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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079673
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】積層インダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240604BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20240604BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240604BHJP
   H01B 1/02 20060101ALI20240604BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240604BHJP
   B22F 1/052 20220101ALI20240604BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20240604BHJP
   B22F 7/04 20060101ALI20240604BHJP
   C09D 11/52 20140101ALI20240604BHJP
   C22C 5/08 20060101ALN20240604BHJP
   B22F 9/00 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
H01G4/30 201D
H01B1/00 K
H01B1/22 A
H01B1/02 Z
H01G4/30 516
H01G4/30 201G
B22F1/00 K
B22F1/052
B22F1/05
B22F7/04 D
C09D11/52
C22C5/08
B22F9/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023679
(22)【出願日】2024-02-20
(62)【分割の表示】P 2020562964の分割
【原出願日】2019-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2018242807
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】新藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】真島 浩
(72)【発明者】
【氏名】秋本 裕二
(57)【要約】      (修正有)
【課題】粉末を高濃度に含み、且つ、印刷性に優れる銀ペーストを製造すること及びその銀ペーストを用いた、充填率及び膜密度が高く、高い導電性を示し、且つ、耐マイグレーション性に優れる銀導体膜を提供する。
【解決手段】少なくとも銀粉末、バインダ樹脂及び有機溶剤を含有する銀ペーストであって、銀粉末が、下記[1]~[4]の条件をいずれも満たす。
[1]レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における50%値をD50としたとき、D50が3.50~7.50μmである第1の銀粉と、D50が0.80~2.00μmである第2の銀粉を含む。
[2]銀粉末全体の銅含有量が10~5000質量ppmである。
[3]第2の銀粉の銅含有量が80質量ppm以上である。
[4]第1の銀粉は実質的に銅を含まない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも銀粉末、バインダ樹脂及び有機溶剤を含有する銀ペーストであって、
前記銀粉末が、下記[1]~[4]:
[1]レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における50%値をD50としたとき、D50が3.50~7.50μmである第1の銀粉(a)と、D50が0.80~2.70μmである第2の銀粉(b)を含む;
[2]前記銀粉末全体の銅含有量が10~5000質量ppmである;
[3]前記第2の銀粉(b)の銅含有量が80質量ppm以上である;
[4]前記第1の銀粉(a)は実質的に銅を含まない;
の条件をいずれも満たすこと、
を特徴とする銀ペースト。
【請求項2】
レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における10%値をD10としたとき、前記第2の銀粉(a)のD10が0.70μm以上であることを特徴とする請求項1記載の銀ペースト。
【請求項3】
第1の銀粉(a)の銅含有量が50質量ppm未満であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項4】
第1の銀粉(a)のD50が3.70~7.50μmであることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項5】
第1の銀粉(a)のD50が4.00~6.00μmであることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項6】
