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特開2024-79608可動の要素をポジショニングするポジショニング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079608
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】可動の要素をポジショニングするポジショニング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240604BHJP
   G12B 5/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L21/68 K
G12B5/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023194150
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】22208725
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516122151
【氏名又は名称】シュネーベルガー・ホールディング・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード・ジールマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比較的コンパクトで、可動の要素をポジショニングする高度に動的なポジショニング装置を提供する。
【解決手段】ポジショニング装置1において、第1の運動装置10のガントリ駆動部GAは、XーY方向に平行に配置するガイド面FFを有するベースB、ガントリ構造形式の第1の運動装置でガイド面に間隔を置くY方向で延在するガントリビーム15及び相対的にX方向のガントリ駆動部でX方向で延在する2つの第の1リニア軸X1、2を備え、第1のリニア軸がリニア駆動部LMX1、2を備える。ガントリビームをベースにガイドする第1の空気軸受装置LL1は、ガントリビームの第1の端部15.1を第1のセクションFF1にガイドする第1の空気軸受アッセンブリ30、第2の端部15.2を第2のセクションFF2にガイドする第2の空気軸受アッセンブリ35及び中央の第3のセクションFF3にガイドする第3の空気軸受アッセンブリ50を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動の要素(5)をポジショニングするポジショニング装置(1)であって、
第1の方向(X)に対して平行に、かつ第2の方向(Y)に対して平行に配置されている平坦なガイド面(FF)を有するベース(B)と、
ガントリ構造形式の第1の運動装置(10)であって、前記第1の運動装置は、前記平坦なガイド面(FF)の上方に配置される、前記平坦なガイド面(FF)に対して間隔を置いて前記第2の方向(Y)で延在するガントリビーム(15)と、前記ガントリビームを前記ベース(B)に対して相対的に前記第1の方向(X)で動かすガントリ駆動部(GA)とを有し、前記ガントリビーム(15)は、第1の端部(15.1)と、前記第1の端部(15.1)とは反対側の第2の端部(15.2)とを有し、前記ガントリ駆動部(GA)は、前記第1の方向(X)で延在する2つの第1のリニア軸(X1,X2)を有し、前記第1のリニア軸(X1,X2)は、各1つのリニア駆動部(LMX1,LMX2)を有し、2つの前記第1のリニア軸(X1,X2)のうちの一方の第1のリニア軸の前記リニア駆動部(LMX1)は、前記ガントリビーム(15)の前記第1の端部(15.1)に結合され、2つの前記第1のリニア軸(X1,X2)のうちの他方の前記第1のリニア軸の前記リニア駆動部(LMX2)は、前記ガントリビーム(15)の前記第2の端部(15.2)に結合されている第1の運動装置(10)と、
前記ガントリビームを前記ベース(B)の前記平坦なガイド面(FF)にガイドする、前記ガントリビーム(15)に結合される複数の空気軸受を有する第1の空気軸受装置(LL1)と、
を備え、
前記可動の要素(5)は、前記ガントリビーム(15)に、前記可動の要素(5)が前記ガントリビームにリニアに前記第2の方向(Y)で可動であるように支承されており、かつ前記ガントリビーム(15)は、前記第2の方向(Y)で延在する1つの第2のリニア軸(Y1)を有し、前記第2のリニア軸(Y1)は、前記可動の要素(5)に結合される、前記可動の要素(5)を前記第2の方向(Y)で動かすリニア駆動部(LMY)を有し、
前記第1の空気軸受装置(LL1)は、第1の空気軸受アッセンブリ(30)を有し、前記第1の空気軸受アッセンブリ(30)は、前記ガントリビーム(15)の前記第1の端部(15.1)に配置される、前記ガントリビーム(15)の前記第1の端部(15.1)を、前記平坦なガイド面(FF)の、前記第1の方向(X)で延在する第1のセクション(FF1)にガイドする少なくとも1つの第1の水平の空気軸受(31,32)を有し、少なくとも1つの前記第1の水平の空気軸受(31,32)には、前記平坦なガイド面(FF)の前記第1のセクション(FF1)に関して、プリロードが付与されており、
前記第1の空気軸受装置(LL1)は、第2の空気軸受アッセンブリ(35)を有し、前記第2の空気軸受アッセンブリ(35)は、前記ガントリビーム(15)の前記第2の端部(15.2)に配置される、前記ガントリビームの前記第2の端部(15.2)を、前記平坦なガイド面(FF)の、前記第1の方向(X)で延在する第2のセクション(FF2)にガイドする少なくとも1つの第2の水平の空気軸受(36,37)を有し、少なくとも1つの前記第2の水平の空気軸受(36,37)には、前記平坦なガイド面(FF)の前記第2のセクション(FF2)に関して、プリロードが付与されており、
前記第1の空気軸受装置(LL1)は、第3の空気軸受アッセンブリ(50)を有し、前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)は、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受(51,52)と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受(53,54)とを有し、少なくとも1つの前記第3の水平の空気軸受(51,52)と、少なくとも1つの前記第4の水平の空気軸受(53,54)とは、前記ガントリビーム(15)の前記第1の端部(15.1)と、前記ガントリビーム(15)の前記第2の端部(15.2)との間の、前記ガントリビーム(15)の中央のセクションに配置されており、その結果、前記ガントリビームの前記中央のセクションは、前記第3の水平の空気軸受(51,52)と前記第4の水平の空気軸受(53,54)とにより、前記平坦なガイド面(FF)の、前記第1の方向(X)で延在し、前記第2の方向(Y)に関して、前記平坦なガイド面(FF)の前記第1のセクション(FF1)と前記平坦なガイド面(FF)の前記第2のセクション(FF2)との間に配置されている第3のセクション(FF3)にガイドされており、少なくとも1つの前記第3の水平の空気軸受(51,52)と、少なくとも1つの前記第4の水平の空気軸受(53,54)とは、互いに相対的に間隔を前記第1の方向(X)で有し、少なくとも1つの前記第3の水平の空気軸受(51,52)及び少なくとも1つの前記第4の水平の空気軸受(53,54)には、前記平坦なガイド面(FF)の前記第3のセクション(FF3)に関して、プリロードが付与されており、
前記ベース(B)には、前記平坦なガイド面(FF)の前記第3のセクション(FF3)の横に、前記第1の方向(X)で延在するガイドビーム(FB)が配置されており、前記ガイドビーム(FB)は、1つの平坦な側面(SF)を有し、前記1つの平坦な側面(SF)は、前記第1の方向(X)に対して平行に、かつ前記平坦なガイド面(FF)に対して略垂直に配向された第3の方向(Z)に対して平行に延在し、
前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)は、前記ガントリビーム(15)の前記中央のセクションに配置される、前記ガントリビーム(15)を前記ガイドビーム(FB)の前記1つの平坦な側面(SF)にガイドする少なくとも1つの側方の空気軸受(55,56)を有し、少なくとも1つの前記側方の空気軸受(55,56)には、前記ガイドビーム(FB)の前記1つの平坦な側面(SF)に関して、プリロードが付与されている、
可動の要素(5)をポジショニングするポジショニング装置(1)。
【請求項2】
前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)は、前記ガントリビーム(15)の前記中央のセクションを前記平坦なガイド面(FF)の前記第3のセクション(FF3)にガイドする2つの第3の水平の空気軸受(51,52)及び2つの第4の水平の空気軸受(53,54)を有し、2つの前記第3の水平の空気軸受(51,52)は、互いに相対的に、2つの前記第3の水平の空気軸受(51,52)が互いに相対的に間隔を前記第2の方向(Y)で有しているように配置されており、2つの前記第4の水平の空気軸受(53,54)は、互いに相対的に、2つの前記第4の水平の空気軸受(53,54)が互いに相対的に間隔を前記第2の方向(Y)で有しているように配置されており、
2つの前記第3の水平の空気軸受(51,52)及び2つの前記第4の水平の空気軸受(53,54)には、前記平坦なガイド面(FF)の前記第3のセクション(FF3)に関して、プリロードが付与されている、
請求項1に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項3】
前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)は、前記ガントリビーム(15)を前記ガイドビーム(FB)の前記平坦な側面(SF)にガイドする2つの側方の空気軸受(55,56)を有し、2つの前記側方の空気軸受(55,56)は、互いに相対的に、2つの前記側方の空気軸受(55,56)が互いに相対的に間隔を前記第1の方向(X)で有しているように配置されており、かつ
2つの前記側方の空気軸受(55,56)には、前記ガイドビーム(FB)の前記平坦な側面(SF)に関して、プリロードが付与されている、
請求項1又は2に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項4】
前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)のすべての第3の水平の空気軸受(51,52)、前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)のすべての第4の水平の空気軸受(53,54)及び前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)のすべての側方の空気軸受(55,56)は、1つの共通のキャリア(70)に取り付けられており、前記キャリア(70)は、前記ガントリビーム(15)に取り付けられており、その結果、前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)は、前記キャリア(70)により前記ガントリビーム(15)に保持されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項5】
前記キャリア(70)は、前記ガントリビーム(15)より下に、前記ガントリビーム(15)と前記平坦なガイド面(FF)との間の中間スペース内に配置されている、請求項4に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項6】
前記キャリア(70)が、前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)のすべての第3の水平の空気軸受(51,52)、前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)のすべての第4の水平の空気軸受(53,54)及び前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)のすべての側方の空気軸受(55,56)とともに、前記ガントリビーム(15)に対して相対的に、前記第3の方向(Z)で延在する回動軸線(DZ)回りに回動可能であるように、前記キャリア(70)は、前記ガントリビーム(15)に回動可能に支承されている、請求項4又は5に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項7】
前記キャリア(70)は、前記ガントリビーム(15)に、1つ又は複数の固体継手(80A,80B)から形成されているピボット継手(DGZ)を介して結合されている、請求項4から6のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項8】
前記第1の空気軸受アッセンブリ(30)は、前記ガントリビームの前記第1の端部(15.1)を前記平坦なガイド面(FF)の前記第1のセクション(FF1)にガイドする2つの第1の水平の空気軸受(31,32)を有し、2つの前記第1の水平の空気軸受(31,32)は、互いに相対的に、2つの前記第1の水平の空気軸受(31,32)が互いに相対的に間隔を前記第1の方向(X)で有しているように配置されており、2つの前記第1の水平の空気軸受(31,32)には、前記平坦なガイド面(FF)の前記第1のセクション(FF1)に関して、プリロードが付与されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項9】
前記第2の空気軸受アッセンブリ(35)は、前記ガントリビーム(15)の前記第2の端部(15.2)を前記平坦なガイド面(FF)の前記第2のセクション(FF2)にガイドする2つの第2の水平の空気軸受(36,37)を有し、2つの前記第2の水平の空気軸受(36,37)は、互いに相対的に、2つの前記第2の水平の空気軸受(36,37)が前記第1の方向(X)で互いに相対的に間隔を有しているように配置されており、2つの前記第2の水平の空気軸受(36,37)には、前記平坦なガイド面(FF)の前記第2のセクション(FF2)に関して、プリロードが付与されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項10】
前記可動の要素(5)を前記ガントリビーム(15)にガイドする、前記可動の要素(5)に結合される複数の空気軸受を有する第2の空気軸受装置(LL2)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項11】
前記ガントリビーム(15)は、平坦なガイド面(FFG1,FFG2)を有し、前記平坦なガイド面(FFG1,FFG2)は、前記第1の方向(X)に対して平行に、かつ前記第2の方向(Y)に対して平行に配置されており、
前記ガントリビーム(15)は、1つの平坦な側面(SFG2)を有し、前記1つの平坦な側面(SFG2)は、前記第2の方向(Y)に対して平行に、かつ前記ガントリビーム(15)の前記平坦なガイド面(FFG1,FFG2)に対して略垂直に配向された第3の方向(Z)に対して平行に延在し、
前記第2の空気軸受装置(LL2)は、少なくとも1つの第1の水平の空気軸受(121,122)と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受(123,124)とを有し、少なくとも1つの前記第1の水平の空気軸受(121,122)と、少なくとも1つの前記第2の水平の空気軸受(123,124)とは、前記可動の要素(5)が、前記第2の空気軸受装置(LL2)の少なくとも1つの前記第1の水平の空気軸受(121,122)と、少なくとも1つの前記第2の水平の空気軸受(123,124)とにより、前記ガントリビーム(15)の前記平坦なガイド面(FFG1,FFG2)にガイドされており、前記第2の空気軸受装置(LL2)の少なくとも1つの前記第1の水平の空気軸受(121,122)が、少なくとも1つの前記第2の水平の空気軸受(123,124)に対して相対的に間隔を前記第2の方向(Y)で有しているように、前記可動の要素(5)に配置されており、前記第2の空気軸受装置(LL2)の少なくとも1つの前記第1の水平の空気軸受(121,122)及び少なくとも1つの前記第2の水平の空気軸受(123,124)には、前記ガントリビーム(15)の前記平坦なガイド面(FFG1,FFG2)に関して、プリロードが付与されており、
前記第2の空気軸受装置(LL2)は、前記可動の要素(5)に配置される、前記可動の要素(5)を前記ガントリビーム(15)の前記1つの平坦な側面(SFG2)にガイドする少なくとも1つの側方の空気軸受(140,141)を有し、前記第2の空気軸受装置(LL2)の少なくとも1つの前記側方の空気軸受(140,141)には、前記ガントリビーム(15)の前記1つの平坦な側面(SFG2)に関して、プリロードが付与されている、
請求項10に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項12】
前記第2の空気軸受装置(LL2)は、前記可動の要素(5)に配置される、前記可動の要素(5)を前記ガントリビーム(15)の前記平坦なガイド面(FFG1,FFG2)にガイドする2つの第1の水平の空気軸受(121,122)を有し、前記第2の空気軸受装置(LL2)の2つの前記第1の水平の空気軸受(121,122)は、互いに相対的に間隔を前記第1の方向(X)で有し、前記ガントリビーム(15)の前記平坦なガイド面(FFG1,FFG2)に関して、プリロードが付与されており、かつ/又は
前記第2の空気軸受装置(LL2)は、前記可動の要素(5)に配置される、前記可動の要素(5)を前記ガントリビーム(15)の前記平坦なガイド面(FFG1,FFG2)にガイドする2つの第2の水平の空気軸受(123,124)を有し、前記第2の空気軸受装置(LL2)の2つの前記第2の水平の空気軸受(123,124)は、互いに相対的に間隔を前記第1の方向(X)で有し、前記ガントリビーム(15)の前記平坦なガイド面(FFG1,FFG2)に関して、プリロードが付与されており、かつ/又は
前記第2の空気軸受装置(LL2)は、前記可動の要素(5)に配置される、前記可動の要素(5)を前記ガントリビーム(15)の前記1つの平坦な側面(SFG2)にガイドする2つの側方の空気軸受(140,141)を有し、前記第2の空気軸受装置(LL2)の2つの前記側方の空気軸受(140,141)は、互いに相対的に間隔を前記第2の方向(Y)で有し、前記ガントリビーム(15)の前記平坦な側面(SFG2)に関して、プリロードが付与されている、
請求項11に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項13】
前記第2の空気軸受装置(LL2)の少なくとも1つの前記第1の水平の空気軸受(121,122)及び少なくとも1つの前記第2の水平の空気軸受(123,124)には、磁気式の手段(150,151)により、前記ガントリビーム(15)の前記平坦なガイド面(FFG)に関して、プリロードが付与されており、かつ/又は
前記第2の空気軸受装置(LL2)の少なくとも1つの前記側方の空気軸受(140,141)には、磁気式の手段(160,161)により、前記ガントリビーム(15)の前記1つの平坦な側面(SFG2)に関して、プリロードが付与されている、
請求項11又は12に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項14】
前記第1の空気軸受アッセンブリ(30)の少なくとも1つの前記第1の水平の空気軸受(31,32)には、磁気式の手段(40,41,42)により、前記ベース(B)の前記平坦なガイド面(FF)の前記第1のセクション(FF1)に関して、プリロードが付与されており、かつ/又は
前記第2の空気軸受アッセンブリ(35)の少なくとも1つの前記第2の水平の空気軸受(36,37)には、磁気式の手段(40,41,42)により、前記平坦なガイド面(FF)の前記第2のセクション(FF2)に関して、プリロードが付与されており、かつ/又は
前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)の少なくとも1つの前記第3の水平の空気軸受(51,52)及び前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)の少なくとも1つの前記第4の水平の空気軸受(53,54)には、磁気式の手段(40,41,42)により、前記平坦なガイド面(FF)の前記第3のセクション(FF3)に関して、プリロードが付与されており、かつ/又は
前記第3の空気軸受アッセンブリ(50)の少なくとも1つの前記側方の空気軸受(55,56)には、磁気式の手段(60,61)により、前記ガイドビーム(FB)の前記1つの平坦な側面(SF)に関して、プリロードが付与されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項15】
第1の固体継手(80A)であって、第1の縦長の固体からなり、前記第1の縦長の固体は、前記第3の方向(Z)に対して平行な第1の平面(ME1)に沿って、前記第3の方向(Z)に対して垂直に延在しており、前記第3の方向(Z)に対して垂直に配置される長手方向軸線を有し、前記第1の縦長の固体は、前記第1の縦長の固体の前記長手方向軸線の方向で相前後して配置される以下の長手方向セクション:
前記第1の縦長の固体の第1の端部を形成する第1の端部セクション(E1)と;
前記第1の縦長の固体の前記第1の端部とは前記第1の縦長の固体の前記長手方向軸線の方向で反対側の前記第1の縦長の固体の第2の端部を形成する第2の端部セクション(E2)と;
前記第1の縦長の固体の前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に配置される中央セクション(F)と;
前記第1の縦長の固体の前記第1の端部セクション(E1)と前記中央セクション(F)との間に配置され、前記第1の端部セクション(E1)と前記中央セクション(F)とに結合される第1のウェブ部分(S1)と;
前記第2の端部セクション(E2)と前記中央セクション(F)との間に配置され、前記第1の縦長の固体の前記第2の端部セクション(E2)と前記中央セクション(F)とに結合される第2のウェブ部分(S2)と;
を有する、
第1の固体継手(80A)と、
第2の固体継手(80B)であって、第2の縦長の固体からなり、前記第2の縦長の固体は、前記第3の方向(Z)に対して平行な第2の平面(ME2)に沿って、前記第3の方向(Z)に対して垂直に延在しており、前記第3の方向(Z)に対して垂直に配置される長手方向軸線を有し、前記第2の縦長の固体は、前記第2の縦長の固体の前記長手方向軸線の方向で相前後して配置される以下の長手方向セクション:
前記第2の縦長の固体の第1の端部を形成する第1の端部セクション(E1)と;
前記第2の縦長の固体の前記第1の端部とは前記第2の縦長の固体の前記長手方向軸線の方向で反対側の前記第2の縦長の固体の第2の端部を形成する第2の端部セクション(E2)と;
前記第2の縦長の固体の前記第1の端部セクションと前記第2の端部セクションとの間に配置される中央セクション(F)と;
前記第2の縦長の固体の前記第1の端部セクション(E1)と前記中央セクション(F)との間に配置され、前記第1の端部セクションと前記中央セクションとに結合される第1のウェブ部分(S1)と;
前記第2の縦長の固体の前記第2の端部セクション(E2)と前記中央セクション(F)との間に配置され、前記第1の縦長の固体の前記第2の端部セクション(E2)と前記中央セクション(F)とに結合される第2のウェブ部分(S2)と;
を有する、
第2の固体継手(80B)と、
を備え、
前記キャリア(70)は、前記ガントリビーム(15)に前記第1の固体継手(80A)と前記第2の固体継手(80B)とを介して、
前記第1の縦長の固体の前記第1の端部セクション(E1)及び前記第1の縦長の固体の前記第2の端部セクション(E2)が前記キャリア(70)に剛結され、前記第1の縦長の固体の前記中央セクション(F)が前記ガントリビーム(15)に剛結されているとともに、
前記第2の縦長の固体の前記第1の端部セクション(E1)及び前記第2の縦長の固体の前記第2の端部セクション(E2)が前記キャリア(70)に剛結され、前記第2の縦長の固体の前記中央セクション(F)が前記ガントリビーム(15)に剛結されている、
ように結合されており、
前記第1の平面(ME1)と前記第2の平面(ME2)とは、互いに相対的に、前記第1の平面(ME1)と前記第2の平面(ME2)とが、前記第3の方向(Z)に対して平行に延在する1つの共通の交線(DZ)を形成するように傾けられており、
