(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079569
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159072
(22)【出願日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2022-0164412
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨオナ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ジ ヒェ
(72)【発明者】
【氏名】リー、カンハ
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュル セウン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC32
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
(57)【要約】
【課題】本発明は積層型電子部品に関する。
【解決手段】積層型電子部品は誘電体層及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面に配置される第1-1電極層、上記第1-1電極層上に配置され、ガラスを含む第1-2電極層及び上記第1面及び第2面に配置され、第1-2電極層と連結される第1-3電極層を含む第1外部電極と、上記第4面に配置される第2-1電極層、上記第2-1電極層上に配置されガラスを含む第2-2電極層及び上記第1面及び第2面に配置され第2-2電極層と連結される第2-3電極層を含む第2外部電極とを含み、上記各電極層のうちガラスの面積分率が予め定められた関係を満たすことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記第3面に配置される第1-1電極層、前記第1-1電極層上に配置され、ガラスを含む第1-2電極層、及び前記第1面及び第2面に配置され、第1-2電極層と連結される第1-3電極層を含む第1外部電極と、
前記第4面に配置される第2-1電極層、前記第2-1電極層上に配置され、ガラスを含む第2-2電極層、及び前記第1面及び第2面に配置され、第2-2電極層と連結される第2-3電極層を含む第2外部電極と、を含み、
前記第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面において、前記第1-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-2、前記第1-3電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-3、前記第2-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-2、前記第2-3電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-3としたときに、
S1-2≧15%、S1-2>S1-3、S2-2≧15%、及びS2-2>S2-3を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記S1-3及びS2-3がS1-3≦14%及びS2-3≦14%を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記S1-2は、前記第1-2電極層の第1方向の中央領域で測定したものであり、前記S1-3は、前記第1-3電極層の第2方向の中央領域で測定したものであり、
前記S2-2は、前記第2-2電極層の第1方向の中央領域で測定したものであり、前記S2-3は、前記第2-3電極層の第2方向の中央領域で測定したものである、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1-1電極層及び第2-1電極層はガラスを含まない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1-2電極層は前記第3面の少なくとも一部と接し、
前記第2-2電極層は前記第4面の少なくとも一部と接する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1面と第3面を連結する第1-3コーナー、前記第1面と第4面を連結する第1-4コーナー、前記第2面と第3面を連結する第2-3コーナー、前記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーを含み、
前記第1-2電極層は、前記第1-3コーナー及び第2-3コーナーと接し、
前記第2-2電極層は、前記第1-4コーナー及び第2-4コーナーと接する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1面と第3面を連結する第1-3コーナー、前記第1面と第4面を連結する第1-4コーナー、前記第2面と第3面を連結する第2-3コーナー、前記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーを含み、
前記第1-3電極層は、前記第1-3コーナー及び第2-3コーナーと接し、
前記第2-3電極層は、前記第1-4コーナー及び第2-4コーナーと接する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1-1電極層の平均厚さをt1、前記第1-2電極層の平均厚さをt2としたときに、t2>t1を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記本体の第1方向の中央で測定した前記第1-1電極層の厚さをtm、前記本体の第1方向の最外側に配置された第1または第2内部電極で測定した前記第1-1電極層の厚さをtcとしたときに、tc/tmは0.8以上1.0以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1外部電極は、前記第1-2電極層上に配置され、前記第1-3電極層上に延びる第1-4電極層を含み、
前記第2外部電極は、前記第2-2電極層上に配置され、前記第2-3電極層上に延びる第2-4電極層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第1-1電極層、第1-2電極層、第1-3電極層、第2-1電極層、第2-2電極層、及び第2-3電極層はそれぞれ金属を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記第3面に配置される第1-1電極層、前記第1-1電極層上に配置される第1-2電極層、及び前記第1面及び第2面に配置され、第1-2電極層と連結される第1-3電極層を含む第1外部電極と、
前記第4面に配置される第2-1電極層、前記第2-1電極層上に配置される第2-2電極層、及び前記第1面及び第2面に配置され、第2-2電極層と連結される第2-3電極層を含む第2外部電極と、を含み、
前記第1-1電極層及び第2-1電極層はそれぞれ、Cu、Ni、Cr、Sn、及びPdのうち1つ以上を含むめっき層であり、
前記第1-2電極層及び第2-2電極層はそれぞれガラスを含み、
