IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

<>
  • 特開-スペーサ要素を備える手持ち工具機械 図1
  • 特開-スペーサ要素を備える手持ち工具機械 図2
  • 特開-スペーサ要素を備える手持ち工具機械 図3
  • 特開-スペーサ要素を備える手持ち工具機械 図4
  • 特開-スペーサ要素を備える手持ち工具機械 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079619
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】スペーサ要素を備える手持ち工具機械
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240604BHJP
   B25B 21/02 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
B25F5/00 G
B25B21/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197834
(22)【出願日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】10 2022 212 835.4
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヘル,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム,イェンス
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA11
3C064BA18
3C064BA33
3C064BB01
3C064BB33
3C064BB73
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA53
3C064CB08
3C064CB12
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB92
(57)【要約】      (修正有)
【課題】伝動機構から流出した潤滑剤に基づく駆動モータの損傷が防止され得る手持ち工具機械を提供する。
【解決手段】手持ち工具機械であって、工具受け部(150)とハウジングとを備え、ハウジング内には、モータ軸(116)を有する駆動モータ(114)と、伝動機構(118)とが配置されており、伝動機構(118)は、伝動機構ハウジング(119)内に配置されており、伝動機構(118)と駆動モータ(114)との間には、スペーサ要素(250)が配置されており、スペーサ要素(250)は、ディスク形の基体(252)を有し、基体(252)には、モータ軸(116)上での支持用の管形の支持セクション(251)が形成されている、手持ち工具機械において、スペーサ要素(250)は、シール、特にラビリンスシールを形成している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち工具機械(100)であって、工具受け部(150)とハウジング(110)とを備え、前記ハウジング(110)内には、モータ軸(116)を有する駆動モータ(114)と、伝動機構(118)とが配置されており、前記伝動機構(118)は、伝動機構ハウジング(119)内に配置されており、前記伝動機構(118)と前記駆動モータ(114)との間には、スペーサ要素(250)が配置されており、前記スペーサ要素(250)は、ディスク形の基体(252)を有し、前記基体(252)には、前記モータ軸(116)上での支持用の管形の支持セクション(251)が形成され、
前記スペーサ要素(250)は、シール、特にラビリンスシールを形成している、
ことを特徴とする、手持ち工具機械。
【請求項2】
前記スペーサ要素(250)の前記支持セクション(251)は、前記工具受け部(150)の回旋軸線(201)の方向で前記モータ軸(116)上において前記伝動機構ハウジング(119)内に係合する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の手持ち工具機械。
【請求項3】
前記伝動機構(118)は、中間軸(120)を有し、前記中間軸(120)は、ポット形の受け部(262)を形成し、前記支持セクション(251)は、少なくとも一部セクションで、前記ポット形の受け部(262)内に配置されている、
ことを特徴とする、請求項2に記載の手持ち工具機械。
【請求項4】
