(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079616
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】環状ゴム部品の製造用型
(51)【国際特許分類】
B29D 30/02 20060101AFI20240604BHJP
B60B 9/00 20060101ALI20240604BHJP
B60C 7/00 20060101ALI20240604BHJP
B29C 33/02 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B29D30/02
B60B9/00
B60C7/00 Z
B29C33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197077
(22)【出願日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】18/060034
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ジーン アレクシス ジスレーヌ ピエール
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ シャルル ペニデ
(72)【発明者】
【氏名】モハメッド ヒチャム ユージル
(72)【発明者】
【氏名】フランセスコ スポルテリ
(72)【発明者】
【氏名】ジーン-フィリップ ルイス ジョセフ スカ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセンゾ ランザラコ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール コートイ
【テーマコード(参考)】
3D131
4F202
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131BC51
3D131CC03
3D131LA28
4F202AH20
4F202CA21
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4F202CU20
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4F215VC08
4F215VP37
4F501TA03
4F501TB07
4F501TL36
(57)【要約】
【課題】
半径方向に動く成型セグメントを有する、セグメント化された内側の型を提供する。
【解決手段】
本発明の一態様による、環状構造を成型するための内側成型機構は、
型の軸の周りで交互に配置される、第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントと、
第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、第1の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように第1の内側成型セグメントに機械的に接続されている、軸方向に移動可能な第1のアクチュエータと、
第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、第2の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように第2の内側成型セグメントに機械的に接続されている、軸方向に移動可能な第2のアクチュエータとを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状構造体を成型するための内側成型機構であって、
交互に配置された、複数の第1の内側成型セグメント及び複数の第2の内側成型セグメントと、
軸方向に移動可能な第1のアクチュエータであって、前記第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは前記第1の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、前記第1の内側成型セグメントに機械的に接続されている第1のアクチュエータと、
軸方向に移動可能な第2のアクチュエータであって、前記第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは前記第2の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、前記第2の内側成型セグメントに機械的に接続されている第2のアクチュエータと、を特徴とする内側成型機構。
【請求項2】
前記第1の内型成型セグメントのそれぞれが、半径方向内側の幹と、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体とを含み、前記前部本体はフランジを備え、前記フランジは前記幹と前記フランジとの間に凹部を画定するように、前記幹を越えて方位角方向に突出していることを特徴とする、請求項1に記載の内側成型機構。
【請求項3】
前記第2の内側成型セグメントのそれぞれが、半径方向内側の幹と、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体とを含み、前記前部本体はフランジを備え、前記フランジは前記幹と前記フランジとの間に凹部を画定するように、前記幹を越えて方位角方向に突出していることを特徴とする、請求項2に記載の内側成型機構。
【請求項4】
前記第1の内側成型セグメントの前記フランジと前記第2の内側成型セグメントの前記フランジとは、相補的な形状であることを特徴とする、請求項3に記載の内側成型機構。
【請求項5】
前記第1の内側成型セグメントのそれぞれ及び前記第2の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向に移動するように機械的に拘束されていることを特徴とする、請求項1に記載の内側成型機構。
【請求項6】
前記第1のアクチュエータは、第1の直動ジョイントのそれぞれによって前記第1の内側成型セグメントに接続されており、前記第2のアクチュエータは、第2の直動ジョイントのそれぞれによって前記第2の内側成型セグメントに接続されていることを特徴とする、請求項4に記載の内側成型機構。
【請求項7】
