(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079624
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】挟み込み検出システム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/41 20150101AFI20240604BHJP
B60J 7/047 20060101ALI20240604BHJP
E05F 15/643 20150101ALN20240604BHJP
【FI】
E05F15/41
B60J7/047
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023199247
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】22210669
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503036818
【氏名又は名称】イナルファ・ルーフ・システムズ・グループ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ファン・ムーリク
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA03
2E052DB03
2E052EA13
2E052EC01
2E052GA08
2E052GB06
2E052HA01
(57)【要約】
【課題】柔らかい物体および堅い物体の挟み込みを高い信頼性で適時に検出する挟み込み検出システムを提供すること。
【解決手段】乗物の屋根のためのオープンルーフ組立体は、移動可能に配置された閉鎖部材と、閉鎖部材を移動させるための駆動組立体と、駆動組立体に動作可能に結合された制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、物体との閉鎖部材の挟み込みを検出するための挟み込み検出ユニットを備える。挟み込み検出ユニットは、第1の挟み込み検出システム、第2の挟み込み検出システム、および所定の基準を備える。第1および第2の挟み込み検出システムのそれぞれは、閉鎖部材の動きと基準とを比較するように構成されたトラッカーモジュールと、挟み込みが生じたと決定するように構成された挟み込み決定モジュールと、を備える。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の屋根における開口部を覆う、または少なくとも部分的に覆いを除くためのオープンルーフ組立体であって、移動可能に配置された閉鎖部材と、前記閉鎖部材を移動させるための駆動組立体と、前記閉鎖部材の動きを制御するために前記駆動組立体に動作可能に結合された制御ユニットと、を備え、前記制御ユニットは、物体の前記閉鎖部材による挟み込みを検出するための挟み込み検出ユニットを備え、前記挟み込み検出ユニットは、第1の挟み込み検出システム、第2の挟み込み検出システム、および所定の基準を備え、前記所定の基準は、前記閉鎖部材の外乱を受けない動きを表しており、
前記第1の挟み込み検出システムは、
・前記閉鎖部材の前記動きと前記基準とを比較するように構成された第1のトラッカーモジュールであって、動きと基準との間の第1の許容差を許容する、第1のトラッカーモジュールと、
・前記第1の許容差を超えた場合、前記閉鎖部材による動きの第1の偏差を決定するように構成された第1の偏差モジュールと、
・動きにおける前記第1の偏差が、第1の閾値を超えた場合、挟み込みが生じたと決定するように構成された第1の挟み込み決定モジュールと、
を備え、
前記第2の挟み込み検出システムは、
・前記閉鎖部材の前記動きと前記基準とを比較するように構成された第2のトラッカーモジュールであって、動きと基準との間の第2の許容差を許容し、前記第2の許容差は、前記第1の許容差よりも大きい、第2のトラッカーモジュールと、
・前記第2の許容差を超えた場合、前記閉鎖部材による動きの第2の偏差を決定するように構成された第2の偏差モジュールと、
・動きにおける前記第2の偏差が、前記第1の閾値より小さい第2の閾値を超えた場合、挟み込みが生じたと決定するように構成された第2の挟み込み決定モジュールと、
を備え、
前記挟み込み検出ユニットは、前記第1および前記第2の挟み込み検出システムの少なくとも一方が、挟み込みが生じたと決定した場合、挟み込みが生じたと決定するように構成される、オープンルーフ組立体。
【請求項2】
前記第2の許容差は、高くなるように選択されており、これにより所定の剛性よりも小さい剛性を有する柔らかい物体の前記閉鎖部材による挟み込みは、前記第2の挟み込み検出システムによって検出されない、請求項1に記載のオープンルーフ組立体。
【請求項3】
前記所定の剛性は、10N/mm以上であり、特に、15N/mm以上である、請求項2に記載のオープンルーフ組立体。
【請求項4】
前記基準は、外乱を受けない動き中に、前記閉鎖部材の位置に応じて、前記閉鎖部材により加えられる力を表し、また前記閉鎖部材の前記動きは、前記閉鎖部材の実際の位置における実際の力に対応する、請求項1に記載のオープンルーフ組立体。
【請求項5】
前記実際の力は、前記駆動組立体の1つ以上の特性、およびパラメータに基づいて決定される、請求項4に記載のオープンルーフ組立体。
【請求項6】
前記挟み込み検出ユニットは、第3の挟み込み検出システムを備え、前記第3の挟み込み検出システムは、前記第2の挟み込み検出システムに動作可能に結合され、前記第3の挟み込み検出システムにより挟み込みが検出されると、前記第2の閾値は下げられる、請求項1に記載のオープンルーフ組立体。
【請求項7】
オープンルーフ組立体の移動可能に配置された閉鎖部材の挟み込みを検出する方法であって、
a)動きと基準との間の第1の許容差を許容しながら、前記閉鎖部材の前記動きと前記基準とを比較するステップと、
b)ステップa)で、前記第1の許容差を超えた場合、前記閉鎖部材による動きにおける第1の偏差を決定するステップと、
c)動きにおける前記第1の偏差が、ステップb)において第1の閾値を超えた場合、挟み込みが生じたと決定するステップと、
d)前記動きと前記基準との間の第2の許容差を許容しながら、前記閉鎖部材の前記動きと前記基準とを比較するステップであって、前記第2の許容差は、前記第1の許容差よりも大きい、ステップと、
e)ステップd)で、前記第2の許容差を超えた場合、前記閉鎖部材による動きにおける第2の偏差を決定するステップと、