第2の銀粉(b)のD50が0.80~2.00μmであることを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項7】
前記銀粉末全体のD10が1.00~3.00μm、D50が3.00~7.00μmであることを特徴とする請求項1~6いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項8】
前記銀粉末全体のD10が1.20~2.00μmであることを特徴とする請求項7記載の銀ペースト。
【請求項9】
前記銀粉末全体のD50が3.90~5.00μmであることを特徴とする請求項7又は8いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項10】
前記銀粉末全体の銅含有量が30~500質量ppmであることを特徴とする請求項1~9いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項11】
更に下記[5]:
[5]前記銀ペーストに対する前記銀粉末全体の含有量CAGが80.00~97.00質量%である;
の条件を満たすことを特徴とする請求項1~10いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項12】
前記銀ペーストに対する前記銀粉末全体の含有量CAGが92.00~96.00質量%であることを特徴とする請求項11記載の銀ペースト。
【請求項13】
前記銀ペーストの乾燥膜密度が7.50g/cm以上であることを特徴とする請求項1~12いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項14】
前記銀粉末全体の比表面積をSBET(m/g)、前記銀粉末全体に対する前記バインダ樹脂の含有割合をCBND(質量%)としたとき、CBND/SBETの値が2.00~3.40であることを特徴とする請求項1~13いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項15】
前記銀粉末全体の比表面積SBETが0.10~0.30m/gであることを特徴とする請求項1~14いずれか1項記載の銀ペースト。
【請求項16】
700℃以下の加熱処理によって導体膜を形成するために用いられることを特徴とする請求項1~15いずれか1項記載の銀ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀粉を含み、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、アクチュエーター等のセラミック電子部品における、内部電極や外部電極を形成するために用いられる焼成型の銀ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品の内部電極や外部電極を形成するための、金属粉末を含有する導電性ペーストは広く用いられている。これは、例えば、有機金属化合物を用いる導電性インク等に比べ、金属粉末を含む導電性ペーストが、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法、ディップ法、ディスペンス法、刷毛塗り、スピンコートといった様々な印刷法に対応することができ、且つ、一度の塗布印刷によって厚膜を形成することができ、高い導電性を得る上で有利であることをその一因とする。
【0003】
また、高い導電性を得るためには、導電性ペースト中に含まれる金属粉末の含有量は高い方が好ましく、また、当該ペーストを印刷して得られる塗膜は、緻密で高密度であることが望まれる。金属粉末の含有量が高いことで、今後、更に微細となるパターン形成においても、確実な導通を得ることができる。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2005-174824号公報)には、緻密性が高く、導電性の高い膜を得るために金属粉末の代わりに金属コロイド粒子を使用し、これに有機金属化合物を併用することにより、金属コロイド粒子間の空隙を有機金属化合物で埋めることで、緻密性を上げようとしている発明が開示されている。
【0005】
しかしながら、金属コロイド粒子や有機金属化合物には多量の有機成分が含まれているため、これらを導電性の主成分として使用する場合、金属粉末を使用するペーストに比べて金属成分の含有量が低いことから、比抵抗の低い導体膜を得ることができない。しかも、前述した多種多様な印刷法への対応が難しく、これを解決するためにペースト中に多量のバインダ樹脂や粘度調整剤等を添加すると、塗膜中の金属比率を更に下げることになる。
【0006】
一方、ペーストの導電性成分として金属粉末を使用する場合、金属粉末の含有量が高ければ、比抵抗の低い導体膜を得ることができるが、金属粉末の含有量が高くなればなるほど印刷性が悪くなる。それ故、銀ペーストの場合は、例えば、特許文献2に記載されている塗膜密度は、最も高いもので5.4g/cmであり、特許文献3に記載されている塗膜密度も最高で5.70g/cm程度である。また特許文献4には、ニッケルペーストではあるが乾燥膜密度が6.2g/cmの例が開示されている。
【0007】
これらのように、導電性ペーストにおいて、高い導電性を得るために緻密な塗膜を得ようとすると印刷性が犠牲になり、両者はトレードオフ(二律背反)の関係にある。それ故、緻密な塗膜形成と良好な印刷性とを同時に達成できる導電性ペーストが求められている。
