(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079595
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】糸加熱装置及び仮撚加工機
(51)【国際特許分類】
D02J 1/22 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
D02J1/22 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186846
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2022191392
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】堀本 尭幸
(72)【発明者】
【氏名】北川 重樹
【テーマコード(参考)】
4L036
【Fターム(参考)】
4L036MA04
4L036PA05
4L036PA18
4L036UA21
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減しつつ、接糸部材の取り外し作業を容易とする。
【解決手段】接糸部材54a、54bは、加熱部材52によって画定された凹溝53a、53bであって、所定の延在方向に沿って延びており、且つ、延在方向と直交する上下方向の一方側(下方側)に開口した凹溝53a、53bの各々に着脱可能に取り付けられている。機台長手方向に並んで配置された、側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72を備えている。中央断熱部材72と側方断熱部材71、73との間のすき間は、凹溝53a、53bに取り付けられた接糸部材54a、54bまでそれぞれ糸Ya、Ybを導く際の導糸通路58a、58bを構成する。凹溝53a、53bの各々と上下方向に関して対向する対向領域59a(59b)には、中央断熱部材72が配置されており、対向領域59a(59b)に配置された中央断熱部材72は、取り外し可能に構成されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸が走行する凹溝であって、且つ、前記凹溝の延びる方向である延在方向と直交する直交方向の一方側に開放された前記凹溝が1以上形成されており、前記凹溝を走行する糸を加熱可能な糸加熱装置であって、
前記延在方向に沿って延びていると共に前記凹溝の少なくとも一部を画定し、前記凹溝を走行する糸を加熱するための加熱部材と、
前記1以上の凹溝の各々に1以上着脱可能に取り付けられ、前記凹溝を走行する糸と接触可能な接糸部材と、
前記延在方向及び前記直交方向の両方に直交する幅方向に並んで配置された2以上の断熱部材と、を備えており、
隣り合う2つの前記断熱部材の間のすき間が、前記凹溝に取り付けられた前記接糸部材まで糸を導く際の導糸通路を構成し、
前記1以上の凹溝の各々と前記直交方向に関して対向する対向領域には、前記2以上の断熱部材のうちの少なくとも1つの断熱部材の少なくとも一部が配置されており、
前記対向領域に配置された全ての前記断熱部材は、取り外し可能に構成されていることを特徴とする糸加熱装置。
【請求項2】
前記2以上の断熱部材のうちの少なくとも1つは、前記対向領域の外に配置されており、且つ、取り外し不能に構成されており、前記対向領域に配置された前記断熱部材の取り外しに伴って移動しない請求項1に記載の糸加熱装置。
【請求項3】
前記導糸通路における糸の入口である導糸口の前記幅方向に関する長さは、前記凹溝の前記幅方向に関する長さよりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の糸加熱装置。
【請求項4】
1つの前記対向領域に配置される前記断熱部材は1つであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の糸加熱装置。
【請求項5】
前記断熱部材は、少なくとも1つの前記凹溝の前記対向領域に配置された第1断熱部材と、前記幅方向において前記第1断熱部材と並んで配置された第2断熱部材と、を含んでおり、
前記第1断熱部材と前記第2断熱部材との間のすき間が、前記導糸通路を構成し、
前記直交方向に沿って延び且つ前記幅方向に関して前記凹溝の中心を通る仮想直線を想定したとき、前記延在方向から視て、前記第1断熱部材における前記第2断熱部材との対向面は、前記仮想直線に対して傾斜しており、且つ、前記仮想直線に対して、前記直交方向の前記一方側の端部が前記第2断熱部材側に位置し、前記直交方向の他方側の端部が前記第2断熱部材とは反対側に位置していることを特徴とする請求項4に記載の糸加熱装置。
【請求項6】
前記凹溝は、前記幅方向に並んで複数配置されており、
前記幅方向に関して隣り合う2つの前記凹溝の各々と前記直交方向に関して対向する2つの前記対向領域に、1つの前記断熱部材が跨って配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の糸加熱装置。
【請求項7】
前記断熱部材は、前記幅方向において隣り合う2つの前記凹溝の各々と前記直交方向に関して対向する2つの前記対向領域に跨って配置された1つの中央断熱部材と、前記幅方向において前記1つの中央断熱部材の両側に配置された2つの側方断熱部材と、を含んでおり、
前記1つの中央断熱部材と前記2つの側方断熱部材との間のすき間が、前記2つの凹溝に取り付けられた前記接糸部材までそれぞれ糸を導く際の前記導糸通路を構成し、
前記1つの中央断熱部材は、前記延在方向から視て、前記直交方向の他方側から前記一方側に向かって広がる台形形状を有しており、
前記延在方向から視たとき、前記1つの中央断熱部材における前記直交方向の前記他方側の端部は、前記直交方向に沿って延び且つ前記幅方向に関して前記2つの凹溝の中心をそれぞれ通る2本の仮想直線の間に位置していることを特徴とする請求項6に記載の糸加熱装置。
【請求項8】
前記延在方向から視たとき、前記1つの中央断熱部材における前記直交方向の前記他方側の端部は、前記直交方向に関して前記2つの凹溝とそれぞれ対向することを特徴とする請求項7に記載の糸加熱装置。
【請求項9】
前記延在方向から視たとき、前記1つの中央断熱部材における前記直交方向の前記一方側の端部は、前記2つの対向領域の外側まで延びていることを特徴とする請求項7又は8に記載の糸加熱装置。
【請求項10】
前記2つの側方断熱部材において前記幅方向に関して前記1つの中央断熱部材とそれぞれ対向する2つの面は、前記直交方向の前記他方側の端部間の前記幅方向に関する間隔が、前記直交方向の前記一方側の端部間の前記幅方向に関する間隔に比べて短いことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の糸加熱装置。
【請求項11】
前記断熱部材を支持可能な支持部材をさらに備えており、
前記支持部材は、前記断熱部材を支持する支持位置と、前記断熱部材を支持しない非支持位置と、を取り得ることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の糸加熱装置。
【請求項12】
前記支持部材に対して、前記非支持位置から前記支持位置に移動する向きの付勢力を付与可能な付勢部材をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載の糸加熱装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の糸加熱装置を備えていることを特徴とする仮撚加工機。
【請求項14】
糸を供給するための給糸部と、
前記糸加熱装置を含む複数の装置を有しており、前記給糸部から供給された糸を仮撚加工する加工部と、
前記加工部によって加工された糸を巻き取る巻取装置と、を備えており、
前記巻取装置は、巻取台に取り付けられており、
前記加工部が有する前記複数の装置は、前記巻取台と作業空間を空けて対向配置された主機台及び前記巻取台の上部と前記主機台の上部とを連結する支持フレームに取り付けられており、
前記糸加熱装置は、延在方向に沿って延びた凹溝であって、前記延在方向と直交し且つ前記作業空間と対向する方向に開放された前記凹溝を走行する糸を加熱することを特徴とする請求項13に記載の仮撚加工機。
【請求項15】
糸の走行方向に関して前記糸加熱装置の上流側に配置されており、糸を走行自在に支持可能な第1糸道形成部材と、
糸の走行方向に関して前記糸加熱装置の下流側に配置されており、糸を走行自在に支持可能な第2糸道形成部材と、を備えており、
前記凹溝における糸道は、前記第1糸道形成部材と前記第2糸道形成部材とによって形成される請求項13に記載の仮撚加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸を加熱する糸加熱装置及び仮撚加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行している糸を仮撚加工する仮撚加工機に設けられた加熱装置(糸加熱装置)が開示されている。かかる加熱装置は、シーズヒータ(熱源)と、シーズヒータによって加熱される加熱体(加熱部材)と、糸と接触する接糸面を有しており、加熱体によって加熱される接触プレート(接糸部材)と、を有する。接触プレートは、一部が加熱体で画定された凹溝であって、所定の延在方向に沿って延びており、且つ、延在方向と直交する直交方向の一方側に開口した凹溝に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような糸加熱装置では、熱源からの熱が凹溝の内部空間を介して外部に放出されるのを抑制し、消費電力を低減することが望まれている。そこで、直交方向に関して凹溝と対向する位置に断熱部材を配置することが考えられる。
【0005】