f)動きにおける前記第2の偏差が、ステップe)における第2の閾値を超えた場合、挟み込みが生じたと決定するステップであって、前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも小さい、ステップと、
を含む方法。
【請求項8】
前記第2の許容差は、高くなるように選択されており、これにより所定の剛性よりも小さい剛性を有する柔らかい物体の前記閉鎖部材の挟み込みは、前記第2の挟み込み検出システムにより検出されない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の剛性は、10N/mm以上であり、特に、15N/mm以上である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記基準は、外乱を受けない動き中に、前記閉鎖部材の位置に応じて、前記閉鎖部材により加えられる力を表し、また前記閉鎖部材の前記動きは、前記閉鎖部材の実際の位置における実際の力に対応する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記実際の力は、前記駆動組立体の1つ以上のパラメータに基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、
g)第3の挟み込み検出システムを用いて挟み込みを決定するステップと、
h)ステップg)で、前記第3の挟み込み検出システムにより、挟み込みが決定された場合、前記第2の閾値を低下させるステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
オープンルーフ組立体の制御ユニットに、請求項7に記載の方法を実施させるように命令するためのコンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブンルーフ(opne-roof)組立体の移動可能に配置された閉鎖部材の、物体の挟み込みを検出するための挟み込み検出システムに関する。さらに、本発明は、挟み込みを検出する対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オープンルーフ組立体は公知である。オープンルーフ組立体は、乗物の屋根に取り付けられるように構成され、少なくとも1つの移動可能に配置された閉鎖部材を備える。閉鎖部材は、乗物の屋根にある開口部を覆う、または乗物の屋根にある開口部の覆いを少なくとも部分的に除くように構成され、かつ配置される。必ずしもそうではないが、通常、閉鎖部材は、透明なパネルであり、ガラスまたは適切なプラスチックを含む。閉鎖部材は、傾斜する、または摺動するように構成され得る。
【0003】
動作中に、すなわち、傾斜動作または摺動動作中に、異物が、乗物の屋根にある開口部の縁と、移動する閉鎖部材と、の間に閉じ込められる状態になるおそれがある。閉鎖部材および閉じ込められた物体への損傷を防ぐために、挟み込み検出システムを設けることが知られている。このような挟み込み検出システムは、可能な限り速やかに異物の挟み込みを検出し、動作を反転させて、異物の安全な解放を確実に行うように意図される。挟み込みは、異物に加えられた力が可能な限り小さいままであるように、可能な限り速やかに検出される必要がある。いくつかの司法範囲内で適用可能な法的要件では、最大の力を、指定された条件より低く制限する。
【0004】
いくつかの異なる挟み込み検出システムが知られている。挟み込み検出システムの知られた種類のうちの1つは間接的なシステムであり、閉鎖部材が移動しているとき、オープンルーフシステムの特性が検出される。検出された特性は直ちに分析され、特性の予期しなかった値を用いて、挟み込みが生じたことを決定することができる。個々の挟み込み検出システムおいて、検出される特性は閉鎖部材の動きに関係しており、基準は事前に決定される。例えば、基準は、おそらく、閉鎖部材の位置に応じて、駆動組立体の速度、またはそのモータに供給される電流を含む。検出された特性は、基準と比較され、検出された特性の、基準からの偏差が所定の閾値を超える場合、挟み込みが生じたと決定される。
【0005】
挟み込み検出システムは、異物の特性に関係なく、何らかの異物との挟み込みを検出できる必要がある。間接的な挟み込み検出システムは、異物の様々な種類の特性を用いることを考慮して設計する必要がある。特に、物体の剛性または圧縮比を考慮する必要がある。物体が堅ければ、すなわち、物体の圧縮率が高ければ高いほど、加えられた力はより速く、閉鎖部材の変位と共に増加する。剛性は、N/mmで表現されるばね定数で表される。例えば、約10または約20N/mmのばね定数など、比較的低い剛性を有する柔らかい物体の場合、閉鎖部材は、例えば、100Nの最大の挟み力に達する前に、わずかな距離を移動することができ、挟み込みが実際に生じたかどうかを正確に検出するために、挟み込み検出システムには短い時間期間が与えられる。したがって、高い頻度で、誤った挟み込み検出を阻止することが可能である。しかし、例えば、約65N/mmなどの比較的高い剛性を有する堅い物体の場合、利用可能な時間がわずかしかなく、信頼性のある検出は、より難易度が高くなる。
【0006】
既知の挟み込み検出システムは、通常、柔らかい物体の信頼性のある検出に、または堅い物体の適時の検出に適していることが知られている。したがって、このようなシステムを2つ組み合わせることはまた、柔らかい物体と硬い物体の両方が、それぞれ、適時に検出され得ることが従来技術で示唆されている。しかし、堅い物体検出に適した挟み込み検出システムは、なお誤った挟み込み検出を、したがって、閉鎖部材の不必要な反転を生じやすく、それは、明らかに乗物の乗員および他のユーザを困らせることになり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第4 043 681号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
