(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079611
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】フットセンサ及び分析装置
(51)【国際特許分類】
A43B 3/44 20220101AFI20240604BHJP
A43B 3/46 20220101ALI20240604BHJP
A43B 3/48 20220101ALI20240604BHJP
【FI】
A43B3/44
A43B3/46
A43B3/48
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023195568
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】111146004
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523127969
【氏名又は名称】▲シ▼響先創科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Decentralized Biotechnology Intelligence Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】3F.-1, No. 309, Sec. 3, Roosevelt Rd., Da’an Dist., Taipei City 106021, Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】周耀聖
(72)【発明者】
【氏名】林孝義
(72)【発明者】
【氏名】蘇偉盛
(72)【発明者】
【氏名】紀星佑
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050DA29
4F050EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールを提供する。
【解決手段】一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソール10は、上記インソールの内部に設けられる圧力センシング層12と、前記インソールの内部に設けられて前記圧力センシング層に電気的に接続され、前記圧力センシング層が検出した電子信号を受信及び処理するセンサモジュール16、を含む。前記センサモジュールは、外部のワイヤレス充電システムに接続されて前記センサモジュール内のバッテリをワイヤレス充電するインダクタコイルを含む。前記圧力センシング層及び前記センサモジュールは、一体的に成形されるよう上記インソールの内部に統合される。
【選択図】
図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フットセンサ及び分析装置であって、
インソールの内部に設けられる圧力センシング層と、
前記インソールの内部に設けられて前記圧力センシング層に電気的に接続され、前記圧力センシング層が検出した電子信号を受信及び処理するセンサモジュールと、
加速度計、ジャイロスコープ(G-sensor)又はGPSのうちの1つ又は任意の組み合わせから選択され、前記インソールの内部に設けられる付加的なセンサ、を含み、
前記フットセンサ及び分析装置は外部の電子機器と通信し、前記外部の電子機器は、左右の足の圧力分布、左右の足への体重配分比率、歩き方、ピッチ、及び、人体の動態時における圧力中心(center of pressure,COP)データのうちの1つ又は任意の組み合わせを分析し、前記外部の電子機器は、データを直ちに表示可能として可視化するAPPを含み、前記可視化により、個人の移動又は運動分析、運動と足圧状況との関係が表示されるフットセンサ及び分析装置。
【請求項2】
更に、前記インソールの内部に設けられて前記センサモジュールに電気的に接続され、検出した前記電子信号を前記センサモジュールに伝送する赤外線センシング層を含む請求項1に記載のフットセンサ及び分析装置。
【請求項3】
前記圧力センシング層は、アレイ配置方式を形成する複数の電気抵抗式又は静電容量式の圧力センサを含み、前記圧力センシング層は可撓式である請求項1に記載のフットセンサ及び分析装置。
【請求項4】
更に、外部のワイヤレス充電システムに接続されて前記センサモジュール内のバッテリをワイヤレス充電するインダクタコイルを含む請求項1に記載のフットセンサ及び分析装置。
【請求項5】