ところで、糸加熱装置の接糸部材は、汚れや融着した糸などを除去するメンテナンスを行うために定期的に凹溝から取り外す必要がある。上述のような断熱部材が配置されている場合には、接糸部材は、直交方向に取り外すことはできない。したがって、接糸部材は、延在方向に取り外すこととなる。接糸部材を延在方向に取り外す場合には、糸道上に位置するガイドや他の装置などと接糸部材との干渉を避ける必要がある。具体的には、糸道上に位置するガイドなどを移動させたり、糸加熱装置自身を回転させたりする必要が生じる。これらの作業は煩雑であり、操作性が悪い。
【0006】
本発明の目的は、消費電力を低減しつつ、接糸部材の取り外し作業を容易とする糸加熱装置及び仮撚加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明にかかる糸加熱装置は、糸が走行する凹溝であって、且つ、前記凹溝の延びる方向である延在方向と直交する直交方向の一方側に開放された前記凹溝が1以上形成されており、前記凹溝を走行する糸を加熱可能な糸加熱装置であって、前記延在方向に沿って延びていると共に前記凹溝の少なくとも一部を画定し、前記凹溝を走行する糸を加熱するための加熱部材と、前記1以上の凹溝の各々に1以上着脱可能に取り付けられ、前記凹溝を走行する糸と接触可能な接糸部材と、前記延在方向及び前記直交方向の両方に直交する幅方向に並んで配置された2以上の断熱部材と、を備えており、隣り合う2つの前記断熱部材の間のすき間が、前記凹溝に取り付けられた前記接糸部材まで糸を導く際の導糸通路を構成し、前記1以上の凹溝の各々と前記直交方向に関して対向する対向領域には、前記2以上の断熱部材のうちの少なくとも1つの断熱部材の少なくとも一部が配置されており、前記対向領域に配置された全ての前記断熱部材は、取り外し可能に構成されている。
【0008】
本発明では、断熱部材により、凹溝の内部空間を介して熱が外部に放出されるのを抑制し、消費電力を低減できる。また、糸をセットするために凹溝に取り付けられた接糸部材まで糸を導く際には、断熱部材を取り外す必要なく、導糸通路を介して糸を導くことができる。したがって、糸をセットする際も断熱部材により外部に熱が放出されるのを抑制し、消費電力を低減できる。さらに、対向領域に配置された全ての断熱部材を取り外すことにより、直交方向に関して凹溝と対向する対向領域を解放することができる。これにより、凹溝に取り付けられた接糸部材を直交方向に取り外すことが可能となる。したがって、接糸部材を延在方向に取り外す場合のように、糸道上に位置するガイドなどを移動させたり、糸加熱装置自身を回転させたりする煩雑な作業を行う必要がない。よって、接糸部材の取り外し作業が容易である。
【0009】
第2の発明にかかる糸加熱装置では、第1の発明において、前記2以上の断熱部材のうちの少なくとも1つは、前記対向領域の外に配置されており、且つ、取り外し不能に構成されており、前記対向領域に配置された前記断熱部材の取り外しに伴って移動しない。
【0010】
本発明では、接糸部材を凹溝から取り外す際に、取り外す必要のない断熱部材まで誤って取り外してしまうのを避けることができる。
【0011】
第3の発明にかかる糸加熱装置では、第1又は第2の発明において、前記導糸通路における糸の入口である導糸口の前記幅方向に関する長さは、前記凹溝の前記幅方向に関する長さよりも短い。
【0012】
本発明では、導糸通路の導糸口(凹溝側とは反対側の端部)の幅を狭く抑えることができる。したがって、凹溝の内部空間を介して熱が外部に放出されるのを確実に抑えることができる。
【0013】
第4の発明にかかる糸加熱装置では、第1~3の発明において、1つの前記対向領域に配置される前記断熱部材は1つである。
【0014】
本発明では、1つの断熱部材を取り外すことで、少なくとも1つの凹溝に対向する対向領域を解放し、該凹溝に取り付けられた接糸部材を取り外すことができる。したがって、接糸部材の取り外し作業の手順を簡略化できる。
【0015】
第5の発明にかかる糸加熱装置では、第4の発明において、前記断熱部材は、少なくとも1つの前記凹溝の前記対向領域に配置された第1断熱部材と、前記幅方向において前記第1断熱部材と並んで配置された第2断熱部材と、を含んでおり、前記第1断熱部材と前記第2断熱部材との間のすき間が、前記導糸通路を構成し、前記直交方向に沿って延び且つ前記幅方向に関して前記凹溝の中心を通る仮想直線を想定したとき、前記延在方向から視て、前記第1断熱部材における前記第2断熱部材との対向面は、前記仮想直線に対して傾斜しており、且つ、前記仮想直線に対して、前記直交方向の前記一方側の端部が前記第2断熱部材側に位置し、前記直交方向の他方側の端部が前記第2断熱部材とは反対側に位置している。
【0016】
例えば、第1断熱部材における第2断熱部材との対向面が、幅方向と直交する面であり、さらに、該対向面が、直交方向に沿って延び且つ幅方向に関して凹溝の中心を通る仮想直線に対して第2断熱部材側に位置する場合について考える。この場合、導糸通路を介して凹溝に取り付けられた接糸部材まで糸を導く際に、糸が第1断熱部材における直交方向の他方側(凹溝側)の端部と干渉する。一方、該対向面が、第2断熱部材から遠ざかるほど、凹溝において第1断熱部材と対向する部分が小さくなる。本発明では、導糸通路を介して糸を導く際に、糸が第1断熱部材における直交方向の他方側(凹溝側)の端部と干渉しにくくすることができる。同時に、凹溝において第1断熱部材と対向する部分を十分に確保し、凹溝の内部空間を介して熱が外部に放出されるのを十分に抑制することができる。
【0017】
第6の発明にかかる糸加熱装置では、第4又は5の発明において、前記凹溝は、前記幅方向に並んで複数配置されており、前記幅方向に関して隣り合う2つの前記凹溝の各々と前記直交方向に関して対向する2つの前記対向領域に、1つの前記断熱部材が跨って配置されている。
【0018】
本発明では、1つの断熱部材を取り外すことで、2つの凹溝の各々と直交方向に関して対向する2つの対向領域を解放し、該2つの凹溝に取り付けられた接糸部材を直交方向に取り外すことが可能となる。したがって、接糸部材の取り外し作業の手順をさらに簡略化できる。また、1つの断熱部材を取り外すことで、2つの凹溝の各々と直交方向に関して対向する2つの対向領域に跨る、比較的広い領域を解放することができる。したがって、接糸部材の取り外し作業を広い領域で容易に行うことができる。
【0019】
第7の発明にかかる糸加熱装置では、第6の発明において、前記断熱部材は、前記幅方向において隣り合う2つの前記凹溝の各々と前記直交方向に関して対向する2つの前記対向領域に跨って配置された1つの中央断熱部材と、前記幅方向において前記1つの中央断熱部材の両側に配置された2つの側方断熱部材と、を含んでおり、前記1つの中央断熱部材と前記2つの側方断熱部材との間のすき間が、前記2つの凹溝に取り付けられた前記接糸部材までそれぞれ糸を導く際の前記導糸通路を構成し、前記1つの中央断熱部材は、前記延在方向から視て、前記直交方向の他方側から前記一方側に向かって広がる台形形状を有しており、前記延在方向から視たとき、前記1つの中央断熱部材における前記直交方向の前記他方側の端部は、前記直交方向に沿って延び且つ前記幅方向に関して前記2つの凹溝の中心をそれぞれ通る2本の仮想直線の間に位置している。
【0020】
ここで、「前記1つの中央断熱部材における前記直交方向の前記他方側の端部」とは、延在方向から視たとき、直交方向の他方側から一方側に向かって広がる台形形状を有する中央断熱部材における直交方向の他方側の底辺に相当する部分を意味する。
【0021】
本発明では、導糸通路を介して凹溝に取り付けられた接糸部材まで糸を導く際に、糸が中央断熱部材における直交方向の他方側(凹溝側)の端部と干渉しにくい。
【0022】
第8の発明にかかる糸加熱装置では、第7の発明において、前記延在方向から視たとき、前記1つの中央断熱部材における前記直交方向の前記他方側の端部は、前記直交方向に関して前記2つの凹溝とそれぞれ対向する。
【0023】
本発明では、導糸通路を介して凹溝に取り付けられた接糸部材まで糸を導く際に、凹溝の縁に糸が引っ掛かりにくい。よって、導糸通路から凹溝にスムーズに糸を導くことができる。
【0024】
第9の発明にかかる糸加熱装置では、第7又は第8の発明において、前記延在方向から視たとき、前記1つの中央断熱部材における前記直交方向の前記一方側の端部は、前記2つの対向領域の外側まで延びている。
【0025】
本発明では、2つの側方断熱部材に挟まれた1つの中央断熱部材を取り外すことにより2つの側方断熱部材の間に形成される空間は、少なくとも2つの対向領域の外側まで広がっている。したがって、接糸部材を取り外す作業を行う空間を広く確保し、作業を容易に行うことができる。
【0026】
第10の発明にかかる糸加熱装置では、第7~第9の発明において、前記2つの側方断熱部材において前記幅方向に関して前記1つの中央断熱部材とそれぞれ対向する2つの面は、前記直交方向の前記他方側の端部間の前記幅方向に関する間隔が、前記直交方向の前記一方側の端部間の前記幅方向に関する間隔に比べて短い。
【0027】
本発明では、2つの側方断熱部材に挟まれた1つの中央断熱部材を取り外すことにより、2つの側方断熱部材の間に凹溝から離れる方向に向かって広がった空間ができる。したがって、接糸部材を直交方向に取り外す作業を容易に行うことができる。
【0028】
第11の発明にかかる糸加熱装置は、第1~第10の発明において、前記断熱部材を支持可能な支持部材をさらに備えており、前記支持部材は、前記断熱部材を支持する支持位置と、前記断熱部材を支持しない非支持位置と、を取り得る。
【0029】
なお、本発明における「断熱部材を支持する」とは、支持部材が断熱部材と当接して断熱部材を直接的に支持する場合だけでなく、支持部材が断熱部材に取り付けられた部材と当接して間接的に断熱部材を支持する場合も含む。
【0030】
本発明では、支持部材を支持位置から非支持位置に移動させることで、断熱部材を容易に取り外すことができる。
【0031】
第12の発明にかかる糸加熱装置は、第11の発明において、前記支持部材に対して、前記非支持位置から前記支持位置に移動する向きの付勢力を付与可能な付勢部材をさらに備えている。
【0032】
本発明では、支持部材が意図せず支持位置から非支持位置に移動するのを避けることができる。
【0033】
第13の発明にかかる仮撚加工機は、上述の第1~第12のいずれかの発明にかかる糸加熱装置を備えている。