【0008】
緻密な塗膜を得るために、粒径の異なる大小2種類の銀粉末を使用した例が知られている(特許文献5、特許文献6)。しかしながら、特に銀粉末を使用する銀ペーストの場合にはマイグレーションと呼ばれる現象が知られており、銀ペースト中に含まれる小径銀粉末(例えば0.5μm未満)が多ければ多いほど更にマイグレーションが生じやすくなる。
【0009】
従来からマイグレーションを抑制するため、銀ペーストにフッ素を含む耐マイグレーション抑制剤(特許文献7)や、銀粉末に銅-錫-マンガンの三元素を含む混合粉や合金粉、化合物粉等(特許文献8)を添加するといった種々の対策が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005-174824号公報
【特許文献2】特開2007-131950号公報
【特許文献3】特開2008-192565号公報
【特許文献4】特開2004-220807号公報
【特許文献5】特開2003-280179号公報
【特許文献6】特開2005-203304号公報
【特許文献7】特開2014-197483号公報
【特許文献8】国際公開第2014/061765号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、マイグレーションを防止する目的で、ペースト中に上述したような銀粉末以外の成分を多量に添加することは、高い導電性を得る上では好ましくない。
【0012】
従って、本発明は、これらの問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明の目的は、銀粉末を高濃度に含み、且つ、印刷性に優れる銀ペーストを提供すること、及びそのことにより、充填率及び膜密度が高く、高い導電性を示し、且つ、耐マイグレーション性に優れる銀導体膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明者等は、ペースト中に銀粉末を高濃度に含む場合であっても、[1]銀粉末として、レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における50%値をD50としたとき、D50が3.50~7.50μmである第1の銀粉(a)と、D50が0.80~2.70μmである第2の銀粉(b)とを併用すること、[2]銀粉末全体の銅含有量を10~5000質量ppmとすること、[3]前記第2の銀粉(b)の銅含有量を80質量ppm以上とすること、[4]第1の銀粉(a)を実質的に銅を含まないものとすることにより、印刷性を犠牲にすることなく緻密な乾燥膜を得ることができ、しかも、銀粉末に必要最小限の銅成分を含有させるだけで、効果的にマイグレーションを抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明(1)は、少なくとも銀粉末、バインダ樹脂及び有機溶剤を含有する銀ペーストであって、
前記銀粉末が、下記[1]~[4]:
[1]レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における50%値をD50としたとき、D50が3.50~7.50μmである第1の銀粉(a)と、D50が0.80~2.70μmである第2の銀粉(b)を含む;
[2]前記銀粉末全体の銅含有量が10~5000質量ppmである;
[3]前記第2の銀粉(b)の銅含有量が80質量ppm以上である;
[4]前記第1の銀粉(a)は実質的に銅を含まない;
の条件をいずれも満たすこと、
を特徴とする銀ペーストを提供するものである。
【0015】
また、本発明(2)は、レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における10%値をD10としたとき、前記第2の銀粉(a)のD10が0.70μm以上であることを特徴とする(1)の銀ペーストを提供するものである。
【0016】
また、本発明(3)は、第1の銀粉(a)の銅含有量が50質量ppm未満であることを特徴とする(1)又は(2)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0017】
また、本発明(4)は、第1の銀粉(a)のD50が3.70~7.50μmであることを特徴とする(1)~(3)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0018】
また、本発明(5)は、第1の銀粉(a)のD50が4.00~6.00μmであることを特徴とする(1)~(3)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0019】
また、本発明(6)は、第2の銀粉(b)のD50が0.80~2.00μmであることを特徴とする(1)~(5)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0020】
また、本発明(7)は、前記銀粉末全体のD10が1.00~3.00μm、D50が3.00~7.00μmであることを特徴とする(1)~(6)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0021】
