(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079604
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】放送ラジオ受信機、および、放送ラジオ受信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20240604BHJP
H04H 60/46 20080101ALI20240604BHJP
【FI】
H04B1/16 R
H04H60/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190885
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】10 2022 131 688.2
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ディックス
【テーマコード(参考)】
5K061
【Fターム(参考)】
5K061BB01
5K061CC45
5K061FF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザによって選択された異なるサービス間の迅速な切り替えを可能とするための要望に応える放送ラジオ受信機および放送ラジオ受信方法を提供する。
【解決手段】オーディオシステム100は、ユーザ1からの入力を受信するためのインタフェース2、コントローラ3及びコントローラ3によって制御されるチューナ5、6を含み、アンテナ4から入力を受信し、コントローラ3の制御下でセレクタ7に接続され、セレクタ7は、現在のオーディオストリームを再生のためにスピーカ8に転送する。オーディオシステム100はまた、コントローラ3に接続され、現在選択されているサービスに関する情報を受信し、ユーザ1が次に選択するであろうサービスに関する予測を提供する予測器101を含む。予測器101には、ユーザ1によって次に選択されたサービスに関する情報を利用して予測の基盤を更新する学習フレームワーク102が設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送ラジオ受信機であって、
それぞれが、互いに独立して、ラジオサービスからサービス信号を取得し、再生のためのオーディオデータを提供する第1および第2のチューナと、
前記第1および前記第2のチューナを制御するコントローラと、
ラジオサービスの選択に関して、ユーザからの入力を受信するインタフェースと、
を備え、
前記コントローラは、前記ユーザによる前記ラジオサービスの前記選択に応じて、前記第1および前記第2のチューナのうちの一方を、前記選択されたラジオサービスからの前記サービス信号を取得し、再生のための前記オーディオデータを提供するように制御するように構成され、
前記放送ラジオ受信機は更に、前記選択されたラジオサービスに基づいて、次のラジオサービス予測する予測器を備え、前記予測は、前の連続した選択に関する情報に基づき、
前記コントローラは、前記第1および前記第2のチューナのうちの他方を、前記予測器によって予測された前記次のラジオサービスから前記サービス信号を取得するように制御するように構成され、
前記インタフェースによって、ラジオサービスの後続の選択を受信することに応じて、前記コントローラは、
前記後続の選択が前記予測に対応する場合、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記一方による再生のためのオーディオデータの前記提供を停止し、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記他方を、再生のための予測されたラジオサービスの前記オーディオデータを提供するように制御するように構成され、
前記後続の選択が前記予測に対応しない場合、前記第1および前記第2のチューナのいずれかを、前記後続の選択によって示された前記ラジオサービスから前記サービス信号を取得し、再生のための前記オーディオデータを提供するように制御するように構成され、
前記予測器は、前記ラジオサービスの前記後続の選択に応じて、前の連続した選択に関する前記情報を更新するように構成される、放送ラジオ受信機。
【請求項2】
放送ラジオ受信機であって、
ラジオサービスからサービス信号を受信し、再生のためのオーディオデータを提供する少なくとも1つのチューナと、
ラジオサービスの選択に関して、ユーザからの入力を受信するインタフェースと、
前記選択されたラジオサービスに基づいて、次のラジオサービスを予測する予測器であって、前記予測は、前の連続した選択に関する情報に基づく、予測器と、
を備え、
前記選択されたラジオサービスに対する信号損失の場合、前記予測された次のラジオサービスは、前記ユーザに示され、または、前記少なくとも1つのチューナが前記予測された次のラジオサービスに設定され、
前記予測器は、前記インタフェースを介した前記ユーザによる前記ラジオサービスの後続の選択に応じて、前の連続した選択に関する前記情報を更新するように構成される、放送ラジオ受信機。
【請求項3】
前記予測器は、強化学習によって前の連続した選択に関する前記情報を更新するように構成される、請求項1または2に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項4】
前の連続した選択に関する前記情報は、一連のサービスのそれぞれに対する、前記一連のサービスのうちの他のサービスの後続の選択への可能性を示すテーブルの形式にて提供される、または、当該テーブルを含む、請求項1に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項5】