【0034】
本発明では、断熱部材により、糸加熱装置の消費電力を低減できる。また、凹溝から接糸部材を取り外す際に煩雑な作業を行う必要がなく、作業が容易である。
【0035】
第14の発明にかかる仮撚加工機は、第13の発明において、糸を供給するための給糸部と、前記糸加熱装置を含む複数の装置を有しており、前記給糸部から供給された糸を仮撚加工する加工部と、前記加工部によって加工された糸を巻き取る巻取装置と、を備えており、前記巻取装置は、巻取台に取り付けられており、前記加工部が有する前記複数の装置は、前記巻取台と作業空間を空けて対向配置された主機台及び前記巻取台の上部と前記主機台の上部とを連結する支持フレームに取り付けられており、前記糸加熱装置は、延在方向に沿って延びた凹溝であって、前記延在方向と直交し且つ前記作業空間と対向する方向に開放された前記凹溝を走行する糸を加熱する。
【0036】
本発明では、凹溝から接糸部材を取り外す作業を行う際に、他の装置と接糸部材とが干渉することがなく、接糸部材の取り外し作業が容易である。また、接糸部材の取り外し作業時に、糸道上に位置する部材や装置等を移動させたり、糸加熱装置を回転させたりする作業が不要である。したがって、接糸部材の取り外し作業により糸道のずれが生じる可能性を低減できる。
【0037】
第15の発明にかかる仮撚加工機は、第13の発明において、糸の走行方向に関して前記糸加熱装置の上流側に配置されており、糸を走行自在に支持可能な第1糸道形成部材と、糸の走行方向に関して前記糸加熱装置の下流側に配置されており、糸を走行自在に支持可能な第2糸道形成部材と、を備えており、前記凹溝における糸道は、前記第1糸道形成部材と前記第2糸道形成部材とによって形成される。
【0038】
本発明では、第1糸道形成部材と第2糸道形成部材とに糸を掛けることで凹溝に糸を導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる仮撚加工機の側面図である。
【
図2】糸の経路に沿って仮撚加工機を展開した模式図である。
【
図4】
図3に示す第1加熱装置のIV-IV線に沿う断面図である。
【
図5】
図4に示す第1加熱装置のV-V線に沿う断面図である。
【
図6】(a)は
図4の加熱部を示し、(b)は(a)のb-b線に沿う断面図である。
【
図7】加熱部を延在方向から視た図であり、(a)は固定プレートが当接位置に位置している状態を示し、(b)は固定プレートが退避位置に位置している状態を示す。
【
図9】扉が開位置に位置している状態の第1加熱装置における延在方向の一方側の端部の機台長手方向と直交する面での断面図である。
【
図10】
図4の加熱部、側方断熱部材及び中央断熱部材を示す図である。
【
図11】中央プレートと中央断熱部材及び端部プレートとの分解斜視図である。
【
図12】扉の動き並びに加熱部、側方断熱部材及び中央断熱部材の状態を説明するための図であり、(a)は扉が閉位置に位置している状態、(b)は扉が開位置に位置している状態、(c)は中央断熱部材を取り外した状態を示す。
【
図13】実施形態の一変形例にかかる加熱部、第1断熱部材及び第2断熱部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の好適な一実施形態に係る仮撚加工機1について、
図1を参照しつつ説明する。なお、
図1の紙面垂直方向を機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向及び機台幅方向の両方と直交する方向を、重力の作用する上下方向とする。機台長手方向及び機台幅方向は、水平方向と略平行な方向である。
【0041】
(仮撚加工機1の全体構成)
仮撚加工機1は、例えばナイロン(ポリアミド系繊維)やポリエステル等の合成繊維からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。仮撚加工機1は、糸Yを供給するための給糸部2と、給糸部2から供給された糸Yを仮撚加工する加工部3と、加工部3によって加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取る巻取部4と、を備える。給糸部2、加工部3及び巻取部4が有する各構成要素は、機台長手方向において複数配列されている(
図2参照)。機台長手方向は、給糸部2から加工部3を通って巻取部4に至る糸道によって形成される、糸Yの走行面(
図1の紙面)と直交する方向である。
【0042】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド5を有する。給糸部2は、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、給糸パッケージPsから供給された糸Yを仮撚りする。加工部3は、糸走行方向の上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13(本発明の「糸加熱装置」に相当する)、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、交絡装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
【0043】
仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延設されている。主機台8及び巻取台9は、機台幅方向において互いに対向するように配置されている。主機台8の上部と巻取台9の上部とは、支持フレーム10によって連結されている。加工部3を構成する各装置は、主に主機台8や支持フレーム10に取り付けられている。巻取部4を構成する各装置は、巻取台9に取り付けられている。主機台8と巻取台9と支持フレーム10とによって、作業者が各装置に対して糸掛け等の作業を行うための作業空間Aが形成されている。糸道は、糸Yが主に作業空間Aの周りを走行するように形成されている。
【0044】
仮撚加工機1は、互いに対向配置された1組の主機台8及び巻取台9を含むスパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンには、加工部3を構成する各装置を通るように糸道が形成されている加工ユニット(錘とも呼ばれる)が、機台長手方向に複数並んで配置されている。これによって、1つのスパンでは、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を行うことができる。仮撚加工機1は、スパンが、主機台8における機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置されている。主機台8は左右のスパンで共通のものとなっている。
【0045】
(加工部3の構成)
加工部3の構成について、
図1及び
図2を参照しつつ説明する。第1フィードローラ11は、給糸部2に装着された給糸パッケージPsから糸Yを解舒して第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、例えば、
図2に示すように、1本の糸Yを第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。撚止ガイド12は、糸Yを走行自在に支持可能である。撚止ガイド12は、仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないように構成されている。
【0046】
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを所定の加工温度に加熱するための装置である。第1加熱装置13は、
図1に示すように、作業空間Aの上方に配置されている。第1加熱装置13は、例えば、
図2に示すように、2本の糸Yを加熱可能に構成されている。第1加熱装置13のより詳細については、後述する。
【0047】
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するように構成されている。冷却装置14は、例えば、
図2に示すように、1本の糸Yを冷却するように構成されている。冷却装置14は、複数の糸Yを同時に冷却可能に構成されていても良い。
【0048】
仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向下流側に配置されている。仮撚装置15は、糸Yを走行自在に支持可能である。仮撚装置15は、糸Yに撚りを付与するように構成されている。仮撚装置15は、例えば、いわゆるディスクフリクション方式の仮撚装置であるが、これには限られない。
【0049】
第2フィードローラ16は、仮撚装置15で処理された糸Yを交絡装置17へ送るように構成されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。これにより、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸仮撚される。
【0050】
交絡装置17は、糸Yに交絡を付与するように構成されている。交絡装置17は、例えば、空気流によって糸Yに交絡を付与する公知のインターレースノズルを有する。
【0051】
第3フィードローラ18は、交絡装置17よりも糸走行方向における下流側を走行している糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。第3フィードローラ18は、例えば、
図2に示すように、1本の糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。第3フィードローラ18は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。なお、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。
【0052】
第2加熱装置19は、第3フィードローラ18から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第2加熱装置19は、鉛直方向に沿って延びており、1つのスパンに1つずつ設けられている。