前記第1の固体継手(80A)の前記第1のウェブ部分(S1)及び前記第2のウェブ部分(S2)並びに前記第2の固体継手(80B)の前記第1のウェブ部分(S1)及び前記第2のウェブ部分(S2)は、弾性的に変形可能に形成されており、その結果、前記第1の固体継手(80A)の前記中央セクション(F)は、前記第1の固体継手(80A)の前記第1の端部セクション(E1)と前記第1の固体継手(80A)の前記第2の端部セクション(E2)とに対して相対的に可動であり、かつ前記第2の固体継手(80B)の前記中央セクション(F)は、前記第2の固体継手(80B)の前記第1の端部セクション(E1)と前記第2の固体継手(80B)の前記第2の端部セクション(E2)とに対して相対的に可動であり、前記キャリア(70)は、前記第1の固体継手(80A)と前記第2の固体継手(80B)とにより前記ガントリビームに前記第1の平面(ME1)と前記第2の平面(ME2)との前記共通の交線(DZ)回りに回動可能に支承されている、
請求項4から7のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項16】
前記第1の固体継手(80A)と前記第2の固体継手(80B)とは、前記第2の方向(Y)に対して平行に、かつ前記第3の方向(Z)に対して平行に延在する第3の平面(E3)に関して対称に配置されている、請求項15に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項17】
前記キャリア(70)は、少なくとも1つの中空室(71A,71B)を有し、前記中空室(71A,71B)内には、前記第1の固体継手(80A)及び/又は前記第2の固体継手(80B)が配置されている、請求項15又は16に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項18】
前記キャリア(70)は、前記第1の固体継手(80A)と前記第2の固体継手(80B)とにより、前記ガントリビーム(15)に関して静止位置に、前記キャリア(70)が、前記第1の平面(ME1)と前記第2の平面(ME2)との前記共通の交線(DZ)回りの前記ガントリビーム(15)に対して相対的な前記キャリア(70)の回動により前記静止位置から可動であるように、保持されている、請求項15から17のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項19】
前記キャリア(70)は、少なくとも1つのストッパ要素(HSA1,HSA2)であって、前記キャリア(70)が、前記ガントリビーム(15)に対して相対的に前記静止位置に配置されているとき、前記ストッパ要素(HSA1,HSA2)が、前記第1の固体継手(80A)の前記中央セクション(F)に対して間隔を有し、かつ前記ストッパ要素(HSA1,HSA2)が、前記第1の平面(ME1)と前記第2の平面(ME2)との前記共通の交線(DZ)回りの予め決められた最大の回動角度の前記キャリア(70)の回動により、前記第1の固体継手(80A)の前記中央セクション(F)と接触に至ることが可能であり、その結果、前記第1の固体継手(80A)の前記中央セクション(F)が、前記キャリア(70)の前記回動を制限する機械的なストッパを前記キャリア(70)のために形成するように配置されているストッパ要素(HSA1,HSA2)を有し、かつ/又は
前記キャリア(70)は、少なくとも1つのストッパ要素(HSB1,HSB2)であって、前記キャリア(70)が、前記ガントリビーム(15)に対して相対的に前記静止位置に配置されているとき、前記ストッパ要素(HSB1,HSB2)が、前記第2の固体継手(80B)の前記中央セクション(F)に対して間隔を有し、かつ前記ストッパ要素(HSB1,HSB2)が、前記第1の平面(ME1)と前記第2の平面(ME2)との前記共通の交線(DZ)回りの予め決められた最大の回動角度の前記キャリア(70)の回動により、前記第2の固体継手(80B)の前記中央セクション(F)と接触に至ることが可能であり、その結果、前記第2の固体継手(80B)の前記中央セクション(F)が、前記キャリア(70)の前記回動を制限する機械的なストッパを前記キャリア(70)のために形成するように配置されているストッパ要素(HSB1,HSB2)を有する、
請求項18に記載のポジショニング装置(1)。
【請求項20】
2つの前記第1のリニア軸(X1,X2)の各リニア駆動部(LMX1,LMX2)は、リニアモータであり、かつ/又は
1つの前記第2のリニア軸(Y1)の前記リニア駆動部(LMY)は、リニアモータである、
請求項1から19のいずれか一項に記載のポジショニング装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動の要素をポジショニングするポジショニング装置に関する。本発明は、特に、可動の要素を、ガントリ構造形式の運動装置により、ベースに形成される平坦なガイド面に関して、第1の方向及び第2の方向で動かすべく、形成されている、可動の要素をポジショニングするポジショニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可動の要素を、ベースに形成される平坦なガイド面に関して、第1の方向及び第2の方向で動かすのに好適な、可動の要素をポジショニングするポジショニング装置は、多数、既に公知である。この種のポジショニング装置は、例えば半導体産業において、とりわけ半導体ウエハを、微細構造を半導体ウエハの表面に製造するプロセスステップ中、様々なポジションにもたらすために、又は半導体ウエハを計測学的な目的で測定装置に対して相対的に(例えば半導体ウエハの表面に設けられた微細構造の検査及び/若しくは測定技術的な特徴付けのために)ポジショニングするために使用される。
【0003】
例えば微細構造の製造又は微細構造の検査及び/若しくは測定技術的な特徴付けのためのプロセスステップを実施するための産業上の利用に関して、可動の要素(例えばポジショニングすべき対象を受けるプラットフォームあるいはテーブル)を、第1の方向及び第2の方向で(すなわち、予め決められた一平面に対して相対的に2次元的に)、できる限り大きな速度で、かつ場合によってはできる限り大きな加速度(例えば2g又はそれ以上の範囲)で動かし、その際、繰り返し、かつ再現可能に、予め決められたポジションに、その都度、大きな精度で(すなわち、サブマイクロメートル領域の精度で)ポジショニングするのに好適なポジショニング装置が必要である。
【0004】
第1の方向及び第2の方向での可動の要素の迅速かつ精緻なポジショニングを可能にすべく、前述の形態のポジショニング装置は、第1の方向に対して平行に、かつ第2の方向に対して平行に配置されている平坦なガイド面を有するベース(例えばグラナイトからなるブロック)と、可動の要素をベースの平坦なガイド面に関して動かす運動機構とを備えていることが多い。前述の形態の運動機構は、この場合、例えばとりわけガントリ構造形式の第1の運動装置を有していることができ、第1の運動装置は、平坦なガイド面の上方に配置される、平坦なガイド面に対して間隔を置いて第2の方向で延在するガントリビームと、ガントリビームをベースに対して相対的に第1の方向で動かすガントリ駆動部とを有している。ガントリビームは、この場合、第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、ガントリ駆動部は、第1の方向で延在する2つの第1のリニア軸を有し、第1のリニア軸は、各1つのリニア駆動部を有し、第1の方向で延在する2つの第1のリニア軸は、2つの第1のリニア軸のうちの一方の第1のリニア軸のリニア駆動部が、ガントリビームの第1の端部に結合され、2つの第1のリニア軸のうちの他方の第1のリニア軸のリニア駆動部が、ガントリビームの第2の端部に結合されているように設計されている。
【0005】
第1の方向及び第2の方向での可動の要素の運動を可能にすべく、この場合、可動の要素は、ガントリビームに、可動の要素がガントリビームにリニアに第2の方向で可動であるように支承されており、ガントリビームは、第2の方向で延在する1つの第2のリニア軸を有し、第2のリニア軸は、可動の要素に結合される、可動の要素を第2の方向で動かすリニア駆動部を有している。
【0006】
可動の要素が、繰り返し、かつ再現可能に、予め決められたポジションに、その都度、大きな精度で(すなわち、ナノメートル領域の精度で)ベースのガイド面に対して相対的にポジショニングされ得ることを可能にすべく、多くの用途にとって、第1の運動装置のガントリビームを、ベースの平坦なガイド面に沿った運動時、空気軸受によりベースに支承し、この目的のために、ガントリビームをベースの平坦なガイド面にガイドする、ガントリビームに結合される複数の空気軸受を有する空気軸受装置を提供することが有利であり得る。これらの空気軸受は、ベースに対して相対的なガントリビームの運動時、ガントリビームと、ベースのガイド面との、対向し、互いに相対的に動かされる表面領域が、空気軸受の領域において、それぞれエアクッションにより分離されており、それゆえ非接触式に互いに相対的に動かされ得るという効果を有している。これにより、ガントリビームと、ベースのガイド面との、対向する表面領域間の機械的な摩擦(静摩擦及び/又は滑り摩擦)が防止され、ひいては、互いに相対的に動かされる固体間の機械的な摩擦に起因し、互いに相対的に動かされる固体のポジショニングの精度に悪影響を及ぼすことが常である効果(互いに相対的に動かされる固体のスティックスリップ効果あるいはびびり)が回避されることが、特に保証されている。
【0007】
前述の形態のポジショニング装置の多くの用途に関して、この種のポジショニング装置を「高度に動的」に形成し、その結果、ポジショニング装置が、可動の要素を大きな加速度で(例えば2g又はそれ以上の範囲で)動かすのに好適であるようにする必要がある。高度に動的な前述の形態のポジショニング装置の場合、主な要求は、ポジショニング装置、特に第1の運動装置のガントリビームが、質量慣性の結果、第1の方向での2つの第1のリニア軸のリニア駆動部によるガントリビームの大きな加速中も、第2の方向での第2のリニア軸のリニア駆動部による可動の要素の大きな加速時も、できる限り変形されず、それゆえ、第1の方向及び/若しくは第2の方向を中心とする曲げ並びに/又はトーションの形態の変形に関して、できる限り大きな剛性を有していることが望ましいという点にある。
【0008】
ガントリビームを空気軸受によりベースにガイドしていて、かつ高度に動的に形成されている前述の形態のポジショニング装置に関して、特に、ガントリビームの(固有振動数に応じた)動的なトーション剛性を最大化すべく、第1のリニア軸の両リニア駆動部が、できる限り、ポジショニング装置の、これらの両リニア駆動部により動かされる全部材の重心の高さに配置されているようにした、「フラット」な構造形態を有する構造が公知となっている。上記事項は、2つの第1のリニア軸のリニア駆動部の、ガントリビームに作用する力ベクトルと、ポジショニング装置の、2つの第1のリニア軸のリニア駆動部により動かされる全部材の重心との間の鉛直(すなわち、ベースの平坦なガイド面に対して垂直)の間隔が大きければ大きいほど、強く、ガントリビームが、第1の方向での加速される運動時、ポジショニング装置の、2つの第1のリニア軸のリニア駆動部により動かされる部材の質量慣性に基づいてねじられ、このことは、不都合に、ガントリビームが、第1の方向でのガントリビームの加速後に再び安定な位置に達するのに必要とする整定時間を延長させてしまうという事実と関連している。
【0009】
ガントリビームを空気軸受によりベースの平坦なガイド面にガイドしている高度に動的に形成される前述の形態のポジショニング装置は、例えば特許文献1において公知である。このポジショニング装置は、ワークを受ける可動のテーブルの形態の可動の要素の精緻なポジショニング用(例えばワークの微細加工用)に設計されている。このポジショニング装置のガントリビームは、ベースの上面に設けられた平坦なガイド面に2つの水平の空気軸受によりガイドされており、2つの水平の空気軸受の一方は、ガントリビームの第1の端部に配置されており、これにより、ガントリビームの第1の端部を、第1の方向での運動時、ベースの平坦なガイド面上に支持あるいはガイドすることができ、かつ2つの水平の空気軸受の他方は、ガントリビームの第2の端部に配置されており、これにより、ガントリビームの第2の端部を、第1の方向での運動時、ベースの上面に設けられた平坦なガイド面上に支持あるいはガイドすることができる。ポジショニングすべき可動のテーブルは、ガントリビームに配置される第2のリニア軸のリニア駆動部により第2の方向(ガントリビームの長手方向)で可動であり、同じく水平の空気軸受により、ベースの上面に設けられた平坦なガイド面に支持あるいはガイドされている。ガントリビームを、第1の方向での運動時、側方でガイドすべく、側方のガイド面が設けられており、側方のガイド面は、第1の方向に対して平行に、かつベースの平坦なガイド面に対して垂直に延在している。側方のガイド面は、ベースの上面に設けられた平坦なガイド面に関して、ガントリビームと大体同じ高さに、この側方のガイド面が、側方でガントリビームの横に、ガントリビームの端部の一方の近傍に、ガントリビームのこの一方の端部に対して間隔を置いて布置されているように配置されている。ガントリビームは、一方の側方のガイド面に側方の空気軸受によりガイドされており、この側方の空気軸受は、この目的のために、ガントリビームの一方の側面に、ガントリビームの、側方のガイド面の近傍に配置されている上記一方の端部において取り付けられている。側方のガイド面のこの配置(すなわち、側方でガントリビームの横に、ガントリビームの端部の一方の近傍に、ガントリビームのこの一方の端部に対して間隔を置いて配置したこと)は、第2の方向(ガントリビームの長手方向に相当)での可動のテーブルの加速時のガントリビームの動的な曲げ剛性の最大化を可能にする。上記事項は、ガントリビームが側方の空気軸受により上記一方の側方のガイド面にガイドされている場所と、ガントリビームに配置される可動のテーブルの重心との間の間隔が大きければ大きいほど、第2の方向での可動のテーブルの加速時にガントリビームあるいは側方の空気軸受に作用する曲げモーメントが大きくなり、このことは、ガントリビームの曲げ剛性を減じ、不都合に、ガントリビームが、第2の方向での可動のテーブルの加速後に再び安定な位置に達するのに必要とする整定時間を延長させてしまうという事実と関連している。公差と、第1の方向でのガントリビームの運動時の2つの第1のリニア軸の両リニア駆動部のそれぞれ異なる速度とを補償すべく、側方の空気軸受は、(側方の空気軸受と、ガントリビームの上記一方の端部との間に配置される)固体継手を介して、側方の空気軸受がガントリビームに対して相対的に揺動可能であるように、ガントリビームの上記一方の端部に結合されている。
【0010】
ガントリビームと、ガントリビームの長手方向で可動である可動の要素とを、それぞれ空気軸受によりベースの平坦なガイド面にガイドしている、公知の、高度に動的に形成される前述の形態のポジショニング装置(例えば前述の、特許文献1において公知のポジショニング装置)は、これらのポジショニング装置が、ポジショニングすべき可動の要素がそれぞれのポジショニング装置によりベースの平坦なガイド面に対して相対的に可動である距離と比較して、(ポジショニング装置のそれぞれの部材が空間的に分配配置されている第1の方向及び第2の方向に対して平行な底面に関して)比較的大きな所要スペースを、2つの第1のリニア軸及び1つの第2のリニア軸の空間的な配置と、ガントリビーム及び可動の要素をベースにガイドする空気軸受の空間的な配置とに起因して有しているという欠点を有している。ガントリビームに配置される、ガントリビームをベースにガイドする空気軸受と、可動の要素に配置される、可動の要素をベースにガイドする空気軸受とは、この場合、互いに相対的に、通例、可動の要素が、それぞれの空気軸受の所要スペースに基づいて、第2の方向でガントリビームの全長に沿っては動かされ得ず、ガントリビームの長さの一部にわたってしか動かされ得ないように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中国特許出願公開第113977294号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の根底にある課題は、挙げた欠点を回避するとともに、ガントリビームを空気軸受によりベースの平坦なガイド面にガイドしていて、比較的コンパクトに(ポジショニング装置のそれぞれの部材が空間的に分配配置されている比較的小さな底面を有して)構成されており、加えて、可動の要素を比較的大きな加速度で(ポジショニング装置の底面と比較して)比較的大きな面積にわたって動かすのに好適である、可動の要素をポジショニングする高度に動的に形成されるポジショニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、請求項1の特徴を備える、可動の要素をポジショニングするポジショニング装置により解決される。
【0014】
ポジショニング装置は、第1の方向に対して平行に、かつ第2の方向に対して平行に配置されている平坦なガイド面を有するベースと、ガントリ構造形式の第1の運動装置であって、第1の運動装置は、平坦なガイド面の上方に配置される、平坦なガイド面に対して間隔を置いて第2の方向で延在するガントリビームと、ガントリビームをベースに対して相対的に第1の方向で動かすガントリ駆動部とを有し、ガントリビームは、第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、ガントリ駆動部は、第1の方向で延在する2つの第1のリニア軸を有し、第1のリニア軸は、各1つのリニア駆動部を有している第1の運動装置と、を備えている。その際、2つの第1のリニア軸のうちの一方の第1のリニア軸のリニア駆動部は、ガントリビームの第1の端部に結合され、2つの第1のリニア軸のうちの他方の第1のリニア軸のリニア駆動部は、ガントリビームの第2の端部に結合されている。
【0015】
ポジショニング装置は、さらに、ガントリビームをベースの平坦なガイド面にガイドする、ガントリビームに結合される複数の空気軸受を有する第1の空気軸受装置を備えている。
【0016】
可動の要素は、ガントリビームに、可動の要素がガントリビームにリニアに第2の方向で可動であるように支承されており、ガントリビームは、第2の方向で延在する1つの第2のリニア軸を有し、第2のリニア軸は、可動の要素に結合される、可動の要素を第2の方向で動かすリニア駆動部を有している。
【0017】
ポジショニング装置の第1の空気軸受装置は、第1の空気軸受アッセンブリを有し、第1の空気軸受アッセンブリは、ガントリビームの第1の端部に配置される、ガントリビームの第1の端部を、平坦なガイド面の、第1の方向で延在する第1のセクションにガイドする少なくとも1つの第1の水平の空気軸受を有し、少なくとも1つの第1の水平の空気軸受には、平坦なガイド面の第1のセクションに関して、プリロードが付与されている。
【0018】
ポジショニング装置の第1の空気軸受装置は、さらに第2の空気軸受アッセンブリを有し、第2の空気軸受アッセンブリは、ガントリビームの第2の端部に配置される、ガントリビームの第2の端部を、平坦なガイド面の、第1の方向で延在する第2のセクションにガイドする少なくとも1つの第2の水平の空気軸受を有し、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受には、平坦なガイド面の第2のセクションに関して、プリロードが付与されている。
【0019】
本発明によれば、ポジショニング装置の第1の空気軸受装置は、付加的に第3の空気軸受アッセンブリを有し、第3の空気軸受アッセンブリは、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とを有し、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とは、ガントリビームの第1の端部と、ガントリビームの第2の端部との間の、ガントリビームの中央のセクションに配置されており、その結果、ガントリビームの中央のセクションは、第3の水平の空気軸受と第4の水平の空気軸受とにより、平坦なガイド面の、第1の方向で延在し、第2の方向に関して、平坦なガイド面の第1のセクションと平坦なガイド面の第2のセクションとの間に配置されている第3のセクションにガイドされており、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とは、互いに相対的に間隔を第1の方向で有し、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受及び少なくとも1つの第4の水平の空気軸受には、平坦なガイド面の第3のセクションに関して、プリロードが付与されている。
【0020】
ポジショニング装置は、さらに、ベースに、平坦なガイド面の第3のセクションの横に、第1の方向で延在するガイドビームが配置されており、ガイドビームは、1つの平坦な側面を有し、上記1つの平坦な側面は、第1の方向に対して平行に、かつ平坦なガイド面に対して略垂直に配向された第3の方向に対して平行に延在しているように形成されている。相応に第3の空気軸受アッセンブリは、ガントリビームの中央のセクションに配置される、ガントリビームをガイドビームの上記1つの平坦な側面にガイドする少なくとも1つの側方の空気軸受を有し、少なくとも1つの側方の空気軸受には、ガイドビームの上記1つの平坦な側面に関して、プリロードが付与されている。
【0021】
付言すると、「平坦なガイド面に対して略垂直に配向された第3の方向に対して平行」なる言い回しは、この関連において、「第3の方向」が、「平坦なガイド面に対して垂直」に延在する直線に対して正確に平行に配向されていてもよいが、必ずしも、「平坦なガイド面に対して垂直」に延在する直線に対して正確に平行に配向されている必要はなく、「平坦なガイド面に対して垂直」に延在する直線に関して0°~5°の範囲内の角度で傾けられていてもよいと解釈すべきものである。
【0022】
「水平の空気軸受」なる称呼は、この関連において、「軸受装置」であって、圧縮空気の放出によりエアクッションをベースの平坦なガイド面と軸受装置との間に発生させ、こうして軸受装置をベースの平坦なガイド面に対して間隔を置いて保持すべく、形成されている「軸受装置」を指している。
【0023】
「側方の空気軸受」なる称呼は、この関連において、「軸受装置」であって、圧縮空気の放出によりエアクッションをガイドビームの平坦な側面と軸受装置との間に発生させ、こうして軸受装置をガイドビームの平坦な側面に対して間隔を置いて保持すべく、形成されている「軸受装置」を指している。
【0024】
「平坦なガイド面の任意のセクションに関してプリロードが付与されている水平の空気軸受」なる称呼は、この関連において、「軸受装置」であって、圧縮空気の放出によりエアクッションをベースの平坦なガイド面と軸受装置との間に発生させるべく、形成されているとともに、付加的に、軸受装置に作用する、平坦なガイド面のそれぞれのセクションに向かって配向された吸引力(「プリロード力」)を発生させるのに好適な技術的な手段を有し、その結果、軸受装置は、エアクッションと、発生される吸引力あるいはプリロード力との相互作用により、平坦なガイド面に関して安定な位置に保持されており、この安定な位置において、軸受装置は、(圧縮空気の放出により発生されるエアクッションが形成されている、軸受装置と平坦なガイド面との間の空隙の厚さに応じて)間隔を平坦なガイド面に関して有している「軸受装置」を指している。空気軸受にプリロードを付与する相応の技術的な手段は、それ自体公知であり、以下でさらに特定する。平坦なガイド面に向かって配向されたプリロード力と、軸受装置から放出される圧縮空気との相互作用に基づき、軸受装置と平坦なガイド面との間の空隙内に形成されるエアクッションは、平坦なガイド面に対して垂直な方向で弾性的に変形可能である「ばね要素」の作用を有している。軸受装置と平坦なガイド面との間にエアクッションの存在に基づいて形成されている空隙の厚さは、それゆえ、軸受装置に作用する、平坦なガイド面に対して垂直に配向された力によってのみ変更(すなわち、力のその都度の方向に依存して拡大又は縮小)されることができ、エアクッションは、空隙の厚さの変更に関して「剛性」を有している。剛性は、この場合、軸受装置に作用する、平坦なガイド面に対して垂直に配向された力と、軸受装置に作用する力により引き起こされる空隙の厚さの変化の大きさとの比として規定されている。空気軸受の剛性の大きさは、この場合、とりわけプリロード力のその都度の大きさに依存しており、その結果、空気軸受の剛性は、所定の範囲内で必要に応じて(プリロード力の所定の大きさの選択により)変更され得る。平坦なガイド面に対して垂直に配向された力に関する空気軸受の剛性は、これに応じて、有利には、所定のプリロード力の選択により、軸受装置を特に効果的に平坦なガイド面に関して安定な位置に保持すべく、「最大化」され得る。
【0025】