前の連続した選択に関する前記情報は、一連のサービスのそれぞれに対する、前記一連のサービスのうちの他のサービスの後続の選択への可能性を示すニューラルネットワークに特に基づく学習済みモデルによって提供される、または、当該学習済みモデルを含む、請求項1または2に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項6】
前記予測器は、前記選択されたラジオサービスおよび所定数の前の選択されたラジオサービスに基づいて、前記次のラジオサービスを予測するように構成される、請求項1または2に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項7】
前記放送ラジオ受信機の現在位置データを取得するロケータを更に有し、
前記予測器は、前記選択されたラジオサービスおよび前記現在位置データに基づいて、前記次のラジオサービスを予測するように構成される、請求項1または2に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項8】
前記予測器は、前記選択されたラジオサービス、前記現在位置データ、および、前記現在位置データの前の位置データに基づいて、前記次のラジオサービスを予測するように構成される、請求項7に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項9】
現在時刻を示すタイマーを更に有し、
前記予測器は、前記選択されたラジオサービスおよび前記現在時刻に基づいて、前記次のラジオサービスを予測するように構成される、請求項1または2に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項10】
前記コントローラは、前記ユーザからの前記ラジオサービスの前記選択から所定の間隔の後に、前記予測器によって予測された前記次のラジオサービスから前記サービス信号を取得することから前記第1および前記第2のチューナのうちの前記他方を解放するように構成される、請求項1に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項11】
前記コントローラは、所定の条件に応じて、前記予測器によって予測された前記次のラジオサービスから前記サービス信号を取得することから前記第1および前記第2のチューナのうちの前記他方を解放するように構成され、
前記コントローラは、当該解放の後、所定のトリガー条件、特に、前記放送ラジオ受信機が提供される車両の停止が検出された場合、および/または、前記選択されたラジオサービスの受信品質が所定の閾値を下回った場合に応じて、前記予測器によって予測された前記次のラジオサービスから前記サービス信号を取得するように、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記他方を再度制御するように構成される、請求項1に記載の放送ラジオ受信機。
【請求項12】
請求項1または2に記載の放送ラジオ受信機と、
前記第1または前記第2のチューナによって再生のための提供されたオーディオデータを再生するラウドスピーカと、
を備えるオーディオシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の前記オーディオシステムを備える車両。
【請求項14】
放送ラジオ受信方法であって、
ラジオサービスの選択として、ユーザからの入力を受信することと、
前記ユーザによる前記ラジオサービスの前記選択に応じて、第1および第2のチューナのうちの一方を、前記選択されたラジオサービスからのサービス信号を取得し、再生のためのオーディオデータを提供するように制御することであって、前記第1および前記第2のチューナは、それぞれが、互いに独立して、ラジオサービスからのサービス信号を取得し、再生のためのオーディオデータを提供するように構成される、ことと、
前記選択されたラジオサービスに基づいて、次のラジオサービスを予測することであって、前記予測は、前の連続した選択に関する情報に基づく、ことと、
前記第1および前記第2のチューナのうちの他方を、前記予測する工程によって予測された前記次のラジオサービスから前記サービス信号を取得するように制御することと、
ラジオサービスの後続の選択に関して、前記ユーザからの入力を更に受信することと、
を有し、
前記後続の選択が前記予測に対応する場合、前記方法は更に、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記一方による再生のためのオーディオデータの前記提供を停止することと、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記他方を、再生のための予測されたラジオサービスの前記オーディオデータを提供するように制御することと、を有し、
前記後続の選択が前記予測に対応しない場合、前記方法は更に、前記第1および前記第2のチューナのいずれかを、前記後続の選択によって示された前記ラジオサービスから前記サービス信号を取得し、再生のための前記オーディオデータを提供するように制御することを有し、
前記方法は更に、前記ラジオサービスの前記後続の選択に応じて、前の連続した選択に関する前記情報を更新することを有する、放送ラジオ受信方法。
【請求項15】
放送ラジオ受信方法であって、
ラジオサービスからサービス信号を取得することと、
再生のためのオーディオデータを提供することと、
ラジオサービスの選択に関して、ユーザからの入力を受信することと、
前記選択されたラジオサービスに基づいて、次のラジオサービスを予測することであって、前記予測は、前の連続した選択に関する情報に基づく、ことと、
を有し、
前記方法は更に、前記選択されたラジオサービスに対する信号損失の場合、前記予測された次のラジオサービスを前記ユーザに示すこと、または、前記予測された次のラジオサービスに、サービス信号を取得することを変更すること、を有し、
