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特開2024-79763変換に基づく映像エンコード方法およびその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079763
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】変換に基づく映像エンコード方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20240604BHJP
   H04N 19/186 20140101ALI20240604BHJP
   H04N 19/12 20140101ALI20240604BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/186
H04N19/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024046037
(22)【出願日】2024-03-22
(62)【分割の表示】P 2022527839の分割
【原出願日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】62/935,053
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/935,082
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】LG ELECTRONICS INC.
【住所又は居所原語表記】128, Yeoui-daero, Yeongdeungpo-gu, 07336 Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】ク ムンモ
(72)【発明者】
【氏名】キム スンファン
(72)【発明者】
【氏名】イム チェヒョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】映像のコーディング効率を高める方法および装置を提供する。
【解決手段】デコード方法は、ビットストリームからのイントラ予測モードに関する情報、残差情報及び低周波非分離変換(LFNST)インデックスを受信し、現ブロックに対する残差情報、すなわち、量子化された変換係数に対して逆量子化を行って変換係数を導出し、現ブロックに対するLFNSTインデックスのパージングが可能か否かを決定するために、現ブロックのツリータイプに従って現ブロックにISPが適用されるかどうか又は現ブロックのDC成分に有効係数が存在するかどうかを示す、現ブロックの色成分に対する個々の変換スキップフラグ値に基づいて変数を導出し、LFNSTインデックス及びLFNSTのためのLFNST行列に基づいて変換係数から修正された変換係数を導出し、修正された変換係数に対する1次逆変換に基づいて現ブロックに対する残差サンプルを導出する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デコード装置によって行われる映像デコード方法であって、
ビットストリームから残差情報を取得する段階と、
前記残差情報に基づいて現ブロックの変換係数を導出する段階と、
前記変換係数に低周波非分離変換(Low Frequency Non-Separable Transform;LFNST)を適用して修正された変換係数を導出する段階と、
前記修正された変換係数に対する逆一次変換に基づいて前記現ブロックの残差サンプルを導出する段階と、
前記残差サンプルに基づいて復元ピクチャを生成する段階と、を有し、
前記修正された変換係数を導出する段階は、
前記現ブロックのクロマCb成分に関する第1の変換スキップフラグをパージングする段階と、
前記現ブロックのクロマCr成分に関する第2の変換スキップフラグをパージングする段階と、
前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値とに基づいて、LFNSTインデックスをパージングする段階と、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCb成分に前記LFNSTを適用するか否かに関する第1の決定を行う段階と、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCr成分に前記LFNSTを適用するか否かに関する第2の決定を行う段階と、
前記第1の決定および前記第2の決定に基づいて、前記クロマCb成分に関連する第1の変換係数および前記クロマCr成分に関連する第2の変換係数の少なくとも1つに前記LFNSTを適用して前記修正された変換係数を導出する段階と、を有する、方法。
【請求項2】
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値が0であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCb成分に適用され、
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値が1であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCb成分に適用されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値が0であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCr成分に適用され、
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値が1であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCr成分に適用されない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記LFNSTインデックスは、有効係数が前記現ブロックのDC成分にのみ存在するか否かを示す変数に基づいてパージングされ、
前記変数は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値とに基づいて導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変数の値は、最初に1に設定され、
前記変数の値は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値および前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値の少なくとも1つが1でないことに基づいて、0として導出され、
前記変数の値が0であることに基づいて、前記LFNSTインデックスがパージングされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記変数の値は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値が1であることと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値が0であることとに基づいて、0として導出される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記変数の値は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値が0であることと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値が1であることとに基づいて、0として導出される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記変数の値は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグとの一方の値が1であり他方の値が0であることとに基づいて、0として導出される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記LFNSTインデックスは、前記現ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマであることと前記変数が前記有効係数が前記DC成分以外の位置に存在することを示すこととに基づいてパージングされる、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
映像エンコード装置によって行われる映像エンコード方法であって、
現ブロックの予測サンプルを導出する段階と、
前記予測サンプルに基づいて前記現ブロックの残差サンプルを導出する段階と、
前記残差サンプルに対する一次変換に基づいて前記現ブロックの変換係数を導出する段階と、
LFNSTを適用して前記変換係数から修正された変換係数を導出する段階と、
前記修正された変換係数に基づいて残差情報を生成する段階と、
前記残差情報を有する画像情報をエンコードする段階と、を有し、
前記画像情報は、前記現ブロックのクロマCb成分に関する第1の変換スキップフラグと前記現ブロックのクロマCr成分に関する第2の変換スキップフラグとを有し、
前記画像情報は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値とに基づくLFNSTインデックスを有し、
前記LFNSTを適用する段階は、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCb成分に前記LFNSTを適用するか否かに関する第1の決定を行う段階と、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCr成分に前記LFNSTを適用するか否かに関する第2の決定を行う段階と、
前記第1の決定および前記第2の決定に基づいて、前記クロマCb成分に関連する第1の変換係数および前記クロマCr成分に関連する第2の変換係数の少なくとも1つに前記LFNSTを適用する段階と、を有する、方法。
【請求項11】
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値が0であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCb成分に適用され、
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値が1であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCb成分に適用されない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値が0であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCr成分に適用され、
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値が1であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCr成分に適用されない、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記画像情報は、有効係数が前記現ブロックのDC成分にのみ存在するか否かを示す変数に基づく前記LFNSTインデックスを有し、
前記変数は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値とに基づいて導出される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記変数の値は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値が0であることと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値が1であることとに基づいて、0として導出される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
画像に関するデータを送信するための方法であって、
前記画像に関するビットストリームを生成する段階であって、前記ビットストリームを、
現ブロックの予測サンプルを導出する段階と、
前記予測サンプルに基づいて前記現ブロックの残差サンプルを導出する段階と、
前記残差サンプルに対する一次変換に基づいて前記現ブロックの変換係数を導出する段階と、
LFNSTを適用して前記変換係数から修正された変換係数を導出する段階と、
前記修正された変換係数に基づいて残差情報を生成する段階と、
前記残差情報を有する画像情報をエンコードする段階と、に基づいて生成する段階と、
前記ビットストリームを有する前記データを送信する段階と、を有し、
前記画像情報は、前記現ブロックのクロマCb成分に関する第1の変換スキップフラグと前記現ブロックのクロマCr成分に関する第2の変換スキップフラグとを有し、
前記画像情報は、前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグの値とに基づくLFNSTインデックスを有し、
前記LFNSTを適用して前記変換係数から前記修正された変換係数を導出する段階は、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCb成分に関する前記第1の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCb成分に前記LFNSTを適用するか否かに関する第1の決定を行う段階と、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCr成分に関する前記第2の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCr成分に前記LFNSTを適用するか否かに関する第2の決定を行う段階と、
前記第1の決定および前記第2の決定に基づいて、前記クロマCb成分に関連する第1の変換係数および前記クロマCr成分に関連する第2の変換係数の少なくとも1つに前記LFNSTを適用する段階と、を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、映像エンコード技術に関し、より詳細には、映像エンコードシステムにおいて変換(transform)に基づく映像エンコード方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、4Kまたは8K以上のUHD(Ultra High Definition)映像/ビデオのような高解像度、高品質の映像/ビデオに対する需要が様々な分野で増加している。映像/ビデオデータが高解像度、高品質になるほど、既存の映像/ビデオデータに比べて相対的に送信される情報量またはビット量が増加するので、既存の有無線広帯域回線のような媒体を利用して映像データを送信するか、既存の記憶(保存、貯蔵)媒体を利用して映像/ビデオデータを記憶する場合、送信コスト(費用)および記憶コストが増加する。
【0003】
また、近年、VR(Virtual Reality)、AR(Artificial Realtiy)コンテンツやホログラムなどの没入型(実感)メディア(Immersive Media)に対する関心および需要が増加しており、ゲーム映像のように、現実映像と異なる映像特性を有する映像/ビデオに関する放送が増加している。
【0004】
これに伴って、上記のような様々な特性を有する高解像度高品質の映像/ビデオの情報を効果的に圧縮して送信するか記憶し、再生するために高効率の映像/ビデオ圧縮技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本文書の技術的課題は、映像のコーディング効率を高める方法および装置を提供することにある。
【0006】
本文書の他の技術的課題は、LFNSTインデックスコーディング効率を高める方法および装置を提供することにある。
【0007】
本文書のさらに他の技術的課題は、変換スキップフラグに基づいてLFNSTインデックスのコーディング効率を高める方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本文書の一実施形態によれば、デコード(復号)装置によって実行される映像デコード方法が提供される。方法は、修正された変換係数を導出する段階を有し、修正された変換係数を導出する段階は、現(現在)ブロックのツリータイプに従って現ブロックにISPが適用されるかどうか、または現ブロックのDC成分に有効係数が存在するかどうかを示す変数に基づいてLFNSTインデックスをパージングする段階を有し、変数は、現ブロックの色成分に対する個々の変換スキップフラグ値に基づいて導出され得る。
【0009】
現ブロックがシングルタイプまたはデュアルツリールマであり、ISPが適用されることに基づいて、変数の値に関係なくLFNSTインデックスがパージングされ得る。
【0010】
現ブロックがデュアルツリークロマである場合、変数がDC成分ではない位置に有効係数があることを示すことに基づいて、LFNSTインデックスがパージングされ得る。
【0011】
色成分に対する変換スキップフラグ値が0であることに基づいて、変数は、DC成分ではない位置に有効係数が存在することを示すことができる。
【0012】
変数は、現ブロックのコーディングユニットレベルで最初に1に設定され、変換スキップフラグ値が0の場合、変数は残差(レジデュアル)コーディングレベルから0に変更され、変数が0であることに基づいてLFNSTインデックスがパージングされ得る。
【0013】
現ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマである場合、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分に対する変換スキップフラグの値に基づいて変数が導出され得る。
【0014】
現ブロックの変換スキップフラグは、色成分ごとにシグナリングされることができる。
【0015】
修正された変換係数を導出する段階は、LFNSTインデックスが0ではなく、色成分の個々の変換スキップフラグ値が0であるかどうかに基づいてLFNSTのための複数の変数を設定する段階をさらに有することができる。
【0016】
本文書の一実施形態によれば、エンコード装置によって実行される映像エンコード(符号化)方法が提供される。方法は、LFNSTを適用して変換係数から修正された変換係数を導出する段階を有するが、修正された変換係数は、現ブロックのツリータイプにより現ブロックにISPが適用されるかどうかまたは現ブロックのDC成分に有効係数があるかどうかを示す変数に基づいて導出され、変数は、現ブロックの色成分に対する個々の変換スキップフラグ値に基づいて導出され得る。
【0017】
本文書のさらに他の一実施形態によると、エンコード装置によって実行された映像エンコード方法に従って生成されたエンコードされた映像情報、およびビットストリームが有される映像データの記憶されたデジタル記憶媒体が提供されることができる。
【0018】
本文書のさらに他の一実施形態によると、デコード装置により映像デコード方法を行うように引き起こすエンコードされた映像情報、およびビットストリームが有される映像データの記憶されたデジタル記憶媒体が提供されることができる。
【発明の効果】
【0019】
本文書によれば、全般的な映像/ビデオの圧縮効率を高めることができる。
【0020】
本文書によれば、LFNSTインデックスコーディングの効率を高めることができる。
【0021】
本文書によれば変換スキップフラグに基づいてLFNSTインデックスのコーディングの効率を高めることができる。
【0022】
本明細書の具体的な一例を介して得られる効果は、以上で羅列された効果に制限されない。例えば、関連する技術分野における通常の知識を有する者(a person having ordinary skill in the related art)が、本明細書から理解または誘導できる多様な技術的効果が存在し得る。これによって、本明細書の具体的な効果は、本明細書に明示的に記載されているものに制限されず、本明細書の技術的特徴から理解または誘導できる多様な効果を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本文書が適用されることができるビデオ/映像エンコードシステムの例を概略的に示す図である。
図2】本文書が適用されることができるビデオ/映像エンコード装置の構成を概略的に説明する図である。
図3】本文書が適用されることができるビデオ/映像デコード装置の構成を概略的に説明する図である。
図4】本文書の一実施形態に係る多重変換技法を概略的に示す図である。
図5】65個の予測方向のイントラ方向性モードを例示的に示す図である。
図6】本文書の一実施形態に係るRSTを説明する図である。
図7】一例によって順方向1次変換の出力データを1次元ベクトルに配列する順序を示した図である。
図8】一例によって順方向2次変換の出力データを2次元ブロックに配列する順序を示した図である。
図9】本文書の一実施形態に係る広角イントラ予測モードを示した図である。
図10】LFNSTが適用されるブロックの形状を示した図である。
図11】一例による順方向LFNSTの出力データの配置を示した図である。
図12】一例による順方向LFNSTに対する出力データの数を最大16個に限定したことを示した図である。
図13】一例によって4×4のLFNSTが適用されるブロックにおけるゼロアウトを示す図である。
図14】一例によって8×8のLFNSTが適用されるブロックにおけるゼロアウトを示す図である。
図15】一例に係る映像のデコード方法を説明する図である。
図16】一例に係る映像のコーディング方法を説明する図である。
図17】本文書が適用されるコンテンツストリーミングシステム構造図を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本文書は、様々な変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に例示し、詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、本文書を特定の実施形態に限定しようとするわけではない。本明細書で常用する用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本文書における技術的思想を限定しようとする意図に使用されるわけではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つもしくは複数の異なる特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0025】
一方、本文書で説明される図面上の各構成は、互いに異なる特徴的な機能に関する説明の便宜のために独立して示すものであって、各構成が互いに別個のハードウェアや別個のソフトウェアで具現されることを意味するのではない。例えば、各構成のうち、2つ以上の構成が合わせられて1つの構成をなすこともあり、1つの構成が複数の構成に分けられることもある。各構成が統合および/または分離された実施形態も、本文書の本質から外れない限り、本文書の権利範囲に含まれる。
【0026】
以下、添付図を参照として、本文書の好ましい実施例をより詳細に説明しようとする。以下、図面上の同じ構成要素に対しては同じ参照符号を使用し、同じ構成要素に対して重複する説明は省略する。
【0027】
本文書は、ビデオ/映像エンコードに関する。例えば、本文書で開示された方法/実施例は、VVC(Versatile Video Coding)標準(ITU-T Rec. H.266)、VVC以降の次世代ビデオ/イメージのコーディング標準、またはそれ以外のビデオコーディング関連の標準(例えば、HEVC(High Efficiency Video Coding)標準(ITU-T Rec. H.265)、EVC(essential video coding)標準、AVS2標準など)と関連し得る。
【0028】
本文書では、ビデオ/映像エンコードに関する多様な実施形態を提示し、別の言及がない限り、上記実施形態は互いに組み合わせて実行することもある。
【0029】
本文書で、ビデオ(video)は、時間の流れによる一連の映像(image)の集合を意味することができる。ピクチャ(picture)は、一般的に特定の時間帯における1つの映像を示す単位を意味し、スライス(slice)/タイル(tile)は、コーディングにおいてピクチャの一部を構成する単位である。スライス/タイルは、1つまたは複数のCTU(coding tree unit)を含むことができる。1つのピクチャは、1つまたは複数のスライス/タイルで構成されることができる。1つのピクチャは、1つまたは複数のタイルグループで構成されることができる。1つのタイルグループは、1つまたは複数のタイルを含むことができる。
【0030】
ピクセル(pixel)またはペル(pel)は、1つのピクチャ(または映像)を構成する最小の単位を意味することができる。また、ピクセルに対応する用語として「サンプル(sample)」が使用されることができる。サンプルは、一般的にピクセルまたはピクセルの値を示すことがあり、ルマ(luma)成分のピクセル/ピクセル値のみを示すこともあり、クロマ(chroma)成分のピクセル/ピクセル値のみを示すこともある。あるいは、サンプルは、空間領域(ドメイン)におけるピクセル値を意味することもあり、このようなピクセル値が周波数領域に変換されると、周波数領域における変換係数を意味することもある。
【0031】
ユニット(unit)は、映像処理の基本単位を示すことができる。ユニットは、ピクチャの特定領域および当該領域に関する情報の少なくとも1つを含むことができる。1つのユニットは、1つのルマブロックおよび2つのクロマ(例えば、Cb、cr)ブロックを含むことができる。ユニットは、場合に応じて、ブロック(block)または領域(area)などの用語と混用されてもよい。一般的な場合、M×Nブロックは、M個の列およびN個の行とからなるサンプル(またはサンプルアレイ)または変換係数(transform coefficient)の集合(またはアレイ)を含むことができる。
【0032】
本文書において、「/」および「、」は、「および/または」と解釈される。例えば、「A/B」は、「Aおよび/またはB」と解釈され、「A、B」は、「Aおよび/またはB」と解釈される。さらに、「A/B/C」は、「A、Bおよび/またはCの少なくとも1つ」を意味する。また、「A、B、C」も、「A、Bおよび/またはCの少なくとも1つ」を意味する。
【0033】
さらに、本文書において、「または」は、「および/または」と解釈される。例えば、「AまたはB」は、1)「A」のみを意味し、2)「B」のみを意味するか、3)「AおよびB」を意味し得る。言い換えると、本文書の「または」は、「さらにまたは代案として(additionally or alternatively)」を意味し得る。
【0034】
本明細書において、「少なくとも1つのAおよびB(at least one of A and B)」は、「ただA」、「ただB」または「AおよびB両方」を意味し得る。また、本明細書において、「少なくとも1つのAまたはB(at least one of A or B)」や「少なくとも1つのAおよび/またはB(at least one of A and/or B)」という表現は、「少なくとも1つのAおよびB(at least one of A and B)」と同様に解釈され得る。
【0035】
また、本明細書において、「少なくとも1つのA、BおよびC(at least one of A, B and C)」は、「ただA」、「ただB」、「ただC」、または「A、BおよびCの任意の全ての組み合わせ(any combination of A, B and C)」を意味し得る。また、「少なくとも1つのA、BまたはC(at least one of A, B or C)」や「少なくとも1つのA、Bおよび/またはC(at least one of A, B and/or C)」は、「少なくとも1つのA、BおよびC(at least one of A, B and C)」を意味し得る。