前記第1の内側成型セグメントは、第1の後退位置と第1の展開位置との間で移動可能であり、前記第2の内側成型セグメントは、第2の後退位置と第2の展開位置との間で移動可能であり、前記第1の内側成型セグメントが前記第1の展開位置にあり、且つ前記第2の内側成型セグメントが前記第2の展開位置にあるときは、前記第1の内側成型セグメント及び前記第2の内側成型セグメントは、実質的に連続した内側成型面を共に形成することを特徴とする、請求項1に記載の内側成型機構。
【請求項8】
前記第1の内側成型セグメントは、凹部を有する側面を備え、前記第1の内側成型セグメントが前記第1の後退位置にあり、且つ前記第2の内側成型セグメントが前記第2の後退位置にあるときは、前記第2の内側成型セグメントは、前記第1の内側成型セグメントよりも更に後退させられ、前記第2の内側成型セグメントは、前記第1の内側成型セグメントの前記側面の前記凹部に少なくとも部分的に止められることを特徴とする、請求項7に記載の内側成型機構。
【請求項9】
環状のタイヤ構造体を成型するための内側成型機構であって、
型の軸の周りに配置された、複数の第1の内側成型セグメント及び複数の第2の内側成型セグメントであって、前記第1の内側成型セグメント及び前記第2の内側成型セグメントは、前記型の軸の周りの方位角方向に交互に配置され、前記第1の内側成型セグメントのそれぞれ及び前記第2の内側成型セグメントのそれぞれは、前記型の軸に関する半径方向の線形1自由度に拘束されている、第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントと、
軸方向に移動可能な少なくとも1つの第1のアクチュエータであって、前記第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、前記第1の内側成型セグメント、又は前記第2の内側成型セグメント、又は前記第1の内側成型セグメント及び前記第2の内側成型セグメントの両方を半径方向に移動させるように、前記第1の内側成型セグメント、又は前記第2の内側成型セグメント、又は前記第1の内側成型セグメント及び前記第2の内側成型セグメントの両方に機械的に接続されている第1のアクチュエータと、
前記第1の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向内側の幹と、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体とを含み、前記前部本体はフランジを有し、前記フランジは前記幹と前記フランジとの間に凹部を画定するように、前記幹を越えて方位角方向に突出していることと、
前記第2の内側成型セグメントのそれぞれは、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体を含むことと、
前記第1の内側成型セグメントは、前記軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータによって、第1の後退位置と第1の展開位置との間で移動可能であることと、
前記第2の内側成型セグメントは、前記軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータによって、第2の後退位置と第2の展開位置との間で移動可能であることと、
前記第1の内側成型セグメントが前記第1の展開位置にあり、且つ前記第2の内側成型セグメントが前記第2の展開位置にあるときは、前記第1の内側成型セグメント及び前記第2の内側成型セグメントの、前記弧状の前面は共に環状の内側成型面を形成することと、
前記第1の内側成型セグメントが前記第1の後退位置にあり、且つ前記第2の内側成型セグメントが前記第2の後退位置にあるときは、前記第2の内側成型セグメントは前記第1の内側成型セグメントよりも更に後退し、前記第2の内側成型セグメントは少なくとも部分的に前記第1の内側成型セグメントの前記凹部内に止まることとを特徴とする、内側成型機構。
【請求項10】
前記第2の内側成型セグメントのそれぞれが半径方向内側の幹を含み、前記前部本体はフランジを備え、前記フランジは前記幹と前記フランジとの間に凹部を画定するように、前記幹を越えて方位角方向に突出していることを特徴とする、請求項9に記載の内側成型機構。
【請求項11】
前記第1の内側成型セグメントの前記フランジと前記第2の内側成型セグメントの前記フランジとは相補的な形状であることを特徴とする、請求項10に記載の内側成型機構。
【請求項12】
前記第1の内側成型セグメントは3~5個設けられ、前記第2の内側成型セグメントは前記第1の内側成型セグメントと同数設けられることを特徴とする、請求項9に記載の内側成型機構。
【請求項13】
前記軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータが、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを含み、前記第2のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、前記第2の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、前記第1のアクチュエータが軸方向に移動され、且つ前記第2のアクチュエータが第2の内側成型セグメントに接続されているときは、前記第1の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、前記第1のアクチュエータが前記第1の内側成型セグメントに機械的に接続されていることを特徴とする、請求項9に記載の内側成型機構。
【請求項14】
前記第1のアクチュエータは、それぞれの第1の直動ジョイントによって前記第1の内側成型セグメントに接続され、前記第2のアクチュエータは、それぞれの第2の直動ジョイントによって前記第2の内側成型セグメントに接続されることを特徴とする、請求項13に記載の内側成型機構。
【請求項15】
環状タイヤ構造体を硬化させるための型であって、
外側成型構造及び内側成型構造であって、前記外側成型構造と前記内側成型構造との間に、硬化すべき環状タイヤ構造を内部に収容するための、作動可能で開閉可能な型の空洞を画定する、外側成型構造及び内側成型構造と、