前記方法は更に、インタフェースを介した前記ユーザによる前記ラジオサービスの後続の選択に応じて、前の連続した選択に関する前記情報を更新することを有する、放送ラジオ受信方法。
【請求項16】
コンピュータプログラムが放送ラジオ受信機上で実行された際に、請求項1または2に記載の放送ラジオ受信機に、請求項14または15に記載の方法の工程を実行させるためのコンピュータプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラムを格納する不揮発性メモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによって選択された異なるサービス間の迅速な切り替えを可能とする要求、および/または、受信損失時の利便性のあるアプローチに対する要求に応える放送ラジオ受信機および放送ラジオ受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送ラジオシステムは、異なる局にチューニングするには常に一定の時間が必要となる。これは、あらゆる種類の放送ラジオ規格に当てはまるが、特にデジタルラジオ規格は、デジタル復調(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)など)やオーディオデコーディング(HE-AAC(High-Efficiency Advanced Audio Coding)など)に対する複雑な処理により影響を受ける。局を変更する場合、受信機が対応するオーディオストリームをデコードできるようになるまでに、十分な情報を収集するのに時間がかかる。
【0003】
DAB(Digital Audio Broadcasting)やDRM(Digital Radio Mondiale)のようなデジタル放送規格により、周波数チャネルで多数のオーディオサービスやデータサービスを伝送できる。特に、異なる周波数の放送局を選択する場合、チューナは新しい周波数にチューニングし、その後、チャネル全体のサービス情報を収集する必要があるため、さらに時間がかかる。信号が弱い状況に対処する場合、サービス情報の一部が失われ、後で再収集される可能性があるため、この時間がさらに長くなる可能性がある。DABシステムの再調整には通常1~1.5秒を要するが、信号が弱い場合には、これは最大5秒かかる場合がある。DRMを使用するとさらに悪くなり、受信が良好であっても、通常のチューニング動作ではオーディオが利用可能になるまでに4秒かかる。受信が悪い場合、これは3秒以上に延長される可能性がある。
【0004】
エンドユーザの観点からすると、これは不便である、もしくは、受け入れられない可能性さえある。
【0005】
受信システムにおける既知のアプローチは、マルチチューナシステムにおける複数のチューナの提供を利用する。このようなマルチチューナシステムでは、通常、1つのチューナが現在選択されている局を聴くために使用され、残りのチューナは局リストを最新の状態に保ち、データサービスを監視し、および/または、サービスリンクを準備したりするために使用される。これらの追加のチューナは、チューニング時間を短縮して局(または、サービス)の選択のためにはまだ使用されていない。
【0006】
図1は、2つのチューナを有する従来の放送ラジオ受信機システム10を示す概略図を示す。ユーザ1は、HMI(Human Machine Interface)2(例えば、GUI(Graphical User Interface))を操作して、ラジオ局を選択する。インタフェース2は、登録されたユーザインタラクションをコントローラ3に送信し、コントローラ3はそれを、適切な局選択のためにアナログ(例えば、AM/FM)またはデジタル(例えば、DAB/DRM)チューナ5、6にディスパッチされる一連のコマンドに変換する。チューナ5、6は、アンテナ4からRF信号を受信し、それをベースバンド信号に復調し、デジタルラジオの場合はそれをデコードして、別個のオーディオデータストリームを生成する。セレクタ7は、これらのオーディオストリームのうちの1つを選択し、それをアナログオーディオ信号に変換し、再生のためにラウドスピーカ8に送信する。このシナリオでは、局の予測は行われず、チューニング時間はラジオ規格と現在の受信状態によって決定される。
【0007】
複数のチューナを使用すると、これらの残りのチューナのうちの1つまたは複数を使用して次の局の選択に備えることで、チューニング時間を短縮できる可能性がある。
【0008】
図2は、予測を使用するが学習能力を持たない放送ラジオ受信機システム20を示す概略図を示す。
図2の放送ラジオ受信機システム20は、
図1のシステムにほぼ対応しており、さらに、予測器9が設けられている。予測器9は、どの局が現在選択されているか、すなわちユーザ1がどの局を聴いているかに関する情報を受信する。予測器9は、この情報および単純な内部モデルを使用して、準備および選択されるべき次の局を予測する。このモデルは、例えば、ユーザが局のプリセットのリストや利用可能な局のリストを上から下に調べる傾向があるという単純な前提に基づいている可能性がある。別の使用例は、ラジオのシーク機能である。シークアップボタンが押された場合、システムは物理的または論理的な順序(周波数順など)で次の局を選択し、シークダウンボタンが押された場合、前の局へのアクセスを行う。特にこの場合、ユーザがシーク方向を変更しない限り、次に選択する局を予測するのは容易である。ただし、動的な調整を行わないと、ユーザが行動を変えると予測は失敗しうる。
【0009】
局が数多く存在し、利用可能なチューナの数は限られているため、より複雑なユーザの行動下でのチューニングの遅延を効果的に回避するためには、次にどの局が選択されるかをより高度に予測する必要がある。そのような予測が成功した場合、つまり、補助のチューナがすでに選択した予測された局をユーザが実際に選択した場合、ラジオシステムは再度チューニングする必要はなく、対応するオーディオソースに切り替えるだけで、時間を節約できる。
