(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079801
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】プラットホーム非依存の全身画像セグメント化のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20240604BHJP
G06T 7/00 20170101ALN20240604BHJP
G06T 7/62 20170101ALN20240604BHJP
【FI】
G01T1/161 D
G06T7/00 612
G06T7/62
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024051528
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2021538990の分割
【原出願日】2020-01-06
(31)【優先権主張番号】62/789,155
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/837,941
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/863,608
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/870,210
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/907,158
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/934,305
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520237786
【氏名又は名称】エクシーニ ディアグノスティクス アーべー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イエンス フィリップ アンドレアス リヒター
(72)【発明者】
【氏名】シェシュティン エルサ マリア ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック コンラード イェチュソン
(72)【発明者】
【氏名】アセーム ウンヴァル アナンド
(57)【要約】
【課題】プラットホーム非依存の全身画像セグメント化のためのシステムおよび方法の提供。
【解決手段】特有の解剖学的領域(たとえば、器官および/または組織)に対応する3D画像内の特有の3D体積を自動的に識別するための対象の3次元(3D)医用画像の自動分析を提供するシステムおよび方法が、本明細書に提示される。とりわけ、本明細書に記載する画像分析手法は、体の単一の特定の器官または部分に限定されるものではない。代わりに、本明細書に記載する画像分析手法は強固で、広く適用可能であり、全身の軟組織器官を含む解剖学的領域の一貫した効率的かつ正確な検出を提供する。特定の実施形態では、1つまたは複数のそのような体積の正確な識別を使用して、特定の器官および/または組織領域における放射性医薬品の取込みを表す定量的尺度を自動的に判定する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、各々の内容が全体として参照により本明細書に組み込まれている、2019年1月7日出願の米国仮出願第62/789,155号、2019年4月24日出願の米国仮出願第62/837,941号、2019年6月19日出願の米国仮出願第62/863,608号、2019年7月3日出願の米国仮出願第62/870,210号、2019年9月27日出願の米国仮出願第62/907,158号、2019年11月12日出願の米国仮出願第62/934,305号に基づく優先権および利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、医用画像の自動分析のための方法、システム、およびアーキテクチャ。より詳細には、特定の実施形態では、本発明は、対象の画像内の1つまたは複数の特定の関心領域(たとえば、特有の器官または組織に対応する)の自動識別に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
標的画像分析は、疾患の進化中に変わる体内の特有の受容体、酵素、およびタンパク質に結合する放射性標識小分子の使用を伴う。患者への投与後、これらの分子は、意図された標的を発見するまで血液中を循環する。結合された放射性医薬品は疾患の部位に残り、薬剤の残りは体から出ていく。この分子のうち放射性のある部分は標識として働き、したがって世界中のほとんどの病院で見られる単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)またはポジトロン放出断層撮影法(PET)カメラとして公知の一般に利用可能な核医学カメラを使用して、疾患の場所および濃度を描写する画像を得ることができる。次いで医師は、この情報を使用して、患者における疾患の存在および程度を判定することができる。医師は、この情報を使用して、推奨される処置コースを患者に提供し、疾患の進行を追跡することができる。
【0004】
放射線科医または医師によって使用することができるPETおよびSPECT画像の分析および強調のために、様々なソフトウェアベースの分析技法が利用可能である。また、特定の種類のがんを撮像するために、複数の放射性医薬品が利用可能である。当技術分野で使用される撮像剤には、それだけに限定されるものではないが、とりわけ18F-NaF、11C-Choline、2-デオキシ-2[18F]フルオロ-d-グルコース(FDG)などが含まれる。たとえば、小分子診断薬1404は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)の細胞外ドメインを標的とし、これは95%を超える前立腺がん細胞の表面で増幅されるタンパク質であり、原発性および転移性前立腺がんの検出のために有効な標的である。1404は、γ放出同位体であるテクネチウム99mによって標識され、これは広く利用可能で比較的安価であり、効率的な調製を容易にし、核医学撮像の用途にとって魅力的なスペクトル特性を有する。
【0005】
放射性医薬品の別の例としては、前立腺がんに対する臨床病期のフッ素化PSMA標的PET撮像剤であるPyL(商標)([18F]DCFPyLおよび18F-PyLとしても公知である)が挙げられる。2016年4月版のthe Journal of Molecular Imaging and Biologyで発表された概念実証研究では、PyL(商標)によるPET撮像が、想定される転移性疾患および原発性腫瘍の部位において高いレベルのPyL(商標)の取込みを示したことが実証され、これは前立腺がんの検出において高い感度および特異度の可能性を示唆している。
【0006】
腫瘍医は、患者が特定の疾患、たとえば前立腺がんを患っているかどうか、その疾患のどの病期が明白であるか、推奨される処置コース(もしあれば)は何であるか、外科的介入が示されているかどうか、および予後の可能性が高いかどうかに関する自身の評定において、患者の標的PETまたはSPECT研究からの画像を入力として使用することができる。腫瘍医は、この評定における放射線科医の報告を使用することができる。放射線科医の報告は、撮像研究を要求した医師のために放射線科医によって準備されたPETまたはSPECT画像の技術的な評価であり、たとえば、実行された研究のタイプ、臨床歴、画像間の比較、研究を実行するために使用された技法、放射線科医の観察および発見、ならびに撮像研究結果に基づいて放射線科医が有し得る総合的な所感および助言を含む。署名された放射線科医の報告は、医師による検討のための研究を依頼した医師のもとへ送られ、それに続いて結果および処置に対する助言に関して医師と患者との間の議論が行われる。
【0007】
したがって、このプロセスは、放射線科医が患者に関する撮像研究を実行すること、取得した画像を分析すること、放射線科医の報告を作成すること、要求した医師へ報告を回すこと、医師が評定および処置の助言を立案すること、ならびに医師が結果、助言、およびリスクを患者へ伝えることを伴う。このプロセスはまた、結果が決定的でないために撮像研究を繰り返すこと、または最初の結果に基づいてさらなる試験を依頼することを伴うことがある。
【0008】
撮像研究により、患者が特定の疾患または症状(たとえば、がん)を患っていることが示された場合、医師は、手術含む様々な処置の選択肢、ならびに手術を受けるのではなく、何もしないこと、または監視的待機もしくは能動的監視手法を採用することのリスクについて議論する。
【0009】
このプロセスには、医師の観点からも患者の観点からも制限が伴う。放射線科医の報告は確かに有用であるが、医師は最終的に、自身の経験に依拠して、患者に対する評定および助言を立案しなければならない。さらに患者は、医師に多大な信頼を置かなければならない。医師は、PET/SPECT画像を患者に示して、様々な処置の選択肢に付随する数値的なリスクまたは特定の予後の尤度を患者に告げることができるが、患者はこの情報の意味をとらえるのに大いに苦労する可能性がある。さらに、患者の家族は、特にがんと診断されたが患者が手術を受けないことを選んだ場合、疑問を抱く可能性が高い。患者および/またはその家族は、補助的な情報を求めてオンラインで検索し、診断された症状のリスクについて誤った情報を得る可能性がある。難しい試練がさらに心を苦しめる可能性がある。
【0010】
したがって、医用撮像研究の改善された自動分析、ならびにそれらの結果、診断、予後、処置の助言、および関連リスクの患者への伝達のためのシステムおよび方法が依然として必要とされている。全身の軟組織器官を含む解剖学的領域を一貫して効率的かつ正確に検出する画像分析システムが、特に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
特有の解剖学的領域(たとえば、器官および/または組織)に対応する3D画像内の特有の3D体積を自動的に識別するための対象の3次元(3D)医用画像の自動分析を提供するシステムおよび方法が、本明細書に提示される。とりわけ、本明細書に記載する画像分析手法は、体の単一の特定の器官または部分に限定されるものではない。代わりに、本明細書に記載する画像分析手法は強固で、広く適用可能であり、全身の組織および/または器官を含む解剖学的領域の一貫した効率的かつ正確な検出を提供する。特定の実施形態では、1つまたは複数のそのような体積の正確な識別を使用して、特定の器官および/または組織領域における放射性医薬品の取込みを表す定量的尺度を自動的に判定する。これらの取込みの尺度を使用して、対象の疾患の状態の評定、対象に対する予後の判定、および/または処置法の有効性の判定を行うことができる。
【0012】
3D画像を取り扱うための本明細書に記載する手法の能力は、2D画像内の2D領域のみを識別する特定の他の画像分析に比べて重要な利点である。たとえば、がん検出に関係する1つの手法であるEXINI Diagnostics ABのBone Scan
Index(BSI)ソフトウェアは、疑わしい骨肉腫の領域を検出する(2014年10月7日発行の米国特許出願第8,855,387号も参照されたい)。しかしBSI分析は、3次元画像とは対照的に、2次元のシンチグラフィ画像上で実施される。
【0013】
さらに、医師ががんを検出するために利用可能な撮像剤の選択肢が増大するにつれて、複数の検出法(SPECT/CT、PET/CTなど)を使用して様々な撮像剤から画像を分析するユーティリティを有するソフトウェアが依然として必要とされている。SPECTおよびPETなどの機能的画像は、体内の生物学的プロセスに関する詳細かつ特異な情報を提供するが、その潜在性は、その機能を個別の器官および構造に局所化することができるように詳細な解剖学的マップと組み合わせたときにのみ実現される。CTおよびMRIは詳細な解剖学的情報を提供するが、器官および構造の従来の(たとえば、手動の)識別は困難かつ主観的で時間がかかり、コンピュータ支援がなければ特定の評定は実行不可能である。したがって、様々な撮像法に適用可能な正確かつ強固な画像セグメント化を可能にするプラットホーム非依存の画像分析手法を提供することによって、本明細書に記載するシステムおよび方法は、がんの検出、診断、病期分類などに特に関連する画像分析を容易にする。
【0014】
たとえば、本明細書に記載するフルボディセグメント化手法は、対象内のがん病変の正確な識別および等級分けを行うために、解剖学的画像と機能的画像とを組み合わせた自動分析を可能にする。特に、PyL(商標)のようなPSMA結合剤などの放射性医薬品の投与後、対象に対するPET/CT複合画像を獲得することができる。本明細書に記載する自動化された機械学習に基づくセグメント化手法は、PET/CT複合CT画像内で、がん病変が発見され得る標的組織領域を表す標的関心体積(VOI)を識別するために使用される。たとえば、対象の1つまたは複数の骨の図形表現に対応する骨格VOIを識別することができる。解剖学的CT画像で骨格VOIが識別された場合、この骨格VOIをPET画像にマッピングして、PET画像内で対応する骨格体積を識別することができる。次いで、PET画像内の対応する骨格体積を分析して、ホットスポットと呼ばれる比較的高い強度の1つまたは複数の局所化領域を検出する。これらのホットスポットは、放射性医薬品の蓄積が増大した局所領域、したがって将来のがん病変に物理的に対応する。
【0015】
特定の実施形態では、本明細書に記載する手法を介してフルボディセグメント化を正確かつ迅速に実行する能力を活用して、検出されたホットスポットに対応する物理的病変内の放射性医薬品取込みレベルを評価および/または測定する(たとえば、それによってPSMAなどの特定の生体分子の発現レベルの等級分けを行う)ための有用な均一のスケールを提供する。特に、がん病変が生じ得る特有の標的組織領域に対応する標的VOIを検出することに加えて、基準組織領域に対応する追加の標的VOIも検出される。これらの基準VOIもPET画像にマッピングして、PET画像内で対応する基準体積を識別する。次いで、これらの基準体積内の平均値、ピーク、最大値などの強度の測度が算出され、検出された個別のホットスポットの強度を評価し、スケール上のインデックス値に変換するための基準点として使用される。
【0016】
たとえば、特定の実施形態では、大動脈および肝臓の一部分の表現にそれぞれ対応する大動脈および肝臓VOIを解剖学的画像内で識別し、機能的画像にマッピングして、機能的画像内で対応する基準体積を識別する。これらの基準体積の各々の強度レベルが判定され(たとえば、各基準体積内のボクセルの強度の平均値、中央値、ピークなど)、スケール上の対応するインデックスレベルが割り当てられる。次いで、各々の特定の個別のホットスポットに対して、ホットスポット強度レベルが判定される(たとえば同様に、検出されたホットスポット内のボクセル強度の平均値、中央値、ピークなどとして)。次いで、個別のホットスポット強度レベル、大動脈基準強度レベル、および肝臓基準強度レベルに基づいて、対応する個別のホットスポットインデックス値が判定される。この手法は、異なる画像にわたってホットスポットに関連付けられた取込みを評価および測定するための標準化されたスケールを提供する。これにより、たとえば、単一の対象に対して異なる時点で取得された複数の画像の比較、ならびに異なる対象の画像間の比較が可能になる。
【0017】
特定の実施形態では、個別のホットスポットインデックスを使用して、がん病変の存在に関して分析された対象および/または特定の標的組織領域の総合インデックスを算出する。総合インデックスは、病変内の放射性医薬品の取込みを補償するために、検出された個別のホットスポットに対するホットスポットインデックス値に基づいた加重を用いて、たとえば特定の標的組織領域内の総病変体積を反映することによって、疾患の重症度および/またはリスクの指標として働くことができる。たとえば、骨格体積内のPSMA加重総病変体積は、対応するインデックス値によって加重される検出された個別のホットスポット体積の加重和として算出することができる。そのようなインデックスは、骨の中への転移のレベルおよび/または攻撃性を反映することができる。
【0018】
他の組織領域に対応する体積も同様に識別し、これを使用して、総合インデックス値を判定することができる。たとえば、リンパ節の体積を使用して、転移の重症度を評定することもできる。局所化された疾患が最初に発見された組織領域に対応する体積を識別および分析して、病変を検出することもできる。たとえば、前立腺体積を使用して、初期の病期における前立腺がんの重症度を評定することができる。同様に、乳房組織領域を表す乳房体積および肺組織領域を表す肺体積をそれぞれ使用して、局所化された乳がんおよび肺がんの評定を行うことができる。
【0019】
それに応じて、対象の体全体の様々な関連標的組織領域にわたってフルボディセグメント化およびがん病変の画像に基づく自動分析を提供することによって、本明細書に記載するAIベースのシステムおよび方法により、様々な病期における様々ながんの分析が可能になる。これらの技法を使用して、前立腺などの関連組織領域内の局所化された疾患の識別および病期分類、たとえば早期スクリーニングおよび監視を行い、ならびに疾患が進行するにつれて転移に関して骨およびリンパ節などの領域を監視することができる。したがって、本明細書に記載する手法は、がんの画像に基づく自動検出、ならびに疾患の進化、進行、および処置に対する応答の追跡のための一式のツールを提供する。
【0020】
一態様では、本発明は、3D画像を自動的に処理して、特定の標的組織領域に対応する3D画像内の3D体積を識別する方法を対象とし、この方法は、(a)コンピューティングデバイスのプロセッサによって、解剖学的撮像法[たとえばX線コンピュータ断層撮影法(CT)、たとえば磁気共鳴撮像(MRI)、たとえば超音波]を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、3D解剖学的画像が、対象内の組織(たとえば、軟組織および/または骨)の図形表現を含む、受け取ることと、(b)プロセッサによって、1つまたは複数の機械学習モジュール(たとえば、1つまたは複数の機械学習モジュールのうちの少なくとも1つは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールである)を使用して、複数の標的組織領域の各々に対して、3D解剖学的画像内の対応する標的関心体積(VOI)を自動的に識別することと、(c)プロセッサによって、複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することであり、各3Dセグメント化マスクが、特定の識別された標的VOIを表す(たとえば、複数の3Dセグメント化マスクをともに自動的にデジタルで綴じて3Dセグメント化マップを形成する)、判定することと、(d)表示および/またはさらなる処理のために3Dセグメント化マップを記憶および/または提供することとを含む。
【0021】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像はフルボディ画像である。
【0022】
特定の実施形態では、ステップ(c)は、複数の3Dセグメント化マスクをともにデジタルで綴じて3Dセグメント化マップを形成することを含む{たとえば、最初に空の画像体積を作成し(たとえば、すべてのボクセル値をゼロに初期化する)、次いで各セグメント化マスクからの標識を画像体積に挿入することによる[たとえば、1つまたは複数の機械学習モジュールに対する入力画像の標識された(たとえば、機械学習モジュールによって判定された特定の標的組織領域を表す)ボクセルを、画像体積のボクセルにマッピングすることによる(たとえば、画像体積のボクセルを、同じ物理的な場所を表す入力画像のボクセルに整合させ、それによって画像体積のボクセルに正確に標識を付ける)]}。
【0023】
特定の実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも1つの特有の標的組織領域に対して、第1のモジュール(たとえば、局所化モジュール)(たとえば、第1の機械学習モジュール)を使用して、3D解剖学的画像内の初期VOIを判定することであって、初期VOIが、特有の標的組織領域を含む解剖学的領域(たとえば、骨盤領域、胸部領域、頭部および/または頸部領域などの1群の関連組織)に対応する(たとえば、初期VOIは、初期VOIが含むもの以外の3D解剖学的画像のさらなるボクセルを除外し、たとえば、初期VOIは、3D解剖学的画像のボクセルの25%未満を含み、たとえば、初期VOI内のボクセルの大部分は、解剖学的領域内の物理的体積を表す)、判定することと、第2のモジュール(たとえば、セグメント化モジュール)(たとえば、第2の機械学習モジュール)を使用して、初期VOI内の特有の標的組織領域に対応する標的VOIを識別することとを含む。
【0024】
特定の実施形態では、第2のモジュールは、CNNを実装するCNNモジュールである。
【0025】
特定の実施形態では、第1のモジュールは、CNNを実装して粗いセグメント化を実行し、特有の標的組織領域を含む解剖学的領域に対応する初期VOIを自動的に識別するCNNモジュールである[たとえば、解剖学的画像内の1群の関連組織の図形表現を自動的に識別する(たとえば、その後、1群の関連組織の識別された図形表現を完全に囲む方形領域(たとえば、直方柱または角箱)として初期VOIを判定する)ことによる][たとえば、解剖学的領域内に位置することが予想される1つまたは複数の特定の組織領域の各々に対して、解剖学的画像内の対応するVOIを自動的に識別し(たとえば、粗いセグメント化による)、たとえば特定の組織領域に対応する識別されたVOIのすべてを完全に囲む方形領域として初期VOIを判定することによる]。
【0026】
特定の実施形態では、第1のモジュールは、解剖学的画像のサブサンプリングバージョン[たとえば、1つまたは複数の次元に沿って2倍またはそれより大きい(たとえば、4倍)]を入力として受け取り、解剖学的画像のサブサンプリングバージョンを使用して初期VOIを識別する[たとえば、第2のモジュールは、初期VOIにクロッピングされた解剖学的画像のフル分解能版を受け取る(たとえば、第1のモジュールは、第2のモジュールより大きい物理的体積を表すより低い分解能の画像上で動作し、第2のモジュールは、より小さい物理的体積を表すより高い分解能の画像上で動作する)]。
【0027】
特定の実施形態では、第1のモジュールは第1のCNNモジュールであり、第2のモジュールは第2のCNNモジュールであり、第1のCNNモジュールは、第2のCNNモジュールに対する画像サイズの変動性の増大を補償するために、追加のフィルタを含む。
【0028】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像はフルボディ画像であり、ステップ(b)は、機械学習技法(単数または複数)を実装する1つまたは複数の局所化モジュールを使用して(たとえば、各局所化モジュールは、CNNを実装するCNNモジュールである)、3D解剖学的画像内の複数の初期VOIを自動的に判定することであり、各初期VOIが、特定の解剖学的領域(たとえば、骨盤領域、胸部領域、頭部および/または頸部領域、脊柱領域、上半身領域、下半身領域などの1群の関連組織)に対応し、特定の解剖学的領域内に標的VOIの関連付けられた部分集合が位置する、判定することと、各初期VOIに対して、機械学習技法(単数または複数)を実装する1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して(たとえば、各セグメント化モジュールは、CNNを実装するCNNモジュールである)、標的VOIの関連付けられた部分集合を自動的に識別することとを含む。
【0029】
特定の実施形態では、複数の初期VOIは、対象の骨盤領域に対応する骨盤領域初期VOI(たとえば、骨盤領域初期VOI内に位置する標的VOIの部分集合は、左腸骨および/または右腸骨、仙骨、ならびに尾骨からなる群から選択された標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIを含む)、対象の脊柱に対応する脊柱領域初期VOI(たとえば、骨盤領域初期VOI内に位置する標的VOIの部分集合は、胸椎、腰椎、および胸骨からなる群から選択された標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIを含む)、対象の上半身の左側に対応する左上半身領域初期VOI(たとえば、骨盤領域初期VOI内に位置する標的VOIの部分集合は、1つまたは複数の左肋骨、左肩甲骨、および左鎖骨からなる群から選択された標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIを含む)、および対象の上半身の右側に対応する右上半身領域初期VOI(たとえば、骨盤領域初期VOI内に位置する標的VOIの部分集合は、1つまたは複数の右肋骨、右肩甲骨、および右鎖骨からなる群から選択された標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIを含む)からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0030】
特定の実施形態では、この方法は、(e)プロセッサによって、機能的撮像法[たとえば単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、たとえばポジトロン放出断層撮影法(PET)]を使用して取得された対象の3D機能的画像を受け取ること[たとえば、3D機能的画像は複数のボクセルを含み、各ボクセルは、対象内の特定の物理的体積を表し、特定の物理的体積から放出される検出された放射を表す強度値を有し、3D機能的画像の複数のボクセルの少なくとも一部分は、対象の標的組織領域のうちの1つまたは複数内の物理的体積を表す]と、(f)プロセッサによって、3D機能的画像内で、3Dセグメント化マップを使用して(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)、識別された標的VOIに各々対応する1つまたは複数の3D体積を識別することとを含む。
【0031】
特定の実施形態では、この方法は、(g)プロセッサによって、対象に対するがんの状態[(たとえば、前立腺がんの状態、たとえば転移性がんの状態(たとえば、たとえば転移性前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸がん、皮膚がんなどを含む転移性がん)](たとえば、機能的画像および1つまたは複数の識別された3D体積内のボクセルの強度を使用する)(たとえば、検出された病変に基づく)[たとえば、対象が前立腺がんおよび/または特定の病期の前立腺がん(たとえば、転移性前立腺がん)を罹患および/または発症している尤度][たとえば、対象が転移性がん(たとえば、転移性前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸がん、皮膚がんなどを含む)を罹患および/または発症している]を判定することを含む。
【0032】
特定の実施形態では、この方法は、異なる時点で収集された複数の解剖学的画像および対応する機能的画像に対してステップ(a)~(g)を繰返し実行して、各時点で対象のがんの状態を判定し、それによってがんの状態を経時的に追跡する(たとえば、疾患の進行および/または処置の有効性を評価する)ことを含む。
【0033】
特定の実施形態では、この方法は、(h)プロセッサによって、3D機能的画像のボクセルの強度を自動的に調整して、1つまたは複数の背景組織領域における背景の取込み(たとえば、放射性医薬品)を補正する(たとえば、通常の状況下で1つまたは複数の背景組織領域内で生じるが、必ずしもがん病変の存在を示さない放射性医薬品の取込みを補正する)ことを含む(たとえば、ステップ(g)の前)。
【0034】
特定の実施形態では、標的組織領域は、1つまたは複数の背景組織領域を含み、ステップ(h)は、3Dセグメント化マップを使用して、3D機能的画像内で、特定の背景組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D背景組織体積を識別する(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)ことと、3D背景組織体積内のボクセルの強度に基づいて、3D機能的画像のボクセルの強度を調整する(たとえば、3D背景組織体積内のボクセルの強度を使用して、3D背景組織体積の外側の強度への寄与を推定することによる)こととを含む。
【0035】
特定の実施形態では、1つまたは複数の背景組織領域は、嚢(たとえば、膀胱)、腎臓、十二指腸、小腸、脾臓、肝臓、膵臓、胃、副腎、直腸、および精巣からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0036】
特定の実施形態では、この方法は、(i)プロセッサによって、3D機能的画像内のボクセルの強度に基づいて[たとえば、3D機能的画像内の強度と閾値との比較に基づいて(たとえば、3D機能的画像は3DPET画像であり、閾値は特定の標準取込み値(SUV)レベルである)](たとえばまた、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積に基づいて)、病変を表すと判定された3D機能的画像内の1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することを含む。
【0037】
特定の実施形態では、ステップ(i)は、1つまたは複数の閾値を使用する[たとえば、3D機能的画像内のボクセルの強度と1つまたは複数の閾値とを比較する(たとえば、1つまたは複数の閾値は、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積の特有の部分集合に対して各々使用される複数の領域特有閾値を含む)]ことを含む。
【0038】
特定の実施形態では、ステップ(i)は、1つまたは複数のフィルタを3D機能的画像に適用することを含む[たとえば、ブロブ検出技法と同様であり、たとえば、1つまたは複数のフィルタは、1つまたは複数のガウスフィルタ(たとえば、ガウス差分手法と同様に、高域ガウスフィルタおよび低域ガウスフィルタ)を含み、たとえば、1つまたは複数のフィルタは、ラプラシアンフィルタ(たとえば、ガウスのラプラシアン技法と同様)を含み、たとえば、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積の異なる部分集合に対して、異なるフィルタカーネルが使用される]。
【0039】
特定の実施形態では、ステップ(i)は、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積の異なる部分集合におけるホットスポットの識別のために、2つまたはそれより多い技法の組合せを使用する[たとえば、1つまたは複数の3D体積の第1の部分集合に対して第1のフィルタリング手法(たとえば、段落[0038]と同様)を使用し、第2の部分集合に対して第2のフィルタリング手法を使用し、たとえば、1つまたは複数の3D体積の第1の部分集合に対して閾値手法(たとえば、段落[0037]と同様)を使用し、1つまたは複数の3D体積の第2の部分集合に対してフィルタリング手法(たとえば、段落[0038]と同様)を使用する]ことを含む。
【0040】
特定の実施形態では、ステップ(i)は、最初の1組のホットスポットを検出し、最初の1組のホットスポットの少なくとも一部分に対して、検出されたホットスポットの少なくとも一部分の各ホットスポットを、がん病変として、またはがん病変でないもの(たとえば、ノイズ)として分類する[たとえば、機械学習モジュールを使用し、たとえばホットスポットの形状および/または場所に基づいて(たとえば、解剖学的知識と組み合わせて、たとえば、場所は、ホットスポットが位置する3D体積に対応する特定の標的組織領域の識別情報、および/または特定の標的組織領域内のホットスポットの相対位置を含む)、たとえばがん病変でないものとして分類されたホットスポットを最初の1組から除去し、それによって病変を表すと判定された最終的な1組のホットスポットを取得する]ことを含む。
【0041】
特定の実施形態では、標的組織領域は、1つまたは複数の背景組織領域を含み、この方法は、3Dセグメント化マップを使用して、3D機能的画像内で、特定の背景組織領域(たとえば、通常の状況下で著しい放射性医薬品の取込みが生じるが、必ずしもがん病変の存在を示さない背景組織領域)に各々対応する1つまたは複数の3D背景組織体積を識別する(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)ことと、ステップ(i)で1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出するために使用されたボクセルから、3D背景組織内の3Dのボクセルを除外することとを含む。
【0042】
特定の実施形態では、この方法は、1つまたは複数の検出されたホットスポット(たとえば、1つまたは複数の検出されたホットスポットの強度)を使用して、対象に対するがんの状態を判定することを含む。
【0043】
特定の実施形態では、標的組織領域は、1つまたは複数の基準組織領域を含み、この方法は、3Dセグメント化マップを使用して、プロセッサによって、3D機能的画像内で、特定の基準組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D基準体積を識別することと、プロセッサによって、1つまたは複数の3D基準体積の特定の3D基準体積に各々関連付けられ、特定の3D基準体積内の(たとえば、平均/平均、中央、最大など)強度の測度に対応する1つまたは複数の基準強度値を判定することと、プロセッサによって、検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに各々関連付けられ、特定のホットスポットの(たとえば、平均/平均、中央、最大など)強度の測度に対応する1つまたは複数の個別のホットスポット強度値を判定することと、プロセッサによって、1つまたは複数の個別のホットスポット強度値および1つまたは複数の基準強度値を使用して、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することとを含む[たとえば、個別の各ホットスポットインデックス値は、検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに関連付けられ、(i)特定のホットスポットに関連付けられた個別のホットスポット強度値、および(ii)1つまたは複数の基準強度値を使用して(たとえば、これらの比較に基づいて)判定される]。
【0044】
特定の実施形態では、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することは、1つまたは複数の基準強度値の各々をスケール上の対応する基準インデックス値にマッピングし、個別の各ホットスポット強度値に対して、基準強度値および対応する基準インデックス値を使用して、対応する個別のホットスポットインデックス値を補間することを含む。
【0045】
特定の実施形態では、基準組織領域は、肝臓、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0046】
特定の実施形態では、第1の基準強度値は、(i)大動脈部分に対応する3D基準体積に関連付けられた血液基準強度値であり、(ii)第1の基準インデックス値マッピングし、第2の基準強度値は、(i)肝臓に対応する3D基準体積に関連付けられた肝臓基準強度値であり、(ii)第2の基準インデックス値にマッピングし、第2の基準強度値は第1の基準強度値より大きく、第2の基準インデックス値は第1の基準インデックス値より大きい。
【0047】
特定の実施形態では、基準強度値は、最大基準インデックス値にマッピングする最大基準強度値を含み、最大基準強度値より大きい関連付けられたホットスポット強度値を有するホットスポットに、最大基準インデックス値に等しいホットスポットインデックス値が割り当てられる。
【0048】
特定の実施形態では、この方法は、プロセッサによって、1つまたは複数のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分を使用して、対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定することを含む。
【0049】
特定の実施形態では、総合インデックス値は、個別のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分[たとえば、対象の骨格領域に対応する機能的画像の3D体積内に位置し、たとえば、対象のリンパ領域に対応する機能的画像の3D体積内に位置する]の加重和として判定される[たとえば、この和の各ホットスポットインデックス値は、関連付けられたホットスポットのサイズ(たとえば3D体積、たとえば平均直径)の測度によって加重される]。
【0050】
特定の実施形態では、総合インデックス値は、解剖学的画像内で識別された特定の標的VOIに対応する特定の標的組織領域に関連付けられ、総合インデックス値は、特定の識別された標的VOIに対応する3D機能的画像内の特定の3D体積内に位置するホットスポットの部分集合のホットスポットインデックス値を使用して判定される[たとえば、総合インデックス値は、ホットスポットの部分集合のホットスポットインデックス値の加重和として算出される(たとえば、加重和は、特定の標的組織領域の推定される体積(たとえば、機能画像内の特定の3D体積の体積、および/または特定の標的VOIの体積として算出される)によって正規化される)]。
【0051】
特定の実施形態では、特定の標的組織領域は、対象の1つまたは複数の骨を含む骨格領域、リンパ領域、および前立腺領域からなる群から選択される。
【0052】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像は、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、3D機能的画像は、3D単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)画像である。
