(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079540
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】アンテナ装置およびディスプレイアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/14 20060101AFI20240604BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240604BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20240604BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20240604BHJP
H01Q 3/36 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
H01Q9/14
H01Q1/22 Z
H01Q1/44
H01Q1/24 Z
H01Q3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072390
(22)【出願日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2022191415
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 亮太
(72)【発明者】
【氏名】船田 純一
(72)【発明者】
【氏名】若藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】林 和幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真吾
(72)【発明者】
【氏名】須尭 一志
(72)【発明者】
【氏名】小野 真和
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021DB03
5J021DB05
5J021FA06
5J046AA12
5J046AB03
5J046AB13
5J046SA07
5J047EF05
5J047FD01
(57)【要約】
【課題】タッチパネルの機能を有し、送受信対象の電波の波長帯を変更できるアンテナ装置等を提供する。
【解決手段】格子状に配列された複数のパッチアンテナを含むアンテナアレイと、隣接した2つのパッチアンテナを接続する配線に配置された第1スイッチによって構成された第1スイッチ群と、隣接した少なくとも4つのパッチアンテナによって形成されるアンテナ集合体と、アンテナ集合体を構成する少なくとも1つのパッチアンテナに接続された信号源との間の配線に配置された第2スイッチによって構成された第2スイッチ群と、を備えるアンテナ装置とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配列された複数のパッチアンテナを含むアンテナアレイと、
隣接した2つの前記パッチアンテナを接続する配線に配置された第1スイッチによって構成された第1スイッチ群と、
隣接した少なくとも4つの前記パッチアンテナによって形成されるアンテナ集合体と、前記アンテナ集合体を構成する少なくとも1つの前記パッチアンテナに接続された信号源とを接続する配線に配置された第2スイッチによって構成された第2スイッチ群と、を備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記パッチアンテナは、正方形であり、
複数の前記パッチアンテナは、ダイヤパターンで配列され、
隣接した少なくとも4つの前記パッチアンテナは、前記アンテナ集合体を構成し、
前記第1スイッチは、隣接し合う2つの前記パッチアンテナの頂点を接続する配線に配置され、
前記第2スイッチは、前記アンテナ集合体を構成する少なくとも1つの前記パッチアンテナと前記信号源とを接続する配線に配置される請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
複数の前記第1スイッチおよび複数の前記第2スイッチの開閉を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
複数の前記第1スイッチを開閉制御して、送受信対象の電波の周波数帯に合わせた大きさで前記アンテナ集合体が構成されるように、複数の前記パッチアンテナを組み合わせる請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体を構成する複数の前記パッチアンテナに接続された前記第2スイッチが開いた状態で、前記タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体の頂点の位置にある前記パッチアンテナに接続された前記第1スイッチを閉じることによって、前記タッチセンサとして機能する複数の前記アンテナ集合体が行方向および列方向に配列されたタッチパネルを構成し、
前記行方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された行と、前記列方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された列との交点における容量変化に応じて、前記タッチパネルにおける接触位置を検出する請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
複数の前記パッチアンテナの各々と、送受信対象の信号が伝播する信号線との間に、送受信対象の電波を移相する移相器が配置され、
前記制御手段は、
受信対象の電波の受信において、フェーズドアレイアンテナとして機能する前記アンテナ集合体を構成する少なくとも1つの前記パッチアンテナに接続された前記第2スイッチを開いた状態で前記受信対象の電波を受信し、
送信対象の電波の送信において、前記フェーズドアレイアンテナとして機能する前記アンテナ集合体を構成する少なくとも1つの前記パッチアンテナに接続された前記第2スイッチを閉じて、前記信号線を伝播する送信対象の信号を送信する請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体と、前記フェーズドアレイアンテナとして機能させる前記アンテナ集合体とを、異なる大きさで構成する請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体と、アンテナとして機能させる前記アンテナ集合体とが交差した部分に隣接した前記パッチアンテナを不活性にする請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体に隣接した前記パッチアンテナを不活性にする請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれか一項に記載のアンテナ装置と、
格子状に配列された複数の発光器によって構成されたディスプレイと、を備え、
前記パッチアンテナは、
可視領域の光に対して透明であり、
前記発光器は、
前記パッチアンテナの下方に配置されるディスプレイアンテナ。
【請求項10】
前記アンテナ装置に含まれる制御手段は、
複数の第1スイッチおよび複数の第2スイッチを制御してタッチパネルを構成し、
前記タッチパネルにおける位置に対応付けられたユーザインターフェースを前記ディスプレイに表示させ、
前記行方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された行と、前記列方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された列との交点における容量変化に応じて、前記タッチパネルにおける接触位置を検出し、
検出された前記接触位置と、前記ディスプレイにおいて前記接触位置に表示された入力情報とを対応付けて、選択された前記入力情報を判別する請求項9に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項11】
前記発光器は、
マイクロLED(Light-Emitting Diode)を含む請求項9に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項12】
前記発光器は、
赤、緑、および青の波長帯の光を発する前記マイクロLEDを含む請求項11に記載のディスプレイアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のパッチアンテナを有するアンテナ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G)以降の移動通信のために、第4世代移動通信システム(4G)以前と比べて高い周波数帯の電波に対応した平面型アンテナが開発されている。複数の平面型アンテナがアレイ状に配列されたアンテナアレイを用いれば、フェーズドアレイアンテナを構成できる。
【0003】
特許文献1には、アンテナの機能を含む表示パネルを備えた表示装置について開示されている。特許文献1の装置は、表示層と表示パネルを有する。表示層は、基板上に配置される複数の発光素子を含む。表示パネルは、表示層の上に配置されるセンサ電極層を含む。センサ電極層は、センサ領域およびセンサ周辺領域を含む。センサ領域には、複数のセンサ電極が配置される。センサ周辺領域には、複数のセンサ配線、第1導電パターン、および第2導電パターンが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の手法を用いれば、タッチセンサ用の電極パターンの一部にパッチアンテナを配置することによって、タッチセンサとパッチアンテナの機能を有するディスプレイを実現できる。タッチセンサ電極の配列パターンに関しては、隣接した電極の間に最適なピッチがある。また、受信対象の電波の波長帯に応じて、パッチアンテナには最適な大きさがある。特許文献1の手法では、タッチセンサ電極の配列パターンやパッチアンテナの大きさを変更できないため、受信対象の電波の波長帯を変更できなかった。
【0006】
本開示の目的は、タッチパネルの機能を有し、送受信対象の電波の波長帯を変更できるアンテナ装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のアンテナ装置は、格子状に配列された複数のパッチアンテナを含むアンテナアレイと、隣接した2つのパッチアンテナを接続する配線に配置された第1スイッチによって構成された第1スイッチ群と、隣接した少なくとも4つのパッチアンテナによって形成されるアンテナ集合体と、アンテナ集合体を構成する少なくとも1つのパッチアンテナに接続された信号源との間の配線に配置された第2スイッチによって構成された第2スイッチ群と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、タッチパネルの機能を有し、送受信対象の電波の波長帯を変更できるアンテナ装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイの構成の一例を示す概念図である。
【
