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特開2024-79635徐溶性肥料用被覆材組成物および徐溶性肥料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079635
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】徐溶性肥料用被覆材組成物および徐溶性肥料
(51)【国際特許分類】
   C05G 5/30 20200101AFI20240604BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
C05G5/30 ZBP
B01J2/00 B
B01J2/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201242
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2022191280
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522261525
【氏名又は名称】株式会社バイオマスレジンホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 雄仁
(72)【発明者】
【氏名】坂口 和久
(72)【発明者】
【氏名】和田 全展
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智恵
【テーマコード(参考)】
4G004
4H061
【Fターム(参考)】
4G004BA00
4H061AA01
4H061DD18
4H061EE22
4H061EE25
4H061EE27
4H061EE35
4H061EE61
4H061EE70
4H061FF15
4H061GG15
4H061GG16
4H061GG18
4H061GG19
4H061GG28
4H061GG42
4H061GG43
4H061GG46
4H061HH03
4H061LL02
4H061LL12
4H061LL15
4H061LL26
4H061LL30
(57)【要約】
【課題】肥料を徐々に放出でき、耐衝撃性に優れる肥料用被覆材組成物および徐溶性肥料を提供することを課題とする。
【解決手段】生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料用被覆材組成物であり、下記(1)~(5)のすべてを満たす徐溶性肥料用被覆材組成物:(1)前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である;(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である;(4)前記被覆材組成物の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;(5)前記徐溶性調整剤(D)が、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、および、数平均分子量(Mn)が300~1500である、ことの少なくとも一方を満たす化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料用被覆材組成物であり、下記(1)~(5)のすべてを満たす徐溶性肥料用被覆材組成物:
(1)前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である;
(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;
(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である;
(4)前記被覆材組成物の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;
(5)前記徐溶性調整剤(D)が、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、および、数平均分子量(Mn)が300~1500である、ことの少なくとも一方を満たす化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2である。
【請求項2】
前記化合物(D1)が、脂肪酸エステル化合物、脂肪族系ウレタン化合物、脂肪酸アミド化合物、および、炭化水素化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む、請求項1に記載の徐溶性肥料用被覆材組成物。
【請求項3】
前記化合物(D1)の融点が60~100℃である請求項1に記載の徐溶性肥料用被覆材組成物。
【請求項4】
前記徐溶性調整剤(D)が更に有機化クレイ(D3)を含有し、前記(D3)のメジアン径が0.01~40μmである請求項1に記載の徐溶性肥料用被覆材組成物。
【請求項5】
前記(D1)と(D3)の含有重量比[(D1)/(D3)]が40/60~90/10である請求項4に記載の徐溶性肥料用被覆材組成物。
【請求項6】
1以上の被覆層で肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる徐溶性肥料であり、前記1以上の被覆層に、請求項1~5のいずれか1項に記載の徐溶性肥料用被覆材組成物からなる被覆層(L)が少なくとも1層含まれる徐溶性肥料。
【請求項7】
1以上の被覆層で肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる、生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料であり、前記1以上の被覆層に、下記(1)~(5)のすべてを満たす被覆層(M)が少なくとも1層含まれる徐溶性肥料:
(1)前記被覆層(M)中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である;
(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;
(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である;
(4)前記被覆層(M)の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;
(5)前記徐溶性調整剤(D)が、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、および、数平均分子量(Mn)が300~1500である、ことの少なくとも一方を満たす化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、徐溶性肥料用被覆材組成物および徐溶性肥料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年カーボンニュートラルの観点等から、バイオマス材料の活用が注目されており、従来プラスチックが使用されてきた用途においても、バイオマス材料(米系材料等)を配合した製品の開発が進んでいる。
【0003】
例えば、肥料成分を徐溶する徐溶性肥料として、粒状肥料を被覆材料で被覆することにより肥料成分の放出速度が遅くなるように調整した被覆肥料が幅広く使用されているが、このような用途にもバイオマス材料が用いられうる。
【0004】
例を挙げると、特許文献1には、糖重合体若しくはその誘導体を主成分とする粉体から選ばれた少なくとも一種を樹脂に分散した被膜により被覆してなる時限溶出機能を有する被覆肥料、および、当該樹脂がオレフィン重合体等から選ばれた一種以上である被覆肥料が開示されている。
【0005】
しかしながら特許文献1に開示されているようなオレフィン重合体等を使用するとそれは本質的に生分解しないため、肥料成分が放出された後にそれが被膜殻として残り、そのようなものが多く河川や海洋等に流出すると、プラスチックごみとなり環境保護の観点から好ましくない。
【0006】
そこでこのような重合体を生分解性樹脂のものに変更することを検討することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06-087684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらこのような重合体を生分解性樹脂のものに変更すると肥料の放出速度の制御が困難となり、特には肥料の放出速度が早くなり過ぎることがある。また、肥料用被覆材組成物を適用した肥料を使用する前に、肥料の被覆層にひび割れや欠けが生じると実用性の観点で問題となる。
【0009】
そこで本発明は肥料を徐々に放出でき、耐衝撃性に優れる肥料用被覆材組成物および徐溶性肥料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料用被覆材組成物であり、下記(1)~(5)のすべてを満たす徐溶性肥料用被覆材組成物:(1)前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である;(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である;(4)前記被覆材組成物の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;(5)前記徐溶性調整剤(D)が、数平均分子量(Mn)が300~1500である化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2である。
【0011】
本発明の一態様は、1以上の被覆層で肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる、生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料であり、前記1以上の被覆層に、下記(1)~(5)のすべてを満たす被覆層(M)が少なくとも1層含まれる徐溶性肥料:(1)前記被覆層(M)中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である;(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である;(4)前記被覆層(M)の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;(5)前記徐溶性調整剤(D)が、数平均分子量(Mn)が300~1500である化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、肥料を徐々に放出でき、耐衝撃性に優れる肥料用被覆材組成物および徐溶性肥料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る米含有生分解性樹脂組成物の製造装置を示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る米含有生分解性樹脂組成物の製造装置を構成する第1収容部の第1収容空間を示す図である。
図5図1の米含有生分解性樹脂組成物の製造装置を構成する第1収容部の第1収容空間に配置された複数の回転部材について示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る米含有生分解性樹脂組成物の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。よって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者等により考え得る実施可能な他の形態、使用方法及び運用技術等は全て本発明の範囲、要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作及び物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。また、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状等について、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0015】
<溶性肥料用被覆材組成物(X)>
本発明の一態様は、生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料用被覆材組成物であり、下記(1)~(5)のすべてを満たす徐溶性肥料用被覆材組成物:(1)前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80;(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが40μm以下である;(4)前記被覆材組成物の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;(5)前記徐溶性調整剤(D)が、数平均分子量(Mn)が300~1500である化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2である。かかる態様であることによって肥料を徐々に放出でき、耐衝撃性に優れる。かような構成であることで、徐溶性のコントロール性と肥料溶出後の被覆殻の生分解性の両方に優れる被覆肥料を与えることができまた、バイオマス度が高い材料でありうる。
【0016】
((1)重量比[(A)/(B)])
本発明の一態様において、前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である。
【0017】
本発明の一実施形態の徐溶性肥料用被覆材組成物において、前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が95/5~23/77、90/10~28/72、85/15~33/75、80/20~38/72、75/25~43/67、70/30~38/62、あるいは、70/30~40/60である。
【0018】
(生分解性樹脂(A))
本発明の一態様の徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、生分解性樹脂(A)を含む。徐溶性肥料用被覆材組成物(X)が生分解性樹脂を含むことによって、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、微生物の生産する酵素によって分解されうる。本明細書において、「生分解性樹脂」を単に「樹脂」と称する場合もある。また、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)、後述の米含有生分解性樹脂組成物(W)あるいはマスターバッチ(V)中に存在する生分解性樹脂(A)となる原料(つまり仕込み)としての生分解性樹脂を、生分解性樹脂(a)とも称する場合がある。また、単に「生分解性樹脂」、「樹脂」と称する場合、生分解性樹脂(A)および/または生分解性樹脂(a)を意味する。生分解性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
生分解性樹脂は、生分解性を有していれば特に制限されず、任意の樹脂を用いることができる。ここで、生分解とは、土中・水中の微生物が生産する酵素によって、物質の分子結合が切断され、最終的に水と二酸化炭素とに分解されることを指す。一実施形態によれば、生分解性とは、ISO 9408、ISO 9439、ISO 10707、JIS K 6950、JIS K 6951、JIS K 6953、および、JIS K 6955の少なくとも1つを満たすものである。
【0020】
生分解性樹脂の融点の上限は、混合時に米が焦げ付かないために、190℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、170℃以下であることが特に好ましい。また、生分解性樹脂の融点の下限は、米との混合を容易に行うことができる観点から、120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることが特に好ましい。なお、本明細書において、生分解性樹脂の融点の測定は、例えば株式会社 島津製作所社製の定試験力押出形 細管式レオメータ フローテスタ(CFT-500EX)を用いて行うことができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂は、2価のカルボン酸と、2価のアルコールとの重縮合反応によって得られうる。換言すれば、生分解性樹脂は、2価のカルボン酸由来の構成単位と、2価のアルコールの構成単位とを含む。2価のカルボン酸としては、例えば、炭素数1~4あるいは2~3の脂肪族炭化水素における2つの水素がカルボキシ基に置換されたもの、あるいは、芳香族炭化水素における2つの水素がカルボキシ基に置換されたものがある。より詳しくは、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、オキシプロピオン酸、ε-カプロラクトンが好適である。2種以上のものが適宜組み合わされてもよい。2価のアルコールとしては、炭素数2~6あるいは3~5の脂肪族炭化水素における2つの水素が水酸基に置換されたものがある。より詳しくは、例えば、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等が好適である。
【0022】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂は、例えば、PBST(ポリブチレンサクシネートテレフタレート)、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート-co-アジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート(PETS)、PBAT・PLAコンパウンド、澱粉ポリエステル樹脂、酢酸セルロース、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)及び3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート重合体(PHBH)からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。粘性等の力学特性の観点から、生分解性樹脂は、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレートおよびポリブチレンサクシネート-co-アジペートからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、米との複合材料化の容易性という観点から、ポリブチレンサクシネートを含むことが最もよい。