【0036】
また、本明細書で使用される括弧は、「例えば(for example)」を意味し得る。具体的には、「予測(イントラ予測)」と示された場合、「予測」の一例として「イントラ予測」が提案されたものであり得る。言い換えると、本明細書の「予測」は、「イントラ予測」に制限(limit)されず、「イントラ予測」が「予測」の一例として提案されたものであり得る。また、「予測(すなわち、イントラ予測)」と示された場合にも、「予測」の一例として「イントラ予測」が提案されたものであり得る。
【0037】
本明細書において1つの図面内で個別に説明される技術的特徴は、個別に具現されてもよく、同時に具現されてもよい。
【0038】
図1は、本文書が適用されることができるビデオ/映像エンコードシステムの例を概略的に示す。
【0039】
図1を参照すると、ビデオ/映像エンコードシステムは、ソースデバイスおよび受信デバイスを含むことができる。ソースデバイスは、エンコードされたビデオ(video)/映像(image)情報またはデータをファイルまたはストリーミングの形態でデジタル記憶媒体またはネットワークを介して受信デバイスに伝達することができる。
【0040】
上記ソースデバイスは、ビデオソース、エンコード装置、送信部を含むことができる。上記受信デバイスは、受信部、デコード装置、およびレンダラを含むことができる。上記エンコード装置は、ビデオ/映像エンコード装置と呼ばれ得、上記デコード装置は、ビデオ/映像デコード装置と呼ばれ得る。送信器は、エンコード装置に含まれることができる。受信器は、デコード装置に含まれることができる。レンダラは、ディスプレイ部を含むこともでき、ディスプレイ部は、別個のデバイスまたは外部コンポーネントで構成されることもできる。
【0041】
ビデオソースは、ビデオ/映像のキャプチャ、合成、または生成過程(process、処理)などを介してビデオ/映像を獲得できる。ビデオソースは、ビデオ/映像のキャプチャデバイスおよび/またはビデオ/映像の生成デバイスを含むことができる。ビデオ/映像のキャプチャデバイスは、例えば、1つまたは複数のカメラ、以前にキャプチャされたビデオ/映像を含むビデオ/映像アーカイブなどを含むことができる。ビデオ/映像の生成デバイスは、例えば、コンピュータ、タブレット、およびスマートフォンなどを含むことができ、(電子的に)ビデオ/映像を生成できる。例えば、コンピュータなどを介して仮想のビデオ/映像が生成され得るし、この場合、関連データが生成される過程にビデオ/映像のキャプチャ過程が代替されることができる。
【0042】
エンコード装置は、入力ビデオ/映像をエンコードすることができる。エンコード装置は、圧縮およびコーディング効率のために、予測、変換、量子化など、一連の手順を行うことができる。エンコードされたデータ(エンコードされたビデオ/映像情報)は、ビットストリーム(bitstream)の形態で出力されることができる。
【0043】
送信部は、ビットストリームの形態で出力されたエンコードされたビデオ/映像情報またはデータをファイルまたはストリーミングの形態でデジタル記憶媒体またはネットワークを介して受信デバイスの受信部に伝達することができる。デジタル記憶媒体は、USB、SD、CD、DVD、ブルーレイ、HDD、SSDなど、様々な記憶媒体を含むことができる。送信部は、予め決められたファイルフォーマットを介してメディアファイルを生成するためのエレメントを含むことができ、放送/通信ネットワークを介した送信のためのエレメントを含むことができる。受信部は、上記ビットストリームを受信/抽出してデコード装置に伝達することができる。
【0044】
デコード装置は、エンコード装置の動作に対応する逆量子化、逆変換、予測など、一連の手順を行ってビデオ/映像をデコードすることができる。
【0045】
レンダラは、デコードされたビデオ/映像をレンダリングすることができる。レンダリングされたビデオ/映像は、ディスプレイ部を介して表示(ディスプレイ)されることができる。
【0046】
図2は、本文書が適用されることができるビデオ/映像エンコード装置の構成を概略的に説明する図面である。以下、ビデオエンコード装置とは、映像エンコード装置を含むことができる。
【0047】
図2を参照すると、エンコード装置200は、映像分割部(image partitioner)210、予測部(predictor)220、残差処理部(residual processor)230、エントロピ符号化(エンコード)部(entropy encoder)240、加算部(adder)250、フィルタリング部(filter)260、およびメモリ(memory)270を含めて構成されることができる。予測部220は、インター予測部221およびイントラ予測部222を含むことができる。残差処理部230は、変換部(transformer)232、量子化部(quantizer)233、逆量子化部(dequantizer)234、逆変換部(inverse transformer)235を含むことができる。残差処理部230は、減算部(subtractor)231をさらに含むことができる。加算部250は、復元部(reconstructor)または復元ブロック生成部(recontructged block generator)と呼ばれ得る。前述した映像分割部210、予測部220、残差処理部230、エントロピ符号化部240、加算部250、およびフィルタリング部260は、実施形態によって、1つまたは複数のハードウェアコンポーネント(例えば、エンコーダチップセットまたはプロセッサ)によって構成されることができる。また、メモリ270は、DPB(decoded picture buffer)を含むことができ、デジタル記憶媒体によって構成されることもできる。上記ハードウェアコンポーネントは、メモリ270を内/外部コンポーネントとしてさらに含むこともできる。
【0048】
映像分割部210は、エンコード装置200に入力された入力映像(または、ピクチャ、フレーム)を1つまたは複数の処理ユニット(processing unit)に分割することができる。一例として、上記処理ユニットは、コーディングユニット(coding unit、CU)と呼ばれ得る。この場合、コーディングユニットは、コーディングツリーユニット(Coding Tree Unit、CTU)または最大コーディングユニット(Largest Coding Unit、LCU)からQTBTTT(Quad-Tree Binary-Tree Ternary-Tree)構造によって再帰的に(recursively)分割されることができる。例えば、1つのコーディングユニットは、四分木(クアッドツリー)構造、二分木(バイナリツリー)構造、および/または三分木(ターナリ)構造に基づいて下位(deeper)デプスの複数のコーディングユニットに分割されることができる。この場合、例えば、四分木構造が先に適用され、二分木構造および/または三分木構造がその後に適用されることができる。あるいは、二分木構造が先に適用されることもできる。それ以上分割されない最終コーディングユニットに基づいて、本文書に係るコーディング手順が行われ得る。この場合、映像特性によるコーディング効率などに基づいて、最大コーディングユニットがすぐに最終コーディングユニットとして使用されることができ、または、必要に応じてコーディングユニットは、再帰的に(recursively)より下位デプスのコーディングユニットに分割されて、最適なサイズのコーディングユニットが最終コーディングユニットとして使用されることができる。ここで、コーディング手順とは、後述する予測、変換、および復元などの手順を含むことができる。他の例として、上記処理ユニットは、予測ユニット(PU:Prediction Unit)または変換ユニット(TU:Transform Unit)をさらに含むことができる。この場合、上記予測ユニットおよび上記変換ユニットは、各々前述した最終コーディングユニットから分割またはパーティショニングされることができる。上記予測ユニットは、サンプル予測の単位であってもよく、上記変換ユニットは、変換係数を導く単位および/または変換係数から残差信号(residual signal)を導く単位であってもよい。
【0049】
ユニットは、場合に応じて、ブロック(block)または領域(area)などの用語と混用されることができる。一般的な場合、M×Nブロックは、M個の列およびN個の行からなるサンプルまたは変換係数(transform coefficient)の集合を示すことができる。サンプルは、一般的にピクセルまたはピクセルの値を示すことができ、輝度(luma、ルマ)成分のピクセル/ピクセル値のみを示すこともでき、彩度(chroma、クロマ)成分のピクセル/ピクセル値のみを示すこともできる。サンプルは、1つのピクチャ(または、映像)のピクセル(pixel)またはペル(pel)に対応する用語として使用できる。
【0050】
減算部231は、入力映像信号(オリジナル(原本)ブロック、オリジナルサンプルまたはオリジナルサンプルアレイ)から予測部220から出力された予測信号(予測されたブロック、予測サンプルまたは予測サンプルアレイ)を減算して残差信号(残差ブロック、残差サンプルまたは残差サンプルアレイ)を生成でき、生成された残差信号は、変換部232に送信される。予測部220は、処理対象ブロック(以下、現ブロックという)に対する予測を行い、上記現ブロックに対する予測サンプルを含む予測されたブロック(predicted block)を生成できる。予測部220は、現ブロックもしくはCU単位でイントラ予測が適用されるか、またはインター予測が適用されるかを決定することができる。予測部は、各予測モードについての説明で後述するように、予測モード情報など、予測に関する様々な情報を生成してエントロピ符号化部240に伝達することができる。予測に関する情報は、エントロピ符号化部240でエンコードされてビットストリームの形態で出力されることができる。
【0051】
イントラ予測部222は、現ピクチャ内のサンプルを参照して現ブロックを予測できる。上記参照されるサンプルは、予測モードによって上記現ブロックの周辺(neighbor)に位置してもよく、または、離れて位置してもよい。イントラ予測における予測モードは、複数の非方向性モードと複数の方向性モードとを含むことができる。非方向性モードは、例えば、DCモードおよび平面(プラナー)モード(Planarモード)を含むことができる。方向性モードは、予測方向の細かさの程度によって、例えば、33個の方向性予測モードまたは65個の方向性予測モードを含むことができる。ただし、これは、例示であり、設定に応じてそれ以上またはそれ以下の個数の方向性予測モードが使用され得る。イントラ予測部222は、周辺ブロックに適用された予測モードを用いて、現ブロックに適用される予測モードを決定することもできる。
【0052】
インター予測部221は、参照ピクチャ上で動きベクトルにより特定される参照ブロック(参照サンプルアレイ)に基づいて、現ブロックに対する予測されたブロックを導くことができる。そのとき、インター予測モードで送信される動き情報の量を減らすために、周辺ブロックと現ブロックとの間の動き情報の相関性に基づいて、動き情報を、ブロック、サブブロック、またはサンプル単位で予測することができる。上記動き情報は、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを含むことができる。上記動き情報は、インター予測方向(L0予測、L1予測、Bi予測など)情報をさらに含むことができる。インター予測の場合に、周辺ブロックは、現ピクチャ内に存在する空間周辺ブロック(spatial neighboring block)と参照ピクチャに存在する時間周辺ブロック(temporal neighboring block)とを含むことができる。上記参照ブロックを含む参照ピクチャと上記時間周辺ブロックを含む参照ピクチャとは同じであってもよく、異なってもよい。上記時間周辺ブロックは、コロケート(同一位置)参照ブロック(collocated reference block)、コロケートCU(col CU)などの名前で呼ばれ得、上記時間周辺ブロックを含む参照ピクチャは、コロケートピクチャ(collocated picture、colPic)とも呼ばれ得る。例えば、インター予測部221は、周辺ブロックに基づいて動き情報候補リストを構成し、上記現ブロックの動きベクトルおよび/または参照ピクチャインデックスを導出するために、どの候補が使用されるかを指示する情報を生成できる。様々な予測モードに基づいてインター予測が実行されることができ、例えば、スキップモードおよびマージモードの場合に、インター予測部221は、周辺ブロックの動き情報を現ブロックの動き情報として用いることができる。スキップモードの場合、マージモードと異なり、残差信号が送信されないことがある。動き情報予測(Motion Vector Prediction、MVP)モードの場合、周辺ブロックの動きベクトルを動きベクトル予測子(motion vector predictor)として用い、動きベクトル差分(motion vector difference)をシグナリングすることにより、現ブロックの動きベクトルを指示することができる。
【0053】
予測部220は、後述する様々な予測方法に基づいて予測信号を生成できる。例えば、予測部は、1つのブロックに対する予測のために、イントラ予測またはインター予測を適用できるだけでなく、イントラ予測とインター予測とを同時に適用することができる。これは、Combined Inter and Intra Prediction(CIIP)と呼ばれ得る。また、予測部は、ブロックに対する予測のために、イントラブロックコピー(Intra Block Copy、IBC)を実行することもできる。上記イントラブロックコピーは、例えば、SCC(Screen Content Coding)などのように、ゲームなどのコンテンツ映像/動画のコーディングのために使用されることができる。IBCは、基本的に現ピクチャ内で予測を実行するが、現ピクチャ内で参照ブロックを導出する点においてインター予測と同様に実行されることができる。すなわち、IBCは、本文書において説明されるインター予測技法の少なくとも1つを用いることができる。
【0054】
インター予測部221および/またはイントラ予測部222を介して生成された予測信号は、復元信号を生成するために用いられるか、残差信号を生成するために用いられることができる。変換部232は、残差信号に変換技法を適用して、変換係数(transform coefficients)を生成することができる。例えば、変換技法は、DCT(Discrete Cosine Transform)、DST(Discrete Sine Transform)、GBT(Graph-Based Transform)、またはCNT(Conditionally Non-linear Transform)などを含むことができる。ここで、GBTは、ピクセル間の関係情報をグラフで表現する際に、このグラフから得られた変換を意味する。CNTは、以前に復元された全てのピクセル(all previously reconstructed pixel)を用いて予測信号を生成し、それに基づいて獲得される変換を意味する。また、変換過程は、正方形の同じサイズを有するピクセルブロックに適用されてもよく、正方形ではない可変サイズのブロックに適用されてもよい。
【0055】
量子化部233は、変換係数を量子化してエントロピ符号化部240に送信され、エントロピ符号化部240は、量子化された信号(量子化された変換係数に関する情報)をエンコードしてビットストリームに出力することができる。上記量子化された変換係数に関する情報は、残差情報と呼ばれ得る。量子化部233は、係数のスキャン順序(scan order)に基づいて、ブロック形態の量子化された変換係数を1次元ベクトルの形態で再整列することができ、上記1次元ベクトルの形態の量子化された変換係数に基づいて、上記量子化された変換係数に関する情報を生成することもできる。エントロピ符号化部240は、例えば、指数ゴロム(exponential Golomb)、CAVLC(Context-Adaptive Variable Length Coding)、CABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)などの様々なエンコード方法を行うことができる。エントロピ符号化部240は、量子化された変換係数の他に、ビデオ/イメージの復元に必要な情報(例えば、シンタックス要素(syntax elements)の値など)を共にまたは別にエンコードすることもできる。エンコードされた情報(例えば、エンコードされたビデオ/映像情報)は、ビットストリームの形態でNAL(Network Abstraction Layer)ユニット単位で送信または記憶されることができる。上記ビデオ/映像情報は、アダプテーションパラメータセット(APS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、またはビデオパラメータセット(VPS)など、様々なパラメータセットに関する情報をさらに含むことができる。また、上記ビデオ/映像情報は、一般制限情報(general constraint information)をさらに含むことができる。本文書において、後述されるシグナリング/送信される情報および/またはシンタックス要素は、前述したエンコード手順を介してエンコードされて、上記ビットストリームに含まれ得る。上記ビットストリームは、ネットワークを介して送信され得、またはデジタル記憶媒体に記憶され得る。ここで、ネットワークは、放送網および/または通信網などを含み得、デジタル記憶媒体は、USB、SD、CD、DVD、ブルーレイ、HDD、SSDなど、様々な記憶媒体を含み得る。エントロピ符号化部240から出力された信号は、送信する送信部(図示せず)および/もしくは記憶する記憶部(図示せず)がエンコード装置200の内/外部エレメントとして構成されてもよく、または送信部は、エントロピ符号化部240に含まれてもよい。
【0056】
量子化部233から出力された量子化された変換係数は、予測信号を生成するために用いられることができる。例えば、量子化された変換係数に逆量子化部234および逆変換部235を介して逆量子化および逆変換を適用することにより、残差信号(残差ブロックまたは残差サンプル)を復元できる。加算部250は、復元された残差信号を予測部220から出力された予測信号に加えることにより、復元(reconstructed)信号(復元ピクチャ、復元ブロック、復元サンプルまたは復元サンプルアレイ)を生成することができる。スキップモードが適用された場合のように、処理対象ブロックに対する残差がない場合、予測されたブロックが復元ブロックとして使用できる。生成された復元信号は、現ピクチャ内の次の処理対象ブロックのイントラ予測のために使用されることができ、後述するように、フィルタリングを経て次のピクチャのインター予測のために使用されることもできる。
【0057】
一方、ピクチャエンコードおよび/または復元過程でLMCS(Luma Mapping with Chroma Scaling)が適用されることもできる。
【0058】
フィルタリング部260は、復元信号にフィルタリングを適用して主観的/客観的画質を向上させることができる。例えば、フィルタリング部260は、復元ピクチャに様々なフィルタリング方法を適用して修正された(modified)復元ピクチャを生成することができ、上記修正された復元ピクチャをメモリ270、具体的には、メモリ270のDPBに記憶することができる。上記様々なフィルタリング方法は、例えば、デブロックフィルタリング、サンプル適応オフセット(Sample Adaptive Offset、SAO)、適応ループフィルタ(adaptive loop filter)、両方向フィルタ(bilateral filter)などを含むことができる。フィルタリング部260は、各フィルタリング方法についての説明で後述するように、フィルタリングに関する様々な情報を生成してエントロピ符号化部290に伝達することができる。フィルタリング関する情報は、エントロピ符号化部290でエンコードされてビットストリームの形態で出力されることができる。
【0059】
メモリ270に送信された修正された復元ピクチャは、インター予測部280で参照ピクチャとして使用されることができる。エンコード装置は、これを介してインター予測が適用される場合、エンコード装置200とデコード装置とにおける予測のミスマッチを避けることができ、コーディング効率も向上させることができる。
【0060】
メモリ270のDPBは、修正された復元ピクチャをインター予測部221における参照ピクチャとして使用するために記憶することができる。メモリ270は、現ピクチャ内の動き情報が導出された(または、エンコードされた)ブロックの動き情報および/または既に復元されたピクチャ内のブロックの動き情報を記憶することができる。上記記憶された動き情報は、空間周辺ブロックの動き情報または時間周辺ブロックの動き情報として活用されるために、インター予測部221に伝達されることができる。メモリ270は、現ピクチャ内の復元されたブロックの復元サンプルを記憶することができ、イントラ予測部222に伝達することができる。
【0061】
図3は、本文書が適用されることができるビデオ/映像デコード装置の構成を概略的に説明する図面である。
【0062】
図3を参照すると、デコード装置300は、エントロピ復号(デコード)部(entropy decoder)310、残差処理部(residual processor)320、予測部(predictor)330、加算部(adder)340、フィルタリング部(filter)350、およびメモリ(memoery)360を含めて構成されることができる。予測部330は、インター予測部331およびイントラ予測部332を含むことができる。残差処理部320は、逆量子化部(dequantizer)321および逆変換部(inverse transformer)321を含むことができる。前述したエントロピ復号部310、残差処理部320、予測部330、加算部340、およびフィルタリング部350は、実施形態によって1つのハードウェアコンポーネント(例えば、デコーダチップセットまたはプロセッサ)により構成されることができる。また、メモリ360は、DPB(Decoded Picture Buffer)を含むことができ、デジタル記憶媒体により構成されることもできる。上記ハードウェアコンポーネントは、メモリ360を内/外部コンポーネントとしてさらに含むこともできる。
【0063】
ビデオ/映像情報を含むビットストリームが入力されると、デコード装置300は、図2のエンコード装置でビデオ/映像情報が処理されたプロセスに対応して映像を復元できる。例えば、デコード装置300は、上記ビットストリームから獲得したブロック分割に関する情報に基づいてユニット/ブロックを導出できる。デコード装置300は、エンコード装置で適用された処理ユニットを用いてデコードを実行することができる。したがって、デコードの処理ユニットは、例えば、コーディングユニットであってもよく、コーディングユニットは、コーディングツリーユニットまたは最大コーディングユニットから、四分木構造、二分木構造、および/または三分木ツリー構造に従って分割されることができる。コーディングユニットから1つまたは複数の変換ユニットが導出されることができる。そして、デコード装置300を介してデコードおよび出力された復元映像信号は、再生装置を介して再生されることができる。
【0064】
デコード装置300は、図2のエンコード装置から出力された信号をビットストリームの形態で受信することができ、受信した信号は、エントロピ復号部310を介してデコードされることができる。例えば、エントロピ復号部310は、上記ビットストリームをパージングして映像復元(または、ピクチャ復元)に必要な情報(例えば、ビデオ/映像情報)を導出できる。上記ビデオ/映像情報は、アダプテーションパラメータセット(APS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、またはビデオパラメータセット(VPS)など、様々なパラメータセットに関する情報をさらに含むことができる。また、上記ビデオ/映像情報は、一般制限情報(general constraint information)をさらに含むことができる。デコード装置は、上記パラメータセットに関する情報および/または上記一般制限情報に基づいてさらにピクチャをデコードすることができる。本文書において後述されるシグナリング/受信される情報および/またはシンタックス要素は、上記デコード手順を介してデコードされて、上記ビットストリームから獲得されることができる。例えば、エントロピ復号部310は、指数ゴロムコーディング、CAVLC、またはCABACなどのコーディング方法を基にビットストリーム内の情報をデコードし、映像の復元に必要なシンタックスエレメントの値、残差に関する変換係数の量子化された値を出力できる。より詳細には、CABACエントロピ復号方法は、ビットストリームで各シンタックス要素に該当するビンを受信し、デコード対象のシンタックス要素情報、周辺およびデコード対象ブロックのデコード情報、または以前の段階でデコードされたシンボル/ビンの情報を利用してコンテキスト(文脈)(context)モデルを決定し、決定されたコンテキストモデルによってビン(bin)の発生確率を予測してビンの算術デコード(arithmetic decoding)を実行し、各シンタックス要素の値に該当するシンボルを生成できる。そのとき、CABACエントロピ復号方法は、コンテキストモデルの決定後、次のシンボル/ビンのコンテキストモデルのためにデコードされたシンボル/ビンの情報を利用してコンテキストモデルをアップデートすることができる。エントロピ復号部310でデコードされた情報のうち、予測に関する情報は、予測部330に提供され、エントロピ復号部310でエントロピ復号が実行された残差に関する情報、すなわち、量子化された変換係数および関連のパラメータ情報は、逆量子化部321に入力されることができる。また、エントロピ復号310でデコードされた情報のうち、フィルタリングに関する情報は、フィルタリング部350に提供されることができる。一方、エンコード装置から出力された信号を受信する受信部(図示せず)がデコード装置300の内/外部エレメントとしてさらに構成され得、または受信部は、エントロピ復号部310の構成要素であり得る。一方、本文書に係るデコード装置は、ビデオ/映像/ピクチャデコード装置と呼ばれ得、上記デコード装置は、情報デコーダ(ビデオ/映像/ピクチャ情報デコーダ)とサンプルデコーダ(ビデオ/映像/ピクチャサンプルデコーダ)とに区分されることもできる。上記情報デコーダは、上記エントロピ復号部310を含むことができ、上記サンプルデコーダは、上記逆量子化部321、逆変換部322、予測部330、加算部340、フィルタリング部350、およびメモリ360の少なくとも1つを含むことができる。
【0065】
逆量子化部321は、量子化された変換係数を逆量子化して変換係数を出力できる。逆量子化部321は、量子化された変換係数を2次元のブロック形態で再整列することができる。この場合、上記再整列は、エンコード装置で行われた係数のスキャン順序に基づいて再整列を行うことができる。逆量子化部321は、量子化パラメータ(例えば、量子化ステップ(step、段階)サイズ情報)を用いて量子化された変換係数に対する逆量子化を実行し、変換係数(transform coefficient)を獲得できる。
【0066】
逆変換部322は、変換係数を逆変換して残差信号(残差ブロック、残差サンプルアレイ)を獲得することになる。
【0067】
予測部は、現ブロックに対する予測を行い、上記現ブロックに対する予測サンプルを含む予測されたブロック(predicted block)を生成できる。予測部は、エントロピ復号部310から出力された上記予測に関する情報に基づいて、上記現ブロックにイントラ予測が適用されるか、またはインター予測が適用されるかを決定することができ、具体的なイントラ/インター予測モードを決定できる。
【0068】
