IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アディエンヌ ファーマ アンド バイオテク ソシエテ アノニムの特許一覧

<>
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図1
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図2
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図3
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図4
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図5
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図6
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図7
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図8
  • 特開-軟質複室バッグおよびその使用方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079692
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】軟質複室バッグおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/10 20060101AFI20240604BHJP
   A61J 1/20 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/18 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240604BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/255 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61J1/10 335C
A61J1/20 314Z
A61K9/19
A61K47/02
A61P35/00
A61P37/02
A61K31/706
A61K31/18
A61K31/4184
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K38/06
A61K31/69
A61K31/255
A61K31/282
A61K31/675
A61K31/7068
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031836
(22)【出願日】2024-03-04
(62)【分割の表示】P 2022099326の分割
【原出願日】2017-11-14
(31)【優先権主張番号】15/609,870
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517398678
【氏名又は名称】アディエンヌ ファーマ アンド バイオテク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ディ ナロ アントニオ フランチェスコ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1つの軟質複室バッグ中に薬学的製剤を準備する方法を提供する。
【解決手段】薬学的製剤を液体状態で第1のポート112を通じて軟質バッグ100の第1の隔室110に導入する。軟質バッグの第1の隔室内で薬学的製剤を凍結乾燥することで、凍結乾燥された薬学的製剤を得る。軟質バッグ100は第2の隔室120を有し、第1の隔室と第2の隔室とは破ることが可能なシール130で隔離されている。第2の隔室は、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液をさらに含む。ユーザーは、薬学的製剤を患者に投与するために、圧力を軟質バッグに加えることでシール130を破り、凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液とを混合することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質複室バッグ中に薬学的製剤を準備する方法であって、
薬学的製剤を液体状態で第1のポートを通じて軟質バッグの第1の隔室に導入する段階;および
軟質バッグの第1の隔室内で薬学的製剤を凍結乾燥することで、凍結乾燥された薬学的製剤を得る段階
を含み、
軟質バッグが第2の隔室を有し、第1の隔室と第2の隔室とが破ることが可能なシールで隔離されている、方法。
【請求項2】
再構成溶液を軟質バッグの第2の隔室に導入する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の隔室内の薬学的製剤が凍結乾燥された後に、ガスを第1の隔室に導入し、第1のポートを封鎖する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
所定量の圧力を軟質バッグに加えることで第1の隔室と第2の隔室との間の破ることが可能なシールを破る段階; および
第1の隔室内で再構成溶液と凍結乾燥された薬学的製剤とを混合することで、再構成された薬学的製剤を作り出す段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
軟質バッグに配置された投与ポートを通じて最終の薬学的製剤を患者に投与する段階をさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
軟質バッグの前面と軟質バッグの背面とを接合することで、破ることが可能なシールが第1の隔室と第2の隔室との間に形成される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
破ることが可能なシールが弱点部を含み、弱点部において、破ることが可能なシールが、破ることが可能なシールの残りの部分ほど幅広くはなく;
圧力が軟質バッグに加えられる際に、破ることが可能なシールの破れが弱点部において始まる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
薬学的製剤が細胞毒性薬である、請求項1記載のバッグ。
【請求項9】
細胞毒性薬が、アザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ブレンツキシマブベドチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフェロキサミン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、フルダラビン、ホテムスチン、フルベストラント、ゲムシタビン、イダルビシン、イホスファミド、塩酸イリノテカン、イクサベピロン、メルファラン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ラルチトレキセド、ロミデプシン、テモゾロミド、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、トラスツズマブ、およびビンブラスチンからなる群より選択される、請求項8記載のバッグ。
【請求項10】
再構成溶液が0.9%生理食塩水である、請求項2記載のバッグ。
【請求項11】
バッグがポリオレフィン/スチレンブロック共重合体系フィルムから作製される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
凍結乾燥された薬学的製剤を保持するように構成された第1の隔室;
第1の隔室から隔離されており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を保持するように構成された、第2の隔室;
第1の隔室と第2の隔室との間に配置されており、第1の隔室を第2の隔室から隔離および封鎖する、シール; ならびに
第1の隔室に取り付けられており、薬学的製剤を第1の隔室に導入するように、かつ薬学的製剤の凍結乾燥中に薬学的製剤からの水蒸気の通過を可能にするように構成された、第1のポート
を含む、薬学的軟質バッグ。
【請求項13】