前記付加的なセンサは、ユーザの歩行中の方向の変化、GPSデータ、加速度の出力データ、角度方向の関連データ及び角度方向の変化を検出することで、速度/距離を含む情報を検出し、圧力センシングデータと照合して互いに補正する請求項1に記載のフットセンサ及び分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み式センサを具備する関連技術に関し、特に、フットセンサ及び分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子科学技術の進歩に基づき、精密な電子センサは、精度の向上だけでなく、コンパクト化やポータブルな設計も目指して発展してきており、これまでの使用上の制約を打破している。更には、運動や健康といったテーマの重要性にますます注目が集まっていることから、日常的な身体活動の記録やスポーツ専用に設計されたウェアラブル技術が急速に発展している。しかし、現在すでに成熟し、開発されている機能は、主として歩数やピッチ等を単純に計算するものにすぎない。よって、実のところ、使用過程でセンシング素子が取得するデータは大変多く、如何にして更なる分析及び運用を行うかが、今後のウェアラブル技術にとって打破すべき重要なポイントとなっている。
【0003】
電子センシング素子の小型化は、靴内へのセンサの装着を可能にするとともに、室内環境からの実験の持ち出しも可能とする。また、それだけでなく、靴内の足底圧を測定することで、運動時のセンシングにその他の利点をもたらすことも可能となる。ランニングの場合を例にすると、下肢が地面と接触したときに、フォースプレートのような計器は人体が受けた外力を正確に測定可能であるが、足底の範囲内について、外力のかかった時間や空間パラメータを同時に提供できるのは足底圧のみである。例えば、足底の特定位置が受ける力の違いによって、表される意味が異なる場合があり、運動障害や転倒の発生確率が変わる可能性がある。これらの情報は足底圧から取得するしかなく、その他の測定ツールでは知りようがない。この独自性から、臨床や運動関連の検出における足底圧の重要性を軽視することはできない。
【0004】
臨床において、足底圧分布は人体の歩行パターンを示す重要な指標の一つである。よって、足底圧分布を測定することには、バイオメカニクス、リハビリテーション医学、フィジカルトレーニング、靴製造等の分野において重要な指標的意味がある。しかし、現在臨床で使用されている圧力測定ボードや測定台には空間的制限が存在し、装着可能性がない。
【0005】
足底圧を測定するためのこれまでのセンサは、センシングユニットが人間の足部と接触し、頻繁に足底と接触するため摩耗しやすい。よって、長時間にわたる装着及び測定には不向きである。
【0006】
そこで、ウェアラブル式のインソールを更に開発することで、インソール内にセンサを埋め込み可能とし、且つ、製造時にセンサとインソールを一体的に成形可能とすれば、上記の欠点を更に解決可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該インソールは、上記インソールの内部に設けられる圧力センシング層と、前記インソールの内部に設けられて前記圧力センシング層に電気的に接続され、前記圧力センシング層が検出した電子信号を受信及び処理するセンサモジュール、を含む。前記センサモジュールは、外部のワイヤレス充電システムに接続されて前記センサモジュール内のバッテリをワイヤレス充電するインダクタコイルを含む。前記圧力センシング層及び前記センサモジュールは、一体的に成形されるよう上記インソールの内部に統合される。
【0009】
一実施例において、一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールは、更に、前記インソールの内部に設けられて前記センシングモジュールに電気的に接続され、検出した電子信号を前記センシングモジュールに伝送する赤外線センシング層を含む。前記赤外線センシング層は、一体的に成形されるよう上記インソールの内部に統合される。
【0010】
一実施例において、上記の圧力センシング層は、異なる密度で分布する複数の圧力センサが前記インソールの靴先付近領域、アーチ外側領域及びかかと領域に設けられている。
【0011】
一実施例において、上記複数の圧力センサは、アレイ配置方式を形成する複数の電気抵抗式の圧力センサを含む。また、前記圧力センシング層は可撓式である。
【0012】
一実施例において、上記複数の圧力センサは、アレイ配置方式を形成する複数の静電容量式の圧力センサを含む。また、前記圧力センシング層は可撓式である。
【0013】
一実施例において、上記の赤外線センシング層は可撓式である。
【0014】
一実施例において、上記のセンシングモジュールは、コンピュータプログラム/アルゴリズムによるデータの収集及び保存の制御を提供する。
【0015】
