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特開2024-79722発光素子搭載用パッケージおよび発光装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079722
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】発光素子搭載用パッケージおよび発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/373 20060101AFI20240604BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20240604BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L23/36 M
H01L33/64
H01L23/36 C
H01L23/12 J
H01L33/62
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040521
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2022143862の分割
【原出願日】2018-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古久保 洋二
(57)【要約】
【課題】放熱性の高い発光素子搭載用パッケージを提供する。
【解決手段】発光素子搭載用パッケージは、発光素子を搭載するための第1素子用端子、第2素子用端子、第1電源用端子及び第2電源用端子を有する平板状の搭載部と、搭載部において第1素子用端子、第2素子用端子、第1電源用端子及び第2電源用端子が設けられるおもて面とは反対側に設けられ、発光素子から発生する熱を放熱する放熱部と、を備え、搭載部と放熱部とはセラミックスで一体的に形成されている。搭載部の内部に、第1ビア導体、第1配線導体、第2ビア導体、第3ビア導体、第2配線導体及び第4ビア導体を有する。第1素子用端子、第1ビア導体、第1配線導体、第2ビア導体及び第1電源用端子がこの順に連結されて形成される第1配線部と、第2素子用端子、第3ビア導体、第2配線導体、第4ビア導体及び第2電源用端子がこの順に連結されて形成される第2配線部とは同じ配線長である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を搭載するための第1素子用端子、第2素子用端子、第1電源用端子および第2電源用端子を有する平板状の搭載部と、
前記搭載部において前記第1素子用端子、前記第2素子用端子、前記第1電源用端子および前記第2電源用端子が設けられるおもて面とは反対側に設けられ、前記発光素子から発生する熱を放熱する放熱部と、
を備え、
前記搭載部と前記放熱部とはセラミックスで一体的に形成されており、
前記搭載部の内部に、第1ビア導体、第1配線導体、第2ビア導体、第3ビア導体、第2配線導体および第4ビア導体を有し、
前記第1素子用端子、前記第1ビア導体、前記第1配線導体、前記第2ビア導体および前記第1電源用端子がこの順に連結されて第1配線部が形成されており、
前記第2素子用端子、前記第3ビア導体、前記第2配線導体、前記第4ビア導体および前記第2電源用端子がこの順に連結されて第2配線部が形成されており、
前記第1配線部と前記第2配線部とは同じ配線長である、
発光素子搭載用パッケージ。
【請求項2】
前記搭載部の前記おもて面の前記第1素子用端子および前記第2素子用端子の周囲に、封止用金属膜を有する、請求項1に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項3】
前記第1電源用端子および前記第2電源用端子は、前記搭載部の側面に配置される、請求項1に記載の発光素子搭載用パッケージ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一つに記載の発光素子搭載用パッケージと、
前記発光素子搭載用パッケージの前記第1素子用端子に搭載される発光素子と、
を備える発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、発光素子搭載用パッケージおよび発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気素子を搭載するための電気素子搭載用パッケージとして、外部に熱を放出するメタルベースと、メタルベース上にハンダなどの接合材で固着されたセラミックス製のサブマウントとを有し、サブマウント上に電気素子が搭載されたパッケージが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-116514号公報
【発明の概要】
【0004】
