(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079703
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】対象領域ボリュームの3D再構成を確認するためのOCTデバイスを備えるアセンブリ、コンピュータプログラム、及びそのためのコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20240604BHJP
A61B 34/10 20160101ALN20240604BHJP
【FI】
A61F9/008 130
A61B34/10
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024035620
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2022544396の分割
【原出願日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】102020102012.0
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502303382
【氏名又は名称】カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー マッツ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン フォイクト
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ハウガー
(72)【発明者】
【氏名】デルバート ピーター アンドリュース
(72)【発明者】
【氏名】ナンシー ヘッカー-デンシュラグ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アクセスが困難な手術領域における外科医のための外科的介入を簡略することにある。
【解決手段】本発明は、OCT走査ビーム(21)を用いて対象領域(18)内に配置される対象領域ボリューム(22)を走査するためのOCTデバイス(20)と、OCTデバイス(20)に接続され、且つ、OCTデバイス(20)を用いて対象領域ボリューム(22)の3D再構成、及び、対象領域ボリューム(22)内のオブジェクト(24)のセクションの位置を確認するためのコンピュータプログラムを含む計算ユニット(60)とを備える。コンピュータプログラムは、ターゲットエリアに対するオブジェクト(24)のための基準変数を決定し、基準を用いて空間ターゲット位置へのオブジェクト(24)の最適経路を計算する。基準は、計算された3D再構成においてオブジェクト(24)によって生成される陰影の存在を定量化する陰影測定である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCT走査ビーム(21)によって対象領域(18)内の対象領域ボリューム(22)
を走査するためのOCTデバイス(20)を備え、
前記対象領域ボリューム(22)内に配置可能であり、そこで前記OCTデバイス(2
0)によって位置確認可能であるセクション(84)を有するアイテム(24、24’)
を備え、
前記OCTデバイス(20)に接続され、且つ、前記対象領域ボリューム(22)を走
査することによって前記OCTデバイス(20)によって取得されるOCT走査情報を処
理することによって、前記対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定し
、前記対象領域ボリューム(22)内の前記アイテム(24、24’)の前記セクション
(84)の相対位置を決定するためのコンピュータプログラムを含む、コンピュータユニ
ット(60)を備える、配置(10、10’、10’’、10’’’)であって、
前記コンピュータプログラムは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成
(94)においてターゲットエリア(90)を決定するための計算ルーチンを有し、前記
計算ルーチンは、前記ターゲットエリア(90)に関して前記アイテム(24、24’)
のためのガイド変数を決定し、
前記コンピュータプログラムは、基準に基づいて空間ターゲット位置(91)への前記
アイテム(24、24’)の最適経路を計算する経路計画ルーチンを含み、
前記基準は、前記計算された3-D再構成(94)において前記アイテム(24、24
’)に起因する陰影の存在を定量化する付影の大きさである、
ことを特徴とする、配置。
【請求項2】
前記コンピュータプログラムは、撮像方法を用いて前記対象領域ボリューム(22)を
検査することによって、特に、前記OCTデバイス(20)の前記OCT走査ビーム(2
1)によって前記対象領域ボリューム(22)を走査することによって取得されるか、及
び/又は手術前に決定されるデータ(92)であるか、及び/又は前記対象領域ボリュー
ム(22)内の前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)の位置を決定す
るためのセンサ信号に関するデータであるデータから、前記対象領域ボリューム(22)
の3-D再構成(94)を決定するよう設計されることを特徴とする、請求項1に記載の
配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項3】
前記コンピュータプログラムは、位置合わせ方法によって互いに関するデータの相対的
な空間位置を決定するよう設計され、前記データは、以下の群:前記対象領域ボリューム
(22)を走査することによって前記OCTデバイス(20)によって取得される走査情
報、前記対象領域ボリューム(22)、更なる撮像方法からのデータ、特に、光学画像表
現、MRIデータ、CTデータ、超音波画像、内視鏡画像、前記アイテム(24)の前記
セクション(84)の位置、手術前に決定されるデータ(92)、位置センサ信号からの
データを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配置(10、10’、10’
’、10’’’)。
【請求項4】
前記OCTデバイス(20)は、前記OCT走査ビーム(21)による前記対象領域ボ
リューム(22)の引き続く連続走査のために設計され、及び/若しくは、前記OCTデ
バイス(20)は、前記OCT走査ビーム(21)による前記アイテム(24、24’)
の前記セクション(84)を含む前記対象領域ボリューム(22)の領域の引き続く連続
走査のために設計され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成
(94)の引き続く連続決定のため、及び/若しくは前記対象領域ボリューム(22)に
おける前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)の前記相対位置の引き続
く連続決定のために設計され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成
(94)において前記アイテム(24、24’)のための空間ターゲット位置(91)を
決定するよう設計され、
並びに/又は、
前記コンピュータユニット(60)は、手術前に決定される前記データ(92)の手術
中の提供のためのメモリ(63)に接続され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、組織構造及び/若しくは組織層をセグメント化するた
めの方法の適用によって、手術前に決定されるデータ(92)におけるターゲットエリア
(90’)及び/若しくは空間ターゲット位置(91’)、並びに/若しくは、前記対象
領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)におけるターゲットエリア(90)
及び/若しくは空間ターゲット位置(91)を決定するよう設計され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記アイテム(24、24’)のための制御信号の形
態でのガイド変数を生成するためのルーチンを含み、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記アイテム(24)及び/若しくは更なるアイテム
(24’)及び/若しくは前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)
における前記ターゲットエリア(90)の特性を考慮して、及び/若しくはこれらの間の
幾何学的関係、特にオフセット情報を考慮して、前記対象領域ボリューム(22)の前記
3-D再構成(94)における前記ターゲットエリア(90)内の空間ターゲット位置(
91)をガイド変数として決定するよう設計され、
並びに/又は、
前記配置は、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)における前
記アイテム(24)の前記セクション(84)の相対位置を視覚化するための、及び/若
しくは手術前に決定されるデータ(92)を視覚化するための、及び/若しくは前記ター
ゲットエリア(90)に関して決定される前記ガイド変数を視覚化するための、及び/若
しくは前記ガイド変数から導出される変数を視覚化するためのデバイスを備え、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記ターゲットエリア(90)に関して決定される前
記ガイド変数及び/若しくはそれから導出される変数に基づいて、前記外科医のための音
響的、光学的、若しくは触覚的な指示信号を生成し、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記対象領域ボリューム(22)の補正された3-D
再構成(94)を決定するための付影ルーチンを含み、前記付影ルーチンは、前記アイテ
ム(24、24’)によって付影される領域(104)を認識し、これらの領域に関して
前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)のための補償ルールを指定
し、
並びに/又は、
前記OCT走査ビーム(21)によって位置確認可能なマーカー(78)が、前記アイ
テム(24、24’)の前記セクション(84)及び/若しくは前記対象領域(18)内
に配置され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、特定の走査パターンを用いて前記対象領域ボリューム
(22)及び/若しくは前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)を走査
するための、並びに/又は前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)の位
置と比較してより低い速度で前記対象領域ボリューム(22)を走査する走査速度を調整
するための走査ルーチンを含み、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、基準に基づいて、前記3-D再構成(94)のための
前記決定ルール及び/若しくは前記対象領域ボリューム(22)内の前記アイテム(24
、24’)の前記セクション(84)の前記相対位置のための前記決定ルールを調整する
ために設計される、
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の配置。
【請求項5】
前記対象領域ボリューム(22)のOCT血管造影データは、前記対象領域ボリューム
(22)を走査することにより前記OCTデバイス(20)によって取得される、前記走
査情報から生成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の配置(1
0、10’、10’’、10’’’)。
【請求項6】
前記コンピュータプログラムは、前記OCT血管造影データに基づいて前記ターゲット
エリア(90)内の血管(108)の位置及び/又は寸法を決定するよう設計され、前記
対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)において前記ターゲットエリア
(90)を決定するための前記コンピュータプログラムの計算ルーチンは、前記ターゲッ
トエリア(90)内の前記血管(108)の経路及び/又は位置及び/又は寸法を考慮す
ることを特徴とする、請求項5に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項7】
前記コンピュータプログラムは、手術前に決定される提供されたデータ(92)におけ
る前記アイテム(24)のためのターゲットエリア(90’)及び/又はターゲット位置
(91’)を決定するためのルーチンを含み、手術前に決定される前記データ(92)を
前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)と位置を合わせる位置合わ
せルーチンと、手術前に決定される前記データ(92)における前記ターゲットエリア(
90’)及び/又は前記ターゲット位置(91’)を前記対象領域ボリューム(22)の
前記3-D再構成(94)に転写するための転写ルーチンとを有することを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項8】
前記アイテム(24、24’)は、媒体(88)の放出のための開口部(82)を有す
る毛細管(86)を備える手術器具の形態であることを特徴とする、請求項1~7のいず
れか一項に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項9】
前記コンピュータプログラムの前記計算ルーチンは、前記対象領域ボリューム(22)
の前記3-D再構成(94)における前記ターゲットエリア(90)を処理することによ
って、及び/又は手術前に決定されるデータ(92)を処理することによって、及び/又
は前記対象領域ボリューム(22)を走査することにより前記OCTデバイス(20)に
よって取得されるOCT走査情報を処理することによって、及び/又は外科医によるター
ゲット値の入力によって、前記放出された媒体(88)の前記ボリュームのためのターゲ
ット値をガイド変数として決定する役割を果たすことを特徴とする、請求項8に記載の配
