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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079630
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】多目的スペーサ
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240604BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H05K9/00 U
H05K7/20 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023200878
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】63/429,139
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522447255
【氏名又は名称】ペーエムカー メス- ウント コムニカーティオンステヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.メンデ
(72)【発明者】
【氏名】マルク ハイマン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ブーマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エンゲルス
(72)【発明者】
【氏名】ベンノ ヤーコプス
【テーマコード(参考)】
5E321
5E322
【Fターム(参考)】
5E321AA05
5E321AA17
5E321CC12
5E321GG01
5E321GG05
5E321GH03
5E322AB01
5E322AB08
5E322AB09
5E322AB10
5E322CA06
5E322DC01
5E322EA02
5E322EA11
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】多目的スペーサを改良する。
【解決手段】アース線と内側電気接続部と外側電気接続部とを有するスペーサ本体を有する多目的スペーサ。多目的スペーサは、接地、固定、及び低熱伝導性の利点を提供する。多目的スペーサは、高周波電子機器試験装置内のアセンブリ内に取り付けられかつ接続される。多目的スペーサによって、エラー信号変調帯域幅を実質的に低減しかつ高周波性能を向上させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペーサにおいて、
前記スペーサは、
温度制御室と接触するための内面を備えたスペーサ本体と、
ハウジングと接触するための外面とを備え、
前記スペーサ本体は、前記内面に設けられた内側電気接続部と、前記外面の外側電気接続部と、前記内側電気接続部と前記外側電気接続部とを電気的に接続させるアース線とを備える、スペーサ。
【請求項2】
前記スペーサは、前記内側電気接続部と前記外側電気接続部との間に電気的に接続される共振軽減装置をさらに備える、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記共振軽減装置は抵抗器である、請求項2に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記スペーサは、近位アース線と、近位内側電気接続部と、近位外側電気接続部と、遠位アース線と、遠位内側電気接続部と、遠位外側電気接続とをさらに備える、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項5】
前記スペーサ本体は円弧形状を有する、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項6】
前記スペーサ本体はPCB材料を備え、前記アース線はPCBトレースを備える、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項7】
前記スペーサ本体は、0.5mmの厚さを有する、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項8】
前記アース線はアースリード線を備える、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項9】
前記アース線は蛇行部を備え、前記蛇行部において、前記アースリード線は狭い蛇行型のパターンで配置されている、請求項8に記載のスペーサ。
【請求項10】
請求項1に記載のスペーサと、ハウジングと、温度制御室と、温度制御装置とを備えるアセンブリ。
【請求項11】
前記温度制御装置は、熱電冷却器スタックと温度センサと信号入力部と信号出力部とを備える、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記アセンブリは、前記温度制御装置と前記温度制御室との間に柔軟な熱パッドをさらに備える、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記スペーサの外側部分を受け入れるためのスリットを備える、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記スペーサが前記温度制御室に半田付け接合されている、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記スペーサが前記温度制御室を押し下げ、前記温度制御装置と前記温度制御室との間で前記柔軟な熱パッドを圧縮することによって、前記温度制御室を前記温度制御装置上に固定するように、前記スペーサが構成されている、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項16】