【0053】
第4フィードローラ20は、第2加熱装置19によって加熱された糸Yを巻取装置21へ送るように構成されている。第4フィードローラ20は、例えば、
図2に示すように、1本の糸Yを巻取装置21へ送ることが可能に構成されている。第4フィードローラ20は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。第4フィードローラ20による糸Yの搬送速度は、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩される。
【0054】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yが、仮撚装置15によって撚られる。仮撚装置15により形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15よりも糸走行方向下流側では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって糸Yが波状に仮撚りされた状態が維持される(すなわち、糸Yの捲縮が維持される)。
【0055】
仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、交絡装置17によって交絡が付与された後、糸走行方向下流側へ案内される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩されながら、第2加熱装置19で熱処理される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Yは、巻取装置21によって巻き取られる。
【0056】
(巻取部4の構成)
巻取部4の構成について、
図2を参照しつつ説明する。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、1つの巻取ボビンBwに糸Yを巻取可能に構成されている。巻取装置21は、支点ガイド31と、トラバース装置32と、クレードル33とを有する。支点ガイド31は、糸Yが綾振りされる際の支点となるガイドである。トラバース装置32は、トラバースガイド34によって糸Yを綾振りすることが可能に構成されている。クレードル33は、巻取ボビンBwを回転自在に支持するように構成されている。クレードル33の近傍には、接触ローラ35が配置されている。接触ローラ35は、巻取パッケージPwの表面に接触して接圧を付与する。以上のように構成された巻取部4では、上述した第4フィードローラ20から送られた糸Yが各巻取装置21によって巻取ボビンBwに巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される。
【0057】
(第1加熱装置13の構成)
次に、第1加熱装置13のより具体的な構成について、
図3~
図12をさらに参照しつつ説明する。
図3に示すように、第1加熱装置13は、機台長手方向と直交する所定の延在方向に沿って延びている。本実施形態においては、延在方向は機台幅方向と平行である。延在方向は、機台幅方向に対して傾斜していても良い。
【0058】
第1加熱装置13は、
図6(b)に示すように、延在方向に沿って延びる凹溝53が形成されている。第1加熱装置13は、凹溝53において延在方向の一方側から他方側に向かって走行する糸Yを加熱するように構成されている。凹溝53においては、撚止ガイド12及び仮撚装置15(
図1参照)によって走行自在に支持された糸Yが走行する。すなわち、凹溝53における糸道は、撚止ガイド12及び仮撚装置15によって形成される。本実施形態では、第1加熱装置13は、2本の糸Y(糸Ya、Yb:
図4参照)を加熱可能に構成されている。
【0059】
第1加熱装置13は、
図4及び
図5に示すように、加熱部50と、側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72と、を主に備えている。これら加熱部50、側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72は、保温ボックス60に収容されている。保温ボックス60内における加熱部50、側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72が配置された領域以外の領域は、断熱材70により埋められている。断熱材70は、例えばロックウールやセラミックファイバー等からなる。
【0060】
加熱部50は、
図6(a)に示すように、熱源51、2つの加熱部材52(52a、52b)及び2つの接糸部材54(54a、54b)を主に有している。熱源51は、例えば、シーズヒータである。熱源51は、
図5に示すように、延在方向に沿って延びている。加熱部材52は、熱源51が生成する熱によって加熱されるように構成されている。接糸部材54は、加熱部材52によって加熱されるように構成されている。加熱部材52及び接糸部材54は、熱源51に沿って延在方向に延びている。
【0061】
加熱部材52a及び接糸部材54aは、糸Yaを加熱するための部材である。加熱部材52b及び接糸部材54bは、糸Ybを加熱するための部材である。糸Yaを加熱するための部材と糸Ybを加熱するための部材は、機台長手方向において、熱源51を挟んで互いに反対側の位置に配置されている。
【0062】
糸Yaを加熱するための部材について説明する。加熱部材52aは、例えば、黄銅などの比熱が大きい金属材料によって構成されている。加熱部材52aは、熱源51に接触するように配置されている。加熱部材52aは、熱源51の機台長手方向における一方側(
図6(a)の紙面左側)に配置されている。加熱部材52aには、
図6に示すように、下側(本発明の「直交方向の一方側」に相当する)に開放された凹溝53(53a)が形成されている。すなわち、凹溝53aは、作業空間A(
図1参照)と対向する方向に開放されている。凹溝53aは、延在方向に沿って延びている。本実施形態においては、凹溝53(53a)は、全体が加熱部材52aで画定されている。凹溝53(53a)は、少なくとも一部が加熱部材52aで画定されていればよい。
【0063】
接糸部材54aは、例えばSUS製の長尺の部材である。接糸部材54aは、加熱部材52aに形成された凹溝53aに着脱可能に取り付けられている。本実施形態においては、1つの凹溝53aに1つの接糸部材54aが取り付けられている。しかしながら、1つの凹溝53aに複数の接糸部材54aを取り付ける構成であってもよい。接糸部材54aは、加熱部材52aと接触している。接糸部材54aは、加熱部材52aを介して熱源51から伝わる熱によって昇温される。
【0064】
接糸部材54aは、
図6(a)、(b)に示すように、糸Yaと接触可能な接糸面55(55a)を有する。接糸部材54aは、接糸面55aが下側を向く姿勢で凹溝53aに配置されている。すなわち、凹溝53aの内部空間のうち、接糸面55aよりも下方の空間は、糸Yaが走行する糸走行空間57(57a)となっている。
【0065】
接糸面55aは、
図6(a)に示すように、延在方向から視たときに、上側に突出するように湾曲している。接糸部材54aには、糸Yaの機台長手方向における移動を規制する2つの規制面56(56a)が形成されている。2つの規制面56(56a)は、接糸面55aにおける機台長手方向の両端部に接続されている。規制面56(56a)は、機台長手方向と直交する面である。また、接糸面55aは、
図6(b)に示すように、機台長手方向と直交する断面において、下側に突出するように湾曲している。
【0066】
また、糸Ybを加熱するための部材について説明する。加熱部材52bは、熱源51の機台長手方向における他方側(
図6(a)の紙面右側)に配置されている。加熱部材52bは、熱源51と接触している。加熱部材52bは、凹溝53aと同様の形状の凹溝53bが形成されている。凹溝53b内には、接糸部材54aと同様の構造の接糸部材54bが着脱可能に取り付けられている。接糸部材54bは、接糸面55aと同様の形状の接糸面55b及び規制面56bを有する。凹溝53bの内部空間の一部は、糸走行空間57aと同様の糸走行空間57bとなっている。さらなる詳細については省略する。
【0067】
以上のように、加熱部材52には、延在方向に沿って延びる2つの凹溝53a、53bが、機台長手方向(本発明の「幅方向」に相当する)に並んで形成されている。2つの接糸部材54a、54bは、2つの凹溝53a、53bの各々に取り付けられている。
【0068】
第1加熱装置13内に送り込まれた糸Y(Ya、Yb)は、凹溝53(53a、53b)において接糸面55(55a、55b)に接触しつつ走行する。これにより、糸Y(Ya、Yb)は、接糸面55(55a、55b)を介して加熱部材52(52a、52b)から熱を受け取り、加熱される。糸Yの種類、糸Yの銘柄(太さ)、糸Yの走行速度及び加熱温度を適切に設定することにより、糸Yの温度を最適な加工温度にすることができる。
【0069】
ここで、接糸部材54を凹溝53に装着する機構について説明する。
図6(b)において二点鎖線で示すように、接糸部材54は、凹溝53に装着される前の時点では、略直線状に延びている。この状態では、接糸面55も、接糸部材54の延びる方向に略直線状に延びている。また、接糸部材54の長手方向に関する長さは、凹溝53の延在方向に関する長さよりも長い。接糸部材54の長手方向の両端部は、凹溝53における延在方向の両端部からはみ出している。
【0070】
図6(b)及び
図7に示すように、2つの加熱部材52a、52bの延在方向の両端部には、固定プレート41がそれぞれ取り付けされている。加熱部材52aの延在方向の両端部に取り付けられた2つの固定プレート41は、接糸部材54aを固定する。加熱部材52bの延在方向の両端部に取り付けられた固定プレート41は、接糸部材54bを固定する。
図7に示すように、各固定プレート41は、延在方向に沿って延びた搖動軸42を中心に搖動可能に構成されている。各固定プレート41は、接糸部材54における凹溝53からはみ出した部分の下端面と当接可能な当接部43を有している。固定プレート41は、搖動軸42を中心に搖動することで、当接部43が接糸部材54と当接する当接位置(
