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特開2024-79594耐加水分解性に優れた高粘度の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079594
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】耐加水分解性に優れた高粘度の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/91 20060101AFI20240604BHJP
   C08G 63/78 20060101ALI20240604BHJP
   C08G 63/181 20060101ALI20240604BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
C08G63/91
C08G63/78 ZBP
C08G63/181
C08L101/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186744
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0164742
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515172751
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】キム ド ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヒュン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム ユ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム キ ユプ
(72)【発明者】
【氏名】ナム ジョ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ムン チュル スン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジ ヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ スン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュン ヘン
(72)【発明者】
【氏名】イ ホ スン
【テーマコード(参考)】
4J029
4J200
【Fターム(参考)】
4J029AA02
4J029AB04
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD02
4J029AD10
4J029AE01
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA07
4J029BA08
4J029BA10
4J029CA01
4J029CA02
4J029CA03
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CB04A
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029GA12
4J029GA17
4J029HA01
4J029HB01
4J029HB02
4J029HD01
4J029JC142
4J029JC152
4J029JD05
4J029KB17
4J029KB24
4J029KC01
4J029KC02
4J029KD02
4J029KE15
4J029KH01
4J200AA09
4J200BA19
4J200DA16
4J200DA17
4J200DA21
4J200EA02
4J200EA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、耐加水分解性に優れ、かつ、粘度の高い生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、鎖延長剤と耐加水分解剤を経時的に投入して製造することで、著しい粘度上昇と耐加水分解性の向上効果を同時に実現することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体を反応器に投入するステップ(S1)と、
前記反応器に鎖延長剤を投入し、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体と前記鎖延長剤の重付加第1反応により鎖延長された脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体を製造するステップ(S2)と、
前記反応器に耐加水分解剤を投入し、前記鎖延長された脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体と前記耐加水分解剤を第2反応させるステップ(S3)と、
を含む、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(S2)の前記重付加第1反応における反応温度は、150~250℃の範囲である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(S2)の前記重付加第1反応における反応時間は、10~30分間の範囲である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(S3)の前記第2反応における反応温度は、180~280℃の範囲である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(S3)の前記第2反応における反応時間は、2~15分間の範囲である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(S2)の前記重付加第1反応における反応時間に対する、ステップ(S3)の前記第2反応おける反応時間の比は、0.1~0.5の範囲である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記鎖延長剤は、ジイソシアネート化合物である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項8】
前記鎖延長剤は、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体100重量部に対して0.1~1重量部の重量比で含まれる、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項9】
前記耐加水分解剤は、カルボジイミド化合物である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項10】
前記耐加水分解剤は、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体100重量部に対して0.01~0.5重量部の重量比で含まれる、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項11】