相応に、「ガイドビームの上記1つの平坦な側面に関してプリロードが付与されている側方の空気軸受」なる表現は、この関連において、「軸受装置」であって、圧縮空気の放出によりエアクッションをガイドビームの平坦な側面との間に発生させるべく、形成されているとともに、付加的に、軸受装置に作用する、ガイドビームの平坦な側面に向かって配向された吸引力(「プリロード力」)を発生させるのに好適な技術的な手段を有し、その結果、軸受装置は、エアクッションと、発生される吸引力あるいはプリロード力との相互作用により、ガイドビームの平坦な側面に関して安定な位置に保持されており、この安定な位置において、軸受装置は、(圧縮空気の放出により発生されるエアクッションが形成されている、軸受装置とガイドビームの平坦な側面との間の空隙の厚さに応じて)間隔をガイドビームの平坦な側面に関して有している「軸受装置」を指している。空気軸受にプリロードを付与する相応の技術的な手段は、以下でさらに特定する。軸受装置とガイドビームの平坦な側面との間の空隙内に形成されるエアクッションは、平坦な側面に対して垂直な方向で弾性的に変形可能である「ばね要素」の作用を有している。軸受装置と平坦な側面との間にエアクッションの存在に基づいて形成されている空隙の厚さは、それゆえ、軸受装置に作用する、平坦な側面に対して垂直に配向された力によってのみ変更(すなわち、力のその都度の方向に依存して拡大又は縮小)されることができ、エアクッションは、空隙の厚さの変更に関して剛性を有している。空気軸受の剛性の大きさは、この場合、とりわけプリロード力のその都度の大きさに依存しており、その結果、空気軸受の剛性は、所定の範囲内で必要に応じて(プリロード力の所定の大きさの選択により)変更され得る。平坦な側面に対して垂直に配向された力に関する空気軸受の剛性は、これに応じて、有利には、所定のプリロード力の選択により、軸受装置を特に効果的に平坦な側面に関して安定な位置に保持すべく、「最大化」され得る。
【0026】
「リニア軸」とは、ここでは、それぞれ、リニアガイドとリニア駆動部とからなる組み合わせと解される。第1の空気軸受装置の水平の空気軸受及び第1の空気軸受装置の側方の空気軸受は、ベースの平坦なガイド面及びガイドビームの平坦な側面と協働し、ガントリビームが、リニアに第1の方向で可動であるように、ガントリビームが、第1の空気軸受装置の水平の空気軸受と側方の空気軸受とによりガイドされているようにしている。ガントリビームのこのリニアガイドは、ガントリビームの2つの端部のそれぞれ1つに結合されている2つのリニア駆動部のそれぞれ1つとの組み合わせにおいて、ポジショニング装置の2つの「第1のリニア軸」のそれぞれ1つをなしている。可動の要素は、ガントリビームに、可動の要素がガントリビームにリニアに第2の方向で可動であるように支承されているので、ガントリビームは、可動の要素を第2の方向での運動時にガイドするリニアガイドを有し、このリニアガイドは、可動の要素を第2の方向で動かすべく、可動の要素に結合されているリニア駆動部との組み合わせにおいて、ポジショニング装置の「第2のリニア軸」をなしている。
【0027】
本発明の根底にある課題の解決に関して重要と見なされ得るのは、本発明に係るポジショニング装置の第1の空気軸受装置が、第1の空気軸受アッセンブリ及び第2の空気軸受アッセンブリに対して付加的に、第3の空気軸受アッセンブリを有し、かつベースに、平坦なガイド面の第3のセクションの横に、第1の方向で延在するガイドビームが、第1の方向に対して平行に、かつ第3の方向に対して平行に延在する1つの平坦な側面を有して配置されていることである。
【0028】
第3の空気軸受アッセンブリは、この場合、特に、少なくとも3つの異なる空気軸受の群を有し、空気軸受の群は、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受と、少なくとも1つの側方の空気軸受とを有している。第3の空気軸受アッセンブリのこれらの少なくとも3つの異なる空気軸受は、ガントリビームに第2の方向(ガントリビームの長手方向に相当)に関して空間的に第1の空気軸受アッセンブリのそれぞれの(水平の)空気軸受と、第2の空気軸受アッセンブリのそれぞれの(水平の)空気軸受との間に(ガントリビームの「中央のセクション」内に)配置されており、それゆえ、ガントリビームを、ガントリビームの第1の端部と第2の端部との間のガントリビームの「中央のセクション」の領域において、ベースの(第1の方向に対して平行に、かつ第2の方向に対して平行に延在する)平坦なガイド面に(少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とにより)支持あるいはガイドするとともに、ガイドビームの(第1の方向に対して平行に、かつ第3の方向に対して平行に延在する)上記1つの平坦な側面に側方で(少なくとも1つの側方の空気軸受により)ガイドする目的を有しており、その結果、ガントリビームは、リニアに第1の方向で可動である。
【0029】
「ガントリビームの中央のセクション」なる称呼は、この関連において、ガントリビームの、第2の方向で延在する1つの長手方向セクションであって、第2の方向で、第2の方向でのガントリビームの延在寸法の最大で50%である長さにわたって延在し、かつガントリビームの第1の端部と、ガントリビームの第2の端部とに関して、それぞれ、第2の方向でのガントリビームの延在寸法の少なくとも25%である間隔を第2の方向で有している長手方向セクションを指している。
【0030】
第3の空気軸受アッセンブリの空気軸受は、これらの空気軸受が、ポジショニング装置の運転中、第1のリニア軸のリニア駆動部による第1の方向でのガントリビームの加速時及び第2のリニア軸のリニア駆動部による第2の方向での可動の要素の加速時の、第1の方向及び/又は第2の方向に関するガントリビームのトーション剛性及び曲げ剛性を向上させ、ひいては、ガントリ軸の、第1の方向でのガントリビームの加速によりかつ/又は第2の方向での可動の要素の加速により誘導可能なトーション又は曲げが減じられるという効果を有している。
【0031】
少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とが、互いに相対的に間隔を第1の方向で有していることにより、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とは、相俟って、第1の方向でのガントリビームの加速時の、第2の方向を中心とするガントリビームのトーションに関する、ガントリビームのトーション剛性を向上させるのに特に好適である。ガントリビームのトーション剛性の向上は、この場合、主として、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受及び少なくとも1つの第4の水平の空気軸受のそれぞれの剛性の大きさにより決定される(少なくとも1つの第3の水平の空気軸受及び少なくとも1つの第4の水平の空気軸受のそれぞれの剛性が大きければ大きいほど、ガントリビームのトーション剛性の向上は大きくなる)。
【0032】
第1の方向で延在するガイドビームが、平坦なガイド面の第3のセクションの横に配置されていることにより、かつガントリビームの中央のセクションが、少なくとも1つの側方の空気軸受によりガイドビームの平坦な側面に、そして少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とにより平坦なガイド面の第3のセクションに支持あるいはガイドされていることにより、少なくとも1つの側方の空気軸受並びに少なくとも1つの第3の水平の空気軸受及び少なくとも1つの第4の水平の空気軸受は、それらの互いに相対的な配置に基づいて、相俟って、第2の方向での可動の要素の加速時の、第1の方向を中心とするガントリビームのトーション又は曲げに関する、ガントリビームの剛性を向上させるのに好適である。第1の方向を中心とするガントリビームのトーション又は曲げに関する、ガントリビームの剛性の向上は、この場合、主として、少なくとも1つの側方の空気軸受、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受及び少なくとも1つの第4の水平の空気軸受のそれぞれの剛性の大きさにより決定される(少なくとも1つの側方の空気軸受、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受あるいは少なくとも1つの第4の水平の空気軸受のそれぞれの剛性が大きければ大きいほど、第1の方向を中心とするガントリビームのトーション又は曲げに関するガントリビームの剛性の向上は大きくなる)。
【0033】
第3の空気軸受アッセンブリは、とりわけ以下に挙げる理由から、本発明に係るポジショニング装置が、(比較的小さな底面を有して)コンパクトな構造を有していることができ、加えて、可動の要素を比較的大きな加速度で(ポジショニング装置の底面と比較して)比較的大きな面積にわたって動かすのに好適であるための前提を形成する。
【0034】
一方では、平坦な側面を有するガイドビームは(特許文献1において公知の、上で説明したように、側方のガイド面が、側方でガントリビームの横に、ガントリビームの端部の一方の近傍に、ガントリビームのこの一方の端部に対して間隔を置いて布置されているポジショニング装置とは異なり)、ベースに、平坦なガイド面の第3のセクションの横に配置されており、かつ第1の方向で、ガントリビームの中央のセクションの領域において、ガントリビームと、ベースの平坦なガイド面との間の中間スペースを通して延在している。ガイドビームのこの配置に基づき、有利な形式で、第2の方向(ガントリビームの長手方向に相当)でのポジショニング装置の延在に関する、本発明に係るポジショニング装置の所要スペースは、減じられている。ガイドビームの配置は、他方では、本発明に係るポジショニング装置の高度に動的な形成に関して、ガントリビームが、ガイドビームの配置のために、ベースの平坦なガイド面に対して、第3の方向でのガイドビームの平坦な側面の延在寸法より大きい予め決められた間隔を有していなければならないという点において、不都合な効果と結び付いてしまうように見える。ガイドビームの配置に基づき、ガントリビームには、それゆえ、第1の方向でのガントリビームの加速時、(ガントリビームが、ベースの平坦なガイド面に対して、第3の方向でのガイドビームの平坦な側面の延在寸法より小さい間隔を有しているときに、ガントリビームに、第1の方向でのガントリビームの同じ加速時に作用するであろう相応のトーションモーメントと比較して)第2の方向の方向での「高められた」トーションモーメントが作用しかねない。前述の不都合な効果は、本発明に係るポジショニング装置の場合、しかし、第1の方向での加速中の、第2の方向を中心とするトーションに関するガントリビームのトーション剛性が、第3の空気軸受アッセンブリにより拡大されて、前述の不都合な効果が、第3の空気軸受アッセンブリに基づくガントリビームのトーション剛性の向上と比較して、相対的に小さいように、第3の空気軸受アッセンブリを形成することができれば、何ら問題なく甘受され得る。
【0035】
第3の空気軸受アッセンブリにより達成可能な、第1の方向でのガントリビームの加速時及び第2の方向での可動の要素の加速時の、第1の方向及び/又は第2の方向に関するガントリビームのトーション剛性及び曲げ剛性の向上は、さらに、可動の要素を水平の空気軸受により同じくベースの平坦なガイド面にガイドすることを(特許文献1において公知のポジショニング装置とは異なり)省略し得るための前提を提供する。第3の空気軸受アッセンブリにより達成可能な、ガントリビームのトーション剛性及び曲げ剛性の向上は、可動の要素を、第2の方向での運動時、ガントリビームにのみガイドし、それにもかかわらず、ポジショニング装置が高度に動的に形成されており、第1の方向及び/又は第2の方向での可動の要素の大きな加速時の、ガントリビーム自体の変形が、許容可能な限度内に維持され得ることを保証することを可能にする。可動の要素が第2の方向での運動時にガントリビームにのみガイドされているように、可動の要素がガントリビームに配置され得ることにより、可動の要素が実質的にガントリビームの全長にわたって第2の方向で動かされ得るように、可動の要素をガントリビームにガイドすることが可能である。特許文献1において公知のポジショニング装置と比較して、こうして、可動の要素が第2の方向で可動である距離の長さは、拡大されている。
【0036】
ポジショニング装置の一実施の形態は、第3の空気軸受アッセンブリが、ガントリビームの中央のセクションを平坦なガイド面の第3のセクションにガイドする2つの第3の水平の空気軸受及び2つの第4の水平の空気軸受を有し、2つの第3の水平の空気軸受は、互いに相対的に、2つの第3の水平の空気軸受が互いに相対的に間隔を第2の方向で有しているように配置されており、2つの第4の水平の空気軸受は、互いに相対的に、2つの第4の水平の空気軸受が互いに相対的に間隔を第2の方向で有しているように配置されており、2つの第3の水平の空気軸受及び2つの第4の水平の空気軸受には、平坦なガイド面の第3のセクションに関して、プリロードが付与されているように形成されている。2つの第3の水平の空気軸受及び2つの第4の水平の空気軸受を前述のように提供することで、第3の空気軸受アッセンブリは、第2の方向での可動の要素の加速時の、第1の方向を中心とするガントリビームのトーション又は曲げに関する、ガントリビームの剛性の付加的な向上を可能にする。2つの第3の空気軸受の、互いに相対的な第2の方向での間隔と、2つの第4の水平の空気軸受の、互いに相対的な第2の方向での間隔とは、それぞれ、ガントリビームの剛性を、予め決められた値の分だけ向上させるべく、好適に選択され得る。
【0037】
ポジショニング装置の別の一実施の形態は、第3の空気軸受アッセンブリが、ガントリビームをガイドビームの平坦な側面にガイドする2つの側方の空気軸受を有し、2つの側方の空気軸受は、互いに相対的に、2つの側方の空気軸受が互いに相対的に間隔を第1の方向で有しているように配置されており、かつ2つの側方の空気軸受には、ガイドビームの平坦な側面に関して、プリロードが付与されているように形成されている。互いに相対的に間隔を第1の方向で有している複数の側方の空気軸受の使用は、第1の方向でのガントリビームの運動時、特に、ガントリビームの運動が、第3の方向を中心とするガントリビームのトーション又はねじれに関して安定化されるように、より安定にガントリビームをガイドビームの平坦な側面にガイドすることを可能にする。
【0038】
ポジショニング装置の別の一実施の形態は、第1の空気軸受アッセンブリが、ガントリビームの第1の端部を平坦なガイド面の第1のセクションにガイドする2つの第1の水平の空気軸受を有し、2つの第1の水平の空気軸受は、互いに相対的に、2つの第1の水平の空気軸受が互いに相対的に間隔を第1の方向で有しているように配置されており、2つの第1の水平の空気軸受には、平坦なガイド面の第1のセクションに関して、プリロードが付与されているように形成されている。第1の空気軸受アッセンブリが、2つの(第1の方向で互いに相対的に間隔を置いて配置される)第1の水平の空気軸受を有していることにより、第1の空気軸受アッセンブリは、第2の方向を中心とするガントリビームのねじれ又はトーションに関するガントリビームの第1の端部の剛性の向上を可能にし、その結果、第1の方向でのガントリビームの第1の端部の運動は、第2の方向を中心とするガントリビームのねじれ又はトーションに関して安定化されている。剛性の向上は、この場合、第1の方向での2つの第1の水平の空気軸受間の間隔に依存しており、その結果、第1の方向での2つの第1の水平の空気軸受間の間隔が大きく選択されればされるほど、剛性は、通例、大きくなる。
【0039】
ポジショニング装置の別の一実施の形態は、第2の空気軸受アッセンブリが、ガントリビームの第2の端部を平坦なガイド面の第2のセクションにガイドする2つの第2の水平の空気軸受を有し、2つの第2の水平の空気軸受は、互いに相対的に、2つの第2の水平の空気軸受が第1の方向で互いに相対的に間隔を有しているように配置されており、2つの第2の水平の空気軸受には、平坦なガイド面の第2のセクションに関して、プリロードが付与されているように形成されている。第2の空気軸受アッセンブリが、2つの(第1の方向で互いに相対的に間隔を置いて配置される)第2の水平の空気軸受を有していることにより、第2の空気軸受アッセンブリは、第2の方向を中心とするガントリビームのねじれ又はトーションに関する、ガントリビームの第2の端部の剛性の向上を可能にし、その結果、第1の方向でのガントリビームの第2の端部の運動は、第2の方向を中心とするガントリビームのねじれ又はトーションに関して安定化されている。剛性の向上は、この場合、第1の方向での2つの第2の水平の空気軸受間の間隔に依存しており、その結果、第1の方向での2つの第2の水平の空気軸受間の間隔が大きく選択されればされるほど、剛性は、通例、大きくなる。
【0040】
ポジショニング装置の別の一実施の形態は、ポジショニング装置が、可動の要素をガントリビームにガイドする、可動の要素に結合される複数の空気軸受を有する第2の空気軸受装置を備えているように形成されている。第2の空気軸受装置は、可動の要素が第2の空気軸受装置の空気軸受により非接触式に、かつ摩擦フリーにガントリビームにのみ(可動の要素が空気軸受によりベースの平坦なガイド面に支持あるいはガイドされる必要なしに)ガイドされ得るという効果を有している。第2の空気軸受装置の空気軸受は、この場合、第2の空気軸受装置の空気軸受のいずれもが、第1の空気軸受装置の空気軸受のいずれかと衝突し得ないように、可動の要素に対して相対的に、かつガントリビームに対して相対的に、かつ第1の空気軸受装置のそれぞれの空気軸受に対して相対的に配置され得る。この目的のために、第2の空気軸受装置の全空気軸受は、ベースの平坦なガイド面に関して1つの高さに布置されることができ、その結果、第2の空気軸受装置の空気軸受は、第1の空気軸受装置の空気軸受より上に配置されている。こうした事情から、第2の空気軸受装置の空気軸受は、可動の要素に、ガントリビームに関して、可動の要素が第2の方向で、第2の空気軸受装置の空気軸受によりガイドされて、実質的に第2の方向でのガントリビームの延在全体に沿って動かされ得るように配置されていることができる。
【0041】
第2の空気軸受装置とガントリビームとは、特に、可動の要素が、第2の空気軸受装置の空気軸受によりガントリビームにガイドされて、リニアに第2の方向でガントリビームに可動であるように形成されていることができる。第2の空気軸受装置の空気軸受とガントリビームとは、この場合、可動の要素用のリニアガイドを、可動の要素がリニアに第2の方向で可動であるように形成する。可動の要素を第2の方向で動かすべく、可動の要素に結合されているリニア駆動部との組み合わせにおけるこのリニアガイドは、ポジショニング装置の「第2のリニア軸」をなしている。
【0042】
ポジショニング装置の前述の実施の形態の一発展形は、ガントリビームが、平坦なガイド面を有し、平坦なガイド面は、第1の方向に対して平行に、かつ第2の方向に対して平行に配置されており、かつガントリビームが、1つの平坦な側面を有し、上記1つの平坦な側面は、第2の方向に対して平行に、かつガントリビームの平坦なガイド面に対して略垂直に配向された第3の方向に対して平行に延在しているように形成されている(「略垂直」なる言い回しは、「第3の方向」が、ガントリビームの平坦なガイド面に対して垂直に配向されているか、又はガントリビームの平坦なガイド面に対して垂直に配向された直線に関して0°~5°の範囲内の傾き角度で傾けられている直線に沿って延在していることを示唆するものである)。この場合、第2の空気軸受装置は、少なくとも1つの第1の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受とを有し、少なくとも1つの第1の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受とは、可動の要素が、第2の空気軸受装置の少なくとも1つの第1の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受とにより、ガントリビームの平坦なガイド面にガイドされており、第2の空気軸受装置の少なくとも1つの第1の水平の空気軸受が、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受に対して相対的に間隔を第2の方向で有しているように、可動の要素に配置されており、第2の空気軸受装置の少なくとも1つの第1の水平の空気軸受及び少なくとも1つの第2の水平の空気軸受には、ガントリビームの平坦なガイド面に関して、プリロードが付与されている。さらに第2の空気軸受装置は、可動の要素に配置される、可動の要素をガントリビームの上記1つの平坦な側面にガイドする少なくとも1つの側方の空気軸受を有し、第2の空気軸受装置の少なくとも1つの側方の空気軸受には、ガントリビームの上記1つの平坦な側面に関して、プリロードが付与されている。
【0043】
前述の実施の形態のこの発展形の場合、可動の要素を第2の方向での運動時にガントリビームの平坦なガイド面上に支持すべく、第2の空気軸受装置の少なくとも1つの第1の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受とが設けられている。第2の空気軸受装置の少なくとも1つの側方の空気軸受は、可動の要素を第2の方向での運動時に側方でガントリビームの上記1つの平坦な側面にガイドするために設けられており、その結果、可動の要素は、リニアに第2の方向で可動である。
【0044】
第2の空気軸受装置のそれぞれの水平の空気軸受及び第2の空気軸受装置のそれぞれの側方の空気軸受は、ガントリビームの平坦なガイド面及びガントリビームの平坦な側面と協働し、可動の要素が、リニアに第2の方向で可動であるように、可動の要素が、第2の空気軸受装置の水平の空気軸受及び側方の空気軸受によりガイドされているようにしている。可動の要素のこのリニアガイドは、可動の要素を第2の方向で動かすべく、可動の要素に結合されているリニア駆動部との組み合わせにおいて、ポジショニング装置の「第2のリニア軸」をなしている。
【0045】
第2の空気軸受装置の少なくとも1つの側方の空気軸受に、ガントリビームの上記1つの平坦な側面に関して、プリロードが付与されていることにより、上記1つの側方の空気軸受は、可動の要素を第2の方向での運動時に側方で十分安定にガイドする、具体的には、単一のガイド面、すなわち、ガントリビームの上記1つの平坦な側面にのみガイドするのに好適である。それゆえ、可動の要素を第2の方向での運動時に十分安定に側方でガイドすることを保証するために、付加的な側方の空気軸受を可動の要素に配置し、可動の要素が、この付加的な側方の空気軸受によって、ガントリビームの前述の1つの平坦な側面とは第1の方向に関して反対側に配置されているガントリビームの第2の側面に、側方でガイドされているようにすることは、不要である。こうして、第2の空気軸受装置の空気軸受が、比較的小さな所要スペースでガントリビームに配置され得ることが保証されている。可動の要素が、ガントリビームに側方で、少なくとも1つの側方の空気軸受によりガントリビームの上記1つの平坦な側面にガイドされているだけであるので、ガントリビームの、上記1つの平坦な側面とは第1の方向で反対側の第2の側面は、この第2の側面が、可動の要素によっても、第2の空気軸受装置の空気軸受の1つによっても覆われておらず、それゆえ、この第2の側面が、この第2の側面にポジショニング装置の所定の機能的な要素(例えば空気軸受に圧縮空気を供給する供給ライン並びに/又は2つの第1のリニア軸のリニア駆動部及び1つの第2のリニア軸のリニア駆動部に電気的なエネルギを供給する電気的なライン)を取り付けるために、スペースを提供するように、自由にアクセス可能であるように構成されていることができる。
【0046】
第2の空気軸受装置の少なくとも1つの第1の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受とが、互いに相対的に間隔を第2の方向で有していることにより、前述の第1の水平の空気軸受と、前述の第2の水平の空気軸受とは、ガントリビームに沿った第2の方向での可動の要素の加速される運動時、第1の方向を中心とする可動の要素のねじれ又はトーションに関する、可動の要素の空間的な位置を安定化させるべく、形成されている。さらに、少なくとも1つの第1の水平の空気軸受、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受及び少なくとも1つの側方の空気軸受は、相俟って、第1の方向での可動の要素の加速される運動時、第2の方向を中心とする可動の要素のねじれ又はトーションに関する、可動の要素の空間的な位置を安定化させるべく、形成されている。
【0047】
