(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079837
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】電気化学装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/595 20210101AFI20240604BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240604BHJP
【FI】
H01M50/595
H01M50/586
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024060079
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2021571618の分割
【原出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 騰騰
(72)【発明者】
【氏名】董 恵
(72)【発明者】
【氏名】朱 道政
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極組立体とケースとの間の接続信頼性を向上し、抗転落性を高め、且つエネルギー密度を向上することができる、電気化学装置を提供する。
【解決手段】電気化学装置は、ケースと電極組立体と絶縁テープとを含み、電極組立体の少なくとも一部がケース内に位置し、絶縁テープがケースと電極組立体との間に位置し、且つ絶縁テープが電極組立体と接着する第1の表面及びケースと接着する第2の表面を含み、第1の表面が第1の接着領域31を含み、第2の表面が第2の接着領域32を含み、第1の接着領域が第1の外縁311を有し、第2の接着領域が第2の外縁321を有し、第1の外縁は第2の外縁よりも絶縁テープの中心から離れており、絶縁テープの中心に対して第1方向の同じ側において、第2の外縁の第1の表面での正投影と第1の外縁との間の距離がhであり、第1の表面の第1方向における幅がW2であり、0.035×W2≦h≦0.4×W2である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
少なくとも一部が前記ケース内に位置する電極組立体と、
前記電極組立体と接着する第1の表面及び前記ケースと接着する第2の表面を含み、前記
ケースと前記電極組立体との間に位置する絶縁テープと、
を含み、
前記第1の表面が第1の接着領域を含み、前記第2の表面が第2の接着領域を含み、
前記第1の接着領域の面積Aと前記第2の接着領域の面積Bが0.08≦B/A≦0.9
65を満たすことを特徴とする、電気化学装置。
【請求項2】
前記第1の接着領域が第1の外縁を有し、前記第2の接着領域が第2の外縁を有し、
前記第2の外縁の前記第1の表面での正投影と前記第1の外縁との間の距離がhであり、
前記第1の表面の幅がW2であり、
0.035×W2≦h≦0.4×W2であることを特徴とする、請求項1に記載の電気化
学装置。
【請求項3】
a)0.15≦B/A≦0.85;
b)0.05×W2≦h≦0.35×W2の少なくとも一つを満たすことを特徴とする、
請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記電極組立体が前記絶縁テープと接着する第3の表面を有し、前記第1の接着領域が前
記第2の接着領域の前記第3の表面での正投影をカバーすることを特徴とする、請求項2
に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記電極組立体が前記絶縁テープと接着する第3の表面を有し、前記第3の表面の長さが
L1であり、
前記電気化学装置の幅方向に沿って、前記第1の接着領域が第1の軸線を有し、前記第3
の表面が第2の軸線を有し、前記第1の軸線の前記第3の表面での正投影と前記第2の軸
線との間の距離がDであり、D≦0.1×L1であることを特徴とする、請求項1に記載
の電気化学装置。
【請求項6】
前記電極組立体が前記絶縁テープと接着する第3の表面を有し、前記第3の表面の幅がW
1であり、
前記電気化学装置の長さ方向に沿って、前記第1の接着領域が第3の軸線を有し、前記第
3の表面が第4の軸線を有し、前記第3の軸線の前記第3の表面での正投影と前記第4の
軸線との間の距離がEであり、E≦0.1×W1であることを特徴とする、請求項1に記
載の電気化学装置。
【請求項7】
