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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007955
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20240112BHJP
【FI】
H04N5/232 930
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109412
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 祐介
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA09
5C122EA42
5C122FA05
5C122FC00
5C122FD01
5C122FH04
5C122FK12
5C122FK24
5C122HA46
5C122HA76
5C122HB01
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】撮影範囲の調整を容易にすることができる。
【解決手段】情報処理装置10は、ディスプレイ11と、カメラ12と、処理部14とを有する。カメラ12は、ディスプレイ11の背面に設置される。処理部14は、カメラ12を向けた撮影対象物1までの距離を特定する。処理部14は、距離とカメラ12の背面上の設置位置とに応じて表示範囲2aを決定する。処理部14は、カメラ12のイメージセンサが出力したセンサ範囲2の画像のうち、表示範囲2aの画像をディスプレイ11に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイの背面に設置されたカメラと、
前記カメラを向けた撮影対象物までの距離を特定し、前記距離と前記カメラの前記背面上の設置位置とに応じて表示範囲を決定し、前記カメラのイメージセンサが出力したセンサ範囲の画像のうち、前記表示範囲の画像を前記ディスプレイに出力する処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記撮影対象物が書類であるか否かを判定し、前記撮影対象物が書類であると判定した場合、前記表示範囲の画像を前記ディスプレイに出力する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、重力センサを有し、
前記処理部は、前記重力センサの出力に基づいて、前記情報処理装置が水平であると判定した場合、前記撮影対象物が書類であると判定する、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記センサ範囲の中央の範囲を前記設置位置に応じた方向に、前記距離に応じた度合いでずらした前記表示範囲を決定する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記カメラは、オートフォーカスを実行可能であり、
前記処理部は、前記オートフォーカスでピントを合わせた設定に基づいて、前記距離を特定する、
請求項1記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タブレットのカメラで撮影をすることがある。タブレットのカメラが取得した画像は、ディスプレイに表示される。そして、撮影ボタンが押下されると、ディスプレイに表示された画像が撮影画像として出力される。
【0003】
タブレットによる撮影に関する技術としては、例えば、撮像画像の撮像精度を向上させる情報処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-114968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ユーザは、タブレットで書類を撮影する場合、書類を机等に置き、ディスプレイに表示された画像を見ながらタブレットの位置を調整する。タブレットのカメラは、ディスプレイの背面の中央に設けられていないことが多いため、ディスプレイに表示された画像とタブレットの位置から見た光景とにずれが生じる。これにより、撮影範囲の調整が難しくなる。
【0006】
1つの側面では、本件は、撮影範囲の調整を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、ディスプレイと、カメラと、処理部とを有する情報処理装置が提供される。カメラは、ディスプレイの背面に設置される。処理部は、カメラを向けた撮影対象物までの距離を特定し、距離とカメラの背面上の設置位置とに応じて表示範囲を決定し、カメラのイメージセンサが出力したセンサ範囲の画像のうち、表示範囲の画像をディスプレイに出力する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、撮影範囲の調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。