【0023】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(a)としての樹脂ペレットの平均直径は、0.5~30mm、0.5~20mm、0.5~10mm、1~8mm、2~6mm、あるいは、2~5mmである。生分解性樹脂(a)としての樹脂ペレットの平均直径は、具体的には、複数の樹脂ペレットから統計学的に信頼できる数(あるいは、10個、50個、100個、500個、1000個またはそれ以上)を任意に選び出し、それらの直径を相加平均したものでありうる。測定に用いる機器としては、例えば、ノギス(JIS B 7507:2016)や顕微鏡が挙げられる。
【0024】
(米(B))
本発明の一態様の徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、米(B)を含む。本明細書において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)、後述の米含有生分解性樹脂組成物(W)あるいはマスターバッチ(V)中に存在する米(B)となる原料(仕込み)としての米を、米(b)とも称する場合があり、単に「米」と称する場合、米(B)および/または米(b)を意味する。
【0025】
米の種類は、特に制限されないが、市場価格や安定供給の観点から、米(b)として、精米(生米)または米ぬか(中白粉)あるいはこれに由来するものであることが好ましい。なお由来するものとは米(b)に任意の公知の加工処理を行ったものである。精米(生米)は玄米から米ぬかを取ることによって準備することができる。精米(生米)は、吟醸米(例えば、3分精米~7分精米、4分精米~6分精米等)の形態であってもよい。また、米(b)として米ぬかを用いることができる。米ぬかは、精米される過程で廃棄されることが多いため、米ぬかを使用することも、環境負荷が低くエコロジーであり、ライフサイクルアセスメントの観点からも好適である。なお、米(b)として米粉を用いることもできる。中でも、樹脂ペレットの一般的なサイズとサイズとが類似し、ハンドリングが容易であるという観点から、米は精米であることが好ましい。
【0026】
本発明の一実施形態において、原料としての米(b)は、ベータ構造(結晶構造)からなっている。
【0027】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)中の米(B)は、アルファ化されている。
【0028】
本発明の一実施形態において、米(b)の平均直径は、(ここで、直径とは、任意の二点を取ったときの最大径)100μm以上、110μm以上、500μm以上、750μm以上、1mm以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、あるいは、4.5mm以上でありうる。本発明の一実施形態において、米(b)の平均直径は、15mm以下、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、あるいは、6mm以下でありうる。本発明の一実施形態において、米(b)の平均直径は、樹脂ペレットの平均直径と同様に測定されうる。つまり、複数の米(b)から統計学的に信頼できる数(あるいは、10個、50個、100個、500個、1000個またはそれ以上)を任意に選び出し、それらの直径を相加平均したものでありうる。測定に用いる機器としては、例えば、ノギス(JIS B 7507:2016)や顕微鏡が挙げられる。
【0029】
((2)(B)が粒子状に分散)
本発明の一態様の徐溶性肥料用被覆材組成物(X)において、前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している。前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散しているとは、米(B)が樹脂(A)に完全に相溶しているのではなく、米(B)の一部が樹脂(A)中にその界面が認識される形態でドメインを形成していることを言う。換言すると、米(B)が生分解性樹脂(A)中に海島状に存在している。ここで、粒子状とは、任意形状の粒子またはその凝集体であればよく、また粒子の形状としては、特に制限されず、例えば、球状、立方体状、柱状、板状、燐片状、棒状、針状、繊維状、板状、塊状、および不定形状等どのような形状であってもよい。
【0030】
((3)(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ)
本発明の一態様の徐溶性肥料用被覆材組成物(X)において、前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である。最小外接矩形の短辺の平均長さの測定方法は、実施例の記載に基づく。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが、0.5μm以上、1.0μm以上、1.5μm以上、2.0μm以上、あるいは、2.2μm以上である。本発明の一実施形態において、前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが、39μm以下、37μm以下、34μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、17μm以下、15μm以下、12μm以下、10μm以下、9.0μm以下、7.0μm以下、5.0μm以下、4.0μm以下、3.0μm以下、あるいは、2.5μm以下である。被覆層の透湿性および徐溶性のコントロールの観点から30μm以下であることが特に好ましい。
【0032】
((4)(B)の断面積の合計面積)
本発明の一態様の徐溶性肥料用被覆材組成物(X)において、前記被覆材組成物(X)の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である。断面積の合計面積の測定方法は、実施例の記載に基づく。
【0033】
本発明の一実施形態において、前記被覆材組成物(X)の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして、4.5%以下、4%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1.9%以下、1.7%以下、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、0.9%以下、0.7%以下、0.5%以下、0.3%以下、あるいは、0.2%以下である。被覆層の透湿性および徐溶性のコントロールの観点から4%以下であることが特に好ましい。本発明の一実施形態において、前記被覆材組成物(X)の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして、0.1%以上でありうる。最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の合計面積を5%以下とするには、例えば、米が軟化(可塑化)することによって米同士が合着しないように、後述の、米含有生分解性樹脂組成物(W)と徐溶性調整剤(d)との混合の際の有機溶媒を適宜選択すること等が好適であるがこれに制限されない。
【0034】
((5)徐溶性調整剤(D))
本発明の一態様の徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、徐溶性調整剤(D)を含有する。以下、徐溶性調整剤(D)についての説明を、化合物(D1)、化合物(D2)、化合物(D1)と化合物(D2)とを含む化合物(D12)、および、化合物(D3)を例に挙げながら説明するが、これらの説明は、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)、後述の米含有生分解性樹脂組成物(W)あるいはマスターバッチ(V)中に存在する徐溶性調整剤(D)となる原料(仕込み)である徐溶性調整剤(d)(化合物(d1)、化合物(d2)、化合物(d12)および化合物(d3))にも同様に妥当できるものである。よって、それらに読み替えた説明が以下でなされていると理解されなければならない。なお、徐溶性調整剤(D)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
本発明の一態様の徐溶性調整剤(D)は、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、および、数平均分子量(Mn)が300~1500である、ことの少なくとも一方を満たす化合物(D1)を含有し、その溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SPA)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2である。本発明の一実施形態の徐溶性調整剤(D)は、数平均分子量(Mn)が300~1500である有機化合物(D1)を有する。ここで、溶解性パラメータ(SPD1)が8(cal/cm1/2未満であると、生分解性や透湿度の評価が悪化する虞がある。溶解性パラメータ(SPD1)が10(cal/cm1/2超であると、耐衝撃性が悪化する虞がある。また、[SP-SPD1]が3(cal/cm1/2を超えると化合物(D1)の生分解性樹脂(A)中での分散性が悪くなり、耐衝撃性が悪化する虞がある。また、[SP-SPD1]が0(cal/cm1/2未満であると透湿度が悪化する(高くなりすぎる)虞がある。
【0036】
本明細書中、溶解性パラメータは、Fedorsによる方法[Polymer Engineering and Science,February,1974,Vol.14、No.2、P147~154]の152頁(Table.5)に記載の数値(原子又は官能基の25℃における蒸発熱及びモル体積)を用いて、同153頁の数式(28)により算出される値を意味する。
【0037】
ここで数平均分子量(Mn)について、例えば、製造例17に記載のベヘニルアルコール及びセバシン酸を原料とする徐溶性調整剤は分子量を理論上は計算することもできるが、実際は原料の炭素数に若干分布があったり、若干のモノエステルが生成したりすることも考えられる、つまり、単一化合物でなく混合物の可能性もある。そのため、分子量を理論上計算することができる場合も、数平均分子量を採用している。ただし、数平均分子量を分子量と読み替えることを制限するものではない。
【0038】
数平均分子量(Mn)が300~1500である化合物(D1)の一例として、Mnが300~1500の炭化水素化合物が挙げられる。炭化水素化合物であれば特に限定されず、飽和炭化水素化合物でも不飽和炭化水素化合物でもよい。樹脂組成物の表面に化合物(D1)がブリードアウトして樹脂組成物の外観不良・表面のべたつきやその他の性能低下が生じやすくならないようにするにはMnが300以上であるとよい。Mnが1500超であると、樹脂組成物の生分解性が悪化する傾向があるため、徐溶性調整剤(D1)が、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種(特にエステル基)の官能基を有することが好ましい。特にエステル基を有すると加水分解による生分解が促進されうる。
【0039】
Mnが300~1500の炭化水素化合物の具体例としては、パラフィン(エイコサン、ヘンイコサン、テトラコサン、トリアコンタン等を含む)、多環芳香族炭化水素(ベンゾピレン、ポリアセン等を含む)及びポリオレフィン(ポリエチレン等)等が挙げられる。また、炭化水素化合物を主成分とする石油ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等を含む)も用いることができる。
【0040】
本発明の一実施形態において、数平均分子量(Mn)が300~1500である化合物(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8.1~9.8(cal/cm1/2、8.2~9.6(cal/cm1/2、8.3~9.4(cal/cm1/2、8.4~9.2(cal/cm1/2、8.5~9.0(cal/cm1/2、8.6~8.9(cal/cm1/2、あるいは、8.6(cal/cm1/2超~8.9(cal/cm1/2未満である。本発明の一実施形態において、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8.1~9.8(cal/cm1/2、8.2~9.6(cal/cm1/2、8.3~9.4(cal/cm1/2、8.4~9.2(cal/cm1/2、8.5~9.0(cal/cm1/2、8.6~8.9(cal/cm1/2、あるいは、8.6(cal/cm1/2超~8.9(cal/cm1/2未満である。
【0041】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)は、好ましくは8~13(cal/cm1/2、より好ましくは9.5~12.6(cal/cm1/2である。
【0042】
本発明の一実施形態において、前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]は、被覆材組成物の透湿性及び肥料の徐溶性の調整と耐衝撃性の観点から、0.1~2.9(cal/cm1/2、0.5~2.6(cal/cm1/2、1.0~2.4(cal/cm1/2、あるいは、2.0(cal/cm1/2超~2.3(cal/cm1/2未満である。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記化合物(D1)の具体例としては、脂肪酸エステル化合物、脂肪族系ウレタン化合物、脂肪酸アミド化合物、及び、炭化水素化合物等が挙げられる。
【0044】
本発明の一実施形態において、脂肪酸エステル化合物としては、炭素数(カルボキシル炭素を除く)1~34(好ましくは、炭素数2~30、炭素数4~25、炭素数6~20、あるいは、炭素数8~15)の脂肪族カルボン酸と、炭素数1~36(好ましくは、炭素数5~35、炭素数10~35、炭素数15~35、あるいは、炭素数22~35)のアルコールとのエステル等が挙げられる。分子内にエステル基を1個有する1官能脂肪酸エステル、及び分子内に2個以上のエステル基を有する多官能脂肪酸エステルを使用できる。耐湿熱性の観点から好ましいのは1~8官能の脂肪酸エステルであり、更に好ましいのは1~3官能の脂肪酸エステルである。本発明の一実施形態において、脂肪族カルボン酸の炭素数と、アルコール(脂肪族アルコール)との炭素数は、脂肪酸エステル化合物の数平均分子量(Mn)が300~1500となるように適宜組み合わされうる。
【0045】
具体例としては、アルコール{1官能アルコール(ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール(炭素数22)、ゲジルアルコール(炭素数34)等)、2官能アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ドデカンジオール(炭素数12)等)又は3官能以上の多官能アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等)}と、カルボン酸{脂肪族モノカルボン酸(パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、デカン酸等)、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸(炭素数10)、アゼライン酸、ドデカン二酸及び1,18-オクタデカンジカルボン酸)}とのエステル化物等が好適に使用できる。
【0046】
本発明の一実施形態において、脂肪族系ウレタン化合物としては、アルキルアルコールと脂肪族イソシアネートのウレタン等が挙げられる。アルキルアルコールとしては炭素数1~36(好ましくは、炭素数5~32、炭素数10~28、あるいは、炭素数15~25)のアルコールが好適であり、脂肪族イソシアネートとしては炭素数(NCO基の炭素を含む)4~22のイソシアネート(好ましくは、炭素数5~20、炭素数6~15、あるいは、炭素数7~12)が好適である。本発明の一実施形態において、アルキルアルコールの炭素数と、脂肪族イソシアネートとの炭素数は、脂肪族イソシアネートの数平均分子量(Mn)が300~1500となるように適宜組み合わされうる。
【0047】
本発明の一実施形態において、炭素数1~36のアルコールとしては、直鎖アルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ドデシルアルコール、n-オクタデシルアルコール、n-トリアコンチルアルコール、ベヘニルアルコール(炭素数22)、ゲジルアルコール等)、炭素数3~36の分岐アルコール(イソプロパノール及びイソブタノール等)等が挙げられる。
【0048】
本発明の一実施形態において、炭素数4~22の脂肪族イソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(炭素数8)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート及び2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
【0049】
本発明の一実施形態において、脂肪酸アミド化合物は、脂肪酸とアミン(あるいはアンモニア)とのアミドである。本発明の一実施形態において、脂肪酸は、炭素数(カルボキシル炭素を除く)1~34(好ましくは、炭素数2~30、炭素数4~25、炭素数6~20、あるいは、炭素数8~15)の脂肪族カルボン酸でありうる。本発明の一実施形態において、脂肪酸は、カルボン酸{脂肪族モノカルボン酸(パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、デカン酸等)、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸(炭素数10)、アゼライン酸、ドデカン二酸及び1,18-オクタデカンジカルボン酸)}でありうる。本発明の一実施形態において、アミンは、炭素数1~34、炭素数3~30、炭素数5~25、あるいは、炭素数10~20のジアミンでありうる。本発明の一実施形態において、アミドの具体例としては、ペラルゴン酸アミド、カプリン酸アミド、ウンデシル酸アミド、ラウリン酸アミド、トリデシル酸アミド、ミリスチン酸アミド、ペンタデシル酸アミド、パルミチン酸アミド、ヘプタデシル酸アミド、ステアリン酸アミド、ノナデカン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、リグノセリン酸アミド、オレイン酸アミド、セトレイン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、これらの混合物及び動植物油脂脂肪酸アミド等が挙げられる。本発明の一実施形態において、脂肪酸の炭素数と、アミンとの炭素数は、脂肪酸アミド化合物の数平均分子量(Mn)が300~1500となるように適宜組み合わされうる。本発明の一実施形態において、アンモニアと脂肪酸とに由来する脂肪酸アミド化合物における脂肪酸の炭素数は、脂肪酸アミド化合物の数平均分子量(Mn)が300~1500となるように適宜選択されうる。