予測部は、後述する様々な予測方法に基づいて予測信号を生成できる。例えば、予測部は、1つのブロックに対する予測のために、イントラ予測またはインター予測を適用できるだけでなく、イントラ予測とインター予測とを同時に適用することができる。これは、Combined Inter and Intra Prediction(CIIP)と呼ばれ得る。また、予測部は、ブロックに対する予測のために、イントラブロックコピー(Intra Block Copy、IBC)を行うこともある。上記イントラブロックコピーは、例えば、SCC(Screen Content Coding)などのように、ゲームなどのコンテンツ映像/動画コーディングのために使用されることができる。IBCは、基本的に現ピクチャ内で予測を実行するが、現ピクチャ内で参照ブロックを導出する点においてインター予測と同様に実行されることができる。すなわち、IBCは、本文書において説明されるインター予測技法の少なくとも1つを利用することができる。
【0069】
イントラ予測部332は、現ピクチャ内のサンプルを参照して現ブロックを予測できる。上記参照されるサンプルは、予測モードによって上記現ブロックの周辺(neighbor)に位置してもよく、または離れて位置してもよい。イントラ予測における予測モードは、複数の非方向性モードと複数の方向性モードとを含むことができる。イントラ予測部332は、周辺ブロックに適用された予測モードを用いて、現ブロックに適用される予測モードを決定することもできる。
【0070】
インター予測部331は、参照ピクチャ上で動きベクトルにより特定される参照ブロック(参照サンプルアレイ)に基づいて、現ブロックに対する予測されたブロックを導くことができる。そのとき、インター予測モードで送信される動き情報の量を減らすために、周辺ブロックと現ブロックとの間の動き情報の相関性に基づいて動き情報をブロック、サブブロック、またはサンプル単位で予測することができる。上記動き情報は、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを含むことができる。上記動き情報は、インター予測方向(L0予測、L1予測、Bi予測など)情報をさらに含むことができる。インター予測の場合に、周辺ブロックは、現ピクチャ内に存在する空間周辺ブロック(spatial neighboring block)と参照ピクチャに存在する時間周辺ブロック(temporal neighboring block)とを含むことができる。例えば、インター予測部331は、周辺ブロックに基づいて動き情報候補リストを構成し、受信した候補選択情報に基づいて上記現ブロックの動きベクトルおよび/または参照ピクチャインデックスを導出できる。様々な予測モードに基づいてインター予測が実行されることができ、上記予測に関する情報は、上記現ブロックに対するインター予測のモードを指示する情報を含むことができる。
【0071】
加算部340は、獲得された残差信号を予測部330から出力された予測信号(予測されたブロック、予測サンプルアレイ)に加えることにより、復元信号(復元ピクチャ、復元ブロック、復元サンプルアレイ)を生成できる。スキップモードが適用された場合のように、処理対象ブロックに対する残差がない場合、予測されたブロックが復元ブロックとして使用されることができる。
【0072】
加算部340は、復元部または復元ブロック生成部と呼ばれ得る。生成された復元信号は、現ピクチャ内の次の処理対象ブロックのイントラ予測のために使用されることができ、後述するように、フィルタリングを経て出力されてもよく、または次のピクチャのインター予測のために使用されてもよい。
【0073】
一方、ピクチャデコード過程でLMCS(Luma Mapping with Chroma Scaling)が適用されることもできる。
【0074】
フィルタリング部350は、復元信号にフィルタリングを適用して、主観的/客観的画質を向上させることができる。例えば、フィルタリング部350は、復元ピクチャに様々なフィルタリング方法を適用して修正された(modified)復元ピクチャを生成でき、上記修正された復元ピクチャをメモリ360、具体的には、メモリ360のDPBに送信することができる。上記様々なフィルタリング方法は、例えば、デブロックフィルタリング、サンプル適応オフセット(sample adaptive offset)、適応ループフィルタ(adaptive loop filter)、両方向フィルタ(bilateral filter)などを含むことができる。
【0075】
メモリ360のDPBに記憶された(修正された)復元ピクチャは、インター予測部331で参照ピクチャとして使用されることができる。メモリ360は、現ピクチャ内の動き情報が導出された(または、デコードされた)ブロックの動き情報および/または既に復元されたピクチャ内のブロックの動き情報を記憶できる。上記記憶された動き情報は、空間周辺ブロックの動き情報または時間周辺ブロックの動き情報として活用するために、インター予測部331に伝達することができる。メモリ360は、現ピクチャ内の復元されたブロックの復元サンプルを記憶でき、イントラ予測部332に伝達することができる。
【0076】
本明細書において、デコード装置300の予測部330、逆量子化部321、逆変換部322、およびフィルタリング部350などで説明された実施形態は、各々デコード装置200の予測部220、逆量子化部234、逆変換部235およびフィルタリング部260などにも同一または対応するように適用されることができる。
【0077】
前述したように、ビデオコーディングを実行するにあたって、圧縮効率を高めるために予測を実行する。これを通じて、コーディングの対象ブロックである現ブロックに対する予測サンプルを含む予測されたブロックを生成することができる。ここで、上記予測されたブロックは、空間領域(またはピクセル領域)における予測サンプルを含む。上記予測されたブロックは、エンコード装置およびデコード装置で同様に導出され、上記エンコード装置は、オリジナルブロックのオリジナルサンプル値そのものではなく、上記オリジナルブロックと上記予測されたブロックとの間の残差に関する情報(残差情報)をデコード装置にシグナリングすることによって映像エンコードの効率を高めることができる。デコード装置は、上記残差情報に基づいて残差サンプルを含む残差ブロックを導出し、上記残差ブロックと上記予測されたブロックとを合わせて、復元サンプルを含む復元ブロックを生成することができ、復元ブロックを含む復元ピクチャを生成することができる。
【0078】
上記残差情報は、変換および量子化手順を通じて生成されることができる。例えば、エンコード装置は、上記オリジナルブロックと上記予測されたブロックとの間の残差ブロックを導出し、上記残差ブロックに含まれる残差サンプル(残差サンプルアレイ)に変換手順を行って変換係数を導出し、上記変換係数に量子化手順を行って量子化された変換係数を導出し、関連する残差情報を(ビットストリームを介して)デコード装置にシグナリングできる。ここで、上記残差情報は、上記量子化された変換係数の値情報、位置情報、変換技法、変換カーネル、量子化パラメータなどの情報を含むことができる。デコード装置は、上記残差情報に基づいて逆量子化/逆変換手順を行い、残差サンプル(または残差ブロック)を導出することができる。デコード装置は、予測されたブロックと上記残差ブロックとに基づいて復元ピクチャを生成することができる。また、エンコード装置は、以降のピクチャのインター予測のための参照のために量子化された変換係数を逆量子化/逆変換して残差ブロックを導出し、これに基づいて復元ピクチャを生成することができる。
【0079】
図4は、本文書にかかる多重変換技法を概略的に示す。
【0080】
図4を参照すると、変換部は、前述した図2のエンコード装置内の変換部に対応し得、逆変換部は、前述した図2のエンコード装置内の逆変換部または図3のデコード装置内の逆変換部に対応し得る。
【0081】
変換部は、残差(レジデュアル)ブロック内の残差サンプル(残差サンプルアレイ)に基づいて1次変換を行って、(1次)変換係数を導出することができる(S410)。このような1次変換(primary transform)は、コア(核心)変換(core transform)と呼称され得る。ここで、上記1次変換は、多重変換選択(Multiple Transform Selection、MTS)に基づき得、1次変換として多重変換が適用される場合、多重コア変換と呼称され得る。
【0082】
多重コア変換は、DCT(Discrete Cosine Transform)タイプ2、DST(Discrete Sine Transform)タイプ7、DCTタイプ8、および/またはDSTタイプ1をさらに使用して変換する方式を示すことができる。すなわち、上記多重コア変換は、上記DCTタイプ2、上記DSTタイプ7、上記DCTタイプ8、および上記DSTタイプ1のうちから選択された複数の変換カーネルに基づいて、空間領域の残差信号(または残差ブロック)を周波数領域の変換係数(または1次変換係数)に変換する変換方法を示すことができる。ここで、上記1次変換係数は、変換部の立場で仮の変換係数と呼ばれ得る。
【0083】
言い換えると、既存の変換方法が適用される場合、DCTタイプ2に基づいて、残差信号(または残差ブロック)に対する空間領域から周波数領域への変換が適用されて、変換係数が生成されることができた。これと異なり、上記多重コア変換が適用される場合、DCTタイプ2、DSTタイプ7、DCTタイプ8、および/またはDSTタイプ1などに基づいて、残差信号(または残差ブロック)に対する空間領域から周波数領域への変換が適用されて、変換係数(または1次変換係数)が生成されることができる。ここで、DCTタイプ2、DSTタイプ7、DCTタイプ8、およびDSTタイプ1などは、変換タイプ、変換カーネル(kernel)または変換コア(core)と呼ばれ得る。このようなDCT/DST変換タイプは、基底関数に基づいて定義されることができる。
【0084】
上記多重コア変換が実行される場合、上記変換カーネルのうち、対象ブロックに対する垂直変換カーネルおよび水平変換カーネルが選択されることができ、上記垂直変換カーネルに基づいて上記対象ブロックに対する垂直変換が実行され、上記水平変換カーネルに基づいて上記対象ブロックに対する水平変換が実行されることができる。ここで、上記水平変換は、上記対象ブロックの水平成分に対する変換を示すことができ、上記垂直変換は、上記対象ブロックの垂直成分に対する変換を示すことができる。上記垂直変換カーネル/水平変換カーネルは、残差ブロックを含む対象ブロック(CUまたはサブブロック)の予測モードおよび/または変換インデックスに基づいて、適応的に決定されることができる。
【0085】
また、一例によると、MTSを適用して1次変換を実行する場合、特定の基底関数を所定の値に設定し、垂直変換または水平変換であるとき、どの基底関数が適用されるか否かを組み合わせて、変換カーネルに対するマッピング関係を設定することができる。例えば、水平方向の変換カーネルをtrTypeHorで示し、垂直方向の変換カーネルをtrTypeVerで示す場合、trTypeHorまたはtrTypeVerの値0はDCT2に設定され、trTypeHorまたはtrTypeVerの値1はDST7に設定され、trTypeHorまたはtrTypeVerの値2はDCT8に設定されることができる。
【0086】
この場合、多数(複数)の変換カーネルセットのいずれかを指示するために、MTSインデックス情報がエンコードされ、デコード装置にシグナリングされることができる。例えば、MTSインデックスが0である場合、trTypeHorおよびtrTypeVerの値が全て0であることを指示し、MTSインデックスが1である場合、trTypeHorおよびtrTypeVerの値が全て1であることを指示し、MTSインデックスが2である場合、trTypeHorの値は2であり、trTypeVerの値は1であることを指示し、MTSインデックスが3である場合、trTypeHorの値は1であり、trTypeVerの値は2であることを指示し、MTSインデックスが4である場合、trTypeHorおよびtrTypeVerの値が全て2であることを指示することができる。
【0087】
一例によって、MTSのインデックス情報による変換カーネルセットを表で示すと、次の通りである。
【0088】
<表1>
【表1】
【0089】
変換部は、上記(1次)変換係数に基づいて2次変換を行って修正された(2次)変換係数を導出する(S420)。上記1次変換は、空間領域から周波数領域への変換であり、上記2次変換は、(1次)変換係数間に存在する相関関係(correlation)を利用してより圧縮的な表現に変換することを意味する。上記2次変換は、非分離変換(non-separable transform)を含む。この場合、上記2次変換は、非分離2次変換(Non-Separable Secondary Transform、NSST)またはMDNSST(Mode-dependent Non-Separable Secondary Transform)と呼ばれてもよい。上記非分離2次変換は、上記1次変換により導出された(1次)変換係数を非分離変換行列(マトリックス)(non-separable transform matrix)に基づいて2次変換して残差信号に対する修正された変換係数(または、2次変換係数)を生成する変換を示す。ここで、上記非分離変換行列に基づいて上記(1次)変換係数に対して垂直変換と水平変換とを分離して(または、水平垂直変換を独立して)適用せずに一度に変換を適用することができる。言い換えると、上記非分離2次変換は、上記(1次)変換係数に対して垂直方向と水平方向とに別個に適用されずに、例えば、2次元信号(変換係数)を特定の決まった方向(例えば、行優先(row-first)方向または列優先(column-first)方向)により1次元信号に再整列した後、上記非分離変換行列に基づいて修正された変換係数(または、2次変換係数)を生成する変換方法を示す。例えば、行優先順序は、M×Nブロックに対して1番目の行、2番目の行、...、N番目の行の順に一列に配置することであり、列優先順序は、M×Nブロックに対して1番目の列、2番目の列、...、M番目の列の順に一列に配置することである。上記非分離2次変換は、(1次)変換係数で構成されたブロック(以下、変換係数ブロックという)の左上側(top-left)領域に対して適用されることができる。例えば、上記変換係数ブロックの幅(W)および高さ(H)が両方とも8以上である場合、8×8非分離2次変換が上記変換係数ブロックの左上側8×8の領域に対して適用されることができる。また、上記変換係数ブロックの幅(W)および高さ(H)が両方とも4以上でありながら、上記変換係数ブロックの幅(W)または高さ(H)が8より小さい場合、4×4非分離2次変換が上記変換係数ブロックの左上側min(8,W)×min(8,H)領域に対して適用されることができる。ただし、実施形態はこれに限定されず、例えば、上記変換係数ブロックの幅(W)または高さ(H)が両方とも4以上である条件のみを満足しても、4×4非分離2次変換が上記変換係数ブロックの左上側min(8,W)×min(8,H)領域に対して適用されることもできる。
【0090】
具体的には、例えば、4×4の入力ブロックが使用される場合、非分離2次変換は、次のように実行されることができる。
【0091】
上記4×4の入力ブロックXは、次のように示されることができる。
【0092】
<数式1>
【数1】
【0093】
上記Xをベクトルの形態で示す場合、ベクトル
は、次のように示されることができる。
【0094】
<数式2>
【数2】
【0095】
数式2のように、ベクトル
は、行優先(row-first)の順序によって、数式1におけるXの2次元ブロックを1次元ベクトルに再配列する。
【0096】
この場合、上記2次非分離変換は、次のように計算されることができる。
【0097】
<数式3>
【数3】
【0098】
ここで、
は、変換係数ベクトルを示し、Tは、16×16の(非分離)変換行列を示す。
【0099】
上記数式3を介して、16×1の変換係数ベクトル
が導出されることができ、上記
は、スキャン順序(水平、垂直、対角(diagonal)など)を介して、4×4ブロックで再構成(re-organized)できる。ただし、前述した計算は例示であって、非分離2次変換の計算複雑度を減らすために、HyGT(Hypercube-Givens Transform)などが非分離2次変換の計算のために使用されることもできる。
【0100】
一方、上記非分離2次変換は、モードベース(mode dependent)として変換カーネル(または変換コア、変換タイプ)が選択されることができる。ここで、モードは、イントラ予測モードおよび/またはインター予測モードを含むことができる。
【0101】
前述したように、上記非分離2次変換は、上記変換係数ブロックの幅(W)および高さ(H)に基づいて決定された8×8変換または4×4変換に基づいて実行されることができる。8×8変換は、WおよびHが全て8よりも等しいか大きいとき、当該変換係数ブロックの内部に含まれる8×8領域に適用されることができる変換を指し、当該8×8領域は、当該変換係数ブロックの内部の左上側の8×8領域であり得る。同様に、4×4変換は、WおよびHが全て4よりも等しいか大きいとき、当該変換係数ブロックの内部に含まれる4×4領域に適用されることができる変換を指し、当該4×4領域は、当該変換係数ブロックの内部の左上側の4×4領域であり得る。例えば、8×8変換カーネル行列は、64×64/16×64行列、4×4変換カーネル行列は、16×16/8×16行列になり得る。
【0102】
そのとき、モードベースの変換カーネルの選択のために、8×8変換および4×4変換の両方に対して、非分離2次変換のための変換セットあたり2個ずつの非分離2次変換カーネルが構成され得、変換セットは4個であり得る。すなわち、8×8変換に対して4個の変換セットが構成され、4×4変換に対して4個の変換セットが構成され得る。この場合、8×8変換に対する4個の変換セットには、それぞれ2個ずつの8×8変換カーネルが含まれ得、この場合、4×4変換に対する4個の変換セットには、それぞれ2個ずつの4×4変換カーネルが含まれ得る。
【0103】
ただし、上記変換のサイズ、すなわち、変換が適用される領域のサイズは、例示として8×8または4×4以外のサイズが使用され得、上記セットの数はn個、各セット内の変換カーネルの数はk個であり得る。
【0104】
上記変換セットは、NSSTセットまたはLFNSTセットと呼ばれ得る。上記変換セットのうちの特定セットの選択は、例えば、現ブロック(CUまたはサブブロック)のイントラ予測モードに基づいて実行されることができる。LFNST(Low-Frequency Non-Separable Transform)は、後述される減少した非分離変換の一例であり得、低周波成分に対する非分離変換を示す。
【0105】
参考までに、例えば、イントラ予測モードは、2個の非方向性(non-directinoal、または非角度性(non-angular))イントラ予測モードと65個の方向性(directional、または角度性(angular))イントラ予測モードとを含むことができる。上記非方向性イントラ予測モードは、0番である平面(planar)イントラ予測モードおよび1番であるDCイントラ予測モードを含むことができ、上記方向性イントラ予測モードは、2番ないし66番の65個のイントラ予測モードを含むことができる。ただし、これは例示であって、本文書は、イントラ予測モードの数が異なる場合にも適用されることができる。一方、場合に応じて、67番のイントラ予測モードがさらに使用されることができ、上記67番のイントラ予測モードは、LM(Linear Model)モードを示すことができる。
【0106】
図5は、65個の予測方向のイントラ方向性モードを例示的に示す。
【0107】
図5を参照すると、右下側対角の予測方向を有する34番のイントラ予測モードを中心に水平方向性(horizontal directionality)を有するイントラ予測モードと、垂直方向性(vertical directionality)を有するイントラ予測モードと、を区分することができる。図5のHおよびVは、それぞれ水平方向性および垂直方向性を意味し、-32~32の数字は、サンプルグリッド位置(ポジション)(sample grid position)上で1/32単位の変位を示す。これは、モードインデックス値に対するオフセットを示すことができる。2番ないし33番のイントラ予測モードは水平方向性、34番ないし66番のイントラ予測モードは垂直方向性を有する。一方、34番のイントラ予測モードは、厳密に言えば、水平方向性でも垂直方向性でもないと見ることができるが、2次変換の変換セットを決定する観点から、水平方向性に属すると分類できる。これは、34番のイントラ予測モードを中心に対称的な垂直方向モードに対しては、入力データをトランスポーズ(transpose、転置)して使用し、34番のイントラ予測モードに対しては、水平方向モードに対する入力データの整列方式を使用するためである。入力データをトランスポーズすることは、2次元ブロックのデータMxNに対して、行が列となり、列が行となり、NxMのデータを構成することを意味する。18番のイントラ予測モードと50番のイントラ予測モードとは、それぞれ水平イントラ予測モード(horizontal intra prediction mode)、垂直イントラ予測モード(vertical intra prediction mode)を示し、2番のイントラ予測モードは、左側の参照ピクセルをもって右上側方向と予測するので、右上側対角のイントラ予測モードと呼ばれ得、同じ脈絡で、34番のイントラ予測モードは、右下側対角のイントラ予測モード、66番のイントラ予測モードは、左下側対角のイントラ予測モードと呼ばれ得る。
【0108】
一例によって、イントラ予測モードによって、4個の変換セットのマッピング(mapping)は、例えば、次の表のように示され得る。
【0109】
<表2>
【表2】
【0110】
表2のように、イントラ予測モードによって4個の変換セットのいずれか、すなわち、lfnstTrSetIdxが0から3、すなわち、4個のいずれかにマッピングされることができる。
【0111】
一方、非分離変換に特定セットが使用されるものと決定されると、非分離2次変換インデックスを介して、上記特定セット内のk個の変換カーネルのうちの1つが選択されることができる。エンコード装置は、RD(Rate-Distortion)チェックに基づいて特定の変換カーネルを指す非分離2次変換インデックスを導出することができ、上記非分離2次変換インデックスをデコード装置にシグナリングできる。デコード装置は、上記非分離2次変換インデックスに基づいて、特定セット内のk個の変換カーネルのうちの1つを選択することができる。例えば、lfnstのインデックス値0は、1番目の非分離2次変換カーネルを指すことができ、lfnstのインデックス値1は、2番目の非分離2次変換カーネルを指すことができ、lfnstのインデックス値2は、3番目の非分離2次変換カーネルを指すことができる。あるいは、lfnstのインデックス値0は、対象ブロックに対して、1番目の非分離2次変換が適用されないことを指すことができ、lfnstのインデックス値1ないし3は、上記3個の変換カーネルを指すことができる。
【0112】
変換部は、選択された変換カーネルに基づいて上記非分離2次変換を実行し、修正された(2次)変換係数を獲得することができる。上記修正された変換係数は、前述したように量子化部を介して量子化された変換係数で導出されることができ、エンコードされて、デコード装置にシグナリングおよびエンコード装置内の逆量子化/逆変換部に伝達されることができる。
【0113】
一方、前述したように2次変換が省略される場合、上記1次(分離)変換の出力である(1次)変換係数が、前述したように量子化部を介して量子化された変換係数で導出されることができ、エンコードされて、デコード装置にシグナリングおよびエンコード装置内の逆量子化/逆変換部に伝達されることができる。
【0114】
逆変換部は、前述した変換部で実行された手順の逆順で一連の手順を実行することができる。逆変換部は、(逆量子化された)変換係数を受信し、2次(逆)変換を実行して(1次)変換係数を導出し(S450)、上記(1次)変換係数に対して1次(逆)変換を実行し、残差ブロック(残差サンプル)を獲得することができる(S460)。ここで、上記1次変換係数は、逆変換部の立場で、修正された(modified)変換係数と呼ばれ得る。エンコード装置およびデコード装置は、上記残差ブロックと予測されたブロックとに基づいて復元ブロックを生成し、これに基づいて復元ピクチャを生成できることは前述した通りである。
【0115】
一方、デコード装置は、2次逆変換適用可否決定部(または2次逆変換の適用が可能か否かを決定する要素)と、2次逆変換決定部(または2次逆変換を決定する要素)と、をさらに含むことができる。2次逆変換適用可否決定部は、2次逆変換の適用が可能か否かを決定することができる。例えば、2次逆変換は、NSST、RSTまたはLFNSTであり得、2次逆変換適用可否決定部は、ビットストリームからパージングした2次変換フラグに基づいて、2次逆変換の適用が可能か否かを決定することができる。別の一例として、2次逆変換適用可否決定部は、残差ブロックの変換係数に基づいて、2次逆変換の適用が可能か否かを決定することもできる。
【0116】
2次逆変換決定部は、2次逆変換を決定することができる。そのとき、2次逆変換決定部は、イントラ予測モードによって指定されたLFNST(NSSTまたはRST)変換セットに基づいて、現ブロックに適用される2次逆変換を決定することができる。また、一実施例として、1次変換決定方法に依存的に(depend on)2次変換決定方法が決定されることができる。イントラ予測モードによって1次変換と2次変換との多様な組み合わせが決定されることができる。また、一例として、2次逆変換決定部は、現ブロックのサイズに基づいて、2次逆変換が適用される領域を決定することもできる。
【0117】
一方、前述したように、2次(逆)変換が省略される場合、(逆量子化された)変換係数を受信し、上記1次(分離)逆変換を実行して残差ブロック(残差サンプル)を獲得することができる。エンコード装置およびデコード装置は、上記残差ブロックおよび予測されたブロックに基づいて復元ブロックを生成し、これに基づいて復元ピクチャを生成できることは前述した通りである。
【0118】
一方、本文書においては、非分離2次変換に伴われる計算量およびメモリ要求量の低減のために、NSSTの概念で変換行列(カーネル)のサイズが減少したRST(Reduced Secondary Transform)を適用することができる。
【0119】
一方、本文書で説明された変換カーネル、変換行列、変換カーネル行列を構成する係数、すなわち、カーネル係数または行列係数は、8ビットで表現され得る。これは、デコード装置およびエンコード装置で具現するための1つの条件であり得、既存の9ビットまたは10ビットと比較し、合理的に受け入れられる性能低下を伴いながら、変換カーネルを記憶するためのメモリ要求量を減らすことができる。また、カーネル行列を8ビットで表現することによって、小さい掛け算器を使用でき、最適なソフトウェアの具現のために使用されるSIMD(Single Instruction Multiple Data)命令により好適であり得る。
【0120】
本明細書において、RSTは、簡素化ファクタ(factor)によってサイズが減少した変換行列(transform matrix)に基づいて、対象ブロックに対する残差サンプルに対して実行される変換を意味することができる。簡素化変換を実行する場合、変換行列のサイズの減少により、変換時に要求される演算量が減少し得る。すなわち、RSTは、サイズが大きいブロックの変換または非分離変換時に発生する演算の複雑度(complexity)の問題(イシュー)を解消するために利用されることができる。
【0121】
RSTは、減少した変換、減少変換、reduced transform、reduced secondary transform、reduction transform、simplified transform、simple transformなどの多様な用語で呼称され得、RSTが呼称され得る名称は、挙げられた例示に限定されない。あるいは、RSTは、主に変換ブロックで0ではない係数を含む低周波領域で行われるので、LFNST(Low-Frequency Non-Separable Transform)と呼称されることもある。上記変換インデックスは、LFNSTインデックスと名付けられ得る。
【0122】