第2の隔室に取り付けられており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を第2の隔室に導入するように構成された、第2のポートをさらに含む、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項14】
シールが、薬学的バッグの前面と薬学的バッグの背面との間の接続部である、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項15】
シールが第1の隔室と第2の隔室との間で薬学的バッグの長さに沿って伸びている、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項16】
薬学的バッグに加えられる所定量の圧力によってシールが破れ、第2の隔室が第1の隔室に接続される、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項17】
シールが、所定量の圧力が薬学的バッグに加えられる際に最初に破れる点を提供する弱点部をさらに含む、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項18】
薬学的製剤が細胞毒性薬である、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項19】
細胞毒性薬が、アザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ブレンツキシマブベドチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフェロキサミン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、フルダラビン、ホテムスチン、フルベストラント、ゲムシタビン、イダルビシン、イホスファミド、塩酸イリノテカン、イクサベピロン、メルファラン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ラルチトレキセド、ロミデプシン、テモゾロミド、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、トラスツズマブ、およびビンブラスチンからなる群より選択される、請求項18記載の薬学的バッグ。
【請求項20】
再構成溶液が0.9%生理食塩水である、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項21】
ポリオレフィン/スチレンブロック共重合体系フィルムから作製される、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項22】
摂氏121度に耐える、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項23】
摂氏-45度に耐える、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項24】
第2の隔室が、凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液とを混合した結果である再構成された薬学的製剤を投与するための投与ポートをさらに含む、請求項12記載の薬学的バッグ。
【請求項25】
前面フィルム;
背面フィルム;
薬学的バッグの周囲で前面フィルムを背面フィルムに接合する、外側シール; ならびに
外側シールの内側で前面フィルムと背面フィルムとを接合し、第1の隔室、および第1の隔室から隔離された第2の隔室を画定する、破ることが可能なシール
を含み、
第1の隔室が、凍結乾燥された薬学的製剤を保持するように構成され、
第2の隔室が、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を保持するように構成され、
所定量の圧力が薬学的軟質バッグに加えられる際に、破ることが可能なシールが外側シールよりも先に破れる、
薬学的軟質バッグ。
【請求項26】
第1の隔室および第2の隔室が、外側シールおよび破ることが可能なシールによって画定されている、請求項25記載の薬学的軟質バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、概して、薬学的製剤と共に使用される軟質複室バッグに関する。より具体的には、態様は、凍結乾燥された薬学的製剤の製造、貯蔵、再構成、希釈、および患者への投与のための方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
凍結乾燥またはフリーズドライは、薬学的製剤に適用される技術である。液体状態では最小限であったであろう薬学的製剤の有効期間を、凍結乾燥を通じて延長および標準化することができる。凍結乾燥とは、液体の中間体形成なしに液体部分を蒸気に直接変換することで凍結試料から液体部分を除去するプロセスのことである。凍結乾燥の主要段階は、凍結(液体状態から固体状態へ)、一次乾燥(昇華)、および二次乾燥(非凍結液体を除去するために高温で)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】U.S. Patent No. 5,309,649
【特許文献2】U.S. Patent No. 4,973,327
【特許文献3】US 6,517,526 B1
【特許文献4】US 7,776,022 B2
【特許文献5】CN 104443822 A
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載のいくつかの局面の基本的理解をもたらすために、以下に本開示の簡単な概要を提示する。本概要は、広範な概要ではなく、主要もしくは重要な要素を同定するかまたは特許請求の範囲を叙述するようには意図されていない。以下の概要は、記載される様々な局面を、以下に示されるさらに詳細な説明への前置きとして単純化された形態で単に提示するものである。
【0005】
本態様は、軟質複室バッグ中で薬学的製剤を凍結乾燥するためのプロセス、システム、および装置に関する。凍結乾燥された薬学的製剤を、該薬学的製剤が凍結乾燥された同じ軟質複室バッグ中で貯蔵および再構成することができる。同じバッグ中で薬学的製剤を凍結乾燥、貯蔵、および再構成することで、バッグは、軟質複室バッグの外側でのさらなる操作段階を組み込むことを必要とせずに患者に投与する用意ができた自己完結型製剤として機能する。軟質複室バッグの利点としては、薬学的製剤の希釈、再構成、および取り扱い中の、再構成の時間および間違いの減少や、医療従事者に対する偶発的な曝露の回避があり、これにより規制遵守が向上する。
【0006】
本開示の局面は、1つの軟質複室バッグ中に薬学的製剤を準備する方法を含み得る。薬学的製剤を液体状態で第1のポートを通じて軟質バッグの第1の隔室に導入する。軟質バッグの第1の隔室内で薬学的製剤を凍結乾燥することで、凍結乾燥された薬学的製剤を得る。軟質バッグは第2の隔室を有し、第1の隔室と第2の隔室とは破ることが可能なシールで隔離されている。第2の隔室は、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液をさらに含む。ユーザーは、薬学的製剤を患者に投与するために、圧力を軟質バッグに加えることでシールを破り、凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液とを混合することができる。
【0007】
本開示の別の局面は、
凍結乾燥された薬学的製剤を保持するように構成された第1の隔室、および
第1の隔室から隔離されており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を保持するように構成された、第2の隔室
を有する、薬学的軟質バッグを含みうる。
バッグは、
第1の隔室と第2の隔室との間に配置されており、第1の隔室を第2の隔室から隔離および封鎖する、シール
をさらに含みうる。
第1のポートは、第1の隔室に取り付けられており、薬学的製剤を第1の隔室に導入するようにかつ薬学的製剤の凍結乾燥中に薬学的製剤からの水蒸気の通過を可能にするように構成されている。
第2の隔室は、
第2の隔室に取り付けられており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を導入するように構成された、第2のポート
を含みうる。
医療従事者は、シールを破ることで、凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液とを混合することができる。
【0008】
本発明の別の局面では、バッグは、摂氏121度でのオートクレーブ滅菌および摂氏-45度での凍結乾燥に耐え得る材料から作製可能である。