また、本発明(8)は、前記銀粉末全体のD10が1.20~2.00μmであることを特徴とする(7)の銀ペーストを提供するものである。
【0022】
また、本発明(9)は、前記銀粉末全体のD50が3.90~5.00μmであることを特徴とする(7)又は(8)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0023】
また、本発明(10)は、前記銀粉末全体の銅含有量が30~500質量ppmであることを特徴とする(1)~(9)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0024】
また、本発明(11)は、更に下記[5]:
[5]記銀ペーストに対する前記銀粉末全体の含有量CAGが80.00~97.00質量%である;
の条件を満たすことを特徴とする(1)~(10)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0025】
また、本発明(12)は、前記銀ペーストに対する前記銀粉末全体の含有量CAGが92.00~96.00質量%であることを特徴とする(11)の銀ペーストを提供するものである。
【0026】
また、本発明(13)は、前記銀ペーストの乾燥膜密度が7.50g/cm以上であることを特徴とする(1)~(12)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0027】
また、本発明(14)は、前記銀粉末全体の比表面積をSBET(m/g)、前記銀粉末全体に対する前記バインダ樹脂の含有割合をCBND(質量%)としたとき、CBND/SBETの値が2.00~3.40であることを特徴とする(1)~(13)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0028】
また、本発明(15)は、前記銀粉末全体の比表面積SBETが0.10~0.30m/gであることを特徴とする(1)~(14)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【0029】
また、本発明(16)は、700℃以下の加熱処理によって導体膜を形成するために用いられることを特徴とする(1)~(15)いずれかの銀ペーストを提供するものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、銀粉末を高濃度に含み、且つ、印刷性に優れる銀ペーストを提供すること、及びそのことにより、充填率及び膜密度が高く、高い導電性を示し、且つ、耐マイグレーション性に優れる銀導体膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】積層インダクタの外観図である。
図2】上記積層インダクタの素体部分の分解図である。
図3図1のX-X軸に沿った断面の簡略図である。
図4図3の一部を拡大した簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の銀ペーストは、少なくとも銀粉末、バインダ樹脂及び有機溶剤を含有する銀ペーストであって、
前記銀粉末が、下記[1]~[4]:
[1]レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における50%値をD50としたとき、D50が3.50~7.50μmである第1の銀粉(a)と、D50が0.80~2.70μmである第2の銀粉(b)を含む;
[2]前記銀粉末全体の銅含有量が10~5000質量ppmである;
[3]前記第2の銀粉(b)の銅含有量が80質量ppm以上である;
[4]前記第1の銀粉(a)は実質的に銅を含まない;
の条件をいずれも満たすことを特徴とする銀ペーストである。
【0033】
なお、本発明において、D10、D50は、それぞれ、レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における10%値、50%値を指す。
【0034】
本発明の銀ペーストは、少なくとも、銀粉末と、バインダ樹脂と、有機溶剤と、を含有する。
【0035】
本発明の銀ペーストに係る銀粉末、すなわち、本発明の銀ペーストに含有される銀粉末は、後述する要件を満たすことが可能なものであれば、形状、粒径、製造方法等は、特に制限されない。
【0036】
本発明の銀ペーストに係る銀粉末は、レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における50%値をD50としたとき、D50が3.50~7.50μmである第1の銀粉(a)と、D50が0.80~2.70μmである第2の銀粉(b)と、を含む。つまり、本発明の銀ペーストでは、銀粉末として、D50が異なる2種類の銀粉、すなわち、第1の銀粉(a)と第2の銀粉(b)との混合粉末を用いる。そして、本発明の銀ペーストでは、D50が異なる第1の銀粉(a)と第2の銀粉(b)とが併用されていることにより、乾燥膜密度が高くなる。なお、本明細書において数値範囲を示す符号「~」は、特に断らない限り、符号「~」の前後に記載された数値を含む範囲を示すものとする。すなわち、例えば「3.50~7.50」という表記は、特に断らない限り、「3.50以上7.50以下」と同義である。
【0037】
