(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079729
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】赤外線放射器を備えた加熱装置
(51)【国際特許分類】
B22F 12/10 20210101AFI20240604BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20240604BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240604BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240604BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240604BHJP
B29C 64/295 20170101ALI20240604BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240604BHJP
B29C 64/255 20170101ALI20240604BHJP
【FI】
B22F12/10
H05B3/10 B
B22F10/28
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/295
B29C64/153
B29C64/255
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024041336
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2021519877の分割
【原出願日】2019-10-09
(31)【優先権主張番号】102018125310.9
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】593129320
【氏名又は名称】ヘレーウス ノーブルライト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Noblelight GmbH
【住所又は居所原語表記】Heraeusstrasse 12-14, Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ツィッスィング
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ローン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター コッパ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】焼結粉末または溶融粉末への最適化された熱伝達を特に均質な温度分布で保証する、構成スペース内での3D成形品の製造時に粉末を加熱するためのIR放射器を備えた加熱装置を提供する。
【解決手段】3D成形品5の製造中に粉末Pを加熱するための加熱装置であって、赤外線放射器3;3’とハウジング12とを備えており、該ハウジング12内に構成スペース1が設けられており、該構成スペース1は、前記成形品5を載せるための構造プラットフォーム4によって下方で画定されており、該構造プラットフォーム4は支持プレート9に載置されている、加熱装置において、前記構成スペース1と前記赤外線放射器3;3’との間に、IR放射線に対して透過性の材料から成る分離壁2が配置されていることを特徴とする、加熱装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D成形品(5)の製造中に粉末(P)を加熱するための加熱装置であって、赤外線放射器(3;3’;30)とハウジング(12)とを備えており、該ハウジング(12)内に構成スペース(1)が設けられており、該構成スペース(1)は、前記成形品(5)を載せるための構造プラットフォーム(4)によって下方で画定されており、該構造プラットフォーム(4)は支持プレート(9)に載置されている、加熱装置において、
前記構成スペース(1)と前記赤外線放射器(3;3’;30)との間に、IR放射線に対して透過性の材料から成る分離壁(2)が配置されていることを特徴とする、加熱装置。
【請求項2】
前記分離壁(2)の、前記IR放射線に対して透過性の材料は、石英ガラスまたはガラスセラミックスから成っている、請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
前記構成スペース(1)は、好ましくは円筒スリーブ状の側壁によって半径方向で取り囲まれており、該側壁は、少なくとも部分的に、特に全周にわたって分離壁(2)として形成されている、請求項1または2記載の加熱装置。
【請求項4】
前記赤外線放射器(3;3’;30)は、前記成形品(5)と反対の側に少なくとも1つのリフレクタ(11)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項5】
