(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079639
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】誘導センサアレイ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
G01D5/20 110E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023201391
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】10 2022 212 914.8
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト アレクサンダー ダウト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クンツ
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA21
2F077AA46
2F077CC02
2F077FF03
2F077FF16
2F077FF39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】測定エラーの最小化を可能にする。
【解決手段】可動な本体の運動を捕捉するための誘導センサアレイ1であって、可動な本体に結合された可動な結合装置5と、励磁構造部8と受信構造部9とを有する回路支持体7を含む測定値捕捉装置10と、を備える誘導センサアレイに関する。本誘導センサアレイ1において、励磁構造部8は動作中に周期的な交番信号を励磁構造部に結合入力する発振回路に結合され、可動な結合装置5は励磁構造部と受信構造部9との間の誘導結合に影響を与えるように構成されており、評価及び制御ユニット12は受信構造部に誘導された信号を評価し可動な本体3の現在の位置についての測定信号MSを決定するように構成されており、受信構造部はそれぞれ基本正弦波と当該基本正弦波の高調波との角度方向における重畳として構成された周期的に繰り返されるループ構造部を有する受信コイル9A,9Bを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動な本体(3)の運動を捕捉するための誘導センサアレイ(1)であって、
前記可動な本体(3)に結合された少なくとも1つの可動な結合装置(5)と、
少なくとも1つの励磁構造部(8)と少なくとも1つの受信構造部(9)とを有する少なくとも1つの回路支持体(7)を含む少なくとも1つの測定値捕捉装置(10)と、
を備える誘導センサアレイ(1)において、
前記少なくとも1つの励磁構造部(8)は、動作中に周期的な交番信号を前記少なくとも1つの励磁構造部(8)に結合入力する少なくとも1つの発振回路に結合され、
前記少なくとも1つの可動な結合装置(5)は、前記少なくとも1つの励磁構造部(8)と前記少なくとも1つの受信構造部(9)との間の誘導結合に影響を与えるように構成されており、
少なくとも1つの評価及び制御ユニット(12)は、前記少なくとも1つの受信構造部(9)に誘導された信号を評価し、前記可動な本体(3)の現在の位置についての測定信号(MS)を決定するように構成されており、
前記少なくとも1つの受信構造部(9)は、それぞれ、基本正弦波と当該基本正弦波の少なくとも1つの高調波との角度方向における重畳として構成された周期的に繰り返される少なくとも1つのループ構造部(9.1,9.2)を有する少なくとも1つの受信コイル(9A,9B)を含む、
誘導センサアレイ(1)。
【請求項2】
前記周期的に繰り返されるループ構造部(9.1,9.2)及び前記基本正弦波の周期性は、前記結合装置(5)の周期性に対応する、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの高調波と前記基本正弦波との重畳は、少なくとも2つの加数を有するフーリエ級数として計算可能である、
請求項1又は2に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの高調波の高調波次数は、前記基本正弦波の高調波次数の3倍又は5倍である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの高調波は、前記基本正弦波に対して0°又は180°の位相オフセットを有する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項6】