【0050】
(D1)のうち、生分解性の観点から特に好ましいのは脂肪酸エステル化合物及びMn300~1500の炭化水素化合物である。(D1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
本発明の一実施形態において、前記化合物(D1)の数平均分子量(Mn)は、徐溶性と生分解性の調整の観点から300~1500であることが好ましく、より好ましくは400~1500であり、さらに好ましくは450~1450である。後述のように(D1)を(D2)との混合物である(D12)として含有する場合、(D12)としての数平均分子量(Mn)は、徐溶性と生分解性の調整の観点から300~1500であることが好ましく、より好ましくは400~1500であり、さらに好ましくは450~1450である。
【0052】
なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「HLC-8120GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn HXL-H」(1本)、「TSKgel GMHXL」(2本)[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μL
流量:1mL/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン。
【0053】
本発明の一実施形態において、前記化合物(D1)の融点は、60~100℃であることが好ましく、60~90℃であることが更に好ましい。融点が60℃以上であると被覆材組成物(X)の耐熱性が良好となり、肥料の輸送及び保管条件が比較的高温の場合でも、ブロッキングが起こりにくい。100℃以下であると、生分解性が更に良好となる。後述のように(D1)を(D2)との混合物である(D12)として含有する場合、(D12)としての融点が60~100℃であることが好ましく、60~90℃であることが更に好ましい。
【0054】
ここで、DSC測定装置を用いて、JIS K7121に準拠して、試料(A)10mgを、窒素ガス流量50mL/分の条件下、20℃から20℃/分の速度で200℃まで昇温[1次昇温]し、200℃に到達後3分間保持した後、200℃から20℃/分の速度で-100℃まで降温する。次いで、-100℃から20℃/分の速度で200℃まで昇温[2次昇温]を行なう。2次昇温時の溶融ピークの頂点の温度である融解ピーク温度(Tpm)を、本発明における(D1)の融点(℃)とする。(D12)の融点(℃)も同様に測定できる。
【0055】
前記化合物(D1)は、後述する高級脂肪酸(D2)との混合物{後述する(D1)及び(D2)を含有する天然ロウ(D12)等}として含有してもよい。
【0056】
前記徐溶性調整剤(D)は、更に高級脂肪酸(D2)を含有してもよい。高級脂肪酸(D2)としては、炭素数10~34、炭素数14~22の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸等が挙げられる。
【0057】
飽和脂肪酸としては、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸及びアラキジン酸等が挙げられる。
【0058】
不飽和脂肪酸としては、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びアラキドン酸等が挙げられる。
【0059】
高級脂肪酸(D2)は、牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸及びパーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。
【0060】
(D2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
高級脂肪酸(D2)は、前記化合物(D1)との混合物{(D1)及び(D2)を含有する天然ロウ(D12)等}として含有してもよい。
【0062】
(D1)及び(D2)を含有する天然ロウ(D12)としては、高級脂肪酸(D2)と前記脂肪酸エステル化合物との混合物が挙げられ、植物系天然ロウ{キャンデリラロウ(キャンデリラワックス)、カルナウバロウ(カウナウバワックス)、米ぬかロウ(ライスワックス)、木蝋等}、カスターワックス、動物系天然ロウ{蜜蝋、セラックワックス及びラノリンワックス等}、鉱物系天然ロウ{モンタンワックス、オゾケライト等}等が挙げられる。(D12)としては、キャンデリラワックス、カウナウバワックス、ライスワックス、カスターワックス及び蜜蝋が、適度な生分解性を有し、かつ生分解性樹脂(A)中に分散することで優れた透湿性を低下させることから好ましい。
【0063】
前記徐溶性調整剤(D)が(D1)及び(D2)の両方を含有する場合、(D2)と(D1)の含有重量比[(D2)/(D1)]は、生分解性等の観点から2/98~20/80であることが好ましい。本発明の一実施形態においては、(D2)と(D1)の含有重量比[(D2)/(D1)]は、2/98~10/90、あるいは、2/98~5/95でありうる。
【0064】
前記徐溶性調整剤(D)は、徐溶性の調整しやすさの観点(特に、徐溶日数を長くしたい場合)からは、更に有機化クレイ(D3)を含有することが好ましい。有機化クレイ(D3)は、クレイ(層状珪酸塩)の層間陽イオンを有機陽イオンでイオン交換したものである。
【0065】
クレイ(層状珪酸塩)としては、スメクタイト系鉱物(モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト及びサポナイト等)、雲母(マイカ)、バーミキュライト及びマイカ等が挙げられる。
【0066】
有機陽イオンとしては、4級アンモニウムイオン、有機ホスホニウムイオン、有機ピリジニウムイオン及び有機スルホニウムイオン等が挙げられ、前記(A)中での分散性及び安全性等の観点から、4級アンモニウムイオンが好ましい。
【0067】
4級アンモニウムイオンの具体例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムイオン、ラウリルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ジメチルジステアリルアンモニウムイオン、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムイオン、ジアルキルジメチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。4級アンモニウムイオンは1種単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0068】
有機陽イオンの対イオン(アニオン)としては、特に限定されないが、環境への影響を低減する観点からは塩化物イオン、臭化物イオン及び酢酸イオン等が好ましい。
【0069】
クレイの層間陽イオンを有機陽イオンでイオン交換して有機クレイ(D3)を得る方法は、特に限定されず、公知の方法で得ることができる。例えば、水、有機溶媒あるいは水と有機溶媒の混合溶媒中にクレイを浸漬した後、有機陽イオン塩を添加・撹拌して一定時間静置後、ろ過して得られた固体を洗浄・乾燥することにより得ることができる。また、有機クレイ(D3)は、市場から入手したものを使用してもよい。
【0070】
有機クレイ(D3)のメジアン径は、被覆材組成物の透湿性及び肥料の徐溶性の調整しやすさの観点から、0.01~40μmであることが好ましい。
【0071】
なお、本発明における有機クレイのメジアン径(μm)は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-300、堀場製作所社製)を用い、トリクロロエチレンを分散媒として超音波非照射下で測定された値である。なお、後述の被覆層中の有機クレイのメジアン径は、例えば以下のように測定してもよい。すなわち、肥料に穴をあけて中の尿素を抜く。被覆殻のみを良溶媒(例えばDMFまたは塩素系溶剤(例えばトリクロロエチレン))に溶解し、遠沈により無機物を回収する。この時点ではクレイと有機化クレイが含有されている。無機物を塩素系溶剤(例えばトリクロロエチレン)に溶解・分散させて、上澄みを回収する。クレイは塩素系溶剤(例えばトリクロロエチレン)には分散しないので、有機化クレイのみを回収する。回収した有機化クレイを上記と同様にトリクロロエチレンを分散媒として分散させ上述のとおり測定することができる。
【0072】
前記徐溶性調整剤(D)が(D1)及び(D3)の両方を含有する場合、(D1)と(D3)の含有重量比[(D1)/(D3)]は、被覆材組成物の透湿性と肥料の耐衝撃性との両立の観点から40/60~90/10であることが好ましい。本発明の一実施形態において、(D1)と(D3)の含有重量比[(D1)/(D3)]は、45/55~70/30、45/55~60/40、あるいは、45/55~55/45でありうる。
【0073】
(相溶化剤(E))
本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、相溶化剤(E)を含む。本明細書において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)、後述の米含有生分解性樹脂組成物(W)あるいはマスターバッチ(V)中に存在する相溶化剤(E)となる原料(仕込み)としての相溶化剤を相溶化剤(e)とも称する場合があり、単に「相溶化剤」と称する場合、相溶化剤(E)および/または相溶化剤(e)を意味する。相溶化剤は、生分解性樹脂と米とをスムーズに混合することを促進させるために含有される。相溶化剤は、生分解性樹脂と米とに対して相溶性を付与することができれば、特に制限されず、種々の相溶化剤を用いることができる。
【0074】
本発明の一実施形態において、相溶化剤は、生分解性を有している。相溶化剤が生分解性を有することにより、相溶化剤が自然界に残存することを防ぐことができる。また、非生分解性の相溶化剤を用いた場合、組成物全体の生分解を阻害する可能性もあるが、生分解性の相溶化剤を用いる場合は組成物全体の生分解を阻害する可能性は極めて低い。なお、日本バイオプラスチック協会(JBPA)の生分解性プラポジティブリスト(PL)(分類番号B-3(滑剤))に列挙されている物質は、参照により全体として引用され、本明細書に組み込まれ、補正の適法な根拠となる。
【0075】
本発明の一実施形態において、相溶化剤(e)は液状でありうる。
【0076】
本発明の一実施形態において、相溶化剤は、特に制限されないが、米との相溶性の観点から、グリセロール、ポリグリセロール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0077】
上記のグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステルの3種が挙げられ、より具体的には、例えば、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、グリセリンジアセトモノラウレート等のアセチル化グリセライド(ジアセチル脂肪酸モノグリセリド)、コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン縮合リノシール酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレートが挙げられる。本発明の一実施形態において、ジアセチル脂肪酸モノグリセリドは、炭素数が8~15、9~14、あるいは、10~13のアルキル基を有する。
【0078】
本発明の一実施形態において、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルは、以下の構造を有し、nは、例えば、2~6、あるいは、2~5であり、Rは、炭素数が11~20、13~19、あるいは、15~18のアルキル基である。
【0079】
【化1】
【0080】
以上のような相溶化剤を用いることで、米のアルファ化の程度を適切にすることができ、前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散することに資する。
【0081】
<徐溶性肥料用被覆材組成物(X)の製造方法>
本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、生分解性樹脂(a)、米(b)および徐溶性調整剤(d)を混合することによって製造することができる。また、本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、米含有生分解性樹脂組成物(W)と、徐溶性調整剤(d)とを混合することを有して製造することができる。以下では後者の実施形態の例に挙げて説明を行う。
【0082】
(米含有生分解性樹脂組成物(W)の準備)
米含有生分解性樹脂組成物(W)は、生分解性樹脂(a)および米(b)を含む材料を混合することを有することによって作製することができる。本発明の一実施形態において、当該材料は、相溶化剤(e)を含む。本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)は、生分解性樹脂(a)および米(b)を含む材料を混合することを有して米含有生分解性樹脂組成物(W)のマスターバッチ(V)を作製して、当該マスターバッチ(V)と、追加の生分解性樹脂(a)とをさらに混合することを有して作製することもできる。
【0083】
材料の混合には、種々の装置を制限なく用いることができる。ただし、装置に投入される米(b)が気乾状態である場合には、装置内に水を投入することが好ましく、そうすることで、米(b)が水の存在下で加温された状態で混合されることになり米(b)のアルファ化が装置内で開始され、これにより、生分解性樹脂と、米とが混合時にアモルファスの状態となり、混合を容易にすることができる。そのため、装置は水が投入される場合に用いることができる装置であることが好ましい。
【0084】
(製造装置)
以下では、生分解性樹脂(a)と米(b)を含む材料を混合することを有して、必要に応じて追加の生分解性樹脂(a)を用いて、米含有生分解性樹脂組成物(W)を製造することができる製造装置の好適な実施形態について説明を行う。
【0085】
当該製造装置は、二軸混練装置100でありうる。二軸混練装置100は、図1図5に示すように第1収容部10と、投入部20と、回転部30と、脱水部50と、第1脱気部60と、第2脱気部70と、排出部80と、冷却部90と、切断部110と、を有する。
【0086】
なお、二軸混練装置100の説明にあたり、図面には直交座標系を表記している。Xは後述する回転部30の回転軸の延在する方向であり、長手方向Xとする。Yは長手方向Xと交差する第1収容部10の幅方向に相当し、幅方向Yとする。Zは長手方向X及び幅方向Yと交差する方向であり、高さ方向Zとする。以下、詳述する。
【0087】
(第1収容部10)
第1収容部10は、生分解性樹脂(a)および米(b)、相溶化剤(e)、マスターバッチ(V)や、追加の生分解性樹脂(a)(以下、これらを単に「材料」とも称する)を、必要に応じて水とともに収容できる第1収容空間S1を形成する。第1収容部10は、二軸混練装置100を設置する空間の長手方向Xに延在するように長尺に構成している。
【0088】
第1収容部10は、回転部30を構成する複数の回転部材31、32、33、34、35、36、37、38、39、41、42を収容する第1収容空間S1を形成するように構成している。第1収容部10によって形成される第1収容空間S1は投入部20の直下から第2脱気部70と接続される部位まで一続きになるように構成している。第1収容空間S1は、本実施形態において回転部30の回転部材の回転軸を二軸設けるように、図4に示すように断面の内周部分を、2つの円弧を合わせたような形状に構成している。第1収容部10には第1収容空間S1の温度を調整するためのヒーター等の加熱装置(図示省略)を設けることができる。上述したヒーターは第1収容部10の第1収容空間S1の長手方向Xにおいて後述する回転部材の特定の区間毎に温度を調整できるように例えば長手方向Xに複数配置することができる。
【0089】
(投入部)
投入部20は、図1に示すように第1収容空間S1に上述した材料と水を投入可能なホッパー(フィーダー)を備える。投入部20のホッパーは、漏斗状に形成している。
【0090】
(回転部)
回転部30は、第1収容空間S1において回転可能に配置される。回転部30は、複数の回転部材31~39、41、42を長手方向Xに平行な方向を回転軸として回転軸に沿って並べて配置するように構成している。回転部材31~39、41、42は、図5に示すように幅方向Yに沿って2軸並べて設けている。回転部材31は、本明細書において第1スクリュー、回転部材32は第1パドル、回転部材33は第2スクリュー、回転部材34は第2パドル、回転部材35は第4スクリュー、回転部材41は第6スクリュー、回転部材42は第7スクリューに相当する。以下に各々の回転部材について詳述する。
【0091】
(回転部材31)
回転部材31は、第1収容部10の第1収容空間S1において投入部20のホッパーの直下に配置している。回転部材31は、スクリューを形成するように構成している。本明細書において回転部材31が配置される第1収容空間S1の部位は材料と水が投入される材料投入部と称する。
【0092】
(回転部材32、33)
回転部材32は、図5に示すように第1収容空間S1の回転部材31よりも下流側において回転部材31に隣接して設けている。回転部材32は、板状部材を回転軸に沿って並べて配置するように構成している。回転部材32は、回転部材31と回転部材33との間に配置している。
【0093】
回転部材33は、第1収容空間S1の回転部材32よりも下流側において回転部材32に隣接して設けている。回転部材33は、回転部材31と同様にスクリューを形成するように構成している。回転部材33は、回転部材31よりも螺旋の溝を浅く形成している。回転部材33は、回転部材31よりも螺旋の径方向における最外周と最内周の差が大きくなるように構成している。回転部材33は、回転部材31と最外周の大きさが同等で、最内周が回転部材31よりも小さくなるように構成している。回転部材32、33が配置される第1収容空間S1の部位は、投入部20から投入された樹脂を溶解させる樹脂溶解部と称することができる。
【0094】
(回転部材34)