前記第2の接着領域の幾何中心の前記第1の表面での正投影が、前記第1の接着領域の幾
何中心と重なり合うことを特徴とする、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記絶縁テープが、積層して設置された第1の接着部材と基材と第2の接着部材を含み、
前記第1の接着部材が前記電極組立体と接着し、前記第2の接着部材が前記ケースと接着
することを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記第1の接着領域及び前記第2の接着領域の形状は、正方形、長方形、台形、八角形、
円形、楕円形からなる群より選択されたいずれか一種であることを特徴とする、請求項1
に記載の電気化学装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電気化学装置を含むことを特徴とする、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵デバイスの技術分野に関し、特に、電気化学装置及び電子機器
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の発展に伴い、電子機器の使用可能時間に対する要求を満たすために、電子機器
の電池のより大きい容量が求められている。電子機器の電池は、通常、ケースと、当該ケ
ース内部に位置する電極組立体を含み、当該ケースが当該電極組立体に対して保護の役割
を果たす。その中で、当該ケースと当該電極組立体との間では、絶縁テープで接着しても
よい。電子機器が転落すると、絶縁テープによる電極組立体の引き裂きが生じる可能性が
あり、これにより、電極組立体内部で短絡を引き起こすリスクがある。絶縁テープの接着
性が悪いと、トップシールが破れるリスクがあり、電子機器の安全性に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、電気化学装置及び電子機器を提供し、当該電気化学装置が、電極組立体とケー
スとの間の接続信頼性を向上し、抗転落性を高め、且つ電気化学装置のエネルギー密度を
向上することができる。
【0004】
本発明の第1の態様は、ケースと電極組立体と絶縁テープを含む電気化学装置であって、
電極組立体の少なくとも一部がケース内に位置し、絶縁テープがケースと電極組立体との
間に位置し、且つ絶縁テープが電極組立体と接着する第1の表面及びケースと接着する第
2の表面を含み、第1の表面が第1の接着領域を含み、第2の表面が第2の接着領域を含
み、ここで、第1の接着領域の面積Aと第2の接着領域の面積Bが0.08≦B/A≦0
.965を満たす、電気化学装置を提供する。別の可能な設計では、0.15≦B/A≦
0.85である。
【0005】
一つの可能な設計では、第1の接着領域が第1の外縁を有し、第2の接着領域が第2の外
縁を有し、第2の外縁の第1の表面での正投影と第1の外縁との間の距離がhであり、第
1の表面の幅がW2であり、ここで、0.035×W2≦h≦0.4×W2である。別の
可能な設計では、0.05×W2≦h≦0.35×W2である。
【0006】
一つの可能な設計では、電極組立体が絶縁テープと接着する第3の表面を有し、第1の接
着領域が第2の接着領域の第3の表面での正投影をカバーする。
【0007】
一つの可能な設計では、電極組立体が絶縁テープと接着する第3の表面を有し、第3の表
面の長さがL1であり、電気化学装置の幅方向に沿って、第1の接着領域が第1の軸線を
有し、第3の表面が第2の軸線を有し、第1の軸線の第3の表面での正投影と第2の軸線
との間の距離がDであり、D≦0.1×L1である。
【0008】
一つの可能な設計では、第3の表面の幅がW1であり、電気化学装置の長さ方向に沿って
、第1の接着領域が第3の軸線を有し、第3の表面が第4の軸線を有し、第3の軸線の第
3の表面での正投影と第4の軸線との間の距離がEであり、E≦0.1×W1である。
【0009】
一つの可能な設計では、第2の接着領域の幾何中心の第1の表面での正投影が、第1の接
着領域の幾何中心と重なり合う。一つの可能な設計では、第1の接着領域の幾何中心及び
第2の接着領域の幾何中心から、同じ方向に沿ってそれぞれ第1の外縁まで延びる距離と
第2の外縁まで延びる距離との比の値は同じである。
【0010】
一つの可能な設計では、第1の接着領域の長さがL2であり、第1の接着領域の幅がW2
であり、ここで、0.4×L1≦L2≦0.8×L1であり、0.4×W1≦W2≦0.