請求項10に記載のアセンブリを動作させる方法において、
前記方法は、
温度制御装置をハウジングに取り付けるステップと、
温度制御室と温度制御装置の間に柔軟な熱パッドを配置するステップと、
前記温度制御室を前記柔軟な熱パッドの頂部上に配置するステップと、
前記温度制御室を前記スペーサの内側電気接続部に電気的に接続させるステップと、
前記ハウジングが前記スペーサの外側電気接続部に接触するように前記ハウジングを組み立てるステップと、
エラー信号の低減と高周波性能の向上を観測するステップとを備える、方法。
【請求項17】
前記温度制御室を前記柔軟な熱パッドの頂部上に配置するステップは、
前記温度制御室の内部に電気光送信器を取り付けるステップと、
前記電気光送信器を、信号出力部として、入力信号接続部及び光ファイバケーブルに接続させるステップとをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年11月30日付出願の「耐熱性スペーサ」という題名の米国仮出願第63/429,139号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、高感度かつ特殊化された電子機器試験装置において使用するための多目的スペーサに関する。多目的スペーサは、接地、固定及び低熱伝導性の利点を提供する。
【背景技術】
【0003】
プローブを用いた高周波電気信号の測定における一般的な課題は、長距離にわたってあるいは困難な環境を通して、高品質の信号伝送を達成することである。信号伝送の一つの方法として、電気信号を光信号に変換し、光ファイバケーブルで伝送する方法がある。
【0004】
アナログ電気入力信号の光出力信号への変換は、環境に対して高感度であり得る。温度又は電場及び機械的応力の変化によって、信号品質及び測定の再現性に影響を与える可能性がある。信号変換が過渡環境で行われる場合、光信号伝送の利点が、導入された信号変換エラーによって過補償され得る。
【0005】
より具体的には、電気光送信器(「ETO送信器」)は、高周波のアナログ電気信号をアナログ光出力信号に変換するためにしばしば使用されている。多くのETO送信器は、信号変換のためのレーザパッケージを備える。測定された電気信号は、レーザダイオードに供給され、信号を伝送するレーザ出力を変調する。このレーザ出力は、光ファイバに結合される。光ファイバは、測定されたアナログ信号の光学的表現を送信する。光信号は内部監視フォトダイオードで測定され、これにより、フィードバック制御回路が可能になる。
【0006】
この処理にはいくつかの課題がある。ETO送信器の信号伝送帯域は限られている。理想的な用途では、出力信号の伝送に全帯域を利用できる。しかしながら、実際の用途では、環境の影響により、ETO送信器において電気的な変動、光学的な変動又は構造的な変動が生じ、出力信号に導入される、エラー信号成分又はエラー信号が発生しうる。
【0007】
既知の誤差原因の1つは、ETO送信器の熱膨張又は熱収縮である。ETO送信器に作用する任意の温度変化は、レーザダイオード、レーザダイオード間の光結合、内部フォトダイオード又は出力ファイバからの出力の変化を生じさせ、その結果、対応するエラー信号を生じさせ得る。別の既知の誤差原因は、外側金属ハウジングを囲む温度制御室間に形成される無給伝送線に由来する。この終端されていない伝送線により、信号を歪ませる共振を引き起こす。
【0008】
従来、エラー信号は、フィルタ、パルスコード変調、微分位相シフトキーイング、振幅シフトキーイング、周波数シフトキーイング、位相シフトキーイング、直交振幅変調、及び波長分割多重化などの、広く使用されている様々な信号変調又は補正技術によって除去される。いくつかの信号変調技術は、高い帯域幅消費を有し、これは、出力信号伝送に利用可能なより少ない帯域幅を意味する。他の変調技法は、非常に少ない帯域幅しか必要としない利点を有するが、出力信号品質が悪くなるという犠牲がある。エラー変調信号技術は、多くの場合、信号歪みを緩和するための複数の変調技術又は装置を必要とするため、コスト的に法外であり、非効率的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ETO送信器を実質的に一定の温度に維持し、エラー信号を低減又は排除し、信号補正の必要性を低減又は排除し、出力信号送信に利用可能な帯域幅を増し、同時に温度制御室をハウジングに接地させる、装置及びアセンブリが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
温度制御室をハウジングに電気的に接地させるのに適した、又は、温度制御室と金属ハウジングとの間に形成された無給伝送線を終端又は調整するのに適した絶縁スペーサが提供される。
【0011】
一実施形態では、多目的スペーサは、アース線と、内側電気接続部と、外側電気接続部とが設けられたスペーサ本体を備える。アース線は、内側電気接続部及び外側電気接続部に電気的に接続される。
【0012】
一実施形態では、多目的スペーサは、PCB上のトレースとして、又は、アースリード線として、あるいは、アース線が狭い蛇行型のパターンで配置されてアース線の熱抵抗を増大させる蛇行部として作られた、1つ又は複数のアース線内に少なくとも1つの共振軽減装置を有する。
【0013】
本願明細書によるスペーサと、ハウジングと、温度制御室と、温度制御装置とを有するアセンブリを提供しうる。スペーサは、温度制御室を押し下げ、TECスタックと温度制御室との間の柔軟な熱パッドの圧縮によって、温度制御室をTECスタック上に固定する。
