(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079601
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】包装袋、及び包装食品の調理方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240604BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190112
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2022191710
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022197334
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023054396
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023074728
(32)【優先日】2023-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023098134
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023110313
(32)【優先日】2023-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023134281
(32)【優先日】2023-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023151594
(32)【優先日】2023-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 雄飛
(72)【発明者】
【氏名】向井 誠
【テーマコード(参考)】
3E013
3E064
【Fターム(参考)】
3E013BB12
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF01
3E013BG17
3E013CB11
3E013CC12
3E064AB23
3E064BA22
3E064GA02
3E064HM01
3E064HN06
3E064HP01
(57)【要約】
【課題】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、食品等の内容物を収容して電子レンジにより簡便且つ効率的に加熱可能であり、加熱後には食器として利用しやすい包装袋を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によれば、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された電子レンジ用の包装袋であって、底面部と、周面部とを備え、前記周面部は、互いに対向し、且つ前記底面部から立ち上げるように設けられた前面部及び背面部を備え、前記前面部及び前記背面部は、前記底面部に対して前記包装袋の前側又は後側に一体的に傾斜可能に構成され、前記底面部が展開可能になっている、包装袋が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルムが袋状に形成された電子レンジ用の包装袋であって、
底面部と、周面部とを備え、
前記周面部は、互いに対向し、且つ前記底面部から立ち上げるように設けられた前面部及び背面部を備え、
前記前面部及び前記背面部は、前記底面部に対して前記包装袋の前側又は後側に一体的に傾斜可能に構成され、
前記底面部が展開可能になっている、包装袋。
【請求項2】
請求項1に記載の包装袋であって、
前記包装袋の内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部を備える、包装袋。
【請求項3】
請求項1に記載の包装袋であって、
内容物を収容するための密閉空間を内部に備え、
前記包装袋は、前記周面部のうち前記包装袋の上下方向における前記密閉空間の中心線よりも下側の部分の重さと、前記底面部の重さとの和が、前記周面部のうち前記密閉空間の前記中心線よりも上側の部分の重さよりも大きくなるように構成される、包装袋。
【請求項4】
請求項1に記載の包装袋であって、
前記底面部は、底部フィルムにより構成され、
前記底面部には、前記底部フィルムの湾曲を抑制するように前記底面部を補強する補強部材が設けられている、包装袋。
【請求項5】
請求項4に記載の包装袋であって、
前記補強部材は、前記底面部から取り外した後に、別の包装袋の底面部に取り付け可能になっている、包装袋。
【請求項6】
包装食品の調理方法であって、
加熱工程を備え、
前記包装食品は、請求項1~請求項5の何れか1つに記載の包装袋と、前記包装袋に収容された食品とを備え、
前記加熱工程では、前記底面部を展開して接地し且つ前記周面部を水平面に対する傾斜角度が30°以下となるように傾斜させた状態で電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始する、調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、及び包装食品の調理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等の内容物を収容するための包装袋として、電子レンジにより加熱可能な包装袋が知られている。例えば、特許文献1に開示される包装袋は、自立させた状態で電子レンジにより加熱可能であり、加熱時には蒸気抜き手段から蒸気を放出可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装袋を自立させると、加熱後に電子レンジから取り出しやすくなる他、包装容器を食器として利用しやすくなる。一方、電子レンジは、庫内の中央下部にマイクロ波が集中するように設計されているのが一般的であり、自立した状態で加熱するよりも、包装袋を寝かせた状態で加熱した方が、効率的に調理可能となる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、食品等の内容物を収容して電子レンジにより簡便且つ効率的に加熱可能であり、加熱後には食器として利用しやすい包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]可撓性を有するフィルムが袋状に形成された電子レンジ用の包装袋であって、底面部と、周面部とを備え、前記周面部は、互いに対向し、且つ前記底面部から立ち上げるように設けられた前面部及び背面部を備え、前記前面部及び前記背面部は、前記底面部に対して前記包装袋の前側又は後側に一体的に傾斜可能に構成され、前記底面部が展開可能になっている、包装袋。
[2][1]に記載の包装袋であって、前記包装袋の内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部を備える、包装袋。
[3][1]又は[2]に記載の包装袋であって、内容物を収容するための密閉空間を内部に備え、前記包装袋は、前記周面部のうち前記包装袋の上下方向における前記密閉空間の中心線よりも下側の部分の重さと、前記底面部の重さとの和が、前記周面部のうち前記密閉空間の前記中心線よりも上側の部分の重さよりも大きくなるように構成される、包装袋。
[4][1]~[3]の何れか1つに記載の包装袋であって、前記底面部は、底部フィルムにより構成され、前記底面部には、前記底部フィルムの湾曲を抑制するように前記底面部を補強する補強部材が設けられている、包装袋。
[5][4]に記載の包装袋であって、前記補強部材は、前記底面部から取り外した後に、別の包装袋の底面部に取り付け可能になっている、包装袋。
[6]包装食品の調理方法であって、加熱工程を備え、前記包装食品は、[1]~[5]の何れか1つに記載の包装袋と、前記包装袋に収容された食品とを備え、前記加熱工程では、前記底面部を展開して接地し且つ前記周面部を水平面に対する傾斜角度が30°以下となるように傾斜させた状態で電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始する、調理方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る包装袋は、周面部を構成する前面部及び背面部が底面部に対して前側又は後側に一体的に傾斜可能に構成されている。このような構成では、周面部を寝かせた状態で包装袋を電子レンジの庫内に配置することができ、この状態で加熱を開始することで、内容物を効率的に加熱可能である。また、加熱後は、底面部を展開して接地させることができるので、食器として利用しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る包装袋1内に内容物が収容された状態の斜視図である。蒸気抜きシール部11の図示は、図示の便宜上、適宜省略している。
図2以降も同様。
【
図2】
図2Aは、
図1の包装袋1が上側開封部26において開封された状態を示す斜視図である。
図2Bは、
図2Aの包装袋1を加熱により膨張した後に開封部24において開封した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3Aは、
図1の包装袋1を平たくした状態における平面視である。
図3Bは、
図1の包装袋1を平たくした状態における背面視である。
【
図4】包装袋1の底面部2を構成する底部フィルム20aの斜視図である。
【
図6】
図2Aの包装袋1の前面部3及び背面部4を、後側に一体的に傾斜させた状態を背面部4側から見た斜視図である。
【
図7】
図7Aは、
図1の包装袋1を平たくした状態における平面視である。
図7Bは、包装袋1内に内容物が収容された状態の斜視図である。
【
図8】
図8A~
図8Cは、包装袋1に食品を収容した包装食品の調理方法の説明図であり、
図6におけるD-D断面図を模式化したものである。
図8Aは、調理方法の加熱工程における加熱開始時の包装袋1の状態を示す。
図8Bは、
図8Aから加熱により包装袋1が膨張した状態を示す。
図8Cは、
図8Bから加熱により包装袋1がさらに膨張した状態を示す。
【
図9】
図9Aは、周壁フィルム20bの側面図である。
図9Bは、周壁フィルム20bの一部を切断し、切断箇所に底部フィルム20aを挿入した状態を示す図である。
【
図10】
図10Aは、周壁フィルム20b及び底部フィルム20aを溶着して包装袋1を製造する様子を示す図であり、
図10Bは、前面部3と背面部4の間に開閉部材23を挿入した状態の図である。
【
図11】
図11A~
図11Cは、第2実施形態に係る包装袋1に食品を収容した包装食品の調理方法の説明図であり、
図6におけるD-D断面図を模式化したものである。
図11Aは、調理方法の加熱工程における加熱開始時の包装袋1の状態を示す。
図11Bは、
図11Aから加熱により包装袋1が膨張した状態を示す。
図11Cは、
図11Bから加熱により包装袋1がさらに膨張した状態を示す。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る包装袋1の斜視図であり、加熱により膨張した後に開封部24において開封した状態を示す図である。
【
図13】
図13は、底面部2に補強部材27を装着した状態を示す底面図であり、
図13Aは、楕円状の補強部材27を装着した状態、
図13Bは、包装袋1の左右方向の両端近傍に一対の補強部材27を装着した状態、
図13Cは、包装袋1の左右方向の中央に補強部材27を装着した状態、
図13Dは、包装袋1の前後方向の中央に補強部材27を装着した状態を示す。
【
図14】下端溶着部13の内縁2jに沿った形状の補強部材27を装着した状態の底面図である。
【
図16】
図16Aは、補強部材27として割り箸27aを底面部2の下端溶着部13に設けた開口部2fに挿入して底面部2に装着した状態を示す斜視図であり、
図16Bは、
図16A中の領域Bの拡大図であり、
図16Cは、
図16Bから割り箸27aを除いた状態を示す。
【
図17】底面部2に固定手段29を用いて補強部材27を固定する方法の一例を示す斜視図である。
【
図18】
図18Aは、底部フィルム20aと補強部材フィルム20dを接合した状態を示す、
図4に対応する斜視図である。
図18Bは、
図18Aのフィルムを用いて製造した包装袋1の斜視図である。
【
図19】補強部材27が底面部2からはみ出した状態を示す、
図8Aに対応する断面図である。
【
図20】包装袋1が両面テープ29aで皿30aに貼り付けられている状態を示す、
図8Aに対応する斜視図である。
【
図21】
図21Aは、周壁フィルム20bの下端部20jに板状部材42に固定する工程を示し、
図21Bは、
図21Aの板状部材42の背面に底部フィルム20aを固定する工程を示す。
【
図22】
図22Aは、蒸気抜きシール部11が上端溶着部19に設けられている状態を示し、
図22Bは、蒸気抜きシール部11が側端溶着部12に設けられている状態を示し、
図22Cは、蒸気抜きシール部11が側端溶着部12の内縁12aからはみ出すように設けられている状態を示す、
図3Aに対応する平面図である。
【
図23】ドーナツ状蒸気抜きシール部11aが設けられている状態を示す平面図である。
【
図24】
図24Aは、フィルム20cに重ね合わせ部28が形成されている状態を示す斜視図である。
図24Bは、
図24Aの状態から重ね合わせ部28に第1底面部2aを形成した後の状態を示す斜視図である。
【
図25】
図24Bの状態から第2底面部2b及び側端溶着部12を形成した後の状態を示す斜視図である。
【
図26】
図26Aは、包装袋1が筒状の外側包装体32a内に収容されている状態を示し、
図26Bは、
図26Aの状態から外側包装体32aを帯状にしたものを折り返した状態を示す。
【
図27】
図27Aは、包装袋1が箱状の外側包装体32b内に収容されている状態を示し、
図27Bは、
図27Aの状態から外側包装体32bを開いた状態を示す。
【
図28】底面部2の前縁2c及び後縁2dに沿って底面部2を補強するように補強部材27を配置した状態を示す斜視図である。
【
図29】
図29Aは、底部フィルム20aの前縁20a3及び後縁20a4に沿って補強部材27を配置し、その上方にカバーフィルム20kを配置した状態を示し、
図29Bは、底部フィルム20aとカバーフィルム20kを重ねて補強部材27の周囲に溶着部20lを形成した状態を示す。
【
図30】包装袋1の下端溶着部13に設けられた未溶着部13aに、包装袋1の内部に連通する開口部13bが設けられている状態を示す。
【
図31】補強部材27が底面部2の前縁2cのみ固定される状態を示す。
【
図32】
図32Aは、底面部2に補強部材27を貼り付ける工程の模式的な平面図である。
図32B~
図32Dは、それぞれ、第1~第3位置での、搬送方向に垂直な断面での模式的な断面図である。
【
図33】
図33Aは、前面下部3a及び背面下部4aの延長部3a1,4a1で補強部材27を取り囲んだ状態で延長部3a1,4a1を底面部2に固定することによって補強部材27を固定する構成を示し、
図33Bは、
図33A中の領域Bの拡大図である。
【
図34】
図34Aは、前面下部3a及び背面下部4aの延長部3a1,4a1で補強部材27を取り囲んだ状態で重ね合わせ部3a2,4a2を形成し、重ね合わせ部3a2,4a2に溶着部を形成することによって補強部材27を固定する構成を示し、
図34Bは、
図34A中の領域Bの拡大図である。
【
図35】固定手段29を用いて包装袋1を汎用部材30に固定した状態を示す斜視図である。
【
図36】
