IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスケー イノベーション  カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-ガス分離用複合分離膜 図1
  • 特開-ガス分離用複合分離膜 図2
  • 特開-ガス分離用複合分離膜 図3
  • 特開-ガス分離用複合分離膜 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079626
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ガス分離用複合分離膜
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/26 20060101AFI20240604BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20240604BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20240604BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240604BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B01D71/26
B01D53/22
B01D69/10
B01D69/12
B01D69/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199317
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2022-0164858
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519214271
【氏名又は名称】エスケー アイイー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK IE TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 03188 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】キム ドン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒェ ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク ミン サン
(72)【発明者】
【氏名】キム シン ウ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ユ ミ
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006MA03
4D006MA09
4D006MA10
4D006MA31
4D006MB03
4D006MB04
4D006MB20
4D006MC03
4D006MC05
4D006MC07
4D006MC18
4D006MC21
4D006MC28
4D006MC45
4D006MC54
4D006MC58
4D006MC65
4D006NA46
4D006PB18
4D006PB19
4D006PB62
4D006PB64
4D006PB66
4D006PB68
4D006PB70
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械的強度に優れるとともに特定の表面特性を有する薄膜の支持体を含むことで、欠陥が発生することなく薄膜の選択層が均一に形成され、選択度および透過度が著しく向上したガス分離用複合分離膜を提供する。
【解決手段】一態様によると、支持体、および前記支持体の片面に配置された選択層を含み、前記支持体は、多孔性ポリエチレンフィルムを含み、前記支持体は、表面粗さが100nm以下であり、表面中位孔径が300nm以下であり、機械方向(MD)および横方向(TD)の引張強度が10MPa以上である、ガス分離用複合分離膜を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、および前記支持体の片面に配置された選択層を含み、
前記支持体は、多孔性ポリエチレンフィルムを含み、
前記支持体は、表面粗さが100nm以下であり、表面中位孔径が300nm以下であり、機械方向(MD)および横方向(TD)の引張強度が10MPa以上である、ガス分離用複合分離膜。
【請求項2】
前記多孔性ポリエチレンフィルムは、ガス透過度が850sec/100cc以下である、請求項1に記載のガス分離用複合分離膜。
【請求項3】
前記支持体は、表面粗さが50nm以下である、請求項1に記載のガス分離用複合分離膜。
【請求項4】
前記支持体は、厚さが5μm~100μmである、請求項1に記載のガス分離用複合分離膜。
【請求項5】
前記選択層は、厚さが10nm~500nmである、請求項1に記載のガス分離用複合分離膜。
【請求項6】
前記選択層と前記支持体との間に配置された中間層をさらに含む、請求項1に記載のガス分離用複合分離膜。