上述の発展形の一変化態様において、ポジショニング装置は、第2の空気軸受装置が、可動の要素に配置される、可動の要素をガントリビームの平坦なガイド面にガイドする2つの第1の水平の空気軸受を有し、第2の空気軸受装置の2つの第1の水平の空気軸受は、互いに相対的に間隔を第1の方向で有し、ガントリビームの平坦なガイド面に関して、プリロードが付与されているように形成されていてもよい。代替的又は付加的に、ポジショニング装置は、第2の空気軸受装置が、可動の要素に配置される、可動の要素をガントリビームの平坦なガイド面にガイドする2つの第2の水平の空気軸受を有し、第2の空気軸受装置の2つの第2の水平の空気軸受は、互いに相対的に間隔を第1の方向で有し、ガントリビームの平坦なガイド面に関して、プリロードが付与されているように形成されていてもよい。代替的又は付加的に、ポジショニング装置は、さらに、第2の空気軸受装置が、可動の要素に配置される、可動の要素をガントリビームの上記1つの平坦な側面にガイドする2つの側方の空気軸受を有し、第2の空気軸受装置の2つの側方の空気軸受は、互いに相対的に間隔を第2の方向で有し、ガントリビームの平坦な側面に関して、プリロードが付与されているように形成されていてもよい。第2の空気軸受装置が、前述のように、可動の要素に配置される2つの第1の水平の空気軸受及び/又は可動の要素に配置される2つの第2の水平の空気軸受及び/又は可動の要素に配置される2つの側方の空気軸受を有していることにより、第1の方向での可動の要素の加速される運動時及び/又は第2の方向での可動の要素の加速される運動時、可動の要素の空間的な位置、具体的には、第1の方向を中心とする可動の要素のねじれ又はトーションに関するかつ/又は第2の方向を中心とする可動の要素のねじれ又はトーションに関するかつ/又は第3の方向を中心とする可動の要素のねじれ又はトーションに関する、可動の要素の空間的な位置が、特に効果的に安定化され得ることが達成される。
【0048】
ポジショニング装置のそれぞれの空気軸受に1つの面に関してプリロードが付与されていることを達成すべく、例えば好適な磁気式の手段が提供されてもよく、例えば、第2の空気軸受装置の少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)第1の水平の空気軸受及び少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)第2の水平の空気軸受には、磁気式の手段により、ガントリビームの平坦なガイド面に関して、プリロードが付与されており、かつ/又は第2の空気軸受装置の少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)側方の空気軸受には、磁気式の手段により、ガントリビームの上記1つの平坦な側面に関して、プリロードが付与されているようにしてもよい。この目的のために、例えばガントリビームは、強磁性の素材(例えば鋼)から形成されていてもよく、第2の空気軸受装置の少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)第1の水平の空気軸受及び少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)第2の水平の空気軸受には、それぞれ、永久磁石が設けられていてもよい。ガントリビームの強磁性の素材と、それぞれの空気軸受内に配置される強磁性体との間の相互の磁気吸引に基づき、それぞれの空気軸受に作用する、ガントリビームに向かって配向されたそれぞれの空気軸受のプリロード力が、それぞれ発生される。
【0049】
第1の空気軸受アッセンブリの空気軸受にプリロードを付与すべく、相応に磁気式の手段が提供されてもよく、第1の空気軸受アッセンブリの少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)第1の水平の空気軸受には、磁気式の手段により、ベースの平坦なガイド面の第1のセクションに関して、プリロードが付与されており、かつ/又は第2の空気軸受アッセンブリの少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)第2の水平の空気軸受には、磁気式の手段により、平坦なガイド面の第2のセクションに関して、プリロードが付与されており、かつ/又は第3の空気軸受アッセンブリの少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)第3の水平の空気軸受及び第3の空気軸受アッセンブリの少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)第4の水平の空気軸受には、磁気式の手段により、平坦なガイド面の第3のセクションに関して、プリロードが付与されており、かつ/又は第3の空気軸受アッセンブリの少なくとも1つの(又は代替的にはすべての)側方の空気軸受には、磁気式の手段により、ガイドビームの上記1つの平坦な側面に関して、プリロードが付与されているようにしてもよい。この目的のために、例えば第1の空気軸受装置の1つの水平の(又は代替的にはすべての水平の)空気軸受に、永久磁石が設けられていて、ベースが、強磁性の材料から製作されているか、又は代替的に、少なくとも、ベースの、平坦なガイド面における所定の領域が、強磁性の材料から形成されていてもよい。同様に、例えば第3の空気軸受アッセンブリの側方の空気軸受に、永久磁石が設けられていて、ガイドビームが、強磁性の材料から製作されていてもよい。
【0050】
磁気式の手段による空気軸受のプリロードは、空気軸受の比較的大きなプリロード力が比較的小さな永久磁石により発生されることができ、このことは、有利な形式で、それぞれの空気軸受の配置のために必要とされる所要スペースを減じ、ひいては空気軸受の特にコンパクトな、省スペースな配置のための前提を提供するという利点を有している。
【0051】
磁気式の手段によりプリロードが付与される空気軸受に代えて、真空式にプリロードが付与される空気軸受を使用することが可能であることも自明である。真空式にプリロードが付与される空気軸受は、通例、予め決められた所定のプリロード力の発生を保証するために、(磁気式の手段によりプリロードが付与される空気軸受と比較して)より大きな所要スペースを有している。
【0052】
ポジショニング装置の別の一実施の形態は、第3の空気軸受アッセンブリのすべての第3の水平の空気軸受、第3の空気軸受アッセンブリのすべての第4の水平の空気軸受及び第3の空気軸受アッセンブリのすべての側方の空気軸受が、1つの共通のキャリアに取り付けられており、キャリアが、ガントリビームに取り付けられており、その結果、第3の空気軸受アッセンブリは、キャリアによりガントリビームに保持されているように形成されている。第3の空気軸受アッセンブリの全空気軸受が、1つの共通のキャリアに取り付けられていることにより、第3の空気軸受アッセンブリの空気軸受は、キャリアとともに単一の構成群を形成し、この単一の構成群は、例えば、第3の空気軸受アッセンブリの空気軸受を、ガントリビームに対して相対的に、又はベースの平坦なガイド面に対して相対的に、又はガイドビームに対して相対的に配置すべく、又は第1の方向、第2の方向及び/又は第3の方向に関して方向付けるべく、全体として(1つのユニットとして)取り扱われ得る。このことは、第3の空気軸受アッセンブリの全空気軸受の精緻な空間的な配置を容易にする。キャリアは、加えて、空気軸受に、ポジショニング装置の運転中に必要とされる作動媒体を供給する(例えばそれぞれの空気軸受に圧縮空気を供給する)供給ラインをキャリアに取り付ける可能性を提供し、その結果、第3の空気軸受アッセンブリの空気軸受は、キャリア及びそれぞれの供給ラインとともに単一のコンパクトな構成群として提供され得る。キャリアは、特にハウジングとして形成されていてもよく、ハウジングは、第3の空気軸受アッセンブリの空気軸受のコンポーネント及び/又はこれらの空気軸受に作動媒体を供給する供給ラインを収容するためのものとして定められている。
【0053】
ポジショニング装置の前述の実施の形態の一発展形は、キャリアが、ガントリビームより下に、ガントリビームと平坦なガイド面との間の中間スペース内に配置されているように設計されている。こうして、ガントリビームが、ポジショニング装置の運転中、簡単に、平坦なガイド面に対面した面において、キャリアと、キャリアに配置される空気軸受とを有し、かつ1つのユニットを形成している単一の構成群により支持され、前述の構成群が全体として空気軸受により、ベースの平坦なガイド面にも、ガイドビームの上記1つの平坦な側面にもガイドされており、ひいては滑動要素を形成し、滑動要素が、ガントリビーム、あるいは特にガントリビームの中央のセクションを、非接触式に、かつ摩擦フリーに、ベースの平坦なガイド面に支持及びガイドし、さらに側方で、ガイドビームの上記1つの平坦な側面にガイドするための構造的な前提が提供されている。
【0054】
ポジショニング装置の前述の実施の形態の別の一発展形は、キャリアが、第3の空気軸受アッセンブリのすべての第3の水平の空気軸受、第3の空気軸受アッセンブリのすべての第4の水平の空気軸受及び第3の空気軸受アッセンブリのすべての側方の空気軸受とともに、ガントリビームに対して相対的に、第3の方向で延在する回動軸線回りに回動可能であるように、キャリアが、ガントリビームに回動可能に支承されているように形成されている。キャリアが、第3の方向で延在する回動軸線回りに回動可能であることにより、第3の空気軸受アッセンブリの空間的な位置が、全体として、ポジショニング装置の運転中、ガントリビームに対して相対的に、回動軸線回りのキャリアの回動により変更され得るという可能性が存在する。こうして、第3の空気軸受アッセンブリは、ポジショニング装置の運転中、第1の方向に対して相対的な、ガントリビームの長手方向(第2の方向に相当)の方向付けが変更されるべきとき(例えば、ガントリビームの第1の端部と、ガントリビームの第2の端部とが、同期的にそれぞれ同じ速度で第1の方向で動かされないように、両第1のリニア軸のリニアモータが制御されるべきとき)でも、常にガイドビームの平坦な側面に関して予め決められた安定なポジションに配置されていることができる。こうして、特に第3の空気軸受アッセンブリの側方の空気軸受が、ガイドビームの平坦な側面と衝突してしまうことは、回避され、ひいては、第3の空気軸受アッセンブリの側方の空気軸受は、ガイドビームとの衝突に基づく過負荷あるいは損傷から保護され得る。
【0055】
ポジショニング装置の前述の実施の形態の別の一発展形は、キャリアが、ガントリビームに、1つ又は複数の固体継手から形成されているピボット継手を介して結合されているように形成されている。1つ又は複数の固体継手の使用は、キャリアとガントリビームとの間の摩擦フリーの、かつ遊びなしの相対運動を可能にし、ガントリビームに対して相対的なキャリアの配置を精緻にコントロール可能かつ再現可能に変更する簡単な可能性を提供する。
【0056】
ポジショニング装置の前述の実施の形態の別の一発展形は、第1の固体継手と、第2の固体継手とを備えている。第1の固体継手は、第1の縦長の固体からなり、第1の縦長の固体は、第3の方向に対して平行な第1の平面に沿って、第3の方向に対して垂直に延在しており、第3の方向に対して垂直に配置される長手方向軸線を有し、第1の縦長の固体は、第1の縦長の固体の長手方向軸線の方向で相前後して配置される以下の長手方向セクション:
第1の縦長の固体の第1の端部を形成する第1の端部セクションと;
第1の縦長の固体の第1の端部とは第1の縦長の固体の長手方向軸線の方向で反対側の第1の縦長の固体の第2の端部を形成する第2の端部セクションと;
第1の縦長の固体の第1の端部セクションと第2の端部セクションとの間に配置される中央セクションと;
第1の縦長の固体の第1の端部セクションと中央セクションとの間に配置され、第1の端部セクションと中央セクションとに結合される第1のウェブ部分と;
第2の端部セクションと中央セクションとの間に配置され、第1の縦長の固体の第2の端部セクションと中央セクションとに結合される第2のウェブ部分と;
を有している。
【0057】
第2の固体継手は、第2の縦長の固体からなり、第2の縦長の固体は、第3の方向に対して平行な第2の平面に沿って、第3の方向に対して垂直に延在しており、第3の方向に対して垂直に配置される長手方向軸線を有し、第2の縦長の固体は、第2の縦長の固体の長手方向軸線の方向で相前後して配置される以下の長手方向セクション:
第2の縦長の固体の第1の端部を形成する第1の端部セクションと;
第2の縦長の固体の第1の端部とは第2の縦長の固体の長手方向軸線の方向で反対側の第2の縦長の固体の第2の端部を形成する第2の端部セクションと;
第2の縦長の固体の第1の端部セクションと第2の端部セクションとの間に配置される中央セクションと;
第2の縦長の固体の第1の端部セクションと中央セクションとの間に配置され、第1の端部セクションと中央セクションとに結合される第1のウェブ部分と;
第2の縦長の固体の第2の端部セクションと中央セクションとの間に配置され、第1の縦長の固体の第2の端部セクションと中央セクションとに結合される第2のウェブ部分と;
を有している。
【0058】
その際、キャリアは、ガントリビームに第1の固体継手と第2の固体継手とを介して、第1の縦長の固体の第1の端部セクション及び第1の縦長の固体の第2の端部セクションがキャリアに剛結され、第1の縦長の固体の中央セクションがガントリビームに剛結されているとともに、第2の縦長の固体の第1の端部セクション及び第2の縦長の固体の第2の端部セクションがキャリアに剛結され、第2の縦長の固体の中央セクションがガントリビームに剛結されているように結合されており、第1の平面と第2の平面とは、互いに相対的に、第1の平面と第2の平面とが、第3の方向に対して平行に延在する1つの共通の交線を形成するように傾けられている。第1の固体継手の第1のウェブ部分及び第2のウェブ部分並びに第2の固体継手の第1のウェブ部分及び第2のウェブ部分は、弾性的に変形可能に形成されており、その結果、第1の固体継手の中央セクションは、第1の固体継手の第1の端部セクションと第1の固体継手の第2の端部セクションとに対して相対的に可動であり、かつ第2の固体継手の中央セクションは、第2の固体継手の第1の端部セクションと第2の固体継手の第2の端部セクションとに対して相対的に可動であり、キャリアは、第1の固体継手と第2の固体継手とによりガントリビームに第1の平面と第2の平面との共通の交線回りに回動可能に支承されている。
【0059】
第1の固体継手及び第2の固体継手の配置は、互いに組み合わされて、キャリアが、(第3の空気軸受アッセンブリの、キャリアに配置される全空気軸受とともに)回動可能にガントリビームに、第1の固体継手及び第2の固体継手の配置が、互いに組み合わされて、第1の平面と第2の平面との(第3の方向で延在する)共通の交線回りのガントリビームに対して相対的なキャリアの回動に関して、できる限り小さな回転剛性を有しているように配置されていることを保証することが望ましい。上記事項は、2つの第1のリニア軸の両リニア駆動部が、ガントリビームの両端部を同期的に同じ速度で第1の方向で動かすべきでない場合のために、第3の空気軸受アッセンブリの側方の空気軸受の過負荷、又は第3の空気軸受アッセンブリの側方の空気軸受の、ガイドビームの平坦な側面からの浮き上がりを回避するために用いられる。
【0060】
第3の方向を中心とする、ガントリビームに対して相対的なキャリアの回動に関する、互いに組み合わされた第1の固体継手及び第2の固体継手の配置のできる限り小さな回転剛性は、さらに、キャリアとガントリビームとが、相俟って、第1の固体継手と第2の固体継手とにより連結された1つの系を形成し、この系は、第3の方向を中心とするガントリビームに対して相対的なキャリアの回動に関して、低い固有振動数(例えば30Hz未満の範囲内)を有しているという利点を有している。上記事項は、第1のリニア軸の両リニア駆動部の調整を容易にする。
【0061】
第1の方向でのガントリビームの加速される運動時及び第2の方向での可動の要素の加速される運動時のポジショニング装置の動的な挙動に関して、他方では、キャリアとガントリビームとが、相俟って、第1の固体継手と第2の固体継手とにより連結された1つの系を形成し、この系は、第1の方向でのガントリビームの加速される運動時及び第2の方向での可動の要素の加速される運動時、それぞれ、第1の方向及び/又は第2の方向及び/又は第3の方向でのガントリビームに対して相対的なキャリアの並進に関して、かつ第1の方向及び/又は第2の方向を中心とするガントリビームに対して相対的なキャリアの回転に関して、大きな剛性を有していることは、有利であろう。第1の方向及び/又は第2の方向及び/又は第3の方向でのガントリビームに対して相対的なキャリアの並進、並びに第1の方向及び/又は第2の方向を中心とするガントリビームに対して相対的なキャリアの回転に関する、キャリアとガントリビームとから形成される連結された系の大きな剛性は、第1のリニア軸のリニア駆動部及び第2のリニア軸のリニア駆動部のより迅速な調整を可能にし、第1の方向でのガントリビームの加速される運動時及び第2の方向での可動の要素の加速される運動時の、キャリアあるいはガントリビームの振動挙動を改善し、かつ可動の要素のポジショニングのより高い精度を可能にする。
【0062】
キャリアとガントリビームとから形成される連結された系のその都度の剛性は、主に第1の固体継手及び第2の固体継手の互いに相対的な配置、特に、第2の平面に関する第1の平面の傾きの大きさに依存している。
【0063】
第2の平面に関する第1の平面の傾き(あるいは第2の平面に関する第1の平面の相応の傾き角度)は、第1の固体継手及び第2の固体継手の配置が、結果的に、第3の方向を中心とするガントリビームに対して相対的なキャリアの回動に関しては、キャリアとガントリビームとから形成される連結された系の小さな回転剛性に至り、さらに、第1の方向及び/又は第2の方向でのガントリビームに対して相対的なキャリアの並進並びに第1の方向及び/又は第2の方向を中心とするガントリビームに対して相対的なキャリアの回転に関しては、キャリアとガントリビームとから形成される連結された系の大きな剛性を保証するように、好適に選択され得る。上記事項は、前述の要求に関する受け入れ可能な折衷の意味で、例えば、第1の平面が、第2の平面に関して、30°~90°の範囲内の角度、好ましくは、約60°の角度の分だけ傾けられているとき、達成される。
【0064】
第1の固体継手と第2の固体継手とは、特に、第2の方向に対して平行に、かつ第3の方向に対して平行に延在する第3の平面に関して対称に配置されていてもよい。第1の固体継手及び第2の固体継手のこの配置は、第2の方向での可動の要素の加速時、第2の方向でのガントリビームに対して相対的なキャリアの並進に関して、キャリアとガントリビームとから形成される連結された系の特に大きな剛性を保証する。さらに、第3の平面に関する第1の固体継手及び第2の固体継手の対称の配置は、第1の固体継手と第2の固体継手とに、第2の方向での可動の要素の加速時、それぞれ同じように負荷がかかるという効果を有している。このことは、第1の固体継手と第2の固体継手とが、第2の方向での可動の要素の加速時、第3の方向を中心とするガントリビームに関するキャリアの回動を可能としかねないことを防止し、かつ第2の方向での可動の要素の加速中、ガイドビームに関するキャリアの空間的な位置を安定化させるために用いられる。
【0065】
前述の実施の形態の別の一発展形は、キャリアが、少なくとも1つの中空室を有し、中空室内には、第1の固体継手及び/又は第2の固体継手が配置されているように形成されている。キャリアのこの構成は、第1の固体継手及び/又は第2の固体継手をキャリア内に組み込む可能性を提供し、その結果、第1の固体継手及び/又は第2の固体継手は、第3の方向で少なくとも1つの中空室から突出しないか、又は精々のところ比較的小さな距離しか突出しない。こうして、キャリアとガントリビームとは、第1の固体継手及び/又は第2の固体継手を介して、ガントリビームとキャリアとが第3の空気軸受アッセンブリとともにベースの平坦なガイド面に関して比較的小さな構造高さを有しているように、互いに結合され得る。
【0066】
第1の固体継手及び第2の固体継手の配置は、前述の実施の形態の場合、キャリアが、第1の固体継手と第2の固体継手とにより、ガントリビームに関して静止位置に、キャリアが、第1の平面と第2の平面との共通の交線回りのガントリビームに対して相対的なキャリアの回動により静止位置から可動であるように、保持されているという技術的な効果を有している。キャリアは、この場合、第1の固体継手及び第2の固体継手がそれぞれ未変形の状態にあるとき、静止位置に存在しており、その結果、これらの固体継手の中央セクションの各々は、それぞれ、第1の固体継手あるいは第2の固体継手の第1の端部セクション及び第2の端部セクションに対して相対的に、安定な位置に保持されている。キャリアが、ガントリビームに対して相対的なキャリアの回動により静止位置から動かされるとき、第1の固体継手及び第2の固体継手のウェブ部分は、弾性的に変形され、その結果、第1の固体継手及び第2の固体継手は、相俟って、キャリアに作用する戻し力を発現し、戻し力は、静止位置からのガントリビームの運動に抗して作用する。
【0067】
ポジショニング装置は、好ましくは、静止位置からのキャリアの運動を制限すべく、機械的なストッパとして用いられる1つ又は複数のストッパ要素を備えている。この目的のために、キャリアは、例えば少なくとも1つのストッパ要素であって、キャリアが、ガントリビームに対して相対的に静止位置に配置されているとき、ストッパ要素が、第1の固体継手の中央セクションに対して間隔を有し、かつストッパ要素が、第1の平面と第2の平面との共通の交線回りの予め決められた最大の回動角度のキャリアの回動により、第1の固体継手の中央セクションと接触に至ることが可能であり、その結果、第1の固体継手の中央セクションが、キャリアの回動を制限する機械的なストッパをキャリアのために形成するように配置されているストッパ要素を有していてもよい。代替的又は付加的に、キャリアは、少なくとも1つのストッパ要素であって、キャリアが、ガントリビームに対して相対的に静止位置に配置されているとき、ストッパ要素が、第2の固体継手の中央セクションに対して間隔を有し、かつストッパ要素が、第1の平面と第2の平面との共通の交線回りの予め決められた最大の回動角度のキャリアの回動により、第2の固体継手の中央セクションと接触に至ることが可能であり、その結果、第2の固体継手の中央セクションが、キャリアの回動を制限する機械的なストッパをキャリアのために形成するように配置されているストッパ要素を有していてもよい。こうして、第1の固体継手及び第2の固体継手の機械的な過負荷は、回避され得る。
【0068】
ポジショニング装置のリニア駆動部として、例えばリニアモータが好適である。ポジショニング装置は、例えば、2つの第1のリニア軸の各リニア駆動部が、リニアモータであり、かつ/又は1つの第2のリニア軸のリニア駆動部が、リニアモータであるように形成されていてもよい。別の構造形態のリニア駆動部、例えばねじ山付きスピンドルを有するリニア駆動部又はボールねじ機構又はローラねじ機構が、原理的に同じく好適である。
【0069】
本発明のさらなる詳細と、特に本発明に係るポジショニング装置の例示的な実施の形態とについて、以下に添付の図面を基に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】ベースであって、X軸に対して平行に、かつY軸に対して平行に延在する平坦なガイド面を有するベースと、ガントリ構造形式の運動装置であって、Y軸の方向で延在し、複数の空気軸受を有する第1の空気軸受装置によりベースの平坦なガイド面にガイドされるガントリビームと、ガントリビームをX軸の方向で動かすガントリ駆動部とを有する運動装置と、可動の要素であって、複数の空気軸受を有する第2の空気軸受装置によりガントリビームにガイドされ、リニアにY軸の方向で可動である可動の要素と、を備える本発明に係るポジショニング装置の一実施の形態を、3つの軸X,Y,Z(X軸、Y軸、Z軸)を有する座標系に関して示す斜視図である。
図2図1に示すポジショニング装置の、Z軸の方向での平面図である。
図3】第1の空気軸受装置の一実施の形態の第1の空気軸受アッセンブリ、第2の空気軸受アッセンブリ及び第3の空気軸受アッセンブリが特に看取可能な、図1に示すポジショニング装置の斜視分解立体図である。
図4】ガントリ構造形式の運動装置の部材と、図3に示す第1の空気軸受装置の第1の空気軸受アッセンブリ及び第2の空気軸受アッセンブリとの斜視分解立体図である。
図5】ガントリ構造形式の運動装置の部材と、図3に示す第1の空気軸受装置の第1の空気軸受アッセンブリ、第2の空気軸受アッセンブリ及び第3の空気軸受アッセンブリとの、図4とは別の視点から見た斜視分解立体図である。
図6図3に示す第1の空気軸受装置の第3の空気軸受アッセンブリを、第3の空気軸受アッセンブリをガントリビームに支承する2つの固体継手とともに示す斜視分解立体図である。
図7A図6に示す2つの固体継手のうちの一方の固体継手の斜視図である。
図7B図7Aに示す固体継手の、Z軸の方向での平面図である。
図8図3に示す第1の空気軸受装置の第3の空気軸受アッセンブリの斜視拡大図である。
図9図8に示す第1の空気軸受装置の第3の空気軸受アッセンブリの、Z軸の方向での平面図である。
図10】可動の要素と、可動の要素をガントリビームにガイドする、複数の空気軸受を有する第2の空気軸受装置の一実施の形態との斜視図である。
図11図1に示すポジショニング装置の、X軸に沿った側面図であって、ポジショニング装置の第1の面を示す図である。
図12図11に示すポジショニング装置の、X軸に沿った側面図であって、図11とは別の視点からの、(ポジショニング装置の第1の面とはX軸に関して反対側の)ポジショニング装置の第2の面を示す図である。
図13図1に示すポジショニング装置の、Y軸に対して垂直な横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