一実施例において、上記のセンシングモジュールは外部の電子機器と通信するように構成される。前記外部の電子機器は、外部のコンピューティングデバイス、コンピューティングシステム、携帯機器又はその他の電子機器類である。
【0016】
一実施例において、上記のセンシングモジュールは、少なくとも、前記圧力センシング層、前記加速度計及び前記赤外線センシング層が検出した電子信号を収集及び分析し、それを対応する足圧分布情報、加速度情報及び血液循環情報に変換するマイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサに接続されて、前記足圧分布情報、前記加速度情報及び前記血液循環情報を保存するメモリと、前記マイクロプロセッサに接続されて、前記足圧分布情報、前記加速度情報及び前記血液循環情報を外部の電子機器に無線伝送する無線データ送信/受信装置と、前記圧力センシング層、前記赤外線センシング層、前記マイクロプロセッサ、前記メモリ及び前記無線データ送信/受信装置に電気を供給する電源供給装置、を含む。
【0017】
一実施例において、上記の無線データ送信/受信装置は、ブルートゥース(登録商標)チップ、WiFi又は類似機能のデータ送信/受信装置である。
【0018】
一実施例において、上記のセンシングモジュールは、更に、ユーザの歩行中の方向の変化、GPSデータ、加速度の出力データ、角度方向の関連データ及び角度方向の変化を検出することで、速度/距離を含む情報を検出し、圧力センシングデータと照合して互いに補正する加速度計を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施例に基づき提供する一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールの平面図を示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明の一実施例に基づき提供する一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールの側面図を示す。
【
図1C】
図1Cは、本発明の一実施例に基づき提供する一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールにおける圧力センサの分布及び配線の概略図を示す。
【
図1D】
図1Dは、本発明の一実施例に基づき提供する一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールにおける圧力センシング層及び赤外線センシング層を合わせた断面の概略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に基づき提供するインソールセンシングシステムの機能ブロック図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に基づき提供する左右のインソールセンシングシステム及び外部のコンピューティングデバイスの概略的なシステムブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、本発明では、発明の具体的実施例及びその観点について詳細に記載する。なお、こうした記載は本発明の構造又はステップのフローを解釈し、説明するためのものであって、本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。よって、明細書内の具体的実施例及び好ましい実施例以外にも、本発明はその他の異なる実施例において幅広く実行可能である。以下に、特定の具体的実施例によって本発明の実施形態につき説明する。当業者であれば、本明細書で開示する内容から本発明の効果及びその利点を容易に理解可能である。また、本発明は、その他の具体的実施例によっても運用及び実施可能である。本明細書で詳述する各詳細事項はニーズの違いに応じて応用可能であり、且つ、本発明の精神から逸脱しなければ、各種の異なる改変又は変更を行ってもよい。
【0021】
足底圧とは、人体の各種形式の運動過程で、足底が地面に接触した際に単位面積あたりに受ける力のことである。足底圧検出システムは、複数の圧力センシング素子からなり、測定動作の過程で、各センシング素子により圧力値を取得して計算することで、その回の測定の足底圧パラメータを取得する。
【0022】
現在、足底圧の検出に用いられる圧力センシング素子は、主に、静電容量式と電気抵抗式の2種類のタイプに分類可能である。静電容量式の圧力センシング素子は、ダイアフラムにより2つの導電板を隔離する。センシング素子のダイアフラムが圧力を受けて変形すると、ダイアフラムと2つの導電板との隙間が変化することで静電容量が変化し、静電容量の変化から圧力の大きさが計算される。
【0023】