回転部材34は、回転部材32と同様に板状部材を回転軸に沿って複数並べるように配置しており、第1収容空間S1において回転部材33よりも回転軸の下流側に配置するように構成している。回転部材34は、図5において板状部材の板厚が一種類となるように図示しているが、一種類でなくてもよい。回転部材34は、回転部材32よりも薄く形成することによってせん断応力をより発揮させて材料を分散させるとともに均一な撹拌を行うように構成している。回転部材34が配置される第1収容空間S1の部位は、投入部20から投入された材料を混練する混練部と称することができる。回転部材33と回転部材34との境界近傍には、上述した材料に加えられた水等の気液成分を排出するために脱水部50を接続するように構成している。詳細は後述する。
【0095】
(回転部材35)
回転部材35は、第1収容空間S1において回転部材34よりも下流側において回転部材34に隣接して設けている。回転部材35は、回転部材33と同様にスクリューを形成するように構成している。回転部材35は、螺旋の溝の深さが回転部材33と同等になるように構成している。回転部材35は、第1収容空間S1において混練された材料を脱気する第1脱気部60と接続される。詳しくは後述する。
【0096】
(回転部材36~39)
回転部材36、37は、第1収容空間S1の回転部材35の下流側において回転部材35に隣接して設けている。回転部材36、37は、回転部材32と同様に板状部材を並べるように構成している。回転部材36、37には起伏の小さい螺旋を形成しており、回転部材36と回転部材37の螺旋の回転方向は異なるように構成している。
【0097】
回転部材38、39は、第1収容空間S1の回転部材37よりも下流側において回転部材37に隣接して設けている。回転部材38、39は、回転部材33と同様にスクリューを形成するように構成している。回転部材38、39のスクリューは螺旋の溝の深さを回転部材33と同様に構成している。回転部材38と回転部材39は螺旋の回転方向が逆転するように構成している。
【0098】
このように回転部材36、38と回転部材37、39の螺旋の回転方向を逆転させることによって、回転部材35から送られる材料は回転部材37、39で回転軸の上流側に一時的に押し返されるようにしたうえで下流側に移動する。これにより、材料が回転部材36~39に比較的長く滞留し、材料の密度が向上するように圧縮が行われる。回転部材36~39が配置される第1収容空間S1の部位は材料の圧縮を行う圧縮部と称することができる。
【0099】
(回転部材41、42)
回転部材41は、第1収容空間S1の回転部材35、39よりも下流側において回転部材39に隣接して設けている。回転部材42は、第1収容空間S1の回転部材41よりも下流側において回転部材41に隣接して設けている。回転部材41、42は、回転部材33と同様にスクリューを形成するように構成しており、回転部材42は回転部材41よりも螺旋のピッチが短くなるように構成している。回転部材41、42は第1収容空間S1に収容された材料の脱気を行う第2脱気部70と接続される。
【0100】
このように、回転部材31~39、41、42は、螺旋形状を備え、投入部20の直下に配置された回転部材31と、回転部材31よりも回転軸の下流側に配置され、回転部材31よりも螺旋の溝が浅く形成された回転部材33を備える。このように構成することによって、材料の少なくとも一部が通常、二軸混練装置ではスクリューによって下流側に送られ難くても、回転部材31によって材料の少なくとも一部を下流側に送るようにして混練を行うことによって米含有生分解性樹脂組成物(W)を効率的に製造することができる。
【0101】
また、回転部材31~39、41、42は、第1収容空間S1において回転部材34よりも下流側に設けられる回転部材35を備える。回転部材35の近傍には、第1脱気部60を接続している。第1脱気部60は、スクリュー61と、第3収容部62と、を備える。スクリュー61は、回転部材31~39、41、42の回転軸と交差する方向に平行な方向を回転軸として回転し、対になるように構成している。第3収容部62は、スクリュー61を収容する第3収容空間S3を備えるとともに第1収容部10と接続され、第1収容空間S1で発生した気体を吸引により排出可能なポンプ等と接続される。このように構成することによって、脱水部50と同様に材料の固形成分を第1収容空間S1に残しつつ、不要な水分をさらに排出するようにできる。
【0102】
また、回転部材31~39、41、42は、第1収容空間S1において回転部材35よりも下流側に設けられる回転部材41と、回転部材41に隣接して設けられる回転部材42と、を備える。回転部材41の近傍には、第2脱気部70を接続している。第2脱気部70は、スクリュー71と、第4収容部72と、を備える。スクリュー71は、回転部材41の回転軸と交差する方向に平行な方向を回転軸として回転し、対になるように構成している。第4収容部72は、スクリュー71を収容する第4収容空間S4を備えるとともに第1収容部10と接続され、第1収容空間S1で発生した気体を吸引により排出可能なポンプと接続される。このように構成することによって、第1脱気部60と同様に材料の固形成分を第1収容空間S1に残しつつ、不要な水分をさらに排出することができる。また、第2脱気部70を回転部材42ではなく、螺旋のピッチが比較的大きい回転部材41の近傍で接続することによって、不要な水分を第1収容空間S1から排出し易くすることができる。
【0103】
なお、回転部材31~39、41、42の長手方向Xの全体長さに対する回転部材32、34の比率(すなわち、ニーディングブロック比率)は、例えば、18~32%、あるいは、22~27%でありうる。
【0104】
(脱水部50)
脱水部50は、第1収容部10で混練される水分等の気液成分を排出(脱水)するように構成している。脱水部50は、図5に示すように回転部材33と回転部材34との境界近傍において回転部材33、34の回転軸と交差する方向から第1収容部10に接続している。第1収容空間S1における回転部材33と回転部材34の境界付近では、少なくとも混練の際の第1収容空間S1における内部圧力が飽和蒸気圧となるように構成できる。
【0105】
脱水部50は、図5に示すようにスクリュー51(第3スクリューに相当)と、第2収容部52と、駆動部53と、を備える。スクリュー51は、回転部材31~39、41、42と交差する方向に回転し、対になるように構成している。駆動部53は、スクリュー51を回転させるモーターを備えるように構成している。第2収容部52は、図5に示すように第1収容部10と接続され、スクリュー51を収容する第2収容空間S2を設けた筐体等を備える。第2収容部52は、第2収容空間S2から水分を排出する。第2収容部52には水分を排出可能な開口部(図示省略)を設けている。開口部は、第2収容部52の上部等に設けることができる。
【0106】
上述のとおり、回転部材31~39、41、42は、回転部材31と回転部材33の間に配置され、板状部材を回転軸に並べて配置した回転部材32と、回転部材33よりも回転軸の下流側に配置される板状の回転部材34と、を備える。回転部材33と回転部材34の近傍には、脱水部50を接続している。脱水部50は、スクリュー51と、第2収容部52と、を備える。スクリュー51は、回転軸と交差する幅方向Yに平行な方向を回転軸として回転し、対となるように構成している。第2収容部52は、スクリュー51を収容する第2収容空間S2を備えるとともに第1収容部10と接続され水分を排出可能な開口部を設けている。このように構成することによって、材料に含まれる固形成分を第1収容部10の第1収容空間S1に残しつつ、不要な水分等を取り除くことができる。
【0107】
(第1脱気部60)
第1脱気部60は、第1収容部10において回転部材35が配置される近傍に接続するように構成している。第1脱気部60は、図5に示すようにスクリュー61(第5スクリューに相当)と、第3収容部62と、駆動部63と、を備える。スクリュー61は、回転部材31~39、41、42の回転軸と交差する方向に回転し、対になるように構成している。駆動部63は、脱水部50と同様にスクリュー61を回転駆動させるモーター等を備えるように構成している。第3収容部62は、回転部材35の近傍で第1収容部10と接続され、スクリュー61を収容する第3収容空間S3を設けた筐体等を備える。第3収容部62は、第3収容空間S3を介して第1収容空間S1で発生した気液成分を吸引可能な真空ポンプ等と接続している。
【0108】
(第2脱気部70)
第2脱気部70は、第1収容部10において回転部材41が配置される近傍において接続するように構成している。第2脱気部70は、図5に示すようにスクリュー71(第8スクリューに相当)と、第4収容部72と、駆動部73と、を、備える。スクリュー71は、回転部材31~39、41、42の回転軸と交差する方向に回転し、対になるように構成している。駆動部73は、第1脱気部60と同様にスクリュー71を回転駆動させるモーター等を備えるように構成している。第4収容部72は、回転部材41の近傍で第1収容部10と接続され、スクリュー71を収容する第4収容空間S4を設けた筐体等を備える。脱水部50のスクリュー51と第1脱気部60のスクリュー61と第2脱気部70のスクリュー71は、回転部材31~39、41、42の動作を妨げない程度に幅方向Yに沿って回転部材31~39、41、42に接近するように延在している。第4収容部72は、第4収容空間S4を介して第1収容空間S1で発生した気液成分を吸引可能な真空ポンプ等と接続している。なお、第2収容部52、第3収容部62、第4収容部72は、図5において便宜上、簡略化して図示している。
【0109】
このように、二軸混練装置1が2つの脱気部として第1脱気部60と第2脱気部70を備えるように構成することによって、含水率が高い材料を用いて混練を行った際に、第1脱気部60と第2脱気部70によって更に効率的に脱水を行うことができ米含有生分解性樹脂組成物(W)に不要な水分等を取り除くことができる。
【0110】
(排出部80)
排出部80は、図1等に示すように第1収容部10の下流側における外側に隣接して設けている。排出部80は、第1収容部10の第1収容空間S1において脱気された材料(以下、混練物とも称する)を紐状に形成するために設けられる。排出部80は、本実施形態において第1収容部10の長手方向Xにおける端部であって第1収容部10の第1収容空間S1と外部とを繋ぐ部位に設けた複数の穴形状を設けた部材を備えるように構成している。排出部80は、第1収容部10に配置された回転部材31~39、41、42等と同様にヒーター等の加熱装置を設けることによって加温することができる。
【0111】
(冷却部90)
冷却部90は、第1収容部10から排出された紐状の混練物を冷却するために設けられる。冷却部90は、図1に示すようにコンベヤー91と、液体供給部92と、気体供給部93と、を備える。
【0112】
コンベヤー91は、排出部80に隣接して設けている。コンベヤー91は、図2に示すように排出部80から排出された混練物を切断部110まで搬送するように構成している。コンベヤー91は、本実施形態において図2に示すように長手方向Xから高さ方向Zの正の方向に向かって傾斜した斜め方向に沿って延在するように構成している。ただし、コンベヤー91の延在方向は一例であって混練物を切断部110に搬送できれば、コンベヤーの具体的な搬送方向は図2等に限定されない。
【0113】
液体供給部92は、コンベヤー91上で搬送される混練物に比較的温度の低い冷却水を供給するように構成している。液体供給部92は、ホース等によって冷却水の供給源と接続された噴射ノズルをコンベヤー91の搬送方向に複数配置することによって構成している。
【0114】
気体供給部93は、所定の温度に調整された空気等の気体をコンベヤー91上で搬送される混練物に供給するように構成している。気体供給部93は、不図示のダクトと、ダクトに接続され、気体をコンベヤー91上の混練物に向けて噴射可能なブロワーを備えるように構成している。
【0115】
(切断部110)
切断部110は、排出部80から排出され、冷却部90において冷却された混練物を所定の長さにて切断するように構成している。切断部110は、図1に示すように混練物を送る送りローラー111と、送られた混練物を切断する刃物を備えた切断ローラー112と、を備えることができる。また、冷却された混練物は、乾燥を行うチャンバー等の設備(乾燥部と呼ぶことができる)において乾燥工程を実施することができる。
【0116】
続いて、図6のフローチャートを参照しながら、二軸混練装置100を用いた場合の典型的な米含有生分解性樹脂組成物(W)の製造方法について具体的に説明する。
【0117】
まず、生分解性樹脂(a)と米(b)を含む材料を、製造装置内に投入する(ST1)。材料は相溶化剤(e)を含みうる。ここで投入される米(b)は気乾状態であるため、これらの材料に加えて製造装置内に水も投入する。この場合、投入される水の量は、米の重量部(100重量部)に対して0.1~20重量部、0.5~15重量部、1~10重量部、2~6重量部、あるいは、2.5~5重量部の範囲とすることができる。この時点で第1収容部10の第1収容空間S1に配置された回転部材31~39、41、42は所定の温度に加温した状態(例えば、120~190℃)に設定することができる。回転部材31~39、41、42の温度は全て同じでも行っていてもよい。
【0118】
次に、投入部20のホッパーから投入された材料及び水は回転部材31に送られて樹脂溶解部に相当する回転部材32、33に搬送される。本発明の一実施形態において、第1収容空間S1における投入部に相当する部位の温度は、水分の突沸抑制の観点で、例えば40~90℃、50~85℃、あるいは、70~82℃である。本発明の一実施形態において、第1収容空間S1における樹脂溶解部に相当する部位の温度は、樹脂(a)を溶融させる観点で、例えば120~190℃、130~170℃、もしくは、132~165℃である。第1収容空間S1の樹脂溶解部で加温された状態において回転部材32、33によって上述した材料が水分と混練され、溶解する(ST2)。この際に材料に含まれる米(b)は加温された状態で水と混練されることによりアルファ化が開始される。
【0119】
そして、材料は混練部に相当する回転部材34へと送られ、混練が行われる(ST3)。混練部に相当する回転部材34では、上述のように回転部材34が樹脂溶解部に相当する回転部材32よりも薄く構成されることによって分散と撹拌が促進される。なお材料は混練が進むにつれて相溶が促進され形状・性状が変わっていくがその形態も含めて材料とも呼ぶ。回転部材34を通過した材料はさらに回転部材35に送られる。なお、本発明の一実施形態において、第1収容空間S1における混練部に相当する部位の温度は、効率的に混練する観点で、例えば130~195℃、150~190℃、あるいは、160~185℃である。
【0120】
また、材料が回転部材33から回転部材34へ送られる際に水分は脱水部50によって脱水される。このとき、スクリュー51が脱水部50の入り口付近で回転することによって材料の固形成分は第1収容空間S1に残ったまま下流側に送られ、水分等の気液成分が第2収容部52の開口部からある程度排出される。
【0121】
回転部材35では、材料が回転部材35によって下流側に送られつつ、第1脱気部60によって気液成分がさらに排出される(ST4)。第1脱気部60は、ポンプ等に接続されての水分等の気液成分が吸引される一方で、スクリュー61によって材料の固形成分は第1収容空間S1に残り、圧縮部に相当する回転部材36~39に送られる。
【0122】
圧縮部に相当する回転部材36~39では回転部材37、39の位置において上記の材料が上流側に送り戻されたうえで下流側に送られることによって、材料の密度が高くなるように圧縮の工程が行われる(ST5)。本発明の一実施形態において、第1収容空間S1における圧縮部に相当する部位の温度は、効率的に圧縮する観点で、例えば125~193℃、145~188℃、あるいは、155~182℃である。
【0123】
回転部材36~39を通過した材料は、回転部材41、42において排出部80に向けてさらに送られる。第2脱気部70では、ピッチの異なる回転部材41、42のうち、回転部材41の位置においてポンプ等によって水分等の気液成分がさらに吸引されて脱気される(ST6)。材料は、回転部材42によって回転部材41よりも送り速度が上昇しつつ、排出部80において複数の紐形状の混練物になって第1収容空間S1の外部に排出される。本発明の一実施形態において、排出部に相当する部位の温度は、効率的に排出する観点で、例えば125~193℃、145~188℃、あるいは、155~182℃である。
【0124】
本発明の一実施形態において、回転部材31~39、41、42の回転数は、100~300rpm、150~295rpm、あるいは、200~290rpmである。
【0125】
本発明の一実施形態において、二軸混練装置100における回転部材のL/D(図5中の(x方向のスクリュー全体長さ)÷(スクリュー1つの断面直径長さ))は、20~70、30~65、あるいは、40~60である。これを大きくすることによって材料の二軸混練装置100中での滞留時間を長くすることができ、アルファ化の程度を高めることができる。これによって前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さを小さく制御することができる。換言すれば、これを小さくすることによって最小外接矩形の短辺の平均長さを大きく制御することができる。アルファ化の程度を調整することによって前記(A)中に前記(B)を粒子状に分散させ、前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さを適切な範囲とさせることができる。
【0126】
冷却部90では、紐形状の混練物がコンベヤー91によって切断部110に向けて搬送される。この間に紐形状の混練物は、液体供給部92によって冷却水を吹きかけられて冷却され、その後、気体供給部93において冷却風に曝されることによって冷却される(ST7)。
【0127】
冷却部90を経た紐状の混練物は、送りローラー111によって搬送され、切断ローラー112によって所定の長さに切断され、米含有生分解性樹脂組成物(W)を得ることができる(ST8)。このようにして得られた米含有生分解性樹脂組成物(W)は、ペレット状でありうる。
【0128】
以上のように、生分解性樹脂(a)と米(b)を含む材料を混合することを有して米含有生分解性樹脂組成物(W)を一段階で作製することができるが、上述のとおり多段階で作製を行ってもよく、例えば、生分解性樹脂(a)と米(b)を含む材料を混合することを有して得られた米含有生分解性樹脂組成物(W)をマスターバッチ(V)として、当該マスターバッチ(V)と、追加の生分解性樹脂(a)とをさらに混合することを有することによって米含有生分解性樹脂組成物(W)を製造してもよい。マスターバッチ(V)を使用した米含有生分解性樹脂組成物(W)の製造方法における条件等は上述の説明をそのまま適用することができる。