図3】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイに構成されるアンテナ集合体の一例を示す概念図である。
【
図4】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイに構成されるタッチセンサの一例を示す概念図である。
【
図5】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナの内部構成の一例を示す断面図である。
【
図6】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるディスプレイの構成の一例を示す概念図である。
【
図7】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるディスプレイの構成の一例を示す概念図である。
【
図8】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるスイッチを実現する構造の一例を示す概念図である。
【
図9】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイに構成されるアンテナ集合体の一例を示す概念図である。
【
図10】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるスイッチの構成の一例を示す概念図である。
【
図11】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるスイッチの構成の一例を示す概念図である。
【
図12】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるスイッチの構成の一例を示す概念図である。
【
図13】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるスイッチの構成の一例を示す概念図である。
【
図14】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイに構成されるタッチセンサの一例を示す概念図である。
【
図15】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるスイッチの構成の一例を示す概念図である。
【
図16】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるスイッチの構成の一例を示す概念図である。
【
図17】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナが搭載された端末装置の画面に表示されたユーザインターフェースの一例を示す概念図である。
【
図18】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナの構成の一例を示すブロック図である。
【
図19】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイに構成されるタッチセンサの一例を示す概念図である。
【
図20】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイに構成されるタッチセンサの別の一例を示す概念図である。
【
図21】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイに構成されるタッチセンサのさらに別の一例を示す概念図である。
【
図22】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれる配線の構成の一例を示す概念図である。
【
図23】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれる配線の構成の別の一例を示す概念図である。
【
図24】第3の実施形態に係るアンテナ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図25】各実施形態の制御や処理を実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るディスプレイアンテナについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のディスプレイアンテナは、タッチセンサおよびアンテナの機能を有するディスプレイを備える。本実施形態においては、複数のパッチアンテナによって、アンテナ集合体を構成する例をあげる。アンテナ集合体は、フェーズドアレイアンテナおよびタッチセンサとして機能させることができる。
【0012】
(構成)
図1は、本実施形態に係るディスプレイアンテナ10の構成の一例を示すブロック図である。ディスプレイアンテナ10は、アンテナアレイ11、ディスプレイ12、第1スイッチ群13、第2スイッチ群14、および制御部15を備える。アンテナアレイ11、第1スイッチ群13、および第2スイッチ群14は、アンテナ装置100を構成する。アンテナ装置100に制御部15が追加されてもよい。ディスプレイアンテナ10は、ディスプレイ12の上に、アンテナ装置100を重ねた構造を有する。例えば、アンテナ装置100とディスプレイ12は、別々の製品として提供されてもよい。
【0013】
アンテナアレイ11は、複数のパッチアンテナを含む。パッチアンテナは、板状の放射素子である。例えば、パッチアンテナは正方形である。パッチアンテナは矩形であってもよい。送受信対象の波長帯の電波を受信できれば、パッチアンテナは正方形や矩形ではない形状であってもよい。パッチアンテナは、可視領域の波長帯の光が透過可能な透明電極である。例えば、パッチアンテナは、酸化インジウムスズや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンなどの材質によって実現される。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、パッチアンテナの材質には限定を加えない。また、パッチアンテナは、可視領域ではない波長帯の光が透過する材質であってもよい。例えば、パッチアンテナは、近赤外領域や、赤外領域、紫外領域の光が透過する材質であってもよい。
【0014】
図2は、アンテナアレイ11の構成の一例を示す概念図である。アンテナアレイ11は、複数のパッチアンテナ111が2次元アレイ状に配列された構成である。パッチアンテナ111は、1辺に対応する長さの1/2波長の整数倍に一致する周波数で共振する。パッチアンテナ111の大きさは、送受信対象の電波の波長に応じて設定される。
図2の例において、パッチアンテナ111は正方形である。複数のパッチアンテナ111は、それらのパッチアンテナ111の外形を成す正方形の対角線の交点を回転中心として、45度回転された状態で配列されたパターン(ダイヤパターン)を形成する。すなわち、複数のパッチアンテナ111は、ダイヤパターンで配列される。タッチセンサおよびフェーズドアレイアンテナの機能を発現できれば、複数のパッチアンテナ111は、ダイヤパターンではないパターンで配列されてもよい。
【0015】
複数のパッチアンテナ111は、X方向とY方向に沿って、2次元アレイ状に配列される。複数のパッチアンテナ111は、いくつかのパッチアンテナ111の単位でグループ化される。グループ化された複数のパッチアンテナ111は、アンテナ集合体を構成する。
図2の例では、16個のパッチアンテナ111のグループを単位として、4×4で配列されたアンテナ集合体Aが構成される。後述するように、本実施形態のディスプレイアンテナ10において、アンテナ集合体Aを構成するパッチアンテナ111の数や組み合わせは、任意に変更できる。
【0016】
第5世代移動通信システム(5G)以降の移動通信に対応する周波数帯で用いられるパッチアンテナ111の最適な大きさは、タッチパネルに用いられるセンサ電極の最適な大きさとは異なる。送受信対象の電波の空間中における波長λに関して、隣接するパッチアンテナ111の間隔(ピッチ)を0.7λよりも大きくすると、サイドローブが大きくなり、ゲインが低下する。また、隣接するパッチアンテナ111のピッチを広げるほど、走査角が狭くなる。そのため、隣接するパッチアンテナ111のピッチは、0.4~0.5λ程度に設定されることが好ましい。5G以降の移動通信に対応する周波数帯に応じて、パッチアンテナ111の最適な大きさと、タッチパネルの電極の最適なピッチとは異なる。本実施形態においては、送受信対象の電波の波長に応じて、アンテナ集合体Aを構成するパッチアンテナ111の数や組み合わせを変更することによって、複数の波長帯に対応する。
【0017】
図3は、アンテナアレイ11に構成されるアンテナ集合体Aの概念図である。
図3は、アンテナ集合体Aを構成するパッチアンテナ111の回路構成の一例を示しており、実際のパッチアンテナ111の大きさを表していない。
図3においては、パッチアンテナ111の間に配置されたスイッチなどの構成を省略する。アンテナアレイ11は、2次元アレイ状に配列された複数のパッチアンテナ111を含む。
図3の例では、16個のパッチアンテナ111によって、アンテナ集合体Aが構成される。アンテナ集合体Aを構成するパッチアンテナ111の組み合わせは、第1スイッチ群13に含まれる第1スイッチを開閉制御することによって、変更可能である。
【0018】
図3に関して、移相器112の部分で直流成分をカットしなければ、アンテナ集合体Aは、低周波において1つの導体とみなされる。直流成分を遮断する構成が移相器112に含まれる場合、移相器112の部分を回避するスイッチを設けることによって、アンテナ集合体Aの全体を1つの導体にすることもできる。本実施形態においては、タッチセンサ電極の1単位として、
図3のアンテナ集合体A(4×4)を用いる。
【0019】
パッチアンテナ111は、移相器112を介して、信号線LSに接続される。例えば、移相器112および信号線LSは、パッチアンテナ111が形成されたアンテナ層よりも下層の配線層(図示しない)に形成される。移相器112には、移相器112ごとの移相量が設定される。移相器112に設定される移相量は、固定されていてもよいし、変更可能であってもよい。信号線LSには、送受信対象の信号が伝播される。アンテナとして機能するアンテナ集合体Aを構成する複数のパッチアンテナ111の各々は、移相器112によって移相された信号を送出する。また、アンテナとして機能するアンテナ集合体Aを構成する複数のパッチアンテナ111の各々は、受信した電波を、移相器112を介して、信号線LSに送る。
【0020】
図4は、アンテナアレイ11にタッチセンサが設定された状態の一例を示す概念図である。
図4の例では、4×4(16個)のパッチアンテナ111を1組とするアンテナ集合体Aが構成される。
図4の例では、4×4(16個)のパッチアンテナ111の一部が、タッチセンサの電極として機能する。電極として機能するパッチアンテナ111のグループは、X方向の検知に用いられるタッチセンサTS
Xを構成するアンテナ集合体Aと、Y方向の検知に用いられるタッチセンサTS