電気抵抗式の圧力センシング素子は導電性のポリマーで構成される。導電性ポリマーは、圧力の変化に伴って電気抵抗が変化する。力が加わると、導電性粒子が接触可能となることでセンシング素子を通過する電流が増加し、圧力値が算出される。
【0024】
図1は、本発明の一実施例に基づき提供する一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソール10を示す。
図1Aはインソールの平面図を示しており、圧力センシング層12がインソールの内部に埋め込まれている。図中に点線で示すように、圧力センシング層12は、アレイ配置方式を形成する複数の圧力センサ12aを含む。個々の圧力センサ12aは、センシングポイントとして、足部の圧力が変化したときの圧力の変化及び位置分布をセンシングするために用いられる。圧力センサ12aは、導線24を介してセンシングモジュール16に電気的に接続される。
【0025】
一実施例において、
図1Aの圧力センサ12aは電気抵抗式の圧力センシング素子である。電気抵抗式の圧力センシング素子は導電性のポリマーで構成される。導電性ポリマーは、圧力の変化に伴って電気抵抗が変化する。力が加わると、導電性粒子が接触可能となることでセンシング素子を通過する電流が増加し、圧力値が算出される。
【0026】
別の実施例において、
図1Aの圧力センサ12aは静電容量式の圧力センシング素子である。静電容量式の圧力センシング素子は、ダイアフラムにより2つの導電板を隔離する。センシング素子のダイアフラムが圧力を受けて変形すると、ダイアフラムと2つの導電板との隙間が変化することで静電容量が変化し、静電容量の変化から圧力の大きさが計算される。
【0027】
図1Bはインソール10の側面図を示しており、圧力センシング層(図示しない)が一体成形方式でインソール10内に統合されている。インソール10は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー層(TPEE)を含んでもよい。また、インソール10は、それに統合されるアーチパッド14を含んでもよい。複数の圧力センサの電子信号を収集し、それを演算処理して伝送するセンシングモジュール16は、内蔵方式でインソールのアーチパッド14内に設けられるか、一体成形方式でインソール10内に設けられるため、装着者の足部に対する接触及び刺激を回避又は最小限化することが可能である。
【0028】
本発明の一実施例によれば、上記のセンシングモジュール16は、フレキシブル基板に統合的にパッケージング可能であり、一体成形方式でインソール10内に設けるのに都合がよい。
【0029】
図1Cに示すように、圧力センサ(図示しない)は、足指領域及び前足裏領域を含む靴先付近領域15、アーチ外側領域19及びかかと領域20(即ち、足底の関節部位)に異なる密度で分布してもよい。個々の圧力センサは、導線22によりセンシングモジュール16に電気的に接続される。異なる数の複数の圧力センサと、対応する導線24により可撓式の圧力センシング装置が形成され、インソールの異なる部位に設けられて、ユーザの足部の異なる領域(例えば、上記の足指領域及び前足裏領域に対応する靴先付近領域15、アーチ外側領域19及びかかと領域20の位置)の足圧分布をセンシングするために用いられる。換言すれば、上記3つの領域のセンサ密度は異なっており、密度の大きい順に、靴先付近領域15、アーチ外側領域19及びかかと領域20となっている。センシングモジュール16は、ブルートゥース(登録商標)チップ及びその他の電子部品を含み、全てがインソール10のアーチ部におけるアーチパッド14内に内蔵されるか、一体成形方式で圧力センサとともにインソール10内に設けられる。
【0030】
一実施例において、センシングモジュール16は、プリント基板に統合される電子センシングモジュールとしてもよく、上記複数の圧力センシング装置に電気的に接続される接続端子を有する。センシングモジュール16のサイズは薄型化可能であり、厚さは約3~4.5mmである。
【0031】
図1Dは、インソール10の側断面図を示しており、下方の図は、インソール10の点線枠領域に位置する部分の断面図である。図中の個々の圧力センサ12aはフレキシブル基板に設けられている。また、対応する配線をフレキシブル基板上に作製することで、個々の圧力センサ12aがセンシングした信号を導線経由でセンシングモジュール16に伝送できるようにしている。一実施例において、圧力センシング層12は可撓式の圧力センサ12a及び配線を含む。
【0032】
そのほか、インソール10には、ユーザの足部の血液循環状況を検出するための赤外線センサを統合してもよい。赤外線の高透過性により、赤外線センサは、人体の肌に密着させなくても足部の血液循環状況を検出可能である。