特に断りのない限り、図中の同じ要素には、それぞれ、同じ符号を使用する。
【0072】
図1~13は、可動の要素5をポジショニングする本発明に係るポジショニング装置1(あるいはこのポジショニング装置1の部材)を示している。可動の要素5は、本例では、可動のプラットフォームあるいは可動のテーブルとして設計されており、可動のプラットフォームあるいは可動のテーブルは、例えば、ポジショニング装置1により可動の要素5とともにポジショニングされるべき対象を布置可能な載置面を有している。
【0073】
図1は、ポジショニング装置1を斜視図で、図1に示す3つの軸X,Y,Z(X軸、Y軸、Z軸)を有する座標系に関して示しており、図2、11~13は、同じポジショニング装置1を、別の視点から見た別の図で、特にZ軸(図2)、X軸(図11、12)及びY軸(図13)に沿った図で示している。
【0074】
図1~3及び11~13から看取可能であるように、ポジショニング装置1は、ベースBを備え、ベースBは、例えばグラナイトからなるプレートとして実現されていてもよく、本例では、上側の面に平坦なガイド面FFを有し、平坦なガイド面FFは、第1の方向(図1に示すX軸の方向に相当。以下に「第1の方向X」という)に対して平行に、かつ第2の方向(図1に示すY軸の方向に相当。以下に「第2の方向Y」という)に対して平行に配置されている。
【0075】
ポジショニング装置1は、可動の要素5をベースBの平坦なガイド面FFに対して平行に第1の方向X及び/又は第2の方向Yで動かし、その際、予め決められたポジションにそれぞれサブマイクロメートル領域(すなわち1μm未満)の精度でポジショニングすべく、設計されている。迅速なポジショニングを可能にすべく、可動の要素5を比較的大きな加速度(2g以上)で第1の方向X及び/又は第2の方向Yで動かすことができるようにしてある。
【0076】
この目的のために、ポジショニング装置1は、ガントリ構造形式の第1の運動装置10を備え、第1の運動装置10は、平坦なガイド面FFの上方に配置される、平坦なガイド面FFに対して間隔を置いて第2の方向Yで延在するガントリビーム15と、ガントリビーム15をベースBに対して相対的に第1の方向Xで動かすガントリ駆動部GAとを有している。ガントリビーム15は、第2の方向Yで延在する長手方向軸線を有し、この長手方向軸線に関して、第1の端部15.1と、第1の端部15.1とは反対側の第2の端部15.2とを有し、ガントリ駆動部GAは、第1の方向Xで延在する2つの第1のリニア軸X1あるいはX2を有し、第1のリニア軸X1あるいはX2は、各1つのリニア駆動部LMX1あるいはLMX2を有している。この場合、一方の第1のリニア軸X1のリニア駆動部LMX1は、ガントリビーム15の第1の端部15.1に結合されており、その結果、ガントリビーム15の第1の端部15.1は、リニア駆動部LMX1により第1の方向Xで可動である。相応に、他方の第1のリニア軸X2のリニア駆動部LMX2は、ガントリビーム15の第2の端部15.2に結合されており、その結果、ガントリビーム15の第2の端部15.2は、リニア駆動部LMX2により同じく第1の方向Xで可動である。
【0077】
本例において、リニア駆動部LMX1及びLMX2は、それぞれ、従来慣用のリニアモータとして形成されている。これに応じて、(リニアモータとして形成される)リニア駆動部LMX1は、リニアに第1の方向Xで延在していて、ベースBに取り付けられている固定子20Aと、固定子20Aに対して相対的に第1の方向Xで可動の、アダプタプレート15aを介してガントリビーム15の第1の端部15.1に取り付けられている可動子20Bとを有している。相応に、(リニアモータとして形成される)リニア駆動部LMX2は、リニアに第1の方向Xで延在していて、ベースBに取り付けられている固定子21Aと、固定子21Aに対して相対的に第1の方向Xで可動の、アダプタプレート15bを介してガントリビーム15の第2の端部15.2に取り付けられている可動子21Bとを有している。
【0078】
リニア駆動部LMX1の固定子20Aも、リニア駆動部LMX2の固定子21Aも、第1の方向Xに対して垂直な横断面内に、それぞれ1つの略U字形の輪郭を有し、それぞれ1つの略U字形の輪郭は、相並んで配置される2つの脚片を有し、これらの脚片は、それぞれ、第1の方向Xでそれぞれの固定子20Aあるいは20Bの全長にわたって延在する間隙を画定し、すなわち、固定子20Aの場合は、間隙SX1を画定し、固定子21Aの場合は、間隙SX2を画定している。従来慣用のリニアモータの場合に一般的であるように、固定子20Aは、固定子20Aの間隙SX1内に静磁界を提供する手段を有し、固定子21Aは、固定子21Aの間隙SX2内に静磁界を提供する手段を有している。相応に、リニア駆動部LMX1の可動子20Bは、交流電流を供給可能な、交番磁界を発生させる(図面には示さない)コイルを有しているとともに、空間的に、可動子20Bのコイルを有する可動子20Bのセクション20B-1が、固定子20Aの間隙SX1内に突入し、かつ可動子20Bが、第1の方向Xでこの間隙SX1内を、第1の方向Xでの固定子20Aの延在寸法に相当する距離にわたって可動であるように延在している。相応に、リニア駆動部LMX2の可動子21Bは、交流電流を供給可能な、交番磁界を発生させる(図面には示さない)コイルを有しているとともに、空間的に、可動子21Bのコイルを有する可動子21Bのセクション21B-1が、固定子21Aの間隙SX2内に突入し、かつ可動子21Bが、第1の方向Xでこの間隙SX2内を、第1の方向Xでの固定子21Aの延在寸法に相当する距離にわたって可動であるように延在している。第1の方向Xでのガントリビーム15の動きを制御すべく、両第1のリニア軸X1あるいはX2のリニア駆動部LMX1及びLMX2は、互いに独立的に(図面には示さない)制御装置により動作制御可能である。
【0079】
両第1のリニア軸X1あるいはX2の省スペースな配置を達成すべく、図1に示すポジショニング装置1の本実施の形態のリニア駆動部LMX1及びLMX2の固定子は、固定子20Aの間隙SX1も、固定子21Aの間隙SX2も、さらに可動子20Bも、可動子21Bも、第1の方向Xに対して平行に、かつベースBの平坦なガイド面FFに対して垂直に配置されている一平面に対して略平行に延在しているように配置されており、その結果、固定子20Aの間隙SX1も、固定子21Aの間隙SX2も、さらに可動子20Bも、可動子21Bも、それぞれ、第2の方向Yに、平坦なガイド面FFに対して垂直な方向での延在寸法より大幅に小さい延在寸法を有している。両第1のリニア軸X1あるいはX2のこの配置は、第1の方向Xに対して平行に、かつ第2の方向Yに対して平行に延在する一平面内におけるできる限り小さい底面の要求に関して有利であり、とりわけ、両リニア駆動部LMX1及びLMX2の各々は、固定子20A及び21Aのそれぞれの構造と、可動子20B及び21Bの構造とに基づいて、前述の配置では、平坦なガイド面FFに対して垂直に、第2の方向Yでのそれぞれのリニア駆動部LMX1あるいはLMX2の延在寸法より複数倍大きい(典型的には2倍より大きい)延在寸法を有している。上記事項は、特に図1、2、11及び12におけるポジショニング装置1の図示を基に明瞭に看取可能である。両第1のリニア軸X1あるいはX2の前述の配置は、それゆえ、第2の方向Y(ガントリビーム15の長手方向に相当)の方向に特に小さな空間的な延在寸法を有し、特に両第1のリニア軸X1あるいはX2の配置に関して最小化されているポジショニング装置1の構造を可能にする。
【0080】
図1~3に略示するように、可動の要素5は、可動の要素5がガントリビーム15にリニアに第2の方向Yで可動であるように、ガントリビーム15に支承されており、ガントリビーム15は、第2の方向Yで延在する1つの第2のリニア軸Y1を有し、第2のリニア軸Y1は、可動の要素5に結合される、可動の要素5を第2の方向Yで動かすリニア駆動部LMYを有している。
【0081】
本例において、第2のリニア軸Y1のリニア駆動部LMYは、同じく従来慣用のリニアモータとして形成されており、(リニア駆動部LMX1及びLMX2の構造と同様に)リニアに第2の方向Yで延在している固定子100Aであって、ガントリビーム15の上側の面に取り付けられており、第2の方向Yで第1の端部15.1と第2の端部15.2との間でガントリビーム15の全長にわたって延在している固定子100Aと、固定子100Aに対して相対的に第2の方向Yで可動の、可動の要素5に取り付けられている可動子100Bとを有している。
【0082】
リニア駆動部LMYの固定子100Aは、第2の方向Yに対して垂直な横断面内に、略U字形の輪郭を有し、略U字形の輪郭は、相並んで配置される2つの脚片を有し、これらの脚片は、それぞれ、第2の方向Yで固定子100Aの全長にわたって延在する間隙SYを画定している。固定子100Aは、固定子100Aの間隙SY内に静磁界を提供する手段を有している。相応に、リニア駆動部LMYの可動子100Bは、交流電流を供給可能な、交番磁界を発生させる(図面には示さない)コイルを有しているとともに、空間的に、可動子100Bのコイルを有する可動子100Bのセクション100B-1が、固定子100Aの間隙SY内に突入し、かつ可動子100Bが、第2の方向Yでこの間隙SY内を、第2の方向Yでの固定子100Aの延在寸法に相当する距離にわたって可動であるように延在している。第2の方向Yでの可動の要素5の動きを制御すべく、リニア駆動部LMYは、(図面には示さない)制御装置により動作制御可能である。
【0083】
第2のリニア軸Y1の省スペースな配置を達成すべく、図1に示すポジショニング装置1の本実施の形態のリニア駆動部LMYの固定子100Aは、固定子100Aの間隙SYも、可動子100Bも、ベースBの平坦なガイド面FFに対して平行に配置されている一平面に対して略平行に延在しているように配置されており、その結果、固定子100Aの間隙SYも、可動子100Bも、第1の方向Xに、ベースBの平坦なガイド面FFに対して垂直な方向での延在寸法より大幅に大きい延在寸法を有している。
【0084】
付加的に、ガントリビーム15と、リニア駆動部LMYの固定子100Aとが、相俟って、ベースBの平坦なガイド面FFに対して垂直に、できる限り小さな延在寸法を有することを達成すべく、ガントリビーム15は、ガントリビーム15の上側の面に、第2の方向Yでガントリビーム15の全長にわたって延在する(特に図1、5及び13に看取可能な)トレンチ形の、Z軸の方向の凹部VYを有している。この凹部は、第2の方向Yに対して垂直な一平面に関して長方形の横断面積を有し、下側の面において、第1の方向Xに対して平行に、かつ第2の方向Yに対して平行に延在する平坦な底面GVYにより画定されている。図1、5及び13に看取可能であるように、固定子100Aは、凹部VYの平坦な底面GVY上に布置されており、その結果、こうして、平坦なガイド面FFに関する固定子100Aの高さは、減じられている。リニア軸Y1の前述の配置は、それゆえ、ベースBの平坦なガイド面FFに対して垂直な方向に、特に小さな空間的な延在寸法を有しているポジショニング装置1の構造を可能にする。
【0085】
ガントリビーム15における可動の要素5の支承に関するさらなる詳細と、可動の要素5における可動子100Bの配置に関する詳細とについて、以下にさらに、特に図10との関連において説明する。
【0086】
図1に略示するように、ポジショニング装置1は、ガントリビームをベースBの平坦なガイド面FFにガイドする、ガントリビーム15に結合される複数の空気軸受を有する第1の空気軸受装置LL1を備えている。図1から看取可能であるように、第1の空気軸受装置LL1は、第1の空気軸受アッセンブリ30を有し、第1の空気軸受アッセンブリ30は、ガントリビーム15の第1の端部15.1に配置される、ガントリビーム15の第1の端部15.1を、平坦なガイド面FFの、第1の方向Xで延在する第1のセクションFF1にガイドする少なくとも1つの第1の水平の空気軸受を有している。付加的に第1の空気軸受装置LL1は、第2の空気軸受アッセンブリ35を有し、第2の空気軸受アッセンブリ35は、ガントリビーム15の第2の端部15.2に配置される、ガントリビーム15の第2の端部15.2を、平坦なガイド面FFの、第1の方向Xで延在する第2のセクションFF2にガイドする少なくとも1つの第2の水平の空気軸受を有している。第1の空気軸受アッセンブリ30及び第2の空気軸受アッセンブリ35のそれぞれの空気軸受は、ガントリビーム15を、それぞれ、ガントリビーム15の第1の端部15.1における一部セクションと、ガントリビーム15の第2の端部15.2における一部セクションとにおいて、平坦なガイド面FF上に支持あるいはガイドする役割を有している。第1の空気軸受アッセンブリ30及び第2の空気軸受アッセンブリ35の詳細について、以下にさらに、特に図3~5との関連において説明する。
【0087】
図1にさらに略示するように、第1の空気軸受装置LL1は、付加的に第3の空気軸受アッセンブリ50を有し、第3の空気軸受アッセンブリ50は、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とを有し、少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とは、ガントリビーム15の第1の端部15.1と、ガントリビーム15の第2の端部15.2との間の、ガントリビーム15の「中央のセクション」に配置されており、その結果、ガントリビーム15の「中央のセクション」は、第3の水平の空気軸受と第4の水平の空気軸受とにより、平坦なガイド面FFの、第1の方向Xで延在し、第2の方向Yに関して、平坦なガイド面FFの第1のセクションFF1と、平坦なガイド面の第2のセクションFF2との間に配置されている第3のセクションFF3にガイドされている。前述の少なくとも1つの第3の水平の空気軸受と、前述の少なくとも1つの第4の水平の空気軸受とに関する第3の空気軸受アッセンブリ50の詳細について、以下にさらに、特に図3、5及び6との関連において説明する。
【0088】
ガントリビーム15の「中央のセクション」とは、この関連において、ガントリビーム15の、第2の方向Yで延在する1つの長手方向セクションであって、第2の方向Yで、第2の方向Yでのガントリビーム15の延在寸法の最大で50%である長さにわたって延在し、かつガントリビーム15の第1の端部15.1と、ガントリビーム15の第2の端部15.2とに関して、それぞれ、第2の方向Yでのガントリビーム15の延在寸法の少なくとも25%である間隔を第2の方向Yで有している長手方向セクションと見なされるべきである。
【0089】
図1にさらに示すように、ベースBには、平坦なガイド面FFの第3のセクションFF3の横に、第1の方向Xで延在するガイドビームFBが配置されており、ガイドビームFBは、1つの平坦な側面SFを有し、上記1つの平坦な側面SFは、第1の方向Xに対して平行に、かつ平坦なガイド面FFに対して略垂直に配向された第3の方向(図1に示すZ軸の方向に相当、以下に「第3の方向Z」という)に対して平行に延在している。さらに第3の空気軸受アッセンブリ50は、ガントリビーム15の中央のセクションに配置される、ガントリビームをガイドビームFBの上記1つの平坦な側面SFにガイドする少なくとも1つの側方の空気軸受を有している。前述の少なくとも1つの側方の空気軸受に関する第3の空気軸受アッセンブリ50の詳細について、以下にさらに、特に図3、5及び6との関連において説明する。
【0090】
以下にさらに詳しく説明するように、本例では、第3の空気軸受アッセンブリ50の全空気軸受は、1つのユニットを形成してガントリビーム15に取り付けられる「構成群」の構成部分であり、この構成群は、ガントリビーム15より下に、ガントリビーム15と平坦なガイド面FFとの間の中間スペース内に配置されており、ガントリビーム15を、ガントリビーム15の中央のセクションの領域内で、第3の空気軸受アッセンブリ50の水平の空気軸受により、平坦なガイド面FFの第3のセクションFF3の領域内で支持あるいはガイドするとともに、第1の方向Xでの運動時、側方で、第3の空気軸受アッセンブリ50の少なくとも1つの側方の空気軸受により、ガイドビームFBの平坦な側面SFにガイドする役割を有している。前述の構成群は、これに応じて、ガントリビーム15に取り付けられる「滑動要素」GEを形成し、滑動要素GEは、ポジショニング装置1の運転中、非接触式に、平坦なガイド面FFの第3のセクションFF3に載って、かつガイドビームFBの平坦な側面SFに沿って、具体的には、第3の空気軸受アッセンブリ50のそれぞれの水平の空気軸受により、滑動要素GEと平坦なガイド面FFの第3のセクションFF3との間で発生可能であるエアクッションに載って、かつ第3の空気軸受アッセンブリ50のそれぞれの側方の空気軸受により、滑動要素GEとガイドビームFBの平坦な側面SFとの間で発生可能であるエアクッションに沿って、第1の方向Xで滑動するように形成されている。滑動要素GEのさらなる構造的な詳細と、ガントリビーム15における滑動要素GEの配置とについて、以下にさらに、特に図6、8及び9との関連において説明する。
【0091】
図1に略示するように、ガントリビーム15は、上側の(ベースBの平坦なガイド面FFから背離した)面に、2つの平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2を有し、ガイド面FFG1あるいはFFG2は、それぞれ、ガントリビーム15の上側の面に第2の方向Yでガントリビーム15の全長にわたってガントリビーム15の第1の端部15.1と第2の端部15.2との間にそれぞれ、ガントリビーム15の上側の面に形成されるトレンチ形の凹部VYに対して平行に延在し、その結果、2つの平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2は、第1の方向Xに関して、トレンチ形の凹部VYの互いに反対側に配置されている。2つの平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2は、この場合、それぞれ、第1の方向Xに対して平行に、かつ第2の方向Yに対して平行に配置されている。
【0092】
図1にさらに略示するように、ガントリビーム15は、さらに、第1の方向Xに関して互いに反対側の2つの面に、それぞれ、平坦な側面SFG1あるいはSFG2を有しており、側面SFG1あるいはSFG2は、第2の方向Yに対して平行に、かつガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2に対して略垂直にガントリビーム15の全長にわたって第2の方向Yで延在している。
【0093】
図1に可視であるように、ポジショニング装置1は、さらに、可動の要素5をガントリビーム15にガイドする、可動の要素5に結合される複数の空気軸受を有する第2の空気軸受装置LL2を備えている。第2の空気軸受装置LL2のそれぞれの空気軸受は、可動の要素5をガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2に支持及びガイドするとともに、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2にガイドすべく、形成されている。第2の空気軸受装置LL2のさらなる構造的な詳細について、以下にさらに、特に図10との関連において説明する。
【0094】
付言すると、第1の空気軸受装置LL1のすべての水平の空気軸受には、ベースBの平坦なガイド面FFに関して、そして第1の空気軸受装置LL1のすべての側方の空気軸受には、ガイドビームFBの平坦な側面SFに関して、プリロードが付与されている。相応に、第2の空気軸受装置LL2のすべての空気軸受には、ガントリビーム15の平坦なガイド面の一方FFG1あるいはFFG2に関して、又はガントリビーム15の平坦な側面SFG2に関して、プリロードが付与されている。それぞれの空気軸受のプリロードには、本例では、磁気式の手段が用いられ、磁気式の手段について、以下にさらに、特に図4~6及び10との関連において説明する。
【0095】
図3~5に関して、以下に第1の空気軸受装置LL1の第1の空気軸受アッセンブリ30及び第2の空気軸受アッセンブリ35の詳細について説明する。本例において、第1の空気軸受装置LL1の第1の空気軸受アッセンブリ30は、ガントリビーム15の第1の端部15.1をベースBの平坦なガイド面FFの第1のセクションFF1にガイドする2つの第1の水平の空気軸受31あるいは32を有している。第1の水平の空気軸受31は、ガントリビーム15に取り付けられている軸受キャリア31aと、軸受キャリア31aに配置されていて、圧縮空気の放出用として定められたフロント面を有する圧縮空気パッド31bとを有し、フロント面は、ベースBの平坦なガイド面FFに対して略平行に延在している。相応に第1の水平の空気軸受32は、ガントリビーム15に取り付けられている軸受キャリア32aと、軸受キャリア32aに配置されていて、圧縮空気の放出用として定められたフロント面を有する圧縮空気パッド32bとを有し、フロント面は、ベースBの平坦なガイド面FFに対して略平行に延在している。圧縮空気パッド31bの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面と、圧縮空気パッド32bの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面とは、本例では、円形面の形態を呈している(ただし、これらのフロント面の、円形面とは逸脱した形態が、この関連において重要な、2つの第1の水平の空気軸受31あるいは32の技術的な機能に関して、原理的に好適であることもあろう)。2つの第1の水平の空気軸受31あるいは32は、互いに相対的に、第1の水平の空気軸受31と第1の水平の空気軸受32とが、互いに相対的に間隔を第1の方向Xで有しているように配置され、本例では、空気軸受パッド31b及び32bが、第1の方向Xに関してガントリビーム15の互いに反対側の縁部に配置されているように、配置されている(図4から看取可能)。
【0096】
2つの第1の水平の空気軸受31あるいは32が互いに相対的に第1の方向Xで間隔を置いて配置されていることにより、2つの第1の水平の空気軸受31あるいは32は、ポジショニング装置1の運転中、平坦なガイド面FFにおけるガントリビーム15の第1の端部15.1の、第2の方向Yを中心とするガントリビーム15のねじれ又はトーションに関して相対的に剛性的である支承を保証するのに好適であり、その結果、第1の方向Xでのガントリビーム15の第1の端部15.1の運動は、第2の方向Yを中心とするガントリビームのねじれ又はトーションに関して安定化されている。
【0097】
付言すると、第1の空気軸受装置LL1は、本発明の範囲内において、必ずしも、ガントリビーム15の第1の端部15.1をベースBの平坦なガイド面FFの第1のセクションFF1にガイドする2つの第1の水平の空気軸受31あるいは32を有している必要はない。2つの第1の水平の空気軸受31あるいは32は、単一の圧縮空気パッドを有する単一の水平の空気軸受、特に、1つの圧縮空気パッドを有し、その圧縮空気パッドの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面が、第1の方向Xに、第2の方向Yでの延在寸法より大きな延在寸法を有している単一の水平の空気軸受により置換されてもよい。
【0098】
第1の空気軸受アッセンブリ30の構造に類似して、第1の空気軸受装置LL1の第2の空気軸受アッセンブリ35は、本例では、ガントリビーム15の第2の端部15.2をベースBの平坦なガイド面FFの第2のセクションFF2にガイドする2つの第2の水平の空気軸受36あるいは37を有している。第2の水平の空気軸受36は、ガントリビーム15に取り付けられている軸受キャリア36aと、軸受キャリア36aに配置されていて、圧縮空気の放出用として定められたフロント面を有する圧縮空気パッド36bとを有し、フロント面は、ベースBの平坦なガイド面FFに対して略平行に延在している。相応に第2の水平の空気軸受37は、ガントリビーム15に取り付けられている軸受キャリア37aと、軸受キャリア37aに配置されていて、圧縮空気の放出用として定められたフロント面を有する圧縮空気パッド37bとを有し、フロント面は、ベースBの平坦なガイド面FFに対して略平行に延在している。圧縮空気パッド36bの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面と、圧縮空気パッド37bの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面とは、本例では、円形面の形態を呈している(ただし、これらのフロント面の、円形面とは逸脱した形態が、この関連において重要な、2つの第2の水平の空気軸受36あるいは37の技術的な機能に関して、原理的に好適であることもあろう)。2つの第2の水平の空気軸受36あるいは37は、互いに相対的に、第2の水平の空気軸受36と第2の水平の空気軸受37とが、互いに相対的に間隔を第1の方向Xで有しているように配置され、本例では、空気軸受パッド36b及び37bが、第1の方向Xに関してガントリビーム15の互いに反対側の縁部に配置されているように、配置されている(図4から看取可能)。
【0099】