Yを構成するアンテナ集合体Aとに分けられる。タッチセンサとして用いられるパッチアンテナ111は、制御部15による制御によって選択できる。タッチセンサとして用いられるパッチアンテナ111に関しては、第2スイッチがOFFに設定される。タッチセンサとして用いられないパッチアンテナ111は、フェーズドアレイアンテナとして機能させる。X方向に連結された複数のアンテナ集合体Aによって構成された行と、Y方向に連結された複数のアンテナ集合体Aによって構成された列との交点における容量の変化に応じて、接触位置が判別される。
【0021】
図5は、ディスプレイアンテナ10の構造の一例について説明するための断面図である。
図5においては、ディスプレイアンテナ10の構成のうち一部を省略する。また、
図5の断面図においては、ハッチングを省略した箇所がある。基板170の上には、配線層171が形成される。配線層171には、第1スイッチ群13に含まれる第1スイッチや、第2スイッチ群14に含まれる第2スイッチ、パッチアンテナ111に接続された移相器112、各種の配線などが配置される。また、配線層171には、送受信対象の信号を伝播させる信号線L
Sや、ディスプレイ12を駆動させるための配線などが配置される。配線層171は、単一の層であってもよいし、複数の層が積層された構造であってもよい。例えば、デバイス転写技術を用いれば、微小な素子を配線層171に形成できる。配線層171における構成要素や、構成要素間の接続関係などの詳細に関しては、図面を省略する。
【0022】
ディスプレイ12は、配線層171の上方に形成される。ディスプレイ12は、複数の発光器120によって構成される。複数の発光器120は、2次元アレイ状に配置される。例えば、発光器120は、赤R(Red)、緑G(Green)、および青B(Blue)の各色に対応した波長帯の光を発光する発光部を有する。例えば、発光器120は、マイクロLED(Light-Emitting Diode)によって実現される。マイクロLEDは、赤Rの波長帯の光を発光する赤色LED、緑Gの波長帯の光を発光する緑色LED、および青Bの波長帯の光を発光する青色LEDを含む。赤R、緑G、および青Bの3原色の光を発光できれば、それらの光を混色させることによって、種々の色を表現できる。発光器120は、赤色LED、緑色LED、および青色LEDのうち少なくとも一つを有すればよい。また、発光器120は、赤色LED、緑色LED、および青色LEDとは異なる波長帯の光を発光する発光部を有してもよい。発光器120は、配線層171に形成された配線を介して、駆動部(図示しない)に接続される。発光器120は、制御部15による駆動部の制御に応じて、赤色LED、緑色LED、および青色LEDを発光させる。
【0023】
図6は、ディスプレイ12を構成する発光器120の一例(発光器121)が配列された様子を示す概念図である。
図6は、複数の発光器121によって構成されたディスプレイ12の一部分を示す。発光器121は、赤色LED(R)、緑色LED(G)、および青色LED(B)は、マイクロLEDである。赤色LED、緑色LED、および青色LEDは、一か所に集中して配置される。赤色LEDには、行選択線L
Rと列選択線L
CRが接続される。緑色LEDには、行選択線L
Rと列選択線L
CGが接続される。青色LEDには、行選択線L
Rと列選択線L
CBが接続される。行選択線L
Rは、赤色LED、緑色LED、および青色LEDに共通の選択線である。行選択線L
Rと列選択線L
CRが選択されると、赤色LEDが発光する。行選択線L
Rと列選択線L
CGが選択されると、緑色LEDが発光する。行選択線L
Rと列選択線L
CBが選択されると、青色LEDが発光する。
【0024】
図7は、ディスプレイ12を構成する発光器120の別の一例(発光器122)が配列された様子を示す概念図である。
図7は、複数の発光器122によって構成されたディスプレイ12の一部分を示す。発光器122は、赤色、緑色、および青色の発光部が集積された集積型のマイクロLEDである。赤色LED、緑色LED、および青色LEDには、互いに共通の行選択線L
Rおよび列選択線L
Cが接続される。行選択線L
Rおよび列選択線Lの選択に応じて、複数の発光器122のうち少なくともいずれかが選択される。選択された発光器122に接続された行選択線L
Rおよび列選択線Lを介して供給される信号によって、その発光器122に含まれるマイクロLEDの発光が制御される。
図6の発光器121と比べて、
図7の発光器122の方が、外形が小さい。そのため、
図6の構成と比べて、
図7の構成の方が、ディスプレイ層において、発光器120ではない部品を配置できるスペースが広い。
【0025】
ディスプレイ12を構成する複数の発光器120は、制御部15の制御に応じて、発光する。複数の発光器120は、2次元アレイ状に配置される。複数の発光器120が形成されたディスプレイ層と配線層171との間には、絶縁層174が形成される。絶縁層174の材質に関しては、特に限定を加えない。
【0026】
ディスプレイ12には、画像が表示される。例えば、ディスプレイ12には、少なくとも1つの入力情報を含むタッチパネルの画像が表示される。例えば、入力情報は、操作を受け付けるボタンである。例えば、入力情報は、キーボードやテンキーなどの文字や数字、記号の入力を受け付けるキーの画像である。例えば、入力情報は、スライダーやタグなどのように、操作を受け付ける画像である。ディスプレイ12に表示された入力情報の位置において、タッチセンサとして機能しているパッチアンテナ111によって接触が検出されると、その入力情報の位置で検出された操作に応じた入力がなされる。
【0027】
複数の発光器120によって構成されるディスプレイ層の上方は、平坦化膜や保護膜が形成される。平坦化膜や保護膜は、可視領域の波長帯の光が透過可能な透明な材質である。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、平坦化膜や保護膜の材質には限定を加えない。例えば、平坦化膜や保護膜は、酸化シリコンなどによって実現される。
【0028】
複数の発光器120によって構成されるディスプレイ層の上方には、シールド層を形成する複数の接地電極173が配置される。接地電極173は、接地電極173の上方と下方の電磁結合を防ぐために形成される。接地電極173は、透明な導電体によって構成される。例えば、パッチアンテナ111と同様に、接地電極173は、酸化インジウムスズや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンなどの材質によって実現される。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、接地電極173の材質には限定を加えない。接地電極173は、図示しない導線等によって、筐体や接地端子に接続される。接地電極173の電位は、その接地電極173が接続された接地箇所と同じ電位である。そのため、パッチアンテナ111や配線層171と接地電極173との間には、それらの間に形成された誘電体層や空間の誘電率に応じた容量が形成される。
【0029】
複数のパッチアンテナ111は、接地電極173によって形成されるシールド層の上方に配置される。複数のパッチアンテナ111は、給電用電極175を介して、配線層171に含まれる信号線LSや、その他の配線等に電気的に接続される。給電用電極175は、パッチアンテナ111と配線層171とを接続する導電性のビアである。導電性があれば、給電用電極175の材質には、特に限定を加えない。
【0030】
複数のパッチアンテナ111の上方には、保護層176が形成される。保護層176は、可視領域の波長帯の光が透過可能な部材によって形成される。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、保護層176の材質には、限定を加えない。例えば、保護層176は、ガラスやプラスチックなどの透明部材によって実現される。
【0031】
パッチアンテナ111と保護層176との間の空間には、誘電体層177が形成される。誘電体層177は、可視領域の波長帯の光が透過可能な誘電体によって形成される。配線層171と保護層176との間の空間は、誘電体層177を構成する誘電体で満たされていてもよいし、空隙が形成されてもよい。誘電体層177の材質や形状、位置については、特に限定を加えない。
【0032】
送信対象の信号は、送信回路(図示しない)から出力される。送信回路から出力された信号は、信号線LSを通じて、パッチアンテナ111ごとの移相器112に到達する。移相器112に到達した送信対象の信号は、移相器112ごとの移相量と、誘電体層177の誘電率に基づく容量とに応じた移相量で移相される。移相器112を介してパッチアンテナ111に到達した信号は、送信対象の波長帯の電波として送信される。ディスプレイアンテナ10から送信される電波は、アンテナ集合体Aごとに送信方向が制御される。
【0033】
また、パッチアンテナ111で受信された受信対象の電波は、そのパッチアンテナ111に接続された移相器112の移相量と、誘電体層177の誘電率に基づく容量とに応じた移相量で、移相される。移相された信号は、信号線LSを通じて、受信回路(図示しない)によって受信される。受信回路によって受信される信号に含まれる情報は、図示しないデコーダでデコードされる。
【0034】
第1スイッチ群13は、複数の第1スイッチを含む。第1スイッチは、隣接した2つのパッチアンテナ111を接続する配線に配置される。第1スイッチは、隣接した2つのパッチアンテナ111の接続を切り替えるスイッチである。また、第1スイッチは、隣接したアンテナ集合体Aの接続を切り替えにも用いられる。第1スイッチは、パッチアンテナ111ごとに設けられてもよいし、アンテナ集合体Aごとに設けられてもよい。アンテナ集合体Aごとに第1スイッチが設けられる場合、そのアンテナ集合体Aを構成する複数のパッチアンテナ111の第1スイッチが省略されてもよい。複数の第1スイッチは、配線層171に形成される。第1スイッチの開閉状態を切り替えることによって、アンテナ集合体Aの大きさを変更できる。また、第1スイッチの開閉状態を切り替えることによって、タッチパネルとして機能するアンテナ集合体Aを選択できる。
【0035】
第2スイッチ群14は、複数の第2スイッチを含む。第2スイッチは、隣接した少なくとも4つのパッチアンテナ111によって形成されるアンテナ集合体Aと、そのアンテナ集合体Aを構成する少なくとも1つのパッチアンテナ111に接続された信号源とを接続する配線に配置される。第2スイッチは、アンテナ集合体Aと信号源との接続を切り替えるスイッチである。信号源は、送信対象の電波の送信に用いられる高周波電源である。信号源は、送信対象の電波の周波数帯や、その電波の送信強度に応じた高周波電力を供給する。複数の第2スイッチは、配線層171に形成される。閉じた状態(ON)の第2スイッチに接続されたアンテナ集合体Aには、信号源から高周波電力が供給される。
【0036】
図8は、第1スイッチおよび第2スイッチ(以下、スイッチSWと呼ぶ)を実現する構成の一例を示す概念図である。
図8は、二酸化バナジウムVO
2の金属-絶縁体相転移(以下、相転移と呼ぶ)を利用したスイッチSWの例である。
図8のスイッチSWは、二酸化バナジウムVO
2の薄膜を含む。二酸化バナジウムVO