図7(a)に示す位置)と、当接部43が接糸部材54と当接しない退避位置(
図7(b)に示す位置)と、の間で移動可能である。
【0071】
また、
図6(b)に示すように、凹溝53内には、複数の撓ませ部45が配置されている。複数の撓ませ部45は、延在方向に互いに離隔して配置されている。各撓ませ部45は、略円筒状である。各撓ませ部45は、その軸方向が機台長手方向と平行となる姿勢で配置されている。各撓ませ部45は、加熱部材52に取り付けられている。複数の撓ませ部45のうち、凹溝53における延在方向の略中央に位置する撓ませ部45は最も下方に位置する。複数の撓ませ部45は、凹溝53における延在方向の中央から離れた位置に配置されているものほど、上方に位置する。
【0072】
接糸部材54を凹溝53に装着する際には、まず、接糸部材54を下方から上方に持ち上げて、接糸部材54を複数の撓ませ部45に押し当てる。そして、固定プレート41を退避位置(
図7(b)に示す位置)から当接位置(
図7(a)に示す位置)に移動させて、固定プレート41の当接部43を接糸部材54における延在方向の両端部の下面と当接させる。このとき、接糸部材54には、複数の撓ませ部45によって下向きの力が加えられ、固定プレート41の当接部43によって上向きの力が加えられる。これにより、接糸部材54は、下側へ凸状に膨らんだ略U字状に撓んだ状態で凹溝53に装着される。接糸部材54が撓むことで、接糸面55も下側へ凸状に膨らんだ略U字状に湾曲する。また、固定プレート41を当接位置(
図7(a)に示す位置)から退避位置(
図7(b)に示す位置)に移動させることで、接糸部材54を凹溝53から取り外すことができる。
【0073】
保温ボックス60は、
図8に示すように、本体部61、扉62、サイドプレート63a、63b及び中央プレート64を主に有している。保温ボックス60には、保温ボックス60への糸の出入口66が形成されている。出入口66は、保温ボックス60において、延在方向に関して糸走行空間57(57a、57b)の両端とそれぞれ対向する箇所に設けられている。また、保温ボックス60には、一端が出入口66に繋がっており、且つ、他端が開放されたスリット67が形成されている。
【0074】
本体部61は、延在方向を長手方向とする略直方体形状を有する中空の部材である。
図4に示すように、本体部61における下壁61aには、開口68が形成されている。開口68は、延在方向に関して本体部61の全長にわたって形成されている。また、
図5に示すように、本体部61における延在方向の両端の側壁61bには、開口69がそれぞれ形成されている。開口69は、側壁61bにおける機台長手方向の中央に形成されている。開口69は、下側が開放されている。
【0075】
扉62は、延在方向に沿って延びる板状の部材である。扉62は、本体部61の下壁61aの下面に取り付けられている。扉62は、延在方向に沿って延びる軸62aを中心に搖動可能に構成されている。軸62aは、扉62における機台長手方向における他方側(
図4の紙面右側)の端部に取り付けられている。
図4において実線で示すように、扉62が閉位置に位置しているとき、本体部61の開口68は扉62によって閉鎖される。閉位置に位置する扉62が軸62aを中心に下方(
図4中反時計回り方向)に搖動して、
図4において破線で示す開位置となったとき、本体部61の開口68は開放される。すなわち、扉62は、本体部61の開口68を閉鎖する閉位置と、開口68を開放する開位置と、の間で移動可能に構成されている。
【0076】
扉62には、
図8に示すように、一端が本体部61に固定されたバネ65の他端が固定されている。扉62は、バネ65により開位置から閉位置に向かう方向に付勢されている。閉位置に位置する扉62は、バネ65により上方に付勢されている。
【0077】
サイドプレート63a、63b及び中央プレート64からなる3枚のプレートは、本体部61における延在方向の両端の側壁61bの外面にそれぞれ取り付けられている。中央プレート64は、後で詳述する中央断熱部材72の延在方向の両側にそれぞれ配置されている。中央プレート64は、中央断熱部材72を延在方向の両側から支持可能である。中央プレート64は、本発明の「支持部材」に相当する。
【0078】
サイドプレート63aは、本体部61の側壁61bにおける機台長手方向に関して開口69の一方側(
図8の紙面左側)の部分に取り付けされている。サイドプレート63bは、本体部61の側壁61bにおける機台長手方向に関して開口69の他方側(
図8の紙面右側)の部分に取り付けされている。サイドプレート63a、63bは、いずれも開口69を部分的に塞ぐように配置されている。サイドプレート63a、63bは、機台長手方向に関して離隔して配置されている。中央プレート64は、ボルト82により、本体部61の側壁61bにおける開口69の上側の部分に取り付けられている。中央プレート64は、開口69を部分的に塞ぐように配置されている。中央プレート64は、機台長手方向に関してサイドプレート63a、63bの間に配置されている。中央プレート64は、機台長手方向に関してサイドプレート63a、63bと離隔して配置されている。
【0079】
保温ボックス60への糸Y(Ya、Yb)の出入口66(66a、66b)は、サイドプレート63aと中央プレート64との間のすき間、及び、サイドプレート63bと中央プレート64との間のすき間により構成されている。延在方向に関して糸走行空間57aの端部と対向する箇所に、サイドプレート63aと中央プレート64との間のすき間で構成された出入口66aが形成されている。延在方向に関して糸走行空間57bの端部と対向する箇所に、サイドプレート63bと中央プレート64との間のすき間で構成された出入口66bが形成されている。
【0080】
スリット67(67a、67b)は、サイドプレート63aと中央プレート64との間のすき間、及び、サイドプレート63bと中央プレート64との間のすき間により構成されている。2つのスリット67a、67bは、いずれも延在方向と直交する面内において延びている。スリット67aは、上端が出入口66aに繋がっており、且つ、下端が開放されている。スリット67bは、上端が出入口66bに繋がっており、且つ、下端が開放されている。
【0081】
中央プレート64の上端部には、ボルト82を挿通するための2つの孔64aが形成されている。2つの孔64aは、機台長手方向に沿って並んでいる。
図9に示すように、延在方向の一方側の側壁61bに取り付けられた中央プレート64と、該中央プレート64の孔64aに挿通されたボルト82の頭部82aと、の間には、付勢部材83が配置されている。本実施形態においては、付勢部材83はコイルバネである。付勢部材83は、ゴムであってもよい。付勢部材83は、なくてもよい。中央プレート64は、付勢部材83の付勢力により本体部61に押し付けられている。
【0082】
中央プレート64における開口69を塞いでいる部分には、上下方向に沿って延びる開口64bが形成されている。開口64b内には、後述する端部プレート79に形成された凸部78が配置されている。
【0083】
側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72は、例えば石膏ボード等からなる。側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72は、いずれも延在方向に沿って延びている。側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72は、
図4に示すように、加熱部50の下方に配置されている。側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72は、加熱部50と、保温ボックス60の本体部61に形成された開口68と、の間に配置されている。側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72は、加熱部50と本体部61の下壁61aとの間において、機台長手方向に沿って並んでいる。
【0084】
中央断熱部材72は、後述するように第1加熱装置13に対して取り外し可能に構成されている。なお、側方断熱部材71、73は、第1加熱装置13に対して取り外し不能に構成されている。例えば、側方断熱部材71、73は、加熱部50や保温ボックス60に対してねじや接着剤等で固定されている。すなわち、側方断熱部材71、73は、中央断熱部材72の取り外し作業に伴って移動することがない。
【0085】
側方断熱部材71、73は、機台長手方向に関して中央断熱部材72の両側に配置されている。側方断熱部材71は、中央断熱部材72よりも機台長手方向の一方側に配置されている。側方断熱部材73は、中央断熱部材72よりも機台長手方向の他方側に配置されている。
図10に示すように、中央断熱部材72と側方断熱部材71、73との間にそれぞれ形成されたすき間は、第1加熱装置13に糸Yをセットする際の導糸通路58(58a、58b)として機能する。側方断熱部材71と中央断熱部材72との間のすき間は、凹溝53aに取り付けられた接糸部材54aの接糸面55aまで糸Yaを導くための導糸通路58aを構成する。中央断熱部材72と側方断熱部材73との間のすき間は、凹溝53bに取り付けられた接糸部材54bの接糸面55bまで糸Ybを導くための導糸通路58bを構成する。
【0086】
導糸通路58の幅(機台長手方向に関する長さ)は、延在方向から視て凹溝53から遠ざかるほど(下方ほど)狭くなっている。後述するように、中央断熱部材72は、扉62の移動に連動して上下方向に移動可能に構成されている。扉62が閉位置に位置しているとき、導糸通路58(58a、58b)における糸Yの入口である導糸口(凹溝53側とは反対側の端部)の幅W1(機台長手方向に関する長さ)は、凹溝53(53a、53b)の幅W2(機台長手方向に関する長さ)よりも短い。
【0087】
中央断熱部材72は、機台長手方向において隣り合う2つの凹溝53(53a、53b)の各々と上下方向に関し対向する2つの対向領域59a、59b(