8×W1である。
【0011】
一つの可能な設計では、絶縁テープが、積層して設置された第1の接着部材と基材と第2
の接着部材とを含み、第1の接着部材が電極組立体と接着し、第2の接着部材がケースと
接着する。
【0012】
一つの可能な設計では、第1の接着領域及び第2の接着領域の形状は、正方形、長方形、
台形、八角形、円形、楕円形からなる群より選択されたいずれか一種である。
【0013】
本発明の第2の態様は、上記した電気化学装置を含む電子機器を提供する。
【0014】
当該電気化学装置のケースが外力を受ける(例えば、転落テストにおいてケースが外力を
受ける)と、当該外力は、ケースから絶縁テープの第2の接着領域に伝達し、第2の接着
領域から第1の接着領域に伝達し、そして、第1の接着領域から電極組立体に伝達するこ
とができる。第1の接着領域の面積が第2の接着領域の面積より大きいため、第1の接着
領域と電極組立体との間の単位面積あたりの剥離力を軽減し、さらに、外力の作用下で絶
縁テープが電極組立体を引き裂くリスクを低減することができ、電極組立体と絶縁テープ
との間の接続信頼性を向上し、さらに、電極組立体の安全性を向上することができる。そ
れとともに、当該絶縁テープの、ケースと接続する第2の接着領域の面積が比較的に小さ
いと、絶縁テープとケースとの間の接続信頼性を確保する前提で、当該絶縁テープの体積
及び重量を小さくして、電気化学装置のエネルギー密度の向上に寄与することができる。
【0015】
上記した概略的な説明及び後記する詳しい説明は、ただ例示的なものであり、本発明に限
定されるものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例におけるケース、電極組立体、絶縁テープの接続構造概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2実施例におけるケース、電極組立体、絶縁テープの接続構造概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の第3実施例におけるケース、電極組立体、絶縁テープの接続構造概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の第4実施例における絶縁テープを電極組立体の第3の表面で投影する構造概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の第5実施例における絶縁テープを電極組立体の第3の表面で投影する構造概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の第6実施例における絶縁テープを電極組立体の第3の表面で投影する構造概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の1つの実施例に提供された電気化学装置の側面図である。
【
図8】
図8は、本発明の1つの実施例に提供された電気化学装置の構造概略図である。
【符号の説明】
【0017】
1-ケース、
2-電極組立体、
21-第3の表面、
211-第2の軸線、
212-第4の軸線、
3-絶縁テープ、
31-第1の接着領域、
311-第1の外縁、
312-第1の軸線、
313-第3の軸線、
32-第2の接着領域、
321-第2の外縁、
33-第1の接着部材、
34-第2の接着部材、
35-基材。
【0018】
ここでの図面は、明細書に組み入れられて、本明細書の一部分になり、本発明に適う実施
例を示し、明細書と共に本発明の原理を解釈することに用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の技術案をより良好に理解するために、図面に合わせて本発明の実施例
に対して詳しく説明する。
【0020】
以下に説明される実施例は、本発明の全部の実施例ではなく、ただ一部の実施例であるこ
とは、明らかである。本発明の実施例に基づいて得られる他の全ての実施例は、本発明の
請求の範囲に属する。
【0021】
本発明の実施例に使用される用語は、ただ、特定の実施例を説明することを目的とし、本
発明を限定しようとするものではない。本発明の実施例及び請求の範囲に使用される単数
の形の「一種」、「上記」、「前記」及び「当該」は、文脈から明確的に他の意味を示し
ていない限り、複数の形も含むことを意図している。
【0022】
本明細書に使用される用語「及び/又は」は、単に関連された対象の関連関係を説明し、
3つの関係が存在できることを表し、例えば、「A及び/又はB」は、Aが単独存在する