【0014】
スペーサを実装するステップは、温度制御装置をハウジングに取り付けるステップと、温度制御装置の頂部上に温度制御室を配置するステップと、温度制御室をスペーサの近位側電気接続部に電気的に接続させるステップと、ハウジングがスペーサの近位側電気接続部に接触するようにハウジングを組み立てるステップと、エラー信号の低減と高周波性能の向上を観察するステップとを有する。
【0015】
添付図面は、本開示のいくつかの実施形態を示す。明細書と合わせて、図面は、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A図1Aは、例示的スペーサの正面図を示す。
図1B図1Bは、例示的スペーサの背面図を示す。
図1C図1Cは、例示的スペーサの正面図を示す。
図1D図1Dは、例示的スペーサの背面図を示す。
図1E図1Eは、例示的スペーサの正面図を示す。
図1F図1Fは、例示的スペーサの正面図を示す。
図1G図1Gは、例示的スペーサの正面図を示す。
図2A図2Aは、例示的なアセンブリの正面断面図を示す。
図2B図2Bは、例示的なアセンブリの正面断面図を示す。
図2C図2Cは、例示的なアセンブリの正面断面図を示す。
図3図3は、上側ハウジング半体が取り外された構成である、アセンブリの抜粋の左側背面斜視図を示す。
図4図4は、上側ハウジング半体が取り外された構成であるアセンブリの左前側斜視図を示す。
図5図5は、アセンブリを操作するための例示的な方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、一般に、アース線を備える多目的スペーサであって、温度制御室をハウジングに電気的に接地させるのに適した、又は、温度制御室と金属ハウジングとの間に形成される無給伝送線を終端又は調整するのに適した、多目的スペーサを提供する。上記多目的スペーサは、アース線と内側電気接続部と外側電気接続部が設けられたスペーサ本体を備えうる。アース線は、内側電気接続部と外側電気接続部を電気的に接続させるように構成することができる。温度制御室と金属ハウジングとの間に形成される無給伝送線を適切に終端又は調整するために、1つ以上の接続点を実装しうる。
【0018】
「接地(grounding)」という用語は、温度制御室を、抵抗器にわたるアース線を介してハウジングに電気的に接続させることを意味する。次いで、ハウジングは、基準として又は基準電位面として作用する。温度制御室とハウジングとの間の低インピーダンス経路が確立される。
【0019】
「終端(terminating)」という用語は、温度制御室と金属ハウジングとの間に形成される無給伝送線の終端又は調整を意味する。
【0020】
温度制御室を接地させるために多目的スペーサを設けることによって、高周波電気信号の周波数特性が向上する。信号品質が向上し、エラー信号が低減される。エラー信号の補正の必要性は減少し、全帯域幅の内のより高い部分が出力信号伝送に利用可能である。出力信号は、測定された電気入力信号を表す光出力信号を指す。
【0021】
スペーサは、多目的の役割を有しうる。スペーサは、アース線と内側電気接続部と外側電気接続部のためのキャリア構造としうる。また、スペーサは、本開示によるアセンブリに組み立てられたときに、温度制御室の支持を提供しうる。スペーサは、さらに、温度制御室とハウジングとの間に高熱抵抗を提供することができる。
【0022】
アース線を構造的に一体化することにより、本質的に、温度制御室とハウジングとの間に電気的接続及び終端を形成し、また、副作用として、低熱抵抗ブリッジを形成する。このような熱ブリッジにより、温度制御室の、ETO送信器を均一な温度に維持するための能力を低下させる可能性がある。これにより、温度変化の場合にエラー信号が増加し、TECの消費電力が増加する可能性がある。多目的スペーサの影響を最小限に抑えるために、スペーサは薄いPCB材料から作ることができる。アース線上の熱損失を避けるために、アーク上のトレースは可能な限り狭く実現することができる。さらに、各トレースの長さは、蛇行させることによって増すことができる。
【0023】
追加されたアース線の利点は、電気光送信器を均一な温度に維持するための室の能力に与える影響を無視できる程度で抑えることができることである。これにより、信号品質の向上とエラー信号の低減につながる。エラー信号変調の必要性の低減が達成され、全帯域幅のより大きな部分が出力信号伝送に使用され得る。
【0024】
アース線内に配置された、共振軽減装置、例えば、抵抗器は、温度制御室と金属ハウジングとの間に形成された無給電伝送線を適切に終端又は調整させることによって、高周波数においてアース線によって引き起こされる共振をより少なくすることができる。
【0025】
アース線は、任意の導体と同様に、ある程度のインピーダンスを有する。アースインピーダンスにより、温度制御室とハウジングの間にある程度の電圧が発生し、アース障害又は共振が発生する可能性がある。共振軽減装置によって、このような共振を回避又は少なくとも低減することができる。
【0026】
このような共鳴がなければ、出力信号品質を向上させることができ、エラー信号が低減する。従って、エラー信号変調の必要性を減らすことができ、全帯域幅のより大きな部分を出力信号伝送に使用することができる。
【0027】
以下の記載では、本開示の例及び方法の詳細な説明を行う。好ましい例及び代替例の両方の説明は、単に例示的なものであり、変形例、修正、及び、変更が明らかであり得ることを当業者には理解されよう。したがって、実施例は、請求項によって定義される基礎をなす本開示の態様の広さを限定しないことを理解されたい。
【0028】