図10において二点鎖線で囲まれた領域)に跨って配置されている。中央断熱部材72は、一部分が凹溝53aと対向する対向領域59aに配置され、別の一部分が凹溝53bと対向する対向領域59bに配置される。側方断熱部材71、73は、その全体が対向領域59a、59bの外に配置されている。すなわち、側方断熱部材71、73は、対向領域59a及び対向領域59bのいずれにも配置されていない。
【0088】
中央断熱部材72は、延在方向から視て、上方から下方に向かって(凹溝53から離れる方向に向かって)広がる略台形形状を有している。
【0089】
ここで、上下方向に沿って延び、且つ、機台長手方向に関して凹溝53aの中心を通る直線を仮想直線S1(
図10において一点鎖線で示す)とする。また、上下方向に沿って延び、且つ、機台長手方向に関して凹溝53bの中心を通る直線を仮想直線S2(
図10において一点鎖線で示す)とする。このとき、
図10に示すように、延在方向から視て、中央断熱部材72における上端部(台形形状を有する中央断熱部材72の上辺に対応する部分)は、仮想直線S1、S2の間に位置している。また、中央断熱部材72における上端部は、2つの対向領域59a、59bに跨っている。すなわち、延在方向から視て、中央断熱部材72における上端部は、上下方向に関して2つの凹溝53a、53bとそれぞれ対向している。
【0090】
また、延在方向から視たとき、中央断熱部材72における下端部は、2つの対向領域59a、59bの外側まで延びている。さらに、延在方向から視たときの中央断熱部材72における下端部の機台長手方向に沿う長さを長さL1とする。中央断熱部材72の下端部の長さL1は、機台長手方向の一方側(
図10の紙面左側)に配置された凹溝53aにおける機台長手方向の一方側の端部と、機台長手方向の他方側(
図10の紙面右側)に配置された凹溝53bにおける機台長手方向の他方側の端部と、の間の機台長手方向に関する間隔L2よりも長い。
【0091】
中央断熱部材72における側方断熱部材71、73と対向する面72a、72b(本発明の「対向面」に相当する)は、いずれも機台長手方向と直交する垂直面に対して傾斜している。延在方向から視たとき、中央断熱部材72における機台長手方向の一方側(
図10の紙面左側)の面72aは、仮想直線S1に対して、下端部が側方断熱部材71側に位置し、上端部が側方断熱部材71とは反対側に位置するように傾斜している。また、延在方向から視たとき、中央断熱部材72における機台長手方向の他方側(
図10の紙面右側)の面72bは、仮想直線S2に対して、下端部が側方断熱部材73側に位置し、上端部が側方断熱部材73とは反対側に位置するように傾斜している。
【0092】
側方断熱部材71、73は、延在方向から視て、凹溝53に近づく方向に向かって広がる台形形状を有している。側方断熱部材71、73のうち機台長手方向の一方側(
図10の紙面左側)に配置された側方断熱部材71の機台長手方向の他方側の面71aは、機台長手方向と直交する垂直面に対して傾斜している。側方断熱部材71の面71aは、上端が下端よりも機台長手方向の他方側(
図10の紙面右側)に位置するように傾斜している。側方断熱部材71、73のうち機台長手方向の他方側(
図10の紙面右側)に配置された側方断熱部材73の機台長手方向の一方側の面73aは、機台長手方向と直交する垂直面に対して傾斜している。側方断熱部材73の面73aは、上端が下端よりも機台長手方向の一方側(
図10の紙面左側)に位置するように傾斜している。
【0093】
側方断熱部材71の面71a及び側方断熱部材73の面73aは、いずれも機台長手方向に関して中央断熱部材72と対向する面である。ここで、これら2つの面71a、73aにおける凹溝53側の端部(上端部)間の機台長手方向に関する間隔を間隔L3とする。また、これら2つの面71a、73aにおける凹溝53側とは反対側の端部(下端部)間の機台長手方向に関する間隔をL4とする。このとき、間隔L3は、間隔L4に比べて短い。
【0094】
図5に示すように、中央断熱部材72の延在方向の両端部には、端部プレート79がそれぞれ取り付けられている。端部プレート79は、その厚み方向が延在方向と平行となる姿勢で中央断熱部材72に取り付けられている。
【0095】
図11に示すように、端部プレート79における延在方向に関して中央断熱部材72側とは反対側の面には、凸部78が形成されている。凸部78は、上下方向に沿って延びている。
図8に示すように、凸部78は、中央プレート64の開口64b内に配置されている。開口64b内に配置された凸部78は、その側面78aが開口64bの上下方向に沿って延びる縁部と接触する。凸部78は、開口64b内で上下にスライド可能である。
【0096】
図4に示すように、扉62が閉位置に位置しているとき、中央断熱部材72は、扉62によって上方に押圧されている。扉62が閉位置から開位置(
図4中破線で示す位置)に移動することで、中央断熱部材72は上方に押圧されることがなくなる。これにより、中央断熱部材72は、自重により下方に移動する。そして、扉62が開位置から閉位置に移動することで、中央断熱部材72は再び扉62により上方に押圧される。これにより、中央断熱部材72は、上方に移動する。
【0097】
上述のように、中央断熱部材72は、扉62の移動に連動して中央プレート64に対して上下に移動する。中央断熱部材72が上下に移動するとき、凸部78が中央プレート64に形成された開口64b内で上下にスライドする。開口64bにより、中央断熱部材72の上下方向の移動がガイドされる。
【0098】
扉62が開位置に位置しているとき、
図9に示すように、中央断熱部材72の延在方向の両端部に取り付けられた端部プレート79の凸部78の下端部が、中央プレート64に形成された開口64bの下端部に当接する。このとき、中央断熱部材72は、中央プレート64により延在方向の両端から支持された状態となる。
【0099】
延在方向の一方側の側壁61bに取り付けられた中央プレート64は、中央断熱部材72を支持する支持位置(
図9において実線で示す位置)と、中央断熱部材72を支持しない非支持位置(
図9において破線で示す位置)と、を取り得る。具体的には、中央プレート64は、その下端部に延在方向に関して中央断熱部材72から遠ざかる方向の力を加えられることで、支持位置から非支持位置に移動する。このとき、中央プレート64の上端部は付勢部材83により、中央断熱部材72に近づく向きに付勢されている。したがって、非支持位置に位置する中央プレート64は、上端部の位置は支持位置とほぼ変わらず、下端部に近づくほど中央断熱部材72から離れるように、延在方向と直交する面に対して傾斜した姿勢となる。また、中央プレート64には、付勢部材83により非支持位置から支持位置に移動する向き(中央断熱部材72に近づく向き)の付勢力が付与される。したがって、中央プレート64に対して中央断熱部材72から遠ざかる方向の力が加えられなくなると、中央プレート64は非支持位置から支持位置に戻る。
【0100】
中央断熱部材72は、中央プレート64を支持位置から非支持位置に移動させることで、第1加熱装置13から取り外すことができる。
図12(c)に示すように、中央断熱部材72を取り外すことで、2つの凹溝53a、53bの各々と上下方向に関し対向する2つの対向領域59a、59bの全体が開放される。このとき、2つの側方断熱部材71、73の間には、延在方向から視て上方から下方に向かって(凹溝53から離れる方向に向かって)広がる台形形状の空間が現れる。
【0101】
(接糸部材54の取り外し手順)
次に、
図12を参照しつつ、第1加熱装置13からの接糸部材54の取り外し手順について説明する。まず、作業者は、保温ボックス60の扉62を、
図12(a)に示す閉位置から
図12(b)に示す開位置に移動させる。扉62を開位置とすることで、中央断熱部材72は上方に押圧されることがなくなり、自重により下方に移動する。このとき、中央断熱部材72は、
図9に示すように中央プレート64に支持された状態となる。
【0102】
続いて、作業者は、中央プレート64を支持位置(
図9において実線で示す位置)から非支持位置(
図9において破線で示す位置)に移動させ、
図12(c)に示すように、中央断熱部材72を第1加熱装置13から取り外す。これにより、加熱部50の2つ凹溝53a、53bの各々と上下方向に関し対向する2つの対向領域59a、59bの全体が開放される。すなわち、2つ凹溝53a、53bの下方に空間が現れる。なお、上述のように、側方断熱部材71、73は、第1加熱装置13に対して取り外し不能に構成されている。したがって、このときに側方断熱部材71、73が第1加熱装置13から取り外されることはない。さらに、作業者は、固定プレート41を当接位置(
図7(a)に示す位置)から退避位置(
図7(b)に示す位置)に移動させ、接糸部材54を下方に取り外す。
【0103】
(実施形態の特徴)
以上のように、本実施形態の第1加熱装置13は、加熱部材52と、糸Yと接触可能な接糸面55a、55bを有する接糸部材54a、54bと、機台長手方向に並んで配置された側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72と、を備えている。接糸部材54a、54bは、加熱部材52によって画定された凹溝53a、53bであって、所定の延在方向に沿って延びており、且つ、延在方向と直交する上下方向の一方側(下方側)に開口した凹溝53a、53bの各々に着脱可能に取り付けられている。中央断熱部材72と側方断熱部材71、73との間に形成されたすき間は、2つの凹溝53a、53bに取り付けられた2つの接糸部材54a、54bまでそれぞれ糸Ya、Ybを導く際の導糸通路58a、58bを構成する。凹溝53a、53bの各々と上下方向に関して対向する対向領域59a、59bには、中央断熱部材72が配置されており、対向領域59a、59bに配置された中央断熱部材72は、取り外し可能に構成されている。
【0104】