ことと、A及びBが同時に存在することと、Bが単独存在することとの3つの状況を表す
ことができることを理解すべきである。なお、本明細書における文字「/」は、通常、前
後の関連された対象が「又は」の関係を表す。
【0023】
なお、本発明の実施例に説明される「上」、「下」、「左」、「右」等の方向の語は、図
面に示された角度で説明されるものであり、本発明の実施例に対する制限として解釈され
るべきではない。また、文脈から、ある要素が他の要素の「上」又は「下」に接続すると
言及されると、他の要素の「上」又は「下」に直接的に接続することができるだけでなく
、中間要素に介して間接的に他の要素に接続することもできることを理解すべきである。
【0024】
本発明の実施例は、電気化学装置を提供し、
図1~3に示すように、当該電気化学装置は
、ケース1と電極組立体2とを含み、ケース1が収容チェンバーを有し、電極組立体2の
少なくとも一部が当該収容チェンバー内に位置し、当該ケース1が電極組立体2を保護す
ることに用いられる。ここで、電極組立体2は、第1の極片、第2の極片及びセパレータ
ーを含み得る。第1の極片と第2の極片において、一方が正極であり、もう一方が負極で
ある。セパレーターは、第1の極片と第2の極片を隔離することに用いられ、セパレータ
ーが熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンによって支えられる。当該
セパレーターが第1の極片と第2の極片とを絶縁させることに用いられる。
【0025】
転落テストにおいて、当該電気化学装置は、トップシールが破れることや電極組立体2の
アルミホイルが引き裂かれることなどが生じやすいリスクがあることによって、電極組立
体2が短絡して、電気化学装置が壊れる。当該技術的課題を解決するために、
図1~3に
示すように、当該電気化学装置は、さらに、絶縁テープ3を含み、当該絶縁テープ3がケ
ース1と電極組立体2との間に位置し、且つ、当該絶縁テープ3が電極組立体2と接着す
る第1の表面及びケース1と接着する第2の表面を含み、第1の表面が第1の接着領域3
1を含み、上記第2の表面が第2の接着領域32を含む。即ち、当該電極組立体2は、絶
縁テープ3によりケース1と接着することで、電気化学装置の動作中に、電極組立体2が
ケース1の収容チェンバー内で移動することを防止することができる。そして、当該絶縁
テープ3は、また電極組立体2とケース1が短絡することを防止して、電気化学装置を正
常に動作させることができる。ここで、当該絶縁テープ3の粘着強度は、電気化学装置の
質量及びサイズなどの要素に関係がある。一般的に、絶縁テープ3の粘着強度の範囲が2
MPa~20MPaである。それとともに、転落テストにおいて、外力の作用で、また、
絶縁テープ3が電極組立体2のアルミホイルを破断させるリスクがある。
【0026】
本実施例において、第1の接着領域31の面積は、第2の接着領域32の面積より大きい
。即ち、当該絶縁テープ3の、ケース1と接着する表面の面積が電極組立体2と接着する
表面の面積より小さい。
【0027】
当該電気化学装置のケース1が外力を受ける(例えば、転落テストにおいてケース1が外
力を受ける)と、当該外力は、ケース1から絶縁テープ3の第2の接着領域32に伝達し
、第2の接着領域32から第1の接着領域31に伝達し、そして第1の接着領域31から
電極組立体2に伝達することができる。第1の接着領域31の面積は、第2の接着領域3
2の面積より大きいため、第1の接着領域31と電極組立体2との間の単位面積あたりの
剥離力を軽減し、絶縁テープ3が電極組立体2のアルミホイルを破断させるリスクを低減
し、電極組立体2と絶縁テープ3との間の接続信頼性を向上し、さらに電極組立体2の安
全性を向上することができる。それとともに、当該絶縁テープ3の、ケース1と接続する
第2の接着領域32の面積が比較的に小さいと、絶縁テープ3とケース1との間の接続信
頼性を確保する前提で、当該絶縁テープ3の体積及び重量を小さくして、電気化学装置の
エネルギー密度の向上に寄与することができる。
【0028】
具体的に、第1の接着領域31の面積Aと第2の接着領域32の面積Bは、0.08≦B
/A≦0.965を満たす。ある具体的な実施例において、0.1≦B/A≦0.6であ
る。例えば、B/Aは、具体的に、0.1、0.3、0.4、0.6、0.8、0.9な
どであってもよい。
【0029】
本実施例において、B/Aが大きすぎる(例えば、0.965より大きい)と、第1の接
着領域31の面積Aと第2の接着領域32の面積Bとが近いことを表すので、第1の接着
