(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000798
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
B65G47/14 103
B65G47/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099710
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000233619
【氏名又は名称】株式会社ニチリン
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】梶原 克佳
(72)【発明者】
【氏名】岡田 竜一
(72)【発明者】
【氏名】萱原 智也
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA01
3F080BA02
3F080BB05
3F080BF11
3F080BF15
3F080CC01
3F080CC15
3F080CE01
3F080CF02
3F080CG02
3F080DA16
3F080EA09
3F080EA10
(57)【要約】
【課題】特殊な形状の部品でも容易に供給することができ、設置面積が小さく小型である部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品供給装置1は、複数の部品を収容する部品収容部2と、水平な軸回りに回転可能に配置され、内部に設けられた磁石19により、部品収容部2から部品12を吸着して外周の上面に保持して搬送するドラム3と、ドラム3の下流側に配置され、ドラム3から落下する部品12を搬送するコンベア4と、コンベア4上の部品12を取り出す部品取出部8と、コンベア4上の部品を検出する部品検出部9と、コンベア4上の部品12を撮影する部品撮影部10とを備える。部品撮影部10で撮影された部品12が、部品取出部8で取り出し可能な状態の部品であれば、取り出し可能な状態の部品12をコンベア4から取り出し、部品撮影部10で撮影された部品が、部品取出部8で取り出し可能な状態の部品でなければ、部品を搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を収容する部品収容部と、
水平な軸回りに回転可能に配置され、内部に設けられた磁石により、前記部品収容部から部品を吸着して外周の上面に保持して搬送するドラムと、
前記ドラムの下流側に配置され、前記ドラムから落下する部品を搬送するコンベアと、
前記コンベア上の部品を取り出す部品取出部と、
前記コンベア上の部品を検出する部品検出部と、
前記コンベア上の部品を撮影する部品撮影部とを備え、
前記部品撮影部で撮影された部品が、前記部品取出部で取り出し可能な状態の部品であれば、前記取り出し可能な状態の部品を前記コンベアから取り出し、
前記部品撮影部で撮影された部品が、前記部品取出部で取り出し可能な状態の部品でなければ、部品を搬送するように構成されていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記部品検出部が前記コンベア上の部品を検出すると、前記ドラムと前記コンベアとを同期させて停止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記コンベアの下流側に、前記コンベアから落下する部品を第1シュートを介して受け入れて、前記ドラムの上流側に搬送し、第2シュートを介して前記部品収容部に回収する回収コンベアを備えることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記磁石は、前記ドラムの周方向に等間隔に配置された複数の磁石からなり、前記複数の磁石は、前記ドラムの軸方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記複数の磁石を、吸着力が異なる磁石に切り替える切替装置が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記切替装置は、前記磁石を前記ドラムの外面に近接した動作位置と、前記ドラムの外面から退避した非動作位置とに移動させるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品を収容する部品収容部から部品を取り出して、加工や組立等の次の工程に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の部品を収容するバケットと、バケットに収容された部品を所定個数ずつ取り出すドラムとを備え、ドラムの外周面に形成した凹部に部品を入り込ませることにより、又はドラムに内蔵した磁石によって部品を磁気吸引することにより、バケットから部品を1個ずつ取り出して、部品整列装置のディスク上に供給する部品供給装置が記載されている。