2は、常温から温度を上昇させると、摂氏67度付近で急激に電気抵抗が減少して、絶縁体から金属に相転移する。相転移温度よりも低温において、二酸化バナジウムVO
2は絶縁相である。相転移温度よりも高温において、二酸化バナジウムVO
2は金属相である。実際の二酸化バナジウムVO
2の相転移においては、温度の上昇と下降においてヒステリシスが発生する。そのため、ヒステリシスを考慮して、スイッチSWのON/OFFが切り替わるように、温度設計されることが好ましい。
【0037】
図8の例において、スイッチSWは、配線Lに配置される。また、スイッチSWには、電熱線Hが熱的に接続される。電熱線Hは、電源線L
Pに電気的に接続される。電熱線Hは、スイッチSWに含まれる二酸化バナジウムVO
2の薄膜の温度を制御するために用いられる。例えば、電熱線Hは、ニッケルNiやクロムCrを主成分とする合金で実現される。また、電熱線Hは、クロムCr、鉄Fe、およびアルミニウムAlを主成分とする合金で実現されてもよい。電熱線Hの材質には、特に限定を加えない。電源線L
Pを介して電熱線Hに電流が供給されると、電熱線の温度が上昇する。例えば、電熱線Hへの電流の供給は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を用いて制御できる。電熱線Hの熱は、スイッチSWに含まれる二酸化バナジウムVO
2の薄膜に伝わる。スイッチSWに含まれる二酸化バナジウムVO
2の薄膜の温度が相転移温度を超えると、その薄膜は金属相に相転移する。その結果、スイッチSWがONの状態に遷移し、スイッチSWが介在する配線Lが導通される。また、電熱線Hへの電流の供給が停止されると、電熱線の温度が下降する。スイッチSWに含まれる二酸化バナジウムVO
2の薄膜の温度が相転移温度を下回ると、その薄膜は絶縁相に相転移する。その結果、スイッチSWがOFFの状態に遷移し、スイッチSWが介在する配線Lが遮断される。
【0038】
制御部15(制御手段)は、アンテナアレイ11を制御して、アンテナ集合体Aを構成する。制御部15は、送受信対象の電波の周波数帯に合わせて、アンテナ集合体Aの大きさを設定する。制御部15は、第1スイッチ群13に含まれる複数の第1スイッチSW1のON/OFFを切り替えて、アンテナ集合体Aを構成するパッチアンテナ111の組み合わせを変更する。その結果、送受信対象の電波の周波数帯に合わせて、アンテナ集合体Aの大きさが設定される。
【0039】
例えば、送受信対象の電波の周波数帯が70GHz(ギガヘルツ)の場合、制御部15は、1辺が6.8mm(ミリメートル)の方形領域になるように、アンテナ集合体Aの大きさを設定する。制御部15は、複数の第1スイッチSW1を切り替えて、一辺が1.7mmのパッチアンテナ111を16個(4×4)組み合わせる。制御部15は、16個のパッチアンテナ111が同電位になるように、複数の第1スイッチSW1を切り替える。その結果、4×4で配列された16個のパッチアンテナ111が組み合わされて、1辺が6.8mmである方形領域のアンテナ集合体Aが設定される。制御部15は、アンテナアレイ11に関して、複数のアンテナ集合体Aを設定する。制御部15は、隣接したアンテナ集合体Aの間の接続に用いられる第1スイッチSW1をOFFに設定する。複数のアンテナ集合体Aを組み合わせてさらに大きなアンテナ集合体AGを構成する場合、制御部15は、隣接したアンテナ集合体Aの間の接続に用いられる第1スイッチSW1をONに設定する。アンテナ集合体AGは、複数のアンテナ集合体Aが組み合わせられた構成である。その場合、制御部15は、送受信対象の電波の波長帯に合わせて、隣接したアンテナ集合体Aの間の接続に用いられる第1スイッチSW1をONに設定する。
【0040】
制御部15は、アンテナ集合体Aが設定された状態で、第2スイッチ群14に含まれる複数の第2スイッチSW2のON/OFFを切り替える。制御部15は、電波の送信に用いられるアンテナ集合体Aを構成する少なくともいずれかのパッチアンテナ111に接続された第2スイッチSW2をONに切り替える。ONの状態の第2スイッチSW2に接続されたパッチアンテナ111を含むアンテナ集合体Aには、信号源SGから高周波電力が供給される。その結果、そのアンテナ集合体Aから、信号線LSを伝播してきた信号に応じた送信対象の電波が送信される。
【0041】
また、制御部15は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体Aを選択する。制御部15は、タッチセンサとして機能させる複数のアンテナ集合体Aが網目状に配列されるように、隣接し合うアンテナ集合体Aを選択する。制御部15は、選択されたアンテナ集合体Aのうち、隣接し合う2つのアンテナ集合体Aを電気的に接続させる。タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体Aのうち、隣接し合う2つのアンテナ集合体Aを接続する配線に配置された第1スイッチSW1をONに切り替える。その結果、ONに切り替えられた第1スイッチSW1で接続された複数のアンテナ集合体Aによって、網目状のタッチセンサが形成される。X方向に連結された複数のアンテナ集合体Aによって構成された行と、Y方向に連結された複数のアンテナ集合体Aによって構成された列との静電容量の変化に応じて、接触位置を特定できる。制御部15による接触位置の検知の詳細については、説明を省略する。
【0042】
例えば、制御部15は、指の大きさに合わせて設定されたアンテナ集合体Aを構成するパッチアンテナ111の組み合わせを選択する。前述した
図4の例の場合、16個(4×4)のパッチアンテナ111によって構成されたアンテナ集合体Aによって、タッチパネル用電極の一部が構成される。制御部15は、X方向の配線L
Xに配置された第1スイッチSW1をONに切り替えることによって、X方向に配列されたタッチセンサTS
Xを構成するアンテナ集合体Aを電気的に接続させる。制御部15は、Y方向の配線L
Yに配置された第1スイッチSW1をONに切り替えることによって、Y方向に配列されたタッチセンサTS
Yを構成するアンテナ集合体Aを電気的に接続させる。タッチセンサとして用いられるアンテナ集合体Aは、16個(4×4)ではない数のパッチアンテナ111によって構成されてもよい。例えば、タッチセンサとして用いられるアンテナ集合体Aは、64個(8×8)のパッチアンテナ111によって構成されてもよい。例えば、タッチセンサとして用いられるアンテナ集合体Aは、4個(2×2)のパッチアンテナ111によって構成されてもよい。
【0043】
図9は、指の大きさに合わせて設定されたアンテナ集合体AG(16×16)の構成の一例を示す概念図である。
図9の例では、一つのアンテナ集合体A(8×8)の一辺が3.2mmである。
図9の例において、アンテナ集合体A(8×8)は、300GHzの周波数帯に対応する。制御部15は、指の大きさ合わせて、1辺が6.4mmの方形領域になるように、4つのアンテナ集合体A(8×8)を組み合わせて、アンテナ集合体AG(16×16)を設定する。制御部15は、複数の第1スイッチSW1を切り替えて、一辺が3.2mmのアンテナ集合体A(8×8)を4個組み合わせる。その結果、16×16で配列された256個のパッチアンテナ111が組み合わされて、1辺が6.4mmである方形領域のアンテナ集合体AG(16×16)が設定される。制御部15は、アンテナアレイ11に関して、タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体AGを設定する。
【0044】
図10~
図11は、アンテナ集合体Aの構成の一例を示す概念図である。
図10~
図11は、複数のアンテナ集合体Aのうち2つ(アンテナ集合体A1、アンテナ集合体A2)を抜き出した図である。アンテナ集合体A1およびアンテナ集合体A2は、複数のパッチアンテナ111によって構成される。第1スイッチSW1は、複数のアンテナ集合体Aに共通の配線L1に配置される。隣接し合うアンテナ集合体A1およびアンテナ集合体A2は、配線L1を介して電気的に接続される。第1スイッチSW1は、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2の間の接続を切り替えるために用いられる。アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2との接続は、第1スイッチSW1の開閉に応じて切り替えられる。アンテナ集合体A1は、第2スイッチSW2を介して、信号源SG1に接続される。アンテナ集合体A2には、第2スイッチSW2を介して、信号源SG2に接続される。
図10~
図11の例では、信号源SG1および信号源SG2の近傍に配置された第1スイッチSW1によって、アンテナ集合体Aの構成が切り替えられる。
【0045】
図10は、第2スイッチSW2が閉ざされた状態(ON)の例である。この場合、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2は、フェーズドアレイアンテナとして機能する。第2スイッチSW2が閉じる(ON)と、信号源SG1とアンテナ集合体A1が接続される。信号源SG1から供給された高周波電力に応じて、信号線L
Sを通じて伝播してきた送信対象の信号は、アンテナ集合体A1から無線信号として送信される。同様に、第2スイッチSW2が閉じる(ON)と、信号源SG2とアンテナ集合体A2が接続される。信号源SG2から供給された高周波電力に応じて、信号線L
Sを通じて伝播してきた送信対象の信号は、アンテナ集合体A2から無線信号として送信される。
【0046】
図11は、第1スイッチSW1が閉ざされた状態(ON)の例である。この場合、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2とが組み合わされて、アンテナ集合体AGが構成される。平面視において、アンテナ集合体AGは、アンテナ集合体A1およびアンテナ集合体A2を含めた複数のアンテナ集合体Aによって構成される。アンテナ集合体AGは、タッチセンサとして機能する。タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体AGがX方向およびY方向に格子状につながって、タッチパネル用電極の一部が構成される。
【0047】
図12~
図13は、アンテナ集合体Aの構成の一例を示す概念図である。
図12~
図13は、複数のアンテナ集合体Aのうち2つ(アンテナ集合体A1、アンテナ集合体A2)を抜き出した図である。アンテナ集合体A1およびアンテナ集合体A2は、複数のパッチアンテナ111によって構成される。第1スイッチSW1は、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2を電気的に接続する配線L1に配置される。隣接し合うアンテナ集合体A1およびアンテナ集合体A2は、配線L1を介して電気的に接続される。第1スイッチSW1は、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2の間の接続を切り替えるために用いられる。アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2との接続は、第1スイッチSW1の開閉に応じて切り替えられる。アンテナ集合体A1は、第2スイッチSW2を介して、信号源SG1に接続される。アンテナ集合体A2には、第2スイッチSW2を介して、信号源SG2に接続される。