置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項10】
前記コンピュータプログラムの前記計算ルーチンは、前記対象領域ボリューム(22)
の前記3-D再構成(94)における前記ターゲットエリア(90)のデータ、及び/又
は前記媒体(88)の前記放出前及び放出中に前記対象領域ボリューム(22)を走査す
ることによって前記OCTデバイス(20)によって取得される前記ターゲットエリア(
90)の走査情報を比較することによって、前記ターゲットエリア(90)内に放出され
る前記媒体(88)の前記ボリュームの実際値を決定する役割を果たすことを特徴とする
、請求項8又は9に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項11】
前記コンピュータプログラムの前記計算ルーチンは、前記放出された媒体(88)の前
記ボリュームの再調整のためのガイド変数として、前記ターゲットエリア(90)内に放
出される前記媒体(88)の前記ボリュームのターゲット値と実際値との間の差を決定す
るよう設計されることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の配置。
【請求項12】
前記コンピュータプログラムの前記計算ルーチンは、前記対象領域ボリューム(22)
の前記3-D再構成(94)において前記ターゲットエリア(90)を処理することによ
って、及び/又は手術前に決定されるデータ(92)を処理することによって、及び/又
は外科医によるターゲット値の入力によって、除去される物質の位置及び/又は除去され
る物質の量をガイド変数として決定する役割を果たすことを特徴とする、請求項1~7の
いずれか一項に記載の配置。
【請求項13】
前記対象領域ボリューム(22)内の除去される前記物質の位置及び/又は除去される
物質の量を視覚化するための視覚化ルーチンを特徴とする、請求項12に記載の配置(1
0、10’、10’’、10’’’)。
【請求項14】
対象領域ボリューム(22)を走査することによってOCTデバイス(20)によって
取得されるOCT走査情報を処理することによって、対象領域(18)内の前記対象領域
ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定するための、及び、前記対象領域ボリ
ューム(22)におけるアイテム(24)のセクション(84)の相対位置を決定するた
めのコンピュータプログラムであって、
前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)におけるターゲットエリ
ア(90)と、前記ターゲットエリア(90)に関する前記アイテム(24)のためのガ
イド変数とを決定するための計算ルーチンと、
基準に基づいて空間ターゲット位置(91)への前記アイテム(24、24’)の最適
経路を計算する経路計画ルーチンと、
前記基準は、前記計算された3-D再構成(94)において前記アイテム(24、24
’)に起因する陰影の存在を定量化する付影の大きさである、
ことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項15】
対象領域ボリューム(22)を走査することによってOCTデバイス(20)によって
取得されるOCT走査情報を処理することによって、対象領域(18)内の前記対象領域
ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定するための、及び、前記対象領域ボリ
ューム(22)におけるアイテム(24)のセクション(84)の相対位置を決定するた
めの方法であって、
前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)におけるターゲットエリ
ア(90)と、前記ターゲットエリア(90)に関する前記アイテム(24)のためのガ
イド変数とを決定することと、
空間ターゲット位置(91)への前記アイテム(24、24’)の最適経路を計算する
ことと、
前記基準は、前記計算された3-D再構成(94)において前記アイテム(24、24
’)に起因する陰影の存在を定量化する付影の大きさであることと
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OCT走査ビームによって対象領域内の対象領域ボリュームを走査するため
のOCTデバイスを備え、対象領域ボリューム内に配置可能であり、そこでOCTデバイ
スによって位置確認可能であるセクションを有するアイテムを備え、OCTデバイスに接
続され、且つ、対象領域ボリュームを走査することによってOCTデバイスによって得ら
れる走査情報を処理することによって対象領域ボリュームの3-D再構成を決定し、対象
領域ボリューム内のアイテムのセクションの相対位置を決定するためのコンピュータプロ
グラムを含むコンピュータユニットを備える、配置に関する。本発明はまた、対象領域ボ
リュームの3-D再構成を決定するためのコンピュータプログラム及びコンピュータ実装
方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、サンプルビーム経路及び参照ビーム経路に
案内される、時間的にインコヒーレントであるが、空間的にコヒーレントなレーザ光から
なるOCT走査ビームによって組織を走査することによって、特に生体組織のボリューム
データを取得する方法である。OCTは、例えば、手術領域内の手術対象等の対象物の位
置確認を可能にする。
【0003】
国際公開第2016/055422A1号パンフレット及び米国特許出願公開第201
7/0209042A1号明細書はそれぞれ、冒頭で述べた種類の配置を開示している。
これらの文献は、OCTデバイスを備え、OCTデバイスによって位置確認可能な有効セ
クションを有する手術器具を備える手術システムを説明している。これらは、ターゲット
エリアが基準データから手術器具に対して決定されるべきであり、ターゲットエリアに対
する手術器具のオフセットが器具機能をトリガするための基準として用いられるべきであ
ることを述べている。
【0004】
米国特許出願公開第2019/0000563A1号明細書は、眼科手術中に器具先端
の相対位置及び向きを決定するためのシステムを説明している。この場合、眼の組織は、
特にOCTによって検出され、器具先端の相対位置及び向きは、器具に取り付けられるマ
ーカーに基づいて、検出された組織を基準とする座標系において、画像取込によって、磁
気センサによって、超音波センサによって、又は慣性センサによって決定される。
【0005】
米国特許出願公開第2016/0249989A1号明細書は、患者の身体上で、それ
に関連して参照される可視仮想構造をレンダリングすることができる可視化システムを開
示している。
【0006】
欧州特許出願公開第3461411A1号明細書は、異なる対象領域に関してOCTデ
ータを参照することに基づいてモデルを形成するよう、様々な対象領域にわたるOCTデ
ータの処理を開示している。
【0007】
米国特許出願公開第2018/0263706A1号明細書は、陰影構造を含み、透過
照明によって取り込まれた患者画像の処理を教示している。
【0008】
米国特許出願公開第2012/0190976A1号明細書は、活性物質リザーバ内の
圧力が圧力センサによって決定され、活性物質リザーバからの活性物質の流出がマイクロ
バルブによって制御されることに基づいて、患者の血液回路に導入されたマイクロカテー
テルを用いる活性物質の制御された放出を説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、アクセスが困難な手術領域における外科医のための外科的介入を簡略
化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に規定される配置、請求項14に規定されるコンピュータプログ
ラム、及び請求項15に規定される方法によって達成される。本発明の有利な実施形態を
、従属クレームにおいて規定している。
【0011】
請求項1に規定される配置は、OCT走査ビームを用いて対象領域内に配置される対象
領域ボリュームを走査するためのOCTデバイスと、対象領域内に配置可能であり、OC
Tデバイスによって対象領域ボリュームにおいて位置確認可能であるセクションを対象領
域ボリューム内に有するアイテムとを備える。その上、この配置は、OCTデバイスに接
続され、且つ、対象領域ボリュームを走査することによってOCTデバイスによって取得
されるOCT走査情報を処理することによって、対象領域ボリュームの3-D再構成を決
定し、対象領域ボリューム内のアイテムのセクションの相対位置を決定するためのコンピ
ュータプログラムを含むコンピュータユニットを含む。この場合、コンピュータプログラ
ムは、対象領域ボリュームの3-D再構成においてターゲットエリアを決定するための計
算ルーチンを有し、前記計算ルーチンは、ターゲットエリアに関してアイテムのためのガ
イド変数を決定する。コンピュータプログラムは、基準に基づいて空間ターゲット位置へ
の前記アイテムの最適経路を計算する経路計画ルーチンを含む。この場合、基準は、計算
された3-D再構成においてアイテムに起因する陰影の存在を定量化する付影の大きさで
ある。
【0012】
本発明による配置におけるOCTデバイスは、サンプルビーム経路及び参照ビーム経路
に供給される、コヒーレンス長Icを有する時間的にインコヒーレントであり、空間的に
コヒーレントなレーザ光のための光源を備える。サンプルビーム経路は、検査されるべき
組織に向けられる。組織内の散乱中心のためにサンプルビーム経路内に戻るよう放射され
るレーザ光は、OCTデバイス内でその上に重ねられる参照ビーム経路からのレーザ光を
有する。干渉信号は、この重ね合わせの結果として生じる。検査された組織におけるレー
ザ放射のための散乱中心の位置は、この干渉信号から決定されてもよい。特に、本発明に
よる手術システムにおけるOCTデバイスは、「タイムドメインOCT」又は「フーリエ
ドメインOCT」として設計されてもよい。
【0013】
経路計画ルーチンは、外科的方法の自動化及びアイテム誘導の精度における改善を容易
にする一方で、同時に、外科医のための自由度を増加させる。
【0014】
アイテムに対する陰影の大きさを最小化することによって、又は指定された閾値を超え
ないことによって、データ内の付影を最初から回避することが可能である。一例として、
光源位置と、オブジェクト領域内のアイテムの位置及び向きとが既知である場合、付影の
大きさは、アイテムによって付影されるデータ内の領域と、ターゲットエリア内のターゲ
ット位置へのアイテムのある特定の経路に対する付影の大きさとを事前に計算することが
できる。
【0015】
この場合、コンピュータプログラムが、外科医のためにアイテムの最適経路を視覚化す
るための視覚化ルーチンを含む場合、有利である。結果として、前記外科医は、アイテム
の移動前であってもアイテムの経路を検証することができ、必要な場合に補正介入を実施
することができる。
【0016】
本発明の有利な実施形態において、外科医は、彼らが基準を選択することによって手術
の自動実施に自身で直接影響を及ぼすことができるように、経路計画ルーチンのための基
準を指定することができる。
【0017】
この場合、基準はまた、特に、アイテムがそれに沿って変位される経路の経路長を最小
化してもよく、経路を計画する場合にこれらの領域からのアイテムの最小距離を観察する
ことによって対象領域ボリュームの敏感な領域を保護することができるか、又はこれらの
アイテムの結果としてのデータ内の付影を回避することができる。最適化されるべきター
ゲット関数により最適化問題を定式化する結果として、経路計画の適用範囲内で複数の基
準を同時に考慮することも可能である。この場合、これらの基準は、それぞれの場合にそ
れらの関連性によって重み付けされ、ターゲット関数に含めることができる。
【0018】
特に、乾性黄斑変性症(AMD)として公知であるものを治療するための網膜組織への
幹細胞の注入は、ドルーゼン再形成の低減を促進し、既に損傷した網膜色素上皮及び損傷
した光受容体が再び治癒することを可能にする。しかし、ここで重要なことは、網膜組織
に注入される幹細胞が、外科医によって正しい位置に正しい量で放出されることである。
正確な位置決めはまた、網膜上へのインプラントの配置、例えばナノ網膜インプラントと
して公知であるものの配置にとっても重要である。その上、幾つかの手術に対して、それ
らの前段階において硝子体液を可能な限り正確に除去することが重要である。
【0019】
特に、例えば手術器具、インプラント等のアイテムだけでなく、組織も可能な限り正確
な位置確認は、従って、かかる手術の成功のために望ましい。
【0020】
この場合、3-D再構成という用語は、実際のオブジェクト又はその一部の形状及び外
観を取り込むプロセスを示す。一例として、3-D再構成は、深度マップ、ポイントクラ
ウド、又はメッシュとして利用可能とすることができる。プロセスは、アクティブ又はパ
ッシブ技術を用いて実行することができる。アクティブ技術は、距離測定デバイスを用い
て機械的又は放射測定方式で再構成されるオブジェクトと能動的に相互作用する。一方、
パッシブ技術は、オブジェクトの表面によって反射又は放射される放射線を測定するため
にセンサを用い、画像理解によって前記オブジェクトの3-D構造を推定するためにこれ
を用いるだけである。
【0021】
本発明は、アイテムの機能が実行されることによって、又はアイテムがそこに配置され
ることによってアイテムが支持されるべき、対象領域ボリュームの3-D再構成における
一部分であるターゲットエリアを理解する。この目的を達成するために、この部分はター
ゲット位置を含むことができる。
【0022】
対象領域ボリュームの3-D再構成においてターゲットエリアを決定し、コンピュータ
プログラムによってアイテムのためのガイド変数を決定することは、手術中の手術器具及
び更なるアイテムの誘導の自動化を容易にする。
【0023】
本発明は、ガイド変数が、コンピュータプログラムによって決定され、対象領域内のア
イテムを案内する役割を果たす変数であると理解する。ここで、かかる変数は、アイテム
を案内する場合の手順又は状態の定量的に決定可能な特性を示す。ガイド変数は、アイテ
ムの案内を、例えば、方向、速度、位置、又は時間範囲の形態で直接説明することができ
る。ガイド変数は、アイテムの案内を、例えば、アイテムによってオブジェクト領域に放
出又はそこから除去されるべき媒体の量、ボリューム、又は空間範囲の形態で間接的に説
