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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079528
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033466
(22)【出願日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】10-2022-0164460
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ファ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ホエ チュル
(72)【発明者】
【氏名】カン、ユン スン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ビョン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ウォン ジュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC03
5E001AD02
5E001AD05
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE16
5E082FF05
5E082FG15
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】本発明は、積層型電子部品に関する。
【解決手段】
本発明の一実施形態によると、第1方向に交互に配置される誘電体層及び内部電極を含む容量形成部、及び上記容量形成部の第1方向に向かい合う両端面上に配置されるカバー部を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面及び第4面上に配置される外部電極と、を含み、上記第3面及び第4面の少なくとも1つで、上記容量形成部の内部電極及び誘電体層は上記カバー部より上記第2方向の外側に突出し、上記誘電体層の上記第2方向の端部には溝部が配置される、積層型電子部品を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に交互に配置される誘電体層及び内部電極を含む容量形成部、及び前記容量形成部の第1方向に向かい合う両端面上に配置されるカバー部を含み、
前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面から前記第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記第3面及び前記第4面上に配置される外部電極と、を含み、
前記第3面及び前記第4面の少なくとも1つで、前記容量形成部の前記内部電極及び前記誘電体層は前記カバー部より前記第2方向の外側に突出し、
前記誘電体層の前記第2方向の端部には溝部が配置される、積層型電子部品。
【請求項2】
前記本体の前記第1方向の中央で測定した前記内部電極の前記カバー部に対する突出サイズをL1、前記本体の前記第1方向の最外側に配置された前記内部電極の前記カバー部に対する突出サイズをL2としたときに、L1/L2が1.2以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記本体の前記第1方向の中央で測定した前記内部電極の第2方向のサイズをL1'としたときに、0.001≦L1/L1'≦0.1を満たす、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記外部電極の少なくとも一部が前記溝部内に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記溝部は、前記誘電体層に向かって凸の曲面を有する、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記内部電極は第1内部電極及び第2内部電極を含み、
前記第1内部電極の一端は前記第3面と連結され、
前記第2内部電極の一端は前記第4面と連結され、
前記外部電極は、前記第3面に配置され、前記第1内部電極と連結される第1外部電極と、前記第4面に配置され、前記第2内部電極と連結される第2外部電極と、を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1内部電極の一端を繋いだ線は、前記第1外部電極に向かって凸の形態を有し、
前記第2内部電極の一端を繋いだ線は、前記第2外部電極に向かって凸の形態を有する、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記溝部は、前記第3面に配置される第1溝部と、前記第4面に配置される第2溝部と、を含み、
前記第1方向に隣接した2つの前記第1内部電極の間に1つの前記第1溝部が配置され、
前記第1方向に隣接した2つの前記第2内部電極の間に1つの前記第2溝部が配置される、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記誘電体層の平均厚さをtd、前記溝部の第2方向の最大サイズをL3としたときに、L3≦tdを満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
td≦1μmを満たす、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記内部電極の平均厚さをteとしたときに、te≦0.3μmを満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記内部電極の平均厚さをte、前記内部電極の厚さの標準偏差をσteとしたときに、σte/teが0.05以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記内部電極がスパッタリング層である、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含む容量形成部、及び前記容量形成部の前記第1方向に向かい合う両端面上に配置されるカバー部を含み、