【0003】
特許文献1の部品供給装置では、ドラムの凹部又は磁石で部品を保持するが、複数の部品が保持されたときは、ドラムを逆転と正転とを行ってバケットに戻すようになっている。このため、90°に屈曲して先端に大きい部分を有するような特殊形状の部品は、複数の部品が絡まったまま、ドラムの凹部又は磁石で保持されるので、部品の供給が困難であった。
【0004】
特許文献2には、物品を搬送する第1から第3までの3つの上流側コンベアと、当該上流側コンベアと搬送の向きが相違するとともに段差があり、当該上流側コンベアから落下する物品を搬送する下流側コンベアと、リターンコンベアとを備え、上流側コンベア上の物品の状態を検出して、当該物品の状態が所定状態の場合、当該物品を上流側コンベアから取り出し、当該物品の状態が所定状態でない場合、当該物品を下流側コンベアに供給する物品供給装置が記載されている。
【0005】
特許文献2の物品供給装置では、3つの上流側コンベアと下流側コンベアとが、搬送の向きが相違するように配置され、上流側コンベアと下流側コンベアとの両方から物品を取り出すようにしているため、設置面積が大きい。また、前述したような特殊形状の部品は、複数の物品が絡まりやすいため、取り出しを拒否されて、いつまでも巡回する虞れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-48713号公報
【特許文献2】特許第6703230号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、特殊な形状の部品でも容易に供給することができ、設置面積が小さく小型である部品供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)前記課題を解決するための手段である本発明の部品供給装置は、
複数の部品を収容する部品収容部と、
水平な軸回りに回転可能に配置され、内部に設けられた磁石により、前記部品収容部から部品を吸着して外周の上面に保持して搬送するドラムと、
前記ドラムの下流側に配置され、前記ドラムから落下する部品を搬送するコンベアと、
前記コンベア上の部品を取り出す部品取出部と、
前記コンベア上の部品を検出する部品検出部と、
前記コンベア上の部品を撮影する部品撮影部とを備え、
前記部品撮影部で撮影された部品が、前記部品取出部で取り出し可能な状態の部品であれば、前記取り出し可能な状態の部品を前記コンベアから取り出し、
前記部品撮影部で撮影された部品が、前記部品取出部で取り出し可能な状態の部品でなければ、部品を搬送するように構成されている。
【0009】
(2)前記(1)に記載の部品供給装置において、
前記部品検出部が前記コンベア上の部品を検出すると、前記ドラムと前記コンベアとを同期させて停止するように構成されている。
【0010】
(3)前記(1)又は(2)に記載の部品供給装置において、
前記コンベアの下流側に、前記コンベアから落下する部品を第1シュートを介して受け入れて、前記ドラムの上流側に搬送し、第2シュートを介して前記部品収容部に回収する回収コンベアを備える。
【0011】
(4)前記(1)から(3)のいずれかに記載の部品供給装置において、
前記磁石は、前記ドラムの周方向に等間隔に配置された複数の磁石からなり、前記複数の磁石は、前記ドラムの軸方向にずれて配置されている。
【0012】
(5)前記(4)に記載の部品供給装置において、
前記複数の磁石を、吸着力が異なる磁石に切り替える切替装置が設けられている。
【0013】
(6)前記(5)に記載の部品供給装置において、
前記切替装置は、前記磁石を前記ドラムの外面に近接した動作位置と、前記ドラムの外面から退避した非動作位置とに移動させるように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、磁石により部品を吸着してドラムの外周の上面に保持して搬送し、コンベア上に落下させるので、ドラム上で複数の部品か絡まっていたとしても、コンベア上で分離して搬送することができ、特殊な形状の部品でも容易に供給することができる。また、磁石により部品を吸着して外周の上面に保持して搬送するドラムと、ドラムの下流側に配置され、ドラムから落下する部品を搬送するコンベアとを備えるので、コンベアの数が少なく、設置面積が小さく小型であるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る部品供給装置の平面図。
【
図3】ドラムの回転軸に垂直な面で切断した断面図。
【