【請求項7】
前記選択層上に配置された保護層をさらに含む、請求項1に記載のガス分離用複合分離膜。
【請求項8】
前記複合分離膜は、厚さが150μm以下である、請求項1に記載のガス分離用複合分離膜。
【請求項9】
前記複合分離膜は、下記式1による選択層の比表面積が10,000m/m以上である、請求項1に記載のガス分離用複合分離膜。
[式1]
選択層の比表面積=選択層の表面積(m)/複合分離膜の体積(m
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のガス分離用複合分離膜を用いてガス混合物から特定のガスを分離する、ガス分離方法。
【請求項11】
前記特定のガスは、二酸化炭素、水素、ヘリウム、酸素、炭化水素、およびオレフィンからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項10に記載のガス分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス分離能力が著しく向上したガス分離用複合分離膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス分離技術は、ガス混合物中の特定のガス成分のみを分離する技術を意味し、工業分野だけでなく、医療、生化学、および環境分野に至るまで産業全般にわたって用いられており、その重要性が高い。一例として、化石燃料の使用により発電所、鉄鋼、セメント工場などの大量排出源から排出される二酸化炭素を大気中から隔離させる技術である、CCS(Carbon Dioxide Capture & Storage)技術に活用することができる。この他に、ガス分離技術は、石油化学工程、合成ガスから水素の分離および回収に用いられており、他の応用分野としては、EOR(Enhanced Oil Recovery)、天然ガス精製、埋立地ガス回収、空気分離(酸素富化または窒素製造)、脱水、脱気、ヘリウム回収などに適用されている。
【0003】
現在、蒸留法、抽出法、蒸発法、吸着法などによりガス分離工程が通常行われているが、このような方式は、産業内の全体エネルギー消費量の約40%程度を占めるほど、エネルギーを過度に多く消費しているという欠点がある。そこで、エネルギー消費が少なく、環境に優しい方式である、分離膜を用いたガス分離技術が活発に研究されている。分離膜を用いた技術は、高いエネルギー効率だけでなく、低い面積対体積比、スケールアップが容易であるなどの利点もある。
【0004】
ガス分離に用いられる分離膜は、一般的に特定のガスを分離するための選択層、および選択層を支持するための支持体で構成された構造を有する。分離膜の選択的分離能力および選択的に分離された特定のガスの透過度は、選択層の材料により大きな影響を受けることが知られており、酸化グラフェン、金属有機構造体(metal organic framework、MOF)などの選択層の材料に関する研究が活発に行われている。
【0005】
現在開発された支持体としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリルなどの材料を不織布(non-woven fabric)にコーティングした後、相転移現象(phase inversion)を用いて気孔を形成した支持体が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 3909669 A1
【特許文献2】US 20210016231 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の一態様によると、機械的強度に優れるとともに特定の表面特性を有する薄膜の支持体を含むことで、欠陥が発生することなく薄膜の選択層が均一に形成され、選択度および透過度が著しく向上したガス分離用複合分離膜を提供することができる。
【0008】
本開示の他の態様によると、上述したガス分離用複合分離膜を用いることで、著しく向上した選択度および透過度で特定のガスを分離可能なガス分離方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態は、支持体、および前記支持体の片面に配置された選択層を含み、前記支持体は、多孔性ポリエチレンフィルムを含み、表面粗さが100nm以下であり、表面中位孔径が300nm以下であり、機械方向(MD)および横方向(TD)の引張強度が10MPa以上である、ガス分離用複合分離膜を提供する。
【0010】
一実施形態において、前記多孔性ポリエチレンフィルムは、ガス透過度が850sec/100cc以下であってもよい。
一実施形態において、前記支持体は、表面粗さが50nm以下であってもよい。
【0011】
一実施形態において、前記支持体は、厚さが5μm~100μmであってもよい。
一実施形態において、前記選択層は、厚さが10nm~500nmであってもよい。
【0012】
一実施形態において、前記ガス分離用複合分離膜は、前記選択層と前記支持体との間に配置された中間層をさらに含んでもよい。
一実施形態において、前記ガス分離用複合分離膜は、前記選択層上に配置された保護層をさらに含んでもよい。
【0013】
