(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079642
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】経口用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240604BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20240604BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240604BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L27/20 D
A23L5/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201495
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2022192321
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 路子
(72)【発明者】
【氏名】金成 はるな
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 祥子
【テーマコード(参考)】
4B035
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LE03
4B035LG04
4B035LG05
4B035LG19
4B035LP01
4B035LP21
4B047LB08
4B047LB09
4B047LF07
4B047LF10
4B047LG06
4B047LG07
4B047LG08
4B047LG25
4B047LP02
4B047LP05
(57)【要約】
【課題】炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭が抑制された経口用組成物の提供。
【解決手段】次の成分(A)及び(B);
(A)炭素数6以下の分岐脂肪酸 0.01質量ppm以上
(B)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコール 0.05質量ppm以上
を含有する経口用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B);
(A)炭素数6以下の分岐脂肪酸 0.01質量ppm以上
(B)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコール 0.05質量ppm以上
を含有する経口用組成物。
【請求項2】
成分(A)と成分(B)の質量比[(B)/(A)]が0.003~20000である請求項1記載の経口用組成物。
【請求項3】
成分(A)の含有量が0.01~30質量ppmである請求項1又は2記載の経口用組成物。
【請求項4】
成分(B)の含有量が0.05~3000質量ppmである請求項1~3のいずれか1項記載の経口用組成物。
【請求項5】
成分(A)がイソ酪酸、2-メチル酪酸及びイソ吉草酸から選択される1又は2以上である、請求項1~4のいずれか1項記載の経口用組成物。
【請求項6】
リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを有効成分とする炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭抑制剤。
【請求項7】
炭素数6以下の分岐脂肪酸に対して、リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを共存させる、炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭の抑制方法。
【請求項8】
炭素数6以下の分岐脂肪酸がイソ酪酸、2-メチル酪酸及びイソ吉草酸から選択される1又は2以上である、請求項6記載の不快臭抑制剤、又は請求項7記載の不快臭抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口用組成物、炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭抑制剤及び不快臭の抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素の数が6以下の分岐鎖を有する短鎖脂肪酸は、天然に精油の成分として遊離又はエステルの形で存在する。斯かる脂肪酸は、ごく低濃度では香気成分として香料に用いられる。また、分岐鎖を有する短鎖脂肪酸は、直鎖の短鎖脂肪酸と同様、ヒトの大腸において腸内細菌によって産生されることが知られており、その生理作用に関しては未だ不明な点が多いものの、直鎖の短鎖脂肪酸と類似した作用を有すると考えられている。一方で、分岐鎖を有する短鎖脂肪酸は、全身の各部から発生する不快臭及び食品中に存在するオフフレーバー臭の原因物質として知られ、独特の臭いがあるため、その抑制が望まれる。
【0003】
リナロール及びゲラニオールは、モノテルペンアルコールの一つで、各種花精油の調合や化粧品香料、食品香料として広く用いられている。従来、ビールテイスト飲料に、リナロール及びゲラニオール等を添加することにより、柑橘的な香りを有すると共に、保存による香味の劣化及び好ましくない香りの発生が抑制されているビールテイスト飲料が得られること(特許文献1)、発泡性飲料に、リナロール及びゲラニオールを添加することにより従来にない好ましい香りを有する飲料が得られること(特許文献2)等が報告されている。
また、リナロール及びゲラニオールを含有する飲料の製造において低級脂肪酸又はそのエステルを添加することにより飲料の香味を増強すること(特許文献3)が報告されている。しかしながら、リナロール及びゲラニオールが分岐鎖を有する短鎖脂肪酸の不快臭に対して如何なる作用を有するのかは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-96569号公報
【特許文献2】特開2017-143808号公報