前記第1-2電極層に含まれているガラスの含量は、前記第1-3電極層に含まれているガラスの含量より大きく、前記第2-2電極層に含まれているガラスの含量は、前記第2-3電極層に含まれているガラスの含量より大きい、積層型電子部品。
【請求項13】
前記第1-2電極層は、前記第3面の少なくとも一部と接し、
前記第2-2電極層は、前記第4面の少なくとも一部と接する、請求項12に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の1つである積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサーである。
【0003】
積層セラミックキャパシターは、小型でありながらも高容量が保障され、且つ実装が容易であるという利点を有するため、種々の電子装置の部品として用いられることができる。コンピューター、モバイル機器などの各種電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシターに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。かかる積層セラミックキャパシターの小型化及び高容量化の傾向に伴い、積層セラミックキャパシターの単位体積当たりの容量を増加させることに対する重要性が高くなっている。
【0004】
近年、フォルダブルスマートフォン(foldable smart phone)及びウェアラブルデバイス(wearable device)の登場により、積層セラミックキャパシターには、基板の変形などによる外部応力に対する高い抵抗性が求められている。積層セラミックキャパシターが応力に対する抵抗性を備えられない場合、クラック(crack)により耐湿信頼性及び高温信頼性が低下する恐れがある。
【0005】
かかる問題を解決するために、外部電極に含まれるガラスの含量を低くする方法が考えられる。外部電極に含まれるガラスの含量が小さい場合、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に、実装面上に配置された外部電極がピールオフ(peel-off)されることで、本体にクラックが発生することを防止することができる。
【0006】
しかし、外部電極に含まれるガラスの含量を低くすると、外部電極の緻密度が低下し、これにより、外部電極に形成されたポア(pore)を介して外部の水分が内部電極に浸透し、積層セラミックキャパシターの信頼性を低下させる恐れがある。
【0007】
したがって、外部応力により本体にクラックが発生することを防止するとともに、積層セラミックキャパシターの耐湿信頼性を向上させることができる外部電極の構造に関する研究が必要とされている状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の様々な目的の1つは、外部応力により本体にクラックが発生することを防止することにある。
【0009】
本発明の様々な目的の1つは、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることにある。
【0010】
本発明の様々な目的の1つは、内部電極と外部電極との結合力に優れた積層型電子部品を提供することにある。
【0011】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面に配置される第1-1電極層、上記第1-1電極層上に配置され、ガラスを含む第1-2電極層、及び上記第1面及び第2面に配置され、第1-2電極層と連結される第1-3電極層を含む第1外部電極と、上記第4面に配置される第2-1電極層、上記第2-1電極層上に配置され、ガラスを含む第2-2電極層、及び上記第1面及び第2面に配置され、第2-2電極層と連結される第2-3電極層を含む第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面において、上記第1-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-2、上記第1-3電極層のうちガラスが占める面積分率をS1-3、上記第2-2電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-2、上記第2-3電極層のうちガラスが占める面積分率をS2-3としたときに、S1-2≧15%、S1-2>S1-3、S2-2≧15%、及びS2-2>S2-3を満たすことができる。
【0013】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、上記第3面に配置される第1-1電極層、上記第1-1電極層上に配置される第1-2電極層、及び上記第1面及び第2面に配置され、第1-2電極層と連結される第1-3電極層を含む第1外部電極と、上記第4面に配置される第2-1電極層、上記第2-1電極層上に配置される第2-2電極層、及び上記第1面及び第2面に配置され、第2-2電極層と連結される第2-3電極層を含む第2外部電極と、を含み、上記第1-1電極層及び第2-1電極層はそれぞれ、Cu、Ni、Cr、Sn、及びPdのうち1つ以上を含むめっき層であり、上記第1-2電極層及び第2-2電極層はそれぞれガラスを含み、上記第1-2電極層に含まれているガラスの含量は、上記第1-3電極層に含まれているガラスの含量より大きく、上記第2-2電極層に含まれているガラスの含量は、上記第2-3電極層に含まれているガラスの含量より大きいことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の様々な効果の1つとして、外部応力により本体にクラックが発生することを防止することができる。
【0015】
本発明の様々な効果の1つとして、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明の様々な効果の1つとして、内部電極と外部電極との結合力に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1のI-I'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図である。
【
図3】
図1のII-II'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0019】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0021】
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は
図1のI-I'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図であり、
図3は
図1のII-II'に沿って切断した断面を概略的に示した断面図であり、
図4は本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図であり、
図5は
図2のK1領域の拡大図であり、
図6は
図2のK2領域の拡大図であり、
図7は
図2のK3領域の拡大図である。
【0022】
図1から