上述の構成によると、側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72によって、凹溝53a、53bの内部空間を介して熱が外部に放出されるのを抑制し、消費電力を低減できる。また、糸Ya、Ybをセットするために凹溝53a、53bに取り付けられた接糸部材54a、54bまで糸Ya、Ybを導く際には、中央断熱部材72を取り外す必要なく、導糸通路58a、58bを介して糸Ya、Ybを導くことができる。したがって、糸Ya、Ybをセットする際も側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72により外部に熱が放出されるのを抑制し、消費電力を低減できる。さらに、対向領域59a、59bに配置された中央断熱部材72を取り外すことにより、上下方向に関して凹溝53a、53bと対向する対向領域59a、59bを解放することができる。これにより、凹溝53a、53bに取り付けられた接糸部材54a、54bを下方向に取り外すことが可能となる。したがって、接糸部材54a、54bを延在方向に取り外す場合のように、糸道上に位置するガイドなどを移動させたり、第1加熱装置13自身を回転させたりする煩雑な作業を行う必要がない。よって、接糸部材54a、54bの取り外し作業が容易である。また、接糸部材54a、54bの取り外し作業によって糸道のずれが生じる可能性を低減できる。
【0105】
さらに、本実施形態の第1加熱装置13では、側方断熱部材71、73は対向領域59a、59bの外に配置されており、且つ、取り外し不能に構成されている。そして、側方断熱部材71、73は、対向領域59a、59bに配置された中央断熱部材72の取り外しに伴って移動しない。この構成によると、接糸部材54を凹溝53から取り外す際に、取り外す必要のない側方断熱部材71、73まで誤って取り外してしまうのを避けることができる。
【0106】
加えて、本実施形態の第1加熱装置13では、導糸通路58における糸Yの入口である導糸口の機台長手方向に関する長さ(導糸通路58の導糸口の幅W1)は、凹溝53の機台長手方向に関する長さ(凹溝53の幅W2)よりも短い。本構成では、導糸通路58の導糸口の幅W1を狭く抑えることができる。したがって、熱源51からの熱が外部に放出されるのを確実に抑えることができる。
【0107】
また、本実施形態の第1加熱装置13では、1つの対向領域59a(59b)に配置される中央断熱部材72は1つである。本構成では、1つの中央断熱部材72を取り外すことで、少なくとも1つの凹溝53に対向する対向領域59a(59b)を解放し、該凹溝53に取り付けられた接糸部材54を取り外すことができる。よって、接糸部材54の取り外し作業の手順を簡略化できる。
【0108】
加えて、本実施形態の第1加熱装置13は、凹溝53a、53bの対向領域59a、59bに配置された中央断熱部材72と、機台長手方向において中央断熱部材72と並んで配置された側方断熱部材71、73と、を有している。延在方向から視たとき、中央断熱部材72における側方断熱部材71と対向する面72aは、上下方向に沿って延び且つ機台長手方向に関して凹溝53aの中心を通る仮想直線S1に対して、下端部が側方断熱部材71側に位置し、上端部が側方断熱部材71とは反対側に位置するように傾斜している。また、延在方向から視たとき、中央断熱部材72における側方断熱部材73と対向する面72bは、上下方向に沿って延び且つ機台長手方向に関して凹溝53bの中心を通る仮想直線S2に対して、下端部が側方断熱部材73側に位置し、上端部が側方断熱部材73とは反対側に位置するように傾斜している。
【0109】
例えば、中央断熱部材72における側方断熱部材71と対向する面72aが、機台長手方向と直交する面であり、さらに、該面72aが、仮想直線S1に対して側方断熱部材71側に位置する場合について考える。この場合、導糸通路58aを介して凹溝53aに取り付けられた接糸部材54aまで糸Yaを導く際に、糸Yaが中央断熱部材72における上端部と干渉する。一方、該面72aが、側方断熱部材71から遠ざかるほど、凹溝53aにおいて中央断熱部材72と対向する部分が小さくなる。本実施形態の構成では、導糸通路58を介して糸Yを導く際に、糸Yが中央断熱部材72における上端部と干渉しにくくすることができる。同時に、凹溝53において中央断熱部材72と対向する部分を十分に確保し、熱源51からの熱が外部に放出されるのを十分に抑制することができる。
【0110】
さらに、本実施形態の第1加熱装置13では、2つの凹溝53a、53bの各々と上下方向に関して対向する2つ対向領域59a、59bに、1つの中央断熱部材72が跨って配置されている。本構成では、1つの中央断熱部材72を取り外すことで、2つの凹溝53a、53bの各々と上下方向に関して対向する2つの対向領域59a、59bを解放し、該2つの凹溝53a、53bに取り付けられた接糸部材54a、54bを下方に取り外すことが可能となる。したがって、接糸部材54a、54bの取り外し作業の手順をさらに簡略化できる。また、1つの中央断熱部材72を取り外すことで、2つの凹溝53a、53bの各々と上下方向に関して対向する2つの対向領域59a、59bに跨る、比較的広い領域を解放することができる。よって、接糸部材54a、54bの取り外し作業を広い領域で容易に行うことができる。
【0111】
加えて、本実施形態の第1加熱装置13では、中央断熱部材72は、延在方向から視て、上方から下方に(凹溝53から離れる方向に向かって)広がる台形形状を有している。そして、延在方向から視たとき、中央断熱部材72における上端部は、仮想直線S1、S2の間に位置している。本構成では、導糸通路58a、58bを介して凹溝53a、53bに取り付けられた接糸部材54a、54bまで糸Ya、Ybを導く際に、糸Ya、Ybが中央断熱部材72における上端部(凹溝53側の端部)と干渉しにくい。
【0112】
さらに、本実施形態の第1加熱装置13では、延在方向から視たとき、中央断熱部材72における上端部は、上下方向に関して2つの凹溝53a、53bとそれぞれ対向する。本構成では、導糸通路58a、58bを介して凹溝53a、53bに取り付けられた接糸部材54a、54bまで糸Ya、Ybを導く際に、凹溝53a、53bの縁に糸Ya、Ybが引っ掛かりにくい。よって、導糸通路58a、58bから凹溝53a、53bにスムーズに糸Ya、Ybを導くことができる。
【0113】
また、本実施形態の第1加熱装置13では、延在方向から視たとき、中央断熱部材72の下端部は、2つの対向領域59a、59bの外側まで延びている。本構成では、2つの側方断熱部材71、73に挟まれた中央断熱部材72を取り外すことにより2つの側方断熱部材71、73の間に形成される空間は、少なくとも2つの対向領域59a、59bの外側まで広がっている。したがって、接糸部材54を取り外す作業を行う空間を広く確保し、作業を容易に行うことができる。
【0114】
さらに、本実施形態の第1加熱装置13では、2つの側方断熱部材71、73において機台長手方向に関して中央断熱部材72とそれぞれ対向する2つの面71a、73aは、上端部間の機台長手方向に関する間隔L3が、下端部間の機台長手向に関する間隔L4に比べて短い。本構成では、2つの側方断熱部材71、73に挟まれた中央断熱部材72を取り外すことにより、2つの側方断熱部材71、73の間に凹溝53から離れる方向に向かって広がった空間ができる。したがって、接糸部材54を下方に取り外す作業を容易に行うことができる。
【0115】
また、本実施形態の第1加熱装置13は、中央断熱部材72を支持可能な中央プレート64をさらに備えている。中央プレート64は、中央断熱部材72を支持する支持位置と、中央断熱部材72を支持しない非支持位置と、を取り得る。本構成では、中央プレート64を支持位置から非支持位置に移動させることで、中央断熱部材72を容易に取り外すことができる。
【0116】
さらに、本実施形態の第1加熱装置13は、中央プレート64に対して、非支持位置から支持位置に移動する向きの付勢力を付与可能な付勢部材83をさらに備えている。本構成では、中央プレート64が意図せず支持位置から非支持位置に移動するのを避けることができる。
【0117】
加えて、本実施形態の仮撚加工機1は、糸Yを供給するための給糸部2と、第1加熱装置13を含む複数の装置を有しており、給糸部2から供給された糸Yを仮撚加工する加工部3と、加工部3によって加工された糸Yを巻き取る巻取装置21と、を備えている。巻取装置21は、巻取台9に取り付けられており、加工部3が有する複数の装置は、巻取台9と作業空間Aを空けて対向配置された主機台8及び巻取台9の上部と主機台8の上部とを連結する支持フレーム10に取り付けられており、第1加熱装置13に形成された凹溝53は、作業空間Aと対向する方向に開放されている。
【0118】
上述の構成では、凹溝53から接糸部材54を取り外す作業を行う際に、他の装置と接糸部材54とが干渉することがなく、接糸部材54の取り外し作業が容易である。また、接糸部材54の取り外し作業時に、糸道上に位置する部材や装置等を移動させたり、第1加熱装置13を回転させたりする作業が不要である。したがって、接糸部材54の取り外し作業により糸道のずれが生じる可能性を低減できる。
【0119】
また、本実施形態の仮撚加工機1は、糸走行方向に関して第1加熱装置13の上流側に配置されており糸Yを走行自在に支持する撚止ガイド12と、糸走行方向に関して第1加熱装置13の下流側に配置されており糸Yを走行自在に支持する仮撚装置15と、を備えている。そして、凹溝53における糸道は、撚止ガイド12と仮撚装置15とによって形成される。本構成では、撚止ガイド12と仮撚装置15とに糸Yを掛けることで凹溝53に糸Yを導くことができる。
【0120】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0121】
上述の実施形態においては、凹溝53の各々に、1つの接糸部材54が着脱可能に取り付けられる場合について説明したが、これには限定されない。1つの凹溝53に複数の接糸部材54が着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0122】
また、上述の実施形態においては、2つの対向領域59a、59bに1つの中央断熱部材72が跨って配置されている場合について説明したが、これには限定されない。2つの対向領域59a、59bに別々の断熱部材が配置されていてもよい。この場合、対向領域59a、59bに配置された断熱部材は、いずれも取り外し可能に構成される。