前記鎖延長剤に対する耐加水分解剤の重量比は、0.1~1の範囲である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項12】
前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で測定された溶融指数(MI)が20g/10分以上である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項13】
前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体のz-平均分子量(Mz)に対する、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体のz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mz)が1.5~3.5である、請求項1に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法により製造された生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体。
【請求項15】
カルボキシル末端基(CEG)の含量が15mg KOH/g以下であり、数平均分子量(Mn)に対するz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mn)が3~15であり、ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で測定された溶融指数(MI)が5g/10分以下である、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体。
【請求項16】
重量平均分子量(Mw)が120,000g/mol~250,000g/molである、請求項15に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体。
【請求項17】
z-平均分子量(Mz)が250,000g/mol~900,000g/molである、請求項15に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体。
【請求項18】
重量平均分子量(Mw)に対するz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mw)が2~7である、請求項15に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体。
【請求項19】
ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネートブチレンテレフタレート(PBAST)、およびポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせである、請求項15に記載の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐加水分解性に優れ、かつ、粘度の高い生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無分別な(indiscreet)プラスチックの使用による環境汚染問題を解決するために、特定の条件で分解される生分解性高分子に代替する方法が解決策として提示されており、それに関する研究開発も活発に行われている。一般的に生分解性高分子は、ポリエステル、一例として、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、およびポリカプロラクトン(PCL)などが挙げられる。
【0003】
ポリエステルは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物を原料として製造することができる。具体的に、ポリエステルを製造するためにバッチ式、半連続式、または連続式方法などを用いるが、上述の方法により高分子量を有する高粘度のポリエステルを製造するためには縮合反応を十分に長時間行わなければならない。しかし、長時間の高温の縮合反応条件下ではかえってポリエステルが分解され、粘度が低くなるかまたは酸価が急激に上昇するという問題がある。
【0004】
そこで、高温条件の縮合反応時間を最小化するとともに高粘度を有するポリエステルを製造するために、鎖延長剤などの特定の添加剤を用いる研究が行われているが、高粘度と低酸価を同時に満たすには依然として困難である。
したがって、簡単な工程で高粘度と低酸価を同時に有するポリエステルを製造する方法に関する研究開発が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記の問題を解決するために、低粘度の脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体から短時間に高粘度と低酸価を有する生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を製造する方法、およびそれにより製造された生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を提供することを目的とする。
【0006】
また、本開示の他の目的は、カルボキシル末端基(CEG)の含量が15mg KOH/g以下であり、数平均分子量(Mn)に対するz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mn)が3~15であり、ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で測定された溶融指数(MI)が5g/10分以下である、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、低粘度の脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体から簡単な工程で高粘度と低酸価を有するポリエステルを製造するために研究を重ねた結果、鎖延長剤と耐加水分解剤を経時的に投入する場合、トレードオフ関係にある粘度と耐加水分解性を相補的に向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本開示は、上記の目的を達成するために、脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体を反応器に投入するステップ(S1)と、前記反応器に鎖延長剤を投入し、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体と前記鎖延長剤の重付加第1反応により鎖延長された脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体を製造するステップ(S2)と、前記反応器に耐加水分解剤を投入し、前記鎖延長された脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体と前記耐加水分解剤を第2反応させるステップ(S3)と、を含む、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法を提供する。
