(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079648
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】組立玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/12 20060101AFI20240604BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A63H33/12
F16B5/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201672
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2022192186
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】522468180
【氏名又は名称】福田 博史
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 博史
【テーマコード(参考)】
2C150
3J001
【Fターム(参考)】
2C150CA02
2C150EH22
2C150FB47
3J001FA02
3J001GA10
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA08
3J001JA03
3J001KA05
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で所望の形状の組立体を低年齢の子供でも組み立てることができる組立玩具を提供する。
【解決手段】
組立玩具は、複数種類の木片には、長さ寸法及び幅寸法よりも厚み寸法が短くしかも厚み寸法が木ネジ11の長さ寸法よりも短い薄形の木片3と、厚み寸法が木ネジ11の長さ寸法よりも長い厚形の木片5とが含まれている。薄形の木片3には厚み方向に貫通孔9が形成されている。厚形の木片5には、木ネジ11の頭部を除いた本体部12の長さよりも短い有底の孔7が形成されている。そして貫通孔9の長さと有底の孔7の長さの合計値を、木ネジ11の本体部12の長さよりも短くする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の木片を木ネジを用いて締結することにより所望の形状の組立体を構成する組立玩具において、
前記複数種類の木片には、長さ寸法及び幅寸法よりも厚み寸法が短くしかも前記厚み寸法が前記木ネジの長さ寸法よりも短い薄形の木片と、厚み寸法が前記木ネジの長さ寸法よりも長い厚形の木片とが含まれており、
前記薄形の木片には、前記厚み方向に貫通孔が形成されており、
前記厚形の木片には、前記木ネジの頭部を除いた本体部の長さよりも短い有底の孔が形成されており、
前記貫通孔の長さと前記有底の孔の長さの合計値が、前記木ネジの前記本体部の長さよりも短い組立玩具。
【請求項2】
前記木ネジの前記本体部の前記有底の孔に入らない部分には、ネジ部が形成されていないか、またはその大部分にはネジ部が形成されていない請求項1に記載の組立玩具。
【請求項3】
前記薄形の木片は、前記貫通孔が年輪木目を貫通するように成形されている請求項1に記載の組立玩具。
【請求項4】
前記厚形の木片は、長さ寸法が前記厚み寸法よりも長く、厚み方向に対向する2つの側面部と幅方向に対向する2つの側面部には、それぞれ前記長さ方向に間隔をあけて2以上の前記有底の孔が形成されている請求項1に記載の組立玩具。
【請求項5】
前記厚み方向に対向する一対の前記有底の孔を結ぶ仮想線と幅方向に対向する一対の前記有底の孔を結ぶ仮想線が交差しない請求項4に記載の組立玩具。
【請求項6】
前記複数種類の木片は、カラマツ木材から形成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組立玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の木片が木ネジで締結されてなる組立玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3172088号公報(特許文献1)に示された、知育積み木では、長さが異なる長尺状の複数の積み木ユニットのそれぞれの側面に、複数の枢着孔が設けられている。積み木ユニットのうちの少なくとも2つが、ボルト部材とナット部材からなる結合部材を介して複数の枢着孔のうちの1つに枢着して位置決めされ、積み木ユニットが組み合わされて立体形状に形成されている。
【0003】
また実開昭52-48996号公報(特許文献2)には、複数の木製ブロックの両側面の対向する位置に一対のダボ孔が形成され、2つの木製ブロックをダボ孔に嵌合されるダボにより連結する組立玩具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3172088号公報