【特許文献3】特開2016-25866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭が抑制された経口用組成物、不快臭抑制剤及び不快臭の抑制方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、リナロール及び/又はゲラニオールが炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭を抑制する作用を有し、リナロール及び/又はゲラニオールを含有させることで、炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭が抑制された経口用組成物が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の1)~3)に係るものである。
1)次の成分(A)及び(B);
(A)炭素数6以下の分岐脂肪酸 0.01質量ppm以上
(B)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコール 0.05質量ppm以上
を含有する経口用組成物。
2)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを有効成分とする炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭抑制剤。
3)炭素数6以下の分岐脂肪酸に対して、リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを共存させる、炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭の抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭が抑制された経口用組成物、不快臭抑制剤及び不快臭の抑制方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔経口用組成物〕
本発明の経口用組成物は、成分(A)として炭素数6以下の分岐脂肪酸を含有する。分岐脂肪酸の炭素数は、6以下であって、好ましくは2~6、より好ましくは4又は5、更に好ましくは5である。分岐脂肪酸の分岐の数及び分岐の位置は特に限定されないが、末端メチル基から数えて2番目の炭素にメチルの分岐のあるイソ脂肪酸、末端メチル基から数えて3番目の炭素にメチルの分岐のあるアンテイソ脂肪酸が好ましい。分岐脂肪酸は飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれでもよい。
成分(A)の具体例としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2-メチル酪酸、4-メチルペンタン酸、4-メチル-3-ペンテン酸等が挙げられる。なかでも、本発明の効果を享受しやすい点で、好ましくはイソ酪酸、2-メチル酪酸及びイソ吉草酸から選択される1又は2以上であり、更に好ましくはイソ吉草酸である。
成分(A)は、1種又は2種以上を使用することできる。
【0010】
成分(A)としては、市販の試薬を用いてもよいが、成分(A)を豊富に含む植物の抽出物を使用することもできる。なお、成分(A)として植物抽出物を用いる場合、植物抽出物の抽出方法及び抽出条件は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
植物としては、成分(A)が含まれていれば特に限定されないが、コーヒー豆が好ましい。コーヒー豆は、生コーヒー豆及び浅焙煎コーヒー豆から選択される1以上が好ましく、生コーヒー豆が更に好ましい。ここで、本明細書において「浅焙煎コーヒー豆」とは、L値が30以上60以下の焙煎コーヒー豆を指し、成分(A)の不快臭抑制、生理効果の観点から、好ましくは32以上であり、より好ましくは34以上であり、更に好ましくは36以上であり、より更に好ましくは38以上であり、より更に好ましくは40以上である。なお、コーヒー豆の豆種及び産地は、特に限定されない。また、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。
【0011】
本発明の経口用組成物中の成分(A)の含有量は、0.01質量ppm以上であるが、本発明の効果をより享受しやすいという観点から、0.05質量ppm以上が好ましく、0.3質量ppm以上が更に好ましく、また、成分(A)の不快臭抑制の観点から、30質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、12質量ppm以下が更に好ましく、8質量ppm以下がより更に好ましい。そして、本発明の経口用組成物中の成分(A)の含有量は、0.01質量ppm以上であって、好ましくは0.01~30質量ppmであり、より好ましくは0.01~20質量ppmであり、更に好ましくは0.05~12質量ppmであり、より更に好ましくは0.3~8質量ppmである。
成分(A)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、GC/MS法又はHPLC法により測定することができる。また、第三者機関に分析を依頼することもできる。GC/MS法による分析は、例えば、財団法人日本食品分析センターに、またHPLC法による分析は、例えば、(株)島津テクノリサーチに、それぞれ依頼することができる。
【0012】
本発明の経口用組成物は、成分(B)としてリナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを含有する。リナロール及びゲラニオールは共に分子式C10H18Oの化合物で、異性の関係にある。
リナロールには光学異性体が存在する。リナロールは、いずれかの光学異性体であっても、光学異性体の混合物であってもよい。
成分(B)としては、市販の試薬を用いても、成分(B)を豊富に含む植物抽出物の形態で含有させてもよい。また、有機合成によって合成することができる。なお、植物としては、成分(B)を含み、飲食品の分野において通常使用されているものであれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜選択することができる。また、抽出方法及び抽出条件は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
【0013】
リナロールとゲラニオールは各々単独で用いてもよく、2種を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