前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面から前記第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記第3面及び前記第4面にそれぞれ配置され、前記第1内部電極及び前記第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記第3面で、前記第1内部電極は前記カバー部より前記第2方向の外側に突出し、前記第4面で、前記第2内部電極は前記カバー部より前記第2方向の外側に突出し、
前記第1外部電極及び前記誘電体層が接する面と、前記第2外部電極及び前記誘電体層が接する面は曲面である、積層型電子部品。
【請求項15】
前記第1外部電極と前記誘電体層が接する面は、前記誘電体層に向かって凸の曲面であり、
前記第2外部電極と前記誘電体層が接する面は、前記誘電体層に向かって凸の曲面である、請求項14に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記第1内部電極の一端は前記第3面と連結され、前記第2内部電極の一端は前記第4面と連結され、
前記第1内部電極の一端を繋いだ線は、前記第1外部電極に向かって凸の形態を有し、
前記第2内部電極の一端を繋いだ線は、前記第2外部電極に向かって凸の形態を有する、請求項14または15に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記内部電極の平均厚さをte、前記内部電極の厚さの標準偏差をσteとしたときに、σte/teが0.05以下である、請求項14または15に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記内部電極がスパッタリング層である、請求項14または15に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の1つである積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサーである。
【0003】
積層セラミックキャパシターは、小型でありながらも高容量が保障され、且つ実装が容易であるという利点を有するため、種々の電子装置の部品として用いられることができる。コンピューター、モバイル機器などの各種電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシターに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。かかる積層セラミックキャパシターの小型化及び高容量化の傾向に伴い、積層セラミックキャパシターの単位体積当たりの容量を増加させることへの重要性が高くなっている。
【0004】
積層セラミックキャパシターは、基本的に、誘電体層及び内部電極が積層された本体と、上記本体の外部に配置される外部電極と、を含むことができる。一方、焼成過程で誘電体層と内部電極の収縮率の差が発生することがあり、このような収縮率の差により、本体と外部電極との接触不良が発生する恐れがある。特に、内部電極と外部電極との接触不良は、積層セラミックキャパシターの静電容量の偏差を発生させる可能性がある。したがって、本体と外部電極との接触性を改善させた積層セラミックキャパシターに関する研究が必要とされている状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の様々な目的の1つは、本体と外部電極との接触性を確保することにある。
【0006】
本発明の様々な目的の1つは、積層型電子部品の静電容量の偏差を低くすることにある。
【0007】
本発明の様々な目的の1つは、薄い厚さを有する内部電極を実現することにある。
【0008】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によると、第1方向に交互に配置される誘電体層及び内部電極を含む容量形成部、及び上記容量形成部の第1方向に向かい合う両端面上に配置されるカバー部を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面及び第4面上に配置される外部電極と、を含み、上記第3面及び第4面の少なくとも1つで、上記容量形成部の内部電極及び誘電体層は上記カバー部より上記第2方向の外側に突出し、上記誘電体層の上記第2方向の端部には溝部が配置される、積層型電子部品を提供する。
【0010】
本発明の他の実施形態によると、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含む容量形成部、及び上記容量形成部の上記第1方向に向かい合う両端面上に配置されるカバー部を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面及び第4面にそれぞれ配置され、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、を含み、上記第3面で、上記第1内部電極は上記カバー部より上記第2方向の外側に突出し、上記第4面で、上記第2内部電極は上記カバー部より上記第2方向の外側に突出し、上記第1外部電極及び誘電体層が接する面と上記第2外部電極及び誘電体層が接する面は曲面である、積層型電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の1つとして、本体と外部電極との接合力を確保することができる。
【0012】
本発明の様々な効果の1つとして、積層型電子部品の静電容量の偏差を低くすることができる。
【0013】
本発明の様々な効果の1つとして、薄い厚さを有する内部電極を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1のI-I'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図である。
図3図2の本体を概略的に示した断面図である。
図4図2のII-II'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図である。
図5図2のIII-III'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図である。
図6図2のK1領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0016】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0017】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0018】