【0053】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像は、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、3D機能的画像は、3Dポジトロン放出断層撮影(PET)画像である。
【0054】
特定の実施形態では、対象の3DPET画像は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合剤を含む放射性医薬品の対象への投与後に取得される。
【0055】
特定の実施形態では、放射性医薬品は、[18F]DCFPyLを含む。
【0056】
特定の実施形態では、ステップ(b)は、プロセッサによって、3D解剖学的画像をクロッピングして、空気を表すボクセルを除去する[たとえば、クロッピングされた解剖学的画像を作成し、クロッピングされた解剖学的画像を使用して、1つまたは複数の標的VOIを識別する(たとえば、クロッピングされた解剖学的画像を使用することは、元のサイズの3D解剖学的画像とは対照的に、1つまたは複数の機械学習モジュールへの入力として使用される)]ことを含む。
【0057】
特定の実施形態では、標的組織領域は、左寛骨、右寛骨、仙骨および尾骨領域、左鎖骨、右鎖骨、左肋骨、右肋骨、左肩甲骨、右肩甲骨、胸骨、腰椎、胸椎、頭蓋骨、頸椎、左大腿部、右大腿部、左上腕骨、右上腕骨、前立腺、膀胱、直腸、左大臀筋、右大臀筋、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、脾臓、心室、左副腎、右副腎、胆嚢、脳、膵臓、心臓、下顎骨、左気管支、右気管支、気管、左総腸骨動脈、右総腸骨動脈、ならびに耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0058】
特定の実施形態では、標的組織領域のうちの1つまたは複数は、左鎖骨、右鎖骨、左大腿部、右大腿部、左腓骨、右腓骨、左寛骨、右寛骨、左上腕骨、右上腕骨、下顎骨、左膝蓋骨、右膝蓋骨、左橈骨、右橈骨、左脛骨、右脛骨、左尺骨、右尺骨、左肋骨(たとえば、左第1肋骨、左第2肋骨、左第3肋骨、左第4肋骨、左第5肋骨、左第6肋骨、左第7肋骨、左第8肋骨、左第9肋骨、左第10肋骨、左第11肋骨、左第12肋骨)、右肋骨(たとえば、右第1肋骨、右第2肋骨、右第3肋骨、右第4肋骨、右第5肋骨、右第6肋骨、右第7肋骨、右第8肋骨、右第9肋骨、右第10肋骨、右第11肋骨、右第12肋骨)、仙骨および尾骨(たとえば、組み合わせた仙骨および尾骨領域、たとえば、両者を区別して個別に仙骨および尾骨)、左肩甲骨、右肩甲骨、頭蓋骨、胸骨、椎骨領域[たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)頸椎を含む頸椎領域、たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)腰椎を含む腰椎領域、たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)胸椎を含む胸椎領域]、ならびに個別の椎骨[たとえば、個別の頸椎(たとえば、第1頸椎、第2頸椎、第3頸椎、第4頸椎、第5頸椎、第6頸椎、第7頸椎)、たとえば、個別の腰椎(たとえば、第1腰椎、第2腰椎、第3腰椎、第4腰椎、第5腰椎、第6腰椎)、たとえば、個別の胸椎(たとえば、第1胸椎、第2胸椎、第3胸椎、第4胸椎、第5胸椎、第6胸椎、第7胸椎、第8胸椎、第9胸椎、第10胸椎、第11胸椎、第12胸椎)]からなる群から選択された1つまたは複数の特有の骨を含む。
【0059】
特定の実施形態では、標的組織領域のうちの1つまたは複数は、左鎖骨、右鎖骨、左寛骨、右寛骨、左肋骨(たとえば、左第1肋骨、左第2肋骨、左第3肋骨、左第4肋骨、左第5肋骨、左第6肋骨、左第7肋骨、左第8肋骨、左第9肋骨、左第10肋骨、左第11肋骨、左第12肋骨)、右肋骨(たとえば、右第1肋骨、右第2肋骨、右第3肋骨、右第4肋骨、右第5肋骨、右第6肋骨、右第7肋骨、右第8肋骨、右第9肋骨、右第10肋骨、右第11肋骨、右第12肋骨)、仙骨および尾骨(たとえば、組み合わせた仙骨および尾骨領域、たとえば、両者を区別して個別に仙骨および尾骨)、左肩甲骨、右肩甲骨、胸骨、椎骨領域[たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)頸椎を含む頸椎領域、たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)腰椎を含む腰椎領域、たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)胸椎を含む胸椎領域]、ならびに個別の椎骨[たとえば、個別の腰椎(たとえば、第1腰椎、第2腰椎、第3腰椎、第4腰椎、第5腰椎)、たとえば、個別の胸椎(たとえば、第1胸椎、第2胸椎、第3胸椎、第4胸椎、第5胸椎、第6胸椎、第7胸椎、第8胸椎、第9胸椎、第10胸椎、第11胸椎、第12胸椎)]からなる群から選択された1つまたは複数の特有の骨を含む。
【0060】
特定の実施形態では、標的組織領域のうちの1つまたは複数は、左副腎、右副腎、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、脳、左気管支、右気管支、胆嚢、左大臀筋、右大臀筋、心臓、左総腸骨動脈、右総腸骨動脈、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、膵臓、前立腺、直腸、脾臓、気管、膀胱、心室、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数の軟組織領域(たとえば、器官)を含む。
【0061】
特定の実施形態では、1つまたは複数の標的組織領域は、胆嚢、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、前立腺、および膀胱からなる群から選択された1つまたは複数の軟組織領域(たとえば、器官)を含む。
【0062】
特定の実施形態では、標的組織領域は、特有の骨に各々対応する1つまたは複数の骨領域[たとえば、標的組織領域は、段落[0058]または[0059]に挙げた骨の少なくとも一部分(たとえば、最大ですべて)を含む]、および特有の軟組織領域に各々対応する1つまたは複数の軟組織領域[たとえば、標的組織領域は、段落[0060]または[0061]に挙げた軟組織領域の少なくとも一部分(たとえば、最大ですべて)を含む]を含む。
【0063】
別の態様では、本発明は、3D画像を自動的に処理して、対象内のがん病変を自動的に識別する方法を対象とし、この方法は、(a)コンピューティングデバイスのプロセッサによって、解剖学的撮像法[たとえばX線コンピュータ断層撮影法(CT)、たとえば磁気共鳴撮像(MRI)、たとえば超音波]を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、3D解剖学的画像が、対象内の組織(たとえば、軟組織および/または骨)の図形表現を含む、受け取ることと、(b)プロセッサによって、1つまたは複数の機械学習モジュール(たとえば、1つまたは複数の機械学習モジュールのうちの少なくとも1つは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールである)を使用して、複数の標的組織領域の各々に対して、3D解剖学的画像内の対応する標的関心体積(VOI)を自動的に識別することと、(c)プロセッサによって、複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することであり、各3Dセグメント化マスクが、特定の識別された標的VOIを表す(たとえば、複数の3Dセグメント化マスクをともに自動的にデジタルで綴じて3Dセグメント化マップを形成する)、判定することと、(d)プロセッサによって、機能的撮像法[たとえば単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、たとえばポジトロン放出断層撮影法(PET)]を使用して取得された対象の3D機能的画像を受け取ること[たとえば、3D機能的画像は、複数のボクセルを含み、各ボクセルは、対象内の特定の物理的体積を表し、特定の物理的体積から放出される検出された放射を表す強度値を有し、3D機能的画像の複数のボクセルの少なくとも一部分は、対象の標的組織領域のうちの1つまたは複数内の物理的体積を表す]と、(e)3D機能的画像内で、3Dセグメント化マップを使用して(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)、識別された標的VOIに各々対応する1つまたは複数の3D体積を識別することと、(f)プロセッサによって、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積の少なくとも一部分内で、3D機能的画像内のボクセルの強度に基づいて[たとえば、3D機能的画像内の強度と閾値との比較に基づいて(たとえば、3D機能的画像は3DPET画像であり、閾値は特定の標準取込み値(SUV)レベルである)]、病変を表すと判定された1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することとを含む。
【0064】
特定の実施形態では、この方法は、プロセッサによって、1つまたは複数の検出されたホットスポット(たとえば、1つまたは複数の検出されたホットスポットの強度)を使用して、対象に対するがんの状態を判定することを含む。
【0065】
特定の実施形態では、標的組織領域は、1つまたは複数の基準組織領域を含み、この方法は、3Dセグメント化マップを使用して、プロセッサによって、3D機能的画像内で、特定の基準組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D基準体積を識別することと、1つまたは複数の3D基準体積の特定の3D基準体積に各々関連付けられ、特定の3D基準体積内の(たとえば、平均/平均、中央、最大など)強度の測度に対応する1つまたは複数の基準強度値を判定することと、プロセッサによって、検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに各々関連付けられ、特定のホットスポットの(たとえば、平均/平均、中央、最大など)強度の測度に対応する1つまたは複数の個別のホットスポット強度値を判定することと、プロセッサによって、1つまたは複数の個別のホットスポット強度値および1つまたは複数の基準強度値を使用して、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することとを含む[たとえば、個別の各ホットスポットインデックス値は、検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに関連付けられ、(i)特定のホットスポットに関連付けられた個別のホットスポット強度値、および(ii)1つまたは複数の基準強度値を使用して(たとえば、これらの比較に基づいて)判定される]。
【0066】
特定の実施形態では、基準組織領域は、肝臓、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0067】
特定の実施形態では、この方法は、プロセッサによって、1つまたは複数のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分を使用して、対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定することを含む。
【0068】
特定の実施形態では、総合インデックス値は、個別のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分[たとえば、対象の骨格領域に対応する機能的画像の3D体積内に位置し、たとえば、対象のリンパ領域に対応する機能的画像の3D体積内に位置する]の加重和として判定される[たとえば、この和の各ホットスポットインデックス値は、関連付けられたホットスポットのサイズ(たとえば3D体積、たとえば平均直径)の測度によって加重される]。
【0069】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像は、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、3D機能的画像は、3Dポジトロン放出断層撮影(PET)画像である。
【0070】
特定の実施形態では、対象の3DPET画像は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合剤を含む放射性医薬品の対象への投与後に取得される。
【0071】
特定の実施形態では、放射性医薬品は、[18F]DCFPyLを含む。
【0072】
別の態様では、本発明は、3D画像を自動的に処理して、がん(たとえば、前立腺がん、乳がん、肺がん、たとえば、転移性前立腺がん、転移性乳がん、転移性肺がんなどの転移性がん)を患っている、またはそのリスクがある、対象内のがん病変(たとえば、転移)における放射性医薬品の取込みを識別および測定する方法を対象とし、この方法は、(a)コンピューティングデバイスのプロセッサによって、解剖学的撮像法[たとえばX線コンピュータ断層撮影法(CT)、たとえば磁気共鳴撮像(MRI)、たとえば超音波]を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、3D解剖学的画像が、対象内の組織(たとえば、軟組織および/または骨)の図形表現を含む、受け取ることと、(b)プロセッサによって、1つまたは複数の機械学習モジュール(たとえば、機械学習モジュールのうちの少なくとも1つは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールである)を使用して、3D解剖学的画像内で、対象の1つまたは複数の骨の図形表現を含む第1の骨格体積、対象の大動脈の少なくとも一部分の図形表現を含む第1の大動脈体積、および対象の肝臓の図形表現を含む第1の肝臓体積を自動的に識別することと、(c)プロセッサによって、識別された第1の骨格体積を表す骨格マスク、識別された第1の大動脈体積を表す大動脈マスク、および識別された第1の肝臓体積を表す肝臓マスクを含む複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することと、(d)プロセッサによって、機能的撮像法[たとえば単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、たとえばポジトロン放出断層撮影法(PET)]を使用して取得された対象の3D機能的画像を受け取ること[たとえば、3D機能的画像は複数のボクセルを含み、各ボクセルが、対象内の特定の物理的体積を表し、特定の物理的体積から放出される検出された放射を表す強度値を有し、3D機能的画像の複数のボクセルの少なくとも一部分は、対象の1つもしくは複数の骨、大動脈部分、および/または肝臓内の物理的体積を表す]と、(e)3D機能的画像内で、3Dセグメント化マップを使用して(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)、3D解剖学的画像内の第1の識別された骨格体積に対応する第2の骨格体積、3D解剖学的画像内で識別された第1の大動脈体積に対応する第2の大動脈体積、および3D解剖学的画像内で識別された第1の肝臓体積に対応する第2の肝臓体積を自動的に識別することと、(f)プロセッサによって、第2の骨格体積内で、第2の骨格体積内のボクセルの強度に基づいて病変を表すと判定された1つまたは複数のホットスポット(たとえば、たとえば第2の骨格体積内に位置するボクセルの強度と閾値との比較に基づいて識別された、比較的高い強度の局所化領域に対応する1つまたは複数のホットスポット)を自動的に検出することと、(g)第2の大動脈体積内のボクセルの強度の測度(たとえば、平均値、最大値、中央値など)に基づいて大動脈基準強度レベルを判定し、第2の肝臓体積内のボクセルの強度の測度(たとえば、平均値、最大値、中央値など)に基づいて肝臓基準強度レベルを判定し、検出された個別の各ホットスポットに対して、検出されたホットスポットのボクセルの強度の測度(たとえば、平均値、最大値、中央値など)に基づいて、対応する個別のホットスポット強度レベルを判定し、個別のホットスポット強度レベル、大動脈基準強度レベル、および肝臓基準強度レベルから対応する個別のホットスポットインデックスレベルを判定することによって、プロセッサによって、1つまたは複数の検出されたホットスポットの各々に対して、個別のホットスポットインデックス(たとえば、検出されたホットスポットによって表される病変における放射性医薬品の取込みの測度を示す)値を判定することとを含む。
【0073】
特定の実施形態では、この方法は、プロセッサによって、1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の個別のホットスポットインデックス値に基づいて、対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定することを含む。
【0074】
特定の実施形態では、対象は、前立腺がんを患っており、またはそのリスクがある。
【0075】
特定の実施形態では、ステップ(b)は、3D解剖学的画像内で、対象の前立腺の図形表現を含む第1の前立腺体積を自動的に識別することを含み、ステップ(c)で判定される3Dセグメント化マップは、識別された第1の前立腺体積を表す前立腺マスクをさらに含み、ステップ(e)は、3D機能的画像内で、3D解剖学的画像内の第1の識別された前立腺体積に対応する第2の前立腺体積を自動的に識別することを含み、ステップ(f)は、第2の前立腺体積内で1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することを含み、この方法は、プロセッサによって、(i)第2の骨格体積内に位置する1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の個別のホットスポットインデックス値に基づいて、対象の1つまたは複数の骨における病変の内容(たとえば、重症度)を示す総合骨インデックス値を判定し、(ii)第2の前立腺体積内に位置する1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の個別のホットスポットインデックス値に基づいて、対象の前立腺における病変の内容(たとえば、重症度)を示す総合前立腺インデックス値を判定することをさらに含む。
【0076】
特定の実施形態では、対象は、転移性がん(たとえば、転移性前立腺がん、転移性乳がん、転移性肺がん、および他の転移性骨肉腫)を患っており、またはそのリスクがある。
【0077】
別の態様では、本発明は、可変サイズの1組のフルボディ3D解剖学的画像を自動的に処理して、各3D解剖学的画像内で、特定の標的組織領域に対応する複数の3D体積を自動的に識別する方法を対象とし、この方法は、(a)コンピューティングデバイスのプロセッサによって、解剖学的撮像法[たとえばX線コンピュータ断層撮影法(CT)、たとえば磁気共鳴撮像(MRI)、たとえば超音波]を使用して取得された1つまたは複数の対象の1組の3D解剖学的画像を受け取ることであり、3D解剖学的画像が、1つまたは複数の対象の各々における組織(たとえば、軟組織および/または骨)の図形表現を含み、1組の3D解剖学的画像が、平均x次元、平均y次元、および平均z次元を有し、平均x次元、平均y次元、および平均z次元のうちの少なくとも1つ(平均x、平均y、または平均z次元)が、対応する平均値の少なくとも3%の標準偏差を有する[たとえば、平均x次元、平均y次元、および平均z次元のうちの少なくとも1つ(平均x、平均y、または平均z次元)は、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%の相対標準偏差を有する]、受け取ることと、(b)プロセッサによって、CNNを実装する局所化モジュールを使用して、1組の3D解剖学的画像のうちの各画像内で、1つまたは複数の特定の関連付けられた標的組織領域(たとえば、1つまたは複数の特有の骨、たとえば、1つまたは複数の特有の器官)を含む特定の解剖学的領域(たとえば、骨盤領域および脊柱領域などの1群の関連組織)に対応する少なくとも1つの初期VOIを自動的に判定し、それによって対応する3D解剖学的画像に対する少なくとも1つの初期VOIを識別することと、(c)各初期VOIに対して、プロセッサによって、CNNを各々実装する1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して、初期VOIが対応する特定の解剖学的領域に関連付けられた1つまたは複数の特定の標的組織領域の各々に対して、対応する標的VOI(たとえば、特定の標的組織領域の図形表現)を自動的に識別することとを含む。
【0078】
別の態様では、本発明は、3D画像を自動的に処理して、特定の標的組織領域に対応する3D画像内の3D体積を識別するシステムを対象とし、このシステムは、コンピューティングデバイスのプロセッサと、命令が記憶されたメモリとを含み、命令がプロセッサによって実行されたとき、プロセッサは、(a)解剖学的撮像法[たとえばX線コンピュータ断層撮影法(CT)、たとえば磁気共鳴撮像(MRI)、たとえば超音波]を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、3D解剖学的画像が、対象内の組織(たとえば、軟組織および/または骨)の図形表現を含む、受け取ることと、(b)1つまたは複数の機械学習モジュール(たとえば、1つまたは複数の機械学習モジュールのうちの少なくとも1つは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールである)を使用して、複数の標的組織領域の各々に対して、3D解剖学的画像内の対応する標的関心体積(VOI)を自動的に識別することと、(c)複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することであり、各3Dセグメント化マスクが、特定の識別された標的VOIを表す(たとえば、複数の3Dセグメント化マスクをともに自動的にデジタルで綴じて3Dセグメント化マップを形成する)、判定することと、(d)表示および/またはさらなる処理のために3Dセグメント化マップを記憶および/または提供することとを行う。
【0079】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像はフルボディ画像である。
【0080】
特定の実施形態では、ステップ(c)で、命令によりプロセッサは、複数の3Dセグメント化マスクをともにデジタルで綴じて3Dセグメント化マップを形成する{たとえば、最初に空の画像体積を作成し(たとえば、すべてのボクセル値をゼロに初期化する)、次いで各セグメント化マスクからの標識を画像体積に挿入することによる[たとえば、1つまたは複数の機械学習モジュールに対する入力画像の標識された(たとえば、機械学習モジュールによって判定された特定の標的組織領域を表す)ボクセルを、画像体積のボクセルにマッピングすることによる(たとえば、画像体積のボクセルを、同じ物理的な場所を表す入力画像のボクセルに整合させ、それによって画像体積のボクセルに正確に標識する)]}。
【0081】
特定の実施形態では、ステップ(b)で、命令によりプロセッサは、少なくとも1つの特有の標的組織領域に対して、第1のモジュール(たとえば、局所化モジュール)(たとえば、第1の機械学習モジュール)を使用して、3D解剖学的画像内の初期VOIを判定することであって、初期VOIが、特有の標的組織領域を含む解剖学的領域(たとえば、骨盤領域、胸部領域、頭部および/または頸部領域などの1群の関連組織)に対応する(たとえば、初期VOIは、初期VOIが含むもの以外の3D解剖学的画像のさらなるボクセルを除外し、たとえば、初期VOIは、3D解剖学的画像のボクセルの25%未満を含み、たとえば、初期VOI内のボクセルの大部分は、解剖学的領域内の物理的体積を表す)、判定することと、第2のモジュール(たとえば、セグメント化モジュール)(たとえば、第2の機械学習モジュール)を使用して、初期VOI内の特有の標的組織領域に対応する標的VOIを識別することとを行う。
【0082】
特定の実施形態では、第2のモジュールは、CNNを実装するCNNモジュールである。
【0083】
特定の実施形態では、第1のモジュールは、CNNを実装して粗いセグメント化を実行し、特有の標的組織領域を含む解剖学的領域に対応する初期VOIを自動的に識別するCNNモジュールである[たとえば、解剖学的画像内の1群の関連組織の図形表現を自動的に識別する(たとえば、その後、1群の関連組織の識別された図形表現を完全に囲む方形領域(たとえば、直方柱または角箱)として初期VOIを判定する)ことによる][たとえば、解剖学的領域内に位置することが予想される1つまたは複数の特定の組織領域の各々に対して、解剖学的画像内の対応するVOIを自動的に識別し(たとえば、粗いセグメント化による)、たとえば特定の組織領域に対応する識別されたVOIのすべてを完全に囲む方形領域として初期VOIを判定することによる]。
【0084】
特定の実施形態では、第1のモジュールは、解剖学的画像のサブサンプリングバージョン[たとえば、1つまたは複数の次元に沿って2倍またはそれより大きい(たとえば、4倍)]を入力として受け取り、解剖学的画像のサブサンプリングバージョンを使用して初期VOIを識別する[たとえば、第2のモジュールは、初期VOIにクロッピングされた解剖学的画像のフル分解能版を受け取る(たとえば、第1のモジュールは、第2のモジュールより大きい物理的体積を表すより低い分解能の画像上で動作し、第2のモジュールは、より小さい物理的体積を表すより高い分解能の画像上で動作する)]。
【0085】
特定の実施形態では、第1のモジュールは第1のCNNモジュールであり、第2のモジュールは第2のCNNモジュールであり、第1のCNNモジュールは、第2のCNNモジュールに対する画像サイズの変動性の増大を補償するために、追加のフィルタを含む。
【0086】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像はフルボディ画像であり、ステップ(b)で、命令によりプロセッサは、機械学習技法(単数または複数)を実装する1つまたは複数の局所化モジュールを使用して(たとえば、各局所化モジュールは、CNNを実装するCNNモジュールである)、3D解剖学的画像内の複数の初期VOIを自動的に判定することであり、各初期VOIが、特定の解剖学的領域(たとえば、骨盤領域、胸部領域、頭部および/または頸部領域、脊柱領域、上半身領域、下半身領域などの1群の関連組織)に対応し、特定の解剖学的領域内に標的VOIの関連付けられた部分集合が位置する、判定することと、各初期VOIに対して、機械学習技法(単数または複数)を実装する1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して(たとえば、各セグメント化モジュールは、CNNを実装するCNNモジュールである)、標的VOIの関連付けられた部分集合を自動的に識別することとを行う。
【0087】
特定の実施形態では、複数の初期VOIは、対象の骨盤領域に対応する骨盤領域初期VOI(たとえば、骨盤領域初期VOI内に位置する標的VOIの部分集合は、左腸骨および/または右腸骨、仙骨、ならびに尾骨からなる群から選択された標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIを含む)、対象の脊柱に対応する脊柱領域初期VOI(たとえば、骨盤領域初期VOI内に位置する標的VOIの部分集合は、胸椎、腰椎、および胸骨からなる群から選択された標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIを含む)、対象の上半身の左側に対応する左上半身領域初期VOI(たとえば、骨盤領域初期VOI内に位置する標的VOIの部分集合は、1つまたは複数の左肋骨、左肩甲骨、および左鎖骨からなる群から選択された標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIを含む)、および対象の上半身の右側に対応する右上半身領域初期VOI(たとえば、骨盤領域初期VOI内に位置する標的VOIの部分集合は、1つまたは複数の右肋骨、右肩甲骨、および右鎖骨からなる群から選択された標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIを含む)からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0088】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、(e)機能的撮像法[たとえば単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、たとえばポジトロン放出断層撮影法(PET)]を使用して取得された対象の3D機能的画像を受け取ること[たとえば、3D機能的画像は複数のボクセルを含み、各ボクセルは、対象内の特定の物理的体積を表し、特定の物理的体積から放出される検出された放射を表す強度値を有し、3D機能的画像の複数のボクセルの少なくとも一部分は、対象の標的組織領域のうちの1つまたは複数内の物理的体積を表す]と、(f)3D機能的画像内で、3Dセグメント化マップを使用して(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)、識別された標的VOIに各々対応する1つまたは複数の3D体積を識別することとを行う。
【0089】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、(g)対象に対するがんの状態[(たとえば、前立腺がんの状態、たとえば、転移性がんの状態(たとえば、たとえば転移性前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸がん、皮膚がんなどを含む転移性がん)](たとえば、機能的画像および1つまたは複数の識別された3D体積内のボクセルの強度を使用する)(たとえば、検出された病変に基づく)[たとえば、対象が前立腺がんおよび/または特定の病期の前立腺がん(たとえば、転移性前立腺がん)を罹患および/または発症している尤度][たとえば、対象が転移性がん(たとえば、転移性前立腺がん、乳がん、肺がん、結腸がん、皮膚がんなどを含む)を罹患および/または発症している尤度]を判定する。
【0090】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、異なる時点で収集された複数の解剖学的画像および対応する機能的画像に対してステップ(a)~(g)を繰返し実行して、各時点で対象のがんの状態を判定し、それによってがんの状態を経時的に追跡する(たとえば、疾患の進行および/または処置の有効性を評価する)。
【0091】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、(h)3D機能的画像のボクセルの強度を自動的に調整して、1つまたは複数の背景組織領域における背景の取込み(たとえば、放射性医薬品)を補正する(たとえば、通常の状況下で1つまたは複数の背景組織領域内で生じるが、必ずしもがん病変の存在を示さない放射性医薬品の取込みを補正する)(たとえば、ステップ(g)の前)。
【0092】
特定の実施形態では、標的組織領域は、1つまたは複数の背景組織領域を含み、ステップ(h)で、命令によりプロセッサは、3Dセグメント化マップを使用して、3D機能的画像内で、特定の背景組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D背景組織体積を識別する(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)ことと、3D背景組織体積内のボクセルの強度に基づいて、3D機能的画像のボクセルの強度を調整する(たとえば、3D背景組織体積内のボクセルの強度を使用して、3D背景組織体積の外側の強度への寄与を推定することによる)こととを行う。
【0093】
特定の実施形態では、1つまたは複数の背景組織領域は、嚢(たとえば、膀胱)、腎臓、十二指腸、小腸、脾臓、肝臓、膵臓、胃、副腎、直腸、および精巣からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0094】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、(i)3D機能的画像内のボクセルの強度に基づいて[たとえば、3D機能的画像内の強度と閾値との比較に基づいて(たとえば、3D機能的画像は3DPET画像であり、閾値は特定の標準取込み値(SUV)レベルである)](たとえばまた、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積に基づいて)、病変を表すと判定された3D機能的画像内の1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出する。
【0095】
特定の実施形態では、ステップ(i)で、命令によりプロセッサは、1つまたは複数の閾値を使用する[たとえば、3D機能的画像内のボクセルの強度と1つまたは複数の閾値とを比較する(たとえば、1つまたは複数の閾値は、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積の特有の部分集合に対して各々使用される複数の領域特有閾値を含む)]。
【0096】
特定の実施形態では、ステップ(i)で、命令によりプロセッサは、1つまたは複数のフィルタを3D機能的画像に適用する[たとえば、ブロブ検出技法と同様であり、たとえば、1つまたは複数のフィルタは、1つまたは複数のガウスフィルタ(たとえば、ガウス差分手法と同様に、高域ガウスフィルタおよび低域ガウスフィルタ)を含み、たとえば、1つまたは複数のフィルタは、ラプラシアンフィルタ(たとえば、ガウスのラプラシアン技法と同様)を含み、たとえば、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積の異なる部分集合に対して、異なるフィルタカーネルが使用される]。
【0097】
特定の実施形態では、ステップ(i)で、命令によりプロセッサは、3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積の異なる部分集合におけるホットスポットの識別のために、2つまたはそれより多い技法の組合せを使用する[たとえば、1つまたは複数の3D体積の第1の部分集合に対して第1のフィルタリング手法(たとえば、段落[0096]と同様)を使用し、第2の部分集合に対して第2のフィルタリング手法を使用し、たとえば、1つまたは複数の3D体積の第1の部分集合に対して閾値手法(たとえば、段落[0095]と同様)を使用し、1つまたは複数の3D体積の第2の部分集合に対してフィルタリング手法(たとえば、段落[0096]と同様)を使用する]。
【0098】
特定の実施形態では、ステップ(i)で、命令によりプロセッサは、最初の1組のホットスポットを検出し、最初の1組のホットスポットの少なくとも一部分に対して、検出されたホットスポットの少なくとも一部分の各ホットスポットを、がん病変として、またはがん病変でないもの(たとえば、ノイズ)として分類する[たとえば、機械学習モジュールを使用し、たとえば、ホットスポットの形状および/または場所に基づいて(たとえば、解剖学的知識と組み合わせて、たとえば、場所は、ホットスポットが位置する3D体積に対応する特定の標的組織領域の識別情報、および/または特定の標的組織領域内のホットスポットの相対位置を含む)、たとえばがん病変でないものとして分類されたホットスポットを最初の1組から除去し、それによって病変を表すと判定された最終的な1組のホットスポットを取得する]。
【0099】
特定の実施形態では、標的組織領域は、1つまたは複数の背景組織領域を含み、命令によりプロセッサは、3Dセグメント化マップを使用して、3D機能的画像内で、特定の背景組織領域(たとえば、通常の状況下で著しい放射性医薬品の取込みが生じるが、必ずしもがん病変の存在を示さない背景組織領域)に各々対応する1つまたは複数の3D背景組織体積を識別する(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)ことと、ステップ(i)で1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出するために使用されたボクセルから、3D背景組織内の3Dのボクセルを除外することとを行う。
【0100】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、1つまたは複数の検出されたホットスポット(たとえば、1つまたは複数の検出されたホットスポットの強度)を使用して、対象に対するがんの状態を判定する。
【0101】
特定の実施形態では、標的組織領域は、1つまたは複数の基準組織領域を含み、命令によりプロセッサは、3Dセグメント化マップを使用して、3D機能的画像内で、特定の基準組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D基準体積を識別することと、1つまたは複数の3D基準体積の特定の3D基準体積に各々関連付けられ、特定の3D基準体積内の(たとえば、平均/平均、中央、最大など)強度の測度に対応する1つまたは複数の基準強度値を判定することと、検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに各々関連付けられ、特定のホットスポットの(たとえば、平均/平均、中央、最大など)強度の測度に対応する1つまたは複数の個別のホットスポット強度値を判定することと、1つまたは複数の個別のホットスポット強度値および1つまたは複数の基準強度値を使用して、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することとを行う[たとえば、個別の各ホットスポットインデックス値は、検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに関連付けられ、(i)特定のホットスポットに関連付けられた個別のホットスポット強度値、および(ii)1つまたは複数の基準強度値を使用して(たとえば、これらの比較に基づいて)判定される]。