【0010】
したがって、予測器、つまり予測を提供するユニットは、成功の可能性を高めるために、学習してエンドユーザの行動に合わせて調整できることが好ましい。機械学習の特別な分野である強化学習の方法は、新しい局の選択のたびに、予測が良かったか悪かったかについてのフィードバックがあるため、このような自己学習予測器を実装する適切な方法を提供する。このフィードバックは、予測器を調整するためにすぐに使用できる。
【0011】
直接関連しない技術分野において、チャネルまたはサービスの切り替えを容易にするための情報のプリフェッチの例が、特許文献1で提案されており、データソースへのアクセスを迅速に提供できるように準備することを目的としている。特許文献1は、ビデオオンデマンドおよびライブコンテンツのためのインターネットビデオストリーミングマネジメントについて述べている。ユーザのサービスの好みが予測され、ユーザが選択する可能性が最も高いサービスからのデータがプリフェッチされる。
【0012】
上記に加えて、DABから知られるサービスリンキングの拡張が望まれる場合もありうる。サービスの受信が失われた場合、ユーザがラジオを聞くのをやめたくない場合を除き、別のサービスを選択する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0099752号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の基礎となる目的は、特にチューナリソースが限られているという観点から、ラジオ放送受信の内容に合わせたサービス切り替えに伴う遅延を低減または回避するアプローチを提供することである。本発明の基礎となる別の目的は、現在のサービスが失われ、従来知られているサービスリンクキングなどが利用できない場合に、新しいサービスの便利な選択を可能にするアプローチを提供することである。
【0015】
したがって、追加の(補助)チューナ(現在、再生のためのオーディオデータを提供している(メイン)チューナに加えて)を利用する放送ラジオ受信機が望まれており、追加のチューナは、ユーザによって次に選択すると予測されるサービスにチューニングされる。受信損失に対処する観点の場合、これは、更なるチューナが提供されない態様にも適用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載の放送ラジオ受信機が提案され、特に、放送ラジオ受信機であって、それぞれが、互いに独立して、ラジオサービスからサービス信号を取得し、再生のためのオーディオデータを提供する第1および第2のチューナと、前記第1および前記第2のチューナを制御するコントローラと、ラジオサービスの選択に関して、ユーザからの入力を受信するインタフェースと、を備え、前記コントローラは、前記ユーザによる前記ラジオサービスの前記選択に応じて、前記第1および前記第2のチューナのうちの一方を、前記選択されたラジオサービスからの前記サービス信号を取得し、再生のための前記オーディオデータを提供するように制御するように構成され、前記放送ラジオ受信機は更に、前記選択されたラジオサービスに基づいて、次のラジオサービス予測する予測器を備え、前記予測は、前の連続した選択に関する情報に基づき、前記コントローラは、前記第1および前記第2のチューナのうちの他方を、前記予測器によって予測された前記次のラジオサービスから前記サービス信号を取得するように制御するように構成され、前記インタフェースによって、ラジオサービスの後続の選択を受信することに応じて、前記コントローラは、前記後続の選択が前記予測に対応する場合、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記一方による再生のためのオーディオデータの前記提供を停止し、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記他方を、再生のための予測されたラジオサービスの前記オーディオデータを提供するように制御するように構成され、前記後続の選択が前記予測に対応しない場合、前記第1および前記第2のチューナのいずれかを、前記後続の選択によって示された前記ラジオサービスから前記サービス信号を取得し、再生のための前記オーディオデータを提供するように制御するように構成され、前記予測器は、前記ラジオサービスの前記後続の選択に応じて、前の連続した選択に関する前記情報を更新するように構成される。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、請求項14に記載の放送ラジオ受信方法が提案され、特に、放送ラジオ受信方法であって、ラジオサービスの選択として、ユーザからの入力を受信することと、前記ユーザによる前記ラジオサービスの前記選択に応じて、第1および第2のチューナのうちの一方を、前記選択されたラジオサービスからのサービス信号を取得し、再生のためのオーディオデータを提供するように制御することであって、前記第1および前記第2のチューナは、それぞれが、互いに独立して、ラジオサービスからのサービス信号を取得し、再生のためのオーディオデータを提供するように構成される、ことと、前記選択されたラジオサービスに基づいて、次のラジオサービスを予測することであって、前記予測は、前の連続した選択に関する情報に基づく、ことと、前記第1および前記第2のチューナのうちの他方を、前記予測する工程によって予測された前記次のラジオサービスから前記サービス信号を取得するように制御することと、ラジオサービスの後続の選択に関して、前記ユーザからの入力を更に受信することと、を有し、前記後続の選択が前記予測に対応する場合、前記方法は更に、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記一方による再生のためのオーディオデータの前記提供を停止することと、前記第1および前記第2のチューナのうちの前記他方を、再生のための予測されたラジオサービスの前記オーディオデータを提供するように制御することと、を有し、前記後続の選択が前記予測に対応しない場合、前記方法は更に、前記第1および前記第2のチューナのいずれかを、前記後続の選択によって示された前記ラジオサービスから前記サービス信号を取得し、再生のための前記オーディオデータを提供するように制御することを有し、前記方法は更に、前記ラジオサービスの前記後続の選択に応じて、前の連続した選択に関する前記情報を更新することを有する。