前記内側成型構造は、型の軸の周りに配置された、複数の第1の内側成型セグメント及び複数の第2の内側成型セグメントであって、前記第1の内側成型セグメント及び前記第2の内側成型セグメントが前記型の軸の周りの方位角方向に交互に配置され、前記第1の内側成型セグメントのそれぞれ及び前記第2の内側成型セグメントのそれぞれが前記型の軸に対する半径方向の線形1自由度に拘束されている、第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントと、
軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータであって、第1のアクチュエータは、前記第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、第1の内側成型セグメント、又は第2の内側成型セグメント、又は第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントの両方を半径方向に移動させるように、第1の内側成型セグメント、又は第2の内側成型セグメント、又は第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントの両方に機械的に接続されている、アクチュエータとを含むことと、
第1の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向内側の幹と、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体とを含み、前記前部本体はフランジを備え、前記フランジは前記幹と前記フランジとの間に凹部を画定するように、前記幹を越えて方位角方向に突出していることと、
前記第2の内側成型セグメントのそれぞれは、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体を含むことと、
前記軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータは、前記第1の内側成型セグメントを第1の後退位置と第1の展開位置との間で移動させ、前記第2の内側成型セグメントを第2の後退位置と第2の展開位置との間で移動させるように構成されることと、
前記第1の内側成型セグメントが前記第1の展開位置にあり、且つ前記第2の内側成型セグメントが前記第2の展開位置にあるときは、前記第1の内側成型セグメント及び前記第2の内側成型セグメントの弧状の前面は共に半径方向内側の型の空洞面を形成することと、
前記第1の内側成型セグメントが前記第1の後退位置にあり、且つ前記第2の内側成型セグメントが前記第2の後退位置にあるときは、前記第2の内側成型セグメントは前記第1の内側成型セグメントよりも更に後退し、前記第2の内側成型セグメントは前記第1の内側成型セグメントの前記凹部に少なくとも部分的に止まることとを特徴とする、型。
【請求項16】
前記第2の内側成型セグメントのそれぞれが半径方向内側の幹を含み、前記前部本体はフランジを備え、前記フランジは前記幹と前記フランジとの間に凹部を画定するように、前記幹を越えて方位角方向に突出していることを特徴とする、請求項15に記載の型。
【請求項17】
前記第1の内側成型セグメントの前記フランジと前記第2の内側成型セグメントの前記フランジとは、相補的な形状であることを特徴とする、請求項16に記載の型。
【請求項18】
前記軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータは、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとを含み、前記第1のアクチュエータは、前記第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、前記第1の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように前記第1の内側成型セグメントに機械的に接続されており、前記第2のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、前記第2の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように前記第2の内側成型セグメントに接続されていることを特徴とする、請求項16に記載の型。
【請求項19】
前記第1のアクチュエータは、それぞれの第1の直動ジョイントによって前記第1の内側成型セグメントに接続され、前記第2のアクチュエータは、それぞれの第2の直動ジョイントによって前記第2の内側成型セグメントに接続されることを特徴とする、請求項18に記載の型。
【請求項20】
前記第1の直動ジョイント及び前記第2の直動ジョイントは、ガイドレールと、前記ガイドレール中を滑動するT字形滑動器とを含むことを特徴とする、請求項19に記載の型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、環状ゴム構造体を硬化/製造するための型に関し、特に、タイヤ又はタイヤ部品のための型、並びにそれに関連する方法及び装置又は型容器に関し、更に詳しくは、非空気圧タイヤ(NPT)を製造するための型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気圧タイヤは、長い間、タイヤ型中での加硫によって製造されてきた。例えば、Greenwoodの米国特許第4,957,656号には、様々な密封及び加圧区画を特徴とする、二部分からなるタイヤ型が開示されている。更に、ダンロップ・ラバー・カンパニー・リミテッドの英国特許830,231号には、別の、真空を利用した、二部分からなるタイヤ型が開示されている。
【0003】
タイヤ型の別の形態は、二部分からなるタイヤ型とは対照的な、セグメント化されたタイヤ型である。セグメント化されたタイヤ型の例としては、いずれもGreenwoodのものである、米国特許第3,779,677号及び米国特許第3,867,504号が挙げられる。
【0004】