【0009】
前記ステップ(S2)の前記重付加第1反応における反応温度は、150~250℃の範囲で行うことが好ましい。
前記(S2)ステップ(S2)の前記重付加第1反応における反応時間は、10~30分間の範囲であることが好ましい。
【0010】
前記ステップ(S3)の前記第2反応における反応温度は、180~280℃の範囲であることが好ましい。
前記ステップ(S3)の前記第2反応における反応時間は、2~15分間の範囲であることが好ましい。
【0011】
前記ステップ(S2)の前記重付加第1反応における反応時間に対する、前記ステップ(S3)の前記第2反応における反応時間の比は、0.1~0.5の範囲であることが好ましい。
前記鎖延長剤は、ジイソシアネート化合物であることが好ましい。
【0012】
前記鎖延長剤は、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体100重量部に対して0.1~1重量部の重量比で含まれることが好ましい。
前記耐加水分解剤は、カルボジイミド化合物であることが好ましい。
【0013】
前記耐加水分解剤は、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体100重量部に対して0.01~0.5重量部の重量比で含まれることが好ましい。
前記鎖延長剤に対する耐加水分解剤の重量比は、0.1~1の範囲であることが好ましい。
【0014】
前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で測定された溶融指数(MI)が20g/10分以上であることが好ましい。
【0015】
前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体のz-平均分子量(Mz)に対する生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体のz-平均分子量の比(Mz/Mz)が1.5~3.5であってもよい。
【0016】
本開示は、上述の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法により製造された生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を提供することができる。
【0017】
本開示は、カルボキシル末端基(CEG)の含量が15mg KOH/g以下であり、数平均分子量(Mn)に対するz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mn)が3~15であり、ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で測定された溶融指数(MI)が5g/10分以下である、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を提供する。
【0018】
前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、重量平均分子量(Mw)が120,000g/mol~250,000g/molであることが好ましい。
【0019】
前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、z-平均分子量(Mz)が250,000g/mol~900,000g/molであることが好ましい。
【0020】
前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、重量平均分子量(Mw)に対するz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mw)が2~7であることが好ましい。
【0021】
前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネートブチレンテレフタレート(PBAST)、およびポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本開示は、耐加水分解性に優れ、かつ、粘度の高い生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体およびその製造方法に関し、鎖延長剤と耐加水分解剤を経時的に投入して製造された生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、著しい粘度上昇と耐加水分解性の向上効果を同時に実現することができる。これにより、従来問題となっていた高温の縮合反応時間を大幅に短縮し、目標とする酸価と粘度に容易に到達(制御)できるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例または実施形態は、本開示を詳細に説明するための1つの参照にすぎず、本開示は、これに限定されず、種々の形態で実現されてもよい。
【0024】
また、特に定義しない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。
本明細書における説明で用いられる用語は、単に特定の実施形態を効果的に記述するためのものであって、本開示を限定するためのものではない。
【0025】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数の形態は、文脈上、特に指示しない限り、複数の形態も含むことを意図し得る。
また、本明細書において、特に言及せずに用いられた単位は、重量を基準とし、一例として、%または比の単位は、重量%または重量比を意味し、重量%は、他に定義しない限り、全組成物のいずれか1つの成分が組成物中に占める重量%を意味する。
【0026】
また、ある部分がある構成要素を「含む」とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0027】
また、本明細書で用いられる数値範囲は、下限値と上限値、その範囲内での全ての値、定義される範囲の形態と幅から論理的に誘導される増分、そのうち限定された全ての値および互いに異なる形態に限定された数値範囲の上限および下限の全ての可能な組み合わせを含んでもよい。本発明の明細書において、特に定義しない限り、実験誤差または値の四捨五入により発生し得る数値範囲外の値も定義された数値範囲に含まれる。
【0028】
以下、本開示についてより具体的に説明する。
本開示は、上記の目的を達成するために、脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体を反応器に投入するステップ(S1)と、前記反応器に鎖延長剤を投入し、脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体と鎖延長剤の重付加第1反応により鎖延長された脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体を製造するステップ(S2)と、前記反応器に耐加水分解剤を投入し、鎖延長された脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体と耐加水分解剤を第2反応させるステップ(S3)と、を含む、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法を提供する。