一方、2次逆変換がRSTに基づいて行われる場合、エンコード装置200の逆変換部235とデコード装置300の逆変換部322とは、変換係数に対する逆RSTに基づいて修正された変換係数を導出する逆RST部と、修正された変換係数に対する逆1次変換に基づいて、上記対象ブロックに対する残差サンプルを導出する逆1次変換部と、を含むことができる。逆1次変換は、残差に適用された1次変換の逆変換を意味する。本文書において、変換に基づいて変換係数を導出することは、当該変換を適用して変換係数を導出することを意味することができる。
【0123】
図6は、本文書の一実施例に係るRSTを説明する図である。
【0124】
本明細書において、「対象ブロック」は、コーディングが実行される現ブロックまたは残差ブロックまたは変換ブロックを意味することができる。
【0125】
一実施例に係るRSTで、N次元ベクトル(N dimensional vector)が異なる空間に位置するR次元ベクトル(R dimensional vector)にマッピングされ、減少した変換行列が決定されることができ、ここで、RはNよりも小さい。Nは、変換が適用されるブロックの一辺の長さ(length)の二乗、または変換が適用されるブロックと対応する変換係数の総数を意味することができ、簡素化ファクタは、R/N値を意味することができる。簡素化ファクタは、減少したファクタ、減少ファクタ、reduced factor、reduction factor、simplified factor、simple factorなどの多様な用語で呼称され得る。一方、Rは、簡素化係数(reduced coefficient)と呼称され得るが、場合に応じては、簡素化ファクタがRを意味することもある。また、場合に応じて、簡素化ファクタは、N/R値を意味することもある。
【0126】
一実施例において、簡素化ファクタまたは簡素化係数は、ビットストリームを介してシグナリングできるが、実施例がこれに限定されるわけではない。例えば、簡素化ファクタまたは簡素化係数に対する既に定義された値が各エンコード装置200およびデコード装置300に記憶されていることがあり、この場合、簡素化ファクタまたは簡素化係数は、別にシグナリングされないことがある。
【0127】
一実施例にかかる簡素化変換行列のサイズは、通常の変換行列のサイズNxNよりも小さいRxNであり、下記の数式4のように定義されることができる。
【0128】
<数式4>
【数4】
【0129】
図6の(a)に示すReduced Transformブロック内の行列Tは、数式4の行列TRxNを意味することができる。図6の(a)のように、対象ブロックに対する残差サンプルに対して簡素化変換行列TRxNが掛けられる場合、対象ブロックに対する変換係数が導出されることができる。
【0130】
一実施例において、変換が適用されるブロックのサイズが8×8であり、R=16(すなわち、R/N=16/64=1/4である)である場合、図6の(a)によるRSTは、下記の数式5のような行列演算で表現され得る。この場合、メモリおよび掛け算演算が簡素化ファクタにより約1/4に減少し得る。
【0131】
本文書において行列演算とは、行列を列ベクトルの左側に置いて、行列と列ベクトルとを掛けて列ベクトルを得る演算で理解できる。
【0132】
<数式5>
【数5】
【0133】
数式5において、r1ないしr64は、対象ブロックに対する残差サンプルを示すことができ、より具体的には、1次変換を適用して生成された変換係数であり得る。数式5の演算の結果、対象ブロックに対する変換係数ciが導出されることができ、ciの導出過程は数式6の通りである。
【0134】
<数式6>
【数6】
【0135】
数式6の演算の結果、対象ブロックに対する変換係数c1ないしcRが導出されることができる。すなわち、R=16である場合、対象ブロックに対する変換係数c1ないしc16が導出されることができる。RSTではなく、通常の(regular)変換が適用されて、サイズが64×64(NxN)である変換行列が、サイズが64x1(Nx1)である残差サンプルに掛けられたら、対象ブロックに対する変換係数が64個(N個)導出されるかもしれないが、RSTが適用されたため、対象ブロックに対する変換係数が16個(R個)のみ導出される。対象ブロックに対する変換係数の総数がN個からR個に減少し、エンコード装置200がデコード装置300に送信するデータの量が減少するので、エンコード装置200-デコード装置300の間の送信効率が増加し得る。
【0136】
変換行列のサイズの観点から検討すると、通常の変換行列のサイズは64×64(NxN)であるが、簡素化変換行列のサイズは16×64(RxN)と減少するので、通常の変換を実行するときと比較すると、RSTを実行するときにメモリの使用をR/Nの割合で減少させることができる。また、通常の変換行列を用いるときの掛け算演算の数NxNと比較すると、簡素化変換行列を用いると、掛け算演算の数をR/Nの割合で減少(RxN)させることができる。
【0137】
一実施例において、エンコード装置200の変換部232は、対象ブロックに対する残差サンプルを1次変換およびRSTベースの2次変換を実行することによって、対象ブロックに対する変換係数を導出することができる。このような変換係数は、デコード装置300の逆変換部に伝達されることができ、デコード装置300の逆変換部322は、変換係数に対する逆RST(reduced secondary transform)に基づいて修正された変換係数を導出し、修正された変換係数に対する逆1次変換に基づいて、対象ブロックに対する残差サンプルを導出することができる。
【0138】
一実施例にかかる逆RST行列TNxRのサイズは、通常の逆変換行列のサイズNxNよりも小さいNxRであり、数式4に示した簡素化変換行列TRxNとトランスポーズ(transpose)の関係にある。
【0139】
図6の(b)に示したReduced Inv. Transformブロック内の行列Ttは、逆RST行列TRxN Tを意味することができる(上付き文字Tはトランスポーズを意味する)。図6の(b)のように、対象ブロックに対する変換係数に対して逆RST行列TRxN Tが掛けられる場合、対象ブロックに対する修正された変換係数または対象ブロックに対する残差サンプルが導出されることができる。逆RST行列TRxN Tは、(TRxNT NxRと表現することもある。
【0140】
より具体的には、2次逆変換に逆RSTが適用される場合には、対象ブロックに対する変換係数に対して逆RST行列TRxN Tが掛けられると、対象ブロックに対する修正された変換係数が導出されることができる。一方、逆1次変換に逆RSTが適用されることができ、この場合、対象ブロックに対する変換係数に対して逆RST行列TRxN Tが掛けられると、対象ブロックに対する残差サンプルが導出されることができる。
【0141】
一実施例において、逆変換が適用されるブロックのサイズが8×8であり、R=16(すなわち、R/N=16/64=1/4である場合)である場合、図6の(b)によるRSTは、下記の数式7のような行列演算で表現されることができる。
【0142】
<数式7>
【数7】
【0143】
数式7において、c1ないしc16は、対象ブロックに対する変換係数を示すことができる。数式7の演算の結果、対象ブロックに対する修正された変換係数または対象ブロックに対する残差サンプルを示すrjが導出されることができ、rjの導出過程は、数式8の通りである。
【0144】
<数式8>
【数8】
【0145】
数式8の演算の結果、対象ブロックに対する修正された変換係数または対象ブロックに対する残差サンプルを示すr1ないしrNが導出されることができる。逆変換行列のサイズの観点から検討すると、通常の逆変換行列のサイズは64×64(NxN)であるが、簡素化逆変換行列のサイズは、64x16(NxR)と減少するので、通常の逆変換を実行するときと比較すると、逆RSTを実行するときにメモリの使用をR/Nの割合で減少させることができる。また、通常の逆変換行列を用いるときの掛け算演算の数NxNと比較すると、簡素化逆変換行列を用いる場合、掛け算演算の数をR/Nの割合で減少(NxR)させることができる。
【0146】
一方、8×8のRSTに対しても、表2のような変換セットの構成を適用することができる。すなわち、表2における変換セットによって当該8×8のRSTが適用されることができる。1つの変換セットは、画面内の予測モードによって2個または3個の変換(カーネル)で構成されているので、2次変換を適用しない場合まで含めて、最大4個の変換のうちの1つを選択するように構成されることができる。2次変換を適用しないときの変換は、恒等行列が適用されたものとみなされ得る。4個の変換に対してそれぞれ0、1、2、3のインデックスを付与するとしたとき(例えば、0番のインデックスを恒等行列、すなわち、2次変換を適用しない場合に割り当てることができる)、変換インデックスまたはlfnstのインデックスというシンタックス要素(syntax element)を変換係数のブロックごとにシグナリングし、適用される変換を指定することができる。すなわち、変換インデックスを介して8×8左上側のブロックに対して、RSTの構成では8×8のRSTを指定することができ、またはLFNSTが適用される場合、8×8のlfnstを指定することができる。8×8のlfnstおよび8×8のRSTは、変換の対象になる対象ブロックのWおよびHが全て8よりも等しいか大きいとき、当該変換係数のブロック内部に含まれる8×8領域に適用されることができる変換を指し、当該8×8領域は、当該変換係数のブロック内部の左上側の8×8領域であり得る。同様に、4×4のlfnstおよび4×4のRSTは、対象ブロックのWおよびHが全て4よりも等しいか大きいとき、当該変換係数のブロック内部に含まれる4×4領域に適用されることができる変換を指し、当該4×4領域は、当該変換係数のブロック内部の左上側の4×4領域であり得る。
【0147】
一方、本文書の一実施例にかかり、エンコード過程の変換で、8×8領域を構成する64個のデータに対して、16×64の変換カーネル行列ではなく、48個のデータのみを選択し、最大16x48の変換カーネル行列を適用することができる。ここで、「最大」とは、m個の係数を生成することができるmx48の変換カーネル行列に対して、mの最大値が16ことを意味する。すなわち、8×8の領域にmx48の変換カーネル行列(m≦16)を適用してRSTを実行する場合、48個のデータの入力を受けて、m個の係数を生成できる。mが16である場合、48個のデータの入力を受けて、16個の係数を生成する。すなわち、48個のデータが48×1ベクトルをなすとしたとき、16x48行列と48×1ベクトルとを順序通りに掛けて、16×1ベクトルが生成されることができる。そのとき、8×8領域をなす48個のデータを適切に配列し、48×1ベクトルを構成することができる。そのとき、最大16x48の変換カーネル行列を適用して行列演算を行うと、16個の修正された変換係数が生成されるが、16個の修正された変換係数は、スキャン順序に従って左上側の4×4領域に配置されることができ、右上側の4×4領域と左下側の4×4領域とは、0で満たされ得る。
【0148】
デコード過程の逆変換には、上記述べられた変換カーネル行列のトランスポーズされた行列が使用されることができる。すなわち、デコード装置で実行される逆変換過程で逆RSTまたはLFNSTが実行される場合、逆RSTを適用する入力係数データは、所定の配列順序に従って1次元ベクトルで構成され、1次元ベクトルに当該逆RSTの行列を左側で掛けて得られた修正された係数ベクトルが所定の配列順序に従って2次元ブロックに配列されることができる。
【0149】
整理すると、変換過程で、8×8領域にRSTまたはLFNSTが適用される場合、8×8領域の変換係数のうち、8×8領域の右下側領域を除いた左上側、右上側、左下側領域の48個の変換係数と、16×48の変換カーネル行列と、の行列演算が実行される。行列演算のために、48個の変換係数は1次元の配列に入力される。このような行列演算が行われると、16個の修正された変換係数が導出され、修正された変換係数は、8×8領域の左上側領域に配列されることができる。
【0150】
逆に、逆変換過程で、8×8領域に逆RSTまたはLFNSTが適用される場合、8×8領域の変換係数のうち、8×8領域の左上側に対応する16個の変換係数は、スキャン順序に従って、1次元の配列形態で入力されて、48×16の変換カーネル行列と行列演算されることができる。すなわち、このような場合の行列演算は、(48×16行列)*(16×1変換係数ベクトル)=(48×1修正された変換係数ベクトル)で示すことができる。ここで、nx1ベクトルは、nx1行列の意味で解釈され得るので、nx1列ベクトルで表記されることもある。また、*は、行列の掛け算演算を意味する。このような行列演算が行われると、48個の修正された変換係数が導出されることができ、48個の修正された変換係数は、8×8領域の右下側領域を除いた左上側、右上側、左下側領域に配列されることができる。
【0151】
一方、2次逆変換がRSTに基づいて実行される場合、エンコード装置200の逆変換部235とデコード装置300の逆変換部322とは、変換係数に対する逆RSTに基づいて修正された変換係数を導出する逆RST部と、修正された変換係数に対する逆1次変換に基づいて上記対象ブロックに対する残差サンプルを導出する逆1次変換部と、を含むことができる。逆1次変換は、残差に適用された1次変換の逆変換を意味する。本文書において変換に基づいて変換係数を導出することは、当該変換を適用して変換係数を導出することを意味することができる。
【0152】
前述された非分離変換、LFNSTについて具体的にみると、次の通りである。LFNSTは、エンコード装置による順方向(forward)変換と、デコード装置による逆方向(inverse)変換と、を含むことができる。
【0153】
エンコード装置は、順方向1次変換(primary (core) transform)を適用した後、導出された結果(または結果の一部)を入力として、順方向2次変換(secondary transform)を適用する。
【0154】
<数式9>
【数9】
【0155】
上記数式9で、xおよびyは、それぞれ2次変換の入力および出力であり、Gは、2次変換を示す行列であって、変換基底ベクトル(transform basis vector)は列ベクトルで構成される。逆方向LFNSTの場合、変換行列Gの次元(dimension)を[row数×column数]で表記したとき、順方向LFNSTの場合、行列GのトランスポーズがGTの次元になる。
【0156】
逆方向LFNSTの場合、行列Gの次元は、[48×16]、[48×8]、[16×16]、[16×8]となり、[48×8]行列と[16×8]行列とは、それぞれ[48×16]行列と[16×16]行列との左側から8個の変換基底ベクトルをサンプリングした部分行列である。
【0157】
反面、順方向LFNSTの場合、行列GTの次元は、[16x48]、[8×48]、[16×16]、[8×16]となり、[8×48]行列と[8×16]行列とは、それぞれ[16x48]行列と[16×16]行列との上方から8個の変換基底ベクトルをサンプリングした部分行列である。
【0158】
したがって、順方向LFNSTの場合、入力xとしては[48×1]ベクトルまたは[16×1]ベクトルが可能であり、出力yとしては、[16×1]ベクトルまたは[8×1]ベクトルが可能である。ビデオコーディングおよびデコードにおける順方向1次変換の出力は、2次元(2D)データであるので、入力xとして[48×1]ベクトルまたは[16×1]ベクトルを構成するために、順方向変換の出力である2Dデータを適切に配列して1次元ベクトルを構成しなければならない。
【0159】
図7は、一例によって、順方向1次変換の出力データを1次元ベクトルに配列する順序を示した図である。図7の(a)および(b)の左側図は、[48×1]ベクトルを作るための順序(sequence、シーケンス)を示し、図7の(a)および(b)の右側図は、[16×1]ベクトルを作るための順序を示す。LFNSTの場合、図7の(a)および(b)のような順序で2Dデータを順次配列し、1次元ベクトルxが得られる。
【0160】
このような順方向1次変換の出力データの配列方向は、現ブロックのイントラ予測モードによって決定されることができる。例えば、現ブロックのイントラ予測モードが対角線方向を基準に水平方向である場合、順方向1次変換の出力データは、図7の(a)の順に配列されることができ、現ブロックのイントラ予測モードが対角線方向を基準に垂直方向である場合、順方向1次変換の出力データは、図7の(b)の順に配列されることができる。
【0161】
一例によって、図7の(a)および(b)の配列順序(ordering)と異なる配列順序を適用することができ、図7の(a)および(b)の配列順序を適用したときと同じ結果(yベクトル)を導出するためには、行列Gの列ベクトルを当該配列順序に合わせて再配列すればよい。すなわち、xベクトルを構成する各要素に対して、常時同じ変換基底ベクトルと掛けられるようにGの列ベクトルを再配置することができる。
【0162】
数式9を介して導出される出力yは、1次元ベクトルであるので、順方向2次変換の結果を入力として処理する構成、例えば、量子化または残差コーディングを実行する構成が、入力データとして2次元データが必要であれば、数式9の出力yベクトルは、再度2Dデータに適切に配置されなければならない。
【0163】
図8は、一例によって順方向2次変換の出力データを2次元ブロックに配列する順序を示した図である。
【0164】
LFNSTの場合、決められたスキャン順序に従って2Dブロックに配置されることができる。図8の(a)は、出力yが[16×1]ベクトルである場合、2次元ブロックの16個の位置に対角スキャン(diagonal scan)順序に従って出力値が配置されることを示す。図8の(b)は、出力yが[8×1]ベクトルである場合、2次元ブロックの8個の位置に対角スキャン順序に従って出力値が配置され、残りの8個の位置は0で満たされることを示す。図8の(b)のXは、0で満たされることを示す。
【0165】
別の例によって、量子化または残差コーディングを実行する構成により、出力ベクトルyが処理される順序は、予め設定された順序に従って実行されることができるため、図8のように、出力ベクトルyが2Dブロックに配置されないことがある。ただし、残差コーディングの場合、CG(Coefficient Group)のような2Dブロック(例えば、4×4)単位でデータコーディングが実行されることができ、この場合、図8の対角スキャン順序のように特定の順序に従ってデータが配列されることができる。
【0166】
一方、デコード装置は、逆方向の変換のために逆量子化過程などを通じて出力された2次元データを予め設定されたスキャン順序に従って配列(羅列)し、1次元入力ベクトルであるyを構成することができる。入力ベクトルyは、下記数式により入力ベクトルxに出力されることができる。
【0167】
<数式10>
【数10】
【0168】
逆方向LFNSTの場合、[16×1]ベクトルまたは[8×1]ベクトルである入力ベクトルyにG行列を掛けることによって、出力ベクトルxを導出することができる。逆方向LFNSTの場合、出力ベクトルxは、[48×1]ベクトルまたは[16×1]ベクトルであり得る。
【0169】
出力ベクトルxは、図7に示した順序に従って、2次元ブロックに配置されて2次元データに配列され、このような2次元データは、逆方向1次変換の入力データ(または入力データの一部)になる。
【0170】
したがって、逆方向2次変換は、全体的に順方向2次変換の過程と反対であり、逆変換の場合、順方向と異なり、逆方向2次変換を先に適用した後、逆方向1次変換を適用することになる。
【0171】
逆方向LFNSTでは、変換行列Gとして8個の[48×16]行列および8個の[16×16]行列のうちの1つが選択されることができる。[48×16]行列および[16×16]行列のうち、どの行列を適用するかは、ブロックのサイズおよび形状によって決定される。
【0172】
また、8個の行列は、前述した表2のように4個の変換セットから導出されることができ、各変換セットは、2個の行列で構成されることができる。4個の変換セットのうち、どの変換セットを使用するかは、イントラ予測モードによって決定され、より具体的には、広角イントラ予測モード(Wide Angle Intra Prediction、WAIP)まで考慮して、拡張されたイントラ予測モード値に基づいて変換セットが決定される。選択された変換セットを構成する2個の行列のうち、どの行列を選択するかは、インデックスシグナリング(index signaling)を介して導出される。より具体的には、送信されるインデックス値としては、0、1、2が可能であり、0は、LFNSTを適用しないことを指示し、1および2は、イントラ予測モード値に基づいて選択された変換セットを構成する2個の変換行列の何れかを指示することができる。
【0173】
図9は、本文書の一実施例に係る広角イントラ予測モードを示した図である。
【0174】
一般的なイントラ予測モード値は、0~66および81~83までの値を有することができ、示したように、WAIPにより拡張されたイントラ予測モード値は、-14~83までの値を有することができる。81~83までの値は、CCLM(Cross Compoonent Linear Model)モードを指し、-14~-1までの値および67~80までの値は、WAIPの適用により拡張されたイントラ予測モード値を指す。
【0175】
予測現ブロックの幅が高さよりも大きい場合、大体上方の参照ピクセルが予測しようとするブロック内部の位置とさらに近い。したがって、右上側(top-right)方向に予測するよりも、左下側(bottom-left)方向に予測することがより正確であり得る。反対に、ブロックの高さが幅よりも大きい場合は、左側の参照ピクセルが予測しようとするブロック内部の位置と大体近い。したがって、左下側(bottom-left)方向に予測するよりも、右上側(top-right)方向に予測することがより正確であり得る。したがって、広角イントラ予測モードのインデックスでリマッピング、すなわち、モードインデックスの変換を適用することが有利なことがある。
【0176】
広角イントラ予測が適用される場合、既存のイントラ予測に関する情報がシグナリングされることができ、上記情報がパージングされた後、上記情報が上記広角イントラ予測モードのインデックスでリマッピングされることができる。したがって、特定のブロック(例えば、特定のサイズの非正方形ブロック)に対する総イントラ予測モードの数は、変更されなくてもよく、すなわち、総イントラ予測モードの数は67個であり、上記特定のブロックに対するイントラ予測モードのコーディングは変更されなくてもよい。
【0177】
下記の表3は、イントラ予測モードを広角イントラ予測モードでリマッピングして修正されたイントラモードを導出する過程を示している。
【0178】
<表3>
【表3】
【0179】
表3で最終的にpredModeIntra変数に拡張されたイントラ予測モード値が記憶され、ISP_NO_SPLITは、現在のVVC標準に採択されたIntra Sub Partitions(ISP)技術によりCUブロックがサブパーティションに分割されないことを示し、cIdxの変数値が0、1、2であるのは、各々ルマ、Cb、Crコンポーネントの場合を指す。表3で登場するLog2の関数は、ベース(base)が2であるログ値をリターンし、Absの関数は、絶対値をリターンする。
【0180】
広角イントラ予測モードのマッピング過程(Wide angle intra prediction mode mapping process)の入力値としてイントラ予測モードを指示する変数predModeIntra、変換ブロックの高さおよび幅などが使用され、出力値は、修正されたイントラ予測モード(the modified intra prediction mode predModeIntra)になる。変換ブロックまたはコーディングブロックの高さおよび幅がイントラ予測モードのリマッピングのための現ブロックの高さおよび幅になる。そのとき、高さと幅との比率を反映する変数whRatioは、Abs(Log2(nW/nH))に設定されることができる。
【0181】
正方形ではないブロックに対して、イントラ予測モードは、2つの場合に区分されて修正されることができる。
【0182】
まず、(1)現ブロックの幅が高さよりも大きく、(2)修正前のイントラ予測モードが2と等しいか大きく、(3)イントラ予測モードが、変数whRatioが1よりも大きい場合は(8+2*whRatio)で導出される値よりも、変数whRatioが1よりも等しいか小さい場合は8(で導出される値)よりも、小さい[predModeIntra is less than (whRatio>1)?(8+2*whRatio):8]という全ての条件を満たすと、イントラ予測モードは、イントラ予測モードよりも65大きい値に設定される[predModeIntra is set equal to(predModeIntra+65)]。
【0183】
上記と異なる場合、(1)現ブロックの高さが幅よりも大きく、(2)修正前のイントラ予測モードが66と等しいか小さく、(3)イントラ予測モードが、変数whRatioが1よりも大きい場合は(60-2*whRatio)で導出される値よりも、変数whRatioが1よりも等しいか小さい場合は60(で導出される値)よりも、大きい[predModeIntra is greater than (whRatio>1)?(60-2*whRatio):60]という全ての条件を満たすと、イントラ予測モードは、イントラ予測モードよりも67小さい値に設定される[predModeIntra is set equal to (predModeIntra-67)]。
【0184】
前述した表2は、LFNSTでWAIPにより拡張されたイントラ予測モード値に基づいて、変換セットがどのように選択されるかを示している。図9のように、14~33までのモードと35~80までのモードとは、モード34を中心に予測方向の観点から互いに対称である。例えば、モード14とモード54とは、モード34に該当する方向を中心に対称である。したがって、互いに対称的な方向に位置するモード同士は、同じ変換セットを適用することになり、表2でも、このような対称性が反映されている。
【0185】
ただし、モード54に対する順方向LFNSTの入力データは、モード14に対する順方向LFNSTの入力データと対称をなすと仮定する。例えば、モード14およびモード54については、各々図7の(a)および図7の(b)に示した配列順序に従って、2次元データを1次元データに再配列することになり、図7の(a)および図7の(b)に示した順序のパターンは、モード34の指す方向(対角線方向)を中心に対称であることが分かる。
【0186】
一方、前述したように、[48×16]行列および[16×16]行列のうち、どの変換行列をLFNSTに適用するか否かは、変換対象ブロックのサイズおよび形状により決定される。
【0187】
図10は、LFNSTが適用されるブロックの形状を示した図である。図10の(a)は4×4ブロックを、(b)は4x8および8×4ブロックを、(c)はNが16以上である4xNまたはNx4ブロックを、(d)は8×8ブロックを、(e)はM≧8、N≧8であり、N>8またはM>8であるMxNブロックを示している。
【0188】
図10で、太い枠を有するブロックが、LFNSTが適用される領域を指す。図10の(a)および(b)のブロックについては、左上側(top-left)の4×4領域に対してLFNSTが適用され、図10の(c)のブロックに対しては、連続して配置された2個の左上側の4×4領域に対して、それぞれLFNSTが適用される。図10の(a)、(b)、(c)では、4×4領域の単位でLFNSTが適用されるので、このようなLFNSTを以下「4×4のLFNST」と名づけることとし、当該変換行列としては、数式9および数式10のGに対する行列次元に基づいて(を基準)[16×16]または[16×8]行列が適用されることができる。
【0189】
より具体的には、図10の(a)の4×4ブロック(4×4TUまたは4×4CU)に対しては[16×8]行列が適用され、図10の(b)および(c)におけるブロックに対しては[16×16]行列が適用される。これは、最悪の場合(worst case)に対する計算複雑度をサンプルあたり8掛け算(8 multiplications per sample)に合わせるためである。
【0190】