【0123】
また、上述の実施形態においては、1つの対向領域59a(59b)に配置される断熱部材は1つである場合について説明したが、1つの対向領域59a(59b)に配置される断熱部材は複数であってもよい。この場合、1つの対向領域59a(59b)に配置された全ての断熱部材は、取り外し可能に構成される。
【0124】
さらに、上述の実施形態においては、1つの対向領域59a(59b)に1つの中央断熱部材72の一部が配置されている場合について説明したが、これには限定されない。1つの対向領域59a(59b)に1つの中央断熱部材72の全体が配置されていてもよい。
【0125】
加えて、上述の実施形態においては、側方断熱部材71、73は、いずれも対向領域59a、59bの外に配置されており、且つ、取り外し不能に構成されている場合について説明したが、これには限定されない。対向領域59a、59bの外に配置された断熱部材が複数ある場合、そのうちの少なくとも1つが取り外し不能に構成されていればよい。つまり、側方断熱部材71、73のいずれか一方のみが取り外し不能に構成されていればよい。また、側方断熱部材71、73は、いずれも取り外し可能であってもよい。さらに、対向領域59a、59bの外に配置された断熱部材がなくてもよい。
【0126】
また、上述の実施形態においては、中央断熱部材72の面72aは、仮想直線S1に対して、下端部が側方断熱部材71側に位置し、上端部が側方断熱部材71とは反対側に位置するように傾斜している場合について説明した。さらに、中央断熱部材72の面72bは、仮想直線S2に対して、下端部が側方断熱部材73側に位置し、上端部が側方断熱部材73とは反対側に位置するように傾斜している場合について説明した。しかしながら、面72aと仮想直線S1との関係、及び、面72bと仮想直線S2との関係は、これに限定されるものではない。例えば、面72a全体が、仮想直線S1に対して側方断熱部材71側に位置していてもよい。また、面72a全体が、仮想直線S1に対して側方断熱部材71とは反対側に位置していてもよい。
【0127】
加えて、上述の実施形態においては、加熱部50に2つの凹溝53が設けられている場合について説明したが、加熱部50に設けられる凹溝53の個数はこれには限定されるものではない。凹溝53の個数は1つであってもよい。凹溝53の個数は3つ以上であってもよい。
【0128】
ここで、
図13を参照しつつ、上述の実施形態の一変形例について説明する。
図13に示す加熱部150は、凹溝53が1つ設けられている。凹溝53の対向領域59には、第1断熱部材171が配置されている。第1断熱部材171は、取り外し可能に構成されている。機台長手方向において第1断熱部材171と並んで、第2断熱部材172が配置されている。第2断熱部材172は、機台長手方向に関して第1断熱部材171の一方側(
図13の紙面左側)に位置している。第2断熱部材172は、取り外し不能に構成されている。第1断熱部材171と第2断熱部材172との間のすき間は、凹溝53に取り付けられた接糸部材54まで糸Yを導く際の導糸通路58を構成する。
【0129】
図13において一点鎖線で示すように、上下方向に沿って延び、且つ、機台長手方向に関して凹溝53の中心を通る直線を仮想直線S3とする。このとき、延在方向から視て、第1断熱部材171における第2断熱部材172との対向面である面171aは、仮想直線S3に対して傾斜している。また、延在方向から視て、面171aは、仮想直線S3に対して、下端部が第2断熱部材172側に位置し、上端部が第2断熱部材172とは反対側に位置している。
【0130】
図13に示す変形例の構成によると、上述の実施形態と同様に、第1断熱部材171を取り外すことで、凹溝53に取り付けられた接糸部材54を下方に取り外すことが可能となる。また、導糸通路58を介して糸Yを導く際に、糸Yが第1断熱部材171における上端部と干渉しにくくすることができる。同時に、凹溝53において第1断熱部材171と対向する部分を十分に確保し、熱源51からの熱が外部に放出されるのを十分に抑制することができる。
【0131】
また、上述の実施形態においては、3つの断熱部材(側方断熱部材71、73及び中央断熱部材72)が機台長手方向に沿って並んで配置されている場合について説明した。さらに、実施形態の変形例として、2つの断熱部材(第1断熱部材171、第2断熱部材172)が機台長手方向に沿って並んで配置されている場合について説明した。しかしながら、断熱部材の個数はこれには限定されるものではない。断熱部材は、2つ以上であればよい。断熱部材は、機台長手方向に沿って4つ以上並んでいてもよい。
【0132】
加えて、上述の実施形態においては、中央断熱部材72が、延在方向から視て上方から下方に広がる台形形状を有している場合について説明したが、これには限定されない。例えば、中央断熱部材72は、延在方向から視て上下方向に長尺な長方形形状であってもよい。また、中央断熱部材72が、延在方向から視て下方から上方に広がる台形形状であってもよい。
【0133】
さらに、上述の実施形態においては、延在方向から視たとき、中央断熱部材72における上端部は、仮想直線S1、S2の間に位置している場合について説明したが、これには限定されない。中央断熱部材72の上端部は、仮想直線S1、S2の外側まで延びていてもよい。
【0134】
また、上述の実施形態においては、延在方向から視たとき、中央断熱部材72における上端部が、上下方向に関して2つの凹溝53a、53bとそれぞれ対向する場合について説明したが、これには限定されない。中央断熱部材72における上端部は、上下方向に関して2つの凹溝53a、53bのいずれか一方のみと対向してもよい。中央断熱部材72における上端部は、上下方向に関して2つの凹溝53a、53bの両方と対向しなくてもよい。
【0135】
また、上述の実施形態においては、延在方向から視たとき、中央断熱部材72における下端部は、2つの対向領域59a、59bの外側まで延びている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、中央断熱部材72の下端部における機台長手方向の一方側(
図10の紙面左側)の端部は、対向領域59aに位置していてもよい。中央断熱部材72の下端部における機台長手方向の他方側(
図10の紙面右側)の端部は、対向領域59bに位置していてもよい。
【0136】
加えて、上述の実施形態においては、導糸通路58における糸Yの入口である導糸口の機台長手方向に関する長さ(導糸通路58の導糸口の幅W1)が、凹溝53の機台長手方向に関する長さ(凹溝53の幅W2)よりも短い場合について説明したが、これには限定されない。導糸通路58の少なくとも一部分に、機台長手方向に関する長さが、凹溝53の機台長手方向に関する長さよりも短い部分があることが好ましい。導糸通路58の全領域において、機台長手方向に関する長さが、凹溝53の機台長手方向に関する長さ以上であってもよい。
【0137】
また、上述の実施形態においては、側方断熱部材71の面71a及び側方断熱部材73の73aは、上端部間の機台長手方向に関する間隔L3が、下端部間の機台長手向に関する間隔L4に比べて短い場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、間隔L3と間隔L4とは同じであってもよい。また、間隔L3は間隔L4よりも長くてもよい。
【0138】
さらに、上述の実施形態においては、中央断熱部材72は、中央プレート64を支持位置から非支持位置に移動させることで第1加熱装置13から取り外し可能である場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、中央断熱部材72は、着脱可能な固定部材により第1加熱装置13に対して固定されていており、固定部材を取り外すことで中央断熱部材72を第1加熱装置13から取り外す構成であってもよい。
【0139】
また、上述の実施形態では、糸Yは、加熱部50において接糸面55と接触することにより、接糸面55を介して加熱部材52から熱を受け取る場合について説明したが、これには限定されない。加熱部50は、温めた空気によって糸Yを加熱する非接触方式であってもよい。この場合、凹溝53a、53bの各々には、接糸面55a、55bが形成された接糸部材54a、54bに替えて、糸Yと接触可能であり且つ走行する糸Yをガイドする複数の糸ガイド(本発明の「接糸部材」に相当する)が着脱可能に取り付けられる。
【0140】
加えて、上述の実施形態では、第1加熱装置13の凹溝53における糸道が撚止ガイド12と仮撚装置15とによって形成される場合について説明したが、これには限定されない。撚止ガイド12とは別に、凹溝53における糸道を形成する部材として、糸走行方向に関して第1加熱装置13の上流側に配置されており糸Yを走行自在に支持する部材が設けられていてもよい。仮撚装置15とは別に、凹溝53における糸道を形成する部材として、糸走行方向に関して第1加熱装置13の下流側に配置されており糸Yを走行自在に支持する部材が設けられていてもよい。
【0141】
さらに、上述の実施形態では、本発明にかかる糸加熱装置を糸Yに仮撚加工を施す仮撚加工機1に適用する場合について説明したが、これには限定されない。本発明の糸加熱装置は、仮撚加工に限定されず、合糸加工等の種々の加工を合成繊維からなる糸に施す加工機に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0142】
1 仮撚加工機
2 給糸部
3 加工部
8 主機台
9 巻取台
10 支持フレーム
12 撚止ガイド(第1糸道形成部材)
13 第1加熱装置(糸加熱装置)
15 仮撚装置(第2糸道形成部材)
21 巻取装置
51 熱源
52 加熱部材
53 凹溝
54 接糸部材
55 接糸面
58 導糸通路
59 対向領域
64 中央プレート(支持部材)
71、73 側方断熱部材(第2断熱部材)
71a、73a 面
72 中央断熱部材(第1断熱部材)
83 付勢部材
171 第1断熱部材
172 第2断熱部材
A 作業空間
S1、S2、S3 仮想直線
Y 糸