前記基本正弦波との重畳のための少なくとも1つの高調波の振幅は、前記基本正弦波の振幅の-20%から+20%までの間の範囲に設定可能である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項7】
前記受信構造部(9)は、それぞれ周期的に繰り返されるループ構造部(9.1,9.2)を有する2つの受信コイル(9A,9B)を有し、前記2つの受信コイル(9A,9B)の前記周期的に繰り返されるループ構造部(9.1,9.2)は、相互に90°オフセットされ、それによって、第1の受信コイル(9A)はサインチャネルを形成し、第2の受信コイル(9B)はコサインチャネルを形成する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの評価及び制御ユニット(12)は、逆正接関数によって前記サインチャネルの信号及び前記コサインチャネルの信号から前記測定信号(MS)を決定するように構成されている、
請求項7に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項9】
前記受信構造部(9)は、多相システムを形成する、周期的に繰り返されるループ構造部を有する3つの受信コイルを有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの評価及び制御ユニット(12)は、前記多相システムの信号の適当な位相変換を実施し、逆正接関数を用いて前記測定信号(MS)を決定するように構成されている、
請求項9に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項11】
前記可動な本体(3)は、回転軸線(DA)を中心とする回転運動を実行し又は直線運動を実行する、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の誘導センサアレイ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸線を中心とする回転可能な本体の回転角度を特定するための誘導センサアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術からは、回転可能な本体の回転角度又は角度位置を特定するために使用することができる誘導センサアレイが公知である。そのような誘導センサアレイは、通常、少なくとも1つの励磁コイルを有する少なくとも1つの励磁構造部と、回転可能な本体に結合されたターゲットとも称される回転可能な結合装置と、少なくとも1つの、ただし多くの場合2つの受信コイルを有する少なくとも1つの受信構造部とを含む。励磁コイルには高周波電流が通流され、この高周波電流は交流磁場を生成する。生成された交流磁場は、結合装置又はターゲットに渦電流を誘導する。それゆえ、少なくとも1つの励磁構造部と少なくとも1つの受信構造部との間の誘導結合は、結合装置又はターゲットの角度位置に依存する。少なくとも1つの受信構造部において誘導される電圧信号によれば、回転可能な本体の現在の回転角度又は角度位置を特定することが可能な電気的な角度を推論することができる。
【0003】
独国特許出願公開第19738836号明細書からは、周期的な交流電圧が印加される励磁コイル及び複数の受信コイルを有するステータ要素と、励磁コイルと受信コイルとの間の誘導結合の強さをステータ要素に対する角度位置に依存して設定するロータ要素と、受信コイルに誘導される電圧信号からステータ要素に対するロータ要素の角度位置を特定する評価回路とを備えた誘導角度センサが公知である。ロータ要素は、少なくとも1つの短絡線路を形成し、この短絡線路は、少なくともロータ素子の周方向の部分領域にわたって周期的に繰り返されるループ構造部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第19738836号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の開示
独立請求項1の特徴を有する誘導センサアレイは、少なくとも1つの受信構造部から幾何形状導体路又はループ構造部への高調波の所期の導入により、測定エラーの最小化が可能になるという利点を有する。ここでは、少なくとも1つの受信構造部の少なくとも1つの受信コイルの適合化されたループ構造部は、出力信号における高調波測定エラーの抑制を生じさせる。なぜなら、幾何形状導体路又はループ構造部に導入される高調波が、結合装置によって生成された交番磁場における干渉高調波を相殺するからである。そのため、例えば回転運動を捕捉する際には角度エラーを補償することができ、直線運動を捕捉する際には位置エラーを補正することができる。