図1Dに示すように、赤外線センシング層13は、可撓式の赤外線センサ及び配線を含む。これについても同様に、一体成形方式でインソール10の内部に設けられ、人体の足部から発せられる赤外線を受信するために用いられる。このような方式で配置することで、圧力センサとの干渉を回避可能となる。一実施例において、赤外線センシング層13は、可撓式の配線によってセンシングモジュール16の接続端子に電気的に接続可能である。上述した赤外線の高透過性を利用して、足部への血液輸送を担う足甲外側の動脈を測定することで、足甲の脈拍に異常が存在し得るか否かを判断する。
【0033】
一実施例において、上記の圧力センシング層12、赤外線センシング層13及びセンシングモジュール16はいずれも可撓式となるよう作製してもよい。これにより、インソール10の射出成形時に、圧力センシング層12、赤外線センシング層13及びセンシングモジュール16を一体成形方式でインソール10の内部に埋め込む。また、インソール10にはワイヤレス充電方式を採用し、インソール全体が全く露出孔を有さないようにしてもよい。これにより、インソール10を洗濯機に入れて洗うことが可能となる。
【0034】
図2は、無線データ送信/受信(TX/RX)装置32を介してデータ送信/受信を実行可能なセンシングモジュール16を含むインソールセンシングシステム30の概略的な機能ブロック図を示す。
図2には、無線データ送信/受信(TX/RX)装置32がセンシングモジュール16内に統合されている場合を示しているが、当業者は、無線データ送信/受信(TX/RX)装置32を分離された1つのコンポーネントとしてデータ送信/受信の目的に用いてもよいことを理解し得る。
図2の例において、センシングモジュール16は、1つ又は複数のリモートシステムへのデータ送信、及び/又は、1つ又は複数のリモートシステムからのデータ受信に用いられる無線データ送信/受信(TX/RX)装置32を含んでもよい。一実施例において、無線データ送信/受信装置32は、ブルートゥース(登録商標)チップ、WiFi又は類似機能の無線データ送信/受信装置としてもよい。センシングモジュール16は、接続端子を介して、インソールに設けられる複数の圧力センサ(圧力センシング装置38)及び赤外線センシング装置39に電気的に接続可能である。センシングモジュール16は、更に、プロセッシングシステム(例えば、1つ又は複数のマイクロプロセッサ)34、メモリ35、付加的なセンサ(加速度計、ジャイロスコープ(G-sensor)、GPS等を含む)36及び電源供給装置37を含む。電源供給装置37は、圧力センシング装置38、赤外線センシング装置39及び/又はセンシングシステムのその他のコンポーネント(例えば、プロセッシングシステム34、メモリ35、付加的なセンサ36等)に電気を供給可能である。好ましい実施例において、電源供給装置37は、充電式の全固体電池、インダクタコイル(外部のワイヤレス充電システムに接続されてバッテリをワイヤレス充電するために用いられる)及びUSB充電ポートを含む。ここで、理解すべき点として、センシングモジュール16は、コンピュータプログラム/アルゴリズムによるデータの収集及び保存(例えば、ユーザの足部の圧力分布データ、又は地面との相互作用による圧力データ、ユーザの足部の血液循環状態等)の制御を提供可能であるとともに、これらのプログラム/アルゴリズムを記憶及び/又は実行可能である。
【0035】
TX/RX装置32によって1つ又は複数のセンサとの接続を完了させられる。また、データ或いは各種の異なるパラメータに関連する情報を検出又は提供するための付加的なセンサ36を提供する。これらのデータ又は情報には、ユーザに関連する生理学的データが含まれる。また、歩数計類の速度データ/距離情報が含まれる。加速度計は、歩行中の方向の変化、GPSデータ、加速度の出力/データ、角度方向の関連データ及び角度方向の変化(ジャイロスコープセンサにより取得)を検出し、圧力センシングデータと照合して互いに補正する。これらのデータは、メモリに保存してもよいし、TX/RX装置32を介してリモートターミナルのコンピューティングデバイス又はサーバに伝送してもよい。
【0036】
図2の実施例において、センシングモジュール16は起動システム(図示しない)を含んでもよい。即ち、システム又はその一部は、上記センシングモジュール16又はインソールに結合されていてもよいし、センシングモジュール16のその他の部分から分離されていてもよい。起動システムは、センシングモジュール16を選択的に起動してもよい。一実施例において、センシングモジュール16は、例えば、1つ又は複数のセンサに圧力閾値を付与しておくというように、特有の方式で起動することにより起動又は停止させられてもよい。また、その他の実施例では、ボタンによりセンシングモジュール16を起動又は停止させてもよい。また、これらいずれかの実施例において、センシングモジュール16は、スリープモードを含んでもよく、一定の非動作期間の後にシステムをスリープモードとしてもよい。一実施例において、例えば、ジャイロスコープ(G-sensor)が所定の時間内に動作を検出しなかった場合、センシングモジュール16はスリープモードとなって電力を節約してもよい。