図10の(d)および(e)については、左上側の8×8領域に対してLFNSTが適用され、このようなLFNSTを以下「8×8のLFNST」と名付けることとする。当該変換行列としては、[48×16]または[48×8]行列が適用されることができる。順方向LFNSTの場合、入力データとして[48×1]ベクトル(数式9のxベクトル)が入力されるので、左上側の8×8領域の全てのサンプル値が順方向LFNSTの入力値として使用されない。すなわち、図7の(a)の左側順序または図7の(b)の左側順序で見るように、右下側(bottom-right)の4×4ブロックはそのまま置いて、残りの3個の4×4ブロックに属するサンプルに基づいて、[48×1]ベクトルを構成することができる。
【0191】
図10の(d)における8×8ブロック(8×8TUまたは8×8CU)に[48×8]行列が適用され、図10の(e)における8×8ブロックに[48×16]行列が適用されることができる。これもやはり、最悪の場合(worst case)に対する計算複雑度をサンプルあたり8掛け算(8 multiplications per sample)に合わせるためである。
【0192】
ブロックの形状に応じて、これに対応する順方向LFNST(4×4LFNSTまたは8×8LFNST)が適用されると、8個または16個の出力データ(数式9におけるyベクトル、[8×1]または[16×1]ベクトル)が生成され、順方向LFNSTでは、行列GTの特性上、出力データの数が入力データの数よりも等しいか少なくなる。
【0193】
図11は、一例によって順方向LFNSTの出力データの配置を示した図面であり、ブロック形状に沿って順方向LFNSTの出力データが配置されるブロックを示す。
【0194】
図11に示したブロックの左上側に陰影で処理された領域が順方向LFNSTの出力データが位置する領域に該当し、0で表記された位置は0値で満たされるサンプルを示し、残りの領域は、順方向LFNSTにより変更されない領域を示す。LFNSTにより変更されない領域には、順方向1次変換の出力データが変更されずにそのまま存在する。
【0195】
前述したように、ブロックの形状に応じて適用される変換行列の次元が変わるので、出力データの数も変わる。図11のように、順方向LFNSTの出力データが左上側4×4ブロックを全て満たさないこともある。図11の(a)および(d)の場合、太い線で表示されたブロックまたはブロック内部の一部領域には、それぞれ[16×8]行列および[48×8]行列が適用されて、順方向LFNSTの出力で[8×1]ベクトルが生成される。すなわち、図8の(b)に示したスキャン順序に従って、8個の出力データのみ図11の(a)および(d)のように満たされ、残りの8個の位置に対しては0が満たされることができる。図10の(d)のLFNSTの適用ブロックの場合、図11の(d)のように左上側の4×4ブロックに隣接する右上側および左下側の2個の4×4ブロックも0値で満たされる。
【0196】
上記のように、基本的にLFNSTインデックスをシグナリングし、LFNSTの適用が可能か否か、および適用する変換行列を指定することになる。図11に示したように、LFNSTが適用される場合、順方向LFNSTの出力データの数が入力データの数よりも等しいか少ないことがあるため、0値で満たされる領域が次のように発生する。
【0197】
1)図11の(a)のように、左上側の4×4ブロック内にスキャン順序上8番目以降の位置、すなわち、9番目から16番目までのサンプル
【0198】
2)図11の(d)および(e)のように、[16×48]行列または[8×48]行列が適用されて、左上側の4×4ブロックに隣接する2つの4×4ブロックまたはスキャン順序上の2番目および3番目の4×4ブロック
【0199】
したがって、上記1)および2)の領域をチェックし、0ではない(non-zero)データが存在することになると、LFNSTが適用されていないことが確実であるため、当該LFNSTインデックスのシグナリングを省略することができる。
【0200】
一例によって、例えば、VVC標準に採択されたLFNSTの場合、LFNSTインデックスのシグナリングは、残差コーディングの後に実行されるので、エンコード装置は、残差コーディングを介してTUまたはCUブロック内部の全ての位置に対する0ではないデータ(有効係数)の存在が可能か否かが分かる。したがって、エンコード装置は、0ではないデータの存在が可能か否かを通じて、LFNSTインデックスに対するシグナリングを実行するか否かを判断することができ、デコード装置は、LFNSTインデックスのパージングが可能か否かを判断することができる。上記1)および2)で指定された領域に0ではないデータが存在しない場合、LFNSTインデックスのシグナリングを実行する。
【0201】
LFNSTインデックスのバイナリ化方法として、トランケートされたユーナリ(単項)コード(truncated unary code)を適用するため、LFNSTインデックスは、最大2つのBean(ビン、bins)で構成され、可能なLFNSTインデックス値である0、1、2のバイナリコードではそれぞれ0、10、11が割り当てられる。一例によれば、第1のビンに対してはコンテキストベースのCABACコーディングが適用され(regular coding)、第2のビンに対してもコンテキストベースのCABACコーディングが適用され得る。LFNSTインデックスのコーディングを表に示すと以下の通りである。
【0202】
<表4>
【表4】
【0203】
表4に示すように、最初のBean(binIdx = 0)に対しては、シングルツリーの場合0番のコンテキストを適用し、シングルツリー以外の場合は1番のコンテキストを適用できる。また、表4に示すように、2番目のBean(binIdx = 1)に対しては2番のコンテキストを適用できる。つまり、最初のビンには2つのコンテキストが割り当てることができ、2番目のビンには1つのコンテキストが割り当てることができ、ctxInc値(0、1、2)で各コンテキストが区分され得る。
【0204】
ここで、シングルツリーとは、ルマ成分とクロマ成分とが同じコーディング構造(coding structure)を有してコーディングされることを意味する。コーディングユニットが同じコーディング構造を有しつつ分割される途中、コーディングユニットのサイズが特定の閾値以下になり、ルマ成分とクロマ成分とが別々のツリー構造を有してコーディングされる場合、当該コーディングユニットについてはデュアルツリーとみなし、最初のビンのコンテキストが決定されることができる。つまり、表4のように1番のコンテキストを割り当てることができる。
【0205】
あるいは、最初のBeanの変数treeTypeの値がSINGLE_TREEに割り当てられる場合、0番のコンテキストを、そうでない場合は、1番コンテキストを使用してコーディングできる。
【0206】
一方、採択されたLFNSTに対して、次のような単純化方法が適用されることができる。
【0207】
(i)一例によって、順方向LFNSTに対する出力データの数を最大16個に限定することができる。
【0208】
図10の(c)の場合、左上側に隣接する2個の4×4領域にそれぞれ4×4LFNSTが適用されることができ、そのとき、最大32個のLFNST出力データが生成されることができる。順方向LFNSTに対する出力データの数を最大16に限定すると、4xN/Nx4(N≧16)ブロック(TUまたはCU)に対しても、左上側に存在する1個の4×4領域に対してのみ4×4LFNSTを適用し、図10の全てのブロックに対して、LFNSTを一度だけ適用できる。これを通じて、映像エンコードに対する具現が単純になる。
【0209】
図12は、一例によって、順方向LFNSTに対する出力データの数を最大16個に限定したことを示す。図12のように、Nが16以上である4xNまたはNx4ブロックで最左上側の4×4領域に対してLFNSTが適用されると、順方向LFNSTの出力データは16個になる。
【0210】
(ii)一例によって、LFNSTが適用されない領域に対して、さらにゼロアウト(zero-out)を適用することができる。本文書におけるゼロアウトは、特定の領域に属する全ての位置の値が0で満たされることを意味することができる。すなわち、LFNSTにより変更されずに順方向1次変換の結果を維持している領域に対しても、ゼロアウトを適用することができる。前述したように、LFNSTは4×4LFNSTと8×8LFNSTとに区分されるので、次のように2種類((ii)-(A)および(ii)-(B))にゼロアウトを区分することができる。
【0211】
(ii)-(A)4×4のLFNSTが適用されるとき、4×4のLFNSTが適用されない領域をゼロアウトすることができる。図13は、一例によって、4×4のLFNSTが適用されるブロックにおけるゼロアウトを示す図である。
【0212】
図13のように、4×4のLFNSTが適用されるブロックに対して、すなわち、図11の(a)、(b)および(c)のブロックに対してLFNSTが適用されない領域まで全て0で満たされることができる。
【0213】
一方、図13の(d)は、図12のように順方向LFNSTの出力データの個数の最大値を16に限定した場合、4×4LFNSTが適用されない残りのブロックに対してゼロアウトを行ったことを示す。
【0214】
(ii)-(B)8x8のLFNSTが適用されるとき、8x8のLFNSTが適用されない領域をゼロアウトすることができる。図14は、一例によって、8x8LFNSTが適用されるブロックにおけるゼロアウトを示す図である。
【0215】
図14のように、8x8のLFNSTが適用されるブロックに対して、すなわち、図11の(d)および(e)のブロックに対して、LFNSTが適用されない領域まで全て0で満たされることができる。
【0216】
(iii)上記(ii)で提示したゼロアウトにより、LFNSTが適用されるとき、0で満たされる領域が変わり得る。したがって、上記(ii)で提案されたゼロアウトによって0ではないデータが存在するか否かを、図11のLFNSTの場合よりも広い領域に対してチェックすることができる。
【0217】
例えば、(ii)-(B)を適用する場合、図11の(d)および(e)で0値で満たされる領域に加えて、図14でさらに0で満たされた領域まで0ではないデータが存在するか否かをチェックした後、0ではないデータが存在しない場合にのみ、LFNSTインデックスに対するシグナリングを実行することができる。
【0218】
もちろん、上記(ii)で提案されたゼロアウトを適用しても、既存のLFNSTインデックスのシグナリングと同じように、0ではないデータが存在するか否かをチェックすることができる。すなわち、図11に0で満たされたブロックに対して、0ではないデータが存在するか否かをチェックし、LFNSTインデックスのシグナリングを適用することができる。このような場合、エンコード装置にのみゼロアウトを実行し、デコード装置では当該ゼロアウトを仮定せず、すなわち、図11で明示的に0で表記された領域に対してのみ0ではないデータが存在するか否かのみをチェックし、LFNSTインデックスのパージングを実行することができる。
【0219】
上記LFNSTに対する単純化方法((i),(ii)-(A),(ii)-(B),(iii))の組み合わせを適用した様々な実施形態が導出される。もちろん、上記単純化方法に対する組み合わせは、下記の実施形態に限定されず、任意の組み合わせをLFNSTに適用することができる。
【0220】
実施形態
【0221】
-順方向LFNSTに対する出力データの数を最大16個に限定→(i)
【0222】
-4x4のLFNSTが適用されるとき、4x4のLFNSTが適用されない領域を全てゼロアウト→(ii)-(A)
【0223】
-8x8のLFNSTが適用されるとき、8x8のLFNSTが適用されない領域を全てゼロアウト→(ii)-(B)
【0224】
-既存の0値で満たされる領域と追加的なゼロアウト((ii)-(A)、(ii)-(B))により0で満たされる領域とに対しても0ではないデータが存在するか否かをチェックした後、0ではないデータが存在しない場合にのみLFNSTインデキシングのシグナリング→(iii)
【0225】
上記実施形態の場合、LFNSTが適用されるとき、0ではない出力データが存在できる領域が左上側4×4領域の内部に制限される。より詳しくは、図13の(a)および図14の(a)の場合、スキャン順序において8番目の位置が0ではないデータが存在できる最後の位置になり、図13の(b)および(d)と図14の(b)との場合、スキャン順序において16番目の位置(すなわち、左上側4×4ブロックの右下側の位置)が0ではないデータが存在できる最後の位置になる。
【0226】
したがって、LFNSTが適用されたとき、残差コーディング過程が許容されない位置(最後の位置を越えた位置で)で0ではないデータが存在するか否かをチェックした後、LFNSTインデックスのシグナリングが可能か否かが決定されることができる。
【0227】
(ii)で提案されたゼロアウト方式の場合、1次変換とLFNSTとの両方ともを適用したときに最終的に発生するデータの数が減少するため、全体変換過程を行うときに要求される計算量を減らすことができる。すなわち、LFNSTが適用される場合、LFNSTが適用されない領域に存在する順方向1次変換出力データに対してもゼロアウトを適用するため、順方向1次変換を行うときからゼロアウトとなる領域に対するデータを生成する必要がない。したがって、当該データ生成に要求される演算量を節約することができる。(ii)で提案されたゼロアウト方式の追加的な効果をまとめると、以下の通りである。
【0228】
第1に、上記のように全体変換過程の実行に必要な計算量が低減する。
【0229】
特に、(ii)-(B)を適用する場合、最悪の場合に対する計算量が減少して変換の過程を軽量化することができる。言い換える(敷衍する)と、一般的に大きなサイズの1次変換実行に大量の演算が要求されるが、(ii)-(B)を適用すると、順方向LFNST実行結果として導出されるデータの数を16個以下に減らすことができ、全体ブロック(TUまたはCU)サイズが大きくなるほど、変換演算量低減効果はさらに増加する。
【0230】
第2に、変換過程全体に必要な演算量が減少して変換実行に必要な電力消費を削減することができる。
【0231】
第3に、変換過程に伴う遅延時間(latency)を減少させる。
【0232】
LFNSTのような2次変換は、既存の1次変換に計算量を追加することになるので、変換実行に伴う全体遅延時間を増加させる。特に、イントラ予測の場合、予測過程で隣接ブロックの復元データが使用されるので、エンコード時に2次変換による遅延時間の増加が復元(reconstruction)までの遅延時間の増加につながり、イントラ予測エンコードの全体的な遅延時間の増加につながる可能性がある。
【0233】
しかしながら、(ii)で提示したゼロアウトを適用すると、LFNST適用時に1次変換実行の遅延時間を大幅に減らすことができるため、変換実行全体に対する遅延時間はそのまま維持されるか低減することになり、エンコード装置をより簡単に実現することができる。
【0234】
一方、従来のイントラ予測は、現在コーディングしようとするブロックを1つのコーディングユニットとみなして分割なしでコーディングを行っていた。しかしながら、ISP(Intra Sub-Paritions)コーディングは、現在コーディングしようとするブロックを水平方向または垂直方向に分割してイントラ予測コーディングを行うことを意味する。このとき、分割されたブロック単位でコーディング/デコード化を行って復元されたブロックを生成し、復元されたブロックは、次の分割されたブロックの参照ブロックとして使用される。一例によって、ISPコーディング時に1つのコーディングブロックが2つまたは4つのサブブロックに分割されてコーディングされてもよく、ISPにおいて1つのサブブロックは、隣接する左側または隣接する上側に位置するサブブロックの復元されたピクセル値を参照してイントラ予測が行われる。以下、使用される「コーディング」は、エンコード装置において行われるエンコードとデコード装置で行われるデコードとを全て含む概念として使用される。
【0235】
一方、以下においては、LFNSTインデックスおよびMTSインデックスのシグナリングについて注意深く見る。
【0236】
一例に係るLFNSTインデックスおよびMTSインデックスのシグナリングに関連するコーディングユニットシンタックステーブル、変換ユニットシンタックステーブル、および残差コーディングシンタックステーブルは、以下の表の通りである。表5によれば、MTSインデックスは、変換ユニットレベルからコーディングユニットレベルのシンタックスに移動し、LFNSTインデックスシグナリングの後にシグナリングされる。また、コーディングユニットにISPが適用される場合、LFNSTを許容しない制限條件が除去されるのでLFNSTを全てのイントラ予測ブロックに適用することができる。さらに、MTSインデックスおよびLFNSTインデックスのすべてがコーディングユニットレベルの最後の部分に条件付きでシグナリングされる。
【0237】
<表5>
【表5】
【0238】
<表6>
【表6】
【0239】
<表7>
【表7】
【0240】
上記表の主な変数の意味は、次の通りである。
【0241】
CbWidth、CbHeight:現在のコーディングブロック(Coding Block)の幅および高さ
【0242】
log2TbWidth, log2TbHeight:現在の変換ブロック(Transform Block)の幅および高さに対するベース-2のログ値、ゼロアウトが反映され、0でない係数(non-zero coefficient)が存在できる左上端領域に縮小され得る。
【0243】
3.sps_lfnst_enabled_flag:LFNSTの適用が可能か否かを示すフラグとして、フラグ値が0の場合、LFNSTが適用不可であることを示し、フラグ値が1の場合、LFNSTが適用可能であることを示す。シーケンスパラメータセット(Sequence Parameter Set; SPS)で定義されいる。
【0244】
4.CuPredMode[ chType ][ x0 ][ y0 ]: 変数chTypeおよび(x0, y0)位置に対応する予測モード、chTypeは、0および1の値を有し得、0はルマ成分を表し、1はクロマ成分を表す。(x0、y0)位置は、ピクチャ上の位置を示し、CuPredMode[chType][x0][y0]値としては、MODE_INTRA(イントラ予測)およびMODE_INTER(インター予測)が可能である。
【0245】
5.IntraSubPartitionsSplit[ x0 ][ y0 ]: (x0, y0)位置の内容は、4番と同じである。(x0,y0)位置でどのISP分割が適用されたかを示し、ISP_NO_SPLITは、(x0,y0)位置に対応するコーディングユニットがパーティションブロックに分割されないことを示す。
【0246】
6. intra_mip_flag[ x0 ][ y0 ]: (x0, y0)位置に関する内容は、上記4番と同じである。intra_mip_flagは、MIP(Matrix-based Intra Prediction)予測モードが適用されたか否かを示すフラグである。フラグ値が0であればMIPが適用されることができないことを示し、フラグ値が1であればMIPが適用されることを示す。
【0247】
7.cIdx:0値はルマを表し、1値および2値は、それぞれクロマ成分であるCb、Crを表す。
【0248】
8.treeType:シングルツリー(single-tree)およびデュアルツリー(dual-tree)などを指す(SINGLE_TREE:シングルツリー、DUAL_TREE_LUMA:ルマ成分のデュアルツリー、DUAL_TREE_CHROMA:クロマ成分のデュアルツリー)
【0249】
9. lastSubBlock:最後の有効係数(last non-zero coefficient)が位置するサブブロック(sub-block、Coefficient Group(CG))のスキャン順序上の位置を示す。0はDC成分が含まれるサブブロックを指し、0より大きい場合はDC成分を含むサブブロックではない。
【0250】
10. lastScanPos:最後の有効係数が1つのサブブロック内でスキャン順にどの位置にあるかを示す。1つのサブブロックが16個の位置で構成されている場合、0から15までの値が可能である。
【0251】
11. lfnst_idx[ x0 ][ y0 ]: パージングしようとするLFNSTインデックスシンタックスエレメントである。パージングされない場合は、ゼロ値に類推される。つまり、デフォルト値がゼロに設定され、LFNSTを適用しないことを示す。
【0252】
12.LastSignificantCoeffX、LastSignificantCoeffY:最後の有効係数が変換ブロック内に位置するx座標およびy座標を示す。x座標は0から始まり、左から右に増加し、y座標は0から始まり上から下に増加する。2つの変数の値が全てゼロの場合、最後の有効係数がDCに位置することを意味する。
【0253】
13. cu_sbt_flag:現在VVC標準に含まれるサブブロック変換(SubBlock Transform、SBT)が適用可能かどうかを示すフラグとして、フラグ値が0の場合、SBTが適用不可であることを示し、フラグ値が1の場合、SBTが適用されることを示す。
【0254】
144.sps_explicit_mts_inter_enabled_flag,sps_explicit_mts_intra_enabled_flag: それぞれインターCUおよびイントラCUに対して明示的なMTSが適用されたかどうかを示すフラグとして、該フラグ値が0である場合、インターCUまたはイントラCUに対してMTSが適用不可であることを示し、1である場合、適用可能であることを示す。
【0255】
15. tu_mts_idx[ x0 ][ y0 ]: パージングしようとするMTSインデックスシンタックスエレメントである。パージングされない場合は、ゼロ値に類推される。すなわち、デフォルト値がゼロに設定され、水平方向および垂直方向の両方にDCT-2が適用されることを示す。
【0256】
表5に示すように、mts_idx [x0] [y0]をコーディングするときにいくつかの条件がチェックされ、lfnst_idx [x0] [y0]値が0の場合にのみtu_mts_idx [x0] [y0]がシグナリングされる。
【0257】
また、tu_Cbf_luma[x0][y0]は、ルマ成分に対して有効係数があるか否かを示すフラグである。
【0258】
表5によると、ルマ成分のコーディングユニットの幅および高さがすべて32以下のとき、mts_idx[ x0 ][ y0 ]がシグナリングされ(Max( CbWidth, CbHeight ) <= 32)、つまり、MTS適用の有無がルマ成分に対するコーディングユニットの幅および高さによって決まる。
【0259】
さらに、表5によれば、ISPモードであっても(IntraSubPartitionsSplitType!=ISP_NO_SPLIT)lfnst_idx[x0][y0]をシグナリングするように構成することができ、全てのISPパーティションブロックに対して同じLFNSTインデックス値を適用することができる。
【0260】
一方、mts_idx[x0][y0]は、ISPモードではない場合にのみシグナリングできる(IntraSubPartitionsSplit [x0] [y0] = = ISP_NO_SPLIT)。
【0261】
表7に示すように、log2ZoTbWidthおよびlog2ZoTbHeightを決定する過程で(ここで、log2ZoTbWidthおよびlog2ZoTbHeightは、それぞれゼロアウトが行われた後の残りの左上端領域の幅および高さのベース2(base-2)ログ(log)値を示す)mts_idx[x0][y0](x0] [y0])値をチェックする部分を省略することができる。
【0262】
また、一例に従って、残差コーディングにおいてlog2ZoTbWidthおよびlog2ZoTbHeightを決定する際にsps_mts_enable_flagをチェックする条件を追加することができる。
【0263】
表5の変数LfnstZeroOutSigCoeffFlagは、LFNSTが適用されるときにゼロアウトになる位置に有効係数がある場合は0であり、そうでない場合は1になる。変数LfnstZeroOutSigCoeffFlagは、表7に示された様々な条件に従って設定できる。
【0264】
一例によれば、表5の変数LfnstDcOnlyは、該CBF(Coded Block Flag、該ブロック内に有効係数が1つでも存在すれば1、しないと0)値が1である変換ブロックに対して最後の有効係数が全てDC位置(左上端位置)に位置すると1となり、そうでなければ0となる。より具体的には、デュアルツリールマの場合は、最後の有効係数の位置を1つのルマ変換ブロックに対してチェックし、デュアルツリークロマの場合には、Cbに対する変換ブロックおよびCrに対する変換ブロックの全てについて最後の有効係数位置をチェックする。シングルツリーの場合には、ルマ、Cb、Crの変換ブロックに対して最後の有効係数位置をチェックできる。
【0265】
表5において、MtsZeroOutSigCoeffFlagは最初に1に設定され、この値は表7の残差コーディングで変更できる。変数MtsZeroOutSigCoeffFlagは、ゼロアウトによってゼロで埋めなければならない領域( LastSignificantCoeffX > 15 | | LastSignificantCoeffY > 15 )に有効係数が存在すると、その値が1から0に変更され、この場合、表5に示すように、MTSインデックスは、シグナリングされない。
【0266】
一方、表5のように、tu_Cbf_luma [x0] [y0]が0の場合、mts_idx [x0] [y0]コーディングを省略することができる。すなわち、ルマ成分のCBF値が0であれば変換を適用しないため、MTSインデックスをシグナリングする必要がないので、MTSインデックスコーディングを省略することができる。
【0267】
一例によれば、上記技術的特徴は、他の条件付き構文で実現することができる。例えば、MTSが実行された後、現ブロックのDC領域を除外した領域に有効係数が存在するか否かを示す変数を導出することができ、上記変数がDC領域を除外した領域に有効係数が存在することを示すとMTSインデックスをシグナリングできる。すなわち、現ブロックのDC領域を除外した領域に有効係数が存在するということは、tu_Cbf_luma[x0][y0]値が1であることを示し、この場合、MTSインデックスをシグナリングすることができる。
【0268】
上記変数はMtsDcOnlyで表すことができ、変数MtsDcOnlyは、コーディングユニットレベルで最初に1に設定された後、残差コーディングレベルで現ブロックのDC領域を除外した領域に有効係数が存在することを示す場合、その値が0に変更されることがある。変数MtsDcOnlyが0の場合、MTSインデックスがシグナリングされるように映像情報が構成され得る。
【0269】
tu_Cbf_luma[x0][y0]が0の場合は、表6の変換ユニットレベルで残差コーディングシンタックスの呼び出しが行われないため、変数MtsDcOnlyは初期値1を維持するようにする。この場合、変数MtsDcOnlyが0に変更されていないため、MTSインデックスがシグナリングされないように映像情報が構成され得る。つまり、MTSインデックスは、パージングおよびシグナリングされない。
【0270】
一方、デコード装置は、表7の変数MtsZeroOutSigCoeffFlagを導出するために変換係数のカラーインデックスcIdxを判断することができる。カラーインデックス(cIdx)が0であることは、ルマ成分を意味する。
【0271】
一例に従って、現ブロックのルマ成分にのみMTSを適用することができるので、デコード装置は、MTSインデックスのパージングが可能か否かを決定する変数MtsZeroOutSigCoefFlagを導出するときにカラーインデックスがルマであるかどうかを判断することができる。
【0272】
変数MtsZeroOutSigCoeffFlagは、MTS適用時にゼロアウトが行われたか否かを示す変数として、MTS実行後にゼロアウトによって最後の有効係数が存在できる左上端領域、すなわち左上端16X16領域以外の領域に変換係数が存在するか否かを示す。変数MtsZeroOutSigCoeffFlagは、表5に示すように、コーディングユニットレベルで最初に1に設定され(MtsZeroOutSigCoeffFlag = 1)、16X16領域以外の領域に変換係数が存在すると、表7に示すように、残差コーディングレベルでその値が1から0に変更され得る。(MtsZeroOutSigCoeffFlag = 0)。変数MtsZeroOutSigCoeffFlagの値が0である場合、MTSインデックスはシグナリングされない。