図1を参照すると、例示的なスペーサの正面図が示されている。スペーサ1は、近位端2と遠位端3と正面22を有する、スペーサ本体20を備えうる。図示において、「近位(proximal)」は、右側端を指し、「遠位(distal)」は、スペーサ1の左側端を指している。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、スペーサ本体20は、例えば、プリント回路基板、(「PCB」)材料を備えうる。PCB材料は、単層、二重層又は多層のボードとしうる。スペーサ本体は、約0.1mm~約1mmの範囲の厚さを有するPCB材料を備えうる。好ましい実施形態は、スペーサ本体は、0.5mm、0.4mm、0.3mm又は0.2mmの厚さを有する。スペーサ本体20は、近位アース線4及び遠位アース線5を備えうる。この例示的な実施形態によれば、スペーサ1は、その近位端及び遠位端上でハウジングに電気的に接地することができる。近位アース線4及び遠位アース線5は、スペーサ本体20に印刷されたワイヤ、トレース又はリードの形状で設けることができ、プリント回路基板構成を備えうる。近位アース線4及び遠位アース線5は、スペーサのそれぞれの近位側及び遠位側に実質的に対称に設けられうる。図1に示された例示的な実施形態によれば、近位アース線4及び遠位アース線5は、機械的な制約又は空間的な制約を考慮するために、わずかに非対称的に設けられうる。
【0030】
スペーサ1は、その近位端2上で、隣接するハウジングに取り付けられるように構成され得る近位外側電気接続部6を備え得る。同様に、スペーサ1は、その遠位端3上で遠位外側電気接続部7を備えうる。これら外側電気接続部6、7は、コネクタとスペーサとの間の最小全接触面を達成しつつ電気接続部を提供するように構成されうる。理想的には、スペーサの接触面は、スペーサの外側端上のその上面及び底面にある。
【0031】
これを達成するために、近位外側電気接続部6及び遠位外側電気接続部7は、ハウジングのスリット内に挿入されるよう構成されうる。近位アース線4は、スペーサの近位端2及び平坦な底縁21において電気接触を提供するように構成されうる。また、遠位アース線5は、スペーサ1の遠位端3及び平坦な底縁21において電気接触を提供するように構成されうる。この構成によって、ハウジングへの接触が可能となる。
【0032】
スペーサ1は、上側近位接触面18と、下側近位接触面19と、上側遠位接触面28と、下側遠位接触面29とを備え得る。これらの接触面は、スペーサ1がハウジング内で組み立てられたときに予め定めた位置に保持され得る唯一の接触面であるように構成することができる。この構成により、最小限の接触面をハウジングに露出させつつスペーサ1を予め定めた位置に保持することができ、これにより、ハウジングとスペーサ1との間の伝導熱輸送を最小限に抑えることができる。近位外側電気接点6及び遠位外側電気接点7は、電気接点が下側近位接触面19及び下側遠位接触面29にそれぞれ設けられるように設計されている。
【0033】
この構成により、いくつかの利点が達成される。第一に、温度制御室31の電気的接地が可能である。第二に、スペーサを垂直クランプ力によって予め定めた位置に保持することが可能であり、熱膨張補償のための側方の間隙の提供が可能となる。第三に、ハウジングとスペーサの間の伝導熱輸送のための断面は最小である。
【0034】
スペーサ1の本体20は、例えば樹脂製の薄板とすることができ、平坦な底縁21及び円弧状の上縁9を備えうる。円弧状の上縁9は、薄い左右のハンドル状構造を形成するように側方にテーパを付けた遷移部を有しうる。図1に提供された図示によれば、右側の構造は近位端2を構成し、左側の構造は遠位端3を構成する。スペーサ本体20は、その底縁21に沿って、内向き縁8である半円の形状の切欠と、近位底縁凹部24と、遠位底縁凹部25とを有しうる。内向き縁9は、図2に示すように温度制御装置のためのアバットメント(abutment)を提供するように構成されており、内向き縁凹部26を備えうる。
近位底縁凹部24、遠位底縁凹部25及び内向き縁凹部26は、ワイヤ又はセンサの案内開口として使用することができる。例えば、これらの凹部は、温度センサに接続されたワイヤを通して導くために使用されうる。
【0035】
近位アース線4は、スペーサ1の近位端2を内向き縁8と電気的に接続させることができる。同様に、遠位アース線5は、スペーサ1の遠位端3を内向き縁8と電気的に接続しうる。スペーサ1は、近位アース線4を、内向き縁8に取り付けられる温度制御装置に接続させるのに適した、近位内側電気接続部10を内向き縁8に沿って備えうる。スペーサ1は、遠位アース線5を、内向き縁8に取り付けられる温度制御装置に接続させるのに適した、遠位内側電気接続部11をさらに備えうる。内向き縁8に沿った近位側において、スペーサ1の電気的接続が、近位縁金属接点12に沿って達成され得る。内向き縁8に沿った遠位側において、スペーサ1の電気的接続は、遠位縁金属接点13に沿って達成され得る。
【0036】
近位内側電気接続部10及び遠位内側電気接続部11は、実質的に腎臓の形状の形態を有することができ、それらの内向きの近位縁金属接点12及び遠位縁金属接点13は、スペーサ1の内向き縁8の形状に追従しうる。
【0037】
近位アース線4は、近位外側電気接続部6と近位内側電気接続部10との間の電気的通信状態に配置された近位共振軽減装置16を備えうる。同様に、遠位アース線5は、遠位外側電気接続部7と遠位内側電気接続部11との間の電気的通信状態に配置された遠位共振軽減装置17を備えうる。近位共振軽減装置16及び遠位共振軽減装置17は、高周波数誘起共振を緩和するように構成されうる。例えば、共振軽減装置16及び17は抵抗器としうる。
【0038】