【0102】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、1つまたは複数の基準強度値の各々をスケール上の対応する基準インデックス値にマッピングし、個別の各ホットスポット強度値に対して、基準強度値および対応する基準インデックス値を使用して、対応する個別のホットスポットインデックス値を補間することによって、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定する。
【0103】
特定の実施形態では、基準組織領域は、肝臓、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0104】
特定の実施形態では、第1の基準強度値は、(i)大動脈部分に対応する3D基準体積に関連付けられた血液基準強度値であり、(ii)第1の基準インデックス値にマッピングし、第2の基準強度値は、(i)肝臓に対応する3D基準体積に関連付けられた肝臓基準強度値であり、(ii)第2の基準インデックス値にマッピングし、第2の基準強度値は第1の基準強度値より大きく、第2の基準インデックス値は第1の基準インデックス値より大きい。
【0105】
特定の実施形態では、基準強度値は、最大基準インデックス値にマッピングする最大基準強度値を含み、最大基準強度値より大きい関連付けられたホットスポット強度値を有するホットスポットに、最大基準インデックス値に等しいホットスポットインデックス値が割り当てられる。
【0106】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、1つまたは複数のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分を使用して、対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定する。
【0107】
特定の実施形態では、総合インデックス値は、個別のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分[たとえば、対象の骨格領域に対応する機能的画像の3D体積内に位置し、たとえば、対象のリンパ領域に対応する機能的画像の3D体積内に位置する]の加重和として判定される[たとえば、この和の各ホットスポットインデックス値は、関連付けられたホットスポットのサイズ(たとえば3D体積、たとえば平均直径)の測度によって加重される]。
【0108】
特定の実施形態では、総合インデックス値は、解剖学的画像内で識別された特定の標的VOIに対応する特定の標的組織領域に関連付けられ、総合インデックス値は、特定の識別された標的VOIに対応する3D機能的画像内の特定の3D体積内に位置するホットスポットの部分集合のホットスポットインデックス値を使用して判定される[たとえば、総合インデックス値は、ホットスポットの部分集合のホットスポットインデックス値の加重和として算出される(たとえば、加重和は、特定の標的組織領域の推定される体積(たとえば、機能画像内の特定の3D体積の体積、および/または特定の標的VOIの体積として算出される)によって正規化される)]。
【0109】
特定の実施形態では、特定の標的組織領域は、対象の1つまたは複数の骨を含む骨格領域、リンパ領域、および前立腺領域からなる群から選択される。
【0110】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像は、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、3D機能的画像は、3D単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)画像である。
【0111】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像は、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、3D機能的画像は、3Dポジトロン放出断層撮影(PET)画像である。
【0112】
特定の実施形態では、対象の3DPET画像は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合剤を含む放射性医薬品の対象への投与後に取得される。
【0113】
特定の実施形態では、放射性医薬品は、[18F]DCFPyLを含む。
【0114】
特定の実施形態では、ステップ(b)で、命令によりプロセッサは、3D解剖学的画像をクロッピングして、空気を表すボクセルを除去する[たとえば、クロッピングされた解剖学的画像を作成し、クロッピングされた解剖学的画像を使用して、1つまたは複数の標的VOIを識別する(たとえば、クロッピングされた解剖学的画像を使用することは、元のサイズの3D解剖学的画像とは対照的に、1つまたは複数の機械学習モジュールへの入力として使用される)]。
【0115】
特定の実施形態では、標的組織領域は、左寛骨、右寛骨、仙骨および尾骨領域、左鎖骨、右鎖骨、左肋骨、右肋骨、左肩甲骨、右肩甲骨、胸骨、腰椎、胸椎、頭蓋骨、頸椎、左大腿部、右大腿部、左上腕骨、右上腕骨、前立腺、膀胱、直腸、左大臀筋、右大臀筋、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、脾臓、心室、左副腎、右副腎、胆嚢、脳、膵臓、心臓、下顎骨、左気管支、右気管支、気管、左総腸骨動脈、右総腸骨動脈、ならびに耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0116】
特定の実施形態では、標的組織領域のうちの1つまたは複数は、左鎖骨、右鎖骨、左大腿部、右大腿部、左腓骨、右腓骨、左寛骨、右寛骨、左上腕骨、右上腕骨、下顎骨、左膝蓋骨、右膝蓋骨、左橈骨、右橈骨、左脛骨、右脛骨、左尺骨、右尺骨、左肋骨(たとえば、左第1肋骨、左第2肋骨、左第3肋骨、左第4肋骨、左第5肋骨、左第6肋骨、左第7肋骨、左第8肋骨、左第9肋骨、左第10肋骨、左第11肋骨、左第12肋骨)、右肋骨(たとえば、右第1肋骨、右第2肋骨、右第3肋骨、右第4肋骨、右第5肋骨、右第6肋骨、右第7肋骨、右第8肋骨、右第9肋骨、右第10肋骨、右第11肋骨、右第12肋骨)、仙骨および尾骨(たとえば、組み合わせた仙骨および尾骨領域、たとえば、両者を区別して個別に仙骨および尾骨)、左肩甲骨、右肩甲骨、頭蓋骨、胸骨、椎骨領域[たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)頸椎を含む頸椎領域、たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)腰椎を含む腰椎領域、たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)胸椎を含む胸椎領域]、ならびに個別の椎骨[たとえば、個別の頸椎(たとえば、第1頸椎、第2頸椎、第3頸椎、第4頸椎、第5頸椎、第6頸椎、第7頸椎)、たとえば、個別の腰椎(たとえば、第1腰椎、第2腰椎、第3腰椎、第4腰椎、第5腰椎、第6腰椎)、たとえば、個別の胸椎(たとえば、第1胸椎、第2胸椎、第3胸椎、第4胸椎、第5胸椎、第6胸椎、第7胸椎、第8胸椎、第9胸椎、第10胸椎、第11胸椎、第12胸椎)]からなる群から選択された1つまたは複数の特有の骨を含む。
【0117】
特定の実施形態では、標的組織領域のうちの1つまたは複数は、左鎖骨、右鎖骨、左寛骨、右寛骨、左肋骨(たとえば、左第1肋骨、左第2肋骨、左第3肋骨、左第4肋骨、左第5肋骨、左第6肋骨、左第7肋骨、左第8肋骨、左第9肋骨、左第10肋骨、左第11肋骨、左第12肋骨)、右肋骨(たとえば、右第1肋骨、右第2肋骨、右第3肋骨、右第4肋骨、右第5肋骨、右第6肋骨、右第7肋骨、右第8肋骨、右第9肋骨、右第10肋骨、右第11肋骨、右第12肋骨)、仙骨および尾骨(たとえば、組み合わせた仙骨および尾骨領域、たとえば、両者を区別して個別に仙骨および尾骨)、左肩甲骨、右肩甲骨、胸骨、椎骨領域[たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)頸椎を含む頸椎領域、たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)腰椎を含む腰椎領域、たとえば、1つまたは複数の(たとえば、最大ですべての)胸椎を含む胸椎領域]、ならびに個別の椎骨[たとえば、個別の腰椎(たとえば、第1腰椎、第2腰椎、第3腰椎、第4腰椎、第5腰椎)、たとえば、個別の胸椎(たとえば、第1胸椎、第2胸椎、第3胸椎、第4胸椎、第5胸椎、第6胸椎、第7胸椎、第8胸椎、第9胸椎、第10胸椎、第11胸椎、第12胸椎)]からなる群から選択された1つまたは複数の特有の骨を含む。
【0118】
特定の実施形態では、標的組織領域のうちの1つまたは複数は、左副腎、右副腎、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、脳、左気管支、右気管支、胆嚢、左大臀筋、右大臀筋、心臓、左総腸骨動脈、右総腸骨動脈、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、膵臓、前立腺、直腸、脾臓、気管、膀胱、心室、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数の軟組織領域(たとえば、器官)を含む。
【0119】
特定の実施形態では、1つまたは複数の標的組織領域は、胆嚢、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、前立腺、および膀胱からなる群から選択された1つまたは複数の軟組織領域(たとえば、器官)を含む。
【0120】
特定の実施形態では、標的組織領域は、特有の骨に各々対応する1つまたは複数の骨領域[たとえば、標的組織領域は、段落[0116]または[0117]に挙げた骨の少なくとも一部分(たとえば、最大ですべて)を含む]、および特有の軟組織領域に各々対応する1つまたは複数の軟組織領域[たとえば、標的組織領域は、段落[0118]または[0119]に挙げた軟組織領域の少なくとも一部分(たとえば、最大ですべて)を含む]を含む。
【0121】
別の態様では、本発明は、3D画像を自動的に処理して、対象内のがん病変を自動的に識別するシステムを対象とし、このシステムは、コンピューティングデバイスのプロセッサと、命令が記憶されたメモリとを含み、命令がプロセッサによって実行されたとき、プロセッサは、(a)解剖学的撮像法[たとえばX線コンピュータ断層撮影法(CT)、たとえば磁気共鳴撮像(MRI)、たとえば超音波]を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、3D解剖学的画像が、対象内の組織(たとえば、軟組織および/または骨)の図形表現を含む、受け取ることと、(b)1つまたは複数の機械学習モジュール(たとえば、1つまたは複数の機械学習モジュールのうちの少なくとも1つは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールである)を使用して、複数の標的組織領域の各々に対して、3D解剖学的画像内の対応する標的関心体積(VOI)を自動的に識別することと、(c)複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することであり、各3Dセグメント化マスクが、特定の識別された標的VOIを表す(たとえば、複数の3Dセグメント化マスクをともに自動的にデジタルで綴じて3Dセグメント化マップを形成する)、判定することと、(d)機能的撮像法[たとえば単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、たとえばポジトロン放出断層撮影法(PET)]を使用して取得された対象の3D機能的画像を受け取ること[たとえば、3D機能的画像は、複数のボクセルを含み、各ボクセルは、対象内の特定の物理的体積を表し、特定の物理的体積から放出される検出された放射を表す強度値を有し、3D機能的画像の複数のボクセルの少なくとも一部分は、対象の標的組織領域のうちの1つまたは複数内の物理的体積を表す]と、(e)3D機能的画像内で、3Dセグメント化マップを使用して(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)、識別された標的VOIに各々対応する1つまたは複数の3D体積を識別することと、(f)3D機能的画像内で識別された1つまたは複数の3D体積の少なくとも一部分内で、3D機能的画像内のボクセルの強度に基づいて[たとえば、3D機能的画像内の強度と閾値との比較に基づいて(たとえば、3D機能的画像は3DPET画像であり、閾値は特定の標準取込み値(SUV)レベルである)]、病変を表すと判定された1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することとを行う。
【0122】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、1つまたは複数の検出されたホットスポット(たとえば、1つまたは複数の検出されたホットスポットの強度)を使用して、対象に対するがんの状態を判定する。
【0123】
特定の実施形態では、標的組織領域は、1つまたは複数の基準組織領域を含み、命令によりプロセッサは、3Dセグメント化マップを使用して、3D機能的画像内で、特定の基準組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D基準体積を識別することと、1つまたは複数の3D基準体積の特定の3D基準体積に各々関連付けられ、特定の3D基準体積内の(たとえば、平均/平均、中央、最大など)強度の測度に対応する1つまたは複数の基準強度値を判定することと、検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに各々関連付けられ、特定のホットスポットの(たとえば、平均/平均、中央、最大など)強度の測度に対応する1つまたは複数の個別のホットスポット強度値を判定することと、1つまたは複数の個別のホットスポット強度値および1つまたは複数の基準強度値を使用して、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することとを行う[たとえば、個別の各ホットスポットインデックス値は、検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに関連付けられ、(i)特定のホットスポットに関連付けられた個別のホットスポット強度値、および(ii)1つまたは複数の基準強度値を使用して(たとえば、これらの比較に基づいて)判定される]。
【0124】
特定の実施形態では、基準組織領域は、肝臓、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む。
【0125】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、1つまたは複数のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分を使用して、対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定する。
【0126】
特定の実施形態では、総合インデックス値は、個別のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分[たとえば、対象の骨格領域に対応する機能的画像の3D体積内に位置し、たとえば、対象のリンパ領域に対応する機能的画像の3D体積内に位置する]の加重和として判定される[たとえば、この和の各ホットスポットインデックス値は、関連付けられたホットスポットのサイズ(たとえば3D体積、たとえば平均直径)の測度によって加重される]。
【0127】
特定の実施形態では、3D解剖学的画像は、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、3D機能的画像は、3Dポジトロン放出断層撮影(PET)画像である。
【0128】
特定の実施形態では、対象の3DPET画像は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合剤を含む放射性医薬品の対象への投与後に取得される。
【0129】
特定の実施形態では、放射性医薬品は、[18F]DCFPyLを含む。
【0130】
別の態様では、本発明は、3D画像を自動的に処理して、がん(たとえば、前立腺がん、乳がん、肺がん、たとえば、転移性前立腺がん、転移性乳がん、転移性肺がんなどの転移性がん)を患っている、またはそのリスクがある、対象内のがん病変(たとえば、転移)における放射性医薬品の取込みを識別および測定するシステムを対象とし、このシステムは、コンピューティングデバイスのプロセッサと、命令が記憶されたメモリとを含み、命令がプロセッサによって実行されたとき、プロセッサは、(a)解剖学的撮像法[たとえばX線コンピュータ断層撮影法(CT)、たとえば磁気共鳴撮像(MRI)、たとえば超音波]を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、3D解剖学的画像が、対象内の組織(たとえば、軟組織および/または骨)の図形表現を含む、受け取ることと、(b)1つまたは複数の機械学習モジュール(たとえば、機械学習モジュールのうちの少なくとも1つは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールである)を使用して、3D解剖学的画像内で、対象の1つまたは複数の骨の図形表現を含む第1の骨格体積、対象の大動脈の少なくとも一部分の図形表現を含む第1の大動脈体積、および対象の肝臓の図形表現を含む第1の肝臓体積を自動的に識別することと、(c)識別された第1の骨格体積を表す骨格マスク、識別された第1の大動脈体積を表す大動脈マスク、および識別された第1の肝臓体積を表す肝臓マスクを含む複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することと、(d)機能的撮像法[たとえば単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、たとえばポジトロン放出断層撮影法(PET)]を使用して取得された対象の3D機能的画像を受け取ること[たとえば、3D機能的画像は複数のボクセルを含み、各ボクセルが、対象内の特定の物理的体積を表し、特定の物理的体積から放出される検出された放射を表す強度値を有し、3D機能的画像の複数のボクセルの少なくとも一部分は、対象の1つもしくは複数の骨、大動脈部分、および/または肝臓内の物理的体積を表す]と、(e)3D機能的画像内で、3Dセグメント化マップを使用して(たとえば、3Dセグメント化マップの3Dセグメント化マスクを3D機能的画像にマッピングすることによる)、3D解剖学的画像内の第1の識別された骨格体積に対応する第2の骨格体積、3D解剖学的画像内で識別された第1の大動脈体積に対応する第2の大動脈体積、および3D解剖学的画像内で識別された第1の肝臓体積に対応する第2の肝臓体積を自動的に識別することと、(f)第2の骨格体積内で、第2の骨格体積内のボクセルの強度に基づいて病変を表すと判定された1つまたは複数のホットスポット(たとえば、たとえば第2の骨格体積内に位置するボクセルの強度と閾値との比較に基づいて識別された、比較的高い強度の局所化領域に対応する1つまたは複数のホットスポット)を自動的に検出することと、(g)第2の大動脈体積内のボクセルの強度の測度(たとえば、平均値、最大値、中央値など)に基づいて大動脈基準強度レベルを判定し、第2の肝臓体積内のボクセルの強度の測度(たとえば、平均値、最大値、中央値など)に基づいて肝臓基準強度レベルを判定し、検出された個別の各ホットスポットに対して、検出されたホットスポットのボクセルの強度の測度(たとえば、平均値、最大値、中央値など)に基づいて、対応する個別のホットスポット強度レベルを判定し、個別のホットスポット強度レベル、大動脈基準強度レベル、および肝臓基準強度レベルから対応する個別のホットスポットインデックスレベルを判定することによって、1つまたは複数の検出されたホットスポットの各々に対して、個別のホットスポットインデックス(たとえば、検出されたホットスポットによって表される病変における放射性医薬品の取込みの測度を示す)値を判定することとを行う。
【0131】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の個別のホットスポットインデックス値に基づいて、対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定する。
【0132】
特定の実施形態では、対象は、前立腺がんを患っており、またはそのリスクがある。
【0133】
特定の実施形態では、命令によりプロセッサは、ステップ(b)で、3D解剖学的画像内で、対象の前立腺の図形表現を含む第1の前立腺体積を自動的に識別し、ステップ(c)で、判定された3Dセグメント化マップ内の識別された第1の前立腺体積を表す前立腺マスクを含み、ステップ(e)で、3D機能的画像内で、3D解剖学的画像内の第1の識別された前立腺体積に対応する第2の前立腺体積を自動的に識別し、ステップ(f)で、第2の前立腺体積内で1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出し、(i)第2の骨格体積内に位置する1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の個別のホットスポットインデックス値に基づいて、対象の1つまたは複数の骨における病変の内容(たとえば、重症度)を示す総合骨インデックス値を判定し、(ii)第2の前立腺体積内に位置する1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の個別のホットスポットインデックス値に基づいて、対象の前立腺における病変の内容(たとえば、重症度)を示す総合前立腺インデックス値を判定する。
【0134】
特定の実施形態では、対象は、転移性がん(たとえば、転移性前立腺がん、転移性乳がん、転移性肺がん、および他の転移性骨肉腫)を患っており、またはそのリスクがある。
【0135】
別の態様では、本発明は、可変サイズの1組のフルボディ3D解剖学的画像を自動的に処理して、各3D解剖学的画像内で、特定の標的組織領域に対応する複数の3D体積を自動的に識別するシステムを対象とし、このシステムは、コンピューティングデバイスのプロセッサと、命令が記憶されたメモリとを含み、命令がプロセッサによって実行されたとき、プロセッサは、(a)解剖学的撮像法[たとえばX線コンピュータ断層撮影法(CT)、たとえば磁気共鳴撮像(MRI)、たとえば超音波]を使用して取得された1つまたは複数の対象の1組の3D解剖学的画像を受け取ることであり、3D解剖学的画像が、1つまたは複数の対象の各々における組織(たとえば、軟組織および/または骨)の図形表現を含み、1組の3D解剖学的画像が、平均x次元、平均y次元、および平均z次元を有し、平均x次元、平均y次元、および平均z次元のうちの少なくとも1つ(平均x、平均y、または平均z次元)が、対応する平均値の少なくとも3%の標準偏差を有する[たとえば、平均x次元、平均y次元、および平均z次元のうちの少なくとも1つ(平均x、平均y、または平均z次元)は、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%の相対標準偏差を有する]、受け取ることと、(b)CNNを実装する局所化モジュールを使用して、1組の3D解剖学的画像のうちの各画像内で、1つまたは複数の特定の関連付けられた標的組織領域(たとえば、1つまたは複数の特有の骨、たとえば、1つまたは複数の特有の器官)を含む特定の解剖学的領域(たとえば、骨盤領域および脊柱領域などの1群の関連組織)に対応する少なくとも1つの初期VOIを自動的に判定し、それによって対応する3D解剖学的画像に対する少なくとも1つの初期VOIを識別することと、(c)各初期VOIに対して、CNNを各々実装する1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して、初期VOIが対応する特定の解剖学的領域に関連付けられた1つまたは複数の特定の標的組織領域の各々に対して、対応する標的VOI(たとえば、特定の標的組織領域の図形表現)を自動的に識別することとを行う。
【0136】
本発明の一態様に関して説明する実施形態の特徴は、本発明の別の態様に関しても適用することができる。
【0137】
本開示の上記その他の目的、態様、特徴、および利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによってより明らかになり、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態による人工知能(AI)プラットホームによる様々な撮像法の統合を示す図である。
【0139】
【
図2】
図2は、例示的な実施形態による様々な特有の骨が識別された対象の骨格を示す画像である。
【0140】
【
図3】
図3は、例示的な実施形態による様々な用途に対する様々な機能的撮像法におけるフルボディセグメント化の使用を示すブロック図である。
【0141】
【
図4】
図4は、例示的な実施形態によるがん病変を分類、特定、および定量化するためのAIモジュールによる異なる情報データセットの処理フローを示す図である。
【0142】
【
図5A】
図5Aは、例示的な実施形態による3D画像を自動的に処理して特定の標的組織領域に対応する3D画像内の3D体積を識別するプロセスのブロックフロー図である。
【0143】
【
図5B】
図5Bは、例示的な実施形態による3D画像を自動的に処理して3D体積を識別し、3D体積を使用してがん病変を表すホットスポットを検出するプロセスのブロックフロー図である。
【0144】
【
図6A】
図6Aは、例示的な実施形態による全身セグメント化のためのCT画像を自動的に処理するプロセスのブロックフロー図である。
【0145】
【
図6B】
図6Bは、
図6Aに示すプロセスの様々なステップの処理結果を示す1組のCT画像である。
【0146】
【
図7】
図7は、例示的な実施形態によるCT画像をセグメント化するために使用される機械学習モジュールに対する訓練データとして使用される1組の3つの画像である。
【0147】
【
図8】
図8は、識別された関心体積が重ね合わされた1組の2つの画像である。
【0148】
【
図9A】
図9Aは、PyL(商標)の投与後に対象から取得された3DPET/CT画像の1組の2Dビューである。
【0149】
【0150】
【
図9C】
図9Cは、PyL(商標)の投与後に対象から取得された3DPET/CT画像の1組の2Dビューである。
【0151】
【0152】
【
図10A】
図10Aは、例示的な実施形態によるPyL(商標)-PET画像を分析するための例示的なプロセスを示すブロックフロー図である。
【0153】
【
図10B】
図10Bは、対象へのPyL(商標)の投与後に取得されたPET/CT画像である。
【0154】
【
図10C】
図10Cは、本明細書に記載する機械学習手法を介して識別された関心体積を示す1組の2つのCT画像である。
【0155】
【
図10D】
図10Dは、例示的な実施形態によるPET画像内の背景補正を示す1組の3つの画像である。
【0156】
【
図11A】
図11Aは、例示的な実施形態による色で標識された特有の骨に対応する関心体積を有する3DCT画像の図である。
【0157】
【0158】
【
図12】
図12は、識別された背景組織領域を示す重ね合わせたPET画像を有するCT画像である。
【0159】
【
図13A】
図13Aは、検出された病変を示す重ね合わせたPET画像を有するCT画像の図である。
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【
図14A】
図14Aは、PyL(商標)の投与後に対象に対して取得された重ね合わせたPET画像を有するCT画像の1組の2つの図である。
【0164】
【
図14B】
図14Bは、背景補正および病変の検出を提供するために本明細書に記載する機械学習手法を介して処理した後の
図14Aと同じ図である。
【0165】
【
図15A】
図15Aは、PyL(商標)の投与後に対象に対して取得された重ね合わせたPET画像を有するCT画像の1組の2つの図である。
【0166】
【
図15B】
図15Bは、背景補正および病変の検出を提供するために本明細書に記載する機械学習手法を介して処理した後の
図15Aと同じ図である。
【0167】
【
図16A】
図16Aは、識別された関心体積が重ね合わされた3DCT画像の図である。
【0168】
【0169】
【
図17】
図17は、特定の実施形態で使用される例示的なクラウドコンピューティング環境のブロック図である。
【0170】
【
図18】
図18は、特定の実施形態で使用される例示的なコンピューティングデバイスおよび例示的な移動コンピューティングデバイスのブロック図である。
【0171】
【
図19】
図19は、例示的な実施形態による6つの異なるがん指標に対するPET/CT画像分析に基づいて特定の組織領域内で識別された病変におけるPyL(商標)-PSMA取込みを定量化する総合インデックス値を各々示す1組の3つのグラフである。
【0172】
【
図20】
図20は、例示的な実施形態によるPET/CT画像分析を介して3つの異なる組織領域(骨、リンパ、および前立腺)内で検出された病変に対して判定された個別の病変PSMAインデックス(LPI)値を示すグラフである。
【0173】
【
図21】
図21は、例示的な実施形態による血液プール基準値および肝臓基準値に対して手動および自動画像分析を介して判定された基準値を比較する1組の2つのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0174】
本開示の特徴および利点は、図面と併せたとき、後述する詳細な説明からより明らかになり、図面全体にわたって、同様の参照記号が対応する要素を識別する。概して図面では、同様の参照番号が、同一の要素、機能的に類似の要素、および/または構造的に類似の要素を示す。
【0175】
詳細な説明
本発明のシステム、アーキテクチャ、デバイス、方法、およびプロセスは、本明細書に記載する実施形態からの情報を使用して展開される変形例および適用例を包含することが企図される。本明細書に記載するシステム、アーキテクチャ、デバイス、方法、およびプロセスの適用例および/または修正例は、本説明によって企図されるように実行することができる。
【0176】
説明全体にわたって、物品、デバイス、システム、およびアーキテクチャが特有の構成要素を有する、含む、もしくは備えると説明する場合、またはプロセスおよび方法が特有のステップを有する、含む、もしくは備えると説明する場合、加えて、記載の構成要素から本質的になる、または記載の構成要素からなる、本発明の物品、デバイス、システム、およびアーキテクチャも存在すること、ならびに記載の処理ステップから本質的になる、または記載の処理ステップからなる、本発明によるプロセスおよび方法も存在することが企図される。
【0177】
本発明が動作可能なままである限り、ステップの順序または特定の動作を実行する順序は本質的でないことを理解されたい。さらに、2つまたはそれより多いステップまたは動作を同時に実施することができる。
【0178】
たとえば背景部における何らかの刊行物についての本明細書での言及は、その刊行物が本明細書に提示する請求項のいずれかに対して従来技術として働くことを認めたものではない。背景部は、分かりやすくする目的で提示されており、いずれかの請求項に対する従来技術の説明であることを意味しない。
【0179】
文献は、記載のように参照により本明細書に組み込まれる。特定の用語の意味において何らかの矛盾が存在する場合、上記の定義部に提供される意味が優先する。
【0180】
項目名は、読み手の利便性のために提供されており、項目名の存在および/または配置は、本明細書に記載する主題の範囲を限定することを意図したものではない。
i.定義
【0181】
本明細書では、「放射性核種」は、少なくとも1つの元素の放射性同位体を含む半分を指す。例示的な好適な放射性核種は、それだけに限定されるものではないが、本明細書に記載するものを含む。いくつかの実施形態では、放射性核種とは、ポジトロン放出断層撮影法(PET)で使用されるものである。いくつかの実施形態では、放射性核種とは、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)で使用されるものである。いくつかの実施形態では、放射性核種の非限定的なリストには、99mTc、111In、64Cu、67Ga、68Ga、186Re、188Re、153Sm、177Lu、67Cu、123I、124I、125I、126I、131I、11C、13N、15O、18F、153Sm、166Ho、177Lu、149Pm、90Y、213Bi、103Pd、109Pd、159Gd、140La、198Au、199Au、169Yb、175Yb、165Dy、166Dy、105Rh、111Ag、89Zr、225Ac、82Rb、75Br、76Br、77Br、80Br、80mBr、82Br、83Br、211At、および192Irが含まれる。
【0182】
本明細書では、「放射性医薬品」という用語は、放射性核種を含む化合物を指す。特定の実施形態では、放射性医薬品は、診断および/または治療の目的で使用される。特定の実施形態では、放射性医薬品は、1つまたは複数の放射性核種によって標識された小分子、1つまたは複数の放射性核種によって標識された抗体、および1つまたは複数の放射性核種によって標識された抗体の抗原結合部分を含む。
【0183】
本明細書では、「画像」に関連する「3D」または「3次元」は、3つの次元に関する情報を伝達することを意味する。3D画像は、3次元のデータセットとして描画することができ、かつ/または1組の2次元表現、もしくは3次元表現として表示することができる。
【0184】
本明細書では、「画像」、たとえば対象の3D画像は、写真、ビデオフレーム、ストリーミングビデオ、ならびに写真、ビデオフレーム、もしくはストリーミングビデオの任意の電子的、デジタル的、または数学的な類似物などの任意の視覚表現を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載する任意の装置は、プロセッサによってもたらされた画像または任意の他の結果を表示するためのディスプレイを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載する任意の方法は、その方法を介してもたらされた画像または任意の他の結果を表示するステップを含む。
【0185】
本明細書では、「対象」とは、人間または他の哺乳動物(たとえば、齧歯類動物(マウス、ラット、ハムスター)、ブタ、ネコ、イヌ、ウマ、霊長類動物、ウサギなど)を意味する。
【0186】
本明細書では、薬剤を「投与」することは、物質(たとえば、撮像剤)を対象に導入することを意味する。概して、たとえば、腸管外(たとえば、静脈内)、経口、局所、皮下、経腹膜、動脈内、吸入、経膣、経直腸、経鼻、脳脊髄液への導入、または体内区画への点滴を含む、任意の投与ルートを利用することができる。
【0187】
本明細書では、「フィルタリング機能」または「フィルタ」における「フィルタ」および「フィルタリング」という用語は、本明細書で「サブパッチ」と呼ばれるデータ(たとえば、画像データ、たとえば、CNNの層によって算出された値)の入力アレイ(たとえば、多次元アレイ)の局所化部分上で、所与のサブパッチに対する応答値を算出するように動作する機能を指す。概して、フィルタは、アレイに対する複数の応答値を算出するように、スライディングウィンドウの形でアレイに適用される。特に、所与の多次元アレイに対して、アレイのサブパッチは、特有のサイズ(たとえば、アレイと同じ数の次元)を有するアレイの方形領域とすることができる。たとえば、6×3×3アレイの場合、所与の3×3×3サブパッチとは、アレイの所与の3×3×3の1組の隣接値(たとえば、近傍)を指し、したがって6×3×3アレイ内に5つの個別の3×3×3サブパッチが存在する(各パッチは、第1の次元に沿って1つの位置だけシフトされる)。
【0188】
たとえば、フィルタリング機能は、サブパッチの値を使用して、アレイの所与のサブパッチに対して応答値を算出することができる。フィルタリング機能をスライディングウィンドウの形でアレイに適用して、アレイの複数のサブパッチの各々に対して応答値を算出することができる。算出された応答値は、応答値と入力アレイのサブパッチとの間の位置対応が維持されるように、出力アレイ内に記憶することができる。
【0189】
たとえば、第1のステップで、フィルタは、入力アレイの隅部のサブパッチから、第1の応答値を算出し、この第1の応答値を出力アレイの対応する隅部に記憶することができる。特定の実施形態では、第2のステップで、フィルタは次いで、入力アレイの特有の次元に沿って1つの位置だけシフトした第2のサブパッチに対する第2の応答値を算出する。第2の応答値は、出力アレイの対応する位置、すなわち出力アレイの同じ次元に沿って1つの位置だけシフトした位置に記憶することができる。サブパッチの位置をシフトさせ、応答値を算出し、応答値を出力アレイの対応する位置に記憶するステップは、入力アレイの各次元に沿って全入力アレイに対して繰り返すことができる。特定の実施形態(たとえば、ストライドフィルタリング手法)では、フィルタが応答値を算出するサブパッチは、所与の次元に沿って一度に1つの位置より大きくシフトされ、したがって応答値は、入力アレイのすべての可能なサブパッチに対して算出されるわけではない。
【0190】
本明細書では、「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)」という用語は、少なくとも1つの層が1つまたは複数のフィルタリング機能を実行する人工ニューラルネットワークのタイプを指す。本明細書では、「畳み込み層」という用語は、入力アレイを入力として受け取り、出力アレイを算出するCNNの層を指し、出力アレイの値は、1つまたは複数のフィルタを入力アレイに適用することによって算出される。特に、特定の実施形態では、畳み込み層は、n+1の次元を有する入力アレイを入力として受け取り、同じくn+1の次元を有する出力アレイをもたらす。本明細書では、CNNの層をフィルタリングすることによって動作される入力および出力アレイの第1のnの次元を「空間次元」と呼ぶ。本明細書では、入力の第(n+1)の次元を「入力チャネル」次元と呼ぶ。本明細書では、入力チャネル次元のサイズを「入力チャネルの数」と呼ぶ。本明細書では、出力の第(n+1)の次元を「出力チャネル」次元と呼ぶ。本明細書では、入力チャネル次元のサイズを「出力チャネルの数」と呼ぶ。
