さ設定値dとする。ここで、濃密度差が最も大きい隣接層の境界から所定層数下の深さが所定の水深範囲を超えると、最下層の深さを深さ設定値dとする(ステップSX7及びステップSX3)。
【0050】
ステップSX8において、「NO」と判断する場合、処理はステップSX11に移行し、濃密度が最も大きい層が最下層であるか否かを判断する。「YES」と判断した場合、浮遊物濃密度が下方ほど高くなると考えられ、最下層の深さを深さ設定値dとする(ステップSX3)。
【0051】
ステップSX11で「NO」と判断すると、濃密度が所定の水深範囲における中間層が最大となる山形分布となっていると考えられ、処理はステップSX12に進み、濃密度が最大の層の底部から所定層数下の深さと深さ設定値dとする。ここで、濃密度が最大の層の底部から所定層数下の深さが所定の水深範囲を超えると、最下層の深さを深さ設定値dとする(ステップSX7及びステップSX3)。
【0052】
上記のように吸込み口の底面の深さ設定値dを決定した後、制御装置は、昇降装置16の昇降を制御することにより、回収水槽2の昇降を調整して吸込み口の底面23を該深さ設定値dの深さに設置する。
【0053】
以上、濃密度の分布を分析する際に、具体的には、濃密度が最大の層が最上層であるか、最下層であるかによって、濃密度が上方ほど高くなる分布になるのか、下方ほど高くなる分布になるのか、中間層が最大となる山形分布になるのかを判断しているが、具体的な分析方法はこれに限定されず、上記した分布を判別できる他の任意の方法を利用してもよい。
【0054】
上記のように、本実施形態によれば、回収対象とする藻類などの有害微生物、油分等の浮遊物が広い範囲に分散している場合、吸込み口を分布範囲の下部に設置して回収処理を行う。また、浮遊物が水面付近に集まって広い範囲に分散していない場合、吸込み口を浮遊物集積層に設置し、高濃密度水を集中的に吸引する。この場合、鉛直方向に水温成層が発生した場合、浮遊物が水温成層の上部に集中し、上下に乱れにくいため、吸込み口を浮遊物集積層に設置して、高濃密度水を高速に吸引することができる。このように、浮遊物と水温との鉛直分布に基づいて吸込み口の位置を調整し、かつ船速度に合わせて吸込み口の吸込み量を調整することにより、浮遊物の回収を効率的に行うことができる。
【0055】
また、本発明の実施形態によれば、水中の浮遊物の鉛直分布と水温分布を自動的に計測する装置を設け、その計測結果に基づいて吸込み口の位置と浮遊物の吸込み流速を自動的に制御することにより、従来なかった高効率的な回収を行うことができる。
【0056】
[導流板構造]
浮遊物の進入を導く吸込み口の形状が一定の場合、回収船の旋回際に吸引力の不均一さなどにより回収対象物が吸込み口から逸脱する。また、浮遊物は、風とそれにより形成される吹送流により、複雑な地形が多い岸辺に集積することが多い。従来の固定された吸い込み口では、船本体の航路を細かく調整しないかぎり、効率的な吸引は困難である。
【0057】
上記従来の状況に鑑み、本実施形態では、回収船に水平方向に変形可能な導流板構造をさらに設ける。
図1及び
図2に示すように、導流板構造は、回収船の吸込み口の前方に取り付けられ、前方の浮遊物の吸込み口への進入をガイドする。
【0058】
以下、
図5を参照して導流板構造について説明する。導流板構造は、左右対称に配置された導流板を備える。
図5は、導流板構造における回収船の前進方向の右側の導流板を例示して導流板構造を示す概略図で、そのうち、
図5の(a)は上から下へ順に導流板の完全収縮、一部延伸、完全延伸の状態を示し、
図5の(b)は
図5の(a)のAA線に沿った断面図であり、
図5の(c)は導流板の変角した様子を示している。
【0059】
図に示すように、導流板構造は、左右対称に配置された導流板を備え、各導流板は、水平方向に回転可能に吸込み口の一側に配置された第1導流板部71と、第1導流板部71に伸縮可能に接続された第2導流板部72と、第1導流板部71に駆動接続され、第1導流板部71を水平方向に回転するように駆動する回転駆動機構74と、第2導流板部72に駆動接続され、第2導流板部72が第1導流板部72に対して伸縮するように駆動する伸縮駆動機構75とを備える。
【0060】
具体的には、