【0029】
一実施形態によると、前記ステップ(S2)は、脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体と鎖延長剤を重付加第1反応させ、鎖延長された脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体を製造するステップである。
【0030】
一実施形態によると、前記重付加第1反応は重付加反応であって、反応温度は130~280℃であることが好ましく、より好ましくは150~250℃、さらに好ましくは180~230℃である。また、前記重付加第1反応の反応時間(第1反応時間)は5~60分であることが好ましく、より好ましくは10~30分、さらに好ましくは10~20分または15~20分である。
【0031】
一実施形態によると、前記鎖延長剤は、ジイソシアネート化合物であることが好ましい。前記ジイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、またはこれらの混合物であってもよい。
【0032】
前記脂肪族ジイソシアネートは、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、またはオクタ-メチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-または1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-または2,6-ジイソシアネート、およびメチレンジシクロヘキシル(4,4’-、2,4’-、または2,2’-)ジイソシアネート(H12MDI)などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
【0033】
また、前記芳香族ジイソシアネートは、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-または2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアネートジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ジフェニルエタン4,4’-ジイソシアネート(EDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニル3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルエタン1,2-ジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
【0034】
一実施形態によると、鎖延長剤は、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体100重量部に対して0.01~2重量部の重量比で含まれることが好ましく、より好ましくは、0.1~1重量部、さらに好ましくは0.2~0.7重量部または0.2~0.5重量部である。鎖延長剤が上記重量部の範囲を満たす場合、さらに粘度が高く、かつ、耐加水分解性に優れた生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を製造することができる。
【0035】
一実施形態によると、前記ステップ(S3)は、鎖延長された脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体と耐加水分解剤を第2反応させ、粘度が高く、かつ、耐加水分解性に優れた生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を製造するステップである。
【0036】
一実施形態によると、第2反応は、反応温度(第2反応温度)が150~300℃であることが好ましく、より好ましくは180~280℃、さらに好ましくは200~250℃である。また、第2反応の反応時間(第2反応時間)は1~30分であることが好ましく、より好ましくは2~15分、さらに好ましくは3~10分である。
【0037】
一実施形態によると、前記ステップ(S2)の第1反応時間に対する、ステップ(S3)の第2反応時間の比は、0.01~5であることが好ましく、より好ましくは0.01以上または1以下、好適には0.01以上1未満、さらに好ましくは0.1~0.5、より好適には0.1~0.4である。上記範囲を満たす場合、さらに粘度が高く、かつ、耐加水分解性に優れた生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を製造することができる。
【0038】
一実施形態によると、前記耐加水分解剤は、カルボジイミド化合物であることが好ましく、前記カルボジイミド化合物は、脂肪族カルボジイミド系、脂環族カルボジイミド系、芳香族カルボジイミド系、ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミド、またはこれらの混合物であることが好ましいが、これらには限定されない。ここで、前記ジイソシアネート化合物の具体例は、上述のものと同一または異なってもよい。具体的に、前記カルボジイミド化合物のカルボジイミド当量(分子量/カルボジイミド基の数)は、10~1000、50~700、または100~500であることが好ましい。
【0039】
好ましい一実施形態によると、前記耐加水分解剤は、ポリカルボジイミド、具体的に、脂環族ポリカルボジイミドであってもよい。前記ポリカルボジイミドは、数平均分子量(Mn)が500~10,000g/molであることが好ましく、より好ましくは1,000~8,000g/mol、さらに好ましくは1,500~5,000g/molである。前記ポリカルボジイミドは、カルボジイミド当量が100~1000であることが好ましく、より好ましくは150~500である。前記ポリカルボジイミドは、軟化点(Softening point)が30~120℃であることが好ましく、より好ましくは50~100℃、さらに好ましくは55~85℃である。また、前記ポリカルボジイミドは、分解温度(Decomposition Temperature)が200~500℃であることが好ましく、より好ましくは300~500℃、さらに好ましくは320~400℃である。前記カルボジイミド化合物としては、通常の合成方法や公知の方法により製造された化合物を使用可能であり、市販中の製品を大きく限定なく使用可能である。
【0040】
一実施形態によると、前記耐加水分解剤は、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体100重量部に対して0.01~1重量部の重量比で含まれることが好ましく、より好ましくは0.01~0.5、さらに好ましくは0.1~0.3重量部である。上記範囲を満たす場合、さらに粘度が高く、かつ、耐加水分解性に優れた生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を製造することができる。
【0041】