【特許文献2】実開昭52-48996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された組立玩具では、木ユニットの厚みが同じであれば、一種類のボルト部材とナット部材を用意すればよいが、厚みが異なる木ユニットを連結するためには、木ユニットの厚みに応じた複数種類の長さのボルト部材を用意する必要があり、部品点数が増加する問題がある。また組立玩具を組み立てる際及び組立玩具を分解する際には、ナットを押さえた状態でボルト部材を廻す必要があり、低年齢の子供には、組立と分解が難しい問題がある。
【0006】
また特許文献2に記載された組立玩具では、2つの木製ブロックの間にダボを位置決めする作業が難しく、低年齢の子供が簡単に種々の形状の組立体を組み立てることが難しいという問題がある。さらにダボ孔とダボは嵌合しているだけであるため、両者の結合力を調整することができず、組立体を所望の形状に維持できない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、少ない部品点数で所望の形状の組立体を低年齢の子供でも組み立てることができる組立玩具を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、可動部を可動させても締結部分が緩むことがない組立玩具を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、貫通孔をスムーズに形成することができる薄形の木片を備えた組立玩具を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、組立と分解を繰り返す回数を大幅に伸ばすことができる組立玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数種類の木片を木ネジを用いて締結することにより所望の形状の組立体を構成する組立玩具を対象とする。本発明の組立玩具では、複数種類の木片には、長さ寸法及び幅寸法よりも厚み寸法が短くしかも厚み寸法が木ネジの長さ寸法よりも短い薄形の木片と、厚み寸法が木ネジの長さ寸法よりも長い厚形の木片とが含まれている。薄形の木片には厚み方向に貫通孔が形成されている。厚形の木片には、木ネジの頭部を除いた本体部の長さよりも短い有底の孔が形成されている。そして貫通孔の長さと有底の孔の長さの合計値を、木ネジの本体部の長さよりも短くする。
【0012】
このようにすると少ない部品点数で所望の形状の組立体を低年齢の子供でも組み立てることができる。また木ネジを薄形の木片に形成した貫通孔と厚形の木片に形成した有底の孔に木ネジを螺入する際に、有底の孔がガイド機能を発揮するので、子供でも木ネジを簡単に位置決めして締め付けることができる。
【0013】
また木ネジの本体部の有底の孔に入らない部分には、ネジ部が形成されていないか、またはその大部分にはネジ部が形成されていないのが好ましい。このようにすると木ネジのネジ部は厚形の木片の有底の孔に食い込んで、薄形の木片を厚形の木片にしっかりと固定した状態で、薄形の木片を木ネジを中心にして回動させることができる。
【0014】
薄形の木片は、貫通孔が年輪木目を貫通するように成形されているのが好ましい。このようにすると、貫通孔をあける際に、固い木目方向に穴あけが誘導されて、貫通孔が湾曲するのを防ぐことができる。また木ネジの固い木目への噛みつきにより結合強度が得られる。
【0015】
厚形の木片は、長さ寸法が厚み寸法よりも長く、厚み方向に対向する2つの側面部と幅方向に対向する2つの側面部には、それぞれ長さ方向に間隔をあけて2以上の有底の孔が形成されているのが好ましい。このようにすると厚形の木片と薄形の木片を用いて組み立てる組立体のバリエーションを増やすことができる。なお厚み方向に対向する一対の有底の孔を結ぶ仮想線と幅方向に対向する一対の有底の孔を結ぶ仮想線が交差しないように有底の孔を形成するのが好ましい。このようにすると各有底の孔に木ネジを挿入しても、各木ネジが干渉し合うことがない。
【0016】
複数種類の木片は、カラマツ木材から形成されているのが好ましい。カラマツ木材は針葉樹の中で強度の高い木種であり、変形・傷等への耐性が高く、特に固い冬目年輪はネジの噛みつき強度が高く固く締まる。また脂成分を含むので穴が崩れにくく緩みにくいという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の組立玩具により形成した組立体の一例を示す図である。
【
図2】本発明の組立玩具により形成した組立体の他の例を示す図である。
【
図3】(A)及び(B)は、厚形の木片の斜視図である。
【
図5】薄形の木片の貫通孔に木ネジを挿入した図である。
【
図6】(A)及び(B)は、木ネジと薄形の木片と厚形の木片の実際の寸法の関係を示す図である。
【
図7】2枚の薄形の木片を厚形の木片に木ネジで締結した状態を示す斜視図である。
【
図8】2枚の薄形の木片を厚形の木片に対して廻した状態を示す斜視図である。
【
図9】2枚の薄形の木片を厚形の木片に木ネジで締結した他の例を示す斜視図である。
【
図10】(A)及び(B)は、他の形状の木片を示す斜視図であり、(C)は、貫通孔の関係を示す図である。
【