本発明の経口用組成物中の成分(B)の含有量は、成分(A)の不快臭抑制の観点から、0.05質量ppm以上であるが、0.08質量ppm以上が好ましく、8質量ppm以上がより好ましく、80質量ppm以上が更に好ましく、また、経口用組成物の香味及び風味をより良好にする観点から、3000質量ppm以下が好ましく、2000質量ppm以下がより好ましく、1200質量ppm以下が更に好ましい。そして、本発明の経口用組成物中の成分(B)の含有量は、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.05~3000質量ppmであり、より好ましくは0.08~2000質量ppmであり、更に好ましくは8~2000質量ppmであり、より更に好ましくは80~1200質量ppmである。
成分(B)としてリナロールを用いる場合は、成分(A)の不快臭抑制の観点から、経口用組成物中に、0.05質量ppm以上であって、0.08質量ppm以上が好ましく、0.8質量ppm以上がより好ましく、8質量ppm以上が更に好ましく、80質量ppm以上がより更に好ましく、また、経口用組成物の香味及び風味をより良好にする観点から、3000質量ppm以下が好ましく、2000質量ppm以下がより好ましく、1200質量ppm以下が更に好ましい。そして、本発明の経口用組成物中の成分(B)リナロールの含有量は、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.05~3000質量ppmであり、より好ましくは0.08~2000質量ppmであり、更に好ましくは0.8~2000質量ppmであり、より更に好ましくは8~2000質量ppmであり、より更に好ましくは80~1200質量ppmである。
また、成分(B)としてゲラニオールを用いる場合は、成分(A)の不快臭抑制の観点から、経口用組成物中に、0.05質量ppm以上であって、0.08質量ppm以上が好ましく、8質量ppm以上がより好ましく、800質量ppm以上が更に好ましく、また、経口用組成物の香味及び風味をより良好にする観点から、3000質量ppm以下が好ましく、2000質量ppm以下がより好ましく、1500質量ppm以下が更に好ましい。そして、本発明の経口用組成物中の成分(B)ゲラニオールの含有量は、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.05~3000質量ppmであり、より好ましくは0.08~2000質量ppmであり、更に好ましくは8~2000質量ppmであり、より更に好ましくは800~1500質量ppmである。
成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、GC/MS法により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0015】
本発明の経口用組成物は、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が、成分(A)の不快臭抑制の観点から、0.003以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、15以上が更に好ましく、100以上がより更に好ましく、また、経口用組成物の香味及び風味をより良好にする観点から、20000以下が好ましく、16000以下がより好ましく、12000以下が更に好ましい。そして本発明における、成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]は、好ましくは0.003~20000であり、より好ましくは0.15~20000であり、更に好ましくは15~16000であり、より更に好ましくは100~12000である。
成分(B)としてリナロールを用いる場合は、本発明の経口用組成物における成分(A)とリナロールとの質量比[リナロール/(A)]は、(A)の不快臭抑制の観点から、0.003以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、15以上がより更に好ましく、80以上がより更に好ましく、150以上がより更に好ましく、また、経口用組成物の香味及び風味をより良好にする観点から、20000以下が好ましく、16000以下がより好ましく、12000以下が更に好ましく、6000以下がより更に好ましく、3000以下がより更に好ましい。そして本発明における、成分(A)と成分(B)リナロールとの質量比[リナロール/(A)]は、好ましくは0.003~20000であり、より好ましくは0.15~20000であり、更に好ましくは1~20000であり、より更に好ましくは15~16000であり、より更に好ましくは80~12000であり、より更に好ましくは80~6000であり、より更に好ましくは150~3000である。
また、成分(B)としてゲラニオールを用いる場合は、本発明の経口用組成物における成分(A)とゲラニオールとの質量比[ゲラニオール/(A)]は、(A)の不快臭抑制の観点から、0.003以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、15以上がより更に好ましく、100以上がより更に好ましく、また、経口用組成物の香味及び風味をより良好にする観点から、20000以下が好ましく、16000以下がより好ましく、12000以下が更に好ましく、6000以下がより更に好ましく、3000以下がより更に好ましい。そして本発明における、成分(A)と成分(B)ゲラニオールとの質量比[ゲラニオール/(A)]は、好ましくは0.003~20000であり、より好ましくは0.15~20000であり、更に好ましくは1~16000であり、より更に好ましくは15~12000であり、より更に好ましくは15~6000であり、より更に好ましくは100~3000である。
【0016】
本発明の経口用組成物は、所望により、甘味料、酸味料、アミノ酸、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、植物エキス、エステル、色素、乳化剤、乳成分、保存料、調味料、品質安定剤、香料等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0017】
本明細書において「経口用組成物」とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において専ら経口摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本発明の経口用組成物は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品,機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する飲食品を幅広く含むものを意味する。