【0191】
特定の実施形態では、畳み込み層は、空間次元に沿って入力アレイより小さいサブパッチ上で動作するが、全出力チャネル次元にわたって延びるフィルタを適用することによって、応答値を算出する。たとえば、N×M×L×K0サイズの入力アレイは、3つの空間次元およびK0の出力チャネルを有する。畳み込み層のフィルタは、Nf×Mf×Lf×K0のサイズを有するサブパッチ上で動作することができ、ここでNf≦N、Mf≦M、およびLf≦Lである。多くの場合、畳み込み層のフィルタは、Nf<N、Mf<M、および/またはLf<Lのサイズを有するサブパッチ上で動作する。たとえば、特定の実施形態では、Nf<<N、Mf<<M、および/またはLf<<Lである。
【0192】
したがって、畳み込み層によって適用される1つまたは複数のフィルタの各々に対して、所与のフィルタによって算出された応答値は、対応する出力チャネル内に記憶される。したがって、n+1の次元を有する入力アレイを受け取る畳み込み層は、同じくn+1の次元を有する出力アレイを算出し、第(n+1)の次元は、畳み込み層によって適用された1つまたは複数のフィルタに対応する出力チャネルを表す。このようにして、所与の畳み込み層によって算出された出力アレイは、後続の畳み込み層によって入力として受け取ることができる。
【0193】
本明細書では、畳み込み層のフィルタに関連する「サイズ」という用語は、フィルタが動作するサブパッチの空間次元に沿ったサイズを指す(たとえば、出力チャネル次元に沿ったサブパッチサイズは、出力チャネルの総数と見なされる)。本明細書では、「畳み込み層のサイズ」と同様に、畳み込み層に関連する「サイズ」という用語は、畳み込み層のフィルタ(たとえば、同じサイズを有する畳み込み層の各フィルタ)のサイズを指す。特定の実施形態では、畳み込み層のフィルタは、機械学習訓練プロセスを介して判定される複数の可変パラメータを有する。特定の実施形態では、所与のフィルタのパラメータの数は、所与のフィルタが動作するサブパッチ内の値の数に等しい。たとえば、K0の出力チャネルを有する入力アレイ上で動作するサイズNf×Mf×Lfのフィルタは、Nf×Mf×Lf×K0のパラメータを有する。特定の実施形態では、フィルタはアレイとして実装され、所与のサブパッチに対してフィルタによって判定される応答値は、フィルタと所与のサブパッチとの間のドット積として算出される。
【0194】
本明細書では、「完全畳み込みニューラルネットワーク(FCNN)」という用語は、CNNの各層が畳み込み層であるCNNを指す。
【0195】
本明細書では、CNNの層の入力または出力に関連して使用される「体積」という用語は、CNN層によって受け取られる入力アレイまたは算出される出力アレイを指す。
【0196】
本明細書では、「CNNモジュール」という用語は、特有のCNNを実装して、画像(たとえば2D画像、たとえば3D画像)などの所与の入力に対して1つまたは複数の出力値を判定するコンピュータ実装プロセスを指す。たとえば、CNNモジュールは、対象の3D画像(たとえばCT画像、たとえばMRI)を入力として受け取り、画像の各ボクセルに対して、そのボクセルが3D画像のうち対象の特定の器官または組織の表現に対応する領域内に位置する尤度を表す値を判定することができる。CNNモジュールは、ソフトウェアおよび/またはハードウェアとすることができる。たとえば、CNNモジュールは、完全にソフトウェアとして実装することができ、またはCNNモジュールの特定の機能は、特殊なハードウェア(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC))を介して実施することができる。
【0197】
本明細書では、「組織」という用語は、骨(骨組織)ならびに軟組織を指す。
【0198】
特定の実施形態では、本明細書に記載する手法を使用して、対象のフルボディ画像内の標的組織領域をセグメント化および識別することができる。本明細書では、セグメント化の文脈で(区別なく)使用される「フルボディ」および「全身」という用語は、3D解剖学的画像において対象の体の図形表現の大部分(たとえば、50%より大きい)を評価して、標的関心組織領域を識別する手法を指す。特定の実施形態では、フルボディおよび全身セグメント化は、対象の少なくとも胴全体における標的組織領域の識別を指す。特定の実施形態では、対象の頭部とともに、手足のいくつかの部分も含まれる。
A.核医学撮像および自動画像セグメント化を介したがんの状態の検出および評定
【0199】
対象のがんの状態について検出、評価、および予測するための基本を提供する人工知能(AI)ベースのセグメント化技術を提供するシステムおよび方法が、本明細書に記載される。特に、本明細書に記載するAIベースのセグメント化技法は、医用画像内の様々な組織領域の3D表現を正確かつ迅速に識別することを可能にする。本明細書に記載するAIベースのセグメント化技術は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの機械学習技法を利用して、1つまたは複数の器官、器官の部分、特定の骨(単数または複数)、骨格領域などの特有の標的組織領域に各々対応する複数の標的3D関心体積(VOI)を自動的に識別する。識別された各3DVOIは、セグメント化マスクを介して表すことができる。患者の体中の複数の標的組織領域を識別する複数のセグメント化マスクをともに綴じて、セグメント化マップを形成することができる。セグメント化マップ、および/またはセグメント化マップが含む様々なセグメント化マスクを使用して、がんの状態、進行、および処置への応答の測度および/または予測として働く有用なインデックスなどの様々な数量を医用画像から算出することができる。また、セグメント化マップおよびマスクを、たとえば医用画像上に重ね合わせた図形表現として表示して、医師および他の開業医を案内することができる。
【0200】
特定の実施形態では、AIベースのセグメント化は、対象の体内の組織の場所および範囲に関する詳細な構造上の情報を提供する解剖学的画像を使用して実行される。解剖学的画像の例には、それだけに限定されるものではないが、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像、磁気共鳴画像(MRI)、および超音波が含まれる。解剖学的画像内の画像コントラストは、密度、含水量、および脂肪含量などの下にある組織の物理的特性に応じる。本明細書にさらに詳細に説明するように、本開示のAIベースのセグメント化技法は、解剖学的画像内のコントラストの変動およびパターンを分析して、異なる特有の標的組織領域に対応する標的3DVOIを識別する。
【0201】
特定の実施形態では、解剖学的画像からの構造上の情報および識別された標的VOIは、機能的撮像法を介して取得された画像と組み合わせられ、かつ/または機能的撮像法を介して取得された画像を分析するために使用される。機能的画像は、対象内の生理学的特性および活性を反映する。機能的画像は、多くの場合、プローブを使用して獲得され、対象の撮像された部分内のプローブの空間分布を反映する強度の変動を有する。たとえば、核医学画像(たとえばPET走査、たとえばSPECT走査、たとえば全身走査、たとえば複合PET-CT画像、たとえば複合SPECT-CT画像)は、放射性医薬品の放射性核種から放出された放射を検出して、画像を形成する。患者内の特定の放射性医薬品の分布は、血液の流れまたは灌流などの生物学的機構によって、ならびに特有の酵素または受容体を結合する相互作用によって判定することができる。異なる放射性医薬品は、異なる生物学的機構および/または特定の特有の酵素もしくは受容体を結合する相互作用を利用し、したがって、患者に投与されたとき、患者内の特定のタイプの組織および/または領域内に選択的に集中するように設計することができる。他の領域より高い濃度の放射性医薬品を有する患者内の領域からは、より大きい量の放射が放出され、したがってこれらの領域は、核医学画像内でより明るく見える。したがって、核医学画像内の強度の変動を使用して、患者内の放射性医薬品の分布をマッピングすることができる。患者内の放射性医薬品のこのマッピングされた分布を使用して、たとえば患者の体の様々な領域内のがん組織の存在を推測することができる。
【0202】
セグメント化マップを機能的画像(たとえば、PET画像またはSPECT画像などの核医学画像)に転写することで、機能的画像内の強度の増減から意味を評価および導出するための価値のあるコンテキストが提供される。特に、機能的画像の領域を、対象の特定の組織領域に対応するものとして識別することが可能になる。したがって、このようにして、特定の領域内のボクセルにおける強度値および増減は、対象の特有の組織領域(たとえば、器官または骨)内の放射性医薬品の下にある蓄積に由来するものとして理解することができる。
【0203】
本明細書にさらに詳細に説明するように、この解剖学的コンテキストは、様々な用途を担う。たとえば、前立腺、リンパ節、および骨などの様々な特有の標的器官および組織領域における放射性医薬品の取込みの測度を評定し、その中のがん組織の存在の指標として使用することが可能になる。また、機能的画像の特定の領域強度が何に関連付けられているかを識別することで、これらの領域強度を適切なコンテキストで評価することが可能になる。たとえば、特定の値の強度は、前立腺領域に関連付けられている場合、膀胱または腎臓などの別の器官内で見られるときの同じ値の強度より、がんを示す可能性が高くなり得る。特定の実施形態では、基準領域が識別され、これを使用して、スケール上の正規化値およびレベルを算出し、これと他の領域内の強度を比較して、がんの状態を評価する。また、画像から除外される、またはアーティファクトを補正するために使用される背景領域を識別することもできる。
【0204】
したがって、本明細書に記載するAIベースのセグメント化手法は、患者に対するがんの状態を検出、評価、および予測するための様々なツールおよび技法を構築することができるプラットホームとして働くことができる。さらに、本明細書に記載するAIベースのセグメント化ツールは、患者の全身にわたって様々な重要な組織領域を識別し、次いで解剖学的画像からのそれらの識別情報(たとえば、セグメント化マップ)を様々な機能的画像へ転写することができるため、様々な異なる放射性医薬品を介してコントラストを取得する様々な異なる撮像方法に基づいて、分析技法のための構築ブロックとして使用することができる。
【0205】
図1~
図3は、この概念を示す。特に、
図1は、プラットホーム非依存のAIベースのセグメント化技術の文脈において、様々な解剖学的および機能的撮像法をどのように統合することができるかを示す概略図である。
図1に示すように、本明細書に記載するAIセグメント化プラットホームは、解剖学的CT画像自体、18NaF画像、C-11画像、Ga-68画像、FDG画像、およびPyL(商標)画像などの様々な画像の分析のための基本として使用することができる。
図2は、対象の骨格上で実行された例示的なセグメント化の結果を示し、異なる特有の骨が、異なる色によって識別されている。CT画像を使用して実行される
図2に示すセグメント化を機能的画像転写して、CT画像内で識別された標的VOIに対応する機能的画像内の3D体積を識別することができる。軟組織などの他のVOIを識別し、これを使用して、機能的画像内の対応する3D体積を識別することもできる。たとえば、
図3は、様々なプローブ(たとえば、
99mTc-MIP-1404、
18F-PyL、
68Ga-PSMA-11、
18F-NaF、
11C-Choline、[18F]FDG、[18F]FACBCなど)を使用して、解剖学的画像(たとえば、CT画像)に基づく様々な軟組織および骨領域のセグメント化をどのように使用し、様々な機能的撮像法を介して取得された画像にマッピングして、疾患の進行、状態などの画像ベースの診断および評定を実行することができるかを示すブロックフロー図である。
図3に示すように、本明細書に記載するフルボディセグメント化技法は、異なる機能的撮像法およびプローブを利用する様々な特定用途向け画像分析技法を活用および構築することができるプラットホームとして働くことができる。
【0206】
図4は、たとえば対象内のがんの状態を評定するために、人工知能ベースの画像分析400をどのように実行して、病変を分類および特定し、ならびに陽の病変を定量化することができるかを示す図である。
図4に示すように、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの機械学習モジュール402が、文脈上の解剖学的情報(たとえば、CT画像または他の解剖学的撮像法)404を、機能的情報(たとえば、特定の撮像プローブを使用して取得されたSPECT、PET、または他の機能的画像などの機能的画像)406とともに受け取る。機械学習モジュール402は次いで、機能的情報406および解剖学的情報404を使用して、対象410内のがん病変を識別、分類、および/または定量化する。機械学習モジュール402はまた、対象の人口学的データ(たとえば、年齢、体重など)、および他の診断試験結果(たとえば、バイオプシ、グリソンスコア、遺伝子試験結果、前立腺特異的抗原(PSA)試験結果)、臨床処置(単数または複数)(たとえば、体外ビーム照射、小線源治療、前立腺切除術、抗アンドロゲン物質、免疫療法(たとえば、Provenge)、化学療法など)などの追加の情報408を入力として活用し、この追加の情報に基づいて、同様にがん病変の分類、識別、および/または定量化を行うことができる。
【0207】
図5は、セグメント化を実行して複数の標的組織領域を識別するための例示的なプロセス500を示すブロックフロー図である。
図5に示すように、機械学習モジュールが、3D解剖学的画像(たとえば、フルボディ画像)を入力として受け取り(502)、複数の標的組織領域の各々に対して、3D解剖学的画像内の標的組織領域の図形表現を含む標的体積を識別する(504)。標的体積をともに綴じて(506)、セグメント化マップ510を形成する。セグメント化マップ510は、複数のセグメント化マスク512を含み、各セグメント化マスクは、識別された標的体積を表す。セグメント化マップ510は、表示および/またはさらなる処理のために記憶および/または提供することができる(508)。
i.畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用した画像セグメント化
【0208】
特定の実施形態では、本明細書に記載するAIベースの画像セグメント化手法は、CNNなどの機械学習技法を利用して、セグメント化を実行する。本明細書に記載するように、1つまたは複数の機械学習モジュールを使用して、画像の中間分析および処理を実行し、最終的に標的VOIを識別することができる。
【0209】
特定の実施形態では、本明細書に記載するAIベースの画像セグメント化は、2ステップ手法を利用して、解剖学的画像内の標的関心組織領域を表す3D標的VOIのうちの1つまたは複数を識別する。この2ステップ手法では、標的VOIのうちの1つまたは複数を含む初期関心体積(VOI)が第1に識別される。初期VOIは、局所化モジュールと呼ばれる第1のモジュールを使用して識別することができる。局所化モジュールは、第1の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モジュールなどの第1の機械学習モジュールとすることができる。初期VOIが識別された後、セグメント化モジュールと呼ばれる第2のモジュール[たとえば、第2の機械学習ネットワーク(たとえば、第2のCNN)を実装して精細なセグメント化を実行する]を使用して、初期VOI内の1つまたは複数の標的VOIを識別する。この手法は、受け取った元の解剖学的画像の次元および境界の変動にかかわらず、セグメント化モジュールが管理可能なサイズの標準化された入力上で動作することを可能にするという点で有利である。この2ステップ手法は、フルボディ走査などの大きい画像内の組織領域の精細に分解された正確なセグメント化を実行するのに特に有用である。局所化モジュールは、粗いセグメント化を実行するなどによって粗い分析を実行して、初期VOIを識別することができる。セグメント化モジュールは、可変の画像サイズに対応して画像全体を分析する必要なく、精細なセグメント化を実行して初期VOI内の標的VOIを正確に識別することに資源を充てることができる。
【0210】
さらに、たとえば実施例1で、本明細書にさらに詳細に説明するように、対象の全身に広がった1組の標的VOIを識別するために、複数の初期VOIを識別して、全身画像を複数の管理可能な初期VOIに区画化することができ、各初期VOIは、識別すべき所望の標的VOIの部分集合を含む。複数の初期VOIへの全身画像の区画化は、粗いセグメント化を実行して上半身、下半身、脊柱、および骨盤領域などの概略的な解剖学的領域を識別する機械学習モジュールなどの単一の局所化モジュールを使用して実行することができる。特定の実施形態では、複数の局所化モジュール(たとえば、各々1つまたは複数の初期VOIを識別するタスクを担う)を使用することができる。次いで、識別された各初期VOIに対して、1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して、精細なセグメント化を実行し、初期VOI内の1つまたは複数の所望の標的VOIを識別することができる。
【0211】
様々な局所化およびセグメント化モジュールを組み合わせて、単一のモジュールおよび/もしくは単一のソフトウェアアプリケーションとして実装することができ、またはたとえば別個のソフトウェアアプリケーションとして別個に実装することができる。
【0212】
局所化モジュールによって、複数の異なる手法を使用して、特定の初期VOIを識別することができる。たとえば、1つの手法では、局所化モジュールは、グレースケールCT画像(たとえば、単一の入力チャネル)を入力として受け取り、方形VOI(たとえば、境界ボックス)の両隅部の座標を出力するCNNを実装することができる。別の手法では、局所化モジュールは、2つの入力チャネル、すなわち(i)グレースケールCT画像、および(ii)前処理済みのCT画像を受け取るCNNを実装することができる。前処理済みのCT画像は、閾値処理済みのCT画像とすることができ、閾値処理は、識別すべき初期VOIの粗い識別を提供する。CNNは、これらの入力チャネルの両方を分析して、方形の初期VOI(たとえば、境界ボックス)の両隅部を表す座標を出力するように訓練される。
【0213】
第3の手法では、1つまたは複数の特有の標的VOIを含む特定の初期VOIを識別するために、局所化モジュールは、粗いセグメント化を実行して、特有の標的VOIを粗く識別する。このようにして、局所化モジュールは本質的に、特定の初期VOI内の特有の標的VOIを識別するために使用される粗いバージョンのセグメント化モジュールである。次いで、粗く識別された特有の標的VOIを使用して(たとえば、これらの標的VOIに適合する最も小さいボックスを描くこと、またはおそらくいくらかのバッファ距離を追加することによる)、方形の初期VOIが生成される。ここで違いは、この場合の局所化モジュールの出力が、立方体の頂点の単なる座標ではないことである。この手法では、ボクセルがどのように分類されるか、たとえばボクセルがたとえば特定の初期VOIであるか、それとも背景であるかに関する尤度を与える尤度値が、画像の各ボクセルに対して自動的に判定される。
【0214】
特定の実施形態では、機械学習モジュールによって実行されるボクセル分類は、分類プロセスのノイズを軽減するために、反復プロセスを介して洗練することができる。特に、特定の実施形態では、CNNモジュールなどの機械学習モジュールが、画像全体またはその一部を入力として受け取り、特定の各ボクセルに対して、(i)解剖学的領域もしくは標的組織領域に対応する1組の事前定義されたクラスのうちの1つ、または(ii)背景として特定のボクセルを分類する標識を出力する。たとえば、脊柱、骨盤領域、ならびに左および右の上半身に対応する初期VOIを識別するように訓練された局所化モジュールは、各ボクセルを、それぞれ脊柱、骨盤領域、左上半身、および右上半身の場合は1、2、3、または4として、または背景の場合は0として標識することができる。
【0215】
特定の初期VOI内の1つまたは複数の標的組織領域を識別するセグメント化モジュールは、特定の初期VOIを入力として受け取り、各ボクセルに対して整数の標識を出力することができ、整数の標識は、そのボクセルを特定の標的組織領域または背景のうちの1つに対応するものとして識別する。たとえば、異なる椎骨を識別するセグメント化モジュールは、脊柱に対応する初期VOIを入力として受け取り、特定の椎骨に対応する整数(たとえば、第1腰椎の場合は1、第2腰椎の場合は2、第3腰椎の場合は3など、他の骨の場合は他の整数の標識)によって、初期VOI内の各ボクセルを標識することができる。
【0216】
上述したように機械学習モジュールによって実行される分類は、ノイズの多い結果をもたらすことがあり、特定の分離されたボクセルが、周辺とは異なる標識を有することがある。たとえば、CNNモジュールは、大きい体積内のボクセルの大部分に第1の標識が割り当てられ、分離されたボクセルおよび/または小さい群のボクセルには異なる標識、たとえば第2または第3の標識が割り当てられ、これらのボクセルを近傍とは異なる解剖学的領域に対応するものとして識別する出力をもたらすことがある。多くの場合、そのような分離されたボクセルおよび/またはアイランドは、均一に標識された大きい領域の縁部に見られる。
【0217】
これらのわずかな不均一性が、分類プロセスのノイズに対応しており、次のような反復手順を介して除去することができる。第1に、(i)特定の解剖学的領域もしくは標的組織領域、または(ii)背景を表す各標識に対して、標識されたボクセルの関連付けられた最大の接続構成要素が識別される。第2に、特定の各標識に対して、特定の標識に関連付けられた最大の接続構成要素のボクセルにすぐ隣接する異なる標識の分離されたボクセルおよび/またはボクセルアイランドが識別され、特定の標識が再び割り当てられる。特定の実施形態では、次いで第3のステップで、あらゆる残りの分離された異なる標識のボクセルアイランドを除去することができる。第4のステップで、セグメント化領域内の孔、すなわち背景として標識されたが背景でない標識されたボクセルによって完全にカプセル化されたボクセルが充填される(たとえば、これらの孔のボクセルに、これらの孔をカプセル化する背景でない領域の標識を割り当てることによる)。分離されたボクセルおよび/またはボクセルアイランドが周辺に基づいて再標識される第2~第4のステップは、収束まで、すなわち反復ごとに変化がなくなるまで繰り返される。この手法は、異なる標識の分離されたボクセルを周辺から低減および/または除去し、それによって分類プロセスのノイズを軽減する。
【0218】
初期VOIを識別するためのこれらの様々な手法は、対象の解剖学的画像内の複数の初期VOIを識別するために、単独でまたは組み合わせて使用することができる。1つまたは複数の初期VOIが識別された後、各初期VOI内の1つまたは複数の標的VOIを識別することができる。たとえば、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2019/136349は、骨盤領域に対応する単一の初期VOIをCT画像内でどのように識別することができるか、ならびに精細なセグメント化をどのように実行して、前立腺、嚢、臀筋などの器官、ならびに仙骨、尾骨、左寛骨、および右寛骨などの様々な骨盤の骨に対応する標的VOIを識別することができるかに関するさらなる詳細を提供する。本明細書、特に実施例1~4に記載する手法は、複数の初期VOIをどのように識別し、これを使用して対象の体における複数の標的VOIを識別することができるかを示し、それによって様々な器官および組織領域内の局所的病期、ならびに患者の体内の複数の領域内に存在する転移病期におけるがんの状態、進行、および処置への応答の検出および評定のための基本として働くことができる正確な全身画像セグメント化を提供する。
ii.3D機能的画像への解剖学的コンテキストの提供
【0219】
解剖学的画像の自動化されたAIベースの分析によって生成されるセグメント化マップを3D機能的画像に転写し、3D機能的画像内で、解剖学的画像内で識別された標的VOIに対応する3D体積を識別することができる。特に、特定の実施形態では、(セグメント化マップの)個別のセグメント化マスクが、3D解剖学的画像から3D機能的画像にマッピングされる。3D機能的画像内で識別された3D体積は、がんの状態の評定のために画像を分析する際に様々な目的で使用することができる。
【0220】
特定の識別された3D体積および対応する標的VOIは、がんが疑わしいかつ/またはがんが生じている可能性のある組織領域に対応する。そのような領域は、たとえば、前立腺、乳房組織、肺、脳、リンパ節、および骨を含むことができる。他の領域を評価することもできる。前立腺、乳房、および肺などの特定の領域は、がんをより早い局所的病期に検出することに関係し、リンパ節および骨などの他の領域は、転移性がんを評定することに関係する。PETおよびSPECT画像などの機能的画像の強度は、特有の組織領域に対応する機能的画像内の特有の3D体積を正確に識別することによって、患者の体内の放射性医薬品の蓄積の空間分布をマッピングするため、それらの3D体積内のボクセルの強度を使用して、それらが対応する特有の組織領域内の放射性医薬品プローブの取込みの測度を判定することができる。放射性医薬品プローブは、がん組織内に選択的に蓄積するように設計することができる(たとえば、前立腺特異的膜抗原(PSMA)など、がん組織内で過剰発現された生体分子に対する強化された親和性による)ため、特定の標的関心組織領域および器官内の特定のプローブの取込みを検出および定量化することは、対象に対するがんの状態を示し、かつ/またはこれを使用して、対象に対するがんの状態を判定することができる。たとえば、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2019/136349に記載されているように、前立腺体積内の1404の取込みを評定することを使用して、対象に対する前立腺がんの状態を判定することができる。他のプローブを使用して、骨を含む多種多様な他の組織領域内に存在する転移性がんを評定することもできる。たとえば、実施例2~6は、患者の体全他にわたってがん病変内のPyL(商標)の蓄積を識別するために使用されるセグメント化について説明する。
【0221】
したがって、特定の実施形態では、CT画像などの解剖学的画像上で実行されるセグメント化は、PETまたはSPECT画像などの相互に見当合わせされた機能的画像に転写(たとえば、マッピング)され、特定の関心組織領域に対応する機能的画像内の特有の関心組織体積を識別することが可能になる。次いで、それらの特定の組織領域内の放射性医薬品の蓄積は、特有の関心組織体積内に位置する機能的画像ボクセルの強度に基づいて定量化することができる。
【0222】
様々な手法を使用して、機能的画像内のボクセル強度を分析することができる。たとえば、特有の体積内の平均、中央、合計、最大などの強度を、定量化のために算出および使用することができる。次いで、この算出された値と、たとえば他の組織領域に対して(たとえば、正規化のために)算出された他の値とを比較し、これを使用して、患者にがんの状態を割り当てることができる(たとえば、1つまたは複数の所定の閾値との比較に基づく)。特定の実施形態では、特定の3D体積内で、ホットスポットと呼ばれる高い強度の局所化領域が識別される。以下の節Bでさらに詳細に説明するように、これらの局所化されたホットスポットは、がん病変を表すものとして識別することができ、これを使用して、対象のがんの状態を判定することができる。特定の実施形態では、機械学習手法を使用することができる。たとえば、1つまたは複数の特有の関心組織体積内に位置する機能的画像ボクセルの強度は、リスクインデックスを算出する機械学習モジュールへの入力として使用することができ、リスクインデックス自体は、がんのリスク、転移、もしくはがんの再発などを定量化し、かつ/または閾値などの基準値と比較して、特定のがんの状態を割り当てるために使用することができる。
【0223】
特定の実施形態では、がん組織が存在し得る特有の組織領域を識別することに加えて、たとえばその領域内のがんの存在および/または状態を判定するために、他の追加の組織領域を識別することができる。そのような追加の組織領域は、通常の状況下で特定の放射性医薬品プローブが蓄積するが、必ずしも病変が存在するとは限らない背景領域に対応することができる。
【0224】
特定の実施形態では、識別された背景領域を使用して、ボクセル強度を正規化し、画像ごとの強度値を標準化する。たとえば、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2019/136349に記載されているように、臀筋を識別することができ、臀筋内の取込みを使用して、1404の投与後に取得されたSPECT画像内の強度を正規化することができる。
【0225】
また、特定の背景領域の識別を使用して、これらの領域内の高いプローブ蓄積レベルを補償することができる。特定の実施形態では、特定の背景領域が識別され、分析から除外される。たとえば、実施例3に説明するように、PyL(商標)などの特定のプローブは、通常の状況下で特定の背景領域内に蓄積することがあるが、それらの領域内にいかなるがん病変または組織も存在しないことがある。したがって、これらの領域を識別し、たとえばホットスポット検出分析から除外することができる。そのような領域の例には、腎臓、十二指腸、小腸、脾臓、肝臓、膵臓、胃、副腎、直腸、および精巣が含まれる。
【0226】
特定の実施形態では、背景領域に対応する機能的画像内の3D体積を識別することを使用して、特定の領域内の放射性医薬品の大量の蓄積が、機能的画像において特定の領域に対応する3D体積内だけでなくその近傍でも高い強度をもたらし得る強度ブリード作用を補正することができる。機能的画像の他の領域へのそのような強度ブリードは、有用なシグナルを覆い隠す可能性がある。たとえば、放射性医薬品は典型的に、患者の膀胱内に大量に蓄積する。機能的撮像法を介して撮像したとき、膀胱内のこの大量の蓄積は、散乱作用を介して、前立腺などの膀胱外の組織領域に対応する3D体積内の強度に寄与することがある。したがって、この強度ブリードまたは「クロストーク」を補償することで、3D機能的画像内の強度を使用して下にある放射性医薬品の取込みを測定する精度を改善することができる。
【0227】
特定の実施形態では、強度ブリードをもたらす特定の背景領域に対応する3D体積が拡張される。拡張された背景領域は、背景領域に直接隣接する領域の強度を使用してホットスポットの取込みの尺度または識別情報を判定することを回避するために、分析から除外することができる。
【0228】
特定の実施形態では、機能的強度のプロファイルをモデル化する抑制方法を使用して、隣接する領域内の強度レベルを調整し、強度ブリードを補正することもできる。この手法では、強度ブリードをもたらす特定の背景領域に対して、機能的画像の特定のボクセルから除去するための抑制量、すなわち強度ブリードは、特定の背景領域に対応する特定の3D背景体積におけるそのボクセルから高強度コア領域までの距離に依存する。高強度コア領域は、所定の値を上回る強度、または機能的画像の特有の領域内の最大強度の特有の留分範囲内の強度を有するボクセルを含む領域として判定することができる。
【0229】
特定の実施形態では、この抑制は、特定の背景領域に対応するものとして識別された3D体積内の最大の機能的画像強度が、判定された背景強度値に特有の乗数値を掛けた値より大きい場合に利用される。背景強度値は、臀筋などの特有の組織領域に対応する特有の基準体積に対応する3D機能的画像のボクセルの強度に基づいて判定することができる。抑制手法は、強度ブリードをもたらす特定の背景領域の近傍の3D機能的画像の小領域に適用することができる。たとえば、特定の領域を囲む方形の小領域に所定の縁辺を足した領域に適用することができる。
【0230】
特定の実施形態では、1つまたは複数の強度ブリード関数を判定して抑制を実行し、それによってブリード(たとえば、クロストーク)に対して3D機能的画像のボクセルの強度を補正する。たとえば、3D機能的画像は、特定の領域を囲む前述の方形の小領域に所定の縁辺を足した領域にクロッピングすることができる。クロッピングされた画像領域内のボクセルの強度から、判定された背景強度値を差し引くことができる。次いで、試料強度を収集して、特定の背景領域に対応する特定の背景3D体積から離れる方へ動くにつれて、特定の背景領域内の放射性医薬品の取込みに起因する強度がどのように減少するかを判定することができる。上端、右端、左端、および下端から始まり、次いでそれぞれ上、右、左、および下へ外方へ動く試料を使用することができる。他の方向も可能である。採取された強度は、高強度コアからの強度の減少を示す曲線(たとえば、採取された強度データ点のセット)を提供する。これらの採取曲線にn次の多項式などのテンプレート関数を適合し、これを使用して、特定の3D背景体積の近傍の補正係数として使用される強度値を算出することができる。
【0231】
たとえば、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2019/136349は、膀胱領域の識別をどのように使用して、1404SPECT画像において膀胱内の大量の蓄積による強度ブリードに対する前立腺ボクセル強度を調整することができるかを記載している。特定の実施形態では、類似の手法は、膀胱および/または他の領域(たとえば、肝臓、腎臓など)内に蓄積することができる他のプローブによって取得された他の画像にも使用することができる。
【0232】
特定の実施形態では、本明細書に記載するセグメント化手法は、3D解剖学的画像が特定の解剖学的領域を含むと想定する。たとえば、本明細書に記載するシステムおよび方法の一実施形態は、その入力された解剖学的画像が常に骨盤領域を含み、骨盤領域を自動的にセグメント化しようとすると想定することができる。本明細書に記載するシステムおよび方法はまた、他の解剖学的領域に対して、それらの解剖学的領域が入力された解剖学的画像内に含まれる場合にのみ、そのような領域をセグメント化することができ、たとえば第1に、それらの解剖学的領域が存在するかどうかに関する判定を実行する。
【0233】
全身セグメント化を実行して骨および/または軟組織(たとえば、器官)に対応する標的組織領域を識別するための手法については、以下の実施例1、2、3、および4でさらに詳細に説明する。また、患者内の疾患の状態、特にがんの評定にそのような全身セグメント化を使用するための手法についても説明する。
B.ホットスポットおよび病変の検出
【0234】
特定の実施形態では、機能的画像内の特定の体積における全体的な取込みを定量化する代わりに、またはそれに加えて、局所化されたホットスポット(比較的高い強度の局所化領域)が検出される。特定の実施形態では、ホットスポットは、閾値手法を介して、機能的画像内のボクセルの強度と1つまたは複数の閾値とを比較することによって検出される。閾値を上回る強度を有するボクセルのグループ分けを、ホットスポットとして検出することができる。単一のグローバル閾値を使用することができ、または特定の実施形態では、複数の領域特有の閾値を使用することもできる。たとえば、相互に見当合わせされた解剖学的画像のセグメント化を使用して、ホットスポット検出に使用される異なる組織領域に対する異なる閾値を設定することができる。また、本明細書に記載するように、相互に見当合わせされた画像のセグメント化を使用して、背景シグナルの作用を除去し、それによってホットスポット検出を容易にすることができる(たとえば、グローバル閾値および/または複数の領域閾値が使用される場合)。
【0235】
特定の実施形態では、ブロブ検出技法を使用して、ホットスポットをさらに検出することができる。1つの手法は、ガウス差分手法を使用することであり、ガウスカーネルによって近似された高域および低域フィルタの組合せによって、PET画像がフィルタリングされる。これらのフィルタは、背景ノイズを低減させ、画像の異なる領域内の背景レベルの変化に対して変動しない(たとえば、胸部は、肝臓および腎臓内の著しい取込みのため、骨盤領域と比較すると著しく高い背景レベルを有することがある)。このカスケード式高域/低域フィルタ手法は、固定の閾値を利用しなくても、ホットスポット抽出を可能にするはずであるが、代わりにPET強度の局所変化を識別し得る。別の手法は、ガウスのラプラシアンのブロブ検出方法を用いることである。ガウスのラプラシアン手法は、ラプラシアンおよびガウスフィルタカーネルを使用して画像内の縁部を検出するための方法である。異なるサイズのカーネルを使用することによって、異なるサイズの構造の縁部が検出される。適当なカーネルサイズを選択することで、この方法により、病変に共通の特性を有する構造を検出することが可能になる。記載の手法は、単独で使用することができ、その場合、これらの技法のうちの1つのみがすべての関心領域に対して使用され、または同時に使用することができ、その場合、単一のグローバル閾値もしくは複数のローカル閾値に関連して、相互に見当合わせされた解剖学的画像の意味論的セグメント化によって識別された異なる組織領域に対して、異なる方法を用いることができる。
【0236】
図5Bは、本明細書に記載するセグメント化手法を使用してがん病変を表すホットスポットを検出するための例示的なプロセス520を示す。第1のステップで、3D解剖学的画像が受け取られる(522)。特定の標的組織領域に対応する1つまたは複数の標的VOIが、3D解剖学的画像内で識別され(524)、標的VOIの識別情報をともに綴じて(526)、複数のセグメント化マスク536を含むセグメント化マップ534を作成する。セグメント化マップの各セグメント化マスクは、特定の標的VOIを表す。次に、3D機能的画像(たとえば、PET画像)が受け取られ(528)、セグメント化マップを3D機能的画像に転写して、各標的VOIに対して、3D機能的画像内の対応する3D体積を識別する(530)。次いで、識別された3D体積を使用して、3D機能的画像内で、周辺に対して高い強度の局所化領域に対応する1つまたは複数のホットスポットを検出する(532)。特に、1つまたは複数の特有の3D体積は、がん病変が形成し得る特有の組織領域に対応することができ、これを分析して、それらの組織領域内のホットスポットを検出することができる。他の3D体積を使用して、背景補正を実行することもでき、または他の3D体積をホットスポット検出プロセスから意図的に除外することもできる。本明細書にさらに詳細に説明するように、ホットスポットをスコア記録するため、たとえばホットスポットが表す下にある病変のリスク/重症度を示すために、ホットスポットに割り当てることができる有用なインデックスを算出するための基準体積として使用されることから、さらに他の体積が関係することもある。