領域31の縁と電極組立体2との間の単位面積あたりの剥離力を効果的に軽減できず、絶
縁テープ3が電極組立体2のアルミホイルを破断させるリスクが比較的に高く、電極組立
体2の安全性が低下し、且つ絶縁テープ3の重量及び体積が大きすぎになって、電気化学
装置のエネルギー密度が低減する。B/Aが小さすぎる(例えば、0.08より小さい)
と、即ち、第2の接着領域32の面積Bが小さすぎると、絶縁テープ3とケース1との間
の単位面積当たりの剥離力が大きくなって、接続信頼性が低減する。
【0030】
より具体的に、
図1~6に示すように、第1の接着領域31が第1の外縁311を有し、
第2の接着領域32が第2の外縁321を有する。より具体的に、
図4~6に示すように
、第2の外縁321の第1の表面での正投影と第1の外縁311との間の距離がhであり
、第1の接着領域31の幅がW2であり、ここで、0.035×W2≦h≦0.4×W2
である。ある具体的な実施例において、0.05×W2≦h≦0.35×W2である。例
えば、hは、0.2×W2、0.3×W2などであってもよい。即ち、第2の外縁321
の第1の表面での正投影と第1の外縁311との間には、位置ずれが存在している。ここ
で、絶縁テープ3の4つの側面のうちの1つにおいて、上記位置ずれ(
図4に示すように
)が存在してもよく、対向の2つの側面において、上記位置ずれ(
図5に示すように)が
存在してもよく、4つの側面の全てにおいて、上記位置ずれ(
図6に示すように)が存在
してもよい。
【0031】
本実施例において、hが大きすぎると、第2の接着領域32の面積と第1の接着領域31
の面積との差が大きすぎること、即ち、当該絶縁テープ3とケース1との間の接着面の面
積が小さすぎることを表すので、絶縁テープ3とケース1との間の単位面積あたりの剥離
力が大きすぎになって、絶縁テープ3とケース1との間の接続信頼性が低すぎる。hが小
さすぎると、第2の接着領域32の面積と第1の接着領域31の面積との差が小さすぎる
こと、即ち、第1の接着領域31の、第2の接着領域32の縁を超える面積が小さすぎる
ことを表すので、第2の接着領域32の縁から第1の接着領域31の縁に伝達する応力が
作用する面積が小さすぎて、即ち、絶縁テープ3の第1の接着領域31の縁と電極組立体
2との間の単位面積あたりの剥離力が大きすぎることによって、絶縁テープ3が電極組立
体2のアルミホイルを破断しやすいとともに、絶縁テープ3の体積が大きすぎて、電気化
学装置のエネルギー密度を低減する。従って、0.035×W2≦h≦0.4×W2であ
ると、第1の接着領域31の面積及び第2の接着領域32の面積が適当であるので、絶縁
テープ3とケース1との間及び絶縁テープ3と電極組立体2との間のいずれにも比較的に
高い接続信頼性があるとともに、電気化学装置のエネルギー密度を向上することができる
。
【0032】
最大の投影面が長方形であるリチウムイオン電池を例として転落テストを行い、転落合格
率を比較する。ここで、グループ1は、
図4に示す構造を有し、絶縁テープ3の幅方向の
片側に上記位置ずれが存在する。グループ2は
図5に示す構造を有し、絶縁テープ3の幅
方向の両側に上記位置ずれが存在する。グループ3は
図6に示す構造を有し、絶縁テープ
3の周りに全て位置ずれが存在する。baseグループにおいて、第1の接着領域31及
び第2の接着領域32の形状及びサイズはいずれも同じである。リチウムイオン電池の各
箇所での繰り返して実験した回数を20回に設置し、合格率が80%以上(即ち、少なく
とも16個の電気化学装置が転落時に故障しない)であることは、合格である。転落条件
:グループ1は片側の転落であり、グループ2は対向する両側の転落であり、グループ3
は、6つの面と4つの角の転落である。ここで、選択された長方形のリチウムイオン電池
は、電極組立体2の長さL1が87mmで、幅W1が64mmであり、第1の接着領域3
1の長さL2が60mmで、幅W2が42mmである。試験の結果は、以下の表に示す。
【0033】
【0034】
上記の表の試験の結果から分かるように、第1の接着領域の面積Aと第2の接着領域の面
積Bが、0.08≦B/A≦0.965を満たす絶縁テープ3を設置した後、電気化学装
置は、転落テストをした時、全て比較的に高い合格率を有し、且つ、0.05×W2≦h
≦0.35×W2であると、合格率がより高いである(≧90%)。
【0035】
ある具体的な実施例において、
図4~
図6に示すように、電極組立体2は、絶縁テープ3
と接着する第3の表面21を有し、即ち、当該電極組立体2の第3の表面21が絶縁テー