図5に示すように、第1導流板部71は、内部に第2導流板部72を収容可能な収容空間が形成された長い板状に形成されている。第1導流板部71の横断面は一辺が一部開いた形状となっている。なお、第1導流板部71は、横断面が全閉鎖状となる形状に形成されてもよい。第1導流板部71の基端部は回転駆動機構74に接続され、回転駆動機構74は遮断側板24の先端部に取り付けられている。回転駆動機構74は、第1導流板部71をその基端部を中心として水平方向に回転するように駆動する。ここで、回転駆動機構74は回転モータであってもよい。
【0061】
第2導流板部72は、第1導流板部71の収容空間内に可動可能に収容され、長い板状に形成される。
【0062】
伸縮駆動装置75は、第1導流板部71の先端部に設けられ、第2導流板部72に駆動接続されている。例えば、伸縮駆動装置75は回転モータと歯車ラック伝動構造とを備えることができる。歯車は回転モータの出力軸に固定され、ラックは第2導流板部72の長手方向に沿って第2導流板部72の一側面に取り付けられ、歯車はラックと噛み合う。それにより第2導流板部72は回転モータの正逆回転の駆動により、その長さ方向に前後に移動することができる。
【0063】
導流板は、離脱防止構造をさらに備えることが好ましい。離脱防止構造は、第2導流板部72の基端部の一側面に設置された凸条76と、第1導流板部71の先端部付近における上側壁及び下側壁のうちのいずれか一方から他方に突出する突出部77とにより構成されてもよい。
図5の(a)における最下段の図に示すように、第2導流板部72が第1導流板部71から完全に延出し、すなわちその基端部が第1導流板部71の先端部に移動する場合、第2導流板部72上の凸条76が第1導流板部71上の突出部77に当接して、第2導流板部72の第1導流板部71からの脱出が阻止される。
【0064】
第1導流板部71及び第2導流板部72は、例えば硬質プラスチック又はステンレス鋼等で製造されてもよく、上下幅は例えば藍藻等の浮遊物が一般的に集まる集積層の厚さより大きい幅とすることが好ましい。例えば30cm程度とすることができる。回収作業を行う際に、第1導流板部及び第2導流板部の少なくとも一部を水中に浸入させる。例えば水下10cm~30cmに入れる。
【0065】
また、左右の導流板は回収船の推進際に水圧を強く受ける。したがって、
図1及び
図2に示すように、回収船は、船体部1の左右両側に導流板の背面から該導流板を支持する減振装置14をさらに設けることが好ましい。減振装置14は、支持フレーム11に固定されたダンパーと、一端が該ダンパーに接続され、他端が第1導流板部71の背面に接続された支柱とを備え、当該支柱は、第1導流板部71の回転による変角につれて、前方に繰り出したり、後方に縮んだりする。減振装置14を設けることにより、導流板を後ろから支え前方からの水圧に耐えるとともに、上下のブレを抑制する。
【0066】
また、第2導流板72の先端には、前方の障害物との距離を計測する距離センサ73が取り付けられてもよい。距離センサ73は、例えばレーザセンサ、音波センサなどのような距離を計測可能な任意のセンサを利用することができる。
【0067】
[導流板構造の制御]
本実施形態によれば、制御装置は、回収船が通常の回収作業を行う場合、導流板構造に対して通常動作モードの制御を実行し、回収船が岸に沿って回収作業を行う場合、導流板構造に対して沿岸動作モードの制御を実行する。導流板構造が通常動作モードを実行するか、若しくは沿岸動作モードを実行するかは、作業者が回収作業に応じて指定することができる。
【0068】
以下、
図6~
図8を参照して、導流板構造の動作モード及び制御方法を詳細に説明する。
図6は、導流板構造の各動作モードでの変形の様子を示す模式図であり、
図7は導流板構造の通常動作モードの制御方法を示すフローチャートであり、
図8は導流板構造の沿岸動作モードの制御方法を示すフローチャートである。
【0069】
回収作業が行われていない場合、
図6の(a)に示すように、導流板構造は、左右の導流板が完全に収縮し、つまり第2導流板部72が第1導流板部71内に退避し、かつ左右の導流板が船体部1の前後方向に対して内側(即ち、吸込み口に接近する方向)に回転して先端同士が閉じ合って吸込み口を塞ぐ初期形態にある。これにより、導流板が破壊されるリスクを減少させることができ、さらに吸い込みたくない浮遊物の進入を防止することができる。このとき、左右の導流板は閉じ合っている先端がやや前方に突出するように構成されることが好ましい。これにより強度を向上させることができる。