【0273】
表7に示すように、残差コーディングレベルにおいて、MTSに付随されたゼロアウトが実行されたかどうかに応じてゼロでない変換係数が存在することができるノン(ロン)ゼロアウト領域が設定され得、この場合にも、カラーインデックス(cIdx)がゼロの場合、ノンゼロアウト領域は、現ブロックの左上端16×16領域に設定されることができる。
【0274】
このように、MTSインデックスのパージングが可能か否かを決定する変数を導出するときは、カラー成分がルマであるかクロマであるかを判断するが、現ブロックのルマ成分またはクロマ成分の全てにLFNSTを適用できるので、LFNSTインデックスkのパージングが可能か否かを決定する変数を導出するときは、色成分を判断しない。
【0275】
たとえば、表5には、LFNST適用時にゼロアウトが行われたことを示すことができる変数LfnstZeroOutSigCoeffFlagが示されている。変数LfnstZeroOutSigCoeffFlagは、現ブロックの左上端の第1領域を除外した第2領域に有効係数があるかどうかを示すもので、この値は最初に1に設定され、第2領域に有効係数が存在すると、その値は0に変更することができる。最初に設定された変数LfnstZeroOutSigCoeffFlag値が1に維持されるべきで、LFNSTインデックスをパージングできる。変数LfnstZeroOutSigCoeffFlag値が1かどうかを判断および導出するとき、現ブロックのルマ成分またはクロマ成分の全てにLFNSTを適用することができるので、現ブロックのカラーインデックスは判断されない。
【0276】
一方、一例に係るLFNSTインデックスをシグナリングするコーディングユニットのシンタックステーブルは、次の通りである。
【0277】
<表8>
【表8】
【0278】
表8において、lfnst_idxは、LFNSTインデックスを意味し、前述したように0、1、2の値を有することができる。表8に示すように、lfnst_idxは、( !intra_mip_flag[ x0 ][ y0 ] | | Min( lfnstWidth, lfnstHeight ) >= 16 ) という条件が満たされた場合にのみシグナリングされる。ここで、intra_mip_flag[ x0 ][ y0 ]は、(x0, y0)座標が属するルマブロックにMIP (Matrix-based Intra Prediction)モードが適用されるかどうかを示すフラグであり、ルマブロックにMIPモードが適用される場合、その値は1になり、適用されなければゼロになる。
【0279】
lfnstWidthおよびlfnstHeightは、現在コーディングされるコーディングブロック(ルマコーディングブロックおよびクロマコーディングブロックの全てを含む)に対してLFNSTが適用される幅および高さを示す。コーディングブロックにISPが適用される場合、2つまたは4つに分割された各パーティションブロックの幅および高さを指すことができる。
【0280】
また、上記条件において、Min( lfnstWidth, lfnstHeight ) >= 16は、MIPが適用される場合、16x16ブロック以上である場合(例えば、MIPが適用されたルマコーディングブロックの幅および高さがすべて16以上である場合)のみLFNSTが適用されることができることを示す。表4の説明と重複しない表8に含まれている主要な変数の意味を簡単に紹介すると、次の通りである。
【0281】
1.IntraSubPartitionsSplitType:現在のコーディングユニットに対してISPパーティションがどのように行われたかを示し、ISP_NO_SPLITは、該コーディングユニットがパーティションブロックに分割されたコーディングユニットではないことを意味する。ISP_VER_SPLITは垂直方向に分割されたものを指し、ISP_HOR_SPLITは水平方向に分割されることを指す。たとえば、W x H(幅W、高さH)ブロックがn個のパーティションブロックに水平に分割される場合、W x(H/n)ブロックに分割され、W x H(幅W、高さH )ブロックがn個のパーティションブロックに垂直に分割される場合(W/n)x Hブロックに分割される。
【0282】
2. SubWidthC、SubHeightC:SubWidthCおよびSubHeightCは、カラーフォーマット(またはクロマフォーマット(Chroma format)、例えば4:2:0、4:2:2、4:4:4)に従って設定される値であり、さらに具体的には、それぞれ、ルマ成分およびクロマ成分の幅と高さとの割合を示す。(下表参照)
【0283】
<表9>
【表9】
【0284】
3.NumIntraSubPartitions:ISPが適用されるときにいくつのパーティションブロックに分割されるかを示す。つまり、NumIntraSubPartitions個のパーティションブロックに分割されたことを指す。
【0285】
4.LfnstDcOnly:現在のコーディングユニットに属するすべての変換ブロックについて、各々最後の有効係数(last non-zero coefficient)位置がDC位置(すなわち、該変換ブロック内の左上端(top-left)位置)であるか有効係数が存在しない場合(つまり、対応するCBF値が0のとき)、LnfstDCOnly変数の値は1になる。
【0286】
ルマ分離ツリー(Luma separate-tree)またはルマデュアルツリー(Luma dual-tree)である場合には、該コーディングユニット内のルマ成分に対応する変換ブロックについてのみ上記条件をチェックしてLfnstDcOnly変数値を決定し、クロマ分離ツリー(Chroma separate-tree)またはクロマデュアルツリー(Chroma dual-tree)の場合は、対応するコーディングユニット内のクロマ成分(Cb、Cr)に対応する変換ブロックについてのみ、上記条件をチェックしてLfnstDcOnly変数値を決定することができる。シングルツリーの場合に対しては、該コーディングユニット内のルマ成分およびクロマ成分(Cb、Cr)に対応する全ての変換ブロックについて上記条件をチェックしてLfnstDcOnly変数の値を決定できる。
【0287】
5. LfnstZeroOutSigCoeffFlag:LFNSTを適用したときに有効係数が存在できる領域にのみ有効係数が存在する場合には1に設定され、そうでなければ0に設定される。
【0288】
4x4変換ブロックまたは8x8変換ブロックの場合には、スキャン順序に沿って該変換ブロック内の(0、0)位置(top-left)から8個まで有効係数が位置することができ、該変換ブロック内の残りの位置についてはゼロアウトされる。4×4および8×8ではなく、幅および高さがそれぞれ4以上の変換ブロックの場合(つまり、LFNSTを適用できる変換ブロック)、スキャン順序に沿った該変換ブロック内の(0、0)の位置(top-left)から16個まで有効係数が位置することができ(すなわち、左上端の4×4ブロック内にのみ有効係数が位置することができ)、該変換ブロック内の残りの位置についてはゼロアウトされる。
【0289】
また、表8に示すように、分離ツリーまたはデュアルツリーでコーディングされる場合、LFNSTインデックスシグナリング時にクロマ成分に対してはMIP適用の有無をチェックしない。これにより、クロマ成分に対してLFNSTを適切に適用することができる。
【0290】
表8に示すように(treeType = = DUAL_TREE_CHROMA)、条件(!intra_mip_flag[x0][y0] | | Min(lfnstWidth, lfnstHeight) >= 16)が満たされると、LFNSTインデックスがシグナリングされる。これは、ツリータイプがデュアルツリークロマタイプであるか(treeType = = DUAL_TREE_CHROMA)、MIPモードが適用されないか(!intra_mip_flag [x0] [y0])、LFNSTが適用されるブロックの幅および高さのうちの小さい値が16以上である場合(Min( lfnstWidth, lfnstHeight ) >= 16 ))、LFNSTンデックスがシグナリングされることを意味する。すなわち、コーディングブロックがデュアルツリークロマである場合、MIPモードの適用の有無またはLFNSTが適用されるブロックの幅および高さの判断なしでLFNSTインデックスがシグナリングされる。
【0291】
また、上記の条件は、コーディングブロックがデュアルツリークロマではなく、MIPが適用されない場合、LFNSTが適用されるブロックの幅および高さを判断することなくLFNSTインデックスがシグナリングされると解釈することができる。
【0292】
また、上記条件は、コーディングブロックがデュアルツリークロマではなく、MIPが適用される場合であれば、LFNSTが適用されるブロックの幅および高さのうちの小さい値が16以上のときにLFNSTインデックスがシグナリングされると解釈され得る。
【0293】
一方、表8に示すように、ルマ成分に対して変換スキップ(transform skip)を適用しない場合のみ(つまり、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ] = = 0という条件を満たすときを意味する)、LFNSTインデックスがシグナリングされる。
【0294】
ここで、x0およびy0は、ルマ成分のピクチャで左上端の位置を(0, 0)としたときの(x0, y0)座標を意味し、横方向のX座標は左から右に増加し、縦方向のY座標は上から下に増加する。
【0295】
(x0、y0)は、ルマ成分に基づいた座標であるが、クロマ成分に対しても使用され得るが、この場合、(x0、y0)が指す実際の位置は、クロマ成分に対するピクチャに基づいてスケーリングできる。例えば、クロマフォーマットが4:2:0の場合、(x0、y0)が指すクロマ成分に対するピクチャ上における実際の位置が(x0/2、y0/2)となり得る。この後、x0およびy0は、現在コーディングされる成分がルマであるかクロマであるかに関係なく、ルマ成分に座標を基準とすることができる。
【0296】
transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]で最後のインデックス0はルマ成分に対するものを意味する。さらに具体的には、transform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]において、cIdxはどの成分に対するものであるかを指し、cIdx値が0であればルマを表し、cIdxが0より大きい場合(1または2であれば)クロマを表す。
【0297】
また、変数LfnstDcOnlyは、表8に示すように1値に初期化され、下表に示すように、残差コーディングのパージング関数で条件に応じて0値に設定され得る。
【0298】
<表10>
【表10-1】
【0299】
【表10-2】
【0300】
表10に示すように、transform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]の値が0の場合にのみ(つまり、cIdxが指す成分に対して変換スキップが適用されない場合にのみ)、LfnstDcOnly値が0に設定できる。ISPモードでない場合は、表8に示すように、LfnstDcOnly値が0の場合にのみLFNSTインデックスをシグナリングし、LFNSTインデックスをシグナリングしない場合には、LFNSTインデックス値をゼロと類推することができる。
【0301】
参考として、表10で提示す残差コーディング関数は、表8で呼び出される変換ツリー(transform_tree)を実行しながら呼び出されるが、シングルツリーの場合は、ルマ(cIdx = 0)の残差コーディング関数とクロマ(cIdx = 1または2、Cb成分およびCr成分に相当)の関数とが全て呼び出される。デュアルツリーの場合、ルマのデュアルツリー(DU残差コーディングAL_TREE_LUMA)のときは、ルマ(cIdx = 0)の残差コーディング関数のみが呼び出され、クロマのデュアルツリー(DUAL_TREE_CHROMA)のときは、クロマ(cIdx = 1または2、Cb成分およびCr成分に対応する)の残差コーディング関数のみが呼び出される。
【0302】
ISPモードでない場合に対しLFNSTインデックスがシグナリングされる条件をまとめると、次のようになる(ここで、LFNSTインデックスがシグナリングされるための他の条件は満たされていると仮定することができ、たとえば、Max(CbWidth、CbHeight)<= MaxTbSizeYという条件は満足された状況であると仮定される)。
【0303】
1. transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]が1のとき
【0304】
- LFNSTインデックスをシグナリングせずにゼロ値と類推
【0305】
2. transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]が0のとき
【0306】
2-A. transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ]が0、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]が0のとき
【0307】
- 表10においてすべてのcIdxに対して(cIdxが0、1、2の場合)、LfnstDcOnly値を0に設定可能
【0308】
- LfnstDcOnly値が0の場合、L、FNSTインデックスをシグナリングし、それ以外の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングせずに0値と推測
【0309】
2-B.transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ]が0、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]が1のとき
【0310】
-表10において、cIdxが0および1の場合のみ、LfnstDcOnly値を0に設定可能
【0311】
- LfnstDcOnly値が0の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングし、それ以外の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングせずに0値と推測
【0312】
2-C. transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ]が1、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]が0のとき
【0313】
-表10においてcIdxが0および2の場合のみ、LfnstDcOnly値を0に設定可能
【0314】
- LfnstDcOnly値が0の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングし、それ以外の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングせずに0値と推測
【0315】
2-D.transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ]が1、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]が1のとき
【0316】
-表10においてcIdxが0の場合のみ、LfnstDcOnly値を0に設定可能
【0317】
- LfnstDcOnly値が0の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングし、それ以外の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングせずに0値と推測
【0318】
シングルツリーの場合は、上記の場合に対してtransform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ], transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ], transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]の値をモードチェックし、ルマのデュアルツリーの場合は、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]のみチェックし、クロマのデュアルツリーの場合は、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ]およびtransform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]の値をチェックする。
【0319】
ISPモードの場合は(表8のIntraSubPartitionsSplitType!= ISP_NO_SPLIT条件、つまり水平方向分割または垂直方向分割を意味する)、表8に示すように、LfnstDcOnly変数をチェックせずにLFNSTインデックスをシグナリングする。
【0320】
したがって、シングルツリーおよびルマのデュアルツリーでは、ISPモードの場合、LfnstDcOnly変数値とは無関係に、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]値が0(ルマ成分に対してtransform skipが適用されない)の場合、LFNSTインデックスをシグナリングする(LFNSTインデックスがシグナリングされない場合は、LFNSTインデックス値を0(ゼロ)と推測することができる)。
【0321】
クロマのデュアルツリーの場合は、現在のVVC標準でルマに対してのみISP予測が適用されるという点に着目し、クロマについてはISPが適用されないとみなし、上記のようにLfnstDcOnly変数をチェックしてLFNSTインデックスをシグナリングすることができ、表10に示すように、LfnstDcOnly変数は、transform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]値が(0)の場合にのみ0に設定できる。
【0322】
もちろん、ルマに対してISPモードが適用されることがクロマのデュアルツリーである場合でも影響を与え、クロマのデュアルツリーである場合でも、LfnstDcOnly変数とは無関係にtransform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]値が0の場合に対してLFNSTインデックスをシグナリングすることもできる。
【0323】
ISPモードが適用され、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]値が0の場合に対して、LFNSTインデックスがシグナリングされる条件をまとめてみると次のようになる。transform_skip_flag [x0] [y0] [0]値が1の場合、LFNSTインデックスはシグナリングされず、0と類推される。もちろん、表8において、LFNSTインデックスをシグナリングするために必要な他の条件は満たされると仮定することができ、例えば、Max(CbWidth、CbHeight)<=MaxTbSizeYのような条件が満たされると仮定することができる。
【0324】
1. シングルツリーのとき
【0325】
- LfnstDcOnly変数の値に関係なく、LFNSTインデックスシグナリング
【0326】
2. デュアルツリーのとき
【0327】
2-A.ルマのデュアルツリーのとき
【0328】
- LfnstDcOnly変数の値に関係なく、LFNSTインデックスシグナリング
【0329】
2-B.クロマのデュアルツリーのとき
【0330】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [1]およびtransform_skip_flag [x0] [y0] [2]の値に応じて、LfnstDcOnly変数値を0に設定、つまり、transform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]からcIdx]ときはtransform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ]値が0のときのみLfnstDcOnly変数値を0に設定でき、cIdx値が2のときはtransform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]値が0のときのみLfnstDc 0に設定することができる(when the LfnstDcOnly variable value is set to 0, that is, the cIdx value in transform_skip_flag[x0][y0][cIdx] is 1, LfnstDcOnly variable value may be set to 0 only when transform_skip_flag[x0][y0][1] value is 0 and when the cIdx value is 2, the LfnstDcOnly variable value can be set to 0 only when the transform_skip_flag[x0][y0][2] value is 0)。
【0331】
- LfnstDcOnly値が0の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングし、それ以外の場合は、LFNSTインデックスをシグナリングせずに0値と類推
【0332】
上記の場合においてクロマのデュアルツリーの場合は、ISPが適用されない場合と同じである。
【0333】
一方、一例によれば、現在のVVC標準において、クロマ成分に対する変換スキップが許容されながら、各クロマ成分に対応する変換スキップフラグ(transform_skip_flag)が下表のように追加される。
【0334】
<表11>
【表11】
【0335】
表11においてルマのデュアルツリーである場合を除き、Cbに対する変換スキップの適用が可能か否かに対応するtransform_skip_flag[ xC ][ yC ][ 1 ]とCrの変換スキップの適用が可能か否かに対応するtransform_skip_flag[ xC ][ yC] [2]とがシグナリングされることができることを確認できる。transform_skip_flag[ xC ][ yC ][ 1 ]値が1であれば、Cbへの変換スキップを適用、0であれば、Cbへの変換スキップを適用せず(未適用)、transform_skip_flag[ xC ][ yC] [2]の値が1であれば、Crへの変換スキップを適用、0であれば、Crへの変換スキップを適用しない(未適用する)。
【0336】
したがって、LFNSTインデックス値が0より大きい場合(つまりLFNSTが適用される場合)であっても、ルマ成分(Y成分)とクロマ成分(Cb成分およびCr成分)とに対するそれぞれのtransform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ cIdx]の値は、それぞれ異なる場合がある。上記表8によれば、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]値が0の場合のみLFNSTインデックス値が0より大きい場合があるので、LFNSTインデックス値が0より大きい場合に対しては、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]値は常に0である。
【0337】
したがって、transform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]の値に応じてLFNSTが適用されることができる場合をまとめると、次の通りである。ここで、LFNSTインデックスは0より大きく、transform_skip_flag [x0] [y0] [0]の値は0でである。LFNSTを適用するための他の条件は満足されたと仮定することができ、例えば、対応するブロックの幅および高さは全て4以上であり得る。
【0338】
1. シングルツリー
【0339】
- ルマ成分については、LFNSTを適用
【0340】
transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ]値が0の場合Cb成分にLFNSTを適用し、1の場合Cb成分にLFNSTを適用しない
【0341】
-transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]値が0であればCr成分にLFNSTを適用し、1であればCr成分にLFNSTを適用しない
【0342】
2.ルマのデュアルツリー
【0343】
-ルマ成分にLFNSTを適用
【0344】
3. クロマのデュアルツリー
【0345】
-transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 1 ]値が0であればCb成分にLFNSTを適用し、1の場合Cb成分にLFNSTを適用しない
【0346】
-transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 2 ]値が0であればCr成分にLFNSTを適用し、1であればCr成分にLFNSTを適用しない
【0347】
上記のように、transform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]の値に基づいてLFNSTを選別的に適用しようとすれば、LFNSTの仕様テキスト部分に次の条件を追加すべきである。
【0348】
<表12>
【表12-1】
【0349】
【表12-2】
【0350】
表12に示すように、LFNSTインデックス(lfnst_idx)値が0でない場合(つまり、LFNSTが適用されるとき)、cIdxが指定する成分のtransform_skip_flag[ xTbY ][ yTbY ][ cIdx ]値をチェックして(When lfnst_idx is not equal to 0 and transform_skip_flag[ xTbY ][ yTbY ][ cIdx ] is equal to 0 and both nTbW and nTbH are greater than or equal to 4, the following applies:) transform_skip_x[[場合にのみ、後続のコーディングプロセスが実行されるように、すなわちLFNSTを適用するように構成され得る。(As shown in Table 12, when the LFNST index (lfnst_idx) value is not 0 (that is, when LFNST is applied), by checking the transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx] value for the component specified by cIdx (When lfnst_idx is not equal to 0 and transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx] is equal to 0 and both nTbW and nTbH are greater than or equal to 4, the following applies), it may be configured such that the subsequent coding process is performed only when the transform_skip_flag[xTbY][yTbY][cIdx] value is 0, that is, LFNST is applied.)