柔らかい物体および堅い物体の挟み込みを高い信頼性で適時に検出する挟み込み検出システムを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本目的は、請求項1による、乗物の屋根の開口部を覆う、または少なくとも部分的に覆いを除くためのオープンルーフ組立体で達成される。オープンルーフ組立体は、移動可能に配置された閉鎖部材と、閉鎖部材を移動させるための駆動組立体と、閉鎖部材の動きを制御するために駆動組立体に動作可能に結合される制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、閉鎖部材による物体の挟み込みを検出するための挟み込み検出ユニットを備える。挟み込み検出ユニットは、第1の挟み込み検出システム、第2の挟み込み検出システム、および所定の基準を備え、その所定の基準は、閉鎖部材の外乱を受けない動きを表す。第1の挟み込み検出システムは、閉鎖部材の動きと基準とを比較するように構成された第1のトラッカーモジュールであって、動きと基準との間の第1の許容差を許容する、第1のトラッカーモジュールと、第1の許容差を超えている場合、閉鎖部材による動きの第1の偏差を決定するように構成された第1の偏差モジュールと、動きにおける第1の偏差が、第1の閾値を超えた場合、挟み込みが生じたと決定するように構成された第1の挟み込み決定モジュールと、を備える。第2の挟み込み検出システムは、閉鎖部材の動きと基準とを比較するように構成された第2のトラッカーモジュールであって、動きと基準との間の第2の許容差を許容し、第2の許容差は第1の許容差よりも大きい、第2のトラッカーモジュールと、第2の許容差を超えた場合、閉鎖部材による動きの第2の偏差を決定するように構成された第2の偏差モジュールと、動きにおける第2の偏差が、第1の閾値よりも小さい第2の閾値を超えた場合、挟み込みが生じたと決定するように構成された第2の挟み込み決定モジュールと、を備える。挟み込み検出ユニットは、第1および第2の挟み込み検出システムの少なくとも一方が、挟み込みが生じたと決定した場合は、挟み込みが生じたと決定するように構成される。
【0010】
基本的に、挟み込み検出ユニットは、任意の異物の挟み込みを高い信頼性で検出するように協動する2つの別の挟み込み検出システムを備える。第1の挟み込み検出システムは、最初は、柔らかい物体の挟み込みを高い信頼性で検出するように構成され、経時的に動作におけるゆっくりした変化を、閉鎖部材を停止するまたは逆転させるために、時間内で検出することができる。特に、基準に対する比較的わずかな許容差は、柔らかい物体に起因する偏差を、確実に偏差として速やかに検出する。比較的大きな閾値であるため、短い時間期間が使用されて、挟み込みが生じたことを決定する。柔らかい物体の挟み込みの場合には、上記で述べられたようにこのような短い時間期間が利用可能である。さらに、このような時間期間は、適時に検出を行えるようにし、したがって、何らかの誤った挟み込み検出を阻止する。
【0011】
第2の挟み込み検出システムは、堅い物体の挟み込みを検出するように構成され、動作における突然の変化を迅速に検出し、それに対して作用することができる。突然の変化を非常に速く検出することができ、したがって、例えば道路状態に起因する突然の変化も、挟み込みと同様に検出することができる。しかし、第2の挟み込み検出システムは、堅い物体の挟み込みが実際に生じたかどうかを高い信頼性で決定するために、非常に短い時間期間を使用する。それに加えて、比較的高い許容差を用いて、閉鎖部材の動きが基準と比較される。その結果、基準からのわずかな偏差は、偏差が実際に生じたと決定することなく、受け入れられる。許容差限界を超える偏差が偏差として検出され、またこのような偏差が第2の閾値を超える場合、挟み込みが生じたと決定される。第2の閾値は比較的小さいので、このような偏差は、堅い物体の挟み込みが実際に生じた場合、速やかに第2の閾値を超えることになる。
【0012】
オープンルーフ組立体の実施形態において、第2の許容差は、高くなるように選択されているので、所定の剛性よりも小さい剛性を有する柔らかい物体の閉鎖部材による挟み込みは、第2の挟み込み検出システムによって検出されない。例えば、このような柔らかい物体の所定の剛性は、10N/mm以上であり、特に、15N/mm以上である。第2の挟み込み検出システムが、柔らかい物体の何らかの挟み込みを無視できるようにすることは、第2の挟み込み検出システムを、堅い物体の挟み込みを適時にかつ高い信頼性で検出できるように構成し、かつ専用化され得るようにする。柔らかい物体の挟み込みは、第1の挟み込み検出システムにより、適時に、かつ高い信頼性で検出されることになる。
【0013】
オープンルーフ組立体の実施形態では、基準は、外乱を受けない動き中に、閉鎖部材の位置に応じて閉鎖部材により加えられた力を表しており、閉鎖部材の動きは、閉鎖部材の実際の位置における実際の力に対応する。このような力は、閉鎖部材の動きの、かつ駆動組立体の1つ以上の検出された特性およびパラメータから導出することができる。例えば駆動組立体のモータに供給される電流、例えば当技術分野で知られたホールセンサを用いて決定されるこのようなモータの回転速度、および他の特性を使用することができる。さらに、駆動組立体および閉鎖部材の所定のパラメータは、力の導出において、使用することができる。このような方法は、当技術分野で公知であり、本明細書でさらに説明しないものとする。
【0014】
オープンルーフ組立体の実施形態において、挟み込み検出ユニットは、第3の挟み込み検出システムを備え、第3の挟み込み検出システムは、第2の挟み込み検出システムに動作可能に結合される。第3の挟み込み検出システムにより挟み込みが検出されると、第2の閾値が下げられて、第2の挟み込み検出システムは、堅い物体の挟み込みを、さらに迅速に、かつより高い信頼性で検出できるようにする。
【0015】
態様において、オープンルーフ組立体の移動可能に配置された閉鎖部材の挟み込みを検出する方法が提供される。方法は、動きと基準との間の第1の許容差を許容しながら、閉鎖部材の動きと基準を比較するステップと、閉鎖部材の動きと基準とを比較するステップにおいて、第1の許容差を超えた場合、閉鎖部材による動きにおける第1の偏差を決定するステップと、閉鎖部材による動きの第1の偏差を決定するステップにおいて、動きにおける第1の偏差が第1の閾値を超えた場合、挟み込みが生じたと決定するステップと、動きと基準との間の第2の許容差を許容しながら、閉鎖部材の動きと基準とを比較するステップであって、第2の許容差は、第1の許容差よりも大きい、ステップと、第2の許容差を許容しながら、閉鎖部材の動きと基準とを比較するステップにおいて、第2の許容差を超えている場合、閉鎖部材による動きにおける第2の偏差を決定するステップと、閉鎖部材による動きにおける第2の偏差を決定するステップにおいて、動きにおける第2の偏差が第2の閾値を超える場合、挟み込みが生じたと決定するステップであって、第2の閾値は、第1の閾値より小さい、ステップと、を含む。
【0016】
方法の実施形態において、第2の許容差は高く選択されているので、所定の剛性よりも小さい剛性を有する柔らかい物体の閉鎖部材による挟み込みは、第2の挟み込み検出システムにより検出されない。例えば、所定の剛性は10N/mm以上であり、特に15N/mm以上とすることができる。