米国特許第3,779,677号は、踏面の成型セグメントが、移動するセグメントを支える側壁板の間の円錐形の輪によって半径方向に移動されるタイヤ型を開示している。各セグメントを上部板に接続する連結手段により、上部板を移動させることによってセグメントを輪の中に引き込むことができる。連結手段は、上部板とセグメントとの間に十分な相対的分離を提供し、後退中のセグメントの間の摩擦、磨耗、結合を防止する。タイヤ型は、それぞれがタイヤの側壁成型面を有する、一対の側壁成型板を含む。複数の踏面の成型セグメントが集合的に側壁成型面と協働して、閉じたタイヤ成型用空洞を形成する。踏面の成型セグメントは、タイヤの型の軸に関して内方及び外方に、特にその半径方向に移動可能な複数の搬送セグメントにそれぞれ取り付けられている。搬送セグメントのそれぞれには、傾斜面及び案内面(例えば、T型溝)が設けられている。それぞれの傾斜面は、閉鎖輪によって担持される共役傾斜面と協働し、外側、すなわち上部圧盤の上方に向かって型の軸上に収束する円錐を集合的に画定する。それぞれのセグメントの内側への、軸に向かっての半径方向の移動は、下部側壁板に向かう、輪の軸方向の移動によってもたらされる。上部圧盤及び輪の下方への移動に伴って、セグメントの底面と下部側壁板のフランジ面との係合により、セグメントの更なる軸方向の移動が妨げられ、それにより、輪とセグメントとの間の相対運動がセグメントの半径方向内向きの動きに変換される。同様に、輪がセグメントに対して軸方向上方に移動すると、上部側壁成型板によって軸方向に移動することが妨げられ、セグメントが半径方向外側に移動する。
【0005】
米国特許第5,585,064号は、無通気口セグメント化されたタイヤ型を開示している。
【0006】
空気圧タイヤは、一世紀以上に渡って車両の移動手段として一般的に好まれる解決策であり、現在でもタイヤ市場で優勢である。空気圧タイヤは、その全ての構造が荷物の運搬に関与しているため、荷物の運搬において効率的である。空気圧タイヤは、接地圧が低く、車両の荷重が分散されるため、接地面の摩耗が少なくなるという点でも望ましい。空気圧タイヤは剛性が低いため、車内での快適な乗り心地が保障される。空気圧タイヤの主な欠点は、圧縮流体(例として、空気、不活性ガス)が必要なことである。従来の空気圧タイヤは、膨張圧が完全に失われると使用できなくなる。
【0007】
膨張圧を必要とせずに動作するように設計されたタイヤは、空気圧タイヤに関連する課題及び妥協点の多くを解消する可能性がある。圧力維持も圧力監視も必要ない。現在までの中実タイヤ又は他のエラストマー構造などの構造的に支持されたタイヤは、従来の空気圧タイヤに必要なレベルの性能を提供していなかった。空気圧タイヤのような性能を発揮する、構造的に支持されたタイヤによる解決が望まれる改善であろう。
【0008】
非空気圧タイヤは、典型的には、その荷重搬送効率によって区分される。いわゆる「ボトムローダー」は本質的に剛構造であり、荷重の大部分をハブの下の構造部分で支える。「トップローダー」は、全ての構造が荷物の運搬に関与するように設計されている。従って、トップローダーはボトムローダーよりも荷重搬送効率が高く、より質量の小さい設計が可能になる。
【0009】
剪断帯を設けて、接続構造(例えば、スポーク又は接続網を含む)の張力を通じて地面との接触から荷重をハブに伝達し、トップローディング構造を形成できる。このような剪断帯が変形するときは、その好ましい変形形態は曲げに対する剪断である。変形の剪断モードは、剪断帯の半径方向内側部分及び半径方向外側部分にある非伸張性の膜によって発生する可能性がある。非空気圧タイヤは、少なくとも二層の非伸張性の帯又は膜の間に挟まれた剪断層から成る剪断帯を有している場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
空気圧タイヤが型内で硬化されるときは、タイヤ内部は膨張可能な空気袋によって加圧され、未硬化のタイヤを、例えば、上部及び下部側壁板並びに踏面の成型セグメントなどの、型の様々な部分に押し付ける。同様の方法で、剪断帯、及びNPTの踏面を硬化することが試みられたが、最初の結果は説得力に欠けた。従って、剪断帯の半径方向内面を支持するために、それぞれの傾斜した下降面に沿った型のセグメントに連結された円錐形の作動輪の垂直運動に応じて、半径方向、内側、又は外側に動く成型セグメントを有する、セグメント化された内側の型の使用が提案された。
【0011】
CN107972234Aは、中実タイヤ用の射出成形鋳型を開示している。射出成形鋳型は、上部鋳型、下部鋳型、内側鋳型、テーパー鋳型からなる。上部鋳型は上部鋳型本体と上部タイヤ側壁とからなり、下部鋳型は下部鋳型本体と下部タイヤ側壁とからなる。内部鋳型の、第1の内部モジュール及び第2の内部モジュールは、テーパー鋳型の周囲に順に交互に配置され、テーパー鋳型上に配置されて連結及び案内される、第1のガイドブロック及び第2のガイドブロックによって駆動される。第1の内側モジュールには内側鋳型の開き方向を向く対称傾斜面が設けられ、第2の内側モジュールには内側鋳型の引込方向を向く対称傾斜面が設けられる。第1の及び第2の内部モジュールは、円錐状の中心機構によって作動する。この機構は、テーパーの方向に移動されたときは、第1の及び第2の内側モジュールを半径方向外側に押し、テーパーとは逆の方向に移動されたときは、第1の及び第2の内側モジュールを内側に引く。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様では、環状構造を形成するための内側成型機構が提案される。この内側成型機構は、第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントを含み、第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントは型の軸の周りで交互に配置される。すなわち、第1の内側成型セグメントに機械的に接続されている、軸方向に移動可能な第1のアクチュエータは、第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは第1の内側成型セグメントを半径方向に移動させる。及び、第2の内側成型セグメントに機械的に接続されている、軸方向に移動可能な第2のアクチュエータは、第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは第2の内側成型セグメントを半径方向に移動させる。
【0013】
実施形態によれば、第1の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向内側の幹、及び弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体を含んでよい。前部本体はフランジを備え、フランジは幹とフランジとの間に凹部を画定するために、幹を越えて方位角方向に突出してよい。
【0014】