【0237】
ホットスポットはまた、初期検出後に、たとえばがんである、もしくはがんでないものとして分類することができ、かつ/または転移である尤度を表す尤度値を割り当てることができる。ホットスポット分類は、ホットスポット特徴(たとえば、特定のホットスポットの特徴を記述する尺度)を抽出し、たとえば機械学習モジュールを介して、抽出されたホットスポット特徴を分類に対する基本として使用することによって実行することができる。
【0238】
特定の実施形態では、ホットスポット分類はまた、機械学習を使用しないで実行することができる。そのような実施形態では、解剖学的知識と、検出されたホットスポットの形状および場所に関する情報とを組み合わせて、ホットスポットをがん病変またはノイズとして分類することができる。たとえば、検出されたホットスポットが、肝臓に面した肋骨の縁部上に位置し、検出されたピークが、ホットスポットを取り囲む面積のグローバル最大でない場合、所与の解剖学的情報および空間情報に基づいて、ホットスポットが腫瘍であるか否かを推定することが可能である。加えて、相互に見当合わせされた解剖学的画像のセグメント化を使用して、がん細胞を含有しないことが分かっているが極めて高い機能的画像ボクセル強度が共通している背景組織領域の強度モデルを作成することができる。そのような背景領域は、背景領域自体の境界の範囲外で強度ブリードを引き起こし、がん病変が存在し得る隣接する領域に影響することがある。強度レベルのプロファイルを推定し、これを使用して、がん病変を有する隣接する組織領域内に存在する推定された追加の強度レベルを差し引いて、より強固なホットスポット検出を可能にすることができる。
【0239】
病変を表すホットスポットを使用して、患者に対する疾患の存在および/または状態(たとえば、グリソンスコアと同様に、がんの状態)の指標を提供するリスクインデックスを判定することができる。たとえば、ホットスポットの数、識別されたホットスポットの総合計強度、ホットスポットによって占有された特定の体部分または領域(たとえば、骨格)の面積留分などの尺度は、それ自体をそのようなリスクインデックスとして使用することができ、かつ/またはそのようなリスクインデックスの計算に使用することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載するセグメント化手法を介して識別された領域は、リスクインデックスの算出に、たとえば面積留分などの尺度を算出する際に使用することができる。識別されたホットスポットを使用してリスクインデックスを算出するための手法の例は、本明細書で実施例5および7に提供する。
C.例示的なCNNベースの全身セグメント化および病変検出手法
【0240】
以下の実施例は、全身セグメント化、がん病変の検出、および対象のがんの状態を評価するための有用な尺度の判定のための本明細書に記載するAIベースのセグメント化およびホットスポット検出手法の使用を実証する。
【実施例0241】
i.(実施例1)
CNNベースの全身セグメント化
実施例1は、全身セグメント化のための例示的な手法について説明する。この例における実装では、5つのニューラルネットワークを使用して、胴全体の骨をセグメント化する。第1のニューラルネットワークを使用して、体の異なる領域を粗く局所化する。その結果を使用して、体を4つの領域に分割する。次いで、これらの領域の各々において、対応するニューラルネットワークを使用して、個別の骨へのセグメント化を実行する。次いで、4つすべての領域からの結果を組み合わせて、完成した結果(たとえば、最終セグメント化マップ)を得る。
【0242】
この手法は、本明細書に記載する2ステップの「境界ボックス」手法に関係し、第1の機械学習モジュール(たとえば、局所化モジュール)を使用して、1つまたは複数の特定の標的組織領域(たとえば、前立腺)を含む解剖学的領域に対応する初期関心体積(VOI)を粗く局所化する。次いで、第2の機械学習モジュール(たとえば、セグメント化モジュール)が、初期VOI内で精細なセグメント化を実行して、初期VOI内の標的組織領域(単数または複数)に対応する標的体積(単数または複数)を識別する。この場合、全身セグメント化のために、第1の機械学習モジュール(局所化モジュール)は、異なる解剖学的領域に各々対応する複数の初期VOIを識別する。次いで、各解剖学的領域に対して、対応する2次機械学習モジュール(セグメント化モジュール)が、特定の標的組織領域を各々表す1つまたは複数の標的体積を識別する。機械学習モジュール(たとえば、ニューラルネットワーク)は、別個のモジュールとして実装することができ、またはいくつかの機械学習ネットワークを組み合わせることができる。たとえば、各2次セグメント化ネットワークを別個のモジュールとして、または単一のモジュール内で実装することができる。
【0243】
したがって、この例では、第1のモジュール(局所化)は、CT内の解剖学的領域を識別するために、すなわち第2のモジュールのネットワークを適用して、さらなる分析に使用されるセグメント化マップを生成することができる関心体積を発見するために使用される。第2のモジュール内のネットワークは、フル分解能のCT画像とともに機能し、局所化ネットワークは、CT画像のサブサンプリングバージョンを使用して低分解能で機能する。
【0244】
CNNネットワークの3つの例示的なバージョンが、これらの手法による全身セグメント化を実装するソフトウェアで使用される。バージョン1および2は、49個の骨をセグメント化し、バージョン2は、49個の骨および8つの軟組織領域をセグメント化する。CNNベースのセグメント化プラットホームの例示的なバージョン1
【0245】
全身セグメント化に使用されるCNNネットワークの第1の例示的なバージョンでは、第1の機械学習モジュール(局所化モジュール)は、この例で「coarse-seg」と呼ばれており、サブサンプリングされたCT画像内で49個の骨を識別するように訓練された(各次元に沿ってサブサンプリング係数4)。局所化モジュールを使用して、体の領域を骨盤領域、脊柱、左上半身、および右上半身に区別した。4つの精細なセグメント化ネットワークは、次のとおりであった。
●「fine-seg-pelvic」:左および右の腸骨ならびに仙骨および尾骨を識別するように訓練された。
●「fine-seg-spine」:12個の胸椎、5つの腰椎、および胸骨を識別するように訓練された。
●「fine-seg-left-upper-body」:体の左側の12個の肋骨、左肩甲骨、および左鎖骨を識別するように訓練された。
●「fine-seg-right-upper-body」:体の右側の12個の肋骨、右肩甲骨、および右鎖骨を識別するように訓練された。
【0246】
各ネットワークに対する入力画像サイズは、次のとおりであった。
【表1】
【0247】
局所化モジュールのcoarse-segネットワークが、入力画像として、大きい物理的体積を表し、対象の体の大部分を含む3D解剖学的画像を受け取ったのに対して、その入力画像内のボクセルの実際の数は、サブサンプリングの係数4のため、他のネットワークより小さかった。ボクセルの数および局所化モジュールへの入力画像のサイズはまた、組織の図形表現を含まず、代わりに空気を表す画像の領域をクロッピング(除去)することによって低減された。前処理ステップとしてこれらのボクセルを除去することで、局所化モジュールに入力された画像のサイズをさらに低減させた(たとえば、以下の表4の最初の2列参照)。サブサンプリングを介して局所化モジュールに入力される画像のサイズを低減させることで、coarse-segネットワークは、追加のフィルタのために動作する画像の分解能を交換することが可能になり、それによってたとえば、受け取った画像の変動性を補償し、より正確かつ強固な粗いセグメント化を実行して、異なる初期関心体積を識別することが可能になる。
【0248】
各ニューラルネットワークで使用されるフィルタおよびパラメータの数を、以下の表2~表4に挙げる。
【表2】
【表3】
【0249】
以下の表4はまた、生データおよびこの例で使用される5つのニューラルネットワークに対する入力画像サイズの変動性を示す。この表に示すように、4つの2次の精細なセグメント化ネットワークに対する入力画像サイズの変動性は、初期VOIの識別が2次機械学習モジュールに対してより標準化された入力をもたらすため、第1の局所化ネットワークに対するものより小さい。
【表4】
CNNベースのセグメント化プラットホームの例示的なバージョン2
【0250】
この例で上述したCNN全身セグメント化システムの更新された第2の例示的なバージョンは、入力画像サイズ、畳み込みフィルタの数、およびセグメント化を実行するために使用されるニューラルネットワークで使用されるパラメータの調整を含んだ。以下に見られる表5、表6、および表7は、5つのニューラルネットワークで使用される様々なパラメータに対する更新された値を示す。表5は、表1に示す入力画像サイズに対する更新された値を示し、表6は、表2に示すニューラルネットワークに対する畳み込みフィルタの数に対する更新された値を示し、表7は、表3に示すニューラルネットワークによって使用されるパラメータの数に対する更新された値を示す。
【表5】
【表6】
【表7】
CNNベースのセグメント化プラットホームの例示的なバージョン3
【0251】
CNN全身セグメント化手法の別の第3の例示的なバージョンを使用して、軟組織領域ならびに骨をセグメント化した。本明細書に記載するように、この第3のバージョンは、本明細書で「coarse-seg-02」および「coarse-seg-03」と呼ばれる2つの粗いセグメント化モジュールを含み、これらは並行して使用された。
【0252】
「coarse-seg-02」モジュールは、サブサンプリングされたCT画像内で49個の骨を識別するように訓練された。「coarse-seg-03」モジュールは、サブサンプリングされたCT画像内で49個の骨および肝臓を識別するように訓練された。「coarse-seg-02」モジュールは、骨の局所化に関して「coarse-seg-03」モジュールより性能が優れており、各モジュールの利益を利用するために、両方を並行して使用して、異なる精細なセグメント化ネットワークに対して初期関心体積(たとえば、「境界ボックス」)を識別した。特に、第3のバージョンでは、7つの精細なセグメント化ネットワークが使用された。7つの精細なセグメント化ネットワークのうちの6つは、初期関心体積の識別に「coarse-seg-02」を使用し、第7の「fine-seg-abdomen」は、初期関心体積の識別に「coarse-seg-03」を使用した。
【0253】
CNN全身セグメント化システムのこの第3の例示的なバージョンに対する7つの精細なセグメント化ネットワークは、次のとおりである。
●「fine-seg-abdomen」:肝臓、左および右の腎臓、ならびに胆嚢を識別するように訓練された。
●「fine-seg-left-lung」:左肺を識別するように訓練された。
●「fine-seg-right-lung」:右肺を識別するように訓練された。
●「fine-seg-pelvic-region-mixed」:左および右の腸骨、前立腺、膀胱、ならびに仙骨および尾骨を識別するように訓練された。
●「fine-seg-spine-bone」:12個の胸椎、5個の腰椎、および胸骨を識別するように訓練された。
●「fine-seg-left-upper-body-bone」:体の左側の12個の肋骨、左肩甲骨、および左鎖骨を識別するように訓練された。
●「fine-seg-right-upper-body-bone」:体の右側の12個の肋骨、右肩甲骨、および右鎖骨を識別するように訓練された。
以下の表8、表9、および表10は、CNNベースのセグメント化システムの第3のバージョンにおける7つのニューラルネットワークで使用される様々なパラメータに対する値を示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【0254】
したがって、この例は、本明細書に記載するセグメント化手法をどのように使用して、効率的な全身セグメント化を実行することができるかを実証する。
ii.(実施例2)
低線量CTにおける骨格の自動化されたセグメント化、および[18F]DCFPyLによるPETにおける転移性前立腺がんの定量化
【0255】
PSMA-PET/CT複合撮像は、前立腺がんの患者にとって期待がもてる診断プラットホームである。正確な診断および処置計画には、3次元CT画像における器官の手動描写が必要とされることが多いが、そのような手動描写は時間のかかるプロセスである。この難題に対処するために、この実施例では、本明細書に記載する全身セグメント化技術によるディープラーニング手法を使用して、全身CT画像における正確な骨セグメント化のプロセスの自動化を実証する。この実施例で説明するように、そのような骨格セグメント化を介して獲得された解剖学的情報を使用して、[18F]DCFPyL(PyL(商標)-PSMA)によるPET/CT画像において、完全に自動化された病変検出アルゴリズムを作成することができる。
【0256】
12個の骨格領域の意味論的セグメント化のためのカスケード式ディープラーニング畳み込みニューラルネットワークに基づくディープラーニングアルゴリズムが開発された。特に、12個の骨格領域は、胸椎および腰椎、左側(左)/右側(右)の肋骨、胸骨、左側(左)/右側(右)の鎖骨、左側(左)/右側(右)の肩甲骨、左側(左)/右側(右)の腸骨、ならびに仙骨であった。低線量CT画像および手動で策定されたセグメント化マップのペアの訓練セット(N=90)および検証セット(N=22)を使用して、ディープラーニングアルゴリズムを開発した。アルゴリズムの性能は、PyL(商標)-PSMA研究から取得された低線量CT画像の試験セット(N=10)で評定された。画像の試験セットでは、5つの代表的な体部分:左側(左)の腸骨、腰椎、左側(左)の肋骨、右側(右)の肩甲骨、および胸骨が手動でセグメント化された。これらの手動セグメント化は、自動化されたセグメント化手順の評価のためのグラウンドトゥルースとして使用された。
【0257】
自動化されたセグメント化は、自動化された病変検出のために使用することができる。たとえば、PET画像ボクセル強度に基づく標準取込み値(SUV)のハード閾値を使用する自動化された病変検出手法を実行することができる。
【0258】
ソーレンセン-ダイススコアを使用して、自動化されたセグメント化の精度を評価した。セグメント化手法は、訓練セットでそれぞれ0.95および0.024のソーレンセン-ダイススコアの平均値および標準偏差を実現し、検証セットでそれぞれ0.93および0.036の平均値および標準偏差を実現した。試験セットの場合、5つの領域の各々に対する平均値(括弧内に標準偏差値を示す)は、右側(右)の鎖骨に対して0.94(0.016)、左側(左)の肋骨に対して0.90(0.023)、胸骨に対して0.92(0.019)、腰椎に対して0.94(0.033)、および左側(左)の腸骨に対して0.97(0.0033)である。全体的な平均値(すべての体部分に対する)は0.93であり、標準偏差は0.030であった。
【0259】
したがって、この実施例では、全身低線量CT画像における12個の骨格領域に対する完全に自動化されたセグメント化手法の精度、およびPyL(商標)-PSMA/CT複合撮像のための自動化された病変検出手法の使用を実証する。
iii.(実施例3)
PyL(商標)-PET画像分析および病変検出のための自動化された全身セグメント化
【0260】
この実施例では、本明細書に記載する全身セグメント化技術によるディープラーニング手法を使用した全身CT画像における49個の骨および27個の軟組織領域の自動化されたセグメント化を実証する。またこの実施例では、そのようなセグメント化を介して獲得された解剖学的情報をどのように使用して、[18F]DCFPyL(PyL(商標)-PSMA)によるPET/CT画像において、完全に自動化された病変検出アルゴリズムを作成することができるかを実証する。この実施例はまた、セグメント化をどのように使用して、背景シグナルをPET画像から除去し、PyL(商標)が蓄積した病変の観察および検出を容易にすることができるかを示す。
【0261】
図6Aは、この実施例で説明するPyL(商標)-PET/CT画像分析で使用される本明細書に記載するセグメント化プロセスの一実施形態を示すブロックフロー図を示す。
図5に示すプロセス500と同様に、プロセス600では、解剖学的画像が受け取られる。特に、プロセス600では、CT画像が受け取られる(610a)。この実施例では、プロセス600を使用して、CT画像を識別し、49個の特有の骨および8この軟組織領域に対応する標的関心体積にセグメント化する(この実施例では、実施例1で説明したCNNベースのセグメント化手法の例示的なバージョン3が使用される)。標的体積を識別するために、粗いセグメント化を実行して(620a)、たとえば実施例1に説明したように、1組の初期関心体積または小領域を局所化する。次いで、精細なセグメント化を小領域の各々で実行して、標的の49個の骨および8この軟組織領域に対応する特有の標的関心体積を識別する(630a)。識別された標的体積を表すセグメント化マスクを作成およびマージして(640a)、たとえば3D全身セグメント化マップを作成することができる。
【0262】
実施例1(CNNネットワークバージョン3)に記載したように、セグメント化された特有の領域は次のとおりである。
49個の骨:
clavicle_left
clavicle_right
hip_bone_left
hip_bone_right
rib_left_1
rib_left_10
rib_left_11
rib_left_12
rib_left_2
rib_left_3
rib_left_4
rib_left_5
rib_left_6
rib_left_7
rib_left_8
rib_left_9
rib_right_1
rib_right_10
rib_right_11
rib_right_12
rib_right_2
rib_right_3
rib_right_4
rib_right_5
rib_right_6
rib_right_7
rib_right_8
rib_right_9
sacrum_and_coccyx
scapula_left
scapula_right
sternum
vertebra_lumbar_1
vertebra_lumbar_2
vertebra_lumbar_3
vertebra_lumbar_4
vertebra_lumbar_5
vertebra_thoracic_1
vertebra_thoracic_10
vertebra_thoracic_11
vertebra_thoracic_12
vertebra_thoracic_2
vertebra_thoracic_3
vertebra_thoracic_4
vertebra_thoracic_5
vertebra_thoracic_6
vertebra_thoracic_7
vertebra_thoracic_8
vertebra_thoracic_9
8個の軟組織領域:
gallbladder
kidney_left
kidney_right
liver
lung_left
lung_right
prostate
urinary_bladder
【0263】
図6Bは、この実施例で説明する全身セグメント化プロセス600におけるステップを示す注釈を重ね合わせた一連のCT画像を示す。ステップ610aで受け取った例示的な生CT画像を、610bに示す。画像620bは、CT画像内の初期関心体積を識別するために使用された粗いセグメント化の結果を示す(識別された異なる領域を、色付きの領域として示す)。画像630bは、49個の骨および8つの軟組織領域に対応する標的関心体積を識別するために、精細なセグメント化が実行された初期関心体積を識別する「境界ボックス」を示す。画像640は、最終のマージされた全身セグメント化を示す。
【0264】
図7を参照すると、セグメント化を実行するために使用される機械学習モジュールを訓練するために、
図7に示す3つの画像(710、720、730)などの多数の事前に標識された試料画像を訓練データセットとして使用した。機械学習モジュールは、セグメント化プラットホームの多くの構成要素に対する最適の構成が発見されるまでに、数千時間にわたって数十のGPUで訓練された数百のモデルとともに、手動で注釈を付けた数千の標識を使用して微調整された。しかし、訓練された後、セグメント化を迅速に実行することができ、
図8(810および820は2つの例示的な画像である)ならびに
図16Aおよび
図16Bに示すような結果が、数秒で、典型的には180秒未満で取得された。
【0265】
たとえば、CTおよびPET画像が対象に対して立て続けに取得される典型的なPET/CT撮像法と同様に、CT画像をセグメント化することによって取得された解剖学的コンテキストを使用して、CT画像と相互に見当合わせされたPET画像内の病変を検出することができ、対象は、これらの画像が記録されたときに実質上同じ位置に残っている。特に、この実施例で実証するように、CT画像のセグメント化をPET画像に転写して、前立腺または骨格などの関心領域を識別することができる、その場合、原発性または続発性の前立腺がん腫瘍を有することが予期される領域を除く機能的画像全体を、病変検出アルゴリズムから除外することができる。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、病変検出アルゴリズムからの領域の除外は、背景組織領域内およびその周囲のPET画像ボクセルにおいて蓄積が高い強度を招く背景領域にとって特に重要となり得る。背景組織領域の高い強度は、前立腺病変検出プロセスから除外されない場合、背景ノイズをがん病変とする誤った分類を招くことがある。背景除外プロセス後に残る領域では、病変分類アルゴリズムとともに簡単な閾値(たとえば、3のSUV)を用いて、関連組織領域内でホットスポットを見出すことができる。分類アルゴリズムを簡単なチェックとして使用して、ホットスポットの位置を確認し、ホットスポットの近傍の強度を比較することができる。ホットスポットが、より大きいホットスポットの一部であり、体部分の縁部(たとえば、肝臓に近接する肋骨)に位置する場合、その病変をノイズとして分類し、除外することができる。
図9A~
図9Dは、この背景減算手法および病変検出アルゴリズムの必要、ならびにそれによって取得される利益を示し、検出手順には関心領域のみが含まれ、画像の部分は高強度の背景ボクセルを含む。
図9Aおよび
図9Cは、CT画像上に重ね合わせた白色-赤色-青色の疑似色としてPET画像を示す。青色は、低いPET画像強度を示し、強度が増大するにつれて赤色から白色へ遷移する。
図9Bおよび
図9Dは、
図9Aおよび
図9Cと同じPET画像を示すが、すべての背景の取込みがPET画像から除去されている。
図9Bおよび
図9Dで、がん病変に対応するいくつかの局所化されたホットスポットを見ることができる。背景除去のないPET画像では、これらのホットスポットは、大きい背景シグナルによって圧倒され、覆い隠された。
【0266】
図10Aは、全身CTセグメント化によって提供された解剖学的コンテキストを使用して、病変を検出し、放射性医薬品としてのPyL(商標)の投与後に取得されたPET/CT画像を使用して対象のがんの状態(たとえば、前立腺がんの状態)を定量化する有用なリスクインデックスを判定するための例示的なプロセス1000を示す。
図10Aに示すように、PET/CT画像を取得し(1010)、骨および軟組織のセグメント化を介して解剖学的コンテキストを判定し(1012)、これを使用して、PET画像から測定(たとえば、病変および/またはリスクインデックス)を取得する(1014)。
図10Bは、例示的なPET/CT画像1016を示し、
図10Cは、骨1018aおよび軟組織1018bの例示的なセグメント化を示す。
図10Dに示すように、骨および軟組織のセグメント化(たとえば、画像1020aに示す)を使用して、背景シグナルを(たとえば、画像1020bに示すものなどの背景組織領域から)除去し、がん病変を示すホットスポットからの所望のシグナル1020cのみを残すことができる。
【0267】
図11~
図13は、このプロセスを示し、CT画像のセグメント化をどのようにPET画像に転写し、これを使用して、背景除去および病変検出のための解剖学的コンテキストを提供することができるかを示す。特に、
図11Aおよび
図11Bは、骨のセグメント化が実行されたCT画像の異なる図を示す。
図11Aおよび
図11Bに示す図では、様々なセグメント化された骨が異なる色によって標識されている。とりわけ、本明細書に記載する「境界ボックス」手法によって、そのような複雑で大規模なセグメント化でも、極めて迅速に実行することができる。
図11Aおよび
図11Bに示すセグメント化は、180秒未満で実行した。
【0268】
図12に示すように、骨および軟組織のセグメント化を使用して、通常の状況下で生じ、がん病変の存在を示す有用なホットスポットシグナルを覆い隠すことのある特定の背景組織領域における通常の取込みを補償することができる。PyL(商標)によって実行されるPET/CT撮像では、通常の取込みは、腎臓、十二指腸、小腸、脾臓、肝臓、膵臓、胃、副腎、直腸、および精巣で生じる可能性がある。
図12は、赤色で識別された上述した領域を示す。
図13Aに示すように、これらの領域における通常のPyL(商標)の蓄積による背景強度を差し引いた後、病変は容易に観察可能になり、検出することができる。1つのそのような病変1302を、
図13A~
図13Dに見ることができる。病変1302などの病変は、たとえば閾値手法を介して検出することができ、上述したように、たとえばPyL(商標)陽性(すなわち、がんを示す)として分類することができる。セグメント化と同様に、病変検出も迅速である。病変1302は、5秒未満で検出された。
【0269】
図14Aおよび
図14Bは、転移性の去勢抵抗性前立腺がんを患っている65歳の男性から取得されたPET/CT画像上で実行された上述したPET画像処理および病変検出手法の結果を示す。患者の前立腺特異的抗原(PSA)スコアは、6.8ng/mlであった。PET画像は、放射性医薬品としてのPyL(商標)の投与後に取得された。
図14Aは、初期の生PET/CT画像を示す。
図14Bは、本明細書に記載する処理後の画像を示す。背景強度は除去され、いくつかの小さい病変が容易に観察可能である。49個の骨および8つの軟組織領域(たとえば、器官)のセグメント化が、180秒未満で実行された。
【0270】
図15Aおよび
図15Bは、転移性の去勢抵抗性前立腺がんを患っている54歳の男性から取得されたPET/CT画像上で実行されたPET画像処理および病変検出手法の結果を示す。患者のPSAスコアは、33.55ng/mlであった。PET画像は、放射性医薬品としてのPyL(商標)の投与後に取得された。
図15Aは、初期の生PET/CT画像を示す。
図15Bは、本明細書に記載する処理後の画像を示す。背景強度は除去され、いくつかの小さい病変が容易に観察可能である。この場合も、49個の骨および8つの軟組織領域(たとえば、器官)のセグメント化が、180秒未満または約180秒で実行された。
【0271】
したがって、この実施例では、PyL(商標)を検出、定量化、および追跡するための27個の軟組織器官および49個の骨の自動化されたセグメント化による、PyL(商標)画像を文脈化する本明細書に記載する全身セグメント化手法が、病変をどのように回避するかを実証する。この手法により、臨床医/医師は、前立腺がん患者のより良好な管理のために臨床的に関連する質問をすることが可能になるはずである。人工知能支援式の1404-SPECT画像分析(たとえば、内容が全体として参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2019/136349を参照されたい)のコンテキストにおいて(統計的に)実証された診断の精度、精密さ、速度、および再現性の増大などの利点は、PyL(商標)-PET画像でも取得することができる。
iv.(実施例4)
例示的な骨および軟組織セグメント化領域
【0272】
この実施例は、本明細書に記載する手法および実施形態を使用して開発されたシステムがCT画像のセグメント化を介して識別することができる1組の例示的な骨および軟組織領域の一覧を提供する。特に、1組のCT画像内の手動で標識された(たとえば、1つまたは複数の専門家によって識別された)67個の骨および22個の軟組織領域を以下に挙げる。これらの手動で標識されたCT画像は、本明細書に記載する機械学習手法のための訓練データとして使用することができる。たとえば、実施例1~3は、49個の骨および8つの軟組織領域をセグメント化する全身セグメント化手法を実装するソフトウェアの現在のバージョンについて説明するが、これらの機能を容易に更新して、この実施例で挙げる67個の骨および22個の軟組織領域のうちの任意の数をセグメント化することができる。したがって、この実施例は、本明細書に記載するシステムおよび方法の実施形態を発展させて、必ずしもそれだけに限定されるものではないが、この実施例で説明する特有の領域を含む類似の領域を識別することができることを示す。特定のシステムおよび方法は、必ずしもこの実施例で挙げられていない組織領域も識別することができる。特定の実施形態では、骨および軟組織領域の両方が識別される。特定の実施形態では、いくつかのシステムおよび方法は、骨のみまたは軟組織のみを識別することができる。
【0273】
以下の一覧に示すように、特定の左側および右側の骨が、別個の組織領域(たとえば、左鎖骨および右鎖骨)として識別され、いくつかの場合、大きい群の骨の個別のメンバーが別個に識別される。たとえば、以下の例示的な一覧は、個別の肋骨および椎骨が、この実施例のセグメント化手法を介して識別されることを示す(この一覧では、特有の肋骨および椎骨に番号を付与する)。この実施例はまた、本明細書に記載する手法を使用して、必ずしもそれだけに限定されるものではないが、本明細書に挙げた領域を含む体中の様々な領域をセグメント化することができることを明らかにするべきである。
セグメント化領域:
骨(67)
clavicle_left
clavicle_right
femur_left
femur_right
fibula_left
fibula_right
hip_bone_left
hip_bone_right
humerus_left
humerus_right
mandible
patella_left
patella_right
radius_left
radius_right
rib_left_1
rib_left_2
rib_left_3
rib_left_4
rib_left_5
rib_left_6
rib_left_7
rib_left_8
rib_left_9
rib_left_10
rib_left_11
rib_left_12
rib_right_1
rib_right_2
rib_right_3
rib_right_4
rib_right_5
rib_right_6
rib_right_7
rib_right_8
rib_right_9
rib_right_10
rib_right_11
rib_right_12
sacrum_and_coccyx
scapula_left
scapula_right
skull
sternum
tibia_left
tibia_right
ulna_left
ulna_right
vertebra_cervical_all
vertebra_lumbar_1
vertebra_lumbar_2
vertebra_lumbar_3
vertebra_lumbar_4
vertebra_lumbar_5
vertebra_lumbar_6
vertebra_thoracic_1
vertebra_thoracic_2
vertebra_thoracic_3
vertebra_thoracic_4
vertebra_thoracic_5
vertebra_thoracic_6
vertebra_thoracic_7
vertebra_thoracic_8
vertebra_thoracic_9
vertebra_thoracic_10
vertebra_thoracic_11
vertebra_thoracic_12
軟組織(22):
adrenal_gland_left
adrenal_gland_right
aorta_abdominal_part
aorta_thoracic_part
brain
bronchi_left
bronchi_right
gallbladder
gluteus_maximus_left
gluteus_maximus_right
heart
kidney_left
kidney_right
liver
lung_left
lung_right
pancreas
prostate
rectum
spleen
urinary_bladder
ventricle
v.(実施例5)
放射性医薬品の取込みの定量化および臨床エンドポイント評定のためのホットスポットインデックスの算出
【0274】
実施例5は、本明細書に記載するセグメント化およびホットスポット検出方法を使用して、特定の検出されたホットスポットに対して、検出されたホットスポットが表す病変内の放射性医薬品の取込みを推測および/または定量化するために使用することができるホットスポットインデックス値を算出する例示的な手法である。算出されたホットスポットインデックスは、患者の生存率を含む臨床エンドポイントに関係することができ、処置方策を判定するためのものである。異なる時点で収集される複数の画像に対して算出されたとき、算出されたインデックス値は、特定の患者に関して互いに比較することができ、インデックスの変化を使用して、処置の有効性を評価し、近い将来にインデックスがどのように変化するかに関する予後を作成することができる。特定の実施形態では、算出されたインデックスは、撮像リガンドを標的とする処置に対する感度を予測することができる。特定の実施形態では、算出されたインデックスはまた、効果的な患者の階層化のためのノモグラムに含むことができる。
【0275】
この実施例の手法は、PSMA結合剤、たとえばPyL(商標)を含む放射性医薬品の投与後に特定の患者に対して取得されたCT-PET画像セットを使用する。しかし、本明細書に記載する手法は、撮像に使用される特定の放射性医薬品に非依存であり、様々な異なる放射性医薬品、たとえば99mTc-MIP-1404、18F-PyL、68Ga-PSMA-11、18F-NaF、11C-Choline、[18F]FDG、[18F]FACBCなどを利用することができる。
【0276】
本明細書に記載するシステムおよび方法による機械学習ベースの手法は、CT画像内の様々な標的VOIを識別するために使用される。本明細書に記載するように、標的VOIは、セグメント化手法によって特定の標的組織領域に対応すると自動的に識別されるCT画像内の体積である。この例示的な手法では、肝臓、大動脈部分、および耳下腺に対応する標的VOIが識別される。本明細書に記載するように、これらの特定の組織領域、すなわち肝臓、大動脈部分、および耳下腺は、ホットスポットインデックスの算出のための基準領域として働く。基準領域に加えて、他の標的組織領域に対応する他の標的VOIを識別することもできる。識別された標的VOIを表すセグメント化マスクをPET画像にマッピングして、PET画像内の対応する3D体積を識別する。このようにして、肝臓、大動脈部分、および耳下腺に対応する3D基準体積が、PET画像内で識別される。識別された後、特定の各3D基準体積を使用して、特定の3D基準体積内のボクセルの強度の測度を提供する対応する基準強度値を算出する。この実施例では、各体積内の平均強度が使用されるが、他の測度(たとえば、中央値、最大値、最頻値など)も可能である。
【0277】
特定の識別されたホットスポットに対するインデックス値を算出するために、その特定のホットスポットに対してホットスポット強度値が算出され、基準強度値と比較される。基準値と同様に、ホットスポット強度値も、ホットスポットのボクセルの強度の測度を提供する。この実施例では、最大値が算出されるが、基準値と同様に、他の測度を使用することもできる。この実施例が示すように、ホットスポット強度値を算出するために使用される特定の測度は、基準強度値を算出するために使用されるものと同じである必要はない。ホットスポットインデックス値を算出するために、基準強度値をスケール上の基準インデックス値にマッピングすることができ、次いで、ホットスポット強度値が基準値を上回るか、基準値を下回るか、それとも基準値間であるかに基づいて、ホットスポットインデックス値を算出することができる。
【0278】
たとえば、典型的に、大動脈部分(この大動脈領域は、血液プール内の取込みの測度を提供するために使用され、血液または血液プール基準値と呼ぶこともできる)に対応する基準体積から算出される基準強度値が最も低い値であり、それに肝臓、次いで耳下腺領域が続く。したがって、ホットスポット強度値が血液基準値に等しいホットスポットに、100に等しいホットスポットインデックス値が割り当てられ、ホットスポット強度値が肝臓基準値に等しいホットスポットに、200に等しいホットスポットインデックス値が割り当てられ、ホットスポット強度値が耳下腺基準値に等しいホットスポットに、300に等しいホットスポットインデックス値が割り当てられる。2つの基準強度値間に位置するホットスポット強度値に対するホットスポットインデックス値は、補間(たとえば、線形補間)を介して判定することができる。
【0279】
このようにして、検出されたホットスポットには、ホットスポットが表す特定の病変における放射性医薬品の取込みのレベルを標準化された形で(たとえば、異なる画像間で同等になるように)定量化するインデックス値を割り当てることができる。本明細書に記載するように、これらのインデックスは、生存に関係することができ、したがって処置管理にとって有用である。たとえば、患者の予期される結果に応じて、より積極的な処置またはより消極的な処置を考慮することができる。処置の価格も係数として含むことができる。インデックスは、経時的に測定されるときに特に有用である。患者に対する複数の撮像検査にわたって経時的にインデックスを比較するとき、インデックスの変化を使用して、処置の有効性を評価する、近い将来にインデックスがどのように変化するかに関する予後を作成することができる。
【0280】