【0017】
実施形態では、基準は、外乱を受けない動き中の閉鎖部材の位置に応じて、閉鎖部材により加えられた力を表し、また閉鎖部材の動きは、閉鎖部材の実際の位置における実際の力に対応する。例えば、実際の力は、駆動組立体の1つ以上の特性およびパラメータに基づいて決定される。
【0018】
方法の一実施形態は、第3の挟み込み検出システムを用いて挟み込みを決定するステップと、第3の挟み込み検出システムを用いて挟み込みを決定するステップにおいて、第3の挟み込み検出システムにより挟み込みが決定された場合、第2の閾値を低下させるステップと、をさらに含む。
【0019】
さらなる態様では、オープンルーフ組立体の制御ユニットに、本方法を実施させるように命令するためのコンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読の記憶媒体が提供される。上記で述べられた挟み込み検出ユニットは、ハードウェアまたはソフトウェアで実施され得ることに留意されたい。特に当業者であれば明らかなように、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、および同様の手段などの多くの処理手段を適切に使用することができる。さらに挟み込み検出ユニットを備える制御ユニットは、単一の処理ユニット、または複数の処理ユニットを用いて実施することができる。
【0020】
本発明の可用性のさらなる範囲は、本明細書の以降で示される詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および特定の例は、本発明の諸実施形態を示しているが、例示のためにだけ示されており、それは、当業者には、本発明の範囲に含まれる様々な変更および修正は、添付の概略図を参照するこの詳細な記述から明らかになるためであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】オープンルーフ組立体を備えた乗物の屋根の斜視図である。
【
図2A】異物が
図1Aおよび
図1Bのオープンルーフ組立体の閉鎖部材とフレームとの間に挟まれ、かつ閉じ込められた図である。
【
図2B】異物が
図1Aおよび
図1Bのオープンルーフ組立体の閉鎖部材とフレームとの間に挟まれ、かつ閉じ込められた図である。
【
図2C】閉鎖部材により閉じ込められた異物に加えられる力を示す図である。
【
図3A】挟み込み検出ユニットの第1の実施形態の図である。
【
図3B】
図3Aの挟み込み検出ユニットの第1の実施形態の詳細な図である。
【
図4A】閉鎖部材の外乱を受けない動きの基準のグラフと、外乱を受けない動き、柔らかい物体を挟む動き、および堅い物体を挟む動きにおける閉鎖部材の動きのシミュレーションのグラフと、を示す図である。
【
図4B】第1の挟み込み検出システムにより決定される、
図4Aの挟み込みの動きの偏差のグラフである。
【
図4C】第2の挟み込み検出システムにより決定される、
図4Aの挟み込みの動きの偏差のグラフである。
【
図5】挟み込み検出ユニットの第2の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、次に添付図面を参照して述べられる、図中、いくつかの図の全体を通して、同様の参照数字は、同じまたは同様の要素を識別するために使用されている。
【0023】
図1Aは、配置されたオープンルーフ組立体を有する乗物の屋根1を示す。オープンルーフ組立体は、可動パネル2aおよび固定パネル2bを備える。可動パネル2aはまた、閉鎖部材とも呼ばれるが、それは、可動パネル2aは、第1のルーフ開口部3aを開閉できるように、第1のルーフ開口部3aの上を移動できるからである。ウインドデフレクタ4は、第1のルーフ開口部3aの前側に配置される。
【0024】
示された実施形態では、可動パネル2aは、閉じられた位置に存在することができ、それは、可動パネル2aが、第1のルーフ開口部3aの上に配置されて閉鎖し、したがって、通常、乗物の屋根1の平面に配置される位置である。さらに、可動パネル2aは、傾斜位置に存在することができ、それは、可動パネル2aの前端部FEが、なお閉じた位置にあるが、可動パネル2aの後端部REが、閉じた位置と比較して上昇した位置にある。さらに、可動パネル2aは、開いた位置に存在することができ、それは、可動パネル2aが摺動して開き、第1のルーフ開口部3aが、部分的に、または完全に露出される位置にある。
【0025】
示された乗物の屋根1は、乗用車に対応することに留意されたい。しかし、本発明は、乗用車に限定されない。可動パネルを備えることのできる任意の他の種類の乗物も同様に企図される。
【0026】
図1Bは、パネル2aおよび2bを有する、
図1Aで示されたものと同じ乗物の屋根を示す。特に、
図1Aは、開いた位置にあるオープンルーフ組立体を示すが、
図1Bは、閉じた位置にあるオープンルーフ組立体の分解図である。さらに、
図1Bのこの分解図では、第2のルーフ開口部3bが存在することが示されている。第1および第2のルーフ開口部3a、3bは、オープンルーフ組立体のフレーム5に設けられる。フレーム5の縁部5aは、第1のルーフ開口部3aを画定する。
【0027】
第2のルーフ開口部3bは、固定パネル2bの下に配置され、固定パネル2bが、例えば、プラスチック材料または任意の他の適切な材料から作られたガラスパネルもしくは同様な透明パネルであると仮定すると、光が、固定パネル2bを通って、車の内部の乗員室に入ることができる。透明な、または半透明な固定パネル2bを備える第2のルーフ開口部3bは、任意選択のものであり、オープンルーフ組立体の別の実施形態においては除外することができる。
【0028】
ウインドデフレクタ4は、例えば、配置された貫通孔を有する織られた布、もしくは不織布、または織物、または網など、一般的に可撓性のある材料である。可撓性のある材料は、例えば、棒状または管状の構造などの支持構造4aによって支持され、その構造は、ヒンジ4bにおいてフレーム5に、直接的に、または間接的に枢動可能に結合される。
【0029】
ウインドデフレクタ4は、第1のルーフ開口部3aの前面に配置され、可動パネル2aが開いた位置にあるとき、空気流に適合する。その上昇した位置において、ウインドデフレクタ4は、運転中の空気流に起因する不都合な雑音を低減する。可動パネル2aが閉じた位置に、または傾斜位置にあるとき、ウインドデフレクタ4は、可動パネル2aの前端部FEの下に押し下げられる。
【0030】