図36Aは、第1及び第2易切断部32b3,32b4が設けられた外側包装体32bの斜視図であり、
図36Bは、
図36Aから第1易切断部32b3に沿って外側包装体32bを切断して開封した後の状態を示し、
図36Cは、
図36Bの状態から、第2易切断部32b4に沿って外側包装体32bを切断して得られた切り取り片32b5を折って三角柱状にして形成された補強部材27を示す。
【
図37】
図37Aは、第1及び第2易切断部32b3,32b4が設けられた、別の形態の外側包装体32bの斜視図であり、
図37Bは、
図37Aから第1易切断部32b3に沿って外側包装体32bを切断して開封した後の状態を示し、
図37Cは、
図37Bの状態から、第2易切断部32b4に沿って外側包装体32bを切断して得られた切り取り片32b5を示す。
【
図38】
図38Aは、底面部2が上側に向けられた状態の包装袋1と、切り取り片32b5で構成された補強部材27の斜視図であり、
図38Bは、
図38Aの状態から補強部材27を底面部2に固定した後の状態を示す。
【
図40】
図40Aは、
図39Bの状態から蓋部32c5を開いた後の状態を示す。
図40Bは、
図40Aの状態から加熱に伴って周面部21が立ち上がって前面部3が縁32c2に当接した状態を示す。
図40Cは、
図40Bの状態から周面部21がさらに立ち上がって前面対向部3cが縁32c2に当接して前縁2cの浮き上がりが抑制されている状態を示す。
【
図42】
図42Aは、
図41Bの状態から、底面部2の一部を隙間44gに挿入した後の状態を示し、
図42Bは、
図42Aの状態から底面部2をさらに挿入して底面部2の三辺が第2~第4支持部44b~44dで支持されている状態を示す。
【
図43】
図42Bの状態から、第1支持部44aを保持状態にして、底面部2の四辺が第1~第4支持部44a~44dで支持されている状態を示す。
【
図44】
図44Aは、保持治具44を接着剤塗布装置45に装着した後の状態を示す斜視図である。
図44Bは、
図44Aの状態から、搬送台45cを第1位置に移動させた後の状態を示す。
図44Cは、
図44Bの状態から、搬送台45cを第2位置に移動させた後の状態を示す。
【
図45】
図45Aは、
図44Cの状態から、保持治具44を接着剤塗布装置45から取り外し、底面部2に重なるように補強部材27を重ねた後の状態を示す。
図45Bは、
図45Aの状態から押圧部46で補強部材27を底面部2に押し付けている状態を示す。
【
図47】
図46の外側包装体8を形成するためのシート8aを示す。
【
図49】
図48の状態から周面部21がさらに立ち上がった状態を示す、
図48Aに対応する断面図である。
【
図51】
図50の包装袋1の模式的な断面図である。内容物は、図示省略している。
【
図53】
図53A~
図53Cは、包装袋1内に内容物Wを充填した後に、周面部21を後縁2d側に寝かせる工程を示す。
【
図54】
図54Aは、角張った交点13fを有する下端溶着部13が形成された包装袋1を示し、
図54Bは、内縁13c2が湾曲した下端溶着部13が形成された包装袋1を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
以下の示す実施形態では、以下に示す第1~第7観点の発明が開示され、特許請求の範囲は、その少なくとも一部に関連する。
【0011】
(第1観点)
本観点では、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された電子レンジ用の包装袋であって、底面部と、周面部とを備え、前記底面部は、底部フィルムにより構成され、前記周面部は、互いに対向し、且つ前記底面部から立ち上げるように設けられた前面部及び背面部を備え、前記前面部及び前記背面部は、前記底面部に対して前記包装袋の前側又は後側に一体的に傾斜可能に構成され、前記底面部には、前記底部フィルムの湾曲を抑制するように前記底面部を補強する補強部材が設けられている、包装袋が提供される。
【0012】
(第2観点)
本観点では、包装食品の調理方法であって、加熱工程を備え、前記包装食品は、包装袋と、前記包装袋に収容された食品とを備え、前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部とを備え、前記加熱工程では、前記底面部を接地し且つ前記周面部を水平面に対する傾斜角度が30°以下となるように傾斜させた状態で電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始し、加熱完了時に前記周面部が直立した状態となる、調理方法が提供される。
【0013】
(第3観点)
本観点では、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された電子レンジ用の包装袋であって、底面部と、周面部とを備え、前記周面部は、互いに対向し、且つ前記底面部から立ち上げるように設けられた前面部及び背面部を備え、前記前面部及び前記背面部は、前記底面部に対して前記包装袋の前側又は後側に一体的に傾斜可能に構成され、前記底面部が展開可能になっている、包装袋が提供される。
【0014】
(第4観点)
本観点では、包装食品の調理方法であって、加熱工程を備え、前記包装食品は、第3観点に記載の包装袋と、前記包装袋に収容された食品とを備え、前記加熱工程では、前記底面部を展開して接地し且つ前記周面部を水平面に対する傾斜角度が30°以下となるように傾斜させた状態で電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始する、調理方法が提供される。
【0015】
(第5観点)
本観点では、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された電子レンジ用の包装袋であって、底面部と、周面部とを備え、前記周面部は、互いに対向し、且つ前記底面部から立ち上げるように設けられた前面部及び背面部を備え、前記前面部及び前記背面部は、一体的に傾斜可能に構成され、前記前面部には、前記包装袋の内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部が設けられており、前記底面部が展開可能になっており、前記周面部は、前記底面部が展開された状態で前記底面部と前記背面部が谷折りになり、且つ前記底面部に対する傾斜角度が30°以下となるように傾斜している、包装袋が提供される。
【0016】
(第6観点)
本観点では、包装食品の調理方法であって、加熱工程を備え、前記包装食品は、包装袋と、前記包装袋に収容された食品とを備え、前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部とを備え、前記加熱工程では、前記周面部を水平面に対する傾斜角度が30°以下となるように傾斜させた状態で電子レンジにより前記包装袋に収容された前記食品の加熱を開始し、加熱完了時に前記周面部が直立した状態となる、調理方法が提供される。
【0017】
(第7観点)
本観点では、電子レンジ用の補強部材付き包装袋の製造方法であって、補強部材取り付け工程を備え、前記補強部材取り付け工程では、包装袋の底面部を展開した状態で前記底面部に補強部材を取り付け、前記包装袋は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成されて構成され、前記包装袋は、底面部と、周面部とを備え、前記底面部は、底部フィルムにより構成され、前記周面部は、互いに対向し、且つ前記底面部から立ち上げるように設けられた前面部及び背面部を備え、前記前面部及び前記背面部は、前記底面部に対して前記包装袋の前側又は後側に一体的に傾斜可能に構成され、前記補強部材は、前記底部フィルムの湾曲を抑制するように前記底面部を補強可能に構成される、方法が提供される。
【0018】
1.第1実施形態
1.1.包装袋1の構成
図1に示すように、本発明の第1実施形態の包装袋1は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成され電子レンジ用の包装袋である。包装袋1は、密閉空間Sを内部に備え、当該密閉空間S内に内容物が収容される。包装袋1は、電子レンジで加熱調理する食品を内容物として収容する場合に好適に用いられ、即席麺を内容物として収容する場合に特に好適に用いられる。
【0019】
図1から
図3Bに示すように、包装袋1は、底面部2と、周面部21とを備える。底面部2は、
図4に示す底部フィルム20aにより構成され、
図1に示すように補強部材27が設けられている。周面部21は、底面部2から立ち上げるように設けられ、前後方向に互いに対向する前面部3及び背面部4を備える。
【0020】
前面部3及び背面部4は、その左右方向の端部(以下、側端ともいう)において互いに溶着(ヒートシール)されている。また、底面部2の底部フィルム20aは、前面部3及び背面部4と溶着されている。底面部2と前面部3と背面部4とが互いに溶着されることによって、フィルムが袋状となっている。
図1及び
図6に示す折り目31,41よりも上側では前面部3及び背面部4が溶着されており、折り目31,41よりも下側では、底面部2と前面部3が溶着され、底面部2と背面部4が溶着される。折り目31,41よりも下側では、前面部3及び背面部4は溶着されておらず、底面部2同士も溶着されていない。このため、底面部2は、展開可能になっており、底面部2を広げて平坦な状態にすることができる。
【0021】
図3A及び
図3Bは、
図1の包装袋1を平面視及び背面視でそれぞれ示す図である。平面視とは、包装袋1内に内容物が含まれていない状態で包装袋1を平たくし、その状態で前面部3に垂直な方向から見ることを意味する。また、背面視とは、同様の状態の包装袋1を背面部4に垂直な方向から見ることを意味する。本開示では、
図3Aの上下左右を包装袋1の上下左右として説明する。具体的には、底面部2側を下側、底面部2から前面部3(及び背面部4)が立ち上がる方向を上側とする。また、前面部3を手前に配置したときの左右を、包装袋1の左右とする。さらに、前面部3側を前側、背面部4側を後側とする。また、以下の説明において、上下方向を高さ方向と称する場合がある。
図3A及び
図3Bに示すように、包装袋1は、左右方向の中心線を基準として線対称となるように形成されている。
【0022】
図1から
図2Bに示すように、包装袋1は、底面部2を下側にして自立可能である。このような構成では、底面部2を設けずに底部において前面部3と背面部4とを溶着させた平袋状の包装袋と比較して、包装袋1内の容積を大きく確保できる他、内容物が食品の場合、加熱後に包装袋1を自立させて食器として利用することが可能となる。
【0023】
前面部3は、前面下部3aと前面上部3bを備える。前面下部3aは、底面部2の底部フィルム20aに溶着されている。前面下部3aと前面上部3bは、これらの内面同士を重ね合わせて形成された合掌部10において溶着されている。合掌部10を設けることで、包装袋1内の容積を大きく確保できる。
【0024】
包装袋1の周面部21には、上側開封部26と、開閉部材23と、開封部24が設けられている。包装袋1の上端は、前面部3と背面部4を左右方向に沿って溶着する上端溶着部19が設けられることで密封されている。上側開封部26は、包装袋1の上端を開封するための部位であり、上側開封部26において周面部21を左右方向に沿って引き裂き、上端溶着部19を含む周面部21の上端側の部位を切り離すことで、
図2Aに示すように上方に開口した開口部22が形成される。このような構成は、開封前の状態で包装袋1の内面が外部に露出せず、衛生的観点から好ましい。
【0025】
一例では、包装袋1内に内容物を充填する前は上端溶着部19が形成されておらず、
図2に示す開口部22を通じて包装袋1内に内容物が充填される。この場合、内容物が包装袋1の内面に付着しやすく、特に、内容物が開閉部材23に付着することが衛生上好ましくない。この課題を解決すべく、
図30に示す変形例では、下端溶着部13に未溶着部13aを設けることによって、包装袋1の内部に連通する開口部13bが底面部2に設けられている。この場合、開口部13bを通じて包装袋1内に内容物を充填することができ、開閉部材23に内容物が付着することが抑制される。内容物の充填後に、開口部13bが溶着されて封止される。開閉部材23がない場合は、上端溶着部19は、開口部13bを通じた内容物の充填前に形成されて包装袋1の上端が封止される。一方、開閉部材23がある場合、上端溶着部19は、開口部13bを通じた内容物の充填前後のどちらに形成してもよく、上端溶着部19を形成しなくてもよい。また、包装袋1に合掌部10がある場合、開口部13bは、合掌部10側に設けることが好ましい。つまり、合掌部10が設けられる前面部3と底面部2の間に未溶着部13aを設けて開口部13bを形成することが好ましい。
【0026】
上側開封部26は、周面部21を引き裂く際の起点となる引裂開始部26aと、開封箇所を切り取る部位を示す線が印刷された切り取り線26bを備える。包装袋1は、引裂開始部26aを起点にして周面部21を引き裂くことによって開封してもよく、ハサミなどの切断具を用いて切り取り線26bに沿って周面部21を切断することによって開封してもよい。引裂開始部26aは、例えば切り欠きや切り込みによって構成される。また、切り取り線26bの代わりに、周面部21の周方向に延びるハーフカットのラインを設けたり、又は周面部21の周方向に延びるように帯状フィルムを溶着により配置し、帯状フィルムを端部から引っ張ることにより周面部21を帯状フィルムに沿って切り裂き可能に構成してもよい。
【0027】
なお、包装袋1は、上端溶着部19及び上側開封部26を設けない構成としてもよい。この場合、包装袋1の上端において前面部3と背面部4は溶着されずに開口部22が形成されており、包装袋1の上端を開封する必要はない。
【0028】
開閉部材23は、上側開封部26において上端が開封された状態の包装袋1において、開口部22を開閉可能に構成されている。
図5A~
図5Cは、包装袋1の開口部22を開閉部材23により開閉する態様の説明図であり、図中における前面部3及び背面部4の上端は、切り取り線26bの形成箇所に一致する。また、
図5Bに示した位置Jは、上下方向における上側開封部26の下端の位置(本実施形態では、
図3Aに示した引裂開始部26aの下端の位置J)を示す。開閉部材23は、互いに係合可能な前面側係合部材23aと背面側係合部材23bを備える。前面側係合部材23aの基部23a1、及び背面側係合部材23bの基部23b1は、それぞれ前面部3及び背面部4の内面に溶着することにより固定される。
図5Bに示すように前面側係合部材23aのフック部23a2と背面側係合部材23bのフック部23b2が係合されることによって開口部22が閉じられ、
図5Cに示すように係合が解除されることによって開口部22が開かれる。
【0029】
なお、基部23a1,23b1は、その全面が前面部3及び背面部4にそれぞれ溶着されていてもよいが、フック部23a2,23b2よりも上側及び下側に位置する面でそれぞれ溶着されることが好ましい。さらに、背面側係合部材23bの基部23b1については、フック部23b2よりも上側及び下側に位置する面において背面部4の内面に溶着し、合掌部10が設けられる前面部3に溶着される前面側係合部材23aについては、フック部23a2よりも上側の面を前面部3の内面に溶着し、フック部23a2よりも下側の面を前面部3に対して未溶着とすることがより好ましい。換言すれば、基部23a1の下端からフック部23a2の上端まで延在するように、前面部3との未溶着部を設けることがより好ましい。この場合、加熱された包装袋1の内圧が上昇して膨らんだときに、開閉部材23を開く方向の力が開閉部材23に加わりにくくなり、開閉部材23からの内容物の漏れや蒸気抜けが抑制される。