とりわけ、以前の手法に対するこの実施例で説明する手法の顕著な利点は、本明細書に記載する人工知能ベースのセグメント化手法によって提供される自動的に識別された3D体積から、基準強度値(ならびに、ホットスポット強度値)を算出する能力である。病変を表す画像の領域を定量化しようとした以前の手法は、基準組織領域内に位置する2D関心領域を識別するために、2Dスライス内の領域の手による、たとえば円形マーカの配置によるマーク付けに依拠した。そのような小さい2D領域とは対照的に、本明細書で使用される手法を介して識別される3D体積は、器官全体にわたって強度を捕捉し、それによって精度および反復性の増大を提供する。さらに、正確な自動化されたセグメント化を使用することによって、精度および反復性のさらなる増大が提供される。
【0281】
加えて、少数の値のうちの1つを使用して検出された病変を分類するのではなく、この実施例の手法は、補間を介して算出された連続する可変のインデックスを使用する。この手法は、処置方策を管理し、疾患の進行および/または処置の有効性をきめ細かい正確な形で経時的に追跡するために利用することができるより詳細な情報を提供する。
vi.(実施例6)
骨および局所リンパにおける自動化されたホットスポット検出および取込みの定量化
【0282】
PyL(商標)-PSMAによるPET/CT複合撮像(たとえば、PyL(商標)を患者に投与した後に患者に対して獲得されるPET/CT画像)は、転移性前立腺がんの検出にとって期待がもてるツールである。本開示の画像セグメント化、ホットスポット検出、および定量化技術は、骨および局所リンパ(すなわち、患者の骨盤領域内および/または実質的にその近傍に局所化されたリンパ節)における異常なPyL(商標)-PSMA取込みの自動化された定量的評定を提供するための基本として使用することができる。特に、この実施例に示すように、本明細書に記載するシステムおよび方法による画像セグメント化およびホットスポット検出技法を使用して、PET画像を自動的に分析し、医師が悪性の病変として識別し得るホットスポットを検出することができる。
【0283】
この実施例では、PET/CT走査を評価して、走査のPET画像内で、潜在的な骨および局所リンパ節の病変に対応するホットスポットを自動的に識別する。各走査に対して、本明細書に記載するディープラーニング手法を使用してCT画像の意味論的セグメント化を実行し、1組の特有の骨および軟組織領域(たとえば、器官)を識別した。取得した後、CT画像セグメント化をPET/CT走査のPET画像に転写(たとえば、マッピング)して、PET画像内の対応する3D体積を識別した。各PET画像において、膀胱、肝臓、および腎臓に対応する識別された体積内の強度を抑制することによって、背景の取込みに対応する強度を除去した。また、セグメント化を使用して、ホットスポットを検出する関連体積を画定した。次いで、ブロブ検出アルゴリズムを適用して、潜在的な骨病変または潜在的悪性局所リンパ節を表す異常なホットスポットを識別した。肝臓および大動脈の胸部に対応する基準体積を使用して、基準SUV値を算出した。
【0284】
この実施例では、本明細書に記載する自動化された手法を使用したPET画像内のホットスポットの検出と、医師団からの骨病変およびリンパ節病変を識別する手動の注釈とを比較することによって、ホットスポット検出手法の精度を検証した。骨病変に関して注釈が付けられた1組の157個のPET/CT走査(画像のうちの114個がいかなる病変も有しておらず、画像のうちの11個が3つより多い病変を有した)を使用して、骨病変に対応するホットスポットを検出する精度を評価し、局所リンパ節病変に関して注釈が付けられた1組の66個の走査(40個の画像が病変を有しておらず、6つの画像が3つより大きい病変を有した)を使用した。骨検出アルゴリズムは、すべての注釈付き骨病変の97%を識別し、1つの画像につき平均109個のホットスポットを有した。局所リンパ検出アルゴリズムは、すべての注釈付き悪性局所リンパ節の96%を見出し、1回の走査につき平均32個のホットスポットを有した。
【0285】
この実施例では、ディープラーニングセグメント化の精度も評価された。セグメント化アルゴリズムは、ホットスポット検索領域を画定するために、または基準領域として使用される1組の52個の骨および7つの軟組織領域(たとえば、器官)をセグメント化するように訓練された。訓練および検証は、特定の各領域(骨または軟組織領域)に対して、CT画像におけるその領域の手動の識別を使用して実行および評価した。たとえば、140回手動で識別された肝臓を使用して、肝臓のセグメント化に対してアルゴリズムを訓練し、37回の手動で識別された肝臓を検証に使用した。同様に、61回および14回の手動で識別された大動脈を、それぞれ大動脈領域セグメント化の訓練および検証に使用した。肝臓のセグメント化の場合、訓練および検証セットに対して、それぞれ0.99および0.96のダイススコアを取得した。大動脈のセグメント化の場合、訓練および検証に対して、それぞれ0.96および0.89のダイススコアを取得した。最後に、アルゴリズムの展開に使用されなかった1組の10個の追加の画像を使用して、一般化を評定した。これらの10個の画像に対して、肝臓および大動脈のセグメント化精度を特徴付けるダイススコアは、それぞれ0.97±0.01および0.91±0.5であった。
【0286】
この特定の実施例で使用される特有の52個の骨(仙骨および尾骨は、「sacrum_and_coccyx」として一行に挙げるが、2つのセグメント化された領域に対応する)および7つの軟組織領域の完全な一覧を、以下に示す。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表12】
【0287】
したがって、この実施例では、[18F]DCFPyL(PyL(商標)-PSMA)PET/CT画像におけるホットスポットの自動識別およびSUV基準値の算出のためのディープラーニングベースの意味論的セグメント化の使用を実証する。
vii.(実施例7)
病変PSMAスコアおよびPSMA加重病変の関与
【0288】
この実施例は、個別のホットスポット強度と基準レベルとの比較に基づいて、検出されたホットスポットにホットスポットインデックスを割り当て、次いで割り当てられた個別のホットスポットインデックスを使用して、病変サイズの測度の加重和を表す総合インデックスを判定するための手法を提供する。この実施例で使用されるインデックスは、PSMA結合剤およびPET-CT撮像を使用して撮像された患者に対するがんの状態を評定するために使用される。
【0289】
特に、個別のホットスポットインデックスは、実施例5に説明した手法と同様に、基準レベルからの補間を介して判定される。この実施例では、大動脈部分および肝臓部分に対応する基準VOIがセグメント化され、PET画像内の対応する3D体積にマッピングされる。大動脈部分体積を使用して、血液基準強度を判定し、肝臓体積を使用して、肝臓基準強度を判定する。この実施例では、対応する体積内の平均強度(SUV)を得ることによって、各基準強度がその対応する体積から判定されるが、最大値、ピーク値、または中央値などの他の測度を使用することもできる。病変PSMAスコア(LPS)と呼ばれるスケール上の基準レベルが、次のように、血液および肝臓基準強度(SUV)に基づいて、強度値に割り当てられ、LPS0は、0SUVレベルに割り当てられ、LPS1は、血液基準強度に割り当てられ、LPS2は、肝臓基準強度に割り当てられ、最大LPS3は、肝臓基準強度の2倍として計算された基準強度に割り当てられる。
【0290】
個別のホットスポットが、個別の強度に基づいて、LPSスコアに割り当てられる。0から最大基準強度(肝臓基準強度の2倍)の範囲の強度を有する個別のホットスポットに対して、個別のホットスポット強度に対応するLPSスコアが、基準スケールから補間される。最大基準強度より大きい強度を有するホットスポットには、最大LPS3が割り当てられる。
【0291】
検出されたホットスポットおよび個別のホットスポットインデックス(LPSスコア)を使用して算出することができる2つの例示的な総合リスクインデックスが、がん病変が生じ得る組織領域に対応するホットスポットサイズ、特に体積の加重和として計算される。第1の例示的なインデックスは、PSMA加重の骨/リンパ/前立腺の総病変体積または比(PTLVまたはPTLR)である。このインデックスは、病変体積の加重和であり、重みは、病変PSMAスコアである。和は、骨(たとえば、骨格領域)、リンパ節、および前立腺に対応する3D体積に対して、特定の各領域内に見られるホットスポットに対するホットスポット体積の加重和として別個に算出される。特に、加重和は、次のとおり算出される。
Σ(病変体積×病変PSMAスコア)
【0292】
特定の場合、比が好ましく、この加重和を特定の領域(たとえば、PET画像内)の総3D体積で分割することによって算出することができる。たとえばSUVまたは正規化SUVとは対照的に、LPSによる加重合計ホットスポット体積は、(正規化)SUV値の形のPSMA表現が疾患の攻撃性に線形に関係しないことから有利である。すなわち、たとえば、100の強度を有するホットスポットが、20の強度を有するホットスポットによって表されるものより5倍悪い病変を表すことは、所与ではない。LPSスコアを計算し、LPSスコアによってホットスポットを加重することで、異なるホットスポットを比較するためのスケールが提供される。
【0293】
別の例示的なインデックスは、PSMA加重の骨/リンパ集合直径(PLAD)である。このインデックスがまた、LPSスコアによって加重された病変サイズの測度の和であるが、体積の代わりにこのインデックスは、各ホットスポットの平均直径(たとえば、x、y、およびz直径の平均)を使用する。体積は3次元の数量であるため、大きい病変に対する体積のわずかな変化が、より小さい病変のサイズの変化を支配する(たとえば、和の大幅な増減を引き起こす)可能性がある。代わりに平均直径を使用することで、この作用が軽減される。このインデックスは、次のとおり計算される。
Σ(病変平均直径×病変PSMAスコア)
【0294】
骨およびリンパに対して、加重集合直径を計算することができる。
vii.(実施例8)
低または中リスクの前立腺がんを患う患者に対するAI支援式画像分析の改善された性能
【0295】
99mTcMIP-1404(1404)は、臨床的に顕著な前立腺がんの検出および病期分類のためのPSMA標的撮像剤である。SPECT/CT画像におけるトレーサの取込みの手動評定には、リーダ間およびリーダ内の標準化において本質的な制限がある。この実施例は、PSMA-AI支援式の読取りの性能を評価した研究について説明しており、本明細書に記載する実施形態によって、前立腺体積および他の標的組織領域の自動化されたセグメント化が、手動評定および公知の臨床予測因子によって実行される。
【0296】
この研究は、超低、低、または中リスクの前立腺がんを患っている464人の評価可能な患者を分析し、患者の診断バイオプシは、≦3+4のグリソングレードを示し、かつ/またはそれらの患者は、積極監視(1404-3301)の候補であった。すべての対象が、1404のIV注射を受け、投与後3~6時間で、SPECT/CT撮像が実行された。3つの非依存リーダが、画像を評価した。すべての対象は、投与後に自発的RP(低および中リスク)または前立腺バイオプシ(超低リスク)を受けた。7またはそれより高いグリソングレードを有する対象において、臨床的に顕著な疾患が判断された。PSMA-AIは、分析前に発達してロックされた。3つの異なる非依存リーダが、PSMA-AIを使用して、背景(PSMA-インデックス)に対して前立腺における1404の定量的表現を取得した。すべてのリーダおよび対象に対するPSMA-インデックスを組織病理学基準と比較し、6つの受信者操作特性(ROC)曲線(3つの手動読取り+3つのPSMA-AI支援式の読取り)を得た。また、PSMA-インデックス有りおよびなしの多変量モデル(PSA、臨床病期分類、および診断グリソンスコア)のROC曲線下面積(AUC)を比較することによって、1404PSMA-AI支援式の読取りの臨床性能が評価された。
【0297】
手動の読取りは、0.62、0.62、および0.63のAUCを実証した。PSMA-AI有りの読取りは、0.65、0.66、および0.66のAUCを実証した。AUCに関するPSMA-AI性能は、2つのリーダ群間の3*3=9の対ごとのすべての比較において手動より高く、複数の比較を補償することなく、5つの事例において統計的に顕著な改善が観察された(公称p<0.05)。PSMA-インデックスなしのベースライン多変量モデルの予測可能性は、AUC0.74であった。PSMA-インデックスを追加すると、モデル予測可能性がAUC0.77まで増大した。ロジスティック回帰モデルは、PSMA-インデックス(p=0.004)、術前PSA(0.018)、および%陽性コア(p=<0.001)が、臨床的に顕著な疾患に顕著に関連付けられることを示した。再現性を測定するとき、PSMAAIリーダのペアに対するlog(PSMA-インデックス)の相関係数は、0.94、0.97、および0.98であった。
【0298】
したがって、この実施例で説明する研究は、PSMA-AIが、1404の再現可能な定量的評定を生成するための標準化されたプラットホームを提供することを実証した。PSMA-AI支援式の読取りは、臨床的に顕著な疾患を患っている男性の識別に関して、公知の予測因子に対する付加的改善を実証した。
ix.(実施例9)
前立腺がん病期分類に対するPET/CT画像からの18F-DCFPyL取込みの定量化のためのPSMAインデックスの自動化された計算
【0299】
この実施例では、本明細書に記載する手法の実施形態を介した、自動化された画像セグメント化、病変検出、および検出された病変に割り当てられたホットスポットインデックスに基づく標準化されたインデックススコアの計算を実証する。自動化された画像分析手順は、放射性医薬品18F-DCFPyL(PyL(商標))が投与された後に、PET/CT走査を介して撮像された患者のがんの状態を評価するために使用される。
【0300】
この実施例では、カスケード式ディープラーニングパイプラインを使用して、CT画像内の関連器官をセグメント化し、セグメント化をPET画像空間に投影する。特に、対象の骨に対応する骨体積、リンパ領域に対応するリンパ体積、および前立腺に対応する前立腺体積に対応する標的領域をCT画像内でセグメント化し、これらをマッピングして、PET画像内の対応する3D体積を識別した。同様に、大動脈部分および肝臓に対応する大動脈および肝臓体積もセグメント化し、本明細書に記載するように基準領域として使用するために、これらをPET画像にマッピングした。
【0301】
PET画像内でホットスポットを検出した。病変を表すと考えられたホットスポット、ならびにアルゴリズムによって検出されなかった追加の病変を、手動でセグメント化する。病変miPSMAインデックス(LPI)と呼ばれる個別のホットスポットインデックスを計算することによって、検出された個別の各ホットスポットを定量化した。上記の実施例6および7で説明したように、この実施例で使用されるLPIは、自動的にセグメント化された(手動で識別されるのではない)体積を使用して算出された連続インデックスである。したがって、このLPIは、画像内の様々な器官の手動識別を利用し、小さい有限数の列挙値を使用して病変を分類するだけの以前の手法に対して利点を提供する。したがって、この手法は、処置方策を管理し、疾患の進行および/または処置の有効性をきめ細かい正確な形で経時的に追跡するために利用することができるより詳細な情報を提供する。
【0302】
たとえば上記の実施例7で説明したものと同様に、血液プール(識別された大動脈体積から測定される)および肝臓基準領域から判定される基準値に基づいて、検出された各ホットスポットに対するLPIを算出した。特に、血液プール基準強度(SUV値)は、PET画像内の大動脈体積を使用して測定し、肝臓基準強度は、PET画像内で識別された肝臓体積から測定した。血液プール基準強度レベルおよび肝臓基準強度レベルはどちらも、PET画像における対応する体積内で平均SUV(SUVmean)として測定した。基準LPIインデックス値1および2を、それぞれ血液プールおよび肝臓基準強度に割り当てた。極大基準インデックスレベル3を、肝臓基準強度値の2倍に対応する基準強度に割り当てた。
【0303】
検出された個別の各ホットスポットには、(i)そのホットスポットに対する測定されたホットスポット強度値、ならびに(ii)血液プールおよび肝臓基準強度値と、上述した基準インデックスレベルとの比較に基づいて、LPIスコアを割り当てた。特に、各ホットスポットに対して、平均病変取込みに対応する個別のホットスポット強度値を、そのホットスポットのボクセルにおける平均SUVとして計算した。個別のホットスポットに対して、平均病変標準取込み値(SUVmean)が血液プール基準値に等しい場合、1に等しいLPIを割り当て、ホットスポットの平均病変取込み値が肝臓基準取込み値等しい場合、2に等しいLPIを割り当て、ホットスポットの平均病変取込み値が肝臓基準取込みの2倍に等しいまたはそれを上回る場合、3に等しいLPIを割り当てた。ホットスポットの強度が基準強度値間である場合、ホットスポット強度値および基準強度インデックス値のペアに基づいて、個別のホットスポットLPIを補間した。
【0304】
骨領域内の集合病変体積を、PET画像における骨体積内で検出された個別のホットスポットの体積の加重和として算出し、各ホットスポットの体積を、その対応するLPIによって加重された。このようにして、骨領域に対して、PTLVboneと呼ばれるPSMA加重総病変体積(PLTV)インデックスを算出した。リンパ(PTLVlymph)および前立腺(PTLVprostate)領域に対しても同様に、PLTVインデックス値を算出した。3つの領域の各々に対して、様々な異なる指標を有する対象に対するPET/CT画像データセットを使用して、PLTVインデックス値を自動的に判定した。
【0305】
手動器官セグメント化との比較および画像の注釈に基づいて、AIベースの自動化された技法の性能を評価して、ホットスポットを識別し、異なる指標に対して算出されたPLTVインデックス値を領域にわたって比較した。
【0306】
専門家による手動の解釈を比較のためのゴールドスタンダードとして使用して、自動化されたホットスポット検出アルゴリズムは、骨病変に対して92.1%の感度(52個の自動的にセグメント化された骨に対して97.2%)およびリンパ病変に対して96.2%を有すると判定した。平均で、1回の走査につき17個の骨ホットスポットを検出し、1回の走査につき23個のリンパホットスポットを検出した。
【0307】
骨領域に対して197個のPET/CT画像、リンパ領域に対して99個のPET/CT画像、および前立腺領域に対して43個のPET/CT画像の試料データセットを使用して、PLTVインデックス値を算出した。これらのデータセットでは、判定された個別のホットスポットLPIの94%が1~3であり、骨、リンパ、および前立腺領域に対して判定された最小LPIは、それぞれ0.82、1.1、および1.3であった。骨、リンパ、および前立腺領域に対する中央LPI値は、それぞれ1.5、2.0、および2.3であった。
【0308】
各領域に対して、処置応答(TR)、スクリーニング(S)、新規診断(ND)、転移性(M)、再発疑い(SR)、再発(R)の様々な異なる指標を有する対象に対するPLTVインデックスを算出した。四分位数範囲(IQRmean)の値の平均値を計算し、したがって孤立値を除外することによって、指標におけるPLTVインデックス値を比較した。PLTV値のIQRmeanによる順序付け指標により、骨領域に対してTR<S<ND<R<SR<M、リンパ領域に対してS=M<R<ND<SR、および前立腺領域に対してM<SR<R<S<NDが得られ、疾患状態の臨床予期と適当に整合する。
【0309】
図19は、各領域に対する様々な指標に対して判定されたPLTVインデックス値を示す。
図20は、3つの領域の各々で検出されたホットスポットに対する個別のホットスポットLPI値の散布図を示す。
【0310】
Eiber et al., 2017などの病変の等級分けのための基準値を判定する手動手法と比
較して、自動化された血液および肝臓基準値は、手動基準方法と比較するとより大きい画像体積に基づいており、したがってより強固であることが予期される。
図21は、血液プール(左のグラフ)および肝臓(右のグラフ)領域に対して本明細書に記載する自動化されたセグメント化手法を介して算出された基準値と、器官境界の手動識別を使用して算出された基準値とを比較する。
図21に示すように、20回のPET/CT走査の試料において、自動化された基準と手動基準との間の相関(ピアソンのr)は、血液に対して0.92、肝臓に対して0.87であった。
【0311】
したがって、この実施例では、がんを検出し、がんの進行および/または処置への応答を経時的に追跡するための自動化されたセグメント化、ホットスポット検出、およびインデックス値計算の使用を実証する。
D.撮像剤
【0312】
特定の実施形態では、3D機能的画像は、放射性医薬品を含む撮像剤を使用する核医学画像である。核医学画像は、患者への放射性医薬品の投与後に取得され、患者内の放射性医薬品の分布に関する情報を提供する。放射性医薬品は、放射性核種を含む化合物である。
【0313】
核医学画像(たとえばPET走査、たとえばSPECT走査、たとえば全身走査、たとえば複合PET-CT画像、たとえば複合SPECT-CT画像)は、放射性医薬品の放射性核種から放出された放射を検出して、画像を形成する。患者内の特定の放射性医薬品の分布は、血液の流れまたは灌流などの生物学的機構によって、ならびに特有の酵素または受容体を結合する相互作用によって判定することができる。異なる放射性医薬品は、異なる生物学的機構および/または特定の特有の酵素もしくは受容体を結合する相互作用を利用し、したがって、患者に投与されたとき、患者内の特定のタイプの組織および/または領域に選択的に集中するように設計することができる。他の領域より高い濃度の放射性医薬品を有する患者内の領域からは、より大きい量の放射が放出され、したがってこれらの領域は、核医学画像内でより明るく見える。したがって、核医学画像内の強度の変動を使用して、患者内の放射性医薬品の分布をマッピングすることができる。患者内の放射性医薬品のこのマッピングされた分布を使用して、たとえば患者の体の様々な領域内のがん組織の存在を推測することができる。
【0314】
たとえば、患者への投与後、テクネチウム99mメチレンジフォスフォネート(99mTcMDP)が、患者の骨格領域内、特に悪性の骨病変に関連する異常な骨形成のある部位に選択的に蓄積する。これらの部位における放射性医薬品の選択的集中は、特定可能なホットスポット、すなわち核医学画像内の高い強度の局所化領域をもたらす。したがって、患者の全身走査においてそのようなホットスポットを識別することによって、転移性前立腺がんに関連する悪性の骨病変の存在を推測することができる。99mTcMDPの患者への投与後に取得された全身走査における強度変動の自動分析に基づいて、疾患の状態、進行、処置の有効性などを示す患者の総合的な生存および他の予後の尺度と相関するリスクインデックスを算出することができる。特定の実施形態では、他の放射性医薬品を99mTcMDPと同様に使用することもできる。
【0315】
特定の実施形態では、使用される特定の放射性医薬品は、使用される特定の核医学撮像法に依存する。たとえば、18Fフッ化ナトリウム(NaF)もまた、99mTcMDPと同様に骨病変内に蓄積するが、PET撮像によって使用することもできる。特定の実施形態では、PET撮像はまた、前立腺がん細胞によって容易に吸収される放射性のビタミンコリンを利用することができる。
【0316】
特定の実施形態では、特定の目的のタンパク質または受容体に選択的に結合する放射性医薬品、特にがん組織内で出現が増大するものを使用することができる。そのような目的のタンパク質または受容体には、それだけに限定されるものではないが、結腸直腸癌で出現するCEAなどの腫瘍抗原、複数のがんで出現するHer2/neu、乳がんおよび卵巣がんで出現するBRCA1およびBRCA2、ならびに悪性黒色腫で出現するTRP-1および-2が含まれる。
【0317】
たとえば、ヒト前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、転移性疾患を含む前立腺がんでアップレギュレートされる。PSMAは、事実上すべての前立腺がんによって出現され、その出現は、分化の乏しい転移性のホルモン抵抗性癌でさらに増大する。したがって、1つまたは複数の放射性核種によって標識されたPSMA結合剤に対応する放射性医薬品(たとえば、PSMAに対して高い親和性を有する化合物)を使用して、患者の核医学画像を取得することができ、それらの核医学画像から、患者の様々な領域(たとえば、それだけに限定されるものではないが、骨格領域を含む)の前立腺がんの存在および/または状態を評定することができる。特定の実施形態では、疾患が局所化された状態にあるとき、PSMA結合剤を使用して取得された核医学画像を使用して、前立腺内のがん組織の存在を識別する。特定の実施形態では、PSMA結合剤を含む放射性医薬品を使用して取得された核医学画像を使用して、前立腺だけではなく、疾患が転移性であるときに関係する肺、リンパ節、および骨などの他の器官および組織領域も含む様々な領域内のがん組織の存在を識別する。
【0318】
特に、患者への投与後、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、PSMAへのその親和性に基づいて、がん組織内に選択的に蓄積する。99mTcMDPに関連して上述したものと同様に、患者内の特定の部位における放射性核種で標識されたPSMA結合剤の選択的集中は、核医学画像内に検出可能なホットスポットをもたらす。PSMA結合剤は、PSMAを出現する体の様々ながん組織および領域内で集中するため、患者の前立腺内の局所化されたがん、および/または患者の体の様々な領域内の転移性がんを検出し、評価することができる。以下に記載するように、患者へのPSMA結合剤放射性医薬品の投与後に取得された核医学画像における強度変動の自動分析に基づいて、疾患の状態、進行、処置の有効性などを示す患者の総合的な生存および他の予後の尺度と相関するリスクインデックスを算出することができる。
【0319】
様々な放射性核種で標識されたPSMA結合剤を、核医学撮像のための放射性医薬品撮像剤として使用して、前立腺がんを検出および評価することができる。特定の実施形態では、使用される特定の放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、特定の撮像法(たとえばPET、たとえばSPECT)および撮像すべき患者の特定の領域(たとえば、器官)などの要因に依存する。たとえば、特定の放射性核種で標識されたPSMA結合剤はPET撮像に好適であり、他の結合剤がSPECT撮像に好適である。たとえば、特定の放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、患者の前立腺の撮像を容易にし、主に疾患が局所化されているときに使用され、他の結合剤は、患者の体中の器官および領域の撮像を容易にし、転移性前立腺がんを評価するのに有用である。
【0320】
様々なPSMA結合剤およびその放射性核種で標識されたバージョンが、各々全体として参照により本明細書に組み込まれている米国特許第8,778,305号、第8,211,401号、および第8,962,799号に記載されている。
i.PET撮像用の放射性核種で標識されたPSMA結合剤
【0321】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、PET撮像に適当な放射性核種で標識されたPSMA結合剤である。
【0322】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、[18F]DCFPyL(PyL(商標)、DCFPyL-18Fとも呼ばれる)、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0323】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、[18F]DCFBC、
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0324】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、
68Ga-PSMA-HBED-CC(
68Ga-PSMA-11とも呼ばれる)、
【化3】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0325】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、PSMA-617、
【化4】
またはその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、
68Gaによって標識されたPSMA-617である
68Ga-PSMA-617、またはその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、
177Luによって標識されたPSMA-617である
177Lu-PSMA-617、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0326】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、PSMA-I&T、
【化5】
またはその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、
68Gaによって標識されたPSMA-I&Tである
68Ga-PSMA-I&T、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0327】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、PSMA-1007、
【化6】
またはその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、
18Fによって標識されたPSMA-1007である
18F-PSMA-1007、またはその薬学的に許容される塩を含む。
ii.SPECT撮像用の放射性核種で標識されたPSMA結合剤
【0328】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、SPECT撮像に適当な放射性核種で標識されたPSMA結合剤である。
【0329】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、1404(MIP-1404とも呼ばれる)、
【化7】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0330】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、1405(MIP-1405とも呼ばれる)、
【化8】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0331】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、1427(MIP-1427とも呼ばれる)、
【化9】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0332】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、1428(MIP-1428とも呼ばれる)、
【化10】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0333】
特定の実施形態では、PSMA結合剤は、それを金属の放射性同位元素[たとえば、テクネチウム(Tc)の放射性同位元素(たとえば、テクネチウム99m(99mTc))、たとえば、レニウム(Re)の放射性同位元素(たとえば、レニウム-188(188Re)、たとえば、レニウム-186(186Re))、たとえば、イットリウム(Y)の放射性同位元素(たとえば、90Y)、たとえば、ルテチウム(Lu)の放射性同位元素(たとえば、177Lu)、たとえば、ガリウム(Ga)の放射性同位元素(たとえば、68Ga、たとえば、67Ga)、たとえば、インジウムの放射性同位元素(たとえば、111In)、たとえば、銅(Cu)の放射性同位元素(たとえば、67Cu)]にキレートすることによって、放射性核種で標識される。
【0334】
特定の実施形態では、1404は、放射性核種によって標識される(たとえば、金属の放射性同位元素にキレートされる)。特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、
99mTcによって標識(たとえば、キレート)された1404である
99mTc-MIP-1404、
【化11】
またはその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、1404を他の金属の放射性同位元素[たとえば、レニウム(Re)の放射性同位元素(たとえば、レニウム-188(
188Re)、たとえば、レニウム-186(
186Re))、たとえば、イットリウム(Y)の放射性同位元素(たとえば、
90Y)、たとえば、ルテチウム(Lu)の放射性同位元素(たとえば、
177Lu)、たとえば、ガリウム(Ga)の放射性同位元素(たとえば、
68Ga、たとえば、
67Ga)、たとえば、インジウムの放射性同位元素(たとえば、
111In)、たとえば、銅(Cu)の放射性同位元素(たとえば、
67Cu)]にキレートして、
99mTcが他の金属の放射性同位元素で置換された、
99mTc-MIP-1404に関して上記に示した構造に類似の構造を有する化合物を形成することができる。
【0335】
特定の実施形態では、1405は、放射性核種によって標識される(たとえば、金属の放射性同位元素にキレートされる)。特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、
99mTcによって標識(たとえば、キレート)された1405である
99mTc-MIP-1405、
【化12】
またはその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、1405を他の金属の放射性同位元素[たとえば、レニウム(Re)の放射性同位元素(たとえば、レニウム-188(
188Re)、たとえば、レニウム-186(
186Re))、たとえば、イットリウム(Y)の放射性同位元素(たとえば、
90Y)、たとえば、ルテチウム(Lu)の放射性同位元素(たとえば、
177Lu)、たとえば、ガリウム(Ga)の放射性同位元素(たとえば、
68Ga、たとえば、
67Ga)、たとえば、インジウムの放射性同位元素(たとえば、
111In)、たとえば、銅(Cu)の放射性同位元素(たとえば、
67Cu)]にキレートして、
99mTcが他の金属の放射性同位元素で置換された、
99mTc-MIP-1405に関して上記に示した構造に類似の構造を有する化合物を形成することができる。
【0336】
特定の実施形態では、1427を金属の放射性同位元素によって標識(たとえば、キレート)して、次式による化合物
【化13】
またはその薬学的に許容される塩を形成し、ここでMは、1427が標識された金属の放射性同位元素[たとえば、テクネチウム(Tc)の放射性同位元素(たとえば、テクネチウム99m(
99mTc))、たとえば、レニウム(Re)の放射性同位元素(たとえば、レニウム-188(
188Re)、たとえば、レニウム-186(
186Re))、たとえば、イットリウム(Y)の放射性同位元素(たとえば、
90Y)、たとえば、ルテチウム(Lu)の放射性同位元素(たとえば、
177Lu)、たとえば、ガリウム(Ga)の放射性同位元素(たとえば、
68Ga、たとえば、
67Ga)、たとえば、インジウムの放射性同位元素(たとえば、
111In)、たとえば、銅(Cu)の放射性同位元素(たとえば、
67Cu)]である。
【0337】
特定の実施形態では、1428を金属の放射性同位元素によって標識(たとえば、キレート)して、次式による化合物、
【化14】
またはその薬学的に許容される塩を形成し、ここでMは、1428が標識された金属の放射性同位元素[たとえば、テクネチウム(Tc)の放射性同位元素(たとえば、テクネチウム99m(
99mTc))、たとえば、レニウム(Re)の放射性同位元素(たとえば、レニウム-188(
188Re)、たとえば、レニウム-186(
186Re))、たとえば、イットリウム(Y)の放射性同位元素(たとえば、
90Y)、たとえば、ルテチウム(Lu)の放射性同位元素(たとえば、
177Lu)、たとえば、ガリウム(Ga)の放射性同位元素(たとえば、
68Ga、たとえば、
67Ga)、たとえば、インジウムの放射性同位元素(たとえば、
111In)、たとえば、銅(Cu)の放射性同位元素(たとえば、
67Cu)]である。
【0338】
特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、PSMA I&S、
【化15】
またはその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、放射性核種で標識されたPSMA結合剤は、
99mTcによって標識されたPSMA I&Sである
99mTc-PSMA I&S、またはその薬学的に許容される塩を含む。
E.コンピュータシステムおよびネットワークアーキテクチャ
【0339】
図17に示すように、本明細書に記載するシステム、方法、およびアーキテクチャを提供する際に使用するためのネットワーク環境1700の実装について図示および説明する。概要として、
図17を次に参照して、例示的なクラウドコンピューティング環境1700のブロック図について図示および説明する。クラウドコンピューティング環境1700は、1つまたは複数のリソースプロバイダ1702a、1702b、1702c(集合的に、1702)を含むことができる。各リソースプロバイダ1702が、コンピューティングリソースを含むことができる。いくつかの実装では、コンピューティングリソースは、データを処理するために使用される任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。たとえば、コンピューティングリソースは、アルゴリズム、コンピュータプログラム、および/またはコンピュータアプリケーションを実行することが可能なハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。いくつかの実装では、例示的なコンピューティングリソースは、記憶および検索能力を有するアプリケーションサーバおよび/またはデータベースを含むことができる。各リソースプロバイダ1702は、クラウドコンピューティング環境1700内の任意の他のリソースプロバイダ1702に接続することができる。いくつかの実装では、リソースプロバイダ1702は、コンピュータネットワーク1708を介して接続することができる。各リソースプロバイダ1702は、コンピュータネットワーク1708を介して、1つまたは複数のコンピューティングデバイス1704a、1704b、1704c(集合的に、1704)に接続することができる。