通常、ウインドデフレクタ4は、可動パネル2aが開いた位置へと摺動したとき、ばね力により持ち上げられ、また可動パネル2aが、その閉じた位置へと摺動して戻ったとき、ウインドデフレクタ4は、可動パネル2aにより押し下げられる。
図1Aでは、可動パネル2aは開いた位置で示され、ウインドデフレクタ4は、上昇した位置で示されている。
図1Bでは、可動パネル2aは、閉じた位置で示され、ウインドデフレクタ4は、それに対応して、押し下げられた位置で示されている。
【0031】
図1Bは、第1のガイド組立体6a、第2のガイド組立体6b、第1の駆動ケーブル7、および第2の駆動ケーブル8を有する駆動組立体をさらに示す。第1および第2のガイド組立体6a、6bは、可動パネル2aの各側端部SEに配置され、それぞれ、ガイドおよび機構を備えることができる。ガイドは、フレーム5に結合され、一方、機構は、可動部分を備えて、ガイド内で摺動可能に動くことができる。第1および第2の駆動ケーブル7、8は、各ガイド組立体6a、6bの機構と、電気モータ9と、の間に設けられる。
【0032】
駆動ケーブル7、8は、電気モータ9を、各ガイド組立体6a、6bの機構に結合し、電気モータ9が動作すると、機構が動き始めるようにする。特に、駆動ケーブル7、8の中心部は、各ガイド6a、6bの機構を押すまたは引っ張るように、電気モータ9により動かされる。このような駆動組立体は、当技術分野でよく知られており、したがって、本明細書ではさらに説明しないものとする。また任意の他の適切な駆動組立体を、本発明の範囲から逸脱することなく、同様に使用することができる。さらに、特定の実施形態では、電気モータは、各ガイドと、ガイド組立体6a、6bの各機構と、の間に動作可能に配置することができ、このような実施形態では、駆動組立体を完全に削除することができる。
【0033】
示された実施形態では、ガイド組立体6a、6bは、可動パネル2aの後端部REを上昇させた状態で動きを開始することができ、それにより、可動パネル2aを傾斜した位置に移動する。次いで、ガイド組立体6a、6bは、傾斜した位置から摺動し始めて、可動パネル2aを開いた位置に移動することができる。しかし、本発明は、このような実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態では、可動パネル2aは、後端部REを上昇させることによって傾斜位置へと移動可能にすることができ、一方、開いた位置は、まず後端部REを下げて、次いで、可動パネル2aを固定パネル2bの下において、または可動パネル2aの後端部REの後方に設けられた任意の他の構造もしくは要素の下において摺動させることによって達成される。さらなる例示的な実施形態では、可動パネル2aは単に、閉じた位置と傾斜位置の間で、または閉じた位置と開いた位置の間で可動にすることができる。
【0034】
示された実施形態では、電気モータ9は、凹部10において、可動パネル2aの前端部FEの近く、またはその下に取り付けられる。別の実施形態では、電気モータ9は、任意の他の適切な位置もしくは場所に位置することができる。例えば、電気モータ9は、可動パネル2aの後端部REの近くもしくはその下に、または固定パネル2bの下に配置することができる。
【0035】
制御モジュール11が、概略的に示されており、電気モータ9に動作可能に結合される。制御モジュール11は、共に当業者には公知のソフトウェア制御の処理モジュール、またはASICなどの専用の処理モジュールである、任意の種類の処理モジュールとすることができる。制御モジュール11は、スタンドアローンの制御モジュールとすることができる、または多目的の、汎用の乗物制御モジュールなど、別の制御モジュールに動作可能に接続することができる。さらに別の実施形態では、制御モジュール11は、このような汎用の乗物制御モジュールに埋め込まれるか、またはその一部とすることができる。基本的に、制御モジュール11は、電気モータ9の動作を、したがって、可動のルーフ組立体の動作を実施するのに適した、その動作を実施できる、かつ実施するように構成された任意の制御モジュールにより実施することができる。
【0036】
図2Aは、フレーム5および可動の閉鎖部材2aの横断面を示す。異物FOが、可動の閉鎖部材2aと、フレーム5の縁部5aと、の間に配置されている。可動の閉鎖部材2aは、縁部5aに向けて閉じる方向Dに移動する。
【0037】
図2Bは、
図2Aの閉鎖部材2a、異物FO、およびフレーム5を示しており、閉鎖部材2aは、閉じる方向Dに進んでいる。閉鎖部材2aの前端部が、異物FOに接触している。閉鎖部材2aがさらに前進すると、異物FOは、縁部5aと閉鎖部材2aとの間に閉じ込められる。この閉じ込めに起因して、閉鎖部材2aは、閉じる方向Dに、異物FOを圧縮することにより、さらに移動できるだけである。異物FOの剛性が、可能な移動量、およびそのために必要な何らかの力を決定する。異物FOが柔らかく、したがって、例えば、10N/mm未満の、または15N/mm未満の低いばね定数として表される比較的低い剛性を有する場合、閉鎖部材2aは、ゆっくりと増加する力を用いて進むことができる。異物FOが堅く、したがって、例えば、50N/mmよりも高い、または60N/mmよりも高い、またはさらに65N/mmよりも高い、高ばね定数として表される比較的高い剛性を有する場合、閉鎖部材2aは、急速に増加する力を用いて進むことができるだけである。
【0038】
図2Cは、位置と、必要な力と、の間の関係を示す。特に、水平軸において位置が表され、垂直軸は加えられた力を表す。F
maxは、閉鎖部材の動きが妨げられて、好ましくは反転する前に、異物に加えられることになる最大の力を表している。
【0039】
図2Cでは、実線は、外乱を受けない閉じる動きM
clにおいて、閉鎖部材により、または閉鎖部材に対して加えられる力を示す。位置x
1において、異物が挟み込まれる。異物が堅く、したがって、高い剛性を有する場合、加えられる力は、堅い物体で乱された閉じる動きM
ho(点線)中に急速に増加し、位置x
2で最大の力に達する。異物が柔らかく、低い剛性を有する場合、加えられる力は、柔らかい物体で乱された閉じる動きM
so(破線)中にゆっくりと増加し、位置x
3で最大の力に達する。
図2Cから明らかなように、柔らかい物体が挟まれたとき、堅い物体の挟み込みと比較し、挟み込み検出に対して、また閉じる動きの中断/反転に対して、大幅に長い変位長さが利用可能である。
【0040】
挟み込みが検出されると、閉鎖部材が実際に停止する、または反転する前に、制御ユニットおよび駆動組立体(駆動組立体における慣性および遊び)に何らかの時間、したがって閉鎖部材の変位が必要であることに留意されたい。したがって、また堅い物体の挟み込みの場合の急速な力の増加を考慮すると、堅い物体の挟み込みは、最大の力Fmaxを超えないようにするために、時間内に小さい力で検出される必要があり、こうすることは、このような検出を、必然的に、誤った挟み込み検出に対してより高い感度を有するようにする。
