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特開2024-79818コレステリルエステル蓄積症の処置のための方法及び組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079818
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】コレステリルエステル蓄積症の処置のための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20240604BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240604BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K48/00
A61K31/7088 ZNA
A61P3/00
A61P3/06
A61K31/7125
A61K31/712
C12N15/113 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024056097
(22)【出願日】2024-03-29
(62)【分割の表示】P 2021510287の分割
【原出願日】2019-05-03
(31)【優先権主張番号】62/667,205
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518195690
【氏名又は名称】ストーク セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】アズナレズ,イザベル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】欠損LALタンパク質発現を有する対象又はコレステリルエステル蓄積症を有する対象のような処置を必要とする対象を処置するための方法及び組成物を提供する。
【解決手段】コレステリルエステル蓄積症(CESD)の処置を必要とする対象において、対象の細胞による標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節することによってそれを処置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステリルエステル蓄積症(CESD)の処置を必要とする対象において、対象の細胞による標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節することによってそれを処置する方法であって、前記細胞はスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有し、前記SECプレmRNAは、前記スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及び前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、前記SECプレmRNAは前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードし、前記方法は、前記対象の細胞を、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記SECプレmRNAの標的化部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させ、それにより、前記スキップ可能なエクソンが、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記SECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記対象の細胞において、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAのレベルを調節し、そして前記標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節する、ことを含む、前記方法。
【請求項2】
スキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有する細胞による、リソソーム酸リパーゼ(LAL)である標的タンパク質の発現を調節する方法であって、前記SECプレmRNAは、前記スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及び前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、前記SECプレmRNAはLALタンパク質をコードし、前記方法は、前記細胞を、LALタンパク質をコードする前記SECプレmRNAの標的化部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させ、それにより、前記スキップ可能なエクソンが、LALタンパク質をコードする前記SECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記細胞において、LALタンパク質をコードするmRNAのレベルを調節し、そしてLALタンパク質の発現を調節する、ことを含む、前記方法。
【請求項3】
前記標的タンパク質又は前記標的タンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを調節することが、前記標的タンパク質又は前記標的タンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを調節することが、LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを増加させる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記標的タンパク質がLALである、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞が、LALタンパク質の量又は活性の欠損により引き起こされる病態を有する対象内にあるか又は対象由来のものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記5’スプライス部位に隣接するイントロンの+1~+6及び前記スキップ可能なエクソンの-3e~-1eにある9個のヌクレオチドのうちの少なくとも1個のヌクレオチドが、少なくとも1個の変異を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記変異が置換である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記変異が-1eにある、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記変異がc.894G>Aである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記標的タンパク質の量の欠損が、常染色体劣性遺伝により引き起こされる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、機能性標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子及び(a)機能性標的タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、前記アンチセンスオリゴマーが、前記第1若しくは第2の対立遺伝子から転写されたSECプレmRNAの標的化部分に結合するか、又は前記第1の対立遺伝子及び(b)第2の対立遺伝子を有し、前記アンチセンスオリゴマーが、前記第1の対立遺伝子から転写されたSECプレmRNAの標的化部分に結合する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、前記標的タンパク質の量又は機能の欠損によってもたらされる障害によって引き起こされる病態を有し、前記対象が、
(a)第1の変異を含む第1の対立遺伝子であって、第1の変異により、
(i)前記標的タンパク質が、野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生されるか、
(ii)前記標的タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生されるか、又は
(iii)前記標的タンパク質が産生されない、
第1の対立遺伝子、及び
(b)第2の変異を含む第2の対立遺伝子であって、第2の変異により、
(i)前記標的タンパク質が、野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生されるか、
(ii)前記標的タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生されるか、又は
(iii)前記標的タンパク質が産生されない、
第2の対立遺伝子、
を有し、前記第1及び第2の変異が同一か又は異なっている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記標的タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標的タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して完全に機能性の形態で産生される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソン内の前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にある、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンの+6~+500の領域内、又は
(b)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンの-16~-500領域内、
にある、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4e~-500
eの領域内、
(b)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、
(c)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内、又は
(d)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2e~+500eの領域内、
にある、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記SECプレmRNAが、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記SECプレmRNAが、配列番号1又はその相補配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ASOが、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ASOが、配列番号54~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記ASOが、配列番号5~38又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ASOが、配列番号39~53又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記SECプレmRNAが、全長プレmRNAの部分的にスプライシングされたプレmRNAであるか、又は野生型プレmRNAの部分的にスプライシングされたプレmRNAである、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAが、全長成熟mRNA又は野生型成熟mRNAである、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
産生される前記標的タンパク質が、全長タンパク質若しくは野生型タンパク質、又はそれらの組合せである、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記アンチセンスオリゴマーと接触させた前記細胞内で産生される前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAの総量が、対照細胞内で産生される前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記アンチセンスオリゴマーと接触させた前記細胞内で産生される前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAの総量が、対照細胞内で産生される前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAの総量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約20%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記アンチセンスオリゴマーと接触させた前記細胞により産生される標的タンパク質の総量が、対照細胞により産生される標的タンパク質の総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記アンチセンスオリゴマーと接触させた前記細胞により産生される標的タンパク質の総量が、対照細胞により産生される標的タンパク質の総量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約2
0%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記アンチセンスオリゴマーが、少なくとも1個の修飾糖部分を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
各糖部分が修飾糖部分である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記アンチセンスオリゴマーが、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基から成る、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記アンチセンスオリゴマーが、前記タンパク質をコードする前記SECプレmRNAの前記標的化部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の相補性がある、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
LIPAタンパク質発現を評価することを更に含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
CESDが処置され、前記アンチセンスオリゴマーがLIPA SECプレmRNAの標的化部分に結合し、前記標的化部分が配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象がヒトである、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記対象が非ヒト動物である、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象が、胎児、胚、又は小児である、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法
【請求項47】
前記細胞をex vivoで接触させる、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記アンチセンスオリゴマーが、前記対象への髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射により投与される、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記イントロンの-15~-1及び前記3’スプライス部位に隣接する前記スキップ可能なエクソンの+1eにある16個のヌクレオチドが、対応する野生型配列と同一であり、前記イントロンがイントロン7であり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
請求項1~49のいずれか1項に記載の方法に使用される、アンチセンスオリゴマー。
【請求項51】
配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、アンチセンスオリゴマー。
【請求項52】
請求項50又は51に記載のアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物。
【請求項53】
請求項52に記載の医薬組成物を、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射で投与することによる、処置を必要とする対象を処置する方法。
【請求項54】
欠損タンパク質又は欠損機能性RNAに関連するコレステリルエステル蓄積症(CESD)を処置する必要がある対象においてそれを処置するための、細胞による標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節する方法に使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、前記欠損タンパク質又は欠損機能性RNAは、前記対象において量又は活性が欠損しており、前記アンチセンスオリゴマーは、前記標的タンパク質又は前記機能性RNAをコードするスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)からのエクソンの除去を低減させ、前記標的タンパク質は前記欠損タンパク質であり、前記機能性RNAは前記欠損RNAであり、前記SECプレmRNAは、前記スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及び前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、前記スキップ可能なエクソンは、前記標的タンパク質又は前記機能性RNAをコードする前記SECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記対象において前記標的タンパク質又は前記機能性RNAの産生又は活性を調節する、前記組成物。
【請求項55】
リソソーム酸リパーゼ(LAL)タンパク質に関連する病態を処置する必要がある対象においてそれを処置する方法に使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、前記方法は前記対象の細胞によるLALタンパク質の発現を調節することを含み、前記細胞は、スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含む前記スキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有し、前記SECプレmRNAは前記LALタンパク質をコードし、前記方法は、前記細胞を前記アンチセンスオリゴマーと接触させ、それにより、前記スキップ可能なエクソ
ンが、LALタンパク質をコードする前記SECプレmRNA転写産物からプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記対象の前記細胞において、LALタンパク質をコードするmRNAのレベルを調節し、そしてLALタンパク質の発現を調節する、ことを含む、前記組成物。
【請求項56】
前記標的タンパク質又は前記標的タンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を調節することが、前記標的タンパク質又は前記標的タンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を増加させる、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を調節することが、LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を増加させる、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
前記標的タンパク質がLALである、請求項54又は56に記載の組成物。
【請求項59】
前記病態が疾患又は障害である、請求項55に記載の組成物。
【請求項60】
前記疾患又は障害がCESDである、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記標的タンパク質及びSECプレmRNAが、LIPA遺伝子によりコードされる、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記ASOが、前記スキップ可能なエクソン内の前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にある前記SECプレmRNAの部分を標的にする、請求項54~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項63】
前記アンチセンスオリゴマーが、前記スキップ可能なエクソン内の、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、又は
(b)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内、
にある前記SECプレmRNAの部分を標的にする、請求項54~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項64】
前記アンチセンスオリゴマーが、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位の約100ヌクレオチド下流から前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にある前記SECプレmRNAの部分を標的にする、請求項54~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項65】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンの+6~+500の領域内、又は
(b)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するエクソンの-16~-500の領域内、
にある、請求項54~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項66】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4e~-500eの領域内、
(b)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、
(c)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内、又は
(d)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2e~+500eの領域内
にある、請求項54~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項67】
前記標的タンパク質がLALである、請求項54~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項68】
前記SECプレmRNAが、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記SECプレmRNAが、配列番号1又はその相補配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる、請求項67に記載の組成物。
【請求項70】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項71】
前記ASOが、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項72】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、請求項67に記載の組成物。
【請求項73】
前記ASOが、配列番号54~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、請求項67に記載の組成物。
【請求項75】
前記ASOが、配列番号5~38又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、請求項67に記載の組成物。
【請求項77】
前記ASOが、配列番号39~53又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、
請求項72に記載の方法。
【請求項78】
前記SECプレmRNAが、全長プレmRNA又は野生型プレmRNAの部分的スプライシングにより産生される、請求項54~77のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項79】
前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAが、全長成熟mRNA又は野生型成熟mRNAである、請求項54~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
産生される前記標的タンパク質が、全長タンパク質又は野生型タンパク質である、請求項54~79のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む、請求項54~80のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項82】