【0340】
クラウドコンピューティング環境1700は、リソースマネージャ1706を含むことができる。リソースマネージャ1706は、コンピュータネットワーク1708を介して、リソースプロバイダ1702およびコンピューティングデバイス1704に接続することができる。いくつかの実装では、リソースマネージャ1706は、1つまたは複数のリソースプロバイダ1702による1つまたは複数のコンピューティングデバイス1704へのコンピューティングリソースの提供を容易にすることができる。リソースマネージャ1706は、特定のコンピューティングデバイス1704からのコンピューティングリソースに対する要求を受け取ることができる。リソースマネージャ1706は、コンピューティングデバイス1704によって要求されるコンピューティングリソースを提供することが可能な1つまたは複数のリソースプロバイダ1702を識別することができる。リソースマネージャ1706は、コンピューティングリソースを提供するためのリソースプロバイダ1702を選択することができる。リソースマネージャ1706は、リソースプロバイダ1702と特定のコンピューティングデバイス1704との間の接続を容易にすることができる。いくつかの実装では、リソースマネージャ1706は、特定のリソースプロバイダ1702と特定のコンピューティングデバイス1704との間の接続を確立することができる。いくつかの実装では、リソースマネージャ1706は、要求されたコンピューティングリソースを有する特定のリソースプロバイダ1702へ、特定のコンピューティングデバイス1704を転送することができる。
【0341】
図18は、本開示に記載する技法を実装するために使用することができるコンピューティングデバイス1800および移動コンピューティングデバイス1850の一例を示す。コンピューティングデバイス1800は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、および他の適当なコンピュータなどの様々な形のデジタルコンピュータを表すことが意図される。移動コンピューティングデバイス1850は、パーソナルデジタルアシスタント、セルラー電話、スマートフォン、および他の類似のコンピューティングデバイスなどの様々な形の移動デバイスを表すことが意図される。ここに示す構成要素、それらの接続および関係、ならびにそれらの機能は、単なる例であることを意味し、限定的であることを意味したものではない。
【0342】
コンピューティングデバイス1800は、プロセッサ1802と、メモリ1804と、記憶デバイス1806と、メモリ1804および複数の高速拡張ポート1810に接続する高速インターフェース1808と、低速拡張ポート1814および記憶デバイス1806に接続する低速インターフェース1812とを含む。プロセッサ1802、メモリ1804、記憶デバイス1806、高速インターフェース1808、高速拡張ポート1810、および低速インターフェース1812の各々は、様々なバスを使用して相互接続されており、共通のマザーボード上に、または適宜他の方法で取り付けることができる。プロセッサ1802は、高速インターフェース1808に連結されたディスプレイ1816などの外部入出力デバイス上のGUIのためのグラフィカル情報を表示するためにメモリ1804内または記憶デバイス1806上に記憶された命令を含めて、コンピューティングデバイス1800内の実行のための命令を処理することができる。他の実装では、複数のプロセッサおよび/または複数のバスを、複数のメモリおよび複数のタイプのメモリとともに、適宜使用することができる。また、複数のコンピューティングデバイスを接続することができ、各デバイスが、必要な動作のいくつかの部分を提供する(たとえば、サーババンク、1群のブレードサーバ、またはマルチプロセッサシステムとして)。したがって、この用語が本明細書で使用されるとき、複数の機能が「プロセッサ」によって実行されると記載した場合、これは、複数の機能が任意の数(1つまたは複数)のコンピューティングデバイスの任意の数(1つまたは複数)のプロセッサによって実行される実施形態を包含する。さらに、ある機能が「プロセッサ」によって実行されると記載した場合、これは、その機能が任意の数(1つまたは複数)のコンピューティングデバイスの任意の数(1つまたは複数)のプロセッサ(たとえば、分散コンピューティングシステム内)によって実行される実施形態を包含する。
【0343】
メモリ1804は、コンピューティングデバイス1800内の情報を記憶する。いくつかの実装では、メモリ1804は、1つまたは複数の揮発性メモリユニットである。いくつかの実装では、メモリ1804は、1つまたは複数の不揮発性メモリユニットである。メモリ1804はまた、磁気または光ディスクなどの別の形のコンピュータ可読媒体とすることができる。
【0344】
記憶デバイス1806は、コンピューティングデバイス1800に対する大容量記憶を提供することが可能である。いくつかの実装では、記憶デバイス1806は、フロッピー(登録商標)ディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイスもしくはテープデバイス、フラッシュメモリもしくは他の類似の固体メモリデバイス、またはストレージエリアネットワークもしくは他の構成のデバイスを含むデバイスのアレイなどのコンピュータ可読媒体とすることができ、またはこれを含むことができる。命令は、情報キャリア内に記憶することができる。これらの命令は、1つまたは複数の処理デバイス(たとえば、プロセッサ1802)によって実行されたとき、上述したものなどの1つまたは複数の方法を実行する。これらの命令はまた、コンピュータまたは機械可読媒体(たとえば、メモリ1804、記憶デバイス1806、またはプロセッサ1802上のメモリ)などの1つまたは複数の記憶デバイスによって記憶することができる。
【0345】
高速インターフェース1808は、コンピューティングデバイス1800に対する帯域幅集約的動作を管理し、低速インターフェース1812は、より低い帯域幅集約的動作を管理する。機能のそのような割当ては、単なる一例である。いくつかの実装では、高速インターフェース1808は、メモリ1804、ディスプレイ1816(たとえば、グラフィックスプロセッサまたはアクセラレータを介する)、および高速拡張ポート1810に連結され、高速拡張ポート1810は、様々な拡張カード(図示せず)を受け入れることができる。この実装では、低速インターフェース1812は、記憶デバイス1806および低速拡張ポート1814に連結される。低速拡張ポート1814は、様々な通信ポート(たとえば、USB、Bluetooth(登録商標)、イーサネット(登録商標)、無線イーサネット)を含むことができ、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、またはスイッチもしくはルータなどのネットワーキングデバイスなどの1つまたは複数の入出力デバイスに、たとえばネットワークアダプタを介して連結することができる。
【0346】
コンピューティングデバイス1800は、図に示すように、複数の異なる形で実装することができる。たとえば、コンピューティングデバイス1800は、標準的なサーバ1820として実装することができ、または1群のそのようなサーバ内で複数回実装することができる。加えて、コンピューティングデバイス1800は、ラップトップコンピュータ1822などのパーソナルコンピュータ内で実装することができる。コンピューティングデバイス1800はまた、ラックサーバシステム1824の一部として実装することができる。別法として、コンピューティングデバイス1800からの構成要素は、移動コンピューティングデバイス1850などの移動デバイス(図示せず)内の他の構成要素と組み合わせることができる。そのようなデバイスの各々は、コンピューティングデバイス1800および移動コンピューティングデバイス1850のうちの1つまたは複数を含むことができ、システム全体を、互いに通信する複数のコンピューティングデバイスから構成することができる。
【0347】
移動コンピューティングデバイス1850は、他の構成要素の中でも、プロセッサ1852、メモリ1864、ディスプレイ1854などの入出力デバイス、通信インターフェース1866、トランシーバ1868を含む。移動コンピューティングデバイス1850はまた、追加の記憶を提供するために、マイクロドライブまたは他のデバイスなどの記憶デバイスを備えることができる。プロセッサ1852、メモリ1864、ディスプレイ1854、通信インターフェース1866、およびトランシーバ1868の各々は、様々なバスを使用して相互接続されており、これらの構成要素のうちのいくつかは、共通のマザーボード上に、または適宜他の方法で取り付けることができる。
【0348】
プロセッサ1852は、メモリ1864内に記憶されている命令を含めて、移動コンピューティングデバイス1850内の命令を実行することができる。プロセッサ1852は、別個の複数のアナログおよびデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実装することができる。プロセッサ1852は、たとえば、ユーザインターフェースの制御などの移動コンピューティングデバイス1850の他の構成要素の協働のために、移動コンピューティングデバイス1850によって実行されるアプリケーション、および移動コンピューティングデバイス1850による無線通信を提供することができる。
【0349】
プロセッサ1852は、制御インターフェース1858およびディスプレイインターフェース1856を介してユーザと通信することができ、ディスプレイインターフェース1856は、ディスプレイ1854に連結される。ディスプレイ1854は、たとえば、TFT(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)ディスプレイもしくはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、または他の適当なディスプレイ技術とすることができる。ディスプレイインターフェース1856は、ディスプレイ1854を駆動してグラフィカルおよび他の情報をユーザに提示するための適当な回路を含むことができる。制御インターフェース1858は、ユーザからのコマンドを受け取り、それらのコマンドをプロセッサ1852への送信のために変換することができる。加えて、外部インターフェース1862が、移動コンピューティングデバイス1850と他のデバイスとの近距離通信を可能にするように、プロセッサ1852との通信を提供することができる。外部インターフェース1862は、たとえば、いくつかの実装では有線通信のために、または他の実装では無線通信のために提供することができ、複数のインターフェースを使用することもできる。
【0350】
メモリ1864は、移動コンピューティングデバイス1850内に情報を記憶する。メモリ1864は、コンピュータ可読媒体、1つもしくは複数の揮発性メモリユニット、または1つもしくは複数の不揮発性メモリユニットの1つまたは複数として実装することができる。拡張メモリ1874を提供することもでき、拡張メモリ1874は、拡張インターフェース1872を介して移動コンピューティングデバイス1850に接続することができ、拡張インターフェース1872は、たとえば、SIMM(シングルインラインメモリモジュール)カードインターフェースを含むことができる。拡張メモリ1874は、移動コンピューティングデバイス1850に対する余分の記憶空間を提供することができ、または移動コンピューティングデバイス1850に対するアプリケーションもしくは他の情報を記憶することもできる。具体的には、拡張メモリ1874は、上述したプロセスを実施または補足するための命令を含むことができ、セキュア情報も含むことができる。したがって、たとえば拡張メモリ1874は、移動コンピューティングデバイス1850に対するセキュリティモジュールを提供することができ、移動コンピューティングデバイス1850の安全な使用を可能にする命令によってプログラムすることができる。加えて、SIMMカードを介して、SIMMカード上の配置識別情報などの追加の情報とともに、セキュアアプリケーションをハッキング不能に提供することができる。
【0351】
メモリは、以下に論じるように、たとえばフラッシュメモリおよび/またはNVRAMメモリ(不揮発性ランダムアクセスメモリ)を含むことができる。いくつかの実装では、命令は、情報キャリア内に記憶される。これらの命令は、1つまたは複数の処理デバイス(たとえば、プロセッサ1852)によって実行されたとき、上述したものなどの1つまたは複数の方法を実行する。これらの命令はまた、1つまたは複数のコンピュータまたは機械可読媒体(たとえば、メモリ1864、拡張メモリ1874、またはプロセッサ1852上のメモリ)などの1つまたは複数の記憶デバイスによって記憶することができる。いくつかの実装では、これらの命令は、伝播シグナルとして、たとえばトランシーバ1868または外部インターフェース1862を介して受け取ることができる。
【0352】
移動コンピューティングデバイス1850は、通信インターフェース1866を介して無線で通信することができ、通信インターフェース1866は、必要に応じてデジタルシグナル処理回路を含むことができる。通信インターフェース1866は、とりわけ、GSM(登録商標)ボイスコール(移動通信のためのグローバルシステム)、SMS(ショートメッセージサービス)、EMS(拡張メッセージングサービス)、もしくはMMSメッセージング(マルチメディアメッセージングサービス)、CDMA(符号分割多重アクセス)、TDMA(時分割多重アクセス)、PDC(パーソナルデジタルセルラー)、WCDMA(登録商標)(広帯域符号分割多重アクセス)、CDMA2000、またはGPRS(汎用パケット無線サービス)などの様々なモードまたはプロトコール下の通信を提供することができる。そのような通信は、たとえば無線周波数を使用するトランシーバ1868を介して行うことができる。加えて、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(商標)、または他のそのようなトランシーバ(図示せず)などを使用して、短距離通信を行うことができる。加えて、GPS(グローバルポジショニングシステム)レシーバモジュール1870が、追加のナビゲーションおよび位置関連無線データを移動コンピューティングデバイス1850に提供することができ、そのようなデータは、移動コンピューティングデバイス1850上で実行するアプリケーションによって適宜使用することができる。
【0353】
移動コンピューティングデバイス1850はまた、音声コーデック1860を使用して可聴に通信することができ、音声コーデック1860は、ユーザから口頭情報を受け取り、それを使用可能なデジタル情報に変換することができる。音声コーデック1860は、たとえば移動コンピューティングデバイス1850のハンドセット内のスピーカなどを介して、ユーザに対する可聴音も同様に生成することができる。そのような音は、音声電話の呼び出しからの音を含むことができ、記録された音(たとえば、ボイスメッセージ、ミュージックファイルなど)を含むことができ、移動コンピューティングデバイス1850上で動作するアプリケーションによって生成された音を含むこともできる。
【0354】
移動コンピューティングデバイス1850は、図に示すように、複数の異なる形で実装することができる。たとえば、移動コンピューティングデバイス1850は、セルラー電話1880として実装することができる。移動コンピューティングデバイス1850はまた、スマートフォン1882、パーソナルデジタルアシスタント、または他の類似の移動デバイスの一部として実装することができる。
【0355】
本明細書に記載するシステムおよび技法の様々な実装は、デジタル電子回路、集積回路、特別設計ASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組合せにおいて実現することができる。これらの様々な実装は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムにおける実装を含むことができ、そのようなプログラマブルシステムは、特殊または汎用とすることができ、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受け取り、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスへデータおよび命令を伝送するように連結することができる。
【0356】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても公知)は、プログラマブルプロセッサに対する機械命令を含み、高レベルの手続き型および/もしくはオブジェクト指向プログラミング言語、ならびに/またはアセンブリ/機械言語で実装することができる。本明細書では、機械可読媒体およびコンピュータ可読媒体という用語は、機械命令を機械可読シグナルとして受け取る機械可読媒体を含むプログラマブルプロセッサへ機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置、および/またはデバイス(たとえば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブル論理デバイス(PLD))を指す。機械可読シグナルという用語は、プログラマブルプロセッサへ機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意のシグナルを指す。
【0357】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載するシステムおよび技法は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス(たとえば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボードおよびポインティングデバイス(たとえば、マウスまたはトラックボール)とを有するコンピュータ上で実装することができる。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を同様に提供することもでき、たとえば、ユーザへ提供されるフィードバックは、任意の形の感覚フィードバック(たとえば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)とすることができ、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形のユーザからの入力を受け取ることができる。
【0358】
本明細書に記載するシステムおよび技法は、バックエンド構成要素(たとえば、データサーバ)、ミドルウェア構成要素(たとえば、アプリケーションサーバ)、フロントエンド構成要素(たとえば、ユーザが本明細書に記載するシステムおよび技法の実装と対話することができるグラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)、またはそのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンド構成要素の任意の組合せを含むコンピューティングシステムで実装することができる。システムの構成要素は、任意の形または媒体のデジタルデータ通信(たとえば、通信ネットワーク)によって相互接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、およびインターネットが含まれる。
【0359】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、互いから概して遠隔にあり、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行されて互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0360】
いくつかの実装では、本明細書に記載する様々なモジュールは、単一のまたは組み合わせたモジュールに、分離、組合せ、または統合することができる。これらの図に描写されるモジュールは、本明細書に記載するシステムを図示のソフトウェアアーキテクチャに限定することを意図したものではない。
【0361】
本明細書に記載する異なる実装の要素を組み合わせて、上記で具体的に記載していない他の実装を形成することもできる。それらの動作に悪影響を及ぼすことなく、本明細書に記載するプロセス、コンピュータプログラム、データベースなどから、要素を省略することができる。加えて、これらの図に描写される論理フローは、所望の結果を実現するために、図示の特定の順序または順番を必要とするものではない。本明細書に記載する機能を実行するために、様々な別個の要素を組み合わせて1つまたは複数の個別の要素にすることができる。
【0362】
本説明全体にわたって、装置およびシステムが特有の構成要素を有する、含む、もしくは備えると説明する場合、またはプロセスおよび方法が特有のステップを有する、含む、もしくは備えると説明する場合、加えて、記載の構成要素から本質的になる、または記載の構成要素からなる、本発明の装置およびシステムも存在すること、ならびに記載の処理ステップから本質的になる、または記載の処理ステップからなる、本発明によるプロセスおよび方法も存在することが企図される。
【0363】
本発明が動作可能なままである限り、ステップの順序または特定の動作を実行する順序は本質的でないことを理解されたい。さらに、2つまたはそれより多いステップまたは動作を同時に実施することができる。
【0364】
本発明について特有の好ましい実施形態を参照して特に図示および説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更を本発明に加えることができることを、当業者には理解されたい。
【0365】
本発明の様々な記載の実施形態は、技術的に不適合でない限り、1つまたは複数の他の実施形態とともに使用することができる。
【0366】
本発明について特有の好ましい実施形態を参照して特に図示および説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更を本発明に加えることができることを、当業者には理解されたい。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
3D画像を自動的に処理して、特定の標的組織領域に対応する前記3D画像内の3D体積を識別する方法であって、
(a)コンピューティングデバイスのプロセッサによって、解剖学的撮像法を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、前記3D解剖学的画像が、前記対象内の組織の図形表現を含む、受け取ることと、
(b)前記プロセッサによって、1つまたは複数の機械学習モジュールを使用して、複数の標的組織領域の各々に対して、前記3D解剖学的画像内の対応する標的関心体積(VOI)を自動的に識別することと、
(c)前記プロセッサによって、複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することであり、各3Dセグメント化マスクが、特定の識別された標的VOIを表す、判定することと、
(d)表示および/またはさらなる処理のために前記3Dセグメント化マップを記憶および/または提供することとを含む方法。
(項目2)
前記3D解剖学的画像がフルボディ画像である、項目1に記載の方法。
(項目3)
ステップ(c)が、前記複数の3Dセグメント化マスクをともにデジタルで綴じて前記3Dセグメント化マップを形成することを含む、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
ステップ(b)が、少なくとも1つの特有の標的組織領域に対して、
第1のモジュールを使用して、前記3D解剖学的画像内の初期VOIを判定することであって、前記初期VOIが、前記特有の標的組織領域を含む解剖学的領域に対応する、判定することと、
第2のモジュールを使用して、前記初期VOI内の前記特有の標的組織領域に対応する前記標的VOIを識別することとを含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記第2のモジュールが、CNNを実装するCNNモジュールである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記第1のモジュールが、CNNを実装して粗いセグメント化を実行し、前記特有の標的組織領域を含む前記解剖学的領域に対応する前記初期VOIを自動的に識別するCNNモジュールである、項目4または5に記載の方法。
(項目7)
前記第1のモジュールが、前記解剖学的画像のサブサンプリングバージョンを入力として受け取り、前記解剖学的画像の前記サブサンプリングバージョンを使用して前記初期VOIを識別する、項目4から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記第1のモジュールが第1のCNNモジュールであり、前記第2のモジュールが第2のCNNモジュールであり、前記第1のCNNモジュールが、前記第2のCNNモジュールに対する画像サイズの変動性の増大を補償するために、追加のフィルタを含む、項目4から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記3D解剖学的画像がフルボディ画像であり、ステップ(b)が、
機械学習技法(単数または複数)を実装する1つまたは複数の局所化モジュールを使用して、前記3D解剖学的画像内の複数の初期VOIを自動的に判定することであり、各初期VOIが、特定の解剖学的領域に対応し、前記特定の解剖学的領域内に前記標的VOIの関連付けられた部分集合が位置する、判定することと、
各初期VOIに対して、機械学習技法(単数または複数)を実装する1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して、標的VOIの前記関連付けられた部分集合を自動的に識別することとを含む、項目4から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記複数の初期VOIが、
前記対象の骨盤領域に対応する骨盤領域初期VOI、
前記対象の脊柱に対応する脊柱領域初期VOI、
前記対象の上半身の左側に対応する左上半身領域初期VOI、および
前記対象の上半身の右側に対応する右上半身領域初期VOIからなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
(e)前記プロセッサによって、機能的撮像法を使用して取得された前記対象の3D機能的画像を受け取ることと、
(f)前記プロセッサによって、前記3D機能的画像内で、前記3Dセグメント化マップを使用して、識別された標的VOIに各々対応する1つまたは複数の3D体積を識別することと
をさらに含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
(g)前記プロセッサによって、前記対象に対するがんの状態を判定すること
を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
異なる時点で収集された複数の解剖学的画像および対応する機能的画像に対してステップ(a)~(g)を繰返し実行して、各時点で前記対象のがんの状態を判定し、それによってがんの状態を経時的に追跡することを含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
(h)前記プロセッサによって、前記3D機能的画像のボクセルの強度を自動的に調整して、1つまたは複数の背景組織領域における背景の取込みを補正すること
を含む、項目11から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記標的組織領域が、前記1つまたは複数の背景組織領域を含み、ステップ(h)が、
前記3Dセグメント化マップを使用して、前記3D機能的画像内で、特定の背景組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D背景組織体積を識別することと、
前記3D背景組織体積内のボクセルの強度に基づいて、前記3D機能的画像のボクセルの強度を調整することとを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記1つまたは複数の背景組織領域が、嚢、腎臓、十二指腸、小腸、脾臓、肝臓、膵臓、胃、副腎、直腸、および精巣からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目14または15に記載の方法。
(項目17)
(i)前記プロセッサによって、前記3D機能的画像内のボクセルの強度に基づいて病変を表すと判定された前記3D機能的画像内の1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出すること
を含む、項目11から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
ステップ(i)が、1つまたは複数の閾値を使用することを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
ステップ(i)が、1つまたは複数のフィルタを前記3D機能的画像に適用することを含む、項目17または18に記載の方法。
(項目20)
ステップ(i)が、前記3D機能的画像内で識別された前記1つまたは複数の3D体積の異なる部分集合におけるホットスポットの識別のために、2つまたはそれより多い技法の組合せを使用することを含む、項目17から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
ステップ(i)が、最初の1組のホットスポットを検出し、前記最初の1組の前記ホットスポットの少なくとも一部分に対して、前記検出されたホットスポットの少なくとも一部分の各ホットスポットを、がん病変として、またはがん病変でないものとして分類することを含む、項目17から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記標的組織領域が、1つまたは複数の背景組織領域を含み、前記方法が、
前記3Dセグメント化マップを使用して、前記3D機能的画像内で、特定の背景組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D背景組織体積を識別することと、
ステップ(i)で前記1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出するために使用された前記ボクセルから、前記3D背景組織内の前記3Dのボクセルを除外することとを含む、項目17から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記1つまたは複数の検出されたホットスポットを使用して、前記対象に対するがんの状態を判定することを含む、項目17から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記標的組織領域が、1つまたは複数の基準組織領域を含み、前記方法が、
前記3Dセグメント化マップを使用して、前記プロセッサによって、前記3D機能的画像内で、特定の基準組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D基準体積を識別することと、
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数の3D基準体積の特定の3D基準体積に各々関連付けられ、前記特定の3D基準体積内の強度の測度に対応する1つまたは複数の基準強度値を判定することと、
前記プロセッサによって、前記検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに各々関連付けられ、前記特定のホットスポットの強度の測度に対応する1つまたは複数の個別のホットスポット強度値を判定することと、
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数の個別のホットスポット強度値および前記1つまたは複数の基準強度値を使用して、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することとを含む、項目17から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することが、前記1つまたは複数の基準強度値の各々をスケール上の対応する基準インデックス値にマッピングし、個別の各ホットスポット強度値に対して、前記基準強度値および対応する基準インデックス値を使用して、対応する個別のホットスポットインデックス値を補間することを含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記基準組織領域が、肝臓、大動脈、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目24または25に記載の方法。
(項目27)
第1の基準強度値が、(i)大動脈部分に対応する3D基準体積に関連付けられた血液基準強度値であり、(ii)第1の基準インデックス値にマッピングし、
第2の基準強度値が、(i)肝臓に対応する3D基準体積に関連付けられた肝臓基準強度値であり、(ii)第2の基準インデックス値にマッピングし、
前記第2の基準強度値が前記第1の基準強度値より大きく、前記第2の基準インデックス値が前記第1の基準インデックス値より大きい、項目24から26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記基準強度値が、最大基準インデックス値にマッピングする最大基準強度値を含み、前記最大基準強度値より大きい関連付けられたホットスポット強度値を有するホットスポットに、前記最大基準インデックス値に等しいホットスポットインデックス値が割り当てられる、項目24から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分を使用して、前記対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定することを含む、項目24から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記総合インデックス値が、前記個別のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分の加重和として判定される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記総合インデックス値が、前記解剖学的画像内で識別された特定の標的VOIに対応する特定の標的組織領域に関連付けられ、
前記総合インデックス値が、前記特定の識別された標的VOIに対応する前記3D機能的画像内の特定の3D体積内に位置するホットスポットの部分集合のホットスポットインデックス値を使用して判定される、項目29または30に記載の方法。
(項目32)
前記特定の標的組織領域は、前記対象の1つまたは複数の骨を含む骨格領域、リンパ領域、および前立腺領域からなる群から選択される、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記3D解剖学的画像が、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、
前記3D機能的画像が、3D単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)画像である、項目11から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記3D解剖学的画像が、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、
前記3D機能的画像が、3Dポジトロン放出断層撮影(PET)画像である、項目11から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記対象の前記3DPET画像が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合剤を含む放射性医薬品の前記対象への投与後に取得される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記放射性医薬品が、[18F]DCFPyLを含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