一実施形態において、前記複合分離膜は、厚さが150μm以下であってもよい。
一実施形態において、前記複合分離膜は、下記式1による選択層の比表面積が10,000m/m以上であってもよい。
【0014】
[式1]
選択層の比表面積=選択層の表面積(m)/複合分離膜の体積(m
【0015】
他の一実施形態は、上述したガス分離用複合分離膜を用いてガス混合物から特定のガスを分離する、ガス分離方法を提供する。
一実施形態において、前記特定のガスは、二酸化炭素、水素、ヘリウム、酸素、炭化水素、およびオレフィンからなる群から選択されるいずれか1つであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係るガス分離用複合分離膜は、特定の表面特性を有する支持体を用いることで、欠陥が発生することなく薄膜の選択層が均一に形成され、著しく向上した選択度および透過度を同時に実現できるという利点がある。
【0017】
また、高い機械的強度の支持体を用いることで、選択層の塗布工程およびモジュール組立工程で分離膜に加えられる高い張力(Tension)に耐えることができるため、工程安定性を高めることができる。
【0018】
さらに、優れた機械的物性を有するとともに、支持体の厚さが薄い場合、モジュール組立時に分離膜の体積当たり広い面積の選択層を充填することができるため、同一体積のモジュールにおいても分離透過量が著しく上昇した効果を有するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】表面孔径が選択層の形成に及ぼす影響を説明する模式図である。
図2】実施例1の選択層の表面に対するSEMイメージである。
図3】比較例3の選択層の表面に対するSEMイメージである。
図4図3のイメージを10倍拡大したSEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示のガス分離用複合分離膜およびそれを用いたガス分離方法について詳しく説明する。
本明細書に記載された実施の形態は種々の異なる形態に変形されてもよく、一実施形態に係る技術が以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。また、一実施形態の実施の形態は、当該技術分野における平均的な知識を有する者に本開示をより完全に説明するために提供されるものである。
【0021】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数の形態は、文脈上、特に指示しない限り、複数の形態も含むことを意図し得る。
また、本明細書で用いられる数値範囲は、下限値と上限値、その範囲内での全ての値、定義される範囲の形態と幅から論理的に誘導される増分、そのうち限定された全ての値および互いに異なる形態に限定された数値範囲の上限および下限の全ての可能な組み合わせを含む。本明細書において、特に定義しない限り、実験誤差または値の四捨五入により発生し得る数値範囲外の値も定義された数値範囲に含まれる。
【0022】
さらに、明細書の全体にわたって、ある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0023】
一実施形態に係るガス分離用複合分離膜は、支持体、および前記支持体の片面に配置された選択層を含み、前記支持体は、多孔性ポリエチレンフィルムを含み、前記支持体は、表面粗さが100nm以下であり、表面中位孔径が300nm以下であり、機械方向(MD)および横方向(TD)の引張強度が10MPa以上であってもよい。
【0024】
従来の支持体(support layer)および選択層(selective layer)を含む分離膜は、支持体の厚さが厚く、分離膜全体の透過度の低下を引き起こし得、厚さが薄くなると、機械的強度が低くなる傾向があり、ガス透過度と機械的強度に同時に優れた物性を実現できないという限界があった。さらに、支持体が150μm以上の厚さにおいても引張強度が10MPa未満にすぎず、支持体を用いた塗布工程およびモジュール製造工程における高い張力に耐えることが難しいため、工程安定性が低下する問題が発生し得る。
【0025】
このような従来の支持体の強度を向上させるための方法として、溶融点の異なる複合繊維を用いて不織布を製造し、カレンダリングしたり異種の不織布を複合したりもする。しかし、このような複合材料は、依然として十分な引張強度を有することができない。さらに、このような材料を支持体として用いて選択層を形成する場合、選択層の厚さが不均一に形成されるか、またはピンホールのような表面損傷の問題が発生し、分離膜の選択度が低下し得る。選択度を向上させるために選択層を厚くコーティングすると、透過度が低下するという問題がある。
【0026】
具体的に、選択層の表面に表面積を基準として0.0001%(100ppm)のピンホール(pin-hole)の発生によっても分離膜の性能が低下し得、0.01%や0.2%の欠陥が存在する場合には選択/分離機能をほとんど欠くことになる。
【0027】