前記駆動モータ(114)は、ロータ(212)を有し、前記ディスク形の基体(252)は、前記基体(252)の、前記支持セクション(251)から背離した端面(219)において、前記ロータ(212)に当接している、
ことを特徴とする、請求項3に記載の手持ち工具機械。
【請求項5】
前記支持セクション(251)は、前記支持セクション(251)の、前記伝動機構(118)に面した端面(255)に、少なくとも1つの受け部(254)を有し、前記受け部(254)は、前記伝動機構(118)から流出した潤滑剤を集めるべく、形成されている、
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の手持ち工具機械。
【請求項6】
前記受け部(254)は、円環セグメントまたは円環の形態で形成されている、
ことを特徴とする、請求項5に記載の手持ち工具機械。
【請求項7】
前記伝動機構(118)は、前記伝動機構ハウジング(119)内に固定される軸受要素(265)を有し、前記軸受要素(265)内には、前記中間軸(120)の前記ポット形の受け部(262)が回転可動に支持されている、
ことを特徴とする、請求項3から6までのいずれか一項に記載の手持ち工具機械。
【請求項8】
前記軸受要素(265)と前記支持セクション(251)とは、少なくとも一部領域で互いに同軸に配置されている、
ことを特徴とする、請求項7に記載の手持ち工具機械。
【請求項9】
前記ディスク形の基体(252)は、外側直径(259)を有し、前記外側直径(259)は、前記軸受要素(265)の内側直径(299)より大きい、
ことを特徴とする、請求項7または8に記載の手持ち工具機械。
【請求項10】
前記支持セクション(251)の外周部(253)と、前記ポット形の受け部(262)の内周部(266)と、の間に、ラジアルギャップ(298)が形成されている、
ことを特徴とする、請求項3から9までのいずれか一項に記載の手持ち工具機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち工具機械であって、工具受け部とハウジングとを備え、ハウジング内には、モータ軸を有する駆動モータと、伝動機構とが配置されており、伝動機構は、伝動機構ハウジング内に配置されており、伝動機構と駆動モータとの間には、スペーサ要素が配置されており、スペーサ要素は、ディスク形の基体を有し、基体には、モータ軸上での支持用の管形の支持セクションが形成されている、手持ち工具機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、この種の手持ち工具機械であって、工具受け部とハウジングとを備え、ハウジング内には、モータ軸を有する駆動モータと、伝動機構とが配置されている、手持ち工具機械が公知である。伝動機構と駆動モータとの間には、スペーサ要素が配置されており、スペーサ要素は、ディスク形の基体を有している。ディスク形の基体には、モータ軸上での支持用の管形の支持セクションが形成されている。付加的に伝動機構には、軸封リングまたは封止された玉軸受が割り当てられており、その結果、潤滑剤、例えばオイル/グリースは、伝動機構から駆動モータに向かって流出し得ない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、手持ち工具機械であって、工具受け部とハウジングとを備え、ハウジング内には、モータ軸を有する駆動モータと、伝動機構とが配置されており、伝動機構は、伝動機構ハウジング内に配置されており、伝動機構と駆動モータとの間には、スペーサ要素が配置されており、スペーサ要素は、ディスク形の基体を有し、基体には、モータ軸上での支持用の管形の支持セクションが形成されている、手持ち工具機械に関する。スペーサ要素は、シール、特にラビリンスシールを形成している。
【発明の効果】
【0004】
本発明は、これにより、シールとして形成されるスペーサ要素によって、別体のシール要素を省略することができるため、手持ち工具機械の比較的短くかつコンパクトな構造形式が可能とされる手持ち工具機械の提供を可能にする。
【0005】
好ましくは、スペーサ要素の支持セクションは、工具受け部の回旋軸線の方向でモータ軸上において伝動機構ハウジング内に係合する。
【0006】
これにより、簡単に、駆動モータと伝動機構とのコンパクトな結合が可能とされ得る。
【0007】
伝動機構は、好ましくは、中間軸を有し、中間軸は、ポット形の受け部を形成し、支持セクションは、少なくとも一部セクションで、ポット形の受け部内に配置されている。
【0008】
これにより、簡単かつ単純にスペーサ要素の配置が可能とされ得る。
【0009】