【0070】
回収作業が開始された後、通常動作モードが指定されると、制御装置は
図7に示す制御方法を実行する。制御装置は船速度、旋回情報などの回収船の航行情報をリアルタイムに又は定期的に取得し(ステップST1)、これらの航行情報に基づいて回収船の航行状態を判断し、航行状態に基づいて導流板構造の変形を制御する。旋回情報は、少なくとも回収船が左旋回であるか右旋回であるかを示す情報を含む。旋回情報は、例えば、回収船の既存のGPSや船舶用磁石方位計等により取得することができる。
【0071】
制御装置は、船速度、旋回情報などを取得した後、ステップST2において、旋回情報に基づいて航行状態が旋回であるか否かを判断し、旋回ではなく直進であると判断した場合(「NO」)、ステップST3に移行して、船速度が高速であるか否かを判断する。航行状態が高速と判断された場合(「YES」)、処理はステップST4に移行して、制御装置は、左右の導流板が完全に収縮するとともに、水平方向において前後方向(
図6において点線で図示)に対して外側に(即ち、吸込み口から離れる方向に)所定の第1角度を回転する、すなわち、左右の導流板のそれぞれにおいて、第2導流板部72が第2導流板部71内に完全に退避し、かつ第1導流板部71と第2導流板部72が外側に所定の第1角度を回転するように制御する。これにより、導流板構造は、
図6の(b)に示す形状のように変形して、回収船が高速直進する時に相対的に狭い水域を集中的に吸引する。ここで、第1角度は例えば5°~30°の範囲内の任意の角度であってよい。
【0072】
ステップST3において高速ではないと判断された場合(「NO」)、処理はステップST5に移行して、船速度が底速であるか否かを判断する。低速であると判断された場合(「YES」)、処理はステップST6に移行して、制御装置は、左右の導流板が完全に延伸するとともに、前後方向に対して外側に所定の第2角度を回転する、すなわち、左右の導流板のそれぞれにおいて、第2導流板部72が第2導流板部71から完全に延出し、かつ第1導流板部71と第2導流板部72が外側に所定の第2角度を回転するように制御する。これにより、導流板構造は、
図6の(c)に示す形状のように変形して、回収船が低速直進する時に分散させずにより広い水域を吸引する。ここで、第2角度は第1角度より大きく、例えば60°~70°の範囲内の任意の角度であってよい。
【0073】
ステップST5で低速ではないと判断された場合(「NO」)、船速度は低速より大きく高速より小さい中速度であるため、処理はステップST7に移行して、制御装置は、左右の導流板が完全に延伸するとともに、前後方向に対して外側に所定の第三角度を回転するように制御する。このとき、導流板構造は、左右の導流板が回転により開く角度が異なる点以外、
図6の(d)に示すような形状に変形する。ここで、第三角度は第1角度より大きくかつ第2角度よりも小さく、例えば30°~60°内の任意の角度であってよい。
【0074】
ステップST2において旋回であると判断された場合(「YES」)、ステップST8に移行して、船速度が高速であるか否かを判断する。航行状態が高速であると判断された場合(「YES」)、処理はステップST9に移行して、制御装置は、左右の導流板のうちの旋回方向側の導流板である旋回側導流板が完全に収縮するとともに、前後方向に対して外側に所定の第1角度を回転するように制御し、同時に、旋回側導流板の反対側の導流板である非旋回側導流板が完全に延伸するとともに、前後方向に対して内側に旋回側導流板の回転角度の所定倍数の角度を回転するように制御する。ここで、所定倍数は1より小さい。例えば、1/2倍に設定することができ、以下も同様である。
【0075】
ステップST8において高速ではないと判断した場合(「NO」)、処理はステップST10に移行し、船速度が底速であるか否かを判断する。低速と判断した場合(「YES」)、処理はステップST11に移行して、制御装置は、旋回側導流板が完全に収縮するとともに、前後方向に対して外側に所定の第2角度を回転するように制御し、同時に、非旋回側導流板が完全に延伸するとともに、前後方向に対して内側に旋回側導流板の回転角度の所定倍数の角度を回転するように制御する。
【0076】