一実施形態によると、前記鎖延長剤に対する耐加水分解剤の重量比は、0.01~2の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1~1.5、または0.1~1の範囲、さらに好ましくは0.3~0.8の範囲である。
【0042】
一実施形態によると、前記ステップ(S1)において、脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、脂肪族ジカルボン酸または/および芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸化合物および脂肪族ジオールを含む重合性組成物から通常または公知のポリエステルの重合方法により製造された重合体であってもよく、さらに、連続式またはバッチ式重合方法などの公知の重合方法から限定なく選択して製造されてもよく、または市販中のポリエステル製品を大きく限定なく使用可能である。
【0043】
一実施形態によると、前記脂肪族ジカルボン酸は、C2-40の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、より好ましくは、前記脂肪族ジカルボン酸は、C2-20の脂肪族ジカルボン酸であってもよく、一例として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、フマル酸、アゼライン酸、イタコン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、二量体脂肪酸、およびその無水物誘導体からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであり、さらに好ましくは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、またはこれらの混合物である。
【0044】
一実施形態によると、前記芳香族ジカルボン酸は、C6-50の芳香族ジカルボン酸であることが好ましく、より好ましくは、C6-30の芳香族ジカルボン酸であり、一例として、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルテレフタレート、およびジエチルテレフタレートからなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0045】
また、前記ジカルボン酸化合物において、前記脂肪族ジカルボン酸に対する芳香族ジカルボン酸は、1~9:9~1のモル比が好ましく、より好ましくは3~7:7~3のモル比であるが、これに限定されない。
【0046】
一実施形態によると、前記脂肪族ジオールは、C2-20の脂肪族ジオールであることが好ましく、より好ましくは、C2-15の脂肪族ジオールであってもよく、一例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,6-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、および1,10-デカンジオールからなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであり、さらに好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、および1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせである。
【0047】
また、前記脂肪族ジオールに対するジカルボン酸化合物は1~3:1であることが好ましく、より好ましくは1.2~2.5:1のモル比を満たしてもよい。
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、数平均分子量(Mn)が100,000g/mol以下であることが好ましく、より好ましくは80,000g/mol以下、さらに好ましくは20,000~55,000g/molである。
【0048】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、重量平均分子量(Mw)が200,000g/mol以下であることが好ましく、より好ましくは40,000~180,000g/mol、さらに好ましくは70,000~160,000g/molである。
【0049】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、z-平均分子量(Mz)が500,000g/mol以下であることが好ましく、より好ましくは50,000~500,000g/mol、さらに好ましくは100,000~400,000g/molである。
【0050】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体の多分散性指数(PDI、Mw/Mn)は、1~5であることが好ましく、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3.5であるが、これに限定されない。
【0051】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、上述の重合性組成物から製造された重合体であってもよく、市販中のポリエステル重合体であってもよい。具体的に、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネートブチレンテレフタレート(PBAST)、およびポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであることが好ましい。
【0052】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体は、ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で測定された溶融指数(MI)が15g/10分以上であることが好ましく、より好ましくは20g/10分以上、さらに好ましくは20~50g/10分の低粘度を有する重合体である。
【0053】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の溶融指数(MI)に対する脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体の溶融指数(MI)の比(MI/MI)が5以上であることが好ましく、より好ましくは10以上、さらに好ましくは10~50、または10~25である。
【0054】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体の重量平均分子量(Mw)に対する生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mw)が1以上であることが好ましく、より好ましくは1.0~2.5、または1.5~2.0である。
【0055】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル予備共重合体のz-平均分子量(Mz)に対する、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体のz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mz)が1以上、または1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.5~3.5、さらに好ましくは1.5~2.5である。