2つの第2の水平の空気軸受36あるいは37が互いに相対的に第1の方向Xで間隔を置いて配置されていることにより、2つの第2の水平の空気軸受36あるいは37は、ポジショニング装置1の運転中、平坦なガイド面FFにおけるガントリビーム15の第2の端部15.2の、第2の方向Yを中心とするガントリビーム15のねじれ又はトーションに関して相対的に剛性的である支承を保証するのに好適であり、その結果、第1の方向Xでのガントリビーム15の第2の端部15.2の運動は、第2の方向Yを中心とするガントリビームのねじれ又はトーションに関して安定化されている。
【0100】
付言すると、第1の空気軸受装置LL1は、本発明の範囲内において、必ずしも、ガントリビーム15の第2の端部15.2をベースBの平坦なガイド面FFの第2のセクションFF2にガイドする2つの第2の水平の空気軸受36あるいは37を有している必要はない。2つの第2の水平の空気軸受36あるいは37は、単一の圧縮空気パッドを有する単一の水平の空気軸受、特に、1つの圧縮空気パッドを有し、その圧縮空気パッドの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面が、第1の方向Xに、第2の方向Yでの延在寸法より大きな延在寸法を有している単一の水平の空気軸受により置換されてもよい。
【0101】
図3、5及び6に関して、以下に滑動要素GEの詳細について、第3の空気軸受アッセンブリ50の空気軸受との関連において説明する。特に図6から看取可能であるように、滑動要素GEは、主要な構成部分としてキャリア70を有し、キャリア70は、第3の空気軸受アッセンブリ50の空気軸受をガントリビーム15に関して予め決められたポジションに保持すべく、第3の空気軸受アッセンブリ50の空気軸受を収容し、かつガントリビーム15に取り付けられるために用いられるものとして定められている。キャリア70は、本例では、2つのパーツからなるハウジングとして形成されており、複数の中空室を有する基体71と、カバープレート72とを有し、カバープレート72は、基体71、特に基体71内に形成される中空室を、基体71の、平坦なガイド面FFから背離した上面において被覆すべく、基体71上に載置されるために用いられるものとして定められている。
【0102】
基体71とカバープレート72とは、それぞれ、フラットな平坦なプレートの形態を呈し、その結果、基体71とカバープレート72とから形成されるキャリア70は、同じく平坦なプレートの形態を呈している。図3、5、11及び12から看取可能であるように、キャリア70は、ガントリビーム15に、キャリア70が、ガントリビーム15より下に、ガントリビーム15と、平坦なガイド面FFの第3のセクションFF3との間の中間スペース内に、ベースBの平坦なガイド面FFに対して平行に、かつガイドビームFBの平坦な側面SFに対して平行に延在するように装着されている。
【0103】
図6から看取可能であるように、第3の空気軸受アッセンブリ50は、本例では、キャリア70の基体71の、ベースBの平坦なガイド面FFに対面した下面に配置されている、ガントリビーム15の中央のセクションを平坦なガイド面FFの第3のセクションFF3にガイドする計4つの水平の空気軸受、具体的には、2つの第3の水平の空気軸受51あるいは52と、2つの第4の水平の空気軸受53あるいは54とを有している。2つの第3の水平の空気軸受51あるいは52は、各1つの圧縮空気パッド51aあるいは52aを有し、圧縮空気パッド51a及び52aは、圧縮空気の放出用として定められたそれぞれ1つのフロント面を有し、フロント面は、ベースBの平坦なガイド面FFに対して略平行に延在している。相応に、2つの第4の水平の空気軸受53あるいは54は、各1つの圧縮空気パッド53aあるいは54aを有し、圧縮空気パッド53a及び54aは、圧縮空気の放出用として定められたそれぞれ1つのフロント面を有し、フロント面は、ベースBの平坦なガイド面FFに対して略平行に延在している。
【0104】
圧縮空気パッド51a,52a,53aあるいは54aの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面は、本例では、円形面の形態を呈している(ただし、これらのフロント面の、円形面とは逸脱した形態が、この関連において重要な、2つの第3の水平の空気軸受51あるいは52及び2つの第4の水平の空気軸受53あるいは54の技術的な機能に関して、原理的に好適であることもあろう)。
【0105】
図6から看取可能であるように、2つの第3の水平の空気軸受51及び52は、互いに相対的に、2つの第3の水平の空気軸受51及び52が互いに相対的に間隔を第2の方向Yで有しているように配置されており、かつ2つの第4の水平の空気軸受53及び54は、互いに相対的に、2つの第4の水平の空気軸受53及び54が互いに相対的に同じく間隔を第2の方向Yで有しているように配置されている。2つの第3の水平の空気軸受51及び52は、他方、2つの第4の水平の空気軸受53及び54に対して相対的に、2つの第3の水平の空気軸受51及び52の各々が、2つの第4の水平の空気軸受53及び54の各々に対してそれぞれ1つの間隔を第1の方向Xで有しているように配置されている。
【0106】
図6から看取可能であるように、第3の空気軸受アッセンブリ50は、本例では、ガントリビーム15をガイドビームFBの平坦な側面SFにガイドする2つの側方の空気軸受55あるいは56を有し、2つの側方の空気軸受55及び56は、互いに相対的に、2つの側方の空気軸受55及び56が互いに相対的に間隔を第1の方向Xで有しているように配置されている。側方の空気軸受55は、圧縮空気パッド55aを有し、側方の空気軸受56は、圧縮空気パッド56aを有し、両圧縮空気パッド55a及び56aは、それぞれ、キャリア70の基体71の、ガイドビームFBの平坦な側面SFに対面した面に配置されており、圧縮空気の放出用として定められたそれぞれ1つのフロント面を有し、フロント面は、ガイドビームFBの平坦な側面SFに対して略平行に延在している。圧縮空気パッド55a及び56aの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面は、本例では、略長方形の面の形態を呈している(これらのフロント面の、長方形の面とは逸脱した形態が、この関連において重要な、2つの側方の空気軸受55あるいは56の技術的な機能に関して、原理的に好適であることもあろう)。
【0107】
図6から看取可能であるように、キャリア70の基体71内には、基体71の、ガントリビーム15に対面した上面に、2つの縦長の略直方体形の中空室71Aあるいは71Bが形成されており、中空室71Aあるいは71Bは、それぞれ、第3の方向Zに対して垂直にあるいはベースBの平坦なガイド面FFに対して平行に延在する長手方向軸線を有し、第1の方向Xに関して、縦長の中空室71Aと、縦長の中空室71Bとが、互いに相対的に間隔を第1の方向Xで有しているように配置されている。図6に略示するように、縦長の中空室71A及び71Bは、第1の固体継手80Aあるいは第2の固体継手80Bを収容するために用いられ、第1の固体継手80Aは、中空室71A内に装入されるためのものとして定められており、第2の固体継手80Bは、中空室71B内に装入されるためのものとして定められており、2つの固体継手80Aあるいは80Bは、キャリア70とガントリビーム15との間の結合を形成するために設けられており、この結合は、滑動要素GEが、2つの固体継手80Aあるいは80Bを介して、ガントリビーム15に関して、一方では、安定な位置に保持されており、他方では、2つの固体継手80Aあるいは80Bを介して、滑動要素GEが、第3の方向Zで延在する回動軸線回りにガントリビーム15に対して相対的に回動可能であるように、ガントリビーム15に支承されているようになっており、その結果、2つの固体継手80Aあるいは80Bの配置は、これに応じて「ピボット継手」DGZをなし、ピボット継手DGZは、滑動要素GEをガントリビーム15に結合するとともに、ガントリビーム15に可動(回動可能)に保持するために用いられる。
【0108】
図6からさらに看取可能であるように、カバープレート72内には、第3の方向Zで貫通する2つの開口72Aあるいは72Bが形成されている。カバープレート72内に形成される開口72A及び72Bの空間的な配置及び形態は、キャリア70の基体71内に形成される縦長の中空室71Aあるいは71Bの空間的な配置及び形態に適合されており、この適合は、具体的には、カバープレート72が、基体71の、ガントリビーム15に対面した上面に配置されており、その結果、基体71とカバープレート72とが、組み立てられて、相俟ってキャリア70を形成しているとき、カバープレート72が、基体71の、ガントリビーム15に対面した上面に設けられた縦長の中空室71Aあるいは71Bを部分的に覆い、かつカバープレート72内に形成される開口72A及び72Bが、基体71内に形成される縦長の中空室71A及び71Bに対して相対的に、開口72Aが縦長の中空室71Aの直上に布置されていて、縦長の中空室71Aの一部長手方向セクションが、ガントリビーム15に対面した側から開口72Aを通してアクセス可能であるように、かつ開口72Bが縦長の中空室71Bの直上に布置されていて、縦長の中空室71Bの一部長手方向セクションが、ガントリビーム15に対面した側から開口72Bを通してアクセス可能であるように配置されているようになっている。
【0109】
キャリア70の前述の構造は、キャリア70内への2つの固体継手80Aあるいは80Bの組み込みを可能にする。この目的のために、固体継手80Aは、全体として中空室71A内に装入されることができ、第1の固体継手80Aの1つ又は複数のセクションは、キャリア70に(すなわち選択的に基体71又はカバープレート72に)固定され得る一方、第1の固体継手80Aの、開口72aを通してアクセス可能なセクションは、ガントリビーム15に取り付けられ得る。これにより、開口72Aを通して、第1の固体継手80Aの、開口72Aを通してアクセス可能なセクションと、ガントリビーム15との間の結合を(従来慣用の、この種の結合のために好適な取り付け手段、例えばねじにより、かつ/又は接着により)形成することができる。同様に第2の固体継手80Bは、全体として中空室71B内に装入されることができ、第2の固体継手80Bの1つ又は複数のセクションは、キャリア70に(すなわち選択的に基体71又はカバープレート72に)固定され得る一方、第2の固体継手80Bの、開口72Bを通してアクセス可能なセクションは、ガントリビーム15に取り付けられ得る。これにより、開口72Bを通して、第2の固体継手80Bの、開口72Bを通してアクセス可能なセクションと、ガントリビーム15との間の結合を(従来慣用の、この種の結合のために好適な取り付け手段、例えばねじにより、かつ/又は接着により)形成することができる。
【0110】
第1の固体継手80Aあるいは第2の固体継手80Bに関するさらなる構造的な詳細と、滑動要素GEをガントリビーム15に結合するピボット継手DGZを形成するこれらの固体継手80A及び80Bの配置とについて、以下にさらに、特に図6~9との関連において説明する。
【0111】
図1、3、10~13に関して、まず、可動の要素5の構造の詳細について、可動の要素5をガントリビーム15にガイドする、可動の要素5に結合される空気軸受を有する第2の空気軸受装置LL2に関する詳細との関連において説明する。
【0112】
図1、3、10及び13から看取可能であるように、可動の要素5は、本例では、「L字形」のプラットフォームとして設計されており、「L字形」のプラットフォームは、フラットなベースプレート5.1と、ベースプレート5.1に結合される側壁5.2とから構成されている。「L字形」なる称呼は、この関連において、可動の要素5が、ポジショニング装置1のガントリビーム15上に、図1及び13に示すように布置されているとき、(ベースプレート5.1と側壁5.2とから構成される)可動の要素5の、第2の方向Yに対して垂直に延在する一平面に関する横断面積の形態に関する。
【0113】
可動の要素5は、ガントリビーム15に支承されており、このとき、ベースプレート5.1は、ガントリビーム15の上側の面に形成される平坦なガイド面FFG1及びFFG2の上方に配置されているとともに、第1の方向Xに対して平行に、かつ第2の方向Yに対して平行に延在し、ベースプレート5.1が、第1の方向Xに対して平行に、かつ第2の方向Yに対して平行に延在する一平面に関して、略長方形の横断面積を有しているようになっている。ベースプレート5.1は、第2の方向Yに、第2の方向Yでのガントリビーム15の延在寸法より小さい延在寸法を有し、かつ第1の方向Xに、第1の方向Xでのガントリビーム15の延在寸法より大きい延在寸法を有している。
【0114】
図1及び13から看取可能であるように、一方では、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1及びFFG2は、そして他方では、ガントリビーム15の側面SFG1及びSFG2は、ガントリビームの、第1の方向Xに関して互いに反対側の「縁部領域」に配置されており、これらの「縁部領域」の一方に設けられた平坦なガイド面FFG1が、側面SFG1に直接隣接し、かつこれらの「縁部領域」の他方に設けられた平坦なガイド面FFG2が、側面SFG2に直接隣接するようになっており、本例では、特に、ガイド面FFG1と側面SFG1とが、互いに相対的に直角をなして互いに境界を接する2つの面を形成し、かつガイド面FFG2と側面SFG2とが、互いに相対的に直角をなして互いに境界を接する2つの面を形成するようになっている。
【0115】
可動の要素5は、この場合、ベースプレート5.1が、ガントリビーム15より上に、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1及びFFG2の上方において布置されているとともに、ベースプレート5.1の一部セクションが、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2の領域において、この平坦な側面SFG2に境界を接する平坦なガイド面FFG2から、第1の方向Xで、第1の方向Xでの側壁5.2の延在寸法より大きい距離の分だけ張り出しているように配置されている。側壁5.2は、ベースプレート5.1に、このベースプレート5.1の、第1の方向Xで平坦なガイド面FFG2から突き出したセクションにおいて結合され、このとき、側壁5.2は、ベースプレート5.1の下面において、第2の方向Yで、平坦な側面SFG2に対して略平行に延在し、その際、この平坦な側面SFG2に対して間隔を有しているようになっている。
【0116】
図1、10及び13から看取可能であるように、第2の空気軸受装置LL2の空気軸受の一部は、可動の要素5のベースプレート5.1に(ベースプレート5.1と、ガントリビーム15の平坦なガイド面の一方FFG1あるいはFFG2との間の中間スペース内に)配置され、第2の空気軸受装置LL2の空気軸受の別の一部は、可動の要素5の側壁5.2に(側壁5.2と、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2との間の中間スペース内に)配置されている。
【0117】
第2の空気軸受装置LL2は、少なくとも1つの第1の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受とを有し、少なくとも1つの第1の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受とは、可動の要素が、第2の空気軸受装置LL2の少なくとも1つの第1の水平の空気軸受と、少なくとも1つの第2の水平の空気軸受とにより、ガントリビーム15の平坦なガイド面の一方FFG1又はFFG2にガイドされているように、可動の要素5に配置されており、第2の空気軸受装置LL2の少なくとも1つの第1の水平の空気軸受及び少なくとも1つの第2の水平の空気軸受には、ガントリビーム15の平坦なガイド面の一方FFG1又はFFG2に関して、プリロードが付与されている。さらに第2の空気軸受装置LL2は、可動の要素5に配置される、可動の要素5をガントリビーム15の1つの平坦な側面SFG2にガイドする少なくとも1つの側方の空気軸受を有し、第2の空気軸受装置LL2の少なくとも1つの側方の空気軸受には、ガントリビーム15の上記1つの平坦な側面SFG2に関して、プリロードが付与されている。
【0118】
本例において(図10及び13から看取可能であるように)、第2の空気軸受装置LL2は、可動の要素5のベースプレート5.1に配置される、可動の要素5をガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2にガイドする計2つの第1の水平の空気軸受121あるいは122を有し、第2の空気軸受装置LL2の2つの第1の水平の空気軸受121あるいは122は、互いに相対的に間隔を第1の方向Xで有しており、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2に関して、プリロードが付与されている。第2の空気軸受装置LL2は、本例によれば、さらに、可動の要素5のベースプレート5.1に配置される、可動の要素5をガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2にガイドする計2つの第2の水平の空気軸受123あるいは124を有し、第2の空気軸受装置LL2の2つの第2の水平の空気軸受123あるいは124は、互いに相対的に間隔を第1の方向Xで有しており、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2に関して、プリロードが付与されている。さらに第2の空気軸受装置LL2は、本例によれば、可動の要素5の側壁5.2に配置される、可動の要素5をガントリビーム15の上記1つの平坦な側面SFG2にガイドする2つの側方の空気軸受140あるいは141を有し、第2の空気軸受装置LL2の2つの側方の空気軸受140あるいは141は、互いに相対的に間隔を第2の方向Yで有しており、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に関して、プリロードが付与されている。
【0119】
第2の空気軸受装置LL2の2つの第1の水平の空気軸受121あるいは122が互いに相対的に間隔を第1の方向Xで有しており、かつ第2の空気軸受装置LL2の2つの第2の水平の空気軸受123あるいは124が同じく互いに相対的に間隔を第1の方向Xで有していることにより、ベースプレート5.1の、ガントリビーム15に対面した面には、2つの第1の水平の空気軸受121あるいは122間にかつ第2の水平の空気軸受123あるいは124間に、第2のリニア軸Y1のリニア駆動部LMYの可動子100Bの配置のために利用される空間が存在している。これに応じて、本例では、リニア駆動部LMYの可動子100Bは、可動子100Bが第2の方向Yで、2つの第1の水平の空気軸受121あるいは122間に形成される中間スペースを通して、かつ2つの第2の水平の空気軸受123あるいは124間に形成される中間スペースを通して延在し、2つの第1の水平の空気軸受121あるいは122が第1の方向Xに関して、それぞれ可動子100Bの互いに反対側に配置され、かつ2つの第2の水平の空気軸受123あるいは124が第1の方向Xに関して、同じくそれぞれ可動子100Bの互いに反対側に配置されているように、ベースプレート5.1において、ベースプレート5.1の、ガントリビーム15に対面した面に、配置されている(図10及び13)。リニア駆動部LMYの可動子100Bは、この場合、可動子100Bのセクション100B-1が、第1の方向Xに対して平行に、かつ第2の方向Yに対して平行に、ベースプレート5.1に対して間隔を置いて延在するとともに、リニア駆動部LMYの固定子100Aの間隙SY内に突入し、可動の要素5が、可動子100Bとともに第2の方向Yでガントリビーム15の延在全体にわたって第1の端部15.1と第2の端部15.2との間で可動であるように、ベースプレート5.1に取り付けられている(図1、10及び13)。
【0120】
図10から看取可能であるように、第2の空気軸受装置LL2の水平の空気軸受121,122,123あるいは124は、それぞれ1つの圧縮空気パッド121a,122a,123aあるいは124aを(この順序で)有し、第2の空気軸受装置LL2の2つの側方の空気軸受140あるいは141は、それぞれ1つの圧縮空気パッド140aあるいは141aを(この順序で)有している。この場合、一方の第1の水平の空気軸受121の圧縮空気パッド121aと、一方の第2の水平の空気軸受123の圧縮空気パッド123aとは、可動の要素5のベースプレート5.1の、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1に対面した面に配置されており、圧縮空気の放出用として定められたそれぞれ1つのフロント面を有し、フロント面は、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1に対して略平行に延在している。相応に、他方の第1の水平の空気軸受122の圧縮空気パッド122aと、他方の第2の水平の空気軸受124の圧縮空気パッド124aとは、可動の要素5のベースプレート5.1の、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2に対面した面に配置されており、圧縮空気の放出用として定められたそれぞれ1つのフロント面を有し、フロント面は、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2に対して略平行に延在している。相応に、第2の空気軸受装置LL2の2つの側方の空気軸受140あるいは141の圧縮空気パッド140aあるいは141aは、可動の要素5の側壁5.2の、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に対面した面に配置されており、圧縮空気の放出用として定められたそれぞれ1つのフロント面を有し、フロント面は、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に対して略平行に延在している。
【0121】
図10から看取可能であるように、第2の空気軸受装置LL2の水平の空気軸受121,122,123あるいは124の圧縮空気パッド121a,122a,123aあるいは124aの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面と、第2の空気軸受装置LL2の2つの側方の空気軸受140あるいは141の圧縮空気パッド140aあるいは141aの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面とは、略長方形の面の形態を呈している(これらのフロント面の、長方形の面とは逸脱した形態が、この関連において重要な、第2の空気軸受装置LL2のそれぞれの空気軸受の技術的な機能に関して、原理的に好適であることもあろう)。
【0122】
付言すると、第2の空気軸受装置LL2は、本発明の範囲内において(ポジショニング装置1の、図10~13に示す構成とは逸脱して)、必ずしも、(可動の要素5をガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2にガイドする2つの第1の水平の空気軸受121あるいは122と、可動の要素5をガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2にガイドする2つの第2の水平の空気軸受123あるいは124とに応じて)可動の要素5に配置される4つの水平の空気軸受を有している必要もないし、必ずしも、(可動の要素5をガントリビーム15の上記1つの平坦な側面SFG2にガイドする2つの側方の空気軸受140あるいは141に応じて)2つの側方の空気軸受を有している必要もない。
【0123】
2つの側方の空気軸受140及び141は、単一の圧縮空気パッドを有する単一の側方の空気軸受、特に、1つの圧縮空気パッドを有し、その圧縮空気パッドの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面が、第2の方向Yに、図10に示す圧縮空気パッド140a及び141aの各々より大きい延在寸法を有している単一の側方の空気軸受により置換されてもよい。
【0124】
さらに、水平の空気軸受121及び123の、図10に示す配置は、可動の要素5を平坦なガイド面FFG1にガイドする一方の第1の水平の空気軸受121及び一方の第2の水平の空気軸受123の配置の代わりに、単一の圧縮空気パッドを有する単一の水平の空気軸受、特に、単一の圧縮空気パッドを有し、その圧縮空気パッドの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面が、第2の方向Yに、図10に示す圧縮空気パッド121a及び123aの各々より大きい延在寸法を有している単一の水平の空気軸受が使用されるように改変されてもよい。
【0125】