ステップST10において低速ではないと判断した場合(「NO」)、船速度は低速より大きく高速より小さい中速度であるため、処理はステップST12に移行して、制御装置は、旋回側導流板が完全に収縮するとともに、前後方向に対して外側に所定の第三角度を回転するように制御し、同時に、非旋回側導流板が完全に延伸するとともに、前後方向に対して内側に旋回側導流板の回転角度の所定倍数の角度を回転するように制御する。
【0077】
これにより、導流板構造は、左旋回の時に、
図6の(d)に示す形状のように変形し、右旋回の時に、
図6の(e)に示すような形状のように変形する。従って、回収船が旋回する時、吸引力が不均一であることで回収物が吸込み口から離脱することを回避することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態では、回収船の航行速度と航行方向に合わせて導流板構造を変形させることにより、浮遊物の進入を導く最先端の吸い込み口の形状を変更して、吸込み口の吸引力分布を最適な分布に調整して回収物が吸込み口から離脱することを防止することができる。
【0079】
一方、回収船は、岸に沿って回収作業を行う時、一般的に、一定の速度で安定して前進する。このとき、導流板構造の開き角度、即ち左右導流板の回転角度もほとんど変わらない。この場合、導流板構造に対しては、
図8に示す沿岸動作モードの制御方法に基づいて制御することができる。次は、
図8に示す制御方法について説明する。
制御装置は、ステップSY1で左右の導流板のうちのより岸辺に近接する導流板である岸辺側導流板の先端部に設置された距離センサ73により測定された、距離センサ73から岸までの距離である離岸距離データをリアルタイムに取得する。
【0080】
次に、ステップSY2において離岸距離から基準離岸距離を引いた値である伸縮量Δdを求める。ここで、基準離岸距離は、河岸の状況や船の運行状況などを考慮して、適当な距離に設定してよい。例えば10cmに設定することができる。
【0081】
次に、ステップSY3では、ステップSY2で求めた伸縮量Δdを0と比較する。伸縮量Δdが0より小さい場合、ステップSY4に移行し、制御装置は岸辺側導流板を制御して、岸辺側の第2導流板部72を岸辺側の第1導流板部71に該伸縮量Δdと等しい距離を退避させる。
【0082】
伸縮量Δdが0より大きい場合、ステップSY5に移行し、制御装置は岸辺側導流板を制御して、岸辺側の第2導流板部72を岸辺側の第1導流板部71から該伸縮量Δdと等しい距離だけ伸び出させる。
【0083】
伸縮量Δdが0の場合、現在の離岸距離が適切であると判断し、導流板構造の形状はそのまま保持する。
【0084】
上記のように、本実施形態では、岸に沿って回収作業を行う場合、岸辺側の導流板に対して、
図6の(f)に示すように岸との距離を一定に保つ制御を行うことにより、岸の形状に合わせて効率的に導流、吸引し、河岸の隅々まで回収することができる。従って、浮遊物がより密集して堆積している河岸に対しても効率的に回収することができる。
【0085】
以上、導流板構造の変形制御において、制御装置による第1導流板部71の回転制御は、制御指令で回転駆動機構74を制御して第1導流板部72の回転を駆動することにより実現してよく、制御装置による第2導流板部72の伸縮制御は、制御指令で回転駆動機構75を制御して第2導流板部72の伸縮を駆動することにより実現してよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態を示したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な変更、変形を行うことができ、これら変更、変形して得られる実施形態はいずれも本発明の保護範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
1 船体部、
2 回収水槽、
5 処理装置、
6、6’ 水質水温計測箱、
11 浮子用ブラケット、
12 浮子、
13 推進用スクリュー、
14 減振装置、
15 作業台、
16 昇降装置、
17 切り欠け、
21 回収チャンバー、
22 開口、
23 延出板、
24 遮断側板、
61、61’ 支持フレーム、
62、62’ 計測室、
63、63’ 液面計、
64、64’ 水温、水質センサ、
65鉛直層分離板、
66’ 鉛直レール、
71 第1導流板部、
72、第2導流板部、