そこで、本開示の発明者は、欠陥が発生することなく均一な厚さに選択層が形成され、選択度および透過度が著しく向上したガス分離膜材料に関する研究を重ねた結果、支持体の表面特性が選択層の形成に影響を及ぼすことを見出した。詳細には、発明者は、表面平滑度および特定の表面気孔サイズを満たす支持体に選択層を形成する場合、欠陥が発生することなく均一な厚さに薄膜の選択層が形成できることを見出し、本開示を完成するに至った。また、一実施形態に係る複合分離膜は、優れた機械的強度を有する支持体を含むことで、工程安定性が著しく向上することができる。また、前記複合分離膜は、上述した支持体を含むことで、同一体積当たり広い面積の選択層を充填することができるため、モジュール状態における分離透過量が著しく向上することができる。
【0028】
一実施形態において、前記支持体は、表面粗さが100nm以下、具体的には80nm以下、より具体的には50nm以下、または30nm以下であってもよい。前記表面粗さの下限は特に限定されないが、0.1nm以上、または1nm以上であってもよい。例えば、前記支持体は0.1~100nm、1~80nm、1~50nm、または1~30nmの表面粗さを有してもよい。この際、前記表面粗さは、算術平均表面粗さ(Ra)として、原子間力顕微鏡(atomic force microscopy、AFM)を用いて測定することができる。
【0029】
支持体が上述した範囲の表面粗さを有し、優れた表面平滑度を満たすことで、薄膜の選択層が均一な厚さに前記支持体上に形成されることができ、選択層の表面に選択度低下の原因の1つであるピンホールなどの欠陥が発生しないことができる。これに対し、支持体が上述した範囲を外れる場合、薄い選択層の塗布時に欠陥が発生して選択度が大幅に低下し、それを防止するために選択層を厚くコーティングすると、透過度が低下するという問題がある。
【0030】
一実施形態において、前記支持体は、多孔性支持体であってもよく、具体的に、表面上の中位気孔サイズ(median pore size)は300nm以下、275nm以下、または250nm以下であってもよく、その下限は特に限定されないが、一例として10nm以上、または50nm以上であってもよい。例えば、前記支持体は10~300nm、10~275nm、または50~250nmの中位気孔サイズを有してもよい。この際、前記表面中位孔径とは、支持体表面の走査型電子顕微鏡(SEM)イメージから測定されたD50を意味し得る。D50は、具体的に、気孔サイズ分布図(Pore size distribution)において直径が最も小さい試料から累積分布50%到達時の粒子サイズ(D50)を意味する。図1は、表面孔径が選択層の形成に及ぼす影響を説明する模式図であり、それを参照すると、前記支持体の孔径が上述した範囲を外れる場合、乾燥前の選択層がそれに加えられる力に耐えることができず、不均一な厚さの選択層30が形成される。これに対し、支持体が上述した範囲の表面中位孔径を有する場合、乾燥前の選択層がそれに加えられる力に耐えることができるため、均一な厚さの選択層が形成されることができる。
【0031】
一実施形態において、前記支持体の機械方向(MD)および横方向(TD)の引張強度が10MPa以上、具体的には20MPa以上、より具体的には30MPa以上であってもよく、その上限は特に限定されないが、一例として500MPa以下、または300MPa以下であってもよい。具体的に、前記支持体の機械方向(MD)および横方向(TD)の引張強度は10~500MPa、20~300MPa、または30~300MPaであってもよい。この際、前記引張強度は、例えば、ASTM-D-882-61Tに基づいて測定してもよい。
【0032】
一実施形態に係るガス分離用複合分離膜は、上述した範囲の引張強度を満たす支持体を含むことで、選択層の塗布工程およびモジュール組立工程に適した機械的強度を有することができる。特に、前記支持体は、100μm以下、50μm以下、または25μm以下の厚さで選択層を支持しても、上述した範囲の引張強度を実現することができる。これにより、同一体積の分離膜当たり広い面積の選択層を充填することができるため、同一体積のモジュールにおける分離透過量が著しく増加することができる。
【0033】
一実施形態において、前記多孔性ポリエチレンフィルムは、ポリエチレン系樹脂に気孔形成剤を溶解した後に抽出して製造されてもよい。すなわち、前記多孔性ポリエチレンフィルムは、湿式法で製造されてもよく、これにより、上述した範囲の表面粗さ、表面中位気孔サイズ、および引張強度を有することができるため、工程安定性、選択度、および透過度のいずれも著しく向上した複合分離膜を提供することができる。
【0034】
具体的に、前記多孔性ポリエチレンフィルムは、ポリエチレン系樹脂に気孔形成剤を溶解した混合物を押出および延伸してシート状に製造し、前記シートから気孔形成剤を抽出して製造されるものであり、当業者で周知の通常の湿式法で製造されてもよく、上述した物性を有するフィルムを製造できる限り、特に限定されない。
【0035】
一実施形態において、前記ポリエチレン系樹脂と気孔形成剤の重量比は1:1~1:10であってもよい。上述した範囲の重量比を満たす場合、一実施形態に係る多孔性ポリエチレンフィルムは、上述した溶解、押出、延伸、および抽出工程が効果的に行われることで均一なフィルムを製造することができ、これにより、上述した表面粗さ、表面中位孔径、および機械的強度を実現することができる。
【0036】