【0129】
(米含有生分解性樹脂組成物(W)における好ましい組成)
続いて、米含有生分解性樹脂組成物(W)における好ましい組成の説明を行う。
【0130】
本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)中の生分解性樹脂(A)の含有率の上限は、米含有生分解性樹脂組成物の強度の観点から、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、あるいは、50重量%以下である。本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)中の生分解性樹脂(A)の含有率の下限は、生分解の速度を高める観点から、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、あるいは、85重量%以上である。なお、仕込みの材料における各組成と、その結果物の各組成とは、同様でありうる。そのため、本実施形態で言えば、米含有生分解性樹脂組成物(W)中の生分解性樹脂(A)の含有率は、米含有生分解性樹脂組成物(W)の材料中の生分解性樹脂(a)の含有率と読み替えることができる。その意味では、例えば、以下の生分解性樹脂(A)中のポリブチレンサクシネートの含有率についての説明は、生分解性樹脂(a)中のポリブチレンサクシネートの含有率と読み替えることができる。本明細書において同様に考える。
【0131】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)中のポリブチレンサクシネートの含有率が、70重量%以上、80重量%以上、89重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、あるいは100重量%である。
【0132】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)中のポリブチレンアジペートテレフタレートの含有率が、70重量%以上、80重量%以上、89重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、あるいは100重量%である。
【0133】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)中のポリブチレンサクシネートの含有率が、99重量%以下、98重量%以下、あるいは、97重量%以下であり、かつ、生分解性樹脂(A)中のポリ乳酸PLAおよびポリブチレンアジペートテレフタレートの少なくとも1種の含有率が、1重量%以上、2重量%以上、あるいは、3重量%以上である。本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)中のポリブチレンサクシネートの含有率が、85重量%以上、90重量%以上、あるいは、95重量%以上であり、かつ、生分解性樹脂(A)中のポリ乳酸およびポリブチレンアジペートテレフタレートの少なくとも1種の含有率が、15重量%以下、10重量%以下、あるいは、5重量%以下である。
【0134】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)中のポリブチレンサクシネートの含有率が、99.9重量%以下、99.5重量%以下、あるいは、99重量%以下であり、かつ、生分解性樹脂(A)中のポリカプロラクトンの含有率が、0.1重量%以上、0.5重量%以上、あるいは、1重量%以上である。本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)中のポリブチレンサクシネートの含有率が、97重量%以上、99重量%以上、あるいは、99重量%以上であり、かつ、生分解性樹脂(A)中のポリカプロラクトンの含有率が、3重量%以下、2重量%以下、あるいは、1重量%以下である。
【0135】
本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)は、生分解性ではない樹脂が含まれていてもよい。生分解性ではない樹脂の含有率は、徐溶性肥料用被覆材組成物の生分解性を維持する観点から、米含有生分解性樹脂組成物(W)中、10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下、あるいは0.5重量%以下であり得るが、徐溶性肥料用被覆材組成物が生分解性ではない樹脂を含まないことが好ましい。
【0136】
本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)中の米(B)の含有率の上限は、60重量%以下、50重量%以下、あるいは、40重量%以下である。本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)中の米(B)の含有率の下限は、2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、あるいは、30重量%以上である。米(B)(米(b))の重量は、米が含水している場合(気乾状態の場合を含む)、その水の量を除いた量(つまり固形分)に基づく。なお、含水率の計算は、カールフィッシャー電量滴定法(JIS K0113:2005)の方法に基づきうる。
【0137】
本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)中の相溶化剤(E)の含有率の上限は、複合材料化の観点から、10重量%以下、8重量%以下、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、あるいは、2.5重量%以下である。本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)中の相溶化剤(E)の含有率の下限は、相溶性の観点から、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、あるいは、1.8重量%以上である。
【0138】
本発明の一実施形態において、米(B)に対する相溶化剤(E)の含有率の上限は、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、あるいは、6重量%以下である。本発明の一実施形態において、米(B)に対する相溶化剤(E)の含有率の下限は、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、4.6重量%以上、あるいは、5重量%以上である。
【0139】
(米含有生分解性樹脂組成物(W)と、徐溶性調整剤(d)との混合)
本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、米含有生分解性樹脂組成物(W)と、徐溶性調整剤(d)とを混合することを有して製造されうる。
【0140】
本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)中の米含有生分解性樹脂組成物(W)の含有率は、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、あるいは、35重量%以上であり、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)中の徐溶性調整剤(D)の含有率は、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、あるいは、65重量%以下である。本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)中の徐溶性調整剤(D)の含有率は、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、45重量%以上、あるいは、55重量%以上であり、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)中の米含有生分解性樹脂組成物(W)の含有率は、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、50重量%以下、あるいは、45重量%以下である。上述のとおり、これらの含有率は仕込みにおける含有率に読み替えることができる。
【0141】
本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とに対する徐溶性調整剤(D)の含有率は、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、45重量%以上、あるいは、55重量%以上である。本発明の一実施形態において、生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とに対する徐溶性調整剤(D)の含有率は、90重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、70重量%未満、あるいは、65重量%以下である。透湿度と耐衝撃性の観点から、35重量%以上70重量%未満が特に好ましい。
【0142】
本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)と徐溶性調整剤(d)との混合は溶媒の存在下で行われる。溶媒は有機溶媒であることが好ましく、低分子アルコール(例えば、炭素数1~3のアルコール)以外の有機溶媒であることがより好ましい。本発明の一実施形態において、有機溶媒の種類は、塩素系溶剤(例えばトリクロロエチレン、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン及びクロロホルム等)、ケトン系溶剤(メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、芳香族系溶剤(ベンゼン、トルエン、キシレン及びオルトジクロロベンゼン等)、アミド系溶剤(N,N-ジメチルアセトアミド及びN,N-ジメチルホルムアミド)及びこれらの混合物等が好適である。米含有生分解性樹脂組成物(W)と徐溶性調整剤(d)との混合に使用される溶媒は微量であれば水や低分子アルコールを含んでもよいが、より効率的に最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の合計面積を5%以下にするためには水や低分子アルコールの含有率(2種以上ならその合計)は溶媒中、5重量%以下、3重量%以下、1重量%以下、0.1重量%以下、あるいは、0.01重量%以下である。
【0143】
本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)と徐溶性調整剤(d)との混合は、溶媒の非存在下で行われる。例えば、米含有生分解性樹脂組成物(W)と徐溶性調整剤(d)との混合を、溶媒の非存在下で、本態様の徐溶性肥料用被覆材組成物(X)が得られるような条件で加熱溶融混練等することによって行う。なお、かかる加熱溶融混練等は有機溶媒を存在させて行ってもよい。
【0144】
本発明の一実施形態において、米含有生分解性樹脂組成物(W)と徐溶性調整剤(d)との合計重量100gに、有機溶媒は、0.6~1.4L、0.7~1.3L、あるいは、0.8~1.2L使用される。
【0145】
本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、米含有生分解性樹脂組成物(W)と徐溶性調整剤(D)が溶媒の存在下で混合されることにより得られた溶液または分散液の形態である。本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、当該溶液または当該分散液を必要に応じて乾燥を行うことにより得られた固体の成形体の形態である。本発明の一実施形態において、当該成形体は、フィルム状や、粒状でありうる。フィルム状にするには溶液または分散液をキャストしてから溶剤を乾燥させる方法がある。粒状にするには溶液または分散液をスプレードライで噴霧乾燥させる方法がある。あるいは、上述のとおり、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は溶媒の非存在下で、加熱溶融混練で得ることもでき、その場合、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は粒状の成形体となる。なお、粒状の成形体をフィルム状の成形体にコンバートするには、粒状の成形体(ペレット)をヒートプレス等する方法もある。ヒートプレス等の条件には特に制限はないが、例えば180℃程度で、1分程度が好適である。
【0146】
本発明の一実施形態において、当該成形体が粒状である場合、その平均直径は、0.5~30mmでありうる。この平均直径の測定方法は生分解性樹脂(a)や米(b)と同様でありうる。
【0147】
本発明の一態様の徐溶性肥料用被覆材組成物(X)は、農業用途(田畑、水田等)、とりわけ、水田に散布する肥料の被覆層(肥料コーティング層)として有用である。
【0148】
<徐溶性肥料>
本発明の一態様においては、1以上の被覆層で肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる徐溶性肥料であり、前記1以上の被覆層に、上記の徐溶性肥料用被覆材組成物からなる被覆層(L)が少なくとも1層含まれる徐溶性肥料が提供される。肥料(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本明細書において、「被覆層で肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる」とは、被覆層が肥料(C)の表面を直接被覆することのみならず、保護層等の別の層を介在して被覆することを含む。
【0149】
すなわち、本発明の一態様においては、1以上の被覆層で肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる、生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料であり、前記1以上の被覆層に、下記(1)~(5)のすべてを満たす被覆層(M)が少なくとも1層含まれる徐溶性肥料:(1)前記被覆層(M)中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である;(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である;(4)前記被覆層(M)の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;(5)前記徐溶性調整剤(D)が、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、および、数平均分子量(Mn)が300~1500である、ことの少なくとも一方を満たす化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2が提供される。なお、(1)~(5)についての説明は上記の説明が同様に妥当する。
【0150】
本発明の一実施形態において、被覆層(L)および被覆層(M)の膜厚は、徐溶性コントロール及び生産性とコストの観点から、10~150μmが好ましく、10~130μmが特に好ましい。
【0151】
被覆層(L)および被覆層(M)の膜厚は、以下のように測定することができる。すなわち、本発明の徐溶性肥料の重心を通るようにカミソリで2分割に切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、任意の1か所の被覆層(L)又は被覆層(M)の厚み(μm)を計測する。5つの粒子をランダムに選択し上記のように切断、被覆層(L)又は被覆層(M)の厚みを計測し、5つの粒子の被覆層(L)又は被覆層(M)の厚みの平均を被覆層(L)又は被覆層(M)の平均膜厚(μm)とする。
【0152】
(肥料(C))
本発明の一実施形態において、肥料(C)としては、公知の粒状化学肥料を用いることができる。具体例としては、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩及びこれらを二つ以上複合したもの等が挙げられる。また、上記肥料(C)表面にワックス類(パラフィンワックス、ライスワックス及びエステルワックス等の少なくとも1種)等からなる保護層を有する肥料も用いることができる。
【0153】
仮に、上記表面に存在する保護層に含まれる成分あるいは保護層全体が、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、および、数平均分子量(Mn)300~1500である、ことの少なくとも一方を満たし、かつ、溶解性パラメータ(SP)8~10(cal/cm1/2にも該当する場合は、当該成分および当該保護層全体は、徐溶性肥料においては、徐溶性調整剤(D1)の範疇と見做す。本発明の一実施形態において、保護層に含まれる成分あるいは保護層全体は、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有さず、数平均分子量(Mn)300~1500の範囲外で、かつ、溶解性パラメータ(SP)8~10(cal/cm1/2に該当しない。
【0154】
保護層の膜厚は、徐溶性コントロール及び生産性とコストの観点から、3~100μmが好ましく、5~70μmが特に好ましい。膜厚の測定方法は、被覆層(L)および被覆層(M)の膜厚の測定方法と同様である。
【0155】
保護層の作製は、保護層を形成する成分を有機溶媒に溶解または分散させ、肥料に噴霧し、その後乾燥することによってなしうる。これに、被覆層(L)または被覆層(M)を形成することで、本発明の徐溶性肥料となる。
【0156】
窒素肥料は主成分として含窒素化合物を含有する肥料であり、特に限定されないが、尿素、ホルムアルデヒド縮合尿素やイソブチルアルデヒド縮合尿素等のアルデヒド縮合尿素類、硫酸グアニル尿素類、石灰窒素、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられる。
【0157】
リン酸肥料としては、特に限定されないが、リン酸二水素アンモニウム、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン肥及び焼成リン肥料等が挙げられる。
【0158】
カリ肥料はカリウムを主成分とする肥料であり、特に限定されないが、硝酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム及びケイ酸カリウム等が挙げられる。
【0159】