駆動モータは、好ましくは、ロータを有し、ディスク形の基体は、基体の、支持セクションから背離した端面において、ロータに当接している。
【0010】
これにより、駆動モータにおけるスペーサ要素の少なくとも略ギャップフリーの配置が可能とされ得る。
【0011】
好ましくは、支持セクションは、支持セクションの、伝動機構に面した端面に、少なくとも1つの受け部を有し、受け部は、伝動機構から流出した潤滑剤を集めるべく、形成されている。
【0012】
これにより、確実かつ高信頼性に、伝動機構から流出した潤滑剤に基づく駆動モータの損傷または破壊は、少なくとも大幅に防止され得る。
【0013】
一実施の形態によれば、受け部は、円環セグメントまたは円環の形態で形成されている。
【0014】
これにより、簡単に、潤滑剤を集めることが可能な潤滑剤溜めが提供され得る。
【0015】
好ましくは、伝動機構は、伝動機構ハウジング内に固定される軸受要素を有し、軸受要素内には、中間軸のポット形の受け部が回転可動に支持されている。
【0016】
これにより、手持ち工具機械あるいは相応の駆動ユニットの構造長さは、容易かつ単純に減じられ得る。
【0017】
軸受要素と支持セクションとは、好ましくは、少なくとも一部領域で互いに同軸に配置されている。
【0018】
これにより、簡単に、コンパクトな配置が可能とされ得る。
【0019】
ディスク形の基体は、好ましくは、外側直径を有し、外側直径は、軸受要素の内側直径より大きい。
【0020】
これにより、簡単かつ単純に、半径方向での軸受要素とのディスク形の基体のオーバラップが可能とされ得る。
【0021】
好ましくは、支持セクションの外周部と、ポット形の受け部の内周部との間に、ラジアルギャップが形成されている。
【0022】
これにより、簡単に、モータ軸とともに連れ回るスペーサ要素の回旋運動が可能とされ得る。
【0023】
本発明について、図面に示した実施例を基に以下の説明の中で詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】駆動モータと伝動機構とを備える手持ち工具機械の概略図である。
図2図1に示した駆動モータと伝動機構との間に配置されるスペーサ要素を説明するための、図1に示した手持ち工具機械の縦断面図の抜粋である。
図3図2に示したスペーサ要素の斜視図である。
図4】代替的なスペーサ要素の斜視断面図である。
図5図1に示した駆動モータと伝動機構との間に配置される、図4に示したスペーサ要素を説明するための、図1に示した手持ち工具機械の縦断面図の抜粋である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図中、同じまたは比較可能な機能を有する要素には、同一の符号を付し、詳しく説明するのは、1回限りとする。
【0026】
図1は、工具受け部150が設けられた手持ち工具機械100を示しており、手持ち工具機械100は、ハンドグリップ126を有するハウジング110を備えている。一実施の形態によれば、手持ち工具機械100は、電力網によらない電流供給のために、機械的かつ電気的にバッテリパック130に接続可能である。
【0027】
ハウジング110内には、図示によれば、バッテリパック130から電流が供給される電気式の駆動モータ114と、伝動機構118とが配置されている。駆動モータ114は、例えばハンドスイッチ128を介して操作可能、すなわち、オン・オフ切り換え可能である。駆動モータ114は、任意のモータタイプであってよく、例えば、電子的に整流されるモータ、または直流モータである。好ましくは、駆動モータ114は、逆転運転も、所望の回転速度に関する設定も実現可能であるように、電子式に開ループあるいは閉ループ制御可能である。好適な駆動モータの機能形式および構造は、従来技術において十分に公知であるので、ここでは、説明の簡潔さのために、それについての立ち入った説明は省略する。
【0028】
駆動モータ114は、割り当てられたモータ軸116を介して伝動機構118に結合されており、伝動機構118は、モータ軸116の回転を被動軸124の回転に変換する。この変換は、好ましくは、被動軸124が、モータ軸116に対して相対的に、拡大されたトルクで、しかし、減じられた回転速度で回転するように実施される。
【0029】
駆動モータ114は、図示によれば、モータハウジング115内に配置されている。伝動機構118は、伝動機構ハウジング119内に配置されている。伝動機構ハウジング119とモータハウジング115とは、例示的にハウジング110内に配置されている。
【0030】