一実施形態において、前記ポリエチレン系樹脂は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、および超高分子量ポリエチレンから選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0037】
一実施形態において、前記ポリエチレン系樹脂は、重量平均分子量が50,000g/mol~2,000,000g/mol、具体的には100,000g/mol~1,000,000g/molであってもよいが、これに限定されない。
【0038】
一実施形態において、前記気孔形成剤は、ポリエチレン系樹脂と単相を形成する有機化合物であれは限定なく使用可能であり、例えば、ノナン(nonane)、デカン(decane)、デカリン(decalin)、パラフィンオイル(paraffin oil)、パラフィンワックス(paraffin wax)などの脂肪族(aliphatic)または環状炭化水素(cyclic hydrocarbon)、ジブチルフタレート(dibutyl phthalate)、ジオクチルフタレート(dioctyl phthalate)などのフタル酸エステル(phthalic acid ester)、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などのC10-C20脂肪酸、およびパルミチン酸アルコール、ステアリン酸アルコール、オレイン酸アルコールなどのC10-C20脂肪酸アルコールからなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0039】
一実施形態において、有機溶媒を用いてポリエチレン系樹脂および気孔形成剤を含む混合物またはシートから気孔形成剤を抽出してもよく、この際、前記有機溶媒は、気孔形成剤を抽出できるものであれは特に限定なく使用可能である。具体的に、前記有機溶媒としては、抽出効率が高く、乾燥の速いメチルエチルケトン、塩化メチレン、ヘキサンなどが用いられてもよい。
【0040】
一実施形態において、前記支持体のガス透過度は、ガーレー(Gurley)透気度を意味し、850sec/100cc以下であってもよく、具体的には500sec/100cc以下、400sec/100cc以下、300sec/100cc以下、200sec/100cc以下、または150sec/100cc以下であってもよく、その下限は特に限定されないが、一例として10sec/100cc以上、または50sec/100cc以上であってもよい。例えば、前記支持体のガス透過度は、10~850sec/100cc、10~500sec/100cc、50~400sec/100cc、50~300sec/100cc、50~200sec/100cc、または50~150sec/100ccであってもよい。この際、前記ガス透過度は、ASTM D726規格に準じて測定することができる。
【0041】
前記支持体が上述した範囲のガス透過度を満たすことで、本開示が目的とする工程安定性、選択度、および透過度の向上をさらに効果的に達成することができる。
【0042】
一実施形態において、前記支持体は、1つ以上の層を含んでもよく、各層は、上述した多孔性ポリエチレンフィルムを含んでもよい。
一実施形態において、前記支持体は、厚さが5μm~100μm、5μm~50μm、または5μm~25μmであってもよく、上述した範囲の著しく薄い厚さの支持体を含むにもかかわらず、一実施形態に係る複合分離膜は10MPa以上、具体的には20MPa以上、より具体的には30MPa以上の引張強度を実現することができる。これにより、選択層の塗布工程およびモジュール組立工程における安全性を高めることができるだけでなく、モジュール組立時に分離膜の体積当たり広い面積の選択層を充填することができるため、同一体積のモジュールにおいても分離透過量が著しく増加することができる。
【0043】
一実施形態において、前記選択層は、厚さが10nm~500nm、具体的には10nm~300nm、より具体的には50nm~200nmであってもよいが、特に限定されない。
【0044】
前記選択層は、ガス分離のための選択的な分離能力を有する材料であれは、限定なく使用可能である。ガス混合物から特定のガスを分離する選択層としては、ポリイミド、セルロースアセテート、ポリエチレンオキシド、ポリアミド、ポリジメチルシロキサンなどの高分子系材料、酸化グラフェン、グラフェン、カーボンナノチューブなどの炭素系材料、ゼオライト、アルミノシリケート鉱物、金属有機構造体(metal organic framework)などの無機系材料、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、特に限定されない。
【0045】
一実施形態において、前記ガス分離用複合分離膜は、本開示の目的をより効果的に達成できる点で、中間層(gutter layer)、保護層(protective layer)などをさらに含んでもよい。
【0046】
一実施形態において、前記ガス分離用複合分離膜は、前記選択層と前記支持体との間に配置された中間層をさらに含んでもよい。
一実施形態において、前記中間層は、厚さが10nm~1000nm、具体的には50nm~500nm、より具体的には100nm~500nmであってもよいが、特に限定されない。