【0006】
他の補償方法とは対照的に、ここでは、例えばセンサ信号を読み込むモータ制御部の制御ユニットにおいて、計算技術的に複雑な高調波補償は不要である。同様に、誘導センサアレイの評価及び制御ユニットにおけるデジタル線形化も省略することができ、これによって、コストを節約することができる。したがって、測定エラーに対する要求が高い用途においても、安価なアナログ評価及び制御ユニットを使用することができ、高調波補償のための手段を提供しない安価なモータ制御ユニットと組み合わせることができる。さらに、本発明の実施形態は、誘導センサアレイの構造空間を最小化するためのより多くの遊び空間を提供する。これまでは、ループ構造部によって決定される幾何形状コイルの寸法は、測定エラーへの要求によって著しく制限されてきた。本発明の実施形態によれば、第1のステップにおいては、構造空間と誘導電圧線路の振幅とを最適化することができ、さらに第2のステップにおいては、測定エラーを低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、可動な本体の運動を捕捉するための誘導センサアレイであって、可動な本体に結合された少なくとも1つの可動な結合装置と、少なくとも1つの励磁構造部と少なくとも1つの受信構造部とを有する少なくとも1つの回路支持体を含む少なくとも1つの測定値捕捉装置とを備える誘導センサアレイを提供する。少なくとも1つの励磁構造部は、動作中に周期的な交番信号を少なくとも1つの励磁構造部に結合入力する少なくとも1つの発振回路に結合されている。少なくとも1つの可動な結合装置は、少なくとも1つの励磁構造部と、少なくとも1つの受信構造部との間の誘導結合に影響を与えるように構成されている。少なくとも1つの評価及び制御ユニットは、少なくとも1つの受信構造部に誘導された信号を評価し、回転可能な本体の現在の位置についての測定信号を決定するように構成されている。少なくとも1つの受信構造部は、それぞれ、基本正弦波と当該基本正弦波の少なくとも1つの高調波との角度方向における重畳として構成された周期的に繰り返される少なくとも1つの反復するループ構造部を有する少なくとも1つの受信コイルを含む。
【0008】
評価及び制御ユニットは、本発明によれば、捕捉されたセンサ信号を準備又は処理又は評価する電気的アセンブリ又は電気的回路として理解することができるものである。評価及び制御ユニットは、ハードウェア及び/又はソフトウェア方式により構成され得る少なくとも1つのインタフェースを有し得る。ハードウェア方式の構成の場合、インタフェースは、例えば、評価及び制御ユニットの最も多様な機能を含む、いわゆるシステムASICの一部であるものとしてよい。しかしながら、インタフェースは、独自の集積回路であることも、又は、少なくとも部分的にディスクリートな構成要素からなることも可能である。ソフトウェア方式の構成の場合、インタフェースは、例えばマイクロコントローラ上に他のソフトウェアモジュールと併設して存在するソフトウェアモジュールであるものとしてよい。また、半導体メモリ、ハードディスクメモリ、光学的メモリなどの機械可読担体上に格納され、プログラムが評価及び制御ユニットによって実行されるときに、評価の実施のために使用されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も有利である。
【0009】
励磁構造部とは、以下においては、少なくとも1つの発振回路によって結合入力された交番信号を送信する、予め定められた巻回数を有する送信コイルを意味するものと理解される。少なくとも1つの受信構造部の少なくとも1つの受信コイルのレイアウトは、好適には差動的に構成され、すなわち、外部の均一磁場のみで出力信号には寄与せず、励磁される送信コイル磁場もそれのみで出力信号には寄与しない。ターゲットとも称され得る少なくとも1つの結合装置を通してのみ、空間的に不均一な交番磁場が生成され、この交番磁場が復調されて位置計算のために用いられる。差動的な構成のために、少なくとも1つの受信コイルの周期的に繰り返される少なくとも1つのループ構造部は、2つの反転点の間を経過する2つのシャフトを含み、それらは互いに180°シフトされ、それぞれ基本正弦波と少なくとも1つの高調波との重畳に基づいている。ここでは、これらの2つのシャフトは、測定すべき交番磁場が角度方向に正又は負交互に流れる面部分に張り渡されている。これにより、2つの波において相反する通流方向が生じる。そのため、第1のシャフトは、例えば反時計回りに、第2のシャフトは時計回りに連続する。このことは、回路支持体上への少なくとも1つの受信構造部の簡単かつ安価な実装を可能にさせる。好適には、回路支持体は、多層に構成されるので、周期的に繰り返されるループ構造部の区分を様々な層に配置するものとしてもよい。