一実施の形態によれば、任意選択的な機械式の打撃機構122が設けられている。駆動モータ114は、この場合、割り当てられたモータ軸116を介して伝動機構118に、モータ軸116の回転が、伝動機構118と、任意選択的な機械式の打撃機構122との間に設けられた中間軸120の回転に変換されるように、結合されている。任意選択的な機械式の打撃機構122と、伝動機構118とは、図示によれば、1つの共通の伝動機構ハウジング119内に配置されている。代替的には、任意選択的な機械式の打撃機構122は、別体の打撃機構ハウジング内に配置されていてもよい。
【0031】
中間軸120に結合される任意選択的な機械式の打撃機構122は、例示的に回転打撃機構あるいは回旋打撃機構であり、回転打撃機構あるいは回旋打撃機構は、高い強度を有する打撃状の回転インパルスを発生させ、被動軸124、例えば被動スピンドルに伝達する。以下では、任意選択的な機械式の打撃機構を「機械式の回転打撃機構122」と称呼する。特に機械式の回転打撃機構122は、工具受け部150を打撃駆動すべく、設けられている。機械式の回転打撃機構122は、図示によれば、ばね付勢された打撃体(205、図2)を有し、打撃体205は、中間軸120に連結されており、かつ伝動機構118の軸方向102で移動可能に中間軸120に支持されている。
【0032】
被動軸124には、工具受け部150が設けられており、工具受け部150は、好ましくは、使用工具を受けるために形成されており、好ましくは、多角柱カップリングを有する使用工具140に結合可能である。使用工具140は、例示的に、多角柱カップリング、図示によれば八角形カップリングを有するドライバビットとして形成されている。この種のドライバビットは、十分に従来技術において公知であるので、ここでは、説明の簡潔さのために、立ち入った説明は省略する。さらに、図示によれば工具受け部150内に配置される使用工具140をロック/ロック解除するロックユニット190が設けられている。
【0033】
図2は、図1に示した、ハウジング110内に配置され、モータ軸116を有する駆動モータ114と、伝動機構118とを示している。一実施の形態によれば、駆動モータ114には、送風機210が割り当てられている。送風機210は、好ましくは、モータ軸116の、図示によれば左側の端部に配置されている。この場合、駆動モータ114は、軸方向で送風機210と伝動機構118との間に配置されている。
【0034】
図示によれば、伝動機構ハウジング119は、互いに結合される2つのセクション292,294を有している。セクション294は、好ましくは、蓋として形成されており、蓋は、セクション292に取り付けられている。セクション294は、駆動モータ114に面した軸方向の空所295を有し、空所295を通して、モータ軸116は、図示によれば、伝動機構ハウジング119内に突入している。さらに駆動モータ114は、ステータ211とロータ212とを有している。例示的に駆動モータ114は、アウタステータ211とインナロータ212とを有している。
【0035】
図示によれば、工具受け部150は、長手方向延在203を有している。好ましくは、長手方向延在203は、同時にモータ軸116の軸方向の長手方向延在である。付言すると、本発明の文脈において、「軸方向」なる概念は、工具受け部150の長手方向延在203に沿った方向と解される。さらに「半径方向」なる概念は、工具受け部150の長手方向延在203に対して略垂直な方向と解される。これにより半径方向202は、伝動機構118の軸方向102に対してあるいは工具受け部150の長手方向延在203に沿って略垂直に方向付けられている。さらに軸方向102は、工具受け部150の長手方向延在203に対して略平行あるいは工具受け部150の回旋軸線201に対して平行に方向付けられている。
【0036】
好ましくは、伝動機構118と駆動モータ114との間には、スペーサ要素250が配置されている。スペーサ要素250は、ディスク形の基体252を有し、基体252には、モータ軸116上での支持用の管形あるいはスリーブ形の支持セクション251が形成されている。
【0037】
スペーサ要素250の管形の支持セクション251の、モータ軸116に面して配置される内側受け部256は、この場合、好ましくは、モータ軸116の外周部上に配置されている。好ましくは、スペーサ要素250は、モータ軸116とともに回転可能に形成されている。好ましくは、管形の支持セクション251は、軸方向102で方向付けられている。
【0038】
本発明により、スペーサ要素250は、シール、特にラビリンスシールを形成している。この場合、スペーサ要素250の支持セクション251は、好ましくは、軸方向で、あるいは工具受け部150の回旋軸線201の方向で、伝動機構ハウジング119内に係合している。
【0039】