図12~
図13の例では、パッチアンテナ111の近傍に配置された第1スイッチSW1によって、アンテナ集合体Aの構成が切り替えられる。
【0048】
図12は、第2スイッチSW2が閉ざされた状態(ON)の例である。この場合、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2は、フェーズドアレイアンテナとして機能する。第2スイッチSW2が閉じる(ON)と、信号源SG1とアンテナ集合体A1が接続される。信号源SG1から供給された高周波電力に応じて、配線L1を通じて伝播してきた送信対象の信号は、アンテナ集合体A1から無線信号として送信される。同様に、第2スイッチSW2が閉じる(ON)と、信号源SG2とアンテナ集合体A2が接続される。信号源SG2から供給された高周波電力に応じて、配線L1を通じて伝播してきた送信対象の信号は、アンテナ集合体A2から無線信号として送信される。
【0049】
図13は、第1スイッチSW1が閉ざされた例(ON)である。この場合、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2とが組み合わされて、アンテナ集合体AGが構成される。平面視において、アンテナ集合体AGは、アンテナ集合体A1およびアンテナ集合体A2を含めた複数のアンテナ集合体Aによって構成される。アンテナ集合体AGは、タッチセンサとして機能する。タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体AGがX方向およびY方向に格子状につながって、タッチパネル用電極の一部が構成される。
【0050】
図14は、アンテナアレイ11におけるタッチセンサの設定例を示す概念図である。
図14の例においては、アンテナとして機能させるアンテナ集合体AFと、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体ATとを構成するパッチアンテナ111の数が異なる。
図14の例において、アンテナ集合体AF(4×4)は、40GHzの周波数帯に対応する。制御部15は、複数の第1スイッチSW1を切り替えて、1辺が3.0mmのパッチアンテナ111を16個(4×4)組み合わせて、アンテナ集合体AF(4×4)を構成する。その結果、1辺が12mmである方形領域のアンテナ集合体AF(4×4)が設定される。制御部15は、アンテナアレイ11に関して、アンテナとして機能する複数のアンテナ集合体AF(4×4)を設定する。
【0051】
図14の例において、制御部15は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体AT(2×2)を選択する。
図14の例(40GHz)の場合、アンテナ集合体AF(4×4)の一辺は、12mm角である。そのため、制御部15は、アンテナ集合体AF(4×4)を分割して、タッチセンサとして機能するアンテナ集合体AT(2×2)を設定する。制御部15は、複数の第1スイッチSW1を切り替えて、1辺が3.0mmのパッチアンテナ111が4個(2×2)組み合わされたアンテナ集合体AT(2×2)を構成する。その結果、2×2で配列された4個のパッチアンテナ111が組み合わされて、タッチセンサ用のアンテナ集合体ATが構成される。制御部15は、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xとして機能させるアンテナ集合体ATの間の配線L
Xに配置された第1スイッチSW1を、ONに切り替える。制御部15は、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとして機能させるアンテナ集合体ATの間の配線L
Yに配置された第1スイッチSW1を、ONに切り替える。その結果、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとが網目状(格子状)に配置されたタッチパネル用電極の一部が構成される。
【0052】
図15~
図16は、アンテナ集合体Aの構成の一例を示す概念図である。
図15~
図16は、
図14のように、アンテナ集合体Aを分割する例に対応する。
図15~
図16は、
図14に示す複数のアンテナ集合体Aのうち、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xに含まれる4つ(アンテナ集合体A0、アンテナ集合体A1、アンテナ集合体A2、アンテナ集合体A3)を抜き出した図である。アンテナ集合体A0、アンテナ集合体A1、アンテナ集合体A2、およびアンテナ集合体A3の各々は、複数のパッチアンテナ111によって構成される。第1スイッチSW1は、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2を電気的に接続する配線L1に配置される。第1スイッチSW1は、アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2の間の接続を切り替えるために用いられる。アンテナ集合体A1とアンテナ集合体A2との接続は、第1スイッチSW1の開閉に応じて切り替えられる。
【0053】
図15~
図16の例において、アンテナ集合体A0とアンテナ集合体A1は、配線L2を介して、電気的に接続される。アンテナ集合体A0およびアンテナ集合体A1には、配線L2を介して、共通の第2スイッチSW2が接続される。アンテナ集合体A0およびアンテナ集合体A1は、第2スイッチSW2を介して、共通の信号源SG1に接続される。アンテナ集合体A0およびアンテナ集合体A1は、アンテナ集合体AG1を構成する。アンテナ集合体A2とアンテナ集合体A3は、配線L3を介して、電気的に接続される。アンテナ集合体A2およびアンテナ集合体A3には、配線L3を介して、共通の第2スイッチSW2が接続される。アンテナ集合体A2およびアンテナ集合体A3は、第2スイッチSW2を介して、共通の信号源SG2に接続される。アンテナ集合体A2およびアンテナ集合体A3は、アンテナ集合体AG2を構成する。
【0054】
図15は、第1スイッチSW1が開かれた状態(OFF)であり、かつ第2スイッチSW2が閉ざされた状態(ON)の例である。この場合、アンテナ集合体AG1とアンテナ集合体AG2は、別々のフェーズドアレイアンテナとして機能する。信号源SG1に接続された第2スイッチSW2がONになると、信号源SG1とアンテナ集合体AG1が接続される。同様に、信号源SG2に接続された第2スイッチSW2がONになると、信号源SG2とアンテナ集合体AG2が接続される。信号源SG1および信号源SG2から供給された高周波電力に応じて、信号線L
sを通じて供給された送信対象の信号は、アンテナ集合体AG1およびアンテナ集合体AG2から無線信号として送信される。
【0055】
図16は、第1スイッチSW1が閉ざされた状態(ON)であり、かつ第2スイッチSW2が開かれた状態(OFF)である。この場合、アンテナ集合体A0、アンテナ集合体A1、アンテナ集合体A2、およびアンテナ集合体A3は、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xとして機能する。タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体AがX方向およびY方向に格子状につながって、タッチパネル用電極が構成される。
【0056】
さらに、制御部15は、ディスプレイ12の表示を制御する。制御部15は、操作入力を受け付けるユーザインターフェースが表示されるように、ディスプレイ12を構成する複数の発光器120を発光させる。制御部15は、アンテナアレイ11に設定されたタッチパネルの検出位置に対応付けて、その検出位置において選択や操作を行うための表示情報が表示されるように、複数の発光器120を発光させる。ユーザインターフェースを表示させない場合、制御部15は、タッチパネルとは無関係の画像が表示されるように、ディスプレイ12を構成する複数の発光器120を発光させてもよい。なお、ディスプレイ12の表示制御には、制御部15ではない表示制御部(図示しない)が用いられてもよい。
【0057】
図17は、ユーザが使用する端末装置に、ディスプレイアンテナ10が搭載されている例を示す概念図である。端末装置の画面150には、ディスプレイアンテナ10に含まれるディスプレイ12の画像が表示される。また、端末装置の画面150には、ディスプレイアンテナ10のタッチパネルの機能が設定される。
図17には、画面150にユーザインターフェースが表示される例を示す。
図17には、画面150に表示されたユーザインターフェースに含まれるボタンのうち一つが、ユーザによって選択された様子を示す。
図17には、タッチパネルを構成するタッチセンサの行方向および列方向のイメージを網目状のパターンで示すが、実際に形成されるタッチセンサの大きさや間隔を正確に表してはいない。
【0058】
図17の例において、ディスプレイアンテナ10は、ユーザの指が接触した位置を検出する。ディスプレイアンテナ10は、検出された位置に表示された表示情報に対応した入力を受け付ける。端末装置の画面150のうち、タッチパネルとして機能していない部分は、フェーズドアレイアンテナとして機能する。このように、ディスプレイアンテナ10は、タッチパネルの機能と、フェーズドアレイアンテナの機能とを同時に発揮できる。ディスプレイアンテナ10は、タッチパネルの機能のみを発現させてもよい。また、ディスプレイアンテナ10は、フェーズドアレイアンテナの機能のみを発現させてもよい。
【0059】
以上のように、本実施形態のディスプレイアンテナは、アンテナアレイ、第1スイッチ群、第2スイッチ群、ディスプレイ、および制御部を備える。アンテナアレイは、格子状に配列された複数のパッチアンテナを含む。パッチアンテナは、可視領域の光に対して透明である。第1スイッチ群は、隣接した2つのパッチアンテナを接続する配線に配置された第1スイッチによって構成される。第2スイッチ群は、隣接した少なくとも4つのパッチアンテナによって形成されるアンテナ集合体と、アンテナ集合体を構成する少なくとも1つのパッチアンテナに接続された信号源とを接続する配線に配置された第2スイッチによって構成される。ディスプレイは、格子状に配列された複数の発光器によって構成される。発光器は、パッチアンテナの下方に配置される。制御部は、複数の第1スイッチおよび複数の第2スイッチの開閉を制御する。制御部は、複数の第1スイッチを開閉制御して、送受信対象の電波の周波数帯に合わせた大きさでアンテナ集合体が構成されるように、複数のパッチアンテナを組み合わせる。また、制御部は、ディスプレイを構成する複数の発光器を制御する。制御部は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体を構成する複数のパッチアンテナに接続された第2スイッチが開いた状態に設定する。制御部は、第2スイッチが開いた状態で、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体の頂点の位置にあるパッチアンテナに接続された第1スイッチを閉じる。そのようにして、制御部は、タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体が行方向および列方向に配列されたタッチパネルを構成する。制御部は、行方向に配列された複数のアンテナ集合体によって形成された行と、列方向に配列された複数のアンテナ集合体によって形成された列との交点における容量変化に応じて、タッチパネルにおける接触位置を検出する。