【0009】
より具体的には、本発明は以下を提供する:
[1]
軟質複室バッグ中に薬学的製剤を準備する方法であって、
薬学的製剤を液体状態で第1のポートを通じて軟質バッグの第1の隔室に導入する段階; および
軟質バッグの第1の隔室内で薬学的製剤を凍結乾燥することで、凍結乾燥された薬学的製剤を得る段階
を含み、
軟質バッグが第2の隔室を有し、第1の隔室と第2の隔室とが破ることが可能なシールで隔離されている、方法;
[2]
再構成溶液を軟質バッグの第2の隔室に導入する段階をさらに含む、[1]記載の方法;
[3]
第1の隔室内の薬学的製剤が凍結乾燥された後に、ガスを第1の隔室に導入し、第1のポートを封鎖する段階をさらに含む、[1]記載の方法;
[4]
所定量の圧力を軟質バッグに加えることで第1の隔室と第2の隔室との間の破ることが可能なシールを破る段階; および
第1の隔室内で再構成溶液と凍結乾燥された薬学的製剤とを混合することで、再構成された薬学的製剤を作り出す段階
をさらに含む、[1]記載の方法;
[5]
軟質バッグに配置された投与ポートを通じて最終の薬学的製剤を患者に投与する段階をさらに含む、[4]記載の方法;
[6]
軟質バッグの前面と軟質バッグの背面とを接合することで、破ることが可能なシールが第1の隔室と第2の隔室との間に形成される、[1]記載の方法;
[7]
破ることが可能なシールが弱点部を含み、弱点部において、破ることが可能なシールが、破ることが可能なシールの残りの部分ほど幅広くはなく、
圧力が軟質バッグに加えられる際に、破ることが可能なシールの破れが弱点部において始まる、
[6]記載の方法;
[8]
薬学的製剤が細胞毒性薬である、[1]記載のバッグ;
[9]
細胞毒性薬が、アザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ブレンツキシマブベドチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフェロキサミン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、フルダラビン、ホテムスチン、フルベストラント、ゲムシタビン、イダルビシン、イホスファミド、塩酸イリノテカン、イクサベピロン、メルファラン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ラルチトレキセド、ロミデプシン、テモゾロミド、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、トラスツズマブ、およびビンブラスチンからなる群より選択される、[8]記載のバッグ;
[10]
再構成溶液が0.9%生理食塩水である、[2]記載のバッグ;
[11]
バッグがポリオレフィン/スチレンブロック共重合体系フィルムから作製される、[1]記載の方法;
[12]
凍結乾燥された薬学的製剤を保持するように構成された第1の隔室;
第1の隔室から隔離されており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を保持するように構成された、第2の隔室;
第1の隔室と第2の隔室との間に配置されており、第1の隔室を第2の隔室から隔離および封鎖する、シール; ならびに
第1の隔室に取り付けられており、薬学的製剤を第1の隔室に導入するように、かつ薬学的製剤の凍結乾燥中に薬学的製剤からの水蒸気の通過を可能にするように構成された、第1のポート
を含む、薬学的軟質バッグ;
[13]
第2の隔室に取り付けられており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を第2の隔室に導入するように構成された、第2のポートをさらに含む、[12]記載の薬学的バッグ;
[14]
シールが、薬学的バッグの前面と薬学的バッグの背面との間の接続部である、[12]記載の薬学的バッグ;
[15]
シールが第1の隔室と第2の隔室との間で薬学的バッグの長さに沿って伸びている、[12]記載の薬学的バッグ;
[16]
薬学的バッグに加えられる所定量の圧力によってシールが破れ、第2の隔室が第1の隔室に接続される、[12]記載の薬学的バッグ;
[17]
シールが、所定量の圧力が薬学的バッグに加えられる際に最初に破れる点を提供する弱点部をさらに含む、[12]記載の薬学的バッグ;
[18]
薬学的製剤が細胞毒性薬である、[12]記載の薬学的バッグ;
[19]
細胞毒性薬が、アザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ブレンツキシマブベドチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフェロキサミン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、フルダラビン、ホテムスチン、フルベストラント、ゲムシタビン、イダルビシン、イホスファミド、塩酸イリノテカン、イクサベピロン、メルファラン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ラルチトレキセド、ロミデプシン、テモゾロミド、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、トラスツズマブ、およびビンブラスチンからなる群より選択される、[18]記載の薬学的バッグ;
[20]
再構成溶液が0.9%生理食塩水である、[12]記載の薬学的バッグ;
[21]
ポリオレフィン/スチレンブロック共重合体系フィルムから作製される、[12]記載の薬学的バッグ;
[22]
摂氏121度に耐える、[12]記載の薬学的バッグ;
[23]
摂氏-45度に耐える、[12]記載の薬学的バッグ;
[24]
第2の隔室が、凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液とを混合した結果である再構成された薬学的製剤を投与するための投与ポートをさらに含む、[12]記載の薬学的バッグ;
[25]
前面フィルム;
背面フィルム;
薬学的バッグの周囲で前面フィルムを背面フィルムに接合する、外側シール; ならびに
外側シールの内側で前面フィルムと背面フィルムとを接合し、第1の隔室、および第1の隔室から隔離された第2の隔室を画定する、破ることが可能なシール
を含み、
第1の隔室が、凍結乾燥された薬学的製剤を保持するように構成され、
第2の隔室が、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を保持するように構成され、
所定量の圧力が薬学的軟質バッグに加えられる際に、破ることが可能なシールが外側シールよりも先に破れる、
薬学的軟質バッグ;ならびに
[26]
第1の隔室および第2の隔室が、外側シールおよび破ることが可能なシールによって画定されている、[25]記載の薬学的軟質バッグ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のいくつかの特徴を、添付図面において限定的にではなく例示的に示す。図面において、図面間で同様の数字は同様の要素を指す。
【0011】
図1】凍結乾燥された薬学的製剤および対応する再構成溶液を保持するための軟質複室バッグの一態様を示す。
図2図1の2-2断面線に沿って取得した、軟質複室バッグの一態様の断面図を示す。
図3】軟質複室バッグ中に薬学的製剤を準備するための方法の一態様の流れ図を示す。
図4】軟質複室バッグ中に薬学的製剤を準備するための方法の一態様の流れ図を示す。
図5】軟質複室バッグの第1の隔室に薬学的製剤を入れた軟質複室バッグの一態様を示す。
図6】軟質複室バッグの第1の隔室に薬学的凍結乾燥(フリーズドライ)製剤を入れた軟質複室バッグの一態様を示す。
図7】軟質複室バッグの第1の隔室に薬学的凍結乾燥(フリーズドライ)製剤を、軟質複室バッグの第2の隔室に再構成溶液を入れた、軟質複室バッグの一態様を示す。
図8】軟質複室バッグの第1の隔室に薬学的凍結乾燥(フリーズドライ)製剤を、軟質複室バッグの第2の隔室に再構成溶液を入れた、凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液とを混合するために圧力が第2の隔室に加えられてシールが破られた、軟質複室バッグの一態様を示す。