前記赤外線放射器(3;3’;30)は被覆管を有しており、該被覆管は、前記成形品(5)と反対の側において、前記被覆管に被着されたリフレクタ層の形態の一次リフレクタによって覆われており、好ましくは、前記ハウジング(12)のハウジング壁(12.1)の、前記成形品(5)に向けられた反射性の内面(12.2)が、二次リフレクタを形成している、請求項4記載の加熱装置。
【請求項6】
前記ハウジング壁(12.1)は、冷却手段および/または断熱手段を備えて形成されている、請求項5記載の加熱装置。
【請求項7】
前記構成スペース(1)は、前記粉末および/または前記成形品の温度を検出するための少なくとも1つの測定セルを有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項8】
前記分離壁(2)は、少なくとも1つの中間室(23)を形成するように二重壁に形成されており、少なくとも1つの前記赤外線放射器(3;3’;30)は前記中間室(23)内に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項9】
二重壁の前記分離壁(2)は、前記構成スペース(1)の二重壁の側壁(22)を含み、該二重壁の側壁(22)内のウェブ(40)によって、個々の加熱フィラメントが互いに機械的にかつ電気的に分離されている、請求項3を引用する請求項8記載の加熱装置。
【請求項10】
少なくとも1つの前記赤外線放射器(3;3’;30)は、IR-Bの範囲内の放射スペクトルを有する少なくとも1つの加熱フィラメントを備えるIR-B放射器を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項11】
前記加熱装置は、複数の赤外線放射器(3;3’;30)を含む放射器アセンブリを含み、該放射器アセンブリの前記赤外線放射器は、個別に電気的に制御可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項12】
少なくとも1つの前記赤外線放射器(3;3’;30)は、特に前記粉末(P)の吸収特性に適合された、IR-Aの範囲内の放射スペクトルを有するIR-A放射器を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項13】
少なくとも1つの前記赤外線放射器(3;3’;30)と側壁とは、前記ハウジング(12)内に挿入可能である加熱ユニットのフレーム内に配置されている、請求項3から12までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項14】
前記フレームは、前記成形品(5)に向けられた反射性の内面(12.2)を備えるフレーム外壁を有しており、前記内面(12.2)は、二次リフレクタまたは三次リフレクタを形成している、請求項13記載の加熱装置。
【請求項15】
前記フレームは、前記赤外線放射器が内部に配置されている閉鎖された内室を取り囲んでいる、請求項13または14記載の加熱装置。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の加熱装置を使用して3D成形品を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D成形品の製造中に粉末を加熱するための加熱装置であって、IR放射器とハウジングとを備えており、ハウジング内に構成スペースが設けられており、構成スペースは、成形品を載せるための構造プラットフォームによって下方で画定されており、構造プラットフォームは支持プレートに載置されている、加熱装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、加熱装置を使用して3D成形品を製造するための方法に関する。
【0003】
三次元(3D)成形品は、通常、ルーズな粉末の層構造技術および硬化において、いわゆる選択的レーザ焼結またはレーザ溶融を用いて製造される。また、プラスチック粉末の場合には、略して、selective laser sinteringに対してSLSという名称、または金属粉末の場合には、selective laser meltingに対してSLMという名称も使用される。粉末の加熱時には、プラスチック粉末であろうと金属粉末であろうと、完成した成形品における熱応力(亀裂、ゆがみ)を回避するために、均質な温度分布が必要である。
【0004】
本発明の意味での赤外線放射器(略してIR放射器)は、通常、内部に加熱フィラメント(グローワイヤとも呼ばれる)が配置されている、石英ガラス製の複数の放射器管、いわゆる発光管を備える放射ユニットである。加熱フィラメントは、IR放射器の放射スペクトルを確定している。
【0005】
IR-A放射線は、0.78μm~1.4μmの範囲内の波長を有している。IR-B放射線の波長は、1.4μm~3.0μmの範囲であり、IR-C放射線の波長は、3μm~1000μmの範囲である。
【背景技術】
【0006】