【0351】
一方、色成分別に変換スキップの有無によってLFNSTインデックスをシグナリングすることができる。
【0352】
一例のように、表8と比較した場合、表13においては、transform_skip_flag [x0] [y0] [0]値が0の場合にのみLFNSTインデックスを送信する条件を徐去することができる。
【0353】
<表13>
【表13】
【0354】
しかしながら、表13に記載されているLfnstDcOnly変数値の設定方法は表10と同様であるため、transform_skip_flag[x0][y0][cIdx]値によってLfnstDcOnly変数値の設定が変わり、最終的にLFNSTインデックスのシグナリングのが可能か否かも変わる。
【0355】
ISPモードが適用されないときにtransform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]の値によってLFNSTインデックスがどのようにシグナリングされるかをまとめてみると、次のようになる。LFNSTインデックスをシグナリングするための他の条件はすでに満たされていると仮定することができ、例えばMax(CbWidth、CbHeight)<= MaxTbSizeYのような条件は満たされている。
【0356】
1.シングルツリーの場合
【0357】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [0]の値が0の場合、表10に示す方法に従ってLfnstDcOnly変数の値は0に設定されることができる。
【0358】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [1]の値が0の場合、表10に示す方法に従ってLfnstDcOnly変数の値は0に設定されることができる。
【0359】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [2]の値が0の場合、表10に示されている方法に従ってLfnstDcOnly変数の値は0に設定され得る。
【0360】
- LfnstDcOnly値が0の場合、LFNSTインデックスをシグナリングできる。LFNSTインデックスをシグナリングしない場合、0(ゼロ)と類推され得る。
【0361】
2.ルマ成分に対するデュアルツリーの場合
【0362】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [0]の値が0の場合、表10に示す方法に従ってLfnstDcOnly変数の値は0に設定され得る。
【0363】
- LfnstDcOnly値が0の場合、LFNSTインデックスをシグナリングできる。LFNSTインデックスがシグナリングされない場合、0と類推され得る。
【0364】
3.クロマ成分に対するデュアルツリーの場合
【0365】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [1]の値が0の場合、表10に示す方法に従ってLfnstDcOnly変数の値を0に設定できる。
【0366】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [2]の値が0の場合、表10に示されている方法に従ってLfnstDcOnly変数の値を0に設定できる。
【0367】
- LfnstDcOnly値が0の場合、LFNSTインデックスをシグナリングできる。LFNSTインデックスがシグナリングされない場合、0と類推され得る。
【0368】
表13に示すように、LfnstDcOnly値は1に初期化され、デュアルツリーの場合、ルマのデュアルツリーに対応するLFNSTインデックスとクロマのデュアルツリーに対応するLFNSTインデックスとは、別々にシグナリングされることができる。これは、ルマとクロマとに対し互いに異なるLFNSTカーネルを適用できることを意味する。
【0369】
また、表8~表13に示すデュアルツリーは、現在のVVC仕様文書上に現れるDUAL_TREE_LUMA(ルマ成分に対応)およびDUAL_TRE_CHROMA(クロマ成分に対応)を含み得、これは、コーディングユニットのサイズ条件などによりルマのシンタックスパージングツリーとクロマのシンタックスパージングツリーとに分化される場合を含める。例えば、分離ツリーの場合を含める。
【0370】
ISPモードが適用される場合には、表11のようにtransform_skip_flag [x0] [y0] [0]がシグナリングされず、0に推測される。すなわち、表11に示すように、ISPモードが適用されない場合であるIntraSubPartitionsSplit[x0][y0]==ISP_NO_SPLIT条件を満たす場合にのみ、transform_skip_flag [x0] [y0] [0]がシグナリングされる。
【0371】
さらに、表11に示すように、transform_skip_flag [x0] [y0] [1]およびtransform_skip_flag [x0] [y0] [2]は、ISPモードの適用の有無にかかわらずシグナリングすることができる。
【0372】
したがって、ISPモードが適用される場合のLFNSTシグナリングを次のようにまとめることができる。LFNSTインデックスをシグナリングするための他の条件はすでに満たされていると仮定され得、例えば、Max(CbWidth、CbHeight)<= MaxTbSizeYのような条件は満たされることができる。
【0373】
1. シングルツリーの場合
【0374】
- LFNSTインデックスをシグナリングできる。LFNSTインデックスがシグナリングされない場合、0と類推され得る。
【0375】
2. ルマ成分に対するデュアルツリーの場合
【0376】
- LFNSTインデックスをシグナリングできる。LFNSTインデックスがシグナリングされない場合、0と類推され得る。
【0377】
クロマ成分に対するデュアルツリーの場合
【0378】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [1]の値が0の場合、表10に示す方法に従ってLfnstDcOnly変数の値を0に設定できる。
【0379】
- transform_skip_flag [x0] [y0] [2]の値が0の場合、表10に示されている方法に従ってLfnstDcOnly変数の値を0に設定できる。
【0380】
- LfnstDcOnly値が0の場合、LFNSTインデックスをシグナリングできる。LFNSTインデックスがシグナリングされない場合、0と類推され得る。
【0381】
ISPモードが適用される場合は、表13に示すようにLfnstDcOnly条件をチェックしない。したがって、上記1番目のシングルツリーの場合と2番目のルマ成分に対するデュアルツリーの場合とには、LfnstDcOnly条件チェックなしでLFNSTインデックスをシグナリングできる。クロマのデュアルツリーの場合は、上記3の場合のようにISPモードが適用されない場合と同じ条件に従ってLFNSTインデックスをシグナリングすることができる。すなわち、LfnstDcOnly条件に従ってLFNSTインデックスがシグナリングされる。
【0382】
一例によれば、ルマ成分および2つのクロマ成分に対してそれぞれtransform_skip_flag[x0][y0][cIdx]値を与えることができるので、LFNSTインデックス値が0より大きい場合、すなわちLFNSTが適用される場合であってもtransform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]値が0の場合にのみ、cIdxが指す成分にLFNSTを適用できる。これに対応して変更される仕様テキストの内容は表12と同様である。
【0383】
一例によれば、表8と比較してデュアルツリーである場合にのみ、transform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ 0 ]値が0であるかどうかをチェックする条件をなくすと、表14に示すようにLFNSTインデックスシグナリングを設定構成できる。表14に示されるLfnstDcOnly変数は、表10のように条件に応じて0に設定することができる。
【0384】
<表14>
【表14】
【0385】
表14のように構成すれば、シングルツリーの場合には表8~表10に示したLFNSTインデックスシグナリング方式を適用し、デュアルツリーの場合には表13に示す方法を適用することができる。また、ルマ成分と2つのクロマ成分とに対してそれぞれtransform_skip_flag[ x0 ][ y0 ][ cIdx ]値が与えられるので、表8~表10に示したのと同様にLFNSTインデックス値が0より大きい場合であっても(すなわちLFNSTが適用される場合)、transform_skip_flag [x0] [y0] [cIdx]値が0の場合にのみ、cIdxが指す成分にLFNSTを適用するように構成できる。変更される仕様テキストの内容は、表12と同じである。
【0386】
以下の図面は、本明細書の具体的な一例を説明するために作成された。図面に記載された具体的な装置の名称または具体的な信号/メッセージ/フィールドの名称は例示的に提示されたものであるため、本明細書の技術的特徴は、以下の図面で使用される具体的な名称に限定されない。
【0387】
図15は、本文書の一実施形態によるビデオデコード装置の動作を示すフローチャートである。
【0388】
図15に開示された各段階は、図4図14で前述した内容の一部に基づいたものである。したがって、図3図14で前述した内容と重複する具体的な内容は、説明を省略するかまたは簡素化する。
【0389】
一実施形態に係るデコード装置300は、ビットストリームからのイントラ予測モードに関する情報、残差情報、およびLFNSTインデックスを受信することができる(S1510)。
【0390】
さらに具体的には、デコード装置300は、ビットストリームから現在のブロックに対する量子化された変換係数に関する情報に基づいて対象ブロックに対する量子化された変換係数を導出することができる。対象ブロックの量子化された変換係数に関する情報は、SPS(Sequence Parameter Set)またはスライスヘッダ(slice header)に含めることができ、簡素化変換(RST)が適用されるか否かに関する情報、簡素化ファクタに関する情報、簡素化変換を適用する最小変換サイズに関する情報、簡素化変換を適用する最大変換サイズに関する情報、簡素化逆変換サイズ、変換セットに含まれる変換カーネル行列のうちのいずれか1つを指示する変換インデックスに関する情報のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0391】
また、デコード装置は、現ブロックに対するイントラ予測モードに関する情報と、現ブロックにISPが適用されるかどうかに関する情報と、をさらに受信することができる。デコード装置は、ISPコーディングまたはISPモードを適用するかどうかを指示するフラグ情報を受信およびパージングすることによって、現ブロックが所定数のサブパーティション変換ブロックに分割されているかどうかを導出することができる。ここで、現ブロックは、コーディングブロックであり得る。また、デコード装置は、現ブロックがどの方向に分割されるかを指示するフラグ情報を介して分割されるサブパーティションブロックのサイズおよび数を導出することができる。
【0392】
デコード装置300は、現ブロックに対する残差情報、すなわち、量子化された変換係数に対して逆量子化を行って変換係数を導出する(S1520)。
【0393】
導出された変換係数は、4×4ブロック単位で逆方向対角スキャン順序に従って配列され、4×4ブロック内の変換係数も逆方向対角スキャン順序に従って配列される。すなわち、逆量子化が行われた変換係数は、VVCやHEVCにおいてのようなビデオコーデックにおいて適用されている逆方向スキャン順序に従って配置される。
【0394】
デコード装置は、変換係数にLFNSTを適用して修正された変換係数を導出することができる。
【0395】
LFNSTは、変換対象となる係数を垂直または水平方向に分離して変換する一次変換とは異なり、係数を特定の方向に分離せずに変換を適用する非分離変換である。この非分離変換は、ブロック全体領域ではない、低周波領域にのみ順方向変換を適用する低周波数非分離変換であり得る。
【0396】
LFNSTインデックス情報は、シンタックス情報で受信され、シンタックス情報は、0および1を含む2値化のストリングで受信され得る。
【0397】
本実施形態に係るLFNSTインデックスのシンタックス要素は、逆LFNSTもしくは逆非分離変換が適用されるか否かならびに変換セットに含まれる変換カーネル行列のうちのいずれか1つを指示することができ、変換セットが2つの変換カーネル行列を含む場合、変換インデックスのシンタックス要素の値は3つであり得る。
【0398】
すなわち、一実施形態によれば、LFNSTインデックスのシンタックス要素値は、対象ブロックに逆LFNSTが適用されない場合を指示する0、変換カーネル行列のうちの第1変換カーネル行列を指示する1、変換カーネル行列のうちの第2の変換カーネル行列を指示する2を含むことができる。
【0399】
上記イントラ予測モード情報およびLFNSTインデックス情報は、コーディングユニットレベルでシグナリングされ得る。
【0400】
デコード装置は、現ブロックに対するLFNSTインデックスのパージングが可能か否かを決定するために、現ブロックのツリータイプに従って現ブロックにISPが適用されるかどうか、または現ブロックのDC成分に有効係数が存在するかどうかを示す変数を導出し得、変数は、現ブロックの色成分に対する個々の変換スキップフラグ値に基づいて導出され得る。(S1530)。
【0401】
現ブロックがシングルタイプまたはデュアルツリールマであり、ISPが適用されることに基づいて、変数の値に関係なく上記LFNSTインデックスがパージングされ得、現ブロックがデュアルツリークロマであるか、または現ブロックにISPが適用されない場合、上記変数がDC成分ではない位置に有効係数があることを示すことに基づいて、LFNSTインデックスをパージングすることができる。
【0402】
現ブロックのDC成分に有効係数があるか否かを示す変数は、変数LfnstDcOnlyで表すことができ、1つのコーディングユニット内の少なくとも1つの変換ブロックに対してDC成分ではない位置に0でない係数が存在すると、0になり、1つのコーディングユニット内の全ての変換ブロックについて、DC成分でない位置に0でない係数が存在しなければ1となる。本文書において、DC成分は、2D成分に対する位置基準として(0、0)または左上端位置を指す。
【0403】
一つのコーディングユニット内には、複数の変換ブロックが存在することができる。例えば、クロマ成分の場合、CbおよびCrの変換ブロックが存在し、シングルツリータイプの場合は、ルマ、CbおよびCrの変換ブロックが存在し得る。一例によれば、現在のコーディングブロックを構成する変換ブロックのうちの1つの変換ブロックにおいても、DC成分位置以外に0でない係数が見つかった場合、変数LfnstDcOnly値を0に設定することができる。
【0404】
一方、変換ブロックに0(ゼロ)でない係数が存在しない場合は、対応(該当)する変換ブロックに対しては残差コーディングが行われないため、対応する変換ブロックによって変数LfnstDcOnlyの値は変更されない。したがって、変換ブロックの直流(DC)成分ではない位置にゼロ以外の係数が存在しない場合、変数LfnstDcOnlyの値は変化せず、以前の値を保持する。たとえば、コーディングユニットがシングルツリー型でコーディングされ、ルマ変換ブロックのために変数LfnstDcOnly値が0に変更された場合、Cb変換ブロックでDC成分のみに0でないの係数が存在するか、Cb変換ブロックに0でない係数が存在しない場合、変数LfnstDcOnlyの値はゼロのまま保持される。変数LfnstDcOnly値は最初に1に初期化され、現コーディングユニット内のどの成分も変数LfnstDcOnly値を0に更新できない場合はそのまま1値を維持し、該コーディングユニットを構成する変換ブロックの内1つでも変数LfnstDcOnly値を0に更新するようにすると、最終的にゼロに維持される。
【0405】
一方、このような変数LfnstDcOnlyは、現ブロックの色成分に対する個々の変換スキップフラグ値に基づいて導出され得る。現ブロックの変換スキップフラグは、色成分ごとにシグナリングすることができ、現ブロックのツリータイプがシングルツリーである場合、ルマ成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分の変換スキップフラグの値に基づいて、変数LfnstDcOnlyが導出され得る。あるいは、現ブロックのツリータイプがデュアルツリールマである場合、ルマ成分に対する変換スキップフラグの値に基づいて変数LfnstDcOnlyが導出され、現ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマである場合、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分に対する変換スキップフラグの値に基づいて変数LfnstDcOnlyが導出され得る。
【0406】
一例に従って、色成分の変換スキップフラグ値がゼロであることに基づいて、変数LfnstDcOnlyは、DC成分ではない位置に有効係数が存在することを示すことができる。つまり、現ブロックのツリータイプがシングルツリーである場合、ルマ成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分に対する変換スキップフラグの値が一つでもゼロであることに基づく。変数LfnstDcOnlyをゼロとして導出され得る。あるいは、現ブロックのツリータイプがデュアルツリールマである場合、ルマ成分に対する変換スキップフラグの値がゼロであることに基づいて変数LfnstDcOnlyがゼロとして導出され、現ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマである場合、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分に対する変換スキップフラグの値が1つでも0であることに基づいて、変数LfnstDcOnlyが0として導出され得る。
【0407】
前述のように、変数LfnstDcOnlyは、現ブロックのコーディングユニットレベルで最初の1に設定され得、変換スキップフラグ値が0である場合、変数LfnstDcOnlyは、残差コーディングレベルで0に変更され得る。
【0408】
一方、前述したように、イントラサブパーティション(ISP)モードを適用することができるルマブロックの場合、デコード装置は、変数LfnstDcOnlyの導出なしでLFNSTインデックスをパージングすることができる。
【0409】
具体的には、ISPモードが適用され、ルマ成分の変換スキップフラグ、つまりtransform_skip_flag [x0] [y0] [0]の値が0の場合、現ブロックのツリータイプがシングルツリーまたはルマのデュアルツリーであるときは、変数LfnstDcOnlyの値に関係なく、LFNSTインデックスがシグナリングされることができる。
【0410】
一方、ISPモードが適用されないクロマ成分の場合、クロマCb成分に対する変換スキップフラグであるtransform_skip_flag[x0][y0][1]とクロマCr成分に対する変換スキップフラグであるtransform_skip_flag[x0][y0][2]との値に応じて、変数LfnstDcOnlyの値を0に設定できる。つまり、transform_skip_flag[x0][y0][cIdx]でcIdx値が1のときは、transform_skip_flag[x0][y0][1]値が0のときのみ変数LfnstDcOnly値を0に設定でき、cIdx値が2のときは、x0 ][ y0 ][ 2 ](transform_skip_flag[x0][y0][2])値が0の場合のみ、変数LfnstDcOnly値を0に設定できる。変数LfnstDcOnly値が0の場合、デコード装置は、LFNSTインデックスをパージングすることができ、そうでなければ、LFNSTインデックスはシグナリングされず、ゼロ値と類推され得る。
【0411】
以後、 デコード装置は、LFNSTインデックスおよびLFNSTのためのLFNST行列に基づいて変換係数から修正された変換係数を導出することができる(S1540)。
【0412】
デコード装置は、LFNSTインデックスがゼロではなく、すなわち、LFNSTインデックスがゼロより大きく、色成分に対する個々の上記変換スキップフラグ値がゼロであるかどうかに基づいてLFNSTのための複数の変数を設定することができる。
【0413】
例えば、デコード装置は、LFNSTインデックスパージング後にLFNSTを適用する段階で色成分に対する個別の上記変換スキップフラグ値がゼロであるかどうかを再度判断し、LFNSTを適用するための様々な変数を設定することができる。例えば、LFNSTセット選択のためのイントラ予測モード、LFNST適用後に出力される変換係数の数、LFNSTが適用されるブロックのサイズなどを設定することができる。
【0414】
BDPCMでコーディングされたブロックの場合、変換スキップフラグは1に自動的に設定され得、この場合、LFNSTインデックスが0でない場合でも変換スキップフラグは1であり得るので、LFNSTを実質的に適用するときの色成分別変換スキップフラグ値を再チェックすることができる。
【0415】
あるいは、一例に従って、変換ブロック内にコーディングされた有効係数が存在するかどうかを示すフラグ値がゼロである場合、変換スキップフラグ値がチェックされない状況が存在し得る。この場合もまたLFNSTインデックスがゼロでないだけで変換スキップフラグ値が0であることが保証されないので、実質的にLFNSTを適用する際に色成分別変換スキップフラグ値を再チェックすることができる。
【0416】
すなわち、デコード装置は、LFNSTインデックスパージング段階で色成分別変換スキップフラグ値をチェックすることができ、実質的にLFNSTを適用する際に色成分別変換スキップフラグ値を再チェックすることができる。
【0417】
デコード装置は、イントラ予測モード情報から導出されたイントラ予測モードに基づいてLFNST行列を含むLFNSTセットを決定し、LFNSTセットおよびLFNSTインデックスに基づいて複数のLFNST行列のうちのいずれか1つを選択することができる。
【0418】
このとき、現ブロックにおいて分割されたサブパーティション変換ブロックには同一のLFNSTセットと同一のLFNSTインデックスが適用される。すなわち、サブパーティション変換ブロックには同一のイントラ予測モードが適用されるので、イントラ予測モードに基づいて決定されるLFNSTセットも全てのサブパーティション変換ブロックに同一に適用される。また、LFNSTインデックスは、コーディングユニットレベルにおいてシグナリングされるので、現ブロックにおいて分割されたサブパーティション変換ブロックには同一のLFNST行列が適用される。
【0419】
一方、前述したように、変換の対象となる変換ブロックのイントラ予測モードに応じて変換セットが決定され、逆LFNSTは、LFNSTインデックスにより指示される変換セットに含まれている変換カーネル行列、すなわち、LFNSTの行列のうちのいずれか1つに基づいて行われる。逆LFNSTに適用される行列は、逆LFNSTの行列またはLFNST行列と命名され、このような行列は、順方向LFNSTに使用される行列とトランスポーズの関係にあれば、その名称は何でも関係ない。
【0420】
一例において、逆LFNSTの行列は、列の個数が行の数より少ない非正方形行列であり得る。
【0421】
デコード装置は、修正された変換係数に対する1次逆変換に基づいて現ブロックに対する残差サンプルを導出する(S1550)。
【0422】
このとき、逆一次変換は、一般の分離変換を使用することができ、前述のMTSを使用することもできる。
【0423】
続いて、デコード装置300は、現ブロックに対する残差サンプルおよび現ブロックに対する予測サンプルに基づいて復元サンプルを生成することができる。
【0424】
以下の図面は、本明細書の具体的な一例を説明するために作成された。図面に記載された具体的な装置の名称や具体的な信号/メッセージ/フィールドの名称は、例示的に提示されたものであるため、本明細書の技術的特徴が、以下の図面に使用された具体的な名称に制限されない。
【0425】
図16は、本文書の一実施形態に係るビデオエンコード装置の動作を示すフローチャートである。
【0426】
図16に開示された各段階は、図4図14で前述した内容のうちの一部に基づく。したがって、図2および図4図14で前述した内容と重複する具体的な内容は説明を省略するかまたは簡単にする。
【0427】
一実施形態に係るコーディング装置200は、現ブロックに適用されるイントラ予測モードに基づいて現ブロックの予測サンプルを導出することができる。
【0428】
エンコード装置は、現ブロックにISPが適用される場合、サブパーティション変換ブロック別に予測を行う。
【0429】
エンコード装置は、現ブロック、すなわち、コーディングブロックにISPコーディングまたはISPモードを適用するか否かを判断し、判断結果によって現ブロックがどの方向に分割されるかを決定し、分割されるサブブロックのサイズおよび個数を導出する。
【0430】
現ブロックにおいて分割されたサブパーティション変換ブロックには同一のイントラ予測モードが適用され、エンコード装置は、サブパーティション変換ブロック別に予測サンプルを導出する。すなわち、エンコード装置は、サブパーティション変換ブロックの分割形態に応じて、例えば、水平(Horizontal)または垂直(Verticial)、左側から右側または上側から下側に順次イントラ予測を行う。最左側または最上部のサブブロックに対しては通常のイントラ予測方式のように既にコーディングされたコーディングブロックの復元ピクセルを参照する。また、後続の内部のサブパーティション変換ブロックの各辺に対して以前のサブパーティション変換ブロックと隣接していない場合は、当該辺に隣接する参照ピクセルを導出するために、通常のイントラ予測方式のように既にコーディングされた隣接するコーディングブロックの復元ピクセルを参照する。
【0431】
エンコード装置200は、予測サンプルに基づいて現ブロックの残差サンプルを導出することができる(S1610)。
【0432】
エンコード装置200は、残差サンプルにLFNSTまたはMTSのうちの少なくとも1つを適用して現ブロックの変換係数を導出し、変換係数を所定のスキャン順序に従って配列することができる。
【0433】
エンコード装置は、残差サンプルに対する一次変換に基づいて現ブロックの変換係数を導出することができる(S1620)。
【0434】
一次変換は、MTSのような複数の変換カーネルを介して実行することができ、この場合、イントラ予測モードに基づいて変換カーネルが選択され得る。
【0435】
エンコード装置200は、現ブロックに対する変換係数に対して2次変換、または非分離変換、具体的にはLFNSTを行うか否かを決定し、変換係数にLFNSTを適用して修正された変換係数を導出することができる。
【0436】
LFNSTは、変換対象となる係数を垂直または水平方向に分離して変換する1次変換とは異なり、係数を特定方向に分離せずに変換を適用する非分離変換である。このような非分離変換は、変換対象となる対象ブロック全体ではなく、低周波領域にのみ変換を適用する低周波非分離変換であり得る。
【0437】
エンコード装置は、変換係数に複数のLFNST行列を適用して、現ブロックのDC成分に有効係数が存在するか否かを示す変数を導出することができ、一例に従って、現ブロックのツリータイプに従って現ブロックにISPが適用されるかどうか、または現ブロックのDC成分に有効係数が存在するかどうかを示す変数に基づいて修正された変換係数を導出することができ、変数は、現ブロックの色成分に対する個々の変換スキップフラグ値に基づいて導出され得る(S1630)。
【0438】
現ブロックがシングルタイプまたはデュアルツリールマであり、ISPが適用されることに基づいて、エンコード装置は、現ブロックにLFNSTを適用することができ、現ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマであるか、またはISPが適用されない場合、DC成分に有効係数があるかどうかを示す変数に基づいてLFNST行列を選択できる。
【0439】
エンコード装置は、各LFNST行列候補に対してはLFNST適用後、またはLFNSTを適用しない場合に対してはLFNSTを適用しない状態で変数を導出することができる。
【0440】
具体的には、エンコード装置は、複数のLFNST候補、すなわちLFNST行列を適用して、全ての変換ブロックの有効係数がDC位置のみに存在する対応するLFNST行列は、除去される(もちろんCBFが0の場合は、該当変数決定過程から除外される)。変数LfnstDcOnly値がゼロのLFNST行列間だけRD値を比較できる。例えば、LFNSTを適用しない場合は、変数LfnstDcOnly値とは無関係であるため、比較過程に含まれ(この場合はLFNSTを適用しないので、一次変換の結果として得られる変換係数に基づいてLfnstDcOnly変数値を決定することができる)、該LfnstDcOnly値がゼロのLFNST行列もRD値の比較過程に含まれる。
【0441】
現ブロックのDC成分に有効係数があるか否かを示す変数は、変数LfnstDcOnlyで表すことができ、1つのコーディングユニット内の少なくとも1つの変換ブロックに対してDC成分でない位置にゼロでない係数が存在する場合、0になり、1つのコーディングユニット内の全ての変換ブロックについて、DC成分でない位置にゼロでない係数が存在しなければ1となる。
【0442】
一つのコーディングユニット内には、複数の変換ブロックが存在することができる。例えば、クロマ成分の場合、CbおよびCrの変換ブロックが存在し、シングルツリータイプの場合、ルマ、CbおよびCrの変換ブロックが存在し得る。一例に従って、現在のコーディングブロックを構成する変換ブロックのうちの1つの変換ブロックにおいても、DC成分位置以外にゼロ以外の係数が見つかった場合、変数LfnstDcOnly値は0に設定され得る。
【0443】
一方、変換ブロックにゼロ以外の係数が存在しない場合は、対応する変換ブロックに対しては残差コーディングが行われないため、該変換ブロックによって変数LfnstDcOnlyの値は変更されない。したがって、変換ブロックのDC成分でない位置にゼロでない係数が存在しない場合、変数LfnstDcOnlyの値が変更されず、以前の値を保持する。たとえば、コーディングユニットがシングルツリー型でコーディングされ、ルマ変換ブロックにより変数LfnstDcOnly値が0に変更された場合、Cb変換ブロックでDC成分のみにゼロでない係数が存在するか、Cb変換ブロックにゼロでない係数が存在しない場合、変数LfnstDcOnlyの値はゼロのまま維持される。変数LfnstDcOnly値は、最初に1に初期化され、現コーディングユニット内のどの成分も変数LfnstDcOnly値を0に更新できない場合はそのまま1値を維持するようにし、該コーディングユニットを構成する変換ブロックの内1つでも変数LfnstDcOnly値を0に更新するようにすると、最終的にゼロに維持される。