図9】再構成された薬学的製剤を入れた、操作時の軟質複室バッグの一態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明を、添付図面に示すその態様を参照してここで詳細に説明する。添付図面において、同様の参照数字は、同一または機能的に同様の要素を示すように使用される。「1つの態様」、「一態様」、「例示的な一態様」などに対する言及は、記載される態様が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての態様が特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含まないことがあることを示す。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ態様を指しているわけではない。さらに、一態様との関連で特定の特徴、構造、または特性が記載されている場合、明示的に記載されている場合であれ、そうでない場合であれ、他の態様との関連でそのような特徴、構造、または特性を実行することが当業者の知識の枠内であると考えられる。
【0013】
以下の例は、本発明を例示するものであるが、限定するものではない。当分野において通常遭遇しかつ当業者に自明である、種々の条件およびパラメータの他の好適な修正および改変は、本発明の真意および範囲の枠内である。
【0014】
本態様は、軟質複室バッグ中で薬学的製剤を凍結乾燥するためのプロセス、システム、および装置に関する。凍結乾燥された薬学的製剤を、該薬学的製剤が凍結乾燥された同じ軟質複室バッグ中で貯蔵および再構成することができる。同じバッグ中で薬学的製剤を凍結乾燥、貯蔵、および再構成することで、バッグは、軟質複室バッグの外側でのさらなる操作段階を組み込むことを必要とせずに患者に投与する用意ができた自己完結型製剤として機能する。軟質複室バッグの利点としては、薬学的製剤の希釈、再構成、および取り扱い中の、再構成の時間および間違いの減少や、医療従事者に対する偶発的な曝露の回避があり、これにより規制遵守が向上する。
【0015】
軟質複室バッグをいくつかの薬学的製剤と共に使用することができる。例えば、軟質複室バッグは細胞毒性薬および/または化学療法製剤の準備のために有利であり得る。細胞毒性化合物および抗悪性腫瘍化合物の例としては、少なくともアザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ブレンツキシマブベドチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフェロキサミン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、フルダラビン、ホテムスチン、フルベストラント、ゲムシタビン、イダルビシン、イホスファミド、塩酸イリノテカン、イクサベピロン、メルファラン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ラルチトレキセド、ロミデプシン、テモゾロミド、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、トラスツズマブ、およびビンブラスチンが挙げられる。細胞毒性薬とは、細胞に対する毒性があって細胞の複製または増殖を防止する化学物質を含有し、かつ、がんおよび他の障害を処置するために使用される、医薬の群を表す。一般に、細胞毒性薬は、薬物の有効期間を延長するために、薬物の輸送を容易にするために、かつ、細胞毒性薬を取り扱い、患者に投与する医療従事者の健康および福祉のために、凍結乾燥形態で製造される。
【0016】
他の薬学的製剤を複室バッグと共に使用することができる。抗生物質化合物の例としては、少なくともアミカシン、エリスロマイシン、およびマイトマイシンが挙げられる。抗有糸分裂化合物の例としては、少なくともアムホテリシン、アニデュラファンギン、フルシトシン、フルコナゾール、硫酸イサブコナゾニウム(isavuconazonium sulfate)、ミカファンギン、リファンピシン、およびボリコナゾールが挙げられる。抗ウイルス化合物の例としては、少なくともアシクロビルおよびガンシクロビルが挙げられる。β遮断化合物の例としては、少なくともエスモロールが挙げられる。解毒化合物の例としては、少なくともアミホスチン、デクスラゾキサン、およびレボロイコボリンカルシウムが挙げられる。免疫調節化合物の例としては、少なくともアバタセプト、アルデスロイキン、ベリムマブ、デガレリクス、インフリキシマブ、ミファムルチド、およびタソネルミンが挙げられる。抗菌化合物の例としては、少なくともアモキシシリン、アンピシリン、アンピシリン/スルバクタム、アジスロマイシン、アズトレオナム、セフロキシム、クラリスロマイシン、ダプトマイシン、カスポファンギン、セファロチン、セファマンドール、セフォタキシム、セファゾリン、セフェピム、セフタジジム、セフォキシチン、セフトビプロールメドカリル、セフタロリンフォサミル、クロラムフェニコール、塩酸ダルババシン、ダルホプリスチン/キヌプリスチン、ドリペネム、エルタペネム、ゲンタマイシン、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、二リン酸オリタバンシン、オキサシリン、ピペラシリン/タゾバクタム、ペンタミジン、リン酸テジゾリド(tedizolid phosphate)、テイコプラニン、塩酸テラバンシン、チゲサイクリン、およびバンコマイシンが挙げられる。抗炎症化合物の例としては、少なくともジクロフェナク、イブプロフェン、およびインドメタシンが挙げられる。止血化合物の例としては、少なくともα1アンチトリプシン、凝固第VII因子、凝固第VIII因子、凝固第IX因子、ヒト抗血友病プロトロンビン複合体、ガベキサート、モロクトコグアルファ(moroctocog alfa)、ノナコグアルファ、オクトコグアルファ、およびシモクトコグアルファ(simoctocog alfa)が挙げられる。制吐化合物の例としては、少なくともホスアプレピタントが挙げられる。抗血栓化合物の例としては、少なくともアルテプラーゼ、ビバリルジン、カングレロル、エポプロステロール、およびウロキナーゼが挙げられる。プロトンポンプ阻害剤の例としては、少なくともエソメプラゾール、オメプラゾール、およびパントプラゾールが挙げられる。抗不安化合物の例としては、少なくともロラゼパムが挙げられる。カルシウムチャネル遮断化合物の例としては、少なくともジルチアゼムが挙げられる。解毒化合物の例としては、少なくともプラリドキシムが挙げられる。酵素の例としては、少なくともアガルシダーゼベータ、アルグルコシダーゼアルファ、αグルコシダーゼ、βグルコシダーゼ、αガラクトシダーゼ、βガラクトシダーゼ、タリグルセラーゼアルファ、およびベラグルセラーゼアルファが挙げられる。ホルモンの例としては、少なくともグルカゴン、レボチロキシンナトリウム、メノトロピン、ソマトレリン、ソマトスタチン、ソマトロピン、およびウロフォリトロピンが挙げられる。抗血管新生化合物の例としては、少なくともベルテポルフィンが挙げられる。骨疾患の処置用の化合物の例としては、少なくともゾレドロン酸が挙げられる。心臓治療用化合物の例としては、少なくともネシリチドが挙げられる。診断用ホルモンの例としては、少なくともセクレチンおよびソマトレリンが挙げられる。
【0017】
細胞毒性薬の毒性が理由で、医療従事者に対する職業性曝露は、特に制御対策が不十分な場合に著しい危険性を示す。制御対策としては、偶発的曝露を回避するための防護服、防護装置、および防護機器の使用を挙げることができる。医療従事者は吸入によって、皮膚接触によって、または経口的に細胞毒性薬に曝露され得る。
【0018】
吸入曝露は、エアロゾルが作り出されるときに、液滴、微粒子、および蒸気によって起こり得る。蒸気の分子径が微粒子よりも小さいことから、安全キャビネットは雰囲気から蒸気を除去できないことがある。医療従事者が薬物の準備、投与、または廃棄中に汚染面に触れるときに、皮膚曝露が起こり得る。汚染は、病院の投薬システム全体(初期送達から最終廃棄物廃棄までの、施設における細胞毒性薬のプロセスフロー)を通じて関連する作業面に見ることができ、薬物準備および薬物投与の領域に厳密に限定されるわけではない。経口曝露は、手から口への接触により起こり得る。
【0019】
本開示の態様は、バッグの隔室内で薬学的製剤を凍結乾燥するように構成されたバッグに関する。いくつかの態様では、バッグは、バッグの別の隔室内に再構成溶液を保持するように、かつ、バッグ中での凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液との混合を可能にするように構成されている。いくつかの態様では、バッグは、バッグから患者への再構成された薬学的製剤の投与を可能にするように構成されている。いくつかの態様では、有利なことに、バッグは、薬学的製剤をバッグに導入した後に、バッグの外側での薬学的製剤のさらなる操作段階なしに、バッグ中に薬学的製剤を維持することができる。