独国特許出願公開第102015006533号明細書に基づいて、プラスチック焼結粉末からの3D成形品の製造が知られている。構造プラットフォームを加熱するために、電気抵抗加熱される、シリコーンをベースにする面状の加熱シートが使用されるが、この加熱シートは、200℃よりも高い温度にほとんど達しない。この加熱出力は、3D成形品の製造時にプラスチック焼結粉末を加熱するのには十分であるが、全体として著しく高いプロセス温度が必要である金属製の3D成形品の製造時には不十分である。付加的に、構成スペースの側部に取り付けられた放射器が好適である。
【0007】
シリコーンをベースにする加熱シートの代わりに、代替的に、独国特許出願公開第102015006533号明細書には、構造プラットフォームまたはこの構造プラットフォームの上にある焼結粉末を、テンパリングオイルによって貫流される加熱コイルによって温度調節することが提案されており、この加熱コイルは、組付けプレートの下および構造プラットフォームの側部に配置されている。加熱コイルによって得ることができる温度は、200℃よりもさほど高くなく、焼結粉末への熱伝達は、この構造によって非効率(ゆっくり)である。テンパリングオイルのためには、さらに、貯蔵タンクおよび場合により、加熱コイルを通してテンパリングオイルを圧送するためにポンプを設ける必要がある。これらの付加的な装置は、全体として加熱装置を高価にし、しかも迅速な熱伝達の意味における効率上昇または拡大された温度範囲が得られない。
【0008】
独国特許発明第102012012344号明細書に基づいて、粉末状材料の放射溶融によってワークピースを製造するための方法および装置が知られている。プロセスに条件付けられた温度勾配を低減するために、粉末状の構造材料は、プラットフォーム加熱による代わりに、加熱要素によって予加熱され、これらの加熱要素は、貯蔵室および/またはプロセス室の側壁に接してまたは側室内に配置されている。
【0009】
独国特許出願公開第102015211538号明細書に基づいて、粉末状材料のレーザ焼結またはレーザ溶融によって三次元オブジェクトを層ごとに製造するための機械のための構造シリンダアセンブリが公知であり、この構造シリンダアセンブリでは、粉末状材料の層が、赤外加熱コイルを備えた加熱装置によって加熱される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の根底にある課題は、焼結粉末または溶融粉末への最適化された熱伝達を特に均質な温度分布で保証する、構成スペース内での3D成形品の製造時に粉末を加熱するためのIR放射器を備えた加熱装置を提供することである。加熱装置は、さらに、高温加熱装置として機能し、既存の構成スペースへの簡単な後付けを可能にすることが望ましく、これにより、加熱装置を、3D成形品を製造する相応の方法において使用することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明によれば、構成スペースと赤外線放射器との間に、IR放射線に対して透過性の材料から成る分離壁が配置されていることによって解決される。
【0012】
構成スペースは、赤外線放射器に対して、IR放射線に対して透過性の材料から成る分離壁によって分離される。
【0013】
少なくとも1つのIR放射器が、分離壁の外側に取り付けられて、IR放射線を、構成スペース内の構造プラットフォーム上の粉末または3D成形品の方向に放射する。構造プラットフォームは、高さ調節可能な支持プレートの直ぐ上に位置しているかまたはいわゆる組付けプレートを介して間接的に支持プレートに結合されている。
【0014】
加熱装置は、付加的に分離壁を含んでおり、この分離壁は、IR放射線に対して透過性の周壁として、構成スペースをその側部において取り囲んでいる(側壁)。
【0015】
SML方法による3D成形品の製造時に、レーザは、構造プラットフォーム上に盛られた粉末を走査し、この粉末を層ごとに局部的に溶融する。特に、高い融点を有する金属材料では、溶融領域とその周りに位置している粉末との間に高い温度勾配が生じ得る。ワークピースの不均一な加熱および冷却中に、成形品の構造プロセス中にしばしば応力亀裂が発生することがある。
【0016】
本発明に係る加熱装置によって、粉末の加熱時に、局部的な溶融のためのレーザ処理前もしくはレーザ処理中または新しい粉末層の被着前に、一部が既に硬化された成形品と粉末の新しい層との間の温度差が平均化されるかまたは完全に回避される。むしろ、粉末および3D成形品は、特に均質にかつ温度勾配なしに加熱され、これによって、成形品の完成後に熱応力を除去するために場合により行われる、成形品の熱による後処置を不要にすることができる。これによって、製造法が比較的迅速かつ経済的に比較的好適である。
【0017】
加熱装置の更なる利点としては、修理時に分離壁を簡単に交換することができ、既存の構成スペースへの本発明に係る加熱装置の後付けも可能であるということがある。
【0018】