【0041】
過度の数の誤った検出を行うことなく、適時に、高い信頼性で、堅い異物と柔らかい異物を共に検出するために、多くの様々な挟み込み検出システムが、従来技術において述べられてきている。異なる剛性を有する任意の種類の異物を検出するために、2つまたはさらに多くの挟み込み検出システムの組合せが提案されてきている。しかし、堅い異物を高い信頼性で検出するためには、過度の数の誤った検出を阻止するために課題となったままであり、それは、過度の数の不必要な反転を生ずる可能性があり、かつ例えば、岩の多い、または凹凸のある道路を運転するときに、オープンルーフ組立体の閉鎖を妨げるおそれもある。
【0042】
図3Aは、例えば、
図1Bの制御ユニット11においてなど、オープンルーフ組立体の制御ユニットにおいて、またはそれとの組合せにおいて使用される挟み込み検出ユニット20の実施形態を示す。挟み込み検出ユニット20は、入力端末21および出力端末22を備える。入力端末21は、制御ユニットから入力信号を受信するように構成することができ、ここにおいて、入力信号は、制御ユニットにより感知され、測定され、または生成された1つ以上の物理特性を表す1つ以上のデータ信号を含み、その物理特性は、当技術分野で知られるように、閉鎖部材の動きに関係する。例えば、物理特性は、電気モータに供給される電圧および電流、このような電気モータの回転速度、閉鎖部材の位置、閉鎖部材の速度、温度、および閉鎖部材の動きに関する任意の他の特性を含むことができる。データ信号は、第1の挟み込み検出システム100、および第2の挟み込み検出システム200に送られる。すべてのデータ信号を、各挟み込み検出システム100、200に供給することができる、または例えば、このようなデータ信号のどれがこのような挟み込み検出システム100、200により必要とされるかに応じて、データ信号のうちの特定のものを、挟み込み検出システム100、200の特定のものに供給することができる。
【0043】
出力端末22における出力信号は、挟み込みの検出を示すように構成され、したがって、制御ユニットは、このような出力信号に応じて、閉鎖部材の動きを停止する、または反転させることができる。
【0044】
第1の挟み込み検出システム100は、柔らかい物体の挟み込みを検出するように構成されるが、第1の挟み込み検出システム100が同様に、堅い物体の挟み込みを検出し得ることも排除することはない。
【0045】
既知の一般的な挟み込み検出システムは、第1の挟み込み検出システムとして使用することができる。このような第1の挟み込み検出システムは、可動の閉鎖部材を駆動する駆動組立体により加えられた力を、所定の基準300と比較する。正確さを高めるために、このような基準300は、閉鎖部材の位置に依存することができる。このような位置に依存する基準300は、オープンルーフ組立体の製作中に事前に決定され、記憶され得るか、または基準300は、外乱なく実行された、以前の閉じる動作中に決定されるか、もしくは更新され得る。
【0046】
実務においては、代替的に、または加えて、力に関する任意の他の特性を使用することができる。例えば、駆動組立体の電気モータに供給される電流、駆動組立体の電気モータに供給される電圧、回転するモータの速度、閉鎖部材の移動速度、および同様なものが、挟み込みに起因する異常な閉じる動作を検出するために適切であり得る。
【0047】
このような第1の挟み込み検出システム100の構成設定は、基準300からの実際の特性値の偏差に対する閾値とすることができる。偏差が閾値を超えた場合、挟み込みが生じたと決定することができる。柔らかい物体を用いると、最大の力に達する前に、動きを反転させるための十分な時間が残っているはずなので比較的高い閾値を選択することができる。堅い物体を用いると、検出は迅速に行う必要があり、したがって、低い閾値を必要とするが、それは、例えば、岩の多い、または凹凸のある道路状態に起因して、偶発的に超える可能性があるので、信頼性に劣る結果となる。
【0048】
第2の挟み込み検出システム200は、堅い物体の挟み込みを検出するように構成される。第2の挟み込み検出システム200は、堅い物体だけを検出するのに適することができるか、または柔らかい物体もしくは堅い物体の挟み込みを検出するように構成することができるか、または任意の種類の物体の挟み込みを検出するのに適することができる。
【0049】
堅い物体の挟み込みを迅速に検出するための適切な挟み込み検出システムが知られている。例えば、駆動組立体および閉鎖部材を備える機械システムの数学的モデルが、機械システムの異常な動作または挙動を迅速に検出するために使用することができる。このような数学的モデルは、当技術分野で知られるように、外乱オブザーバと状態空間表現との組合せで使用することができる。さらに、
図3Aの実施形態では、第2の挟み込み検出システム200は同様に、基準300との比較を使用する。挟み込み検出方法は、基本的に第1の挟み込み検出システムと同じであるが、第2の挟み込み検出システム200のいくつかの設定およびパラメータは、第1の挟み込み検出システム100とは異なっており、第2の挟み込み検出システム200は、検出の信頼性を低下させることなく、堅い物体の挟み込みに対してより感度が高い。これらの設定およびパラメータは、
図3Bに関して以下で説明される。
【0050】
出力モジュール400は、第1の挟み込み検出システム100および第2の挟み込み検出システム200の両方に動作可能に結合される。第1の挟み込み検出システム100および第2の挟み込み検出システム200のいずれか一方が、挟み込みが生じたと決定したとき、出力モジュール400は、このような発生を示す信号を受け取る。次いで、出力モジュール400は、対応する信号を、挟み込み検出ユニット20の出力端末22に送る。
【0051】
図3Bは、第1の挟み込み検出システム100、および第2の挟み込み検出システム200をより詳細に示す。第2の挟み込み検出システム200は、同じモジュールおよび構成要素を備える第1の挟み込み検出システム100と同様であるが、以下で述べられるように異なる設定およびパラメータを有することに留意されたい。
【0052】