本発明の銀ペーストに係る銀粉末全体の銅含有量は、10~5000質量ppm、好ましくは30~500質量ppmである。銀粉末の銅含有量が、上記範囲にあることにより、マイグレーションが発生し難くなる。一方、銀粉末の銅含有量が、上記範囲未満だと、マイグレーションが発生し易くなり、また、上記範囲を超えると、比抵抗が大きくなる。
【0038】
本発明の銀ペーストにおいて、銀粉末のうち、第2の銀粉(b)は銅を80質量ppm以上含むが、第1の銀粉(a)は実質的に銅を含有しない。第2の銀粉(b)の銅含有量の上限は、銀粉末全体の銅含有量が上記範囲を満たすのであれば、特に制限されないが、第2の銀粉(b)の銅含有量は、比抵抗が大きくなり過ぎない点で、10000ppm以下が好ましく、8000ppm以下が特に好ましい。なお、本発明において、第1の銀粉(a)は実質的に銅を含有しないとは、第1の銀粉(a)中の銅含有量が50質量ppm未満であることを指す。
【0039】
本発明の銀ペーストでは、銀粉末全体の銅含有量は、10~5000質量ppm、好ましくは30~500質量ppmであり、且つ、第1の銀粉(a)は実質的に銅を含有しないので、銀粉末を構成するD50が異なる第1の銀粉(a)及び第2の銀粉(b)のうち、D50が小さい第2の銀粉(b)が銅を多く含有している。そして、本発明の銀ペーストでは、D50が小さい第2の銀粉(b)が銅を多く含有することにより、マイグレーションが起こり難く、しかも高い導電性を示すことができる。
【0040】
第1の銀粉(a)の形状は、粒状やフレーク状、不定形状であっても良いが、特には球状であることが好ましい。なお、本発明において球状とは、SEM(走査電子顕微鏡)による観察において、視野内にある任意の50個の粒子のアスペクト比の平均値が1.0~1.5の範囲内にあるものをいう。アスペクト比の平均値としては、1.0~1.3の範囲内であることが好ましい。
【0041】
第1の銀粉(a)のD50は、3.50~7.50μm、好ましくは3.70~7.50μm、特に好ましくは4.00~6.00μmである。第1の銀粉(a)のD50が上記範囲にあることにより、銀粉末全体のD50の制御が容易であり、また抵抗値を下げることも容易になる。
【0042】
第2の銀粉(b)の形状は、粒状やフレーク状、不定形状であっても良いが、特には球状であることが好ましい。
【0043】
第2の銀粉(b)のD50は、0.80~2.70μmであり、0.80~2.00μmであってもよく、好ましくは0.80~1.80μmである。第2の銀粉(b)のD50が上記範囲にあることにより、膜密度が高く、耐マイグレーション性も良好な導体膜を得やすくなる。また、第2の銀粉(b)のD10は、好ましくは0.70μm以上である。第2の銀粉(b)のD10が上記範囲にあることにより、導体膜間のショートの発生を抑えやすくなる。
【0044】
銀粉末全体のD10が1.00~3.00μmであり且つD50が3.00~7.00μmであることが好ましい。銀粉末全体のD10が1.20~2.00μmであることが特に好ましく、また、銀粉末全体のD50が3.90~5.00μmであることが特に好ましい。銀粉末全体のD10及びD50が上記要件を満たすことにより、乾燥膜密度が高くなり、且つ、マイグレーションを起こし易い小径銀粉の含有量が少なくなるので、導体膜間のショートが、効果的に抑制される。
【0045】
銀粉末中、第1の銀粉(a)の含有割合((第1の銀粉(a)/(第1の銀粉(a)+第2の銀粉(b)))×100)は、好ましくは40~95質量%、特に好ましくは60~90質量%である。銀粉末中の第1の銀粉(a)の含有割合((第1の銀粉(a)/(第1の銀粉(a)+第2の銀粉(b)))×100)が上記範囲にあることにより、乾燥膜密度が高くなり、且つ、マイグレーションが起こり難くなる。
【0046】
銀粉末全体の比表面積SBETは、好ましくは0.10~0.30m/gであり、特に好ましくは0.12~0.20m/gである。銀粉末全体の比表面積SBETが上記範囲にあることにより、マイグレーションを起こし易い小径銀粉の含有量が少ないので、導体膜間のショートが、効果的に抑制される。なお、SBET(m/g)は、銀粉末の表面にヘリウムガスを吸着させたBET法により求められる比表面積である。
【0047】
本発明の銀ペーストに係るバインダ樹脂は、特に制限されず、通常の銀ペーストに使用されるバインダ樹脂が挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、セルロース類、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂が挙げられる。
【0048】
本発明の銀ペーストに係る有機溶剤は、特に制限されず、通常の銀ペーストに使用される有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、アルコール系、エーテル系、エステル系、炭化水素系等の有機溶剤、水、及びこれらの混合溶剤等が挙げられる。
【0049】
銀ペースト中の銀含有量は、高ければ高い方が高導電性の膜が得られるが、その一方で高すぎると印刷性が低くなる。そして、本発明の銀ペーストの銀粉末の含有量CAGは、好ましくは80.00~97.00質量%であり、特に好ましくは92.00~96.00質量%である。銀粉末の含有量が上記範囲にあることにより、導電性と印刷性の両方を高くすることができる。なお、銀ペースト中の銀粉末の含有量CAG(質量%)は、「(銀粉末の含有量/銀ペーストの質量)×100」の式で求められる銀ペーストに対する銀粉末の含有割合である。