一実施の形態によれば、伝動機構118に割り当てられた中間軸120は、ポット形の受け部262を有している。この場合、好ましくは、支持セクション251は、少なくとも一部セクションで、ポット形の受け部262内に配置されている。
【0040】
好ましくは、ディスク形の基体252は、基体252の、支持セクション251から背離した端面219において、軸方向でロータ212に当接している。支持セクション251は、支持セクション251の、伝動機構118に面した端面255に、好ましくは、少なくとも1つの受け部254を有し、受け部254は、伝動機構118から流出した潤滑剤、例えばグリースおよび/またはオイルを集めるべく、形成されている。一実施の形態によれば、受け部254は、円環セグメントまたは円環の形態で形成されている。好ましくは、中間軸120は、軸方向102で、図示によれば右側に、ポット形の受け部262の隣にランプ297を有している。ランプ297は、好ましくは、スペーサ要素250に向かって傾斜して形成されている。
【0041】
図1に示した手持ち工具機械100の運転時、あるいはモータ軸116の回旋時、潤滑剤は、ランプ297に沿ってスペーサ要素250に向かってあるいは受け部254内へ付勢される。潤滑剤は、受け部254内に集められ、伝動機構ハウジング119上における潤滑剤の流出は、防止される。
【0042】
好ましくは、伝動機構118は、伝動機構ハウジング119内に固定される軸受要素265を有している。好ましくは、軸受要素265は、転がり軸受として、特に玉軸受として形成されている。軸受要素265の、中間軸120に面した内周部には、中間軸120、特に中間軸120のポット形の受け部262が、好ましくは、回転可動に支持されている。さらに軸受要素265は、半径方向で伝動機構ハウジング119と、ポット形の受け部262との間に配置されている。特に軸受要素265は、中間軸120の、駆動モータ116に面したセクションにおいて、外周部261に配置されている。好ましくは、スペーサ要素250も、半径方向で中間軸120と、ポット形の受け部262との間に配置されている。
【0043】
軸受要素265と、スペーサ要素250の支持セクション251とは、少なくとも一部領域で互いに同軸に配置されている。この場合、軸受要素265と支持セクション251とは、軸方向102の一部セクションでオーバラップしている。
【0044】
図示によれば、ディスク形の基体252は、外側直径259を有している。外側直径259は、好ましくは、軸受要素265の内側直径299より大きい。さらに、伝動機構ハウジング119のセクション294に割り当てられた受け部295の直径は、好ましくは、スペーサ要素250あるいはディスク形の基体252の直径259より大きい。さらに、ディスク形の基体252は、基体252の半径方向外側の領域に環状カラー(340、図3)を有している。環状カラー(340、図3)は、図示によれば、受け部295内に軸方向で係合している。
【0045】
一実施の形態によれば、支持セクション251の外周部253と、ポット形の受け部262の内周部266との間に、ラジアルギャップ298が形成されている。好ましくは、ラジアルギャップ298は、0.8mm~1.6mmの範囲の幅を有している。さらにスペーサ要素250は、プラスチックおよび/または黄銅を有している。
【0046】
さらに図2は、機械式の回転打撃機構122を示しており、回転打撃機構122は、好ましくは、ばね付勢された打撃体205と、打撃体205により付勢可能なアンビル220とを有している。好ましくは、アンビル220は、工具受け部150に割り当てられている。機械式の回転打撃機構122は、高い強度を有する打撃状の回転インパルスを発生させ、この回転インパルスを被動軸124に、あるいはアンビル220を介して工具受け部150に伝達する。ばね付勢された打撃体205は、伝動機構118の軸方向102で移動可能に支持されている。この種の機械式の回転打撃機構122は、従来技術において十分に公知であるので、ここでは、説明の簡潔さのために、立ち入った説明は省略する。
【0047】
図3は、ディスク形の基体252と、管形の支持セクション251とを有する、図2に示したスペーサ要素250を示している。この場合、図3は、支持セクション251の端面255に配置される少なくとも1つの受け部254を示している。一実施の形態によれば、支持セクション251に対して同軸に、環状カラー320が配置されている。好ましくは、環状カラー320の外周部327が、支持セクション251の外周部253を形成している。
【0048】