【0060】
本実施形態のディスプレイアンテナは、複数のパッチアンテナの接続状態を変更することによって、アンテナ集合体の大きさを変更する。また、本実施形態のディスプレイアンテナは、格子状に配列された複数のパッチアンテナによって構成された複数のアンテナ集合体を行方向および列方向に接続させることによって、タッチセンサの機能を発現させる。すなわち、本実施形態のディスプレイアンテナは、タッチパネルの機能を有し、送受信対象の電波の波長帯を変更できる。
【0061】
本実施形態の一態様において、パッチアンテナは正方形である。複数のパッチアンテナは、ダイヤパターンで配列される。隣接した少なくとも4つのパッチアンテナは、アンテナ集合体を構成する。第1スイッチは、隣接し合う2つのパッチアンテナの頂点を接続する配線に配置される。第2スイッチは、アンテナ集合体を構成する少なくとも1つのパッチアンテナと信号源とを接続する配線に配置される。本実施形態においては、ダイヤパターンで配列された正方形のパッチアンテナによって、アンテナアレイが構成される。本実施形態によれば、ダイヤパターンで配列された正方形のパッチアンテナによって構成されたアンテナアレイによって、タッチパネルおよびフェーズドアレイアンテナの機能を発揮できるアンテナ装置を含むディスプレイアンテナを実現できる。
【0062】
本実施形態の一態様において、複数のパッチアンテナの各々と、送受信対象の信号が伝播する信号線との間に、送受信対象の電波を移相する移相器が配置される。制御部は、受信対象の電波の受信において、フェーズドアレイアンテナとして機能するフェーズドアレイを構成する少なくとも1つのパッチアンテナに接続された第2スイッチを開いた状態で受信対象の電波を受信する。制御部は、送信対象の電波の送信において、フェーズドアレイアンテナとして機能するアンテナ集合体を構成する少なくとも1つのパッチアンテナに接続された第2スイッチを閉じて、信号線を伝播する送信対象の信号を送信する。本態様によれば、複数のパッチアンテナごとに移相器が配置されたフェーズドアレイアンテナを実現できる。
【0063】
本実施形態の一態様において、制御部は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体と、フェーズドアレイアンテナとして機能させるアンテナ集合体とを、異なる大きさで構成する。本態様によれば、タッチセンサの面積と、フェーズドアレイアンテナの面積とを独立して設定できる。そのため、本態様によれば、タッチセンサおよびフェーズドアレイアンテナの設定における自由度を向上できる。
【0064】
本実施形態の一態様において、発光器は、マイクロLED(Light-Emitting Diode)を含む。本態様によれば、マイクロLEDを用いることによって、ディスプレイアンテナにおける発光器の占める面積を低減できるため、設計における自由度が向上する。
【0065】
本実施形態の一態様において、発光器は、赤、緑、および青の波長帯の光を発するマイクロLEDを含む。本態様によれば、赤、緑、および青の波長帯の光を発するマイクロLEDを用いることによって、ディスプレイに表示される画像の色表現の自由度が向上する。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るディスプレイアンテナについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のディスプレイアンテナは、タッチセンサおよびアンテナの機能を有するディスプレイを備える。本実施形態においては、複数のパッチアンテナによって、アンテナ集合体を構成する例をあげる。アンテナ集合体は、フェーズドアレイアンテナおよびタッチセンサとして機能させることができる。本実施形態は、タッチセンサとして機能させるパッチアンテナの周囲にあるパッチアンテナを不活性にする点において、第1の実施形態と異なる。
【0067】
(構成)
図18は、本実施形態に係るディスプレイアンテナ20の構成の一例を示すブロック図である。ディスプレイアンテナ20は、アンテナアレイ21、ディスプレイ22、第1スイッチ群23、第2スイッチ群24、および制御部25を備える。アンテナアレイ21、第1スイッチ群23、および第2スイッチ群24は、アンテナ装置200を構成する。アンテナ装置200に制御部25が追加されてもよい。ディスプレイアンテナ20は、ディスプレイ22の上に、アンテナ装置200を重ねた構造を有する。例えば、アンテナ装置200とディスプレイ22は、別々の製品として提供されてもよい。
【0068】
アンテナアレイ21は、第1の実施形態のアンテナアレイ11と同様の構成である。アンテナアレイ21は、複数のパッチアンテナを含む。パッチアンテナは、板状の放射素子である。パッチアンテナは、可視領域の波長帯の光が透過可能な透明電極である。例えば、パッチアンテナは、近赤外領域や、赤外領域、紫外領域の光が透過する材質であってもよい。
【0069】
ディスプレイ22は、第1の実施形態のディスプレイ12と同様の構成である。ディスプレイ22は、複数の発光器(図示しない)によって構成される。複数の発光器は、2次元アレイ状に配置される。ディスプレイ22は、配線層(図示しない)の上方に形成される。発光器は、配線層に形成された配線を介して、駆動部(図示しない)に接続される。発光器は、制御部25による駆動部の制御に応じて発光する。
【0070】
第1スイッチ群23は、第1の実施形態の第1スイッチ群13と同様の構成である。第1スイッチ群23は、複数の第1スイッチを含む。第1スイッチは、隣接した2つのパッチアンテナを接続する配線に配置される。第1スイッチは、隣接した2つのパッチアンテナの接続を切り替えるスイッチである。また、第1スイッチは、隣接したアンテナ集合体の接続を切り替えにも用いられる。第1スイッチは、パッチアンテナごとに設けられてもよいし、アンテナ集合体ごとに設けられてもよい。アンテナ集合体ごとに第1スイッチが設けられる場合、そのアンテナ集合体を構成する複数のパッチアンテナの第1スイッチが省略されてもよい。複数の第1スイッチは、配線層に形成される。第1スイッチの開閉状態を切り替えることによって、アンテナ集合体の大きさを変更できる。また、第1スイッチの開閉状態を切り替えることによって、タッチパネルとして機能するアンテナ集合体を選択できる。
【0071】
第2スイッチ群24は、第1の実施形態の第2スイッチ群14と同様の構成である。第2スイッチ群24は、複数の第2スイッチを含む。第2スイッチは、隣接した少なくとも4つのパッチアンテナによって形成されるアンテナ集合体Aと、そのアンテナ集合体を構成する少なくとも1つのパッチアンテナに接続された信号源とを接続する配線に配置される。第2スイッチは、アンテナ集合体と信号源との接続を切り替えるスイッチである。信号源は、送信対象の電波の送信に用いられる高周波電源である。信号源は、送信対象の電波の周波数帯や、その電波の送信強度に応じた高周波電力を供給する。複数の第2スイッチは、配線層に形成される。閉じた状態(ON)の第2スイッチに接続されたアンテナ集合体には、信号源から高周波電力が供給される。
【0072】
制御部25(制御手段)は、第1の実施形態の制御部15と同様の構成である。制御部25は、アンテナアレイ21を制御して、アンテナ集合体を構成する。制御部25は、送受信対象の電波の周波数帯に合わせて、アンテナ集合体の大きさを設定する。制御部25は、第1スイッチ群23に含まれる複数の第1スイッチのON/OFFを切り替えて、アンテナ集合体を構成するパッチアンテナの組み合わせを変更する。その結果、送受信対象の電波の周波数帯に合わせて、アンテナ集合体の大きさが設定される。
【0073】
制御部25は、アンテナ集合体が設定された状態で、第2スイッチ群24に含まれる複数の第2スイッチのON/OFFを切り替える。制御部25は、電波の送信に用いられるアンテナ集合体を構成する少なくともいずれかのパッチアンテナに接続された第2スイッチをONに切り替える。ONの状態の第2スイッチに接続されたパッチアンテナを含むアンテナ集合体には、信号源から高周波電力が供給される。その結果、そのアンテナ集合体から、信号線を伝播してきた信号に応じた送信対象の電波が送信される。
【0074】
また、制御部25は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体を選択する。制御部25は、タッチセンサとして機能させる複数のアンテナ集合体が網目状に配列されるように、隣接し合うアンテナ集合体を選択する。制御部25は、選択されたアンテナ集合体のうち、隣接し合う2つのアンテナ集合体を電気的に接続させる。タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体のうち、隣接し合う2つのアンテナ集合体を接続する配線に配置された第1スイッチをONに切り替える。その結果、ONに切り替えられた第1スイッチで接続された複数のアンテナ集合体によって、網目状のタッチセンサが形成される。X方向に連結された複数のアンテナ集合体によって構成された行と、Y方向に連結された複数のアンテナ集合体によって構成された列との静電容量の変化に応じて、接触位置を特定できる。制御部25による接触位置の検知の詳細については、説明を省略する。
【0075】
図19は、ディスプレイアンテナ20に含まれるアンテナアレイ21に構成されるタッチセンサの一例を示す概念図である。
図19においては、1つの菱形領域が1つのアンテナ集合体を表す。
図19において、隣接したアンテナ集合体の間の領域は省略する。制御部25は、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xとして機能させるアンテナ集合体の間の配線に配置された第1スイッチを、ONに切り替える。制御部25は、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとして機能させるアンテナ集合体の間の配線に配置された第1スイッチを、ONに切り替える。その結果、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとが網目状(格子状)に配置されたタッチパネル用電極の一部が構成される。
【0076】
また、
図19の例において、制御部25は、タッチセンサとして機能させないパッチアンテナについては、アンテナとして機能させる。制御部25は、アンテナとして機能させるパッチアンテナの間の第1スイッチを閉じて、送信対象の電波の波長に応じた大きさのアンテナ集合体を形成する。制御部25は、アンテナとして機能させるアンテナ集合体に接続された第2スイッチを閉じて、それらのアンテナ集合体を信号源に接続する。
【0077】