【0050】
本発明の銀ペーストの乾燥膜密度は、好ましくは7.50g/cm以上である。本発明の銀ペーストの乾燥膜密度の下限値は、特に好ましくは7.60g/cmであり、最も好ましくは7.80g/cmである。また、本発明の銀ペーストの乾燥膜密度の上限値は、印刷性が良好である限り、高ければ高い程、好ましいが、銀の密度(10.5g/cm)を超えることはなく、作業性や生産性なども考慮すると、現実的には8.50g/cm程度が上限である。また、乾燥膜密度の制御方法であるが、広く知られている一般的な手法によって乾燥膜密度を制御することができ、その一例としては、銀粉末の粒度分布やその表面状態(平滑度や表面処理の有無等)を調整したり、使用するバインダ樹脂や有機溶剤などを変更したり、或いは、ペースト中に分散剤を添加する場合にはその種類や添加量を変えることによっても制御が可能である。なお、本発明において乾燥膜密度とは、銀ペーストの塗膜を、加圧することなく、そのまま乾燥して得られる乾燥膜の密度をいい、後述する例では、PETフィルム上に測定対象の銀ペーストをおよそ150μm厚で塗布し、そのまま80℃で10分間の仮乾燥を行った後、PETフィルムごと直径15mmの円形状に打ち抜き、更に150℃で1時間の本乾燥を行ってからPETフィルムを剥がし、得られた乾燥膜の質量Wと体積Vを測定してW/Vを算出した値をいう。
【0051】
本発明の銀ペーストにおいて、銀粉末に対するバインダーの含有割合CBDNは、好ましくは0.430~0.750質量%であり、特に好ましくは0.440~0.600質量%である。銀粉末に対するバインダーの含有割合が上記範囲にあることにより、良好な印刷性を有しつつ、且つ、銀ペースト中の銀含有率が高くできる。なお、CBND(質量%)は、「(銀ペースト中のバインダ樹脂の含有量/銀ペースト中の銀粉末の含有量)×100」の式に求められる銀粉末に対するバインダ樹脂の含有割合(質量%)である。
【0052】
本発明の銀ペーストにおいて、銀粉末全体の比表面積をSBET(m/g)とし、銀粉末に対するバインダ樹脂の含有割合をCBND(質量%)としたとき、「CBND/SBET」の値は、2.00~3.40であることが好ましく、更に好ましくは2.50~3.10である。CBND/SBETの値が、上記範囲にあることにより、良好な印刷性を有しつつ、且つ、銀ペースト中の銀含有率が高くでき、その結果、乾燥膜密度が高く、緻密性及び導電性の高い導電膜が得られ易い。
【0053】
そして、本発明の銀ペーストでは、上記要件[1]、[2]、[3]及び[4]のいずれもを満たすことにより、緻密で高導電性の膜が得られ、且つ比抵抗の小さい導体膜を形成することができる一方、印刷性にも優れ、塗膜形状に優れた導体膜を得ることができ、しかも耐マイグレーション性に優れ、導体膜間のショートの発生を少なくすることができる。後述する実験例においては本発明の銀ペーストを被印刷基体にスクリーン印刷した後、当該基体と塗膜との間の接触角(矩形性)の値が90°に近い程、塗膜形状(印刷パターン)が好ましく、印刷性が良好という評価を行っている。
【0054】
本発明において銀粉末の製造方法は、特に限定されないが、例えば、従来知られているアトマイズ法、湿式還元法、CVD法、特許第3541939号に記載されているようなPVD法、特公昭63-31522号に記載されている噴霧熱分解法や、特許第3812359号に記載されているような「気相中で熱分解性金属含有化合物を熱分解する方法」等により銀粉末を製造できる。それらの中でも、上記のPVD法、噴霧熱分解法又は「気相中で熱分解性金属含有化合物を熱分解する方法」の製造方法は、球状で結晶性が高く、粒径の揃った銀粉末を容易に得られる点で、好ましい。
【0055】
本発明の銀ペーストは、必要に応じて、ガラスフリット、金属酸化物等の無機化合物、通常の銀ペーストに添加剤として使用される可塑剤、粘度調整剤、界面活性剤、分散剤、酸化剤等を、適宜含有することができる。
【0056】
本発明の銀ペーストは、常法に従って、銀粉末、バインダ樹脂、有機溶剤及び必要に応じて適宜添加される無機酸化物、添加剤等を共に混練し、均一に分散させ、スクリーン印刷その他の印刷方法に適したレオロジーのペースト状に調製されることにより製造される。
【0057】
本発明の銀ペーストは、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、アクチュエーター等の電子部品における内部電極や外部電極や厚膜導体回路の形成に用いられる。特に、本発明の銀ペーストは、圧粉磁心材料、とりわけ軟磁性金属粒子が磁性材料として用いられる積層インダクタの内部電極形成用途として好適に用いられる。
【0058】
本発明における「印刷性」について、より理解を容易にするため、以下、積層インダクタを例に説明する。
通常、積層インダクタ10は、一例として図1のように、素体11と、素体11の一対の端面を被覆する第1外部電極12及び第2外部電極13により構成されている。
【0059】