カルシウム塩としては、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム及び塩化カルシウム等が挙げられる。マグネシウム塩としては、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム及びリン酸マグネシウム等が挙げられる。鉄塩としては、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩酸第一鉄及び塩酸第二鉄等が挙げられる。
【0160】
本発明の一実施形態において、肥料(C)としては、粒状のものが好ましい。その場合、重量平均粒子径は、好ましくは1mm~20mm、さらに好ましくは2mm~10mmである。
【0161】
(被覆層の作製)
被覆層の作製、すなわち、徐溶性肥料を作製する方法は、公知の方法をそのままあるいは組み合わせることでなしうる。本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物(X)の作製のために、米含有生分解性樹脂組成物(W)と徐溶性調整剤(d)とが溶媒の存在下で混合されることにより得られた溶液または分散液をそのまま既知のコーティング装置を用いて肥料(C)に噴霧等で適用し、その後、乾燥する方法がある。
【0162】
本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物100重量部が適用される、肥料(C)の重量部は、400重量部以上、500重量部以上、600重量部以上、700重量部以上、あるいは、800重量部以上である。本発明の一実施形態において、徐溶性肥料用被覆材組成物100重量部が適用される、肥料(C)の重量部は、4000重量部以下、3000重量部以下、2500重量部以下、2000重量部以下、1500重量部以下、1200重量部以下、あるいは、1000重量部以下である。肥料の徐溶性及び生産性とコストの観点から400重量部以上4000重量部以下が好ましく、500重量部以上4000重量部以下が更に好ましい。なお表面に保護層を有する肥料(C)の重量は、保護層の重量を除外して計算する。本発明の一実施形態において、肥料(C)の重量に対する保護層の重量は、0.5~18.8重量%、あるいは、0.9~13.1重量%が好適である。
【0163】
本発明の一実施形態において、肥料(C)を加熱しておいてもよい。肥料予熱温度は、35~60℃、あるいは、38~50℃程度がよい。
【0164】
本発明の一実施形態において、噴霧する際の給気温度の温度を調整することもできる。給気温度は、例えば、35~60℃、あるいは、38~50℃程度がよい。
【0165】
本発明の一実施形態において、噴霧時のパルス圧は、0.2~0.5MPa程度が好適である。
【0166】
本発明の一実施形態において、噴霧後の乾燥温度は、10~120℃程度がよい。
【0167】
本発明の一態様の徐溶性肥料は、農業用途(田畑、水田等)、とりわけ、水田に散布する肥料として有用である。
【実施例0168】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0169】
実施例および比較例に使用した原料の組成、記号等は次の通りである。
【0170】
<生分解性樹脂(A)>
(A-1):ポリブチレンサクシネート [フォゼアス(登録商標)ZA9005、三菱ケミカル社製、SP値(SP)10.9(cal/cm1/2
(A-2):ポリブチレンアジペートテレフタレート [Ecoflex(登録商標)F Blend C1200、BASF社製、SP値(SP)11.1(cal/cm1/2
(A-3):ポリカプロラクトン [CAPA(登録商標)6500、Perstorp社製、SP値(SP)10.2(cal/cm1/2
(A-4):ポリ乳酸 [Luminy(登録商標)L130、トタルコービオンPLA社製、SP値(SP)11.1(cal/cm1/2
(A-5):ポリブチレンサクシネート [BioPBS(登録商標)FZ91、三菱ケミカル社製、SP値(SP)10.9(cal/cm1/2
(A-6):ポリブチレンサクシネート-co-アジペート [BioPBS(登録商標)FD92、三菱ケミカル社製、SP値(SP)10.7(cal/cm1/2
(A-7)ポリブチレンサクシネートテレフタレート [Ecoflex(登録商標)FS BlendB1100、BASF社製、SP値(SP)11.3(cal/cm1/2]。
【0171】
<米(B)>
(B-1):精米 [中白米、含水率12%、新潟ケンベイ社製]。
【0172】
<肥料(C)>
(C-1):尿素[粒子径2.0~4.0mm、平均粒子径3.3mm、円形度係数0.9]
(C-2):製造例21で製造した化合物[平均粒子径3.3mm、円形度係数0.9]
(C-3):製造例22で製造した化合物[平均粒子径3.3mm、円形度係数0.9]
(C-4):製造例23で製造した化合物[平均粒子径3.3mm、円形度係数0.9]
(C-5):製造例24で製造した化合物[平均粒子径3.4mm、円形度係数0.9]。
【0173】
<徐溶性調整剤(D)>
(D1-1):製造例17で製造した化合物
(D1-2):製造例18で製造した化合物
(D1-3):製造例19で製造した化合物
(D1-4):製造例20で製造した化合物
(D1-5):パラフィンワックス[「Paraffin Wax-120」、日本精蝋社製、溶解性パラメータ(SPD1)8.0(cal/cm1/2、融点50℃、数平均分子量300]
(D1-6):パラフィンワックス[「HNP-9」、日本精蝋社製、溶解性パラメータ(SPD1)8.0(cal/cm1/2、融点75℃、数平均分子量500]
(D1-7):マイクロクリスタリンワックス[「Hi-Mic-1090」、日本精蝋社製、溶解性パラメータ(SPD1)8.0(cal/cm1/2、融点88℃、数平均分子量800]。
【0174】
(D1)及び(D2)を含有する天然ロウ(D12):
(D12-1):ライスワックス[「ライスブランワックス XECO-0002B」、日本精蝋社製、溶解性パラメータ(SPD1)8.6(cal/cm1/2、融点87℃、D1の数平均分子量790];(D1)95重量%及び(D2)2重量%を含有する。全体の数平均分子量もD1の数平均分子量とほとんど同じである、
(D12-2):ライスワックス[「ライスワックスA-1」、セラリカNODA社製、溶解性パラメータ(SPD1)8.6(cal/cm1/2、融点80℃、D1の数平均分子量790];(D1)90重量%及び(D2)7重量%を含有する。全体の数平均分子量もD1の数平均分子量とほとんど同じである、
(D12-3):ライスワックス[「R WAX KG-N」、小倉合成工業社製、溶解性パラメータ(SPD1)8.7(cal/cm1/2、融点78℃、D1の数平均分子量790];(D1)75重量%及び(D2)20重量%を含有する。全体の数平均分子量もD1の数平均分子量とほとんど同じである、
(D12-4):蜜蝋[「精製未晒蜜蝋 ガードナーNo.5」、三木化学工業社製、溶解性パラメータ(SPD1)8.6(cal/cm1/2、融点80~86℃、D1の数平均分子量670];(D1)70重量%及び(D2)15重量%を含有する。全体の数平均分子量もD1の数平均分子量とほとんど同じである。
【0175】
有機化クレイ(D3):
(D3-1):有機化ベントナイト[「クニビス217」、クニミネ工業社製、メジアン径10~20μm]
(D3-2):有機化ベントナイト[「クニビス127」、クニミネ工業社製、メジアン径10~20μm]
(D3-3):有機化マイカ[「ソマシフMAE」、片倉コープアグリ社製、メジアン径10~20μm]。
【0176】
<比較の添加剤(RD)>
(RD1-1):パラフィンワックス[「ハイワックス(登録商標)200P」、三井化学社製、溶解性パラメータ8.0(cal/cm1/2、融点122℃、数平均分子量2000]
(RD1-2):低密度ポリエチレン[「ノバテック(登録商標)LJ401」、日本ポリエチレン社製、溶解性パラメータ7.7(cal/cm1/2、数平均分子量>1万]
(RD1-3):グリセリンモノオレート[「リケマール OL-100」、理研ビタミン社製、溶解性パラメータ11.1(cal/cm1/2、融点約37℃]。
【0177】
<相溶化剤(E)>
(E-1):グリセリン脂肪酸エステル[アセチル化モノグリセライド;グリセリンジアセトモノラウレート、「バイオサイザー」、理研ビタミン社製]
(E-2):脂肪酸エステル系界面活性剤[ポリグリセリン脂肪酸エステル、「チラバゾールVR-07」、太陽化学社製]。
【0178】
製造例1[米含有生分解性樹脂組成物(W-1)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)47.0重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率{(V)の重量に基づく(B)の含有量}50重量%の米含有生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-1)を作製した。
【0179】
二軸混練装置100の回転部材のL/Dは50とした。回転部30の回転部材は上述した回転部材31~39、41、42を用いた。回転部材31~39、41、42の長手方向Xの全体長さに対する回転部材32、34の比率(ニーディングブロック比率)は25%とした。上記の材料は投入部20から第1収容空間S1に供給した。なお、材料が固体である場合は、ホッパーから供給し、材料が液体である場合はホッパーからチューブポンプを用いて供給した。また、蒸留水3重量部も、ホッパーからチューブポンプを用いて第1収容空間S1に供給した。回転部材31~39、41、42の回転数は、280rpmとした。そして、第1収容空間S1における投入部に相当する部位を80℃、樹脂溶解部に相当する部位を160℃、混練部に相当する部位を180℃に加温した。
【0180】
また、第1収容空間S1における第1脱気部60と第2脱気部70との接続部を160℃、圧縮部に相当する部位を170℃、排出部80を180℃に加温した。
【0181】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-1)60.0重量部と、(A-1)40.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって、米固形分含有率{(V)の重量に基づく(B)の含有量}30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-1)のペレットを得た。
【0182】
得られた(W-1)における重量比[(A)/(B)]は69/31、(W-1)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは2.3μm、(W-1)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0183】
製造例2[米含有生分解性樹脂組成物(W-2)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)57.0重量部、精米(B-1)40.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:44.8重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率40重量%生分解性樹脂組成物(W-2)を得た。
【0184】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0185】
得られた(W-2)における重量比[(A)/(B)]は59/41であり、(W-2)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは2.5μm、(W-2)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0186】
製造例3[米含有生分解性樹脂組成物(W-3)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)37.0重量部、精米(B-1)60.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:67.2重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率60%生分解性樹脂組成物(W-3)を得た。
【0187】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0188】
得られた(W-3)における重量比[(A)/(B)]は38/62であり、(W-3)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは2.6μm、(W-3)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0189】
製造例4[米含有生分解性樹脂組成物(W-4)の製造]
ポリブチレンアジペートテレフタレート(A-2)47.0重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-2)を作製した。
【0190】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-2)60.0重量部と、(A-2)40.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-4)のペレットを得た。
【0191】
得られた(W-4)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-4)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは15μm、(W-4)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は1.0%であった。
【0192】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0193】
製造例5[米含有生分解性樹脂組成物(W-5)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)46.5重量部、ポリカプロラクトン(A-3)0.5重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-3)を作製した。
【0194】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-3)60.0重量部と、(A-1)39.6重量部と、(A-3)0.4部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-5)のペレットを得た。
【0195】
得られた(W-5)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-4)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは3.8μm、(W-5)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0196】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0197】
製造例6[米含有生分解性樹脂組成物(W-6)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)28.2重量部、ポリブチレンアジペートテレフタレート(A-2)9.4重量部、ポリ乳酸(A-4)9.4重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)、グリセリン脂肪酸エステル(E-1)2.4重量部及び脂肪酸エステル系界面活性剤(E-2)0.6重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-4)を作製した。
【0198】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-4)60.0重量部と、(A-2)8.0重量部と、(A-4)8.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-6)のペレットを得た。
【0199】
得られた(W-6)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-6)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは5.1μm、(W-6)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は1.0%であった。
【0200】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0201】
製造例7[米含有生分解性樹脂組成物(W-7)の製造] ポリブチレンサクシネート(A-1)49.0重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)1.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-5)を作製した。
【0202】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-5)50.0重量部と、(A-1)50.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率25重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-7)のペレットを得た。
【0203】
得られた(W-7)における重量比[(A)/(B)]は74/26であり、(W-7)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは35μm、(W-7)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は3.0%であった。
【0204】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0205】
製造例8[米含有生分解性樹脂組成物(W-8)の製造]
製造例1と同様にして、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-1)を作製した。
【0206】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-1)4.0重量部と、(A-1)96.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率2重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-8)のペレットを得た。
【0207】