【0018】
本発明の経口用組成物は、常温(20℃±15℃)において、固体でも、液体でもよく、適宜の形態を採り得る。本発明の経口用組成物の好適な態様としては、例えば、固体経口用組成物、液体経口用組成物を挙げることができる。
【0019】
本発明は、コーヒー飲料を除く経口用組成物に対して好ましくは用いられる。コーヒー飲料は、焙煎コーヒー豆に特有の焙煎香を楽しむ飲料であり、当該焙煎コーヒー豆の持つ焙煎臭により、成分(A)の不快臭がマスキングされ得るため、本発明の成分(A)の不快臭という課題が生じにくいと考えられる。
コーヒー飲料は、通常、(C)フルフリルメルカプタン(以下、「成分(C)」とも称する)の含有量が0.00006質量%以上であるため、本発明の経口用組成物と物として明確に区別することもできる。すなわち、本発明の経口用組成物中の成分(C)の含有量は、好ましくは0.00006質量%未満であり、より好ましくは0.00003質量%未満であり、更に好ましくは0.00001質量%未満であり、殊更に好ましくは実質的に含有しない。ここで、本明細書において「実質的に含有しない」とは、経口用組成物中に成分(C)が全く存在しないことのみならず、検出限界未満の濃度であることも包含する概念である。なお、成分(C)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、GC/MS法により測定することができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0020】
また、コーヒー飲料は、通常、L値30未満の焙煎コーヒー豆を含む焙煎コーヒー豆を用いた飲料である。したがって、本発明は、好ましくはL値30未満、より好ましくは32未満、更に好ましくは34未満、より更に好ましくは36未満、より更に好ましくは38未満、殊更に好ましくは40未満の焙煎コーヒー豆を含む焙煎コーヒー豆を用いたコーヒー飲料を除く経口用組成物を対象とする。なお、焙煎コーヒー豆はカフェインが90%以上除去されたものでも構わない。また、コーヒー飲料中のコーヒー分の含有量は、内容量100g中にコーヒー生豆換算で1g以上の焙煎コーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むものである。なお、「生豆換算値」は、焙煎コーヒー豆1gが生コーヒー豆1.3gに相当するものとする(改訂新版・ソフトドリンクス、監修:全国清涼飲料工業会、発行:光琳 、平成元年12月25日発行 421頁記載)。コーヒー飲料の種類は特に限定されないが、例えば、令和元年8月19日に改正施行された「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」の第2条で定義されるコーヒー飲料等、即ち「コーヒー」、「コーヒー飲料」、「コーヒー入り清涼飲料」及び「コーヒー入り炭酸飲料」を挙げることができる。
【0021】
本発明の固体経口用組成物は、そのまま経口摂取可能な固形物とすることができる。その形態としては、例えば、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状を挙げることができる。本発明の固体経口用組成物中の固形分量は、通常90質量%以上であり、好ましくは93質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、更に好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であっても構わない。ここで、本明細書において「固形分量」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分の質量をいう。
【0022】
本発明の固体経口用組成物としては、例えば、食品、医薬品、医薬部外品を挙げることができる。中でも、本発明の効果を享受しやすい点で、固形食品が好ましく、粉末食品が更に好ましい。
本発明の固体経口用組成物が固形食品である場合、例えば、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、クッキーパン等の菓子類;サプリメント等の健康・美容・栄養補助食品を挙げることができる。
また、本発明の固体経口用組成物が医薬品、医薬部外品である場合、その剤型としては、例えば、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、チュアブル剤、トローチ剤等が挙げられる。また、錠剤とする場合には、割線を入れた分割錠とすることもできる。
中でも、固体経口用組成物としては、サプリメント、散剤、錠剤、顆粒剤が好ましい。
【0023】
本発明の固体経口用組成物は、固形形態とするために、必要に応じて許容される担体を含有することができる。例えば、賦形剤(例えば、コーンスターチ(とうもろこし)、ばれいしょ澱粉(じゃがいも)、かんしょ澱粉(サツマイモ)、タピオカ澱粉等のでんぷん:デキストリン;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、還元パラチノース、トレハロース、パラチノース等の糖アルコール;乳糖;オリゴ糖;結晶セルロース;軽質無水ケイ酸;リン酸水素カルシウム等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等)、崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等)、流動性改善剤、嬌味剤(例えば、ステビア等)、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、酸化防止剤、保存剤、品質安定剤、希釈剤等の担体を挙げることができるが、不快臭を有しないものを選択して使用することが好ましい。例えば、賦形剤としては、不快臭を有しない点で、デキストリン、マルチトール、乳糖が好適に使用される。
【0024】
また、本発明の固体経口用組成物は、インスタント飲料組成物としてもよい。ここで、本明細書において「インスタント飲料組成物」とは、所定の用法にしたがい液体で希釈して還元飲料として経口摂取されるものをいう。液体は飲料に還元できれば特に限定されず、例えば、水、炭酸水、牛乳、豆乳等が挙げられ、液体の温度は問わない。なお、希釈倍率は、所定の用法にしたがえばよいが、通常30~800質量倍、好ましくは80~600質量倍である。