図7を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3面に配置される第1-1電極層131a、上記第1-1電極層上に配置され、ガラスを含む第1-2電極層131b、及び上記第1面及び第2面に配置され、第1-2電極層と連結される第1-3電極層131cを含む第1外部電極131と、上記第4面に配置される第2-1電極層132a、上記第2-1電極層上に配置され、ガラスを含む第2-2電極層132b、及び上記第1面及び第2面に配置され、第2-2電極層と連結される第2-3電極層132cを含む第2外部電極132と、を含み、上記第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面において、上記第1-2電極層131bのうちガラスが占める面積分率をS1-2、上記第1-3電極層131cのうちガラスが占める面積分率をS1-3、上記第2-2電極層132bのうちガラスが占める面積分率をS2-2、上記第2-3電極層132cのうちガラスが占める面積分率をS2-3としたときに、S1-2≧15%、S1-2>S1-3、S2-2≧15%、及びS2-2>S2-3を満たすことができる。
【0023】
上述のように、基板の変形などによる外部応力によって積層型電子部品の本体にクラックが発生する恐れがあり、これにより、積層型電子部品の耐湿信頼性及び高温信頼性が低下する恐れがある。かかる問題を解決するために、外部電極に含まれるガラスの含量を低くする場合、外部電極の緻密度が低下し、内部電極の露出面を介して外部の水分が浸透する恐れがある。
【0024】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、S1-2≧15%、S1-2>S1-3、S2-2≧15%、及びS2-2>S2-3を満たすことで、外部の水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止することができ、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に、第1-3電極層131c及び第2-3電極層132cが本体110からピールオフ(peel-off)されることで、本体110に加えられる応力を緩和し、クラックの発生を防止することができる。
【0025】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品100に含まれるそれぞれの構成についてより詳細に説明する。
【0026】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は、六面体形状またはそれに類似の形状からなることができる。焼成過程における、本体110に含まれているセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0027】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2と、上記第1面及び第2面1、2と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4と、第1面~第4面1、2、3、4と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6と、を有することができる。
【0028】
本体110は、第1面と第3面を連結する第1-3コーナーC1-3、上記第1面と第4面を連結する第1-4コーナーC1-4、上記第2面と第3面を連結する第2-3コーナーC2-3、上記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーC2-4を含むことができる。また、第1面と第5面を連結する第1-5コーナー、第1面と第6面を連結する第1-6コーナー、第2面と第5面を連結する第2-5コーナー、第2面と第6面を連結する第2-6コーナーを含むことができる。上記コーナーは、本体110の各面を連結する角を別途の工程を行ってラウンド処理することにより、ラウンド状を有してもよい。本体110の第1面~第6面は略平坦な面であることができ、平坦ではない領域をコーナーといえる。
【0029】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0030】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤、及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアーフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを準備した後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成されることができる。セラミック粉末としては、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム系(BaTiO3)粉末を用いることができる。
【0031】
誘電体層の平均厚さは特に限定する必要はない。一方、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するためには、誘電体層111の厚さを薄くし、積層数を増加させる必要があるが、誘電体層111の厚さが薄くなるほど、外部応力により積層型電子部品の本体にクラックが発生しやすく、これにより、積層型電子部品の耐湿信頼性及び高温信頼性が低下する恐れがある。
【0032】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、S1-2≧15%、S1-2>S1-3、S2-2≧15%、及びS2-2>S2-3を満たすことで、外部の水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止することができ、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に、第1-3電極層131c及び第2-3電極層132cが本体110からピールオフ(peel-off)されることで、本体110に加えられる応力を緩和し、クラックの発生を防止することができる。これにより、誘電体層111の平均厚さが0.4μm以下である場合にも、積層型電子部品の耐湿信頼性及び高温信頼性を確保することができる。
【0033】
ここで、誘電体層の平均厚さは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味し得る。誘電体層の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述の容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に確張して行うと、誘電体層111の平均厚さをより一般化することができる。
【0034】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0035】
複数の第1内部電極121はそれぞれ、第4面4から離隔して第3面3と連結されることができる。また、複数の第2内部電極122はそれぞれ、第3面3から離隔して第4面4と連結されることができる。