通常、複数のIR放射器が構成スペースの分離壁に配置され、好ましくは、IR放射器は、複数のIR放射器を含んでいる放射器アセンブリの構成部分であり、放射器アセンブリのIR放射器は、個別に電気的に制御可能である。複数のIR放射器が設けられていてよいことによって、所望の放射スペクトルを得るため、かつ同時に予め設定された全放射出力を得るために、個々の放射器を停止または作動させることができる。
【0019】
少なくとも1つの赤外線放射器が、粉末の吸収特性に適合された、IR-Aの範囲内の放射スペクトルを有している、つまり、IR-A放射器であると好適であると判った。IR-Aの範囲内の好適な短波の放射スペクトルは、0.9μm~1.3μmのピーク波長を有している。IR-Aの範囲内のIR放射線は、IR-B放射線に比べて高い放射エネルギを有している。基本的に、放射エネルギが大きければ大きいほど、放射工程を短く選択することができるということがいえる。したがって、IR-A放射成分は、加熱装置を使用した効率的な方法に貢献する。
【0020】
IR放射線に対して透過性の分離壁が、石英ガラスまたはガラスセラミックスから成っていると有利であると判った。石英ガラスは、IR放射線に対して高い透過性を有しており、比較的高い温度でも電気絶縁性であり、良好な耐食性、耐熱性および温度変化耐性を有しており、かつ高い純度で使用することができる。したがって、石英ガラスは、特に高温・加熱プロセスにおいて使用される。石英ガラスの他にガラスセラミックスも、側壁を形成するための、IR放射線に対して透過性の材料として使用することができる。
【0021】
構成スペースが、好ましくは円筒スリーブ状の側壁によって半径方向で取り囲まれており、この側壁が、少なくとも部分的に、特に全周にわたって分離壁として形成されていると特に好適であると判った。分離壁は、構成スペースを取り囲むように延在している側壁として形成されていてよい。分離壁は、円形面または方形面を底面にした中空筒形の形状を有していて、構造プラットフォーム面の幾何学形状に適合されていてよい。このように構成されていると、粉末ベッドまたは成形品への熱伝達が最適になる。
【0022】
加熱装置の好適な構成では、IR放射器は、成形品と反対の側に少なくとも1つのリフレクタを備えている。リフレクタによって、赤外放射線は、構造プラットフォーム上の粉末および/または3D成形品に向けられ、これによって、加熱装置の効率を高める。
【0023】
リフレクタは、一次リフレクタとして形成されていてよく、IR放射器は被覆管を有しており、この被覆管は、成形品と反対の側において、被覆管に被着されたリフレクタ層の形態の一次リフレクタによって覆われている。好ましくは、ハウジングのハウジング壁の、成形品に向けられた反射性の内面が、付加的にさらに二次リフレクタまたは場合により三次リフレクタをも形成している。
【0024】
ハウジングの領域内の熱発生を制限するために、ハウジング壁は、冷却手段および/または断熱手段を備えて形成されていてよい。冷却手段および/または断熱手段は、IR放射器を外部周囲に対して断熱し、断熱層としてかつ/または冷却プレートとして設けられていてよい。
【0025】
加熱装置の好適な変化形態では、IR放射器と側壁とが、ハウジング内に挿入可能である加熱ユニットのフレーム内に配置されている。フレームは、成形品に向けられた反射性の内面を備えたフレーム外壁を有していて、内面は、二次リフレクタを形成している。フレームは、好ましくはIR放射器が内部に配置されている閉鎖された内室を取り囲んでいる。加熱装置のこれらの構成は、特に3D成形品を製造するための既存の設備に対する後付けソリューションに関連して有利である。
【0026】
好ましくは、構成スペースは、粉末および/または成形品の温度を検出するための少なくとも1つの測定セルを有している。構成スペース内の温度は、継続的に測定することができる。そのために、測定手段としては、例えば熱電対または抵抗センサのような、高温計、熱画像カメラまたは熱センサを使用することができる。
【0027】
加熱装置の別の好適な構成では、分離壁が、少なくとも1つの中間室を形成するように二重壁に形成されており、少なくとも1つのIR放射器が中間室内に配置されている。
【0028】
二重壁の側壁または分離壁の中間室内のIR放射器は、IR-Bの範囲内の放射スペクトルを有する少なくとも1つの加熱フィラメントを含んでいる。構成スペースの二重壁の側壁内のウェブによって、個々の加熱フィラメントは互いに機械的にかつ電気的に分離されていてよい。
【0029】
IR-Bの範囲内のIR放射線は、IR-A放射線に比べて僅かな放射エネルギを有している。放射工程の相応の時間では、かつ粉末または成形品によるIR-B放射線の高吸収の多くの場合では、IR-B放射線によっても良好な放射結果を得ることができる。さらに、二重壁の側壁または分離壁内のウェブによる個々の加熱フィラメントの分離によって、目的に応じた制御が可能になり、これによって、個々の加熱フィラメントを停止または作動させることができ、これによって、相応の放射スペクトルにおいて同時に所望の全放射出力が得られる。
【0030】