【0047】
一実施形態において、前記中間層は、支持体と選択層の2つの層を容易に接合できる材料であれは特に限定されず、シロキサン系高分子またはポリアセチレン系高分子を含んでもよい。前記シロキサン系高分子としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などが挙げられ、前記ポリアセチレン系高分子としては、ポリ[1-(トリメチルシリル)-1-プロピン](poly[1-(trimethylsilyl)-1-propyne]、PTMSP)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)(Poly(4-methyl-1-pentene)、PMP)、およびポリ(tert-ブチルアセチレン)(poly(tert-butylacetylene)、PTBA)などから選択されるいずれか1つ以上が挙げられるが、これに限定されない。
【0048】
一実施形態において、前記ガス分離用複合分離膜は、前記選択層上に配置された保護層をさらに含んでもよい。すなわち、保護層をさらに含む一実施形態に係る複合分離膜は、支持体、選択層、および保護層が順次積層された構造、または支持体、中間層、選択層、および保護層が順次積層された構造を有することができる。
【0049】
一実施形態において、前記保護層は、厚さが10nm~3000nm、具体的には50nm~2000nm、より具体的には100nm~2000nmであってもよいが、特に限定されない。
【0050】
前記保護層としては、ガス透過度を低下させない材料であれは限定なく使用可能であり、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシロキサン系高分子、フッ素系高分子、ポリオレフィン系高分子などを用いてもよい。
【0051】
前記保護層は、ガス透過度および機械的強度に優れる点で、一実施形態に係る支持体に用いられた多孔性ポリエチレンフィルムを含んでもよいが、これに限定されない。
【0052】
一実施形態において、前記複合分離膜は、厚さが150μm以下であってもよく、具体的には100μm以下、70μm以下、50μm以下の厚さを有してもよく、その下限は特に限定されないが、一例として5μm以上、または20μm以上であってもよい。前記複合分離膜は、上述した範囲の著しく薄い厚さを有するとともに、工程安定性、選択度、および透過度のいずれにも著しく優れた物性を有することができる。
【0053】
一実施形態において、前記複合分離膜は、下記式1による選択層の比表面積が6,000m/m以上であってもよく、具体的には10,000m/m以上、より具体的には20,000m/m以上であってもよく、その上限は特に限定されないが、一例として25,000m/m以下、または35,000m/m以下であってもよい。
【0054】
[式1]
選択層の比表面積=選択層の表面積(m)/複合分離膜の体積(m
【0055】
前記複合分離膜が上述した範囲の選択層の比表面積を有することで、モジュール組立時に複合分離膜の体積当たり広い面積の選択層を充填できるという利点がある。すなわち、同一体積のモジュールにおいても、分離透過量が著しく上昇した効果を有するという利点がある。このような利点は、上述したような物性を有する支持体が薄い厚さにおいても高い機械的強度を達成できることに起因する。
【0056】
一実施形態に係るガス分離方法は、上述した一実施形態に係るガス分離用複合分離膜を用いてガス混合物から特定のガスを分離してもよい。
欠陥が発生することなく薄膜の選択層が均一に形成された上述した複合分離膜を用いてターゲットとする特定のガスを分離する場合、著しく高いガス透過度および選択度で特定のガスを分離することができる。
【0057】
一実施形態において、前記特定のガスは、二酸化炭素、水素、ヘリウム、窒素、酸素、およびオレフィンからなる群から選択されるいずれか1つであってもよく、具体的には二酸化炭素であってもよいが、特に限定されない。
【0058】
前記ガス混合物は、特定のガスおよびそれ以外の1種以上のガスを含んでもよい。前記ガス混合物は、二酸化炭素/窒素、二酸化炭素/メタン、二酸化炭素/一酸化炭素、水素/メタン、水素/プロパン、水素/窒素、ヘリウム/二酸化炭素、窒素/メタン、酸素/窒素、およびオレフィン/パラフィンからなる群から選択されるいずれか1つであってもよい。
【0059】
具体的に、前記ガス分離方法は、供給側および透過側を有する複合分離膜を横切って特定のガス含有ガス混合物を通過させる第1ステップと、前記混合物と比較して特定のガスが豊富な透過物を透過側から回収する第2ステップと、を含んでもよく、前記複合分離膜は、上述した複合分離膜に関する事項を適用することができる。
【0060】
以下、具体的な実験例を参照して本開示の実施例について追加的に説明する。実験例に含まれた実施例および比較例は、本開示を例示するものにすぎず、添付の特許請求の範囲を限定するものではなく、本開示の範囲および技術思想の範囲内で実施例の様々な変更および修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0061】
[物性の評価方法]