明することもできる。ここで、ガイド変数は、ターゲットエリアのデータを処理すること
によって有利に決定される。
【0024】
アイテムは、特に手術器具とすることができ、アイテムのセクションは、手術器具の有
効セクションとすることができる。
【0025】
OCT走査ビームによって位置確認可能なマーカーが、アイテムのセクション及び/又
は対象領域内に配置される場合に有利である。これは、対象領域ボリュームにおけるアイ
テムの相対位置を決定すること、及び/又は3-D再構成を決定することを容易にし、そ
れによって、外科的方法の自動化に寄与する。
【0026】
好ましくは、コンピュータプログラムは、アイテム、特に手術器具のための制御信号の
形態でのガイド変数を生成するためのルーチンを含む。代替として、コンピュータプログ
ラムは、ターゲットエリアに関して決定されるガイド変数に基づいてアイテムのための制
御信号を生成することができる。これらの手段は、アイテムの誘導の自動化を可能にする
。その上、アイテム誘導の精度を向上させることができ、手術の成功の機会を増加させ、
例えば、血管への損傷又は外科医の手の震えの結果としての合併症のリスクを低下させる
。
【0027】
好ましい実施形態において、アイテムは、媒体の放出のための開口部を有する毛細管を
有する手術器具の形態である。一例として、この場合の手術器具は、AMDの治療のため
に幹細胞を注入するための注入針であり、これは、本発明による配置及びコンピュータプ
ログラムに基づいて最大限に自動化された様式で実行することができる。
【0028】
更に好ましくは、コンピュータプログラムの計算ルーチンは、対象領域ボリュームの3
-D再構成におけるターゲットエリアを処理することによって、及び/又は手術前に決定
されるデータを処理することによって、及び/又は対象領域ボリュームを走査することに
よってOCTデバイスによって取得されるOCT走査情報を処理することによって、及び
/又は外科医によるターゲット値の入力によって、放出された媒体のボリュームのための
ターゲット値をガイド変数として決定する役割を果たす。放出される媒体のボリュームの
ターゲット値は、例えば、特定のデータ又はこれらのデータの組み合わせから画像処理に
よって決定することができる。この手段は、ターゲット値の決定をコンピュータプログラ
ムによって直接自動的に行うことができるという点で有利である。3-D再構成又はOC
T走査情報を用いる場合、これは加えて、ターゲット値が患者の対象領域において現在存
在する条件に適合され、以前に記録されたデータには適合されないという利点を有する。
【0029】
有利には、コンピュータプログラムの計算ルーチンは、対象領域ボリュームの3-D再
構成におけるターゲットエリアのデータ、及び/又は媒体の放出前及び放出中に対象領域
ボリュームを走査することによってOCTデバイスによって取得されるターゲットエリア
の走査情報を比較することによって、ターゲットエリア内に放出される媒体のボリューム
の実際値を決定する役割を果たす。この場合、ターゲットエリアに放出される媒体のボリ
ュームの実際値は、画像処理によって決定することができる。その上、ボリュームの変化
は、異なる時間に取り込まれるOCTデータ及び/又は異なる時間に決定される3-D再
構成の差として生じる差分画像を評価することによって決定することができる。差分画像
に基づいて、その上、存在する可能性のある漏出の位置を推定することが可能である。
【0030】
コンピュータプログラムの計算ルーチンは、有利には、放出された媒体のボリュームの
再調整のためのガイド変数として、ターゲットエリア内に放出される媒体のボリュームの
ターゲット値と実際値との間の差を決定するよう設計される。結果として、手術器具から
ターゲットエリアに更に放出される媒体の量のボリュームが自動的に決定される。これは
、存在するターゲットエリアのデータに基づいて、放出された媒体のボリュームの自動的
な再調整を容易にする。これらの手段は、存在する可能性のある漏出を考慮し、指定され
たボリュームの媒体が実際にターゲットエリアにも適用されることを保証する。必要であ
れば、ターゲットエリア又はターゲットエリア内のターゲット位置は、媒体が放出されて
いる間に調整することができる。
【0031】
放出された媒体のボリュームを再調整するための決定されたガイド変数に基づいて、コ
ンピュータプログラムは、媒体を放出するための手術器具のための制御信号及び/又は外
科医のためのボリューム指示信号を生成することができる。
【0032】
本発明の更なる好ましい実施形態は、対象領域の3-D再構成において、決定されたタ
ーゲットエリアからの物質の除去に関する。一例として、物質は、組織、水、又は硝子体
液であることができる。この場合、コンピュータプログラムの計算ルーチンは、対象領域
ボリュームの3-D再構成におけるターゲットエリアを処理することによって、及び/又
は手術前に決定されるデータを処理することによって、及び/又は対象領域ボリュームを
走査することによってOCTデバイスによって取得される走査情報を処理することによっ
て、及び/又は外科医によるターゲット値の入力によって、除去される物質の位置及び/
又は除去される物質の量をガイド変数として決定する役割を果たす。この場合、除去され
る物質が依然として存在する対象領域ボリューム内の位置は、所定のデータ内のターゲッ
トエリアの画像処理によって決定することができる。代替として、未だ除去されていない
物質のボリュームを、所定の位置に対して決定することもできる。これらのガイド変数に
基づいて、次いで、未だ除去されていない物質に対して対象領域内のアイテムの自動変位
のための制御信号を生成することが可能である。
【0033】
除去される物質の完全な除去を可能にするために、この物質は、マーカー、特にトリア
ムシノロンの注入によって識別可能にすることができる。これにより、より高い精度で物
質を除去することが可能となる。これは、手術の成功の機会を増加させ、周囲の血管を保
護する。
【0034】
有利には、コンピュータプログラムは、対象領域ボリューム内の除去される物質の位置
及び/又は除去される物質の量を視覚化するための視覚化ルーチンを有する。この目的を
達成するために、例えば、位置をマーキングすることによって3-D再構成を増強するこ
とが可能である。代替として、除去される物質の量が様々な位置における高さとして指定
される対象領域ボリュームのターゲットエリアに関する等高線図を提示することも可能で
ある。代替として、対象領域ボリューム内のアイテムの現在の位置に対して未だ除去され
ていない物質の量を示す表示バーを提示することが可能である。
【0035】
一例として、物質は、硝子体液の材料であることができる。硝子体液除去は、例えば硝
子体切除装置等のアイテムを用いて行われる。残存物のない正確な硝子体切除は、改善さ
れた信号対雑音比を容易にするように、網膜インプラント手術の成功にとって重要である
。この場合、除去される硝子体液は、網膜上の各点について、その上に位置する除去され
る硝子体液の量を示す等高線図に基づいて外科医に視覚化される。この場合、コンピュー
タプログラムは、有利に、硝子体切除の適用範囲内で硝子体液と手術領域をすすぐための
溶液との間の境界を連続的に決定し、及び/又は前記境界を外科医に表示するよう設計さ
れる。この手段は、硝子体液と手術領域をすすぐための溶液との間の境界が手術領域の視
覚化において明確に強調することができるという点で有利である。セグメント化による硝
子体液残留物の自動検出は、層の残りの厚さの測定を容易にする。硝子体液残留物は、次
いで、手術領域の各可視化において外科医に表示され、手術の実施を単純化し、患者に対
するリスクを低減することができる。
【0036】
更なる有利な実施形態において、アイテムはインプラントの形態である。
【0037】
更に、コンピュータプログラムは、アイテム及び/又は更なるアイテム及び/又は対象
領域ボリュームの3-D再構成におけるターゲットエリアの特性を考慮して、及び/又は
これらの間の幾何学的関係、特にオフセット情報を考慮して、対象領域ボリュームの3-
D再構成におけるターゲットエリア内の空間ターゲット位置をガイド変数として決定する
よう設計されることが有利である。この場合、特性は、特に、例えばインプラントの又は
インプラントの一部の寸法だけでなく、例えば手術器具の形態での更なるアイテムの又は
ターゲットエリアの領域の寸法も示す。特性はまた、その構造、例えば、インプラントの
形態でのアイテムの裏側の3-D電極、又は対象領域ボリューム内の血管の経路を説明し
てもよい。幾何学的関係は、特に、互いに対する領域の相対位置、例えば、対象領域ボリ
ュームにおける血管からのアイテムの距離を説明する。コンピュータプログラムによって
ガイド変数を決定する場合の特性及び/又は幾何学的関係を考慮することは、対象領域ボ
リュームにおけるアイテムの取り付けが自動的に、またより高い精度で、且つ可能な限り
低い合併症のリスクで実行され得るという点で有利である。有利には、アイテムの座部は
、前記アイテム、例えばインプラントをそのターゲットエリアに取り付けた後に検証され
る。
【0038】
好ましくは、対象領域ボリュームのOCT血管造影データは、全ての実施形態において
、対象領域ボリュームを走査することによってOCTデバイスによって取得される走査情
報から生成される。OCT血管造影法は、網膜及び脈絡膜の血管構造の非侵襲的三次元表
現を可能にする臨床検査法である。技術的な観点から、OCT-Aは、光コヒーレンスト
モグラフィ(OCT)の発展である。より強力なソフトウェア及びハードウェアの結果と
して、OCT-Aは、形態学的解析だけでなく、3次元網膜及び脈絡膜灌流解析も容易に
する。この場合、コンピュータプログラムは、有利に、OCT血管造影データに基づいて
ターゲットエリアにおける血管の位置及び/又は寸法を決定するために設計される。OC
T-Aによるターゲットエリア内の血管の表現及び/又は測定は、アイテムを案内及び配
置する場合、並びにターゲットエリア又はターゲットエリア内のターゲット位置を決定す
る場合に、ターゲットエリアに対するアイテムのためのガイド変数を決定するコンピュー
タプログラムの計算ルーチンによって、血管の位置及び/又は寸法が考慮されるという点
で有利である。これは、介入中の比較的大きな血管への損傷の結果としての合併症を回避
する。
【0039】
特に、ここでは、コンピュータプログラムが、アイテムのためのターゲットエリアにお
ける空間ターゲット位置を決定するための位置計算ルーチンを有し、この位置計算ルーチ
ンが、空間ターゲット位置にアイテムを配置する場合に穿刺される血管の数を最小化する
よう設計される場合に有利である。この手段はまた、手術において比較的大きな血管又は
必要以上に多数の血管を損傷する可能性を最小にする。
【0040】
本発明の有利な実施形態は、対象領域ボリュームの3-D再構成におけるアイテムのセ
クションの相対位置、及び/又は手術前に決定されるデータ、及び/又はターゲットエリ
アに関して決定されるべきガイド変数、及び/又はこのガイド変数から導出される変数を
視覚化するためのデバイスを含む。結果として、外科医は、対象領域ボリュームの3-D
再構成内のアイテム、例えばインプラント又は手術器具の相対位置を恒久的に監視するこ
とができる。手術前に決定されるデータは、例えば、手術前に決定されるターゲットエリ
ア又は手術の前に計画される更なる情報を外科医に表示するために、同様に視覚化するこ
とができる。アイテムを変位させるための制御信号等の確認されたガイド変数、及び放出
されるボリューム又は除去される物質の量も、外科医のために視覚化することができる。
これは、ガイド変数から導出される変数、例えば、放出されるべき量に対するターゲット
値の形態での以前に決定されたガイド変数から決定される再調整されるべきボリュームに
も適用される。コンピュータプログラムは、ターゲットエリアに関して決定されるガイド
変数及び/又はそれから導出される変数に基づいて、外科医のための音響的、光学的、又
は触覚的な指示信号を生成することができる。
【0041】
本発明の有利な展開は、コンピュータプログラムが、対象領域ボリュームの補正された
3-D再構成を決定するための付影ルーチンを含むことを提供し、前記付影ルーチンは、
アイテム(24、24’)によって付影される領域を認識し、これらの領域に関して対象
領域ボリュームの3-D再構成のための補償ルールを指定する。結果として、個々の領域
における細部の可視性を低下させる付影をせずに、対象領域ボリュームの補正された3-
D再構成を決定することが可能である。これは、対象領域ボリュームの改善された3-D
印象の結果として外科医のための配置のより良好な管理可能性と、決定されるべきターゲ
ット位置及び/又はターゲットエリアのデータのより高い精度とを保証する。これはまた
、データ内の重要な領域が影によって覆われないため、手術中の合併症のリスクを低減す
る。
【0042】
この場合、アイテムによって付影される領域を認識するため及び/又は3-D再構成の
ための補償ルールを指定するための付影ルーチンは、欧州特許出願公開第3005937
A1号明細書に説明されているように、異なる記録時間からのOCTデータを用いてもよ
い。その代替として、付影された領域を認識するための及び/又は補償ルールを指定する
ための付影ルーチンは、他のモダリティからのデータ、例えば、光学データ、MRIデー
タ、超音波画像、又はCTデータを用いてもよい。一例として、陰影は、OCTデータよ
りもこれらのデータにおいてより容易に認識可能であってもよいか、又はこれらのデータ
は、陰影がない場合さえあってもよい。また、手術前に決定されるデータ92を、この目
的のために用いてもよい。代替として、陰影の認識及び置換のための付影ルーチンはまた
、現在計算されている3-D再構成94及び/又は現在記録されているOCTデータを考
慮に入れてもよい。
【0043】
付影された領域を認識するため、例えば、取得されたOCTデータのグレースケール値
を解析し、これらを周囲の又は異なる時間におけるグレースケール値と比較することが可
能である。閾値を定義することによって、閾値未満のグレースケール値を有する点を影で
あると識別することが可能である。影を認識するため、画像内のエッジのプロファイルを
考慮することも可能である。長い直線のエッジは、通常、身体の組織には生じないため、
この場合の長い直線のエッジは、人工アイテムの影を示す。代替として、光源及びアイテ
ムの位置が手術中に既知である場合、レイトレーシングによって影の位置を計算すること
も可能である。
【0044】