【0036】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0037】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを所定の厚さで塗布し、焼成することで形成されることができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0038】
内部電極の平均厚さは特に限定する必要はない。この時、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味し得る。一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、S1-2≧15%、S1-2>S1-3、S2-2≧15%、及びS2-2>S2-3を満たすことで、内部電極121、122の平均厚さが0.4μm以下である場合にも、積層型電子部品の耐湿信頼性及び高温信頼性を確保することができる。
【0039】
ここで、内部電極の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述の容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に確張して行うと、内部電極121、122の平均厚さをより一般化することができる。
【0040】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、容量形成部Acの第1方向に向かい合う両端面上に配置される第1カバー部112及び第2カバー部113と、を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同一の構成を有することができる。
【0041】
カバー部の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部の平均厚さは20μm以下であることができる。前述のように、カバー部の平均厚さtcが20μm以下である場合にも、S1-2≧15%、S1-2>S1-3、S2-2≧15%、及びS2-2>S2-3を満たすことで、積層型電子部品100の信頼性を確保することができる。
【0042】
カバー部の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。カバー部112、113の平均厚さは、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味し、本体110の第1方向及び第2方向の断面において、等間隔である5個の地点で測定した第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0043】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に向かい合う両端面上に配置されるマージン部114、115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において、内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味し得る。この時、マージン部は、本体110の第5面5に配置される第1マージン部114と、本体110の第6面6に配置される第2マージン部115と、を含むことができる。
【0044】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除き、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0045】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上に、マージン部が形成されるべき箇所を除いて内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することにより形成されたものであることができる。または、内部電極121、122による段差を抑えるために、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向に向かい合う両端面上に積層することでマージン部114、115が形成されてもよい。
【0046】
マージン部114、115の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、マージン部114、115の平均厚さは20μm以下であることができる。前述のように、マージン部114、115の平均厚さが20μm以下である場合にも、S1-2≧15%、S1-2>S1-3、S2-2≧15%、及びS2-2>S2-3を満たすことで、積層型電子部品100の耐湿信頼性及び高温信頼性を確保することができる。
【0047】
マージン部114、115の平均厚さは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの平均厚さを意味する。マージン部114、115の平均厚さは、マージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味し、本体110の第1方向及び第3方向の断面において、等間隔である5個の地点で測定した第3方向のサイズを平均した値であることができる。
【0048】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができ、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0049】
第1外部電極131は、上記第3面に配置される第1-1電極層131aと、上記第1-1電極層上に配置される第1-2電極層131bと、上記第1面及び第2面に配置され、第1-2電極層と連結される第1-3電極層131cと、上記第1-2電極層上に配置され、上記第1-3電極層上に延びる第1-4電極層131dと、を含むことができる。一方、第1-3電極層131cは、上記第5面及び第6面上にも配置されることができる。
【0050】
第2外部電極132は、上記第4面に配置される第2-1電極層132aと、上記第2-1電極層上に配置される第2-2電極層132bと、上記第1面及び第2面に配置され、第2-2電極層と連結される第2-3電極層132cと、上記第2-2電極層上に配置され、上記第2-3電極層上に延びる第2-4電極層132dと、を含むことができる。一方、第2-3電極層132cは、上記第5面及び第6面上にも配置されることができる。
【0051】
第1-1電極層131a、第1-2電極層131b、第1-3電極層131c、第2-1電極層132a、第2-2電極層132b、及び第2-3電極層132cはそれぞれ金属を含むことができ、第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bはガラスを含むことができる。上記ガラスは、例えば、Ba、Ca、Zn、Al、B、及びSiのうち1つ以上の酸化物を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bに含まれているガラスは、焼成過程でポア(pore)を充填することで、第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bの緻密度を向上させる役割を果たすことができる。
【0052】