【0037】
センシングモジュール16は、外部装置と通信するように構成されてもよい。外部装置とは、外部のコンピューティングデバイス、コンピューティングシステム、携帯機器(スマートフォン、タブレットPC等)、又はその他の電子機器類とすることができる。
【0038】
図3は、左右のインソールセンシングシステム(30a,30b)と外部のコンピューティングデバイス40との通信の概略的なシステムブロック図を示す。左右のインソールセンシングシステム(30a,30b)は、それぞれ、インソールのアーチ部に内蔵されるセンシングモジュール(16a,16b)であって、圧力センシング装置(38a,38b)及び赤外線センシング装置(39a,39b)に電気的に接続され、ユーザの足圧分布と足部の血液循環データを受信及び分析し、センシングモジュール内に位置するTX/RX装置(32a,32b)を通じて上記データをリモートターミナルのコンピューティングデバイス又はサーバに伝送するセンシングモジュールを含む。上記のセンシングモジュール(16a,16b)は、それぞれ、プロセッシングシステム(例えば、1つ又は複数のマイクロプロセッサ)、メモリ、付加的なセンサ及び電源供給装置(
図2参照)を含む。
【0039】
外部のコンピューティングデバイス40は、データの伝送、データの処理及び/又はデータの保存が可能ないずれかの電子機器とすることができる。一実施例において、コンピューティングデバイス40は、ポータブル式のコンピューティングデバイス及び/又は固定式のコンピューティングデバイスである。ポータブル式のコンピューティングデバイスは、ソーシャルネットワークデバイス、ゲーム機器、携帯電話、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント、デジタルオーディオ/ビデオプレーヤー、ノートパソコン、タブレットPC、ビデオゲームコントローラ、及び/又は、コンピュートコアを含むその他いずれかのポータブルデバイスとすることができる。また、固定式のコンピューティングデバイスは、パソコン(PC)、コンピュータサーバ、テレビ、プリンタ、ファクシミリ、ホームエンターテイメント機器、ビデオゲーム機、及び/又は、コンピュートコアを含むいずれかのタイプの家庭用又はオフィス用のコンピューティングデバイスとすることができる。
【0040】
外部のコンピューティングデバイス40は、コンピュートコア42、ユーザインターフェース43、インターネットインターフェース44、無線通信送受信機45及び記憶装置46を含む。ユーザインターフェース43は、1つ又は複数の入力デバイス(例えば、キーボード、タッチスクリーン、音声入力装置等)、1つ又は複数の音声出力装置(例えば、スピーカ、イヤホンジャック等)、及び/又は、1つ又は複数の視覚出力装置(例えば、ビデオグラフィックディスプレイ、タッチスクリーン等)を含む。インターネットインターフェース44は、1つ又は複数のインターネット装置(例えば、無線LAN(WLAN)装置、有線LAN装置、無線WAN(WWAN)装置)等を含む。記憶装置46は、フラッシュメモリ装置、1つ又は複数のハードディスクドライブ、1つ又は複数のソリッドステート(SS)記憶装置及び/又はクラウドストレージを含む。
【0041】
コンピュートコア42は、プロセッサ42a及びその他のコンピュートコアコンポーネント42bを含む。その他のコンピュートコアコンポーネント42bは、ビデオグラフィックプロセッシングユニット、メモリコントローラ、主記憶装置(例えば、RAM)、1つ又は複数の入力/出力(I/O)装置インターフェースモジュール、入力/出力(I/O)インターフェース、入力/出力(I/O)コントローラ、周辺機器インターフェース、1つ又は複数のUSBインターフェースモジュール、1つ又は複数のネットワークインターフェースモジュール、1つ又は複数のメモリインターフェースモジュール、及び/又は、1つ又は複数の周辺機器インターフェースモジュールを含む。
【0042】
外部のコンピューティングデバイス40の無線通信送受信機45とインソールセンシングシステム30の無線データ送信/受信装置(32a,32b)は、類似の送受信機類(例えば、ブルートゥース(登録商標)、WLAN、Wifi等)を有する。無線データ送信/受信装置(32a,32b)は、無線通信送受信機45と直接通信することで、それぞれのインソールセンシングシステム30による収集データの共有、及び/又は、外部のコンピューティングデバイス40からの命令の受信を行う。そのほか、或いは、上記に換えて、無線データ送信/受信装置(32a,32b)は、収集したデータを自身ともう一方との間で通信する。また、無線データ送信/受信装置32aは、集合データを外部のコンピューティングデバイス40の無線通信送受信機45に伝送する。