実施形態によれば、第2の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向内側の幹、及び弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体を含んでよい。上記の第2の内側成型セグメントのそれぞれの前部本体はフランジを備え、フランジは幹とフランジとの間に凹部を画定するために、幹を越えて方位角方向に突出してよい。
【0015】
第1の内側成型セグメントのフランジ及び第2の内側成型セグメントのフランジは、フランジの端に沿って相補的に形成されてよい。
【0016】
第1の内側成型セグメントのそれぞれ及び第2の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向に移動するように機械的に拘束されてよい。
【0017】
実施形態によれば、第1のアクチュエータは、それぞれの第1の直動ジョイントによって第1の内側成型セグメントに接続されてよく、第2のアクチュエータは、それぞれの第2の直動ジョイントによって第2の内側成型セグメントに接続されてよい。第1の及び第2の直動ジョイントは、ガイドレールと、ガイドレール内で滑動するT字型滑動器とを含んでよい。
【0018】
第1の内側成型セグメントは、第1の後退位置と第1の展開位置という2つの極端な位置の間で移動可能に構成されてよい。同様に、第2の内側成型セグメントは、第2の後退位置と第2の展開位置という2つの極端な位置の間で移動可能に構成されてよい。第1の内側成型セグメントが第1の展開位置にあり、第2の内側成型セグメントが第2の展開位置にあるときは、第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントは共に、実質的に連続した内側成型表面を形成できる。
【0019】
第1の内側成型セグメントは、凹部を有する側面を有してよい。第1の内側成型セグメントが第1の後退位置にあり、第2の内側成型セグメントが第2の後退位置にあるときは、第2の内側成型セグメントは第1の内側成型セグメントよりも更に後退し、第2の内側成型セグメントが少なくとも部分的には、第1の内側成型セグメントの側面の凹部内に止まってよい。
【0020】
内側成型機構は、同数の第1の及び第2の内側成型セグメントを含んでよい。内側成型機構は、例えば2~8個、好ましくは3~5個の第1の内側成型セグメント、及び同数の第2の内側成型セグメントを含むことができる。
【0021】
第2の態様では、本発明は、環状タイヤ構造を成型するための内側成型機構に関し、型の軸の周りに配置された、第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントを含み、第1の及び第2の内側成型セグメントは、型の軸の周りの方位角方向において、互いに交互である。第1の内側成型セグメントのそれぞれ及び第2の内側成型セグメントのそれぞれは、型の軸に関して半径方向における線形1自由度に拘束される。第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、第1の内側成型セグメント、第2の内側成型セグメント、又は第1の及び第2の内側成型セグメントの両方を半径方向に移動させるように、その第1のアクチュエータは、第1の内側成型セグメント、第2の内側成型セグメント、又は第1の及び第2の内側成型セグメントの両方に機械的に接続される、軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータが存在する。第1の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向内側の幹と、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体とを含む。前部本体はフランジを有し、フランジは幹とフランジとの間に凹部を画定するために、幹を越えて方位角方向に突出してよい。第2の内側成型セグメントのそれぞれは、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体を含む。第1の内側成型セグメントは、軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータによって、第1の後退位置と第1の展開位置との間で移動可能である。第2の内側成型セグメントは、軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータによって、第2の後退位置と第2の展開位置との間で移動可能である。第1の内側成型セグメントが第1の展開位置にあり、第2の内側成型セグメントが第2の展開位置にあるときは、第1の及び第2の内側成型セグメントの弧状の前面は、共に環状の内側成型表面を形成する。第1の内側成型セグメントが第1の後退位置にあり、第2の内側成型セグメントが第2の後退位置にあるときは、第2の内側成型セグメントは第1の内側成型セグメントよりも更に後退し、第2の内側成型セグメントは少なくとも部分的には第1の内側成型セグメントの凹部内に止まる。
【0022】
実施形態によれば、第2の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向内側の幹を含むことができ、第2の内側成型セグメントそれぞれの前部本体は、幹とフランジとの間に凹部を画定するように、幹を越えて方位角方向に突き出ているフランジを有してよい。
【0023】
第1の内側成型セグメントのフランジ及び第2の内側成型セグメントのフランジは、それらのフランジの端に沿って相補的に形成されてよい。
【0024】
内側成型機構は、同数の第1の及び第2の内側成型セグメントを含んでよい。内側成型機構は、例えば2~8個、好ましくは3~5個の第1の内側成型セグメントと、同数の第2の内側成型セグメントとを含んでよい。
【0025】
実施形態によれば、軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータは、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとを含む。第1のアクチュエータは、第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは第1の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、第1の内側成型セグメントに機械的に接続される。第2のアクチュエータは、第2のアクチュエータが軸方向に移動されたときは第2の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、第2の内側成型セグメントに接続される。