【0056】
本開示は、カルボキシル末端基(CEG)の含量が15mg KOH/g以下であり、数平均分子量(Mn)に対するz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mn)が3~15であり、ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で測定された溶融指数(MI)が5g/10分以下である、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を提供する。具体的に、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、上述の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法により製造されたものであってもよい。
【0057】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、カルボキシル末端基(CEG)の含量が15mg KOH/g以下であり、好ましくは14mg KOH/g以下、より好ましくは13mg KOH/g以下、または12mg KOH/g以下であり、下限は限定されないが、例えば1mg KOH/g以上であればよい。一実施形態の製造方法により製造された生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、短時間内に酸価上昇を最小化するかまたは酸価を低くすることができるため、高粘度と優れた耐加水分解性を同時に実現することができる。
【0058】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で測定された溶融指数(MI)が5g/10分以下、または4g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは3g/10分以下、さらに好ましくは0.1~2.5g/10分である。一実施形態の製造方法により製造された生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、短時間内に低粘度の予備共重合体から溶融粘度を著しく上昇させることで高粘度を示すことができる。
【0059】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、数平均分子量(Mn)が10,000g/mol~200,000g/molであることが好ましく、より好ましくは30,000~150,000g/mol、さらに好ましくは45,000~100,000g/molである。
【0060】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、重量平均分子量(Mw)が50,000g/mol~800,000g/molであることが好ましく、より好ましくは100,000~500,000g/mol、さらに好ましくは120,000~400,000g/mol、または120,000g/mol~250,000g/molである。
【0061】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、z-平均分子量(Mz)が200,000g/mol~2,000,000g/molであることが好ましく、より好ましくは200,000~1,500,000g/mol、または250,000~1,000,000g/mol、さらに好ましくは250,000~900,000g/mol、または400,000~900,000g/molである。
【0062】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、数平均分子量(Mn)に対するz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mn)が3以上であることが好ましく、より好ましくは3~15、または5~15、さらに好ましくは7~13である。
【0063】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、重量平均分子量(Mw)に対するz-平均分子量(Mz)の比(Mz/Mw)が2~10であることが好ましく、より好ましくは2~7、または3~7、さらに好ましくは3~5である。
【0064】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の多分散性指数(PDI、Mw/Mn)は、1.5~10であることが好ましく、より好ましくは2~9、さらに好ましくは2.5~8であるが、これに限定されない。
【0065】
一実施形態によると、前記脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、ガラス遷移温度(Tg)が-70~50℃であることが好ましく、より好ましくは-50~0℃であり、また、溶融温度(Tm)が80~200℃であることが好ましく、より好ましくは100~150℃であるが、これに限定されない。
【0066】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネートブチレンテレフタレート(PBAST)、およびポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0067】
一実施形態によると、前記生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体は、加工性に優れ、押出成形、射出成形、ブロー成形などの通常用いられる高分子の成形方法や公知の方法により成形品を製造してもよく、前記成形品は、機械的物性と耐加水分解性が求められる様々な用途に使用可能である。前記成形品は、一例として、包装容器、フィルム、シート、使い捨て袋、使い捨て生活用品、および包装緩衝材などの様々な形態であってもよいが、これに限定されない。
【0068】
以下、実施例および比較例に基づいて本開示をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本開示をより詳細に説明するための1つの例示にすぎず、下記の実施例および比較例に限定されるものではない。
下記の実施例および比較例の物性は、次のような方法で測定した。
【0069】
[物性の評価方法]
1.分子量(Mw、Mn、Mz)[g/mol]:GPC(Alliance HPLC、Waters)を用いて、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、およびz-平均分子量(Mz)を測定した。溶剤としてはテトラヒドロフランを用い、標準物としてはポリスチレン(EasiCal Polystyrene、Pre-prepared Calibration Kits)を用い、35℃のoperating温度、1mL/分のflow rateで分析した。また、前記Mw、Mnから多分散性指数(PDI)値を計算し、具体的に、Mn、Mw、およびMzは下記のように定義される。
【0070】
【数1】