なお、本発明の経口用組成物がインスタント飲料組成物等の固形物又は濃縮物の形態である場合、所定の希釈率で希釈されたとき、前述の成分(A)、及び成分(B)の含有量を満たし、好ましくは質量比[(B)/(A)]が前述の要件を満たせばよい。
【0025】
本発明の固体経口用組成物は、常法にしたがって製造することが可能であり、適宜の方法を採り得る。例えば、成分(A)及び成分(B)、必要により他の成分を、成分(A)と成分(B)の含有量が上記範囲内となるように混合して製造することができる。成分(A)と成分(B)との混合順序は特に限定されず、一方を他方に添加しても、両者を同時に添加してもよい。混合方法としては、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することができるが、混合装置を使用しても構わない。混合装置の混合方式は、容器回転型でも、容器固定型でもよい。容器回転型として、例えば、水平円筒型、V型、ダブルコーン型、立方体型等を採用することができる。また、容器固定型として、例えば、リボン型、スクリュー型、円錐形スクリュー型、パドル型、流動層型、フィリップスブレンダ-等を採用することができる。
【0026】
また、本発明の固体経口用組成物は、公知の造粒法により造粒物としてもよい。造粒方法としては、例えば、噴霧造粒、流動層造粒、圧縮造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出造粒、粉末被覆造粒等が挙げられる。なお、造粒条件は、造粒方法により適宜選択することができる。また、錠剤とする場合には、湿式打錠及び乾式打錠のいずれでもよく、公知の圧縮成形機を使用することができる
【0027】
本発明の固体経口用組成物は、包装体に充填することができる。包装体としては、例えば、ビン、缶、箱型容器、スティック型包装体、ピロー型包装体等を挙げることができる。なお、本発明の固体経口用組成物を包装体に充填する際には、市販の充填機を使用してもよい。本発明の固体経口用組成物は、例えば、1回摂取分を小分け包装することが可能である。インスタント飲料組成物である場合には、例えば、瓶等に容器詰し飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、カップ1杯分毎に小分け包装したスティックタイプ等とすることができる。
なお、容器内及び包材内は窒素ガスを充填してもよく、また包材は酸素透過性の低いものが品質維持の点で好ましい。
【0028】
本発明の液体経口用組成物は、常温(20℃±15℃)において流動性を有すれば、その形態は特に限定されず、例えば、液体、濃縮液状、ゲル状、ゼリー状を挙げることができる。
【0029】
本発明の液体経口用組成物の製品形態としては、例えば、RTD(レディ・トゥ・ドリンク)型飲料組成物;インスタント飲料組成物;ヨーグルト、加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;ドリンク剤等の健康・美容・栄養補助食品を挙げることができる。ここで、本明細書において「RTD型飲料組成物」とは、希釈せずにそのまま飲用可能な飲料をいう。
【0030】
中でも、液体経口用組成物としては、RTD型飲料組成物が好ましい。RTD型飲料組成物の形態としては、例えば、液体、濃縮液状、ゲル状、ゼリー状を挙げることができる。形態が濃縮液状、ゲル状、ゼリー状である場合、容器に備え付けられた吸い口やストローから飲料組成物を吸引できればよく、その固形分濃度は特に限定されない。
【0031】
RTD型飲料組成物のpH(20℃)は、風味の観点から、好ましくは3以上であり、より好ましくは3.5以上であり、更に好ましくは4以上であり、また、好ましくは7以下であり、より好ましくは6.5以下であり、更に好ましくは6以下である。なお、pHは、20℃に温度調整をしてpHメータにより測定するものとする。
【0032】
RTD型飲料組成物は、非アルコール飲料でも、アルコール飲料でもよい。ここで、本明細書において「非アルコール飲料」とは、アルコール濃度が1v/v%未満のものをいい、アルコールが全く含まれていない飲料、アルコール濃度が0.00v/v%である飲料も包含される。なお、本明細書において「アルコール」とは特に明記しない限り、エタノールを意味する。
非アルコール飲料としては、例えば、茶飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、乳飲料、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、ニアウォーター、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等を挙げることができる。
アルコール飲料としては、例えば、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等が挙げられる。
【0033】
RTD型飲料組成物は、容器詰でもよい。容器としては通常の包装容器であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等が挙げられる。
【0034】
RTD型飲料組成物が容器詰飲料組成物である場合、加熱殺菌済でもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されない。
【0035】
本発明の液体経口用組成物は、常法にしたがって製造することが可能であり、適宜の方法を採り得る。例えば、成分(A)及び成分(B)、必要により他の成分を、成分(A)と成分(B)の含有量が上記範囲内となるように液体とともに混合して製造することができる。成分(A)、成分(B)及び他の成分の混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加することができる。なお、液体としては、例えば、水、炭酸水、牛乳、豆乳が挙げられ、液体の温度は問わない。
【0036】
〔炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭抑制剤及び不快臭抑制方法〕