実施形態の一態様に係る発光素子搭載用パッケージは、発光素子を搭載するための第1素子用端子、第2素子用端子、第1電源用端子および第2電源用端子を有する平板状の搭載部と、前記搭載部において前記第1素子用端子、前記第2素子用端子、前記第1電源用端子および前記第2電源用端子が設けられるおもて面とは反対側に設けられ、前記発光素子から発生する熱を放熱する放熱部と、を備え、前記搭載部と前記放熱部とはセラミックスで一体的に形成されている。前記搭載部の内部に、第1ビア導体、第1配線導体、第2ビア導体、第3ビア導体、第2配線導体および第4ビア導体を有する。前記第1素子用端子、前記第1ビア導体、前記第1配線導体、前記第2ビア導体および前記第1電源用端子がこの順に連結されて第1配線部が形成されている。前記第2素子用端子、前記第3ビア導体、前記第2配線導体、前記第4ビア導体および前記第2電源用端子がこの順に連結されて第2配線部が形成されている。前記第1配線部と前記第2配線部とは同じ配線長である。
【0005】
また、実施形態の一態様に係る発光装置は、上記に記載の発光素子搭載用パッケージと、前記発光素子搭載用パッケージの前記第1素子用端子に搭載される発光素子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1Aは、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージの斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aに示すA-A線の矢視断面図である。
図2A図2Aは、実施形態の他の態様1に係る電気素子搭載用パッケージの断面図である。
図2B図2Bは、図2Aに示すB-B線の矢視断面図である。
図3A図3Aは、実施形態の他の態様2に係る電気素子搭載用パッケージの断面図である。
図3B図3Bは、図3Aに示すC-C線の矢視断面図である。
図4A図4Aは、実施形態の他の態様3に係る電気素子搭載用パッケージの断面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示すD-D線の矢視断面図である。
図5A図5Aは、実施形態の他の態様4に係る電気素子搭載用パッケージの断面図である。
図5B図5Bは、図5Aに示すE-E線の矢視断面図である。
図6A図6Aは、実施形態の他の態様5に係る電気素子搭載用パッケージの断面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示すF-F線の矢視断面図である。
図7図7は、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージの一製造工程を示す平面図である。
図8図8は、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージの別の一製造工程を示す平面図である。
図9図9は、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージの別の一製造工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電気素子搭載用パッケージおよび電気装置の実施形態について説明する。なお、以下には、電気素子搭載用パッケージおよび電気装置の例として、電気素子に発光素子を適用した形態(以下、発光素子搭載用パッケージ、発光装置と表記する。)を示すが、この発明は発光素子に限定されるものではなく、発熱性を有する電気素子全般に適用できることは言うまでもない。
【0008】
ここで、発熱性を有する電気素子としては、大規模集積回路(LSI:Large Scale Integrated circuit)、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)、レーザダイオード(Laser Diode)および発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などを挙げることができる。以下に示す実施形態は、とりわけレーザダイオード用として有用なものとなる。
【0009】
<実施形態>
最初に、実施形態に係る発光素子搭載用パッケージA1の概要について、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。
【0010】
図1Aなどに示すように、実施形態に係る発光素子搭載用パッケージA1は、平板状の搭載部10と、かかる搭載部10の裏側に設けられる放熱部20とを備える。また、搭載部10のおもて面10aには素子用端子11aが設けられ、かかる素子用端子11aに発光素子30が搭載される。
【0011】
ここで、実施形態に係る発光素子搭載用パッケージA1は、搭載部10と放熱部20とがセラミックスで一体的に形成されている。すなわち、発光素子搭載用パッケージA1には、発光素子30が搭載される搭載部10と、外部に熱を放出する機能を有する放熱部20との間に、異種材料同士で構成され大きな熱抵抗を生じさせる界面が設けられていない。
【0012】