プ3の第1の接着領域31と接着し、ここで、第1の接着領域31が第2の接着領域32
の第3の表面21での正投影をカバーする。
【0036】
本実施例において、第1の接着領域31が第2の接着領域32の第3の表面21での正投
影をカバーすると、第2の接着領域32から伝達された外力が完全に絶縁テープ3によっ
て第1の接着領域31まで伝達して、これによって、電極組立体2の第3の表面21まで
伝達し、絶縁テープ3が外力の作用下で割れるリスクを低減し、絶縁テープ3の構造強度
及び使用寿命を向上し、ケース1と電極組立体2との間の接続信頼性を向上することがで
きる。
【0037】
具体的に、
図7に示すように、当該電極組立体2の第3の表面21の長さがL1であり、
かつ、電気化学装置の幅方向に沿って、第1の接着領域31が第1の軸線312を有し、
第3の表面21が第2の軸線211を有し、当該第1の軸線312及び第2の軸線211
がいずれも電気化学装置の幅方向に沿う軸線であり、かつ、
図7に示す実施例において、
電気化学装置の長さ方向に沿って、第1の接着領域31が当該第1の軸線312に対して
対称であり、かつ、第3の表面21が当該第2の軸線211に対して対称である。第1の
軸線312の第3の表面21での正投影と第2の軸線211との間の距離がDであり、こ
こで、Dが具体的に0であってもよく、又は、実情に応じて、DとL1との間には、D≦
0.1×L1を満たしてもよい。例えば、Dは、0.05L1、0.06L1などであっ
てもよい。なお、
図7に示すように、電気化学装置の長さ方向に沿って、当該絶縁テープ
3の第1の接着領域31が第3の軸線313を有し、第3の表面21が第4の軸線212
を有し、ここで、当該第3の軸線313及び第4の軸線212がいずれも電気化学装置の
長さ方向に沿う軸線であり、かつ、
図7に示す実施例において、電気化学装置の幅方向に
沿って、第1の接着領域31が当該第3の軸線313に対して対称であり、かつ、第3の
表面21が当該第4の軸線212に対して対称である。本実施例において、当該第3の軸
線313の第3の表面21での正投影と第4の軸線212との間の距離がEであり、ここ
で、Eが具体的に0であってもよく、又は、実情に応じて、EとW1との間には、E≦0
.15×W1を満たしてもよい。
【0038】
ここで、絶縁テープ3と電極組立体2との間の接続信頼性を向上するとともに、絶縁テー
プ3と電極組立体2が縁で割れるリスクを低減することができる限り、DとL1との間の
距離やEとW1との間の距離は、実情に応じて設置してもよい。
【0039】
本実施例において、当該電極組立体2の各箇所での重量が均一ではなく、そして、絶縁テ
ープ3と電極組立体2との間の接続信頼性が電極組立体2の重力の影響を受けるので、電
極組立体2の重量が均一ではない場合、絶縁テープ3の第3の表面21での位置を変化す
ることで、絶縁テープ3と電極組立体2との間の接続信頼性に対する電極組立体2の重力
の影響を低減させることができる。
【0040】
一つの可能な設計では、
図4~
図7に示すように、第2の接着領域32の幾何中心の第1
の表面での正投影は、第1の接着領域31の幾何中心と重なり合う。別の可能な設計では
、第1の接着領域31の幾何中心と第2の接着領域32の幾何中心から、同じ方向に沿っ
てそれぞれ第1の外縁311まで延びる距離と第2の外縁321まで延びる距離との比の
値は同じである。
【0041】
本実施例において、第2の接着領域32の幾何中心の第1の表面での正投影は、第1の接
着領域31の幾何中心と重なり合うため、第2の接着領域32の幾何中心と第1の接着領
域31の幾何中心とは同じ直線に位置し、これによって、当該絶縁テープ3を、ケース1
及び電極組立体2に接着させた後、第1の接着領域31及び第2の接着領域32が比較的
に均一な力を受け、絶縁テープ3の構造強度を向上する。それとともに、第1の接着領域
31の幾何中心と第2の接着領域32の幾何中心から、同じ方向沿ってそれぞれ第1の外
縁311まで延びる距離と第2の外縁321まで延びる距離との比の値は同じであるため
、第2の接着領域32の第1の表面での正投影が第1の接着領域31の中部に位置し、こ
れによって、第2の接着領域32から第1の接着領域31まで伝達された力の均一性をよ
り向上し、絶縁テープ3の構造強度及び絶縁テープ3と電極組立体2との間の接着強度を
向上することができる。
【0042】
以上の各実施例において、
図7に示すように、当該電極組立体2は、絶縁テープ3と接着
する第3の表面21を有し、当該第3の表面21の長さがL1であり、幅がW1であり、