図2】第2の実施の形態の概要を示す図である。
図3】タブレットのハードウェアの一構成例を示す図である。
図4】タブレットによる撮影時の表示範囲の一例を示す図である。
図5】タブレットの機能例を示すブロック図である。
図6】表示範囲テーブルの一例を示す図である。
図7】カメラの設置位置と表示範囲との関係の一例を示す図である。
図8】電流とピント位置との関係の一例を示す図である。
図9】座標系の一例を示す図である。
図10】表示範囲調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図11】カメラの設置位置と表示範囲との関係の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。第1の実施の形態は、情報処理装置10を用いて撮影対象物1を撮影するものである。撮影対象物1は、情報処理装置10のカメラ12を向けられた、撮影の対象である。
【0011】
情報処理装置10は、撮影機能を有するコンピュータである。情報処理装置10は、例えば、タブレットやスマートフォン等である。情報処理装置10は、ディスプレイ11、カメラ12、重力センサ13および処理部14を有する。ディスプレイ11は、情報処理装置10の表示装置である。ディスプレイ11は、例えば、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置等である。カメラ12は、レンズを向けた先から集光し、レンズからの光をイメージセンサによって電気信号に変換して画像を生成する。カメラ12は、ディスプレイ11の背面に設置される。また、カメラ12は、オートフォーカスを実行可能である。例えば、カメラ12は、電流を流してスプリングの強さを変え、ピントが合うようにレンズを移動させる。
【0012】
重力センサ13は、重力方向を検知可能なセンサである。なお、重力センサ13は、ジャイロセンサや加速度センサであってもよい。処理部14は、情報処理装置10を制御し、所要の処理を実行可能である。処理部14は、例えば、情報処理装置10が有するプロセッサまたは演算回路である。処理部14は、以下のようにして、撮影対象物1の撮影時に撮影範囲を示す画像をディスプレイ11に表示する。
【0013】
まず、処理部14は、撮影対象物1が書類であるか否かを判定する。例えば、処理部14は、重力センサ13の出力に基づいて、情報処理装置10が水平であると判定した場合、撮影対象物1が書類であると判定する。なお、処理部14は、文字認識等によって、撮影対象物1が書類であるか否かを判定してもよい。処理部14は、撮影対象物1が書類ではないと判定した場合、カメラ12のイメージセンサが出力したセンサ範囲2の画像のうち中央の範囲の画像をディスプレイ11に出力する。
【0014】
処理部14は、撮影対象物1が書類であると判定した場合、カメラ12を向けた撮影対象物1までの距離を特定する。ここで、処理部14は、オートフォーカスでピントを合わせた設定に基づいて、距離を特定する。例えば、処理部14は、レンズを移動させるために流した電流値を検出し、電流値とピント位置との対応関係を示す情報から、検出した電流値に対応するピント位置までの距離を撮影対象物1までの距離として特定する。
【0015】
処理部14は、距離とカメラ12の背面上の設置位置とに応じて表示範囲2aを決定する。まず、処理部14は、カメラ12のイメージセンサが出力したセンサ範囲2の画像を取得する。そして、処理部14は、センサ範囲2の中央の範囲を設置位置に応じた方向に、距離に応じた度合いでずらした表示範囲2aを決定する。例えば、処理部14は、距離と範囲との対応関係を示す情報に基づいて、特定した距離に対応する表示範囲2aを決定する。なお、距離と範囲との対応関係を示す情報は、センサ範囲2の中央の範囲を、カメラ12の背面上の設置位置から背面の中心方向に、距離が短いほど大きくずらした範囲が設定される。
【0016】
そして、処理部14は、センサ範囲2の画像のうち、表示範囲2aの画像をディスプレイ11に出力する。ここで、処理部14は、撮影することを示す操作を受け付けると、ディスプレイ11に出力した画像を撮影画像として出力する。
【0017】
第1の実施の形態によれば、カメラ12は、ディスプレイ11の背面に設置される。処理部14は、カメラ12を向けた撮影対象物1までの距離を特定する。処理部14は、距離とカメラ12の背面上の設置位置とに応じて表示範囲2aを決定する。そして、処理部14は、カメラ12のイメージセンサが出力したセンサ範囲2の画像のうち、表示範囲2aの画像をディスプレイ11に出力する。