ステップ(b)が、前記プロセッサによって、前記3D解剖学的画像をクロッピングして、空気を表すボクセルを除去することを含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記標的組織領域が、左寛骨、右寛骨、仙骨および尾骨領域、左鎖骨、右鎖骨、左肋骨、右肋骨、左肩甲骨、右肩甲骨、胸骨、腰椎、胸椎、頭蓋骨、頸椎、左大腿部、右大腿部、左上腕骨、右上腕骨、前立腺、膀胱、直腸、左大臀筋、右大臀筋、大動脈(たとえば胸大動脈部分、たとえば腹大動脈部分)、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、脾臓、心室、左副腎、右副腎、胆嚢、脳、膵臓、心臓、下顎骨、左気管支、右気管支、気管、左総腸骨動脈、右総腸骨動脈、ならびに耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記標的組織領域のうちの1つまたは複数が、左鎖骨、右鎖骨、左大腿部、右大腿部、左腓骨、右腓骨、左寛骨、右寛骨、左上腕骨、右上腕骨、下顎骨、左膝蓋骨、右膝蓋骨、左橈骨、右橈骨、左脛骨、右脛骨、左尺骨、右尺骨、左肋骨、右肋骨、仙骨および尾骨、左肩甲骨、右肩甲骨、頭蓋骨、胸骨、椎骨領域、ならびに個別の椎骨からなる群から選択された1つまたは複数の特有の骨を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記標的組織領域のうちの1つまたは複数が、左鎖骨、右鎖骨、左寛骨、右寛骨、左肋骨、右肋骨、仙骨および尾骨、左肩甲骨、右肩甲骨、胸骨、椎骨領域、ならびに個別の椎骨からなる群から選択された1つまたは複数の特有の骨を含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記標的組織領域のうちの1つまたは複数が、左副腎、右副腎、大動脈、脳、左気管支、右気管支、胆嚢、左大臀筋、右大臀筋、心臓、左総腸骨動脈、右総腸骨動脈、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、膵臓、前立腺、直腸、脾臓、気管、膀胱、心室、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数の軟組織領域を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記1つまたは複数の標的組織領域が、胆嚢、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、前立腺、および膀胱からなる群から選択された1つまたは複数の軟組織領域を含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記標的組織領域が、特有の骨に各々対応する1つまたは複数の骨領域、および特有の軟組織領域に各々対応する1つまたは複数の軟組織領域を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
3D画像を自動的に処理して、対象内のがん病変を自動的に識別する方法であって、
(a)コンピューティングデバイスのプロセッサによって、解剖学的撮像法を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、前記3D解剖学的画像が、前記対象内の組織の図形表現を含む、受け取ることと、
(b)前記プロセッサによって、1つまたは複数の機械学習モジュールを使用して、複数の標的組織領域の各々に対して、前記3D解剖学的画像内の対応する標的関心体積(VOI)を自動的に識別することと、
(c)前記プロセッサによって、複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することであり、各3Dセグメント化マスクが、特定の識別された標的VOIを表す、判定することと、
(d)前記プロセッサによって、機能的撮像法を使用して取得された前記対象の3D機能的画像を受け取ることと、
(e)前記3D機能的画像内で、前記3Dセグメント化マップを使用して、識別された標的VOIに各々対応する1つまたは複数の3D体積を識別することと、
(f)前記プロセッサによって、前記3D機能的画像内で識別された前記1つまたは複数の3D体積の少なくとも一部分内で、前記3D機能的画像内のボクセルの強度に基づいて、病変を表すと判定された1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することとを含む方法。
(項目45)
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数の検出されたホットスポットを使用して、前記対象に対するがんの状態を判定することを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記標的組織領域が、1つまたは複数の基準組織領域を含み、前記方法が、
前記3Dセグメント化マップを使用して、前記プロセッサによって、前記3D機能的画像内で、特定の基準組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D基準体積を識別することと、
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数の3D基準体積の特定の3D基準体積に各々関連付けられ、前記特定の3D基準体積内の強度の測度に対応する1つまたは複数の基準強度値を判定することと、
前記プロセッサによって、前記検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに各々関連付けられ、前記特定のホットスポットの強度の測度に対応する1つまたは複数の個別のホットスポット強度値を判定することと、
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数の個別のホットスポット強度値および前記1つまたは複数の基準強度値を使用して、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することとを含む、項目44または45に記載の方法。
(項目47)
前記基準組織領域が、肝臓、大動脈、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分を使用して、前記対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定することを含む、項目45から47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記総合インデックス値が、前記個別のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分の加重和として判定される、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記3D解剖学的画像が、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、
前記3D機能的画像が、3Dポジトロン放出断層撮影(PET)画像である、項目44から49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記対象の前記3DPET画像が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合剤を含む放射性医薬品の前記対象への投与後に取得される、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記放射性医薬品が、[18F]DCFPyLを含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
3D画像を自動的に処理して、がんを患っている、またはそのリスクがある、対象内のがん病変における放射性医薬品の取込みを識別および測定する方法であって、
(a)コンピューティングデバイスのプロセッサによって、解剖学的撮像法を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、前記3D解剖学的画像が、前記対象内の組織の図形表現を含む、受け取ることと、
(b)前記プロセッサによって、1つまたは複数の機械学習モジュールを使用して、前記3D解剖学的画像内で、
前記対象の1つまたは複数の骨の図形表現を含む第1の骨格体積、
前記対象の大動脈の少なくとも一部分の図形表現を含む第1の大動脈体積、および
前記対象の肝臓の図形表現を含む第1の肝臓体積を自動的に識別することと、
(c)前記プロセッサによって、前記識別された第1の骨格体積を表す骨格マスク、前記識別された第1の大動脈体積を表す大動脈マスク、および前記識別された第1の肝臓体積を表す肝臓マスクを含む複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することと、
(d)前記プロセッサによって、機能的撮像法を使用して取得された前記対象の3D機能的画像を受け取ることと、
(e)前記3D機能的画像内で、前記3Dセグメント化マップを使用して、
前記3D解剖学的画像内の前記第1の識別された骨格体積に対応する第2の骨格体積、
前記3D解剖学的画像内で識別された前記第1の大動脈体積に対応する第2の大動脈体積、および
前記3D解剖学的画像内で識別された前記第1の肝臓体積に対応する第2の肝臓体積を自動的に識別することと、
(f)前記プロセッサによって、前記第2の骨格体積内で、前記第2の骨格体積内のボクセルの強度に基づいて、病変を表すと判定された1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することと、
(g)前記第2の大動脈体積内のボクセルの強度の測度に基づいて大動脈基準強度レベルを判定し、
前記第2の肝臓体積内のボクセルの強度の測度に基づいて肝臓基準強度レベルを判定し、
検出された個別の各ホットスポットに対して、
前記検出されたホットスポットのボクセルの強度の測度に基づいて、対応する個別のホットスポット強度レベルを判定し、
前記個別のホットスポット強度レベル、前記大動脈基準強度レベル、および前記肝臓基準強度レベルから対応する個別のホットスポットインデックスレベルを判定することによって、
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数の検出されたホットスポットの各々に対して、個別のホットスポットインデックス値を判定することとを含む方法。
(項目54)
前記プロセッサによって、前記1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の前記個別のホットスポットインデックス値に基づいて、前記対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定することを含む、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記対象が、前立腺がんを患っており、またはそのリスクがある、項目53または54に記載の方法。
(項目56)
ステップ(b)が、前記3D解剖学的画像内で、前記対象の前立腺の図形表現を含む第1の前立腺体積を自動的に識別することを含み、
ステップ(c)で判定された前記3Dセグメント化マップが、前記識別された第1の前立腺体積を表す前立腺マスクをさらに含み、
ステップ(e)が、前記3D機能的画像内で、前記3D解剖学的画像内の前記第1の識別された前立腺体積に対応する第2の前立腺体積を自動的に識別することを含み、
ステップ(f)が、前記第2の前立腺体積内で1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することを含み、前記方法が、
前記プロセッサによって、(i)前記第2の骨格体積内に位置する前記1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の前記個別のホットスポットインデックス値に基づいて、前記対象の前記1つまたは複数の骨における病変の内容を示す総合骨インデックス値を判定し、(ii)前記第2の前立腺体積内に位置する前記1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の前記個別のホットスポットインデックス値に基づいて、前記対象の前記前立腺における病変の内容を示す総合前立腺インデックス値を判定することをさらに含む、項目53から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記対象が、転移性がんを患っており、またはそのリスクがある、項目53から56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
可変サイズの1組のフルボディ3D解剖学的画像を自動的に処理して、各3D解剖学的画像内で、特定の標的組織領域に対応する複数の3D体積を自動的に識別する方法であって、
(a)コンピューティングデバイスのプロセッサによって、解剖学的撮像法を使用して取得された1つまたは複数の対象の前記1組の3D解剖学的画像を受け取ることであり、前記3D解剖学的画像が、前記1つまたは複数の対象の各々における組織の図形表現を含み、前記1組の3D解剖学的画像が、平均x次元、平均y次元、および平均z次元を有し、前記平均x次元、前記平均y次元、および前記平均z次元の少なくとも1つが、対応する平均値の少なくとも3%の標準偏差を有する、受け取ることと、
(b)前記プロセッサによって、CNNを実装する局所化モジュールを使用して、前記1組の3D解剖学的画像の各画像内で、1つまたは複数の特定の関連付けられた標的組織領域を含む特定の解剖学的領域に対応する少なくとも1つの初期VOIを自動的に判定し、それによって前記対応する3D解剖学的画像に対する少なくとも1つの初期VOIを識別することと、
(c)各初期VOIに対して、前記プロセッサによって、CNNを各々実装する1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して、前記初期VOIが対応する前記特定の解剖学的領域に関連付けられた前記1つまたは複数の特定の標的組織領域の各々に対して、対応する標的VOIを自動的に識別することとを含む方法。
(項目59)
3D画像を自動的に処理して、特定の標的組織領域に対応する前記3D画像内の3D体積を識別するシステムであって、
コンピューティングデバイスのプロセッサと、
命令が記憶されたメモリとを含み、前記命令が前記プロセッサによって実行されたとき、前記命令により前記プロセッサは、
(a)解剖学的撮像法を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、前記3D解剖学的画像が、前記対象内の組織の図形表現を含む、受け取ることと、
(b)1つまたは複数の機械学習モジュールを使用して、複数の標的組織領域の各々に対して、前記3D解剖学的画像内の対応する標的関心体積(VOI)を自動的に識別することと、
(c)複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することであり、各3Dセグメント化マスクが、特定の識別された標的VOIを表す、判定することと、
(d)表示および/またはさらなる処理のために前記3Dセグメント化マップを記憶および/または提供することとを行う、システム。
(項目60)
前記3D解剖学的画像がフルボディ画像である、項目59に記載のシステム。
(項目61)
ステップ(c)で、前記命令により前記プロセッサが、前記複数の3Dセグメント化マスクをともにデジタルで綴じて前記3Dセグメント化マップを形成する、項目59または60に記載のシステム。
(項目62)
ステップ(b)で、前記命令により前記プロセッサが、少なくとも1つの特有の標的組織領域に対して、
第1のモジュールを使用して、前記3D解剖学的画像内の初期VOIを判定することであって、前記初期VOIが、前記特有の標的組織領域を含む解剖学的領域に対応する、判定することと、
第2のモジュールを使用して、前記初期VOI内の前記特有の標的組織領域に対応する前記標的VOIを識別することとを行う、項目59から61のいずれか一項に記載のシステム。
(項目63)
前記第2のモジュールが、CNNを実装するCNNモジュールである、項目62に記載のシステム。
(項目64)
前記第1のモジュールが、CNNを実装して粗いセグメント化を実行し、前記特有の標的組織領域を含む前記解剖学的領域に対応する前記初期VOIを自動的に識別するCNNモジュールである、項目62または63に記載のシステム。
(項目65)
前記第1のモジュールが、前記解剖学的画像のサブサンプリングバージョンを入力として受け取り、前記解剖学的画像の前記サブサンプリングバージョンを使用して前記初期VOIを識別する、項目62から64のいずれか一項に記載のシステム。
(項目66)
前記第1のモジュールが第1のCNNモジュールであり、前記第2のモジュールが第2のCNNモジュールであり、前記第1のCNNモジュールが、前記第2のCNNモジュールに対する画像サイズの変動性の増大を補償するために、追加のフィルタを含む、項目62から65のいずれか一項に記載のシステム。
(項目67)
前記3D解剖学的画像がフルボディ画像であり、ステップ(b)で、前記命令により前記プロセッサが、
機械学習技法(単数または複数)を実装する1つまたは複数の局所化モジュールを使用して、前記3D解剖学的画像内の複数の初期VOIを自動的に判定することであり、各初期VOIが、特定の解剖学的領域に対応し、前記特定の解剖学的領域内に前記標的VOIの関連付けられた部分集合が位置する、判定することと、
各初期VOIに対して、機械学習技法(単数または複数)を実装する1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して、標的VOIの前記関連付けられた部分集合を自動的に識別することとを行う、項目62から66のいずれか一項に記載のシステム。
(項目68)
前記複数の初期VOIが、
前記対象の骨盤領域に対応する骨盤領域初期VOI、
前記対象の脊柱に対応する脊柱領域初期VOI、
前記対象の上半身の左側に対応する左上半身領域初期VOI、および
前記対象の上半身の右側に対応する右上半身領域初期VOIからなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目67に記載のシステム。
(項目69)
前記命令により前記プロセッサが、
(e)機能的撮像法を使用して取得された前記対象の3D機能的画像を受け取ることと、
(f)前記3D機能的画像内で、前記3Dセグメント化マップを使用して、識別された標的VOIに各々対応する1つまたは複数の3D体積を識別することとを行う、項目59から68のいずれか一項に記載のシステム。
(項目70)
前記命令により前記プロセッサが、
(g)前記対象に対するがんの状態を判定する、項目69に記載のシステム。
(項目71)
前記命令により前記プロセッサが、異なる時点で収集された複数の解剖学的画像および対応する機能的画像に対してステップ(a)~(g)を繰返し実行して、前記対象のがんの状態を各時点で判定し、それによってがんの状態を経時的に追跡する、項目70に記載のシステム。
(項目72)
前記命令により前記プロセッサが、
(h)前記3D機能的画像のボクセルの強度を自動的に調整して、1つまたは複数の背景組織領域における背景の取込みを補正する、項目69から71のいずれか一項に記載のシステム。
(項目73)
前記標的組織領域が、前記1つまたは複数の背景組織領域を含み、ステップ(h)で、前記命令により前記プロセッサが、
前記3Dセグメント化マップを使用して、前記3D機能的画像内で、特定の背景組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D背景組織体積を識別することと、
前記3D背景組織体積内のボクセルの強度に基づいて、前記3D機能的画像のボクセルの強度を調整することとを行う、項目72に記載のシステム。
(項目74)
前記1つまたは複数の背景組織領域が、嚢、腎臓、十二指腸、小腸、脾臓、肝臓、膵臓、胃、副腎、直腸、および精巣からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目72または73に記載のシステム。
(項目75)
前記命令により前記プロセッサが、
(i)前記3D機能的画像内のボクセルの強度に基づいて、病変を表すと判定された前記3D機能的画像内の1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出する、項目69から74のいずれか一項に記載のシステム。
(項目76)
ステップ(i)で、前記命令により前記プロセッサが、1つまたは複数の閾値を使用する、項目75に記載のシステム。
(項目77)
ステップ(i)で、前記命令により前記プロセッサが、1つまたは複数のフィルタを前記3D機能的画像に適用する、項目75または76に記載のシステム。
(項目78)
ステップ(i)で、前記命令により前記プロセッサが、前記3D機能的画像内で識別された前記1つまたは複数の3D体積の異なる部分集合におけるホットスポットの識別のために、2つまたはそれより多い技法の組合せを使用する、項目75から77のいずれか一項に記載のシステム。
(項目79)
ステップ(i)で、前記命令により前記プロセッサが、最初の1組のホットスポットを検出し、前記最初の1組の前記ホットスポットの少なくとも一部分に対して、前記検出されたホットスポットの少なくとも一部分の各ホットスポットを、がん病変として、またはがん病変でないものとして分類する、項目75から78のいずれか一項に記載のシステム。
(項目80)
前記標的組織領域が、1つまたは複数の背景組織領域を含み、前記命令により前記プロセッサが、
前記3Dセグメント化マップを使用して、前記3D機能的画像内で、特定の背景組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D背景組織体積を識別することと、
ステップ(i)で前記1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出するために使用された前記ボクセルから、前記3D背景組織内の前記3Dのボクセルを除外することとを行う、項目75から79のいずれか一項に記載のシステム。
(項目81)
前記命令により前記プロセッサが、前記1つまたは複数の検出されたホットスポットを使用して、前記対象に対するがんの状態を判定する、項目75から80のいずれか一項に記載のシステム。
(項目82)
前記標的組織領域が、1つまたは複数の基準組織領域を含み、前記命令により前記プロセッサが、
前記3Dセグメント化マップを使用して、前記3D機能的画像内で、特定の基準組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D基準体積を識別することと、
前記1つまたは複数の3D基準体積の特定の3D基準体積に各々関連付けられ、前記特定の3D基準体積内の強度の測度に対応する1つまたは複数の基準強度値を判定することと、
前記検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに各々関連付けられ、前記特定のホットスポットの強度の測度に対応する1つまたは複数の個別のホットスポット強度値を判定することと、
前記1つまたは複数の個別のホットスポット強度値および前記1つまたは複数の基準強度値を使用して、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することとを行う、項目75から81のいずれか一項に記載のシステム。
(項目83)
前記命令により前記プロセッサが、前記1つまたは複数の基準強度値の各々をスケール上の対応する基準インデックス値にマッピングし、個別の各ホットスポット強度値に対して、前記基準強度値および対応する基準インデックス値を使用して、対応する個別のホットスポットインデックス値を補間することによって、前記1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定する、項目82に記載のシステム。
(項目84)
前記基準組織領域が、肝臓、大動脈、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目82または83に記載のシステム。
(項目85)
第1の基準強度値が、(i)大動脈部分に対応する3D基準体積に関連付けられた血液基準強度値であり、(ii)第1の基準インデックス値にマッピングし、
第2の基準強度値が、(i)肝臓に対応する3D基準体積に関連付けられた肝臓基準強度値であり、(ii)第2の基準インデックス値にマッピングし、
前記第2の基準強度値が前記第1の基準強度値より大きく、前記第2の基準インデックス値が前記第1の基準インデックス値より大きい、項目82から84のいずれか一項に記載のシステム。
(項目86)
前記基準強度値が、最大基準インデックス値にマッピングする最大基準強度値を含み、前記最大基準強度値より大きい関連付けられたホットスポット強度値を有するホットスポットに、前記最大基準インデックス値に等しいホットスポットインデックス値が割り当てられる、項目82から85のいずれか一項に記載のシステム。
(項目87)
前記命令により前記プロセッサが、前記1つまたは複数のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分を使用して、前記対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定する、項目82から86のいずれか一項に記載のシステム。
(項目88)
前記総合インデックス値が、前記個別のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分の加重和として判定される、項目87に記載のシステム。
(項目89)
前記総合インデックス値が、前記解剖学的画像内で識別された特定の標的VOIに対応する特定の標的組織領域に関連付けられ、
前記総合インデックス値が、前記特定の識別された標的VOIに対応する前記3D機能的画像内の特定の3D体積内に位置するホットスポットの部分集合のホットスポットインデックス値を使用して判定される、項目87または88に記載のシステム。
(項目90)
前記特定の標的組織領域が、前記対象の1つまたは複数の骨を含む骨格領域、リンパ領域、および前立腺領域からなる群から選択される、項目89に記載のシステム。
(項目91)
前記3D解剖学的画像が、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、
前記3D機能的画像が、3D単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)画像である、項目69から90のいずれか一項に記載のシステム。
(項目92)
前記3D解剖学的画像が、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、
前記3D機能的画像が、3Dポジトロン放出断層撮影(PET)画像である、項目69から90のいずれか一項に記載のシステム。
(項目93)
前記対象の前記3DPET画像が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合剤を含む放射性医薬品の前記対象への投与後に取得される、項目92に記載のシステム。
(項目94)
前記放射性医薬品が、[18F]DCFPyLを含む、項目93に記載のシステム。
(項目95)
ステップ(b)で、前記命令により前記プロセッサが、前記3D解剖学的画像をクロッピングして、空気を表すボクセルを除去する、項目59から94のいずれか一項に記載のシステム。
(項目96)
前記標的組織領域が、左寛骨、右寛骨、仙骨および尾骨領域、左鎖骨、右鎖骨、左肋骨、右肋骨、左肩甲骨、右肩甲骨、胸骨、腰椎、胸椎、頭蓋骨、頸椎、左大腿部、右大腿部、左上腕骨、右上腕骨、前立腺、膀胱、直腸、左大臀筋、右大臀筋、大動脈、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、脾臓、心室、左副腎、右副腎、胆嚢、脳、膵臓、心臓、下顎骨、左気管支、右気管支、気管、左総腸骨動脈、右総腸骨動脈、ならびに耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目59から95のいずれか一項に記載のシステム。
(項目97)
前記標的組織領域のうちの1つまたは複数が、左鎖骨、右鎖骨、左大腿部、右大腿部、左腓骨、右腓骨、左寛骨、右寛骨、左上腕骨、右上腕骨、下顎骨、左膝蓋骨、右膝蓋骨、左橈骨、右橈骨、左脛骨、右脛骨、左尺骨、右尺骨、左肋骨、右肋骨、仙骨および尾骨、左肩甲骨、右肩甲骨、頭蓋骨、胸骨、椎骨領域、ならびに個別の椎骨からなる群から選択された1つまたは複数の特有の骨を含む、項目59から96のいずれか一項に記載のシステム。
(項目98)
前記標的組織領域のうちの1つまたは複数が、左鎖骨、右鎖骨、左寛骨、右寛骨、左肋骨、右肋骨、仙骨および尾骨、左肩甲骨、右肩甲骨、胸骨、椎骨領域、ならびに個別の椎骨からなる群から選択された1つまたは複数の特有の骨を含む、項目97に記載のシステム。
(項目99)
前記標的組織領域のうちの1つまたは複数が、左副腎、右副腎、大動脈、脳、左気管支、右気管支、胆嚢、左大臀筋、右大臀筋、心臓、左総腸骨動脈、右総腸骨動脈、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、膵臓、前立腺、直腸、脾臓、気管、膀胱、心室、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数の軟組織領域を含む、項目59から98のいずれか一項に記載のシステム。
(項目100)
前記1つまたは複数の標的組織領域が、胆嚢、左腎臓、右腎臓、肝臓、左肺、右肺、前立腺、および膀胱からなる群から選択された1つまたは複数の軟組織領域を含む、項目99に記載のシステム。
(項目101)
前記標的組織領域が、特有の骨に各々対応する1つまたは複数の骨領域を含む、項目59から100のいずれか一項に記載のシステム。
(項目102)
3D画像を自動的に処理して、対象内のがん病変を自動的に識別するシステムであって、
コンピューティングデバイスのプロセッサと、
命令が記憶されたメモリとを含み、前記命令が前記プロセッサによって実行されたとき、前記命令により前記プロセッサが、
(a)解剖学的撮像法を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、前記3D解剖学的画像が、前記対象内の組織の図形表現を含む、受け取ることと、
(b)1つまたは複数の機械学習モジュールを使用して、複数の標的組織領域の各々に対して、前記3D解剖学的画像内の対応する標的関心体積(VOI)を自動的に識別することと、
(c)複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することであり、各3Dセグメント化マスクが、特定の識別された標的VOIを表す、判定することと、
(d)機能的撮像法を使用して取得された前記対象の3D機能的画像を受け取ることと、
(e)前記3D機能的画像内で、前記3Dセグメント化マップを使用して、識別された標的VOIに各々対応する1つまたは複数の3D体積を識別することと、
(f)前記3D機能的画像内で識別された前記1つまたは複数の3D体積の少なくとも一部分内で、前記3D機能的画像内のボクセルの強度に基づいて、病変を表すと判定された1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することとを行う、システム。
(項目103)
前記命令により前記プロセッサが、前記1つまたは複数の検出されたホットスポットを使用して、前記対象に対するがんの状態を判定する、項目102に記載のシステム。
(項目104)
前記標的組織領域が、1つまたは複数の基準組織領域を含み、前記命令により前記プロセッサが、
前記3Dセグメント化マップを使用して、前記3D機能的画像内で、特定の基準組織領域に各々対応する1つまたは複数の3D基準体積を識別することと、
前記1つまたは複数の3D基準体積の特定の3D基準体積に各々関連付けられ、前記特定の3D基準体積内の強度の測度に対応する1つまたは複数の基準強度値を判定することと、
前記検出された1つまたは複数のホットスポットの少なくとも一部分の特定のホットスポットに各々関連付けられ、前記特定のホットスポットの強度の測度に対応する1つまたは複数の個別のホットスポット強度値を判定することと、
前記1つまたは複数の個別のホットスポット強度値および前記1つまたは複数の基準強度値を使用して、1つまたは複数の個別のホットスポットインデックス値を判定することとを行う、項目102または103に記載のシステム。
(項目105)
前記基準組織領域が、肝臓、大動脈、および耳下腺からなる群から選択された1つまたは複数のメンバーを含む、項目104に記載のシステム。
(項目106)
前記命令により前記プロセッサが、前記1つまたは複数のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分を使用して、前記対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定する、項目103から105のいずれか一項に記載のシステム。
(項目107)
前記総合インデックス値が、前記個別のホットスポットインデックス値の少なくとも一部分の加重和として判定される、項目106に記載のシステム。
(項目108)
前記3D解剖学的画像が、X線コンピュータ断層撮影(CT)画像であり、
前記3D機能的画像が、3Dポジトロン放出断層撮影(PET)画像である、項目102から107のいずれか一項に記載のシステム。
(項目109)
前記対象の前記3DPET画像が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)結合剤を含む放射性医薬品の前記対象への投与後に取得される、項目108に記載のシステム。
(項目110)
前記放射性医薬品が、[18F]DCFPyLを含む、項目109に記載のシステム。
(項目111)
3D画像を自動的に処理して、がんを患っている、またはそのリスクがある、対象内のがん病変における放射性医薬品の取込みを識別および測定するシステムであって、
コンピューティングデバイスのプロセッサと、
命令が記憶されたメモリとを含み、前記命令が前記プロセッサによって実行されたとき、前記命令により前記プロセッサが、
(a)解剖学的撮像法を使用して取得された対象の3D解剖学的画像を受け取ることであり、前記3D解剖学的画像が、前記対象内の組織の図形表現を含む、受け取ることと、
(b)1つまたは複数の機械学習モジュールを使用して、前記3D解剖学的画像内で、
前記対象の1つまたは複数の骨の図形表現を含む第1の骨格体積、
前記対象の大動脈の少なくとも一部分の図形表現を含む第1の大動脈体積、および
前記対象の肝臓の図形表現を含む第1の肝臓体積を自動的に識別することと、
(c)前記識別された第1の骨格体積を表す骨格マスク、前記識別された第1の大動脈体積を表す大動脈マスク、および前記識別された第1の肝臓体積を表す肝臓マスクを含む複数の3Dセグメント化マスクを表す3Dセグメント化マップを判定することと、
(d)機能的撮像法を使用して取得された前記対象の3D機能的画像を受け取ることと、
(e)前記3D機能的画像内で、前記3Dセグメント化マップを使用して、
前記3D解剖学的画像内の前記第1の識別された骨格体積に対応する第2の骨格体積、
前記3D解剖学的画像内で識別された前記第1の大動脈体積に対応する第2の大動脈体積、および
前記3D解剖学的画像内で識別された前記第1の肝臓体積に対応する第2の肝臓体積を自動的に識別することと、
(f)前記第2の骨格体積内で、前記第2の骨格体積内のボクセルの強度に基づいて、病変を表すと判定された1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出することと、
(g)前記第2の大動脈体積内のボクセルの強度の測度に基づいて大動脈基準強度レベルを判定し、
前記第2の肝臓体積内のボクセルの強度の測度に基づいて肝臓基準強度レベルを判定し、
検出された個別の各ホットスポットに対して、
前記検出されたホットスポットのボクセルの強度の測度に基づいて、対応する個別のホットスポット強度レベルを判定し、
前記個別のホットスポット強度レベル、前記大動脈基準強度レベル、および前記肝臓基準強度レベルから対応する個別のホットスポットインデックスレベルを判定することによって、前記1つまたは複数の検出されたホットスポットの各々に対して、個別のホットスポットインデックス値を判定することとを行う、システム。
(項目112)
前記命令により前記プロセッサが、前記1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の前記個別のホットスポットインデックス値に基づいて、前記対象のがんの状態を示す総合インデックス値を判定する、項目111に記載のシステム。
(項目113)
前記対象が、前立腺がんを患っており、またはそのリスクがある、項目111または112に記載のシステム。
(項目114)
前記命令により前記プロセッサが、
ステップ(b)で、前記3D解剖学的画像内で、前記対象の前立腺の図形表現を含む第1の前立腺体積を自動的に識別し、
ステップ(c)で、前記判定された3Dセグメント化マップ内の前記識別された第1の前立腺体積を表す前立腺マスクを含み、
ステップ(e)で、前記3D機能的画像内で、前記3D解剖学的画像内の前記第1の識別された前立腺体積に対応する第2の前立腺体積を自動的に識別し、
ステップ(f)で、前記第2の前立腺体積内で1つまたは複数のホットスポットを自動的に検出し、
(i)前記第2の骨格体積内に位置する前記1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の前記個別のホットスポットインデックス値に基づいて、前記対象の前記1つまたは複数の骨における病変の内容を示す総合骨インデックス値を判定し、(ii)前記第2の前立腺体積内に位置する前記1つまたは複数の検出されたホットスポットの少なくとも一部分の前記個別のホットスポットインデックス値に基づいて、前記対象の前記前立腺における病変の内容を示す総合前立腺インデックス値を判定する、項目111から113のいずれか一項に記載のシステム。
(項目115)
前記対象が、転移性がんを患っており、またはそのリスクがある、項目111から114のいずれか一項に記載のシステム。
(項目116)
可変サイズの1組のフルボディ3D解剖学的画像を自動的に処理して、各3D解剖学的画像内で、特定の標的組織領域に対応する複数の3D体積を自動的に識別するシステムであって、
コンピューティングデバイスのプロセッサと、
命令が記憶されたメモリとを含み、前記命令が前記プロセッサによって実されたとき、前記命令により前記プロセッサが、
(a)解剖学的撮像法を使用して取得された1つまたは複数の対象の前記1組の3D解剖学的画像を受け取ることであり、前記3D解剖学的画像が、前記1つまたは複数の対象の各々における組織の図形表現を含み、前記1組の3D解剖学的画像が、平均x次元、平均y次元、および平均z次元を有し、前記平均x次元、前記平均y次元、および前記平均z次元の少なくとも1つが、対応する平均値の少なくとも3%の標準偏差を有する、受け取ることと、
(b)CNNを実装する局所化モジュールを使用して、前記1組の3D解剖学的画像の各画像内で、1つまたは複数の特定の関連付けられた標的組織領域を含む特定の解剖学的領域に対応する少なくとも1つの初期VOIを自動的に判定し、それによって前記対応する3D解剖学的画像に対する少なくとも1つの初期VOIを識別することと、
(c)各初期VOIに対して、CNNを各々実装する1つまたは複数のセグメント化モジュールを使用して、前記初期VOIが対応する前記特定の解剖学的領域に関連付けられた前記1つまたは複数の特定の標的組織領域の各々に対して、対応する標的VOIを自動的に識別することとを行う、システム。