そして、素体11は、図2に示されるように、磁性体層A1~A20と、内部電極層B1~B17とが積層されて構成される。磁性体層A1~A20は、例えば鉄を主成分とする軟磁性鉄合金粒子の表面を、樹脂や酸化膜等からなる絶縁膜で被覆したコアシェル型複合粒子を、適宜のバインダ樹脂及び有機溶剤と共に混練して磁性体ペーストを調製し、これをシート状に成形・乾燥して得られたものである。磁性体層A3~A19のそれぞれの表面上には、スクリーン印刷法により、所定パターンの内部電極層B1~B17が形成される。本発明の銀ペーストは、これらの内部電極層の形成に用いられる。内部電極層B1の一端は磁性体層A3の端面に露出することによって外部電極12に対し電気的に接続され、また内部電極層B17の一端は、同様に外部電極13に電気的に接続される。また、内部電極層B1~B17のそれぞれは、磁性体層A3~A19の厚み方向に貫通して形成されるスルーホール電極C1~C16を介して電気的に接続され、全体として内部電極層B1~B17は積層方向にコイル状に構成されている。なお、磁性体層A3~A19上に内部電極層B1~B17を形成する際、内部電極層B1~B17の膜厚によって生じる段差を埋めることができる形状の磁性体層(図示せず)が、磁性体層A3~A19上に更に積層されることが好ましい。そして、磁性体層A1~A20及び内部電極層B1~B17が積層された素体11は、熱圧着工程を経て700℃程度で焼成されたのち、その一対の端部に外部電極11,12が形成され、積層インダクタとなる。ここで外部電極は、本発明の銀ペーストを用いて形成されても良いし、ニッケルや銅を主成分とする導電性ペーストを用いて形成されても良い。
【0060】
このようにして製造された図1の積層インダクタのX-X軸に沿った断面は図3のようであり、その一部を拡大すると図4のようである。なお、図3図4は共に簡略図であり、積層数を含め図2で示した内容や構造とは必ずしも一致しない。図3に示されるように、内部電極層の断面形状は、理想的には矩形状であることが望まれている。しかしながら、実際には銀ペーストを基体に塗布印刷する際に、ペーストの粘性・流動性等が影響するため、実際の内部電極層の断面形状は、通常、図4に示されるような略台形状のものになる。これを矩形状に近づけるためには、ペーストを印刷する際には流動性が高く、且つ、印刷後には速やかに高い粘度を示すような特性のペーストが得られれば良いが、ペースト中において制御しなければならないパラメータは非常に数多く、且つ、それらが互いに複雑に影響し合っていることから、想定した通りの結果や特性が得られるケースは皆無といっても過言ではない。
【0061】
以上のように、本明細書において「印刷性」とは、スクリーン印刷法やグラビア印刷法等による印刷時には、適度な流動性を示して印刷できるというだけでなく、印刷後には速やかに高い粘度を示し、より矩形状に近い塗膜(導体膜)が得られることを意味している。
【0062】
本発明の銀ペーストは、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、アクチュエーター等のセラミック電子部品における、内部電極や外部電極を形成するために用いられる焼成型の銀ペーストとして、好適に用いられる。例えば、本発明の銀ペーストは、700℃以下の加熱処理によって導体膜を形成するために用いられる。
【0063】
以下、本発明を具体的な実験例に基づき説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例0064】
<銀粉末の製造>
先ず、特公昭63-31522号に記載されている噴霧熱分解法に基づいて、表1に記載された銀粉末1~21を準備した。すなわち、銀粉末6、8、13~17、19~21については、得られる銀粉末中の銅含有量が表1の銀粉末全体欄に記載されている値となるように、銀塩及び銅塩を秤量して溶解させた水溶液を噴霧熱分解し、捕集した銀粉末を分級処理して、D10とD50の値を調節した。また、銀粉末1~5、7、9~12、18については、得られる銀粉末中の銅含有量が表1の第1の銀粉又は第2の銀粉欄に記載されている値となるように、銀塩及び銅塩を秤量して溶解させた水溶液を噴霧熱分解し、捕集した銀粉末を分級処理して、D10とD50の値を調節し、次いで、得られた第1の銀粉と第2の銀粉を混合し混合粉末を銀粉末として得た。
それぞれの銀粉末について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、体積基準の積算分率における10%値(D10)と50%値(D50)を求めた。また、BET法により比表面積(SBET)を測定し、更にSEM(走査電子顕微鏡)像観察において任意に選んだ50個の銀粉末のアスペクト比を測定し、その平均値を求めた。その結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
なお、表1中、銀粉末が1種の銀粉のみからなる場合は、銀粉末全体の物性値と1種の銀粉の物性値は同じであり、また、銀粉末が2種の銀粉の混合の場合は、銀粉末全体の物性値は2種の銀粉の混合物の物性値である。
【0067】
(実施例1~9及び比較例1~13)
表1に記した銀粉末を表2に記した含有量CAGとし、エチルセルロースを表2に記した含有量CBNDとし、残部をテルピネオール(TPO)として、これらを混練することによって銀ペースト試料a~uを作製した。