代替として、付影ルーチンは、要素の陰影から離間した位置で同時に取得された付影領
域に関するデータを用いて、対象領域ボリュームの3-D再構成においてアイテムによっ
て付影された領域を置き換えることができる。代替として、付影ルーチンは、例えば、そ
の全てを本明細書中に引用し、その開示を本発明の説明に組み込む文献「Liu,Yao
jie及びShu,Chang,A comparison of image inp
ainting techniques,Proceedings of SPIE-T
he International Society for Optical Eng
ineering,2015」に説明されているようなインペインティング方法によって
、アイテムにより付影される領域をコンピュータプログラムによって生成されるデータと
置き換えることができる。これらの手段は、付影領域内の情報を可能な限り現実的に表す
ことができ、患者の安全に寄与するという点で有利である。更に、これらは、厄介な要素
の陰影なしに3-D再構成の表現を容易にし、この表現は、実装が容易であり、ほとんど
計算時間を必要としない。
【0045】
本発明の有利な発展形態は、コンピュータプログラムが、対象領域ボリュームの3-D
再構成においてアイテムのための空間ターゲット位置を決定するよう設計されることを提
供する。好ましくは、アイテムのための空間ターゲット位置は、ここでは対象領域ボリュ
ーム内のターゲットエリアにおいて決定される。この手段は、外科的方法の自動化、及び
アイテムを案内する場合のより高い精度に寄与する。
【0046】
コンピュータプログラムは、空間ターゲット位置からのアイテムのセクションの空間的
オフセットに関するオフセット情報を決定するよう設計されることが有利である。オフセ
ット情報に基づいて、コンピュータプログラムは、この手段が外科的方法の自動化及びア
イテム誘導の精度も支援するように、アイテムを案内するための制御信号を自動的に生成
することが可能である。
【0047】
本発明の有利な実施形態は、コンピュータプログラムが、撮像方法を用いて対象領域ボ
リュームを検査することによって、特に、OCTデバイスのOCT走査ビームによって対
象領域ボリュームを走査することによって取得されるか、及び/又は手術前に決定される
データであるか、及び/又は対象領域ボリューム内のアイテムのセクションの位置を決定
するためのセンサ信号に関するデータであるデータから、対象領域ボリュームの3-D再
構成を決定するよう設計されることを提供する。この場合、当業者は、対象領域ボリュー
ムの3D再構成を計算するために、例えば、刊行物「Justin A.Eichel,
Kostadinka K.Bizheva,David A.Clausi,Paul
W.Fieguth,Automated 3D Reconstruction a
nd Segmentation from Optical Coherence T
omography,Proceedings of the European Co
nference on Computer Vision (ECCV),2010,
p.44-57」に説明されているような従来の方法、又は、例えば、刊行物「Hugh
Durrant-Whyte,Tim Bailey,Simultaneous L
ocalization and Mapping(SLAM):Part I The
Essential Algorithms,Robotics and Autom
ation Magazine,2006」に説明されているような同時位置確認及びマ
ッピング方法(SLAM)を用いることができる。前述の両刊行物の全てを本明細書中に
引用し、その開示を本発明の説明に組み込む。この手段は、計算された3-D再構成を可
能な限り高い精度で実行することができ、そのため、結果が可能な限り現実的であるとい
う点で有利である。これは、患者の安全性を高める。
【0048】
また、コンピュータプログラムが、位置合わせ方法によって互いに関するデータの相対
的な空間位置を決定するよう設計され、前記データは、以下の群:対象領域ボリュームを
走査することによってOCTデバイスによって取得される走査情報、対象領域ボリューム
、更なる撮像方法からのデータ、特に、光学画像表現、MRIデータ、CTデータ、超音
波画像、内視鏡画像、アイテムのセクションの位置、手術前に決定されるデータ、位置セ
ンサ信号からのデータを備える場合にも有利である。異なる種類のデータを用いることに
よって、対象領域ボリューム内のターゲットエリアの異なる態様を考慮に入れること及び
/又は表すことが可能である。その上、異なるモダリティからのデータにおける冗長情報
の使用は、位置合わせ方法の結果のより高い精度につながる。
【0049】
位置合わせ方法については、当業者に公知の方法、特に、例えば、刊行物「F.Oli
veira,J.Tavares Medical Image Registrati
on:a Review,Computer Methods in Biomecha
nics and Biomedical Engineering,2014」に見ら
れるような医療データを位置合わせするための方法を用いることができ、その全てを本明
細書中に引用し、その開示を本発明の説明に組み込む。
【0050】
コンピュータプログラムがデータの連続的な位置合わせのために設計される場合、更に
有利である。結果として、位置合わせの結果は常に現在存在する状態に一致し、患者の安
全性を高める。
【0051】
好ましくは、OCTデータの生成と、3-D再構成の計算と、様々なデータの位置合わ
せとは、この場合、外科医が手術の過程を常に確認できるように、リアルタイムで外科医
のために現在の対象領域ボリューム内のアイテムの視覚化を容易にするために、リアルタ
イムで実行される。この手段はまた、患者の安全性を改善する。
【0052】
本方法の有利な発展形態において、OCTデバイスは、OCT走査ビームによる対象領
域ボリュームの引き続く連続走査のために設計され、及び/又は、OCTデバイスは、O
CT走査ビームによるアイテムのセクションを含む対象領域ボリュームの領域の引き続く
連続走査のために設計される。コンピュータプログラムが、対象領域ボリュームの3-D
再構成の引き続く連続決定のため、及び/又は対象領域ボリュームにおけるアイテムのセ
クションの相対位置の引き続く連続決定のために設計される場合も有利である。これは、
OCT走査情報と、これらのデータから生成される対象領域ボリュームの3-D再構成と
、対象領域におけるアイテムの相対位置とが、結果として現在存在する条件に常に適合さ
れ、システムの管理可能性及び患者の安全性を高めるためである。特に、ここでは、OC
T走査情報と、3-D再構成の決定と、対象領域ボリューム内のアイテムのセクションの
相対位置とがリアルタイムで実施される場合に有利である。
【0053】
コンピュータプログラムが、特定の走査パターンを用いて対象領域ボリューム及び/若
しくはアイテムのセクションを走査するための、並びに/又はアイテムのセクションの位
置と比較してより低い速度で対象領域ボリュームを走査する走査速度を調整するための走
査ルーチンを含む場合、有利である。これにより、急速に変化する領域、特にアイテムが
、通常は緩慢にしか変化しない領域よりも高い速度で走査されることが保証される。この
手段は、計算時間を節約し、アイテムの決定された相対位置のより高い精度に繋がる。
【0054】
コンピュータユニットに接続されるメモリから手術前に決定されるデータの、手術中の
提供は有利である。この場合、手術前に決定されるデータは、対象領域、特に対象領域の
セクションの更なる領域の画像、ターゲットエリアの画像又はデータ、距離、ターゲット
位置、アイテムの幾何学的データ、特にその寸法又は例えば反射特性等の材料特性、セン
サ信号、バイオメトリック患者データ、特に瞳孔サイズ又は眼の間の距離等のバイオメト
リックデータを備える群に由来していてもよい。コンピュータプログラムは、手術前に決
定されるデータにおけるアイテムのためのターゲットエリア及び/又はターゲット位置を
決定するためのルーチンと、手術前に決定されるデータを対象領域ボリュームの3-D再
構成と位置を合わせる位置合わせルーチンと、手術前に決定されるデータにおけるターゲ
ットエリア及び/又はターゲット位置を対象領域ボリュームの3-D再構成に転送するた
めの転送ルーチンとを含む。結果として、手術前に決定されるデータからのターゲットエ
リア及び/又はターゲット位置等の情報項目を、存在する3-D再構成に自動的に転送す
ることが可能である。これは、手術方法の包括的な自動化、並びに術前データに基づく3
-D再構成におけるターゲットエリア及び/又はターゲット位置の正確な位置確認を容易
にする。
【0055】
その上、コンピュータプログラムが、組織構造及び/又は組織層をセグメント化するた
めの方法の適用によって、手術前に決定されるデータにおいて、又は対象領域ボリューム
の3-D再構成において、ターゲットエリア及び/又は空間ターゲット位置を決定するよ
う設計される場合、有利である。この手段は、外科的方法のより高度な自動化に寄与する
。
【0056】
コンピュータプログラムが、基準に基づいて、3-D再構成を計算するための方法及び
/又は対象領域ボリューム内のアイテムのセクションの相対位置を計算するための方法を
適合させるよう設計される場合、有利である。この場合、方法が手術中に連続的に適合さ
れる場合に更に有利である。好ましくは、基準は、データの、及び/又は対象領域の、及
び/又はアイテムの、及び/又は配置の、及び/又は位置合わせ方法の、及び/又は現在
計算されている3-D再構成の、及び/又はアイテムのセクションの現在計算されている
相対位置の特性を、この適合中に考慮に入れる。特に、この場合の基準は、データの利用
可能性、及び/又はデータの測定精度、及び/又はデータの量、及び/又はデータの種類
、及び/又はデータの異なるモダリティの種類若しくは量、及び/又は対象領域内の組織
又は材料の種類若しくは特性の形態での対象領域の特性、及び/又はその寸法若しくは材
料特性の形態でのアイテムの特性、及び/又は個々のコンポーネント若しくは照明設定の
設定又は特性の形態での配置のデバイスの特性、及び/又は現在のデータに対するその適
合性若しくは現在計算されている3-D再構成のその速度若しくは精度或いは品質及び/
又はアイテムのセクションの現在計算されている相対位置の品質の形態での方法の特性を
考慮する。これらの手段は、対象領域ボリュームの3-D再構成の及び/又はアイテムの
より高い精度、及び/又は対象領域ボリュームの3-D再構成におけるアイテムのセクシ
ョンの相対位置のより高い精度に繋がる。これは、方法のより包括的な自動化を容易にす
る。
【0057】
以下に、本発明の有利な例示的実施形態を略図に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】外科用顕微鏡を有し、対象領域を走査するためのOCTデバイスを有し、注入針の形態での手術器具の形態でのアイテムを有する第1の配置を示す。
【
図4】手術前に決定されるデータに基づく、対象領域ボリュームの3-D再構成へのターゲットエリアの転写を示す。
【
図5A】幹細胞注入の間の不均質性を有する対象領域ボリュームのOCT-Bスキャンに関する画像データを示す。
【
図5B】幹細胞注入の間の不均質性を有する対象領域ボリュームのOCT-Bスキャンに関する画像データを示す。
【
図6】外科用顕微鏡を有し、対象領域を走査するためのOCTデバイスを有し、手術器具の形態でのアイテムを有し、画像提供デバイスを有する第2の配置を示す。
【
図7】外科用顕微鏡を有し、対象領域を走査するためのOCTデバイスを有し、手術器具の形態でのアイテムを有し、ロボティクスユニットを有する第3の配置を示す。
【
図8】外科用顕微鏡を有し、対象領域を走査するためのOCTデバイスを有し、手術器具の形態でのアイテムを有し、画像提供デバイスを有し、ロボティクスユニットを有する第4の配置を示す。
【
図9】網膜ピンの形態での更なるアイテムのためのアプリケータの形態でのアイテムを示す。
【
図10A】網膜のためのインプラントの形態でのアイテムの前面を示す。
【
図10B】網膜のためのインプラントの形態でのアイテムの背面を示す。
【
図10C】3-D電極を有するインプラントの形態でのアイテムの拡大部分図を示す。
【
図11】網膜ピンのためのアプリケータを有し、インプラントを有する、カメラによって取り込まれる患者の眼の眼内部における手術領域の第1の画像を示す。
【
図12】網膜ピンのためのアプリケータを有し、インプラントを有する、カメラによって取り込まれる患者の眼の眼内部における手術領域の更なる画像を示す。
【
図13】付影領域を生成する硝子体切除のための硝子体切除装置を有する、カメラによって取り込まれる患者の眼の眼内部における手術領域の画像を示す。
【
図14】血管の視覚化のためのOCT血管造影データに基づく患者の眼の眼底の画像を示す。
【
図15】インプラントを有し、患者の眼の網膜上の損傷した血管から流出する血液を有する、カメラによって取り込まれる患者の眼の眼内部における手術領域の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1に示す配置10は、対象領域18を拡大して視覚化するための外科用顕微鏡16を
含む。一例として、外科用顕微鏡16は、Carl Zeiss Meditec AG
によるOPMI(登録商標)Lumera 660 Rescan外科用顕微鏡とするこ
とができる。配置10は、例えば、A.Ehnes著、「Entwicklung ei
nes Schichtsegmentierungsalgorithmus zur
automatischen Analyse von indiceruelen
Netzhautschichten in optischen Kohaerenz
tomographie-B-Scans」、Dissertation、Univer
sity of Giessen(2013)の第3章、45~82頁において説明され
ているように、患者の眼14においてA-、B-、及びC-スキャンにより対象領域ボリ
ューム22を走査するためのOCT走査ビーム21を提供するOCTデバイス20を備え
ている。
【0060】
配置10は、対象領域18内に配置可能であり、マーカー78に基づいてOCTデバイ
ス20によって対象領域ボリューム22内に位置確認可能であるセクション84を有する
手術器具の形態でのアイテム24を備えている。
【0061】
外科用顕微鏡16は、対象領域18内の顕微鏡主対物レンズ42を通して患者の眼14