【0043】
外部のコンピューティングデバイス40は、データを処理して各種結果を生成する。例えば、外部のコンピューティングデバイス40による処理に演算回路を組み合わせて、インソールセンサシステム16からのデータを処理することで、装着者の左右の足の圧力分布、左右の足への体重配分比率、歩き方、ピッチ、及び人体の動態時における圧力中心(center of pressure,COP)など、移動時の足圧に関連する何らかのデータを分析可能である。
【0044】
足圧分布は、人間が移動する際に重要な役割を果たす。また、足型及び歩行(走行)姿勢は、人体の姿勢や骨格の変化、及びスポーツ選手のパフォーマンスや限界に影響を及ぼす。本発明で提供する一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールは、靴内に設置されることで、時間、空間に対する多くのユーザの足圧分布のパラメータデータを取得可能である。そして、無線伝送によって外部のコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、パソコン、コンピュータサーバ等)にアップロードして計算及び分析するとともに、クラウドシステムに保存して関連のビッグデータ・データベースとする。
【0045】
そのほか、本発明で提供する一体的に成形されたサンドイッチ型センサを有するインソールは、赤外線検出装置と統合することで、ユーザの血液循環状況の情報を同時に提供することも可能となる。これにより、医療機関や運動研究機関でのみデータの取得及び分析が可能であるという従来の制約が解消されるため、より多様な運動種目やより多くのユーザが個人に特化した移動又は運動分析を取得可能となる。また、同時に、各専門分野によるデータプラットフォームの構築及び使用をオープンにすることで、異なる専門分野(例えば、運動、医療・ヘルスケア、靴製造等の分野)が足圧状況との連動関係を構築可能となる。
【0046】
一実施例において、上記データは無線方式で伝送される。また、APP(application program)を組み合わせることで直ちに表示可能となり、上記データの可視化が達成される。
【0047】
運動分野に応用される上記のデータによって、より多様な運動やより多くのユーザが個人に特化した移動又は運動分析を取得可能となる。また、同時に、各専門分野によるデータプラットフォームの構築及び使用をオープンにすることで、異なるプロスポーツが運動と足圧状況との連動関係を構築可能となる。更に、各種のアルゴリズムとAPPを開発することで、人間の運動と姿勢の秘密が解明される。
【0048】
そのほか、本発明で提供するインソールのセンシングでは、ワイヤレス充電方式を採用し、インソール全体が全く露出孔を有さないようにしてもよい。これにより、インソールを洗濯機に入れて洗うことが可能となる。また、射出成形時に、センシングモジュールとインソールを一体的に成形してもよい。
【0049】
本実施例の範囲を逸脱しなければ、上記の方法及びシステムを変更してもよい。よって、注意すべき点として、以上の記載に含まれる内容又は図中に示した内容は説明のためのものであって、制限の意図はないと理解すべきである。ここで、別途説明する場合を除き、「実施例における」等のフレーズは、「いずれかの実施例における」とのフレーズと同等の意味であり、全ての実施例を指すわけではない。添付の特許請求の範囲は、ここで記載した全ての一般的及び特定の特徴と、言葉としてそれらの間に含まれると言える本方法及びシステムの範囲内の全ての記載を網羅することを意図している。
【符号の説明】
【0050】
10 インソール
12 圧力センシング層
12a 圧力センサ
13 赤外線センシング層
14 アーチパッド
16 センシングモジュール
15 靴先付近領域
19 アーチ外側領域
20 かかと領域
22 導線
24 導線
30 インソールセンシングシステム
32 無線データ送信/受信装置
34 プロセッシングシステム
35 メモリ
36 付加的なセンサ
37 電源供給装置
38 圧力センシング装置
39 赤外線センシング装置
30a,30b 左右のインソールセンシングシステム
16a,16b センシングモジュール
38a,38b 圧力センシング装置
39a,39b 赤外線センシング装置
32a,32b 無線データ送信/受信装置
42 コンピュートコア
43 ユーザインターフェース
44 インターネットインターフェース
45 無線通信送受信機
46 記憶装置
42a プロセッサ
42b その他のコンピュートコアコンポーネント
【外国語明細書】