次いで、各銀ペースト試料a~uを、PETフィルム上に20mm×20mm×151μmで塗布し、80℃で10分間乾燥させたものを、15mmΦのポンチを用いて打ち抜き、更に150℃で1時間の乾燥処理を行った。次いで、得られた乾燥膜の質量Wと体積Vをそれぞれ測定し、W/Vの式により乾燥膜密度を求めた。その結果を表2に示す。なお、乾燥膜密度の合格基準を、7.50g/cm以上とした。
次いで、銀ペースト試料をセラミック基板上に60mm×0.6mm×40μmの直方体形状に塗布印刷し、酸化性雰囲気下(大気中)、650℃で焼成して導体膜を形成した後、4端子法によって電気抵抗値を求め、比抵抗を算出した。その結果を表2に示す。なお、比抵抗値の合格基準を、1.90μΩ・cm以下とした。
【0068】
【表2】

1)銀ペースト中の銀粉末の含有量:(銀粉末/銀ペースト)×100
2)銀粉末に対するエチルセルロースの含有量:(エチルセルロース/銀粉末)×100
【0069】
(実施例10~18、比較例14~26)
予め準備しておいた膜厚30μmの磁性体層上に、上記で得た銀ペースト試料a~uを用いて直方体形状のパターンをスクリーン印刷法により形成し、更に、当該パターンの厚みによる段差を埋める磁性体層を印刷した。これを1組として3組を積層し、更に最上部と最下部にカバー用の磁性体層を積層した。次いで、熱圧着し、酸化性雰囲気中で脱脂処理した後、650℃で焼成することによって、積層体を得た。
次いで、得られた積層体を用いて、印刷性を評価した。具体的には、図4に示したように積層体を切断し、導体膜の断面の矩形性を観察し、図4においてθに対応する角度の平均値を測定した。その結果を表3に示す。なお、印刷性の合格基準を55°以上とし、好ましくは65°以上とした。
また、上記と同様にして、積層体を25個作製し、積層体のショート率を測定した。具体的には、積層体内の3つの導体膜間の最上段~中段間、及び中段~最下段間の電気抵抗測定を行い、これを、用意した積層体25個に対して繰り返し行った。全測定回数のうち、導通した回数の比率をショート率とした。その結果を表3に示す。なお、ショート率の合格基準を5%以下とし、好ましくは3%以下とした。
【0070】
【表3】
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁性体層と、該磁性体層のそれぞれの表面に形成される内部電極層と、が積層された積層体、及び該積層体の端面に形成され、該内部電極層と電気的に接続される外部電極層を有する積層インダクタの製造方法であって、
前記内部電極層を、少なくとも銀粉末、バインダ樹脂及び有機溶剤を含有し、下記[1]~[4] の条件をいずれも満たす銀ペーストを用いて形成すること、
を特徴とする積層インダクタの製造方法。
[1]レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における50%値をD50としたとき、D50が3.50~7.50μmである第1の銀粉(a)と、D50が0.80~2.70μmである第2の銀粉(b)を含む;
[2]前記銀粉末全体の銅含有量が10~5000質量ppmである;
[3]前記第2の銀粉(b)の銅含有量が80質量ppm以上である;
[4]前記第1の銀粉(a)は実質的に銅を含まない。
【請求項2】
前記磁性体層上に、前記内部電極層の膜厚による段差を埋める磁性体層を積層することを特徴とする請求項1記載の積層インダクタの製造方法。
【請求項3】
前記内部電極層のそれぞれを、前記磁性体層の厚み方向に貫通して形成されるスルーホール電極を介して電気的に接続させることを特徴とする請求項1又は2記載の積層インダクタの製造方法。
【請求項4】
前記積層体が700℃以下の焼成によって形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の積層インダクタの製造方法。
【請求項5】
レーザー回折式粒度分布測定の体積基準の積算分率における10%値をD10としたとき、前記第2の銀粉(a)のD10が0.70μm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層インダクタの製造方法。
【請求項6】
前記銀粉末全体のD10が1.00~3.00μm、D50が3.00~7.00μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の積層インダクタの製造方法。
【請求項7】
更に下記[5]:
[5]前記銀ペーストに対する前記銀粉末全体の含有量CAGが80.00~97.00質量%である;
の条件を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の積層インダクタの製造方法。
【請求項8】
前記銀ペーストの乾燥膜密度が7.50g/cm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層インダクタの製造方法。
【請求項9】
前記銀粉末全体の比表面積をSBET(m/g)、前記銀粉末全体に対する前記バインダ樹脂の含有割合をCBND(質量%)としたとき、CBND/SBETの値が2.00~3.40であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層インダクタの製造方法。
【請求項10】
前記銀粉末全体の比表面積SBETが0.10~0.30m/gであることを特徴とする請求項1又は2記載の積層インダクタの製造方法。