本発明の一実施形態によると、第1及び第2外部電極131、132の第1及び第2方向の断面において、第1-2電極層131bのうちガラスが占める面積分率S1-2、第2-2電極層132bのうちガラスが占める面積分率S2-2はそれぞれ15%以上であることができる。上記S1-2及びS2-2が15%以上である場合、第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bの緻密度が向上し、外部の水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを効果的に防止することができる。上記S1-2及びS2-2が15%未満である場合、緻密度が低下した第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bに形成されたポア(pore)を介して外部の水分が内部電極121、122に浸透し、積層型電子部品の耐湿信頼性が低下する恐れがある。S1-2及びS2-2の上限は特に限定する必要はないが、例えば、40%以下であることができる。
【0053】
本発明の一実施形態によると、第1-2電極層131bのうちガラスが占める面積分率が、第1-3電極層131cのうちガラスが占める面積分率より大きいことができ(S1-2>S1-3)、第2-2電極層132bのうちガラスが占める面積分率が、第2-3電極層132cのうちガラスが占める面積分率より大きいことができる(S2-2>S2-3)。ガラスの面積分率が相対的に小さい第1-3電極層131c及び第2-3電極層132cは、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に本体110から容易にピールオフ(peel-off)されることができ、これにより、本体110に加えられる応力が緩和され、本体110にクラックが発生することを防止することができる。
【0054】
S1-3及びS2-3は、例えば、S1-3≦14%及びS2-3≦14%を満たすことができ、この場合、上記本体110に加えられる応力緩和効果及びクラック防止効果が顕著になることができる。
【0055】
一方、S1-3及びS2-3の下限は特に限定する必要はない。本体110の第1面、第2面、第5面、及び第6面との結合力を確保するために、0%超過であることができるが、本発明がこれに限定されるものではなく、S1-3及びS2-3は0%であってもよい。S1-3及びS2-3が0%である場合、第1-3電極層131c及び第2-3電極層132cは、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタリング工法、真空蒸着法、及び/または化学気相蒸着法を用いて形成されることが好ましい。
【0056】
S1-2、S1-3、S2-2、S2-3はそれぞれ、金属が配置された領域及びガラスが配置された領域の合計面積に対する、ガラスが配置された領域の面積の割合を意味し、下記式1で表されることができる。
【0057】
[式1]
S(%)=((ガラスが配置された領域の面積)/((金属が配置された領域の面積)+(ガラスが配置された領域の面積)))×100、ここで、SはS1-2、S1-3、S2-2、S2-3
【0058】
すなわち、
図5を参照すると、S1-2は、第1-2電極層131b内で、第1-2金属M1-2が配置された領域及び第1-2ガラスG1-2が配置された領域の合計面積に対する、第1-2ガラスG1-2が配置された領域の面積の割合(%)を意味し得る。また、
図6を参照すると、S1-3は、第1-3電極層131c内で、第1-3金属M1-3が配置された領域及び第1-3ガラスG1-3が配置された領域の合計面積に対する、第1-2ガラスG1-2が配置された領域の面積の割合(%)を意味し得る。
【0059】
上記金属が配置された領域及びガラスが配置された領域は、本体110の第3方向の中央で切断した第1及び第2外部電極131、132の第1及び第2方向の断面を5000倍以上の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像を得た後、上記画像をエネルギー分散型分光分析法(EDS)により成分分析することで、互いに区別されることができる。すなわち、第1及び第2外部電極131、132の第1及び第2方向の断面において、ガラスを構成する元素、例えば、Ba、Ca、Zn、Al、B、及びSiのうち1つ以上の元素が検出される領域は、ガラスが配置された領域と判別することができ、これによりガラスの面積分率を測定することができる。また、上記金属が配置された領域とガラスが配置された領域は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像で互いに異なる色相や陰影を有することができ、これによりガラスの面積分率を測定することもできる。
【0060】
一方、
図5及び
図6のように、上記S1-2は、第1-2電極層131bの第1方向の中央領域で測定したものであり、上記S1-3は、第1-3電極層131cの第2方向の中央領域で測定したものであることができる。同一の観点から、上記S2-2は、第2-2電極層132bの第1方向の中央領域で測定したものであり、上記S2-3は、第2-3電極層132cの第2方向の中央領域で測定したものであることができる。
【0061】
第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aは、内部電極121、122と外部電極131、132を連結させる役割を果たすことができる。第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aは実質的に金属からなることができる。ここで、第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aが実質的に金属からなるとは、第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aに含まれている金属の面積分率が99%以上であり、ガラスの面積分率が1%未満であることを意味し得る。
【0062】
より好ましくは、第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aは、ガラスを含まないことができる。第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bはガラスの面積分率が高いため、内部電極121、122と直接的に接触する場合、内部電極121、122と外部電極131、132の連結性が低下する恐れがある。これに対し、本発明の一実施形態によると、内部電極121、122と連結される第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aを含み、上記第1-1電極層及び第2-1電極層がガラスを含まないことで、内部電極121、122と外部電極131、132との連結性が向上することができる。
【0063】
一方、第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aは、容量形成部Acの第2方向に向かい合う両端面を覆っていればよく、これにより、第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aの端部は、カバー部112、113及び/またはマージン部114、115上に配置されることができる。
【0064】