【0030】
また、
図5Bに示すように、フック部23a2,23b2のうち上側に位置するものの上端(本実施形態では、背面側係合部材23bのフック部23b2の上端)と開口部22の周縁(換言すれば、上側開封部26の切り取り線26b)との上下方向における距離H5は、例えば、3mm以上20mm以下であり、5mm以上とすることが好ましく、例えば10mmとすることができる。また、開閉部材23の上端(換言すれば、基部23a1,23b1の上端)と上側開封部26の下端(本実施形態では、引裂開始部26aの下端)との上下方向における距離H6は、例えば、0.5mm以上7mm以下であり、1mm以上とすることが好ましく、例えば2mmとすることができる。距離H5,H6を上述のように設定することで、開閉部材23により開口部22を開く際に包装袋1の上端に指をかけるための持ち代を、十分に大きく確保することができる。
【0031】
開封部24は、包装袋1を開封するための部位であり、本実施形態では、開封部24は、周面部21を引き裂く際の起点となる引裂開始部24aと、開封箇所を切り取る部位を示す線が印刷された切り取り線24bを備える。包装袋1は、引裂開始部24aを起点にして周面部21を引き裂くことによって開封してもよく、ハサミなどの切断具を用いて切り取り線24bに沿って周面部21を切断することによって開封してもよい。引裂開始部24aは、例えば切り欠きや切り込みによって構成される。また、切り取り線24bの代わりに、周面部21の周方向に延びるハーフカットのラインを設けたり、又は周面部21の周方向に延びるように帯状フィルムを溶着により配置し、帯状フィルムを端部から引っ張ることにより周面部21を帯状フィルムに沿って切り裂き可能に構成してもよい。
【0032】
図1及び
図2Aに示すように、包装袋1は、開封部24を境界にして、上下方向における上側の切り取り部5と、下側の本体部6を備える。開封部24において周面部21を周方向に裂いて開封部24よりも上側の切り取り部5を除くことによって、
図2Bに示すように開口7を有する本体部6が得られる。本体部6は、包装袋1内の内容物を食べる際に食器として利用される。
【0033】
図2Aに示すように、開封部24は、開閉部材23よりも底面部2に近い位置に設けられる。つまり、開閉部材23は、切り取り部5に設けられる。このため、開封の際に切り取り部5を除くと、開閉部材23も一緒に除かれる。従って、内容物を食べる際に開閉部材23が邪魔になることがない。
【0034】
開封部24は、合掌部10よりも底面部2に近い位置に設けられる。つまり、合掌部10は、切り取り部5に設けられる。このため、開封の際に切り取り部5を除くと、合掌部10も一緒に除かれる。従って、内容物を食べる際に合掌部10が邪魔になることがない。
【0035】
図3Aに示すように、包装袋1の周面部21には、蒸気抜きシール部11が形成されている。本実施形態の蒸気抜きシール部11は、合掌部10に設けられている。蒸気抜きシール部11は、他の溶着部よりも溶着強度が低い溶着部である。蒸気抜きシール部11では、包装袋1を加熱することにより内部に発生した蒸気により包装袋1の内圧が上昇すると、それに伴って蒸気流路が形成される。包装袋1内の蒸気は、蒸気抜きシール部11から外部へ排出される。
【0036】
図3A及び
図3Bに示すように、包装袋1の側端には、前面部3と背面部4を溶着する側端溶着部12が設けられている。これにより、前面部3と背面部4は、前後方向に固定されている。さらに、包装袋1の下端には、底面部2と前面部3、及び底面部2と背面部4をそれぞれ溶着する下端溶着部13が設けられている。下端溶着部13は、包装袋1の側端及び下端(
図3Aにおいて、1点鎖線で囲まれた領域)において、底面部2と前面部3、及び底面部2と背面部4をそれぞれ溶着している。
【0037】
図3Aに示すように、下端溶着部13は、1対の勾配部13cと、中央部13dを備える。勾配部13cは、包装袋1の側端から中央部下端に向けて、勾配をつけて(斜めに)溶着されている箇所である。中央部13dは、1対の勾配部13cの間に設けられ、直線状に形成されている。中央部13dを直線状に設けることにより、本体部6を食器として使用しやすくなる。勾配部13cの外側には、エアポケット14が設けられている。エアポケット14は三角形状に形成され、下端溶着部13における溶着で外部に排出しきれなかった空気が残留する空間である。エアポケット14を設けることにより、下端溶着部13内の残留空気がエアポケット14に集まることとなり、溶着の強度が向上する。
【0038】
図1及び
図3Bに示すように、底面部2には、底部フィルム20aの湾曲を抑制するように底面部2を補強する補強部材27が設けられている。本実施形態では、
図4に示すように中央線E1においてV字形に折り曲げられた底部フィルム20aを前面部3と背面部4との間に挿入することで袋状とした後に底部フィルム20aを展開し、底部フィルム20aの下面20a2(底部フィルム20aの対向する2つの表面のうち、包装袋1の外側に面する表面)の全体に
図1及び
図3Bに示すように板状の補強部材27が貼り付けられている。
【0039】
図1及び
図3に示すように、底部フィルム20aを展開して補強部材27を貼り付けた状態において、前面部3には谷折りの折り目31が形成され、包装袋1の上下方向において前面下部3aの折り目31よりも下側の部分の内面が底部フィルム20aの上面20a1に近づいた状態となる。また、背面部4には谷折の折り目41(
図6参照)が形成され、包装袋1の上下方向において背面部4の折り目41よりも下側の部分(背面下部4a)の内面が底部フィルム20aの上面20a1と近づいた状態となる。
【0040】
補強部材27は、底部フィルム20aよりも高い剛性を有することが好ましい。本開示における剛性とは、部材を曲げるように力を加えた場合の部材の曲げにくさを示すものであり、例えば、曲げ剛性、弾性率(曲げ弾性率、ヤング率)、曲げ強さといった指標で表すことができる。底部フィルム20aよりも高い剛性を有する補強部材27を底面部2に設けることにより、後述するように底面部2を接地し周面部21を傾斜させた状態で電子レンジにより加熱を行った際に、包装袋1の膨張に伴い底面部2が接地された面から離れるように底部フィルム20aの前後方向(短手方向)が湾曲することを効果的に防止することができる。
【0041】
さらに、本実施形態の補強部材27は、包装袋1が膨張し前面部3及び背面部4が前後方向に相互に離間することに伴う底部フィルム20aの左右方向(長手方向)の湾曲又は屈曲等の曲げを許容する程度の柔軟性を有する。底部フィルム20aの左右方向が湾曲することにより、
図2Bに示すように前面部3の折り目31及び背面部4の折り目41が展開可能となり、包装袋1の密閉空間Sの容積が底面部2付近において拡大して包装袋1の自立安定性が向上する。
【0042】
補強部材27の素材は、底部フィルム20aの湾曲を抑制可能な程度の高い剛性を実現可能なものであればよく、例えば、紙、合成紙、プラスチック、ダンボール、不織布、発泡体(例:スポンジ)、紙及びプラスチックの複合材料を用いることができる。ダンボールや発泡体は、断熱性に優れているので、補強部材27をダンボールや発泡体で構成すると、包装袋1を食器として用いる際に手のひらの上に載せやすい。素材として紙を用いる場合、紙器用板紙や段ボール等の板紙を用いることが好ましい。また、補強部材27を構成する紙の厚さは、例えば0.2mm以上5mm以下であり、0.3mm以上3mm以下が好ましく、0.4mm以上2mm以下がより好ましい。この厚さは、具体的には例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2.5、3、3.5、4、4.5、5(単位:mm)のいずれかの値であってもよく、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、例えば0.68mmとすることができる。また、補強部材27を構成する紙の坪量は、例えば200g/m2以上900g/m2以下であり、250g/m2以上800g/m2以下が好ましく、300g/m2以上600g/m2以下がより好ましい。この坪量は、具体的には例えば、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900(単位:g/m2)のいずれかの値であってもよく、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、例えば415g/m2とすることができる。
【0043】
また、底部フィルム20aの前後方向の湾曲を抑制しつつ、左右方向の曲げを許容可能とするために、補強部材27に加工を施してもよい。例えば、補強部材27の素材として紙を用いる場合、左右方向の両縁近傍に前後方向に沿って山折りに折り曲げやすいような折り目27bを形成する加工を施し、包装袋1の膨張に伴い底部フィルム20aの左右方向が屈曲される構成としてもよい。折り目27bは、勾配部13cの、中央部13d側の開始点13c1からの左右方向のズレが0~3cmであることが好ましい。このズレは、具体的には例えば、0.0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。また、下端溶着部13の内縁13eと、折り目31の間の上下方向の距離をH7とすると、折り目27bは、側端溶着部12の内縁12aから、α×H7の位置に設けることが好ましい。αは、例えば、0.7~1.3であり、具体的には例えば、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0044】
補強部材27は、底部フィルム20aに対して接着剤で貼り付けてもよい。或いは、補強部材27としてプラスチック、又は貼り付け面に樹脂製フィルムが塗工された紙を用いる場合等は、溶着により貼り付けてもよい。接着剤は、耐熱性接着剤であることが好ましい。この場合、加熱によって内容物が熱くなって接着剤に熱が伝わった場合でも補強部材27が剥がれてしまうことが抑制される。補強部材27は、補強部材27又は底部フィルム20aの全面又は全周において底部フィルム20aに貼り付けることが剛性の観点から好ましい。一方、補強部材27は、
図3Bに図示する貼付部27cで示すように、補強部材27又は底部フィルム20aの四隅で局所的に底部フィルム20aに貼り付けてもよい。この形態は、生産性及び材料費の観点で好ましく、かつ包装袋1からの熱が補強部材27に伝わりにくいという観点でも好ましい。
【0045】
補強部材27は、本実施形態のように底部フィルム20aの下面20a2側に設けられてもよく、上面20a1(底部フィルム20aの対向する2つの表面のうち、包装袋1の内側に面する表面)側に設けられてもよい。補強部材27を下面20a2側に設ける場合、補強部材27が内容物と接触しないため、より多様な素材を利用可能となる。補強部材27を上面20a1側に設ける場合、底部フィルム20aに対して接着剤又は溶着により補強部材27を貼り付けてもよいが、補強部材27の形状によっては貼り付けずに底面部2上に配置するのみでもよい。
【0046】
補強部材27は、底部フィルム20aの下面20a2又は上面20a1の全体を覆うように設けてもよく、一部を覆うように設けてもよい。底部フィルム20aの湾曲を効果的に抑制する観点からは、補強部材27は、少なくとも包装袋1の左右方向における底面部2の両端近傍に設けられることが好ましく、少なくとも底面部2の左側及び右側の縁部に沿った部分に設けられることがより好ましい。
【0047】
また、補強部材27は、底部フィルム20aの下面20a2又は上面20a1の面積の20%以上を覆うように設けることが好ましく、40%以上を覆うように設けることがより好ましく、より具体的には20、30、40、50、60、70、80、90、100(単位:%)のいずれかの値であってもよく、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。
【0048】
図3Aに示した包装袋1において、切り取り部5の上下方向の長さH1は、例えば6~14cmとすることができ、本実施形態では10cmである。本体部6の上下方向の長さH2は、例えば4~20cmであり、好ましくは6~18cmであり、本実施形態では7cmである。長さH2が小さすぎると、包装袋1内の食品の加熱調理時に調理液を加える場合(例えば、即席麺に水や調味料を加えて加熱調理する場合)等に内容物が本体部6からあふれる場合があり、大きすぎると、内容物を取り出すのが難しくなる。
【0049】
また、長さH2は、底部フィルム20aの中央線E1から下端までの長さH3(
図3A及び
図4参照)よりも長いことが好ましく、H3より2cm以上長いことがさらに好ましい。(H2-H3)の値は、例えば2~14cmであり、具体的には例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。(H2-H3)の値が2cm未満の場合には、包装袋1を開封した際の周壁の高さが低くなるため、内容物の量が制限されてしまう。
【0050】
長さH3は、3~6cmが好ましく、より具体的には例えば、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)の何れかの値であり、また、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよく、例えば4.5cmとすることができる。本体部6は食器としても使用するため、この程度の大きさがあるのが好ましい。
【0051】
周面部21を構成する前面部3及び背面部4は、底面部2に対して包装袋1の前側又は後側に一体的に傾斜可能に構成される。このような構成により、後述するように底面部2を接地し周面部21を傾斜させた状態で包装袋1を電子レンジにより加熱することができる。本実施形態では、
図6に示すように、前面部3及び背面部4を包装袋1の後側に一体的に傾斜可能である。この際、背面部4は、折り目41を境界として下側及び上側にそれぞれ位置する背面下部4a及び背面上部4bが相互に近づくように折り曲げられる。
【0052】
一例では、前面部3には、蒸気抜きシール部11(
図3に図示)が設けられており、底面部2が展開可能になっており、
図6及び
図8に示すように、周面部21は、底面部2が展開された状態で底面部2と背面部4が谷折りになり、且つ底面部2に対して寝かせた状態になっている(つまり、底面部2に対する傾斜角度が30°以下となるように傾斜している)。このような構成によれば、底面部2が接地するように包装袋1を電子レンジの庫内に配置すると、前面部3に設けられた蒸気抜きシール部11が必然的に包装袋1の上側に配置されるので、蒸気抜きシール部11に形成される蒸気流路を通じて内容物が漏れ出すことが抑制されるともに、内容物を効率的に加熱することができる。この傾斜角度は、例えば、0°以上30°以下であり、好ましくは0°以上20°以下であり、さらに好ましくは0°以上10°以下である。この傾斜角度は、より具体的には例えば、0、5、10、15、20、25、30(単位:°)の何れかの値であり、また、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0053】
本実施形態では、開閉部材23を閉じることで、包装袋1が密閉されて内部に密閉空間Sが形成され、密閉空間S内に内容物が収容される。密閉空間Sの上端E2は、
図7Aに示すように、開閉部材23近傍に位置する。例えば、開閉部材23の基部23a1,23b1の全面が前面部3及び背面部4にそれぞれ溶着される場合は、開閉部材23のフック部23a2,23b2の下端が密閉空間Sの上端となる。或いは、上述のように基部23a1の下端からフック部23a2の上端まで前面部3との未溶着部が設けられる場合は、包装袋1の膨張に伴い未溶着部まで密閉空間Sが延在することとなるため、フック部23a2の上端が密閉空間Sの上端E2となる。一方、密閉空間Sの下端E3は、