これにより、搭載部10と放熱部20との間の熱抵抗を小さくすることができることから、搭載部10から放熱部20に効率よく熱を伝えることができる。したがって、放熱性の高い発光素子搭載用パッケージA1を実現することができる。
【0013】
また、発光素子搭載用パッケージA1は、搭載部10と放熱部20との間を接合する工程が不要となるとともに、ハンダなどの接合材も不要となる。したがって、製造コストの低い発光素子搭載用パッケージA1を実現することができる。
【0014】
さらに、発光素子搭載用パッケージA1は、搭載部10と放熱部20とが同じ材料で構成されていることから、搭載部10と放熱部20との熱膨張係数およびヤング率を揃えることができる。したがって、熱変動による歪みを小さくすることができることから、耐熱衝撃性が高い発光素子搭載用パッケージA1を実現することができる。
【0015】
たとえば、特許文献1に開示されているような従来の電気素子搭載用パッケージは、メタルベースとサブマウントとが異種材料であり、また、メタルベースとサブマウントとの間に接合材が用いられている。このため、サブマウントからメタルベースに熱が効率よく伝わり難い。
【0016】
また、発光素子搭載用パッケージA1は、放熱部20に複数のフィン21を有し、隣接するフィン21同士の間に溝22が形成されている。かかる複数のフィン21は、たとえば、放熱部20において搭載部10に接する側とは反対側に形成される。
【0017】
これにより、放熱部20の表面積を増加させ、放熱性を向上させることができることから、さらに放熱性の高い発光素子搭載用パッケージA1を実現することができる。なお、実施形態では、フィン21の形状が台形状である場合について示しているが、フィン21の形状は台形状に限られない。
【0018】
引き続き、図1Aおよび図1Bを参照しながら、発光素子搭載用パッケージA1の詳細な構成について説明する。
【0019】
搭載部10および放熱部20は、セラミックスにより形成されている。かかるセラミックスとしては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コージエライト、フォルステライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素またはガラスセラミックスなどが適している。そして、搭載部10および放熱部20は、熱伝導率が高く、かつ熱膨張率が発光素子30に近いという点から、窒化アルミニウム(AlN)を主成分として含んでいることが好ましい。
【0020】
ここで、「窒化アルミニウムを主成分として含んでいる」とは、搭載部10および放熱部20が窒化アルミニウムを80質量%以上含んでいることをいう。搭載部10および放熱部20に含まれる窒化アルミニウムが80質量%以上の場合、発光素子搭載用パッケージA1の熱伝導率が高くなり、放熱性を向上させることができる。
【0021】
さらに、搭載部10および放熱部20は、窒化アルミニウムを90質量%以上含んでいることが好ましい。窒化アルミニウムの含有量を90質量%以上とすることにより、搭載部10および放熱部20の熱伝導率を150W/mK以上にすることができることから、放熱性に優れた発光素子搭載用パッケージA1を実現することができる。
【0022】
図1Aに示すように、搭載部10のおもて面10aには、金属で構成される素子用端子11a、11bが設けられる。また、搭載部10には、電源用端子12a、12bが設けられる。ここで、「金属で構成される」とは、一部に金属以外のたとえばセラミックスが含まれてもよいという意味であり、以下も同様の意味である。
【0023】
素子用端子11aは、発光素子30が搭載される端子である。素子用端子11bは、素子用端子11aに搭載された発光素子30がボンディングワイヤなどにより接続される端子である。電源用端子12a、12bは、図示しない外部電源が接続される端子である。
【0024】
素子用端子11a、11bおよび電源用端子12a、12bは、金属粉末を焼結させたメタライズ膜で形成すればよい。このメタライズ膜は、搭載部10を構成するセラミックスの表面に高い強度で接着させることができることから、信頼性の高い発光素子搭載用パッケージA1を実現することができる。
【0025】
また、かかるメタライズ膜の表面にNiなどのめっき膜を形成してもよい。さらに、かかるめっき膜の表面に、ハンダやAu-Snめっき膜を設けてもよい。
【0026】
図1Bに示すように、素子用端子11aは、搭載部10の内部に形成される金属製の第1ビア導体14aと、配線導体15aと、第2ビア導体16aとを経由して、電源用端子12aに電気的に接続される。
【0027】
なお、図示していないが、素子用端子11bも同様に、第1ビア導体と、配線導体と、第2ビア導体とを経由して、電源用端子12bに電気的に接続される。また、第1ビア導体14aと、配線導体15aと、第2ビア導体16aとは、金属粉末を焼成させたメタライズ膜であるのがよい。
【0028】
図1Aに示すように、搭載部10のおもて面10aには、素子用端子11a、11bを取り巻くように封止用金属膜13が設けられている。封止用金属膜13は、素子用端子11aに搭載された発光素子30を覆うようにキャップ40を設けるときに、かかるキャップ40が接合される部位である。