の検査を容易にする立体観察ビーム経路38、40を備えている。外科用顕微鏡16は、
更に、ズームシステム44及び接眼レンズ46を備える。それは、接眼レンズ46におい
て患者の眼14を立体的に視覚化する目的のため、顕微鏡主対物レンズ42を通して対象
領域18を照明光により照明する照明装置48を備えている。
【0062】
OCTデバイス20は、調整可能な走査ミラー50、52並びにビームスプリッタ54
及び56によって、顕微鏡主対物レンズ42を通って対象領域ボリューム22内の対象領
域18に案内される短いコヒーレント光を有するOCT走査ビーム21を提供する。対象
領域ボリューム22内で散乱するOCT走査ビーム21の光は、少なくとも部分的に同じ
光路を介してOCTデバイス20に戻る。次いで、走査光の光路は、OCTデバイス20
において基準光路と比較される。これを用いて、対象領域18内の散乱中心の正確な位置
、特に光学的有効エリアの位置を、OCT走査ビーム21内の短コヒーレント光のコヒー
レンス長Icに対応する精度で検出することが可能である。
【0063】
外科用顕微鏡16には、OCT走査ビーム21を制御し、対象領域18においてOCT
走査ビーム21によって走査される対象領域ボリューム22の位置を設定するためのデバ
イス58が存在する。デバイス58は、コンピュータユニット60を含んでいる。コンピ
ュータユニット60は、ターゲット値を入力するための手段として入力インターフェース
61を有し、OCT走査ビーム21を制御し、且つ、OCT走査ビーム21によって走査
される対象領域ボリューム22の空間範囲及び位置、即ち相対位置及び配向を調整するた
めのコンピュータプログラムを含む。OCT走査ビーム21を制御するためのデバイス5
8は、この場合、OCT走査ビーム21によって、対象領域ボリューム22及びアイテム
24のセクション84を含む対象領域ボリューム22の領域の連続的な連続走査のために
具現化される。この場合、OCT走査ビーム21は、外科医が迅速な視覚と手の協調を有
することを可能にするために、10ms~20msのフレームレートを有する。
【0064】
OCT走査ビーム21を制御するためのデバイス58は、ユーザインターフェースを表
示するためのディスプレイの形態で、コンピューティングユニット60に接続されるディ
スプレイユニット28を含み、その上で、OCT走査ビーム21によって患者の眼14上
で走査されるアイテム24のセクション84を有する対象領域ボリューム22を、画像6
4に基づいて視覚化することができる。その上、配置10において、OCTデバイス20
のためのOCT走査情報は、データを重ね合わせるためのデバイス34によって、外科用
顕微鏡16の接眼レンズ46において外科医のために視覚化されてもよい。
【0065】
OCTデバイス20に接続されるコンピュータユニット60は、加えて、信号発生器3
0によって指示信号を生成する。幹細胞注入の場合、注入位置に到達すると、音響信号と
して生成される指示信号が信号発生器30によって生成される。その上、ガイド変数から
導出される、まだ注入されていない幹細胞の量の形態での変数は、視覚的指示信号に基づ
いて生成される。
【0066】
更に、コンピューティングユニット60のプログラムメモリ内のコンピュータプログラ
ムは、OCT走査ビーム21のための基準長さと、患者の眼14で対象領域内の対象領域
ボリューム22を走査するための調整可能走査ミラー50、52の設定とを指定する制御
ルーチンを含む。OCT走査ビーム21によって走査される対象領域ボリューム22を設
定するためのデバイス58には、オペレータによって作動可能な操作ユニットの形態での
制御部材62が存在する。制御ルーチンは、その上、特定の走査パターンを用いて対象領
域ボリューム22及びアイテム24のセクション84を走査するための走査ルーチンを含
んでいる。プロセスにおいて、対象領域ボリューム22は、データ量を可能な限り小さく
保ち、従って計算時間を可能な限り短く保つために、アイテム24のセクション84より
も低いレートで走査される。
【0067】
コンピュータユニット60のプログラムメモリ内のコンピュータプログラムは、その上
、対象領域ボリューム22を走査することによってOCTデバイス20によって取得され
る走査情報を処理することによって、対象領域ボリューム22の3-D再構成94と、対
象領域ボリューム22内のアイテム24のセクション84の相対位置とを決定する役割を
果たす。この場合、OCT走査情報、3-D再構成94、及び対象領域ボリューム22内
のアイテム24のセクション84の相対位置は、リアルタイムで決定される。その上、コ
ンピュータプログラムは、対象領域ボリューム22の3-D再構成94におけるターゲッ
トエリア90を決定するための計算ルーチンを含む。アイテム24のガイド変数は、ター
ゲットエリア90に関連して決定される。ここで、この場合、ガイド変数は、コンピュー
タプログラムによって決定され、対象領域18内のアイテム24を案内する役割を果たす
変数であると理解される。
【0068】
対象領域ボリューム22内の領域の付影は、基準に基づいて、対象領域ボリューム22
のターゲットエリア90内の空間ターゲット位置91へのアイテム24の最適経路を計算
する経路計画ルーチンを含むコンピュータプログラムによって回避される。この場合、経
路計画ルーチンは、OCTデータ内の付影の存在を定量化する値の形態で付影の大きさを
決定する。
【0069】
光源位置が既知である場合、OCTデータ内のアイテム24によって付影される領域は
、アイテム24のある特定の経路に対し、アイテム24の計算された相対位置に基づいて
、事前に計算される。この場合の付影の大きさは、付影の規模を表している。付影の大き
さに基づいて、経路計画ルーチンは、次いで、付影の大きさの閾値を超えないターゲット
位置91へのアイテム24の最短経路を決定する。代替として、経路計画ルーチンは、経
路長及び付影の大きさの両方を可能な限り最大の程度に最小化する経路を決定するために
、経路長及び付影の重み付けされた大きさの合計の基準を最小化する。コンピュータプロ
グラムは、ディスプレイユニット28を用いて外科医のためにアイテム24の最適経路を
視覚化するための視覚化ルーチンを含む。この場合、アイテム24のターゲットエリア9
0への経路を計画することは、ガイド変数を表す。
【0070】
コンピュータプログラムは、対象領域ボリューム22内の領域の付影を防止するための
付影ルーチンを含んでいてもよく、前記付影ルーチンは、アイテム24によって付影され
る領域を識別し、これらの領域に関する対象領域ボリューム22の3-D再構成94のた
めの補償ルールを指定することに注視されたい。この場合、補償ルールは、付影された領
域の置換を提供する。
【0071】
他の記録時間における同じ領域のOCTデータ、特に付影された領域の付影直前のOC
Tデータは、3-D再構成94において付影された領域を識別するため、及びそれらを置
き換えるための両方に用いることができる。
【0072】
幹細胞を網膜15に注入する場合、注入針によって放出されるべき幹細胞の形態での媒
体88の量のボリュームのためのターゲット値が、ガイド変数として決定される。
【0073】
図2は、手術器具の形態でのアイテム24の拡大図である。
【0074】
手術器具は、患者の眼14の網膜15に幹細胞を注入するための注入針である。注入針
は、有効部分として機能するセクション84と、外科医によって、又はその代替としてマ
イクロロボット70によっても保持することができるハンドルセクション76とを有する
。注入針は、毛細管86を含み、ターゲットエリア90に媒体88を放出するための開口
82を有する先端部80を有する。注入針においてOCT走査ビーム21によって位置確
認可能なマーカー78が存在している。
【0075】
手術器具はまた、患者の眼14の網膜15上にインプラントを配置するための網膜ピン
のためのアプリケータの形態であってもよいか、又は患者の眼14から硝子体液を除去す
るための硝子体切除装置としてであってもよいことに注視されたい。その上、原則として
、配置10は、患者の眼14に対する他の身体部分への手術にも用いることができること
に注視されたい。
【0076】
図3は、血管108並びに光受容体112及びドルーゼン114を備える、患者の眼1
4の網膜15の構造を示している。
【0077】
図4は、手術前に決定されるデータ92に基づくターゲットエリア90’の、コンピュ
ータユニット60における対象領域ボリューム22の3-D再構成94への転写を示して
いる。対象領域ボリューム22の3-D再構成94においてターゲットエリア90及びタ
ーゲット位置91を決定するため、手術前に決定される対象領域18のデータ92は、前
記3-D再構成における計算によって、ターゲットエリア90’におけるターゲット位置
91’と組み合わされる。ここで、ターゲット位置91’は、アイテム24がある特定の
機能を実行すべき対象領域ボリューム22に関連する手術前に決定されるデータ92内の
位置を示している。幹細胞を注入する場合、手術前に決定されるデータ92内のターゲッ
トエリア90’内の意図する位置91’は、網膜15内の幹細胞注入のための想定される
位置に対応する。
【0078】
組織構造及び組織層をセグメント化するための方法は、手術前に決定されるデータ92
内のターゲット位置91’及び/又はターゲットエリア90’を決定する目的のために適
用される。代替として、ターゲット位置91’及び/又はターゲットエリア90’はまた
、手術前に決定されるデータ92において外科医によってマークすることもできる。
【0079】
ターゲット位置91’及び/又はターゲットエリア90’は、コンピュータプログラム
によって、手術前に決定される対象領域ボリューム22のデータ92から、対象領域ボリ
ューム22を走査することによって得られる走査情報から、及び任意に更なるデータから
決定される対象領域ボリューム22の3-D再構成94に転写される。この場合、位置合
わせ方法が転写に役立ち、前記位置合わせ方法は、手術前に決定されるデータ92内のタ
ーゲットエリア90’内のターゲット位置91’を、対象領域ボリューム22のターゲッ
トエリア90内のターゲット位置91にマッピングする。代替として、外科医はまた、対
象領域ボリューム22の3-D再構成94においてターゲット位置91及び/又はターゲ
ットエリア90を直接マークすることもできる。
【0080】
次いで、ガイド変数は、手術前に決定されるデータ92内のターゲットエリア90’の
、又は対象領域ボリューム22の3-D再構成94のデータを処理することによって決定
される。幹細胞を注入する場合、ガイド変数は、まだ放出されている幹細胞の量の形態で
決定される。
【0081】
この点において、
図5A及び
図5Bはそれぞれ、ターゲットエリア90内のターゲット
位置91において放出される幹細胞を有する対象領域ボリューム22のOCT-Bスキャ
ンを示しており、OCT-Bスキャンは注入不均一性を有している。
【0082】
注入される幹細胞の量を監視及び制御するために、対象領域ボリューム22のターゲッ
トエリア90内のターゲット位置91において放出される幹細胞のボリューム量の実際の
値は、幹細胞の放出前及び放出中に対象領域ボリューム22を走査することによってOC
Tデバイス20によって取得されるターゲットエリア90のOCT走査情報を比較するこ
とによって決定される。この場合、注入される幹細胞の量は、画像処理によって決定され
る。ボリューム変化を決定するために、例えば、異なる時間に取得されるOCT走査情報
項目の差及び/又は異なる時間に決定される3-D再構成94の差として現れる差分画像
を評価することが可能である。注入された量の幹細胞がOCT走査放射に対して可視であ
る粒子を含む場合、差分画像を用いて、画像処理によって、対象領域ボリューム22内の
漏出位置を決定することもできる。存在する可能性のある漏出は、これらの手段によって
考慮され、特定量の幹細胞が実際に注入位置に注入されることが保証される。必要に応じ
て、注入位置、即ち注入針のターゲット位置は、幹細胞注入中に調整されてもよい。
【0083】
外科医によって指定される注入されるべき幹細胞の量のターゲット値に基づいて、まだ
放出されていない幹細胞の量の形態でのガイド変数は、放出される幹細胞の量のターゲッ
ト値と決定された実際値との間の差から決定される。幹細胞の量を再調整するため、コン
ピュータプログラムは、指定された量の幹細胞がターゲットエリア90内のターゲット位
置91において取得されるまで、外科医のための指示信号及び/又は注入針を案内するマ
イクロロボット70の制御ユニット72に送信される注入針のための制御信号を生成する
。
【0084】
この場合、指示信号は、信号発生器30によって外科医のために生成され、前記指示信
号は、まだ放出されていない幹細胞の量又は既に放出された幹細胞の量を指定する。指示
信号は、ディスプレイユニット28のディスプレイ上にバーの形態で表される。信号に基
づいて、外科医は、自身で幹細胞の注入を実行するか、又はマイクロロボット70による
注入処置を監視することができる。
【0085】
図6は、外科用顕微鏡16を有し、対象領域18を走査するためのOCTデバイス20
を有し、手術器具の形態でのアイテム24を有し、画像提供デバイス65を有する第2の
配置10’を示している。
図6に示す第2の配置10’のコンポーネント及び構成要素が
、
図1に見られる第1の配置10のコンポーネント及び構成要素に対応する範囲内で、こ
れらは、参照符号と同じ番号で識別されている。
【0086】
画像提供デバイス65は、患者の眼14の画像をリアルタイムで取り込むことができる
画像取込デバイス66を含む。これに加えて又は代替として、画像提供デバイス65は、
対象領域に関する手術前に決定されたデータ92が提供されるメモリ63を含む。患者の
眼14の画像及び手術前に決定されたデータ92は、プロセスにおいてより高い精度を得
るように、3-D再構成94を計算するために、OCTデバイス20のOCT走査ビーム
21によって対象領域ボリューム22を走査することによって得られたデータに加えて用
いられる。原則として、バイオメトリック患者データ、例えば、眼の長さ、眼の直径、角
膜横径(white-to-white)、角膜厚、前房深度、又は前房隅角が、対象領
域ボリューム22の3-D再構成94を作成する場合に、用いられてもよいことに注視さ
れたい。
【0087】
位置合わせ方法は、互いに対して異なるデータの相対的な空間位置を決定するため、及
び、異なるデータソースを組み合わせるために用いられ、前記位置合わせ方法は、対象領