【0010】
誘導センサアレイの実施形態は、例えば、可動な本体が回転軸線を中心とする捕捉すべき回転運動を実施する回転角度センサ又はロータ位置センサのようなほぼすべてのタイプの誘導角度センサのために使用することができる。さらに、この測定原理は、トルクセンサにも移行することができる。この目的のために、2つの結合装置と2つの受信構造部とを使用することができ、これらの受信構造部は、それぞれ結合装置の一方に割り当てられ対向している。代替的に、誘導センサアレイの実施形態は、直線変位センサとして構成されるものとしてよく、この場合、可動な本体は、捕捉すべき直線運動を実行する。
【0011】
従属請求項に記載された手段及び発展形態により、独立請求項1に示されている誘導センサアレイの好適な改善形態が可能である。
【0012】
特に好適には、周期的に繰り返されるループ構造部及び基本正弦波の周期性は、結合装置の周期性に対応させることができる。結合装置の周期性は、導電性結合セグメントの数によって決定することができる。誘導センサアレイが回転角度センサとして構成される場合、結合装置は、好適には、基体と、導電性結合セグメントを形成する複数のブレードとを有するロータとして構成されるものとしてよい。したがって、ロータとして構成された結合装置のブレードの数が、その周期性を決定する。誘導センサアレイが直線変位センサとして構成される場合、結合装置は、複数の導電性結合セグメントを有する立方体として構成されるものとしてよい。
【0013】
誘導センサアレイの好適な実施形態においては、少なくとも1つの高調波と基本正弦波との重畳は、少なくとも2つの加数を有するフーリエ級数として計算可能であり得る。このことは、少なくとも1つの受信コイルのための周期的に繰り返される少なくとも1つのループ構造部のレイアウトの特に簡単な計算を可能にする。
【0014】
誘導センサアレイの好適な実施形態においては、少なくとも1つの高調波の高調波次数は、基本正弦波の高調波次数の3倍又は5倍にすることができる。既に上述したように、基本正弦波の高調波次数又は周期性は、結合装置の周期性に対応させるので、少なくとも1つの高調波の高調波次数は、好適には、基本正弦波の周期性の3倍又は5倍の値に対応させることができる。
【0015】
誘導センサアレイのさらなる好適な実施形態においては、少なくとも1つの高調波は、基本正弦波に対して0°又は180°の位相オフセットを有し得る。しかしながら、もちろん、高調波は、任意の位相オフセットで変換することができる。さらに、基本正弦波との重畳のための少なくとも1つの高調波の振幅は、基本正弦波の振幅の-20%から+20%までの間の範囲に設定可能であるものとするとよい。負の振幅は、好適には、180°の位相オフセットによって変換することができる。少なくとも1つの高調波の振幅は、センサ設計の枠内で、すべての許容誤差ケースを考慮に入れた最小の角度エラーしか生じないように最適化することができる。この目的のために、一般的な最適化方法を使用することができる。
【0016】
誘導センサアレイのさらなる好適な実施形態においては、受信構造部は、それぞれ周期的に繰り返されるループ構造部を有する2つの受信コイルを有するものとするとよい。ここでは、2つの受信コイルの周期的に繰り返されるループ構造部は、相互に90°オフセットされるものとしてよく、それによって、第1の受信コイルはサインチャネルを形成し、第2の受信コイルはコサインチャネルを形成することができる。さらに、少なくとも1つの評価及び制御ユニットは、逆正接関数によってサインチャネルの信号及びコサインチャネルの信号から測定信号を決定するように構成されるものとしてよい。
【0017】
代替的に、受信構造部は、多相システムを形成する、周期的に繰り返されるループ構造部を有する3つの受信コイルを有し得る。ここでは、少なくとも1つの評価及び制御ユニットは、多相システムの信号の適当な位相変換を実施し、逆正接関数を用いて測定信号を決定するように構成されるものとしてよい。そのため、例えば、三相システムの信号を、クラーク変換を用いて2つの信号に変換することができ、次いで、そこから逆正接関数を用いて測定信号を決定することができる。
【0018】