環状カラー320は、図示によれば、支持セクション251に面した内側直径329を有している。さらに支持セクション251は、環状カラー320に面した外側直径319を有している。好ましくは、半径方向で外側直径319と内側直径329との間に受け部254が形成されている。好ましくは、受け部254は、半径方向で環状カラー320の内周部328と、支持セクション251の外周部318との間に形成されている。
【0049】
図示によれば、4つの受け部254が形成されている。好ましくは、図示によれば4つの受け部254は、円環セグメントの形態で形成されている。この場合、それぞれ、スペーサ要素250の周方向302で隣接する2つの受け部254間に、仕切りウェブ310が配置されている。図示によれば4つの仕切りウェブ310は、この場合、半径方向で方向付けられている。
【0050】
付言すると、4つより多い受け部254または4つより少ない受け部254が設けられていてもよい。さらに仕切りウェブ310は、半径方向である必要はない任意の方向で配置されていてもよい。
【0051】
さらに、ディスク形の基体252は、基体252の半径方向外側の領域に、図示によれば1つの環状カラー340を有している。半径方向で環状カラー340と環状カラー320との間には、好ましくは、受け部330が配置されている。好ましくは、環状カラー340の軸方向の幅は、環状カラー320の軸方向の幅より小さい。ディスク形の基体252の直径259は、同時に環状カラー340の外側直径である。
【0052】
図4は、ディスク形の基体252と、環状カラー310,340と、支持セクション251と、図2および図3に示した受け部254とを有する代替的なスペーサ要素550を示している。一実施の形態によれば、受け部254は、図3に示した仕切りウェブ310なしの円環として形成されている。
【0053】
さらに図4では、環状カラー340は、外側直径456を有している。外側直径456は、ディスク形の基体252の直径256より小さい。さらに図4は、環状カラー340の軸方向の幅510と、支持セクション251および環状カラー320の軸方向の幅520とを示している。図示によれば、環状カラー320および支持セクション251の軸方向の幅520は、同じ大きさである。しかし、環状カラー320および支持セクション251の軸方向の幅は、それぞれ異なっていてもよい。好ましくは、環状カラー340の軸方向の幅510は、管形の支持セクション251および環状カラー320の軸方向の幅520より小さい。
【0054】
図5は、図2に示した駆動モータ114および伝動機構118と、図4に示したスペーサ要素550とを示している。この場合、図5は、伝動機構ハウジング118のセクション294の受け部295内への環状カラー340の軸方向の係合を示している。さらに図5は、伝動機構ハウジング119のポット形の受け部262内への環状カラー320および支持セクション251の軸方向の係合を示している。その他に図5は、支持セクション251、環状カラー320および軸受要素265の半径方向の配置を示している。この場合、支持セクション251および環状カラー320は、軸受要素265の半径方向内側に配置されている。さらに図5は、環状カラー320の外周部253と、ポット形の受け部262の内周部266との間に形成されているラジアルギャップ298を示している。好ましくは、ラジアルギャップ298を通して、空気の交換も行われ得る。
【符号の説明】
【0055】
100 手持ち工具機械
102 軸方向
110 ハウジング
114 駆動モータ
115 モータハウジング
116 モータ軸
118 伝動機構
119 伝動機構ハウジング
120 中間軸
122 打撃機構
124 被動軸
126 ハンドグリップ
128 ハンドスイッチ
130 バッテリパック
140 使用工具
150 工具受け部
190 ロックユニット
201 回旋軸線
202 半径方向
203 長手方向延在
205 打撃体
210 送風機
211 ステータ
212 ロータ
219 端面
220 アンビル
250 スペーサ要素
251 支持セクション
252 基体
253 外周部
254 受け部
255 端面
256 内側受け部
259 外側直径
261 外周部
262 受け部
265 軸受要素
266 内周部
292 セクション
294 セクション
295 空所、受け部
297 ランプ
298 ラジアルギャップ
299 内側直径
302 周方向
310 仕切りウェブ
318 外周部
319 外側直径
320 環状カラー
327 外周部
328 内周部
329 内側直径
330 受け部
340 環状カラー
456 外側直径
510 軸方向の幅
520 軸方向の幅
550 スペーサ要素
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