域ボリューム22を走査することによってOCTデバイス20によって取得された走査情
報と、手術前に決定されたデータ92と、アイテム24、24’のためのターゲット位置
91と、存在する場合、対象領域ボリューム22の更なるデータとを処理する。これは、
対象領域ボリューム22の各視覚化において取得した全てのデータの同時使用を可能にす
る。
【0088】
図7は、外科用顕微鏡16を有し、対象領域18を走査するためのOCTデバイス20
を有し、手術器具の形態でのアイテム24を有し、ロボティクスユニット68を有する第
3の配置10’を示している。
図8に示す第3の配置10’’のコンポーネント及び構成
要素が、
図1に見られる第1の配置10のコンポーネント及び構成要素、又は
図6に見ら
れる第2の配置10’のコンポーネント及び構成要素に対応する範囲内で、これらは、参
照符号と同じ番号で識別されている。
【0089】
ロボティクスユニット68は、制御ユニット72を有するマイクロロボット70を備え
ている。一例として、マイクロロボット70は、Preceyes B.V.による眼科
手術システムR1.1において提供されるような、モータドライブを有する手術器具のた
めのマニピュレータの形態とすることができる。
【0090】
可能な限り包括的な操作の自動化を確実にするために、注入針の形態での手術器具とし
て具現化されるアイテム24の動きは、この場合、マイクロロボット70によって設定さ
れる。ロボティクスユニット68のマイクロロボット70は、この場合、コンピュータユ
ニット60によって処理される情報項目に基づいて制御される。
【0091】
ロボティクスユニット68内のマイクロロボット70を調整するためにコンピュータユ
ニット60によって生成される制御信号は、第3の配置10’’’において、注入針の形
態での手術器具として具現化されるアイテム24のためのガイド変数である。
【0092】
注入針の形態での手術器具として具現化されるアイテム24の代わりに、マイクロロボ
ットは、原則として、対象領域ボリューム22内のターゲットエリア90にアイテムを案
内するために、アプリケータとして、又は網膜ピンとして、又は硝子体切除装置として具
現化される手術器具の形態でのアイテムを移動させることもできることに注視されたい。
空間ターゲット位置91からのアイテム24のセクション84の空間オフセットを指定す
るオフセット情報も、この目的を達成するために、対象領域ボリューム22内で決定され
るターゲットエリア90及びアイテム24の決定された相対位置に基づいて、コンピュー
タプログラムによって計算することができる。次いで、アイテム24を変位させるための
制御信号がオフセット情報から生成され、マイクロロボット70の制御ユニット72に送
信される。
【0093】
図8は、外科用顕微鏡16を有し、対象領域18を走査するためのOCTデバイス20
を有し、手術器具の形態でのアイテム24を有し、ロボティクスユニット68を有し、画
像提供デバイス65を有する第4の配置10’’’を示している。
図9に示す第4の配置
10’’’のコンポーネント及び構成要素が、
図1、
図6、及び
図7に見られ、これらの
図に基づいて説明される配置10、10’、10’’のコンポーネント及び構成要素に対
応する範囲内で、これらは、参照符号と同じ番号で識別されている。この場合、画像取込
デバイス66を有する画像提供デバイス65は、ひいては、OCTデバイス20によって
得られる走査情報のみに基づく3-D再構成よりも高い精度で患者の眼14の3-D再構
成94の計算を容易にする。
【0094】
硝子体切除装置の形態でもある手術器具による硝子体切除の間、網膜15のそれぞれの
点から除去される硝子体液の量も、上で説明した配置におけるガイド変数として指定され
てもよいことに注視されたい。
【0095】
その上、手術器具がまた、硝子体切除装置の形態である場合、患者の眼14から除去さ
れる硝子体液の量も、上で説明した配置10、10’、10’’、10’’’において表
示信号として示すことができることに注視されたい。
【0096】
図9は、インプラントの形態での更なるアイテムを網膜15に固定する役割を果たす網
膜ピンの形態での更なるアイテム24’を配置するためのアプリケータの形態での手術器
具として具現化されるアイテム24を示している。
【0097】
図10A及び
図10Bは、アイテム24としての患者の眼14の網膜15のためのイン
プラントを示しており、前記インプラントは、光起電アセンブリ及び画像取込アセンブリ
118を有する電源116を含む。この場合、
図10Aは、網膜から離間して面する側に
向けられる視線方向の場合のインプラントの斜視図である。
図10Bは、患者の眼14の
網膜に面する側の視線方向の場合のインプラントの斜視図である。
図10Cは、インプラ
ントの拡大部分図である。インプラントは、網膜15に入り込み、そこで神経路の神経回
路網と相互作用する3-D電極120を有している。
【0098】
上で説明した装置10、10’、10’’、10’’’において、患者の眼の網膜15
への網膜ピンの想定される取り付け位置のターゲット位置91、及び網膜15上のインプ
ラントの形態でのアイテム24の実際の位置は、患者の眼14にインプラントを取り付け
る目的のため、ディスプレイユニット28上に表示することができる。
【0099】
図11は、カメラによって取り込まれる患者の眼14の眼内部の手術領域の第1の画像
を示しており、前記画像は、網膜ピンのためのアプリケータの形態での第1のアイテム2
4を含み、網膜15上へのその配置の直前のインプラントの形態での更なるアイテム24
’を含む。
図12は、インプラントが網膜15上に配置された後の手術領域の対応する画
像を示している。インプラントが網膜に取り付けられた後、インプラントの座部は、例え
ば、インプラントがその意図された生理学的機能を果たすかどうかを外科医が検査するこ
とによって検証される。インプラントが患者の眼14の網膜15に取り付けられる場合、
インプラントを固定するための網膜ピンを取り付けるためのアプリケータの変位に対する
制御信号の形態でのガイド変数が、コンピュータプログラムによって生成され、外科医又
はマイクロロボット70の制御ユニット72に送信される。
【0100】
図13は、血管の視覚化のためのOCT血管造影データに基づく患者の眼14の眼底の
画像106を示している。上で説明した配置10、10’、10’’、10’’’におい
て、対応するOCT血管造影データは、対象領域ボリューム22を走査することによって
OCTデバイス20によって取得される走査情報から生成することができ、ディスプレイ
ユニット28上に表示することができる。画像106は、対象領域18における血管10
8の経路を示している。血管108の位置及び/又は直径若しくは長さ等の寸法は、コン
ピュータプログラムによって、OCT血管造影データに基づく画像106に基づいて、例
えば画像処理によって決定される。この情報は、次いで、対象領域ボリューム22の3-
D再構成94においてターゲットエリア90内のアイテム24、24’のターゲット位置
91を決定する場合に考慮される。特に、ターゲットエリア90内のアイテム24、24
’のための空間ターゲット位置91を決定する場合に、穿刺される血管108の数が最小
化される。
【0101】
図14は、インプラントを有し、患者の眼14の網膜15上の損傷した血管108から
流出する血液を有する、カメラによって取り込まれる患者の眼14の眼内部の手術領域の
画像を示している。
【0102】
対象領域ボリューム22を走査することによってOCTデバイス20によって取得され
る走査情報からのOCT血管造影データは、眼科外科手術の場合に比較的大きな血管10
8を損傷する結果としての出血110の防止を可能にする。
【0103】
図15は、患者の眼14の眼内部の手術領域の、カメラによって取り込まれる画像であ
り、ここでは、硝子体切除のための硝子体切除装置の形態でのアイテム24が位置決めさ
れ、その結果として、患者の眼14の領域104が付影される。残存物のない正確な硝子
体切除は、改善された信号対雑音比を容易にするように、網膜インプラント手術の成功に
とって重要である。
【0104】
従って、硝子体切除装置による眼科外科手術の適用範囲内の硝子体切除に対して、ター
ゲットエリア90内の後者のターゲット位置91は、硝子体液が除去されるべき対象領域
ボリューム22の3-D再構成94内の場所として、上で説明した装置10、10’、1
0’’、10’’’内のディスプレイユニット28上に表示することができる。
【0105】
従って、上で説明した配置10、10’、10’’、10’’’のコンピュータユニッ
ト60におけるコンピュータプログラムの計算ルーチンは、除去される硝子体液の量が、
対象領域ボリューム22の3-D再構成94においてターゲットエリア90を処理するこ
とによってガイド変数として決定されるように、硝子体切除装置による硝子体切除のため
に設計されている。代替として、除去される硝子体液の量はまた、手術前に決定されたデ
ータ92を処理することによって、又は外科医によるターゲット値の入力によって決定す
ることもできる。この場合、
図15から明らかなように、硝子体液は、硝子体液のより正
確な識別を容易にし、従って、可能であれば残留物なくその除去を容易にするために、ト
リアムシノロンマーカーを注入することによって識別される。この場合、除去される硝子
体液は、網膜15上の各点について、その上に位置する除去される硝子体液の量を示す等
高線図に基づいて外科医に視覚化される。更に、硝子体切除の間、コンピュータプログラ
ムは、連続的に、硝子体液と対象領域18をすすぐための溶液(BSS)との間の境界を
外科医に示す。結果として、除去される硝子体液の量を、画像処理によって自動的に決定
することができ、ディスプレイユニットによって手術領域の視覚化において表示すること
ができる。
【0106】
注入針又は硝子体切除装置の形態での手術器具を変位させるための制御信号の形態での
更なるガイド変数は、幹細胞を注入する場合及び硝子体液を除去する場合の両方において
生成され、前記更なるガイド変数は、外科医又はマイクロロボット70の制御ユニット7
2に送信される。
【0107】
図15は更に、硝子体切除装置の形態でのアイテム24によって付影される対象領域ボ
リューム22内の領域104を示している。コンピュータプログラムは、対象領域ボリュ
ーム22内の領域の付影を防止する付影ルーチンを含む。それは、アイテム24によって
付影される領域104を識別し、これらの領域に対する対象領域ボリューム22の3-D
再構成94のための補償ルールを指定する。この場合、補償ルールは、付影された領域の
置換を提供する。他の記録時間における同じ領域のOCTデータ、特に付影された領域1
04の付影直前のOCTデータは、
図15に示す3-D再構成94において付影された領
域104を識別するため、及びそれらを置き換えるための両方に用いることができる。そ
の代替として、付影された領域を認識するための及び/又は補償ルールを指定するための
付影ルーチンは、現在の3-D再構成94及び/又は現在記録されているOCTデータ及
び/又は同じ領域に関する他のモダリティからのデータ、例えば、光学データ、MRIデ
ータ、超音波画像、又はCTデータを用いてもよい。また、手術前に決定されるデータ9
2を用いてもよい。代替として、付影された領域104は、3-D再構成94において検
出されてもよく、付影された領域104の外側の他の領域から取得されるデータによって
置き換えられてもよい。代替として、付影領域104は、データ又は3-D再構成94に
おいて検出されてもよく、例えばインペインティング方法によって、コンピュータプログ
ラムによって生成されるデータによって置き換えられてもよい。
【0108】
領域の付影は、基準に基づいて、対象領域ボリューム22のターゲットエリア90内の
空間ターゲット位置91へのアイテム24の最適経路を計算する経路計画ルーチンを含む
コンピュータプログラムによって回避することができる。この場合、経路計画ルーチンは
、OCTデータ内の陰影の存在を定量化する値の形態で陰影の大きさを決定する。光源位
置が既知である場合、OCTデータ内のアイテム24によって付影される領域104は、
アイテム24のある特定の経路に対し、アイテム24の計算された相対位置に基づいて、
事前に計算される。この場合の付影の大きさは、付影の規模を表している。付影の大きさ
に基づいて、経路計画ルーチンは、次いで、付影の大きさの閾値を超えないターゲット位
置91へのアイテム24の最短経路を決定する。代替として、経路計画ルーチンは、経路
長及び付影の大きさの両方を可能な限り最大の程度に最小化する経路を決定するために、
経路長及び付影の重み付けされた大きさの合計の基準を最小化する。コンピュータプログ
ラムは、ディスプレイユニット28を用いて外科医のためにアイテム24の最適経路を視
覚化するための視覚化ルーチンを含む。この場合、アイテム24のターゲットエリア90
への経路を計画することは、ガイド変数を表す。
【0109】
3-D再構成方法の入力データ及び位置合わせ方法の入力データの両方は、可能であれ
ば、手術中に、対象領域ボリューム22の3-D再構成94に対してより高い精度を得る
ために、提供されたデータの可用性及び測定精度に対して調整されることに注視されたい
。個々のデータ点の測定精度が低すぎる場合、これらはそれぞれの方法によって考慮され
ない。
【0110】
要約すれば、特に以下に留意されたい。本発明は、配置10、10’、10’’、10
’’’に関し、OCT走査ビーム21によって、対象領域18内に配置される対象領域ボ
リューム22を走査するためのOCTデバイス20を備え、対象領域18内に配置可能で
あり、OCTデバイス20によって前記対象領域ボリューム22において位置確認可能で
ある対象領域ボリューム22内のセクション84を有するアイテム24を備え、OCTデ
バイス20に接続され、且つ、対象領域ボリューム22を走査することによってOCTデ
バイス20によって取得されるOCT走査情報を処理することによって、対象領域ボリュ
ーム22の3-D再構成94を決定し、対象領域ボリューム22内のアイテム24のセク
ション84の相対位置を決定するためのコンピュータプログラムを含むコンピュータユニ
ット60を備え、コンピュータプログラムは、対象領域ボリューム22の3-D再構成9
4においてターゲットエリア90を決定するための計算ルーチンを有し、前記計算ルーチ
ンは、ターゲットエリア90に関してアイテム24のためのガイド変数を決定する。
【0111】
特に、本発明は、以下の条項において特定される以下の態様に関する。
1.