【0018】
これにより、情報処理装置10は、撮影範囲を決める際に表示する画像を、情報処理装置10の位置からの光景に近づけることができる。よって、情報処理装置10は、撮影範囲の調整を容易にすることができる。
【0019】
また、処理部14は、撮影対象物1が書類であるか否かを判定し、撮影対象物1が書類であると判定した場合、表示範囲2aの画像をディスプレイ11に出力する。これにより、情報処理装置10は、撮影対象物1が書類である場合に、書類の撮影に適した設定で撮影範囲を調整できる。
【0020】
また、情報処理装置10は、重力センサ13を有し、処理部14は、重力センサ13の出力に基づいて、情報処理装置10が水平であると判定した場合、撮影対象物1が書類であると判定する。これにより、情報処理装置10は、撮影対象物1が書類であるか否かを適切に判定できる。
【0021】
また、処理部14は、センサ範囲2の中央の範囲を設置位置に応じた方向に、距離に応じた度合いでずらした表示範囲2aを決定する。これにより、情報処理装置10は、撮影範囲を決める際に表示する画像を、情報処理装置10の中心からの光景に近づけることができる。
【0022】
また、カメラ12は、オートフォーカスを実行可能であり、処理部14は、オートフォーカスでピントを合わせた設定に基づいて、距離を特定する。これにより、情報処理装置10は、撮影対象物1までの距離を適切に特定できる。
【0023】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、タブレットで書類を撮影するものである。
【0024】
図2は、第2の実施の形態の概要を示す図である。第2の実施の形態のタブレット100は、書類20を撮影する。書類20は、例えば、机の上等の水平面に設置される。タブレット100は、ディスプレイ104とカメラ107とを有する。ディスプレイ104は、タブレット100の表示装置である。カメラ107は、ディスプレイ104の背面に設置されている。カメラ107は、タブレット100の長手の辺が上下になるようにして、ディスプレイ104側から見たときに右上に設置されている。
【0025】
書類20の撮影時、ユーザは、タブレット100をカメラ107が下を向くようにして、書類20の上で水平になるように持つ。タブレット100は、カメラ107から取得した画像をディスプレイ104に表示する。ユーザは、ディスプレイ104に表示された画像を見ながら、タブレット100の位置を調節し、撮影ボタンを押下する。すると、タブレット100は、撮影ボタン押下時に、ディスプレイ104に表示されていた画像を撮影画像として出力する。
【0026】
図3は、タブレットのハードウェアの一構成例を示す図である。タブレット100は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス110を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0027】
メモリ102は、タブレット100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0028】
バス110に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、ディスプレイ104、タッチパネル105、機器接続インタフェース106、カメラ107、重力センサ108および無線通信インタフェース109がある。
【0029】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、コンピュータの補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばフラッシュメモリ等を使用することができる。
【0030】
ディスプレイ104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像を表示する。ディスプレイ104としては、有機ELを用いた表示装置や液晶表示装置等がある。タッチパネル105は、ディスプレイ104の画面の前面に配置されており、画面上の押された位置を検知して、その位置を示す信号をプロセッサ101に送信する。
【0031】
機器接続インタフェース106は、タブレット100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば、機器接続インタフェース106には、メモリカード31を接続することができる。メモリカード31は、機器接続インタフェース106との通信機能を搭載した、カード型の記録媒体である。
【0032】