図7Aに示すように、下端溶着部13のうち包装袋1の下端に設けられた部分の上端(換言すれば、前面部3の内面の未溶着部分の下端)に位置する。
【0054】
図7Aにおいて、E4は、包装袋1の上下方向における密閉空間Sの中心線を示している。本実施形態の包装袋1は、周面部21のうち密閉空間Sの中心線E4よりも下側の部分の重さと、底面部2の重さとの和(
図7Bに示す第2部分P2の重さ)が、周面部21のうち中心線E4よりも上側の部分の重さ(
図7Bに示す第1部分P1の重さ)よりも大きくなるように構成されている。なお、本実施形態において、底面部2の重さは、底部フィルム20aの重さと補強部材27の重さとの和となる。第1部分P1の重さをW1、第2部分P2の重さをW2とすると、W2/W1は、例えば、1.1~10であり、好ましくは1.5~7であり、より具体的には例えば、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10の何れかの値であり、また、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0055】
さらに、前面部3の一部であって、包装袋1の平面視において底部フィルム20aの中央線E1よりも下側に位置する部分の重さと、底面部2の一部であって、包装袋1の平面視において底部フィルム20aの中央線E1よりも下側に位置する部分の重さとの和(
図7Aに示す第3部分P3の重さ)が、周面部21のうち中心線E4よりも上側の部分の重さ(第1部分P1の重さ)よりも大きくなるように構成されることがより好ましい。第3部分P3の重さをW3とすると、W3/W1は、例えば、1.1~8であり、好ましくは1.5~5であり、より具体的には例えば、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8の何れかの値であり、また、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0056】
第1部分P1及び第2部分P2と第3部分P3とが上述の大小関係となるように包装袋1を構成することによって、後述するように底面部2を接地し周面部21を傾斜させた状態で電子レンジにより加熱を行った際に、包装袋1の膨張に伴い底面部2が接地された面から離れるように湾曲することを効果的に防止することができる。
【0057】
補強部材27の重さを調節することで、第1部分P1及び第2部分P2と第3部分P3とが上述の大小関係となるように包装袋1を構成することが可能となる。このような構成において、補強部材27は、その重さにより底部フィルム20aの湾曲を抑制するように底面部を補強する。なお、この場合、補強部材27は、上述のように底部フィルム20aよりも高い剛性を有していてもよく、底部フィルム20aと同等又はそれ以下の剛性を有していてもよい。
【0058】
底部フィルム20a、及び周面部21を構成する周壁フィルム20bは、基材層とシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましく、基材層とシーラント層の間に接着層、印刷層を備えることがさらに好ましい。また、底部フィルム20a及び周壁フィルム20bに同じ構成・物性を有するフィルムを用いてもよく、異なる構成・物性を有するフィルムを用いてもよい。
【0059】
基材層は、包装袋1の外表面に露出するように配置され、シーラント層は、包装袋1の内表面に露出するように配置される。シーラント層同士が溶着(ヒートシール)されることによって、溶着部が形成される。
【0060】
基材層は、強度に優れて高い耐衝撃性を有する素材により形成されている。基材層としては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル等が用いられる。より具体的には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、又はポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等を用いることができる。基材層は、紙層を備えてもよく、紙層のみで構成してもよく、紙層と上述の樹脂層を積層して構成したものであってもよい。基材層を構成するフィルムとしては、MD方向(製造時においてフィルムが流れる方向)の直線カット性を有するものが好ましい。最外層となる基材層には、抗菌、抗ウイルス剤(銀イオンなど)を配合しても良い。特に、ブリードアウト性の抗菌、抗ウイルス剤を基材層に練りこんでおくことで、電子レンジで加熱して高温になった際に、基材層の表面の抗菌、抗ウイルス処理がすすみ、電子レンジから取り出す際に衛生的で良い。
【0061】
接着層は、基材層とシーラント層を互いに積層するように接着するための層である。接着方法として例えばポリエチレン等を接着層として用いた押し出しラミネートでもいいし、接着材としてポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いたドライラミネートでもよい。
【0062】
シーラント層は、溶着性に優れた樹脂で形成可能である。シーラント層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂で形成することができ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。シーラント層を構成するフィルムとしては、MD方向の直線カット性を有するものが好ましい。
【0063】
なお、周壁フィルム20bとして基材層としての第1基材層及び第2基材層とシーラント等とが接着層を介してこの順で積層されたフィルムを用い、開封部24及び上側開封部26の少なくとも一方において第2基材層の全体とシーラント層の一部に易引き裂き加工を施すことが好ましい。これにより、包装袋1を開封部24及び上側開封部26において真っ直ぐに引き裂きやすくなる。特に、開封部24については、直線カット性を有する周壁フィルム20b用いた場合であっても、電子レンジによる加熱の影響で真っ直ぐに引き裂きやすくなるという不具合が生じやすい。上述のような易引き裂き加工を施すことで、電子レンジによる加熱後であっても、このような不具合を解消することができる。
【0064】
易引き裂き加工は、例えば、ミシン目加工である。ミシン目加工を施す場合、開封部24及び上側開封部26の延在方向(左右方向)に沿って、第2基材層の全体とシーラント層の一部とに切り込まれたミシン目を形成する。この場合、フィルムの厚さ方向に、シーラント層における第2基材層側の表面からシーラント層の厚さの5~80%まで切り込まれていることが好ましく、30%~60%まで切り込まれて形成されていることがさらに好ましい。ミシン目の形状は、開封部24及び上側開封部26の延在方向に平行な破線状であっても、当該延在方向に沿って延在する曲線形状であってもよく、当該延在方向に対して傾斜する複数の直線が当該延在方向に沿って整列した形状であってもよい。また、当該延在方向に沿って、ミシン目を複数列形成してもよい。
【0065】
図3Aに示す包装袋1の下端での左右方向の長さH4は、電子レンジのターンテーブルに載置可能なサイズとする観点から、10~25cmが好ましく、18cm以上がさらに好ましい。より具体的には例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25(単位:cm)の何れかの値であり、また、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよく、例えば20cmとすることができる。
【0066】
1.2.包装食品の調理方法
次に、
図8Aから
図8Cを用いて、本実施形態の包装袋1に食品を収容した包装食品の調理方法について説明する。包装食品としては、(1)工場において包装袋1内に予め食品が収容されて消費者が追加の材料を包装袋1内に収容する作業を行うことなく加熱調理を行うことができるもの(レトルト食品や冷凍食品など)、(2)工場において包装袋1内に予め食品が収容されていて、消費者が追加の材料を包装袋1内に収容する作業を行った後に加熱調理を行うもの、(3)包装袋1内に商品が収容されておらず、消費者が包装袋1内に食品を収容した後に加熱調理を行うものが挙げられる。上記(1)の場合は、工場において包装袋1内に食品を収容した後に包装袋1を密封することが好ましい。この場合、開閉部材23は省略可能である。
【0067】
当該調理方法は、加熱工程を備える。また、上記(2)又は(3)の場合は、加熱工程の前に収容工程を備える。
図8A~
図8Cは、包装袋1に食品を収容した包装食品の調理方法の説明図であり、
図6におけるD-D断面図(包装袋1の左右方向における中心を通り前後方向に平行な断面における断面図)を模式化したものである。
【0068】
収容工程では、包装袋1内に食品又は追加の材料を収容する。食品は、例えば即席麺であり、追加の材料は、例えば調理液である。この場合、収容工程では、調理液を食品と接触するように包装袋1に収容して包装袋1を密閉する。例えば、食品が即席麺の場合、調理液として水や液体調味料を即席麺と接触するように収容する。本実施形態では、包装袋1の開閉部材23を開いて開口部22から包装袋1内に調理液を収容する。調理液の収容後は、開閉部材23を閉じることで包装袋1を密閉する。なお、食品の調理時に調理液を加える必要がない場合は、収容工程を実施しなくてもよい。
【0069】
加熱工程では、包装食品を電子レンジにより加熱する。収容工程において調理液を加えた場合、包装袋1に収容された食品及び調理液が電子レンジにより加熱される。この際、
図8Aに示すように、底面部2を電子レンジ内に接地し且つ周面部21を水平面に対する傾斜角度θが30°以下となるように傾斜させた(つまり、寝かせた)状態で電子レンジにより包装袋1に収容された食品の加熱を開始する。本実施形態では、電子レンジ内のターンテーブル等の略水平な面Gに底面部2を接地している。電子レンジは、庫内の中央下部にマイクロ波が集中するように設計されているのが一般的であり、周面部21を寝かせた状態で加熱を開始することによって、包装袋1内の食品を効率的に加熱することが可能になる。
【0070】
傾斜角度θとは、周面部21と水平面とがなす角度のうち、小さい方の角度を指す。また、周面部21を傾斜させた状態において、周面部21を構成する前面部3と背面部4の間が内容物の存在により離間している場合には、前面部3及び背面部4のうち下側に位置する一方と水平面とがなす角度を指す。本実施形態では、背面部4の背面上部4bと水平面とがなす角度が傾斜角度θであり、具体的には、
図8Aに示すように、背面部4の上端と折り目41とを包装袋1の上下方向に結ぶ直線Lと水平面とがなす角度が傾斜角度θとなる。また、周面部21を傾斜角度θが30°以下となるように傾斜させた状態には、周面部21を傾斜角度が0°となるように(換言すれば、周面部21が水平となるように)完全に寝かせた状態も含まれる。
【0071】
傾斜角度θは、例えば、0°以上30°以下であり、好ましくは0°以上20°以下であり、さらに好ましくは0°以上10°以下である。傾斜角度θは、より具体的には例えば、0、5、10、15、20、25、30(単位:°)の何れかの値であり、また、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0072】
周面部21は、包装袋1の前側及び後側のいずれに傾斜させてもよいが、前面部3及び背面部4のうち蒸気抜きシール部11が設けられていない側(本実施形態では、背面部4側)に傾斜させることが好ましい。この場合、蒸気抜きシール部11が上側を向くように周面部21が傾斜されるため、加熱時に蒸気抜きシール部11からの蒸気の排出が妨げられにくくなる。
【0073】
本実施形態では、前面部3及び背面部4を底面部2に対して後側に一体的に傾斜させる。周面部21を傾斜させることで、包装袋1内の食品を調理液とより広範囲で接触させることができ、効率的に調理可能となる。特に、即席麺のように比較的扁平な形状を有する食品の場合、周面部21を傾斜させない場合と比較してより広範囲で調理液と接触させることができる。
【0074】
加熱を開始すると、包装袋1の内圧上昇に伴って、包装袋1が膨張し、また蒸気抜きシール部11において蒸気流路が形成されて蒸気が排出される。この際、
図8Aに示す状態から内圧上昇により前面部3が上方に向かって内側から押圧されることで、底面部2を構成する底部フィルム20aに対してその前端部分を上方に湾曲させる力が加わる。本実施形態では、底面部2に設けられた補強部材27により底部フィルム20aの前後方向の湾曲が抑制されて、加熱工程において底面部2が面Gに接地された状態が維持される。また、包装袋1の膨張に伴い周面部21が立ち上がり、底面部2付近に内容物が徐々に集まることで、内容物の重みにより底面部2の前後方向の湾曲がさらに抑制される。
【0075】
また、加熱により包装袋1の底面部2付近に蒸気が発生すると、前面部3の底面部2側の部分が膨らみ、これにより底面部2の前端側を上方に湾曲させる力が加わる。本実施形態では、補強部材27により底部フィルム20aの湾曲が抑制されることに加えて、包装袋1において密閉空間Sの中心線E4よりも下側に位置する第2部分P2の重さが、中心線E4よりも上側に位置する第1部分P1の重さよりも大きいため、底面部2の前端側が上方に浮き上がることが抑制される。また、包装袋1の膨張に伴い周面部21が立ち上がり、内容物が底面部2付近に徐々に集まり、蒸気が包装袋1の上部に向かって移動することで、上述のような底面部2の湾曲がさらに抑制される。
【0076】
包装袋1がさらに膨張すると、前面部3及び背面部4が前後方向に相互に離間して側端同士が近づくことで、底部フィルム20aに対してその左右方向の両縁が上方に向かうように湾曲させる力が加わる。本実施形態では、補強部材27がこのような底部フィルム20aの左右方向の湾曲を許容する程度の柔軟性を有するため、底部フィルム20aの左右方向が湾曲し、
図8Bに示すように前面部3の折り目31及び背面部4の折り目41が展開する。これにより、周面部21は後側に傾斜した状態から上方に立ち上がる。そして、加熱完了時には、
図8Cに示すように、周面部21が底面部2に対して直立した状態となる。このように、加熱中に周面部21が変位し、この変位の際に内容物も変位することによって、内容物が撹拌されたり、内容物に照射されるマイクロ波の分布が変化したりして、加熱の均一が高められる。
【0077】
加熱完了後は、好ましくは、包装袋1は、底面部2を下側にして自立した状態となる。この場合、加熱完了後は、包装袋1を自立した状態で容易に電子レンジから取り出すことができる。また、自立した状態の包装袋1を開封部24において開封することで、包装袋1を食器として利用して内部の食品を食べることができる。
【0078】
ところで、上述の通り、包装袋1が膨張する際には、前面部3の底面部2側の部分が膨らみ、これにより底面部2の前端側を上方に湾曲させる力が加わる。一方、底面部2の後端側には、上方に湾曲させる力は、ほとんど又は全く加わらない。このため、補強部材27は、
図31に示すように、底面部2の前縁2cに沿って設けられた固定手段29によって、底面部2の前縁2c側のみにおいて底面部2に固定し、後縁2d側は固定されていない状態にしてもよい。なお、底面部2の前後方向の一対の縁のうち、加熱前に周面部21を寝かせたときに背面部4の下側にあるものが後縁2dであり、もう一方の縁が前縁2cである。
【0079】
1.3.包装袋の製造方法
次に、本実施形態の補強部材27付き包装袋1の製造方法について説明する。当該製造方法は、補強部材取り付け工程を備える。補強部材取り付け工程では、包装袋1の底面部2を展開した状態で底面部2に補強部材27を取り付ける。