【0026】
第1のアクチュエータは、それぞれの第1の直動ジョイントによって第1の内側成型セグメントに接続されてよく、第2のアクチュエータは、それぞれの第2の直動ジョイントによって第2の内側成型セグメントに接続されてよい。第1の及び第2の直動ジョイントは、ガイドレールと、ガイドレール内で滑動するT字型滑動部とを含んでよい。
【0027】
第3の態様では、本発明は、環状タイヤ構造を硬化するための型に関するものであり、外側成型構造及び内側成型構造を含み、外側成型構造及び内側成型構造は、硬化すべき環状タイヤ構造を内部に収容するための開閉可能な、型の空洞を画定する。ここで、内部成型構造は以下を含む。型の軸の周りに配置される第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメントであって、第1の及び第2の内側成型セグメントが型の軸の周りの方位角方向に交互に配置され、第1の内側成型セグメントのそれぞれ及び第2の内側成型セグメントのそれぞれが、型の軸に対する半径方向の線形1自由度に拘束される、第1の内側成型セグメント及び第2の内側成型セグメント。軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータであって、第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、第1の内側成型セグメント、第2の内側成型セグメント、又は、第1の及び第2の内側成型セグメントの両方を半径方向に移動させるように、第1の内側成型セグメント、第2の内側成型セグメント、又は、第1の及び第2の内側成型セグメントの両方に、機械的に接続された、第1のアクチュエータ。第1の内側成型セグメントのそれぞれは、半径方向内側の幹と、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体とを含む。前部本体はフランジを有し、フランジは幹とフランジとの間に凹部を画定するために、幹を越えて方位角方向に突出してよい。第2の内側成型セグメントのそれぞれは、弧状の前面を有する半径方向外側の前部本体を含む。軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータは、第1の内側成型セグメントを第1の後退位置と第1の展開位置との間で移動させ、第2の内側成型セグメントを第2の後退位置と第2の展開位置との間で移動させるように構成される。第1の内側成型セグメントが第1の展開位置にあり、第2の内側成型セグメントが第2の展開位置にあるときは、第1の及び第2の内側成型セグメントの弧状の前面は、共に半径方向内側の型の空洞面を形成する。第1の内側成型セグメントが第1の後退位置にあり、第2の内側成型セグメントが第2の後退位置にあるときは、第2の内側成型セグメントは第1の内側成型セグメントよりも更に後退し、第2の内側成型セグメントは少なくとも部分的には第1の内側成型セグメントの凹部内に止まる。
【0028】
第2の内側成型セグメントそれぞれは、半径方向内側の幹を含んでよい。第2の内側成型セグメントそれぞれの前部本体はフランジを有し、フランジは幹とフランジとの間に凹部を画定するために、幹を越えて方位角方向に突出してよい。
【0029】
第1の内側成型セグメントのフランジと第2の内側成型セグメントのフランジとは、それらのフランジの端に沿って相補的に形成されてよい。
【0030】
軸方向に移動可能な少なくとも1つのアクチュエータは、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを含んでよい。第1のアクチュエータは、第1のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、第1の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、第1の内側成型セグメントに機械的に接続されている。第2のアクチュエータは、第2のアクチュエータが軸方向に移動されたときは、第2の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、第2の内側成型セグメントに接続されている。
【0031】
第1のアクチュエータは、それぞれの第1の直動ジョイントによって第1の内側成型セグメントに接続されてよい。第2のアクチュエータは、それぞれの第2の直動ジョイントによって第2の内側成型セグメントに接続されてよい。
【0032】
第1の及び第2の直動ジョイントは、ガイドレールと、ガイドレール内で滑動するT字型滑動部とを含んでよい。
【0033】
(定義)
本明細書で使用する「ゴム」という用語は、天然ゴム組成物及び合成ゴム組成物の両方を含むことが意図されている。文脈に応じて、「ゴム」は、硬化ゴム(通常、硫黄又は非硫黄の加硫によって不飽和ゴムから得られる)、生ゴム、又は部分的に硬化したゴム、すなわち、分子鎖に他の分子鎖との架橋に利用可能な残留硬化部位(例えば、アリル位)が含まれるゴムを指す場合がある。ゴム組成物は、例えば、カーボンブラック、沈降非晶質シリカなどの強化充填剤を含んでよい。
ゴムの具体例は、
‐ネオプレン(ポリクロロプレン)、
‐ポリブタジエン(例えば、シス‐1,4‐ポリブタジエン)、
‐ポリイソプレン(例えば、シス‐1,4‐ポリイソプレン)、
‐ブチルゴム、
‐ハロブチルゴム(例えば、クロロブチルゴム又はブロモブチルゴム等)、
‐スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、
‐1,3‐ブタジエン又はイソプレンと、モノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、又はメタクリル酸メチル等とのコポリマー、
を含む。他の種類のゴムには、カルボキシル化ゴム、シリコン結合ゴム、又は錫結合星型分岐ポリマー等がある。
【0034】
「軸方向」及び「軸方向に」という表現は、本明細書では、タイヤの、又はそれぞれのタイヤ型の、回転軸に平行な、線又は方向を指すために使用される。
【0035】
「半径方向」及び「半径方向に」という表現は、タイヤの軸、又は型の回転軸と、直角に交差する線の方向を意味するために使用される。
【0036】