【0029】
ここまで説明した発光素子搭載用パッケージA1上に、発光素子30とキャップ40とが搭載されて、発光装置が構成される。
【0030】
発光素子30は、例えば、レーザダイオード(半導体レーザともいう)などを用いることができる。発光素子30は、一端面に設けられる放射面30aが、発光素子搭載用パッケージA1の所定の方向に向かうように配置される。
【0031】
発光素子30は、搭載部10上の素子用端子11aにハンダなどの導電性接合材を用いて接合される。この際に、かかる導電性接合材により、発光素子30の下面に設けられる第1電極(不図示)と、素子用端子11aとが電気的に接続される。
【0032】
さらに、発光素子30の上面に設けられる第2電極(不図示)と、素子用端子11aに隣接する素子用端子11bとが、ボンディングワイヤ(不図示)などを用いて電気的に接続される。
【0033】
キャップ40は、発光素子30などの封止用金属膜13で囲まれる領域を気密封止するための部材である。キャップ40は、金属材料やセラミックスなどから構成することができ、例えば、耐熱性および放熱性が高いという点からコバール(Fe-Ni-Co合金)で構成すればよい。
【0034】
キャップ40には、側面に横窓41が設けられており、横窓41には透明なガラスがはめ込まれている。キャップ40は、横窓41が発光素子30の放射面30aと同じ方向に向かうように配置される。そして、放射面30aから放射される光は、横窓41を通過して外部に放射される。
【0035】
キャップ40と封止用金属膜13との接合には、ロウ材を用いるのがよい。接合材にロウ材を用いることにより、キャップ40で封止される領域の気密性を高めることができることから、発光装置の信頼性を向上させることができる。
【0036】
<他の態様>
次に、実施形態の各種他の態様について、図2A図6Bを参照しながら説明する。なお、以降の説明においては、上述の実施形態と共通の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0037】
図2Aおよび図2Bに示す発光素子搭載用パッケージA2は、実施形態の他の態様1である。かかる他の態様1では、放熱部20の構成が実施形態と異なる。
【0038】
他の態様1の放熱部20は、厚みの異なるフィンがそれぞれ形成された第1フィン部23および第2フィン部24を有する。第1フィン部23には、複数の第1フィン21aが並んで形成され、第2フィン部24には、複数の第2フィン21bが並んで形成される。なお、第1フィン21aおよび第2フィン21bは、上述したフィン21の別の一例である。
【0039】
また、第1フィン部23は搭載部10の素子用端子11a、11b側に設けられ、第2フィン部24は搭載部10の電源用端子12a、12b側に設けられる。すなわち、第1フィン部23は、第2フィン部24より素子用端子11a、11bに近接して設けられる。
【0040】
そして、図2Bに示すように、第1フィン21aの厚みT1は第2フィン21bの厚みT2より薄く、第1フィン21aのピッチP1は第2フィン21bのピッチP2より小さい。すなわち、第1フィン部23は、第2フィン部24より単位長さ当たりのフィンの数が多い。
【0041】
このように、他の態様1では、単位長さ当たりのフィンの数が多く、より表面積の大きい第1フィン部23が素子用端子11a、11bに近接して設けられている。これにより、発光素子30が搭載される素子用端子11a、11b側の放熱性をさらに向上させることができる。
【0042】
たとえば、他の態様1では、第1フィン21aの厚みT1が第2フィン21bの厚みT2の1/5以上かつ2/3以下であるとよい。また、他の態様1では、第1フィン21aのピッチP1が第2フィン21bのピッチP2の1/5以上かつ2/3以下であるとよい。
【0043】
図3Aおよび図3Bに示す発光素子搭載用パッケージA3は、実施形態の他の態様2である。かかる他の態様2では、放熱部20の幅が搭載部10の幅より狭く、搭載部10と放熱部20との間に段差25が形成される。そして、図3Bに示すように、かかる段差25を用いて、放熱部20を支持板50に挿入した状態で発光素子搭載用パッケージA3を固定することができる。
【0044】
これにより、搭載部10と放熱部20とが支持板50によって空間を遮断した状態にすることができることから、放熱部20から外部に放出された熱が搭載部10に回り込みにくくなる。したがって、他の態様2によれば、搭載部10の放熱性を向上させることができる。
【0045】
図4Aおよび図4Bに示す発光素子搭載用パッケージA4は、実施形態の他の態様3である。かかる他の態様3では、放熱部20の幅が搭載部10の幅より広く、搭載部10と放熱部20との間に段差26が形成される。
【0046】
そして、図4Bに示すように、かかる段差26を用いて、搭載部10を支持板50に挿入した状態で発光素子搭載用パッケージA4を固定することにより、搭載部10と放熱部20とが支持板50によって空間を遮断した状態にすることができる。