【0080】
包装袋1は、製袋工程によって製造することができる。製袋工程では、可撓性を有するフィルムから包装袋1を製造する。まず、
図9Aに示すように、1枚の周壁フィルム20bの端部の内面同士を重ね合わせて重ね合わせ部10aを形成し、
図9Bに示すように、重ね合わせ部10aを溶着することで合掌部10を形成し、残りの部分で楕円状の環Cを形成する。
【0081】
続いて、
図9A~
図9Bに示すように、環Cの一端C1を切断し、中央線E1においてV字形に折り曲げられた底部フィルム20aを挿入する。続いて、
図9B~
図10Aに示すように、底部フィルム20a及び周壁フィルム20bを溶着するとともに、環Cの他端C2を切除することによって、底面部2、前面部3、及び背面部4を形成する。
【0082】
続いて、
図10Bに示すように、環Cの他端C2近傍(前面部3及び背面部4の上端近傍)において、前面部3と背面部4の間に開閉部材23を挿入して開閉部材23を前面部3と背面部4のそれぞれの内面に溶着し、前面部3と背面部4の上端を溶着することにより、包装袋1が製造される。なお、食品等の内容物は、製袋工程の過程で充填されてもよく、製袋後の包装袋1に充填されてもよい。
【0083】
補強部材取り付け工程では、製袋された包装袋1の底面部2に、補強部材27を設ける。一例である本実施形態では、折り曲げられた底部フィルム20aを展開し、その下面20a2側に、接着剤又は溶着により、補強部材27を貼り付ける。この工程は、
図32に示すように、一対の搬送部43aの間に隙間43bを有するコンベア43を用いて実施することができる。具体的には、まず、
図32A及び
図32Bに示す第1位置では、底面部2を上に向けて周面部21を隙間43b内に配置し、前面部3及び背面部4のうち底面部2に対向している前面下部3a及び背面下部4aを搬送部43aに向けるように、包装袋1をコンベア43上に載置する。コンベア43は、
図32Aの右側に向かって包装袋1を搬送する。
図32A及び
図32Cに示す第2位置では、包装袋1の底面部2に補強部材27が取り付けられる。次に、
図32A及び
図32Dに示すように、補強部材27を取り付けた包装袋1は、コンベア43で、第2位置の下流側の第3位置に搬送される。なお、補強部材27を底部フィルム20aの上面20a1側に設ける場合は、製袋後且つ内容物が充填される前の包装袋1の底部フィルム20aに接着剤又は溶着により補強部材27を貼り付けるか、又は貼り付けずに包装袋1内に補強部材27を挿入して底面部2上に配置してもよい。
【0084】
補強部材取り付け工程は、製袋工程の後に行うことが好ましい。製袋工程を行う前に補強部材27を底部フィルム20aに取り付け、その後に、製袋工程を行うことも考えられるが、その場合、製袋工程が行いにくくなる場合があるので、補強部材取り付け工程は、製袋工程の後に行うことが好ましい。また、補強部材27を取り付ける際には、底面部2は展開されていることが好ましく、周面部21を寝かせた状態になっていることが好ましい。この場合、補強部材27が取り付けやすいからである。
【0085】
また、包装袋1内に内容物を充填して封止する内容物充填工程を備える場合、補強部材取り付け工程は、内容物充填工程の前に行っても後に行ってもよい。内容物充填工程の前に行う場合、補強部材27を取り付けやすいというメリットがある。一方、内容物充填工程の前に補強部材27を取り付けると、内容物充填工程で用いる装置によっては内容物を充填しにくい場合がある。その場合には、補強部材取り付け工程は、内容物充填工程の後に行うことが好ましい。
【0086】
2.第2実施形態
次に、
図11A~
図12を参照して、本発明の第2実施形態の包装袋1について説明する。第2実施形態の包装袋1は、補強部材27が底部フィルム20aの前後方向に加えて左右方向の湾曲を抑制する程度の高い剛性を有する点で、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0087】
図11A~
図11Cは、第2実施形態に係る包装袋1に食品を収容した包装食品の調理方法の説明図である。
図11Aの状態から加熱により包装袋1が膨張すると、第1実施形態と同様に補強部材27により底部フィルム20aの前後方向の湾曲が抑制される。包装袋1がさらに膨張し、前面部3及び背面部4が前後方向に相互に離間して側端同士が近づくと、底部フィルム20aに対してその左右方向の両縁が上方に向かうように湾曲させる力が加わる。
【0088】
この際、本実施形態では、補強部材27により底部フィルム20aの左右方向の湾曲が抑制されて、底面部2が面Gに接地された状態が維持される。従って、
図11Bに示すように、前面部3及び背面部4は、折り目31,41が維持された状態で、包装袋1の折り目31,41よりも上側の部分が膨張し、周面部21が後側に傾斜した状態から上方に立ち上がる。そして、加熱完了時には、
図11Cに示すように、周面部21の折り目31,41よりも上側の部分が底面部2に対して直立した状態となる。
【0089】
加熱後は、開封部24において周面部21を周方向に裂いて切り取り部5を除くことによって、
図12に示すように開口7を有する本体部6が得られる。補強部材27により底部フィルム20aの前後方向及び左右方向の湾曲が抑制されることで、底面部2の下面全体を接地させて包装袋1を自立させることができる。なお、包装袋1を食器として利用し内容物を食べる際には、補強部材27の左右方向(長手方向)を湾曲又は折り曲げて、折り目31,41を展開してもよい。これにより、包装袋1内の容積が底面部2付近において拡大し、自立安定性が向上する。
【0090】
3.第3実施形態
補強部材27の形状及び配置は、上述の実施形態の例に限定されるものではない。ここで、補強部材27の変形例について説明する。
【0091】
補強部材27の形状は、任意であり、例えば、板状、フィルム状、棒状、筒状などにすることができる。板状やフィルム状の場合の補強部材27の平面形状や、棒状や筒状の場合の補強部材27の外面の断面形状としては、多角形(例:長方形、正方形、台形などの四角形)、湾曲形状(楕円形、長円形、円形など)が挙げられる。一例では、補強部材27は、
図13Aに示すように楕円形にすることができる。また、補強部材27は、
図14に示すように、底面部2に設けられた下端溶着部13の内縁2jに沿った形状としてもよい。
【0092】
補強部材27の配置や部材数なども適宜変更可能である。一例として、補強部材27を、底部フィルム20aの周縁に沿って配置される四角枠形状としてもよい。別の例として、複数の部材により補強部材27を構成してもよい。例えば、
図13Bに示すように、底面部2の左右の縁に沿ってそれぞれ配置される長板状の2部材、又は底面部2の左右の縁、及び底面部2の左右方向の中心に沿ってそれぞれ配置される長板状の3部材により、補強部材27を構成してもよい。また、補強部材27は、
図13Cに示すように、包装袋1の左右方向における底面部2の中央近傍に設けてもよい。さらに、補強部材27は、
図13Dに示すように、包装袋1の前後方向における底面部2の中央近傍に設けてもよい。この場合、補強部材27は、包装袋1の左右方向に延在する細長い形状であることが好ましい。この場合、包装袋1の前後方向のバランスが良くなるので、包装袋1の自立性が高くなりやすい。
【0093】
また、箸(例:割り箸)、スプーン、フォークなどの食事道具を補強部材27として用いてもよい。この場合、包装袋1内の食品を調理した後に、食事道具を包装袋1から取り外して、食品を食べるために用いることができる。一例では、補強部材27は、
図15に示すように、割り箸27aであり、底面部2の前縁2c及び後縁2dのそれぞれに設けた突出片2eに開口部2fを設け、一対の開口部2fに割り箸27aを挿通させることによって、割り箸27aを底面部2に配置するようにしてもよい。この場合、割り箸27aは、底面部2に対して着脱可能であり、例えば、包装袋1の内容物を加熱する際に割り箸27aを開口部2fに挿入して補強部材27として機能させ、加熱完了後は、割り箸27aを開口部2fから抜き出して、内容物を食べるために利用することができる。開口部2fは、突出片2eに設ける代わりに、
図16に示すように、下端溶着部13に切り込みや孔を形成することによって設けてもよい。
【0094】
なお、ここで示した割り箸27aの保持方法は、割り箸27a以外の補強部材27にも適用可能である。
図36Aは、包装袋1を収容する箱状の外側包装体32bを示す。外側包装体32bには、ミシン目などで構成される第1及び第2易切断部32b3,32b4が設けられており、第1易切断部32b3に沿って外側包装体32bを切断して、
図36Bに示すように外側包装体32bを開封し、その後、第2易切断部32b4に沿って外側包装体32bを切断することによって、外側包装体32bを部分的に切り取り、切り取った切り取り片32b5を点線で示す折り曲げ線32b6に沿って、例えば
図36Cに示す三角柱形状になるように折ることによって、細長い補強部材27を作成することができる。このようにして作成した補強部材27は、割り箸27aと同様に、
図15及び
図16に示すように、開口部2fに挿通させて底面部2に配置することができる。
【0095】
また、外側包装体32bには、
図37Aに示すように、第1及び第2易切断部32b3,32b4を設けてもよい。この場合、第1易切断部32b3に沿って外側包装体32bを切断して、
図37Bに示すように外側包装体32bを開封し、その後、第2易切断部32b4に沿って外側包装体32bを切断することによって、
図37Cに示すように、外側包装体32bを部分的に切り取って切り取り片32b5を形成する。切り取り片32b5は、そのまま補強部材27として用いることができ、
図38A~
図38Bに示すように、包装袋1の底面部2に固定することができる。なお、底面部2と切り取り片32b5のどちらかに(好ましくは面積が小さい方に)両面テープなどの固定手段を設けておくことが好ましい。この場合、使用者が簡単に補強部材27を底面部2に取り付けることができる。
【0096】
また、
図28に示すように、底面部2の前縁2c及び後縁2dに沿って底面部2を補強するように補強部材27を装着してもよい。この場合、補強部材27としては、ストローなどの柱状のものが挙げられる。補強部材27は、前縁2c及び後縁2dに沿って延びるポケット2kを下端溶着部13に設け、包装袋1の製造後に補強部材27をポケット2k内に挿入することによって、前縁2c及び後縁2dに沿って底面部2を補強するように装着することができる。包装袋1が加熱時に
図8に示すように立ち上がろうとする際に、
図2Bに示すように底面部2の左右方向の両端が打ち上がるように底面部2が湾曲しやすく、底面部2の湾曲が過大になると、底面部2での接地が不安定になって包装袋1が立ち上がりにくくなる。一方、
図28に示すように、底面部2の前縁2c及び後縁2dを補強すると、底面部2の左右方向の両端が打ち上がる湾曲が抑制されるために、包装袋1が立ち上がりやすくなる。
【0097】
また、補強部材27は、
図33に示すように、前面部3及び背面部4のうち折り目31よりも下側の前面下部3a及び背面下部4aを底面部2よりも延長した延長部3a1,4a1で補強部材27を取り囲んだ状態で延長部3a1,4a1を底面部2に固定するようにしてもよい。さらに、補強部材27は、
図34に示すように、延長部3a1,4a1で補強部材27を取り囲んだ状態で延長部3a1,4a1のそれぞれに重ね合わせ部3a2,4a2を形成し、重ね合わせ部3a2,4a2に溶着部を形成することによって、補強部材27を固定するようにしてもよい。重ね合わせ部3a2,4a2では、フィルムのシーラント層同士が対向するので、溶着部を形成しやすい。
【0098】
前縁2c及び後縁2dに沿って底面部2を補強する補強部材27は、
図29Bに示すように、底部フィルム20aに装着してもよい。この場合、補強部材27が装着された底部フィルム20aを用いて包装袋1の製造を行うことによって、前縁2c及び後縁2dに沿って底面部2が補強部材27で補強された包装袋1を得ることができる。底部フィルム20aに補強部材27を装着する方法としては、
図29Aに示すように、底部フィルム20aの前縁20a3と後縁20a4のそれぞれに沿って補強部材27を配置し、底部フィルム20aと、カバーフィルム20kを重ねた状態で、
図29Bに示すように、補強部材27の周囲に溶着部20lを形成する方法が挙げられる。カバーフィルム20kは、
図29Aでは帯状としているが、カバーフィルム20kは、補強部材27を底部フィルム20aに固定可能な任意の形状にすることができる。
【0099】
補強部材27は、任意に方法で装着することができる。補強部材27を底面部2に装着する方法としては、粘着、接着、溶着、挟着、係合などが挙げられる。一例では、補強部材27は、
図17に示すように、粘着テープ、接着剤、クリップなどを固定手段29用いて、底面部2に装着することができる。
【0100】
一例では、補強部材27は、
図18Aに示すように、底部フィルム20aと同様の構成の補強部材フィルム20dによって構成することができる。この場合、補強部材27としての補強部材フィルム20dと、底部フィルム20aとを前縁20fと後縁20gのそれぞれに設けた溶着部20iで接合させることによって補強部材27を底面部2に装着することができる。これによって、
図18Bに示すように、底面部2を構成する底部フィルム20aに補強部材フィルム20dが重ねられた構成の包装袋1が得られる。この場合、底部フィルム20aとフィルム20dの間にポケット20hが形成されるので、このポケット20h内に別の補強部材を挿入してもよい。なお、筒状フィルムを扁平化して底部フィルム20aと補強部材フィルム20dが前縁20fと後縁20gで接合されたフィルムとして扱ってもよい。
【0101】
補強部材27は、工場において予め底面部2に設けた状態になっていてもよく、工場出荷時には補強部材27と包装袋1が別々になっていて、消費者が補強部材27を底面部2に装着するようにしてもよい。後者の場合、補強部材27を底面部2に装着するかどうかを消費者が選択可能であるという利点がある。包装袋1と補強部材27は、
図26~
図27に示すような外側包装体32を用いて同梱することができる。
【0102】
一例では、包装袋1内に食品が密閉されたレトルト食品又は冷凍食品は、電子レンジ以外にも湯煎によって食品の調理が可能な場合がある。このような場合であって、補強部材27が耐水性を有しない材料で形成されている場合、補強部材27が予め底面部2に設けられていると、食品の調理方法として湯煎が選択できないという問題がある。一方、補強部材27を底面部2に装着するかどうかを消費者が選択可能に構成されている場合、補強部材27を底面部2に装着しないという選択を行うことによって、補強部材27が耐水性を有しない材料で形成されている場合にも、湯煎による調理を行うことができる。また、別の観点では、補強部材27が予め底面部2に設けられている場合、湯煎による調理を可能にするために、耐水性を有する材料で補強部材27を形成する必要があるが、補強部材27を包装袋1と別体とすることによって、耐水性を有しない材料で補強部材27を形成することが可能になり、補強部材27の製造コストの低減が可能になる。
【0103】
また、補強部材27は、包装袋1に対して着脱可能であることが好ましい。この場合、包装袋1に補強部材27を装着した状態で包装袋1内の食品の調理を行い、その後に、補強部材27を取り外して、別の包装袋1に装着し、その包装袋1内の食品の調理を行うことができる。補強部材27を繰り返し用いることによって、補強部材27付き包装袋1の製造コストの低減が可能になる。補強部材27を包装袋1に対して着脱可能にする構成としては、再剥離性の粘着テープで補強部材27を包装袋1に貼着したり、クリップなどの開閉可能な保持部材を用いて補強部材27を包装袋1に保持させたり、包装袋1に設けた係合部に補強部材27を係合させたりする方法が挙げられる。係合部に補強部材27を係合させる構成としては、底面部2に設けたポケット(例えば