「方位角」という表現は、考慮中の位置における、半径方向及び軸方向の両方に対して垂直な方向を指す。「方位角」の代わりに「角度」という言葉が使用される場合がある。
【0037】
本明細書では、動詞「含む」及び表現「・・・からなる」は、「包含する」又は「少なくとも・・・からなる」を意味する開放移行句として使用される。文脈によって別の意味が示されていない限り、単数形の使用は、基数「1」が使用される場合を除き、複数形を包含することを意図している。本明細書での「1」は「正確に1」を意味する。本明細書では、同じ種類の対象の間の異なる事例を区別するために序数(「第1の」、「第2の」等)が使用される。これらの表現の使用によって、特定の順序、重要性、又は階層が暗示されることは意図されていない。更に、対象の複数の事例が序数で参照される場合、これは必ずしもその対象の他の事例が存在しないことを意味しない(文脈から明らかな場合を除く)。「一実施形態」、「一つの実施形態」、「複数の実施形態」等に言及する場合、これは、これらの実施形態が本発明の全ての態様に渡って、相互に組み合わせることができることを意味する。更に、これらの実施形態の特徴は、明示的に提示された組合せで使用することができるが、特徴が組み合わせられないことが文脈から明らかな場合を除き、本発明から逸脱することなく実施形態間で特徴を組み合わせることもできる。
【0038】
本発明は、例として、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】例えば非空気圧タイヤの、剪断帯又は他の環状バンド等の、環状構造用の型の軸方向の平面を通る部分概略断面図であり、型は展開位置で示される内部成型機構を含む。
【
図2】内部成型機構が後退位置にある状態の
図1の断面図である。
【
図3】展開位置にある、第1の及び第2の内側成型機構の内側成型セグメントの水平断面図である。
【
図4】後退位置にある、第1の及び第2の内側成型機構の内側成型セグメントの水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1~
図4は、本発明の一実施形態に係る環状構造体を成型するための内側成型機構10と、そのような内側成型機構を備えた型とを示している。
【0041】
図3及び
図4から最も良く分かるように、内側成型機構10は、型の軸の周りに配置された第1の内側成型セグメント12A及び第2の内側成型セグメント12Bを含む。第1の及び第2の内側成型セグメント12A、12Bは、型の軸の周りで交互に配置される。
図1及び
図2に最も良く示されているように、内側成型機構10は、軸方向に移動可能な第1のアクチュエータ14Aと、軸方向に移動可能な第2のアクチュエータ14Bとを含む。第1のアクチュエータ14Aは、それ自体が軸方向に移動されたときは、第1の内側成型セグメント12Aを半径方向に移動させるように、第1の内側成型セグメント12Aに機械的に接続されている。第2のアクチュエータ14Bは、軸方向に移動されたときは、第2の内側成型セグメントを半径方向に移動させるように、第2の内側成型セグメントに機械的に接続されている。
【0042】
第1のアクチュエータ14Aは、中央部分141A及び複数の周縁セグメント部分142Aを含んでよい(
図3及び
図4を参照)。周縁セグメント部分142Aは、第1の内側成型セグメント12Aと協働する。中央部分141Aは、周縁セグメント部分142Aを第1の軸方向ピストン(図示せず)に連結し、このピストンは、軸方向に移動するように油圧、空気圧、又はその他の方法で制御されてよい。第1のアクチュエータ14Aの周縁セグメント部分142Aは、傾斜した半径方向の外面を有し、第1の内側成型セグメント12Aの共役に傾斜した半径方向の内面と協働する。周縁セグメント部分142A及び第1の内側成型セグメント12Aは、例えば、T字形滑動部と協働するT字形溝を含む直動ジョイントによって更に結合されてよい。内側成型セグメント12Aは、例えば、第1の及び第2の側壁輪16、18によって、軸方向の移動が防止されるが、半径方向に滑動できる。周縁セグメント部分142Aの傾斜した半径方向外面は、仮想の直円錐上にほぼ位置し、仮想の直円錐の軸は型の軸と一致する。第1のアクチュエータ14Aが円錐の頂点に向かう方向(
図1の下方)に移動されたときは、周縁セグメント部分142Aが内側成型セグメント12Aを半径方向外側に移動させる。逆に、第1のアクチュエータ14Aが円錐の頂点から離れる方向(
図1の上方)に移動されたときは、周縁セグメント部分142Aが内側成型セグメント12Aを半径方向内側に移動させる。
【0043】
第2のアクチュエータ14Bは、第2の内側成型セグメント12Bと協働する、中央部分141B及び複数の周縁セグメント部分142Bを含んでもよい。中央部分141Bは、周縁セグメント部分142Bを、例えば第1の軸方向ピストンと同心円状に配置された第2の軸方向ピストン(図示せず)に連結し、第1の軸方向ピストンは、軸方向に移動するように、油圧、空気圧、又はその他の方法で制御されてよい。第2のアクチュエータ14Bの周縁セグメント部分142Bは、傾斜した半径方向外面を有し、その傾斜した半径方向外面は第2の内側成型セグメント12Bの共役に傾斜した半径方向内面と協働する。周縁セグメント部分142Bと第2の内側成型セグメント12Bとは更に、例えばT字形滑動器と協働するT字形溝を含む直動ジョイントによって結合されてよい。内側成型セグメント12Bは、例えば、第1の及び第2の側壁輪16、18によって軸方向への移動が防止されるが、半径方向には滑動できる。周縁セグメント部分142Bの傾斜した半径方向外面は、第2の仮想の直円錐上にほぼ位置し、第2の仮想の直円錐の軸と型の軸とは一致する。第2のアクチュエータ14Bが、第2の円錐の頂点に向かう方向(
図1の下方)に移動されたときは、周縁セグメント部分142Bは、内側成型セグメント12Bを半径方向外側に移動させる。逆に、第2のアクチュエータ14Bが円錐の頂点から離れる方向(
図1の上方)に移動されたときは、周縁セグメント部分142Bが内側成型セグメント12Bを半径方向内側に移動させる。
【0044】
周縁セグメント部分142B(又は第2の内側成型セグメント12B)の傾斜面は、軸方向に関して、傾斜した周縁セグメント部分142A(又は第1の内側成型セグメント12A)と同じ角度を有してよい。しかしながら、傾斜角が異なっていてもよい。
【0045】