また、第1-2電極層131bは上記第3面の少なくとも一部と接し、第2-2電極層132bは上記第4面の少なくとも一部と接することができる。ガラスの面積分率が相対的に大きい上記第1-2電極層及び第2-2電極層が上記第3面及び第4面と接することで、本体110と外部電極131、132との結合力が向上することができる。
【0065】
第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aは、例えば、電解めっき法及び/または無電解めっき法を用いて形成することができ、これにより、第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aはそれぞれ、Cu、Ni、Cr、Sn、及びPdのうち1つ以上を含むめっき層であることができる。第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aがめっき層である場合、内部電極と外部電極との連結性がより向上することができる。
【0066】
第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bは、上記第1-1電極層131a及び第2-1電極層132a上に、金属及びガラスを含む第1導電性ペーストを塗布してから焼成することで形成することができる。また、第1-3電極層131c及び第2-3電極層132cは、第1面、第2面、第5面、及び第6面に、金属、及び上記第1導電性ペースより少ない含量のガラスを含む第2導電性ペーストを塗布してから焼成することで形成することができる。
【0067】
第1-2電極層131b、第1-3電極層131c、第2-2電極層132b、及び第2-3電極層132cに含まれる金属は、例えば、Cu、Ni、Ag、Sn、Cr、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。第1-2電極層131bと第1-3電極層131cは、互いに同一の金属を含んでもよく、互いに異なる金属を含んでもよい。また、第2-2電極層132bと第2-3電極層132cは、互いに同一の金属を含んでもよく、互いに異なる金属を含んでもよい。
【0068】
第1-1電極層131aの平均厚さt1及び第1-2電極層131bの平均厚さt2は特に限定する必要はない。但し、
図2を参照すると、一実施形態において、t2>t1を満たすことができる。第1-2電極層131bは、外部の水分が上記内部電極に浸透することを防止する役割を果たし、第1-1電極層131aは、上記内部電極との連結性を確保することができればよいため、第1-1電極層131aより平均厚さが大きいことが好ましい。
【0069】
上記t1及びt2は、本体110の第3方向の中央で切断した第1外部電極131の第1及び第2方向の断面を2000倍以上の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像において、第1方向に等間隔である5個の地点で測定した厚さを平均した値であることができる。一方、上記等間隔である5個の地点は、容量形成部Acとカバー部112、113の境界の延長線の間で指定されることができる。
【0070】
また、
図5及び
図7を参照すると、一実施形態において、本体110の第1方向の中央で測定した第1-1電極層131aの厚さをtm、本体110の第1方向の最外側に配置された第1または第2内部電極121、122で測定した第1-1電極層131aの厚さをtcとしたときに、tc/tmは0.8以上1.0以下であることができる。すなわち、第1-1電極層131aが均一な厚さを有することで、第1-1電極層131aの厚さを薄く形成することができ、これにより、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0071】
tc/tmを0.8以上1.0以下に制御する方法は特に限定する必要はないが、例えば、第1-1電極層131aを電解めっき法及び/または無電解めっき法を用いて形成することで、tc/tmを0.8以上1.0以下に制御することができる。
【0072】
上記tm及びtcは、本体110の第3方向の中央で切断した第1外部電極131の第1及び第2方向の断面を2000倍以上の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像で測定したものであることができる。
【0073】
一方、第1-1電極層131aは、第2-1電極層132aと第2方向に対称関係であることができ、第1-2電極層131bは、第2-2電極層132bと第2方向に対称関係であることができるため、第1-1電極層131a及び第1-2電極層131bの厚さについての説明は、第2-1電極層132a及び第2-2電極層132bにも同様に適用することができる。
【0074】
第1-4電極層131d及び第2-4電極層132dは実装特性を向上させることができる。上記第1-4電極層及び第2-4電極層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd、及び/またはこれらを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されてもよい。
【0075】
第1-4電極層131d及び第2-4電極層132dは、例えば、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、Niめっき層及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよい。また、第1-4電極層131d及び第2-4電極層132dは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0076】
以下では、
図2及び
図8から
図12を参照して、本発明の多様な実施形態について説明する。後述のように、
図2、
図8から
図10は、上記第1-2電極層及び2-2電極層が上記本体のコーナーと接する実施形態であり、
図11及び
図12は、上記第1-3電極層及び第2-3電極層が上記本体のコーナーと接する実施形態である。
【0077】
図2を参照すると、第1-2電極層131bは第1-3コーナーC1-3及び第2-3コーナーC2-3と接し、第2-2電極層132bは第1-4コーナーC1-4及び第2-4コーナーC2-4と接することができる。上記第1-2電極層及び第2-2電極層が上記本体のコーナーと接することで、外部の水分が上記コーナーを介して本体の内部に浸透することを防止することができ、これにより、耐湿信頼性の点から利点がある。
【0078】
図8は
図2の変形例である。
図8を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品200は第1及び第2外部電極231、232を含み、上記第1外部電極は、第1-1電極層231a、第1-2電極層231b、第1-3電極層231c、及び第1-4電極層231dを含み、上記第2外部電極は、第2-1電極層232a、第2-2電極層232b、第2-3電極層232c、及び第2-4電極層232dを含むことができる。
【0079】
この時、第1-3電極層231cは、上記第3面上で第1-2電極層231bを覆うように配置されることができる。また、第2-3電極層232cは、上記第4面上で第2-2電極層232bを覆うように配置されることができる。
【0080】