1.各層の厚さおよび支持体の表面中位孔径(D50)
支持体、中間層、および選択層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察された断面イメージから測定した。
【0062】
支持体の表面中位孔径は、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM、Hitachi社、S-4800)により観察された表面イメージから測定し、気孔サイズ分布図(Pore size distribution)において直径が最も小さい試料から累積分布50%到達時の粒子サイズ(D50)を意味する。試料の気孔サイズ分布図は、後述する方法により得られた。試料を白金スパッタリング(Quorum社、Q150R、20mA/30秒)により前処理した後、3kV/10uAの電子ビームを用いて表面に対するFE-SEMイメージを得た。得られたイメージをイメージ解析ソフトウェア(Image J、NIH)を用いて中位孔径(median pore size)を計算した。Image JのThreshold機能を用いて、イメージの明るさを基準として気孔部分と樹脂部分の白黒(Black & White)色を区分した後、得られた白黒イメージをAnalyze Particles機能で分析し、気孔サイズ分布図を得た。
【0063】
2.支持体の表面粗さ(Surface Roughness)
常温で原子間力顕微鏡(atomic force microscopy、AFM、Bruker社製のDimension Icon AFM)を用いて支持体の算術平均粗さ(Ra)を測定した。具体的に、先端半径が10nm未満であり、スプリング係数が37N/mであるシリコンカンチレバー(TESPA-V2)を用いて、Tapping-modeで3μm×3μmの面積を0.8HzのScan rateおよび1024×1024の解像度で測定してRa値を求めた。同様の方式で、10個の試料のRa値を測定して平均値を算出した。
【0064】
3.支持体のガス透過度(Gurley)
支持体のガス透過度は、ガーレー(Gurley)透気度を測定し、具体的に、Toyoseiki社製のガーレーデンソメータ(Gurley Densometer)を用いて、ASTM D726規格に準じて、100ccの空気が1平方インチ(1 square inch)の面積を通過するのにかかる時間を秒単位で測定した値である。
【0065】
4.支持体の引張強度
支持体の引張強度は、横方向(transverse direction;TD)および機械方向(machine direction;MD)に対し、ASTM-D-882-61Tに基づいて測定した。
【0066】
5.複合分離膜の性能
複合分離膜の性能は、工程安定性、選択層の比表面積、およびガス分離性能(透過度、選択度)により評価された。
【0067】
先ず、工程安定性は、支持体上に選択層形成用溶液を塗布する連続塗布工程で加えられる張力を支持体が耐えられる機械的強度条件を満たすか否かにより評価された。通常、1,000mmの幅と10μmの厚さを有するフィルム上に連続工程で塗布する場合、100N以上の張力が加わることができ、それを面積基準に換算すると、少なくとも10MPa以上の引張強度が求められる。具体的に、支持体のMDおよびTD方向の引張強度値のいずれも30MPa以上である場合は「○」、MDおよびTD方向の引張強度値のいずれか1つでも10以上30MPa未満である場合は「△」で示した。ただし、MDおよびTD方向の引張強度値のいずれか1つでも10MPa未満である場合は「×」で示した。
次に、選択層の比表面積は、下記式1により計算された。
【0068】
[式1]
選択層の比表面積=選択層の表面積(m)/複合分離膜の体積(m
【0069】
最後に、実施例および比較例により製造された分離膜のガス分離性能は、透過度および選択度により評価された。透過度は、分離膜を透過した各ガスの流量(Flux)を分離膜面積と圧力差で割って計算された値であり、単位は、GPU(gas permeation units)であり、1GPU=10-6cm(STP)/(cm s cm Hg)である。選択度は、分離膜を介して得ようとする特定のガスの透過度と、排除しようとするガスの透過度との比である。具体的に、透過度は、純度99.995%以上の単一ガス(二酸化炭素または窒素)を圧力差1bar、温度30℃、膜面積14.52cmの条件で測定し、分離膜を透過した各ガスの流量は、石鹸膜流量計(Horiba社、VP-3)を用いて測定した。選択度は、二酸化炭素の透過度と窒素の透過度との比で計算した。
【0070】
<実施例1>
支持体として表1に示した特性の多孔性ポリエチレンフィルムを湿式法で製造して準備した。2重量%のPEBAX(登録商標) MH 1657(Arkema社)を98重量%のエタノール水溶液(エタノール70重量%および蒸留水30重量%)と混合し、80℃で2時間撹拌して選択層形成用溶液を準備した。9重量%のSylgard 184-A(主剤、Dow Corning社)および1重量%の184-B(硬化剤)を90重量%のn-ヘキサン(n-Hexane)と混合し、常温で30分間撹拌して中間層形成用溶液を準備した。
【0071】