前記アンチセンスオリゴマーが、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項54~81のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項83】
前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む、請求項54~82のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項84】
前記アンチセンスオリゴマーが、少なくとも1個の修飾糖部分を含む、請求項54~83のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項85】
各糖部分が修飾糖部分である、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
前記アンチセンスオリゴマーが、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基から成る、請求項54~85のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項87】
請求項54~86に記載のいずれかの組成物のアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物。
【請求項88】
請求項87に記載の医薬組成物を、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射で投与することによる、処置を必要とする対象を処置する方法。
【請求項89】
LIPA mRNA転写産物の標的配列にハイブリダイズするアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物であって、前記LIPA mRNA転写産物はスキップされるエクソンを含み、前記アンチセンスオリゴマーは、前記LIPA mRNA転写産物からスキップされるエクソンの保持を誘導する、
前記医薬組成物。
【請求項90】
前記LIPA mRNA転写産物が、LIPA SECプレmRNA転写産物である、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項91】
前記LIPA SECプレmRNA転写産物の前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソン内の前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にある、請求項89又は90に記載の医薬組成物。
【請求項92】
前記LIPA SECプレmRNA転写産物が、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる、請求項89又は90に記載の医薬組成物。
【請求項93】
前記LIPA SECプレmRNA転写産物が、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項89又は90に記載の医薬組成物。
【請求項94】
前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項95】
前記アンチセンスオリゴマーが、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項96】
前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項97】
前記アンチセンスオリゴマーが、少なくとも1個の修飾糖部分を含む、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項98】
前記アンチセンスオリゴマーが、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基を含む、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項99】
前記アンチセンスオリゴマーが、前記LIPA SECプレmRNA転写産物の標的化部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の相補性がある、請求項89又は90に記載の医薬組成物。
【請求項100】
前記LIPA SECプレmRNA転写産物の前記標的化部分が、配列番号2~4又はそれらの相補配列から選択される配列内にある、請求項89又は90に記載の医薬組成物。
【請求項101】
前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性があるヌクレオチド配列を含む、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項102】
前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号5~63又はそれらの相補配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項89に記載の医薬組成物。
【請求項103】
髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射用に処方される、請求項89~102のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項104】
LALタンパク質の量又は活性の欠損により引き起こされる病態を有する対象を処置する方法であって、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項105】
前記対象がヒトである、請求項104に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本願は、2018年5月4日出願の米国仮出願第62/667,205号の利益を主張するものであり、その全体を本願明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002]コレステリルエステル蓄積症(CESD)(時には、リソソーム酸リパーゼ(LAL)欠損症とも称される)は、機能性LAL酵素の欠損により引き起こされる常染色体劣性慢性肝疾患である。CESDは、希少であるが重篤な疾患であり、身体が十分なLALを産生しないときに発生する。LAL酵素(コレステリルエステルヒドロラーゼとも称される)は脂肪物質を分解する酵素であり、コレステリルエステル及びトリグリセリドの代謝に必須である。LIPA遺伝子の点変異は、酵素活性が欠損した短鎖型タンパク質の産生をもたらし、臓器及び組織におけるコレステリルエステルの蓄積を引き起こす。低減されたLAL酵素活性は、典型的には肝臓、脾臓、腸、血管壁、及び他の重要な臓器を含めた様々な組織に脂肪物質の大量堆積をもたらす。その結果、CESDは典型的に、有意な罹患率及び死亡率に関連し、乳幼児期から成人期の個人に影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本開示の1つの態様によると、コレステリルエステル蓄積症(CESD)の処置を必要とする対象において、対象の細胞による標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節することによってそれを処置する方法であって、細胞はスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有し、SECプレmRNAは、スキップ可能なエクソン、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及びスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、SECプレmRNAは標的タンパク質又は機能性RNAをコードし、前記方法は、対象の細胞を、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするSECプレmRNAの標的化部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させ、それにより、スキップ可能なエクソンが、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするSECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、対象の細胞において、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAのレベルを調節し、そして標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節する、ことを含む方法が、本明細書に提供される。
【0004】
[0004]本開示の1つの態様によると、スキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有する細胞による、リソソーム酸リパーゼ(LAL)である標的タンパク質の発現を調節する方法であって、SECプレmRNAは、スキップ可能なエクソン、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及びスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、SECプレmRNAはLALタンパク質をコードし、前記方法は、細胞を、LALタンパク質をコードするSECプレmRNAの標的化部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させ、それにより、スキップ可能なエクソンが、LALタンパク質をコードするSECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、細胞において、LALタンパク質をコードするmRNAのレベルを調節し、そしてLALタンパク質の発現を調節する、ことを含む方法が、本明細書に提供される。
【0005】
[0005]一部の実施形態では、標的タンパク質又は標的タンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを調節することは、標的タンパク質又は標的タンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを増加させる。一部の実施形態では、LALタンパク質又はLA
Lタンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを調節することは、LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを増加させる。一部の実施形態では、標的タンパク質はLALである。一部の実施形態では、細胞は、LALタンパク質の量又は活性の欠損により引き起こされる病態を有する対象内にあるか又は対象由来のものである。一部の実施形態では、5’スプライス部位に隣接するイントロンの+1~+6及びスキップ可能なエクソンの-3e~-1eにある9個のヌクレオチドのうちの少なくとも1個のヌクレオチドは、少なくとも1個の変異を含む。一部の実施形態では、変異は置換である。一部の実施形態では、変異は-1eにある。一部の実施形態では、変異はc.894G>Aである。一部の実施形態では、標的タンパク質の量の欠損は、常染色体劣性遺伝により引き起こされる。一部の実施形態では、対象は、機能性標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子及び(a)機能性標的タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは、第1若しくは第2の対立遺伝子から転写されたSECプレmRNAの標的化部分に結合するか、又は前記第1の対立遺伝子及び(b)第2の対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子から転写されたSECプレmRNAの標的化部分に結合する。一部の実施形態では、対象は、標的タンパク質の量又は機能の欠損によってもたらされる障害によって引き起こされる病態を有し、対象は、第1の変異を含む第1の対立遺伝子であって、第1の変異により、標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生されるか、標的タンパク質が同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生されるか、又は標的タンパク質が産生されない、第1の対立遺伝子、及び第2の変異を含む第2対立遺伝子であって、第2の変異により、標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生されるか、標的タンパク質が同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生されるか、又は標的タンパク質が産生されない、第2対立遺伝子を有し、第1及び第2の変異は同一か又は異なっている。一部の実施形態では、標的タンパク質は、同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生される。一部の実施形態では、標的タンパク質は、同等の野生型タンパク質と比較して完全に機能性の形態で産生される。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソン内のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eからスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にある。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンの+6~+500の領域内、又はスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンの-16~-500の領域内にある。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4e~-500eの領域内、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内、又はスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2e~+500eの領域内にある。一部の実施形態では、SECプレmRNAは、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAは、配列番号1又はその相補配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、ASOは、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eからスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にあり、スキップ可能なエクソンはエクソン8である。一部の実施形態では、ASOは、配列番号54~63又はそれ
らの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内にあり、スキップ可能なエクソンはエクソン8である。一部の実施形態では、ASOは、配列番号5~38又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内にあり、スキップ可能なエクソンはエクソン8である。一部の実施形態では、ASOは、配列番号39~53又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAは、全長プレmRNAの部分的にスプライシングされたプレmRNAであるか、又は野生型プレmRNAの部分的にスプライシングされたプレmRNAである。一部の実施形態では、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAは、全長成熟mRNA又は野生型成熟mRNAである。一部の実施形態では、産生される標的タンパク質は、全長タンパク質若しくは野生型タンパク質、又はそれらの組合せである。
【0006】
[0006]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞内で産生される標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞内で産生される標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する。
【0007】
[0007]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞内で産生される標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞内で産生される標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAの総量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約20%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する。
【0008】
[0008]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞により産生される標的タンパクの総量は、対照細胞により産生される標的タンパク質の総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する。
【0009】
[0009]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞により産生される標的タンパク質の総量は、対照細胞により産生される標的タンパク質の総量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約20%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する。
【0010】
[0010]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1個の修飾糖部分を含む。一部の実施形態では、各糖部分は修飾糖部分である。
【0011】
[0011]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基から成る。
【0012】
[0012]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするSECプレmRNAの標的化部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の相補性がある。一部の実施形態では、方法は、LIPAタンパク質発現を評価することを更に含む。一部の実施形態では、CESDが処置され、アンチセンスオリゴマーはLIPA SECプレmRNAの標的化部分に結合し、標的化部分は配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施態様では、対象は非ヒト動物である。一部の実施形態では、対象は、胎児、胚、又は小児である。一部の実施形態では、細胞をex vivoで接触させる。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、対象への髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射により投与される。
【0013】
[0013]一部の実施形態では、イントロンの-15~-1及び3’スプライス部位に隣接するスキップ可能なエクソンの+1eにある16個のヌクレオチドは、対応する野生型配列と同一であり、イントロンはイントロン7であり、スキップ可能なエクソンはエクソン8である。
【0014】
[0014]本開示の別の態様によると、本明細書に提供される方法のいずれか1つに使用されるアンチセンスオリゴマーが本明細書に提供される。
[0015]本開示の別の態様によると、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか
1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含むアンチセンスオリゴマーが、本明細書に提供される。
【0015】
[0016]本開示の別の態様によると、アンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物が、本明細書に提供される。
[0017]請求項52に記載の医薬組成物を、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射で投与することにより、処置を必要とする対象を処置する方法。
【0016】
[0018]本開示の別の態様によると、欠損タンパク質又は欠損機能性RNAに関連するコレステリルエステル蓄積症(CESD)を処置する必要がある対象においてそれを処置するための、細胞による標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節する方法に使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、欠損タンパク質又は欠損機能性RNAは対象において量又は活性が欠損しており、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)からのエクソンの除去を低減させ、標的タンパク質は欠損タンパク質であり、機能性RNAは欠損RNAであり、SECプレmRNAは、スキップ可能なエクソン、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及びスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、スキップ可能なエクソンは、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするSECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、対象において標的タンパク質又は機能性RNAの産生又は活性を調節する組成物が本明細書に提供される。リソソーム酸リパーゼ(LAL)タンパク質に関連する病態を処置する必要がある対象においてそれを処置する方法に使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、前記方法は対象の細胞によるLALタンパク質の発現を調節することを含み、細胞は、スキップ可能なエクソン、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含むスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有し、SECプレmRNAはLALタンパク質をコードし、前記方法は、細胞をアンチセンスオリゴマーと接触させ、それにより、スキップ可能なエクソンが、LALタンパク質をコードするSECプレmRNA転写産物からプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、対象の細胞において、LALタンパク質をコードするmRNAのレベルを調節し、そしてLALタンパク質の発現を調節する組成物も本明細書に提供される。
【0017】
[0019]一部の実施形態では、標的タンパク質又は標的タンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を調節することは、標的タンパク質又は標的タンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を増加させる。一部の実施形態では、LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を調節することは、LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を増加させる。一部の実施形態では、標的タンパク質はLALである。一部の実施形態では、病態は疾患又は障害である。一部の実施形態では、疾患又は障害はCESDである。一部の実施形態では、標的タンパク質及びSECプレmRNAは、LIPA遺伝子によりコードされる。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソン内のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eからスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にあるSECプレmRNAの部分を標的にする。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、スキップ可能なエクソン内の、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、又はスキップ可能なエクソンの前記3’スプライス部位に対して-16~-500までの領域内にあるSECプレmRNAの部分を標的にする。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位の約1