加熱装置は、好ましくは3D成形品を製造するための方法において使用される。このような方法では、3D成形品は、好ましくは、レーザを用いた、構成スペース内の少なくとも部分的に金属粉末の焼結によって製造され、粉末および/または3D成形品は、焼結時に少なくとも1つのIR放射器によって加熱され、構成スペースと赤外線放射器との間に、IR放射線に対して透過性の材料から成る分離壁が配置されている。
【0031】
次に本発明について、図面および実施例を用いて詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明に係る加熱装置の一実施形態を示す概略的な側面図である。
【
図2】構成スペースを示す部分図によって、加熱装置の別の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、加熱装置の一実施形態が概略的に示されている。この実施形態では、構成スペース1は、石英ガラス製の環状の円筒の側壁または分離壁2を有している。複数のIR放射器3;3’が、分離壁2の外側に取り付けられていて、IR放射線を、構成スペース1内の構造プラットフォーム4上にある粉末Pまたは3D成形品5の方向に放射する。構成スペース1の上にはプロセス室6が位置しており、プロセス室6内には、成形品5の構造プロセスを制御するためのユニット(ここでは図示せず)が収納されている。プロセス室6の上端部には、略示されたレーザユニット7が配置されており、レーザユニット7は、このレーザユニット7から放射された高エネルギレーザビームによって、粉末Pを、3D成形品5を製造するために選択的に焼結しかつ/または溶融するのに適している。
【0034】
粉末Pは典型的には金属粉末であるが、プラスチック粉末を使用することもできる。粉末Pは構造プラットフォーム4上にあり、構造プラットフォーム4は、双方向矢印8によって示された高さ調節可能な支持プレート9の上に配置されており、支持プレート9はプランジャ9.1を備えている。
【0035】
構造プラットフォーム4は、構造プラットフォーム4の交換を容易にする組付けプレート10上に組み付けられている。
【0036】
赤外線放射器3;3’は、IR-Aの範囲内の放射線を放射し、赤外線放射器3;3’の、成形品5と反対の側にリフレクタ11を備えている。リフレクタ11によって、赤外放射線は、構造プラットフォーム4上の粉末Pおよび/または3D成形品に向けられる。リフレクタ11は、IR放射器3;3’のここには図示されていない被覆管に被着されたリフレクタ層の形態の、いわゆる一次リフレクタとして形成されている。リフレクタ層は、例えば金層または白色不透明の石英ガラス製の層である。一次リフレクタは、代替的に、IR放射器の被覆管に接触している別体の金属薄板部分として設けられていてもよい。
【0037】
さらに、ハウジング12のハウジング壁12.1の、成形品5に向けられた反射性の内面12.2が、付加的に二次リフレクタを形成している。反射性の内面12.2は、金層またはアルミニウム層によって形成される。
【0038】
相応して、真円形の構造プラットフォーム4および構成スペースを取り囲む真円筒形の側壁2を備えた真円筒形の構成スペース1の場合には、IR放射器3;3’は、
図1から分かるように、円筒形の側壁2の外側を取り囲むように配置されているリング放射器(オメガ放射器とも呼ばれる)の2つの区分を有している。
【0039】
構成スペース1が方形の底面を備えた構造プラットフォーム4を備えている場合には、IR放射器3;3’は、個々の直線の放射器であると理解することができ、この放射器は、複数の平面内で分離壁2の外側に取り付けられており、分離壁2は、直方体の形状を有している。
【0040】
ハウジング12の領域内の熱発生を制限するために、ハウジング壁12.1はさらに、ここには図示されていない冷却プレートおよび/または断熱層を備えて形成されている。
【0041】
図2には、加熱装置の変化形態が示されている。この変化形態では、分離壁2を備えた構成スペース1が単に概略的に示されており、分離壁2は、中間室23を備えた石英ガラス製の二重壁の側壁22として形成されている。二重壁の側壁22の中間室23内には、カンタルワイヤ製の加熱フィラメント30が配置されており、これらの加熱フィラメント30は、IR-Bの範囲内のIR放射線を放射する。二重壁の側壁22は、ここでは加熱フィラメント30のための被覆管の機能を有している。加熱フィラメントは、二重壁の側壁22の中間室23内で下から上に向かって螺旋状に設置されている個々の長いフィラメントとして形成されていてもよいし、個別に電気的に制御可能な複数のリングの形態で設けられていてもよい。リングまたは螺旋を分離するために、耐熱性で電気絶縁性の材料から成るウェブ40が設けられている。これらのウェブ40は、石英ガラス、ガラスセラミックスまたは例えばCalcast(登録商標)という商品名をもつケイ酸カルシウム・セラミックスのようなセラミックスから成っている。二重壁の側壁22の外側には、金製のリフレクタ層24が被着されており、このリフレクタ層24は、加熱フィラメント30のIR-B放射線を、粉末Pおよび成形品5の方向に反射し、これによって、加熱装置を効率よく稼働させる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D成形品(5)の製造中に粉末(P)を加熱するための加熱装置であって、赤外線放射器(3;3’;30)とハウジング(12)とを備えており、該ハウジング(12)内に構成スペース(1)が設けられており、該構成スペース(1)は、前記成形品(5)を載せるための構造プラットフォーム(4)によって下方で画定されており、該構造プラットフォーム(4)は支持プレート(9)に載置されている、加熱装置において、