好ましくは、伝動機構118は、伝動機構ハウジング119内に固定される軸受要素265を有している。好ましくは、軸受要素265は、転がり軸受として、特に玉軸受として形成されている。軸受要素265の、中間軸120に面した内周部には、中間軸120、特に中間軸120のポット形の受け部262が、好ましくは、回転可動に支持されている。さらに軸受要素265は、半径方向で伝動機構ハウジング119と、ポット形の受け部262との間に配置されている。特に軸受要素265は、中間軸120の、駆動モータ114に面したセクションにおいて、外周部261に配置されている。好ましくは、スペーサ要素250も、半径方向で中間軸120と、ポット形の受け部262との間に配置されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
図4は、ディスク形の基体252と、環状カラー320,340と、支持セクション251と、図2および図3に示した受け部254とを有する代替的なスペーサ要素550を示している。一実施の形態によれば、受け部254は、図3に示した仕切りウェブ310なしの円環として形成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち工具機械(100)であって、工具受け部(150)とハウジング(110)とを備え、前記ハウジング(110)内には、モータ軸(116)を有する駆動モータ(114)と、伝動機構(118)とが配置されており、前記伝動機構(118)は、伝動機構ハウジング(119)内に配置されており、前記伝動機構(118)と前記駆動モータ(114)との間には、スペーサ要素(250)が配置されており、前記スペーサ要素(250)は、ディスク形の基体(252)を有し、前記基体(252)には、前記モータ軸(116)上での支持用の管形の支持セクション(251)が形成され、
前記スペーサ要素(250)は、シール、特にラビリンスシールを形成している、
ことを特徴とする、手持ち工具機械。
【請求項2】
前記スペーサ要素(250)の前記支持セクション(251)は、前記工具受け部(150)の回旋軸線(201)の方向で前記モータ軸(116)上において前記伝動機構ハウジング(119)内に係合する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の手持ち工具機械。
【請求項3】
前記伝動機構(118)は、中間軸(120)を有し、前記中間軸(120)は、ポット形の受け部(262)を形成し、前記支持セクション(251)は、少なくとも一部セクションで、前記ポット形の受け部(262)内に配置されている、
ことを特徴とする、請求項2に記載の手持ち工具機械。
【請求項4】
前記駆動モータ(114)は、ロータ(212)を有し、前記ディスク形の基体(252)は、前記基体(252)の、前記支持セクション(251)から背離した端面(219)において、前記ロータ(212)に当接している、
ことを特徴とする、請求項3に記載の手持ち工具機械。
【請求項5】
前記支持セクション(251)は、前記支持セクション(251)の、前記伝動機構(118)に面した端面(255)に、少なくとも1つの受け部(254)を有し、前記受け部(254)は、前記伝動機構(118)から流出した潤滑剤を集めるべく、形成されている、
ことを特徴とする、請求項3に記載の手持ち工具機械。
【請求項6】
前記受け部(254)は、円環セグメントまたは円環の形態で形成されている、
ことを特徴とする、請求項5に記載の手持ち工具機械。
【請求項7】
前記伝動機構(118)は、前記伝動機構ハウジング(119)内に固定される軸受要素(265)を有し、前記軸受要素(265)内には、前記中間軸(120)の前記ポット形の受け部(262)が回転可動に支持されている、
ことを特徴とする、請求項3から6までのいずれか一項に記載の手持ち工具機械。
【請求項8】
前記軸受要素(265)と前記支持セクション(251)とは、少なくとも一部領域で互いに同軸に配置されている、
ことを特徴とする、請求項7に記載の手持ち工具機械。
【請求項9】
前記ディスク形の基体(252)は、外側直径(259)を有し、前記外側直径(259)は、前記軸受要素(265)の内側直径(299)より大きい、
ことを特徴とする、請求項7に記載の手持ち工具機械。
【請求項10】
前記支持セクション(251)の外周部(253)と、前記ポット形の受け部(262)の内周部(266)と、の間に、ラジアルギャップ(298)が形成されている、
ことを特徴とする、請求項3からまでのいずれか一項に記載の手持ち工具機械。
【外国語明細書】