第1-2電極層231b及び第2-2電極層232bは、外部の水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止し、第1-3電極層231c及び第2-3電極層232cは、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に本体110からピールオフされることができ、これにより、本体110に加えられる応力を緩和し、クラックの発生を防止することができる。
【0081】
図9は
図2の変形例である。
図9を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品300は第1及び第2外部電極331、332を含み、上記第1外部電極は、第1-1電極層331a、第1-2電極層331b、第1-3電極層331c、及び第1-4電極層331dを含み、上記第2外部電極は、第2-1電極層332a、第2-2電極層332b、第2-3電極層332c、及び第2-4電極層332dを含むことができる。
【0082】
第1-2電極層331bは、上記第1-1電極層上に配置され、上記第1面及び第2面のそれぞれの一部上に延びることができ、上記第1-3電極層331cは、上記第1面及び第2面上に延びた第1-2電極層331b上に延びることができる。
【0083】
第2-2電極層332bは、上記第2-1電極層上に配置され、上記第1面及び第2面のそれぞれの一部上に延びることができ、上記第2-3電極層332cは、上記第1面及び第2面上に延びた第2-2電極層332b上に延びることができる。
【0084】
第1-2電極層331b及び第2-2電極層332bは、外部の水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止し、第1-3電極層331c及び第2-3電極層332cは、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に本体110からピールオフされることができ、これにより、本体110に加えられる応力を緩和し、クラックの発生を防止することができる。
【0085】
図10は
図2の変形例である。
図10を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品400は第1及び第2外部電極431、432を含み、上記第1外部電極は、第1-1電極層431a、第1-2電極層431b、第1-3電極層431c、及び第1-4電極層431dを含み、上記第2外部電極は、第2-1電極層432a、第2-2電極層432b、第2-3電極層432c、及び第2-4電極層432dを含むことができる。
【0086】
第1-2電極層431bは、上記第1-1電極層上に配置され、上記第1面及び第2面のそれぞれの一部上に延びることができ、第1-2電極層431bの端部と第1-3電極層431cの端部は、上記第1面及び第2面上で接することができる。
【0087】
第2-2電極層432bは、上記第2-1電極層上に配置され、上記第1面及び第2面のそれぞれの一部上に延びることができ、第2-2電極層432bの端部と第2-3電極層432cの端部は、上記第1面及び第2面上で接することができる。
【0088】
第1-2電極層431b及び第2-2電極層432bは、外部の水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止し、第1-3電極層431c及び第2-3電極層432cは、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に本体110からピールオフされることができ、これにより、本体110に加えられる応力を緩和し、クラックの発生を防止することができる。
【0089】
図11は
図2の変形例である。
図11を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品500は第1及び第2外部電極531、532を含み、上記第1外部電極は、第1-1電極層531a、第1-2電極層531b、第1-3電極層531c、及び第1-4電極層531dを含み、上記第2外部電極は、第2-1電極層532a、第2-2電極層532b、第2-3電極層532c、及び第2-4電極層532dを含むことができる。
【0090】
一方、第1-3電極層531cは第1-3コーナーC1-3及び第2-3コーナーC2-3と接し、第2-3電極層532cは第1-4コーナーC1-4及び第2-4コーナーC2-4と接することができる。ガラスの面積分率が小さい上記第1-3電極層及び第2-3電極層が、めっき液の浸透に弱い本体のコーナーと接することで、めっき液によるガラスの浸食不良を防止することができる。
【0091】
図12は
図2の変形例である。
図12を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品600は第1及び第2外部電極631、632を含み、上記第1外部電極は、第1-1電極層631a、第1-2電極層631b、第1-3電極層631c、及び第1-4電極層631dを含み、上記第2外部電極は、第2-1電極層632a、第2-2電極層632b、第2-3電極層632c、及び第2-4電極層632dを含むことができる。
【0092】
第1-2電極層631bは、上記第1-1電極層上に配置され、第1-3電極層631cの一部上に延びて配置されることができ、第2-2電極層632bは、上記第2-1電極層上に配置され、第2-3電極層632cの一部上に延びて配置されることができる。
【0093】
第1-2電極層631b及び第2-2電極層632bは、外部の水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止し、第1-3電極層631c及び第2-3電極層632cは、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に本体110からピールオフされることができ、これにより、本体110に加えられる応力を緩和してクラックの発生を防止することができる。
【0094】
以下、本発明の他の実施形態による積層型電子部品について説明する。但し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、上述の本発明の一実施形態による積層型電子部品と同様の構成を有することができる。よって、上述の本発明の一実施形態と重複される説明は省略する。
【0095】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3面に配置される第1-1電極層131a、上記第1-1電極層上に配置される第1-2電極層131b、及び上記第1面及び第2面に配置され、第1-2電極層と連結される第1-3電極層131cを含む第1外部電極131と、上記第4面に配置される第2-1電極層132a、上記第2-1電極層上に配置される第2-2電極層132b、及び上記第1面及び第2面に配置され、第2-2電極層と連結される第2-3電極層132cを含む第2外部電極132と、を含み、上記第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aはそれぞれ、Cu、Ni、Cr、Sn、及びPdのうち1つ以上を含むめっき層であり、上記第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bはそれぞれガラスを含み、上記第1-2電極層131bに含まれているガラスの含量は、上記第1-3電極層131cに含まれているガラスの含量より大きく、上記第2-2電極層132bに含まれているガラスの含量は、上記第2-3電極層132cに含まれているガラスの含量より大きいことができる。