【0047】
したがって、他の態様3によれば、放熱部20から外部に放出された熱が搭載部10に回り込みにくくなることから、搭載部10の放熱性を向上させることができる。
【0048】
なお、他の態様2および他の態様3では、搭載部10における長辺方向の幅および短辺方向の幅がいずれも異なっているが、支持板50を保持可能であれば、搭載部10における長辺方向の幅および短辺方向の幅のうち一方だけが異なっていてもよい。
【0049】
またこの場合、搭載部10と放熱部20との間で幅の異なる位置は、対向する側面同士あるいは端面同士であることが好ましい。
【0050】
図5Aおよび図5Bに示す発光素子搭載用パッケージA5は、実施形態の他の態様4である。かかる他の態様4では、放熱部20の構成が他の態様1と異なる。
【0051】
他の態様4の放熱部20には、複数の第3フィン21cが並んで形成されるはみ出しフィン部27を有する。かかるはみ出しフィン部27は、搭載部10において素子用端子11a、11bが設けられる側からはみ出して設けられる。
【0052】
これにより、素子用端子11a、11bが搭載部10の一方側に偏って配置された構造であっても、発光素子30から発する熱をかかるはみ出しフィン部27により十分に放熱することができる。したがって、他の態様4によれば、発光素子30が搭載される素子用端子11a、11b側の放熱性をさらに向上させることができる。
【0053】
なお、はみ出しフィン部27に設けられる第3フィン21cの厚みT3は第2フィン21bの厚みT2より薄くするとよく、第3フィン21cのピッチP3は第2フィン21bのピッチP2より小さくするとよい。すなわち、はみ出しフィン部27は、第2フィン部24より単位長さ当たりのフィンの数を多くするとよい。
【0054】
これにより、はみ出しフィン部27の表面積を大きくすることができることから、発光素子30が搭載される素子用端子11a、11b側の放熱性をさらに向上させることができる。
【0055】
たとえば、他の態様4では、第3フィン21cの厚みT3が第2フィン21bの厚みT2の1/5以上かつ2/3以下であるとよい。また、他の態様4では、第3フィン21cのピッチP3が第2フィン21bのピッチP2の1/5以上かつ2/3以下であるとよい。
【0056】
なお、図5Aおよび図5Bでは、放熱部20に異なる第1フィン21a、第2フィン21bおよび第3フィン21cが設けられた例について示したが、実施形態に示したように同じフィン21を放熱部20に並べて設けてもよい。
【0057】
また、他の態様4では、はみ出しフィン部27の上面27aが、搭載部10と放熱部20との境界面28を基準にした場合に、俯角の方向(すなわち、下向き)に傾斜するとよい。
【0058】
これにより、はみ出しフィン部27がはみ出す方向に向かって発光素子30の放射面30aから光を放射する場合に、放射された光がかかる上面27aで反射することを抑制することができる。したがって、他の態様4によれば、発光素子30から安定して発光させることができる。
【0059】
そのような場合、第3フィン21cの溝の深さはすべて同じにしてもよいし、搭載部10から離れるにしたがって浅くなるようにしてもよい。搭載部10から離れるにしたがって浅くなるようにすれば、はみ出しフィン部27の残部の厚さが厚くなり、強度を強くできる。
【0060】
図6Aおよび図6Bに示す発光素子搭載用パッケージA6は、実施形態の他の態様5である。かかる他の態様5では、搭載部10の構成が実施形態と異なる。
【0061】
他の態様5の搭載部10は、おもて面10aから上方に突出する台座17が設けられており、かかる台座17の上面に素子用端子11aが設けられている。すなわち、台座17の上面に発光素子30が搭載される。
【0062】
これにより、台座17に搭載された発光素子30から放射された光がおもて面10aで反射することを抑制することができる。したがって、他の態様5によれば、発光素子30から安定して発光させることができる。
【0063】
また、他の態様5では、搭載部10と台座17とがセラミックスで一体的に形成されているとよい。これにより、搭載部10と台座17との間の熱抵抗を小さくすることができることから、台座17から搭載部10を経由して放熱部20に効率よく熱を伝えることができる。したがって、放熱性の高い発光素子搭載用パッケージA6を実現することができる。
【0064】
また、図示してはいないが、他の態様5では、台座17の上面が、搭載される発光素子30の放射面30a側が低くなるように傾斜していてもよい。これにより、発光素子30の放射面30aから放射された光が台座17の上面で反射することを抑制することができることから、発光素子30から安定して発光させることができる。
【0065】
<発光素子搭載用パッケージの製造方法>
次に、実施形態に係る発光素子搭載用パッケージA1の製造方法について、図7図9を参照しながら説明する。なお、図7および図8は、前半の各工程をそれぞれ上方から見た平面図であり、図9は、後半の各工程をそれぞれ側面から断面視した断面図である。
【0066】