73、 距離センサ、
74 回転駆動機構、
75 伸縮駆動機構、
76 凸条、
77 突出部。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面を航行し、水面に浮遊する浮遊物を回収する浮遊物回収装置であって、
装置本体に昇降可能に取り付けられ、前記浮遊物を回収する回収水槽であって、回収チャンバーと前記回収チャンバーの前記装置本体の前後方向の前方に配置され、前記回収チャンバーに接続された吸込み通路とを備え、前記浮遊物を含む水が該吸込み通路を介して前記回収チャンバーに吸い込まれる回収水槽と、
吸引管により前記回収水槽に接続され、前記回収水槽に回収された前記浮遊物を含む水を吸引する吸引ポンプと、
前記浮遊物回収装置の航行速度と、前記吸込み通路の先端口である吸込み口の底面の幅及び水深位置とに基づいて、前記吸込み口での吸込み流速が前記航行速度と一致するように、前記吸引ポンプの吸引量を制御する制御装置と、
前記吸込み口の前記前後方向の前方に配置され、水面から所定の深さまでの水深範囲における複数の水深層の水温と浮遊物の濃密度を計測する水質水温計測箱と、
を備え、
制御装置は、前記水質水温計測箱により測定された前記複数の水深層の前記水温と前記浮遊物の濃密度とに基づいて前記吸込み口の底面の深さ設定値を決定し、前記回収水槽の昇降を制御して前記吸込み口の底面を前記深さ設定値に設置する、
ことを特徴とする浮遊物回収装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記複数の水深層の前記浮遊物の濃密度に基づいて前記浮遊物が上下方向に均一に分布しているか否かを判断し、前記複数の水深層の前記水温に基づいて水温成層が発生したがどうかを判断し、
前記浮遊物の分布が均一であると判断した場合、前記水深範囲内の最下層の深さを前記深さ設定値とし、
前記浮遊物の分布が不均一であり、かつ水温成層が発生したと判断した場合、前記水温成層が発生した位置から所定層数下の深さと前記最下層の深さのうちのより浅い深さを前記深さ設定値とし、
前記浮遊物の分布が不均一であり、かつ水温成層が発生していないと判断した場合、濃密度の分布を分析し、前記濃密度の分布に基づいて前記深さ設定値を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項3】
前記した濃密度の分布を分析し、前記濃密度の分布に基づいて前記深さ設定値を設定することにおいて、
前記濃密度が上方ほど高くなる場合、前記濃密度差が最大の隣接層を特定し、前記濃密度差が最大の隣接層の境界から所定層数下の深さと最下層の深さのうちのより浅い深さを前記深さ設定値とし、
前記濃密度が下方ほど高くなる場合、前記最下層の深さを前記深さ設定値とし、
前記濃密度が前記水深範囲における中間層が最大となる山形状の分布になる場合、前記中間層から前記所定層数下の深さと前記最下層の深さのうちのより浅い深さを前記深さの設定値とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の水深層の前記濃密度における最大濃密度と最小濃密度との差を濃密度差閾値と比較し、前記最大濃密度と最小濃密度との差が前記濃密度差閾値以上である場合、前記浮遊物の上下方向の分布が不均一であると判断する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の浮遊物回収装置。
【請求項5】
前記制御装置は、各隣接層の間の水温差を算出し、前記水温差が水温差閾値以上の隣接層が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記水温差が水温差閾値以上の隣接層の境界に水温成層が発生したと判断する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の浮遊物回収装置。
【請求項6】
前記装置本体は先端側に切り欠きが形成され、前記回収水槽は前記切り欠き内に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項7】
前記水質水温計測箱は、
前記回収水槽の前記吸込み通路の先端に昇降可能に取り付けられた支持フレームと、
前記支持フレームに上下方向に並んで設置され、前後に開口し、前記水温を計測する水温センサと前記浮遊物の濃密度を計測する水質センサとを内蔵する複数の計測室と、