図11】(A)及び(B)は、他の形状の木片を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明の組立玩具の実施の形態を詳細に説明する。
図1及び
図2は、本発明の組立玩具により形成した組立体の一例を示している。
図1の組立体1は、
図3(A)に示す厚形の木片5と
図4に示す薄形の木片3を用いて組み立てられている。薄形の木片3と厚形の木片5は、日本のカラマツ木材から形成されている。
【0019】
図3(A)に示すように、厚形の木片5は長さ寸法、幅寸法及び厚み寸法が50mm×20mm×20mmの形状を有している。この厚形の木片には、各辺より10mmの位置に直径2mm深さ6mmの有底の孔7が、1つの面に2個ずつ形成されており、4面で計8個の有底の孔7が形成されている。
図3(B)は、8個の有底の孔(7a,7b)の位置関係を示している。
図3から理解できるように、厚み方向に対向する一対の有底の孔7aを結ぶ仮想線Laと幅方向に対向する一対の有底の孔7bを結ぶ仮想線Lbは、交差しない。その結果、各有底の孔7a及び7bに後述する木ネジを挿入しても、各木ネジが干渉し合うことはない。
【0020】
また
図4に示すように、薄形の木片3は長さ寸法、幅寸法及び厚み寸法が50mm×20mm×4mmの形状を有している。この薄形の木片には、各辺から10mmの位置及び面の中心の3か所に直径2mmの貫通孔9が形成されている。
図5に示すように、薄形の木片3は、貫通孔9が年輪木目4を貫通するように成形されている。このようにすると、貫通孔9をあける際に、固い木目方向に穴あけが誘導されて、貫通孔9が湾曲するのを防ぐことができる。また木ネジ11の固い木目への噛みつきにより結合強度が得られる。
【0021】
図6(A)及び(B)には、木ネジ11と薄形の木片3と厚形の木片5の実際の寸法の関係が示されている。
図6(B)は、木ネジ11を挿入した状態の模式図である。木ネジ11のネジ径は2.2mmであり、頭部の下の本体部12の長さは13mmである。このような寸法の関係にすると、薄形の木片3と厚形の木片5の接続において木ネジ11を使用することで、径方向に0.2mm(木ネジの直径2.2mm-有底の孔の直径2mm)の食い込みと、深さ方向に3mm(木ネジの本体部の長さ13mm-有底の孔の深さ6mm-薄形の木片の厚み4mm)の食い込みが得られる。この程度の食い込みであれば、子供が手動で木ネジ11を廻す時の負荷の低減と結合強度の調和が得られる。見方を変えると、貫通孔9の長さと有底の孔7の長さの合計値が、木ネジ11の本体部12の長さよりも短くなる関係が成立している。この関係を作ると、木ネジ11を薄形の木片3に形成した貫通孔9と厚形の木片5に形成した有底の孔7に木ネジ11の本体部12を螺入する際に、有底の孔7がガイド機能を発揮するので、子供でも木ネジを簡単に位置決めして締め付けることができる。また前述の食い込み量により、強い結合力が得られる。
【0022】
図6(B)に示すように、木ネジ11の本体部12の有底の孔7に入らない部分14には、ネジ部13が形成されていないか、またはその大部分(14)にはネジ部13が形成されていないのが好ましい。このようにすると木ネジ11のネジ部13は厚形の木片5の有底の孔7に食い込んで、薄形の木片3を厚形の木片5にしっかりと固定した状態で、薄形の木片3を木ネジ11を中心にして回動させることができる。
【0023】
図7は、上記の関係により、2枚の薄形の木片3を厚形の木片5に木ネジ11で締結した状態を示している。有底の孔7により木ネジ11の誘導がなされており、場所の正確性が得られている。また子供の手動による結合も適度な負荷により可能となっている。
図7の状態から
図8に示す状態にすることができる。これは有底の孔7と木ネジ11のネジ固定の効果により、薄形の木片3の可動・変形が可能になり、また木ネジ11の締め付け強度の変化で薄形の木片3を動かすことと、固定することを選択できる。
【0024】
また
図9に示すように、有底の孔7a及び7bが厚形の木片5の4面にあることで立体的な造形及び可動が可能になる。
【0025】
本実施の形態で用いることができる複数種類の木片は
図3及び
図4に示されるものに限定されるものではなく、例えば
図10(A)及び(B)、
図11(A)及び(B)に示すような形状の木片も用いることができる。
図10(A)及び(B)の薄形の木片3は、長手方向の一端側の厚みが他端側の厚みよりも厚みが薄くなる全体形状を有している。
図10(C)に示すように、幅方向に貫通する孔9aと厚み方向に貫通する孔9bは、交差しないように形成されている。
【0026】
これら各種の形状の木片と前述の締結構造を用いれば、
図2に示すような複雑な形状の組立体を作ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、木ネジを薄形の木片に形成した貫通孔と厚形の木片に形成した有底の孔に木ネジを螺入する際に、有底の孔がガイド機能を発揮するので、少ない部品点数で所望の形状の組立体を低年齢の子供でも組み立てることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 組立体
3 薄形の木片
5 厚形の木片
7,7a,7b 有底の孔
9,9a,9b 貫通孔
11 木ネジ