上記絶縁テープ3の、電極組立体2と接着することに用いられる第1の接着領域31の長
さがL2で、幅がW2であり、ここで、0.4×L1≦L2≦0.8×L1、0.4×W
1≦W2≦0.8×W1である。例えば、L2は、具体的に、0.4×L1、0.5×L
1、0.7×L1、0.8×L1などであってもよく、W2は、具体的に、0.4×W1
、0.6×W1、0.7×W1、0.8×W1などであってもよい。
【0043】
ここで、L1とL2、W1とW2の間の関係は、上記に限定されるものではなく、絶縁テ
ープ3と電極組立体2との間の接続信頼性を向上するとともに、電極組立体2が引き裂か
れることを防止することができる限り、実情に応じて設置してもよい。
【0044】
第1種の具体的な実施例において、
図1に示すように、上記絶縁テープ3は、一体化構造
であってもよく、当該絶縁テープ3が裁切等の加工方式により面積が異なる第1の接着領
域31及び第2の接着領域32を形成することができる。本実施例において、当該一体化
構造である絶縁テープ3には、構造が簡単で、強度が高い利点がある。
【0045】
第2種の具体的な実施例において、
図2に示すように、上記絶縁テープ3は、分体化構造
であってもよく、即ち、二つのテープ単元を含み、かつ二つのテープ単元が全て両面テー
プであり、これによって、二つのテープ単元の一つの表面が互いに接着し、もう一つの表
面がそれぞれケース1と電極組立体2と接着することに用いられる。本実施例において、
当該分体化構造である絶縁テープ3には、構造が簡単で、加工が便利である利点があり、
且つ、絶縁テープ3の第1の接着領域31及び第2の接着領域32が異なる接着力を有す
ることを便利に達成することができる。
【0046】
第3種の具体的な実施例において、
図3に示すように、当該絶縁テープ3は、積層して設
置された第1の接着部材33と基材35と第2の接着部材34とを含む。ここで、基材3
5は、第1の接着部材33と第2の接着部材34との間に位置し、両者と接続する。当該
第1の接着部材33は、電極組立体2と接着することに用いられる。即ち、上記第1の接
着領域31は、当該第1の接着部材33に設置される。第2の接着部材34は、ケース1
と接着することに用いられる。即ち、上記第2の接着領域32が、当該第2の接着部材3
4に設置される。
【0047】
ここで、
図3に示すように、当該第1の接着部材33の面積は、第2の接着部材34の面
積より大きく、当該基材35のサイズは、面積が比較的に大きい第1の接着部材33の面
積と同じである。当該第1の接着部材33と基材35との間には、接着してもよく、第2
の接着部材34と基材35との間にも、接着してもよい。
【0048】
本実施例において、当該絶縁テープ3が含む基材35は、第1の接着部材33及び第2の
接着部材34に対して支える役割を果たすことができるので、当該絶縁テープ3の構造強
度を向上し、さらに外力の作用下で絶縁テープ3が壊れるリスクを低減し、ケース1と電
極組立体2との間の接着信頼性を向上することができる。それとともに、当該分体化構造
である絶縁テープ3には、構造が簡単で、加工が便利である利点がある。且つ、絶縁テー
プ3が分体化構造であることにより、絶縁テープ3の第1の接着領域31及び第2の接着
領域32が異なる接着力を有することを便利に達成できる。
【0049】
以上の各実施例において、
図8に示すように、当該絶縁テープ3において、第1の接着領
域31と第2の接着領域32の形状は、正方形、長方形、台形、八角形、円形、楕円形か
らなる群より選択されたいずれか一種である。
【0050】
本発明の実施例における電気化学装置は、複数の分野に用いられる。電気化学装置を採用
して電気を供給できる機器であれば、本発明の実施例における電気化学装置を採用するこ
とができる。例えば、当該電気化学装置は、電気自動車の電気化学装置キット及び電子装
置などの部品に用いられる。電子装置は、携帯電話(mobile phone)、タブレットコン
ピュータ、デスクタイプコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピ
ュータ、ノートブックコンピュータ、及びウルトラモバイルパソコン(ultra-mobile pe
rsonal computer,UMPC)、ネットブック、及びセル方式の携帯無線電話(cellular ph
one)、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant,PDA)、拡張
現実(augmented reality,AR)機器、仮想現実(virtual reality,VR)機器、人工知