カメラ107は、レンズを向けた先からの光をイメージセンサによって電気信号に変換して画像を生成する。カメラ107は、プロセッサ101からの命令に従って、カメラ107のレンズを向けた先の光景の静止画または動画のデータを生成し、メモリ102に格納する。また、カメラ107は、オートフォーカス機能を有する。カメラ107は、電流値によってスプリングの強さを制御してピントが合う位置にレンズを移動させる。
【0033】
重力センサ108は、所定方向の加速度を検知することで、重力方向を検知可能なセンサである。重力センサ108は、タブレット100の水平面に対する傾きをプロセッサ101に通知する。
【0034】
無線通信インタフェース109は、無線通信によるネットワークインタフェースである。無線通信インタフェース109は、ネットワーク30に接続されている。無線通信インタフェース109は、ネットワーク30を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0035】
タブレット100は、以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、プロセッサ101は、第1の実施の形態に示した処理部14の一例である。
【0036】
タブレット100は、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。タブレット100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、タブレット100に実行させるプログラムをストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。またタブレット100に実行させるプログラムを、メモリカード31等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、プロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。また、プロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0037】
次に、書類20を撮影するときのタブレット100の表示範囲について説明する。
図4は、タブレットによる撮影時の表示範囲の一例を示す図である。タブレット100は、カメラ107から取得した画像をディスプレイ104に表示し、撮影ボタンが押下された場合に、表示している画面を撮影画像として出力する。
【0038】
ここで、タブレット100は、カメラ107のイメージセンサが出力した画像の中央の範囲である表示範囲63を表示することが考えられる。しかし、カメラ107がタブレット100の中央に設けられていないため、表示範囲63は、タブレット100の中央から見た光景である期待表示範囲51とずれる。すると、ユーザは、撮影範囲を調整しにくくなる。
【0039】
そこで、第2の実施の形態では、タブレット100は、書類20を撮影するときに、カメラ107の設置位置に基づいて、表示範囲63を期待表示範囲51に近づくようずらした表示範囲64を表示する。これにより、タブレット100は、ユーザに違和感なく撮影範囲の調節をさせることができる。次に、タブレット100の機能について詳細に説明する。
【0040】
図5は、タブレットの機能例を示すブロック図である。タブレット100は、記憶部120、カメラ制御部130および範囲決定部140を有する。記憶部120は、メモリ102またはストレージ装置103の記憶領域を用いて実現される。カメラ制御部130および範囲決定部140は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。
【0041】
記憶部120は、表示範囲テーブル121を記憶する。表示範囲テーブル121は、オートフォーカスにおける電流値と、撮影対象物までの距離と、表示範囲64との対応関係を示すテーブルである。
【0042】
カメラ制御部130は、カメラ107を制御する。カメラ制御部130は、カメラ107を起動させ、カメラ107のイメージセンサが出力した画像を取得する。カメラ制御部130は、カメラ107にオートフォーカスを実行させ、実行されたオートフォーカスにおいてピントが合った位置での電流値を検出する。
【0043】
範囲決定部140は、カメラ107で撮影時にディスプレイ104に表示する画像の範囲を決定する。範囲決定部140は、カメラ制御部130がカメラ107を起動すると、タブレット100が水平であるか否かを判定する。例えば、範囲決定部140は、重力センサ108からタブレット100の水平面に対する傾きを取得する。範囲決定部140は、重力センサ108から取得した傾きが所定の角度以下である場合、タブレット100が水平であると判定する。範囲決定部140は、タブレット100が水平でない場合、カメラ107のイメージセンサが出力した画像の中央の範囲をディスプレイ104に表示する。