近位アース線4は、さらに、近位アース線4がそれに沿ってスペーサ本体20上に蛇行形状のパターン又は垂直もしくは水平の織り線もしくは同心線などの細い蛇行型の構成で配置された、近位蛇行部14を備えうる。近位蛇行部14は、近位外側電気接続部6と近位共振軽減装置16との間に設けられうる。同様に、遠位アース線5は、遠位アース線5がそれに沿って蛇行形状のパターンでスペーサ本体20上に配置される、遠位蛇行部15を備えうる。遠位蛇行部15は、遠位外側電気接続部7と遠位共振軽減装置17との間に設けられうる。蛇行部があると、アース線の長さを長くすることができる。これは、近位側電気接続部から近位内側電気接続部への熱伝達、又は、近位内側電気接続部から近位側電気接続部への熱伝達を、近位アース線4を介して減少させるという利点を有する。遠位アース線5及び遠位蛇行部15についても同様である。アース線4、5及びスペーサ1自体を介した熱輸送が低いほど、温度制御室とハウジングとの間の熱抵抗は高くなる。この熱抵抗が高いほど、温度制御室上の温度分布がより均一で一定になり、エラー信号がより少なくなる。エラー信号がより少ないと、エラー信号変調のための帯域幅割当ての必要がより少なくなり、出力信号伝送のためにより多くの帯域幅を利用可能なままになる。
【0039】
例示的な実施形態では、スペーサはアース線を備えうる。スペーサは、2つのアース線を備えることができ、それぞれは、近位側電気接続部及び遠位側電気接続部を備える。近位側電気接続部は、温度制御室に電気的に接続可能としうる。遠位側電気接続部は、ハウジング内で電気的に接続可能である。
【0040】
各アース線は、さらに、例えば抵抗器などの共振軽減装置を備えうる。2つのアース線は、スペーサの両側に実質的に対称に設けられうる。また、2つのアース線は、機械的な制約のために、わずかに非対称に提供されうる。各アース線は、近位側電気接続部から共振軽減装置を介して近位側電気接続部に延びる電気経路を有する。アース線は、電気経路を確立するアースリード線を備えうる。したがって、スペーサは、両側のハウジングに接地される。
【0041】
次に図1Bを参照すると、例示的なスペーサの背面図が示されている。また、スペーサ1のスペーサ本体20は、滑らかな裏面23を有しうる。全ての接地構成要素は、反対側に設けることができる。あるいは、いくつかの追加の又は冗長な接地構成要素を裏面23に設けることもできる。
【0042】
次に図1Cを参照すると、例示的なスペーサの正面図が示されている。この実施形態によれば、スペーサ1は、スペーサ1をハウジングに対して接地させるための近位構成要素のみを備えうる。したがって、スペーサ1の内向き縁8に取り付けられた温度制御装置は、近位アース線4及びその電気構成要素を介してのみハウジングに接地させることができる。代替の実施形態において、スペーサ1は、遠位接地構成要素のみを備えうる。本実施形態に係るスペーサの背面図は、図1Bに示す背面図と同一としうる。
【0043】
次に図1Dを参照すると、例示的なスペーサの正面図が示されている。この実施形態によれば、スペーサ1は、スペーサ1をハウジングに対して接地させるための近位接地構成要素のみを備えうる。本実施形態のスペーサ1は、共振軽減装置を備えない場合がある。代替の実施形態では、スペーサ1は、同様の構成を有するが、近位側ではなく、遠位側としうる。本実施形態に係るスペーサの背面図は、図1Bに示す背面図と同一としうる。
【0044】
次に図1Eを参照すると、例示的なスペーサの正面図が示されている。この実施形態によれば、スペーサ1は、スペーサ1をハウジングに対して接地させるための近位接地構成要素のみを備えうる。この実施形態の近位内側電気接続部10は、スペーサ本体20の内側電気縁8に延びている近位アース線4によって設けられうる。代替の実施形態では、スペーサ1は、同様の構成を有するが、近位側ではなく、遠位側としうる。本実施形態に係るスペーサの背面図は、図1Bに示す背面図と同一としうる。
【0045】
次に、図1Fを参照すると、例示的スペーサの正面図が示される。この実施形態によれば、スペーサ1は、スペーサ1をハウジングに対して接地させるための近位接地構成要素のみを備えうる。近位アース線4は、蛇行部を備えない場合がある。代替の実施形態では、スペーサ1は、同様の構成を有するが、近位側ではなく遠位側としうる。本実施形態に係るスペーサの背面図は、図1Bに示す背面図と同一としうる。
【0046】
次に、図1Gを参照すると、例示的スペーサの正面図が示される。この実施形態によれば、スペーサ1は、スペーサ1をハウジングに対して接地させるための近位接地構成要素のみを備えうる。アース線4は、いかなる追加の構成要素を備えない場合がある。その代わりに、それは、内向き縁8をスペーサの近位端2に直接的に電気的に接続させることができる。代替実施形態では、スペーサ1は、遠位側に鏡像化された同様の構成を有しうる。本実施形態に係るスペーサの背面図は、図1Bに示す背面図と同一としうる。
【0047】
次に図2Aを参照すると、例示的なアセンブリの正面断面図が示されている。アセンブリ30は、スペーサ1と、温度制御室31と、温度制御装置32と、上側ハウジング半体34と下側ハウジング半体35を備える、ハウジング33とを備える。温度制御装置32は、熱電冷却器(「TEC」)としうる。温度制御装置32は、底板41と温度制御装置32と柔軟な熱パッド40とスタックスペーサ42とを備えるスタック構成で提供されうる。図2Aに示す実施形態では、底板41は下側ハウジング半体35の内側に接続され、スタックスペーサ42は温度制御室31に接続されている。柔軟な熱パッド40は、温度制御装置32とスタックスペーサ42との間に設けられている。スタックスペーサ42は、高い熱伝導率の材料を備えうるか又はから成りうる。この実施形態によれば、スタックは、下から上へ、底板41と、温度制御装置32と、柔軟な熱パッド40と、スタックスペーサ42とを備えている。