本発明の不快臭抑制剤及び不快臭抑制方法は、(B)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを有効成分とするものであり、(A)炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭の抑制に専ら用いられる。なお、(A)炭素数6以下の分岐脂肪酸及び(B)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールの具体的構成は、上記において説明したとおりである。
本発明の不快臭抑制剤及び不快臭抑制方法は、(A)炭素数6以下の分岐脂肪酸と(B)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールとを共存させればよく、その場合、不快臭抑制の観点から、0.01質量ppm以上の(A)炭素数6以下の分岐脂肪酸に対して、0.05質量ppm以上の(B)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを共存させることが好ましい。
【0037】
また、本発明の不快臭抑制剤は、成分(A)のみならず、成分(A)を含有する経口製品に適用することができる。
経口製品としては、経口摂取可能なものであれば特に限定されず、液体でも、固体でもよい。例えば、成分(A)を含有する、飲食品、医薬品又は医薬部外品等を挙げることができる。中でも、飲食品が好ましい。
飲食品としては、例えば、成分(A)を含有する固形食品、又は成分(A)を含有する飲料若しくはインスタント飲料を挙げることができる。なお、飲食品は、飲食品の種類に応じて、常法にしたがって製造することができる。
医薬品及び医薬部外品の剤型は特に限定されず、例えば、経口投与用製剤が挙げられ、例えば、液剤、シロップ剤等の公知の剤型を採用することができる。また、製剤化の際は、公知の添加剤を配合することができる。なお、医薬品及び医薬部外品は、常法にしたがって製造することができる。
経口製品中の成分(A)と成分(B)の各含有量、質量比[(B)/(A)]については、上記において説明したとおりである。
【0038】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の経口用組成物、炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭抑制剤及び不快臭の抑制方法を開示する。
【0039】
<1>次の成分(A)及び(B);
(A)炭素数6以下の分岐脂肪酸 0.01質量ppm以上
(B)リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコール 0.05質量ppm以上
を含有する経口用組成物。
【0040】
<2>成分(A)が、好ましくはイソ酪酸、2-メチル酪酸及びイソ吉草酸から選択される1又は2以上であり、より好ましくはイソ吉草酸である<1>に記載の経口用組成物。
<3>成分(A)が、好ましくは生コーヒー豆及び浅焙煎コーヒー豆から選択される1以上のコーヒー豆の抽出物に由来する<1>又は<2>に記載の経口用組成物。
<4>成分(A)の含有量が、0.01質量ppm以上であって、好ましくは0.05質量ppm以上、より好ましくは0.3質量ppm以上であり、また、好ましくは30質量ppm以下、より好ましくは20質量ppm以下、更に好ましくは12質量ppm以下、より更に好ましくは8質量ppm以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の経口用組成物。
<5>成分(A)の含有量が、0.01質量ppm以上であって、好ましくは0.01~30質量ppmであり、より好ましくは0.01~20質量ppmであり、更に好ましくは0.05~12質量ppmであり、より更に好ましくは0.3~8質量ppmである、<1>~<3>のいずれかに記載の経口用組成物。
<6>成分(B)の含有量が、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.08質量ppm以上、より好ましくは8質量ppm以上、更に好ましくは80質量ppm以上であり、また、好ましくは3000質量ppm以下、より好ましくは2000質量ppm以下、更に好ましくは1200質量ppm以下である、<1>~<5>のいずれかに記載の経口用組成物。
<7>成分(B)の含有量が、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.05~3000質量ppmであり、より好ましくは0.08~2000質量ppmであり、更に好ましくは8~2000質量ppmであり、より更に好ましくは80~1200質量ppmである、<1>~<5>のいずれかに記載の経口用組成物。
<8>成分(B)がリナロールであって、その含有量が、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.08質量ppm以上、より好ましくは0.8質量ppm以上、更に好ましくは8質量ppm以上、より更に好ましくは80質量ppm以上であり、また、好ましくは3000質量ppm以下、より好ましくは2000質量ppm以下、更に好ましくは1200質量ppm以下である、<1>~<5>のいずれかに記載の経口用組成物。
<9>成分(B)がリナロールであって、その含有量が、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.05~3000質量ppmであり、より好ましくは0.08~2000質量ppmであり、更に好ましくは0.8~2000質量ppmであり、より更に好ましくは8~2000質量ppmであり、より更に好ましくは80~1200質量ppmである、<1>~<5>のいずれかに記載の経口用組成物。
<10>成分(B)がゲラニオールであって、その含有量が、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.08質量ppm以上、より好ましくは8質量ppm以上、更に好ましくは800質量ppm以上であり、また、好ましくは3000質量ppm以下、より好ましくは2000質量ppm以下、更に好ましくは1500質量ppm以下である、<1>~<5>のいずれかに記載の経口用組成物。
<11>成分(B)がゲラニオールであって、その含有量が、0.05質量ppm以上であって、好ましくは0.05~3000質量ppmであり、より好ましくは0.08~2000質量ppmであり、更に好ましくは8~2000質量ppmであり、より更に好ましくは800~1500質量ppmである、<1>~<5>のいずれかに記載の経口用組成物。