【0044】
範囲決定部140は、タブレット100が水平である場合、カメラ制御部130が検出した電流値に対応する撮影距離を特定する。例えば、範囲決定部140は、表示範囲テーブル121を参照し、検出された電流値に対応する距離を撮影距離として特定する。
【0045】
範囲決定部140は、特定された撮影距離に対応する範囲を表示範囲64に決定する。例えば、範囲決定部140は、表示範囲テーブル121を参照し、特定された撮影距離に対応する範囲を表示範囲64に決定する。範囲決定部140は、カメラ107のイメージセンサが出力した画像のうち、決定した表示範囲64の画像をディスプレイ104に表示する。
【0046】
なお、図5に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。次に、記憶部120が記憶する表示範囲テーブル121について説明する。
【0047】
図6は、表示範囲テーブルの一例を示す図である。表示範囲テーブル121は、オートフォーカスにおける電流値と、撮影対象物までの距離と、表示範囲との対応関係を示すテーブルである。表示範囲テーブル121は、電流(mA)、撮影距離(cm)、始点および範囲の項目を有する。
【0048】
電流(mA)の項目には、オートフォーカスにおいてスプリングを制御するために流される電流の電流値がmA単位で設定される。撮影距離(cm)の項目には、電流値に対応する、ピントが合う位置までの距離がcm単位で設定される。始点の項目には、カメラ107のイメージセンサが出力する画像における表示範囲64の始点の座標が設定される。範囲の項目には、カメラ107のイメージセンサが出力する画像における表示範囲64の大きさが設定される。次に、カメラ107の設置位置と表示範囲64との関係について説明する。
【0049】
図7は、カメラの設置位置と表示範囲との関係の一例を示す図である。カメラ107は、タブレット100の長手の辺が上下になるようにして、ディスプレイ104側から見たときに右上に設置されている。カメラ107は、レンズによって集光し、レンズからの光をイメージセンサによって画像に変換する。
【0050】
イメージサークル61は、レンズによって集光される範囲を示す。センサ範囲62は、イメージセンサが配置されている範囲である。カメラ107は、イメージサークル61のうち、センサ範囲62の画像を出力する。表示範囲63は、センサ範囲62の中央の所定の大きさの範囲である。
【0051】
範囲決定部140は、センサ範囲62の画像をカメラ107から取得する。ここで、カメラ107がディスプレイ104側から見たときに右上に設置されているため、ディスプレイ104側から見たときのカメラ107からタブレット100の中心への方向は、左下である。範囲決定部140は、センサ範囲62の画像のうち、表示範囲63を左下にずらした表示範囲64の画像をディスプレイ104に表示する。
【0052】
なお、タブレット100と書類20との距離が短いほど、表示範囲63と期待表示範囲51とのずれが大きくなる。そこで、範囲決定部140は、距離が小さいほど、表示範囲63から左下にずらした表示範囲64の画像をディスプレイ104に表示する。
【0053】
このように、範囲決定部140は、期待表示範囲51に近づけた表示範囲64を表示することができる。これにより、範囲決定部140は、撮影範囲の調整を容易にすることができる。なお、上記の例では、カメラ107のレンズによってできる像が正立像の場合について説明した。カメラ107のレンズによってできる像が反転している場合、範囲決定部140は、像の反転方向に合わせて、カメラ107からタブレット100の中心への方向を反転させた方向に表示範囲63をずらした表示範囲64の画像をディスプレイ104に表示する。次に、カメラ107がオートフォーカスにおいて流す電流とピント位置との関係について説明する。
【0054】
図8は、電流とピント位置との関係の一例を示す図である。グラフ71は、カメラ107がオートフォーカスにおいて流す電流とピント位置との関係を示す。グラフ71の縦軸は、ピント位置までの距離を示す。グラフ71の横軸は、カメラ107がオートフォーカスにおいて流す電流の電流値を示す。
【0055】
グラフ71は、ピント位置までの距離が短いほど、電流値が大きくなることを示す。表示範囲テーブル121の電流(mA)および撮影距離(cm)の項目には、グラフ71に示す対応関係が設定される。これにより、カメラ制御部130は、オートフォーカスにおいて流れた電流の電流値を検出し、表示範囲テーブル121を参照して、検出した電流値に対応する距離を特定することで、書類20までの距離を特定することができる。次に、表示範囲64を設定するための座標系について説明する。