前記多孔性ポリエチレンフィルム上に前記中間層形成用溶液をRDS社製のメイヤーバー(mayerbar)で40mm/secの速度条件のバーコーティング方式でコーティングし、60℃のオーブンで10分間乾燥し、厚さ300nmの中間層が形成された多孔性ポリエチレンフィルムを製造した。次に、前記中間層上に前記選択層形成用溶液をRDS社製のメイヤーバーで40mm/secの速度条件のバーコーティング方式でコーティングし、60℃のオーブンで1時間乾燥し、中間層上に厚さ150nmの選択層が形成された複合分離膜を製造した。製造された複合分離膜の性能を下記表2に示した。
【0072】
<比較例1~比較例4>
実施例1で用いられた多孔性ポリエチレンフィルムの代わりに、表1に示した他の特性の多孔性ポリエチレンフィルムを湿式法で製造して準備したことを除いては実施例1と同様に行い、前記支持体上に厚さ300nmの中間層と厚さ150nmの選択層が形成された複合分離膜を製造した。製造された分離膜の性能を下記表2に示した。
【0073】
<比較例5>
実施例1で用いられた多孔性ポリエチレンフィルムの代わりに、表1に示した特性のポリプロピレン多孔膜を乾式法で製造して準備したことを除いては実施例1と同様に行い、前記支持体上に厚さ300nmの中間層と厚さ150nmの選択層が形成された複合分離膜を製造した。製造された分離膜の性能を下記表2に示した。
【0074】
<比較例6>
実施例1で用いられた多孔性ポリエチレンフィルムの代わりに、表1に示した特性の多孔性ポリエチレンフィルムを湿式法で製造して準備したことを除いては実施例1と同様に行い、前記支持体上に厚さ500nmの中間層と厚さ750nmの選択層が形成された複合分離膜を製造した。製造された分離膜の性能を下記表2に示した。
【0075】
<比較例7>
実施例1で用いられた多孔性ポリエチレンフィルムの代わりに、表1に示した特性のポリエステル不織布を用いたことを除いては実施例1と同様に行い、前記支持体上に厚さ300nmの中間層と厚さ150nmの選択層が形成された複合分離膜を製造した。製造された分離膜の性能を下記表2に示した。
【0076】
<比較例8>
実施例1で用いられた多孔性ポリエチレンフィルムの代わりに、表1に示した特性のポリエチレン不織布を用いたことを除いては実施例1と同様に行い、前記支持体上に厚さ300nmの中間層と厚さ150nmの選択層が形成された複合分離膜を製造した。製造された分離膜の性能を下記表2に示した。
【0077】
<比較例9>
実施例1で用いられた多孔性ポリエチレンフィルムの代わりに、表1に示した特性のポリエチレン多孔膜を乾式法で製造して準備したことを除いては実施例1と同様に行い、前記支持体上に厚さ300nmの中間層と厚さ150nmの選択層が形成された複合分離膜を製造した。製造された分離膜の性能を下記表2に示した。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1および表2を参照すると、実施例1の複合分離膜は、表1に示した物性を有することで、透過度および選択度がそれぞれ250GPU以上および20以上と著しく優れることを確認することができる。これは、実施例1の選択層の表面に対するSEMイメージを示した図2から分かるように、150nmの薄膜である選択層の表面にピンホールなどの欠陥が全く発生しなかったためである。
【0081】
これに対し、支持体の表面中位孔径が300nmを超えるかまたは表面粗さが100nmを超える比較例で製造された複合分離膜は、選択度が著しく低く、分離機能を適切に行うことができないことが分かる。これは、図3および図4に示すようにピンホールが発生し、これにより、著しく低下した選択度を示した。欠陥の発生を防止するために中間層および選択層をそれぞれ500nmおよび750nmの厚さに形成した比較例6の複合分離膜は、選択度が維持されても、厚さの増加により透過度の著しい低下が発生した。
【0082】
一方、比較例5の複合分離膜は、支持体の粗さおよび中位平均気孔サイズが実施例1と類似しているにもかかわらず、著しく低下した選択度を示した。これは、MDおよびTD方向の引張強度が10MPa未満であるため、30MPa以上である実施例とは異なり、ガス透過時に発生する圧力により複合分離膜全体に欠陥が発生したためである。
【0083】
これに加え、実施例1で用いられた支持体は、引張強度が30MPa以上を満たすことで、選択層の塗布工程およびモジュール組立工程で分離膜に加えられる高い張力(Tension)に耐えることができるため、工程安定性に優れることが分かる。また、10μmの著しく薄い厚さを有するとともに著しく高い引張強度を有しており、モジュール組立時に分離膜の体積当たり広い面積の選択層(18,000m/m)を充填することができるため、同一体積のモジュールにおいても分離透過量が著しく上昇した効果を有する。
【0084】
これにより、一実施形態に係るガス分離用複合分離膜は、機械的強度に優れるとともに特定の表面特性を有する薄膜の支持体を含むことで、欠陥が発生することなく薄膜の選択層が均一に形成され、選択度および透過度が著しく向上し、工程安定性および選択層の充填密度が向上することが分かる。
以上で説明した内容は単に本開示の原理を適用した例示にすぎず、本開示の範囲を逸脱しない範囲内で他の構成がさらに含まれてもよい。
図1
図2
図3
図4