図18中のポケット20hのような構成のもの)内に補強部材27を収容する構成や、
図15又は
図16に示すように、開口部2fに補強部材27を挿通させる構成が挙げられる。
【0104】
さらに、補強部材27は、底面部2内に収まるように設けてもよく、
図19に示すように、底面部2からはみ出すように設けてもよい。補強部材27が底面部2からはみ出す場合、周面部21が傾斜している側に、補強部材27がはみ出すことが好ましい。この場合、補強部材27が平面視で周面部21に重なるので、補強部材27がはみ出しても補強部材27付き包装袋1の全体のサイズが大きくなりにくい。また、包装袋1に食品を入れて密封した状態で加熱したときに傾斜している周面部21が立ち上がろうとする。その際に、底面部2のうち、周面部21が傾斜している側の部位2gに下向きのトルクが加わって底面部2を回転させようとするが、底面部2から補強部材27をはみ出させることによって、この下向きのトルクに耐えやすくなるので、周面部21が加熱時に直立しやすくなる。さらに、はみ出した部位は、内容物の加熱後も熱くなりにくいので、はみ出した部位を把持して包装袋1を電子レンジから引っ張り出しやすい。
【0105】
さらに、
図20に示すように、底面部2に固定手段29(例:両面テープ29aなどの粘着手段)を設けておき、固定手段29を用いて底面部2を、汎用部材30(補強部材27として準備された部材ではない部材)に固定し、この汎用部材30を補強部材27として用いてもよい。汎用部材30としては、皿30aなどの食器や、電子レンジの庫内に配置されたプレートや庫内の床面などが挙げられる。固定手段29は、例えば、底面部2の左右方向の中央を含む部位に設けることができる。
【0106】
さらに、
図35に示すように、前面部3のうち底面部2に対向する前面対向部3cと、汎用部材30にまたがるように、固定手段29を設けてもよい。固定手段29としては、粘着テープ29bのように、前面対向部3cと汎用部材30の両方に貼り付けることによって、底面部2の前縁2cを汎用部材30に固定可能なものであることが好ましい。固定手段29は、例えば、前面対向部3cの左右方向の中央を含む部位に貼り付けることが好ましい。包装袋1が膨張する際には、前面部3の底面部2側の部分が膨らみ、これにより底面部2の前縁2cが浮き上がって周面部21の立ち上がりが阻害されやすいが、固定手段29で前面対向部3cを汎用部材30に固定することによって、前縁2cの浮き上がりを抑制して、周面部21の立ち上がりを促進することができる。粘着テープ29bとしては、再貼付タイプのテープが好ましい。この場合、例えば、粘着テープ29bを包装袋1に貼り付けておくと、使用者は、粘着テープ29bを包装袋1から剥がして、固定手段29として利用可能である。また、前面対向部3cに係止部材を当接させることによって、前縁2cの浮き上がりを抑制するようにしてもよい。係止部材は、前面対向部3cに当接して前縁2cの浮き上がりを抑制可能なものであればよく、前面対向部3cに固定する必要がない。後述するように、
図39~
図40に示す外側包装体32cは、開口部32c1の縁32c2を前面対向部3cに当接させることによって前縁2cの浮き上がりを抑制して、周面部21の立ち上がりを促進するように構成されている。従って、外側包装体32cは、係止部材として機能する。
【0107】
4.第4実施形態
本発明を構成する種々の観点のうち、補強部材27を必須としない観点については、補強部材27がなくてもよい。上述の実施形態では、底面部2を構成する底部フィルム20aに別部材の補強部材27を貼り付け等により設ける構成であったが、補強部材27を必須としない観点では、補強部材27は、省略可能である。
【0108】
この場合、底面部2そのものを包装袋1の膨張に伴い少なくとも前後方向が湾曲しない程度の剛性を有する部材で構成してもよい。例えば、
図21Aに示すように、比較的高い剛性を有する板状部材42により底面部2を構成することができる。この場合、包装袋1の製造方法の製袋工程では、
図9Bのように環Cの一端C1が切断された周壁フィルム20bにおいて、
図21Aに示すように、切断箇所で対向する2枚のフィルムのそれぞれの下端部20jを長さH3だけ外側に90度折り曲げる。そして、折り曲げにより2枚のフィルムの内面がどちらも下側に向いており、これらの内面に底面部2を構成する板状部材42を固定することで、包装袋1を袋状とすることができる。2枚のフィルムがそれぞれ前面部3及び背面部4となる。また、板状部材42は、
図9Bのように二つ折りにして、周壁フィルム20bの対向する2枚のフィルムの間に挿入し、板状部材42を周壁フィルム20bに溶着することによって、板状部材42が前面部3及び背面部4に固定された包装袋1を製造するようにしてもよい。板状部材42は、樹脂製であることが好ましい。また、板状部材42は、溶着によってフィルムに固定することができる。
【0109】
板状部材42は、
図8Aに示すように、内容物が収容された包装袋1の周面部21を寝かせた状態で電子レンジの加熱を開始し、
図8B~
図8Cに示すように、電子レンジでの加熱に伴う包装袋1の内圧上昇に伴って包装袋1が膨張する際に周面部21が立ち上がる程度の剛性を有することが好ましい。これによって、補強部材27を別途設けることなく、加熱中に周面部21が立ち上がるようにすることが可能になる。板状部材42が前後方向に湾曲しにくい場合は、包装袋1が膨張する際に発生する力が周面部21を立ち上げる方向に働きやすいので、板状部材42は、前後方向に湾曲しにくいものであることが特に好ましい。
【0110】
板状部材42の厚さは、例えば、0.3~5mmであり、0.5~3mmが好ましく、0.7~2mmがさらに好ましい。この厚さは、具体的には例えば、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0111】
板状部材42の層構成としては、例えば、(a)樹脂の単層構成、(b)シーラント層と樹脂層を有する積層構成、(c)シーラント層と紙層を有する積層構成などが挙げられる。(b)及び(c)の場合、バリア層をさらに含む積層構成としてもよい。以下、(a)~(c)の構成について詳細に説明する。
【0112】
(a)樹脂の単層構成
板状部材42は、一例では、樹脂の単層構成とすることができる。この樹脂は、溶着性に優れた樹脂であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂が好ましく、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンがさらに好ましい。
【0113】
(b)シーラント層と樹脂層を有する積層構成
板状部材42は、一例では、シーラント層と樹脂層を有する積層構成とすることができる。シーラント層は、溶着性に優れた樹脂で構成することができ、シーラント層を設けることによって板状部材42を前面部3及び背面部4に容易に溶着することができる。シーラント層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂が挙げられ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。樹脂層は、シーラント層以外の樹脂で構成された層であり、例えば、強度に優れて高い耐衝撃性を有する樹脂で構成することができる。樹脂層を構成する樹脂として、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル等が挙げられる。
【0114】
シーラント層と樹脂層を有する積層構成は、シーラント層を構成するフィルムと樹脂層を構成するフィルムを押し出しラミネート又はドライラミネートすることによって形成することができる。また、このような積層構成は、樹脂層を構成するフィルムに、シーラント層を構成する樹脂を塗工することによって形成してもよい。
【0115】
シーラント層の厚さは、例えば、10~100μmであり、具体的には例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0116】
(c)シーラント層と紙層を有する積層構成
板状部材42は、一例では、シーラント層と紙層を有する積層構成とすることができる。シーラント層の説明は、「(b)シーラント層と樹脂層を有する積層構成」と同様である。紙層の坪量は、例えば50g/m2以上が好ましく、80g/m2以上がさらに好ましい。また、紙層の坪量は、例えば、300g/m2以下であり、300g/m2以下が好ましく、250g/m2以下がさらに好ましく、200g/m2以下がさらに好ましい。この坪量は、具体的には例えば、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500g/m2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。
【0117】
紙層は、テーバーこわさ(曲げモーメント)が例えば2mN・m以上であり、好ましくは4mN・m以上である。この場合、板状部材42の剛性が高くなり、電子レンジの加熱時に周面部21が立ち上がりやすくなるからである。テーバーこわさは、例えば、2~20mN・mであり、具体的には例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mN・mであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。
【0118】
シーラント層と紙層を有する積層構成は、シーラント層を構成するフィルムと紙層を構成する紙を押し出しラミネート又はドライラミネートすることによって形成することができる。また、このような積層構成は、紙層を構成する紙に、シーラント層を構成する樹脂を塗工することによって形成してもよい。
【0119】
また、
図21Bに示すように、板状部材42の背面側に底部フィルム20aを固定してもよい。この場合、板状部材42は、底部フィルム20aの湾曲を抑制する補強部材として機能する。
【0120】
5.第5実施形態
第5実施形態では、蒸気抜きシール部11の変形例について説明する。
【0121】
蒸気抜きシール部11としては、包装袋1の内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する任意の構成のものが採用可能である。第1実施形態では、合掌部10に蒸気抜きシール部11を設けているが、包装袋1には合掌部10を設けることは必須ではなく、蒸気抜きシール部11は、例えば、
図22Aに示すように上端溶着部19に設けたり、
図22Bに示すように側端溶着部12に設けたりしてもよい。また、蒸気抜きシール部11は、
図22Cに示すように、側端溶着部12の内縁12aからはみ出すように設けてもよい。蒸気抜きシール部11を上端溶着部19に設ける場合、開閉部材23を開状態にしておくか、又は包装袋1が開閉部材23を備えないことが好ましい。蒸気抜きシール部11を上端溶着部19又は側端溶着部12に設ける場合、蒸気抜きシール部11の形状は、第1実施形態と同様に、包装袋1の内部に向かって先細りとなる略V字状としてもよく、その他の形状としてもよい。
【0122】
また、蒸気抜きシール部11は、上端溶着部19又は側端溶着部12以外の部位に設けてもよい。例えば、
図23に示すように、前面部3と背面部4をドーナツ状に溶着してドーナツ状の蒸気抜きシール部11aを形成し、ドーナツ状蒸気抜きシール部11aの中央の未溶着部11bに切り込みや切り欠きなどの通気部11cを設けてもよい。この場合、包装袋1の内圧上昇に伴ってドーナツ状蒸気抜きシール部11a少なくとも部分的に剥離することによって蒸気流路が形成され、通気部11cを通じて蒸気が外部に排出される。
【0123】
また、蒸気抜きシール部11を設けずに、内容物は漏出しないが蒸気は排出可能に構成された開口を包装袋1に設けておいてもよい。このような開口は、例えば、加熱開始前に周面部21をわずかに引き裂いて形成してもよい。
【0124】
6.第6実施形態
第6実施形態では、包装食品の調理方法の変形例について説明する。
【0125】
上記実施形態では、加熱完了時に周面部21が直立する場合について説明したが、本発明を構成する種々の観点のうち、周面部21の直立を必須の構成としない観点では、加熱完了時に周面部21は直立していなくてもよいが、底面部2は、展開可能になっていることが好ましい。底面部2が展開可能である場合、底面部2を展開して接地した状態で加熱をすることによって、内容物である食品が包装袋1内で移動しやすくなり、加熱ムラが低減されやすくなる。また、加熱完了後は、底面部2を展開して接地させることによって、包装袋1を食器として利用しやすくなる。
【0126】
さらに、本発明を構成する種々の観点のうち、加熱開始時に底面部2を接地させることを必須の構成としない観点では、加熱開始時に底面部2を接地させなくてもよいが、加熱完了時に周面部21が直立することが好ましい。この場合でも、加熱中に周面部21が変位することによって、内容物である食品の加熱ムラが低減されやすい。
【0127】
7.第7実施形態
第7実施形態では、包装袋1の製造方法の変形例について説明する。
【0128】
第1実施形態では、底部フィルム20aと周壁フィルム20bを用いて包装袋1を製造したが、本実施形態の方法では、1枚のフィルム20cを用いて、包装袋1を製造することができる。
【0129】
まず、
図24Aに示すように、1枚のフィルム20cの端部の内面同士を重ね合わせて重ね合わせ部28を形成し、
図24Bに示すように、重ね合わせ部28の内面同士を溶着することで第1底面部2aを形成し、残りの部分で環Dを形成する。
【0130】
続いて、
図24B~
図25に示すように、環Dのうち第1底面部2aに隣接した部位D1でフィルム20cの内面同士を溶着して第2底面部2bを形成すると共に、側端溶着部12に相当する部位を溶着する。また、環Dのうち第2底面部2bとは反対側の端部D2においてフィルム20cを切断する。
【0131】
以上の工程によって、包装袋1が得られる。フィルム20cが長尺状である場合には、包装袋1をフィルム20cから分離する工程を行うことによって、分離された包装袋1を得ることができる。包装袋1は、例えば、側端溶着部12に沿ってフィルム20cを切断することによって、フィルム20cから分離することができる。なお、第1底面部2aと第2底面部2bを同時に形成し、その後に、側端溶着部12を形成するようにしてもよい。
【0132】
第1実施形態の方法で得られる包装袋1は、製造直後の状態では、底部フィルム20aが二つ折りの状態になっているので、補強部材27を取り付けるには、底面部2を展開する作業が必要になる。一方、本実施形態の方法によって得られた包装袋1は、第1及び第2底面部2a,2bによって構成される底面部2が展開された状態になっているので、底面部2を展開する作業が不要であるという利点がある。また、本実施形態の方法では、1枚のフィルム20cで包装袋1が製造可能であるので、第1実施形態の方法に比べて、製造設備の簡略化が可能である。
【0133】
なお、上記説明では、蒸気抜きシール部11は省略したが、蒸気抜きシール部11は、第1及び第5実施形態と同様に形成することができる。また、蒸気抜きシール部11は、第5実施形態で説明したような、合掌部10以外の部位に設けるものであることが好ましい。
【0134】
8.第8実施形態
第8実施形態では、外側包装体及びその変形例について説明する。
【0135】