【0056】
図9は、座標系の一例を示す図である。第2の実施の形態では、センサ範囲62の画像は、横2400×縦1600の座標系で表される。センサ範囲62の画像の左上は、(0,0)に設定される。また、センサ範囲62の画像の右下は、(2400,1600)に設定される。表示範囲63は、(300,200)を始点(左上)とした1800×1200の範囲で設定される。
【0057】
表示範囲テーブル121には、図9に示すような座標系において、対応する距離が小さいほど、表示範囲63から左下にずれている表示範囲64が設定される。例えば、表示範囲テーブル121の撮影距離(cm)の項目に60以上が設定されているレコードの始点の項目には、(300,200)が設定され、範囲の項目には、1800×1200が設定されている。また、例えば、表示範囲テーブル121の撮影距離(cm)の項目に30が設定されているレコードの始点の項目には、(190,275)が設定され、範囲の項目には、1800×1200が設定されている。また、例えば、表示範囲テーブル121の撮影距離(cm)の項目に20が設定されているレコードの始点の項目には、(0,400)が設定され、範囲の項目には、1800×1200が設定されている。
【0058】
なお、撮影対象までの距離が大きい場合、表示範囲63と期待表示範囲51との差は小さい。そこで、表示範囲テーブル121には、60cm以上の距離に対応付けて、表示範囲63が表示範囲64として設定されている。
【0059】
範囲決定部140は、このような表示範囲テーブル121を参照して、特定された書類20までの距離に対応する表示範囲64を決定する。これにより、範囲決定部140は、期待表示範囲51に近づけた表示範囲64を表示できる。
【0060】
次に、タブレット100による表示範囲調整処理について説明する。
図10は、表示範囲調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0061】
[ステップS11]カメラ制御部130は、カメラ107を起動させる。すると、カメラ制御部130は、カメラ107からセンサ範囲62の画像を取得する。
[ステップS12]範囲決定部140は、タブレット100が水平であるか否かを判定する。例えば、範囲決定部140は、重力センサ108からタブレット100の水平面に対する傾きを取得する。範囲決定部140は、重力センサ108から取得した傾きが所定の角度以下である場合、タブレット100が水平であると判定する。範囲決定部140は、タブレット100が水平であると判定した場合、処理をステップS14に進める。また、タブレット100が水平でないと判定した場合、処理をステップS13に進める。
【0062】
[ステップS13]範囲決定部140は、センサ範囲62の中央を表示範囲63に決定する。そして、処理がステップS18に進む。
[ステップS14]カメラ制御部130は、カメラ107にオートフォーカスを実行させる。
【0063】
[ステップS15]カメラ制御部130は、ステップS14で実行されたオートフォーカスにおいてピントが合った位置での電流値を検出する。
[ステップS16]範囲決定部140は、ステップS15で検出された電流値に対応する撮影距離を特定する。例えば、範囲決定部140は、表示範囲テーブル121の、検出された電流値に最も近い値が電流値(mA)の項目に設定されたレコードを特定する。範囲決定部140は、特定したレコードの撮影距離(cm)の項目に設定された距離を撮影距離として特定する。
【0064】
[ステップS17]範囲決定部140は、ステップS16で特定された撮影距離に対応する範囲を表示範囲64に決定する。例えば、範囲決定部140は、表示範囲テーブル121の、特定された撮影距離が撮影距離(cm)の項目に設定されたレコードを特定する。範囲決定部140は、センサ範囲62の画像のうち、特定したレコードの始点の項目に設定された座標を始点として、範囲の項目に設定された大きさの範囲を表示範囲64に決定する。
【0065】
[ステップS18]範囲決定部140は、センサ範囲62の画像のうち、ステップS13で決定した表示範囲63またはステップS17で決定した表示範囲64の画像をディスプレイ104に表示する。
【0066】
このようにして、範囲決定部140は、撮影対象物までの距離を特定し、表示範囲テーブル121を参照して、特定した距離に対応する表示範囲64を表示する。範囲決定部140は、オートフォーカスにおいて検出された電流値に対応する距離を表示範囲テーブル121から特定する。表示範囲テーブル121には、グラフ71で示される、距離と電流値との対応関係が設定されているため、範囲決定部140は、書類20までの距離を適切に特定できる。
【0067】