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、図2図1のI-I'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図であり、図3図2の本体を概略的に示した断面図であり、図4図2のII-II'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図であり、図5図2のIII-III'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図であり、図6図2のK1領域拡大図である。
【0019】
図面を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、第1方向に交互に配置される誘電体層111及び内部電極121、122を含む容量形成部Ac、及び上記容量形成部の第1方向に向かい合う両端面上に配置されるカバー部C1、C2を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3面及び第4面上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記第3面及び第4面の少なくとも1つで、上記容量形成部の内部電極121、122及び誘電体層111は上記カバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出し、上記誘電体層111の上記第2方向の端部には溝部141、142が配置されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態によると、第3面及び第4面3、4の少なくとも1つで、容量形成部Acの内部電極121、122がカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出することで、積層型電子部品の静電容量の偏差を低くすることができる。
【0021】
また、第3面及び第4面3、4の少なくとも1つで、容量形成部Acの誘電体層111がカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出し、誘電体層111の上記第2方向の端部には溝部141、142が配置されることで、本体110と外部電極131、132との接触性を改善することができる。
【0022】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品100に含まれるそれぞれの構成についてより詳細に説明する。
【0023】
本体110は、実質的に六面体形状またはそれに類似の形状からなることができ、例えば、本体110は、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面1、2と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、第1面~第4面1、2、3、4と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有することができる。
【0024】
第1面、第2面、第5面、及び第6面1、2、5、6はほぼ平らな面であることができる。一方、容量形成部Acの内部電極121、122及び誘電体層111が上記第2方向の外側に突出することで、第3面及び第4面3、4の少なくとも1つで、後述の容量形成部Acとカバー部C1、C2との間に段差が形成されてもよく、第3面及び/または第4面3、4の少なくとも一部は上記第2方向の外側に凸の形態を有してもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0025】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0026】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤、及びバインダーを含む誘電体層用セラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して誘電体層用セラミックグリーンシートを準備した後、上記誘電体層用セラミックグリーンシートを焼成することで形成されることができる。セラミック粉末としては、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム系(BaTiO)粉末を用いることができる。
【0027】
本体110は、上記第1方向に交互に配置される誘電体層111及び内部電極121、122を含む容量形成部Acと、容量形成部Acの第1方向に向かい合う両端面上に配置される第1及び第2カバー部C1、C2と、を含むことができる。カバー部C1、C2は、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0028】
容量形成部Acの内部電極121、122は第1及び第2内部電極121、122を含み、第1内部電極121の一端は第3面3と連結され、第2内部電極122の一端は第4面4と連結されることができる。互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向して配置されることができる。
【0029】
カバー部C1、C2は、セラミック粉末、有機溶剤、及びバインダーを含むカバー部用セラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム上に塗布及び乾燥してカバー部用セラミックグリーンシートを準備した後、上記カバー部用セラミックグリーンシートを容量形成部Acの第1方向に向かい合う両端面上に1つ以上積層し、焼成することで形成されることができる。カバー部C1、C2は、内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同一の誘電体組成を有することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。カバー部C1、C2は、誘電体層111と異なる誘電体組成を有してもよい。
【0030】