発光素子搭載用パッケージA1は、2枚のグリーンシートにそれぞれ所定の加工を施した後、2枚のグリーンシートを積層して、最後に積層された成形体を焼成して形成される。
【0067】
以下においては、2枚のグリーンシートのうち、上層のグリーンシート60の前半の各工程を平面視した図7に基づいて説明し、下層のグリーンシート70の前半の各工程を平面視した図8に基づいて説明する。最後に、グリーンシート60、70の後半の各工程を断面視した図9に基づいて説明する。
【0068】
図7の(a)に示すように、あらかじめ所定の形状に加工したグリーンシート60を用意する。次に、グリーンシート60の所定の4カ所を平面視で円状に打ち抜いて、打ち抜いた4個の孔部をそれぞれビア導体61a、61b、61c、61dで埋める(図7の(b))。
【0069】
次に、図7の(c)に示すように、グリーンシート60の上面に、ビア導体61aとつながるように導体パターン62aを印刷し、ビア導体61bとつながるように導体パターン62bを印刷する。また同時に、ビア導体61cとつながるように導体パターン62cを印刷し、ビア導体61dとつながるように導体パターン62dを印刷する。さらに同時に、導体パターン62a、62bを取り巻くように、枠形状の導体パターン62eを印刷する。
【0070】
また、図8の(a)に示すように、あらかじめ所定の形状に加工したグリーンシート70を用意する。次に、図8の(b)に示すように、グリーンシート70の上面に、導体パターン71a、71bを印刷する。なお、導体パターン71aは、グリーンシート60に設けられたビア導体61a、61cに対応する位置に形成され、導体パターン71bは、グリーンシート60に設けられたビア導体61b、61dに対応する位置に形成される。
【0071】
以後の工程を示す図9は、図7の(c)に示すG-G線の矢視断面図である。図9の(a)に示すように、上から順にグリーンシート60およびグリーンシート70を積層する。そして、平板状の上金型101と、所定の凹部102aが形成された下金型102とで挟み込んだかかる積層体に加熱加圧を行い、積層成形体80を形成する(図9の(b))。
【0072】
ここで、導体パターン62a、62c、62eは、それぞれ発光素子搭載用パッケージA1の素子用端子11a、電源用端子12a、封止用金属膜13に対応する部位であり、ビア導体61a、61cは、それぞれ発光素子搭載用パッケージA1の第1ビア導体14a、第2ビア導体16aに対応する部位である。
【0073】
また、導体パターン71aは発光素子搭載用パッケージA1の配線導体15aに対応する部位であり、下金型102の凹部102aにより形成される凸部72は発光素子搭載用パッケージA1のフィン21に対応する部位である。
【0074】
なお、図9には図示していないが、導体パターン62b、62dは、それぞれ発光素子搭載用パッケージA1の素子用端子11b、電源用端子12bに対応する部位であり、ビア導体61b、61dは、それぞれ発光素子搭載用パッケージA1の素子用端子11bと電源用端子12bとを接続する第1ビア導体および第2ビア導体に対応する部位である。
【0075】
また、導体パターン71bは、発光素子搭載用パッケージA1の素子用端子11bと電源用端子12bとを接続する配線導体に対応する部位である。
【0076】
そして、製造工程の最後に、図9の(b)のように形成された積層成形体80を高温(1700℃~2000℃)で焼成して、発光素子搭載用パッケージA1が完成する。
【0077】
上述の製造工程に用いられるグリーンシート60、70は、例えば、主原料である窒化アルミニウムの粉体に、イットリア(Y)、カルシア(CaO)、エルビア(Er)などからなる粉体を焼結助剤として混合した無機粉体を基本構成とする。そして、かかる無機粉体に有機ビヒクルを添加混合して泥漿状となすとともに、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法を用いることにより、グリーンシート60、70が形成される。
【0078】
また、導体パターン62a~62e、71a、71bや、ビア導体61a~61dは、例えば、主原料である高融点金属のモリブデン(Mo)やタングステン(W)に、窒化アルミニウム、有機バインダー、溶剤などを共剤として混合したペーストで形成される。なお、セラミックスの焼成温度によっては、上記の高融点金属に銅などの低融点金属を含ませたものを用いてもよい。
【0079】
また、上述した発光素子搭載用パッケージA2~A6についても、上金型101および下金型102の形状等を変更することで同様に作製することができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上述の実施形態では、電源用端子12a、12bが搭載部10のおもて面10aに設けられた例について示したが、電源用端子12a、12bが設けられる位置は搭載部10のおもて面10aに限られず、搭載部10の端面や側面など、搭載部10の表面上に設けられればよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、キャップ40を用いて発光素子30などを気密封止していたが、気密封止する部材はキャップ40に限られない。例えば、所定の位置に横窓が設けられた枠形状のシールリング(封止部材)と、板形状の蓋体とを組み合わせて、発光素子30などを気密封止してもよい。