能(artificial intelligence, AI)機器、ウェアラブル機器、車載機器、スマートホ
ーム機器及び/又はスマートシティ機器、電動工具、エネルギー貯蔵装置、電気三輪車、
電気自動車などであってもよい。本発明の実施例では、当該電子装置の具体的な種類に対
して特別な制限はない。
【0051】
具体的に、当該電子機器は、ケース、スクリーン、回路基板、および電気化学装置などの
部品を含んでもよい。ここで、スクリーン、回路基板、および電気化学装置は全てケース
に設置され、当該電気化学装置は、上記いずれかの実施例に記載のものである。
【0052】
以上に記載されたのは、単に本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するもので
はない。当業者にとって、本発明は、様々な修正及び変更を行うことができる。本発明の
趣旨及び原則内で行われた修正、等価置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲内に含
まれるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
少なくとも一部が前記ケース内に位置する電極組立体と、
前記電極組立体と接着する第1の表面及び前記ケースと接着する第2の表面を含み、前記ケースと前記電極組立体との間に位置する絶縁テープと、
を含み、
前記第1の表面が第1の接着領域を含み、前記第2の表面が第2の接着領域を含み、
前記第1の接着領域が第1の外縁を有し、前記第2の接着領域が第2の外縁を有し、前記第1の外縁は前記第2の外縁よりも前記絶縁テープの中心から離れており、
前記絶縁テープの中心に対して第1方向の同じ側において、前記第2の外縁の前記第1の表面での正投影と前記第1の外縁との間の距離がhであり、前記第1の表面の前記第1方向における幅がW2であり、
0.035×W2≦h≦0.4×W2であることを特徴とする、電気化学装置。
【請求項2】
前記第1の接着領域の面積Aと前記第2の接着領域の面積Bが0.08≦B/A≦0.965を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
a)0.15≦B/A≦0.85;
b)0.05×W2≦h≦0.35×W2の少なくとも一つを満たすことを特徴とする、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記電極組立体が前記絶縁テープと接着する第3の表面を有し、前記第1の接着領域が前記第2の接着領域の前記第3の表面での正投影をカバーすることを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記電極組立体が前記絶縁テープと接着する第3の表面を有し、前記第3の表面の長さがL1であり、
前記電気化学装置の幅方向に沿って、前記第1の接着領域が第1の軸線を有し、前記第3の表面が第2の軸線を有し、前記第1の軸線の前記第3の表面での正投影と前記第2の軸線との間の距離がDであり、D≦0.1×L1であることを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記電極組立体が前記絶縁テープと接着する第3の表面を有し、前記第3の表面の幅がW1であり、
前記電気化学装置の長さ方向に沿って、前記第1の接着領域が第3の軸線を有し、前記第3の表面が第4の軸線を有し、前記第3の軸線の前記第3の表面での正投影と前記第4の軸線との間の距離がEであり、E≦0.1×W1であることを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記第2の接着領域の幾何中心の前記第1の表面での正投影が、前記第1の接着領域の幾何中心と重なり合うことを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記絶縁テープが、積層して設置された第1の接着部材と基材と第2の接着部材を含み、前記第1の接着部材が前記電極組立体と接着し、前記第2の接着部材が前記ケースと接着することを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記第1の接着領域及び前記第2の接着領域の形状は、正方形、長方形、台形、八角形、円形、楕円形からなる群より選択されたいずれか一種であることを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電気化学装置を含むことを特徴とする、電子機器。
【外国語明細書】