カバー部の平均厚さは、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部の平均厚さは25μm以下であることができる。ここで、カバー部の平均厚さは、第1カバー部C1及び第2カバー部C2のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0031】
カバー部C1、C2の平均厚さは、カバー部C1、C2の第1方向の平均サイズを意味し、本体110の第1方向及び第2方向の断面において、等間隔である5個の地点で測定した第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0032】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができる。より具体的に、外部電極131、132は、上記第3面に配置され、第1内部電極121と連結される第1外部電極131と、上記第4面に配置され、第2内部電極122と連結される第2外部電極132と、を含むことができる。
【0033】
外部電極131、132は導電性金属及びガラスを含む外部電極用導電性ペーストに本体110の第3面及び第4面をディッピング(dipping)するか、導電性金属及びガラスを含むシートを本体110の第3面及び第4面にそれぞれ転写してから焼成することで形成されることができる。
【0034】
外部電極131、132に含まれる導電性金属は特に限定する必要はないが、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Sn、Cr、Ti、Au、Pt、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0035】
図示していないが、第1外部電極131上には第1めっき層が配置され、第2外部電極132上には第2めっき層が配置されることができる。上記第1及び第2めっき層は実装特性を向上させることができ、Ni、Sn、Pd、及び/またはこれらを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されてもよい。また、第1及び第2めっき層は、例えば、Niめっき層及びSnめっき層が順に積層された形態であってもよい。
【0036】
本発明の一実施形態によると、本体110の第3面及び第4面3、4の少なくとも1つで、容量形成部Acの内部電極121、122は、カバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出することができる。より好ましくは、上記第3面で、第1内部電極121はカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出し、上記第4面で、第2内部電極122はカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出することができる。これにより、内部電極121、122と外部電極131、132との接触性を改善することができ、結果として、積層型電子部品の静電容量の偏差を低くすることができる。
【0037】
内部電極121、122を上記第2方向の外側に突出させる方法は特に限定する必要はない。例えば、導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストに、カバー部形成用セラミックスラリー及び誘電体層形成用セラミックスラリーに含まれるバインダーの含量より低い含量のバインダーを添加するか、内部電極をスパッタリング法、真空蒸着法、及び/または化学気相蒸着法(CVD)により形成すると、内部電極121、122は誘電体層111及びカバー部C1、C2に比べて高い密度を有することができ、これにより、焼成による収縮率が低くなるため、内部電極121、122が上記第2方向の外側に突出することができる。
【0038】
また、誘電体層111及びカバー部C1、C2より高い密度を有する内部電極121、122の間の相互影響により、本体110の第1方向の中央領域に配置された内部電極121、122は、本体110の第1方向の最外側に配置された内部電極121、122に比べて上記第2方向の外側により突出することができ、これにより、内部電極121、122のカバー部C1、C2に対する突出サイズは、本体110の第1方向の中央からカバー部C1、C2に向かって減少することができる。これにより、図3を参照すると、第1内部電極121の一端を繋いだ線IL1は、第1外部電極131に向かって凸の形態を有し、第2内部電極122の一端を繋いだ線IL2は、第2外部電極132に向かって凸の形態を有することができる。
【0039】
図2を参照すると、一実施形態において、本体110の第1方向の中央で測定した内部電極121、122のカバー部C1、C2に対する突出サイズをL1、本体110の第1方向の最外側に配置された内部電極121、122のカバー部C1、C2に対する突出サイズをL2としたときに、L1/L2は1.2以上であることができる。L1/L2が1.2以上を満たす場合、本体110と外部電極131、132との接触性向上の効果がより顕著になることができる。L1/L2の上限は特に限定する必要はないが、例えば、10.0以下であることができる。
【0040】
図2及び図4を参照すると、一実施形態において、本体110の第1方向の中央で測定した内部電極121、122の第2方向のサイズをL1'としたときに、0.001≦L1/L1'≦0.1を満たすことができる。L1/L1'が0.001未満であると、内部電極121、122の突出サイズが十分ではなく、内部電極121、122と外部電極131、132との接触性改善の効果が微小である可能性がある。L1/L1'が0.1を超えると、内部電極121、122の突出サイズが過度であって本体110にクラックが発生する可能性がある。
【0041】
一方、L1、L2、及びL1'は、本体110の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によりスキャンして得た画像から測定することができる。
【0042】