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、請求項2に記載の放送ラジオ受信機が提案され、特に、放送ラジオ受信機であって、ラジオサービスからサービス信号を受信し、再生のためのオーディオデータを提供する少なくとも1つのチューナと、ラジオサービスの選択に関して、ユーザからの入力を受信するインタフェースと、前記選択されたラジオサービスに基づいて、次のラジオサービスを予測する予測器であって、前記予測は、前の連続した選択に関する情報に基づく、予測器と、を備え、前記選択されたラジオサービスに対する信号損失の場合、前記予測された次のラジオサービスは、前記ユーザに示され、または、前記少なくとも1つのチューナが前記予測された次のラジオサービスに設定され、前記予測器は、前記インタフェースを介した前記ユーザによる前記ラジオサービスの後続の選択に応じて、前の連続した選択に関する前記情報を更新するように構成される。
【0019】
本発明の第4の態様によれば、請求項15に記載の放送ラジオ受信方法が提案され、特に、放送ラジオ受信方法であって、ラジオサービスからサービス信号を取得することと、再生のためのオーディオデータを提供することと、ラジオサービスの選択に関して、ユーザからの入力を受信することと、前記選択されたラジオサービスに基づいて、次のラジオサービスを予測することであって、前記予測は、前の連続した選択に関する情報に基づく、ことと、を有し、前記方法は更に、前記選択されたラジオサービスに対する信号損失の場合、前記予測された次のラジオサービスを前記ユーザに示すこと、または、前記予測された次のラジオサービスに、サービス信号を取得することを変更すること、を有し、前記方法は更に、インタフェースを介した前記ユーザによる前記ラジオサービスの後続の選択に応じて、前の連続した選択に関する前記情報を更新することを有する。
【0020】
予測器は様々な方法で提供されてよい。一実施形態では、予測器(および、これに関して放送ラジオ受信機も)は、予測器自体がそれ自体で予測を実行するように構成されているという意味で、内蔵型で提供されてよい。別の実施形態では、予測器は、サーバなど(例えば、クラウドサービス)との通信を可能にする通信インタフェースを含んでもよく、予測器は、サーバに情報を転送し、それに応答して予測データを受信するように構成される。そのような通信インタフェースは、例えば放送ラジオ受信機が設けられた車両に設けられた通信機器を利用してもよい。更なる実施形態では、予測器は、ユーザのスマートフォン(または、同様のデバイス)との通信を可能にする近距離通信インタフェースを含んでもよく(または、車両の対応するインタフェースに接続してもよい)、特に、予測の計算の態様は、スマートフォンによって実行されてよい。これらの実施形態は、組み合わされてよく、例えば、予測器は、接続が不可能な場合に計算上の制約に沿って予測を実行するように構成されてもよく、利用可能な場合はサーバおよび/またはスマートフォン(または、同様のもの)に接続して、サーバおよび/またはスマートフォンにより、より要求の厳しい計算タスクを実行するようにしてもよい。スマートフォンとのインタフェースにより、放送ラジオ受信機自体のインタフェースに加えて、および、その代替として、ユーザは予測器の設定を変更してもよい。
【0021】
本発明の一態様の有利な実施形態では、予測器は、強化学習によって前の連続した選択に関する情報を更新するように構成される。強化学習による更新により、将来の予測を修正することが可能になる。正しい予測は、そのような予測を導く構成または設定を確認(および強化)し、かつ、不正確な予測は、さらなる予測の改善を可能にする、負の修正を導く。
【0022】
本発明の一態様の更に有利な実施形態では、前の一連の選択に関する情報は、一連のサービスのそれぞれに対し、一連のサービスのうちの別のサービスのその後の選択の可能性を示すテーブルの形式で提供される、または、そのようなテーブルを含む。予測の基盤となる情報をテーブルの形式で提供することにより、特に機械学習に必要な計算リソースと比較して、予測器の構造を比較的単純にすることができる。
【0023】
本発明の一態様の更に有利な実施形態では、前の一連の選択に関する情報は、特に、一連のサービスのそれぞれについて、一連のサービスのうちの別のサービスのその後の選択の可能性を示すニューラルネットワークに基づく学習済みモデルによって提供される、または、そのような学習済みモデルを含む。機械学習の提供により、上記のテーブルアプローチと比較してより多くの計算リソースが必要になる可能性があるが、予測で考慮される要素の数によっては、テーブルのサイズが増加し、テーブルからのより単純な計算結果は、テーブルに必要なデータサイズによって相殺される可能性がある。言い換えると、要素の数がより多いということは、学習済みモデルが、過度に大きなテーブルよりも低い要求である可能性があることを意味する場合がある。
【0024】
本発明の一態様の更に有利な実施形態では、予測器は、選択されたラジオサービスおよび前に選択された所定数のラジオサービスに基づいて、次のラジオサービスを予測するように構成される。現在選択されているラジオサービスのみに基づいて予測するのではなく、予測は、選択されたラジオサービスの前のシーケンスを入力として使用することができ、例えば、ユーザがサービスA、B、およびC、および、サービスD、B、およびEをそれぞれ順に選択した場合をより適切に区別することが可能になる。現在選択されているサービスがBであると仮定すると、前のシーケンスを考慮することで(ここでは、AまたはDの前の選択を考慮に入れる)、ユーザが次にCとEのどちらを選択する可能性が高いかを予測することが可能となる。