【0020】
図1は、軟質複室バッグ100の例示的態様を示す。図1は2つの隔室を有するバッグ100を示すが、本開示はそれに限定されない。バッグ100は、様々な成分および溶液を保持するための複数の隔室を有し得る。バッグ100は、バッグ100の周囲に伸びている外側シール102を含み得る。外側シール102は、バッグ100中に貯蔵された成分(例えば薬学的製剤、再構成溶液など)の汚染を回避するための酸素および水蒸気シールとなり得る。外側シール102は、第1の隔室110と第2の隔室120との外側限界を画定する。一態様では、図1に示すように、バッグ100は、薬学的製剤を保持および凍結乾燥するための第1の隔室110を含む。第1の隔室110は、薬学的製剤を第1の隔室110に滅菌的に導入するためのポート112を含み得る。ポート112は、薬学的製剤からの水蒸気の通過を可能にするために、凍結乾燥手順において使用されてもよい。第1の隔室110は、薬学的製剤を凍結乾燥するために好適な容積を有し得る。例えば、第1の隔室110は容積50mlを有し得る。他の好適な容積を使用してもよい。
【0021】
バッグ100は、再構成溶液または溶媒を保持するための第2の隔室120をさらに含み得る。第2の隔室120は、再構成溶液を第2の隔室120に導入するための、かつ再構成された薬学的製剤を患者に投与するための、1つまたは複数のポートを含み得る。例えば、ポート122は、再構成溶液を第2の隔室120に滅菌的に導入するために使用可能である。第2の隔室120は、複数の投与ポート124および126をさらに含み得る。第2の隔室120に取り付けられるポート124および126の種類は、顧客および医療従事者の好みに基づき得る。例えば、操作時に、投与ポート124および126は、再構成された薬学的製剤を患者に例えば静脈内治療によって投与するために、医療従事者により使用可能である。想定されるように、バッグ100は任意の好適な個人により使用可能であるが、簡略化するために、本開示ではユーザーを医療従事者と呼ぶ。一態様では、第1の隔室110内の薬学的製剤を再構成するために十分な量の再構成溶液を与えるように、第2の隔室120のサイズを第1の隔室110に合わせることができる。一態様では、第2の隔室120は、第1の隔室110の容積よりも大きな容積を有し得る。例えば、第2の隔室120は容積500mlを有し得る。他の好適な容積を使用してもよい。
【0022】
バッグ100は、第1の隔室110および第2の隔室120を隔離および画定するシール130をさらに含み得る。シール130は、凍結乾燥された薬学的製剤および再構成溶液の完全性を維持し、適切な時間よりも前に再構成溶液が凍結乾燥された薬学的製剤を意図せずに通過すること、またはその逆を防止する。図1は、バッグ100の上部からバッグ100の下部までバッグ100の長さに沿って伸びているシール130を示す。あるいは、シール130は、バッグ100の長さの一部のみに沿って伸び得る。例えば、一態様では、図5図7に示すように、シール130はバッグ100の外側シール102から内側シール104まで伸び得る。しかし、シール130の幾何形状はそれに限定されない。別の態様では、シール130は曲線状であり得る。
【0023】
一態様では、バッグ100を、管状フィルムから製作するか、または所望の幅で二重巻フィルムとして切り取ることができる。例えば図2に示すように、バッグ100は、一緒に接合された前面フィルム210および背面フィルム220を含み得る。前面フィルム210および背面フィルム220を縁部で一緒に接合することで外側シール102を作り出すことができる。外側シール102は、所定の温度および所定量の圧力を使用して前面フィルム210および背面フィルム220を封鎖することで作り出すことができる。外側シール102は、少なくとも通常操作時には破ることが不可能なように作り出される。さらに、前面フィルム210および背面フィルム220を外側シール102の内側で一緒に接合することでシール130を画定することができる。シール130は、所定の温度および所定量の圧力を使用して前面フィルム210および背面フィルム220を封鎖することで作り出される。このようにして、シール130は前面フィルム210と背面フィルム220との間の接続部を画定することができる。シール130は破ることが可能なように作り出される。前面フィルム210および背面フィルム220はヒートシール、高周波溶接、成形、および他の好適な技術を通じて一緒に接合可能である。図2は、図1の2-2断面線に沿ったバッグ100の断面図を示す。2-2断面線は外側シール102、第1の隔室110、シール130、および第2の隔室120を横切る。
【0024】
一態様では、シール130はバッグ100全体(例えば前面フィルム210および背面フィルム220)と同じ材料から作製可能である。バッグ100およびシール130が同じ材料から作製されることから、他の材料が薬学的製剤に接触することがなく、これにより汚染が回避される。シール130をバッグ100上の様々な位置に配置することでバッグ100中に少なくとも2つの隔室を形成することができる。バッグ100がさらなる隔室を含む場合、バッグ100は、隔室を隔離しかつ隔室の幾何形状を画定するためのさらなるシールを含み得る。シール130は、所定量の圧力をバッグ100に加えることで破ることが可能である。例えば、圧力を医療従事者の手で第2の隔室120に加えることができる。シール130を破るための圧力の量は40~60Kgfの範囲であり得る。このようにして、シール130は破ることが可能なシールとなる。図8に例えば示すように、凍結乾燥された薬学的製剤の有効期間を延長するために、医療従事者が薬学的製剤を患者に投与する用意ができたときに圧力を医療従事者が加えることができる。シール130が破られたときに、再構成溶液と薬学的フリーズドライ製剤とが混合されて再構成された薬学的製剤が生成される。シール130は幅5~15mmまたは8~12mmを有し得る。シール130の幅が広くなるほどシール130は強くなり、シール130を破るために必要な圧力がより大きくなる。シール130は、破る前は所定量の圧力に耐えるように設計されている。例えば、軟質バッグの輸送時に、シール130は通常の輸送手順中に圧力および/または力を受けることがある。シール130は比較的少ない量の圧力(例えば40Kgf未満)の下でその完全性を維持するように設計されており、したがって、輸送中にシール130は所定量の圧力が加えられるまでは破れない。
【0025】
シール130は、弱点部132をシール130中に作り出すように接合されることが可能であり、したがって、圧力がバッグ100に加えられる際に弱点部132が最初に破れる。シール130は、シール130の長さに沿った複数の弱点部132を含み得る。弱点部132は、シール130の残りの部分よりも小さな幅を有し得る。例えば、弱点部132は幅5~8mmを有し得る。
【0026】
一態様では、シール130は、医療従事者が薬学的製剤を投与する用意ができるまで再構成溶液の通過を防止する、第1の隔室110と第2の隔室120との間の弁を含み得る。
【0027】
バッグ100は、酸素および水蒸気のバリアとなる材料から作製可能である。該材料は、オートクレーブ滅菌および凍結乾燥の温度限界に耐えることも可能であり得る。例えば、バッグ100用の該材料は、該材料が分解してバッグ中の薬学的製剤および再構成溶液に浸出することなく、摂氏121度でのオートクレーブ滅菌および摂氏-45度でのフリーズドライに耐えることが可能である。該材料の他の局面としては、柔軟性が挙げられ、これによりバッグ100は破砕されにくくなり、輸送が容易になる。該材料は、透明であってもよく、これにより、医療従事者は容易に、バッグ100の中を見て凍結乾燥および再構成が起こったことを確認することができ、また、再構成された薬学的製剤の投与中に該薬学的製剤がどのくらいバッグ100中にまだ存在するかを見ることができる。
【0028】
一態様では、バッグ100はポリオレフィン/スチレンブロック共重合体系フィルムを含む。バッグ100に使用される材料は、米国および欧州の薬学的規制、SFDA規格「輸入薬学的包装材料に関する登録基準(Registration standard for imported pharmaceutical packaging materials)」(中国)、国際規格ISO 15747「静脈内注射用プラスチック容器(Plastics containers for intravenous injection)」、および国際規格ISO 10993「医療機器の生物学的評価(Biological Evaluation of medical devices)」が要求するすべての要件に適合する。