【0048】
温度制御室31は、円筒管の形状を有しうる。好ましい実施形態では、温度制御室31は、柔軟な熱パッド40上の温度制御装置に熱的に接続させるために、平坦な延長部を備えた円筒管の形状を有しうる。
【0049】
スペーサ1は、図1Aに開示された実施形態に従って示されているが、開示されたスペーサのいずれとしうる。温度制御室31は、その内側に電気光送信器36を収容することができる。電気光送信器36は、光ファイバケーブル38を備える光出力部37を備えることができ、それを通って、変換された光信号が、電気光送信器36から、最終的にはハウジング33から導出されることができる。
【0050】
ハウジング33は、アース線4、5をハウジングの内面27に接続させるのに適した導電性ハウジングとしうる。例えば、ハウジング33は、その内面27にニッケルメッキを有するアルミニウム製の本体を備えうる。温度制御装置32の頂部は、熱電冷却器の加熱の端部、冷却の端部、又は、加熱及び冷却の端部としうる。温度制御室31は、その内側に電気光送信器36を備えうる。温度制御室31をスペーサ1の内側電気接続部10、11に電気的に接続させることは、半田付け接合によって達成されうる。
【0051】
温度制御室31は、温度制御室36が本質的にハウジング33の中央に当接しかつ絶縁容積部39によって囲まれるように、温度制御装置32によって、また、スペーサ1によって支持されうる。絶縁容積部39は、空気とすることができ、又は、熱的及び電気的絶縁材料を備えない場合がある。代替的に、絶縁容積部39は、空気とすることができ、又は、熱的又は電気的絶縁材料を備えうる。
【0052】
敏感な信号変換は、温度制御室31内の電気光信号送信器36内で行われる。広範囲のアセンブリ動作条件の全体にわたって繰り返し可能な高品質の光出力信号を実現するために、電気光出力送信器36を定常状態に保たなければならない。
【0053】
動作中、アセンブリ30は、様々な定常状態及び過渡的エネルギ束、例えば、外部熱流束及び電磁場又は電流に曝されうる。本開示によるアセンブリでは、電気光送信器36は、上記エネルギ束から効率的に遮蔽することができる。
【0054】
熱流束に関し、アセンブリ30は、能動的な断熱技術及び受動的な断熱技術を備える。「能動的な断熱(Active heat insulation)」は温度制御装置32によって提供される。電気光送信器36内の温度変化は、温度制御装置32の適切な制御によって測定されかつ対抗されうる。「受動的な絶縁(Passive heat insulation)」は、温度制御室31全体を絶縁容積部39内に懸架することによって提供される。これにより、伝導熱輸送を最小限に抑える。ほとんど問題はないが、放射熱輸送現象も、絶縁容積部39の内側に本質的に同心円状に温度制御室32を懸架することによって緩和される。
【0055】
温度制御室31は、それを介して伝導熱流束が温度制御室31に到達することができる、「熱ブリッジ(heat bridge)」を構成する4つの接続部、すなわち、a)温度制御装置32、b)スペーサ1、c)入力接続部、d)光ファイバケーブルなどの出力接続部のみを有することができる。これらの4つの接続部は、温度制御装置31を動作しかつ予め定めた位置に保持するために不可欠である。
【0056】
温度制御装置32を介する伝導熱輸送は、温度制御装置32がそれ自体温度制御されるので無視できる。スペーサ1を介した伝導熱輸送は、スペーサ1がハウジング33に取り付けられる最小限の接触面によって最小限に抑えられる。図示の実施形態では、スペーサ1は、その近位端2を下側ハウジング半体35の近位スリット43内に挿入しかつその遠位端3を下側ハウジング半体35の遠位スリット44内に挿入することによって、ハウジング33に取り付けることができる。近位スリット43は、アセンブリ30が組み立てられた構成になっているときに、近位スリット43の内側でスペーサ1の近位端2と下側ハウジング半体35の隣接壁27との間で近位側方間隙45が設けられるように構成することができる。同様に、遠位スリット44は、アセンブリ30が組み立てられた構成になっているときに、遠位スリット44の内側でスペーサ1の遠位端3と下側ハウジング半体35の隣接壁27との間に遠位側方間隙46が設けられるように構成されうる。近位側方間隙45及び遠位側方間隙46は、ハウジング33の熱膨張に対する補償容積部を提供する。結果として、ハウジング33の熱誘起熱膨張は、温度制御室31に機械的力を与えない。これにより、変形や変位による信号変換の変化を防ぐことができる。
【0057】
スペーサ1は、スペーサ1の近位端2を近位スリット43内に挿入し、スペーサ1の遠位端3を遠位スリット44内に挿入し、例えば近位ハウジングねじ47及び遠位ハウジングねじ48を締め付けることによって、上側ハウジング半体34を下側ハウジング半体35に取り付けることによって、予め定めた位置に保持されうる。ハウジングねじ47、48は概略的に図示されており、ハウジング33の外周に設けられている。しかし、これらのねじは、複数のハウジング半体を取り付けるのに適している場合には、ハウジングの任意の他の位置に設けることができる。
【0058】
組み立てられた状態では、2つのハウジング半体34、35によって、スペーサ1をスリット43、44内に固定する。スペーサ本体20は、温度制御室31を押し下げ、温度制御室31を、温度制御装置32、柔軟な熱パッド40、底板41及びスタックスペーサ42のスタックに固定する。温度制御室31がハウジング33内でスペーサ1と温度制御装置32との間に確実に入れ子状になるように、柔軟な熱パッド40の規定された圧縮がなされる。温度制御室31とハウジング33との間の絶縁容積部39内には、熱的及び電気的絶縁材料を設けることができる。この手法では、ハウジング半体34、35を取り付けることにより、スペーサ1の近位端2及び遠位端3に鉛直方向の圧縮力を加え、それによって、スペーサ1をハウジング33に対してその位置で拘束する。温度制御室31を柔軟な熱パッド40に対して圧縮することによって、ハウジング33が外部熱流入によって熱膨張したとしても、温度制御室31の確実な固定が可能になる。