得られた(W-8)における重量比[(A)/(B)]は98/2であり、(W-8)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは1.9μm、(W-7)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0208】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0209】
製造例9[米含有生分解性樹脂組成物(W-9)の製造]
製造例7と同様にして、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-5)を作製した。
【0210】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-5)60.0重量部と、(A-1)40.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-9)のペレットを得た。
【0211】
得られた(W-9)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-9)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは40μm、(W-7)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は5.0%であった。
【0212】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0213】
製造例10[米含有生分解性樹脂組成物(W-10)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)47.0重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率{(V)の重量に基づく(B)の含有量}50重量%の米含有生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-6)を作製した。
【0214】
混練条件は、二軸混練装置100の回転部材のL/Dを70に変更する以外は製造例1と同様とした。
【0215】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-6)60.0重量部と、(A-1)40.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-10)のペレットを得た。
【0216】
得られた(W-10)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-10)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは0.5μm、(W-10)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0217】
製造例11[米含有生分解性樹脂組成物(W-11)の製造]
製造例10と同様にして、米固形分含有率50重量%の米含有生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-6)を作製した。
【0218】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-6)20.0重量部と、(A-1)80.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率10重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-11)のペレットを得た。
【0219】
得られた(W-11)における重量比[(A)/(B)]は90/10であり、(W-11)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは0.1μm、(W-11)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0220】
なお、混練条件は製造例10と同様とした。
【0221】
製造例12[米含有生分解性樹脂組成物(W-12)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-5)47.0重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率{(V)の重量に基づく(B)の含有量}50重量%の米含有生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-8)を作製した。
【0222】
混練条件は、製造例1と同様とした。
【0223】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-8)60.0重量部と、(A-5)40.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-12)のペレットを得た。
【0224】
得られた(W-12)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-12)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは2.3μm、(W-12)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0225】
製造例13[米含有生分解性樹脂組成物(W-13)の製造]
ポリブチレンサクシネート-co-アジペート(A-6)47.0重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率{(V)の重量に基づく(B)の含有量}50重量%の米含有生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-9)を作製した。
【0226】
混練条件は、製造例1と同様とした。
【0227】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-9)60.0重量部と、(A-6)40.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-13)のペレットを得た。
【0228】
得られた(W-13)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-13)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは2.2μm、(W-13)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0229】
製造例14[米含有生分解性樹脂組成物(W-14)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-5)23.5重量部、ポリブチレンサクシネート-co-アジペート(A-6)23.5重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率{(V)の重量に基づく(B)の含有量}50重量%の米含有生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-10)を作製した。
【0230】
混練条件は、製造例1と同様とした。
【0231】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-10)60.0重量部と、(A-5)20.0重量部と、(A-6)20.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-14)のペレットを得た。
【0232】
得られた(W-14)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-14)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは2.4μm、(W-14)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0233】
製造例15[米含有生分解性樹脂組成物(W-15)の製造]
ポリブチレンサクシネートテレフタレート(A-7)47.0重量部、精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率{(V)の重量に基づく(B)の含有量}50重量%の米含有生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-11)を作製した。
【0234】
混練条件は、製造例1と同様とした。
【0235】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-11)60.0重量部と、(A-7)40.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-15)のペレットを得た。
【0236】
得られた(W-15)における重量比[(A)/(B)]は69/31であり、(W-15)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは2.1μm、(W-15)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0237】
製造例16[米含有生分解性樹脂組成物(W-16)の製造]
製造例13と同様にして、米固形分含有率50重量%の米含有生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-9)を作製した。
【0238】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-9)4.0重量部と、(A-6)96.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率2重量%である米含有生分解性樹脂組成物(W-16)のペレットを得た。
【0239】
得られた(W-16)における重量比[(A)/(B)]は98/2であり、(W-16)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは2.1μm、(W-16)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0240】
比較製造例1[比較の米含有樹脂組成物(RW-1)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)10.0重量部、精米(B-1)90.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:102.3重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、容量60mL)を使用して150℃で5分、100回転の条件で混練することにより、米固形分含有率90重量%である比較の米含有樹脂組成物(RW-1)の製造を試みたが、(B-1)が(A-1)中に粒子状に分散した組成物を得ることができず、(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ、及び、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は計測していない。
【0241】
比較製造例2[比較の米含有樹脂組成物(RW-2)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)15.0重量部、精米(B-1)85.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:96.6重量部)及びグリセリン脂肪酸エステル(E-1)3.0重量部を、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、容量60mL)を使用して150℃で5分、100回転の条件で混練することにより、米固形分含有率85重量%である比較の米含有樹脂組成物(RW-2)の製造を試みたが、(B-1)が(A-1)中に粒子状に分散した組成物を得ることができず、(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ、及び、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は計測していない。
【0242】
比較製造例3[比較の米含有樹脂組成物(RW-3)の製造]
製造例1と同様にして、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-1)を作製した。
【0243】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-1)2.0重量部と、(A-1)98.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率1重量%である米含有生分解性樹脂組成物(RW-3)のペレットを得た。
【0244】
得られた(RW-3)における重量比[(A)/(B)]は99/1であり、(RW-3)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは1.8μm、(RW-3)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は0.1%未満であった。
【0245】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0246】
比較製造例4[比較の米含有樹脂組成物(RW-4)の製造]
ポリブチレンサクシネート(A-1)50.0重量部及び精米(B-1)50.0重量部(含水率12%の(B-1)の仕込量:56.0重量部)を、同方向に回転する二軸混練装置100を使用して混練することにより、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-7)を作製した。
【0247】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-7)50.0重量部と、(A-1)50.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率25重量%である米含有生分解性樹脂組成物(RW-4)のペレットを得た。
【0248】
得られた(RW-4)における重量比[(A)/(B)]は75/25であり、(RW-4)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは50μm、(RW-4)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は5.0%であった。
【0249】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0250】
比較製造例5[比較の米含有樹脂組成物(RW-5)の製造]
比較製造例4と同様にして、米固形分含有率50重量%の生分解性樹脂組成物マスターバッチ(V-7)を作製した。
【0251】
次に、同一の二軸混練装置100を使用して、上記で得られたマスターバッチ(V-7)60.0重量部と、(A-1)40.0重量部とを投入部20から第1収容空間S1に供給し、前段と同じ条件で再混練することによって米固形分含有率30重量%である米含有生分解性樹脂組成物(RW-5)のペレットを得た。
【0252】
得られた(RW-5)における重量比[(A)/(B)]は70/30であり、(RW-5)における(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さは40μm、(RW-4)における(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は10.0%であった。
【0253】
なお、混練条件は製造例1と同様とした。
【0254】
製造例17[徐溶性調整剤(D1-1)の製造]
減圧操作可能なコルベンにベヘニルアルコール100重量部及びセバシン酸31重量部を仕込み、窒素ガスを通じながら撹拌し、常圧下で徐々に230℃まで昇温した後、230℃にて10時間反応させた。次に、同温度で徐々に減圧し760~40mmHgにて10時間反応させることにより、エステル基を有する徐溶性調整剤(D1-1)[数平均分子量790、融点78℃、SP値(SPD1)8.8(cal/cm1/2]を得た。
【0255】
製造例18[徐溶性調整剤(D1-2)の製造]
減圧操作可能なコルベンにゲジルアルコール100重量部、ドデカンジオール23重量部及びセバシン酸46重量部を仕込み、製造例17と同様の条件で反応させることにより、エステル基を有する徐溶性調整剤(D1-2)[数平均分子量1470、融点88℃、SP値(SPD1)8.9(cal/cm1/2]を得た。
【0256】
製造例19[徐溶性調整剤(D1-3)の製造]
減圧操作可能なコルベンにベヘニルアルコール100重量部を仕込み、窒素ガスを通じながら撹拌し、常圧下で徐々に80℃まで昇温した。そこに、ヘキサメチレンジイソシアネート18部を仕込み、80℃にて約10時間反応させることにより、ウレタン基を有する徐溶性調整剤(D1-3)[数平均分子量820、融点75℃、SP値(SPD1)9.0(cal/cm1/2]を得た。
【0257】
製造例20[徐溶性調整剤(D1-4)の製造]
減圧操作可能なコルベンにデカン酸100重量部、ヘキサメチレンジアミン135重量部を仕込み、窒素ガスを通じながら撹拌し、常圧下で徐々に150℃まで昇温した後、150℃にて5時間反応させた。次に、210℃に昇温して5時間反応させることにより、アミド基を有する徐溶性調整剤(D1-4)[数平均分子量420、融点98℃、SP値(SPD1)10.0(cal/cm1/2]を得た。
【0258】
各製造例および各比較製造例の組成のまとめを表1(表1-1、表1-2)に示す。
【0259】
【表1-1】
【0260】
【表1-2】
【0261】
実施例1[徐溶性肥料用被覆材組成物(X-1)の製造]
米含有生分解性樹脂組成物(W-1)40重量部と徐溶性調整剤(D1-1)30重量部と有機化クレイ(D3-1)30重量部を合計100gとなるよう、1Lのトリクロロエチレンにスターラーを用いて溶解もしくは分散させた。その後、50℃に保温したホットプレートの上に20cm×20cm×0.5cmのガラス板を乗せ、そのガラス板上面の両端に厚み50μmの養生テープを貼った。45℃の熱風をガラス板と平行になるような風向きでガラスから5cm離れたところに吸気しながら、ガラス板の両端に貼った養生テープの間に上記溶液を5g流し込み、ガラス棒を用いて均した。その後、残留している溶剤を揮発させる目的で10分静置することにより、キャスト膜状の徐溶性肥料用被覆材組成物(X-1)を得た。