【0029】
ポート112、122、124、および126はそれぞれコネクタ114および管116を含み得る。コネクタ114は、ポート112、122、124、および126の封鎖を可能にするものであり、溶液を隔室に導入しかつ溶液を隔室から抽出するための機器を医療従事者および/または製造者が取り付けることを可能にする。コネクタ114と共に利用可能な機器の種類を広げるために、種々の異なる種類のコネクタ114を使用することができる。管116は、外環境から隔室への、またはその逆の、液体または気体の通過を可能にする。管は、所望の寸法で共押出されるポリオレフィン/スチレンブロック共重合体から作製可能である。管は、任意の他の好適な材料からも作製可能である。接続部は、ポリプロピレンおよびポリカーボネートまたは任意の他の好適な材料から作製可能である。ポート112、122、124、および126は、摂氏121度でのオートクレーブ滅菌および摂氏-45度でのフリーズドライに耐え得る。管の外径は8.1mm±0.08mmであり得、管の厚さは1.0mm±0.08mmであり得る。一態様では、ポート112、122、124、および126に使用される材料は、米国および欧州の薬学的規制、SFDA規格「輸入薬学的包装材料に関する登録基準」(中国)、国際規格ISO 15747「静脈内注射用プラスチック容器」、および国際規格ISO 10993「医療機器の生物学的評価」が要求するすべての要件に適合する。
【0030】
バッグ100は、利用可能な情報、例えば法律により要求され得る必須情報をバッグ100上に示すために使用される、ラベル領域140をさらに含み得る。さらに、ラベル領域140は、薬学的製剤、投与量の詳細、警告、おこり得る有害反応、患者情報などの容易な確認のための、バーコード、QRコード(登録商標)、RFIDなどを含み得る。
【0031】
バッグ100は、外側シール102中の貫通孔150をさらに含み得る。貫通孔150は、再構成された薬学的製剤を患者に投与することを容易にする目的でバッグ100を静脈内スタンドに取り付けるために、医療従事者が利用することができる。
【0032】
図3は、1つのバッグ100に薬学的製剤を準備する方法の一態様の流れ図を示す。本方法は、薬学的製剤を第1の隔室110に導入する段階S310、薬学的製剤を第1の隔室110内で凍結乾燥する段階S320、再構成溶液を第2の隔室120に導入する段階S330、およびシール130を破り、再構成溶液と凍結乾燥された薬学的製剤とを混合する段階S340を含む。各段階を以下でさらに詳細に説明する。
【0033】
段階S310では、所定量の公知濃度の薬学的製剤500を、ポート112を通じてバッグ100の第1の隔室110に滅菌的に導入する。例えば、薬学的製剤は滅菌フィルターを通過し得る。凍結乾燥後の薬学的製剤の希釈率および再構成率を計算するには、薬学的製剤の量および濃度が必要である。図5は、第1の隔室110内の薬学的製剤500を示す。矢印502は、薬学的製剤500がポート112を通過することを示す。薬学的製剤500は液体状態を含み得る。薬学的製剤500が第1の隔室110内にあるときには、ポート112は滅菌ストッパにより閉鎖され、バッグ100は凍結乾燥器に配置可能になる。滅菌ストッパは、ポート112を完全に閉鎖するわけではなく、凍結乾燥プロセス中に蒸気の通過を可能にするために必要な空間を残す。バッグ100は、凍結乾燥器の条件(例えば温度、圧力など)に耐えるように構成されている。
【0034】
段階S320では、バッグ100を、必要であればやはり薬学的製剤500を収容する他のバッグと共に、凍結乾燥器中のトレー上に配置する。ポート112を上側にしてバッグ100を垂直位置またはわずかに傾斜した垂直位置に向けることができ、バッグ100の下部をトレーに固定することができる。ポート112が上側になると、ポート112は、凍結乾燥手順中の薬学的製剤からの水蒸気の通過を可能にし、凍結乾燥中の薬学的製剤の漏出を回避する。すべてのバッグが確実な位置におかれたら、フリーズドライプロセスを始め得る。以下に示される表1は、薬学的製剤をフリーズドライするための例示的な凍結乾燥プロセスに関連するデータを示す。温度、時間、および圧力は、バッグ100に配置される薬学的製剤の種類に従って変動し得る。図6は、凍結乾燥プロセスが完了した後の、凍結乾燥された薬学的製剤600を入れたバッグ100を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
S330では、所定量の滅菌再構成溶液を、ポート122を通じて第2の隔室120に無菌的に導入する。第2の隔室120に導入される再構成溶液の量は、患者への投与に関する薬学的製剤500の所望の希釈率に依存する。図7は、第2の隔室120中の再構成溶液700を示す。矢印702は、再構成溶液700がポート122を通過することを示す。再構成溶液700は滅菌0.9%生理食塩水、または薬学的製剤500の再構成および希釈に好適な任意の他の溶液であり得る。再構成溶液の他の例としては水、アルコール系溶液などが挙げられる。希釈溶液の例としては生理食塩水、ブドウ糖液、リンゲル液などが挙げられる。
【0037】
一態様では、バッグ100が複数の異なる位置にあるときに、段階S330を行うことができる。例えば、バッグ100がまだ凍結乾燥器中にあるときに、再構成溶液700を第2の隔室120に導入することができる。別の例では、バッグ100を凍結乾燥器から取り外すことができ、再構成溶液700を準備施設において第2の隔室に導入した後、冷凍および滅菌条件下で貯蔵および輸送することができる。
【0038】
S340では、医療従事者は、再構成溶液700と凍結乾燥された薬学的製剤600とを混合することで、凍結乾燥された薬学的製剤600を再構成された薬学的製剤900に再構成および適切に希釈することができる。医療従事者は、手で圧力をバッグ100に、例えば第2の隔室120に加えることでシール130を破ることができる。図8に示す。バッグ100が軟質であることから、医療従事者がバッグを押すと、圧力がバッグ100中で生じて、シール102、104、および130に加えられる。外側シール102および内側シール104は、第1の隔室110と第2の隔室120とを隔離するシール130よりも強く、したがってシール130は外側シール102および内側シール104よりも先に破れる。
【0039】
所定量の圧力(例えば40~60kgf)をバッグ100に加えると、シール130が破れ、第1の隔室110および第2の隔室120は、凍結乾燥された薬学的製剤600と再構成溶液700とを混合するための1つの隔室となる。一態様では、第2の隔室が液体を収容し、第1の隔室110が凍結乾燥製剤および気体を収容することから、医療従事者は、第1の隔室110よりもむしろ第2の隔室120に圧力を加えることで、より多くの圧力を生じさせることができる。さらに、シール130は、シール130の破れが始まる弱点部132を含み得る。
【0040】
図4は、1つのバッグ100に薬学的製剤を準備する方法の別の例示的な流れ図を示す。本方法は、薬学的製剤を第1の隔室110に導入する段階S410、薬学的製剤を第1の隔室110内で凍結乾燥する段階S420、ガス注入を通じて第1の隔室110へのポート112を閉鎖する段階S430、再構成溶液を第2の隔室120に導入する段階S440、シール130を破り、再構成溶液と凍結乾燥された薬学的製剤とを混合する段階S450、および再構成された薬学的製剤を患者に投与する段階S460を含む。各段階を以下でさらに詳細に説明する。
【0041】
工程S410、S420、S440、およびS450は、図3の方法に関して上記で説明した工程S310、S320、S330、およびS340と同様である。S430では、薬学的製剤500が凍結乾燥されたときに、ポート112を恒久的に閉鎖することで、凍結乾燥された薬学的製剤600の完全性を維持することができる。例えば、外環境、例えば酸素、水蒸気などによって、凍結乾燥された薬学的製剤600が汚染されることがあり、したがって、第1の隔室110を封鎖することは、凍結乾燥された薬学的製剤600の完全性を維持することに役立ち得る。ポート112はガス注入により封鎖可能である。凍結乾燥真空は軽真空下で注入ガスにより破壊可能であり、ガスは第1の隔室110に導入される。一態様では、注入ガスは窒素である。薬学的製剤が酸素に対して感受性がない場合、圧縮空気を注入ガスとして使用することができる。このプロセスによって第1の隔室110の滅菌性が維持され、凍結乾燥された薬学的製剤600の酸化が回避される。
【0042】