包装袋1の外表面の少なくとも一部を覆うように、外側包装体を設けてもよい。例えば、紙や樹脂等の素材により構成され全体として箱形状の外側包装体の内部に、包装袋1を収容してもよい。外側包装体を設けることで、包装袋1をより安定して自立させることが可能となる。また、加熱調理後は、包装袋1の外表面を覆う外側包装体が断熱材として機能し食品が冷めにくくなる他、包装袋1内の食品が高温であっても外側包装体の部分を手に持ち、傾けたり、持ち上げたりすることが容易となる。包装食品を調理する際には、外側包装体を取り除いた状態で包装袋1に収容された食品を加熱してもよく、外側包装体ごと包装袋1に収容された食品を加熱してもよい。
【0136】
さらに、
図26~
図27に示すように、食品が封入された包装袋1を覆う外側包装体32を補強部材27として利用することができる。外側包装体32としては、
図26Aに示すような筒状の外側包装体32aや、
図27Aに示すような箱状の外側包装体32bが挙げられる。
【0137】
筒状の外側包装体32aは、底面部2を覆う第1被覆部32a1と、第1被覆部32a1に対向する第2被覆部32a2を備える。底面部2は、第1被覆部32a1に固定されているか、又は消費者が固定可能に構成されている。第1被覆部32a1と第2被覆部32a2は、左右方向の両端縁32a3で連結されており、筒状になっている。外側包装体32aを例えば端縁32a3で切断することによって筒が開いて外側包装体32aが帯状となる。外側包装体32aを切断する部位にはミシン目などの易切断部32a4を設けることが好ましい。
【0138】
図26Bに示すように、帯状の外側包装体32aは、例えば、端縁32a3で第2被覆部32a2を折り返して第1被覆部32a1に重ねることができる。この場合、第1被覆部32a1と第2被覆部32a2を重ねたものを補強部材27として利用することができ、包装袋1を安定して自立させやすい。なお、第2被覆部32a2は利用せずに、第1被覆部32a1のみを補強部材27として利用してもよい。
【0139】
別の形態では、第1被覆部32a1と第2被覆部32a2は、一方の端縁32a3で連結されていて他方の端縁で32a3では連結されていなくもよい。この場合、外側包装体32aは、元々が帯状となる。この場合、第2被覆部32a2がぶらつくことを抑制すべく、第2被覆部32a2が包装袋1に固定されていることが好ましい。この場合、第2被覆部32a2と包装袋1との固定を解除することによって、第2被覆部32a2の折り返しが可能になる。
【0140】
箱状の外側包装体32bは、外側包装体32b内に包装袋1を収容している。包装袋1の底面部2は、外側包装体32bの底面に固定されているか、又は消費者が固定可能に構成されていることが好ましい。外側包装体32bには、好ましくはミシン目などの易切断部32b1が設けられており、
図27Bに示すように、外側包装体32bを開封しやすくなっておる。外側包装体32bは補強部材27として機能するので、外側包装体32bを開封して上側部位32b2を開いたまま電子レンジの庫内に配置して加熱調理することができる。
【0141】
包装袋1は、
図39に示す形状の外側包装体32cに収容してもよい。外側包装体32cは、直方体状であり、包装袋1は、外側包装体32cに固定されることなく、外側包装体32c内に収容されている。外側包装体32cの上面部32c3には、ミシン目などの易切断部32c4が設けられており、易切断部32c4に沿って上面部32c3を切断することによって、
図40Aに示すように、易切断部32c4で囲まれた蓋部32c5を開くことができる。上面部32c3のうち蓋部32c5以外の部位が包装袋1を覆う被覆部32c9となる。蓋部32c5は、上面部32c3の一側縁32c6において、外側包装体32cの一側面部32c7に連結されていることが好ましい。
【0142】
外側包装体32c内で、底面部2は、外側包装体32c内に他側面部32c8側に寄った状態になっている。他側面部32c8は、一側面部32c7に対向する側面部である。周面部21は、後縁2d側に倒された状態になっている。内容物Wは、他側面部32c8側に偏った位置に配置されている。周面部21の上端近傍には、周面部21が折り返された折り返し部21aが設けられていて、包装袋1が外側包装体32c内にコンパクトに収容されている。
【0143】
加熱の際には、
図40Aに示すように、蓋部32c5を開いて開口部32c1を設けた状態で包装袋1及び外側包装体32cを電子レンジ内に配置して加熱を開始する。内容物Wから生じる蒸気によって包装袋1が膨張すると、
図40Bに示すように、折り返し部21aが展開されながら周面部21が立ち上がって開口部32c1から外側包装体32cの外に出ようとする。この際、前面部3が開口部32c1の縁32c2に当接し、その状態で包装袋1がさらに膨張することによって、底面部2を一側面部32c7側(
図40Bの右側)に移動させようとする力が働き、その力によって底面部2が一側面部32c7に向かって移動する。これによって、底面部2の大部分が開口部32c1に対向する位置に配置され、底面部2のうち、前縁2c近傍の一部のみが被覆部32c9で覆われた状態となる。好ましくは、底面部2の後縁2dが一側面部32c7に到達するまで底面部2が移動する。また、包装袋1は、
図2Bに示すように左右方向の両端が持ち上がるように底面部2が湾曲しながら膨張する。
【0144】
図40Cに示すように、包装袋1がさらに膨張すると、周面部21がさらに立ち上がろうとし、その際に、前縁2cが浮き上がろうとする。しかし、前縁2cは、被覆部32c9で覆われた位置に配置されているので、前縁2cが浮き上がると、前面部3のうち前縁2cに隣接した部位(例:前面対向部3c)が開口部32c1の縁32c2に当接することによって、前縁2cの浮き上がりが抑制され、周面部21の立ち上がりが促進される。
【0145】
このように、本実施形態によれば、包装袋1を外側包装体32cに固定することなく、外側包装体32cによって、周面部21の立ち上がりを促進することができる。また、外側包装体32cによって周面部21の立ち上がりが促進されるので、包装袋1には、補強部材27を貼り付ける必要がない。
【0146】
包装袋1は、
図46に示す形状の外側包装体8に収容してもよい。外側包装体8は、直方体状であり、包装袋1は、外側包装体8に固定されることなく、外側包装体8内に収容されている。外側包装体8は、
図47に示す展開図のシート8aから作成することができる。外側包装体8は、底面部8bと、長側面部8cと、短側面部8dと、上面部8eを備える。底面部8bは、長側面部8c及び短側面部8dと繋がっている。底面部8bと上面部8eは、短側面部8dを介して繋がっている。各短側面部8dには一対の第1のりしろ8fが繋がっている。各長側面部8cには、第2のりしろ8gが繋がっている。上面部8eには、第3のりしろ8hが繋がっている。長側面部8cと短側面部8dは、第1のりしろ8fで接着することで互いに接合することができる。上面部8eは、第2のりしろ8gで接着することで長側面部8cと接合することができる。上面部8eは、第3のりしろ8hにおいて短側面部8dと接合することができる。このように、第1~第3のりしろ8f,8g,8hでの接着によってシート8aから外側包装体8を製造することができる。
【0147】
後述するように、上面部8eは、包装袋1内の内容物の加熱に伴って第2のりしろ8gから剥離することが想定されている。このため、上面部8eを第2のりしろ8gに接着するための接着部材(粘着剤、接着剤、両面テープなど)は、輸送時には剥がれないが、包装袋1の膨張に伴って剥がれる程度の接着強度を有するものが好ましい。また、この接着部材は、高温時に接着強度が低下するものが好ましく、マイクロ波で発熱する成分を含むものが好ましい。このような成分としては、酸化インジウム、アルミニウム、錫、ニッケル、カーボンなどの無機材料や、ポリアニリン類、ポリピロール類などの導電性有機化合物が挙げられる。
【0148】
外側包装体8の上面部8eには、ミシン目などの易切断部8iが設けられており、易切断部8iに沿って上面部8eを切断することによって、上面部8eを第1及び第2上面部8e1,8e2に分割することができる。本実施形態では、一対の易切断部8iが設けられており、一対の易切断部8iに沿って上面部8eを切断することによって、一対の易切断部8iの間の帯状部8e3を除去することができる。第1及び第2上面部8e1、8e2は、加熱前の状態では、第2のりしろ8gに接着された状態になっている。
【0149】
図46に示すように、外側包装体8内で、底面部2は、底面部8bのほぼ全体を覆うように配置されている。周面部21は、後縁2d側に倒された状態になっている。
【0150】
加熱の際には、易切断部8iに沿って上面部8eを切断して帯状部8e3を除去し、その後に、包装袋1及び外側包装体8を電子レンジ内に配置して加熱を開始する。内容物Wから生じる蒸気によって包装袋1が膨張すると、
図48に示すように、周面部21が立ち上がって第1及び第2上面部8e1,8e2を押し上げることによって第1及び第2上面部8e1,8e2を第2のりしろ8gから剥離させる。包装袋1は、膨張の初期段階で前縁2cが浮き上がって転倒しやすいが、膨張の初期段階では、第1及び第2上面部8e1、8e2によって前縁2cの浮き上がりが抑制されているので、本実施形態の構成によれば、加熱時に包装袋1が転倒することが抑制される。
図49に示すように、包装袋1がさらに膨張すると、周面部21がさらに立ち上がり、背面部4が開いた状態になる。
【0151】
ところで、周面部21が後縁2d側に倒された状態になっている包装袋1では、加熱前には背面部4が見えないが、加熱後に伴って背面部4が展開されると、背面部4が見えるようになる。このため、絵柄を背面部4に印刷するか、又はこのような絵柄を有するシート47を背面部4に貼り付けておくことによって、周面部21の立ち上がりに伴って背面部4側に絵柄を出現させることができ、包装袋1の趣向性を高めることができる。
【0152】
また、背面部4に出現させる絵柄は、外側包装体8に表示する絵柄8jと連動させることができる。例えば、外側包装体8の絵柄8jが動物(例えば恐竜)の卵で、背面部4に出現させる絵柄がその卵から生まれる動物である場合には、加熱に伴って動物が卵から生まれるストーリーを演出することができ、趣向性が非常に高くなる。
【0153】
9.第9実施形態
第9実施形態では、
図41~
図45を用いて、補強部材27の貼り付け方法及び装置について説明する。
【0154】
補強部材27を貼り付ける包装袋1は、例えば、「1.3.包装袋の製造方法」で説明した方法で製造することができる。この方法では、
図4及び
図9~
図10に示すように、底部フィルム20aを中央線E1でV字形に折り曲げた状態で、前面部3となるフィルムと背面部4となるフィルムの間に挿入して溶着するので、底面部2には、中央線E1に起因する折り目が形成されやすい。この方法は、
図3に示す勾配部13cを形成しやすい等の利点があるものの、底面部2に折り目が存在すると補強部材27を貼り付けにくいという問題が生じやすい。本実施形態では、このような問題を解決すべく、
図41に示す保持治具44を用いて底面部2の四辺を支持した状態で補強部材27の貼り付けを行っているので、底面部2に折り目が存在する場合でも、高精度及び高効率に補強部材27の貼り付けを行うことが可能である。
【0155】
図41は、補強部材27を貼り付ける際に包装袋1を保持する保持治具44を示す。保持治具44は、第1~第4支持部44a~44dと、ベース44eと、ヒンジ44fを備える。第1支持部44aは、ヒンジ44fを中心に回動可能になっており、
図41Aに示す保持状態と
図41Bに示す解放状態の間で第1支持部44aを変位させることができる。第2~第4支持部44b~44dは、ベース44eとの間に隙間44gが設けられるようにベース44eに固定されている。
図42A~
図42Bに示すように、隙間44gに、包装袋1の底面部2を挿入可能になっている。第2及び第3支持部44b,44cは、互いに間隔を空けて平行に延びるように配置され、底面部2の一対の短辺部2lを支持可能に構成されている。第4支持部44dは、第2及び第3支持部44b,44cの間において、第2及び第3支持部44b,44cに垂直に延びるように配置される。第4支持部44dは、底面部2の長辺部2mの一方を支持可能に構成されている。底面部2の長辺部2mの他方は、
図41A及び
図43に示すように保持状態にした第1支持部44aで支持可能に構成される。短辺部2l及び長辺部2mは、それぞれ、長方形状の底面部2の外周の短辺及び長辺に隣接した部位である。
【0156】
包装袋1は、
図42Aに示すように、周面部21を後縁2d側に倒し且つ底面部2を上に向けた状態で保持治具44に保持させる。包装袋1の底面部2を保持治具44に保持させる際には、まず、
図42Aに示すように、第1支持部44aを解放状態にし、その状態で第2及び第3支持部44b,44cの端から底面部2を隙間44gに押し込んで、
図42Bに示すように、底面部2の三辺が第2~第4支持部44b~44dで支持された状態にする。次に、
図43に示すように、第1支持部44aを回動させて保持状態にする。これによって、底面部2の四辺が第1~第4支持部44a~44dで支持された状態になる。第1~第4支持部44a~44dで囲まれた開口部44hから底面部2が露出している。第1~第4支持部44a~44dと底面部2の重なり幅は、例えば、1~10mmであり、2~8mmが好ましい(本実施形態では5mm)。この値は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。開口部44hは、重なり幅の分だけ底面部2が狭められた形状になっている。
【0157】
次に、
図44Aに示すように、包装袋1を保持した状態の保持治具44を接着剤塗布装置45に設置する。接着剤塗布装置45は、接着剤45dを吐出可能なノズル45aと、ガイドレール45bと、搬送台45cを備える。搬送台45cは、ガイドレール45bに沿って移動可能に構成されている。保持治具44は、搬送台45c上に設置される。保持治具44は、例えば、クランプ機構で搬送台45cに固定可能である。
【0158】
接着剤塗布工程では、まず、保持治具44が固定された搬送台45cを
図44Bに示す第1位置に移動させ、第1位置においてノズル45aから接着剤45dを吐出させて底面部2に塗布する。本実施形態では、2つのノズル45aから、底面部2の一方の短辺部2lに隣接した2箇所に接着剤45dを塗布している。第1位置への位置決めは、不図示の位置決め機構によって行うことが好ましい。位置決め機構としては、例えば、搬送台45cが第1位置に到達したときに凹凸係合する機構が好ましい。また、この凹凸係合は、搬送台45cに所定の閾値を超える力を加えると係合解除されるものであることが好ましい。このような構成によれば、第1位置での接着剤45dの塗布が終わった後に、搬送台45cを速やかに第2位置に移動させることができる。
【0159】
次に、ガイドレール45bに沿って搬送台45cを
図44Cに示す第2位置に移動させ、第2位置においてノズル45aから接着剤45dを吐出させて底面部2に塗布する。本実施形態では、2つのノズル45aから、底面部2の他方の短辺部2lに隣接した2箇所に接着剤45dを塗布している。以上の工程では、底面部2の四隅に接着剤45dを塗布することができる。第2位置への位置決めは、不図示の位置決め機構によって行うことが好ましい。位置決め機構としては、例えば、搬送台45cが第2位置に到達したときに搬送台45cに当接してさらなる移動を妨げる機構が挙げられる。
【0160】
この後は、搬送台45cを第2位置から
図44Aに示す設置位置に移動させ、その後、保持治具44を接着剤塗布装置45から取り外す。接着剤45dがホットメルト系の接着剤のように粘度が高いものである場合には、保持治具44を第1位置から第2位置に移動させたり、第2位置から設置位置に移動させたりする際に、接着剤45dに糸引きが生じる場合がある。この糸引きによって発生した糸状の樹脂が底面部2からはみ出すと、包装袋1の外観が著しく悪化してしまう。しかし、本実施形態では、第1位置から第2位置への移動と、第2位置から設置位置への移動の両方において、ノズル45aが底面部2の長手方向の中央に向かって相対移動するので、糸引きが生じても、糸引きによって発生した糸状の樹脂が底面部2からはみ出すことが抑制される。