【0059】
組み立てられた状態では、2つのハウジング半体34、35は、その上側近位接触面18、その下側近位接触面19、その上側遠位接触面28、及びその下側遠位接触面29を介してのみ、スペーサ1を固定することができる。この構成により、全接触表面断面は最小となる。したがって、ハウジング33とスペーサ1との間の熱伝導は最小限に抑えられる。
【0060】
アセンブリ30に衝撃を与える電磁束又は電流は、温度制御室と金属ハウジング33との間に形成される高周波電磁場又は無給伝送線の形で生じ得る。近位アース線4又は遠位アース線5によって、温度制御室31をハウジング33に接地させることによって、電磁束を緩和することができる。スペーサ1の電気的接地は、例えば、近位外側電気接点6が下側ハウジング半体35と接触する下側近位接触面19と、遠位外側電気接点7が下側ハウジング半体35と接触する下側遠位接触面29とを介して達成される。温度制御室31が、1つ又は複数のアース線を介してハウジング33と電気的に連通しているとき、ハウジングは、基準又は基準電位平面として働きうる。その結果、温度制御室とハウジング33との間に低インピーダンス経路が確立される。
【0061】
温度制御室31は、金属材料、例えば黄銅で作られうる。温度制御室31は、熱電冷却器としうる温度制御装置32を介して温度制御されうる。温度制御装置32は柔軟な熱パッド40を介して温度制御室31に接続されうる。また、温度制御装置32は、温度制御室31の長手軸線に直交して配置されうる。温度制御室31及び柔軟な熱パッド40は、正方形又は長方形の断面を有しうる。柔軟な熱パッド40は、その一方の側で温度制御室31の筒状面と、その反対側で温度制御装置32の平坦面とを一致させるように構成することができる。
【0062】
次に図2Bを参照すると、例示的なアセンブリの正面断面図が示されている。このアセンブリ30の実施形態によると、温度制御装置32は、図2Aの実施形態と比較して、異なるように積み重ねられる。図示のスタックでは、柔軟な熱パッド40が底板41の頂部に配置され、温度制御装置が柔軟な熱パッド40の頂部に配置されている。スタックスペーサ42は温度制御室31に接続されている。この実施形態によれば、スタックは、下から上へ、底板41と、柔軟な熱パッド40と、温度制御装置32と、スタックスペーサ42とを備えている。
【0063】
次に図2Cを参照すると、例示的なアセンブリの正面断面図が示されている。このアセンブリ30の実施形態によると、スタックスペーサは省略されている。図示のスタックでは、温度制御装置は底板41上に直接的に配置され、柔軟な熱パッド40は温度制御装置32の上部に配置されている。柔軟な熱パッド40は、温度制御室31に接続されている。この実施形態によれば、スタックは、下から上へ、底板41と、温度制御装置32と、柔軟な熱パッド40とを備える。代替的に、好ましい実施形態では、底板41もまた省略することができる。さらに好ましい実施形態では、柔軟な熱パッド40及び温度制御装置32の位置を切り替えることができる。次に図3を参照すると、アセンブリの抜粋の左側背面斜視図が、上側ハウジング半体が取り外された構成で示されている。アセンブリ30は、下側ハウジング半体35によって表されるハウジング33と、温度制御室31と、温度制御装置32と、スペーサ1とを備えて示されている。温度制御室31は、電気光送信器36と、温度センサ51と、光ファイバケーブル38とを備えうる。スペーサ1は、図1Gに開示された実施形態に従って示されているが、開示されたスペーサのいずれにもしうる。スペーサ1は、下側ハウジング半体35の近位スリット43及び遠位スリット44に挿入されて示されている。この下側ハウジング半体35の内側には、入力バッファPCB49が設けられ、入力バッファPCB49は、温度制御室31を接続させるための入力インターフェイス50を備える。
【0064】
温度制御装置32の目的は、電気光送信器32を一定の温度に保つことである。この温度制御は、温度制御室31の内側に設けられかつ電気光送信器32に熱的に接続される温度センサ51によって制御された温度制御装置32を介して、温度制御室31を加熱又は冷却することによって達成される。温度制御室31は、柔軟な熱パッド40を介して温度制御装置32に固定することができる。温度制御室31は、さらに、入力バッファPCB49基板を入力バッファPCB49の入力インターフェイス51に実装することによって、入力バッファPCB49基板に接続させることができる。
【0065】
温度制御室31の内側には、温度制御室31の内側の円錐台によって図2に示されている、電気光送信器36を配置することができる。電気光送信器32に取り付けられた光ファイバケーブル38は、温度制御室31の端部から外に延びる。この光ファイバケーブル38は、アナログ高周波電気信号からアナログ高周波光信号に変換された、変換出力信号を伝送する。
【0066】
温度制御室31上の温度制御装置とは反対側において、多目的スペーサ1が設けられうる。図示されたスペーサ1は、図1に開示された多目的スペーサとしうる。図3に示されていない実施形態において、複数の上記スペーサ1を、温度制御室31に沿った異なる位置で使用し、外側金属管への温度制御室の終端を改善しうる。
【0067】