入力端末21から、閉鎖部材の実際の動きを表すデータ信号が、第1のトラッカーモジュール101、および第2のトラッカーモジュール201に提供される。各トラッカーモジュールは、所定の許容差を考慮しながら、閉鎖部材の実際の動きを基準300と比較する。許容差は、基準300付近の単なる許容範囲とすることができる。しかし、実施形態において、許容差は、実際の動きと基準300との間の差が、意味のある偏差であるか、それとも単なる小さな差であるのかを判定するために、さらなる態様および特性を考慮に入れる。例えば、実際の動きと基準300との間の、以前の差を考慮に入れることができる。したがって、実際の動きと基準300との間の、わずかであるが、増加する差は、トラッカーモジュールによって受け入れることができる。
【0053】
第1の挟み込み検出システム100において、第1の許容差が、第1のトラッカーモジュール101により使用される。第1の許容差は、第2の挟み込み検出システム200の第2のトラッカーモジュール201により使用される第2の許容差と比較して比較的小さい。その結果、特に柔らかい物体との挟み込みの場合、実際の動きと基準300との間の増加する差は、比較的速やかに第1の許容差を超えることになるが、一方、選択された許容差および挟まれた対象物の剛性に応じて、第2の許容差を後で超えるか、または全く超えないこともあり得る。他方で、堅い物体の挟み込みの場合は、第1の許容差を、速やかに超えることになり、第2の許容差も同様に速やかに超えることになる。
【0054】
第1のトラッカーモジュール101の出力は、第1の偏差モジュール102に供給され、また第2のトラッカーモジュール201の出力は、第2の偏差モジュール202に供給される。特に、トラッカーモジュール102、201の一方または両方が、対応する許容差を含めて、実際の動きが基準300を超えていると決定した場合、対応する偏差モジュール102、202は、実際の偏差を決定する。特に、第1の偏差モジュール102が、第1の偏差を決定し、第2の偏差モジュールが、第2の偏差を決定する。実施形態では、このような偏差は、対応する許容差を含めて、実際の動きと基準300の間の差として決定することができるが、別の実施形態では、偏差は、対応する許容差を考慮することなく、実際の動きと基準300の間の差として決定することができる。
【0055】
第1の偏差モジュール102および第2の偏差モジュール202により決定されたいずれの偏差も、第1の挟み込み決定モジュール103、または第2の挟み込み決定モジュール203に、それぞれ供給される。第1の挟み込み決定モジュール103は、第1の偏差を第1の閾値104と比較し、一方、第2の挟み込み決定モジュール203は、第2の偏差を第2の閾値204と比較する。いずれかの偏差が、各閾値104、204を超えている場合、対応する挟み込み決定モジュール103、203は、挟み込み決定信号を出力モジュール400に出力する。
【0056】
堅い物体の挟み込みを適時に検出するために、第2の閾値204は、第1の閾値104よりも低くなるように選択される。したがって、第2のトラッカーモジュール201の比較的大きな許容差が、第2の偏差の早期の検出を妨げるが、第2の閾値204は、第2の偏差が実際に決定されるとすぐに、特に堅い対象物との挟み込みの検出を、確実に比較的迅速に行うことになる。他方で、第1のトラッカーモジュール101の比較的小さな許容差は、第1の偏差の早期の検出を行うが、第1の閾値104は、第1の偏差が一定の時間量にわたって増加できることを保証し、なお、柔らかい物体とのこのような挟み込みが時間内に決定されること、および柔らかい物体との挟み込みの偶発的な誤った決定を阻止することを保証する。
【0057】
図4Aから
図4Cは、
図3Aおよび
図3Bの実施形態で実施された前述の方法を示す。グラフおよびその基礎となるデータは、単に例示目的の理論的なデータである。
【0058】
図4Aは、駆動組立体において生成され、動作のために閉鎖部材に加えられた力のグラフを示す。挟み込みが生ずると、力は、閉鎖部材を介して、挟まれた物体に伝達される。水平軸は、ミリメートルで閉鎖部材の変位を表す。
【0059】
図4Aで示されるように、実線は、外乱を受けない動き中に生成された力を示し、点線は基準を表す。明らかなように、実線および点線は、比較可能である。さらに、複数の時間点で、外乱を受けない動きと基準との間にわずかな差がある。第1または第2の許容差を使用する上記で述べたトラッカーモジュールは、このような差を無視し、偏差は決定されない。
【0060】
図4Aにおいて、長破線グラフは、閉鎖部材の動きに対応し、ここにおいて、閉鎖部材は、約3ミリメートルの後に約10N/mmの剛性を有する柔らかい物体を挟む。その挟み込みにより、力が、閉鎖部材の変位と共に増加する。介入されることなく生成された力は、約12.5mmの変位の後に、約100Nへと増加することになる。
【0061】
短い破線グラフは、約3ミリメートルの後、約60N/mmの剛性を有する堅い物体の挟み込みに対応する。この場合、約4.5mmの変位の後、生成された力は、すでに約100Nになる。
【0062】
図4Bは、挟み込み検出ユニットの上記で述べた第1の実施形態の第1の挟み込み検出システムの応答を示す。特に
図4Bでは、第1の偏差決定モジュールにより決定される第1の偏差を表すグラフを示す。実線は、
図4Aの長破線グラフに対応する、柔らかい物体の挟み込みを有する閉鎖部材の変位に対応する。短破線は、
図4Aの短破線グラフに対応する、堅い物体の挟み込みを有する変位に関する。点線のグラフは、第1の閾値を示し、それは、この例示的な実施形態では、85Nに選択される。実務においては、当業者には明らかなように、別の値を選択することもできる。
【0063】
本例示的な実施形態では、トラッカーモジュールが、各許容差が超過されていると決定したとき、偏差は、実際の動きと基準との間の差になるように選択されることに留意されたい。上記で述べたように、別の実施形態では、偏差は、許容差を含めて、実際の動きと基準との間の差として決定することができる。このような実施形態では、
図4Bおよび
図4Cで示される偏差は、より小さくなる。
【0064】
図4Bを参照すると、最初の3ミリメートル中に、閉鎖部材の外乱を受けない動きがある。第1のトラッカーモジュール、および第1の偏差決定モジュールは、実際に、偏差がないと決定する。比較的小さい第1の許容差に起因して、3ミリメートルから、第1の偏差が増加し始める。約11.5mmの変位において、第1の偏差は、第1の閾値を超え、柔らかい物体との挟み込みが、第1の挟み込み検出システムによって検出される。約4.4mmの変位において、第1の偏差は、第1の閾値を超え、堅い物体の挟み込みが、第1の挟み込み検出システムにより検出される。
【0065】
図4Cは、挟み込み検出ユニットの前述の第1の実施形態の第2の挟み込み検出システムの応答を示す。特に、