【0025】
本発明の一態様の更に有利な実施形態では、放送ラジオ受信機は、放送ラジオ受信機の現在位置データを取得するように構成されたロケータを更に備え、予測器は、選択されたラジオサービスおよび現在の位置データに基づいて次のラジオサービスを予測するように構成される。予測は、放送ラジオ受信機(すなわち、ユーザ)の物理的な位置が考慮されてよく、これはサービスの次の選択に影響を与えうる。
【0026】
本発明の一態様の更に有利な実施形態では、放送ラジオ受信機は、現在時刻を示すように構成されたタイマーをさらに備え、予測器は、選択されたラジオサービスと現在時刻に基づいて次のラジオサービスを予測するように構成される。上記と同様に、位置に加えて、またはその代わりに、時刻(例えば、おおよその正確な時刻、または、朝、正午、午後、夕方、夜などのより大まかな時刻)も、ユーザに次のサービスの選択に影響を与える可能性があり、予測にそのような情報を考慮することは有益である。
【0027】
予測のために現在位置を使用する上記の実施形態の好ましい変形例では(時刻を使用する上記の態様と組み合わせてもよい)、予測器は、選択されたラジオサービス、現在の位置データ、および、現在の位置データの前の位置データに基づいて次のラジオサービスを予測するように構成される。予測器が、それぞれ選択されたサービスに関連して、以前にたどったルートのリストを維持する場合(すなわち、時間の経過に伴う位置の変化を考慮し、最も定期的にたどるルートの所定数に限定される可能性がある)、少なくとも定期的に利用するルート(特に、同じような時間帯)では、ユーザは予測可能なシーケンスに反映された習慣に従っている可能性が高いため、予測結果がさらに改善される可能性がある。ロケータは、多数の(以前に通過した)ルートに関する情報を格納するように構成することができ、それぞれのルートIDがそのようなルートに割り当てられる。ロケータはさらに、現在のルートを保存されたルートと比較するように構成され、現在のルートがこれらのルートのいずれかに一致する場合、それぞれのIDが予測の入力として予測器に提供されてよい。現在のルートと保存されたルートに基づいて、ロケータによって逸脱(つまり、新しいルート)があることが判明した場合、異なる(新しい)IDが提供されるか、前に割り当てられたIDが再割り当てされてよい。特に、最も頻繁に(または、定期的に)使用されるルートが確実に考慮されるようにすることを目的として、当業者が精通している既知のアプローチをルートに関する情報の管理に使用することに用いられてよく、このような点は、時間の経過に伴って変化が生じ得る。同様に、そのようなルートが別個のものとして識別される前に、ルート間の小さな逸脱(例えば、道路の迂回の場合)を許容するための閾値が設けられてもよい。
【0028】
本発明の一態様の更に有利な実施形態では、コントローラは、ユーザからのラジオサービスの選択から所定の間隔が経過した後、予測器によって予測された次のラジオサービスからの信号を取得することから第1および第2のチューナの他方を解放するように構成される。より効率的なリソースの使用を可能にするために、予測された局の選択が利用できる(行われる)時間窓が制限されることが想定される。例えば、デュアルチューナシステムでは、ユーザが最初に局を選択してから最大10秒以内に、予測された局の選択に代替チューナが使用される場合がある。この時間が経過すると、ユーザはもう局を変更しないと想定され、代替チューナは、局リストの更新やサービスのフォローなどの他の目的に使用できる。前述の制限時間は、ユーザが前の選択後に別のサービスに切り替えるのにかかる時間が長くなる(または、短くなる)傾向があるかどうかを検出されてよいという意味で、ユーザの行動に基づいて調整されてよく、この制限時間は、サービスごとに個別に設定(および、調整)されてよい。
【0029】
本発明の一態様の更に有利な実施形態では、コントローラは、所定の条件に応じて、第1および第2のチューナの他方を、予測器によって予測された次のラジオサービスからのサービス信号を取得することから解放するように構成され、コントローラは更に、当該解放の後、所定のトリガー条件、特に、放送ラジオ受信機が設けられている車両の停止が検出された場合、および/または、選択されたラジオサービスの受信品質が所定の閾値を下回った場合に応じて、予測器によって予測された次のラジオサービスからサービス信号を取得するために、第1および第2のチューナの他方を再び制御するように構成される。例えば、上述したように、任意の制限時間の後、予測されたサービスデータを取得しているチューナが解放され、他の目的に使用される場合、予め定義されたケースでは、予測が「復元(re-instated)」され、追加のチューナは予測されたサービスデータを再度取得する。チューニングの予測を積極的に続行する好機は、車両が停止している場合(例えば、ユーザがラジオ放送に簡単に注意を向けることができる信号待ちなど)や、現在の受信品質が低下しており、サービスリンキングに対する代替(DAB)が利用できない場合などであってよい。
【0030】
本発明の一態様の更に有利な実施形態では、本発明に係る放送ラジオ受信機と、第1または第2のチューナによって再生するために提供されるオーディオデータを再生するように構成されたラウドスピーカとを備えるオーディオシステムが提供される。
【0031】
上記の実施形態の好ましい変形例は、オーディオシステムを備える車両が提供される。
【0032】