00ヌクレオチド下流からスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にあるSECプレmRNAの部分を標的にする。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンの+6~+500の領域内、又はスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するエクソンの-16~-500の領域内にある。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4e~-500eの領域内、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内、又はスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2e~+500eの領域内にある。一部の実施形態では、標的タンパク質はLALである。一部の実施形態では、SECプレmRNAは、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAは、配列番号1又はその相補配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、ASOは、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eからスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にあり、スキップ可能なエクソンはエクソン8である。一部の実施形態では、ASOは、配列番号54~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内にあり、スキップ可能なエクソンはエクソン8である。一部の実施形態では、ASOは、配列番号5~38又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内にあり、スキップ可能なエクソンはエクソン8である。一部の実施形態では、ASOは、配列番号39~53又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。一部の実施形態では、SECプレmRNAは、全長プレmRNA又は野生型プレmRNAの部分的スプライシングにより産生される。一部の実施形態では、標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAは、全長成熟mRNA又は野生型成熟mRNAである。一部の実施形態では、産生される標的タンパク質は、全長タンパク質若しくは野生型タンパク質である。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む。一部の実施形態では、前記アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1個の修飾糖部分を含む。一部の実施形態では、各糖部分は修飾糖部分である。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10
~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基から成る。
【0018】
[0020]請求項54~86に記載のいずれかの組成物のアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物も本明細書に提供される。
[0021]本開示の別の態様によると、請求項87に記載の医薬組成物を、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射で投与することにより処置を必要とする対象を処置する方法が本明細書に提供される。
【0019】
[0022]本開示の別の態様によると、LIPA mRNA転写産物の標的配列にハイブリダイズするアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物であって、LIPA mRNA転写産物はスキップされるエクソンを含み、アンチセンスオリゴマーはLIPA mRNA転写産物のスキップされるエクソンの保持を誘導する、医薬組成物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、LIPA mRNA転写産物は、LIPA SECプレmRNA転写産物である。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNA転写産物の標的化部分は、スキップ可能なエクソン内のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eからスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にある。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNA転写産物は、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNA転写産物は、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む。一部の実施形態では、前記アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1個の修飾糖部分を含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基を含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、LIPA SECプレmRNA転写産物の標的化部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の相補性がある。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNA転写産物の標的化部分は、配列番号2~4又はそれらの相補配列から選択される配列内にある。
【0020】
[0023]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、配列番号5~63又はそれら
の相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性があるヌクレオチド配列を含む。
【0021】
[0024]一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、配列番号5~63又はそれらの相補配列から選択されるヌクレオチド配列を含む。
[0025]一部の実施形態では、医薬組成物は、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射用に処方される。
【0022】
[0026]本開示の更に別の態様によると、LALタンパク質の量又は活性の欠損により引き起こされる病態を有する対象を処置する方法であって、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、対象はヒトである。
援用
[0027]本明細書に記述されている全ての出版物、特許、及び特許出願は、あたかもそれぞれ個別の出版物、特許、又は特許出願が、特定的及び個別に援用されているかのように示されるのと同じ程度に、本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】[0028]図1は、LIPAプレmRNAの略図である。エクソン8のスキッピングをもたらし、最終的にコレステリルエステル蓄積症(CESD)をもたらすLIPA変異c.894G>Aが描写されている。野生型及びLIPA変異によって生じる変異体スプライスmRNA転写産物の略図も描写されている。示されているように、CESD変異は、約95%のmRNA転写産物を、非機能性LALタンパク質をもたらす短鎖型形態で生じ、機能性LALタンパク質をもたらす機能性(全長)mRNAを僅か3~5%しか生じない。
図2】[0029]図2は、LIPAのc.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞においてエクソン8のスキッピングが確認されたことを示す、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)の例を描写する図である。対象及びCESD患者の線維芽細胞を使用し、エクソン7及びエクソン9にプライマーを使用するRT-PCR分析は、c.894G>A変異により引き起こされたエクソン8のスキッピングに対応するバンドの存在を確認した。産物の同一性は、配列決定により確認した。
図3】[0030]図3は、例示的なLIPAイントロン8の5’スプライス部位領域のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)ウォークを描写する図である。ホスホロチオエート(PS)骨格を有する2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)ASOを使用して、5’スプライス部位の下流にある配列を標的にするLIPAイントロン8の5’スプライス部位領域に実施されたASOウォークのグラフ表示が示されている。ASOは、+6位から+11位までは一度に1ヌクレオチドシフトし、その後、一度に5ヌクレオチドシフトすることによってこの領域を網羅するように設計した。
図4】[0031]図4Aは、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により評価したLIPAイントロン8の5’スプライス部位領域のASOウォークを描写する図である。代表的なPAGEは、c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞において、未処理(unt)、mock処理(Mock1、Mock2、エレクトロポレーションにて)、又は本明細書の実施例及び図3に記載されているように、イントロン8の5’スプライス部位領域を標的にする2’-MOE ASOにより120nMの濃度でエレクトロポレーションにて処理された、LIPAのSYBR-Safe染色RT-PCR産物を示す。エクソン8含有(全長、上側バンド)及びエクソン8スキッピング(下側バンド)に対応する2つの産物を定量化した。 [0032]図4Bは、図4Aのデータから、全長(エクソン8含有)%をプロットしたグラフである。黒線は、未処理(Unt)に関して変化がないことを示している。
図5】[0033]図5Aは、CESD患者の線維芽細胞における、選択されたASOの例示的な用量依存性効果を描写する図である。c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞において、mock処理(Mock、エレクトロポレーションにて)、又はイントロン8を標的にするA-3334(+9)若しくはA-3347(+66)の2’-MOE ASOにより30nM、60nM、120nM、240nM、及び480nMの濃度でエレクトロポレーションにて処理された、LIPAのSYBR-Safe染色RT-PCR産物を示す代表的なPAGEが示されている。エクソン8含有(全長、上側バンド)及びエクソン8スキッピング(下側バンド)に対応する2つの産物を定量化した。 [0034]図5Bは、図5Aのデータから、全長(エクソン8含有)%をプロットしたグラフである。黒線は、mockに関して変化がないことを示している。 [0035]図5Cは、CESD患者の線維芽細胞における、選択されたASOの例示的な用量依存性効果を描写する図である。c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞において、mock処理(Mock)、又はイントロン8を標的にするA-3334(+9)若しくはA-3347(+66)の2’-MOE ASOにより240nM、720nM、及び2160nMの濃度でエレクトロポレーションにて処理された、LIPAのSYBR-Safe染色RT-PCR産物を示す代表的なPAGEが示されている。エクソン8含有(全長、上側バンド)及びエクソン8スキッピング(下側バンド)に対応する2つの産物を定量化した。 [0036]図5Dは、図5Cのデータから、全長(エクソン8含有)%をプロットしたグラフである。黒線は、mockに関して変化がないことを示している。
図6】[0037]図6Aは、CESD患者の線維芽細胞における、選択されたASOの例示的な用量依存性効果を描写する図である。c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞において、mock処理(Mock)、又はイントロン8を標的にするA-3334(+9)の2’-MOE ASOにより1μM、5μM、及び20μMの濃度で自由取り込み(free-uptake)にて処理された、LIPAのSYBR-Safe染色RT-PCR産物を示す代表的なPAGEが示されている。エクソン8含有(全長、上側バンド)及びエクソン8スキッピング(下側バンド)に対応する2つの産物を定量化した。 [0038]図6Bは、図6Aのデータから、全長(エクソン8含有)%をプロットしたグラフである。黒線は、mockに関して変化がないことを示している。
図7】[0039]図7Aは、CESD患者の線維芽細胞における、選択されたASOの例示的な用量依存性効果を描写する図である。c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞において、mock処理細胞(-)、又はイントロン8を標的にするA-3334(+9)の2’-MOE ASOにより0.125μM、0.5μM、及び2μMの濃度でエレクトロポレーションにて処理された細胞からのリソソーム酸リパーゼ(LAL)タンパク質を示す代表的なドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)が示されている。グリコシル化全長タンパク質に対応する産物を定量化し、ポンソーS染色ブロットに正規化した。 [0040]図7Bは、図7Aのデータから、mockと比較したグリコシル化全長タンパク質の変化倍率をプロットしたグラフである。
図8】[0041]図8は、mock処理(CESD対照)、又はイントロン8を標的にするA-3334(+9)2’-MOE AOSにより0.125μM、0.5μM、及び2μMの濃度でエレクトロポレーションにて処理された、c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞からのタンパク質抽出物について、0分~60分まで5分間隔で測定したLAL活性の動態をプロットしたグラフである。野生型線維芽細胞からのタンパク質抽出物(野生型対照)を比較のために含める。タンパク質1μgあたりの相対蛍光単位(RFU)がプロットされている。
図9】[0042]図9Aは、CESD患者の線維芽細胞のイントロン8の+9領域を標的にする、長さの異なる選択されたASOの例示的な用量依存性効果を描写する図である。c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞において、mock処理(対照)、又はイントロン8を標的にするA-3334(+9)、A-3680(+9(17))、A-3681(+9(16))、A-3682(+10(17))、A-3683(+10(16))、A-3684(+11(16))の2’-MOE ASOにより0.125μM、0.5μM、及び2μMの濃度でエレクトロポレーションにて処理された、LIPAのSYBR-Safe染色RT-PCR産物を示す代表的なPAGEが示されている。エクソン8含有(全長、上側バンド)及びエクソン8スキッピング(下側バンド)に対応する2つの産物を定量化した。 [0043]図9Bは、図9Aのデータから、全長(エクソン8含有)%をプロットしたグラフである。
図10】[0044]図10は、mock処理(対照)、又はイントロン8を標的にするA-3334(+9)、A-3680(+9(17))、A-3681(+9(16))、A-3682(+10(17))、A-3683(+10(16))、A-3684(+11(16))の2’-MOE AOSにより0.125μM、0.5μM、及び2μMの濃度でエレクトロポレーションにて処理された、c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞からのタンパク質抽出物について、30分~60分まで測定したLAL活性の変化(曲線の傾斜)をプロットしたグラフである。タンパク質1μgあたり1分ごとのRFUの変化がプロットされている。
【発明の詳細な説明】
【0024】
[0045]本記載のある特定の詳細が、様々な実施形態の十分な理解を提供するために記載される。しかし、当業者は、これらの詳細がなくても本開示が実施され得ることを理解する。他の場合では、実施形態の記載を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構造が詳細に示されていないか又は記載されていない。文脈から必要とされない限り、明細書及びその後の特許請求の範囲の全体にわたって、語「含む(comprise)」、並びにその変形、例えば「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、開放的で包括的
な意味であり、すなわち、「含まれるが、限定されない(including, but not limited to)」と解釈されるべきである。更に、本明細書に提供されている見出しは、利便さのた
めだけであり、主張される開示の範囲又は意を解説するものではない。
【0025】
[0046]本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合、単形「a」「an」及び「the」には、内容から明示されない限り、複数の対象が含まれる。用語「又は」は、内容から明示されない限り、「及び/又は」が含まれる意味において一般に用いられることにも留意するべきである。
【0026】
[0047]特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものに類似するか又は同等の方法及び物質を、本開示の実施又は試験に使用することができるが、適切な方法及び物質が下記に記載される。
【0027】
コレステリルエステル蓄積症及びLIPA遺伝子
[0048]コレステリルエステル蓄積症(CESD)は、機能性リソソーム酸リパーゼ(LALD)酵素欠損により引き起こされる常染色体劣性慢性肝疾患である。LAL酵素は、コレステリルエステルの代謝に必須であり、程度は低いがトリグリセリドの代謝にも必須である。LAL活性の欠損は、主に、臓器及び組織、特に肝臓、脾臓、及びマクロファージへのコレステリルエステルの蓄積を生じる。この疾患は、多くの臓器における高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、HDL欠損症、及び異常な脂質沈着を特徴とする。肝臓では、脂肪肝により、及び小結節性肝硬変をもたらし得る線維症により引き起こされる肝腫大を生じる。患者の平均余命は、多くの場合に30歳未満である。CESDの発症は、小児期又は青年期に典型的に起こるが、症状は成人期まで検出されないことがあり、女性及び男性にほぼ等しく蔓延している。
【0028】
[0049]LALタンパク質をコードするLIPA遺伝子における変異は、CESDの基礎的な原因である。LIPA遺伝子変異が残存活性のない酵素を生じるか又は酵素を全く生じないウォルマン病とは異なり、CESDを引き起こす変異は、一部の酵素活性を保持するLALをコードする。CESD患者の培養皮膚線維芽細胞におけるLAL活性についての以前の研究は、生じたmRNAからの72塩基対(bp)のインフレーム欠失をもたらす、エクソン8の5’スプライス部位の-1位にG→A変異(E8SJM、エクソン8のスプライスジャンクション変異、c.894G>A)を確認した。次いで、この72bp欠失は全長エクソン8に対応することが示された。G→A変異は、LIPAプレmRNAの異常なスプライシング及びエクソン8の異常なスキッピングを引き起こす。mRNAからのエクソン8の欠失は、LALタンパク質のアミノ酸254~277のコドンの損失を生じる。短くなったタンパク質は残存LAL活性を有さないが、正常にスプライシングされたLIPAの2%~5%がホモ接合体担体に存在するので、E8SJMはウォルマン病を引き起こさない。現在までに記載されているCESD患者の大多数は、E8SJMキャリアである。
【0029】
[0050]本開示は、LIPAのc.894G>A変異により引き起こされる異常なスプライシングを調節して、機能性タンパク質をコードする成熟mRNAの産生を増加させ、したがって翻訳される機能性LALタンパク質を増加させる組成物及び方法を提供する。これらの組成物及び方法は、エクソンの含有及びLIPAプレmRNAの構成的スプライシングを促進させることができるアンチセンスオリゴマー(ASO)を含む。様々な実施形態では、本開示の方法の使用により機能性LALタンパク質を増加させて、LALタンパク質欠損により引き起こされる病態を処置することができる。一部の実施形態では、病態はCESDである。
【0030】
[0051]一部の実施形態では、本発明の方法を使用して、病態の処置を必要とする対象において、機能性LALタンパク質産生を増加させる。一部の実施形態では、対象は、LALが野生型と比べて必ずしも欠損している必要はないが、いずれにしてもLALの増加が病態を軽減させる病態を有する。一部の実施形態では、CESDは、常染色体劣性遺伝により引き起こされる。
【0031】
スプライシング
[0052]介在配列又はイントロンは、1次転写産物、核内低分子RNA(snRNA)、及び多数のタンパク質間の複雑な相互作用を調整するスプライセオソームと称される大型で高度に動的なRNAタンパク質複合体により除去される。スプライセオソームは、各イントロン上で順序づけて特別に集合し、U1 snRNAによる5’スプライス部位(5’ss)の認識から、又は分岐点配列(BPS)へのU2 snRNAの結合を容易にするU2補助因子(U2AF)の3’スプライス部位(3’ss)領域への結合を伴う3’ssの認識から出発する。U2AFは、U2AF2をコードする65kDサブユニット(U2AF65)及びU2AF1をコードする35kDサブユニット(U2AF35)から構成される安定したヘテロ二量体であり、U2AF65はポリピリミジン配列(PPT)に結合し、U2AF35は3’ssで高度に保存されたAGジヌクレオチドと相互作用してU2AF65の結合を安定化させる。BPS/PPT単位及び3’ss/5’ssに加えて、正確なスプライシングには、イントロン又はエクソン・スプライシングエンハンサー又はサイレンサーとしても知られている、スプライス部位認識を活性化又は抑制する補助配列又は構造が必要である。これらのエレメントは、高等真核生物のゲノムにおいて、同じ配列を有するが真正部位を1桁上回る膨大な過剰量の潜在的又は偽性部位の中から、真のスプライス部位を認識させることを可能にする。これらは多くの場合に調節機能を有するが、活性化又は抑制の正確な機構は十分に理解されていない。
【0032】
[0053]スプライシングが生ずるかどうかの決定は、決定論的プロセスというよりむしろ
確率論的プロセスとして典型的にモデル化することができ、最も確定されたスプライシングシグナルでさえときには不正確にスプライスし得る。しかし、通常の条件下では、プレmRNAスプライシングは、驚くほど高い正確さで進行する。このことは、隣接するシス作用性の補助的なエクソン及びイントロン・スプライシング調節配列(ESR又はISR)の活性が部分的には原因であり得る。典型的には、これらの機能性エレメントは、スプライシングを刺激又は阻害する能力に基づいて、それぞれ、エクソン若しくはイントロンのスプライシングエンハンサー(ESE若しくはISE)又はサイレンサー(ESS若しくはISS)に分類される。一部の補助的なシス作用性エレメントが、スプライセオソーム会合の動態、例えば、U1 snRNPと5’ssとの複合体の配置に影響を及ぼすことにより作用し得ることを示唆する証拠が現在存在しているが、多数のエレメントがトランス作用性RNA結合タンパク質(RBP)と協調的に機能する可能性が高いと思われる。例えば、RBPのセリン及びアルギニンリッチのファミリー(SRタンパク質)は、エクソンを確定するのに主要な役割を果たすタンパク質の保存ファミリーである。SRタンパク質は、プレスプライセオソームの構成成分を隣接スプライス部位に動員することにより、又は近傍のESSの効果に拮抗することにより、エクソン認識を促進させる。ESS及びISSの抑制効果は、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質(hnRNP)ファミリーのメンバーにより媒介され、コアスプライシング因子の動員を隣接スプライス部位へ変更することができる。スプライシング調節における役割に加えて、サイレンサーエレメントは偽性エクソンの抑制に役割を果たすことが示唆されており、偽性エクソンは、エクソンの典型的な間隔を有するが、機能性オープンリーディングフレームを有さないデコイイントロン・スプライス部位のセットである。ISE、ISS、ESE、及びESSは、関連するトランス作用性RBPと協調して、mRNAが、いつ、どこで、どのように前駆体から組み立てられるかを特定するスプライシング制御のセットの重要な構成成分を表す。
【0033】
[0054]エクソン-イントロンの境界を作る配列は、ヒト遺伝子内で高頻度に発生し得る様々な強度の縮重シグナルである。マルチエクソン遺伝子では、スプライス部位の異なる対が多くの異なる組合せで一緒に連結して、単一遺伝子から多様な転写産物アレイを作り出すことができる。これは選択的プレmRNAスプライシングと一般的に呼ばれる。選択的スプライシングにより産生される大部分のmRNAアイソフォームは、核から排出され、機能性ポリペプチドに翻訳されるが、単一遺伝子からの異なるmRNAアイソフォームは、翻訳効率に著しいばらつきがあり得る。エクソンジャンクション複合体の少なくとも50bp上流に未熟終止コドン(PCT)を有するそれらのmRNAアイソフォームは、ナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)経路による分解の標的になる可能性がある。伝統的(BPS/PPT/3’ss/5’ss)及び補助的スプライシングモチーフにおける変異は、エクソンスキッピング、又は潜在性(若しくは偽性)エクソン含有、又はスプライス部位活性化などの異常なプライシングを引き起こし、ヒトの罹患及び死亡に有意に寄与し得る。異常及び選択的スプライシングパターンは、エクソン及びイントロンにおける天然のDNAバリアントに影響を受けることがある。
【0034】
[0055]ESEは非常に多く見られ、全てではないが、構成的エクソンを含めた大部分のエクソンに存在し得る。一部のエクソンは、豊富なESEを有することがあり、したがって、点変異に対して抵抗性があるが、ある特定の場合(例えば、LIPAのエクソン8)では、単一点変異が重要なESEを破壊し、部分的又は完全に不適切なエクソンスキッピングを生じることがある。
【0035】
標的転写産物
[0056]一部の実施形態では、本開示の方法は、LIPA遺伝子から転写されたスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)の存在を利用する。機能性成熟LIPA mRNAを産生することが確認されたLIPA SECプレmRNA転写産物のスプライシングは、エクソン含有及びLIPA SECプレmRNAの構成的スプライ