図5】ドラムの内部に配置されたシリンダ及び磁石の配置を示す拡大断面図。
【
図6】ドラムの外周面上における磁石の配置及び吸着力を示す図。
【
図8】部品整列コンベア上の部品の正常な状態を示す図。
【
図9】部品整列コンベア上の部品の異常な状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0017】
図1、
図2は、本発明の実施形態に係る部品供給装置1を示す。部品供給装置1は、自動車用ブレーキの液圧配管を組み立てる工程に部品(ホースの継手)を供給する装置であり、部品収容部2と、ドラム3と、部品整列コンベア4と、第1シュート5と、部品回収コンベア6と、第2シュート7と、部品取出装置8と、部品検出装置9と、部品撮影装置10と、制御部11とを備えている。
【0018】
部品収容部2は、多数の部品12を収容する容器で構成されている。部品収容部2は、上面2aと、ドラム3と対向する側面2bとが開口し、底面2cがドラム3に向かって下り勾配で傾斜している。部品収容部2には、ホースに接続される金属製の継手である部品12が収容されている。この部品12は、
図7に示すように、略90°に屈曲した管状部12aの一端にソケット部12bを有し、他端にリング部12cを有し、リング部12cにピン部12dが突出した特殊な形状を有する。
【0019】
ドラム3は、部品収容部2から部品12を吸着して外周の上面に保持して搬送するものである。ドラム3は、
図3、
図4に示すように、水平に配置された回転軸13と、当該回転軸13に固定された円形の2つの端板14と、2つの端板14のそれぞれの外周に放射状に取り付けられた複数(実施例では24個)の支持板15と、軸方向に対向する2つの支持板15の間に両端が取り付けられた矩形の外板16とを備え、外板16が周方向に整列して、回転軸13を中心とする円筒状に形成されている。外板16の内面には、回転軸13の軸方向に複数の凹部(実施例では8個)16aが一定間隔で形成されている。
【0020】
図5に示すように、ドラム3の内部には、支持板15から軸方向に延びるL字形のアーム17が設けられ、このアーム17に吸着力の切替装置としてシリンダ18が取り付けられている。シリンダ18は、空気圧で作動するピストン18aとロッド18bとを有し、ロッド18bの先端に磁石19を取り付けたものである。磁石19は、ドラム3の外板16の内面の凹部16a内に位置している。シリンダ18に空気圧を供給してオンすると、
図5中実線で示すように、ピストン18a及びロッド18bが前進して、磁石19が凹部16aの奥に押し当てられて動作位置に移動し、ドラム3の外板16の外側に磁石19の吸着力が作用して、部品12を吸着可能となる。また、シリンダ18への空気圧の供給を遮断してオフすると、
図5中2点鎖線で示すように、ピストン18a及びロッド18bが図示しないばねの付勢力によって後退して、磁石19が凹部16aから退避した非動作位置に移動し、ドラム3の外板16の外側に磁石19の吸着力が作用しなくなり、部品12を吸着不可能となる。
【0021】
磁石19は、吸着力が「強」、「中」、「弱」の3種類あり、ドラム3の1つの外板16に対して、「強」、「中」、「弱」のいずれかの吸着力を有する1つの磁石19が配置されている。各磁石19は、ドラム3の軸方向にずれて配置されて、同一の吸着力の磁石19は、ドラム3の周方向に一定間隔になるように配置されている。
図6は、ドラム3の外周の展開図で、軸方向にA~Hの8位置、周方向に1~24の24位置の区画に磁石を配置した一例である。「強」の磁石19は、ドラム3の周方向に45°間隔で配置され、同一周面上に位置しないように軸方向にずれて配置されている。「中」の磁石19、及び「弱」の磁石19も、同様に配置されている。
【0022】
図4に示すように、各シリンダ18は、空気圧配管20を介して回転軸13に形成された「強」「中」「弱」の3つの空気経路21に接続されている。回転軸13の3つの空気経路21は、回転軸13の回りに軸封状態で嵌合する空気圧マニホールド22と連通され、空気圧マニホールド22の各ポートは、空気圧供給装置23に連結されている。空気圧供給装置23は、各シリンダ18に空気圧を供給して、当該シリンダ18をオン又はオフするものである。
【0023】
部品整列コンベア4は、ドラム3から落下する部品12を搬送するベルトコンベアである。部品整列コンベア4は、ドラム3の下流側で、ドラム3の回転軸13よりも下方に水平に配置されている。部品整列コンベア4の搬送方向X1は、ドラム3の平面から見た搬送方向X1と同じである。部品整列コンベア4の上行ベルトの上流側端部と、ドラム3の外周面との間には、ドラム3に吸着された部品12を掻き落とす掻き板24が設けられている。
【0024】