本発明の更なる態様によれば、コンピュータプログラムが放送ラジオ受信機で実行される場合、請求項14または15に定義された発明に係る方法の工程を、請求項1から11のいずれかに記載の放送ラジオ受信機に実行させるコンピュータプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラムが提案される。コンピュータプログラムは、光学記憶媒体または不揮発性ソリッドステート媒体などの適切な媒体上で提供、記憶、および/または配布されてよい。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、または他のハードウェアの一部として供給されてもよいが、インターネットまたは他の有線または無線通信システムなどの他の形式で配布されてもよい。
【0033】
本発明の好ましい実施形態の特徴は、特に、従属請求項で定義されるが、更なる有利な特徴、実施形態、および実装は、上記の説明および以下の議論から当業者には明らかである。
【0034】
以下では、添付の図面に示される実施形態を参照して、本発明がさらに説明され、例示される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】従来の放送ラジオ受信機システムを示す概略図
【
図2】予測を使用するが学習能力を有さない放送ラジオ受信機システムを示す概略図
【
図3】本発明に係る放送ラジオ受信機の第1の例示的な実施形態を示す概略図
【
図4】本発明に係る放送受信方法の例示的な実施形態の概略フロー図
【
図5】本発明に係る放送ラジオ受信機の第2の例示的な実施形態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付の図面およびこれらの図面の説明において、関連または対応する要素は、要素が同じ実施形態の一部であるかどうかに関係なく、便宜上、対応するまたは類似の参照符号によって示される。
【0037】
図3は、本発明に係る放送ラジオ受信機の第1の例示的な実施形態を示す概略図である。
【0038】
図1および
図2と同様に、
図3に示すオーディオシステム100のいくつかの基本コンポーネントには、ユーザ1からの入力を受信するためのインタフェース2、コントローラ3、コントローラ3によって制御されるチューナ5、6が含まれ、これらは、エアリアルまたはアンテナ4から入力を受信し、(コントローラ3の制御下で)セレクタ7に接続され、セレクタ7は、現在のオーディオストリームを再生のためにスピーカに転送する。
【0039】
オーディオシステム100は、コントローラ3に接続され、現在選択されているサービスに関する情報を受信し、ユーザ1が次に選択するであろうサービスに関する予測を提供する予測器101を含む。本実施形態の変形例では、予測器には、現在位置(
図5に関し、以下も参照)、現在時刻(
図5に関し、以下も参照)、現在移動しているルート(例えば、一連の以前にたどったルートからルートを識別するIDの形式)に関する情報、および/または、予測に役立つ可能性のあるその他の情報が提供されてもよい。
【0040】
予測器101には、ユーザ1によって次に選択されたサービスに関する情報を利用して予測の基盤を更新する学習フレームワーク102が設けられる。
【0041】
したがって、
図3は、予測の成功または失敗に関する情報を学習報酬として使用する自己学習予測の概念を示している。
【0042】
現在選択されている局と前に予測された局を取得し、それらが一致するかどうかを確認し、この結果を予測器にフィードバックする。予測器101は、このフィードバック値を使用して、予測が成功する可能性が高まるように、すなわち、強化学習を提供するように、その予測を調整する。追加情報として、現在選択されている局も予測器101を更新するために使用される。
【0043】
強化学習には様々なアプローチが存在し、例えば、有限マルコフ決定プロセスを指すテーブルベースのアプローチ、または、ニューラルネットワークに基づくディープラーニング手法がある。
【0044】
自己学習予測器の実際の実装は、本発明の開示の本質的な部分ではない。ここでは、テーブルベースのアプローチの簡単な例を例として示す。
【0045】
選択した1つのラジオ局から次の局への遷移をモデル化するために、この例では、予測プロセスに関与するラジオ局と同じ数の行と列を含む正方形のテーブルが使用される。ユーザがまだ選択されていない新しいラジオ局を選択すると、局は1行1列にて拡張されることによりテーブルに追加される。行は新しい局への変更元となる可能性のあるすべてのラジオ局を表し、列はユーザが次回選択する可能性のあるすべてのラジオ局、つまり局の変更先を表す。テーブル値(この例では任意に提供されている)は、成功の可能性を示し、次のステップに従って次の局の予測を決定する。
【0046】
1.現在選択されている局に関連付けられているテーブルの行に移動(例:2番目の行)
2.この行内の最大値を探す(3列)
3.最大値の列は、示す次の局の最大予測を示す
4.単一の最大値が無い場合、最大値の中からランダムで1つを選択
【0047】
【0048】
各局の選択後にテーブル値を調整することによって、予測器101は学習することができる。この更新により、予測が成功したかどうかが識別される。成功した場合は、正の報酬を考慮して、前に見つかった最大値が増加される。予測が間違っていた場合、0の報酬を考慮して、前に見つかった最大値が減らされ、さらに実際に選択された局のテーブルエントリが増加される。これらの更新に使用される式は、よく知られているQ学習アルゴリズムから導出された簡略化されたバージョンである以下の式で与えられる。
【0049】
【0050】
図4は、本発明に係る放送受信方法の例示的な実施形態の概略フロー図を示す。
【0051】