【0161】
なお、接着剤45dは、別の方法で塗布してもよい。例えば、底面部2の一方の長辺部2mに隣接した2箇所に接着剤45dを塗布した後に、底面部2の他方の長辺部2mに隣接した2箇所に接着剤45dを塗布するようにしてもよい。この場合、第1位置から第2位置への移動と、第2位置から設置位置への移動の両方において、ノズル45aが底面部2の短手方向の中央に向かって相対移動することとなるが、この場合でも、糸状の樹脂が底面部2からはみ出すことが抑制される。
【0162】
次に、
図45Aに示すように、接着剤45dの塗布後の底面部2上に補強部材27を重ねる。補強部材27は、開口部44hと同じ形状であるか、又は開口部44hがわずかに(例えば0.1~5mm)狭められた形状であることが好ましい。開口部44hを狭める幅は、具体的には例えば、0.1、0.5、1.0、1.5、2、3、4、5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。補強部材27は、底面部2上に塗布された接着剤45dに重なるように配置することが好ましい。
【0163】
次に、
図45Bに示すように、補強部材27上に押圧部46を配置し、押圧部46で補強部材27を底面部2に押し付ける。これによって、接着剤45dが押し広げられると共に補強部材27と底面部2の密着性が高められ、補強部材27の貼り付け工程が完了する。この工程は、接着剤45dが硬化する前に行うことが好ましい。押圧部46の形状の説明は、補強部材27の形状の説明と同様である。
【0164】
10.第10実施形態
第10実施形態では、
図50~
図52を用いて、下端溶着部13の変形例について説明する。
【0165】
図50は、第1実施形態と同様の形状の下端溶着部13を有する包装袋1を示す。
図50では、補強部材27を設けていないが、補強部材27を設けてもよい。この実施形態では、前縁2c側の勾配部13cと、後縁2d側の勾配部13cの両方において、勾配部13cの内縁13c2が、折り目31の位置において側端溶着部12に到達している。つまり、側端溶着部12において、前縁2c側と後縁2d側の勾配部13cの内縁13c2の端点13c3が一致している。このため、側端溶着部12の近傍では、前縁2c側と後縁2d側の勾配部13cの内縁13c2の間の前後方向の隙間2nが非常に狭くなっている。
【0166】
包装袋1は、
図51に示すように周面部21が後縁2d側に倒されており、加熱の際に底部フィルム20aと背面下部4aの間の空間2oに蒸気が入ることによって周面部21が立ち上がるように構成されている。しかし、補強部材27を設けない場合や内容物が固形物であったり、内容物の配置が周面部21の立ち上がりにとって好ましくない状態である場合には、空間2oに十分な蒸気が入り込まず、周面部21が立ち上がりにくくなる状況も生じうる。
【0167】
図52の実施形態は、このような課題を解決するものであり、前縁2c側と後縁2d側の少なくとも一方の勾配部13cにおいて、端点13c3は、折り目31の手前で側端溶着部12に到達している。このため、側端溶着部12の近傍では、前縁2c側と後縁2d側の勾配部13cの内縁13c2の間の前後方向の隙間2nが
図50の実施形態よりも大きくなり、隙間2nを通じて蒸気が流れて、空間2oに蒸気が入りやすくなる。このため、
図52の実施形態によれば、周面部21が立ち上がりやすくなる。
【0168】
11.第11実施形態
第11実施形態では、
図53~
図54を用いて、下端溶着部13の別の変形例について説明する。
【0169】
包装袋1は、上端溶着部19以外の溶着部を形成した直後には、
図53Aに示す状態になっており、この状態から
図53Bに示すように内容物Wを充填し、その後に、周面部21を後縁2d側に倒すことによって製造可能になっている。
【0170】
内容物Wを充填する際には、
図53Bに示すように下端溶着部13が下方を向いており、周面部21を後縁2d側に倒す際には、
図53Cに示すように、下端溶着部13が水平方向を向くように下端溶着部13を反転(つまり外側に向けて回転)させることが必要がある。この反転がスムーズに行われることが望ましいが、
図54Aに示すように、下端溶着部13の勾配部13cの内縁13c2が直線状である場合には、勾配部13cと中央部13dの内縁の交点13fが角張った形状となって、下端溶着部13が反転しにくくなる場合がある。
【0171】
図54Bの実施形態は、このような課題を解決するものであり、勾配部13cの内縁13c2が下に凸の湾曲形状になっている。このため、下端溶着部13に角張った形状が存在せず、下端溶着部13の反転をスムーズに行うことができる。また、内縁13c2は、下端溶着部13の内縁13c2の全体に渡って下に凸の湾曲形状であることが好ましい。この場合、直線上の中央部13dが存在せずに、下端溶着部13の内縁13c2の全体が勾配部13cとなる。
【0172】
下端溶着部13の内縁13c2の左右方向の長さをL1とし、直線状の中央部13dの左右方向の長さをL2とすると、L2/L1は、例えば0~0.5であり、0~0.4がさらに好ましい。
図54Aの形態では、L2/L1は、約0.6であり、L2/L1が大きいほど勾配部13cの勾配が急になりやすく、下端溶着部13を反転させにくくなる。
図54Bの形態では、中央部13dが存在しないので、L2/L1=0である。L2/L1の値は、具体的には例えば、0.0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0173】
また、
図54Aの形態では、勾配部13cの外縁13c4が内縁13c2に平行になっており、かつエアポケット14が角張った頂点を有する三角形状になっていたが、このような形状も下端溶着部13の反転を妨げやすい。このため、
図54Bに示すように、下端溶着部13には、勾配部13cの内縁13c2に平行な外縁を設けないことが好ましく、エアポケット14は、包装袋1の下端側が湾曲した形状になっている好ましい。エアポケット14は、包装袋1の下端側が円弧状であることがさらに好ましい。また、エアポケット14は、角張った頂点を有しない形状であることが好ましく、円形、楕円形、又は長円形であることがさらに好ましい。包装袋1の左端及び右端のそれぞれに隣接した位置に、複数のエアポケット14を設けることが好ましい。
【実施例0174】
1.加熱試験
1-1.包装袋の製造方法
第1実施形態に示す方法に従って、
図1~
図3に示す形状の包装袋1を製造した。
図3中の寸法H1~H4は、それぞれ、95mm、75mm、45mm、200mm、とした。補強部材27は、底面部2と同じ形状で厚さ0.68mmの紙で構成し、底面部2に両面テープで貼り付けた。
【0175】
1-2.水の加熱試験
包装袋1内に5℃の水を200ml収容して密封した後、電子レンジを用いて500Wで加熱し、沸騰する前の時間を計測した。包装袋1を常時立たせた状態で加熱したもの(「縦置き」)、包装袋1を常時寝かせた状態で加熱したもの(「横置き」)、包装袋1の底面部2を接地させ且つ周面部21を寝かせた状態で加熱を開始し、包装袋1の膨張に伴って周面部21が直立するようにしたもの(「Rise」)のそれぞれで時間を計測した。また、「横置き」のものについては、電子レンジ庫内のプレートの上に包装袋1をそのまま配置したもの(「通常」)と、プレート上に設けた高さ60mmの台座の上に包装袋1を配置したもの(「60mm上方」)の両方で加熱時間の計測を行った。その結果を表1に示す。
【0176】
表1に示すように、「通常」配置の場合、「縦置き」は、「横置き」及び「Rise」よりも沸騰するまでの加熱時間がはるかに長かった。この結果は、「縦置き」は、「横置き」及び「Rise」に比べて加熱効率が劣っていることを示している。また、「60mm上方」は、「通常」よりも、沸騰するまでの加熱時間がはるかに長かった。この結果は、電子レンジは、プレート付近の加熱効率が特に優れていることを示している。
【0177】
【0178】
1-3.食品の加熱試験
次に、包装袋1内にハンバーグ(180g)又はチャーハン(130g)を収容し、表2に示す保管温度で保管した後に、電子レンジを用いて500Wで表2に示す加熱時間で加熱した。蒸気抜きシール部11から蒸気が抜ける(「脱蒸」)までの時間を計測した。また、加熱完了後に、サーモグラフィーを用いて表2に示す部位の温度を計測した。「表面(高)」は、食品表面において温度が最高の部位の温度を示す。「表面(低)」は、食品表面において温度が最低の部位の温度を示す。「内部(低)」は、ハンバーグを2分割したときの断面において、温度が最低の部位の温度を示す。「温度ムラ」は、測定温度のうちの最高温度と最低温度の差を示す。
【0179】
表2に示すように、「縦置き」は、「横置き」及び「Rise」よりも脱蒸までの時間がはるかに長かった。この結果は、「縦置き」は、「横置き」及び「Rise」に比べて加熱効率が劣っていることを示している。また、「横置き」と「Rise」は、脱蒸までの時間が同等であり、「Rise」は、「横置き」よりも温度ムラが小さかった。この結果により、「Rise」によれば、加熱効率を低下させることなく、温度ムラを低減できることが分かった。
【0180】
【0181】
2.立ち上がり試験
2-1.包装袋1の製造方法
<試験例1~3>
第1実施形態に示す方法に従って、
図1~
図3に示す形状の、合掌部10を有する包装袋1を製造した。
図1中のX,Y,Z方向での溶着部の内部寸法をそれぞれ、包装袋1の縦寸法a、横寸法b、高さ寸法cとし、これらの寸法が表3に示す値である試験例1~3の包装袋1を製造した。
【0182】
<試験例4~6>
図1~
図3に示す形状の包装袋1の開封部24よりも上側の構造を
図22Cに示す構造に変更した包装袋1を製造した。この包装袋1の寸法は、表3に示す通りとした。この包装袋1は、合掌部10を備えず、前面部3と背面部4の間に側端溶着部12及び上端溶着部19を備え、側端溶着部12に蒸気抜きシール部11を備える。
【0183】
【0184】
2-2.立ち上がり試験の詳細
各試験例の包装袋1内に水を200ml収容し、
図8Aに示すように周面部21を寝かせた状態で電子レンジ内に設置し、500Wで袋が膨らんで蒸気が抜け始めるまで加熱したときに周面部21が立ち上がるかどうかを調べた。立ち上がり試験は、底面部2に補強部材27を取り付けていない状態で行った。
【0185】
各試験例について、サンプルを10個ずつ作成し、10個のサンプルのそれぞれが立ち上がるかどうかに基づいて以下の基準で評価した。
○:10個のサンプルの全てで周面部21が立ち上がった。
△:1~9個のサンプルで周面部21が立ち上がった。
×:全てのサンプルで周面部21が立ち上がらなかった。
【0186】
表3に示すように、合掌部10を有する包装袋1では、{縦寸法[a]/高さ寸法[c]}によって算出される値V1が0.82以上であることが好ましいことが分かった。この値V1は、例えば、0.82~1.50であり、具体的には例えば、0.82、0.85、0.90、0.91、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.30、1.40、1.50であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。
【0187】
表3に示すように、合掌部10を有しない包装袋1では、値V1が0.55以上であることが好ましいことが分かった。この値V1は、例えば、0.55~1.50であり、具体的には例えば、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.30、1.40、1.50であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。
【0188】
合掌部10の有無で値V1の好ましい下限値が異なるのは、以下の理由による。合掌部10がある場合は、合掌部10がある部位が膨張しにくいために、包装袋1の膨張開始初期段階で包装袋1の底面部2が選択的に膨張して浮き上がりやすくなるのに対し、合掌部10がない場合は、包装袋1の上部も膨張するので、包装袋1の全体が均一に膨らんで底面部2が浮き上がることが抑制されるためである。このため、合掌部10を有する包装袋1では、立ち上がり性を良好にするためには、合掌部10を有しない包装袋1に比べて、縦寸法[a]を大きくするか、高さ寸法[c]を小さくすることが必要であり、値V1の好ましい下限値が大きくなる。
【0189】
また、合掌部10の有無に関わらず、周面部21が立ち上がった後の安定性を考慮すると、横寸法[b]/高さ寸法[c]}によって算出される値V2が1.0以上であることが好ましい。この値V2は、例えば1.0~2.5であり、具体的には例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。
【0190】
3.固形分を収容した包装袋1の立ち上がり試験
3-1.包装袋1の製造方法
<試験例7~9>
第1実施形態に示す方法に従って、
図1~
図3に示す形状の、合掌部10を有する包装袋1を製造した。
図1中のX,Y,Z方向での溶着部の内部寸法をそれぞれ、包装袋1の縦寸法a、横寸法b、高さ寸法cとし、これらの寸法が表4に示す値である試験例7~9の包装袋1を製造した。試験例8の包装袋1内に水を満注して容量を測定すると、約800mLであった。
【0191】
【0192】
3-2.立ち上がり試験の詳細
各試験例の包装袋1内に縦8cm、横10cm、厚さ3.5cmのハンバーグ(135g)とソース(55g)を収容し、「2-2.立ち上がり試験の詳細」と同様の試験を行って、同様の基準で評価した。立ち上がり試験は、底面部2に補強部材27を取り付けていない状態で行った。その結果を表4に示す。
【0193】
表4に示すように、{縦寸法[a]/高さ寸法[c]}によって算出される値V1は、1.15以上が好ましく、1.25以上がさらに好ましいことが分かった。この値V1は、例えば、1.15~2.00であり、具体的には例えば、具体的には例えば、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0194】
試験例1~3と7~9を比較すると、内容物に固形分が含まれている場合には周面部21が立ち上がりにくくなるので、試験例7~9では、V1の好ましい下限値が、試験例1~3よりも大きくなった。
【0195】
試験例7~9では、内容量に対する内容物の割合は、約24質量%であり、内容物全体に対する固形分の割合が約71質量%であった。内容量に対する内容物の割合は、例えば、10~50質量%であり、15~40質量%が好ましい。この割合は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。内容物全体に対する固形分の割合は、例えば、50~100質量%であり、60~80質量%が好ましい。この割合は、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。内容物に含まれる固形分は、1つであっても、複数の部位に分割されていてもよい。固形分が複数の部位に分割されている場合、複数の部位のうちの最大のものの割合が、内容物全体に対して、上記の固形分の割合となるようにすることが好ましい。
【0196】
なお、上記試験例1~9は、何れも、底面部2に補強部材27を貼り付けることなく行ったものであり、補強部材27がない場合の立ち上がり性を評価した。一方、試験例1~9の包装袋1の底面部2に厚さ0.68mmの紙の補強部材27を貼り付けて立ち上がり試験を行ったところ、評価結果は、何れも○となった。