OCT走査ビーム(21)によって対象領域(18)内の対象領域ボリューム(22)
を走査するためのOCTデバイス(20)を備え、
対象領域ボリューム(22)内に配置可能であり、そこでOCTデバイス(20)によ
って位置確認可能であるセクション(84)を有するアイテム(24、24’)を備え、
OCTデバイス(20)に接続され、且つ、対象領域ボリューム(22)を走査するこ
とによってOCTデバイス(20)によって取得されるOCT走査情報を処理することに
よって、対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定し、対象領域ボリュ
ーム(22)内のアイテム(24、24’)のセクション(84)の相対位置を決定する
ためのコンピュータプログラムを含む、コンピュータユニット(60)を備える、配置(
10、10’、10’’、10’’’)であって、
コンピュータプログラムは、対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)にお
いてターゲットエリア(90)を決定するための計算ルーチンを有し、前記計算ルーチン
は、ターゲットエリア(90)に関してアイテム(24、24’)のためのガイド変数を
決定することを特徴とする。
2.条項1による配置(10、10’、10’’、10’’’)であって、
コンピュータプログラムは、撮像方法を用いて対象領域ボリューム(22)を検査する
ことによって、特に、OCTデバイス(20)のOCT走査ビーム(21)によって対象
領域ボリューム(22)を走査することによって取得されるか、及び/若しくは手術前に
決定されるデータ(92)であるか、及び/又は対象領域ボリューム(22)内のアイテ
ム(24、24’)のセクション(84)の位置を決定するためのセンサ信号に関するデ
ータであるデータから、対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定する
よう設計され、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、位置合わせ方法によって互いに関するデータの相対的な空
間位置を決定するよう設計され、前記データは、以下の群:対象領域ボリューム(22)
を走査することによってOCTデバイス(20)によって取得される走査情報、対象領域
ボリューム(22)、更なる撮像方法からのデータ、特に、光学画像表現、MRIデータ
、CTデータ、超音波画像、内視鏡画像、アイテム(24)のセクション(84)の位置
、手術前に決定されるデータ(92)、位置センサ信号からのデータを備え、
並びに/又は、
OCTデバイス(20)は、OCT走査ビーム(21)による対象領域ボリューム(2
2)の引き続く連続走査のために設計され、及び/若しくは、OCTデバイス(20)は
、OCT走査ビーム(21)によるアイテム(24、24’)のセクション(84)を含
む対象領域ボリューム(22)の領域の引き続く連続走査のために設計され、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)の引
き続く連続決定のため、及び/若しくは対象領域ボリューム(22)におけるアイテム(
24、24’)のセクション(84)の相対位置の引き続く連続決定のために設計され、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)にお
いてアイテム(24、24’)のための空間ターゲット位置(91)を決定するよう設計
され、
並びに/又は、
コンピュータユニット(60)は、手術前に決定されるデータ(92)の手術中の提供
のためのメモリ(63)に接続され、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、組織構造及び/若しくは組織層をセグメント化するための
方法の適用によって、手術前に決定されるデータ(92)におけるターゲットエリア(9
0’)及び/若しくは空間ターゲット位置(91’)、並びに/若しくは、対象領域ボリ
ューム(22)の3-D再構成(94)におけるターゲットエリア(90)及び/若しく
は空間ターゲット位置(91)を決定するよう設計され、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、アイテム(24、24’)のための制御信号の形態でのガ
イド変数を生成するためのルーチンを含み、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、アイテム(24)及び/若しくは更なるアイテム(24’
)及び/若しくは対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)におけるターゲッ
トエリア(90)の特性を考慮して、及び/若しくはこれらの間の幾何学的関係、特にオ
フセット情報を考慮して、対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)における
ターゲットエリア(90)内の空間ターゲット位置(91)をガイド変数として決定する
よう設計され、
並びに/又は、
配置は、対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)におけるアイテム(24
)のセクション(84)の相対位置を視覚化するための、及び/若しくは手術前に決定さ
れるデータ(92)を視覚化するための、及び/若しくはターゲットエリア(90)に関
して決定されるガイド変数を視覚化するための、及び/若しくはガイド変数から導出され
る変数を視覚化するためのデバイスを備え、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、ターゲットエリア(90)に関して決定されるガイド変数
及び/若しくはそれから導出される変数に基づいて、外科医のための音響的、光学的、若
しくは触覚的な指示信号を生成し、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、対象領域ボリューム(22)の補正された3-D再構成(
94)を決定するための付影ルーチンを含み、前記付影ルーチンは、アイテム(24、2
4’)によって付影される領域(104)を認識し、これらの領域に関して対象領域ボリ
ューム(22)の3-D再構成(94)のための補償ルールを指定し、
並びに/又は、
OCT走査ビーム(21)によって位置確認可能なマーカー(78)が、アイテム(2
4、24’)のセクション(84)及び/若しくは対象領域(18)内に配置され、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、特定の走査パターンを用いて対象領域ボリューム(22)
及び/若しくはアイテム(24、24’)のセクション(84)を走査するための、並び
に/又はアイテム(24、24’)のセクション(84)の位置と比較してより低い速度
で対象領域ボリューム(22)を走査する走査速度を調整するための走査ルーチンを含み
、
並びに/又は、
コンピュータプログラムは、基準に基づいて、3-D再構成(94)のための決定ルー
ル及び/若しくは対象領域ボリューム(22)内のアイテム(24、24’)のセクショ
ン(84)の相対位置のための決定ルールを調整するために設計される、
ことを特徴とする。
3.対象領域ボリューム(22)のOCT血管造影データ(106)は、対象領域ボリ
ューム(22)を走査することによってOCTデバイス(20)によって取得される走査
情報から生成されることを特徴とする、条項1又は2による配置(10、10’、10’
’、10’’’)。
4.コンピュータプログラムは、OCT血管造影データ(106)に基づいてターゲッ
トエリア(90)内の血管(108)の位置及び/又は寸法を決定するよう設計され、対
象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)においてターゲットエリア(90)を
決定するためのコンピュータプログラムの計算ルーチンは、ターゲットエリア(90)内
の血管(108)の経路及び/又は位置及び/又は寸法を考慮することを特徴とする、条
項3による配置(10、10’、10’’、10’’’)。
5.コンピュータプログラムは、基準に基づいて空間ターゲット位置(91)へのアイ
テム(24、24’)の最適経路を計算する経路計画ルーチンを含むことを特徴とする、
条項1~4のいずれか一項による配置(10、10’、10’’、10’’’)。
6.基準は、計算された3-D再構成(94)においてアイテム(24、24’)に起
因する陰影の存在を定量化する付影の大きさであることを特徴とする、条項5による配置
(10、10’、10’’、10’’’)。
7.コンピュータプログラムは、手術前に決定される提供されたデータ(92)におけ
るアイテム(24)のためのターゲットエリア(90’)及び/又はターゲット位置(9
1’)を決定するためのルーチンを含み、手術前に決定されるデータ(92)を対象領域
ボリューム(22)の3-D再構成(94)と位置を合わせる位置合わせルーチンと、手
術前に決定されるデータ(92)におけるターゲットエリア(90’)及び/又はターゲ
ット位置(91’)を対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)に転写するた
めの転写ルーチンとを有することを特徴とする、条項1~6のいずれか一項による配置(
10、10’、10’’、10’’’)。
8.アイテム(24、24’)は、媒体(88)の放出のための開口部(82)を有す
る毛細管(86)を備える手術器具の形態であることを特徴とする、条項1~7のいずれ
か一項による配置(10、10’、10’’、10’’’)。
9.コンピュータプログラムの計算ルーチンは、対象領域ボリューム(22)の3-D
再構成(94)におけるターゲットエリア(90)を処理することによって、及び/又は
手術前に決定されるデータ(92)を処理することによって、及び/又は対象領域ボリュ
ーム(22)を走査することによってOCTデバイス(20)によって取得されるOCT
走査情報を処理することによって、及び/又は外科医によるターゲット値の入力によって
、放出された媒体(88)のボリュームのためのターゲット値をガイド変数として決定す
る役割を果たすことを特徴とする、条項8による配置(10、10’、10’’、10’
’’)。
10.コンピュータプログラムの計算ルーチンは、対象領域ボリューム(22)の3-
D再構成(94)におけるターゲットエリア(90)のデータ、及び/又は媒体(88)
の放出前及び放出中に対象領域ボリューム(22)を走査することによってOCTデバイ
ス(20)によって取得されるターゲットエリア(90)の走査情報を比較することによ
って、ターゲットエリア(90)内に放出される媒体(88)のボリュームの実際値を決
定する役割を果たすことを特徴とする、条項8又は9による配置(10、10’、10’
’、10’’’)。
11.コンピュータプログラムの計算ルーチンは、放出された媒体(88)のボリュー
ムの再調整のためのガイド変数として、ターゲットエリア(90)内に放出される媒体(
88)のボリュームのターゲット値と実際値との間の差を決定するよう設計されることを
特徴とする、条項8~10のいずれか一項による配置。
12.コンピュータプログラムの計算ルーチンは、対象領域ボリューム(22)の3-
D再構成(94)においてターゲットエリア(90)を処理することによって、及び/又
は手術前に決定されるデータ(92)を処理することによって、及び/又は外科医による
ターゲット値の入力によって、除去される物質の位置及び/又は除去される物質の量をガ
イド変数として決定する役割を果たすことを特徴とする、条項1~7のいずれか一項によ
る配置。
13.対象領域ボリューム(22)内の除去される物質の位置及び/又は除去される物
質の量を視覚化するための視覚化ルーチンを特徴とする、条項12による配置(10、1
0’、10’’、10’’’)。
14.対象領域ボリューム(22)を走査することによってOCTデバイス(20)に
よって取得されるOCT走査情報を処理することによって、対象領域(18)内の対象領
域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定するための、及び、前記対象領域ボ
リューム(22)におけるアイテム(24)のセクション(84)の相対位置を決定する
ためのコンピュータプログラムであって、
対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)におけるターゲットエリア(90
)と、ターゲットエリア(90)に関するアイテム(24)のためのガイド変数とを決定
することを特徴とする、コンピュータプログラム。
15.条項14によるコンピュータプログラムによって、対象領域(18)内の対象領
域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定するための、及び、対象領域ボリュ
ーム(22)におけるアイテム(24)のセクション(84)の相対位置を決定するため
の方法。
【符号の説明】
【0112】
10、10’、10’’、10’’’ 配置/装置
12 角膜
14 患者の眼
15 網膜
16 外科用顕微鏡
18 対象領域
20 OCTデバイス
21 OCT走査ビーム
22 対象領域ボリューム
24、24’ アイテム
26 光軸
28 ディスプレイユニット
30 信号発生器
34 データ重ね合わせ
38、40 立体観察ビーム経路
42 顕微鏡主対物レンズ
44 ズームシステム
46 接眼レンズ
48 照明装置
50、52 走査ミラー
54、56 ビームスプリッタ
58 デバイス
60 コンピュータユニット
61 入力インターフェース
62 制御部材
63 メモリ
64 画像
65 画像提供デバイス
66 画像取込デバイス
68 ロボティクスユニット
70 マイクロロボット
72 制御ユニット
76 ハンドルセクション
78 マーカー
80 先端
82 開口部
84 セクション
86 毛細管
88 媒体
90 ターゲットエリア
90’ 手術前に決定されるデータにおけるターゲットエリア
91 ターゲット位置
91’ 手術前に決定されるデータにおけるターゲット位置
92 手術前に決定されるデータ
94 3-D再構成
104 付影された領域
106 OCT血管造影データに基づく画像
108 血管
110 出血
112 光受容体
114 ドルーゼン
116 電源
118 画像取込アセンブリ
120 3-D電極
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCT走査ビーム(21)によって対象領域(18)内の対象領域ボリューム(22)を走査するためのOCTデバイス(20)を備え、
前記対象領域ボリューム(22)内に配置可能であり、そこで前記OCTデバイス(20)によって位置確認可能であるセクション(84)を有するアイテム(24、24’)を備え、
前記OCTデバイス(20)に接続され、且つ、前記対象領域ボリューム(22)を走査することによって前記OCTデバイス(20)によって取得されるOCT走査情報を処理することによって、前記対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定し、前記対象領域ボリューム(22)内の前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)の相対位置を決定するためのコンピュータプログラムを含む、コンピュータユニット(60)を備える、配置(10、10’、10’’、10’’’)であって、
前記コンピュータプログラムは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)においてターゲットエリア(90)を決定するための計算ルーチンを有し、前記計算ルーチンは、前記ターゲットエリア(90)に関して前記アイテム(24、24’)のためのガイド変数を決定するためのルーチンを含み、
前記コンピュータプログラムは、基準に基づいて、前記3-D再構成(94)のための決定ルール及び/又は前記対象領域ボリューム(22)内の前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)の前記位置のための決定ルールを調整するために設計され、前記基準は以下の群:
データの、及び/又は対象領域の、及び/又はアイテムの、及び/又は配置の、及び/又は位置合わせ方法の、及び/又は現在計算されている3-D再構成の、及び/又はアイテムのセクションの現在計算されている位置の特性、
及び/又は、
データの利用可能性、及び/又はデータの測定精度、及び/又はデータの数、及び/又はデータの種類、及び/又はデータの異なるモダリティの種類もしくは数、及び/又は対象領域内の組織又は材料の種類若しくは特性の形態での対象領域の特性、及び/又はその寸法若しくは材料特性の形態でのアイテム(24、24’)の特性、及び/又は個々のコンポーネント若しくは照明設定の設定又は特性の形態での配置のデバイスの特性、及び/又は現在のデータに対するその適合性若しくは現在計算されている3-D再構成のその速度若しくは精度或いは品質及び/又はアイテム(24、24’)のセクションの現在計算されている位置の品質の形態での方法の特性、からの基準であることを特徴とする、配置。