【0082】
以上のように、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA1~A6)は、電気素子(発光素子30)を搭載するための素子用端子11aを有する平板状の搭載部10と、搭載部10において素子用端子11aが設けられる面(おもて面10a)とは反対側に設けられ、電気素子(発光素子30)から発生する熱を放熱する放熱部20と、を備える。そして、搭載部10と放熱部20とはセラミックスで一体的に形成されている。これにより、放熱性の高い電気素子搭載用パッケージを実現することができる。
【0083】
また、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA1、A6)において、放熱部20は、搭載部10とは反対側に設けられる複数のフィン21を有する。これにより、放熱部20の表面積を増加させ、放熱性を向上させることができる。
【0084】
また、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA2~A5)において、放熱部20は、複数の第1フィン21aが並んで設けられる第1フィン部23と、複数の第2フィン21bが並んで設けられる第2フィン部24とを有し、第1フィン21aは第2フィン21bより厚みが薄い。これにより、第1フィン部23の表面積を増加させ、放熱性を向上させることができる。
【0085】
また、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA2~A5)において、第1フィン部23は、第2フィン部24より素子用端子11aに近接して設けられる。これにより、発光素子30が搭載される素子用端子11a、11b側の放熱性をさらに向上させることができる。
【0086】
また、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA2~A5)において、第1フィン部23における単位長さあたりの第1フィン21aの数は、第2フィン部24における単位長さあたりの第2フィン21bの数より多い。これにより、第1フィン部23の表面積を増加させ、放熱性を向上させることができる。
【0087】
また、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA5)において、放熱部20は、搭載部10に対して素子用端子11a側からはみ出して設けられるはみ出しフィン部27を有する。これにより、素子用端子11a、11bが搭載部10の一方側に偏って配置された構造であっても、発光素子30から発する熱をかかるはみ出しフィン部27により十分に放熱することができる。
【0088】
また、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA5)において、はみ出しフィン部27は、搭載部10側に設けられる上面27aを有し、上面27aは、搭載部10と放熱部20との境界面28を基準にした場合に、俯角の方向に傾斜する。これにより、はみ出しフィン部27がはみ出す方向に向かって発光素子30の放射面30aから光を放射する場合に、放射された光がかかる上面27aで反射することを抑制することができる。
【0089】
また、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA3)において、放熱部20の幅は、搭載部10の幅より狭い。これにより、搭載部10の放熱性を向上させることができる。
【0090】
また、実施形態に係る電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA4)において、放熱部20の幅は、搭載部10の幅より広い。これにより、搭載部10の放熱性を向上させることができる。
【0091】
また、実施形態に係る電気装置は、上述の電気素子搭載用パッケージ(発光素子搭載用パッケージA1~A6)と、電気素子搭載用パッケージの素子用端子11aに搭載される電気素子(発光素子30)と、を備える。これにより、放熱性の高い電気装置を実現することができる。
【0092】
さらなる効果や他の態様は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
A1~A6 発光素子搭載用パッケージ
10 搭載部
10a おもて面
11a、11b 素子用端子
20 放熱部
21 フィン
21a 第1フィン
21b 第2フィン
21c 第3フィン
22 溝
23 第1フィン部
24 第2フィン部
25、26 段差
27 はみ出しフィン部
30 発光素子
30a 放射面
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9