第1シュート5は、部品整列コンベア4の上行ベルトの下流側端から落下する部品12を、部品回収コンベア6に供給する傾斜板である。第1シュート5の上流側は、部品整列コンベア4の下流側で、部品整列コンベア4の上行ベルトの下流側端の下方に配置され、第1シュート5の下流側は、部品回収コンベア6の上行ベルトの上流側の上方に配置され、第1シュート5の平面から見た搬送方向Y1は、部品整列コンベア4の搬送方向X1と直交している。
【0025】
部品回収コンベア6は、部品整列コンベア4から落下する部品12を、第1シュート5を介して受け入れて、ドラム3の上流側に搬送するベルトコンベアである。部品回収コンベア6は、上行ベルトの上流側が第1シュート5の下流側の下方に位置し、上行ベルトの下流側が部品収容部2の上方に位置するように、傾斜して配置されている。部品回収コンベア6の平面から見た搬送方向X2は、部品整列コンベア4の搬送方向X1とは逆方向である。部品回収コンベア6の上行ベルトの上面には、部品12を一定間隔で保持するクリート6aが設けられている。
【0026】
第2シュート7は、部品回収コンベア6の上行ベルトの下流側端から落下する部品12を、部品収容部2に供給する傾斜板である。第2シュート7の上流側は、部品回収コンベア6の下流側で、部品回収コンベア6の上行ベルトの下流側端の下方に配置され、第2シュート7の下流側は、部品収容部2の上方に配置され、第2シュート7の平面から見た搬送方向Y2は、部品回収コンベア6の平面から見た搬送方向X2と直交している。
【0027】
部品取出装置8は、部品整列コンベア4上の部品12を取り出すロボットハンドである。部品取出装置8は、部品整列コンベア4の側方に配置され、部品整列コンベア4上の部品12の所定部分を把持して取り出し、次の工程の所定部位に供給することができるようになっている。
【0028】
部品検出装置9は、部品整列コンベア4上の部品12を検出するセンサである。部品検出装置9は、部品整列コンベア4の一側に配置された発光部9aと、部品整列コンベア4の他側に配置された受光部9bとからなり、発光部9aから照射される光が部品整列コンベア4上を搬送される部品12によって遮断されて、受光部9bが光を感知しないときに、部品12を検知する。
【0029】
部品撮影装置10は、部品整列コンベア4上の部品12を撮影するCCDカメラ等のカメラである。部品撮影装置10は、部品整列コンベア4の上方に配置され、部品検出装置9による部品検出位置と、その周囲を撮影することができるようになっている。
【0030】
制御部11は、部品検出装置9からの部品検出信号、部品撮影装置10からの画像信号に基づいて、ドラム3、部品整列コンベア4、部品回収コンベア6、及び部品取出部8を制御するコンピュータである。
【0031】
次に、制御部11による部品供給装置1の動作について説明する。
【0032】
部品収容部2には、予め多数の部品12が収容されている。また、部品収容部2に収容された部品12の重量又は形状に応じて、当該部品12を吸着できる「強」、「中」、「弱」のいずれかの磁石19に対応するシリンダ18がオンされ、当該磁石19がドラム3の外面に近接して動作位置にある。本実施例では、
図6において「強」に対応する位置の磁石19のシリンダ18は、空気圧が供給されてオンされ、他の「中」及び「弱」に対応する位置の磁石19のシリンダ18は、空気圧が供給されずにオフされている。「強」に対応する位置の1個の磁石19によって、1個の部品12がドラム3の外面に吸着するようになっている。
【0033】
まず、ドラム3と部品整列コンベア4を駆動する。部品収容部2に収容された部品12は、ドラム3の磁石19によりドラム3の外面に吸着し、ドラム3の回転に伴ってドラム3の外周面の上面を、
図1においてX1方向に搬送される。複数の部品12が絡まったり、重なった状態で磁石19に吸着することがあるが、1個を除く他の部品12は、ドラム3の頂上に達するまでに部品収容部2に落下する。ドラム3の頂上を越えて複数の部品12が吸着していても、頂上から下がる間に、1個を除く他の部品12は、部品整列コンベア4の上に落下するか、掻き板24によって、部品整列コンベア4の上に掻き落とされる。ドラム3の外周面に吸着されて搬送される部品12は、磁石19がドラムの周方向に等間隔で軸方向にずれて配置されているため、部品整列コンベア4上で、X1方向及びX1と直交方向に等間隔で互いに離れて搬送される。
【0034】
部品整列コンベア4に落下した部品12は、部品整列コンベア4上を矢印X1方向に搬送され、部品検出装置9の発光部9aと受光部9bの間に来ると、発光部9aから照射される光を遮断する。これにより、制御部11は、受光部9bからの信号がオフになるので、部品整列コンベア4上の所定位置に部品が有ることを検出し、ドラム3と部品整列コンベア4との駆動を同期させて停止する。
【0035】