シングを促進させるASOなどの治療剤を使用して誘導することができる。一部の実施形態では、得られた機能性成熟LIPA mRNAは正常に翻訳され、それにより、患者の細胞において機能性LALタンパク質の量が増加し、CESDの症状を緩和することができる。
【0036】
[0057]様々な実施形態では、本開示は、LIPA SECプレmRNAを標的にして、スプライシング又はタンパク質発現のレベルを調節することができる治療剤を提供する。治療剤は、小分子、ポリヌクレオチド、又はポリペプチドであり得る。一部の実施形態では、治療剤はASOである。LIPA SECプレmRNAの様々な領域又は配列が、ASOなどの治療剤により標的にされ得る。一部の実施形態では、ASOは、LIPA遺伝子から転写されたLIPA SECプレmRNAを標的にする。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンを含有するLIPA遺伝子から転写されたLIPA SECプレmRNAを標的にする。一部の実施形態では、スキップ可能なエクソンは、LIPA SECプレmRNA転写産物のエクソン8である。一部の実施形態では、スキップ可能なエクソンは、異常なスプライシングによってLIPA SECプレmRNA転写産物から切り出される。一部の実施形態では、異常なスプライシングは、LIPA遺伝子における変異によって引き起こされる。一部の実施形態では、変異は、エクソン8スプライスドナーの-1位でのG→A変異(E8SJM、エクソン8スプライスジャンクション変異、c.894G>A)である。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソン内の配列を標的にする。一部の実施形態では、スキップ可能なエクソンは、LIPA SECプレmRNA転写産物のエクソン8である。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のエクソン8内の配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のエクソン8の5’スプライス部位から上流(又は5’)までのエクソン配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA プレmRNA転写産物のエクソン8の3’スプライス部位から下流(又は3’)までのエクソン配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロン内の配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のイントロン7内の配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のイントロン7の3’スプライス部位から上流(又は5’)までのイントロン配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA プレmRNA転写産物のイントロン7の5’スプライス部位から下流(又は3’)までのイントロン配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン内の配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のイントロン8内の配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のイントロン8の3’スプライス部位から上流(又は5’)までのイントロン配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA プレmRNA転写産物のイントロン8の5’スプライス部位から下流(又は3’)までのイントロン配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のエクソン-イントロン境界を含む配列を標的にする。一部の実施形態では、エクソンはスキップ可能なエクソンである。エクソン-イントロン境界は、エクソン配列とイントロン配列の接合部を表すことができる。一部の実施形態では、イントロン配列は、スキップ可能なエクソンの5’末端又は3’末端に隣接することができる。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のエクソン8-イントロン8境界を含む配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のイントロ7-エクソン8境界を含む配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロンの一部分及びエクソンの一部分の両方を含む配列を標的にする。
【0037】
[0058]一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位から約4~約300ヌクレオチド上流(又は5’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位から約1~約20ヌクレオチド、約20~約50ヌクレオチド、約50~約100ヌクレオチド、約100~約150ヌクレオチド、約150~約200ヌクレオチド、約200~約250ヌクレオチド、又は約250~約300ヌクレオチド上流(又は5’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位から300個を超えるヌクレオチド上流までの配列を標的にすることができる。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位から約4~約300ヌクレオチド下流まで(又は3’)の配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位から約1~約20ヌクレオチド、約20~約50ヌクレオチド、約50~約100ヌクレオチド、約100~約150ヌクレオチド、約150~約200ヌクレオチド、約200~約250ヌクレオチド、又は約250~約300ヌクレオチド下流まで(又は3’)の配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位から300個を超えるヌクレオチド下流までの配列を標的にすることができる。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位から約4~約300ヌクレオチド下流(又は3’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位から約1~約20ヌクレオチド、約20~約50ヌクレオチド、約50~約100ヌクレオチド、約100~約150ヌクレオチド、約150~約200ヌクレオチド、約200~約250ヌクレオチド、又は約250~約300ヌクレオチド下流までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位から300個を超えるヌクレオチド下流までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位から約4~約300ヌクレオチド上流(又は5’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位から約1~約20ヌクレオチド、約20~約50ヌクレオチド、約50~約100ヌクレオチド、約100~約150ヌクレオチド、約150~約200ヌクレオチド、約200~約250ヌクレオチド、又は約250~約300ヌクレオチド上流までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNA転写産物のスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位から300個を超えるヌクレオチド上流までの配列を標的にする。
【0038】
[0059]本明細書の実施例に記載されているように、LIPA遺伝子(配列番号1)をエクソンスキッピング事象について分析したところ、SECプレmRNAからプロセシングされたmRNAからのエクソン8の除去が観察された。一部の実施形態では、本明細書に開示のASOは、LIPAゲノム配列から転写されたSECプレmRNAを標的にする。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンを含むLIPAゲノム配列からのSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、スキップ可能なエクソンはエクソン8である。一部の実施形態では、ASOは、エクソン8を含むLIPAゲノム配列からのSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロン及びスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンを含むLIPAゲノム配列からのSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンはイントロン7であり、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンはイントロン8である。一部の実施
形態では、ASOは、イントロン7,エクソン8、及びイントロン8を含むLIPAゲノム配列からのSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、配列番号1のSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、エクソン8を含む配列番号1のSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン7を含む配列番号1のSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン8を含む配列番号1のSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン7、エクソン8、及びイントロン8を含む配列番号1のSECプレmRNA転写産物を標的にする。一部の実施形態では、本明細書に開示のASOは、LIPA SECプレmRNA配列(配列番号1)を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンを含むLIPA SECプレmRNA配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、エクソン8を含むLIPA SECプレmRNA配列(配列番号4)を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含むLIPA SECプレmRNA配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン7を含むLIPA SECプレmRNA配列(配列番号3)を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンを含むLIPA SECプレmRNA配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン8を含むLIPA SECプレmRNA配列(配列番号2)を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、配列番号2~4のいずれか1つのLIPA SECプレmRNA配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、配列番号5~63のいずれか1つの配列を有する。
【0039】
[0060]一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNA転写産物は、配列番号1又はその相補配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列にコードされる。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNA転写産物は、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0040】
[0061]一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNAの標的化部分は、配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、ASOは、配列番号5~65又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む。
【0041】
[0062]一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンを含むLIPA SECプレmRNAのエクソン8を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、エクソン8の3’スプライス部位の約2ヌクレオチド下流(又は3’)からエクソン8の5’スプライス部位の約4ヌクレオチド上流(又は5’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、配列番号54~63又はそれらの相補配列のいずれか1つの配列を有する。
【0042】
[0063]一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンを含むLIPA SECプレmRNAのイントロン7を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン7の3’スプライス部位から約4~約300ヌクレオチド上流(又は5’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン7の3’スプライス部位から約16~約100ヌクレオチド上流(又は5’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン7の5’スプライス部位から約4~約300ヌクレオチド下流(又は3’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、配列番号3
9~53又はそれらの相補配列のいずれか1つの配列を有する。
【0043】
[0064]一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンを含むLIPA SECプレmRNAのイントロン8を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン8の3’スプライス部位から約4~約300ヌクレオチド上流(又は5’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン8の5’スプライス部位から約4~約300ヌクレオチド下流(又は3’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、イントロン8の5’スプライス部位から6~約100ヌクレオチド下流(又は5’)までの配列を標的にする。一部の実施形態では、ASOは、配列番号5~38又はそれらの相補配列のいずれか1つの配列を有する。
【0044】
[0065]一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNAの標的化部分は、イントロン1、2、3、4、5、6、7、8、又は9である。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNAの標的化部分は、エクソン1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。一部の実施形態では、SECプレmRNAの標的化部分へのASOのハイブリダイゼーションは、エクソン8の含有を生じ、次いでLALタンパク質産生を増加させる。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNAの標的化部分は、エクソン8である。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNAの標的化部分は、イントロン7である。一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNAの標的化部分は、イントロン8である。
【0045】
LALタンパク質
[0066]これも上に記載されているが、CESDにおける最も一般的なLIPA変異は、エクソン8に発生する(例えば、E8SJM、エクソン8スプライスジャンクション変異、c.894G>A)。一部の実施形態では、c.894G>A変異は、両方の対立遺伝子に発生する。一部の実施形態では、c.894G>A変異は、2つの対立遺伝子うちの1つに発生する。一部の実施形態では、追加の変異は、2つの対立遺伝子うちの1つに発生する。一部の実施形態では、更なる変異は、c.894G>A変異と同じ対立遺伝子に発生する。他の実施形態では、更なる変異はトランス変異である。
【0046】
[0067]一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、機能性LALタンパク質の産生を増加させるために使用される。本明細書に使用される場合、用語「機能性」は、処置される疾患又は病態、例えばCESDの任意の1以上の症状を排除するために必要なLALタンパク質の活性又は機能の量を表す。一部の実施形態では、本方法は、部分的に機能性のLALタンパク質の産生を増加させるために使用される。本明細書に使用される場合、用語「部分的に機能性」は、疾患又は病態、例えばCESDの任意の1以上の症状を排除又は予防するために必要な活性又は機能の任意の量よりも少ないLALタンパク質の活性又は機能の任意の量を表す。一部の実施形態では、部分的に機能性のタンパク質又はRNAは、完全に機能性のタンパク質又はRNAと比べて、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%少ない活性を有する。
【0047】
[0068]一部の実施形態では、本方法は、LALタンパク質をコードするSECプレmRNAを有する対象の細胞によるLALタンパク質の発現を増加させる方法であり、対象は、LALタンパク質の量又は活性の欠損により引き起こされるCESDを有し、LALタンパク質の量の欠損は、常染色体劣性遺伝により引き起こされる。そのような実施形態では、対象は、c.984G>A変異を有する第1の対立遺伝子、及びLALタンパク質が産生されない第2の対立遺伝子を有する。別のそのような実施形態では、対象は、c.984G>A変異を有する第1の対立遺伝子、及び非機能性LALタンパク質をコードする
第2の対立遺伝子を有する。別のそのような実施形態では、対象は、c.984G>A変異を有する第1の対立遺伝子、及び部分的に機能性のLALタンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有する。別のそのような実施形態では、対象は、c.984G>A変異を有する第1の対立遺伝子、及びc.984G>A変異を有する第2の対立遺伝子を有する。これらの実施形態のいずれかにおいて、アンチセンスオリゴマーは、c.984G>A変異を有する対立遺伝子から転写されたSECプレmRNAの標的化部分に結合し、それにより、プレmRNAからのスキップ可能なエクソンのエクソンスキッピングを防止し、対象の細胞において機能性LALタンパク質をコードする成熟mRNAのレベルを増加させ、LALタンパク質の発現を増加させる。
【0048】
[0069]関連する実施形態では、本方法は、ASOを使用して機能性タンパク質又は機能性RNAの発現を増加させる方法である。一部の実施形態では、ASOは、LALタンパク質をコードするSECプレmRNAを有する対象の細胞においてLIPAタンパク質の発現を増加させるために使用され、対象は、LALタンパク質の量又は機能に欠損を有する、例えばCESDを有する。
【0049】
[0070]一部の実施形態では、疾患又は病態の原因となるタンパク質をコードするSECプレmRNA転写産物は、本明細書に記載のASOにより標的にされる。一部の実施形態では、疾患の原因とならないタンパク質をコードするSECプレmRNA転写産物が、ASOにより標的にされる。例えば、特定の経路において第1のタンパク質の変異又は欠損の結果として生じる疾患は、第2のタンパク質をコードするプレmRNAを含有するNIEを標的にすることにより改善され、それにより、第2のタンパク質の産生を増加させ得る。一部の実施形態では、第2のタンパク質の機能は、第1のタンパク質の変異又は欠損(疾患又は病態の原因である)を代償することができる。
【0050】
[0071]一部の実施形態では、対象は、
(a)LALタンパク質が、野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生される、c.984G>A変異を有する第1の変異対立遺伝子、及び
(b)
(i)LALタンパク質が、c.984G>A変異に起因して、野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生される、
(ii)LALタンパク質が、野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生される、
(iii)LALタンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生される、又は
(iv)LALタンパク質が産生されない、
第2の変異対立遺伝子、
を有し、
SECプレmRNAは、c.984G>A変異を有する第1の対立遺伝子及び/又は第2の対立遺伝子から転写される。これらの実施形態では、ASOは、第1の対立遺伝子又は第2の対立遺伝子から転写されるSECプレmRNAの標的化部分に結合し、それにより、SECプレmRNからAのエクソン含有を促進させ、LALタンパク質をコードする全長mRNAのレベルの増加及び対象の細胞における標的タンパク質又は機能性RNAの発現の増加を引き起こす。これらの実施形態では、SECプレmRNAからのエクソン含有の結果として発現レベルが増加した標的タンパク質又は機能性RNAは、同等の野生型タンパク質(完全に機能性)と比較して完全に機能性である。
【0051】
[0072]一部の実施形態では、細胞を、LIPA SECプレmRNA転写産物の標的化部分と相補的なASOと接触させることにより、産生されるLALタンパク質の量は、ASOの非存在下/処理の非存在下で細胞により産生されるタンパク質の量と比較して、少
なくとも10、20、30、40、50、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、500、又は1000%増加する。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーを接触させた細胞により産生されるLALタンパク質の総量は、対照化合物により産生される標的タンパク質の量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約20%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーを接触させた細胞により産生されるLALタンパクの総量は、対照化合物により産生される標的タンパク質の量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する。対照化合物は、例えば、プレmRNAの標的化部分に相補的でないオリゴヌクレオチドであり得る。
【0052】
[0073]一部の実施形態では、LALタンパク質をコードするmRNAのレベルは、対照細胞において、例えば、アンチセンスオリゴマーで処理されていない細胞、又はLIPA
SECプレmRNAの標的化部分に結合しないアンチセンスオリゴマーで処理された細胞において産生されるLALタンパク質をコードするmRNAの量と比較して、1.1~10倍増加する。
【0053】
[0074]一部の実施形態では、LALタンパク質をコードするmRNAのレベルは、対照細胞において、例えば、アンチセンスオリゴマーで処理されていない細胞、又はLIPA
SECプレmRNAの標的化部分に結合しないアンチセンスオリゴマーで処理された細胞において産生されるLALタンパク質をコードするmRNAの量と比較して、1.1~10倍増加する。
【0054】
[0075]本発明の一部の実施形態では、対象はLIPAに変異を有することがある。ミスセンスバリアント、ナンセンスバリアント、1塩基及び2塩基の挿入及び欠失、複合挿入/欠失、並びにスプライス部位バリアントを含めた様々な病原性バリアントが、LAL欠損を引き起こすことが報告されている。CESDを生じる最も一般的な病原性バリアントであるc.894G>aは、5’スプライス部位に関連するエクソン8の-1eにおいてGからAへの転移を伴い、正常なドナースプライスコンセンサス配列を破壊する。典型的には、これは選択的スプライシングを生じ、次いでエクソン8のスキッピングを生じる。この病原性バリアントの存在下では、およそ2%~5%の転写産物が正確にスプライスされ、酵素活性の残存を可能にする。LALの触媒活性部位は、アミノ酸残基Ser153、Asp324、及びHis353から構成される。活性部位のセリンは、β鎖をαヘリックスに接続させるリパーゼコンセンサス配列の一部であり、これは求核性屈曲(nucleophilic elbow)として知られており、適切に方向づけされた複合体における求核剤、ヒスチジン、及びエステル炭素の相互作用を容易にする。疾患は、短鎖型タンパク質又は立体配座の変更若しくは活性の低減を有するタンパク質を生成するLIPA病原性バリアントにより引き起こされる、LALの機能喪失により生ずる
[0076]一部の実施形態では、当該技術分野に公知であり上に記載された任意のLIPA変異を有する対象は、本明細書に記載の方法及び組成物を使用して処置することができる。一部の実施形態では、変異は任意のLIPAイントロン又はエクソンにある。一部の実施形態では、変異はLIPAエクソン8にある。
【0055】
エクソンスキッピング