同様に、水平の空気軸受122及び124の、図10に示す配置は、可動の要素5を平坦なガイド面FFG2にガイドする第1の水平の空気軸受122及び第2の水平の空気軸受124の配置の代わりに、単一の圧縮空気パッドを有する単一の水平の空気軸受、特に、単一の圧縮空気パッドを有し、その圧縮空気パッドの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面が、第2の方向Yに、図10に示す圧縮空気パッド122a及び124aの各々より大きい延在寸法を有している単一の水平の空気軸受が使用されるように改変されてもよい。
【0126】
代替的には、2つの第1の水平の空気軸受121及び122の、図10に示す配置を、2つの第1の水平の空気軸受121及び122の配置の代わりに、単一の圧縮空気パッドを有する単一の水平の空気軸受、特に、単一の圧縮空気パッドを有し、その圧縮空気パッドの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面が、第1の方向Xに、図10に示す圧縮空気パッド121a及び122aの各々より大きい延在寸法を有している単一の水平の空気軸受が使用されるように改変することも可能であろう。同様に、代替的又は付加的に、2つの第2の水平の空気軸受123及び124の、図10に示す配置を、2つの第2の水平の空気軸受123及び124の配置の代わりに、単一の圧縮空気パッドを有する単一の水平の空気軸受、特に、単一の圧縮空気パッドを有し、その圧縮空気パッドの、圧縮空気の放出用として定められたフロント面が、第1の方向Xに、図10に示す圧縮空気パッド123a及び124aの各々より大きい延在寸法を有している単一の水平の空気軸受が使用されるように改変することも可能であろう。
【0127】
前述の代替案を実現するには、2つの第1の水平の空気軸受121及び122の配置の代わりに、単一の圧縮空気パッドを有する単一の水平の空気軸受が使用される場合、かつ/又は2つの第2の水平の空気軸受123及び124の配置の代わりに、単一の圧縮空気パッドを有する単一の水平の空気軸受が使用される場合、平坦なガイド面に沿った少なくとも2つの水平の空気軸受による可動の要素のガイドを可能にすべく、リニア駆動部LMYの配置と、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2の形成とに関して、付加的な構造的な変更を行うことが合目的的であろう。例えば、ガントリビーム15の上面に、第1の方向Xに対して平行に、かつ第2の方向Yに対して平行に延在する1つの平坦なガイド面が形成されており、このガイド面が、第1の方向Xでガントリビーム15の幅全体(第1の方向Xでのガントリビーム15の延在寸法に相当)にわたって延在するように、ガントリビーム15の構造を改変することが合目的的であろう。この場合、2つの第1の水平の空気軸受121及び122の配置の代わりに、可動の要素5を上記1つの平坦なガイド面にガイドするために使用されるべき1つの水平の空気軸受は、かつ/又は2つの第2の水平の空気軸受123及び124の配置の代わりに、可動の要素5を上記1つの平坦なガイド面にガイドするために使用されるべき1つの水平の空気軸受は、第1の方向Xで、第1の方向Xでのガントリビーム15の延在寸法に大体相当する延在寸法を有していてもよい。
【0128】
平坦なガイド面を前述のように形成した場合、リニア駆動部LMYの固定子100Aが、ガントリビーム15の上面ではなく、例えばガントリビーム15の平坦な側面SFG2に布置されており、その結果、固定子100Aが、第2の方向Yでガントリビーム15の全長にわたって延在しているように、リニア駆動部LMYをガントリビーム15に配置することが合目的的であろう。同様にリニア駆動部LMYの可動子100Bは、可動の要素5のベースプレート5.1に配置されていることができ、その結果、可動子100Bのセクション100B-1は、平坦な側面SFG2に布置される固定子100Aの間隙SY内に突入し、可動子100Bは、第2の方向Yでこの間隙SY内を、第2の方向Yでの固定子100Aの延在寸法に相当する距離にわたって可動である。
【0129】
図1、2、4~6及び10に関して、以下に、第1の空気軸受装置LL1及び第2の空気軸受装置LL2の空気軸受にプリロードを付与する既に言及した磁気式の手段の特徴を説明する。ポジショニング装置1は、本例では、
第1の空気軸受装置LL1の第1の空気軸受アッセンブリ30、第2の空気軸受アッセンブリ35及び第3の空気軸受アッセンブリ50のそれぞれの水平の空気軸受31,32,36,37,51,52,53あるいは54にプリロードを付与する装置40と、
第1の空気軸受装置LL1の第3の空気軸受アッセンブリ50のそれぞれの側方の空気軸受55あるいは56にプリロードを付与する装置60と、
第2の空気軸受装置LL2のそれぞれの水平の空気軸受121~124にプリロードを付与する装置150と、
第2の空気軸受装置LL2のそれぞれの側方の空気軸受140あるいは141にプリロードを付与する装置160と、
を備えている。
【0130】
第1の空気軸受装置LL1の第1の空気軸受アッセンブリ30のそれぞれの水平の空気軸受にプリロードを付与する装置40は、(図1、2及び4~6から看取可能であるように)一方では、水平の空気軸受31,32,36あるいは37のそれぞれの圧縮空気パッド31b,32b,36bあるいは37bのすぐ隣で、ガントリビーム15に、あるいは水平の空気軸受51,52,53あるいは54の圧縮空気パッド51a,52a,53aあるいは54aのすぐ隣で、キャリア70に配置されている複数の永久磁石41のアッセンブリと、それぞれベースBに取り付けられていて、特にベースの平坦なガイド面FFのそれぞれのセクションFF1,FF2及びFF3内に組み込まれている、それぞれ強磁性の材料から形成される複数のストリップ42のアッセンブリとを有している。図1及び4から看取可能であるように、第1の空気軸受アッセンブリ30及び第2の空気軸受アッセンブリ35の水平の空気軸受の軸受キャリア31a,32a,35a及び36aの各々に、それぞれ2つの永久磁石41が取り付けられており、これらの2つの永久磁石41の各々は、それぞれ、平坦なガイド面FFに対して平行に延在し、かつこれらの2つの永久磁石41は、それぞれ互いに相対的に間隔を第2の方向Yで有しており、それぞれ(第2の方向Yに関して)、それぞれの軸受キャリア31a,32a,35aあるいは36aに配置される圧縮空気パッド31b,32b,35bあるいは36bのすぐ隣で、それぞれの圧縮空気パッド31b,32b,35bあるいは36bのそれぞれ互いに反対側に布置されているようになっている。図6から看取可能であるように、キャリア70の基体71には、基体71の、平坦なガイド面FFに対面した下面に、2つの永久磁石41が配置されており、これらの2つの永久磁石41の一方が、(第2の方向Yに関して)2つの第3の水平の空気軸受51あるいは52間の中央に配置され、かつこれらの2つの永久磁石41の他方が、(第2の方向Yに関して)2つの第4の水平の空気軸受53あるいは54間の中央に配置されているようになっている。図1、4及び6から看取可能であるように、永久磁石41は、本例によれば、それぞれ直方体形のプレートの形態を呈し、それぞれ、それぞれの永久磁石41の、平坦なガイド面FFに対面した表面が、ベースBの平坦なガイド面FFに対して平行に延在するように配置されている。
【0131】
第1の空気軸受装置LL1の全水平の空気軸受にプリロードが付与されていることを保証すべく、上で言及した、強磁性の材料から形成される計5つのストリップ42は、これらの5つのストリップ42の各々が、リニアに第1の方向Xで延在し、その際、永久磁石41の各々が、これらの5つのストリップ42毎にその直上に配置されていて、それぞれのストリップ42に対して相対的に間隔を第3の方向Zで有しているように布置されているように、ベースの平坦なガイド面FFのそれぞれのセクションFF1,FF2及びFF3内に組み込まれている。永久磁石41は、この場合、永久磁石41の各々に、それぞれの永久磁石41と、それぞれの永久磁石41の直下にそれぞれ配置されるストリップ42との間の磁気吸引に基づき、平坦なガイド面FFに対して垂直に、平坦なガイド面FFに向かって配向されている磁気吸引力が作用するように磁化されている。
【0132】
それぞれ圧縮空気パッド31bあるいは圧縮空気パッド32bに配置されているそれぞれ2つの永久磁石41は、それゆえ、第1の空気軸受アッセンブリ30の第1の水平の空気軸受31あるいは第1の水平の空気軸受32に、平坦なガイド面FFのセクションFF1に関して、プリロードを付与する効果を有している。それぞれ圧縮空気パッド36bあるいは圧縮空気パッド37bに配置されているそれぞれ2つの永久磁石41は、それゆえ、第2の空気軸受アッセンブリ35の第2の水平の空気軸受36あるいは第2の水平の空気軸受37に、平坦なガイド面FFのセクションFF2に関して、プリロードを付与する効果を有している。相応に、キャリア70の基体71に配置される2つの永久磁石41の一方は、第3の空気軸受アッセンブリ50の2つの第3の水平の空気軸受51あるいは52に、平坦なガイド面FFのセクションFF3に関して、プリロードを付与する効果を有している一方、キャリア70の基体71に配置される2つの永久磁石41の他方は、2つの第4の水平の空気軸受53あるいは54に、平坦なガイド面FFのセクションFF3に関して、プリロードを付与する効果を有している。
【0133】
ベースBの平坦なガイド面FFのそれぞれのセクションFF1,FF2及びFF3内へのそれぞれのストリップ42の簡単な組み込みを可能にすべく、平坦なガイド面FFのセクションFF1,FF2及びFF3内には、直線状に第1の方向Xで延在する計5つの溝NXが形成され、溝NXの各々内には、ストリップ42のそれぞれ1つが配置され、それぞれのストリップ42の上側の表面と、平坦なガイド面FFのセクションFF1,FF2及びFF3の1つとが、それぞれ面一に配置されているようになっている。永久磁石41の空間的な配置に応じて、本例によれば(図1、2及び5から看取可能であるように)、互いに平行に第1の方向Xで延在し、互いに相対的に間隔を第2の方向Yで有している2つのストリップ42が、平坦なガイド面FFの第1のセクションFF1内に組み込まれており、互いに平行に第1の方向Xで延在し、互いに相対的に間隔を第2の方向Yで有している2つのストリップ42が、平坦なガイド面FFの第2のセクションFF2内に組み込まれており、かつ1つのストリップ42が、平坦なガイド面FFの第3のセクションFF3内に組み込まれている。
【0134】
第1の空気軸受装置LL1の第3の空気軸受アッセンブリ50のそれぞれの側方の空気軸受にプリロードを付与する装置60は、(図5~6から看取可能であるように)一方では、キャリア70の基体71の、ガイドビームFBの平坦な側面SFに対面した面に配置されている2つの永久磁石61のアッセンブリと、他方では、ガイドビームFBとを有し、ガイドビームFBは、本例では、強磁性の材料から形成されている。2つの永久磁石61は、本例によれば、それぞれ直方体形のプレートの形態を呈し、それぞれの永久磁石61の、ガイドビームFBの平坦な側面SFに対面した表面が、それぞれ、ガイドビームFBの平坦な側面SFに対して平行に延在し、その際、ガイドビームFBの平坦な側面SFに対して間隔を有しているように、それぞれ配置されている。2つの永久磁石61は、特に第3の空気軸受アッセンブリ50の2つの側方の空気軸受55あるいは56とともに、第1の方向Xで延在する一列で、キャリア70の基体71に配置され、具体的には、2つの永久磁石61が、第1の方向Xに関して直接相並んで配置され、その際、両者が、側方の空気軸受55の圧縮空気パッド55aと、側方の空気軸受56の圧縮空気パッド56aとの間の中間スペース内に布置されているように配置されている。
【0135】
2つの永久磁石61は、この場合、永久磁石61の各々に、それぞれの永久磁石61とガイドビームFBとの間の磁気吸引に基づき、ガイドビームFBの平坦な側面SFに対して垂直に、平坦な側面SFに向かって配向されている磁気吸引力が作用するように磁化されている。2つの永久磁石61は、それゆえ、第3の空気軸受アッセンブリ50の2つの側方の空気軸受55あるいは56に、ガイドビームFBの平坦な側面SFに関して、プリロードを付与する効果を有している。
【0136】
第2の空気軸受装置LL2のそれぞれの水平の空気軸受121~124にプリロードを付与する装置150は、(図10から看取可能であるように)一方では、可動の要素5のベースプレート5.1において、可動の要素5のベースプレート5.1の、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはFFG2に対面した面に配置されている4つの永久磁石151のアッセンブリと、他方では、ガントリビーム15とを有し、ガントリビーム15は、本例では、強磁性の材料から形成されている。
【0137】
4つの永久磁石151は、本例によれば、それぞれ直方体形のプレートの形態を呈し、それぞれの永久磁石151の、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2に対面した表面が、それぞれ、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1あるいはガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2に対して平行に延在し、その際、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1に対してあるいはガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2に対して間隔を有しているように、それぞれ配置されている。
【0138】
永久磁石151の2つは、特に第2の空気軸受装置LL2の第1の水平の空気軸受121及び第2の水平の空気軸受123とともに、第2の方向Yで延在する一列で配置され、具体的には、2つの永久磁石151が、第2の方向Yに関して直接相並んで配置され、その際、第1の水平の空気軸受121の圧縮空気パッド121aと、第2の水平の空気軸受123の圧縮空気パッド123aとの間の中間スペース内に、可動の要素5のベースプレート5.1に、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1の直上に、平坦なガイド面FFG1に対して間隔を置いて布置されているように配置されている。
【0139】
圧縮空気パッド121aと圧縮空気パッド123aとの間の中間スペース内に配置される2つの永久磁石151は、この場合、永久磁石151の各々に、それぞれの永久磁石151とガントリビーム15との間の磁気吸引に基づき、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1に対して垂直に、平坦なガイド面FFG1に向かって配向されている磁気吸引力が作用するように磁化されている。これらの2つの永久磁石151は、それゆえ、第2の空気軸受装置LL2の第1の水平の空気軸受121及び第2の水平の空気軸受123に、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1に関して、プリロードを付与する効果を有している。
【0140】
さらに、永久磁石151の2つは、第2の空気軸受装置LL2の第1の水平の空気軸受122及び第2の水平の空気軸受124とともに、第2の方向Yで延在する一列で配置され、具体的には、2つの永久磁石151が、第2の方向Yに関して直接相並んで配置され、その際、第1の水平の空気軸受122の圧縮空気パッド122aと、第2の水平の空気軸受124の圧縮空気パッド124aとの間の中間スペース内に、可動の要素5のベースプレート5.1に、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2の直上に、平坦なガイド面FFG2に対して間隔を置いて布置されているように配置されている。
【0141】
圧縮空気パッド122aと圧縮空気パッド124aとの間の中間スペース内に配置される2つの永久磁石151は、この場合、永久磁石151の各々に、それぞれの永久磁石151とガントリビーム15との間の磁気吸引に基づき、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2に対して垂直に、平坦なガイド面FFG2に向かって配向されている磁気吸引力が作用するように磁化されている。これらの2つの永久磁石151は、それゆえ、第2の空気軸受装置LL2の第1の水平の空気軸受122及び第2の水平の空気軸受124に、ガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2に関して、プリロードを付与する効果を有している。
【0142】
第2の空気軸受装置LL2のそれぞれの側方の空気軸受140あるいは141にプリロードを付与する装置160は、(図10から看取可能であるように)一方では、可動の要素5の側壁5.2において、可動の要素5の側壁5.2の、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に対面した面に配置されている2つの永久磁石161のアッセンブリと、他方では、ガントリビーム15とを有し、ガントリビーム15は、(既に言及したように)強磁性の材料から形成されている。
【0143】
2つの永久磁石161は、本例によれば、それぞれ直方体形のプレートの形態を呈し、それぞれの永久磁石161の、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に対面した表面が、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に対して平行に延在し、その際、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に対して間隔を有しているように、それぞれ配置されている。さらに永久磁石161の2つは、第2の空気軸受装置LL2の2つの側方の空気軸受140あるいは141とともに、第2の方向Yで延在する一列で配置され、具体的には、2つの永久磁石161が、第2の方向Yに関して直接相並んで配置され、その際、可動の要素5の側壁5.2において、側方の空気軸受140の圧縮空気パッド140aと、側方の空気軸受141の圧縮空気パッド141aとの間の中間スペース内に、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2のすぐ隣に、平坦な側面SFG2に対して間隔を置いて布置されているように配置されている。2つの永久磁石161は、この場合、永久磁石161の各々に、それぞれの永久磁石161とガントリビーム15との間の磁気吸引に基づき、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に対して垂直に、平坦な側面SFG2に向かって配向されている磁気吸引力が作用するように磁化されている。2つの永久磁石161は、それゆえ、第2の空気軸受装置LL2の2つの側方の空気軸受140あるいは141に、ガントリビーム15の平坦な側面SFG2に関して、プリロードを付与する効果を有している。
【0144】
永久磁石41,61,151及び161の、(この順序で、ストリップ42に対して相対的な、あるいはガイドビームFBの平坦な側面SFに対して相対的な、あるいはガントリビーム15の平坦なガイド面FFG1に対して相対的な、あるいはガントリビーム15の平坦なガイド面FFG2に対して相対的な、あるいはガントリビーム15の平坦な側面SFG2に対して相対的な)配置は、第1の空気軸受装置LL1の個々の空気軸受及び第2の空気軸受装置LL2の個々の空気軸受のそれぞれのプリロード力の大きさを必要に応じて(例えばポジショニング装置1の、2つの第1のリニア軸X1及びX2の2つのリニア駆動部LMX1及びLMX2によりポジショニング装置1の運転中に動かさなければならない部材の全質量に応じて)好適に選択すべく、変更され得る。
【0145】
第1の空気軸受装置LL1の個々の空気軸受及び第2の空気軸受装置LL2の個々の空気軸受のプリロード力は、例えば、
ポジショニング装置1の運転中(すなわち、第1の空気軸受装置LL1の空気軸受31,32,36,37,51,52,53,54,55及び56の空気圧パッド31b,32b,36b,37b,51a,52a,53a,54a,55a及び56aへの圧縮空気の相応の供給時、及び第2の空気軸受装置LL2の空気軸受121,122,123,124,140及び141の空気圧パッド121a,122a,123a,124a,140a及び141aへの相応の供給時):
個々の空気圧パッド31b,32b,36b,37bが、ベースBの平坦なガイド面FFに関して、それぞれ、安定な位置に保持され、この安定な位置において、個々の空気圧パッド31b,32b,36b,37b,51a,52a,53a,54aは、ベースBの平坦なガイド面FFに関して、予め決められた間隔(例えば4μm)を有しており;
個々の空気圧パッド55a及び56aが、ガイドビームFBの平坦な側面SFに関して、それぞれ、安定な位置に保持され、この安定な位置において、個々の空気圧パッド55a及び56aは、ガイドビームFBの平坦な側面SFに関して、予め決められた間隔(例えば4μm)を有しており;
個々の空気圧パッド121a,122a,123a,124aが、ガントリビーム15に関して、安定な位置に保持され、この安定な位置において、空気圧パッド121a及び123aは、平坦なガイド面FFG1に関して、そして空気圧パッド122a及び124aは、平坦なガイド面FFG2に関して、予め決められた間隔(例えば4μm)を有しており;かつ
個々の空気圧パッド140a及び141aが、ガントリビーム15に関して、安定な位置に保持され、この安定な位置において、空気圧パッドは、平坦な側面SFG2に関して、予め決められた間隔(例えば4μm)を有している;
ように選択され得る。
【0146】
図5、6、7A、7B、8及び9に関して、以下に、第1の固体継手80Aあるいは第2の固体継手80Bに関する構造的な詳細と、滑動要素GEをガントリビーム15に結合するピボット継手DGZを形成するこれらの固体継手80A及び80Bの配置とについて説明する。
【0147】
既に言及したように、第1の固体継手80Aと第2の固体継手80Bとは、キャリア70とガントリビーム15との間の結合を形成すべく、空間的にそれぞれ異なって滑動要素GEのキャリア70に配置されており、その結果、滑動要素GEは、第3の方向Zで延在する回動軸線回りにガントリビーム15に対して相対的に回動可能である。図7A及び7Bが略示するように、第1の固体継手80Aと第2の固体継手80Bとは、本例では、第1の固体継手80Aと第2の固体継手80Bとの物理的構造に関して、しかし、同一に形成されていることができる。
【0148】
図7A及び7Bは、第1の固体継手80Aあるいは第2の固体継手80Bをそれぞれ異なる視点から、すなわち、斜視図(図7A)と、第3の方向Zに沿った平面図とで示している。
【0149】
図7A、7B、8及び9が略示するように、第1の固体継手80Aも、第2の固体継手80Bも、それぞれ、縦長の固体から(例えば鋼から)なっており、縦長の固体は、第3の方向Zに対して平行な一平面に沿って、第3の方向Zに対して垂直に延在し、かつ第3の方向Zに対して垂直に配置される長手方向軸線を有している。
【0150】
図7A及び9に略示するように、この関連において、第1の固体継手80Aを形成する第1の縦長の固体は、第3の方向Zに対して平行な第1の平面ME1に沿って延在し、第2の固体継手80Bを形成する第2の縦長の固体は、第3の方向Zに対して平行な第2の平面ME2に沿って延在するものとする。
【0151】
図7A及び7Bは、第1の固体継手80Aあるいは第2の固体継手80Bをそれぞれ「未変形の基本状態」で示しており、この未変形の基本状態において、第1の固体継手80Aあるいは第2の固体継手80Bのそれぞれの縦長の固体は、機械的な負荷に曝されておらず、これに応じて「未変形」である。未変形の基本状態において、第1の固体継手80Aの第1の縦長の固体は、第1の平面ME1に対して対称に形成され、第2の固体継手80Bの第2の縦長の固体は、第2の平面ME2に対して対称に形成されている。
【0152】
図7A及び7Bから看取可能であるように、第1の固体継手80Aの第1の縦長の固体は、第1の縦長の固体の、第1の平面ME1に沿って延在する長手方向軸線の方向で、そして第2の固体継手80Bの第2の縦長の固体は、第2の縦長の固体の、第2の平面ME2に沿って延在する長手方向軸線の方向で、それぞれ、相前後して配置される以下の長手方向セクション:
それぞれの(第1あるいは第2の)縦長の固体の第1の端部を形成する第1の端部セクションE1と;
それぞれの(第1あるいは第2の)縦長の固体の第1の端部とはそれぞれの(第1あるいは第2の)縦長の固体の長手方向軸線の方向で反対側のそれぞれの(第1あるいは第2の)縦長の固体の第2の端部を形成する第2の端部セクションE2と;
それぞれの(第1あるいは第2の)縦長の固体の第1の端部セクションE1と第2の端部セクションE2との間に配置される中央セクションFと;
それぞれの(第1あるいは第2の)縦長の固体の第1の端部セクションE1と中央セクションFとの間に配置され、第1の端部セクションE1と中央セクションFとに結合される第1のウェブ部分S1と;