S460では、医療従事者が薬学的製剤900を再構成した後に、医療従事者は再構成された薬学的製剤900を患者に投与することができる。再構成された薬学的製剤900はいくつかのやり方で投与可能である。例えば、図9は、静脈内治療によって投与される再構成された薬学的製剤900を示す。バッグ100中の貫通孔150によって、医療従事者はバッグ100を静脈内スタンドから吊すことができ、投与ポート124および126によって、医療従事者は処置のためにバッグ100を標準的静脈内装置に取り付けることができる。
【0043】
さらに、バッグ100は、薬学的製剤の製造施設においてオートクレーブ中で滅菌可能である。バッグ100の材料は、バッグ100が摂氏121度でのオートクレーブ滅菌に耐えることを可能にするものである。
【0044】
同じ軟質バッグ中で薬学的製剤を凍結乾燥、貯蔵、および再構成する方法は1つまたは複数の利点を有し得る。例えば、バッグ100は、医療従事者による操作をほとんど必要としない、投与の用意ができた製剤である。薬学的製剤を凍結乾燥することで、薬学的製剤の有効期間が増加する。再構成溶液を第2の隔室に貯蔵することで、薬学的製剤の適切な希釈および再構成の準備が整い、これにより、再構成率および希釈率の計算における間違いの可能性が回避される。薬学的製剤を導入した後、薬学的製剤を投与するまではそれがバッグ中にとどまることから、バッグの外側での薬学的製剤のさらなる操作が回避される。特に、薬学的製剤が細胞毒性薬などの毒性薬である場合、さらなる操作によって製剤の汚染、および/または医療従事者の安全性に関する問題が生じる可能性がある。薬学的製剤を1つのバッグ中に保持し、第1の隔室を外環境から封鎖することで、薬学的製剤の汚染の可能性が回避される。
【0045】
本発明の態様は、軟質複室バッグ中に薬学的製剤を準備する方法に関し得る。本方法は、薬学的製剤を液体状態で第1のポートを通じて軟質バッグの第1の隔室に導入する段階、および軟質バッグの第1の隔室内で薬学的製剤を凍結乾燥することで、凍結乾燥された薬学的製剤を得る段階、を含み、軟質バッグは第2の隔室を有し、第1の隔室と第2の隔室とは破ることが可能なシールで隔離されている。
【0046】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、本方法は、再構成溶液を軟質バッグの第2の隔室に導入する段階をさらに含み得る。
【0047】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、本方法は、第1の隔室内の薬学的製剤が凍結乾燥された後に、ガスを第1の隔室に導入し、第1のポートを封鎖する段階をさらに含み得る。
【0048】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、本方法は、所定量の圧力を軟質バッグに加えることで第1の隔室と第2の隔室との間の破ることが可能なシールを破る段階、および第1の隔室内で再構成溶液と凍結乾燥された薬学的製剤とを混合することで再構成された薬学的製剤を作り出す段階をさらに含み得る。
【0049】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、本方法は、軟質バッグに配置された投与ポートを通じて最終の薬学的製剤を患者に投与する段階をさらに含み得る。
【0050】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、軟質バッグの前面と軟質バッグの背面とを接合することで、破ることが可能なシールが第1の隔室と第2の隔室との間に形成される。
【0051】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、破ることが可能なシールは弱点部を含み、弱点部において、破ることが可能なシールは、破ることが可能なシールの残りの部分ほど幅広くはなく、圧力が軟質バッグに加えられる際に、破ることが可能なシールの破れが弱点部において始まる。
【0052】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、薬学的製剤は細胞毒性薬である。
【0053】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、細胞毒性薬は、アザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ブレンツキシマブベドチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフェロキサミン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、フルダラビン、ホテムスチン、フルベストラント、ゲムシタビン、イダルビシン、イホスファミド、塩酸イリノテカン、イクサベピロン、メルファラン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ラルチトレキセド、ロミデプシン、テモゾロミド、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、トラスツズマブ、およびビンブラスチンからなる群より選択される。
【0054】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、再構成溶液は0.9%生理食塩水である。
【0055】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、バッグはポリオレフィン/スチレンブロック共重合体系フィルムから作製される。
【0056】
いくつかの態様は、
凍結乾燥された薬学的製剤を保持するように構成された第1の隔室、
第1の隔室から隔離されており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を保持するように構成された、第2の隔室、
第1の隔室と第2の隔室との間に配置されており、第1の隔室を第2の隔室から隔離および封鎖する、シール、ならびに
第1の隔室に取り付けられており、薬学的製剤を第1の隔室に導入するように、かつ薬学的製剤の凍結乾燥中に薬学的製剤からの水蒸気の通過を可能にするように構成された、第1のポート
を含む、薬学的軟質バッグを含み得る。
【0057】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、バッグは、
第2の隔室に取り付けられており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を第2の隔室に導入するように構成された、第2のポート
をさらに含み得る。
【0058】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、シールは、薬学的バッグの前面と薬学的バッグの背面との間の接続部である。
【0059】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、シールは第1の隔室と第2の隔室との間で薬学的バッグの長さに沿って伸びている。
【0060】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、薬学的バッグに加えられる所定量の圧力によってシールが破れ、第2の隔室が第1の隔室に接続される。
【0061】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、シールは、所定量の圧力が薬学的バッグに加えられる際に最初に破れる点を提供する弱点部をさらに含む。
【0062】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、薬学的製剤は細胞毒性薬である。
【0063】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、細胞毒性薬は、アザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ブレンツキシマブベドチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフェロキサミン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、フルダラビン、ホテムスチン、フルベストラント、ゲムシタビン、イダルビシン、イホスファミド、塩酸イリノテカン、イクサベピロン、メルファラン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ラルチトレキセド、ロミデプシン、テモゾロミド、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、トラスツズマブ、およびビンブラスチンからなる群より選択される。