【0262】
実施例2~39及び比較例1~10[徐溶性肥料用被覆材組成物(X-2)~(X-39)及び比較用の被覆材組成物(RX-1)~(RX-10)の製造]
それぞれ表2(表2-1~表2-3)に示す原料(重量部)を用いる以外は実施例1と同様にして、徐溶性肥料用被覆材組成物(X-2)~(X-39)及び比較用の被覆材組成物(RX-1)~(RX-10)を得た。得られた各(X)及び(RX)における(D1)のSP値[SPD1](又は(RD1)のSP値[SPRD1]、(A)のSP値と(D1)のSP値の差[(SP)-(SPD1)]{又は(A)のSP値と(RD1)のSP値の差[(SP)-(SPRD1)]}、重量比[(A)/(B)]、重量比[(D1)/(D2)]、重量比[(D)/(A)+(B)+(D)]と、下記の方法で測定した各(X)における(A)中の(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ及び被覆材組成物の成形体の断面における、すべての前記(B)の断面積の合計面積に対する最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の割合(%)を表2(表2-1~表2-3)に示した。ただし、比較例4の(RX-4)と比較例7の(RX-7)は、(B-1)が(A-1)中に粒子状に分散した組成物が得ることができず、(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ、及び、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は計測しておらず「-」と示した。
【0263】
<「(A)中の(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ」と、「被覆材組成物の成形体の断面における、すべての前記(B)の断面積の合計面積に対する最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の割合(%)」の測定・算出方法>
各実施例で得られた徐溶性肥料用被覆材組成物のキャスト膜を、可視光硬化性包埋樹脂(D-800、日新EM社製)で包埋し、ウルトラミクロトーム(EM6、ライカ社製)により80nm厚にキャスト膜の厚み方向の断面が観察できるように切削して得られた断面(被覆材組成物の成形体の断面)を、真空染色装置(フィルジェン社製)によりルテニウム染色した。その後、透過型電子顕微鏡(JEM-1400Flash、日本電子社製)を用い、加速電圧80kV、倍率300倍(測定視野100μm×100μm)で断面を観察・撮影した。
【0264】
撮影した画像を画像解析ソフトウェア(Winroof2018、三谷商事社製)に取り込み、測定視野(100μm×100μm)に含まれるすべての前記(B)の最小外接矩形の短辺の長さを算出した。また、測定視野に含まれるすべての前記(B)の最小外接矩形の短辺の長さの合計値を、測定視野に含まれる前記(B)の粒子の数で割ることにより、被覆材組成物における、前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ(μm)を算出した。
【0265】
また、測定視野に含まれるすべての前記(B)の断面積の合計面積と、前記(B)の最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積を求め、前記被覆材組成物の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積の、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にした百分率(%)を算出した。
【0266】
なお、「(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ(μm)」と「最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積の、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にした百分率(%)」は、各被覆材組成物について5ヶ所の断面を切り出し、同じ方法で5回解析を行い、5回の平均値を分析値とした。
【0267】
なお、米含有樹脂組成物(W)、徐溶性肥料の被覆層(M)および被覆層(L)の断面についても、同様に測定・算出できる。
【0268】
・米含有樹脂組成物(W):ペレットサンプル(ペレット状の米含有生分解性樹脂組成物(W))を、可視光硬化性包埋樹脂(D-800、日新EM社製)で包埋し、ウルトラミクロトーム(EM6、ライカ社製)により、流れ方向に対して垂直に80nm厚で切断して得られた断面を、真空染色装置(フィルジェン社製)によりルテニウム染色し、その余は、上記の徐溶性肥料用被覆材組成物における方法と同じである。
【0269】
・徐溶性肥料の被覆層(L)又は(M):各徐溶性肥料を、可視光硬化性包埋樹脂(D-800、日新EM社製)で包埋し、ウルトラミクロトーム(EM6、ライカ社製)により被覆層の表面を80nm厚で肥料は切らないように切削して得られた断面を、真空染色装置(フィルジェン社製)によりルテニウム染色し、その余は、上記の徐溶性肥料用被覆材組成物における方法と同じである。
【0270】
実施例及び比較例で得られた各被覆材組成物について、透湿度及び生分解性(崩壊度)を下記方法で測定・評価した結果を表2(表2-1~表2-3)に示す。なお、透湿度及び生分解性(崩壊度)については被覆材組成物に対して行い、残りは徐溶性肥料に対して行う。
【0271】
(1)被覆材組成物の透湿度
実施例及び比較例で得られた各被覆材組成物のフィルムを測定用試料とし、透湿度カップ法(JIS Z0208-1976)に準じて、透湿度(単位:g/m・24hr)を測定した。
【0272】
(2)被覆材組成物の生分解性(崩壊度)
実施例及び比較例で得られた各被覆材組成物のフィルムを15mm×15mm×各膜厚の厚さにせん断したのち、JIS K6954に準じて、崩壊度(%)を測定した。25℃、90日後の崩壊度を下記基準で評価した。
【0273】
<評価基準>
◎:80%以上、
〇:60%以上80%未満、
△:10%以上60%未満、
×:10%未満。
【0274】
【表2-1】
【0275】
【表2-2】
【0276】
【表2-3】
【0277】
実施例40[徐溶性肥料(Y-1)の製造]
徐溶性肥料用被覆材組成物(X-1)100gを、1Lのトリクロロエチレンに溶解もしくは分散させた。その後、噴流層による流動コーティング装置[スパイラフローSFC-LABO、フロイント社製]を用いて、尿素(C-1)788gに噴霧、乾燥することにより被覆肥料(Y-1)を得た。
【0278】
肥料予熱温度:40℃
給気温度:50℃
パルス圧:0.3MPa。
【0279】
製造例21[肥料(C-2)の製造]
ライスワックス[「ライスブランワックス XECO-0002B」、日本精蝋社製]50gを、0.5Lのトリクロロエチレンに溶解もしくは分散させた。その後、噴流層による流動コーティング装置[スパイラフローSFC-LABO、フロイント社製]を用いて、尿素(C-1)710gに噴霧、乾燥することにより、エステルワックスからなる保護層を有する肥料(C-2)を得た。
【0280】
なお、肥料予熱温度:40℃、給気温度:50℃、パルス圧:0.3MPaとした。
【0281】
製造例22[肥料(C-3)の製造]
パラフィンワックス[「HNP-9」、日本精蝋社製]50gを、0.5Lのトリクロロエチレンに溶解もしくは分散させた。その後、噴流層による流動コーティング装置[スパイラフローSFC-LABO、フロイント社製]を用いて、尿素(C-1)710gに噴霧、乾燥することにより、パラフィンワックスからなる保護層を有する肥料(C-3)を得た。
【0282】
なお、肥料予熱温度:40℃、給気温度:50℃、パルス圧:0.3MPaとした。
【0283】
製造例23[肥料(C-4)の製造]
パラフィンワックス[「HNP-9」、日本精蝋社製]]10gを、0.5Lのトリクロロエチレンに溶解もしくは分散させた。その後、噴流層による流動コーティング装置[スパイラフローSFC-LABO、フロイント社製]を用いて、尿素(C-1)710gに噴霧、乾燥することにより、パラフィンワックスからなる保護層を有する肥料(C-3)を得た。
【0284】
なお、肥料予熱温度:40℃、給気温度:50℃、パルス圧:0.3MPaとした。
【0285】
製造例24[肥料(C-5)の製造]
パラフィンワックス[「HNP-9」、日本精蝋社製]]90gを、0.5Lのトリクロロエチレンに溶解もしくは分散させた。その後、噴流層による流動コーティング装置[スパイラフローSFC-LABO、フロイント社製]を用いて、尿素(C-1)710gに噴霧、乾燥することにより、パラフィンワックスからなる保護層を有する肥料(C-3)を得た。
【0286】
なお、肥料予熱温度:40℃、給気温度:50℃、パルス圧:0.3MPaとした。
【0287】
なお、肥料(C-2)~肥料(C-5)は、肥料(C-1)(尿素)の表面に保護層を設けることによってそれぞれ形成されており、表3(表3-4~表3-5)に示されている肥料(C-2)~肥料(C-5)の部数はあくまで肥料(C-1)に相当する部数が示されている。
【0288】
実施例41~87[徐溶性肥料(Y-2)~(Y-48)及び比較用の肥料(RY-1)~(RY-10)の製造]
それぞれ表3(表3-1~表3-6)に示す原料(g)を用いる以外は実施例40と同様にして、徐溶性肥料(Y-2)~(Y-48)及び比較用の肥料(RY-1)~(RY-10)を得た。得られた各(Y)及び(RY)における(D1)のSP値[SPD1](又は(RD1)のSP値[SPRD1]、(A)のSP値と(D1)のSP値の差[(SP)-(SPD1)]{又は(A)のSP値と(RD1)のSP値の差[(SP)-(SPRD1)]}、重量比[(A)/(B)]、重量比[(D1)/(D2)]、重量比[(D)/(A)+(B)+(D)]と、上述の方法で測定した被覆層における(A)中の(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ及び被覆層の断面における、すべての前記(B)の断面積の合計面積に対する最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の割合(%)を表3(表3-1~表3-6)に示した。
【0289】
実施例及び比較例で得られた各徐溶性肥料について、肥料の徐溶性(初期溶出率及び80%溶出日数)と耐衝撃性を下記方法で評価した結果を表3(表3-1~表3-6)に示す。なお、比較例14の(RY-4)と比較例17の(RY-7)は、(B-1)が(A-1)中に粒子状に分散した組成物を得ることができず、(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さ、及び、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の(B)の断面積の割合は計測せず、「-」と示した。ただし、肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる肥料の製造はできたため、耐衝撃性及び徐溶性の評価については行った。
【0290】
(3)肥料の徐溶性
各被覆肥料(Y)50gとイオン交換水100gを密閉できるガラス製広口サンプル瓶容器に入れ加え、25℃の恒温槽内で保管し、一定期間ごとに液を撹拌し、1g程度サンプリングし、サンプリング液中に含まれる尿素(C-1)を液体クロマトグラフィー質量分析計(LC/MS)で定量した。
【0291】
<測定条件>
装置:LCMS-8030((株)島津製作所製)
カラム:Inert Sustain C18(シリカゲル粒子径2μm、内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:40℃
移動相A:10mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール=80/20
移動相B:メタノール
流量:0.2ml/min。
【0292】
<評価方法>
<1>初期溶出率(%):25℃の恒温槽内で試験5日保管後の溶出率とする
下記式により初期溶出率(%)を求め、下記基準で判定した。
初期溶出率(%)={25℃の恒温槽内で5日保管後のサンプリング液中の尿素(C-1)の重量分率/被覆肥料(Y)中に含まれる尿素(C-1)が全量溶出した場合のサンプリング液中の重量分率}×100。
【0293】
[評価基準]
◎:5%以下
〇:5%超20%以下
△:20%超50%以下
×:50%超
上段が初期溶出率(%)、下段が判定である。
【0294】
<2>80%溶出日数(日):試験前の被覆肥料(Y)中に含まれる尿素(C-1)の80重量%が溶出するまでの日数を下記基準で判定した。
【0295】
[評価基準]
◎:30日以上
〇:20日以上29日以下
△:10日以上19日以下
×:9日以下
上段が溶出日数(日)、下段が判定である。
【0296】
(4)耐衝撃性
各被覆肥料(Y)500gを肩掛け式電動散粒機(商品名「ブロキャスJr」、向井工業(株)製)を用いて地上100cmの高さからコンクリート地面上に散布した。散布された該(Y)50gをサンプルとして、上記(3)<1>と同様に初期溶出率(%)を測定、算出した。コンクリート地面上への散布時の衝撃により被覆肥料の被覆層にひび割れや欠け等が生じた場合、初期溶出率は(3)<1>よりも大きくなるため、散布前後の初期溶出率の差ΔAを下記式により求め、下記基準で耐衝撃性を評価した。
【0297】
ΔA(%)={散布後の(Y)の初期溶出率(%)}-{散布前(上記(2)<1>)の(Y)の初期溶出率(%)}
[評価基準]
◎:0~5%以下
○:5%超10%以下
△:10%超20%以下
×:20%超。
【0298】
【表3-1】
【0299】
【表3-2】
【0300】
【表3-3】
【0301】
【表3-4】
【0302】
【表3-5】
【0303】
【表3-6】
【0304】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。
【0305】
本発明は、下記態様および形態を包含する。
【0306】
1.生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料用被覆材組成物であり、下記(1)~(5)のすべてを満たす徐溶性肥料用被覆材組成物:(1)前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である;(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である;(4)前記被覆材組成物の成形体の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;(5)前記徐溶性調整剤(D)が、数平均分子量(Mn)が300~1500である化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2である。
【0307】
2.前記化合物(D1)が、脂肪酸エステル化合物、脂肪族系ウレタン化合物、脂肪酸アミド化合物、および炭化水素化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む、1.に記載の徐溶性肥料用被覆材組成物。
【0308】
3.前記化合物(D1)の融点が60~100℃である1.または2.に記載の徐溶性肥料用被覆材組成物。
【0309】
4.前記徐溶性調整剤(D)が更に有機化クレイ(D3)を含有し、前記(D3)のメジアン径が0.01~40μmである1.~3.のいずれか1つに記載の徐溶性肥料用被覆材組成物。
【0310】
5.前記(D1)と(D3)の含有重量比[(D1)/(D3)]が40/60~90/10である4.に記載の徐溶性肥料用被覆材組成物。
【0311】
6.1以上の被覆層で肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる徐溶性肥料であり、前記1以上の被覆層に、1.~5.のいずれか1つに記載の徐溶性肥料用被覆材組成物からなる被覆層(L)が少なくとも1層含まれる徐溶性肥料。
【0312】
7.1以上の被覆層で肥料(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる、生分解性樹脂(A)と米(B)と徐溶性調整剤(D)とを含有する徐溶性肥料であり、前記1以上の被覆層に、下記(1)~(5)のすべてを満たす被覆層(M)が少なくとも1層含まれる徐溶性肥料:(1)前記被覆層(M)中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が98/2~20/80である;(2)前記(A)中に前記(B)が粒子状に分散している;(3)前記(A)中の前記(B)の最小外接矩形の短辺の平均長さが0.1μm以上40μm以下である;(4)前記被覆層(M)の断面における、最小外接矩形の短辺の長さが60μm以上の前記(B)の断面積の合計面積が、すべての前記(B)の断面積の合計面積を基準にして5%以下である;(5)前記徐溶性調整剤(D)が、エステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、および、数平均分子量(Mn)が300~1500である、ことの少なくとも一方を満たす化合物(D1)を含有し、前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)が8~10(cal/cm1/2であり、かつ前記生分解性樹脂(A)の溶解性パラメータ(SP)と前記(D1)の溶解性パラメータ(SPD1)の差[SP-SPD1]が0~3(cal/cm1/2である。
【符号の説明】
【0313】
100 二軸混練装置(米含有樹脂組成物の製造装置)、
10 第1収容部、
20 投入部、
30 回転部、
31 回転部材(第1スクリュー)、
32 回転部材(第1パドル)、
33 回転部材(第2スクリュー)、
34 回転部材(第2パドル)、
35 回転部材(第4スクリュー)、
41 回転部材(第6スクリュー)、
42 回転部材(第7スクリュー)、
50 脱水部、
51 スクリュー(第3スクリュー)、
52 第2収容部、
60 第1脱気部、
61 スクリュー(第5スクリュー)、
62 第3収容部、
70 第2脱気部、
71 スクリュー(第8スクリュー)、
72 第4収容部、
S1 第1収容空間、
S2 第2収容空間、
S3 第3収容空間、
S4 第4収容空間、
X 長手方向、
Y 幅方向(回転軸と交差する方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6