(ここで、Mは、分子の分子量であり、Nは、分子量がMである分子の数を意味する。)
【0071】
以外の分子量を測定するための具体的な条件は下記のとおりである。
-分析機器:カラム(モデル名:Agilent社製のPLGEL MIXED-C 7.5X300mm、5μm)を2つ連結し、GPC流量が1ml/分に設定され、屈折率検出器(Refractive Index Detector)が連結されたGPCシステム(モデル名:Agilent社製の1260 Infinity II High-Temperature GPC System)を用いた。
-試料の準備:バイアルに1.5mgのサンプルとテトラヒドロフラン1mlを投入した後、常温で1時間以上Shaking Mixerで撹拌して溶解させた。製造された溶液を前記GPCに100μL注入した。
【0072】
2.溶融指数(MI、Melting Index)[g/10分]
ASTM D1238に準じて、190℃の温度条件および2.16kgの荷重条件で溶融指数を測定した。
【0073】
3.酸価(Acid Value)[mg KOH/g]
生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の酸価(カルボキシル末端基(CEG)の含量)を測定し、低い値を示すほど、耐加水分解性に優れると評価した。
【0074】
ASTM D664に準じて酸価を測定した。測定装置としてはMettler Toledo社製のMettler Toledo T50(Automatic Titrator)を用い、下記の方法により行われた。測定方法:100mlのビーカーにクロロホルム56mlおよびIPA 24mlを投入し、0.1N KOH溶液を用いてBlankの体積(Vblank)を確認した。100mlのビーカーにクロロホルム56mlおよび生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体1gを溶解し、IPA 24mlを投入および撹拌した後、0.1N KOH溶液(濃度:0.1mol/L)を用いて終点が検出されるまで滴定した。滴定に用いられたKOH溶液の体積(VEP)を記録し、下記計算式により酸価を計算した。
【0075】
【数2】
【0076】
EP=滴定に用いられたKOH溶液の体積(ml)
Blank=Blankの体積(ml)
KOH=用いられたKOH溶液の濃度(mol/L)
f=Correction factor(titer)
KOH=KOH分子量(56.106g/mol)
=生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の重量(g)
【0077】
[実施例1]
反応器にポリブチレンアジペートテレフタレート(以下、予備PBAT)を投入し、反応器の内部を230℃まで昇温した後、前記PBAT 100重量部に対して鎖延長剤としてヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)0.4重量部を投入し、230℃の温度条件(第1反応温度)で5分間(第1反応時間)重付加第1反応を行った。次に、反応器に耐加水分解剤としてポリカルボジイミド(HMV-15CA)0.2重量部を投入した後、250℃の温度条件(第2反応温度)で15分間(第2反応時間)第2反応を行った。温度を徐々に下げ、水中ペレタイザーを用いてポリエステルをペレット化し、それを乾燥させることで、最終的に生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を得た。得られたた生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の物性を上述の方法により測定し、その結果を下記表2に示した。また、DSCを用い、前記実施例1の生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体のガラス遷移温度(Tg)は-28.8℃、溶融温度(Tm)は122.6℃と測定された。
【0078】
[実施例2]
前記実施例1において、耐加水分解剤を0.4重量部投入したことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0079】
[実施例3]
前記実施例1において、第1反応時間を10分、第2反応時間を10分として第1反応および第2反応を行ったことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0080】
[実施例4]
前記実施例1において、第1反応時間を15分、第2反応時間を5分として第1反応および第2反応を行ったことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0081】
[比較例1]
前記実施例1において、耐加水分解剤を鎖延長剤と同時に投入して20分間反応させ、第2反応を行っていないことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0082】
[比較例2]
前記実施例1において、耐加水分解剤を投入していないことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0083】
[比較例3]
前記実施例1において、鎖延長剤を投入していないことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
前記表2から分かるように、実施例1において、鎖延長剤の投入後、耐加水分解剤を経時的に投入した場合、鎖延長剤と耐加水分解剤を同時に投入する比較例1に比べてさらに低い酸価を示すことを確認することができた。また、実施例1と実施例3、4を比較すると、第1反応時間よりも第2反応時間をさらに短くして製造された生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の場合、さらに低いMI/MIと低い酸度を示すことを確認した。
【0087】
一実施形態に係る生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体の製造方法により、従来のポリエステル製造時の縮合反応工程時間を短縮して高酸価および高粘度の問題を解決した。また、短時間内に低粘度の予備共重合体から低溶融指数と低酸度を有する生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル共重合体を製造することで、本開示が目的とする著しい粘度上昇と耐加水分解性の向上効果を同時に実現可能であることを確認した。
【0088】
以上、特定の事項と限定された実施例により本発明を説明したが、これは本発明のより全般的な理解のために提供されたものにすぎず、本発明は上記の実施例に限定されない。本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正および変形が可能である。
【0089】
したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定的に解釈されるべきではなく、後述の特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形を有するものは、いずれも本発明の思想の範囲に属するといえる。