【0064】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、再構成溶液は0.9%生理食塩水である。
【0065】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、薬学的バッグはポリオレフィン/スチレンブロック共重合体系フィルムから作製される。
【0066】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、薬学的バッグは摂氏121度に耐える。
【0067】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、薬学的バッグは摂氏-45度に耐える。
【0068】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、第2の隔室は、凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液とを混合した結果である再構成された薬学的製剤を投与するための投与ポートをさらに含む。
【0069】
いくつかの態様は、
前面フィルム、背面フィルム、薬学的バッグの周囲で前面フィルムを背面フィルムに接合する、外側シール、ならびに
外側シールの内側で前面フィルムと背面フィルムとを接合し、第1の隔室、および第1の隔室から隔離された第2の隔室を画定する、破ることが可能なシール
を含み得る、薬学的軟質バッグを含み得る。第1の隔室は、凍結乾燥された薬学的製剤を保持するように構成され、第2の隔室は、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を保持するように構成され、所定量の圧力が薬学的軟質バッグに加えられる際に、破ることが可能なシールが外側シールよりも先に破れる。
【0070】
本明細書で説明される様々な態様のいずれかにおいて、第1の隔室および第2の隔室は外側シールおよび破ることが可能なシールによって画定されている。
【0071】
概要および要約書のセクションではなく、詳細な説明のセクションが、特許請求の範囲を解釈するために使用されるように意図されていることを認識すべきである。概要および要約書のセクションは、本発明者が想定する本発明の例示的な態様のすべてではなく1つまたは複数を開示可能であり、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲を限定するようには決して意図されていない。
【0072】
特定の態様に関する上記の説明は、本発明の一般的性質を完全に明らかにするものであり、これにより他者は、当技術分野の技術の枠内の知識を適用することで、過度の実験を行うことなく、本発明の一般的概念を逸脱することなく、当該の特定の態様を容易に修正および/または様々な用途に向けて改変することができる。したがって、当該の改変および修正は、本明細書に示される教示および指導に基づいて、開示される態様の等価物の意味および範囲の枠内にあるように意図される。本明細書の表現法または用語法が限定ではなく説明を目的とするということを理解すべきであり、したがって、当業者は本明細書の用語法または表現法を該教示および指導に照らして解釈すべきである。
【0073】
本発明の幅および範囲は、上記の例示的な態様のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその等価物にのみ従って定義されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
100 バッグ
102 外側シール
104 内側シール
110 第1の隔室
112 ポート
114 コネクタ
116 管
120 第2の隔室
122 ポート
124 ポート
126 ポート
130 シール
132 弱点部
140 ラベル領域
150 孔
500 薬学的製剤
600 凍結乾燥された薬学的製剤
700 再構成溶液
900 再構成された薬学的製剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥された薬学的製剤を保持するように構成された第1の隔室;
第1の隔室から隔離されており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を保持するように構成された、第2の隔室;
第1の隔室と第2の隔室のうちの1つから隔離された第3の隔室であって、溶液を保持するように構成された、第3の隔室;
第1の隔室と第2の隔室との間に配置されており、第1の隔室を第2の隔室から隔離および封鎖する、第1のシール;
第3の隔室と第1の隔室および第2の隔室のうちの1つとの間に配置される、第2のシールであって、第1の隔室または第2の隔室から第3の隔室を封鎖する、第2のシール; ならびに
第1の隔室に取り付けられており、薬学的製剤を第1の隔室に導入するように、かつ薬学的製剤の凍結乾燥中に薬学的製剤からの水蒸気の通過を可能にするように構成された、第1のポート
を含む、薬学的軟質バッグ。
【請求項2】
第2の隔室に取り付けられており、第1の隔室内の凍結乾燥された薬学的製剤を再構成するための再構成溶液を第2の隔室に導入するように構成された、第2のポートをさらに含む、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項3】
第1のシールが、薬学的バッグの前面と薬学的バッグの背面との間の接続部である、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項4】
第1のシールが第1の隔室と第2の隔室との間で薬学的バッグの長さに沿って伸びている、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項5】
薬学的バッグに加えられる所定量の圧力によって第1のシールが破れ、第2の隔室が第1の隔室に接続される、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項6】
第1のシールが、所定量の圧力が薬学的バッグに加えられる際に最初に破れる点を提供する弱点部をさらに含む、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項7】
薬学的製剤が、抗悪性腫瘍剤、免疫調節剤、または細胞毒性薬である、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項8】
薬学的製剤が、アザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ブレンツキシマブベドチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフェロキサミン、ドキソルビシン、塩酸エピルビシン、フルダラビン、ホテムスチン、フルベストラント、ゲムシタビン、イダルビシン、イホスファミド、塩酸イリノテカン、イクサベピロン、メルファラン、メトトレキサート、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ラルチトレキセド、ロミデプシン、テモゾロミド、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、トラスツズマブ、およびビンブラスチンからなる群より選択される、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項9】
再構成溶液が0.9%生理食塩水である、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項10】
ポリオレフィン/スチレンブロック共重合体系フィルムから作製される、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項11】
摂氏121度に耐える、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項12】
摂氏-45度に耐える、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項13】
第2の隔室が、凍結乾燥された薬学的製剤と再構成溶液とを混合した結果である再構成された薬学的製剤を投与するための投与ポートをさらに含む、請求項1記載の薬学的バッグ。
【請求項14】
1のポートは薬学的製剤の凍結乾燥中に第1のポートの端を通じて薬学的製剤からの蒸気の通過を可能にするように構成された、請求項1記載の薬学的軟質バッグ。
【外国語明細書】