図19のようにタッチセンサおよびアンテナを構成する場合、タッチパネル用のアンテナ集合体と、アンテナ用のアンテナ集合体とが近接した部分がある。このような場合、タッチパネル用のアンテナ集合体と、アンテナ用のアンテナ集合体とが近接した部分において、アンテナ用のアンテナ集合体からタッチパネル用のアンテナ集合体への雑音混入が起こる。その結果、アンテナ用のアンテナ集合体とタッチパネル用のアンテナ集合体とが相互に干渉する可能性がある。
【0078】
図20は、ディスプレイアンテナ20に含まれるアンテナアレイ21に構成されるタッチセンサの別の一例を示す概念図である。
図20においては、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとが交差する部分の周囲に不感領域Dが設定される。不感領域Dに位置しないアンテナ集合体は、
図19と同様に制御される。制御部25は、不感領域Dに位置するアンテナ集合体に接続された第2スイッチを開いて、それらのアンテナ集合体を信号源から切り離す。
図20のようにタッチセンサおよびアンテナが構成された場合、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとが交差する部分において、相互に干渉しにくくなる。すなわち、
図20のようにタッチセンサおよびアンテナが構成された場合、
図19の例よりも、タッチパネル用のアンテナ集合体と、アンテナ用のアンテナ集合体とが近接した部分における干渉が低減される。
【0079】
図21は、ディスプレイアンテナ20に含まれるアンテナアレイ21に構成されるタッチセンサのさらに別の一例を示す概念図である。
図21においては、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとが交差する部分の周囲のアンテナ集合体を不感領域Dに設定する。さらに、
図21においては、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとに沿った部分のアンテナ集合体を不感領域Dに設定する。不感領域Dに設定される部分以外のアンテナ集合体は、
図19の例と同様に制御される。制御部25は、不感領域Dに設定された部分のアンテナ集合体に接続された第2スイッチを開いて、それらのアンテナ集合体を信号源から切り離す。
図21のようにタッチセンサおよびアンテナが構成された場合、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとが交差する部分における干渉が低減される。さらに、
図21のようにタッチセンサおよびアンテナが構成された場合、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとに沿った部分における干渉が低減される。すなわち、
図21のようにタッチセンサおよびアンテナが構成された場合、
図20の例よりも、タッチパネル用のアンテナ集合体と、アンテナ用のアンテナ集合体とが近接した部分における干渉が低減される。
【0080】
図22は、ディスプレイアンテナ20に含まれる配線の構成の一例を示す概念図である。
図22は、ディスプレイアンテナ20の断面の一部分を側方の視座から見た図である。
図22には、パッチアンテナ211、移相器212、接地電極273、第2スイッチSW2、信号源SG、および接地スイッチSWGを示す。
図22においては、第1スイッチや、配線の符号を省略する。
図22においては、複数のパッチアンテナ211によって、アンテナ層が形成される。アンテナ層の下層には、複数の接地電極273によってシールド層が形成される。複数のパッチアンテナ211の各々は、配線を介して、移相器212に接続される。移相器212は、第2スイッチSW2を介して、信号源SGに接続される。また、移相器212は、接地スイッチSWGを介して、グランドに接続される。通常、接地スイッチSWGは、開いた状態である。
【0081】
第2スイッチSW2が閉じた状態の場合、移相器212を介して、複数のパッチアンテナ211が信号源SGに接続される。信号源SGに接続された移相器212には、信号源SGが発振した高周波信号が供給される。移相器212で移相された高周波信号は、その移相器212に接続されたパッチアンテナ211に供給される。パッチアンテナ211に供給された高周波信号は、無線信号として送出される。
【0082】
一方、第2スイッチSW2が開いた状態の場合、複数のパッチアンテナ211は、信号源SGの電位から浮いて、不活性になる。制御部25は、不感領域Dに設定されたパッチアンテナに接続された第2スイッチSW2を開く。その結果、開いた状態の第2スイッチSW2に接続されたパッチアンテナ211が不感状態に遷移する。また、接地スイッチSWGが閉じた状態の場合、移相器212を介して接地スイッチSWGに接続されたパッチアンテナ211が接地される。その結果、閉じた状態の接地スイッチSWGに接続されたパッチアンテナ211が不感状態に遷移する。接地スイッチSWGが閉じると、不感領域Dに設定されたパッチアンテナが接地される。そのため、タッチパネル用のパッチアンテナと、アンテナ用のパッチアンテナとが近接した部分における干渉を効果的に防止できる。
【0083】
図23は、ディスプレイアンテナ20に含まれる配線の構成の別の一例を示す概念図である。
図23は、ディスプレイアンテナ20の断面の一部分を側方の視座から見た図である。
図23には、パッチアンテナ211、移相器212、接地電極273、および信号源SGを示す。
図23においては、第1スイッチや、配線の符号を省略する。
図23においては、複数のパッチアンテナ211によって、アンテナ層が形成される。アンテナ層の下層には、複数の接地電極273によってシールド層が形成される。複数のパッチアンテナ211の各々は、電磁結合EC(Electromagnetic Coupling)によって、移相器212に接続される。移相器212は、信号源SGに接続される。
【0084】
信号源SGから高周波信号を供給すると、移相器212で移相された高周波信号は、電磁結合ECによって、その移相器212に対応付けられたパッチアンテナ211に供給される。パッチアンテナ211に供給された高周波信号は、無線信号として送出される。一方、信号源SGからの高周波信号の供給を停止すると、複数のパッチアンテナ211は、信号源SGの電位から浮いて、不活性になる。その結果、高周波信号の供給が停止されたパッチアンテナ211が不感状態に遷移する。
図23の例の場合、第2スイッチSW2や接地スイッチSWGを省いても、不感領域Dに設定されたパッチアンテナを信号源SGから浮いた状態に遷移させることができる。
【0085】
以上のように、本実施形態のディスプレイアンテナは、アンテナアレイ、第1スイッチ群、第2スイッチ群、ディスプレイ、および制御部を備える。アンテナアレイは、格子状に配列された複数のパッチアンテナを含む。パッチアンテナは、可視領域の光に対して透明である。第1スイッチ群は、隣接した2つのパッチアンテナを接続する配線に配置された第1スイッチによって構成される。第2スイッチ群は、隣接した少なくとも4つのパッチアンテナによって形成されるアンテナ集合体と、アンテナ集合体を構成する少なくとも1つのパッチアンテナに接続された信号源とを接続する配線に配置された第2スイッチによって構成される。ディスプレイは、格子状に配列された複数の発光器によって構成される。発光器は、パッチアンテナの下方に配置される。制御部は、複数の第1スイッチおよび複数の第2スイッチの開閉を制御する。制御部は、複数の第1スイッチを開閉制御して、送受信対象の電波の周波数帯に合わせた大きさでアンテナ集合体が構成されるように、複数のパッチアンテナを組み合わせる。また、制御部は、ディスプレイを構成する複数の発光器を制御する。制御部は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体を構成する複数のパッチアンテナに接続された第2スイッチが開いた状態に設定する。制御部は、第2スイッチが開いた状態で、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体の頂点の位置にあるパッチアンテナに接続された第1スイッチを閉じる。そのようにして、制御部は、タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体が行方向および列方向に配列されたタッチパネルを構成する。制御部は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体と、アンテナとして機能させるアンテナ集合体とが交差した部分に隣接したパッチアンテナを不活性にする。制御部は、行方向に配列された複数のアンテナ集合体によって形成された行と、列方向に配列された複数のアンテナ集合体によって形成された列との交点における容量変化に応じて、タッチパネルにおける接触位置を検出する。
【0086】
本実施形態のディスプレイアンテナは、複数のパッチアンテナの接続状態を変更することによって、アンテナ集合体の大きさを変更する。また、本実施形態のディスプレイアンテナは、格子状に配列された複数のパッチアンテナによって構成された複数のアンテナ集合体を行方向および列方向に接続させることによって、タッチセンサの機能を発現させる。本実施形態のディスプレイアンテナは、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体と、アンテナとして機能させるアンテナ集合体とが交差した部分に隣接したパッチアンテナを不活性にする。そのため、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体と、アンテナとして機能させるアンテナ集合体とが交差した部分において、アンテナからタッチセンサへの雑音混入が低減される。すなわち、本実施形態によれば、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体と、アンテナとして機能させるアンテナ集合体とが交差した部分において、アンテナからタッチセンサへの干渉が起こりにくくなる。
【0087】
本実施形態の一態様において、制御部は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体に隣接したパッチアンテナを不活性にする。そのため、アンテナからタッチセンサへの雑音混入による干渉が低減される。すなわち、本態様によれば、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体の全体に亘って、アンテナからタッチセンサへの干渉が起こりにくくなる。
【0088】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るアンテナアレイについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のアンテナアレイは、第1~第2の実施形態に係るディスプレイアンテナが備えるアンテナ装置を簡略化した構成である。
【0089】
図24は、本実施形態に係るアンテナ装置300の構成の一例を示すブロック図である。アンテナ装置300は、アンテナアレイ31、第1スイッチ群33、および第2スイッチ群34を備える。
【0090】
アンテナアレイ31は、格子状に配列された複数のパッチアンテナを含む。第1スイッチ群33は、隣接した2つのパッチアンテナを接続する配線に配置された第1スイッチによって構成される。第2スイッチ群34は、隣接した少なくとも4つのパッチアンテナによって形成されるアンテナ集合体と、アンテナ集合体を構成する少なくとも1つのパッチアンテナに接続された信号源とを接続する配線に配置された第2スイッチによって構成される。