次に、制御部11は、部品撮影装置10に部品整列コンベア4上の部品12を撮影させ、部品撮影装置10から部品12の画像を取得する。制御部11は、部品12の画像から、部品12の平面形状を抽出し、この部品12の平面形状に基づいて、当該部品12の所定位置を、部品取出装置8で把持して取り出し可能な状態の部品12であるか否かを判断する。
【0036】
部品取出装置8で取り出し可能な状態とは、
図8に示すように、部品12が単品で、周囲に他の部品12が無い正常な状態であり、
図8(a)表向き、
図8(a)と上下逆の裏向き、
図8(b)に示すように、リング部の一端がベルト上にある縦向きのいずれの状態でもよい。また、部品取出装置8で取り出し可能な状態でない状態とは、
図9(a)に示すように、部品12同士が接近又は接触している状態、
図9(b)に示すように、部品12同士が重なっている又は絡まっている異常な状態、或いは、コンベアの側端からはみ出していたり、コンベアの壁に接触又は近接している状態である。正常な状態の部品12の外形を、基準画像として予め制御部11に記憶しておき、撮影画像と基準画像とを比較して、その相違が許容範囲内の場合は正常状態、そうでない場合は異常状態と判定することができる。
【0037】
部品撮影装置10で撮影された部品12が、部品取出装置8で取り出し可能な状態の部品であれば、制御部11は部品取出装置8を駆動し、当該部品12の所定位置を把持して部品整列コンベア4から取り出して、図示しない次の工程の領域Aに供給する。この領域Aで、部品12は加工や組立の工程で使用される。
【0038】
部品撮影装置10で撮影された部品12が、部品取出装置8で取り出し可能な状態の部品でなければ、制御部11は、部品取出装置8を駆動することなく、ドラム3と部品整列コンベア4との駆動を同期させて再開する。これにより、部品取出装置8で取り出されなかった部品12は、X1方向に搬送されて、第1シュート5を介してY1方向に搬送され、部品回収コンベア6の上流側に滑り落ちる。
【0039】
部品回収コンベア6に滑り落ちた部品は、部品回収コンベア6上を部品整列コンベア4のX1方法とは逆のX2方向に搬送され、下流側端から第2シュート7を介してY2方向に搬送されて、部品収容部2に回収される。
【0040】
以上の動作が繰り返されて、部品収容部2の部品12は、部品整列コンベア4上で部品取出装置8で取り出し可能な状態の部品12のみが、部品取出装置8で次の工程に供給される。
【0041】
前記実施形態の部品供給装置1では、磁石19により部品12を吸着してドラム3の外周の上面に保持して搬送し、部品整列コンベア4上に落下させるので、ドラム3上で複数の部品12が絡まっていたとしても、部品整列コンベア4上で分離して搬送することができ、特殊な形状の部品でも容易に供給することができる。
【0042】
また、磁石19により部品12を吸着して外周の上面に保持して搬送するドラム3と、ドラム3の下流側に配置され、ドラム3から落下する部品12を搬送する部品整列コンベア4とを備えるので、コンベアの数が少なく、設置面積が小さくなって、小型化することができる。
【0043】
本発明は、前記実施形態に限るものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨の範囲内で修正し変更することができる。
【0044】
例えば、前記実施形態では、予め吸着力が異なる複数の磁石19を設け、吸着しようとする部品12の形状又は重量に応じて、当該部品12を吸着できる吸着力の磁石19に対応するシリンダ18をオンして、当該磁石19をドラム3の外面に近づけるようにしているが、シリンダに代えて、電気的に磁石19を動作位置と非動作位置に切り換えるソレノイドを使用することもできる。また、磁石19を電磁石として、当該電磁石に供給する電流をオンまたはオフするようにしてもよい。
【0045】
また、部品整列コンベア4及び部品回収コンベア6は、ベルトコンベアに限らず、ローラコンベア、チェーンコンベア、振動コンベア等を使用することができる。
【0046】
さらに、部品整列コンベア4の搬送方向は、ドラム3の平面から見た搬送方向と同じである必要はなく、ドラム3の平面から見た搬送方向と直交するようにしてもよい。また、部品整列コンベア4の搬送速度を変更可能にすることにより、ドラム3から部品整列コンベア上に落下して搬送される部品の間隔を変更することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…部品供給装置
2…部品収容部
3…ドラム
4…部品整列コンベア
5…第1シュート
6…部品回収コンベア
7…第2シュート
8…部品取出装置
9…部品検出装置
10…部品撮影装置
11…制御部
12…部品
18…シリンダ(切替装置)
19…磁石