第2の端部セクションE2と中央セクションFとの間に配置され、それぞれの(第1あるいは第2の)縦長の固体の第2の端部セクションE2と中央セクションFとに結合される第2のウェブ部分S2と;
を有している。
【0153】
図7A及び7Bが略示するように、第1の固体継手80Aの第1の縦長の固体と、第2の固体継手80Bの第2の縦長の固体とは、それぞれ、第1の固体継手80Aの第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2が、第1の平面ME1に対して垂直な方向に、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1、第2の端部セクションE2及び中央セクションFより小さな延在寸法を有し、かつそれぞれ、第2の固体継手80Bの第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2が、第2の平面ME2に対して垂直な方向に、第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1、第2の端部セクションE2及び中央セクションFより小さな延在寸法を有しているように、それぞれ成形されている。ウェブ部分S1及びS2の前述の形成は、第1の固体継手80Aの第1の縦長の固体も、第2の固体継手80Bの第2の縦長の固体も、主にウェブ部分S1及びS2の領域内で弾性的に変形可能であるという効果を有している。
【0154】
キャリア70は、ガントリビーム15に、第1の固体継手80Aと第2の固体継手80Bとを介して、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1及び第1の固体継手80Aの第2の端部セクションE2がキャリア70に剛結され、第1の固体継手80Aの中央セクションFがガントリビーム15に剛結されているとともに、第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1及び第2の固体継手80Bの第2の端部セクションE2がキャリア70に剛結され、第2の固体継手80Bの中央セクションFがガントリビーム15に剛結されているように結合されている。
【0155】
第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bの前述の配置を実現すべく、(図6~9に略示するように)第1の固体継手80Aは、キャリア70の基体71内に形成される縦長の中空室71A内に配置されており、その結果、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2は、キャリア70に(例えばねじを用いた結合により)剛結されており、第1の固体継手80Aの中央セクションFは、キャリア70のカバープレート72内に形成される開口72Aを通してガントリビーム15に(例えばねじを用いた結合により)剛結されている。相応に第2の固体継手80Bは、キャリア70の基体71内に形成される縦長の中空室71B内に配置されており、その結果、第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2は、キャリア70に(例えばねじを用いた結合により)剛結されており、第2の固体継手80Bの中央セクションFは、キャリア70のカバープレート72内に形成される開口72Bを通してガントリビーム15に(例えばねじを用いた結合により)剛結されている。
【0156】
図6~9に略示するように、縦長の中空室71Aは、第1の平面ME1に沿って、縦長の中空室71Aの長手方向軸線が、第1の平面ME1に対して平行に、かつ第3の方向Zに対して垂直に配置されており、かつ縦長の中空室71Aが、第1の平面ME1に関して側方で、基体71の、第1の平面ME1に対して平行に、かつ第3の方向Zに対して垂直に延在する側壁により画定されているように延在している。基体71の、縦長の中空室71Aを画定する側壁は、この場合、第1の固体継手80Aと比較して、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2が、形状結合式に基体71に結合されているのに対し、第1の固体継手80Aの中央セクションFが、第1の平面ME1に対して垂直な方向に、基体71の第1の壁セクションHSA1と、基体71の、第1の壁セクションHSA1とは第1の平面ME1に関して反対側の第2の壁セクションHSA2との間の間隔より小さい延在寸法を有しているように成形されており、壁セクションHSA1及びHSA2は、縦長の中空室71Aを、第1の固体継手80Aの中央セクションFの領域において側方で画定している。
【0157】
前述の事柄を明らかにするために、基体71の、縦長の中空室71Aを側方で画定する壁セクションHSA1及びHSA2は、図9に、それぞれ、比較的太い(符号HSA1あるいはHSA2を付した)黒色の線により示してある。図9に看取可能であるように、第1の固体継手80Aの中央セクションFは、(固体継手80Aの未変形の基本状態において)第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2並びに縦長の中空室71Aの壁セクションHSA1及びHSA2に関して、第1の固体継手80Aの中央セクションFが、壁セクションHSA1と壁セクションHSA2との間の大体中央のポジションに存在し、その際、第1の平面ME1に対して垂直な方向に、壁セクションHSA1に対しても、壁セクションHSA2に対しても、それぞれ1つの間隔を有しているように配置されている。
【0158】
相応に、縦長の中空室71Bは、第2の平面ME2に沿って、縦長の中空室71Bの長手方向軸線が、第2の平面ME2に対して平行に、かつ第3の方向Zに対して垂直に配置されており、かつ縦長の中空室71Bが、第2の平面ME2に関して側方で、基体71の、第2の平面ME2に対して平行に、かつ第3の方向Zに対して垂直に延在する側壁により画定されているように延在している。基体71の、縦長の中空室71Bを画定する側壁は、この場合、第2の固体継手80Bと比較して、第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2が、形状結合式に基体71に結合されているのに対し、第2の固体継手80Bの中央セクションFが、第2の平面ME2に対して垂直な方向に、基体71の第1の壁セクションHSB1と、基体71の、第1の壁セクションHSB1とは第2の平面ME2に関して反対側の第2の壁セクションHSB2との間の間隔より小さい延在寸法を有しているように成形されており、壁セクションHSB1及びHSB2は、縦長の中空室71Bを、第2の固体継手80Bの中央セクションFの領域において側方で画定している。
【0159】
前述の事柄を明らかにするために、基体71の、縦長の中空室71Bを側方で画定する壁セクションHSB1及びHSB2は、図9に、それぞれ、比較的太い(符号HSB1あるいはHSB2を付した)黒色の線により示してある。図9に看取可能であるように、第2の固体継手80Bの中央セクションFは、(第2の固体継手80Bの未変形の基本状態において)第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2並びに縦長の中空室71Bの壁セクションHSB1及びHSB2に関して、第2の固体継手80Bの中央セクションFが、壁セクションHSB1と壁セクションHSB2との間の大体中央のポジションに存在し、その際、第2の平面ME2に対して垂直な方向に、壁セクションHSB1に対しても、壁セクションHSB2に対しても、それぞれ1つの間隔を有しているように配置されている。
【0160】
第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bは、(図9に示すように)両固体継手80A及び80Bがそれぞれ固体継手80A及び80Bの未変形の基本状態にあるとき、キャリア70あるいは滑動要素GEをガントリビーム15に関して安定な静止位置に保持すべく、形成されている。第1の固体継手80Aの第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2並びに第2の固体継手80Bの第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2が、それぞれ弾性的に変形可能に形成されていることにより、かつ第1の固体継手80Aの中央セクションFが、(第1の固体継手80Aの未変形の基本状態において)第1の平面ME1に対して垂直な方向に、壁セクションHSA1に対しても、壁セクションHSA2に対しても、それぞれ1つの間隔を有し、さらに第2の固体継手80Bの中央セクションFが、(第2の固体継手80Bの未変形の基本状態において)第2の平面ME2に対して垂直な方向に、壁セクションHSB1に対しても、壁セクションHSB2に対しても、それぞれ1つの間隔を有していることにより、キャリア70あるいは滑動要素GEは、第1の固体継手80Aの中央セクションFが、壁セクションの一方HSA1あるいはHSA2に突き当たり、壁セクションの一方HSA1あるいはHSA2が、ガントリビーム15に対して相対的なキャリア70あるいは滑動要素GEの相応の運動を阻止しない限り、かつ/又は第2の固体継手80Bの中央セクションFが、壁セクションの一方HSB1あるいはHSB2に突き当たり、壁セクションの一方HSB1あるいはHSB2が、ガントリビーム15に対して相対的なキャリア70あるいは滑動要素GEの相応の運動を阻止しない限り、キャリア70あるいは滑動要素GEがガントリビーム15に対して相対的に可動であるように、第1の固体継手80Aと第2の固体継手80Bとによりガントリビーム15に保持されている。
【0161】
ガントリビーム15に対して相対的なキャリア70あるいは滑動要素GEの運動は、この運動時、第1の固体継手80Aの第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2並びに第2の固体継手80Bの第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2が、弾性的に変形され、その際、第1の固体継手80Aの中央セクションFが、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1及び第1の固体継手80Aの第2の端部セクションE2に対して相対的に動かされ、さらに第2の固体継手80Bの中央セクションFが、第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1及び第2の固体継手80Bの第2の端部セクションE2に対して相対的に動かされるという効果を有している。
【0162】
第1の固体継手80Aの形態に基づき、第1の固体継手80Aの中央セクションFは、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1と第2の端部セクションE2とに関して異なる運動自由度を有し、これらの運動自由度は、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2に関して異なる方向での第1の固体継手80Aの中央セクションFの運動に相当する。この関連において重要であるのは、第1の固体継手80Aの剛性が、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1あるいは第2の端部セクションE2に関してそれぞれ異なる方向での中央セクションFの運動時、(運動の方向に依存して)異なっていることである。第1の固体継手80Aの場合、第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1も、第2の端部セクションE2も、キャリア70に剛結されていることにより、第1の固体継手80Aは、中央セクションFが第1の固体継手80Aの長手方向軸線の方向で(すなわち、第1の平面ME1に対して平行に)第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2に対して相対的に動かされる、第1の固体継手80Aの変形に関して、比較的大きな剛性を有し、とりわけ、中央セクションFのこの種の運動時、第1の固体継手80Aの第1のウェブ部分S1あるいは第2のウェブ部分S2は、実質的に第1の固体継手80Aの長手方向軸線の方向での引っ張りあるいは圧縮でのみ負荷される。他方、第1の固体継手80Aは、中央セクションFが第1の固体継手80Aの第1の端部セクションE1と第2の端部セクションE2とに対して相対的に、リニアに第1の平面ME1に対して垂直な方向で動かされるか、又は第3の方向Zで延在する回動軸線回りに回動される、第1の固体継手80Aの変形に関して、比較的小さな剛性を有し、とりわけ、中央セクションFの前述の運動のうちの一方の運動時、第1の固体継手80Aの第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2は、それぞれ、引っ張り応力と、第3の方向Zで延在する軸線回りの曲げとからなる組み合わせにより負荷され、第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2は、第3の方向Zで延在する軸線回りの曲げに関して、特に小さな剛性を有している。
【0163】
相応に、第2の固体継手80Bの形態に基づき、第2の固体継手80Bの中央セクションFは、第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2に関して異なる運動自由度を有し、これらの運動自由度は、第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2に関して異なる方向での第2の固体継手80Bの中央セクションFの運動に相当する。
【0164】
第2の固体継手80Bの場合、第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1も、第2の端部セクションE2も、キャリア70に剛結されていることにより、第2の固体継手80Bは、中央セクションFが第2の固体継手80Bの長手方向軸線の方向で(すなわち、第2の平面ME2に対して平行に)第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1及び第2の端部セクションE2に対して相対的に動かされる、第2の固体継手80Bの変形に関して、比較的大きな剛性を有し、とりわけ、中央セクションFのこの種の運動時、第2の固体継手80Bの第1のウェブ部分S1あるいは第2のウェブ部分S2は、実質的に第2の固体継手80Bの長手方向軸線の方向での引っ張りあるいは圧縮でのみ負荷される。他方、第2の固体継手80Bは、中央セクションFが第2の固体継手80Bの第1の端部セクションE1と第2の端部セクションE2とに対して相対的に、リニアに第2の平面ME2に対して垂直な方向で動かされるか、又は第3の方向Zで延在する回動軸線回りに回動される、第2の固体継手80Bの変形に関して、比較的小さな剛性を有し、とりわけ、中央セクションFの前述の運動のうちの一方の運動時、第2の固体継手80Bの第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2は、それぞれ、引っ張り応力と、第3の方向Zで延在する軸線回りの曲げとからなる組み合わせにより負荷され、第1のウェブ部分S1及び第2のウェブ部分S2は、第3の方向Zで延在する軸線回りの曲げに関して、特に小さな剛性を有している。
【0165】
ポジショニング装置1の場合に興味深いのは、第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bの配置が、キャリア70あるいは滑動要素GEと、ガントリビーム15との間に、一方では、できる限り高い剛性を、第1の方向X及び第2の方向Y及び第3の方向Zでのガントリビーム15に対して相対的なキャリア70あるいは滑動要素GEの並進に関して保証し、他方では、しかし、できる限り小さな剛性を、第3の方向Zで延在する回動軸線回りのガントリビーム15に対して相対的なキャリア70あるいは滑動要素GEの回転に関して有する結合をなすことである。
【0166】
前述の要求を充足すべく、第1の固体継手80Aと第2の固体継手80Bとは、互いに相対的に、第1の平面ME1と第2の平面ME2とが、互いに平行に配置されているのではなく、互いに相対的に傾けられており、第1の平面ME1と第2の平面ME2とが、(図9に示すように)第3の方向Zに対して平行に延在する1つの共通の交線DZを形成するように、キャリア70に配置されている。この場合、第1の平面ME1と第2の平面ME2とは、共通の交線DZに関して、0°より大きく、180°より小さくなければならない角度αを形成する。第1の方向X及び第2の方向Yでのガントリビーム15に対して相対的なキャリア70あるいは滑動要素GEの並進に関して、第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bの配置の十分高い剛性を保証すべく、角度αは、好ましくは、30°≦α≦90°の条件を充足することが望ましい。
【0167】
図6、8及び9に示す例の場合、角度αは、約60°である。
【0168】
第1の平面ME1と第2の平面ME2とが共通の交線DZに関して約60°の角度αを形成する、第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bの配置は、この場合、第1の平面ME1と第2の平面ME2との共通の交線DZ回りのガントリビーム15に対して相対的なキャリア70あるいは滑動要素GEの回転に関して、第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bの配置の剛性が、十分小さく、かつ第1の方向X及び第2の方向Yでのガントリビーム15に対して相対的なキャリア70あるいは滑動要素GEの並進に関して、第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bの配置の剛性が、十分高いようにする、良好な折衷をなしている。
【0169】
第1の平面ME1と第2の平面ME2との共通の交線DZは、この関連において、(第3の方向Zで延在する)「仮想」の回動軸線を形成し、この「仮想」の回動軸線回りに、キャリア70あるいは滑動要素GEは、ガントリビーム15に対して相対的に第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bの配置により回動可能に支承されている。
【0170】
図9に略示するように、「仮想」の回動軸線DZは、空間的に、回動軸線DZがキャリア70あるいは滑動要素GEの外に配置されているように延在していることができる。第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bの空間的な配置は、それゆえ、必要に応じて、回動軸線DZの予め決められた所定の位置を実現すべく、好適に選択され得る。
【0171】
図9に略示するように、第1の固体継手80Aと第2の固体継手80Bとは、第2の方向Yに対して平行に、かつ第3の方向Zに対して平行に延在する第3の平面E3に関して対称に配置されている。この種の配置は、第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bに、第2の方向Yでの可動の要素5の加速時、それぞれ同じように負荷がかかるという利点を有している。
【0172】
基体71の、縦長の中空室71Aを側方で画定する壁セクションHSA1及びHSA2は、本例では、第1の固体継手80Aが未変形の基本状態にあるとき、壁セクションHSA1及び/又は壁セクションHSA2が、第1の固体継手80Aの(ガントリビーム15に剛結される)中央セクションFに対して間隔を有し、かつ壁セクションHSA1及び/又は壁セクションHSA2が、「仮想」の回動軸線DZ回りの予め決められた最大の回動角度のキャリア70の回動により、第1の固体継手80Aの中央セクションFと接触に至ることが可能であり、その結果、第1の固体継手80Aの中央セクションFが、キャリア70の回動を制限する機械的なストッパをキャリア70のために形成するように配置されていることができる(図9)。
【0173】
同様に、基体71の、縦長の中空室71Bを側方で画定する壁セクションHSB1及びHSB2は、本例では、第2の固体継手80Bが未変形の基本状態にあるとき、壁セクションHSB1及び/又は壁セクションHSB2が、第2の固体継手80Bの(ガントリビーム15に剛結される)中央セクションFに対して間隔を有し、かつ壁セクションHSB1及び/又は壁セクションHSB2が、「仮想」の回動軸線DZ回りの予め決められた最大の回動角度のキャリア70の回動により、第2の固体継手80Bの中央セクションFと接触に至ることが可能であり、その結果、第2の固体継手80Bの中央セクションFが、キャリア70の回動を制限する機械的なストッパをキャリア70のために形成するように配置されていることができる(図9)。
【0174】
基体71の壁セクションHSA1及び/若しくはHSA2並びに/又はHSB1及び/若しくはHSB2の配置の好適な選択により、それゆえ、キャリア70が、キャリア70の静止位置から「仮想」の回動軸線DZ回りに回動可能である最大の回動角度を予め決めることが可能である。こうして、第1の固体継手80A及び第2の固体継手80Bは、機械的な過負荷から保護され得る。ポジショニング装置1の場合、例えば、キャリア70が、ガントリビーム15に対して相対的に「仮想」の回動軸線DZ回りに少なくとも±0.1°の角度だけ回動可能であることが合目的的であり得る。
【0175】
図11及び13から看取可能であるように、第2の空気軸受装置LL2の空気軸受121~124,140及び141は、可動の要素5が第2の方向Yで動かされるとき、第2の空気軸受装置LL2の空気軸受121~124,140及び141のいずれもが、第1の空気軸受装置LL1の空気軸受のいずれかと衝突し得ないように、可動の要素5に対して相対的に、かつガントリビーム15に対して相対的に、かつ第1の空気軸受装置LL1のそれぞれの空気軸受に対して相対的に配置されている。
【0176】
可動の要素5は、それゆえ、第2の方向で、第2の空気軸受装置LL2の空気軸受によりガイドされて、実質的にガントリビーム15の延在全体に沿って第2の方向Yで、例えば第1の端部15.1に向かっては、(図11に、側方の空気軸受140と、ガントリビーム15の第1の端部15.1との間に延在する双方向矢印により略示したように)第2の空気軸受装置LL2の側方の空気軸受140が、ガントリビーム15の第1の端部15.1に到達するまで、そして第2の端部15.2に向かっては、(図11に、側方の空気軸受141と、ガントリビーム15の第2の端部15.2との間に延在する双方向矢印により略示したように)第2の空気軸受装置LL2の側方の空気軸受141が、ガントリビーム15の第2の端部15.2に到達するまで、動かされ得る。
【0177】
図12及び13から看取可能であるように、可動の要素5は、第2の空気軸受装置LL2の空気軸受により、可動の要素5が、第2の方向Yでの運動時、側方で、側方の空気軸受140あるいは141によりガントリビーム15の上記1つの平坦な側面SFG2にのみガイドされている一方、ガントリビーム15の、上記平坦な側面SFG2とは第1の方向Xで反対側の側面SFG1が、自由にアクセス可能であるように、ガントリビーム15にガイドされている。ガントリビーム15の側面SFG1は、それゆえ、例えば第1の空気軸受装置LL1及び第2の空気軸受装置LL2の空気軸受に圧縮空気を供給する供給ライン並びに/又は2つの第1のリニア軸X1及びX2のリニア駆動部及び1つの第2のリニア軸Y1のリニア駆動部に電気的なエネルギを供給する電気的なラインを平坦な側面SFG2に取り付ける可能性を提供する(相応の供給ラインあるいは電気的なラインは、図には示していない)。
【0178】
可動の要素5が、第2の空気軸受装置LL2の空気軸受により、第2の方向Yでの運動時、ガントリビーム15にのみガイドされている(ベースBの平坦なガイド面FFにはガイドされていない)ことにより、ポジショニング装置1のベースBは、平坦な側面SFG2に取り付けられる、第1の空気軸受装置LL1及び第2の空気軸受装置LL2の空気軸受に圧縮空気を供給する供給ライン、並びに/又は平坦な側面SFG2に取り付けられる、2つの第1のリニア軸X1及びX2のリニア駆動部及び1つの第2のリニア軸Y1のリニア駆動部に電気的なエネルギを供給する電気的なラインを、トレンチ状の凹部VXを通してガイドするためのスペースを、ベースBの上側の面に提供する。トレンチ状の凹部VXは、ベースBの上面に形成されており、ポジショニング装置1の、図1、2、5及び12に示す構成によれば、平坦なガイド面FFの第2のセクションFF2と第3のセクションFF3との間にリニアに第1の方向Xで延在している。
【0179】
前述の手段は、ポジショニング装置1がコンパクトに(ポジショニング装置1のそれぞれの部材が空間的に分配配置されている比較的小さな底面を有して)構成されているような、ポジショニング装置1の全コンポーネントの配置を可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】