内部電極の平均厚さteは特に限定する必要はない。この時、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味し得る。一方、従来は、内部電極と外部電極との接触性を確保するために、上記本体の第3面及び第4面を研磨する工程を別に行っていた。しかし、このような研磨工程により上記本体のクラックやデラミネーション(delamination)が発生し、積層型電子部品の信頼性が低下するという問題があった。これに対し、本発明の一実施形態によると、容量形成部Acの内部電極121、122がカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出するため、内部電極121、122と外部電極131、132との接触性を確保するための別の工程が不要であるため、内部電極121、122の平均厚さteが0.3μm以下である場合にも、積層型電子部品の信頼性を確保することができる。内部電極121、122の平均厚さteの下限は、例えば、0.05μm以上であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0043】
ここで、内部電極の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に確張して行うと、内部電極121、122の平均厚さをより一般化することができる。
【0044】
一実施形態において、内部電極121、122の厚さの標準偏差をσteとしたときに、σte/teは0.05以下であることができる。σte/teが0.05以下である場合、内部電極121、122の厚さの均一性を確保することで、内部電極121、122に応力が不均一に加えられる現象を防止することができ、これにより、内部電極121、122の凝集や切れ現象を防止することができる。
【0045】
上記内部電極の厚さの標準偏差(σte)は、内部電極121、122の平均厚さteを測定するための上記第2方向に等間隔の30個である地点で測定された各厚さから上記内部電極の平均厚さteを引いた後、二乗し、その値の平均値を計算することで分散を求めた後、上記分散値の二乗根を求めることで測定することができる。
【0046】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを所定の厚さで塗布し、焼成することで形成されることができる。より好ましくは、内部電極121、122は、スパッタリング法、真空蒸着法、及び/または化学気相蒸着法を用いて上記導電性金属を上記セラミックグリーンシート上にスパッタ及び/または蒸着することで形成されることができ、より好ましくは、内部電極121、122は、スパッタリング法により形成されたスパッタリング層であることができる。
【0047】
内部電極用導電性ペーストを印刷して内部電極を形成する場合、焼成過程で導電性金属の間にネックキング(necking)が発生し、内部電極の凝集及び/または切れ現象などが発生することがある。かかる内部電極の切れ現象などは積層型電子部品の静電容量を減少させ、絶縁抵抗特性を低下させるという問題を発生させる恐れがある。
【0048】
これに対し、内部電極121、122がスパッタリング層である場合、内部電極121、122は高い密度を有することができ、これにより、焼成による内部電極の凝集及び/または切れ現象を防止することができる。また、内部電極121、122がスパッタリング層である場合、上記内部電極121、122の平均厚さteと内部電極の厚さの標準偏差(σte)を容易に低減させることができる。
【0049】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、In、Sn、Al、Ti、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0050】
本発明の一実施形態によると、第3面及び第4面3、4の少なくとも1つで、容量形成部Acの誘電体層111はカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出し、上記誘電体層の上記第2方向の端部には溝部141、142が配置されることができる。上記第2方向の外側に突出した誘電体層の端部に溝部141、142が配置されることで、本体110と外部電極131、132との接触面積が増加することができ、結果として、本体110の外部電極131、132との接触性が改善されることができる。
【0051】
この時、溝部141、142は、上記第3面に配置される第1溝部141と、上記第4面に配置される第2溝部142と、を含むことができ、上記第1方向に隣接した2つの第1内部電極121の間に1つの第1溝部141が配置され、第1方向に隣接した2つの第2内部電極122の間に1つの第2溝部142が配置されることができる。
【0052】
また、外部電極131、132の少なくとも一部は溝部141、142内に配置されることができる。外部電極131、132の少なくとも一部が溝部141、142内に配置されることで、アンカー(anchoring)効果により本体110と外部電極131、132との接触面積が増加することができる。上記アンカー効果を極大化するために、外部電極131、132の少なくとも一部は、溝部141、142内で誘電体層111及び/または内部電極121、122と接して配置されることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0053】
誘電体層111を上記第2方向の外側に突出させる方法は特に限定する必要はない。例えば、内部電極121、122がスパッタリング法などにより形成されることで高い密度を有し、これにより、内部電極121、122の焼成による収縮率が誘電体層111及びカバー部C1、C2の焼成による収縮率より低い場合には、焼成過程で、内部電極121、122は誘電体層111の焼成による収縮を妨害する恐れがある。これに対し、カバー部C1、C2には上記内部電極が配置されないため、収縮の妨害がより少なく、これにより、誘電体層111が、カバー部C1、C2に比べて上記第2方向の外側に突出することができる。
【0054】
また、1つの誘電体層111の第1方向の最外側領域は、焼成による収縮率が低い内部電極121、122と接しており、1つの誘電体層111の第1方向の中央領域は、収縮率が低い内部電極121、122から離隔しているため、1つの誘電体層111の第1方向の最外側領域と中央領域の間でも焼成による収縮率の差が発生することができ、これにより、上記誘電体層の第2方向の端部には溝部141、142が形成されることができる。
【0055】
また、1つの誘電体層111で、内部電極121、122と隣接した領域であるほど、上記焼成による収縮の妨害が大きく、これにより、溝部141、142は誘電体層111に向かって凸の曲面を有することができる。溝部141、142が誘電体層111に向かって凸の曲面を有することで、本体110と外部電極131、132との接触面積を極大化し、結合力を向上させることができる。