内側成型機構10は、型20の半径方向外側の部分を画定する。型20の半径方向外側の部分は、外側成型輪、又はセグメント化された外側成型機構22によって提供されてよい。外側成型輪、又はセグメント化された外側成型機構22は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,779,677号又は欧州出願公開第0,701,894A2号により知られているものと同様に構成されてよい。
【0046】
内側成型セグメント12A、12B及び外側成型セグメント24は、半径方向に型の空洞26の境界を画定する。第1の及び第2の側壁輪16、18は、型の空洞26を軸方向に画定する。第1の及び第2の側壁輪16、18は、それぞれ、第1の及び第2の容器板28、30に取り付けられる。
【0047】
外側成型セグメント24は、半径方向内側及び半径方向外側に移動可能な搬送セグメント32にそれぞれ取り付けられてよい。搬送セグメント32のそれぞれには、案内面(例えば、T字型溝)だけでなく、傾斜面34が設けられている。それぞれの傾斜面は、閉鎖輪36によって担持される共役傾斜面と協働する。搬送セグメント32は、軸方向には拘束されるが半径方向には移動可能であるように、容器板28、30上に取り付けられる。搬送セグメント32及び外側成型セグメント24の半径方向の移動は、閉鎖輪36の軸方向の移動によってもたらされる。
【0048】
内側成型機構及び外側成型機構は、アクチュエータの軸方向の動きを成型セグメントの半径方向の動きに変換する点で類似している。しかしながら、外側成型セグメント24とは異なり、内側成型セグメント12A、12Bは、相互に移動を妨げ合うため、完全に同期して移動させることはできない。従って、第1の及び第2のアクチュエータ14A、14Bは、第1の内側成型セグメント12Aを第2の内側成型セグメント12Bとは別個に移動させるために設けられてよい。
【0049】
第1の内側成型セグメント12Aのそれぞれは、半径方向内側の幹121Aと、弧状の前面122Aを有する半径方向外側の前部本体とを含む。前部本体はフランジ123Aを有し、フランジ123Aは幹121Aとフランジ123Aとの間に凹部124Aを画定するために、幹121Aを越えて方位角方向に突出している。
【0050】
第2の内側成型セグメント12Bのそれぞれは、半径方向内側の幹121Bと、弧状の前面122Bを有する半径方向外側の前部本体とを含む。第2の内側成型セグメント12Bのそれぞれの前部本体はフランジ123Bを有し、フランジ123Bは幹121Bとフランジ123Bとの間に凹部を画定するために、幹121Bを越えて方位角方向に突出している。
【0051】
第1の内側成型セグメント12Aは、第1のアクチュエータ14Aによって、第1の後退位置(
図2を参照)と第1の展開位置(
図1を参照)との間で移動されてよい。同様に、第2の内側成型セグメント12Bは、第2のアクチュエータ14Bによって、第2の後退位置(
図4を参照)と第2の展開位置(
図3を参照)との間で移動されてよい。第1の及び第2の内側成型セグメント12A、12Bの、第1の及び第2の展開位置は、それぞれ第1の及び第2の内側成型セグメント12A、12Bの外側端位置に対応する。
【0052】
第1の内型成型セグメント12Aが第1の展開位置にあり、第2の内型成型セグメント12Bが第2の展開位置にあるときは、第1の及び第2の内型セグメント12A、12Bの弧状の前面122A、122Bは共に型の空洞26の半径方向内面を形成する。第1の内側成型セグメント12Aのフランジ123Aと第2の内側成型セグメント12Bのフランジ123Bとは、第1の及び第2の内側成型セグメント12A、12Bが展開位置にあるときは、型の空洞26の、緊密な嵌合及び実質的に平滑な半径方向内面を達成するように、フランジの端に沿って相補的に形成されることが好ましいことに留意されたい。
【0053】
第1の内側成型セグメント12Aが第1後退位置にあり、第2の内側成型セグメント12Bが第2後退位置にあるときは、第2の内側成型セグメントは第1の内側成型セグメントよりも更に後退する(
図4を参照)。加えて、第2の内側成型セグメントは、第1の内側成型セグメント12Aの凹部124A内に少なくとも部分的に止まる。
【0054】
本明細書で提案するような内側成型機構が、環状ゴム構造の硬化を大幅に促進及び/又は改善する可能性に注目する価値があり得る。内側成型機構は、特に、型の半径方向内側から、硬化が進行中の物品に均一に圧力を加えることに役立ち得る。これは、例えば非空気圧タイヤのための剪断帯など、半径方向に薄い環状構造を硬化させる場合に特に興味深い。
【0055】
硬化すべき環状構造は、型が開いており、内側成型セグメント12A、12Bがそれぞれの後退位置にある間に、内側成型機構の周囲に配置されてよい。次に、型が閉じられ、内側成型セグメント12A、12Bがそれぞれの展開位置に移動される。第1の内側成型セグメント12Aが、第1のアクチュエータ14Aを制御することによって最初に展開され、次に第2の内側成型セグメントが、第2のアクチュエータ14Bを制御することによって展開される。型が閉じられているときに、環状構造体の硬化が実行され得る。硬化後、型が開かれ、内側成型セグメント12A、12Bがそれぞれの後退位置に運ばれ、硬化した環状構造を型から取り外すことができる。
【0056】
第1の及び第2の内型成型セグメント12A、12Bの移動は、時間的に重複して(少なくとも部分的に並行して)実行されてもよいことに留意されたい。重要なのは、展開中及び後退中に第1の及び第2の内側成型セグメント12A、12B間の干渉が回避されることである。これは、別個のアクチュエータ14A、14Bの使用及びそれらの適切な制御によって達成できる。代替的に、第1の及び第2の内側成型セグメント12A、12Bの作動を組み合わせることができる。この場合、第1の及び第2の内側成型セグメント12A、12Bの差動展開、及び後退は、一つの共通のアクチュエータを第1の及び第2の内側成型セグメント12A、12Bにそれぞれ連結する、異なる機構によって達成され得る。
【0057】
本明細書で提供される本発明の説明に照らして、本発明の変形が可能である。本発明を説明する目的で特定の代表的な実施形態及び詳細を示したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正ができることは当業者には明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の意図する全ての範囲内で、記載された特定の実施形態に変更を加えることができることを理解されたい。
【外国語明細書】