【0444】
一方、このような変数LfnstDcOnlyは、現ブロックの色成分に対する個々の変換スキップフラグ値に基づいて導出され得る。現ブロックの変換スキップフラグは、色成分ごとにシグナリングすることができ、現ブロックのツリータイプがシングルツリーである場合、ルマ成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分の変換スキップフラグの値に基づいて、変数LfnstDcOnlyが導出され得る。あるいは、現ブロックのツリータイプがデュアルツリールマである場合、ルマ成分に対する変換スキップフラグの値に基づいて変数LfnstDcOnlyが導出され、現ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマである場合、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分に対する変換スキップフラグの値に基づいて変数LfnstDcOnlygが導出され得る。
【0445】
一例によれば、色成分の変換スキップフラグ値がゼロであることに基づいて、変数LfnstDcOnlyは、DC成分ではない位置に有効係数が存在することを示し得る。つまり、現ブロックのツリータイプがシングルツリーである場合、ルマ成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分に対する変換スキップフラグの値が一つでもゼロであることに基づく変数LfnstDcOnlyがゼロに導出され得る。あるいは、現ブロックのツリータイプがデュアルツリールマであれば、ルマ成分に対する変換スキップフラグの値がゼロであることに基づいて変数LfnstDcOnlyがゼロとして導出され、現ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマである場合、クロマCb成分に対する変換スキップフラグの値、クロマCr成分に対する変換スキップフラグの値が1つでも0であることに基づいて、変数LfnstDcOnlyが0として導出されることができる。
【0446】
前述のように、変数LfnstDcOnlyは、現ブロックのコーディングユニットレベルで最初の1に設定され得、変換スキップフラグ値が0の場合、変数LfnstDcOnlyは残差コーディングレベルから0に変更されることができる。
【0447】
エンコード装置は、変数がDC成分ではない位置に有効係数が存在することを示すことに基づいて最適なLFNST行列を選択し、選択されたLFNST行列に基づいて修正された変換係数を導出することができる。
【0448】
エンコード装置は、修正された変換係数を導出する段階において、色成分に対する個々の上記変換スキップフラグ値がゼロであるかどうかに基づいてLFNSTのための複数の変数を設定することができる。
【0449】
例えば、エンコード装置は、LFNSTを適用するか否かを判断した後、LFNSTを適用する段階で色成分に対する個別の上記変換スキップフラグ値が0であるかどうかを再度判断し、LFNSTを適用するための様々な変数を設定できる。例えば、LFNSTセット選択のためのイントラ予測モード、LFNST適用後に出力される変換係数の数、LFNSTが適用されるブロックのサイズなどが設定され得る。
【0450】
BDPCMでコーディングされたブロックの場合、変換スキップフラグは1に自動的に設定され得るので、実質的にLFNSTを適用するときに色成分別変換スキップフラグ値を再チェックすることができる。
【0451】
あるいは、一例によれば、変換ブロック内にコーディングされた有効係数が存在するかどうかを示すフラグ値がゼロである場合、変換スキップフラグ値がチェックされない状況が存在し得る。この場合もまたLFNSTインデックスがゼロでないだけで変換スキップフラグ値が0であることが保証されないので、実質的にLFNSTを適用する際に色成分別変換スキップフラグ値を再チェックすることができる。
【0452】
すなわち、エンコード装置は、LFNST適用が可能か否かを判定する段階で色成分別変換スキップフラグ値をチェックすることができ、実質的にLFNSTを適用する際に色成分別変換スキップフラグ値を再チェックすることができる。
【0453】
一方、前述したように、イントラサブパーティション(ISP)モードが適用されることができるルマブロックの場合、変数LfnstDcOnlyの導出なしでLFNSTを適用することができる。
【0454】
具体的には、ISPモードが適用され、ルマ成分の変換スキップフラグ、つまりtransform_skip_flag [x0] [y0] [0]の値が0の場合、現ブロックのツリータイプがシングルツリーまたはルマのデュアルツリーであり、変数LfnstDcOnly値に関係なくLfnstが適用されることができる。
【0455】
一方、ISPモードが適用されないクロマ成分の場合、クロマCb成分に対する変換スキップフラグであるtransform_skip_flag[x0][y0][1]とクロマCr成分に対する変換スキップフラグであるtransform_skip_flag[x0][y0][ 2]との値に応じて、変数LfnstDcOnlyの値を0に設定できる。つまり、transform_skip_flag[x0][y0][cIdx]でcIdx値が1のときは、transform_skip_flag[x0][y0][1]値が0のときのみ変数LfnstDcOnly値を0に設定でき、cIdx値が2のときは、x0 ][ y0 ][ 2 ](transform_skip_flag[x0][y0][2])値が0の場合のみ、変数LfnstDcOnly値を0に設定できる。変数LfnstDcOnly値が0の場合、エンコード装置は、LFNSTを適用でき、そうでなければLFNSTは適用されない。
【0456】
エンコード装置200は、現ブロックに適用されるイントラ予測モードによるマッピング関係に基づいてLFNSTセットを決定し、LFNSTセットに含まれている2つのうちのいずれか1つのLFNST行列に基づいてLFNST、すなわち、非分離変換を行うことができる。
【0457】
このとき、現ブロックにおいて分割されたサブパーティション変換ブロックには、同一のLFNSTセットおよび同一のLFNSTインデックスが適用される。すなわち、サブパーティション変換ブロックには同一のイントラ予測モードが適用されるので、イントラ予測モードに基づいて決定されるLFNSTセットも全てのサブパーティション変換ブロックに同一に適用される。また、LFNSTインデックスはコーディングユニット単位でエンコードされるので、現ブロックにおいて分割されたサブパーティション変換ブロックには同一のLFNST行列が適用される。
【0458】
前述のように、変換の対象となる変換ブロックのイントラ予測モードによって変換セットが決定される。LFNSTに適用される行列は、逆方向のLFNSTに使用される行列とトランスポーズの関係にある。
【0459】
一例において、LFNST行列は、行の個数が列の個数より少ない非正方形行列であり得る。
【0460】
エンコード装置は、変数LfnstDcOnlyが現ブロックのコーディングユニットレベルで最初の1に設定され、変換スキップフラグ値が0の場合、変数LfnstDcOnlyは、残差コーディングレベルから0に変更され、変数LfnstDcOnlyが0であることに基づいてLFNSTに適用されるLFNST行列を指示するLFNSTインデックスがパージングされるように映像情報を構成することができる。
【0461】
エンコード装置は、現ブロックに対する修正された変換係数に基づいて量子化を実行して量子化された変換係数を導出し、LFNSTインデックスをエンコードすることができる。
【0462】
エンコード装置は、量子化された変換係数に関する情報を含む残差情報を生成することができる。残差情報は、前述した変換関連情報/シンタックス要素を含むことができる。エンコード装置は、残差情報を含む映像/ビデオ情報をエンコードしてビットストリームの形態で出力することができる。
【0463】
より具体的には、エンコード装置200は、量子化された変換係数に関する情報を生成し、生成された量子化された変換係数に関する情報をエンコードすることができる。
【0464】
本実施形態によるLFNSTインデックスのシンタックス要素は、(逆)LFNSTが適用されるか否かおよびLFNSTセットに含まれるLFNST行列のいずれか1つを指示することができ、LFNSTセットが2つの変換カーネル行列を含む場合、LFNSTインデックスのシンタックス要素の値は3つであり得る。
【0465】
一例によって、現ブロックに対する分割ツリー構造がデュアルツリータイプである場合、ルマブロックおよびクロマブロックのそれぞれに対してLFNSTインデックスがエンコードされる。
【0466】
一実施形態によって、変換インデックスに関するシンタックス要素値は、現ブロックに(逆)LFNSTが適用されない場合を指示する0、LFNST行列のうちの1番目のLFNST行列を指示する1、LFNST行列のうちの2番目のLFNST行列を指示する2として導出される。
【0467】
本文書において、量子化/逆量子化および/または変換/逆変換の少なくとも1つは省略され得る。上記量子化/逆量子化が省略される場合、上記量子化された変換係数は、変換係数と呼ばれ得る。上記変換/逆変換が省略される場合、上記変換係数は、係数もしくは残差係数と呼ばれることもあり、または表現の統一性のために変換係数と依然として呼ばれることもある。
【0468】
また、本文書において、量子化された変換係数および変換係数は、それぞれ変換係数およびスケーリングされた(scaled)変換係数と呼称され得る。この場合、残差情報は、変換係数に関する情報を含むことができ、上記変換係数に関する情報は、残差コーディングシンタックスを介してシグナリングされることができる。上記残差情報(または上記変換係数に関する情報)に基づいて変換係数が導出されることができ、上記変換係数に対する逆変換(スケーリング)を介してスケーリングされた変換係数が導出されることができる。上記スケーリングされた変換係数に対する逆変換(変換)に基づいて、残差サンプルが導出されることができる。これは、本文書の別の部分でも同様に適用/表現できる。
【0469】
前述した実施例において、方法は、一連の段階またはブロックとしてフローチャートに基づいて説明されているが、本文書は、段階の順序に限定されるわけではなく、ある段階は、前述したところと異なる段階および異なる順序で、または同時に発生し得る。また、当業者であれば、フローチャートに示されている段階が排他的ではなく、別の段階が含まれるか、フローチャートの1つまたは複数の段階が本文書の範囲に影響を与えずに削除され得ることを理解することができる。
【0470】
前述した本文書に係る方法は、ソフトウェアの形態で具現されることができ、本文書に係るエンコード装置および/またはデコード装置は、例えば、TV、コンピュータ、スマートフォン、セットトップボックス、ディスプレイ装置などの映像処理を行う装置に含まれ得る。
【0471】
本文書において、実施例がソフトウェアで具現されるとき、前述した方法は、前述した機能を行うモジュール(過程、機能など)で具現されることができる。モジュールはメモリに記憶され、プロセッサにより実行されることができる。メモリは、プロセッサの内部または外部にあってもよく、よく知られている様々な手段でプロセッサと接続(連結)されてもよい。プロセッサは、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、他のチップセット、論理回路および/またはデータ処理装置を含むことができる。メモリは、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、メモリカード、記憶媒体および/または他の記憶装置を含むことができる。すなわち、本文書で説明した実施例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラまたはチップ上で具現されて実行されることができる。例えば、各図面で示している機能ユニットは、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラまたはチップ上で具現されて実行されることができる。
【0472】
また、本文書が適用されるデコード装置およびエンコード装置は、マルチメディア放送送受信装置、モバイル通信端末、ホームシネマビデオ装置、デジタルシネマビデオ装置、監視用カメラ、ビデオ対話装置、ビデオ通信のようなリアルタイム通信装置、モバイルストリーミング装置、記憶媒体、カムコーダ、ビデオオンデマンド(VoD)サービス提供装置、OTTビデオ(Over The Top video)装置、インターネットストリーミングサービス提供装置、3次元(3D)ビデオ装置、映像電話ビデオ装置、および医療用ビデオ装置などに含まれ得、ビデオ信号またはデータ信号を処理するために使用され得る。例えば、OTTビデオ(Over the top video)装置としては、ゲームコンソール、ブルーレイプレーヤ、インターネットアクセスTV、ホームシアターシステム、スマートフォン、タブレットPC、DVR(Digital Video Recoder)などを含み得る。
【0473】
また、本文書が適用される処理方法は、コンピュータで実行されるプログラムの形態で生産されることができ、コンピュータが読み取ることができる記録媒体に記憶されることができる。本文書に係るデータ構造を有するマルチメディアデータもまた、コンピュータが読み取ることができる記録媒体に記憶されることができる。上記コンピュータが読み取ることができる記録媒体は、コンピュータで読み取ることができるデータが記憶される全ての種類の記憶装置および分散記憶装置を含む。上記コンピュータが読み取ることができる記録媒体は、例えば、ブルーレイディスク(BD)、ユニバーサルシリアルバス(汎用直列バス)(USB)、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピディスク、および光学データ記憶装置を含み得る。また、上記コンピュータが読み取ることができる記録媒体は、搬送波(例えば、インターネットを介した送信)の形態で具現されたメディアを含む。また、エンコード方法で生成されたビットストリームが、コンピュータが読み取ることができる記録媒体に記憶されるか、有無線通信ネットワークを介して送信されることができる。また、本文書の実施形態は、プログラムコードによるコンピュータプログラム製品で具現されることができ、上記プログラムコードは、本文書の実施形態によってコンピュータで実行されることができる。上記プログラムコードは、コンピュータによって読み取り可能なキャリア上に記憶されることができる。
【0474】
図17は、本文書が適用されるコンテンツストリーミングシステムの構造図を例示的に示す。
【0475】
また、本文書が適用されるコンテンツストリーミングシステムは、大まかにエンコードサーバ、ストリーミングサーバ、ウェブサーバ、メディアストレージ、ユーザ装置、およびマルチメディア入力装置を含むことができる。
【0476】
上記エンコードサーバは、スマートフォン、カメラ、カムコーダなどのマルチメディア入力装置から入力されたコンテンツをデジタルデータに圧縮してビットストリームを生成し、これを上記ストリーミングサーバに送信する役割をする。別の例として、スマートフォン、カメラ、カムコーダなどのマルチメディア入力装置がビットストリームを直接生成する場合、上記エンコードサーバは省略され得る。上記ビットストリームは、本文書が適用されるエンコード方法またはビットストリームの生成方法により生成されることができ、上記ストリーミングサーバは、上記ビットストリームを送信または受信する過程で、一時的に上記ビットストリームを記憶することができる。
【0477】
上記ストリーミングサーバは、ウェブサーバを介したユーザの要求に基づいてマルチメディアデータをユーザ装置に送信し、上記ウェブサーバは、ユーザにどのようなサービスがあるかを知らせる媒介体の役割をする。ユーザが上記ウェブサーバに所望のサービスを要求すると、上記ウェブサーバは、これをストリーミングサーバに伝達し、上記ストリーミングサーバは、ユーザにマルチメディアデータを送信する。そのとき、上記コンテンツストリーミングシステムは、別の制御サーバを含むことができ、この場合、上記制御サーバは、上記コンテンツストリーミングシステム内の各装置間の命令/応答を制御する役割をする。
【0478】
上記ストリーミングサーバは、メディアストレージおよび/またはエンコードサーバからコンテンツを受信することができる。例えば、上記エンコードサーバからコンテンツを受信することになる場合、上記コンテンツをリアルタイムで受信することができる。この場合、円滑なストリーミングサービスを提供するために、上記ストリーミングサーバは、上記ビットストリームを一定時間記憶することができる。
【0479】
上記ユーザ装置の例としては、携帯電話、スマートフォン(smart phone)、ラップトップコンピュータ(laptop computer)、デジタル放送用端末機、PDA(Personal Digital Assistants)、PMP(Portable Multimedia Player)、ナビゲーション、スレートPC(slate PC)、タブレットPC(tablet PC)、ウルトラブック(ULTRABOOK(登録商標))、ウェアラブルデバイス(wearable device、例えば、スマートウォッチ(ウォッチ型端末機)(smartwatch)、スマートグラス(グラス型端末機)(smart glass)、HMD(Head Mounted Display))、デジタルTV、デスクトップコンピュータ、デジタル署名(サイニジ)などがあり得る。上記コンテンツストリーミングシステム内の各サーバは、分散サーバとして運用されることができ、この場合、各サーバで受信するデータは、分散処理されることができる。
【0480】
本明細書に記載された請求項は、多様な方式で組み合わせることができる。例えば、本明細書の方法請求項の技術的特徴が組み合わせられて装置として具現されることができ、本明細書の装置請求項の技術的特徴が組み合わせられて方法として具現されることができる。また、本明細書の方法請求項の技術的特徴と装置請求項の技術的特徴とが組み合わせられて装置として具現されることができ、本明細書の方法請求項の技術的特徴と装置請求項の技術的特徴とが組み合わせられて方法として具現されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デコード装置によって行われる映像デコード方法であって、
ビットストリームから残差情報を取得する段階と、
前記残差情報に基づいて現ブロックに対する変換係数を導出する段階と、
前記変換係数にLFNST(Low Frequency Non-Separable Transform)を適用して修正された変換係数を導出する段階と、
前記修正された変換係数に対する逆一次変換に基づいて前記現ブロックに対する残差サンプルを導出する段階と、
前記残差サンプルに基づいて復元ピクチャを生成する段階と、を含み
前記修正された変換係数を導出する段階は、
前記現ブロックのクロマCb成分に対する第1の変換スキップフラグをパージングする段階と、
前記現ブロックのクロマCr成分に対する第2の変換スキップフラグをパージングする段階と、
前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの値とに基づいて、LFNSTインデックスをパージングする段階と、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCb成分に前記LFNSTを適用するかどうかを決定する段階と、
前記LFNSTが前記クロマCb成分に適用されるという前記決定に基づいて、前記LFNSTを前記クロマCb成分に関連する第1の変換係数に適用する段階と、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCr成分に前記LFNSTを適用するかどうかを決定する段階と、
前記LFNSTが前記クロマCr成分に適用されるという前記決定に基づいて、前記クロマCr成分に関連する第2の変換係数に前記LFNSTを適用する段階と、を含む、方法。
【請求項2】
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの前記値が0であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCb成分に適用され、
前記LFNSTインデックスの前記値が0より大きいことと前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの前記値が1であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCb成分に適用されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記値が0であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCr成分に適用され、
前記LFNSTインデックスの前記値が0より大きいことと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記値が1であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCr成分に適用されない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記LFNSTインデックスは、有効係数が前記現ブロックのDC成分にのみ存在するかどうかを示す変数に基づいてパージングされ、
前記変数は、前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの前記値と前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記値とに基づいて導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変数の値は、コーディングユニットシンタックスにおいて最初に1に設定され、
前記変数の前記値は、前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの値前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記の少なくとも1つが1でないことに基づいて、0として導出され、
前記変数の前記値が0であることに基づいて、前記LFNSTインデックスがパージングされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記変数の値は、前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの前記値が1であることと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記値が0であることとに基づいて、0として導出される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記変数の値は、前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの前記値が0であることと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記値が1であることとに基づいて、0として導出される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記LFNSTインデックスは、前記現ブロックのツリータイプがデュアルツリークロマであることと前記変数が前記有効係数が前記DC成分以外の位置に存在することを示すこととに基づいてパージングされる、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
映像エンコード装置によって行われる映像エンコード方法であって、
現ブロックに対する予測サンプルを導出する段階と、
前記予測サンプルに基づいて前記現ブロックに対する残差サンプルを導出する段階と、
前記残差サンプルに対する一次変換に基づいて前記現ブロックに対する変換係数を導出する段階と、
LFNST(Low Frequency Non-Separable Transform)を適用して前記変換係数から修正された変換係数を導出する段階と、
前記修正された変換係数に基づいて残差情報を生成する段階と、
前記残差情報を含む画像情報をエンコードする段階と、を含み
前記画像情報は、前記現ブロックのクロマCb成分に対する第1の変換スキップフラグと前記現ブロックのクロマCr成分に対する第2の変換スキップフラグとを含み
前記画像情報は、前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの値とに基づいてLFNSTインデックスを含み
前記LFNSTを適用する段階は、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCb成分に前記LFNSTを適用するかどうかを決定する段階と、
前記LFNSTが前記クロマCb成分に適用されるという前記決定に基づいて、前記LFNSTを前記クロマCb成分に関連する第1の変換係数に適用する段階と、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCr成分に前記LFNSTを適用するかどうかを決定する段階と、
前記LFNSTが前記クロマCr成分に適用されるという前記決定に基づいて、前記クロマCr成分に関連する第2の変換係数に前記LFNSTを適用する段階と、を含む、方法。
【請求項10】
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの前記値が0であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCb成分に適用され、
前記LFNSTインデックスの前記値が0より大きいことと前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの前記値が1であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCb成分に適用されない、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記LFNSTインデックスの値が0より大きいことと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記値が0であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCr成分に適用され、
前記LFNSTインデックスの前記値が0より大きいことと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記値が1であることとに基づいて、前記LFNSTは、前記現ブロックの前記クロマCr成分に適用されない、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記画像情報は、有効係数が前記現ブロックのDC成分にのみ存在するかどうかを示す変数に基づいて前記LFNSTインデックスを含み
前記変数は、前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの前記値と前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記値とに基づいて導出される、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記変数の値は、コーディングユニットシンタックスにおいて最初に1に設定され、
前記変数の前記値は、前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの前記との少なくとも1つが1でないことに基づいて、0として導出され
前記LFNSTインデックスは、前記変数の前記値が0であることに基づいて前記画像情報に含まれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
画像に対するデータを送信するための方法であって、
前記画像に対するビットストリームを生成する段階であって、前記ビットストリームを、
現ブロックに対する予測サンプルを導出する段階と、
前記予測サンプルに基づいて前記現ブロックに対する残差サンプルを導出する段階と、
前記残差サンプルに対する一次変換に基づいて前記現ブロックに対する変換係数を導出する段階と、
LFNST(Low Frequency Non-Separable Transform)を適用して前記変換係数から修正された変換係数を導出する段階と、
前記修正された変換係数に基づいて残差情報を生成する段階と、
前記残差情報を含む画像情報をエンコードする段階と、に基づいて生成する段階と、
前記ビットストリームを含む前記データを送信する段階と、を含み
前記画像情報は、前記現ブロックのクロマCb成分に対する第1の変換スキップフラグと前記現ブロックのクロマCr成分に対する第2の変換スキップフラグとを含み
前記画像情報は、前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグの値と前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグの値とに基づいてLFNSTインデックスを含み
前記LFNSTを適用して前記変換係数から前記修正された変換係数を導出する段階は、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCb成分に対する前記第1の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCb成分に前記LFNSTを適用するかどうかを決定する段階と、
前記LFNSTが前記クロマCb成分に適用されるという前記決定に基づいて、前記LFNSTを前記クロマCb成分に関連する第1の変換係数に適用する段階と、
前記LFNSTインデックスと前記クロマCr成分に対する前記第2の変換スキップフラグとに基づいて、前記クロマCr成分に前記LFNSTを適用するかどうかを決定する段階と、
前記LFNSTが前記クロマCr成分に適用されるという前記決定に基づいて、前記クロマCr成分に関連する第2の変換係数に前記LFNSTを適用する段階と、を含む、方法。