本発明の一実施例が図面に示されており、以下の明細書において、より詳細に説明する。これらの図面においては、同一又は類似の機能を実行するコンポーネント又は要素に同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る誘導センサアレイの一実施例を示す概略図である。
【
図2】透過的に示された回路支持体と共に下方から見た
図1からの本発明に係る誘導センサアレイを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の実施形態
図1乃至
図3から明らかであるように、可動な本体3の運動を捕捉するための本発明に係る誘導センサアレイ1の図示の実施例は、可動な本体3に結合された少なくとも1つの可動な結合装置5と、少なくとも1つの励磁構造部8と少なくとも1つの受信構造部9とを有する少なくとも1つの回路支持体7を含む少なくとも1つの測定値捕捉装置10とを備える。少なくとも1つの励磁構造部8は、動作中に周期的な交番信号を少なくとも1つの励磁構造部8に結合入力する、より詳細には示されていない少なくとも1つの発振回路に結合されている。少なくとも1つの可動な結合装置5は、少なくとも1つの励磁構造部8と、少なくとも1つの受信構造部9との間の誘導結合に影響を与える。少なくとも1つの評価及び制御ユニット12は、少なくとも1つの受信構造部9に誘導された信号を評価し、可動な本体3の現在の位置についての測定信号MSを決定する。ここでは、少なくとも1つの受信構造部9は、それぞれ、基本正弦波と当該基本正弦波の少なくとも1つの高調波との角度方向における重畳として構成されている、周期的に繰り返される少なくとも1つのループ構造部9.1,9.2を有する少なくとも1つの受信コイル9A,9Bを含む。
【0021】
図示の実施例においては、可動な本体3は、回転軸線DAを中心とする回転運動を実施するシャフト3Aである。ここでは、誘導センサアレイ1は、可動な本体3の現在の回転角度を特定するために使用される。誘導センサアレイ1が回転角度センサとして構成される場合、少なくとも1つの受信構造部9は、結合装置5の円形運動経路に沿って延在する。誘導センサアレイ1の図示されていない代替的な実施例においては、可動な本体3は、誘導センサアレイ1によって捕捉され評価される直線運動を実施する。ここでは、誘導センサアレイ1は、可動な本体3の現在の位置を特定するために使用される。誘導センサアレイ1が直線変位センサとして構成される場合、少なくとも1つの受信構造部9は、結合装置5の直線運動経路に沿って延在する。
【0022】
図1乃至
図3からさらに明らかであるように、誘導センサアレイ1は、図示の実施例においてはシャフト3Aとして構成された回転可能な本体3に結合される、ロータ5Aとして構成された結合装置5を含む。このロータ5Aは、回路支持体7に対して回転可能でかつ円筒状の基体5.1を有し、この基体5.1には、径方向に突出するブレードとして構成される導電性結合セグメント5.2が配置されている。図示の実施例においては、ロータ5Aは、9つのブレード又は導電性結合セグメント5.2を有しており、それらの数は、結合装置5及び誘導センサアレイ1について9つの周期性を設定している。評価及び制御ユニット12は、サインチャネルの信号とコサインチャネルの信号とから逆正接関数によって測定信号MSを決定する。
【0023】
以下においては、
図2及び
図3を参照して、受信構造部9の基本的な構造を、透過的に示された回路支持体7のもとで説明する。
図2及び
図3からさらに明らかであるように、第1の受信コイル9Aの周期的に繰り返される第1のループ構造部9.1及び破線で示された第2の受信コイル9Bの周期的に繰り返される第2のループ構造部9.2は、それぞれ、2つの反転点9.4A,9.4B,9.5A,9.5Bの間を経過する2つのシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2Bを有し、それらは互いに180°シフトされ、それぞれ基本正弦波と少なくとも1つの高調波との重畳に基づいている。特に