前記構成スペース(1)と前記赤外線放射器(3;3’;30)との間に、IR放射線に対して透過性の材料から成る分離壁(2)が配置されており、
複数の赤外線放射器(3;3’;30)が、前記構成スペース(1)の横側に配置されており、
前記分離壁(2)が、前記構成スペース(1)の横側に配置されていることを特徴とする、
加熱装置。
【請求項2】
前記分離壁(2)の、前記IR放射線に対して透過性の材料は、石英ガラスまたはガラスセラミックスから成っている、請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
前記構成スペース(1)は、円筒スリーブ状の側壁によって半径方向で取り囲まれており、該側壁は、少なくとも部分的に、特に全周にわたって分離壁(2)として形成されている、請求項1または2記載の加熱装置。
【請求項4】
前記赤外線放射器(3;3’;30)は、前記成形品(5)と反対の側に少なくとも1つのリフレクタ(11)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項5】
前記赤外線放射器(3;3’;30)は被覆管を有しており、該被覆管は、前記成形品(5)と反対の側において、前記被覆管に被着されたリフレクタ層の形態の一次リフレクタによって覆われており、前記ハウジング(12)のハウジング壁(12.1)の、前記成形品(5)に向けられた反射性の内面(12.2)が、二次リフレクタを形成している、請求項4記載の加熱装置。
【請求項6】
前記ハウジング壁(12.1)は、冷却手段および/または断熱手段を備えて形成されている、請求項5記載の加熱装置。
【請求項7】
前記構成スペース(1)は、前記粉末および/または前記成形品の温度を検出するための少なくとも1つの測定セルを有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項8】
前記分離壁(2)は、少なくとも1つの中間室(23)を形成するように二重壁に形成されており、少なくとも1つの前記赤外線放射器(3;3’;30)は前記中間室(23)内に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項9】
二重壁の前記分離壁(2)は、前記構成スペース(1)の二重壁の側壁(22)を含み、該二重壁の側壁(22)内のウェブ(40)によって、個々の加熱フィラメントが互いに機械的にかつ電気的に分離されている、請求項3を引用する請求項8記載の加熱装置。
【請求項10】
少なくとも1つの前記赤外線放射器(3;3’;30)は、IR-Bの範囲内の放射スペクトルを有する少なくとも1つの加熱フィラメントを備えるIR-B放射器を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項11】
前記加熱装置は、複数の赤外線放射器(3;3’;30)を含む放射器アセンブリを含み、該放射器アセンブリの前記赤外線放射器は、個別に電気的に制御可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項12】
少なくとも1つの前記赤外線放射器(3;3’;30)は、前記粉末(P)の吸収特性に適合された、IR-Aの範囲内の放射スペクトルを有するIR-A放射器を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項13】
少なくとも1つの前記赤外線放射器(3;3’;30)と側壁とは、前記ハウジング(12)内に挿入可能である加熱ユニットのフレーム内に配置されている、請求項3から12までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項14】
前記フレームは、前記成形品(5)に向けられた反射性の内面(12.2)を備えるフレーム外壁を有しており、前記内面(12.2)は、二次リフレクタまたは三次リフレクタを形成している、請求項13記載の加熱装置。
【請求項15】
前記フレームは、前記赤外線放射器が内部に配置されている閉鎖された内室を取り囲んでいる、請求項13または14記載の加熱装置。
【請求項16】
前記複数の赤外線放射器(3;3’;30)が、複数の高さに配置されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の加熱装置を使用して3D成形品を製造するための方法。
【外国語明細書】