[0077]本明細書に使用される場合、「スキップ可能なエクソン含有」又は「SECプレmRNA」は、少なくとも1個のスキップ可能なエクソンを含有するプレmRNA転写産物である。SECプレmRNAの選択的又は異常なスプライシングは、成熟mRNA転写産物において少なくとも1個のスキップ可能なエクソンのスキッピングを生じることがある。用語「成熟mRNA」及び「完全にスプライシングされたmRNA」は、完全にプロセシングされたmRNAを記載するために、本明細書において交換可能に使用される。少なくとも1個のスキップ可能なエクソンのスキッピングは、非生産的mRNAを生じることがある。成熟mRNAは、異常なタンパク質発現をもたらすこともある。
【0056】
[0078]エクソンスキッピングの程度は、エクソンスキッピングの%、例えば、所定のエクソンがスキップされている転写産物の百分率として表すことができる。簡潔には、エクソンスキッピングの%は、エクソンスキッピングを有するRNA転写産物の量の平均とエクソン含有RNA転写産物の量の平均との合計に対する、エクソンがスキップしたRNA転写産物の量の百分率として計算することができる。
【0057】
[0079]一部の実施形態では、スキップされたエクソンは、RNA転写産物からの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、又は少なくとも約50%の除去の決定に基づいて、スキップされたエクソンとして確認されるエクソンである。一部の実施形態では、スキップされたエクソンは、RNA転写産物からの少なくとも約5%~約100%、約5%~約95%、約5%~約90%、約5%~約85%、約5%~約80%、約5%~約75%、約5%~約70%、約5%~約65%、約5%~約60%、約5%~約55%、約5%~約50%、約5%~約45%、約5%~約40%、約5%~約35%、約5%~約30%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約10%~約100%、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約15%~約100%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約20%~約100%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約25%~約100%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、又は約25%~約35%の除去の決定に基づいて、スキップされたエクソンとして確認されるエクソンである。ENCODEデータ(例えば、Tilgner, et al., 2012, “Deep sequencing of subcellular RNA fractions shows splicing to be predominantly co-transcriptional in the
human genome but inefficient for lncRNAs,” Genome Research 22(9): 1616-25を参
照)を使用して、エクソンスキッピングの確認を補助することができる。
【0058】
[0080]一部の実施形態では、細胞を、LIPAプレmRNA転写産物の標的化部分と相補的なASOと接触させることにより、ASOの非存在下/処理の非存在下で細胞により産生されるタンパク質の量と比較して、産生されるLALタンパク質の量が少なくとも10、20、30、40、50、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、500、又は1000%増加する。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞により産生されるLALタンパク質の総量は、対照化合物により産生される標的タンパク質の量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約20%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞により産生されるLALタンパクの総量は、対照化合物により産生される標的タンパク質の量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する。対照化合物は、例えば、プレmRNAの標的化部分に相補的でないオリゴヌクレオチドであり得る。
【0059】
[0081]一部の実施形態では、細胞を、LIPAプレmRNA転写産物の標的化部分と相補的なASOと接触させることにより、標的タンパク質をコードする成熟mRNAを含めたLALをコードするmRNAの量が増加する。一部の実施形態では、LALタンパク質をコードするmRNA又はLALタンパク質をコードする成熟mRNAの量は、ASOの非存在下/処理の非存在下で細胞により産生されるタンパク質の量と比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、500、又は1000%増加する。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞内で産生されるLALタンパク質をコードするmRNA又はLALタンパク質をコードする成熟mRNAの総量は、未処理細胞において、例えば、未処理細胞又は対照化合物により処理される細胞において産生される成熟RNAの量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約20%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞内で産生されるLALタンパク質をコードするmRNA又はLALタンパク質をコードする成熟mRNAの総量は、未処理細胞において、例えば、未処理細胞又は対照化合物により処理される細胞において産生される成熟RNAの量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約1
0倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する。対照化合物は、例えば、LIPA SECプレmRNAの標的化部分に相補的でないオリゴヌクレオチドであり得る。
【0060】
治療剤
[0082]本開示の様々な実施形態では、治療剤を含む組成物及び方法が、LALのタンパク質の発現レベルを調節するために提供される。一部の実施形態では、LIPAプレmRNAの選択的スプライシングを調節する組成物及び方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、LIPAプレmRNAのスプライシングにおけるエクソンスキッピングを防止する、例えば、LIPAプレmRNAのスプライシングの際にエクソンのスキッピングを防止する組成物及び方法が本明細書に提供される。
【0061】
[0083]本明細書に開示の治療剤は、エクソンスキッピング抑制剤であり得る。一部の実施形態では、治療剤はポリ核酸ポリマーを含んでもよい。
[0084]本開示の1つの態様によると、機能性LALタンパク質欠損に関連する病態を処置又は予防する方法が本明細書に提供され、この方法は、エクソンスキッピング抑制剤を対象に投与して、機能性LALタンパク質のレベルを増加させることを含み、この薬剤は、プレmRNA転写産物のある領域に結合して成熟転写産物におけるエクソンのスキッピングを減少させる。例えば、機能性LALタンパク質欠損に関連する病態を処置又は予防する方法が本明細書に提供され、この方法は、エクソンスキッピング抑制剤を対象に投与して、機能性LALタンパク質のレベルを増加させることを含み、この薬剤は、プレmRNA転写産物のエクソン又はイントロンのある領域に(例えば、ヒトLIPA遺伝子のエクソン8、イントロン7、又はイントロン8)に結合する。
【0062】
[0085]成熟mRNAにおけるエクソンスキッピングの低減に言及する場合、低減は、完全なもの、例えば100%であっても、部分的なものであってもよい。低減は、臨床的に有意なものであり得る。低減/修正は、処置を受けていない対象におけるエクソンスキッピングのレベルと比べたもの、又は同様の対象の集団におけるエクソンスキッピングの量と比べたものであり得る。低減/修正は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも10%少ないエクソンスキッピングであり得る。低減は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも20%少ないエクソンスキッピングであり得る。低減は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも40%少ないエクソンスキッピングであり得る。低減は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも50%少ないエクソンスキッピングであり得る。低減は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも60%少ないエクソンスキッピングであり得る。低減は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも80%少ないエクソンスキッピングであり得る。低減は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも90%少ないエクソンスキッピングであり得る。
【0063】
[0086]機能性LALタンパク質の増加に言及する場合、増加は臨床的に有意なものであり得る。増加は、処置を受けていない対象における機能性LALタンパク質のレベルと比べたもの、又は同様の対象の集団における機能性LALタンパク質の量と比べたものであり得る。増加は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも10%多い機能性LALタンパク質であり得る。増加は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも20%多い機能性LALタンパク質であり得る。増加は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも40%多い機能性LALタンパク質であり得る。増加は、平均的対象
又は処置前の対象と比べて、少なくとも50%多い機能性LALタンパク質であり得る。増加は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも80%多い機能性LALタンパク質であり得る。増加は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも100%多い機能性LALタンパク質であり得る。増加は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも200%多い機能性LALタンパク質であり得る。増加は、平均的対象又は処置前の対象と比べて、少なくとも500%多い機能性LALタンパク質であり得る。
【0064】
[0087]エクソンスキッピング抑制剤がポリ核酸ポリマーを含む実施形態では、ポリ核酸ポリマーの長さは約50ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約45ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約40ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約35ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約30ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約24ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約25ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約20ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約19ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約18ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約17ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約16ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約15ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約14ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約13ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約12ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約11ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約10ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約10~約50ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約10~約45ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約10~約40ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約10~約35ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約10~約30ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約10~約25ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約10~約20ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約15~約25ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約15~約30ヌクレオチドであり得る。ポリ核酸ポリマーの長さは約12~約30ヌクレオチドであり得る。
【0065】
[0088]ポリ核酸ポリマーの配列は、mRNA転写産物、例えば、部分的にプロセシングされたmRNA転写産物の標的配列に少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%の相補性があり得る。ポリ核酸ポリマーの配列は、プレmRNA転写産物の標的配列に100%の相補性があり得る。
【0066】
[0089]ポリ核酸ポリマーの配列は、プレmRNA転写産物の標的配列に対して4個以下のミスマッチを有することができる。ポリ核酸ポリマーの配列は、プレmRNA転写産物の標的配列に対して3個以下のミスマッチを有することができる。ポリ核酸ポリマーの配列は、プレmRNA転写産物の標的配列に対して2個以下のミスマッチを有することができる。ポリ核酸ポリマーの配列は、プレmRNA転写産物の標的配列に対して1個以下のミスマッチを有することができる。ポリ核酸ポリマーの配列は、プレmRNA転写産物の標的配列に対してミスマッチを有さないことがある。
【0067】
[0090]一部の実施形態では、ポリ核酸ポリマーは、プレmRNA転写産物の標的配列に特異的にハイブリダイズすることができる。例えば、ポリ核酸ポリマーは、プレmRNA転写産物の標的配列に91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列相補性を有することができる。ハイブリダイゼーションは、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下であり得る。
【0068】
[0091]ポリ核酸ポリマーは、配列番号5~63から成る群より選択される配列に、少な
くとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%の配列同一性を有することができる。ポリ核酸ポリマーは、配列番号5~63から成る群より選択される配列に100%配列同一性の配列を有することができる。
【0069】
[0092]ポリ核酸ポリマー配列に言及する場合、当業者は、標的配列にハイブリダイズする能力、又は置換が標的配列内にある場合は標的配列として認識される能力を維持するような、1個以上の置換が配列において許容され得ること、場合により2個の置換が許容され得ることを理解する。配列同一性への参照は、標準/デフォルトパラメーターを使用するBLAST配列アラインメントにより決定することができる。例えば、配列は99%の同一性を有し、依然として本開示による機能を有することができる。他の実施形態では、配列は98%の同一性を有し、依然として本開示による機能を有することができる。別の実施形態では、配列は95%の同一性を有し、依然として本開示による機能を有することができる。別の実施形態では、配列は90%の同一性を有し、依然として本開示による機能を有することができる。
【0070】
アンチセンスオリゴマー
[0093]LIPA SECプレmRNAの標的化部分に結合することによりエクソンスキッピングを防止するアンチセンスオリゴマーを含む組成物が本明細書に提供される。本明細書に使用される場合、用語「ASO」及び「アンチセンスオリゴマー」は、交換可能に使用され、ワトソンクリック塩基対形成又はゆらぎ塩基対形成(G-U)により、標的核酸(例えば、LIPA SECプレmRNA)配列にハイブリダイズする核酸塩基を含むポリヌクレオチドなどのオリゴマーを表す。ASOは、標的配列に対して正確な配列相補性又は近相補性(例えば、標的配列に結合して、スプライス部位でのスプライシングを増強するのに十分な相補性)を有することができる。ASOは、標的核酸(例えば、プレmRNA転写産物の標的化部分)に結合(ハイブリダイズ)し、生理学的条件下でハイブリダイズしたままであるように設計される。典型的には、目的の(標的化)核酸配列以外の部位にハイブリダイズする場合は、標的核酸ではない限定された数の配列(標的核酸以外の数個の部位)にハイブリダイズする。ASOの設計は、ASOが他の部位に結合し、「的外れの」効果を引き起こす可能性が制限されるように、プレmRNA転写産物の標的化部分の核酸配列、又はゲノム若しくは細胞内プレmRNA若しくはトランスクリプトームの他の位置にある十分に類似した核酸配列の発生を考慮に入れることができる。当該技術分野において、例えば、本明細書に援用される、WO2015/035091として公開されたPCT出願であるPCT/US2014/054151、表題“Reducing
Nonsense-Mediated mRNA Decay,”において公知の任意のアンチセンスオリゴマーを使用して、本明細書に記載の方法を実施することができる。
【0071】
[0094]一部の実施形態では、ASOは、標的核酸又はRICプレmRNAの標的化部分に「特異的にハイブリダイズする」か又は「特異的」である。典型的には、そのようなハイブリダイゼーションは、37℃より実質的に高いT、好ましくは少なくとも50℃、典型的には60℃~およそ90℃で生ずる。そのようなハイブリダイゼーションは、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に相当する。Tは、所定のイオン強度及びpHにおいて、50%の標的配列が相補的オリゴヌクレオチドとハイブリダイズする温度である。
【0072】
[0095]オリゴヌクレオチドなどのオリゴマーは、2個の1本鎖ポリヌクレオチド間の逆平行立体配置においてハイブリダイゼーションが生ずるときは互いに「相補的」である。2本鎖ポリヌクレオチドは、第1のポリヌクレオチドの一方の鎖と第2のポリヌクレオチドの一方の鎖との間にハイブリダイゼーションが起こり得る場合に、別のポリヌクレオチドと「相補的」であり得る。相補性(1個のポリヌクレオチドが別のポリヌクレオチドと
相補的である程度)は、一般に受け入れられている塩基対形成規則に従って互いに水素結合を形成すると予測される、互いに異なる向きの鎖にある塩基の割合(例えば百分率)に関して定量化可能である。アンチセンスオリゴマー(ASO)の配列がハイブリダイズするには、標的核酸の配列と100%相補性である必要はない。ある特定の実施形態では、ASOは、標的にする標的核酸配列内の標的領域に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列相補性を含むことができる。例えば、オリゴマー化合物の20個の核酸塩基のうち18個が標的領域と相補性があり、したがって特異的にハイブリダイズするASOは、90%の相補性を表す。この例では、残りの非相補的核酸塩基は一緒にクラスターになっていても相補的核酸塩基に散在していてもよく、互いに連続している必要も相補的核酸塩基に近接している必要もない。ASOと標的核酸の領域との相補性%は、BLASTプログラム(basic local alignment search tools)及び当該技術分野に公知のPowerBLASTプログラム(Altschul, et al., J. Mol. Biol., 1990, 215, 403-410; Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649-656)を使用して日常的に決定することができる。
【0073】
[0096]ASOは、標的配列において全ての核酸塩基とハイブリダイズする必要はなく、ハイブリダイズする核酸塩基は連続していてもしていなくてもよい。ASOは、介在又は隣接セグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないように、プレmRNA転写産物の1以上のセグメントにハイブリダイズすることができる(例えば、ループ構造又はヘアピン構造が形成され得る)。ある特定の実施形態では、ASOは、標的プレmRNA転写産物の非連続核酸塩基とハイブリダイズする。例えば、ASOは、ASOがハイブリダイズしない1個以上の核酸塩基によって隔てられた、プレmRNA転写産物中の核酸塩基にハイブリダイズすることができる。
【0074】
[0097]本明細書に記載のASOは、SECプレmRNAの標的部分に存在する核酸塩基に相補的である核酸塩基を含む。ASOという用語は、標的mRNA上の相補的な核酸塩基とハイブリダイズ可能な核酸塩基を含むが、ペプチド核酸(PNA)のような糖部分を含まない、オリゴヌクレオチド及び任意の他のオリゴマー分子を包含する。ASOは、天然に生じるヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、修飾ヌクレオチド、又はそれらの2つか3つの任意の組合せを含むことができる。用語「天然に生じるヌクレオチド」には、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドが含まれる。用語「修飾ヌクレオチド」には、修飾若しくは置換糖基を有し、及び/又は修飾骨格を有するヌクレオチドが含まれる。一部の実施形態では、ASOの全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。本明細書に記載の方法及び組成物に適合するASO又はASOの構成成分の化学修飾は、当業者に明白であり、例えば、本明細書にその全体が援用される、米国特許第8,258,109B2号、米国特許第5,656,612号、米国特許出願公開第2012/0190728号、及びDias and Stein, Mol. Cancer Ther. 2002 ,347-355に見出すことができる。
【0075】
[0098]ASOの1個以上の核酸塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、及びウラシルなどの任意の天然に生じる非修飾核酸塩基、又は標的プレmRNAに存在する核酸塩基と水素結合可能であるような、非修飾核酸塩基と十分に類似している任意の合成若しくは修飾核酸塩基であり得る。修飾核酸塩基の例としては、限定されるものではないが、ヒポキサンチン、キサンチン、7-メチルグアニン、5、6-ジヒドロウラシル、5-メチルシトシン、及び5-ヒドロキシメトイルシトシンが挙げられる。
【0076】
[0099]本明細書に記載のASOは、オリゴマーの構成成分を接続する骨格構造も含む。用語「骨格構造」及び「オリゴマー連結」は交換可能に使用することができ、ASOのモノマー間の接続を表す。天然に生じるオリゴヌクレオチドでは、骨格は、オリゴマーの糖部分を接続する3’-5’ホスホジエステル連結を含む。本明細書に記載のASOの骨格
構造又はオリゴマー連結には(限定されるものではないが)、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホラニラデート(phosphoraniladate)、ホスホロアミデートなどが含まれ得る。例えば、LaPlanche, et al., Nucleic Acids Res. 14: 9081 (1986);Stec, et al., J. Am. Chem. Soc. 106: 6077 (1984);Stein, et al., Nucleic Acids Res. 16: 3209 (1988);Zon, et al., Anti Cancer Drug Design 6: 539 (1991);Zon, et al. ,Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, Oxford England (1991));Stec, et al.、米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman, Chemical Reviews 90:
543 (1990)を参照。一部の実施形態では、ASOの骨格構造は、リンを含有せず、むし
ろ、例えば、ペプチド核酸(PNA)におけるペプチド結合、又はカルバメート、アミド、並びに直鎖及び環状の炭化水素基を含めた連結基を含有する。一部の実施形態では、骨格修飾はホスホチオエート連結である。一部の実施形態では、骨格修飾はホスホロアミデート連結である。
【0077】