図2からさらに明らかであるように、周期的に繰り返される第1のループ構造部9.1の第1のシャフト9.1Aと、第1のシャフト9.1Aに対して180°シフトされた第2のシャフト9.1Bとは、第1の反転点9.4Aと第2の反転点9.4Bとの間を経過している。周期的に繰り返される第2のループ構造部9.2の第1のシャフト9.2Aと、第1のシャフト9.2Aに対して180°シフトされた第2のシャフト9.2Bとは、第3の反転点9.5Aと第4の反転点9.5Bとの間を経過している。第2の受信コイル9Bの周期的に繰り返される第2のループ構造部9.2は、第1の受信コイル9Aの周期的に繰り返される第1のループ構造部9.1に対して90°シフトされている。2つの受信コイル9A,9Bの周期的に繰り返されるループ構造部9.1,9.2の互いに180°シフトされたシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2Bの間には、それぞれ面A1,A2が張り渡されており又は取り囲まれており、そこでは、異なる配向を有する磁場が誘導され、2つの受信コイル9A,9Bの2つの周期的に繰り返されるループ構造部9.1,9.2のシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2B内への対照的な連続方向が生じる。ここでは、そのような面対A1,A2の数が、第1の受信コイル9A及び第2の受信コイル9Bの周期性を決定し、これは導電性結合セグメント5.2の数に対応し、したがって結合装置5の周期性に対応する。ここでは、これらの面対の数は、第2の受電構造9の第2の受電コイル9Bの周期性を決定し、第2の結合要素3Bの第2の導電性結合セグメント3.2Bの第2の数に対応する。ローマ数字のI乃至IXは、それぞれ、第1の受信コイル9Aの周期的に繰り返される第1のループ構造部9.1のシャフト9.1A,9.1Bによって形成される面対A1,A2を表す。第2の受信コイル9Bの周期的に繰り返される第2のループ構造部9.2のシャフト9.2A,9.2Bからの対応する面対A1,A2は、この目的のために時計回りに90°シフトされている。図示の実施例においては、2つの受信コイル9A,9Bの2つのループ構造部9.1,9.2の第1のシャフト9.1A,9.2Aは、それぞれ反時計回りに連続し、2つの受信コイル9A,9Bの2つのループ構造部9.1,9.2の第2のシャフト9.1B,9.2Bは、それぞれ時計回りに連続する。評価及び制御ユニットとの電気的接続のために、2つの受信コイル9A,9Bの2つのループ構造部9.1,9.2のそれぞれ第1のシャフト9.1A,9.2Aは分離されて評価及び制御ユニット12に接続されている。
【0024】
図2及び
図3からさらに明らかであるように、2つの受信コイル9A,9Bの周期的に繰り返されるループ構造部9.1,9.2の区分は、回路支持体7の異なる層に配置されており、そのため、交差を容易に回避することができる。周期的に繰り返されるループ構造部9.1,9.2の様々な層に配置された区分は、スルーホール9.3を介して相互に電気的に接続されている。さらに、2つの受信コイル9A,9Bの2つの周期的に繰り返されるループ構造部9.1,9.2の反転点9.4A,9.4B,9.5A,9.5Bも同様にスルーホール9.3として実現されている。
【0025】
誘導センサアレイ1の図示されていない代替的な実施例においては、受信構造部9は、周期的に繰り返されるループ構造部を有する少なくとも3つの受信コイルを有する。これらの少なくとも3つの受信コイルは、多相システムを形成する。ここでは、少なくとも1つの評価及び制御ユニット12は、好適にはクラーク変換を用いて、多相システムの信号の適当な位相変換を実施し、逆正接関数を用いて測定信号MSを決定する。
【0026】
誘導センサアレイ1の図示の実施例においては、2つの受信コイル9A,9Bの繰り返されるループ構造部9.1,9.2のシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2Bのための少なくとも1つの高調波と基本正弦波との重畳は、それぞれ少なくとも2つの加数を有するフーリエ級数として計算された。図示の実施例においては、少なくとも1つの高調波の高調波次数は、個々のシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2Bの基本正弦波の高調波次数の5倍である。
【0027】
繰り返しループ構造部9.1,9.2の図示されていない代替的な実施例においては、少なくとも1つの高調波の高調波次数は、個々のシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2Bの基本正弦波の高調波次数の3倍である。もちろん、個々のシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2Bの幾何形状を設定するために、偶数倍の高調波次数又は少なくとも1つの高調波よりも高い高調波次数又は複数の高調波の組合せを使用することもでき、この場合、個々のシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2Bは、それぞれ同等の基本波及び高調波を有する。