【請求項2】
前記コンピュータプログラムは、前記基準に基づいて空間ターゲット位置(91)への前記アイテム(24、24’)の最適経路を計算する経路計画ルーチンを含む、請求項1に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項3】
前記基準は、計算された前記3-D再構成(94)において前記アイテム(24、24’)に起因する陰影の存在を定量化する付影の大きさである、請求項1又は2に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項4】
前記コンピュータプログラムは、撮像方法を用いて前記対象領域ボリューム(22)を検査することによって、特に、前記OCTデバイス(20)の前記OCT走査ビーム(21)によって前記対象領域ボリューム(22)を走査することによって得られるか、及び/又は手術前に決定されるデータ(92)であるか、及び/又は前記対象領域ボリューム(22)内の前記アイテム24、24’)の前記セクション(84)の位置を決定するためのセンサ信号に関するデータであるデータから、前記対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定するように設計される、請求項1~3のいずれか一項に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項5】
前記コンピュータプログラムは、位置合わせ方法によって互いに関するデータの相対的な空間位置を決定するよう設計され、前記データは、以下の群:前記対象領域ボリューム(22)を走査することによって前記OCTデバイス(20)によって取得される走査情報、前記対象領域ボリューム(22)、更なる撮像方法からのデータ、特に、光学画像表現、MRIデータ、CTデータ、超音波画像、内視鏡画像、前記アイテム(24)の前記セクション(84)の位置、手術前に決定されるデータ(92)、位置センサ信号からのデータを備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項6】
前記OCTデバイス(20)は、前記OCT走査ビーム(21)による前記対象領域ボリューム(22)の引き続く連続走査のために設計され、及び/若しくは、前記OCTデバイス(20)は、前記OCT走査ビーム(21)による前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)を含む前記対象領域ボリューム(22)の領域の引き続く連続走査のために設計され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)の引き続く連続決定のため、及び/若しくは前記対象領域ボリューム(22)における前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)の前記相対位置の引き続く連続決定のために設計され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)において前記アイテム(24、24’)のための空間ターゲット位置(91)を決定するよう設計され、
並びに/又は、
前記コンピュータユニット(60)は、手術前に決定されるデータ(92)の手術中の提供のためのメモリ(63)に接続され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、組織構造及び/若しくは組織層をセグメント化するための方法の適用によって、手術前に決定されるデータ(92)におけるターゲットエリア(90’)及び/若しくは空間ターゲット位置(91’)、並びに/若しくは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)におけるターゲットエリア(90)及び/若しくは空間ターゲット位置(91)を決定するよう設計され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記アイテム(24、24’)のための制御信号の形態でのガイド変数を生成するためのルーチンを含み、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記アイテム(24)及び/若しくは更なるアイテム(24’)及び/若しくは前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)における前記ターゲットエリア(90)の特性を考慮して、及び/若しくはこれらの間の幾何学的関係、特にオフセット情報を考慮して、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)における前記ターゲットエリア(90)内の空間ターゲット位置(91)をガイド変数として決定するよう設計され、
並びに/又は、
前記配置は、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)における前記アイテム(24)の前記セクション(84)の相対位置を視覚化するための、及び/若しくは手術前に決定されるデータ(92)を視覚化するための、及び/若しくは前記ターゲットエリア(90)に関して決定される前記ガイド変数を視覚化するための、及び/若しくは前記ガイド変数から導出される変数を視覚化するためのデバイスを備え、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記ターゲットエリア(90)に関して決定される前記ガイド変数及び/若しくはそれから導出される変数に基づいて、外科医のための音響的、光学的、若しくは触覚的な指示信号を生成するためのルーチンを含み、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、前記対象領域ボリューム(22)の補正された3-D再構成(94)を決定するための付影ルーチンを含み、前記付影ルーチンは、前記アイテム(24、24’)によって付影される領域(104)を認識し、これらの領域に関して前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)のための補償ルールを指定するためのルーチンを含み、
並びに/又は
前記OCT走査ビーム(21)によって位置確認可能なマーカー(78)が、前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)及び/若しくは前記対象領域(18)内に配置され、
並びに/又は、
前記コンピュータプログラムは、特定の走査パターンを用いて前記対象領域ボリューム(22)及び/若しくは前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)を走査するための、並びに/又は前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)の位置と比較してより低い速度で前記対象領域ボリューム(22)を走査する走査速度を調整するための走査ルーチンを含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項7】
前記対象領域ボリューム(22)のOCT血管造影データは、前記対象領域ボリューム(22)を走査することにより前記OCTデバイス(20)によって取得される、前記走査情報から生成されることを特徴とする、請求項5又は請求項5に従属する請求項6に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項8】
前記コンピュータプログラムは、前記OCT血管造影データに基づいて前記ターゲットエリア(90)内の血管(108)の位置及び/又は寸法を決定するよう設計され、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)において前記ターゲットエリア(90)を決定するための前記コンピュータプログラムの計算ルーチンは、前記ターゲットエリア(90)内の前記血管(108)の経路及び/又は位置及び/又は寸法を考慮することを特徴とする、請求項7に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項9】
前記コンピュータプログラムは、手術前に決定される提供されたデータ(92)における前記アイテム(24)のためのターゲットエリア(90’)及び/又はターゲット位置(91’)を決定するためのルーチンを含み、手術前に決定される前記データ(92)を前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)と位置を合わせる位置合わせルーチンと、手術前に決定される前記データ(92)における前記ターゲットエリア(90’)及び/又は前記ターゲット位置(91’)を前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)に転写するための転写ルーチンとを有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項10】
前記アイテム(24、24’)は、媒体(88)の放出のための開口部(82)を有する毛細管(86)を備える手術器具の形態であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項11】
前記コンピュータプログラムの前記計算ルーチンは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)における前記ターゲットエリア(90)を処理することによって、及び/又は手術前に決定されるデータ(92)を処理することによって、及び/又は前記対象領域ボリューム(22)を走査することにより前記OCTデバイス(20)によって取得されるOCT走査情報を処理することによって、及び/又は外科医によるターゲット値の入力によって、前記放出された媒体(88)のボリュームのためのターゲット値をガイド変数として決定する役割を果たすことを特徴とする、請求項10に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項12】
前記コンピュータプログラムの前記計算ルーチンは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)における前記ターゲットエリア(90)のデータ、及び/又は前記媒体(88)の放出前及び放出中に前記対象領域ボリューム(22)を走査することによって前記OCTデバイス(20)によって取得される前記ターゲットエリア(90)の走査情報を比較することによって、前記ターゲットエリア(90)内に放出される前記媒体(88)の前記ボリュームの実際値を決定する役割を果たすことを特徴とする、請求項11に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項13】
前記コンピュータプログラムの前記計算ルーチンは、前記放出された媒体(88)の前記ボリュームの再調整のためのガイド変数として、前記ターゲットエリア(90)内に放出される前記媒体(88)の前記ボリュームのターゲット値と実際値との間の差を決定するよう設計されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の配置。
【請求項14】
前記コンピュータプログラムの前記計算ルーチンは、前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)において前記ターゲットエリア(90)を処理することによって、及び/又は手術前に決定されるデータ(92)を処理することによって、及び/又は外科医によるターゲット値の入力によって、除去される物質の位置及び/又は除去される物質の量をガイド変数として決定する役割を果たすことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の配置。
【請求項15】
前記対象領域ボリューム(22)内の除去される前記物質の位置及び/又は除去される物質の量を視覚化するための視覚化ルーチンを特徴とする、請求項14に記載の配置(10、10’、10’’、10’’’)。
【請求項16】
対象領域ボリューム(22)を走査することによってOCTデバイス(20)によって取得されるOCT走査情報を処理することによって、対象領域(18)内の前記対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定するための、及び、前記対象領域ボリューム(22)におけるアイテム(24、24’)のセクション(84)の相対位置を決定するためのコンピュータプログラムであって、
前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)におけるターゲットエリア(90)と、前記ターゲットエリア(90)に関する前記アイテム(24、24’)のためのガイド変数とを決定するための計算ルーチンと、
基準に基づいて、前記3-D再構成(94)のための決定ルール及び/又は前記対象領域ボリューム(22)内の前記アイテム(24、24’)の前記セクション(84)の前記位置のための決定ルールを調整するための調整ルーチンと、を特徴とし、前記基準は以下の群:
データの、及び/又は対象領域の、及び/又はアイテム(24、24’)の、及び/又は配置の、及び/又は位置合わせ方法の、及び/又は現在計算されている3-D再構成の、及び/又はアイテム(24、24’)のセクションの現在計算されている位置の特性、
及び/又は、
データの利用可能性、及び/又はデータの測定精度、及び/又はデータの数、及び/又はデータの種類、及び/又はデータの異なるモダリティの種類若しくは数、及び/又は対象領域内の組織又は材料の種類若しくは特性の形態での対象領域の特性、及び/又はその寸法若しくは材料特性の形態でのアイテム(24、24’)の特性、及び/又は個々のコンポーネント若しくは照明設定の設定又は特性の形態での配置のデバイスの特性、及び/又は現在のデータに対するその適合性若しくは現在計算されている3-D再構成のその速度若しくは精度或いは品質及び/又はアイテム(24、24’)のセクションの現在計算されている位置の品質の形態での方法の特性、からの基準である、コンピュータプログラム。
【請求項17】
基準に基づいて空間ターゲット位置(91)への前記アイテム(24、24’)の最適経路を計算する経路計画ルーチンであって、前記基準は、前記計算された3-D再構成(94)において前記アイテム(24、24’)に起因する陰影の存在を定量化する付影の大きさである、経路計画ルーチンを特徴とする、請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
対象領域ボリューム(22)を走査することによってOCTデバイス(20)によって取得されるOCT走査情報を処理することによって、対象領域(18)内の前記対象領域ボリューム(22)の3-D再構成(94)を決定するための、及び、前記対象領域ボリューム(22)におけるアイテム(24、24’)のセクション(84)の相対位置を決定するための方法であって、
基準に基づいて、前記3-D再構成(94)のための決定ルール及び/又は前記対象領域ボリューム(22)内のアイテム(24、24’)の前記セクション(84)の前記位置のための決定ルールを調整することであって、前記基準は以下の群:
データの、及び/又は対象領域の、及び/又はアイテム(24、24’)の、及び/又は配置の、及び/又は位置合わせ方法の、及び/又は現在計算されている3-D再構成の、及び/又はアイテム(24、24’)のセクションの現在計算されている位置の特性、
及び/又は、
データの利用可能性、及び/又はデータの測定精度、及び/又はデータの数、及び/又はデータの種類、及び/又はデータの異なるモダリティの種類若しくは数、及び/又は対象領域内の組織又は材料の種類若しくは特性の形態での対象領域の特性、及び/又はその寸法若しくは材料特性の形態でのアイテム(24、24’)の特性、及び/又は個々のコンポーネント若しくは照明設定の設定又は特性の形態での配置のデバイスの特性、及び/又は現在のデータに対するその適合性若しくは現在計算されている3-D再構成のその速度若しくは精度或いは品質及び/又はアイテム(24、24’)のセクションの現在計算されている位置の品質の形態での方法の特性、からの基準である、調整することを特徴とする、方法。
【請求項19】
前記対象領域ボリューム(22)の前記3-D再構成(94)におけるターゲットエリア(90)と、前記ターゲットエリア(90)に関する前記アイテム(24、24’)のためのガイド変数とを決定することと、
空間ターゲット位置(91)への前記アイテム(24、24’)の最適経路を計算することと、
基準は、前記計算された3-D再構成(94)において前記アイテム(24、24’)に起因する陰影の存在を定量化する付影の大きさであることと、
を特徴とする、請求項18に記載の方法。
【外国語明細書】