【0091】
以上のように、本実施形態のアンテナ装置は、複数のパッチアンテナの接続状態を変更することによって、アンテナ集合体の大きさを変更する。また、本実施形態のアンテナ装置は、格子状に配列された複数のパッチアンテナによって構成された複数のアンテナ集合体を行方向および列方向に接続させることによって、タッチセンサの機能を発現させる。すなわち、本実施形態のアンテナ装置は、タッチパネルの機能を有し、送受信対象の電波の波長帯を変更できる。
【0092】
(ハードウェア)
次に、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、図面を参照しながら説明する。ここでは、そのようなハードウェア構成の一例として、
図25の情報処理装置90(コンピュータ)をあげる。
図25の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0093】
図25のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。
図25においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0094】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラム(命令)を、主記憶装置92に展開する。例えば、プログラムは、各実施形態の制御や処理を実行するためのソフトウェアプログラムである。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。プロセッサ91は、プログラムを実行することによって、各実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0095】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magneto resistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0096】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0097】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。外部機器と接続されるインターフェースとして、入出力インターフェース95と通信インターフェース96とが共通化されてもよい。
【0098】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。入力機器としてタッチパネルが用いられる場合、タッチパネルの機能を有する画面がインターフェースになる。プロセッサ91と入力機器とは、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0099】
情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器が備え付けられてもよい。表示機器が備え付けられる場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられる。情報処理装置90と表示機器は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0100】
情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体に格納されたデータやプログラムの読み込みや、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みを仲介する。情報処理装置90とドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0101】
以上が、本開示の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。
図25のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本開示の範囲を限定するものではない。各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも、本開示の範囲に含まれる。
【0102】
各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も、本開示の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0103】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせられてもよい。各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよい。各実施形態の構成要素は、回路によって実現されてもよい。
【0104】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0105】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
格子状に配列された複数のパッチアンテナを含むアンテナアレイと、
隣接した2つの前記パッチアンテナを接続する配線に配置された第1スイッチによって構成された第1スイッチ群と、
隣接した少なくとも4つの前記パッチアンテナによって形成されるアンテナ集合体と、前記アンテナ集合体を構成する少なくとも1つの前記パッチアンテナに接続された信号源とを接続する配線に配置された第2スイッチによって構成された第2スイッチ群と、を備えるアンテナ装置。
(付記2)
前記パッチアンテナは、正方形であり、
複数の前記パッチアンテナは、ダイヤパターンで配列され、
隣接した少なくとも4つの前記パッチアンテナは、前記アンテナ集合体を構成し、
前記第1スイッチは、隣接し合う2つの前記パッチアンテナの頂点を接続する配線に配置され、
前記第2スイッチは、前記アンテナ集合体を構成する少なくとも1つの前記パッチアンテナと前記信号源とを接続する配線に配置される付記1に記載のアンテナ装置。
(付記3)
複数の前記第1スイッチおよび複数の前記第2スイッチの開閉を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
複数の前記第1スイッチを開閉制御して、送受信対象の電波の周波数帯に合わせた大きさで前記アンテナ集合体が構成されるように、複数の前記パッチアンテナを組み合わせる付記2に記載のアンテナ装置。
(付記4)
前記制御部は、
タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体を構成する複数の前記パッチアンテナに接続された前記第2スイッチが開いた状態で、前記タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体の頂点の位置にある前記パッチアンテナに接続された前記第1スイッチを閉じることによって、前記タッチセンサとして機能する複数の前記アンテナ集合体が行方向および列方向に配列されたタッチパネルを構成し、
前記行方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された行と、前記列方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された列との交点における容量変化に応じて、前記タッチパネルにおける接触位置を検出する付記3に記載のアンテナ装置。
(付記5)
複数の前記パッチアンテナの各々と、送受信対象の信号が伝播する信号線との間に、送受信対象の電波を移相する移相器が配置され、
前記制御部は、
受信対象の電波の受信において、フェーズドアレイアンテナとして機能する前記アンテナ集合体を構成する少なくとも1つの前記パッチアンテナに接続された前記第2スイッチを開いた状態で前記受信対象の電波を受信し、
送信対象の電波の送信において、前記フェーズドアレイアンテナとして機能する前記アンテナ集合体を構成する少なくとも1つの前記パッチアンテナに接続された前記第2スイッチを閉じて、前記信号線を伝播する送信対象の信号を送信する付記4に記載のアンテナ装置。
(付記6)
前記制御部は、
前記タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体と、前記フェーズドアレイアンテナとして機能させる前記アンテナ集合体とを、異なる大きさで構成する付記5に記載のアンテナ装置。
(付記7)
前記制御部は、
前記タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体と、アレイアンテナとして機能させる前記アンテナ集合体とが交差した部分に隣接した前記パッチアンテナを不活性にする付記4に記載のアンテナ装置。
(付記8)
前記制御部は、
前記タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体に隣接した前記パッチアンテナを不活性にする付記7に記載のアンテナ装置。
(付記9)
付記4乃至8のいずれか一つに記載のアンテナ装置と、
格子状に配列された複数の発光器によって構成されたディスプレイと、を備え、
前記パッチアンテナは、
可視領域の光に対して透明であり、
前記発光器は、
前記パッチアンテナの下方に配置されるディスプレイアンテナ。
(付記10)
前記アンテナ装置に含まれる制御部は、
複数の第1スイッチおよび複数の第2スイッチを制御してタッチパネルを構成し、
前記タッチパネルにおける位置に対応付けられたユーザインターフェースを前記ディスプレイに表示させ、
前記行方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された行と、前記列方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された列との交点における容量変化に応じて、前記タッチパネルにおける接触位置を検出し、
検出された前記接触位置と、前記ディスプレイにおいて前記接触位置に表示された入力情報とを対応付けて、選択された前記入力情報を判別する付記9に記載のディスプレイアンテナ。
(付記11)
前記発光器は、
マイクロLED(Light-Emitting Diode)を含む付記9に記載のディスプレイアンテナ。
(付記12)
前記発光器は、
赤、緑、および青の波長帯の光を発する前記マイクロLEDを含む付記11に記載のディスプレイアンテナ。
【符号の説明】
【0106】
10、20 ディスプレイアンテナ
11、21、31 アンテナアレイ
12、22 ディスプレイ
13、23、33 第1スイッチ群
14、24、34 第2スイッチ群
15、25 制御部
111、211 パッチアンテナ
112、212 移相器
120、121、122 発光器
170 基板
171 配線層
173、273 接地電極
174 絶縁層
175 給電用電極
176 保護層
177 誘電体層
100、200、300 アンテナ装置