【0096】
前述のように、第1-1電極層131a及び第2-1電極層132aがそれぞれCu、Ni、Cr、Sn、及びPdのうち1つ以上を含むめっき層である場合、内部電極121、122と外部電極131、132との連結性をより向上させることができる。
【0097】
また、第1-2電極層131bに含まれているガラスの含量は、第1-3電極層131cに含まれているガラスの含量より大きく、第2-2電極層132bに含まれているガラスの含量は、第2-3電極層132cに含まれているガラスの含量より大きいことで、第1-2電極層131b及び第2-2電極層132bは相対的に緻密度が高く、これにより、外部の水分が上記第3面及び第4面を介して内部電極121、122に浸透することを防止することができる。
【0098】
また、ガラスの含量が相対的に小さい第1-3電極層131c及び第2-3電極層132cは、変形範囲を超える外部応力が加えられた時に本体110からピールオフ(peel-off)されることができ、これにより、本体110に加えられる応力が緩和され、クラックの発生を防止することができる。ここで、ガラスの含量とは、前述のガラスの面積分率を意味し得る。
【0099】
(実験例)
<S1-2≧15%、S2-2≧15%の条件による耐湿信頼性の評価>
先ず、誘電体層及び内部電極を含む本体を用意した後、上記本体の第3面及び第4面に、めっき法を用いて第1-1電極層及び第1-2電極層を形成した。
【0100】
その後、第1-1電極層及び第2-1電極層上に、金属及びガラスを含む第1導電性ペーストを塗布してから焼成することで第1-2電極層及び第2-2電極層を形成し、第1面、第2面、第5面、及び第6面に、金属、及び上記第1導電性ペースより小さい含量のガラスを含む第2導電性ペーストを塗布してから焼成することで、上記第1-3電極層及び第2-3電極層を形成した。その後、Niめっき層及びSnめっき層を順に形成して第1-4電極層及び第2-4電極層を形成することで、第1及び第2外部電極を含むサンプルチップを用意した。
【0101】
次に、上記本体の第3方向の中央で切断した第1及び第2外部電極の第1及び第2方向の断面を5000倍の倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像を得た後、EDS分析によりS1-2、S1-3、S2-2、及びS2-3を測定した。上記S1-2及びS2-2は、第1-2及び第2-2電極層の第1方向の中央領域で測定し、上記S1-3及びS2-3は、上記第1-3電極層及び第2-3電極層の第2方向の中央領域で測定した。
【0102】
この時、各試験番号当たり10個のサンプルに対してS1-2及びS2-2をそれぞれ測定した後、S1-2の平均値及びS2-2の平均値を下記表1に記載した。表1に記載の下記表1の試験番号1~5のS1-3及びS2-3は14%に固定した。
【0103】
耐湿信頼性の評価は、各試験番号当たり40個のサンプルを準備して基板に実装し、温度85℃、相対湿度85%で1Vrの電圧を12時間印加した後、絶縁抵抗が初期数値より103Ω以上下がったサンプルの個数を下記表1に記載した。
【0104】
【0105】
上記表1の試験番号1及び2を参照すると、S1-2及びS2-2が15%未満である場合、耐湿信頼性が低下することが確認できる。これに対し、試験番号3~5は、S1-2及びS2-2が15%以上であって、耐湿信頼性の評価で不良が発生していないことが確認できる。
【0106】
<S1-2>S1-3及びS2-2>S2-3の条件による耐湿信頼性の評価>
前述の方法と同様の方法によりサンプルチップを用意した後、S1-2、S1-3、S2-2、S2-3を測定した。この時、各試験番号当たり10個のサンプルに対してS1-3及びS2-3をそれぞれ測定した後、S1-3の平均値及びS2-3の平均値を下記表2に記載した。表1に記載の試験番号6~10のS1-2及びS2-2は15%に固定した。
【0107】
下記表2の耐湿信頼性の評価は、前述の方法と同様の方法により行った。また、各試験番号当たり50個のサンプルチップを光学顕微鏡で観察し、上記第1-3電極層及び第2-3電極層が本体からピールオフされたサンプルの個数を下記表2に記載し、各試験番号当たり10個のサンプルを光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、上記本体にクラックが発生したサンプルの個数を下記表2に記載した。
【0108】
【0109】
上記表2の試験番号9及び10を参照すると、S1-2<S1-3であり、S2-2<S2-3であるため、上記第1-2電極層及び第2-2電極層のピールオフが発生していないことが確認できる。これにより、本体に加えられる応力が緩和できず、本体にクラックが発生した。また、本体に発生したクラックにより積層型電子部品の耐湿信頼性が低下することを確認した。
【0110】
これに対し、試験番号6~8は、S1-2>S1-3及びS2-2>S2-3を満たすことで、上記第1-2電極層及び第2-2電極層のピールオフが発生し、これにより、上記本体に加えられる応力が緩和されてクラックが発生しておらず、結果として、積層型電子部品の耐湿信頼性に優れることを確認した。
【0111】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0112】
一方、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0113】
また、第1、第2などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分させるために用いられ、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲から外れることなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して、第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【符号の説明】
【0114】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、231、331、431、531、631 第1外部電極
131a、231a、331a、431a、531a、631a 第1-1電極層
131b、231b、331b、431b、531b、631b 第1-2電極層
131c、231c、331c、431c、531c、631c 第1-3電極層
131d、231d、331d、431d、531d、631d 第1-4電極層
132、232、332、432、532、632 第2外部電極
132a、232a、332a、432a、532a、632a 第2-1電極層
132b、232b、332b、432b、532b、632b 第2-2電極層
132c、232c、332c、432c、532c、632c 第2-3電極層
132d、232d、332d、432d、532d、632d 第2-4電極層