組み立てられた状態では、温度制御室31は、スペーサ本体20上に設けられた近位アース線4を介してスペーサ1の近位端2及び遠位端3を介してハウジング33に接地される。
【0068】
組み立てられた状態において、スペーサ1は、ハウジング33によって、その上側近位接触面18と、その下側近位接触面19(図2参照)と、その上側遠位接触面29と、その下側遠位接触面29(図2参照)とによって、予め定めた位置に保持され得る。
【0069】
次に図4を参照すると、上側ハウジング半体が取り外された構成で、アセンブリの左前側の斜視図が示されている。アセンブリ30は、プローブ装置、例えば、高周波電圧差信号を測定するためのプローブヘッドを示す。アセンブリ30は、アナログ電気入力信号を測定するためのプローブ先端と接続するのに適したプローブ先端コネクタ52と、受け取ったアナログ電気入力信号を処理するための入力バッファPCB49と、温度制御室31と、温度制御室31を入力バッファPCB49に接続させるための入力インターフェイス50とを備えうる。
【0070】
次に図5を参照すると、アセンブリを操作するための例示的な方法の模式図が示されている。本開示によるアセンブリを動作させるための例示的な方法が示される。この動作法は、温度制御装置をハウジングに取り付けるステップ53と、柔軟な熱パッドを温度制御室と温度制御装置との間に配置するステップ54と、温度制御室を柔軟な熱パッドの頂部上に配置するステップ55と、温度制御室をスペーサの内側電気接続部に電気的に接続させるステップ56と、ハウジングがスペーサの外側電気接続部に接触するようにハウジングを組み立てるステップ57と、エラー信号の低減及び高周波性能の向上を観察するステップ58とを備えうる。
【0071】
ハウジングを組み立てるステップ57は、多目的スペーサをハウジングのスリット内に配置し、左右のハウジング半体を組み立てるステップを備えうる。
【0072】
エラー信号の低減及び高周波性能の向上を観測するステップは、より高い帯域幅を有する光出力信号品質の向上を観測することを備え得る。
【0073】
結論
本開示は例示的な実施形態の観点から説明されたが、この開示はこれに限定されるものではない。この例示的な実施形態の記載は、添付図面の図面に関連して理解されるようにされ、図面は、記載全体の一部であると見なされる。「下側(lower)」、「上側(upper)」、「水平な(horizontal)」、「垂直な(vertical)」、「より上(above)」、「より下(below)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「後(back)」、「前(front)」などの相対的な用語、並びに、「水平に(horizontally)」、「下方に(downwardly)」、「上方に(upwardly)」などの派生語は、記載されているような又は記載中の特定の図に記載又は示されているような向きを意味するものと解釈されるべきである。これらの相対用語は、説明の便宜上のためであり、スペーサ又はスペーサセンブリを特定の配向で構成又は動作させることを必要としない。「接続された(connected)」等の取付及び連結に関する用語は、特に記載がない限り、可動式又は堅固式の両方の取付又は関係と同様に、構造物が介在構造物を介して直接的又は間接的に互いに固定されているか又は取り付けられている関係を指す。
【0074】
本明細書は、多くの特定の実施の詳細を含むが、これらの詳細は、いかなる開示の範囲又は特許請求範囲の制限として解釈されるべきではない。これらの例示的な実施形態は、様々な修正が可能であり、代替形態で存在しうることを理解されたい。本開示の原理、態様、及び実施形態を列挙する本明細書の全ての記載は、その構造的及び機能的な均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物は、現在知られている均等物と、構造にかかわらず同じ機能を果たす将来開発される任意の素子との両方を有することが意図されている。特許請求の範囲は、開示された特定の実施例、修正、及び代替形態に限定されることを意図していないが、本開示の精神及び範囲内にある全ての修正、均等物、及び代替物に及ぶことを意図している。
【符号の説明】
【0075】
1 スペーサ
2 近位端
3 遠位端
4 近位アース線
5 遠位アース線
6 近位外側電気接続部
7 遠位外側電気接続部
8 内向き縁
9 外向き縁
10 近位内側電気接続部
11 遠位内側電気接続部
12 近位縁金属接点
13 遠位縁金属接点
14 近位蛇行部
15 遠位蛇行部
16 近位共振軽減装置
17 遠位共振軽減装置
18 上側近位取付面
19 下側近位取付面
20 スペーサ本体
21 平坦な底縁
22 正面
23 裏面
24 近位底縁凹部
25 遠位底縁凹部
26 内向き縁凹部
27 ハウジングの内面
28 上側遠位接触面
29 下側遠位接触面
30 アセンブリ
31 温度制御室
32 温度制御装置
33 ハウジング
34 上側ハウジング半体
35 下側ハウジング半体
36 電気光送信器
37 光出力部
38 光ファイバケーブル
39 絶縁容積部
40 柔軟な熱パッド
41 底板
42 スタックスペーサ
43 近位スリット
44 遠位スリット
45 近位側方間隙
46 遠位側方間隙
47 近位ハウジングねじ
48 遠位ハウジングねじ
49 入力バッファPCB
50 入力インターフェイス
51 温度センサ
52 プローブ先端コネクタ
53 取り付けるステップ
54 柔軟な熱パッドを配置するステップ
55 配置するステップ
56 電気的に接続させるステップ
57 組み立てるステップ
58 観察するステップ
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【外国語明細書】