図4Cは、第2の偏差決定モジュールにより決定される第2の偏差を表すグラフを示す。実線は、
図4Aの長破線グラフに対応する、柔らかい物体との挟み込みを有する閉鎖部材の変位に対応する。短破線は、
図4Aの短破線グラフに対応する、堅い物体との挟み込みを有する変位に関する。点線のグラフは、第2の閾値を示し、それは、この例示的な実施形態では、85Nに選択される。実務では、当業者には明らかなように別の値を選択することができる。
【0066】
最初の3ミリメートル中に、閉鎖部材の乱れを受けない動きが存在する。第2のトラッカーモジュール、および第2の偏差決定モジュールは、実際に、偏差はないと決定する。比較的大きな第2の許容差に起因して、3ミリメートルから、堅い物体の挟み込みに対してだけ第2の偏差が増加し始める。柔らかい物体の挟み込みは、生成される力の非常にゆっくりとした増加となり、したがって、第2のトラッカーモジュールの第2の許容差内に留まる。他方で、堅い物体の挟み込みは、約3.4mmからの偏差の検出となり(偏差は、上記で述べたように、偏差を決定する選択された方法により、0Nから約30Nへとジャンプする)、約3.6mmの変位において、第2の偏差は、第2の閾値を超える。堅い物体の挟み込みは、したがって、第1の挟み込み検出システムによるよりも速く、第2の挟み込み検出システムにより検出され、閉鎖部材を停止または反転させるために時間を多く残す。
【0067】
図5は、挟み込み検出ユニットの第2の実施形態を示す。特に、第2の挟み込み検出システム200が示されており、それは、第1の実施形態の第2の挟み込み検出システム200に対応する。第2の実施形態の第1の挟み込み検出システムは、
図5で示されていないが、実際には、第1の挟み込み検出システムが同様に存在する。
図3Aおよび
図3Bの第1の実施形態と比較すると、第3の挟み込み検出システム500が導入されている。第3の挟み込み検出システム500は、例えば、第2の挟み込み検出システム200よりもさらに速く、堅い物体の挟み込みを検出するためになど、任意の適切な挟み込み検出システムとすることができる。第3の挟み込み検出システム500は、次いで、第2の閾値204に動作可能に結合される。第3の挟み込み検出システム500が挟み込みを検出した場合、第2の閾値204を下げることができ、したがって、第2の挟み込み検出システム200は、その挟み込みをさらに速く検出することができる。特定の実施形態では、第2の挟み込み検出システム200は、中間の硬さの物体の挟み込みを高い信頼性で検出するように構成することができ、一方、第3の挟み込み検出システム500は、堅い物体の挟み込みを適時に、かつ高い信頼性で同様に確実に検出できるようにする。この方法は、特許文献1に記載された方法に対応する。
【0068】
本発明の詳細な実施形態は、本明細書で開示されるが、開示される実施形態は、本発明の単なる例に過ぎず、それは、様々な形態で実施できることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される特定の構造および機能の細部は、限定するものと解釈されるべきではなく、単に、特許請求の範囲のベースとして、また本発明を、予想される任意の適切な詳細な構造において様々に使用するように当業者を教示するための代表的なベースとして解釈すべきである。特に、別々の従属請求項において提示され、かつ述べられる特徴は、組み合わせて適用することができ、またこのような請求項の任意の有利な組合せが、本明細書で開示される。
【0069】
さらに、構造的な要素は、3次元(3D)印刷技法を適用することにより生成され得ることも企図される。したがって、構造的な要素に対するいずれの参照も、3次元印刷技法により、または同様のコンピュータ制御された製作技法により、このような構造的要素をコンピュータに生成するように命令する任意のコンピュータ実行可能命令を包含することが意図されている。さらに、構造的な要素に対する任意のこのような参照はまた、このようなコンピュータ実行可能命令を担持するコンピュータ可読媒体を包含するように意図される。
【0070】
さらに、本明細書で使用される用語およびフレーズは、限定することを意図しておらず、そうではなくて、本発明の理解可能な記述を提供するためのものである。本明細書で使用される場合、用語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ以上のものとして定義される。本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2つ以上のものとして定義される。本明細書で使用される場合、「別のもの(another)」という用語は、少なくとも第2の、またはさらなるものとして定義される。本明細書で使用される場合、「含む」および/または「有する」という用語は、「含む/備える(comprising)」として定義される(すなわち、オープンな文言)。本明細書で使用される場合、「結合される」という用語は、必ずしも直接的にではないが、接続されることが定義される。
【0071】
本発明がこのように述べられているが、本発明は多くの方法で変更できることは明らかである。このような変形形態は、本発明の趣旨および範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、当業者には明らかなこのようなすべての変更形態は、添付の特許請求の範囲に含まれるように意図される。
【符号の説明】
【0072】
1 乗物の屋根
2a 可動パネル
2b 固定パネル
3a 第1のルーフ開口部
3b 第2のルーフ開口部
4 ウインドデフレクタ
4a 支持構造
4b ヒンジ
5 フレーム
5a 縁部
6a 第1のガイド組立体
6b 第2のガイド組立体
7 第1の駆動ケーブル
8 第2の駆動ケーブル
9 電気モータ
10 凹部
11 制御モジュール
20 挟み込み検出ユニット
21 入力端末
22 出力端末
100 第1の挟み込み検出システム
101 第1のトラッカーモジュール
102 第1の偏差モジュール
103 第1の挟み込み決定モジュール
104 第1の閾値
200 第2の挟み込み検出システム
201 第2のトラッカーモジュール
202 第2の偏差モジュール
203 第2の挟み込み決定モジュール
204 第2の閾値
300 基準
400 出力モジュール
500 第3の挟み込み検出システム
D 閉じる方向
Fmax 最大の力
Mcl 外乱を受けない閉じる動き
Mho 堅い物体で乱された閉じる動き
Mso 柔らかい物体で乱された閉じる動き
x1~x3 位置
FE 前端部
FO 異物
RE 後端部
SE 側端部
【外国語明細書】