また、表示範囲テーブル121には、対応する距離が小さいほど、表示範囲63からカメラ107からタブレット100の中心への方向にずれている範囲が設定される。範囲決定部140は、表示範囲テーブル121を参照して、表示範囲64を決定し、センサ範囲62の画像のうち表示範囲64の画像を表示することで、書類20を撮影する際に表示する画像を期待表示範囲51に近づけることができる。よって、範囲決定部140は、撮影範囲の調整を容易にすることができる。
【0068】
なお、範囲決定部140は、タブレット100が水平であるか否かを判定する。タブレット100は、書類20を撮影する際、水平にされる可能性が高い。よって、範囲決定部140は、撮影対象物が書類20であるか否かを適切に判定できる。そして、範囲決定部140は、タブレット100が水平である(つまり、撮影対象物が書類20である)場合に、表示範囲64の画像を表示する。これにより、範囲決定部140は、撮影対象物が書類20である場合に、書類20の撮影範囲の調整に適した表示範囲64の画像を表示できる。
【0069】
第2の実施の形態によれば、カメラ107は、ディスプレイ104の背面に設置される。範囲決定部140は、カメラ107を向けた撮影対象物までの距離を特定する。範囲決定部140は、距離とカメラ107の背面上の設置位置とに応じて表示範囲64を決定する。そして、範囲決定部140は、カメラ107のイメージセンサが出力したセンサ範囲62の画像のうち、表示範囲64の画像をディスプレイ104に出力する。これにより、タブレット100は、撮影範囲を決める際に表示する画像を、期待表示範囲51に近づけることができる。よって、タブレット100は、撮影範囲の調整を容易にすることができる。
【0070】
また、範囲決定部140は、撮影対象物が書類20であるか否かを判定し、撮影対象物が書類20であると判定した場合、表示範囲64の画像をディスプレイ104に出力する。これにより、タブレット100は、撮影対象物が書類20である場合に、書類20の撮影に適した設定で撮影範囲を調整できる。
【0071】
また、タブレット100は、重力センサ108を有し、範囲決定部140は、重力センサ108の出力に基づいて、タブレット100が水平であると判定した場合、撮影対象物が書類20であると判定する。これにより、タブレット100は、撮影対象物が書類20であるか否かを適切に判定できる。
【0072】
また、範囲決定部140は、センサ範囲62の中央の範囲を設置位置に応じた方向に、距離に応じた度合いでずらした表示範囲64を決定する。これにより、タブレット100は、撮影範囲を決める際に表示する画像を、期待表示範囲51に近づけることができる。
【0073】
また、カメラ107は、オートフォーカスを実行可能であり、カメラ制御部130は、オートフォーカスでピントを合わせた設定に基づいて、距離を特定する。これにより、タブレット100は、書類20までの距離を適切に特定できる。
【0074】
なお、上記の例では、カメラ107がディスプレイ104側から見たときに右上に設置されているため、タブレット100は、表示範囲63を左下にずらした表示範囲64を表示するが、カメラ設置位置が異なる場合、表示範囲63をずらす方向も異なる。
【0075】
図11は、カメラの設置位置と表示範囲との関係の他の一例を示す図である。タブレット100aは、ディスプレイ104aとカメラ107aとを有する。カメラ107aは、ディスプレイ104aの背面に設置されている。カメラ107aは、タブレット100aの長手の辺が上下になるようにして、ディスプレイ104a側から見たときに、中央上部に設置されている。
【0076】
イメージサークル61aは、カメラ107aのレンズによって集光される範囲を示す。センサ範囲62aは、カメラ107aのイメージセンサが配置されている範囲である。カメラ107aは、イメージサークル61aのうち、センサ範囲62aの画像を出力する。表示範囲63aは、センサ範囲62aの中央の所定の大きさの範囲である。
【0077】
ここで、カメラ107aがディスプレイ104a側から見たときに中央上部に設置されているため、ディスプレイ104a側から見たときのカメラ107aからタブレット100aの中心への方向は、下である。タブレット100aは、センサ範囲62aの画像のうち、表示範囲63aを下にずらした表示範囲64aの画像をディスプレイ104aに表示する。これによりタブレット100aは、撮影範囲の調整を容易にすることができる。
【0078】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 撮影対象物
2 センサ範囲
2a 表示範囲
10 情報処理装置
11 ディスプレイ
12 カメラ
13 重力センサ
14 処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11