[0100]一部の実施形態では、ASO骨格のリンのヌクレオチド間連結のそれぞれの立体化学はランダムである。一部の実施形態では、ASO骨格のリンのヌクレオチド間連結のそれぞれの立体化学は、制御されており、ランダムではない。例えば、本明細書に援用される、米国特許出願公開第2014/0194610号、“Methods for the Synthesis of Functionalized Nucleic Acids”は、核酸オリゴマーにおける各リン原子のキラリテ
ィーの掌性を独立して選択する方法を記載する。一部の実施形態では、限定されるものではないが、表3に記載のASOのいずれかを含めた本発明の方法に使用されるASOは、ランダムではないリンのヌクレオチド間連結を有するAOSを含む。一部の実施形態では、本発明の方法に使用される組成物は、純粋なジアステレオマーASOを含む。一部の実施形態では、本発明の方法に使用される組成物は、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、約100%、約90%~約100%、約91%~約100%、約92%~約100%、約93%~約100%、約94%~約100%、約95%~約100%、約96%~約100%、約97%~約100%、約98%~約100%、又は約99%~約100%のジアステレオマー純度を有するASOを含む。
【0078】
[0101]一部の実施形態では、ASOは、リンのヌクレオチド間連結において、Rp及びSp立体配置の非ランダム混合物を有する。例えば、良好な活性とヌクレアーゼ安定性とのバランスを達成するには、アンチセンスオリゴマーにRpとSpのミックスが必要であることが示唆されている(Wan, et al., 2014, “Synthesis, biophysical properties and biological activity of second generation antisense oligonucleotides containing chiral phosphorothioate linkages, ”Nucleic Acids Research 42 (22): 13456-13468、本明細書に援用される)。一部の実施形態では、限定されるものではないが、表3に
記載のASOのいずれかを含めた本発明の方法に使用されるASOは、約5~100%のRp、少なくとも約5%のRp、少なくとも約10%のRp、少なくとも約15%のRp、少なくとも約20%のRp、少なくとも約25%のRp、少なくとも約30%のRp、少なくとも約35%のRp、少なくとも約40%のRp、少なくとも約45%のRp、少なくとも約50%のRp、少なくとも約55%のRp、少なくとも約60%のRp、少なくとも約65%のRp、少なくとも約70%のRp、少なくとも約75%のRp、少なくとも約80%のRp、少なくとも約85%のRp、少なくとも約90%のRp、又は少なくとも約95%のRpを含み、残りはSpであるか、あるいは約100%のRpを含む。一部の実施形態では、限定されるものではないが、表3に記載のASOのいずれかを含めた本発明の方法に使用されるASOは、約10%~約100%のRp、約15%~約100%のRp、約20%~約100%のRp、約25%~約100%のRp、約30%~約
100%のRp、約35%~約100%のRp、約40%~約100%のRp、約45%~約100%のRp、約50%~約100%のRp、約55%~約100%のRp、約60%~約100%のRp、約65%~約100%のRp、約70%~約100%のRp、約75%~約100%のRp、約80%~約100%のRp、約85%~約100%のRp、約90%~約100%のRp、約95%~約100%のRp、約20%~約80%のRp、約25%~約75%のRp、約30%~約70%のRp、約40%~約60%のRp、又は約45%~約55%のRpを含み、残りはSpである。
【0079】
[0102]ある実施形態では、限定されるものではないが、表3に記載のASOのいずれかを含めた本発明の方法に使用されるASOは、約5~100%のSp、少なくとも約5%のSp、少なくとも約10%のSp、少なくとも約15%のSp、少なくとも約20%のSp、少なくとも約25%のSp、少なくとも約30%のSp、少なくとも約35%のSp、少なくとも約40%のSp、少なくとも約45%のSp、少なくとも約50%のSp、少なくとも約55%のSp、少なくとも約60%のSp、少なくとも約65%のSp、少なくとも約70%のSp、少なくとも約75%のSp、少なくとも約80%のSp、少なくとも約85%のSp、少なくとも約90%のSp、又は少なくとも約95%のSpを含み、残りはRpであるか、あるいは約100%のSpを含む。一部の実施形態では、限定されるものではないが、表3に記載されているASOのいずれかを含めた本発明の方法に使用されるASOは、約10%~約100%のSp、約15%~約100%のSp、約20%~約100%のSp、約25%~約100%のSp、約30%~約100%のSp、約35%~約100%のSp、約40%~約100%のSp、約45%~約100%のSp、約50%~約100%のSp、約55%~約100%のSp、約60%~約100%のSp、約65%~約100%のSp、約70%~約100%のSp、約75%~約100%のSp、約80%~約100%のSp、約85%~約100%のSp、約90%~約100%のSp、約95%~約100%のSp、約20%~約80%のSp、約25%~約75%のSp、約30%~約70%のSp、約40%~約60%のSp、又は約45%~約55%のSpを含み、残りはRpである。
【0080】
[0103]本明細書に記載されているいずれかのASOは、天然に生じるヌクレオチドに存在するようなリボース若しくはデオキシリボースを含む糖部分、又はモルホリン環を含めた修飾糖部分若しくは糖類似体を含有することができる。修飾糖部分の非限定例としては、2’-O-メチル(2’-O-Me)、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)、2’-O-アミノエチル、2’F、N3’→P5’ホスホロアミデート、2’ジメチルアミノオキシエトキシ、2’ジメチルアミノエトキシエトキシ、2’-グアニジニジウム、2’-O-グアニジニウムエチル、カルバメート修飾糖、及び2環式修飾糖などの2’置換体が挙げられる。一部の実施形態では、糖部分の修飾は、2’-O-Me、2’F、及び2’MOEから選択される。一部の実施形態では、糖部分の修飾は、ロックド核酸(LNA)におけるような余分な架橋結合である。一部の実施形態では、糖類似体は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)のようなモルホリン環を含有する。一部の実施形態では、糖部分は、リボフラノシル(ribofuransyl)又は2’デオキシリボフラノシル(deoxyribofuransyl)修飾を含む。一部の実施形態では、糖部分は、2’4’拘束(constrained)2’O-メチルオキシエチル(cMOE)修飾を含む。一部の実施形態では、糖部分は、cEt 2’、4’拘束2’-O-エチルBNA修飾を含む。一部の実施形態では、糖部分は、トリシクロDNA(tcDNA)修飾を含む。一部の実施形態では、糖部分は、エチレン核酸(ENA)修飾を含む。一部の実施形態では、糖部分は、MCE修飾を含む。修飾は、当該技術分野において公知であり、文献、例えばこの目的で本明細書に援用されるJarver, et al., 2014, “A Chemical View of Oligonucleotides for Exon Skipping and Related Drug Applications, ”Nucleic Acid Therapeutics 24 (1): 37-47に記載されている。
【0081】
[0104]一部の実施形態では、ASOの各モノマーは同じように修飾され、例えばASOの骨格の各連結はホスホロチオエート連結を含み、又は各リボース糖部分は2’O-メチル修飾を含む。ASOのモノマー構成成分のそれぞれに存在するそのような修飾は、「均一修飾」と称される。一部の実施形態では、異なる修飾の組合せが望ましいこともあり、例えば、ASOは、ホスホロジアミデート連結と、モルホリン環(モルホリノ)を含む糖部分との組合せを含んでもよい。ASOにおける異なる修飾の組合せは、「混合型修飾」又は「混合型化学」と称される。
【0082】
[0105]一部の実施形態では、ASOは1個以上の骨格修飾を含む。一部の実施形態では、ASOは1個以上の糖部分修飾を含む。一部の実施形態では、ASOは、1個以上の骨格修飾及び1個以上の糖部分修飾を含む。一部の実施形態では、ASOは、2’MOE修飾及びホスホロチオエート骨格を含む。一部の実施形態では、ASOはホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)を含む。一部の実施形態では、ASOはペプチド核酸(PNA)を含む。本明細書に記載のASOのいずれか、又はASOの任意の構成成分(例えば、核酸塩基、糖部分、骨格)は、ASOの所望の特性若しくは活性を達成するため、又はASOの望ましくない特性若しくは活性を低減するために修飾され得る。一部の実施形態では、ASO又は任意のASOの1以上の構成成分は、プレmRNA転写産物上の標的配列への結合親和性を増強するため;任意の非標的配列への結合を低減させるため;細胞内ヌクレアーゼ(すなわちRNアーゼH)による分解を低減させるため;細胞及び/又は細胞核へのASOの取り組みを改善するため:ASOの薬物動態又は薬力学を変更するため、及びASOの半減期を調節するために修飾され得る。
【0083】
[0106]一部の実施形態では、ASOは、2’-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ホスホロチオエート修飾ヌクレオチドで構成される。そのようなヌクレオチドで構成されるASOは、本明細書に記載の方法にとりわけ好適であり、そのような修飾を有するオリゴマーは、ヌクレアーゼ分解に対する抵抗性が有意に増強され、バイオアベイラビリティが増加することが示されており、例えば、本明細書に記載の一部の実施形態では、経口送達に適したものになる。例えば、Geary, et al., J Pharmacol Exp Ther. 2001; 296 (3): 890-7;Geary, et al., J Pharmacol Exp Ther. 2001; 296 (3): 898-904を参照。
【0084】
[0107]ASOを合成する方法は当業者に公知である。代替的に又は追加として、ASOは商業的供給源から得ることができる。
[0108]他に特定されない限り、1本鎖核酸(例えば、プレmRNA転写産物、オリゴヌクレオチド、ASOなど)配列の左側末端は5’末端であり、1本鎖又は2本鎖核酸配列の左側方向は、5’方向と称される。同様に、核酸配列(1本鎖又は2本鎖)の右側末端又は右側方向は、3’末端又は3’方向である。一般に、核酸の基点に対して5’の領域又は配列は「上流」と称され、核酸の基点に対して3’の領域又は配列は「下流」と称さばれる。一般に、mRNAの5’方向又は5’末端は開始コドンが位置し、3’末端又は3’方向は終止コドンが位置する。一部の実施形態では、核酸の基点の上流にあるヌクレオチドには負数が指定され、一方、基点の下流にあるヌクレオチドには正数が指定される。例えば、基点(例えば、mRNAにおけるエクソン-エクソンジャンクション)には「ゼロ」部位が指定され、基点に直接隣接して上流にあるヌクレオチドには「マイナス1」、例えば「-1」が指定され、一方、基点に直接隣接して下流にあるヌクレオチドには、「プラス1」、例えば「+1」が指定される。
【0085】
[0109]一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNAのスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位の下流(3’方向)(例えば、5’スプライス部位に対して正数が指定される方向)にあるLIPA SECプレmRNAの標的化部分に相補的である(そして結合する)。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して約+6~約+500の領域内にあるLIPA SECプレm
RNAの標的化部分に相補的である。一部の実施形態では、ASOは、5’スプライス部位に対して+1~+5のヌクレオチド(5’スプライス部位の下流に位置する最初の5ヌクレオチド)に相補的ではない。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+100の領域内にあるLIPA SECプレmRNAの標的化部分に相補的であり得る。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して、約+6~約+500、約+6~約+490、約+6~約+480、約+6~約+470、約+6~約+460、約+6~約+450、約+6~約+440、約+6~約+430、約+6~約+420、約+6~約+410、約+6~約+400、約+6~約+390、約+6~約+380、約+6~約+370、約+6~約+360、約+6~約+350、約+6~約+340、約+6~約+330、約+6~約+320、約+6~約+310、約+6~約+300、約+6~約+290、約+6~約+280、約+6~約+270、約+6~約+260、約+6~約+250、約+6~約+240、約+6~約+230、約+6~約+220、約+6~約+210、約+6~約+200、約+6~約+190、約+6~約+180、約+6~約+170、約+6~約+160、約+6~約+150、約+6~約+140、約+6~約+130、約+6~約+120、約+6~約+110、約+6~約+100、約+6~約+90、約+6~約+80、約+6~約+70、約+6~約+60、約+6~約+50、約+6~約+40、約+6~約+30、又は約+6~約+20の領域内にある標的化部分に相補的である。
【0086】
[0110]一部の実施形態では、ASOは、LIPA SECプレmRNAのスキップ可能なエクソンの3’スプライス部位の上流(5’方向)(例えば、3’スプライス部位に対して負数が指定される方向)にあるLIPA SECプレmRNAの標的化部分に相補的である(そして結合する)。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して約-16~約-500の領域内にあるLIPA SECプレmRNAの標的化部分に相補的である。一部の実施形態では、ASOは、5’スプライス部位に対して-1~-15のヌクレオチド(5’スプライス部位の下流に位置する最初の5ヌクレオチド)に相補的ではない。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して約-16~-100のヌクレオチドの領域内にあるLIPA SECプレmRNAの標的化部分に相補的であり得る。一部の実施形態では、ASOは、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して、約+6~約+500、約+6~約+490、約+6~約+480、約+6~約+470、約+6~約+460、約+6~約+450、約+6~約+440、約+6~約+430、約+6~約+420、約+6~約+410、約+6~約+400、約+6~約+390、約+6~約+380、約+6~約+370、約+6~約+360、約+6~約+350、約+6~約+340、約+6~約+330、約+6~約+320、約+6~約+310、約+6~約+300、約+6~約+290、約+6~約+280、約+6~約+270、約+6~約+260、約+6~約+250、約+6~約+240、約+6~約+230、約+6~約+220、約+6~約+210、約+6~約+200、約+6~約+190、約+6~約+180、約+6~約+170、約+6~約+160、約+6~約+150、約+6~約+140、約+6~約+130、約+6~約+120、約+6~約+110、約+6~約+100、約+6~約+90、約+6~約+80、約+6~約+70、約+6~約+60、約+6~約+50、約+6~約+40、約+6~約+30、又は約+6~約+20の領域内にある標的化部分に相補的である。
【0087】
[0111]一部の実施形態では、LIPA SECプレmRNAの標的化部分は、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位(5’末端)に対して-4eからスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位(3’末端)に対して+2eまでの領域内にある。
【0088】
[0112]ASOは、特異的結合及びスプライシングの有効な増強に適した任意の長さのも
のであり得る。一部の実施形態では、ASOは、8~50個の核酸塩基から成る。例えば、ASOの長さは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、45、又は50核酸塩基であり得る。一部の実施形態では、ASOは、50核酸塩基を超える核酸塩基から成る。一部の実施形態では、ASOの長さは、8~50核酸塩基、8~40核酸塩基、8~35核酸塩基、8~30核酸塩基、8~25核酸塩基、8~20核酸塩基、8~15核酸塩基、9~50核酸塩基、9~40核酸塩基、9~35核酸塩基、9~30核酸塩基、9~25核酸塩基、9~20核酸塩基、9~15核酸塩基、10~50核酸塩基、10~40核酸塩基、10~35核酸塩基、10~30核酸塩基、10~25核酸塩基、10~20核酸塩基、10~15核酸塩基、11~50核酸塩基、11~40核酸塩基、11~35核酸塩基、11~30核酸塩基、11~25核酸塩基、11~20核酸塩基、11~15核酸塩基、12~50核酸塩基、12~40核酸塩基、12~35核酸塩基、12~30核酸塩基、12~25核酸塩基、12~20核酸塩基、12~15核酸塩基、13~50核酸塩基、13~40核酸塩基、13~35核酸塩基、13~30核酸塩基、13~25核酸塩基、13~20核酸塩基、14~50核酸塩基、14~40核酸塩基、14~35核酸塩基、14~30核酸塩基、14~25核酸塩基、14~20核酸塩基、15~50核酸塩基、15~40核酸塩基、15~35核酸塩基、15~30核酸塩基、15~25核酸塩基、15~20核酸塩基、20~50核酸塩基、20~40核酸塩基、20~35核酸塩基、20~30核酸塩基、20~25核酸塩基、25~50核酸塩基、25~40核酸塩基、25~35核酸塩基、又は25~30核酸塩基である。一部の実施形態では、ASOの長さは15ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ASOの長さは16ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ASOの長さは17ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ASOの長さは18ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ASOの長さは25ヌクレオチドである。
【0089】
[0113]一部の実施形態では、異なる化学を有するが、SECプレmRNAの同じ標的化部分に相補的である2以上のASOが使用される。一部の実施形態では、SECプレmRNAの異なる標的化部分に相補的である2以上のASOが使用される。
【0090】
[0114]一部の実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1以上の部分又はコンジュゲート、例えば、オリゴヌクレオチドの活性又は細胞内への取り込みを増強させる標的化部分又は他のコンジュゲートに化学的に連結する。そのような部分には、脂質部分、例えば、コレステロール部分、コレステリル部分、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール基若しくはウンデシル残基、ポリアミン若しくはポリエチレングリコール鎖、又はアダマンタン酢酸が含まれるが、これらに限定されない。親油性部分を含むオリゴヌクレオチド及び調製方法は、公開された文献に記載されている。ある実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、例えば、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N-Ac-グルコサミン(GluNAc)、若しくはマンノース(例えば、マンノース-6-ホスフェート)、脂質、又はポリ炭化水素化合物が含まれるが、これらに限定されない部分にコンジュゲートする。コンジュゲートは、当該技術分野において理解されており、文献に記載されているように、例えば、リンカーを使用して、糖、塩基、又はリン酸基上のいくつかの位置にアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む1以上の任意のヌクレオチドに連結することができる。リンカーには、2価又は3価分の岐リンカーが含まれ得る。ある実施形態では、コンジュゲートは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの3’末端に結合する。オリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製方法は、例えば、本明細書に援用される米国特許第8,450,467号、“Carbohydrate conjugates as delivery agents for oligonucleotides,”に記載されている。
【0091】
[0115]一部の実施形態では、ASOに標的にされる核酸は、真核細胞などの細胞内で発
現されたLIPA SECプレmRNAである。一部の実施形態では、用語「細胞」は、細胞の集団を表すことがある。一部の実施形態では、細胞は対象内にある。一部の実施形態では、細胞は対象から単離される。一部の実施形態では、細胞はex vivoにある。一部の実施形態では、細胞は、病態又は疾患に関連する細胞又は細胞株である。一部の実施形態では、細胞はin vitro(例えば細胞培養物中)にある。
【0092】
医薬組成物
[0116]記載の組成物の薬剤、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、記載の方法のいずれかに使用するための医薬組成物又は製剤は、医薬品産業に周知であり、公開された文献に記載されている慣用技術に従って調製することができる。ある実施形態では、対象を処置するための医薬組成物又は製剤は、本明細書に記載の任意のアンチセンスオリゴマー、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、若しくはエステルの有効量を含む。アンチセンスオリゴマーを含む医薬製剤は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を更に含むことができる。
【0093】
[0117]薬学的に許容される塩は、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応などを有することなくヒト及び下等動物の組織との接触に使用するのに適しており、妥当な利益/危険率に見合うものである。(例えば、この目的で本明細書に援用される、S .M. Berge, et al.,
J. Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19 (1977)を参照)。塩は、化合物の最終単離及び精製の際にin situで調製することも、遊離塩基と適切な有機酸との反応によって別個に調製することもできる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸と、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、又はマロン酸などの有機酸と形成されるか、あるいはイオン交換などの文書化された他の方法を使用することにより形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。代表的なアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。更なる薬学的に許容される塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、並びにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩など対イオンを使用して形成されたアミンカチオンが含まれる。
【0094】
[0118]一部の実施形態では、組成物は、限定されるものではないが錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、ソフトゲル剤、坐剤、及び浣腸剤などの多くの可能な剤形に処方される。一部の実施形態では、組成物は、水性、非水性、又は混合型媒体中の懸濁剤として処方される。水性懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/又はデキストランを含めた懸濁剤の粘稠度を増加する物質を更に含有してもよい。懸濁剤は安定剤を含有することもできる。一部の実施形態では、本発明の医薬製剤又は組成物には、液剤、乳剤、マイクロエマルション剤、フォーム剤、又はリポソーム含有製剤(例えばカチオン性又は非カチオン性リポソーム)が含まれるが、こ
れらに限定されない。
【0095】
[0119]本発明の医薬組成物又は製剤は、適切であれば、当業者に周知であるか又は公開文献に記載されている1以上の浸透増強剤、担体、賦形剤、又は他の活性若しくは不活性成分を含むことができる。一部の実施形態では、リポソームには、立体的に安定化されたリポソーム、例えば1以上の特定化された脂質を含むリポソームも含まれる。これらの特定化された脂質は、循環寿命が増強されたリポソームを生ずる。一部の実施形態では、立体的に安定化されたリポソームは、1以上の糖脂質を含むか、又はポリエチレングリコール(PEG)部分などの1以上の親水性ポリマーで誘導体化される。一部の実施形態では、界面活性剤が、医薬製剤又は組成物に含まれる。医薬品、製剤、及び乳剤における界面活性剤の使用は、当該技術分野において周知である。一部の実施形態では、本発明は、浸透増加剤を用いてアンチセンスオリゴヌクレオチドの効率的な送達を実施し、例えば、細胞膜を通過する拡散を助け及び/又は親油性薬物の浸透性を増強させる。一部の実施形態では、浸透増強剤は、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート化剤、又は非キレート性非界面活性剤である。