【0028】
図示の実施例においては、少なくとも1つの高調波は、対応するシャフト9.1A,9.1B,9.2A,9.2Bの基本正弦波に対する位相オフセットを有していない。補償すべき角度エラーに依存して、基本正弦波との重畳のための少なくとも1つの高調波の振幅は、基本正弦波の振幅の-20%から+20%までの間の範囲に設定可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動な本体(3)の運動を捕捉するための誘導センサアレイ(1)であって、
前記可動な本体(3)に結合された少なくとも1つの可動な結合装置(5)と、
少なくとも1つの励磁構造部(8)と少なくとも1つの受信構造部(9)とを有する少なくとも1つの回路支持体(7)を含む少なくとも1つの測定値捕捉装置(10)と、
を備える誘導センサアレイ(1)において、
前記少なくとも1つの励磁構造部(8)は、動作中に周期的な交番信号を前記少なくとも1つの励磁構造部(8)に結合入力する少なくとも1つの発振回路に結合され、
前記少なくとも1つの可動な結合装置(5)は、前記少なくとも1つの励磁構造部(8)と前記少なくとも1つの受信構造部(9)との間の誘導結合に影響を与えるように構成されており、
少なくとも1つの評価及び制御ユニット(12)は、前記少なくとも1つの受信構造部(9)に誘導された信号を評価し、前記可動な本体(3)の現在の位置についての測定信号(MS)を決定するように構成されており、
前記少なくとも1つの受信構造部(9)は、それぞれ、基本正弦波と当該基本正弦波の少なくとも1つの高調波との角度方向における重畳として構成された周期的に繰り返される少なくとも1つのループ構造部(9.1,9.2)を有する少なくとも1つの受信コイル(9A,9B)を含む、
誘導センサアレイ(1)。
【請求項2】
前記周期的に繰り返されるループ構造部(9.1,9.2)及び前記基本正弦波の周期性は、前記結合装置(5)の周期性に対応する、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの高調波と前記基本正弦波との重畳は、少なくとも2つの加数を有するフーリエ級数として計算可能である、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの高調波の高調波次数は、前記基本正弦波の高調波次数の3倍又は5倍である、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの高調波は、前記基本正弦波に対して0°又は180°の位相オフセットを有する、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項6】
前記基本正弦波との重畳のための少なくとも1つの高調波の振幅は、前記基本正弦波の振幅の-20%から+20%までの間の範囲に設定可能である、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項7】
前記受信構造部(9)は、それぞれ周期的に繰り返されるループ構造部(9.1,9.2)を有する2つの受信コイル(9A,9B)を有し、前記2つの受信コイル(9A,9B)の前記周期的に繰り返されるループ構造部(9.1,9.2)は、相互に90°オフセットされ、それによって、第1の受信コイル(9A)はサインチャネルを形成し、第2の受信コイル(9B)はコサインチャネルを形成する、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの評価及び制御ユニット(12)は、逆正接関数によって前記サインチャネルの信号及び前記コサインチャネルの信号から前記測定信号(MS)を決定するように構成されている、
請求項7に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項9】
前記受信構造部(9)は、多相システムを形成する、周期的に繰り返されるループ構造部を有する3つの受信コイルを有する、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの評価及び制御ユニット(12)は、前記多相システムの信号の位相変換を実施し、逆正接関数を用いて前記測定信号(MS)を決定するように構成されている、
請求項9に記載の誘導センサアレイ(1)。
【請求項11】
前記可動な本体(3)は、回転軸線(DA)を中心とする回転運動を実行し又は直線運動を実行する、
請求項1に記載の誘導センサアレイ(1)。
【外国語明細書】