を備え、
前記水質水温計測箱は、各前記水深層の前記水温と前記浮遊物の濃密度として、各前記計測室における前記水温センサと前記水質センサにより計測された前記水温と前記浮遊物の濃密度を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項8】
前記水質水温計測箱は、さらに、少なくとも前記各計測室の前開口の前方及び左右両側に水平に延在するように、前記各計測室の上面及び底面に設けられた鉛直層分離板を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の浮遊物回収装置。
【請求項9】
前記吸込み口の左右両側に取り付けられ、前記吸込み口の前方の前記浮遊物の前記吸込み口への流入を導流する導流板構造であって、
水平方向に回転可能に前記吸込み口の一側に配置された第1導流板部と、
前記第1導流板部に伸縮可能に接続された第2導流板部と、
前記第1導流板部に駆動接続され、前記第1導流板部を水平方向に回転するように駆動する回転駆動機構と、
前記第2導流板部に駆動接続され、前記第2導流板部が前記第1導流板部に対して伸縮するように駆動する伸縮駆動機構と、
をそれぞれ備える左右の導流板を備える導流板構造をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項10】
通常の回収作業を行う場合、前記制御装置は、
前記浮遊物回収装置の航行速度と旋回情報を取得し、前記航行速度と前記旋回情報に基づいて前記浮遊物回収装置の航行状態を判断し、かつ
前記航行状態が高速での直進と判断した場合、前記左右の導流板が完全収縮するとともに、前記前後方向に対して外側に第1角度を回転するように制御し、
前記航行状態が低速での直進であると判断した場合、前記左右の導流板が完全延伸するとともに、前記外側に前記第1角度より大きい第2角度を回転するように制御し、
前記航行状態が前記低速より大きく前記高速より小さい中速度での直進であると判断した場合、前記左右の導流板が完全延伸するとともに、前記外側に前記第1角度より大きく、前記第2角度より小さい第3角度を回転するように制御し、
前記航行状態が前記高速での旋回であると判断した場合、前記左右の導流板のうちの旋回方向側の導流板である旋回側導流板が完全収縮するとともに、前記外側に前記第1角度を回転するように制御し、同時に、前記旋回側導流板の反対側の導流板である非旋回側導流板が完全延伸するとともに、前記前後方向に対して内側に前記第1角度の所定倍数の角度を回転するように制御し、
前記航行状態が前記低速での旋回であると判断した場合、前記旋回側導流板が完全収縮するとともに、前記外側に前記第2角度を回転するように制御し、同時に、前記非旋回側導流板が完全延伸するとともに、前記内側に前記第2角度の前記所定倍数の角度を回転するように制御し、
前記航行状態が前記中速度での旋回であると判断した場合、前記旋回側導流板が完全収縮するとともに、前記外側に前記第3角度を回転するように制御し、同時に、前記非旋回側導流板が完全延伸するとともに、前記内側に前記第3角度の前記所定倍数の角度を回転するように制御する、
ことを特徴とする請求項9の浮遊物回収装置。
【請求項11】
前記導流板構造は、それぞれ前記左右の導流板の前記第2導流板部の先端に取り付けられ、前方障害物との間の距離を測定する距離センサをさらに備え、
岸に沿って回収作業を行う場合、前記制御装置は、
前記左右の導流板のうちのより岸辺に近接する導流板である岸辺側導流板上の前記距離センサにより測定された離岸距離を取得し、前記離岸距離と所定の基準離岸距離との差に基づいて前記岸辺側導流板の前記第2導流板部の伸縮を制御する、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の浮遊物回収装置。
【請求項12】
前記導流板構造は、回収作業が行われない場合、前記左右の導流板が完全収縮しているとともに、先端同士が閉じ合って吸込み口を塞ぐ初期形態にある、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の浮遊物回収装置。
【請求項13】
前記初期形態において、前記左右の導流板の先端は前方に突出している、ことを特徴とする請求項12に記載の浮遊物回収装置。