【0096】
[0120]一部の実施形態では、医薬製剤は、多数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、別の薬物又は治療剤と組み合わせて投与される。
【0097】
対象の処置
[0121]本明細書に提供されている組成物は、個体に投与することができる。「個体」は、「対象」又は「患者」と交換可能に使用され得る。個体は、哺乳動物、例えば、ヒト、又は非ヒト霊長類、齧歯類、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ロバ、ヤギ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、若しくはヒツジなどの動物であり得る。一部の実施形態では、個体はヒトである。一部の実施形態では、個体は、胎児、胚、又は小児である。他の実施形態では、個体は、植物などの別の真核生物であり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されている組成物は、細胞にex vivoで投与される。
【0098】
[0122]一部の実施形態では、本明細書に提供されている組成物は、疾患又は障害を処置する方法として個体に投与される。一部の実施形態では、個体は、本明細書に記載の疾患のいずれかのような遺伝子疾患を有する。一部の実施形態では、個体は、本明細書に記載の疾患のいずれかのような疾患を有する危険性がある。一部の実施形態では、個体は、タンパク質の不十分な量又はタンパク質の不十分な活性によって引き起こされる疾患又は障害を有する危険性が増加している。一部の実施形態では、個体が、タンパク質の不十分な量又はタンパク質の不十分な活性によって引き起こされる疾患又は障害を有する「危険性が増加している」場合、本方法は予防処置を伴う。例えば、個体は、疾患の家族歴のために、そのような疾患又は障害を有する危険が増加し得る。典型的には、そのような疾患又は障害を有する危険が増加している個体は、予防処置から(例えば、疾患又は障害の発症又は進行を防止又は遅延させることによって)恩恵を受ける。一部の実施形態では、胎児は、例えばASO組成物を胎児に直接的又は間接的に(例えば母体を介して)投与することにより、子宮において処置される。
【0099】
[0123]本発明のASOの適切な投与経路は、ASOの送達が望ましい細胞の種類に応じて変わり得る。多数の組織及び臓器がCESDによって影響を受ける可能性がある。一部の実施形態では、肝臓が最も有意に影響を受ける組織であり得る。本発明のASOは、例えば、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射により、患者に非経口投与され得る。
【0100】
エクソンスキッピングを防止する追加のASOを同定する方法
[0124]LIPA SECプレmRNAのエクソンスキッピングを防止するASOを同定又は決定する方法も、本開示の範囲内である。例えば、方法は、LIPA SECプレmRNAのエクソンスキッピングを防止するASOを同定又は決定することを含むことができる。プレmRNAの標的領域内の異なるヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするASOを、スクリーニングして、スキップ可能なエクソンの保持の程度を改善するASOを同定又は決定することができる。一部の実施形態では、ASOは、スプライシングサイレンサーの結合部位を遮断又は干渉することができる。当該技術分野に公知の任意の方法を用いて、スキップ可能なエクソンの標的領域にハイブリダイズしたときに所望の効果(例えば、エクソン含有、タンパク質又は機能性RNAの産生)を生ずるASOを同定(決定)することができる。これらの方法は、スキップ可能なエクソンに隣接するイントロン内の標的化領域に結合することによって、スキップ可能なエクソンのエクソンスキッピングを防止するASOを同定するために使用することもできる。使用し得る方法の例を以下に提供する。
【0101】
[0125]ASO「ウォーク」と称されるスクリーニングのラウンドは、プレmRNAの標的領域にハイブリダイズするように設計されたASOを使用して実施することができる。例えば、ASOウォークに使用されるASOは、スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位のおよそ100ヌクレオチ上流(例えば、標的/スキップ可能なエクソンの上流に位置するイントロンの配列部分)から、標的/スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位のおよそ100ヌクレオチド下流まで、及び/又はスキップ可能なエクソンの5’スプライス部位のおよそ100ヌクレオチ上流から、標的/スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位のおよそ100ヌクレオチド下流(例えば、標的/スキップ可能なエクソンの下流に位置するイントロンの配列部分)まで、5ヌクレオチドごとに並べることができる。例えば、長さ18ヌクレオチドの第1のASOは、標的/スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+23のヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするように設計することができる。第2のASOは、標的/スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+11~+28のヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするように設計される。ASOは、プレmRNAの標的部分をスパンするように設計される。一部の実施形態では、ASOは、より近接させて、例えば、1、2、3、又は4ヌクレオチドごとに並べることができる。更に、ASOは、5’スプライス部位の100ヌクレオチド下流から、3’スプライス部位の100ヌクレオチド上流まで並べることができる。一部の実施形態では、ASOは、3’スプライス部位の約572ヌクレオチド上流から、5’スプライス部位の約500ヌクレオチド下流まで並べることができる。一部の実施形態では、ASOは、3’スプライス部位の約500ヌクレオチド上流から、3’スプライス部位の約572ヌクレオチド下流まで並べることができる。
【0102】
[0126]1以上のASO、又は対照ASO(標的領域にハイブリダイズすることが予測されない配列であるスクランブル配列を有するASO)は、例えば、標的プレmRNA(例えば本明細書に記載のSECプレmRNA)を発現する疾患関連細胞株へのトランスフェクションによって送達される。ASOのそれぞれのエクソン保持効果は、当該技術分野に公知の任意の方法により、例えば、実施例に記載のように、スプライスジャンクションをスパンするプライマーを使用する逆転写酵素(RT)-PCRにより評価することができる。ASO処理細胞において、スキップ可能なエクソンを含有する領域をスパンするプライマーを使用して産生された、より長いRT-PCR産物の増加又は存在は、対照ASO処理細胞と比較して、スキップ可能なエクソンの保持が増強されたことを示している。一部の実施形態では、エクソン保持効率、又は保持されたスキップ可能なエクソンを含有するmRNAのエクソンがスキップされたmRNAに対する比は、本明細書に記載のASOを使用して改善することができる。標的プレmRNAによりコードされるタンパク質又は機能性RNAの量を評価して、各ASOが所望の効果(例えば機能性タンパク質産生の増強)を達成したかどうかを決定することもできる。ウエスタンブロッティング、フローサ
イトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、及びELISAなどの、タンパク質産生を評価及び/又は定量化する当該技術分野に公知の任意の方法を使用することができる。
【0103】
[0127]ASO「マイクロウォーク」と称される第2ラウンドのスクリーニングは、プレmRNAの標的領域にハイブリダイズするように設計されたASOを使用して実施することができる。ASOマイクロウォークに使用されるASOは、1ヌクレオチドごとに並べて、ASOとハイブリダイズしたときにエクソン保持を生ずるプレmRNAの核酸配列を更に洗練させる。
【0104】
[0128]標的のスキップ可能なエクソンの含有を促進させるASOにより規定される領域は、1ヌクレオチドごとに間隔が置かれているASO、並びにより長い、典型的には15~25ヌクレオチドのASOを包含するASO「マイクロウォーク」によって更に詳細に探索される。
【0105】
[0129]上記のASOウォークについて記載されたように、ASOマイクロウォークは、1以上のASO、又は対照ASO(標的領域にハイブリダイズすることが予測されない配列であるスクランブル配列を有するASO)を、例えば標的プレmRNAを発現する疾患関連細胞株へのトランスフェクションにより送達することによって実施される。それぞれのASOのスプライシング誘導効果は、当該技術分野に公知の任意の方法により、例えば、本明細書に記載されているように(例えば実施例を参照)、スキップ可能なエクソンをスパンするプライマーを使用する逆転写酵素(RT)-PCRにより評価することができる。ASO処理細胞において、スキップ可能なエクソンを含有する領域をスパンするプライマーを使用して産生された、より長いRT-PCR産物の増加又は存在は、対照ASO処理細胞と比較して、スキップ可能なエクソンの保持が増強されたことを示している。一部の実施形態では、エクソン保持効率、又は保持されたスキップ可能なエクソンを含有するmRNAのエクソンがスキップされたmRNAに対する比は、本明細書に記載のASOを使用して改善することができる。標的プレmRNAによりコードされるタンパク質又は機能性RNAの量を評価して、各ASOが所望の効果(例えば機能性タンパク質産生の増強)を達成したかどうかを決定することもできる。ウエスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、及びELISAなどの、タンパク質産生を評価及び/又は定量化する当該技術分野に公知の任意の方法を使用することができる。
【0106】
[0130]プレmRNAの領域にハイブリダイズしたときにエクソン含有及びタンパク質産生増加を生ずるASOは、動物モデル、例えば全長ヒト遺伝子がノックインされているトランスジェニックマウスモデルを使用してin vivoで、又は疾患のヒト化マウスモデルにおいて試験することができる。ASOの適切な投与経路は、ASOの送達が望ましい疾患及び/又は細胞の種類に応じて変わり得る。ASOは、例えば髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射により投与することができる。投与後、モデル動物の細胞、組織、及び/又は臓器を評価して、例えば、当該技術分野に公知であり、本明細書に記載の方法によりスプライシング(効率、比、程度)及びタンパク質産生を評価することによって、ASO処置の効果を決定することができる。動物モデルは、疾患又は疾患の重篤度の任意の表現型又は行動指標(behavioral indication)
でもあり得る。
【実施例0107】
[0131]本発明は、以下の実施例によって、より具体的に説明される。しかし本発明は、これらの実施例にいかようにも限定されるものではないことが理解されるべきである。
実施例1: LIPA転写産物におけるエクソンスキッピング事象のRT-PCRによる確認
[0132]RT-PCRを実施して、健康なドナー及びコレステリルエステル蓄積症(CE
SD)を有するドナーから得た線維芽細胞のLIPA遺伝子から産生された転写産物の長さの差異を明らかにした。正常な細胞は、エクソン8を保持するLIPA遺伝子のmRNA転写産物を産生し、全長活性型LALタンパク質を生じた。エクソン8がスキップしている場合、LIPA遺伝子における変異(c.894G>A)に起因してCESDが生じ、非機能型LALタンパク質が優勢的に発現される。正常及びCESD線維芽細胞のmRNA転写産物を、エクソン7及び9に隣接するプライマーを使用して増幅し、産生されたLIPA転写産物におけるエクソン8の存在又は非存在を検出した。次いでポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を使用して、得られたRT-PCR産物のサイズを示した。対照(正常)線維芽細胞は、エクソン7、8、及び9を含有する長いPCR産物を発生するが、CESD患者の線維芽細胞から増幅されたPCR産物は長さが短く、エクソン7及び9のみが転写産物に保持されたものの存在と一致し、CESD患者の線維芽細胞においてエクソン8スキッピングが確認された。この分析によって、CESD患者のmRNA転写産物の約95%が短鎖型形態(エクソン8がスキップされている)を生じ、非機能性LALタンパク質をもたらすこと、及びエクソン8が保持された全長mRNAは約5%産生されることが示された。産物の同一性は、配列決定により確認した。
実施例2: LIPAのエクソン8を標的にするASOウォークの設計
[0133]本明細書に記載の方法を使用して、ASOウォークは、LIPA(表1、配列番号1)のエクソン8(表2、配列番号4)を標的にするように設計した(表3、配列番号54~63)。ヌクレオチドの+2e~-4eに及ぶエクソン8の3’スプライス部位の直ぐ下流及びエクソン8の5’スプライス部位の上流領域を利用して、LIPA SECプレmRNAのスキップ可能なエクソンを標的にしたASOを設計した。表3は、設計された例示的なASO及びそれらの標的配列を列挙する。この設計から、5ヌクレオチド間隔でシフトした2’-MOE、PS骨格、18-merのASOを作製し、LIPA SECプレmRNAを標的にして、LALタンパク質産生を増加させるために利用する。
【0108】
【表1-1】
【0109】
【表1-2】
【0110】
【表1-3】
【0111】
【表1-4】
【0112】
【表1-5】
【0113】
【表1-6】
【0114】
【表1-7】
【0115】
【表1-8】
【0116】
【表1-9】
【0117】
【表1-10】
【0118】
【表1-11】
【0119】
【表2-1】
【0120】
【表2-2】
【0121】
【表2-3】
【0122】
【表3-1】
【0123】
【表3-2】
【0124】
実施例3: LIPAのイントロン7を標的にするASOウォークの設計
[0134]本明細書に記載の方法を使用して、ASOウォークは、LIPA(表1、配列番号1)のイントロン7(表2、配列番号3)を標的にするように設計した(表3、配列番39~53)。ヌクレオチドの-16~-100に及ぶイントロン7の3’スプライス部位の直ぐ上流領域を利用して、LIPA SECプレmRNAのイントロン7を標的にしたASOを設計した。表3は、設計された例示的なASO及びそれらの標的配列を列挙する。この設計から、5ヌクレオチド間隔でシフトした2’-MOE、PS骨格、18-merのASOを作製し、LIPA SECプレmRNAを標的にして、LALタンパク質産生を増加させるために利用する。
実施例4: LIPAのイントロン8を標的にするASOウォークの設計
[0135]本明細書に記載の方法を使用して、ASOウォークは、LIPA(表1、配列番
号1)のイントロン8(図3、表2、配列番号2)を標的にするように設計した(表3、配列番1~38)。ヌクレオチドの+6~+100に及ぶイントロン8の5’スプライス部位の直ぐ下流領域を利用して、LIPA SECプレmRNAのイントロン8を標的にしたASOを設計した。表3は、設計された例示的なASO及びそれらの標的配列を列挙する。この設計から、+6~+10は1ヌクレオチド間隔で、その後は5ヌクレオチド間隔でシフトした2’-MOE、PS骨格、18-merのASOを作製し、LIPA SECプレmRNAを標的にして、LALタンパク質産生を増加させるために利用した(図4A及び図4Bを参照)。
実施例5:
[0136]LIPA SECプレmRNAを標的にしたASOの用量依存的能力を実証するために一連の実験を設計し、転写産物のスプライシングを変更させて成熟mRNA産物におけるイントロン8の保持を増加させ、それにより、c.894G>A変異を有するドナーCESD細胞における全長機能性LALタンパク質の産生を増加させた。細胞を、イントロン8を標的にした様々な2’-MOE ASOの一連の濃度のセットで、エレクトロポレーション(例えば、図5、7、及び9のA-3334(+9))又は自由取り込み(例えば、図6のA-3334(+9))にて処理したところ、ASOの処理量が増加すると、未処理細胞と比較して、CESD線維芽細胞で産生されたLIPA転写産物においてエクソン8の保持の増加をもたらすことを示した(例えば、図5A、5C)。代表的なPAGEは、2つの転写産物についてのRT-PCR産物がエクソン8の含有(全長、上側バンド)及びエクソン8スキッピング(下側バンド)に対応することを示しており、それぞれを定量化して全長転写産物の百分率として評価した(図5、6及び9)。追加の分析を実施して、ASO処理がmRNA転写産物の生成を変更するだけでなく、CESD細胞における全長機能性LALタンパク質産生の用量依存的増加も生じることを確認した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)は、リソソーム酸リパーゼ(LAL)タンパク質が、c.894G>A変異を有するCESD患者の線維芽細胞を、イントロン8を標的にした2’-MOE ASOの量を増加させて処理した細胞において、mock処理細胞(-)と比較して、産生レベルが増加したことを示す(図7)。グリコシル化全長タンパク質に対応する産物を定量化し、ポンソーS染色ブロットに正規化した。ASO処理CESD細胞内で産生されたLALタンパク質の活性を、酵素アッセイを使用して確認した。結果は、発現したタンパク質が機能的であること、及び活性の量がLALタンパク質の量と比例することを実証している(図8及び10)。
【0125】
[0137]本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されているが、そのような実施形態が単なる例示として提供されていることは当業者に明白である。ここで多数の変更、変化、及び置き換えが、本発明を逸脱することなく当業者によって考え出される。本明細書に記載されている本発明の実施形態に対する様々な代替案を、本発明の実施に用いてもよいことが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を確定すること、及びこれらの請求項の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの等価物が網羅されることが意図される。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] コレステリルエステル蓄積症(CESD)の処置を必要とする対象において、対象の細胞による標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節することによってそれを処置する方法であって、前記細胞はスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有し、前記SECプレmRNAは、前記スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及び前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、前記SECプレmRNAは前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードし、前記方法は、前記対象の細胞を、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記SECプレmRNAの標的化部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させ、それにより、前記スキップ可能なエクソンが、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記SECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記対象の細胞において、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAのレベルを調節し、そして前記標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節する、ことを含む、前記方法。
[項目2] スキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有する細胞による、リソソーム酸リパーゼ(LAL)である標的タンパク質の発現を調節する方法であって、前記SECプレmRNAは、前記スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及び前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、前記SECプレmRNAはLALタンパク質をコードし、前記方法は、前記細胞を、LALタンパク質をコードする前記SECプレmRNAの標的化部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させ、それにより、前記スキップ可能なエクソンが、LALタンパク質をコードする前記SECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記細胞において、LALタンパク質をコードするmRNAのレベルを調節し、そしてLALタンパク質の発現を調節する、ことを含む、前記方法。
[項目3] 前記標的タンパク質又は前記標的タンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを調節することが、前記標的タンパク質又は前記標的タンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを増加させる、項目1に記載の方法。
[項目4] LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを調節することが、LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの発現又はレベルを増加させる、項目2に記載の方法。
[項目5] 前記標的タンパク質がLALである、項目1又は3に記載の方法。
[項目6] 前記細胞が、LALタンパク質の量又は活性の欠損により引き起こされる病態を有する対象内にあるか又は対象由来のものである、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
[項目7] 前記5’スプライス部位に隣接するイントロンの+1~+6及び前記スキップ可能なエクソンの-3e~-1eにある9個のヌクレオチドのうちの少なくとも1個のヌクレオチドが、少なくとも1個の変異を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
[項目8] 前記変異が置換である、項目7に記載の方法。
[項目9] 前記変異が-1eにある、項目7記載の方法。
[項目10] 前記変異がc.894G>Aである、項目7に記載の方法。
[項目11] 前記標的タンパク質の量の欠損が、常染色体劣性遺伝により引き起こされる、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
[項目12] 前記対象が、機能性標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子及び(a)機能性標的タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、前記アンチセンスオリゴマーが、前記第1若しくは第2の対立遺伝子から転写されたSECプレmRNAの標的化部分に結合するか、又は前記第1の対立遺伝子及び(b)第2の対立遺伝子を有し、前記アンチセンスオリゴマーが、前記第1の対立遺伝子から転写されたSECプレmRNAの標的化部分に結合する、項目11に記載の方法。
[項目13] 前記対象が、前記標的タンパク質の量又は機能の欠損によってもたらされる障害によって引き起こされる病態を有し、前記対象が、
(a)第1の変異を含む第1の対立遺伝子であって、第1の変異により、
(i)前記標的タンパク質が、野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生されるか、
(ii)前記標的タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生されるか、又は
(iii)前記標的タンパク質が産生されない、
第1の対立遺伝子、及び
(b)第2の変異を含む第2の対立遺伝子であって、第2の変異により、
(i)前記標的タンパク質が、野生型対立遺伝子からの産生と比較して低減されたレベルで産生されるか、
(ii)前記標的タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生されるか、又は
(iii)前記標的タンパク質が産生されない、
第2の対立遺伝子、
を有し、前記第1及び第2の変異が同一か又は異なっている、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
[項目14] 前記標的タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低減された機能を有する形態で産生される、項目13に記載の方法。
[項目15] 前記標的タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して完全に機能性の形態で産生される、項目13に記載の方法。
[項目16] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソン内の前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にある、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
[項目17] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンの+6~+500の領域内、又は