【0056】
誘電体層の平均厚さtdは特に限定する必要はない。前述のように、本発明の一実施形態によると、容量形成部Acの内部電極121、122及び誘電体層111がカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出することから、別の研磨工程が不要であるため、誘電体層111の平均厚さtdが1μm以下である場合にも、積層型電子部品の信頼性を確保することができる。
【0057】
ここで、誘電体層の平均厚さtdは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味し得る。誘電体層の平均厚さtdは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述の容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に確張して行うと、誘電体層111の平均厚さをより一般化することができる。
【0058】
一方、溝部141、142の第2方向の最大サイズL3は特に限定する必要はない。但し、一実施形態において、L3≦tdを満たすことができる。上記条件を満たすことで、本体110と外部電極131、132との接触面積を増加させるとともに、本体110にクラックが発生することを防止することができる。L3がtdより大きい場合、溝部141、142のサイズが過度であって、本体110にクラックが発生する恐れがある。この時、複数の溝部141、142が配置された場合、L3は、複数の溝部141、142のそれぞれの第2方向の最大サイズを意味し得る。
【0059】
図6を参照すると、上記L3は、第2溝部142を挟んで第1方向に隣接した2つの第2内部電極122のそれぞれの一端の第1方向の中央地点を結んだ仮想の線を引き、第2溝部142から上記仮想の線までの第2方向への距離の最大値を意味し得る。同様に、上記L3は、第1溝部141を挟んで第1方向に隣接した2つの第1内部電極121のそれぞれの一端の第1方向の中央地点を結んだ仮想の線を引き、第1溝部141から上記仮想の線までの第2方向への距離の最大値を意味し得る。
【0060】
上記L3は、本体110の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面のうち、誘電体層111の第2方向の端部側を1万倍率以上の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。
【0061】
以下、本発明の他の実施形態による積層型電子部品について説明する。但し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、上述の本発明の一実施形態による積層型電子部品と同様の構成を有することができる。したがって、上述の本発明の一実施形態と重複される説明は省略する。
【0062】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含む容量形成部Ac、及び上記容量形成部の上記第1方向に向かい合う両端面上に配置されるカバー部C1、C2を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3面及び第4面にそれぞれ配置され、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極131、132と、を含み、上記第3面で、上記第1内部電極121は上記カバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出し、上記第4面で、上記第2内部電極122は上記カバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出し、上記第1外部電極131及び誘電体層111が接する面と、上記第2外部電極132及び誘電体層111が接する面は曲面であることができる。
【0063】
上記第3面で、第1内部電極121はカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出し、上記第4面で、第2内部電極122はカバー部C1、C2より上記第2方向の外側に突出することで、内部電極121、122と外部電極131、132との接触性を改善することができ、結果として、積層型電子部品の静電容量の偏差を低くすることができる。
【0064】
また、第1外部電極131と誘電体層111が接する面と、第2外部電極132と誘電体層111が接する面は、曲面であることができる。より具体的に、この時、第1外部電極131と誘電体層111が接する面は、誘電体層111に向かって凸の曲面であり、第2外部電極132と誘電体層111が接する面は、誘電体層111に向かって凸の曲面であることができる。
【0065】
第1外部電極131と誘電体層111が接する面と、第2外部電極132と誘電体層111が接する面が曲面を有することで、本体110と外部電極131、132との接触面積を極大化することができ、これにより、アンカー(anchoring)効果により、本体110と外部電極131、132との結合力を向上させることができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0067】
一方、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0068】
また、第1、第2などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分させるために用いられ、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲から外れることなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して、第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【符号の説明】
【0069】
100 積層型電子部品
110 本体
Ac 容量形成部
C1、C2 カバー部
111 誘電体層
121、122 内部電極
131、132 外部電極
141、142 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6