<12>成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは15以上、より更に好ましくは100以上であり、また、好ましくは20000以下、より好ましくは16000以下、更に好ましくは12000以下である、<1>~<11>のいずれかに記載の経口用組成物。
<13>成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.003~20000であり、より好ましくは0.15~20000であり、更に好ましくは15~16000であり、より更に好ましくは100~12000である、<1>~<11>のいずれかに記載の経口用組成物。
<14>成分(B)がリナロールであって、成分(A)とリナロールとの質量比[リナロール/(A)]が、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは1以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは80以上、より更に好ましくは150以上であり、また、好ましくは20000以下、より好ましくは16000以下、更に好ましくは12000以下、より更に好ましくは6000以下、より更に好ましくは3000以下である、<1>~<9>のいずれかに記載の経口用組成物。
<15>成分(B)がリナロールであって、成分(A)とリナロールとの質量比[リナロール/(A)]が、好ましくは0.003~20000であり、より好ましくは0.15~20000であり、更に好ましくは1~20000であり、より更に好ましくは15~16000であり、より更に好ましくは80~12000であり、より更に好ましくは80~6000であり、より更に好ましくは150~3000である、<1>~<9>のいずれかに記載の経口用組成物。
<16>成分(B)がゲラニオールであって、成分(A)とゲラニオールとの質量比[ゲラニオール/(A)]が、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは1以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは100以上であり、また、好ましくは20000以下、より好ましくは16000以下、更に好ましくは12000以下、より更に好ましくは6000以下、より更に好ましくは3000以下である、<1>~<7>、<10>、<11>のいずれかに記載の経口用組成物。
<17>成分(B)がゲラニオールであって、成分(A)とゲラニオールとの質量比[ゲラニオール/(A)]が、好ましくは0.003~20000であり、より好ましくは0.15~20000であり、更に好ましくは1~16000であり、より更に好ましくは15~12000であり、より更に好ましくは15~6000であり、より更に好ましくは100~3000である、<1>~<7>、<10>、<11>のいずれかに記載の経口用組成物。
<18>経口用組成物が、好ましくは固体経口用組成物又は液体経口用組成物である、<1>~<17>のいずれかに記載の経口用組成物。
<19>経口用組成物が、好ましくはインスタント飲料組成物である、<1>~<18>のいずれかに記載の経口用組成物。
<20>経口用組成物が、好ましくはコーヒー飲料を除く経口用組成物である、<1>~<19>のいずれかに記載の経口用組成物。
<21>(C)フルフリルメルカプタンの含有量が、好ましくは0.00006質量%未満であり、より好ましくは0.00003質量%未満であり、更に好ましくは0.00001質量%未満であり、殊更に好ましくは実質的に含有しない、<1>~<20>のいずれかに記載の経口用組成物。
<22>経口用組成物が、好ましくはL値30未満、より好ましくは32未満、更に好ましくは34未満、より更に好ましくは36未満、より更に好ましくは38未満、殊更に好ましくは40未満の焙煎コーヒー豆を含む焙煎コーヒー豆を用いたコーヒー飲料を除く経口用組成物である、<1>~<21>のいずれかに記載の経口用組成物。
【0041】
<23>リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを有効成分とする炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭抑制剤。
【0042】
<24>炭素数6以下の分岐脂肪酸に対して、リナロール及びゲラニオールから選ばれる少なくとも1種のモノテルペンアルコールを共存させる、炭素数6以下の分岐脂肪酸の不快臭の抑制方法。
【0043】
<25>炭素数6以下の分岐脂肪酸が、好ましくはイソ酪酸、2-メチル酪酸及びイソ吉草酸から選択される1又は2以上であり、より好ましくはイソ吉草酸である<23>に記載の不快臭抑制剤、又は<24>に記載の不快臭の抑制方法。
<26>炭素数6以下の分岐脂肪酸が、好ましくは生コーヒー豆及び浅焙煎コーヒー豆から選択される1以上のコーヒー豆の抽出物に由来する<23>~<25>のいずれかに記載の不快臭抑制剤又は不快臭の抑制方法。
<27>炭素数6以下の分岐脂肪酸とモノテルペンアルコールとの質量比[モノテルペンアルコール/炭素数6以下の分岐脂肪酸]が、好ましくは0.15以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは100以上であり、また、好ましくは20000以下、より好ましくは16000以下、更に好ましくは12000以下である、<23>~<26>のいずれかに記載の不快臭抑制剤又は不快臭の抑制方法。
【実施例0044】
(1)分岐脂肪酸の分析
第三者機関にてGC/MS法又はHPLC法により分析することが可能であり、GC/MS法による分析は、財団法人日本食品分析センターに、またHPLC法による分析は、(株)島津テクノリサーチに、それぞれ依頼することができる。
【0045】
(2)リナロール及びゲラニオールの分析
第三者機関にてGC/MS法により分析することが可能であり、財団法人日本食品分析センターに依頼することができる。
【0046】
実施例1~5及び比較例1~2
イソ吉草酸及びリナロールを各濃度で99.5%エタノール(富士フィルム和光純薬製)に溶解し、マルチトール粉末(レシス微粉;三菱商事ライフサイエンス製)1gとエタノール溶液100uLを混合した。表2に示した終濃度となるようエタノール溶液濃度を調整した。50℃で10分間静置してエタノールを揮発させて、粉末状の経口用組成物を調製した。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。その結果を表2に併せて示す。
【0047】
[官能評価]