(b)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンの-16~-500領域内、
にある、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
[項目18] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4e~-500eの領域内、
(b)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、
(c)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内、又は
(d)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2e~+500eの領域内、
にある、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
[項目19] 前記SECプレmRNAが、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、項目1~18のいずれか1項に記載の方法。
[項目20] 前記SECプレmRNAが、配列番号1又はその相補配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる、項目1~18のいずれか1項に記載の方法。
[項目21] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、項目1~20のいずれか1項に記載の方法。
[項目22] 前記ASOが、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
[項目23] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
[項目24] 前記ASOが、配列番号54~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、項目23に記載の方法。
[項目25] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
[項目26] 前記ASOが、配列番号5~38又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、項目25に記載の方法。
[項目27] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
[項目28] 前記ASOが、配列番号39~53又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、項目27に記載の方法。
[項目29] 前記SECプレmRNAが、全長プレmRNAの部分的にスプライシングされたプレmRNAであるか、又は野生型プレmRNAの部分的にスプライシングされたプレmRNAである、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
[項目30] 前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAが、全長成熟mRNA又は野生型成熟mRNAである、項目1~29のいずれか1項に記載の方法。
[項目31] 産生される前記標的タンパク質が、全長タンパク質若しくは野生型タンパク質、又はそれらの組合せである、項目1~30のいずれか1項に記載の方法。
[項目32] 前記アンチセンスオリゴマーと接触させた前記細胞内で産生される前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAの総量が、対照細胞内で産生される前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する、項目1~31のいずれか1項に記載の方法。
[項目33] 前記アンチセンスオリゴマーと接触させた前記細胞内で産生される前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAの総量が、対照細胞内で産生される前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAの総量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約20%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する、項目1~31のいずれか1項に記載の方法。
[項目34] 前記アンチセンスオリゴマーと接触させた前記細胞により産生される標的タンパク質の総量が、対照細胞により産生される標的タンパク質の総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、又は少なくとも約10倍増加する、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
[項目35] 前記アンチセンスオリゴマーと接触させた前記細胞により産生される標的タンパク質の総量が、対照細胞により産生される標的タンパク質の総量と比較して、約20%~約300%、約50%~約300%、約100%~約300%、約150%~約300%、約20%~約50%、約20%~約100%、約20%~約150%、約20%~約200%、約20%~約250%、約50%~約100%、約50%~約150%、約50%~約200%、約50%~約250%、約100%~約150%、約100%~約200%、約100%~約250%、約150%~約200%、約150%~約250%、約200%~約250%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
[項目36] 前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む、項目1~35のいずれか1項に記載の方法。
[項目37] 前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む、項目1~36のいずれか1項に記載の方法。
[項目38] 前記アンチセンスオリゴマーが、少なくとも1個の修飾糖部分を含む、項目1~37のいずれか1項に記載の方法。
[項目39] 各糖部分が修飾糖部分である、項目38に記載の方法。
[項目40] 前記アンチセンスオリゴマーが、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基から成る、項目1~39のいずれか1項に記載の方法。
[項目41] 前記アンチセンスオリゴマーが、前記タンパク質をコードする前記SECプレmRNAの前記標的化部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の相補性がある、項目1~40のいずれか1項に記載の方法。
[項目42] LIPAタンパク質発現を評価することを更に含む、項目1~41のいずれか1項に記載の方法。
[項目43] CESDが処置され、前記アンチセンスオリゴマーがLIPA SECプレmRNAの標的化部分に結合し、前記標的化部分が配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む、項目1~42のいずれか1項に記載の方法。
[項目44] 前記対象がヒトである、項目1~43のいずれか1項に記載の方法。
[項目45] 前記対象が非ヒト動物である、項目1~44のいずれか1項に記載の方法。
[項目46] 前記対象が、胎児、胚、又は小児である、項目1~45のいずれか1項に記載の方法。
[項目47] 前記細胞をex vivoで接触させる、項目1~46のいずれか1項に記載の方法。
[項目48] 前記アンチセンスオリゴマーが、前記対象への髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射により投与される、項目1~47のいずれか1項に記載の方法。
[項目49] 前記イントロンの-15~-1及び前記3’スプライス部位に隣接する前記スキップ可能なエクソンの+1eにある16個のヌクレオチドが、対応する野生型配列と同一であり、前記イントロンがイントロン7であり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、項目1~48のいずれか1項に記載の方法。
[項目50] 項目1~49のいずれか1項に記載の方法に使用される、アンチセンスオリゴマー。
[項目51] 配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、アンチセンスオリゴマー。
[項目52] 項目50又は51に記載のアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物。
[項目53] 項目52に記載の医薬組成物を、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射で投与することによる、処置を必要とする対象を処置する方法。
[項目54] 欠損タンパク質又は欠損機能性RNAに関連するコレステリルエステル蓄積症(CESD)を処置する必要がある対象においてそれを処置するための、細胞による標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節する方法に使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、前記欠損タンパク質又は欠損機能性RNAは、前記対象において量又は活性が欠損しており、前記アンチセンスオリゴマーは、前記標的タンパク質又は前記機能性RNAをコードするスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)からのエクソンの除去を低減させ、前記標的タンパク質は前記欠損タンパク質であり、前記機能性RNAは前記欠損RNAであり、前記SECプレmRNAは、前記スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及び前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、前記スキップ可能なエクソンは、前記標的タンパク質又は前記機能性RNAをコードする前記SECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記対象において前記標的タンパク質又は前記機能性RNAの産生又は活性を調節する、前記組成物。
[項目55] リソソーム酸リパーゼ(LAL)タンパク質に関連する病態を処置する必要がある対象においてそれを処置する方法に使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、前記方法は前記対象の細胞によるLALタンパク質の発現を調節することを含み、前記細胞は、スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含む前記スキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有し、前記SECプレmRNAは前記LALタンパク質をコードし、前記方法は、前記細胞を前記アンチセンスオリゴマーと接触させ、それにより、前記スキップ可能なエクソンが、LALタンパク質をコードする前記SECプレmRNA転写産物からプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記対象の前記細胞において、LALタンパク質をコードするmRNAのレベルを調節し、そしてLALタンパク質の発現を調節する、ことを含む、前記組成物。
[項目56] 前記標的タンパク質又は前記標的タンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を調節することが、前記標的タンパク質又は前記標的タンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を増加させる、項目54に記載の組成物。
[項目57] LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を調節することが、LALタンパク質又はLALタンパク質をコードするmRNAの活性、発現、及び/又は産生を増加させる、項目54に記載の組成物。
[項目58] 前記標的タンパク質がLALである、項目54又は56に記載の組成物。
[項目59] 前記病態が疾患又は障害である、項目55に記載の組成物。
[項目60] 前記疾患又は障害がCESDである、項目59に記載の組成物。
[項目61] 前記標的タンパク質及びSECプレmRNAが、LIPA遺伝子によりコードされる、項目60に記載の組成物。
[項目62] 前記ASOが、前記スキップ可能なエクソン内の前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にある前記SECプレmRNAの部分を標的にする、項目54~61のいずれか1項に記載の組成物。
[項目63] 前記アンチセンスオリゴマーが、前記スキップ可能なエクソン内の、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、又は
(b)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内、
にある前記SECプレmRNAの部分を標的にする、項目54~61のいずれか1項に記載の組成物。
[項目64] 前記アンチセンスオリゴマーが、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位の約100ヌクレオチド下流から前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にある前記SECプレmRNAの部分を標的にする、項目54~61のいずれか1項に記載の組成物。
[項目65] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロンの+6~+500の領域内、又は
(b)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するエクソンの-16~-500の領域内、
にある、項目54~61のいずれか1項に記載の組成物。
[項目66] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、
(a)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4e~-500eの領域内、
(b)前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内、
(c)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内、又は
(d)前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2e~+500eの領域内
にある、項目54~61のいずれか1項に記載の組成物。
[項目67] 前記標的タンパク質がLALである、項目54~61のいずれか1項に記載の組成物。
[項目68] 前記SECプレmRNAが、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、項目67に記載の組成物。
[項目69] 前記SECプレmRNAが、配列番号1又はその相補配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる、項目67に記載の組成物。
[項目70] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、配列番号2~4又はそれらの相補配列の少なくとも8個の連続した核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、項目67に記載の組成物。
[項目71] 前記ASOが、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、項目67に記載の組成物。
[項目72] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、項目67に記載の組成物。
[項目73] 前記ASOが、配列番号54~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、項目72に記載の方法。
[項目74] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して-16~-500の領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、項目67に記載の組成物。
[項目75] 前記ASOが、配列番号5~38又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、項目72に記載の方法。
[項目76] 前記SECプレmRNAの前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して+6~+500の領域内にあり、前記スキップ可能なエクソンがエクソン8である、項目67に記載の組成物。
[項目77] 前記ASOが、配列番号39~53又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性がある配列を含む、項目72に記載の方法。
[項目78] 前記SECプレmRNAが、全長プレmRNA又は野生型プレmRNAの部分的スプライシングにより産生される、項目54~77のいずれか1項に記載の組成物。
[項目79] 前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記mRNAが、全長成熟mRNA又は野生型成熟mRNAである、項目54~78のいずれか1項に記載の組成物。
[項目80] 産生される前記標的タンパク質が、全長タンパク質又は野生型タンパク質である、項目54~79のいずれか1項に記載の組成物。
[項目81] 前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む、項目54~80のいずれか1項に記載の組成物。
[項目82] 前記アンチセンスオリゴマーが、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、項目54~81のいずれか1項に記載の組成物。
[項目83] 前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む、項目54~82のいずれか1項に記載の組成物。
[項目84] 前記アンチセンスオリゴマーが、少なくとも1個の修飾糖部分を含む、項目54~83のいずれか1項に記載の組成物。
[項目85] 各糖部分が修飾糖部分である、項目84に記載の組成物。
[項目86] 前記アンチセンスオリゴマーが、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基から成る、項目54~85のいずれか1項に記載の組成物。
[項目87] 項目54~86に記載のいずれかの組成物のアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物。
[項目88] 項目87に記載の医薬組成物を、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射で投与することによる、処置を必要とする対象を処置する方法。
[項目89] LIPA mRNA転写産物の標的配列にハイブリダイズするアンチセンスオリゴマーと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物であって、前記LIPA mRNA転写産物はスキップされるエクソンを含み、前記アンチセンスオリゴマーは、前記LIPA mRNA転写産物からスキップされるエクソンの保持を誘導する、前記医薬組成物。
[項目90] 前記LIPA mRNA転写産物が、LIPA SECプレmRNA転写産物である、項目89に記載の医薬組成物。
[項目91] 前記LIPA SECプレmRNA転写産物の前記標的化部分が、前記スキップ可能なエクソン内の前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に対して-4eから前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に対して+2eまでの領域内にある、項目89又は90に記載の医薬組成物。
[項目92] 前記LIPA SECプレmRNA転写産物が、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によりコードされる、項目89又は90に記載の医薬組成物。
[項目93] 前記LIPA SECプレmRNA転写産物が、配列番号1又はその相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、項目89又は90に記載の医薬組成物。
[項目94] 前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロチオエート連結又はホスホロジアミデート連結を含む骨格修飾を含む、項目89に記載の医薬組成物。
[項目95] 前記アンチセンスオリゴマーが、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、項目89に記載の医薬組成物。
[項目96] 前記アンチセンスオリゴマーが、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、又は2’-O-メトキシエチル部分を含む、項目89に記載の医薬組成物。
[項目97] 前記アンチセンスオリゴマーが、少なくとも1個の修飾糖部分を含む、項目89に記載の医薬組成物。
[項目98] 前記アンチセンスオリゴマーが、8~50個の核酸塩基、8~40個の核酸塩基、8~35個の核酸塩基、8~30個の核酸塩基、8~25個の核酸塩基、8~20個の核酸塩基、8~15個の核酸塩基、9~50個の核酸塩基、9~40個の核酸塩基、9~35個の核酸塩基、9~30個の核酸塩基、9~25個の核酸塩基、9~20個の核酸塩基、9~15個の核酸塩基、10~50個の核酸塩基、10~40個の核酸塩基、10~35個の核酸塩基、10~30個の核酸塩基、10~25個の核酸塩基、10~20個の核酸塩基、10~15個の核酸塩基、11~50個の核酸塩基、11~40個の核酸塩基、11~35個の核酸塩基、11~30個の核酸塩基、11~25個の核酸塩基、11~20個の核酸塩基、11~15個の核酸塩基、12~50個の核酸塩基、12~40個の核酸塩基、12~35個の核酸塩基、12~30個の核酸塩基、12~25個の核酸塩基、12~20個の核酸塩基、又は12~15個の核酸塩基を含む、項目89に記載の医薬組成物。
[項目99 前記アンチセンスオリゴマーが、前記LIPA SECプレmRNA転写産物の標的化部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の相補性がある、項目89又は90に記載の医薬組成物。
[項目100] 前記LIPA SECプレmRNA転写産物の前記標的化部分が、配列番号2~4又はそれらの相補配列から選択される配列内にある、項目89又は90に記載の医薬組成物。
[項目101] 前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性があるヌクレオチド配列を含む、項目89に記載の医薬組成物。
[項目102] 前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号5~63又はそれらの相補配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、項目89に記載の医薬組成物。
[項目103] 髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射用に処方される、項目89~102のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目104] LALタンパク質の量又は活性の欠損により引き起こされる病態を有する対象を処置する方法であって、配列番号5~63又はそれらの相補配列のいずれか1つに少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを前記対象に投与することを含む、前記方法。
[項目105] 前記対象がヒトである、項目104に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
2024079818000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステリルエステル蓄積症(CESD)の処置を必要とする対象において、対象の細胞による標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節することによってそれを処置する方法であって、前記細胞はスキップ可能なエクソン含有プレmRNA(SECプレmRNA)を有し、前記SECプレmRNAは、前記スキップ可能なエクソン、前記スキップ可能なエクソンの5’スプライス部位に隣接するイントロン、及び前記スキップ可能なエクソンの3’スプライス部位に隣接するイントロンを含み、前記SECプレmRNAは前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードし、前記方法は、前記対象の細胞を、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記SECプレmRNAの標的化部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させ、それにより、前記スキップ可能なエクソンが、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードする前記SECプレmRNAからプロセシングされたmRNAに保持され、それにより、前記対象の細胞において、前記標的タンパク質又は機能性RNAをコードするmRNAのレベルを調節し、そして前記標的タンパク質又は機能性RNAの発現を調節する、ことを含む、前記方法。
【外国語明細書】