ステップS1にて、テーブル(上述したように)が同一の値(例えば、0)にて初期化される。ステップS2にて、現在選択されているサービスまたは局に対応するテーブル内の行が考慮され、ステップS3にて、その行内の最大値が識別される。次に、ステップS4にて、利用可能なチューナ(すなわち、選択されたサービスまたは局を現在サービスしていないチューナ)が、この予測された局に設定される。ステップS5にて、ユーザが新たな局を選択したかどうかがチェックされる。実際に新しい局がユーザによって選択された場合、ステップS6にて、選択が予測と一致するかどうかがチェックされる。選択された局が実際に予測された場合、利用可能なチューナ(予測された局に設定される)が使用され(ステップS7)、予測された局の値を増加させるために正の報酬が提供される(ステップS8)。選択された局が適切に予測されなかった場合、選択された局へのチューニングが(いずれかのチューナを使用して)提供され(ステップS9)、0の報酬が提供され、誤って予測された局の値が減らされ(ステップS10)、実際に選択された局に対するテーブルの値が増加する(ステップS11)。ステップS8またはステップS11の後、処理はステップS2に戻る。
【0052】
図5は、本発明による放送ラジオ受信機の第2の例示的な実施形態を示す概略図を示す。
【0053】
図5に示されるオーディオシステム100’は、
図3に示されるオーディオシステム100にほぼ対応し、
図3に示される予測器101と比較して、
図5の予測器101’およびその対応する学習フレームワーク102’はさらに、ロケータ103(例えば、GPS(Global Positioning System)データに基づくオーディオシステムの位置の表示)およびタイマー104(時間の表示)からの入力を受信するように構成されている。上述したように、この実施形態も、現在位置データだけでなく、現在位置に至るまでのこれまでに通ったルートも考慮するように修正されてよい。最新の位置データ(つまり、現在のルートの少なくとも特定の部分)が以前に通ったルートと一致する場合、ユーザは以前に通ったルートをさらにたどると仮定し、その結果、ユーザがサービスの選択に関して以前の動作を繰り返す可能性があるという仮定に基づいている。
【0054】
この実施形態では、地理位置座標(例えば、GPSまたはGalileo)、または類似の位置データが、予測器101’への入力として追加され、それにより、位置に基づくユーザの選択行動の予測を行い、それによってヒット率が増加する。同様に、一日の様々な時刻における選択シーケンスを識別できるようにするために、予測器101’への追加入力として時刻が提供される。
【0055】
上記の実施形態に関して説明した比較的単純なアプローチは、現在選択されている局のみに基づく予測のみを考慮している。以前の選択のシーケンスに基づくより複雑な予測は、現在選択されている局だけでなく、以前に選択されたいくつかの局を予測への入力として使用することによって実現できる。表形式のアプローチでは、事前に選択した局のすべての組み合わせが必要なため、予測テーブルの行数が指数関数的に増加し、メモリリソースの要求が大幅に増大し、これは、追加の要素(場所、時刻、ルートなど)が考慮されると、テーブルの代わりに多次元マトリックスが生成されるため、更に深刻にする。これは、関連する訓練アルゴリズムとともに予測器としてニューラルネットワークを使用することで対処でき、この場合、予測器への入力数は、考慮される以前の選択の数に応じて直線的にのみ増加し、ネットワークのサイズは二次関数的な増加のみを示す。ニューラルアーキテクチャおよび層の数に関する適切なニューラルネットワークの詳細は、当業者であればそのような実装上の問題に十分精通しているため、本発明の開示の一部ではない。本開示の焦点は、デジタルラジオ放送受信機のチューニング時間を短縮するための、一般によく知られたツール、すなわち自己学習予測器の適用にある。
【0056】
上述の例示的な実施形態は、2つ(または、それ以上)のチューナが提供され、予測は主に、あるサービスからユーザが選択した次のサービスに切り替える遅延を減らすために提供されるが、第2のチューナは、予測されたサービスに設定される。
【0057】
上記の変形例として、本発明は、チューナが1つだけ提供されている状況であっても、最初に選択されたサービスの受信が失われた場合、上で述べた予測が、次のサービスをユーザに提示する(好ましくは、要求する次のサービスを特定する際のユーザの負担を軽減する)、または、チューナに予測されたサービスを前もって設定する(予測が間違っていた場合、ユーザはその後別のサービスを選択する必要が生じる可能性がある)、のいずれかを提供することを想定する。
【0058】
したがって、実施形態の上記の説明は、基本的には、明らかな修正を加えて、そのようなアプローチにも適用される。
【0059】
図面において本発明の異なる態様または特徴が組み合わせて示されている場合でも、当業者であれば、特に断りのない限り、図示され論じられる組み合わせが網羅的なものではなく、その変形が可能であることを理解するであろう。特に、対応する要素または特徴の組み合わせは、異なる実施形態間で相互に交換されてよい。
【0060】
本発明を実施する際には、単一のコンポーネント、例えば、プロセッサは、特許請求の範囲に記載されているいくつかの要素の機能を実行することができる。サービス信号の取得および/または処理、オーディオデータの提供(およびその停止)、チューナの制御、ユーザからの入力の受信、次のラジオサービスの予測、および更新などのプロセスまたは動作は、コンピュータプログラムのコンピュータプログラムコード手段(例えば、コード要素、ルーチン、またはプロセス)の形式、または、または専用ハードウェアで実現されてよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ユーザ
2 インタフェース
3 コントローラ
4 アンテナ
5 チューナ
6 チューナ
7 セレクタ
8 スピーカ
9 予測器
10 オーディオシステム
20 オーディオシステム
100,100’ オーディオシステム
101,101’ 予測器
102,102’ 学習フレームワーク