各実施例及び比較例で得られた粉末状の経口用組成物の「イソ吉草酸の不快臭強度」について、専門パネル2名が次の手順で官能試験を行った。先ず、イソ吉草酸試薬を用いて、「イソ吉草酸の不快臭」の強さを等間隔で5段階に予め濃度調整した「イソ吉草酸標準粉末」を調製した。「イソ吉草酸標準粉末」は、イソ吉草酸を各濃度で99.5%エタノール(富士フィルム和光純薬製)に溶解し、マルチトール粉末(レシス微粉;三菱商事ライフサイエンス製)1gとエタノール溶液100uLを混合した。表1に示した終濃度となるようエタノール溶液濃度を調整した。50℃で10分間静置してエタノールを揮発させた後、専門パネル2名で臭気を評価した。評価は、各専門パネルが各濃度のイソ吉草酸の不快臭強度について、表1中に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルが「イソ吉草酸標準粉末」においてイソ吉草酸濃度の低いものから順に評価し、「イソ吉草酸の不快臭強度」を記憶した。次いで、各専門パネルが被験経口用組成物を摂取した際の「イソ吉草酸の不快臭強度」の程度を評価し、「イソ吉草酸標準粉末」の中から「イソ吉草酸の不快臭強度」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により最終評点を決定した。なお、評点は、数値が小さいほど、イソ吉草酸の不快臭強度が弱いことを意味する。
【0048】
【0049】
【0050】
実施例6~10及び比較例3~4
実施例1と同様の操作により、表3に示す組成の粉末状の経口用組成物を得た。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。官能評価は、実施例1と同様に評価した。
その結果を表3に併せて示す。
【0051】
【0052】
実施例11~15及び比較例5~6
実施例1と同様の操作により、表4に示す組成の粉末状の経口用組成物を得た。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。官能評価は、実施例1と同様に評価した。
その結果を表4に併せて示す。
【0053】
【0054】
実施例16~20及び比較例7~8
リナロールに代えてゲラニオールを用いて実施例1と同様の操作により、表5に示す組成の粉末状の経口用組成物を得た。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。官能評価は、実施例1と同様に評価した。その結果を表5に併せて示す。
【0055】
【0056】
実施例21~24及び比較例9~10
実施例16と同様の操作により、表6に示す組成の粉末状の経口用組成物を得た。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。官能評価は、実施例1と同様に評価した。その結果を表6に併せて示す。
【0057】
【0058】
実施例25~28及び比較例11~12
実施例16と同様の操作により、表7に示す組成の粉末状の経口用組成物を得た。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。官能評価は、実施例1と同様に評価した。その結果を表7に併せて示す。
【0059】
【0060】
実施例29~33及び比較例13~14
イソ酪酸及びリナロールを各濃度で99.5%エタノール(富士フィルム和光純薬製)に溶解し、マルチトール粉末(レシス微粉;三菱商事ライフサイエンス製)1gとエタノール溶液100uLを混合した。表9に示した終濃度となるようエタノール溶液濃度を調整した。50℃で10分間静置してエタノールを揮発させて、粉末状の経口用組成物を調製した。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。その結果を表9に併せて示す。
【0061】
[官能評価]
各実施例及び比較例で得られた粉末状の経口用組成物の「イソ酪酸の不快臭強度」について、専門パネル1名が、イソ酪酸試薬を用いて、表9に示した終濃度となるようエタノール溶液濃度を調整した以外は、上記「イソ吉草酸の不快臭強度」と同様の手順で官能試験を行い、最終評点を決定した。なお、イソ酪酸はイソ吉草酸より嗅覚閾値が高いため、イソ吉草酸と同等程度の臭気となるよう標準品の濃度を調整した。
評点は、数値が小さいほど、イソ酪酸の不快臭強度が弱いことを意味する。
【0062】
【0063】
【0064】
実施例34~38及び比較例15~16
リナロールに代えてゲラニオールを用いて実施例29と同様の操作により、表10に示す組成の粉末状の経口用組成物を得た。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。官能評価は、実施例29と同様に評価した。その結果を表10に併せて示す。
【0065】
【0066】
実施例39~43及び比較例17~18
2-メチル酪酸及びリナロールを各濃度で99.5%エタノール(富士フィルム和光純薬製)に溶解し、マルチトール粉末(レシス微粉;三菱商事ライフサイエンス製)1gとエタノール溶液100uLを混合した。表12に示した終濃度となるようエタノール溶液濃度を調整した。50℃で10分間静置してエタノールを揮発させて、粉末状の経口用組成物を調製した。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。その結果を表12に併せて示す。
【0067】
[官能評価]
各実施例及び比較例で得られた粉末状の経口用組成物の「2-メチル酪酸の不快臭強度」について、専門パネル1名が、2-メチル酪酸試薬を用いて、表11に示した終濃度となるようエタノール溶液濃度を調整した以外は、上記「イソ吉草酸の不快臭強度」と同様の手順で官能試験を行い、最終評点を決定した。なお、2-メチル酪酸はイソ吉草酸より嗅覚閾値が高いため、イソ吉草酸と同等程度の臭気となるよう標準品の濃度を調整した。
評点は、数値が小さいほど、2-メチル酪酸の不快臭強度が弱いことを意味する。
【0068】
【0069】
【0070】
実施例44~48及び比較例19~20
リナロールに代えてゲラニオールを用いて実施例39と同様の操作により、表13に示す組成の粉末状の経口用組成物を得た。各経口用組成物について分析及び官能評価を行った。官能評価は、実施例39と同様に評価した。その結果を表13に併せて示す。
【0071】
【0072】
表2~表13から、リナロール及び/又はゲラニオールを所定量以上含有させることで、イソ吉草酸、イソ酪酸及び2-メチル酪酸の不快臭が抑制された経口用組成物が得られることがわかる。